2017年02月01日

2017年1月に読んだ本

期間 : 2017年01月
読了数 : 43 冊
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
こうの 史代 / 双葉社 (2004-10-12)
読了日:2017年1月31日
「ユリイカ」こうの史代特集を読んで、何年ぶりかの再読。原爆から十年後。皆実さん。ちょっととぼけてお茶目なところもあるけど、芯の強い。同僚の打越さんが急に訪問してきたら、全部洗濯して母が裸で寝てるのがバレないようにそっと外に連れ出したり。この世にいてもいいのかと、自分の中の罪に思う気持ちが許された、気持ちが通じたと思った直後からの、忍び寄る影。「やった!またひとり殺せたと思うてくれとる」という独白の重さ。その三十二年後。病室の弟に、桜の花びらの出前をする姉、一番好きな曲の楽譜をちぎって渡すその友達。そのシーンが、いいなあと思った。それが十七年後の最終話につながっていき。
講談社 (2017-01-25)
読了日:2017年1月27日
「波よ聞いてくれ」の、ミナレさんと店長の会話。「条件がある」「愛人契約なら時給の上乗せを」「お前を愛人にするくらいならウチでキリンを飼うわ」「そんな、キリンなんて私の五倍はウンコするのに…」て、そこかよ!というズレとテンポの良さがツボに。四季賞受賞作も、ミステリアスな雰囲気、偶然の一瞬のチャンスを逃さず、手に取ったつもりが、実は…と。新連載の「イサック」は、期待大。1620年中世ドイツに、傭兵として忽然と現れた武士の物語、鮮烈。
江の島ワイキキ食堂 10巻 (コミック ねこぱんちコミックス)
岡井 ハルコ / 少年画報社 (2017-01-16)
読了日:2017年1月31日
今回も、しらすメープルソフトに挑む人間を見て、尻込みしてた年神候補が、年神を引き受けるきっかけに、とか、ズートピアにかけたネタとか、ひな人形の冒険、大人になっても従順だった娘の急な反抗期、など、いろいろ。犬に嫉妬してたオードリーが、いざ実物が来た途端に、一緒に駆け回ってるシーンが微笑ましかった。
トルコ現代史 - オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで (中公新書 2415)
今井 宏平 / 中央公論新社 (2017-01-17)
読了日:2017年1月29日
ここのトピックスを深掘りしたり、人物に焦点を当てたりではなく、流れを重視して叙述したいということだったが、その流れが悪くて、読み進めるのが辛い箇所があった。行きつ戻りつする時系列、この人はどこにでてきたんだっけ、と。個人的にはやはり現政権の話題が一番興味を引いた。権限は強化されたが、課題は山積といったところか。クルド人との停戦の試みと泥沼化。ゲジェ抗議に見られる民衆の不満。三度のクーデタを行ってきた軍の影響力低下と、クーデタ未遂をきっかけにした強権的対処。各地で止まぬテロ。/第二次大戦中のイノニュの中立外交。50年代のメンデレスによる国家資本主義政策の転換、地方経済・社会重視、農業重視と、軍の介入による終焉、そして処刑。一体メンデレスの罪とはなんだったのだろう。国民を殺したわけでも独裁したわけでも戦争したわけでもないのに。冷戦により戦略的重要性を増すが、ソ連の脅威が小さくなれば、それに応じて重要度も下がり。80年代のオザルの新自由主義的経済の導入。外国からの借金による開発、などは、関心をもったトピックス。
ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)
藤代 裕之 / 光文社 (2017-01-17)
読了日:2017年1月30日
偽ニュースが生まれた経緯、背景はわかった。各社の取組もわかった。けど一ユーザーとして、偽ニュースを見極めるのは難しい。また、さまざまな対策が打たれ、提言もされているが、これからも生み出されてゆくのだろうな、という読後感を持った。
ダーリンは71歳 (コミックス単行本)
西原 理恵子 / 小学館 (2017-01-19)
読了日:2017年1月31日
前の巻でも思ったけど、のろけもここまでくれば清々しい。スケールが違いすぎるというか。ケンカもしょっちゅうするけど、紆余曲折を経て、結局はおさまる、というか収めようとしている。ここまで描くか、というぐらいかっこ悪いところもさらけ出して描かれるというのはどれだけ懐の深い愛情なのだろうかと思いを巡らせてしまう。以下、目にとまったシーン。お金は問題じゃない、時間が大事、それと君の笑顔、一緒に笑って過ごそう、って言ったのに、私の誕生日に営業入れて、金で済まそうたあどういうことだあ!という怒り。昔の写真を見て、歴代彼女を当てようとしたり、往年のアイドルのディナーショーで見つめ合う二人を見て、大人の恋っていいねえ、と迫ったり。ウエストできた!誰に見せるんだ?若い男…浮気してもいいよ、けどバレないようにして、傷つくから。いないよこんなおばさん相手にする男なんて、てやりとりしたシーンの穏やかさ。熱愛発覚の直前に、西原が文春の編集長に、かっちゃんがフライデーの編集長に、直電して、私の写真載るの?と聞いたシーンの抱腹絶倒。
春と盆暗 (アフタヌーンKC)
熊倉 献 / 講談社 (2017-01-23)
読了日:2017年1月29日
もやもやすると想像の中で月面に道路標識を思い切り投げつける子。時折水面から顔を出して呼吸する魚のように息苦しく感じ、目の前に水中都市を現前させる、中央線の駅名を偽名に使う子。美味しいお菓子の解明に血道をあげ、嬉しくなると相手の肩を殴る子。サボテンとコーヒーが好きで、少年たちに空想を吹きこんで楽しむ子。ちょっと不思議な子たちに心惹かれて、片思いする少年・青年たちを描く短編集。一読、ちょっと飛躍多くて、どういうことだろう…と気になり、造形も突飛で、心に引っ掛かり、二読、三読してしまった。少しずつ、距離が縮まり行く過程もまた見てて愉しい。
夜は短し歩けよ乙女 (2) (角川コミックス・エース 162-3)
森見 登美彦 , 琴音 らんまる / 角川グループパブリッシング (2008-06-26)
読了日:2017年1月31日
1-2巻読了。天狗が舞い、李白が酒席をしきる、京都を舞台に、行先行先で幸運に恵まれて不思議な経験をする可憐な女子と、その子に一目惚れするもなかなか認識されず、なんでこんな目に…といった感じの主人公の繰り広げるドタバタ。小説はあまりに取り留めなくて30頁ぐらいで挫折したけど、漫画版はするっと入ってきた。
本日のバーガー 4 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2017-01-16)
読了日:2017年1月31日
白桃、トマトソース、マスカルポーネチーズを挟んだバーガー、食べてみたい。日本の有名なチェーンでも一店舗だけ、ってどこだろう。スコットランドのハギスバーガーも、西洋臓物煮込みオンパレードな感じで気になる。わたせせいぞう「北のライオン」で見かけてから、ハギスは気になる一品。ミートソースとチーズを挟んだスロッピー・ジョーも気になる一品。それにしても、人生の岐路を、ハンバーガーで照らすという趣向も興味深く。
本日のバーガー 3 (芳文社コミックス)
才谷 ウメタロウ , 花形 怜 / 芳文社 (2016-09-16)
読了日:2017年1月31日
トルコのカイマックを使ったセルビアンバーガー、マック&チーズバーガー、どちらも食べてみたいと思わせられた。マック&チーズ、高カロリーそうだけど魅力あるなあ。そしてこの巻から、素直で勉強熱心な女子大生がバイトで加入。それにしても元上司からライバル店の店長まで、主人公の懐の広さには頭がさがる。
ワカコ酒 8 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2017-01-20)
読了日:2017年1月31日
シャキシャキしてそうなソーメンウリの天ぷら!紀州名物、太刀魚を骨ごと砕いてすり潰したさつま揚げみたいな「ほねく」!食べてみたい、と思った。そして、ワカコさんの先輩が久々の一人のみで、時の移ろいは残酷だなんて、そんなことはない、時が経たないと見えないことだってあるんだからね、あの時は持ってなかったもの、あの時はわからなかった気持ち、その時その時のお酒の味があるんだから、と思いを巡らすシーンがいいなあ、と思った。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年【文春e-Books】
横田増生 / 文藝春秋 (2017-01-27)
読了日:2017年1月27日
ユニクロ社長のうちを悪く言うのはうちのこと知らない人ばかり、実際中を見てから言ってほしい、という一言に、触発されて、というか、著書に対して訴訟まで起こされた身にはおそらくカチンときて、合法的な手続きに則り、本名を変えてまでユニクロでバイトしてのルポ。現場の疲弊感は伝わってきた。サービス残業があったということ、セールにおけるトップの号令の見当違いなどが描かれる。解雇されるに際し、記事の内容に間違いがあったか問いただすも、記事の内容は問題にしていません、という回答しか得られないことが、認めてると同様に読める。最後はなんだか唐突で尻切れとんぼな終わり方だった。
ハイスコアガール(7) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介 / スクウェア・エニックス (2017-01-25)
読了日:2017年1月29日
