2007年03月09日

東京23区内で駅から最も遠い場所はどこ?(その5)

その5です。
いよいよ最後の解析です。一気に行きましょう。


仕上げは、SuperMap Deskproで「距離グリッド」データを作ります。
グリッド(GRID)は日本語で言えば格子ですが、BMPやJPGなんかのピクセルと同じようなものです。JPGとかの普通の画像データのピクセルは色を表すだけですが、グリッドの方は「地理情報」が入っています。
今回ここで作るグリッドの地理情報が、「駅からの距離」を表す数値です。ちなみに、グリッドデータでよくある地理情報が標高で、DEM(Digital Elevation Model)とも呼ばれます。


SuperMap Deskproには「距離グリッドの生成」というコマンドがあります。さすがに無料のSuperMap Viewerの方にはありません。

距離グリッドの作成

操作ダイアログはこんな感じ。
「地物ソースデータ」から、すでにこしらえてある東京23区&周辺行政区の駅ポイントデータセットを選択します。解像度は50に指定、つまり1つのグリッドを50m四方で作ります。新しく作られるグリッドデータセットの名前は「離駅グリッド」と命名しました。他の設定は空のまま。

OKして、作成された「離駅グリッド」を開くとこんな感じ。

離駅グリッド元


水色の部分が駅から近いグリッド、色が茶色になるにつれて駅から遠くなります。
ウーム、23区内はほとんど水色で差がないね。それもそのはず、23区以外の範囲が含まれているか、駅からえらく遠い場所もあり、相対的に見ると23区内は一様に「駅から近い」水色に配色されているからなんです。
23区の範囲でグリッドデータを切り取ります。ここで使うのが、23区範囲のポリゴンです。海岸線の確定がややこしかったあれです。
このポリゴンの範囲の内側部分を切り取ります。

離駅グリッドの上に23区範囲のポリゴンを表示して、このポリゴンをマウスで選択してやります。
その状態で、「選択オブジェクトでマップクリップ」というコマンドを選択...

グリッド切り取り

...こうして切り取ると、


クリップ結果

こうなりました。
23区内で駅から遠い所が明確になってきました。

水色→緑→オレンジ→茶色→白というグラデーション順で、近い場所から遠い場所への変化を表していますが、そこで、何で白が一番遠いじゃ?という疑問が沸いてきます。
グリッドデータはしばしば標高を表すじゃないですか(イコールDEMとも言うね)。つまりグリッド値が小さければ低地、大きければ高地を意味する。
小中学校でお世話になった帝国書院の地図帳の地図でもこんな色分けされていたじゃないですか。この色分け、理に適ってます。
標高の低い沖積平野では水を張った田んぼが広がり、ちょっと高い洪積台地では畑地のベージュ、山地では森林地帯の緑、更に標高を上げて森林限界を超えるとお花畑のオレンジ色、お花畑も途切れると土、てっぺんは万年雪に閉ざされて。
そんな訳で、グリッドデータのデフォルト色はこんな風に設定されているだろうと筆者は推測します。

でも、駅から近い遠いを表すのに、なんかこの色じゃしっくりこないので、変えちゃいました。「主題図作成」をすると簡単に変更できます。
SuperMap Deskproではいろんな主題図が作れるけど、グリッドデータに対しては「段階区分の主題図」というやつしか作れません。
さっきの上で見たグリッドの配色は、プログラムが勝手に「これでよかんべ」と決められたものですが、段階区分の主題図では、グリッド値によって、幾つの段階に分けるか、1つの段階の範囲はどこからどこまでにするか、どの色を使うかなどをユーザーが設定することができる優れた機能なんです。こりゃー便利だわ。
筆者は、駅から遠いところを知りたいので、近いところを白、遠いところを赤になるグラデーションで、20段階に設定しました。

グリッド主題図ダイアログ

これを表示すると、

グリッド主題図表示

ほほ、この方が分かりやすいね。
足立区の北の方、赤が濃いねぇ。だけど色だけじゃ一体どれだけ離れているのか分からんので、Deskproの「マウスを用いて標高検索」(標高じゃない場合もあるんだけどね、と一応突っ込みを入れておこう)というコマンドで、この真っ赤な部分をかざしてみよう。

グリッド値確認

ん、どれどれ?
「ラスタ値:2950」
つまり、駅から2950m離れた場所、逆に言うと、最寄り駅まで2950mあるということ。
せやけど、まだこの2950が一番大きい数値とは限らんで。まさか真っ赤なそれらしいところをマウスでかざして確認しなければいけないの?そりゃ泥臭いのォ

「安心せえ!」
「最高点・最低点の検索」というコマンドがあります。

最高点検索

答えはここです。
まず、下の解析レポートを見ると"Max Z Value = 3351.492188"とあります。これがグリッド値の最大値、つまり駅から最も遠い地点の最寄り駅からの距離(m)です。
この場所というのは、25000の地形図を重ね合わせて確認すると、

大田区城南島

大田区城南島4丁目、大井信号所の辺りです。駅からは直線で約3350m離れています。
以上、おしまい。






…ちょっと一言二言。
「ビミョーな場所だ」
実は筆者としては、さっき見た足立区の舎人の辺りか、練馬の大泉の方かなとか予測していて、「東京23区の陸の孤島」と銘打つシナリオがあったのだけど、海岸べり、しかも人工島と来るとしっくりこないね。

城南島。ちず丸の大縮尺で見ると、容易にイメージが浮かびます。ひと気の少ない倉庫街、フォークリフトが行き交う。幅広な道路にはドリフトのタイヤ痕が。夜の海浜公園ではカップル達が(?)。
そうです、ここはクルマで来るところです。元々鉄道なんぞ必要ないところでありまして。

まあ、結果は結果として。これもディスカバー東京。

もう一度グリッドデータ全体を見やると、足立区北部から葛飾区、江戸川区で赤が目立ちます。東西では鉄道網の発達度合いに差があることが確認できます。
西側が新宿、渋谷、池袋の3大ターミナルを擁し、JR以外に東武、西武、京王、小田急、東急それから京急まで私鉄各線が西に伸びているのに対して、東側の私鉄は東武、京成くらいで、その差は歴然としてます。

この不均衡を埋めるべく、新交通 日暮里・舎人線というのを東京都が建設中で、来年度にも開通予定です。これができれば、足立区を南北に広がる赤い部分が解消されますね。

東武伊勢崎線の西新井から東武大師線が大師前まで一駅分枝分かれしてます(いわゆる盲腸線)。専ら西新井大師の参拝専用線のようですが、かつての計画で東武東上線と繋げる西板線の一部として敷設されたようです。しかし、もし実現していたとしても都心ターミナルに接続しない外側の環状ルートなので、パッとしない路線だったでしょう。
これと似た話で、関西は阪急電鉄の話。京都線の淡路―新大阪―十三を結ぶルートが計画あったのですが、これには最近驚くべきニュースが、
幻の阪急電鉄「新大阪駅ホーム」、40年ぶりに日の目?(朝日新聞)。これは楽しみだ。


尻切れトンボ御免。
今日はここまで。次回も新たに展開していきますよ。
ちず夫


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