先週、家族みんなで「ククラチョフのねこ劇場」を見に行ってきました。ロシアにはククラチョフさんのことは知らない人はいません。今はもうおじいちゃんで、いつもピエロの恰好をしてて、あっちこっちの町を回っては猫のショーを開催している人です。

DSCN2067











 それにしても、人間の命令を一切聞かない猫たちを一体どうやって教育し、ショーを作っているんだろうと、私は前から気になっていました。

 でも、一回ククラチョフとのインタビューを聞いて、なんとなくイメージがつかめました。ククラチョフは、猫たちに何も押し付けようとしないそうです。猫はみんな個性があるので、それを見極め、その猫がもともと得意だったことを伸ばし、うまくショーに取り入れているそうです。


DSC00050













(劇場の前。まだ氷が残っています)

 そして、今回猫劇場を実際に見て、あのときのインタビューで言っていたことがよくわかりました。サーカスによく出てくる他の動物とは違って、ククラチョフの猫たちは「調教されている」ようにはまったく見えませんでした。どちらかというと、「猫たちは舞台の上で好きなことをやっているだけ」という感じでした。

DSCN2057










(ショーが終わって子供たちが舞台に上って遊んでいる)

 子供たちを巻き込んでのショーは、華やかで楽しかったです。ゆうきもりなも夢中になって見ていました。しかも、うちのパパまで一度ククラチョフに舞台に駆り出され、猫の「ジャンプ台」にされました。又、「共演」した猫に思いっきり手をひっかかれたパパは、席に戻ってくるなり笑いがら私たちに自慢(?)してきました。

DSC00046














 今回初めて知ったのですが、ククラチョフは子供たちの情操教育にも力を入れている方で、ショーの最後に子供たちに色々語りかけました。パパはロシア語がそれほどよくわからないから内容を私に聞いてきたのですが、私は一見とても簡単な単語の訳でつまづいてしまいました

ククラチョフは子供たちに、≪добрый≫でいるようお願いしました
(
Будьте добрыми людьми!)。ロシア語の単語≪добрый≫の日本語訳として私の頭の中で真っ先に浮かんだのは「やさしい」という単語です。そして、例えば、「やさしい先生」と ≪добрый учитель≫というような表現を見ている限り、「やさしい」という日本語はロシアの≪добрый≫に対してぴったりした訳にも見えます。

 
DSCN2073











 

 しかし、ククラチョフのセリフを「やさしい」という言葉を使って訳すと、なんとなく「消極過ぎる」イメージになってしまいます。要するに、日本語の「やさしい」とロシア語の
≪добрый≫ とは意味が完全に一致しているわけではないのです。

日本語の「やさしい」は何となく「無害」というニュアンスが強いと思います。「地球にやさしい」や「肌にやさしい」などのような使い方が出てきているのもそのためだと思います。


 しかし、ロシア語の
≪добрый≫は「無害」というニュアンスはそれほど顕著ではありません。これはもっともっと積極的な意味合いを持つ単語で、「誰かを救ったり」、ときには「悪者とたたかったり」するという意味が含まれると思います。そして、もともとдобро(善)という単語からできた単語でもあることを考慮に入れると、ロシア語の ≪добрый≫ に一番近い日本語といえば「善良」という単語になりそうです

DSC00032














 しかし、ククラチョフの言葉を「善良な人間になってください」と訳してもなんだかしっくりきません。ロシア語の≪добрый≫は日常的によく出てくる言葉なので、うちのりな(3歳)でも意味がわかります。一方、日本語の「善良」はそれよりもずっと敷居が高く、りなだけじゃなくてお兄ちゃんのゆうき(7歳)にもよくわからないと思います。しかし、ククラチョフが語りかけている対象は、小さな子供たちです。となると、「善良」という言葉も訳としてはイマイチということになります

じゃ、「いい子」にしておけばいいのかな?う~ん、「いい子」ってどういう子?「お父さんお母さんのことをよく聞く子」だとすれば、ロシア語の≪добрый≫とはまったく関係のない言葉になります。


 やはり通訳は難しいです。でも、言葉のこういう違いを考えるのは私は好きで、日本語とロシア語の間に行き来しながら毎日のように楽しんでいます。

にほんブログ村 ロシア情報 にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ
にほんブログ村 にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村