鉢合わせ、渋谷、対決、深夜の同行と、揺れ動き、最後も鉢合わせ、と。どう進んでいくのか、と。はっきりしないことの罪を、自覚しないことの罪を責められそうな状況で。
応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
呉座 勇一 / 中央公論新社 (2016-10-19)
読了日:2017年1月23日
きっかけは、畠山家の家督相続。そこへ山名、細川はじめ諸勢力が混じり合い、将軍家も巻き込み。勝者はいないというが、読んだ限りでは細川の流れを組む、東軍の勝利なのでは、と。斬新な点は、興福寺の僧経覚、尋尊の記録を紐解いて、応仁の乱をながめたことなのだとか。大和を舞台にした小勢力の小競り合いの丹念な描写には正直退屈した点もあったが、様々な勢力の絡み合い、西へ東への裏切り、状況に引きずられた政治的判断などが丹念に描かれていたのもまた確か。トピックスとしては、経覚と関わりのあった天竺人を父に持つ西忍についてはもう少し調べたいと思った。また尋尊の、身分秩序の維持強化こそは社会の平和・安定につながる、という考えも、現在からみると民衆を苦しめてでも豪奢に生きようという傲慢に見えても、当時の文脈からみると一定の理解はできる、というエピソードもまた興味深い。
知の逆転 (NHK出版新書 395)
ジャレド・ダイアモンド , ノーム・チョムスキー / NHK出版 (2012-12-06)
読了日:2017年1月21日
ノーム・チョムスキー。いくつか著作を読んだことはあったけど、このインタビューは壮絶な資本主義批判。何が資本主義だ、今、社会の根幹を成しているものはみんな国家資本から出てきたものばかり。鉄道しかり。大量生産システムしかり。貿易しかり。インターネットしかり。唯一例外は、金融。だから何度も破綻する。そして結局は国家資本が注入されているではないか、と。まあ…国営企業は親方日の丸で赤字垂れ流し、という側面もあったとは思うのだk度。/トム•レイトン、アカマイ•テクノロジーズ、知られざるインターネットのインフラ会社、多くのeコマースの会社が契約。日本はモバイルからのeコマースがアメリカより発展。利用率は、三割と一桁。スターウォーズ予告編と男子大学バスケの中継で、膨大なトラフィックをさばいて注目を集める。論理より心理が、これからの購買では重要になるのでは、と。/ジャレッド・ダイアモンド「幸せな結婚にとって、一番大事なことは「結婚における一番大事なこと」を探さないということなのです。」「人生というのは、星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するということであって、意味というものは持ち合わせていない。」あと1400年代に滅びたグリーンランドのノース人については調べたいと思った。/オリバー・サックス。レナードの朝、のもとになった出来事を取り上げ、ほとんどの患者が40年のブランクを経て目覚めても、柔軟に現状の自分に適応できた、と。/ミンスキー「集団の中に一般的な叡智があるというふうには信じていません」/ワトソン「本来、人はみなそれぞれ異なっているのに、同じだとみなされなければいけなくなってきている。同時に、あるもののほうが別のものよりもいいという言い方は避けて通るようになってきてもいる。だから、どの花も全て同じように咲くんだと言う。ごまかしです。」「他の人が知らないことを知っていて、それがいいとわかっているので、利益につながる」 「二重らせん」は強く読んでみたいと思った。/
夫のちんぽが入らない
こだま / 扶桑社 (2017-01-18)
読了日:2017年1月27日
はあちゅうさん、文月悠光さんのオススメに心惹かれて手に取る。タイトルはインパクトあるけど、中身は壮絶of壮絶。誰にも言えなくて、自分を縛る大きな柱のようでいて、「普通」を求めてくる周囲の人々に、心のなかで、それはできない、なぜかは言えないけど…と思いながら過ごす人生。人付き合いが絶望的に苦手で、田舎から出てきて、夫となる人以外とはなじめず、けどお互いにお互いが一番と信じられたのは奇跡。そのあとの結婚生活が、世間一般の感覚からは波乱万丈と思われようとも。ぐいぐいと引き込まれて、最後まで読んでしまった。壮絶な中にも、時に自分を突き放すユーモア…なぜに大仁田が無血、大仁田こそ流血だろう、というフレーズには思わず笑ってしまった。
金子 光晴 / 中央公論社 (1976)
読了日:2017年1月18日
「愛情69」のみ読了。あまりに撫で回しすぎて、手垢まみれでつるりとしてしまったから、私も逃げ出す、とか、自らの生まれ出ずるところに感謝したりとか、「これがおへそといふものかい」と驚く男に、てめへだってもつてゐるくせに、と投げつけたり、と多彩な愛情模様を描き出す詩集。それはひどいなあと思ったり、思わずにやりとさせられたり。/君の投げ出した両ももの/おくに/なにがあつても/どうでもいい(愛情2より)/つまり、愛情をおのがものにするには大そうな覚悟が要るのさ。/愛情とひきかへにして、/ただより安く、おのれをくれてやる勇気もいる。(愛情1より)
群像 2017年 02 月号 [雑誌]
講談社 (2017-01-07)
読了日:2017年1月17日
#はあちゅう さん ( @ha_chu ) の純文学デビュー小説が掲載されているということで「群像」購入。三つの短編の中では、「六本木のネバーランド」が一番好き。森さんが何を考えていたのかがとても気になった。そしていま何をしているのだろうかということに思いを巡らす。私が非常ボタンになってあげる、というのがいいシーンだなあ、と個人的には思った。他の二編は、居場所のなさを外に求めて、いっときは得られたけど、結局は得られず。なんだか初期の江國香織作品と通ずるところがあるように感じた。合わせて他の作品もいくつか。水原涼「蹴爪(ボラん)」は、熱帯のフィリピンの村の空気感、もどかしい息苦しさ、持っていきようのない憤りが迫ってくる。「一回建てはじめたなら、そう簡単に放り出すもんじゃねえ」「そうやって諦めるもんじゃねえ。崩れたらまた建てればいい。なあベン、人はそうやって生きてきたんだ」という言葉が印象に。青木淳悟「僕ボードレール」は、あえて受験浪人となった主人公がボードレールと自分を重ね合わせる一篇。岡田暁生「21世紀の巡礼または音楽のテロリズム?」では、テオドール・クルレンツィスという指揮者に興味が湧いてくる。松原仁「「コンピュータが小説を書く」小説ベスト3」で紹介されていた金子邦彦「小説 進物史観」(「カオスの紡ぐ夢の中で」ハヤカワ文庫所収)が気になる。
阿・吽 5 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
こんなこともあるだろう、ではなく、必ずやある、と信じて、急いで得度をやり遂げる空海。そして戻ってきた遣唐使船に間に合った空海。最澄との読経合戦は、音が聞こえないはずなのに、読んでるだけでワクワクとした魅力に満ちて。そして、ついに唐へとたどり着き。漂着ゆえ苦労するも、無能だからといってメンツを潰していいわけではない、とすらりと筆の力を見せつけ、ついには長安への道のり。次巻予告の面々を見るだけでもワクワクが募る。/「でも正しいな。でも正しい道は厳しい道やな。もっと上手くやり、思いますけどな。」(霊仙)l、未開の東北へ布教に出ようとする徳一へかけた言葉。/「人一人を救えるのは、同じ高さに居る者だけだ。」(勤操)、思い悩み惑う空海を見て。/「準備をした者の上にしか、機会は訪れん! 」(空海)、まさにそれを地でいく力強さ。
鳥居龍也 / 鳥居龍也 (2000-05-01)
読了日:2017年1月11日
BrownBooksCafeにて購入。すすきのにパンチョ・クラブを構える(今もあるのだろうか?)パンチョさんこと鳥居さんが身の回りに起こったことを語る軽妙でユーモア溢れたエッセイ集。/母親に叱られる子供にいたたまれずに店を出て、心の中でそっと、ぼうず、がんばれよ、と語りかける夜。500円メンチカツの山田食堂の最後のお客になり、ありがとう、忘れません!と出てくるシーン。空の終列車は、ソラの終列車だと思ってたのに、カラの終列車だと思っていた知人がいた、というオチのスプートニクスの話。聞いた全員がハラホロヒレハレになったという杉良太郎「君は人のために死ねるか」ユーロビートバージョン、聞きたい!と思った。
女子をこじらせて (幻冬舎文庫)
雨宮 まみ / 幻冬舎 (2015-04-10)
読了日:2017年1月14日
自分が女子であることをこじらせてこじらせてこじらせてこじらせた末に、開けた一筋の光、完全に克服したわけではないけども、最後に、「目の覚めるような感覚でした。好きなことを自由に書いてもいいんだと思うと、怖かったけど嬉しくて、書き始めたら止まらなかった。これを諦めるなんて、とんでもないバカなことを考えたものだと思いました。死にたくなって当然です。こんな楽しいことを我慢していたのですから。」(p.199)と言える境地になったんだなあ、と。あとは、こじらせを方向転換するきっかけになった武田真治の「今の時代、個性的なオシャレで自分のよさをいくらでも演出できる。だから、自分はブスだからとかそんな言い訳は通用しない」(p.55)が目にとまったところ/今の仕事に不満はある。でも、「私はもっとできるのに!」とは思えなかった。仕事ができないくせに文句ばっかり言って「なんか面白い仕事したい〜」とごねる自分は、見苦しいと思いました。(p.133)は刺さってきた言葉。ほっこりしたのは、弟に、自分の趣味にあったいいAVの探し方を伝授して盛り上がるシーンがいいなあ、と思った。岡崎京子「東京ガールズブラボー」、斎藤綾子「愛より早く」新潮文庫 1998、田房永子「男しか行けない場所に女が行ってきました」イースト・プレス 2015あたりは、手に取りたいと思った。
