大変お待たせしました。
以前からアナウンスしておりました、『めぐりきたりとて』の配信映像を千頭和が編集したバージョン、Director's cut版を公開しましたのでお知らせさせていただきます。
元々配信されていた通常版の後ろ(1:08:30付近)に繋げる形で公開しております。
通常版と併せてご覧いただける形ですので、併せてお楽しみいただけますと幸いです。
Director's cutという言葉、自分も耳にしたことはあったのですが、詳しい意味は知らなかったため、今回改めて調べました。
まず、大元の意味は、
①アメリカのハリウッド映画等では映画監督(Director)ではなく、プロデューサーが最終的な編集権を持っているため、映画監督の意にそぐわない部分を別バージョンとして再編集したもの。
とのことです。
日本においては若干意味合いが異なり、
②日本では最終的な編集権は映画監督にあることが多いため、単純な別バージョンとして公開する場合の名称として使用される。
ということでした。
今回は基本的には②の意味合いで、①に含まれる「意にそぐわない」から作成した、という感じでは全くないです。
今回のみの特殊な事情ですが、演出家(Director)が編集したという意味も込めてこの名称とさせていただきました。
今まで最長でも10分程度の映像しか扱ったことがなく、70分の本作を自分で扱えるのか、というところからスタートし、自分の技術不足も相まってお時間をいただいてしまいました。。
編集を進める中で、映像作品におけるテイク(take)とメイク(make)の違いという概念を知りました。
簡単に説明すると、
テイク(take)はドキュメンタリーやイベントの撮影等、そこにあるものを撮影して作品化すること、
メイク(make)は映画やCMのように、ゼロから撮影のために作成し作品化すること、
と理解しています。
演劇の映像化という行為自体は、それこそビデオカメラができた頃から存在していたかと思いますが、我々が棲息している小劇場界に浸透してきたのはコロナ禍の影響が大きかったように思えます。
もちろんそれ以前にもDVD販売等、映像作品として販売する機会はありましたが、
自分の認識としては、あくまで舞台を見た人が後程楽しむもの、あるいは舞台が見れなかった人が代わりに楽しむもの、悪い言い方をしてしまえば舞台の副産物という位置付けだったように思えます。
自分はどうしても、舞台で見た時と映像で見た時のギャップを大きく感じてしまいます。
今までの公演も何本かプロの方に入っていただいて撮影は行っているのですが、結局クロクロでは販売には至りませんでした。
今回配信撮影を行なっていただいているU-3の倉垣さんは、ご自身の主宰団体でも映像での配信を行なわれています。
【配信観劇】舞台芸術創造機関SAI「変身-METAMORPHOSIS」チケットページ
https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/metamorphosis01/stream/
あくまで自分がこう思ったという感じですが、劇場での観劇に対して配信での観劇は劣るものではない、というスタンスでやられているように感じています。
その在り方はとても素敵だと思っていまして、自分も配信で視聴させていただきましたが、おそらく劇場での見方と全く違った観劇感だっただろうなと思います。
主に視点が全く違うはずで、画面というフィルターが存在する映像配信の方が、逆に登場人物の内面に近い位置で見れたのではないかと思っています。
逆に劇場観劇の方はその場の臨場感と、行われていることを側から目撃している、といった感じだったのではないかと、劇場観劇で観た方の感想を聞いて感じました。
まだまだ4/30(日)23:59まで配信は行われており、しかも期間によって配役が変わるというすんごいことをやってますので、まだご覧いただけていない方は上記のチケットページを覗いていただけましたら幸いです。
『めぐりきたりとて』にお話を戻すと、通常版はテイク、Director's cut版はメイクという捉え方もできるように思えます。
今回編集してみて、演劇の映像化は、テイクとメイクの曖昧な領域にあるとても難しい分野だと感じました。
ライブ等のイベントと比べて、音響や照明等、映像に関わる部分は正確に決められている一方、映像を撮るための音響、照明ではなく、あくまで劇場観劇のお客様に向けたものです。
メイクの撮影では、撮影をするためのカメラ配置、役者の立ち位置の調整だったり、通常は納得がいくカットが取れるまで取り直しも行われますが、そういったことはほとんどできません。その中でもU-3さんは最大限のお仕事をしてくださいました。
テイクの撮影では、その場で生まれた言葉や表情、臨場感、熱量などの、いわゆる生っぽさに主眼がおかれると理解していますが、役者たちは本人そのもので立っているわけではなく、セリフも動きも大体決まっていて、例えば現実にあった事件についてのドキュメンタリーと比較すると、虚構の要素が強いように思えます。
※もちろん演劇の良さは生っぽさにあると思っていて、クロクロではそこを追求していますが、あくまで別のメディアと比較した場合、ということで。
長々と書いてしまいましたが、そんなテイクとメイクの違いを感じていただく機会としても、今回の形は良いものにできたのかなと思っております。
自分の手際が悪く、販売期間、視聴期間共に短くなってしまいましたが、より多くの方にご覧いただけたらとても嬉しいです・・・!
