演出の千頭和です。

メンバーの木村優希から




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「質問するから答えやがれ!」

と言われまして、(誇張表現です。木村はかなり親切丁寧な物言いをする人です)初めての試みですがインタビュー形式でブログを書いてみます。

 

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インタビュワー木村)
何故今『モンテ・クリスト伯』を舞台にしようと思ったのですか?


千頭和)
モンテ・クリスト伯、巌窟王は最も有名な復讐譚と言っても過言ではないと思います。

「復讐」という言葉ほど強い感情ではなくても、人を嫌いになったり、過去に受けた仕打ちに囚われたりすることは、誰にとっても経験があることだと思います。
そういう嫌な感情にならないように、環境を変えたり、人間関係を整理したり、時にはその場から逃げ出したり。
そうやってどうにかすることができなくなった時に、人は復讐を始めるのではないかと思っています。

復讐は何も生まない、復讐は新たな復讐を生む、などなど、復讐は悪いことだと言われることが多いですよね。
それでも、モンテ・クリスト伯を始めとする復讐譚に惹かれる人が多くいるということは、やはり復讐は必要なもの、どうにもならなくなった状況を打破するために必要な装置なんじゃないかと思っています。

ちょっと話は変わりまして。
世代によって伝わり方が異なると思うのですが、無気力や鬱、元気がないこと、ひきこもりなどの「エネルギーがないこと」は時が経つにつれてどんどん大きな社会問題になって来ていると思います。
ずっと、なぜそのような状態になってしまうのかを考えてきました。クロクロの立ち上げ時からのテーマでもあり、どの公演でも「エネルギーがないこと」に立ち向かうことを模索してきました。

今回の公演に至る過程において「エネルギーがないこと」の原因の一つがわかったような気がします。

自分も含め、復讐をしたい人なんていない。なぜなら復讐を行なっているときの感情は辛く、しんどく、怖いものだから。復讐したことがなくても、想像するだけで嫌な気持ちであることがわかる。
だから復讐なんてしないように、復讐の原因になることが起こらないように動けば良い。
復讐の原因となるのは何か、と考えたら、人と出会い、交流することだと思い至りました。

「復讐」は言葉を変えれば「仲違い」で、その程度が尋常ではないだけだと考えています。
だったら、仲違いする前に距離を取れば良い、そもそも出会わなければ良い、そう考えて他人との距離が離れてしまった結果が「エネルギーがないこと」なんじゃないかなと。
その原因に復讐があるのなら、怖がってないで知ってみよう。そう思ったのがこの公演をやろうと思ったきっかけです。

うそです。上で言った話は今考えたことで、最初にやろうと思った理由は、なんとなくです。
だいたいいつもそうです。なんとなく気になるからやってみた、そうしたらなんかわかった気になった。
演劇に限らずずっとそうやって生きてきましたが、その「なんとなく」の中には、明文化していないだけで、上で言ったような気づきの予感?たまご?みたいなものがあるんだと信じています。



 

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インタビュワー木村)
うそかい!!
配役の裏話があればお聞かせください。


千頭和)
配役の決定方法は劇団によって様々な方法があり、役者さんに交渉する段階で配役が決まっていることも少なくありません。
クロクロでは、稽古開始からしばらくは配役決定のための稽古を行います。
台本のシーンを抜き出して、その場限りの設定を決めて、一回限りの配役でシーンを作ってみます。
役者さんの持ち味だったり、役者さん同士の化学反応だったりで台本からは想像していなかった解釈が生まれることもあり、演出としてはとても楽しい時間です。

この方法を取ると、「このシーンのこの組み合わせが面白い」「でもこっちの組み合わせも面白い」「しかしその組み合わせだとこっちのシーンがうまくいかない」などなど、考えることが山ほど出てきます。
それを最終的に「配役」という形に落とし込むのですが、今回は21人出演、登場人物の数は更に多いということもあり、だいぶ難航しました。

そんなとき配役決定の稽古を見ていて「これなら行けるんじゃね?」となり、今回ちょっと変な配役になりました。
内藤さん演じる父親役、森宮さん演じる幼子役もそうなのですが、公演初日まで秘密にしている配役があります。この配役が生まれたからこそ、全体のテーマが定まったような気がします。



 

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インタビュワー木村)
演出的な見どころを教えてくだされ。


千頭和)
何よりもまず役者さんですね。
賛否両論あるかと思いますが、クロクロでは役を通して役者さん自身が見えてくることを良しとしています。
目の前にいる人が、何を思って、何を考えてそこに立っているかが匂い立つお芝居。役者さん一人一人、当然ですが違う人なので見えてくる色が全然違います。
自分と近い人を見つけて感情移入していただけるのも嬉しいですし逆に全く違う人を見つけて新たな発見をしてもらえたらそれもとても嬉しいです。

その上で、役者さん、スタッフさんに協力していただいて作り上げる、クロクロ流のリアリティが見どころだと思っています。
リアルってけっこう難しい言葉で、現実で行われていることをただそのまま舞台に上げてもリアルにはならないと思います。観客がいる時点で既に現実とは違いますしね。
 
リアリティ、現実味があるという言葉には、何か1つの正解があるというニュアンスがあるように思うのですが、そんなことはなく、個々人や団体によって異なるリアリティが存在すると思っています
現実の捉え方、言い換えれば価値観は人それぞれ。そして自分の価値観に合わないものは嫌悪してしまいがちだと思うのですが、もし違う現実だったとしても、面白がって見ていただけましたら幸いです。





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インタビュワー木村)
クロクロってこの先どうなるんですか?ていうかどうなりたいんですか?


千頭和)
立ち上げ当初から目的は変わってなくて、少しでも世界を変えていけるよう、できることを頑張って行く、です。答えになってないなこれ。。

全然話が変わりますが、ラッパーとギタリストのユニット「MOROHA」という方達がいまして、この人達のやっていることがとても近いなと思っています。
近いからこそ、ここは絶対に違う、みたいなところもあるわけなんですが、根っこにあるものは共通していると思っていて、
「今色々この世界に不満があって、なんの力もない俺たちがそれをちょっとでも変えられたら、それを見た人達は、自分にもできると思ってくれるんじゃないか」
みたいな部分が似てると勝手に思っています。

だからそんな風になるよ!
で良いでしょうか…?



以上になります。
写真、インタビュワー木村のセリフはイメージです。実際のものとは異なります。たぶん。
許可取ってないので後々差し変わるかもしれません。 

公演まで残すところ後わずかとなりましたが、さらに良いものにしていけるよう、演出としても頑張って参ります。
役者さん達もそれぞれ本当に頑張ってくださってます!
スタッフさん達も徐々に合流していただき、かなり良い公演をお届けできる予感がひしひしとしています。

そろそろお席が埋まりつつある回も出てきましたので、観劇をご検討の方はお早めにご予約ください。

ご来場、心よりお待ちしております・・・!!