はなぼん ~わくわく演出マネジメント
花井 裕一郎 / 文屋 (2013-01-16)
読了日:2017年1月8日
ほんとに小布施が好きなんだな、というのが伝わってくる、そして熱量高く、小布施のいいところを伝えてくれて、なるほど、影響受けて移住しちゃった人が何組も出たのも納得。映像制作の道一本できたけど、何か違和感を感じていた時に、取材で出会った小布施町にほれこみ、ついには移住。小布施で働きつつ、交流を深め、ついには図書館長に立候補し、当選、と。以下抜粋と雑感。/”「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」という基本的な考え方。”/”視界の中に常にカメラがあるにもかかわらず、カメラの存在をまったく意識せず、カメラに緊張することもない環境。それを僕たちは時間をかけて作り込んで行った。”/”来館者数を旧図書館の三倍にする。それが町長から館長に課された任務であった。”/町民との話し合いで図書館とはこうあるべしと言う固定観念をぶつけられて苦慮。けど町民主導の図書館、というのを思い出し、すべて受け入れた上で、どうしたらワクワクしてもらえるか演出。/松本元先生”「脳とはプロセスです。生き方もプロセスです。脳を一生懸命働かせて、がんばりなさい。そこでもし君が、志半ばで死んだとしても、次の脳が絶対に見ています。自分だけで達成しようと思ってはいけない」”/”まちとしょテラソへの「想-Imagine Book Search」という連想検索システムの導入”/”アーカイブされた資料が、ただ保管することにあるのではなく、しっかりとエンタテイメントの素材として通用するものだということを雄弁に物語っていた。アーカイブは新たな創造の源になりうるのだ"/"「「まちとしょテラソ」に来たから、こんなことができるようになった」と言ってくれる人がいるなら、それこそが館にとって最高の賛辞であり、勲章ではないだろうか。そんなエピソードがたくさん生まれるような空間であってくれたらと、願っている。”/アーカイブの可能性、個性的な検索システムの導入、などなど興味深いテーマに示唆を受けた。
東京ラブストーリーAfter25years (ビッグコミックススペシャル)
柴門 ふみ / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
読まない方がいいかな、こういうのは楽しかった思い出にしておけばいいのに、と思いつつ手にとってしまう。その後の物語の仕立てとしては、元カノ元カレの子供同士が知らずに付き合い始めて…という、あすなろ白書の後日譚といっしょやん!と突っ込みつつも、登場人物たちの25年分の人生が語られ。リカの発案で海辺で見送るシーンではそれぞれのキャラの持ち味が出ていて、いいなあ、人生は続く、という感にひたる。
千代に八千代に (アクションコミックス)
大澄 剛 / 双葉社 (2014-08-28)
読了日:2017年1月14日
各教科を題材に、登場人物が少しずつ重なり合わせながらの連作短編集。高校時代の国語の先生と付き合っている千代さん。彼からの誕生日プレゼントのチョイスに頭を悩ませるも、その答えは。あるいはよく行く駄菓子屋のお姉さんが話してくれた、円周率に、暮らしの全てが、すべての人が、宇宙の真理が含まれているというエピソード、雨粒がどうして当たっても痛くないのかから、いつまでも変わらずにはいられない、と優しく諭してくれる理科好きの幼馴染。思春期の戸惑いや持って行きようのない気持ちをすくい取り、 また大人だって子供が思うほど大人ではないと、暖かく照らしてくれるような。
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)
こうの 史代 / 双葉社 (2008-01-12)
読了日:2017年1月14日
だいぶ以前に読んで、最近、映画を観たのをきっかけに、上中下巻、再読。映画は、ほぼ原作に忠実に作られていたんだなあ、と。映画ではリンさんと一度しか会ってないところと、戦後のシーンが、若干違うぐらいかな、と。あと、ひさお兄さんから送られてきた教科書が熱烈に落書きされてたシーンは抱腹。ねえすずさん、人が死んだら記憶も消えて無なる 秘密はなかったことになる それはそれでゼイタクな事かもしれんよ、というリンさんの台詞も原作のみだったかな。ケイコ義姉さんの、すずさんがイヤんならん限りすずさんの居場所はここじゃ くだらん気がねなぞせんと自分で決め、というシーンにグッとくる。この街はみんなが誰かを亡くしてみんなが誰かを探しとる みんなが人待ち顔ですね、と橋から語るシーン。周作さんありがとう この世界の片隅に うちを見つけてくれてありがとう 周作さん ほいでもう離れんでずっとそばに居って下さい、とすずさんが語るシーンにも。
雪花の虎 4 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
兄と妹の家督争いにも決着。内外には女であるとも言わぬし、そうではないとも言わない姿勢。そして武田信玄との一瞬の邂逅。このあとの戦いがどう描かれるのか興味深いところ。
であいもん (1) (角川コミックス・エース)
浅野りん / KADOKAWA (2016-12-03)
読了日:2017年1月14日
東京でバンドの夢破れて京都の実家の和菓子屋に帰るも、そこにはすでにしっかり者で看板娘の跡継ぎがいて…。しっかり者すぎて、家業を捨てて好き勝手してきた無責任な男になんか任せられるか、と全然受け入れてもらえないが、持ち前の折れないメンタルと空気読まなさとお調子者な性格で、絡もう絡もうと空回り。少しずつ少しずつ役にたつところはあれども。和菓子のアン、ばりに和菓子が前面に出てくる感じはしないものの、和菓子心を満たしてくれる。
LIMBO THE KING(1) (KCx)
田中 相 / 講談社 (2017-01-06)
読了日:2017年1月14日
根絶されたはずの眠り病、治療のためには脳の中へダイブしなければならない。事故で片足を失ったアダムは、過去の英雄とタッグを組むことが命じられるが…。いままであったよう設定かもしれないが(たとえばインセプションとか)ぐっと引き込まれる。まだ語られてないが、トラヴィスの過去の個人的な野望に基づく作戦の失敗にウィンターが巻き込まれ、なんら償ってもいないと思われるのだが、それは次巻以降か。
越境者たち 下―カシノそこで、人は夢見る。そこで、人は祈る。
森巣 博 / 扶桑社 (2002-09)
読了日:2017年1月11日
ヒロシとマイキーの物語から、ウルフの物語が絡み合う。マオリの血が4分の1流れ、それをキーに人生のターニングポイントを迎え、ニュージーランドからオーストラリアへ渡ってきた男。以下抜粋。/博奕というのは、途中で反省した奴が負けるのだ。/わたしはわたしであり、それ以外の何物でもない。外側から自分に貼り付けられるカテゴリーは、いっさい、拒絶する(ウルフ)/民族という概念は、外側を排除し、内側の下々の民衆どもを統治する道具として「西欧近代」に発明されたものだったのだ。/マイキー、死ぬなよ。何が起こっても、死んじゃ、駄目だぞ。生きてさえいれば、なんとかなるんだ。きっと。必ず。絶対に。/「いや、博奕は止められないさ」「博奕は止められない」/多くの場合、博奕では、敵が勝利したのではない。自分が負けただけなのだから。/以下、雑感。マイキーを地獄の一歩に誘ったのは、ヒロシの後押しだったと思う。けれど、ヒロシもマイキーも口が裂けてもそんなことは思わず、言わないだろう。すべておのが一身に責めを負って、賭ける、戦う。一度決めてしまった以上は、周りがどうこう言っても届かない、仕方ない、堕ちるにしても上り詰めるにしても自分で決めなければいけないのだから。でも、だからこそ、結末は苦い。
越境者たち 上―カシノそこで、人は夢見る。そこで、人は祈る。
森巣 博 / 扶桑社 (2002-09)
読了日:2017年1月10日
上巻はヒロシとベトナム移民マイキーの物語。ただ、話は最初から脱線に脱線を重ね、マイキーの登場は50pから。脱線が豊穣で味になるところもあるけど、冗長に堕し、繰り返しになっているところもあり、と。ただその独特な視点には魅了される点があることも否めない。/少数者が住みづらい社会とは、また多数者にとっても住みづらい社会である。/ドフトエフスキーの「賭博者」の魅力的な紹介/子供っていうのは、反省のない全体主義者なんですよ。他の子たちと、同一のものを持ち、同一のものを喰い、同一のものを着て、同じことだけをしたがる/同一律を求めれば、必然的に排中律が働く。自明。/マイキーが持った死への認識とは、--人間はいつどこでも、儚く、刹那に、あっけらかんと死ぬ。そして、一度死んだら、もう戻ってはこない。/議会で法律を一本通しただけで、「期待される人間」から「非国民」へと大転換。/人生は素面のほうが楽しい/「だって、俺、自分の金であんな大きな「本当の博奕」を打ったこと、今までになかったんですよ」(マイキー)/ああ、この男もついに「本当の博奕」が持つ魔力の罠に絡め取られてしまったんだな、とこの時わたしは思った。/
科学する麻雀 (講談社現代新書)
とつげき東北 / 講談社 (2004-12-18)
読了日:2017年1月9日