○映像配信
https://en-3-plaze.stores.jp/items/63a7d4dcc66d6606f63541c6
料金:2,000円
配信期間:2023/3/4(土)~4/2(日)
販売終了:2023/3/31(金)
以前からアナウンスしておりました、『めぐりきたりとて』の配信映像を千頭和が編集したバージョン、Director's cut版を公開しましたのでお知らせさせていただきます。
元々配信されていた通常版の後ろ(1:08:30付近)に繋げる形で公開しております。
通常版と併せてご覧いただける形ですので、併せてお楽しみいただけますと幸いです。
Director's cutという言葉、自分も耳にしたことはあったのですが、詳しい意味は知らなかったため、今回改めて調べました。
まず、大元の意味は、
①アメリカのハリウッド映画等では映画監督(Director)ではなく、プロデューサーが最終的な編集権を持っているため、映画監督の意にそぐわない部分を別バージョンとして再編集したもの。
とのことです。
日本においては若干意味合いが異なり、
②日本では最終的な編集権は映画監督にあることが多いため、単純な別バージョンとして公開する場合の名称として使用される。
ということでした。
今回は基本的には②の意味合いで、①に含まれる「意にそぐわない」から作成した、という感じでは全くないです。
今回のみの特殊な事情ですが、演出家(Director)が編集したという意味も込めてこの名称とさせていただきました。
今まで最長でも10分程度の映像しか扱ったことがなく、70分の本作を自分で扱えるのか、というところからスタートし、自分の技術不足も相まってお時間をいただいてしまいました。。
編集を進める中で、映像作品におけるテイク(take)とメイク(make)の違いという概念を知りました。
簡単に説明すると、
テイク(take)はドキュメンタリーやイベントの撮影等、そこにあるものを撮影して作品化すること、
メイク(make)は映画やCMのように、ゼロから撮影のために作成し作品化すること、
と理解しています。
演劇の映像化という行為自体は、それこそビデオカメラができた頃から存在していたかと思いますが、我々が棲息している小劇場界に浸透してきたのはコロナ禍の影響が大きかったように思えます。
もちろんそれ以前にもDVD販売等、映像作品として販売する機会はありましたが、
自分の認識としては、あくまで舞台を見た人が後程楽しむもの、あるいは舞台が見れなかった人が代わりに楽しむもの、悪い言い方をしてしまえば舞台の副産物という位置付けだったように思えます。
自分はどうしても、舞台で見た時と映像で見た時のギャップを大きく感じてしまいます。
今までの公演も何本かプロの方に入っていただいて撮影は行っているのですが、結局クロクロでは販売には至りませんでした。
今回配信撮影を行なっていただいているU-3の倉垣さんは、ご自身の主宰団体でも映像での配信を行なわれています。
【配信観劇】舞台芸術創造機関SAI「変身-METAMORPHOSIS」チケットページ
https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/metamorphosis01/stream/
あくまで自分がこう思ったという感じですが、劇場での観劇に対して配信での観劇は劣るものではない、というスタンスでやられているように感じています。
その在り方はとても素敵だと思っていまして、自分も配信で視聴させていただきましたが、おそらく劇場での見方と全く違った観劇感だっただろうなと思います。
主に視点が全く違うはずで、画面というフィルターが存在する映像配信の方が、逆に登場人物の内面に近い位置で見れたのではないかと思っています。
逆に劇場観劇の方はその場の臨場感と、行われていることを側から目撃している、といった感じだったのではないかと、劇場観劇で観た方の感想を聞いて感じました。
まだまだ4/30(日)23:59まで配信は行われており、しかも期間によって配役が変わるというすんごいことをやってますので、まだご覧いただけていない方は上記のチケットページを覗いていただけましたら幸いです。
『めぐりきたりとて』にお話を戻すと、通常版はテイク、Director's cut版はメイクという捉え方もできるように思えます。
今回編集してみて、演劇の映像化は、テイクとメイクの曖昧な領域にあるとても難しい分野だと感じました。
ライブ等のイベントと比べて、音響や照明等、映像に関わる部分は正確に決められている一方、映像を撮るための音響、照明ではなく、あくまで劇場観劇のお客様に向けたものです。
メイクの撮影では、撮影をするためのカメラ配置、役者の立ち位置の調整だったり、通常は納得がいくカットが取れるまで取り直しも行われますが、そういったことはほとんどできません。その中でもU-3さんは最大限のお仕事をしてくださいました。
テイクの撮影では、その場で生まれた言葉や表情、臨場感、熱量などの、いわゆる生っぽさに主眼がおかれると理解していますが、役者たちは本人そのもので立っているわけではなく、セリフも動きも大体決まっていて、例えば現実にあった事件についてのドキュメンタリーと比較すると、虚構の要素が強いように思えます。
※もちろん演劇の良さは生っぽさにあると思っていて、クロクロではそこを追求していますが、あくまで別のメディアと比較した場合、ということで。
長々と書いてしまいましたが、そんなテイクとメイクの違いを感じていただく機会としても、今回の形は良いものにできたのかなと思っております。
自分の手際が悪く、販売期間、視聴期間共に短くなってしまいましたが、より多くの方にご覧いただけたらとても嬉しいです・・・!
○映像配信
https://en-3-plaze.stores.jp/items/63a7d4dcc66d6606f63541c6
料金:2,000円
配信期間:2023/3/4(土)~4/2(日)
販売終了:2023/3/31(金)
