He Sells Japanese Cars...

ウォルトが、名車グラントリノが象徴するアメリカは何処へ?イーストウッドがアメリカに贈る渾身の鎮魂歌?

ポーランド系アメリカ人のウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)が最愛の妻を見送るシーンから映画は始まる。

ウォルトは、朝鮮戦争に出兵し、退役後50年、FORDで働き上げた、頑固を絵に書いたような老人。 (日本車のディーラーである)息子たちにも敬遠され、寂れていくかっての住宅街にひとり住み続ける。 隣人たちが芝生の手入れも怠る貧しい移民だらけとなっても。。。

どんどん変容していく周囲を拒否し、いらだち、頑迷なまでに古き良き時代のスタイルに拘る姿は、映画のタイトルでもある、かっての名車「グラン・トリノ」を新車のごとく大切に磨き上げ、ビール片手に満足気に眺めることに象徴されて。。。

その人生にも静かに夕暮れが訪れるはずだったのだが。。。

妻の葬儀の当日に隣に引っ越してきた、中国やラオスの一部に住むというモン族の一家、スーとタオの姉弟との思いがけない交流の深まりが、予想外の事態に発展し。。。

無粋な侵入者と思っていた東洋人が孫たちの誰より道徳的であることに気づき、仕事を世話し、「男」を教え込んでいくウォルト。 自分と床屋(イタリア系)の口汚い遣り取りをタオに教え込むシーンは、遅れてきた移民仲間を認めた証で、寛容なアメリカの面目躍如だったのだが。。。

姉弟の親戚であるギャング仲間はスーとタオを執拗に追い廻し。。。

ついに、星条旗と異文化の衝突(これに比べると「クラッシュ」が軽く思えてしまうような)・・・単身ギャングのネグラに乗り込むウォルト。。。

そして「荒野の用心棒」とは全く違う結末が、時代と社会の変化を切り取っています。

たまたま、同じインフライトで上映していた「ダーティーハリー」を70年代のサンフランシスコ、アメリカ見たさに改めて観たのですが、、、ここでの結末も、たとえピカレスクでも痛快でした!

痛快な恰好良さが蘇る時代は来るのでしょうか? 大人になったタオが、どう生きていくのか、気になります。。。