宮内悠介「盤上の夜」の参考文献つながりで。残りの牌を数え上げるプログラムが、人の手より良い成績を上げた、という一節が、参考文献につながったのかな、と。数理的な理論は、正直追いきれないところがあったけど、大まかなヒントはもらえたのでは、と思う。以下抜粋。/「読み」のかわりに統計データを用いよ。「読む」のは基礎技術が身についてからにせよ/麻雀では比例の関係にない要素が多くあり、単純に「数字を取り入れてみました」というだけでは解決できない問題が多くある。/悪形でリーチすべきかどうかは、「2ハン以下はリーチ、3ハン以上はダマ」が基本である。/ごくまれな例外を除き、すべてリーチ/普通、麻雀というのは全局のうち半分近くはベタオリするゲームなのだ。なぜならば、4人いるうちで最も配牌とツモがよかった人が和了するのが麻雀であり、自分だけが毎局毎局上がれるゲームではないからだ/以下、雑感。相手が何点の時の手作りは…というのはちょっと判断基準が厳しいかな、と。そんなんわかるかよ、と。ただ、検証の努力をせよ、という姿勢は傾聴に値する。例えば、流れ。あるにせよ、ないにせよ、論拠を示して論じ、検証していかなければ、何も罪上がらない、と。クスりと笑えたのは、とつげき東北という名前で言うのも気がひけるが、モリッシー大川というネーミングセンスはあまりにひどい、だから疑った、というのは、イヤイヤとつげき東北に言われたくないよとみんな思いますよ、と。
なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか? ―「お客が長居する」のに儲かるコメダのひみつ
高井 尚之 / プレジデント社 (2016-10-28)
読了日:2017年1月9日
コメダ珈琲店に備え付けのものを読了。滞在時間が長くても、全時間帯回転するから大丈夫、平易なメニューを万人に受け入れられらものに近づけ、居心地よく、またきてもらえるお店に。買いてみると簡単そうだけど、実現はなかなかに大変。いまでも定期的に現場に出る社長、いまはすべての株式を手放している創業者のインタビューなど興味深かった。
うと そうそう
森泉 岳土 / 光文社 (2016-12-15)
読了日:2017年1月8日
日常のふとした瞬間に、思いを巡らすこと。自分だけのこだわりを持つこと。モノローグで語られる短い物語が積み重ねられる。/好きなセリフ/ 知らない人だらけの電車ではいつも目を閉じて組曲「惑星」を聴く。わたしの惑星はわたしの王国。/でもね 振り返るとあたたかい気持ちになるの 不思議ね あたたかい気持ちしか残ってないの/はじめて頼んだカフェモカは世界中の幸せを煮詰めたように甘かった/「月は年々少しずつ地球から離れていってるんだって」すげないよね/
([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)
皆川 博子 / ポプラ社 (2015-04-03)
読了日:2017年1月7日
13世紀の少年十字軍を扱った小説。奇跡を起こすと祭り上げられた少年。我こそは神のお告げを受けたと騙る少年。行き場がなくてついていく少年少女。利用しようと群がる大人たち。神などいるのか、いるとしたらどうして自分はこのような境涯に置かれているのか、奇跡は起きたのか、お告げはあったのか、作中の人々の問いはつづく。実際には救いようのない結末だったのだろうけど、物語の中ではかすかな希望が射して締めくくられる。先行作として解説にあった古屋兎丸「インノセント少年十字軍」も読んでみたく思った。以下抜粋。/「死ぬまでの間を、私は、好奇心で充たそう」/無垢はしばしば、無知であることによって維持されると。/「みんな、自分の見たいものを見ているんだ」「みんなの望むように、ゆがんでいくんだ、現実は」/生は、空無に一瞬あてられた光が見せた影にすぎないと。神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ、と。
AIの遺電子(4)(少年チャンピオン・コミックス)
山田 胡瓜 / 秋田書店 (2016-12-08)
読了日:2017年1月5日
1−4巻まで読了。近未来。人間とヒューマノイドが共存する世界。主人公は人間で、ヒューマノイドを診療する医者。そして感情表現豊かなヒューマノイドのナース。人格のバックアップは禁じられているがそれでも闇で実施するものも居る。バックアップした人格は元の人格と同一か?バックアップを取る際、電脳世界に直接接続する際のウィルス感染の可能性。ボディは替えがきいても、頭はどんどん壊れていく。治療を拒む自由と、自分の寿命を自分で終わらせるヒューマノイド。自動運転から手動運転に切り替えると保険がきかなくなる。謝罪するのが機械じゃ納得いかないから人をよこせというクレーマー。産業AIが無意識に訴えかけ夢の中で癒される療法。超高度AIが、集中力を抑えることで、日常生活を大過なく送れるようになるとともに、才能のきらめきは消えてしまったケース。その笑顔がプログラムならこの気持もプログラムなの?という叫び。身体の整形にとどまらず心の整形。回路をいじって恋愛感情をなくしてほしいという願い。/人工知能と共存する設定が、様々な論点、視点を提示してくれる。/最近読んだ本だと、松尾豊、塩野誠「東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」で取り上げられていた論点はけっこう網羅されているなあ、と感じた。
ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)
宮内 悠介 / 早川書房 (2015-08-21)
読了日:2017年1月3日
舞台は近未来のヨハネスブルク、世界貿易センタービル、ジャララバード、ハドラマウト、北東京。共通するのは、初音ミクを立体化したようなアンドロイドDX9が、高層建築から、雨のように繰り返し繰り返し飛び降り続けるということ。少女が雨のように降り注ぐ、というのは最初は何かの比喩かと思ったが、まさにそのまま。意思疎通を図ろうとするもの、部品を再利用しようとするもの、雨に身を晒す度胸試しに敗れて命を落とすもの、様々な関わりがストーリーにくさびを打つ。そして強烈に、散り散りにされたビートに労働歌を載せたというトランスミュージックを聴きたくなる。スラムの暗黒、力強さ、砂漠を這いずり回り、泥の都市を駆け抜け、コンクリートで囲まれたジャングルを感じる。ありえそうな近未来のテクノロジーをちりばめつつ。最終話の戻ってきからのストーリーも、あるのなら、読んでみたい。以下抜粋。/あるいは、信仰を決めるのは、、一人ひとりの内面ではないのかもしれないな。場所であり。座標なのだ。(p.23)/何事も、商売は下手なくらいがちょうどいいのだ(p.50)/「スターリンは言ったそうだな。一人の死は悲劇だが、百万人の死は統計だと」(p.119)/「俺は、悲劇と統計のあいだの一点を見定めたい」(p.120)/「何しろ、四分に一度人が、死ぬ。そして支配勢力が変わるたび、守るべき法そのものが変わるときだ」(p.131)/「だが、きみは…」「パシュトゥンだよ。だからって、ハザラを見殺しにしていい理由はない」(p.137)/「自爆攻撃なら、最初からDXにやらせればいい」「それでは神に近づけない」(p.189)/ジャリアが立ち上がり、ゆっくりとコーランの一節を唱えた。「-なんとつまらないもののために、彼らは魂を売ってしまったのか。」(p.222)/けれど、忘れないことがいいか悪いかも誠にはわからない。なぜなら記憶は歪められ、ねじ曲げられ、捏造される。こうした誤訳の総体こそが、人そのものなのだとしても。(p.247)
螺旋じかけの海(2) (アフタヌーンKC)
永田 礼路 / 講談社 (2016-12-22)
読了日:2017年1月4日
自分の寿命を悟り、自分の身体を切り売りして収入を得るキャリア。どんなことでもして力になりたい、治療を受けさせたいと願う存在。同じ時間を過ごせただけで、人生の時間を重ならせてくれてありがとう、とい言葉が重く。食用に開発した人魚に買い手がつかず、飼育していた飼育員が、いざ買い手がついた途端、一緒に逃亡を図る。心が通じ合ったと思えば、どうして食用に供することができよう、と。ただSFの設定だけど、どこまでが人間か、という線引きには考えさせられる。それが恣意的に運用されれば、人ではないから何をしてもいい、という世界になる可能性も秘め。
あさは、おはよう -大澄剛短編集- (ヤングキングコミックス)
大澄 剛 / 少年画報社 (2016-12-26)
読了日:2017年1月3日
最近泣いてますか?という帯。登場人物の思いがこみ上げて涙を流すシーンはずるいよなあと思いつつ、気持ちが寄り添ってしまう。大事に思っていた人、残された人、昔あこがれていた人、励ましてくれた人、ずっと寄り添ってきた人...様々な思いが静かに語られ、熱く語られ、染み入っていく。/「悪いことばっかり重なって気分が沈んだり落ち込んだり 泥水の中でもがいているような気分になることもままあるけど そういうものの上澄みを「幸せ」っていうんじゃないかって」
ボリス絵日記
ヒグチ ユウコ / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2017年1月2日
猫、鳥、ぬいぐるみ、息子...みんな愛情を受けることに貪欲で、独り占めできなければ、ストレートに怒り、奪いに行くなあ、と。自由になったと思いきや、猫にさらわれ、優しく扱われるが、解放され、けど、また戻ってきて、鳥上位で関係が構築されるストーリー、なんと名付けたらよいのか。あたたかみにほっこりしたり、クールな成り行きにどきりとしたり。
重版未定
川崎昌平 / 河出書房新社 (2016-11-26)
読了日:2017年1月3日
