柴田元幸先生訳の『ハックルベリー・フィンの冒けん』を読了。とっても楽しくて、そしていろいろと考えさせられた。

主人公のハックがとても魅力的。学校で九九を少し勉強したことや、挿絵での風貌からすると小学校中学年から高学年あたりの少年のようだが、抜群の身体能力と状況判断の素早さ、大人も顔負けの話術と世渡り術を備えていて、究極の生きる力をもっている。ヤブや洞窟、島にいかだ、そして水中での卓越したサバイバル能力などは、現代の少年(少女)にとっても羨望の的だろう。こんな子が仲間にいたら、きっと楽しいはず。

いかだの旅、道中ではいろいろな人や出来事に遭遇する。多くはやっかいだったり危険だったり。ハックになりきって冒けんと緊張感を体験したかのようになる。

そしてハックは自分の頭で考える人だ。社会通念、そしてそこから生み出される「良心」とは何か。当時、奴隷の逃亡を手伝うことは社会規範に反することで、「永えんのホノオのせめくにあう」罰を受けることになり、それはハックにとっても体が震えるほどのことだった。でも彼は自分の頭と心で考えて行動した。ハック、カッコいいよ!

柴田先生のアイデアいっぱいの手書きの地図も楽しい。これを見ているだけでもワクワク、冒けんが待ち遠しくなりそう。

小学校高学年の現役の冒けん者から、大人になった元冒険者たち、そして以前にこのお話を読んだことがある方まで、誰もが楽しめるはず。500ページを超える作品だが、特に後半は展開が速くて一気に読める(=やめられない)。読み終わって残念なことがあるとすれば、もうハックとの冒けんを楽しめなくて寂しいこと。再読しても楽しいかもしれない(^^)。