2018年05月21日

先に生まれただけの僕(大宮編)63


そして、夕方5時半頃にカズは帰宅した。

和「ただいまっ…智っ…智?」

玄関から勢い良くバタバタと
部屋を走り回っておいらを探してる。
おいらは寝室で引越しの為の
荷造りをしてるところだった。

和「智、ここだったの?」

智「お帰り。随分早かったじゃん。」

和「何で?もう6時前だよ。
  全然早くないよ。」

智「そうかなぁ(笑)」

和「智?もう直ぐ俺フランス行くんだよ?
  どうしてそんなに冷静にしてられるの?」

智「べつに冷静でもないけど…」

和「本当は俺なんて居ない方が
  せいせいするんでしょ…」

智「そんなわけないじゃん。」

和「だって、そうとしか考えられないもの。
  全然寂しそうに見えないもの。」

智「何言ってんだよ。それより、卒業おめでとう。
  色々有ったけど、無事に卒業出来て
   ホント良かったよな。」

和「話を逸らさないで!
  ひょっとして最初から俺の事
  フランス行かせたかったんじゃないの?」

智「カズ…何か有ったの?」

和「やだっ…俺、やっぱフランス行くの止める。」

それは、おいらが見ていても
直ぐに分かった。
カズはちょっと情緒不安定になってる。
突然叫び出したり、泣き出したり。
精神的に不安定になってるんだろう。
ここまでずっとそれを表に
出さないように堪えてたんだろうから
無理も無い。

智「おいで…カズ…」

こんな時は、優しく抱き締めてやるのが
一番効果的なんだ。
おいらはベッドの縁に腰掛けて
カズを呼んだ。
カズは目を真っ赤にして
泣きながらおいらの隣に腰を降ろした。
そんなカズを優しく包み込むように
抱き締めて、髪や背中を撫でてやったら
少し落ち着きを取り戻した。

和「ゴメンなさい…俺、どうかしてる…」

智「もう、行くの止めるか?
  おいらとここで普通に暮らす?
  爺ちゃん、ガッカリするだろうけど
  止めるなら今だぞ。」

カズは大きく首を左右に振った。

和「ホント、俺、どうかしてるの。
  俺がフランス行くって決めたくせに…
  どうしようもないよね…」

智「んふふっ…制服、もう見れないんだな。」

和「えっ、あっ、そうだね…」

智「最後の制服、おいらが脱がしていいか?」

和「えっ/// いいけど…」

カズは恥ずかしいのか
照れくさそうに、おいらから目を逸らした。
おいらはそのままカズをベッドに押し倒して
彼に優しく口づけた。

制服姿のカズを見るのは
本当にこれが最後。
カズは男だけど、制服ってなんか興奮した。
おいらは名残り惜しみながら
カズの制服をゆっくりと脱がした。

智「なぁ、カズ?覚えてるか?」

和「ん?何を?」

智「おまえがここに来たばかりの頃
  おいら、卒業したら、おまえの事
  試験してやるとか、馬鹿な事言ってただろ?」

和「はははっ…そうそう、思い出した。」

智「あん時、どうしてあんなこと言ったんだっけ?」

和「俺の本気を確かめる為でしょ?(笑)
  合格したら結婚してくれるって、
  ずっと一緒に居てもいいって言ったんだよね。」

智「んふふふ。」

和「実技講習してって頼んだら
  おもっきし拒否られましたけど(笑)」

智「あはははっ…そうだっけ?」

和「それじゃ、早速合格か不合格か確かめてよ。」

智「そんなの、もうとっくに…」

合格だよって言う前に
カズがおいらの口を唇で塞いだ。

俺達はその温もりを
頭と身体に焼き付けるように
ただただ夢中で…
時間も何もかも忘れて一晩中愛し合った。










続く



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