零細出版社での、書籍の企画、原稿取り、組版、校正、印刷所へデータ入れ、出版、大半は重版されず、という流れはわかった。けど、主人公も悩んでいるように、何のために編集しているのだろう、何のために出版しているのだろう。間にあわせることだけを考えて編集しました。誰が読むかわかんないけど、後で大量に返品されるとしても、今、目先の売り上げが立たないと会社が潰れるから出す本。有名な著者に十分な印税を還元できないから、無名な著者のさしてニッチな題材の本を出す、売れない、次の本にも十分なお金をかけられない、というスパイラル。お前本当に俺の文章読みたいの?と作家に問われ、そんなことより早く仕上げてください、読者が待ってます、というスタンス。悲哀といえば悲哀、救いがない、ここをフックにしてこうすれば、という点も見当たらず。意欲的な小出版社はいろいろあるじぇど、そうじゃないところもあり、という点が描かれているのかな。
ナナマル サンバツ (13) (角川コミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA (2016-12-31)
読了日:2017年1月2日
アイドル「ぷらねっつ」との対戦。おバカな路線でくるのかと思いきや、戦略を立てて、勝利を狙ってくる。最後は、解答して勝つ、というシンプルなことで決まる。主人公のしっかり度合いが増し、充実した対戦に。
スティーブズ 6 (ビッグコミックススペシャル)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) , 松永 肇一 / 小学館 (2016-12-28)
読了日:2017年1月2日
完結、というのにびっくり。いや、スティーブ・ジョブズじゃなく、ウォズとジョブズのスティーブズだからここまでで筆を置くのは、予定通りといったところか。見せ場は、ゲイツとジョブズの直接対決シーン、そして、Macintoshが自己紹介するシーンかな。「現実歪曲フィールドとは、強い意志の力で不確定性を消滅させひとつの未来を形作っていくそんな能力にほかならない」
13月のゆうれい  1 (フィールコミックスswing)
高野 雀 / 祥伝社 (2016-02-08)
読了日:2017年1月2日
男っぽい格好が好きな姉ネリと、女装が好きでよくかわいいと言われる双子の弟キリ。ネリのタイプの格好いい周防くんは、実はキリの同居人で…と。お互いの思いがからまり合い、ふとしたことが呪縛を解いてくれたり、繋がりが深まったりで。


2017年01月02日

2016年12月に読んだ本

期間 : 2016年12月
読了数 : 48 冊
ガイコツ書店員 本田さん 2 (ジーンピクシブシリーズ)
本田 / KADOKAWA (2016-12-24)
読了日:2016年12月31日
2巻も書店愛、書店員愛、書物愛が伝わってくるなあ、という一冊。サイン会に押し寄せた編集、編集長、漫画家。ツイッターに載せると小規模店は爆発するから!と載せないことをお願いしたり、どこからどうやって人気の在庫を確保するの?魔法?という係長、行方不明本にも在庫確保にも力になってくれて趣味も本田さんとあう人気者でファンシーな取次さん、BLを求めてはるばる海を越えてやってきたゲイカップルを接客したことで、自問するそれぞれの境界線。メディア化、実写化の特典付録で巻き起こる狂想曲。特典だけ欲しいんですけど?、お客様!!なるほど!!ダメです!!て 笑。そして小指の行方のわからない方の接客では、時々裏声の混じる自問を繰り返しつつも、なんとかクリア、けど後から平常心じゃなかったと気づかされたり、宛先の機関を明記しなくても遅れると知らされたり。営業、書店員、取次、出版…と異種混合の飲み会に参戦して、どうして取次の悪口書かないんですか?と熱く迫られ、うちの取次さんアイドルだし、ぶっちゃけ私に人を面白くdisる技術がないんで、てあたりが潔いというか。大変だなあと思ったのは、1巻の接客研修の話が職場の超えらい人の逆鱗に触れて、担当のチェックと社内のチェックという二重のチェック体制が敷かれてしまったということ。その全ボツまでの過程は巻末に収められています。
ごはんのおとも 2
たな / 実業之日本社 (2016-11-18)
読了日:2016年12月31日
単身赴任から戻ってきて、娘をかまいたくて仕方ないのに、かまいかたのわからない父、そっけなくあしらっているようでちゃんと見ていて、好意はわかっているから、かまいすぎないで、私だって料理だって生き方だって少しは心得ているのよ?と穏やかな形で伝えるストーリーと、鍵を握るヅケ丼。幼いながらも兄の自覚の芽生えた男の子。それぞれ意地をはりあうおじいさんをお店に案内して、喧嘩してるのかと怯えてたら、そうではなく、相手より上を行こうと切磋琢磨してこの地平に来たのだと知り、前より距離を縮める二人の子供。そして、久々に帰ってくるヒューゴさんを、出迎えもせず、今日だったかね?全然忘れてた!あるものでしか夕食にならないよ、といいの募りつつ、豪華な料理といいお酒を並べて、歓待する気持ちを抑えきれない女将のストーリーが良かったかな。すき焼きじゃないよ!ただの肉豆腐だよ!なんて言いつつね。
吉野朔実作品集 いつか緑の花束に (Flowersコミックス)
吉野 朔実 / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月31日
1984を彷彿とさせるような全能の指揮者(コンダクター)が君臨する、管理された世界を舞台にしたmother。クローンとオリジナル、ミックスとの葛藤は表面上覆い隠されているが、内実は...と。ゼブラにとっては唯一でも相手にとってそうではなかったと知った時の絶望感。その萌芽を引き継いだような劇団ソラリスのネーム。吉野さんがこれから描きたかったことについては、個人的には冷んやりとした感触を受けた。一番最後に収められた表題作、わからないということは悪いことではないという占い師の言葉が印象に。必ずしも隈なく照らされた明晰な世界が正しいわけではないのだ、と。
美麗島まで (ちくま文庫)
与那原 恵 / 筑摩書房 (2010-02-09)
読了日:2016年12月31日
世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい (ちくま文庫)つながり。台湾で医院を開いた母方の祖父、舞台女優だった母方の祖母、官僚の父、フリーアナウンサーの先駆けだった母、画家の伯父。ロシア、台湾、与那国、東京、那覇、とその足跡と日本・琉球の近代史を重ね合わせて語られる家族史。森鴎外の日記に出てくる祖父。母の放送局時代の仕事でつながりのあるジョン・カビラ、川平慈英兄弟の父。単純な善人な面だけではない、女にだらしなかったり、謹言だったり、お嬢様育ちすぎて決められた額でのやりくりができなかったり、今から考えると首をかしげる運動と繋がってたり、熱烈な愛情を注ぐも一度裏切られたと感じると放り捨て見向きもしなかったりと、様々な面を描きつつ、けれど、彼らが何を考え、何を見て、何を成し遂げようとして、どのような道筋をたどったか、丹念に辿る旅は、濃密だった。/「ちっとも苦しくなんかなかった。お金はなくても若さがあった。何も恐ろしくはなかったわ。あそこには”自由”と”希望”があったもの」。2・28事件を真正面から取り扱った侯孝賢監督の「非情都市」も観てみたいと思った。
アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極
角幡 唯介 / 集英社 (2012-09-26)
読了日:2016年12月30日
高野秀行、角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」つながりで。129人全員が北極で死亡したフランクリン隊が見たものを追体験しようと北極へ向かった著者。そして、生き残りがいたのか、という謎にも迫る。北極の旅は過酷。普段着る服は厚着の上にさらに厚着。氷点下30度の世界で100キロの荷物をそりで引き、9時間行動すると、7000キロカロリーを消費。食べても食べても、脂肪が燃焼し、痩せていく。そして食べた直後から空腹を感じるような、飢餓感。1日寝ただけでは取れない蓄積した疲労。「今ケンタッキーに行ったら、すいません、百五十ピースください、とか言っちゃうんだろうな」という相棒の言葉。最初は受け付けなかったサラダ油、ゴマ、きな粉を加えた荻田特製チョコレート。「ついにこのチョコが一番上手くなった。体が本当に消耗している証拠だ」。天候不順で撤退したイタリア隊にもらったイタリー飯をかき込み「今、世界で一番うまいものを食べているという絶対的な自信があった」。極地だろうと秘境だろうと、そこには辛さも喜びも人生がぎゅっと凝縮された濃密さで感じられ、だからこそ惹きつけられるのだろう、と感じた。著書出版後、沈没したフランクリン隊の船が引きあげられたというニュースがあったので、そちらにも当たってみたい。それと絡めて、「フランクリン隊と私たちの行為を深いところで断絶させていたのは、まぎれもなく地図の存在だった」「原因が壊血病にあろうと、鉛中毒にあろうと、フランクリン隊を危機に陥れたのは缶詰だった」といったフランクリン隊について扱った他のまとまった文書にも当たってみたいと思った。
盤上の夜 (創元SF文庫)
宮内 悠介 / 東京創元社 (2014-04-12)
読了日:2016年12月30日
