2009年01月09日
室生犀星『黄金の針 女流評伝』を読む
河出のムック「総特集 森茉莉」に『黄金の針』に掲載された
森茉莉についての文章は転載されていたので読んだことあったけど
他に取り上げられた作家が気になり図書館で借りてみた。
室生犀星『黄金の針 女流評伝』は昭和36年4月5日、中央公論社より発行。
あとがきによると、昭和35年1月〜12月に婦人公論に連載したもの。
円地文子、吉屋信子、森茉莉、佐多稲子、小山いと子、林芙美子、中里恒子、
曽野 綾子、平林たい子、宇野千代、野上弥生子、幸田文、網野菊、壺井栄、
芝木好子、有吉佐和子、由起しげ子、横山美智子、大原富枝
目次には19人の名前。最初は1回につき1作家だったのが途中で2作家に
なったと後書で書いている。
口絵には取り上げた作家の写真が出ている。森茉莉は和服姿で上半身が
写っている。『鴎外の遺産 III』の口絵に出ていた写真の着物と似てる?
室生犀星がアパートを訪問した際、婦人公論の担当者と「写真家の杉村さん」、
犀星の娘が一緒だったと書いているので「杉村さん」が撮影したものだろうか。
ところで河出のムックに掲載したのを読んだときには気付かなかったが
最後の年譜に「昭和八、九、十年頃、長谷川伸、長谷川時雨を知った」
と書いてある。長谷川伸に原稿を見てもらい、演芸画報に紹介して
もらったことを指してるのだと思います。
また、森茉莉の項以外でも名前が時々出てきている。曽野綾子の項で
十年間に人を訪ねた経験はこの仕事のための森茉莉さんのアパート
に行つたのと、詩人伝の時に白秋の令妹家子さんを訪ねたのと、
そして小山いと子さん訪問と、今度がその四度目であつた。
森茉莉のアパート訪問は数少ない「人を訪ねた経験」だったのか。
幸田文は二回しか会っていないけれど訪問せず、会ったときの
印象だけで書いている。
その幸田文の項では同じ「文豪の娘」として森茉莉と比較されている。
幸田文の行文には幾癖もあつて、癖がその描文の特異な効果を
をさめてゐることは、森茉莉の文章にある癖と脈を相通じてゐる。
と共通点を挙げる一方
幸田文さんは奥の方に性格をしまひ込んでゐて、滅多にすらすらと
見せない、見せるには沈み切つてゐるし自分でもじわじわと抑へて
ゐるといふ側の人だ、茉莉さんは誰にでも一つの飾り一つのおさへ
方はしてゐられなくて、みんな何でも明けすけに言つておしまひになる、
(中略)
それほど茉莉さんは鴎外さんを釈きほぐしてゐるのだ。けれども
幸田露伴は却々かんたんに釈きかねるし、幸田文はまた露伴のなにかを
引き摺りながら気難しくさへ、そよりそよりと歩いてゐるのである。
と述べている。河出書房新社から出ている幸田文の文芸ムックに
再録されているので幸田文&森茉莉の比較が気になる人は読んでみて下さい。
幸田文―没後10年 (KAWADE夢ムック)
販売元:河出書房新社
発売日:2000-12
クチコミを見る
森茉莉についての文章は転載されていたので読んだことあったけど
他に取り上げられた作家が気になり図書館で借りてみた。
室生犀星『黄金の針 女流評伝』は昭和36年4月5日、中央公論社より発行。
あとがきによると、昭和35年1月〜12月に婦人公論に連載したもの。
円地文子、吉屋信子、森茉莉、佐多稲子、小山いと子、林芙美子、中里恒子、
曽野 綾子、平林たい子、宇野千代、野上弥生子、幸田文、網野菊、壺井栄、
芝木好子、有吉佐和子、由起しげ子、横山美智子、大原富枝
目次には19人の名前。最初は1回につき1作家だったのが途中で2作家に
なったと後書で書いている。
口絵には取り上げた作家の写真が出ている。森茉莉は和服姿で上半身が
写っている。『鴎外の遺産 III』の口絵に出ていた写真の着物と似てる?
室生犀星がアパートを訪問した際、婦人公論の担当者と「写真家の杉村さん」、
犀星の娘が一緒だったと書いているので「杉村さん」が撮影したものだろうか。
ところで河出のムックに掲載したのを読んだときには気付かなかったが
最後の年譜に「昭和八、九、十年頃、長谷川伸、長谷川時雨を知った」
と書いてある。長谷川伸に原稿を見てもらい、演芸画報に紹介して
もらったことを指してるのだと思います。
また、森茉莉の項以外でも名前が時々出てきている。曽野綾子の項で
十年間に人を訪ねた経験はこの仕事のための森茉莉さんのアパート
に行つたのと、詩人伝の時に白秋の令妹家子さんを訪ねたのと、
そして小山いと子さん訪問と、今度がその四度目であつた。
森茉莉のアパート訪問は数少ない「人を訪ねた経験」だったのか。
幸田文は二回しか会っていないけれど訪問せず、会ったときの
印象だけで書いている。
その幸田文の項では同じ「文豪の娘」として森茉莉と比較されている。
幸田文の行文には幾癖もあつて、癖がその描文の特異な効果を
をさめてゐることは、森茉莉の文章にある癖と脈を相通じてゐる。
と共通点を挙げる一方
幸田文さんは奥の方に性格をしまひ込んでゐて、滅多にすらすらと
見せない、見せるには沈み切つてゐるし自分でもじわじわと抑へて
ゐるといふ側の人だ、茉莉さんは誰にでも一つの飾り一つのおさへ
方はしてゐられなくて、みんな何でも明けすけに言つておしまひになる、
(中略)
それほど茉莉さんは鴎外さんを釈きほぐしてゐるのだ。けれども
幸田露伴は却々かんたんに釈きかねるし、幸田文はまた露伴のなにかを
引き摺りながら気難しくさへ、そよりそよりと歩いてゐるのである。
と述べている。河出書房新社から出ている幸田文の文芸ムックに
再録されているので幸田文&森茉莉の比較が気になる人は読んでみて下さい。
幸田文―没後10年 (KAWADE夢ムック)販売元:河出書房新社
発売日:2000-12
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