人工知能がらみの本で取り上げられていて興味をもって手に取った一冊。一話に一つ、ボードゲームを題材に語られる連作短編集。囲碁盤を感覚器とする棋士、数学者によるチェッカーの完全解、麻雀で次に来る牌を推測するプログラム、すべての文献をスキャンし分析する量子歴史学などなど、興味深いトピックがうまく料理されていて興味が尽きない。/意に反して四肢切断され、生き延びるために囲碁を覚えた少女。囲碁盤を感覚器官として繰り出される打ち筋に魅了され、彼女をサポートするために引退したトップクラスの棋士。/双方が最善を尽くせば必ず引き分けになることが証明されてしまったチェッカー。/封印された麻雀のタイトル戦決勝、そこで行われていたのは、牌が見えているとしか思えない打ち筋、ありていなイカサマは見当たらず、そのカラクリは?そして、この一戦がそれぞれの人生に与えた影響は、と。/古代インド、将棋の原型、チャトランガの構想が頭から離れなくなってしまった、出家し出奔したシッダールタの息子ラーフラ。王として、政治、軍事に手腕を発揮しようとするが、いかんせん弱小国のためうまくいかず、窮余の一策は…。そして、彼の構想が残したものは。/将棋。ゲームを殺すゲームを発案した兄、ゲームを極め尽くそうとする弟。二人の人生を手のひらの上で翻弄する女性。/そして、また、最終章でまた囲碁の話に。

「生きるってのは、どういうことだい? 記憶を積み重ねること。そうだろう? その点、おれはもう死者のようなもんさ。死者が、何かを怖いと感じることなんかあるか? おれは、死んでるから強いのさ!」(p.143)/完全解という形でチェッカーを葬られてから、彼は何をもって生き甲斐としたのだろうか。あくまで、チェッカーに固執したのだろうか。それとも、何か別の生き方を見出したのか。いや、語弊を承知で言ってしまおう。わたしはこう思ったのだ。この話の裏に今隠されているもの-それは、わたしたち皆にとっての問いなのだと。(pp.58-59)/
真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書)
平山 優 / KADOKAWA/角川学芸出版 (2015-10-23)
読了日:2016年12月28日
真田信繁が幸村と称した事実はない。犬伏の別れの前に、昌幸・信繁と信幸が豊臣方、徳川方に属するのは決まっていたのではないか、信幸が事前に大阪から人質を引き上げていたことから伺える、犬伏の別れは創作か、あっても意思確認以上のものではなかったのでは、と。豊臣恩顧の武将が味方する、美濃から適宜援軍を送れる、という誤った情報に基づく情勢分析で真田昌幸・信繁は上田城籠城の準備に入ったと考えられる。第二次上田合戦の真田氏の勝利は、徳川方の作戦変更による攻撃続行中止の結果であり、転がり込んできた結果的な勝利だったのでは、と。真田丸は信繁入城以前か直後に大阪方で築城が決定しており、信繁は普請と守備を担当。ただし信繁独創の設備もあったと思われる。大阪城の周囲に砦を築いて守備するのは信繁の独創ではなかったが、大坂冬の陣で他の砦は陥落しており、その奮戦は特筆できる、と。この辺りが、信繁に対して得られた知見かな、と。個人的には。また、大坂の陣の推移については、和睦条件の堀埋め立てについては、信頼できる史料には見当たらないこと。当時の人は、城に一歩も侵入できなかった徳川方と籠城しこれに痛打を与えた豊臣方では後者が勝者であったと印象を持ったものが多くいたこと。家康は浪人追放と秀頼国替を行うために軍事的圧力で、城内強硬派、牢人たちを諦めさせようとしていたこと。だが予想に反し、牢人たちの抗戦意思が固く、開戦され、慌てて参陣を命じるも間に合わなかった大名がいたこと。大野治長が秀頼参陣を促すために黄金の馬印を持って大阪城に向かったこと、内通者が大阪城に火を放ったことが、少しは優勢だった大阪方の士気をくじいたことが、秀頼参陣の機会を逃し、大きな敗着となったこと、が個人的に得られた知見。通俗な小説が描いたり、通説とされるものが研究の進展で書き換えられていくのを実感できる。
動物たち
panpanya / 白泉社 (2016-11-30)
読了日:2016年12月28日
山の中に捨てても捨てても戻ってきて数を増やして住み着いてしまつ猯たち。保健所の開発した動物捨て機の非道さと滑稽さがツボ。一度取り込んでから、三半規管を狂わすためにぐるぐる回すって…。道で狢を助けたら、ちょっと期待とずれた恩返しをされ続け、最後は狢たちがドングリを主原料とするパン工場建てちゃう話もツボ。ずれ続けたからといってうれしくないわけではないというモノローグがいいなあ、と。
空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
角幡 唯介 / 集英社 (2010-11-17)
読了日:2016年12月28日
高野秀行、角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」つながりで。チベットのヤル・ツァンポー渓谷の「空白の五マイル」とされる場所への思い、自分で見てやろうという試み。過去の探検家たちの道のり、カヌーで下ろうとして行方不明になった大学の先輩の物語とオーバーラップして語られる探検行。死ぬかもしれないという極限に追い込まれることで、逆に、シンプルに生きるということが浮き彫りになる、その実感が、冒険家を冒険へと駆り立てるのだろうな、ということが読み取れた。巻頭の地図には軌跡が記され、この本以降も著作が出版されているから、生きて帰ってきたことはわかっているのに、ここまで読ませるというのは力量だなあ、と。そして自分だけ助かることもできたのに、流されていった後輩を見て、間髪入れず激流に乗り込んでいった先輩のストーリーに胸打たれた。/誰かにだめだと言われても、誰から何も言われなくても、空白の五マイルを目指すことだけが決まっていた。(p.61)/あの時、僕は本流に向かった君の本能的、直感的な判断に大きな感動を覚えました。そこに義隆君の勇気と偉大な人格を見たからでした。(p.107)/一年以内に滝を発見し、新聞に取り上げられ、雑誌の取材を受け、夜一〇時から始まるニュース番組にゲストで登場し、英国王立地理学会で基調講演し、違いが分かる男としてインスタントコーヒーのテレビコマーシャルに出演する。そんなつもりでいたのである。(p.144)/ひとりで旅をして、そこにそれを見つけた。それが何を意味するかは私自身の問題であり、脚色したり、意味づけしたり、社会性をもたせたりする必要など全くなかった。あるのは私はそこに行ったのだという事実だけであり、たしかなのは、私にとってホクドルンというところが特別な場所になったということだけだった。(p.200)/7年間で変わったことはこの渓谷に携帯電話が普及したこと。/死の不安から解放された時、人間というのは腰を抜かしそうになるということを、私はこの時初めて知った。(p.275)/「ベユル・ペマコはメトから北東に四日歩いた、その場所にあるのだ。チベット人はそこで一ヶ月間も巡礼を行う。だからお前の旅は意味がなかった」(p.290)/極論をいえば、死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。過剰なリスクを抱え込んだ瞬間を忘れられず、冒険者はたびたび厳しい自然に向かう。そのようなある種の業が、冒険者を支配していることを否定することはできない。(p.293)
現代思想の遭難者たち
いしい ひさいち / 講談社 (2002-06)
読了日:2016年12月28日
クリーニング店員にはねられて、店員が読んでいたのか、読んでいたのが店員か(哲学科の学生が食えなくてクリーニング店員になってたのか)、事故の構造であって真相ではない、という一節。ちがう?という姿勢に、何事にも定義付けられないという軽やかに逃げさる思想を感じる。フーコーの「オリジナリティとは幻だ。作家は作品を創作したと思い込んでいるが、それは受け取った影響の集積の通過に過ぎない」。バタイユの項の「何かに役立つためでなく富を消費すること(濫費)は、有用性や交換の思考回路を超えた事態に迫り、通常の知や主体にとって不可能な次元を経験させる、という脚注。ハーバーマス先生を囲む会に、対立する勢力を全て呼んで、「よしよしどっちに撃っても弾が当たるぞ」と言いながら登場するハーバーマス。といったあたりが印象に残った。なかなかに文字数が多くて、漫画にしたからといって理解が容易というわけではないけど、雰囲気の一端が味わえる、入り口的な役割は果たせているような。
講談社 (2016-12-24)
読了日:2016年12月26日
ちょっとショックだったのは春と盆暗、連載終了。もともと全4回とのことだったが見落としてたのか。ただ来月コミックス出るとのことなので期待。波よ聞いてくれ、はまだまだ続いていた、茅代さんとミナレさんのダイアローグ、遠回しの批判の矢はだんだんとストレートになり…ただ、真面目にやってきて面白いことも言えないもののためのラジオを作りたかった、てつぶやきは印象に。球場三食は、北海道へ、ファイターズ編。札幌ドームの魅力も語りつつ、札幌市との球団には著しく負担の重い契約にも触れられ、新球場問題へと繋げる。なんだよ…選手の総年俸と同額の年間使用料って…と。大上さんは…には、広島在住経験ありの見た目イカツイけど根はいいやつな新キャラ登場。ほっこり度合いが増す。あしあと探偵は、賭けに出たハッタリからスリリングな展開に。ユリイカの短歌特集のインタビューを見て、読むのを再開しようと思った、月に吠えらんねえ、は、まだその世界観に入り込めず。
忘却のサチコ 8 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月25日
函館と山形のシリーズはご当地のものがてんこ盛りで読み応えあり。この巻も相変わらずの、真面目一徹、全力投球のサチコさん。
海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)
吉田 秋生 / 小学館 (2012-12-10)
読了日:2016年12月25日
親しい人にも言えない秘密を抱えることの苦しさ。一切の縁が切られた母方の親族からの突然の連絡。昇進することによるプレッシャー。そして、病人に寄り添うことと病人になることの間に横たわる深い溝に気づくこと。/神様が何もしてくれないなら自分でやるしかないでしょう/もうすぐ死ぬとわかっていても桜は美しかった。/
レディ&オールドマン 2 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2016-12-19)
読了日:2016年12月25日
連鎖的に次から次へと繋がる仕事。そして、たどり着いたのは、二人の仕事を認めてくれる存在。思惑渦巻くダイナー。ロブの背中を押すマスター。ついていくシェリー。新たな仕事仲間。謎めいたダイアローグと垣間見えた手がかり。
響~小説家になる方法~ 5 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月25日
直木賞とろうがアカデミー章とろうが私は変わらない、と揺るぎない響。自分にも他者にも小説に対する姿勢は厳しく。それを受け止める側もさまざま、反発する者も、悔しいけれど離れられない者も、認め合う者も、素直に受け入れる者も。そして、普通の作家なら晴れの舞台と思われるシーンでも、それまでの自分を貫き通すが、それはどう受け入れられていくのか。というところで次巻へ。才能を持ったものの孤独と戸惑いも垣間見え、けど幼馴染のように問われたらどう返すか、なってみないとわからないのか、思いを巡らすのか。
鞄図書館3
芳崎 せいむ / 東京創元社 (2016-12-21)
読了日:2016年12月25日
本から全く離れてしまった集落への訪問。人から人へと渡ってしまった貸し出し本を巡る旅、そこまで人々を惹きつけた、星を継ぐ者、に興味が湧く。九龍城砦をモデルにしたと思える場所への訪問。誇りをもって村の小さな図書館を運営する司書が、村人を本好きにし、はたからみると滑稽な事件に巻き込まれる一幕。そして愁眉は、父から子へ、三代に受け継がれた、自宅庭に据えられたちいさなちいさな私設図書館、そこから産み出されるエピソード、かな。本をめぐって語り合うことの楽しさを改めて感じさせてくれる。
絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.1) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)
山田 玲司 / 小学館 (2004-05)
読了日:2016年12月25日
自分の人生のテーマは人とつながることなんですよ マンガってのは鏡に向かって自分をとことん掘り下げていくみたいなところがあって 結局その先に、全人類につながる普遍的な何かがあるんですよ それをやっていくうちに、ようやく自分が見えてきた気がするんですよね、という井上雄彦の言葉/ 25年関わったというアマゾンの村のあいさつ。アイニョヒ?(いるかい) アイニョ!(いるよ)を取り上げて「そこにただ存在することが大切なんだ/彼らには生きる目的はないんです/生きてるだけでありがたいんです」と語るグレートジャーニーの関野吉晴の言葉が印象に残った。著者山田玲司が自らの絶望に効くクスリから語り起こし、「 ストリッパー 」という作品で描いた、「はじめから人間には個性も自由もないのよ」という言葉。この作品も読んでみたくなりました。
いぶり暮らし 5 (ゼノンコミックス)
大島千春 / 徳間書店 (2016-11-19)
読了日:2016年12月24日
まわりにあれこれ言われて、関係性に悩む日があっても、結局は自分にとって相手がどうかなのだと思う、けどまた悩むといった一巻。マヨネーズやオリーブオイルの燻製には興味深々。
ギャラリーフェイク 33 (ビッグコミックス)
細野不二彦 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月24日
復活のギャラリーフェイク。東日本大震災の被災地で打った一芝居、美術品破壊犯を追って、ロンドン、サラエボ、ブリュッセルと巡るストーリー、九鼎と3Dプリンターをめぐる一幕…と相変わらず健在のフジタを堪能。
ふしぎの国のバード 3巻 (ビームコミックス)
佐々 大河 / KADOKAWA (2016-12-15)
読了日:2016年12月21日
いよいよ会津を抜けて新潟へ。イトウのお菓子好きすぎるお茶目な一面もかいま見せつつ、戊辰戦争の傷跡で、貧しい土地土地に胸を痛めつつ。どうしてよその土地へ行かなかった?という問いに、そんなことは考えたこともなかった、ここが俺の生まれた土地だ、というきっぱりした返答。貧しく口に合わない食事や、理解できない迷信の類に辟易するシーンもあったけど、基本的には、興味深く、好奇心を向けるバードさんの姿勢には心惹かれる。後半はイトウの前の契約者の登場、パークス公使の手厚い支援はあったが、次巻以降どうなるか気をもむところ。
和歌でない歌
中島 敦 /
読了日:2016年12月19日
R.D.レイン「好き?好き?大好き?」つながり。「石とならまほしき夜の歌」八首のみ読了。禍々しい、暗く、冷たく、灰色の世界を味わえる。
新井 満 / 文藝春秋 (1991-08)
読了日:2016年12月19日
何年かぶりの再読。ヴェクサシオン、サンセット・ビーチ・ホテル、尋ね人の時間、と読み進めてくると、サンセット・ビーチ・ホテルの併録作をのぞいて、骨の髄まで厭世的な男が主人公なんだな、というのが改めて感じられる。この作品も、不能者の増加は人口爆発を抑える地球の意志、フランスの田舎にある二歩進んで三歩下がるリゴドン・ダンス、スクランブル交差点が苦手…。生きることに積極的でないと責められても、それが自分と、むしろ、地球はこの先長くないのでは、という確信を深めていく。発表から30年経ったけど、残念ながら、まだ地球はありますよ、あなたが見たかった地球ではないかも知れませんけど、と語りかけたい心地に。
ユリイカ 2016年8月号 特集=あたらしい短歌、ここにあります
岡井隆 , 穂村弘 / 青土社 (2016-07-27)
読了日:2016年12月18日
どうしても歌に読み手の人生を重ねてしまおうとする、しぶとい私性とのつながり。あえて正面から、鳥居さんのように、人生を扱ったルポと歌集を同時発売するという試み。定型に押し込めようとする力と軽やかに逃れる破調、そこからの、何をもって短歌とするのかという問い。様々な制約をすり抜けて、あらゆる時と人に語りかけようとする試み。楽しそうな歌会を紹介する一節。富豪短歌、ってどうかな、という穂村さんのつぶやき。わからなくてかっこいいと思った吉増剛造「燃える」を語る最果さん。興味深いトピックス多数で楽しめた。そして、気になった短歌を幾つか。穂村さんの、共感ではなく、驚異(wonder)をという言葉にも導かれつつ。

「愛して」という感情は私の大事な焚き火です。きみを燃やすつもりはなかった。(最果タヒ)

八月を 君にゆっくり届きたい俺に 宇宙がよこす各停(雪舟えま)

手紙よ、と手紙でつつかれて起きる 諸島が一つにまとまるように (雪舟えま)

傷ついたことを忘れるようにして生きるのを 逃げると同じと感じるのはなぜ(雨宮まみ)

気に入りのパンティ脱いで鍋奉行 ちょっとそれは具ではないわよ(木下古栗)

夜中突然正気に戻るごめんなさい私もう無理何もかも愛してるけどもう本当は(ルネッサンス吉田)

それはなお続くはるさめ 銀河まで寄ろうそのあと嘘をゆるそう (山中千瀬)
夢の雫、黄金の鳥篭 9 (フラワーコミックスアルファ)
篠原千絵 / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月18日
イブラヒムのエジプト遠征、ヒュッレムの第二子解任、ギュルバハルの子ムスタファ皇子との交流。誰も殺さなくて済むために、最高の権力を得たい。皇帝の寵愛を失わず、大宰相の後見を失わず、と。帯の、本当に悪女だったのかは、見る立場によって変わる。帝国を司るものか、子を思う母なのか。
オスマン帝国六〇〇年史 三大陸に君臨したイスラムの守護者 (ビジュアル選書)
設樂 國廣 , 齊藤 優子 / KADOKAWA/中経出版 (2014-09-17)
読了日:2016年12月15日
勃興から滅亡までの概観。よくまとまってるなと思いつつも、最新の研究成果を盛り込んでいないのではないかと思われる箇所も。ソコルル・メフメト・パシャの、スエズ運河計画、ボルガ河〜ドン河運河計画は、イスタンブルから遠く離れ、財政負担が大きく、技術力が至らず、完成に至らなかったが、後年どちらも同地点で実現していることから、先見の明があったと言える、と。スレイマン二世(在位1687−1691)は当時のスルタンとしては異例なほど活躍、臨時戦争税の廃止、キリスト教徒農民の人頭税徴収方法改変、ムスタファ・キョプリュリュを大宰相に任命、ニシュとベオグラードを奪還、新銀貨クルシュを投入してオスマン市場の基本通貨を安定させた、と。
逃げるは恥だが役に立つ(8) (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2016-10-13)
読了日:2016年12月14日
2−8巻まで読了。ドラマを8話から10話まで見た後に見ると、ここをこう使って、こう組み替えたんだ、とか、違うところを楽しんだりとか。
月影ベイベ 8 (フラワーコミックスアルファ)
小玉 ユキ / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月14日
読まれた母の日記、込められた思い。そして、雷雨がきっかけで、秘めた思いを打ち明け。それを正面から受け止めて、語ってくれる一幕で。
バイナリ畑でつかまえて
山田 胡瓜 / アスペクト (2016-08-02)
読了日:2016年12月13日
A面は、Facebook、Google ストリートビュー、イヤフォンマイクなど、ITサービス、機器、技術を取り上げたショートショート。クックパッドの項で、母親が無料で次々とレシピをネットに上げることに不満な娘、その通りに作ってみるものの母の味にはならず、母から「その違いがわかるのはあんただけなんだよ」と言われ、なんだか暖かい気持ちに、と。B面は、AIをテーマにした中編。もしも愛する人が亡くなったら、その時、中身をそっくり人工知能に移せたら、という設定で問いかけてくる、あなたならどう思う、そしてどうする、と。それは必ずしも喜びだけではないかもしれない、と。
筑摩世界文学大系〈84〉近代劇集 (1974年)
イプセン , ショー / 筑摩書房 (1974-06-25)
読了日:2016年12月11日
「コンドームの歴史」つながりで、バーナード・ショウ「ウォレン夫人の職業」のみ読了。当時は物議を呼ぶ刺激的な戯曲だったのだろうけど、今の基準からすると過激とも思われず、なのは致し方なし。ウォレン夫人の職業も、はっきりそれとは指されず、まわりくどく描写されるところから汲むしかなく。ただ、娘としては、知らずに、今までそのお金で育って、教育を受けてきたことには、何がしか申し立てをしなければ気がすまなかったのだろう、と。/フランク:妹たちは自分の好きなようにするがいい。ぼくは自分の好きなようにする。ぼくたちは二度と会わなくたって平気さ。それが兄妹というもんだよ。/ヴィヴィー:わたくしにとっては、この人生には美もなければ、ロマンスもありません。人生はあるがままです。わたくしは人生をあるがままに受け取るつもりです。/ヴィヴィー:涙をながしたってただでしょ。その涙と引きかえにあなたはわたしの全生涯の平穏と無事を提供させようとなさっているのです。/ヴィヴィー:お母さん、あなたは娘を欲しがり、フランクは妻をほしがっています。わたしは母親もいりませんし、夫もいりません。わたしは自分自身もフランクも容赦しないで、あの子を追っ払いました。あなたには容赦すると思っているんですか?/プレイド:きれいな女というものは、そういう-つまりだね、そういう関係でない友人というものが必要なんだ。たまにはそういう関係からのがれられないと、自分の美貌がかえって苦痛になるだろう。/ウォレン夫人:女が裕福な暮しをしようとしたら、自分に親切にしてくれるだけの金のある男に、こっちから親切にしてやるのさ、それしかないんだよ。
悪女(わる)(3) (BE・LOVEコミックス)
深見じゅん / 講談社 (1989-09-08)
読了日:2016年12月11日
1−3巻まで読了。30年前の仕事ぶりってこんなんだったのかなあ、と思いつつ、能天気に見えて、打たれ強く、気付く人には響いて、引き寄せられてしまう、山田麻里鈴。向こうが一目惚れするような女になりなさい、という峰岸さんのアドバイス。なぜ耐えられるの?と問われ、ここだけの話ですが私にもよくわからない、と押し通せるところ。出世する人は会社と自分のことを考え、しない人は出世のことばかり考える、エライ人の受け売りですが、とチャーミングにいうところ、が目に止まったかな。
細野不二彦短編集 2 (ビッグコミックス)
細野 不二彦 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月11日
鉄道オタクの青年が専門性を発揮して活躍する短編が良かったかな。あとは、猿飛リバイバルも、ちょっとしたサイドストーリーを見せてくれるギャラリーフェイクも良かったけど、個人的には、愛しのバットマン、が収穫だった。
小路花唄(1) (アフタヌーンKC)
麻生 みこと / 講談社 (2016-12-07)
読了日:2016年12月11日
あの、路地恋花の続編が出ていたとは。今回の主人公は、前作にも出てきていたオーダーメイド靴屋さん。その恋路が語られ、仕事の悩みが語られ、既に独立していった店子たちも登場して、後日譚が語られる。贅沢な気持ちに。そして、前作では、作家兼喫茶店マスターのところに出入りしていた娘が新たな店子に。この先どう絡んでいくのか楽しみ。
エンバンメイズ(6)<完> (アフタヌーンKC)
田中 一行 / 講談社 (2016-12-07)
読了日:2016年12月11日
対戦相手は、思ってもみなかった、過去から追ってきた相手。そして、究極の難設定の台たち。張り巡らされる駆け引き。最後は…と。終わりかたについては意外感。こうきましたか、と。息つめて読んでいたのが、深く息を吐き出す感。
あっちもこっちも―星里もちる短編集 (ビッグコミックススペシャル)
星里 もちる / 小学館 (2013-01-30)
読了日:2016年12月11日
喜ばしいこともあるのかもしれないけれど、理屈の通じぬものとの対峙は疲れるな、と。それに限らず、話を聞かないキャラというのは星里作品のポイントなのかな、と。タクシーものはシリーズ化しようとしたけど、挫折したとか、巻末に作品改題がついているのはよかった。りびんぐゲーム以来、星里作品からはなれていたけど、ひさびさにふれてみて、あたたかい気持ちに。
サンセット・ビーチ・ホテル (文春文庫)
新井 満 / 文藝春秋 (1996-05)
読了日:2016年12月11日
夫と妻、南の島と寒冷なNY、自然が好きと人が好き、撮影する者と自ら描く者、さまざまな対比がなされる二編が収められる。こんにちは、さようなら、ありがとうを意味するマーシャル後、ヤボイ!。絶海の楽園かと思われた地で見かけた後始末の悪い焚き火のあとに、地球は長くないのでは、と思いを馳せる夫。サムルノリの音楽に身体震わされる妻。「夫婦とは何だろう、と碧は思う。二人で生きるということか。ならば、なぜ二人なのか。一人で生きられないからか。だが、一人を生きられない者に、二人を生きる資格はない。そう思ったからこそ、申し出た別居である。」(p.180)という独白。<毎日、どうしていますか><私?私はね、毎朝、生まれるの><ほう><そして、毎晩、死ぬの><あいかわらずだなァ>(p.180-181)という対話が心に残る。
絶望に効くクスリ vol.13―One on one 革命的対談漫画 (ヤングサンデーコミックススペシャル)
山田 玲司 / 小学館 (2008-06-05)
読了日:2016年12月11日
能力が低いからダメなんじゃなくて、自分に何ができるかが大切なんだと思いますよ…そういう自分の価値に気づいたら、宗教も薬もいらないと思うんです。一番頼れる「自分」を見つけることですよね。(古澤巌)/若い人に言いたいのは、悩む前に「自分はその時精一杯やったのか?」ってことなんですよ。もし、まだやってないなら、やりきってみて…ボロボロになって、これ以上進めないって言った時に変われると思うんです…(平野悠)/その時立たされた立場でそれぞれが一生懸命生きるしかないのね。それが「切に生きる」ってことなんですよ。(瀬戸内寂聴)といったあたりが、目に止まったことば。あとは、瀬戸内寂聴が世阿弥をえがいた「秘花」、古澤巌の原点になった「夕陽のガンマン」を手に取りたいなと思った。
女の友情と筋肉(3) (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2015-12-19)
読了日:2016年12月10日
ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか
塚本晋也 , 高橋一生 / 青土社 (2016-11-25)
読了日:2016年12月9日
感心するようなトリビアから、なるほど、という時勢をからめた切り取り方から、それはご自分の専門にひきつけすぎでしょ、と思ったり、ないものねだりの言いがかりだなあ、と思うものもあったり、難解で立論についてけないものも、含めて、楽しめた。こういう様々な視点から語られる一冊を待っていた。/最後のシーンのゴジラのしっぽにこめられていた意味、カヨコの巨大生物への呼び方が 「ガッズィーラ」から、「ゴジラ」へ変わった契機への着目。日本との対比で、軍事力の行使をためらわないロシア軍に、「冷温停止」はできなかったのでは、ロシアにこそ巨災対が必要だったのでは、という問いかけ。初代ゴジラの足音と咆哮のからくり。 「エヴァンゲリオン」、「ゴジラ」第一作、3・11ドキュメンタリの3つの素材をDJ庵野秀明がマッシュアップしたMADである、という断言。初代ゴジラも、シン・ゴジラも、記録的観客動員数を記録するも、どちらも「君の名は。」という同名映画に年間興収トップを阻まれたというトリビア。 シン・ゴジラによる破壊は、容易にあれこれの「意味」へと回収可能な「記号」ではなく、そのような安易な置き換えに抵抗する圧倒的な何かの出現を示す「しるし」だった、という指摘。尾頭ヒロミだけで一章をさき、キューティーハニーの夏子の進化系であるヒロミ、という枠組みを押し通す論考。野暮を承知で、生命科学の見地から、経口投与しても血液凝固させられませんよなどなど指摘せずにはいられない、まさに空想科学読本を地でいく論考。/また、さらに読みたく、観たくなったのは、下記の5つ。(1)片山杜秀「音楽から"深読み"する「シン・ゴジラ」 (2)部谷直亮「中野区にゾンビ襲来!本気で対応策を考えてみた」「JB PRESS」2016/4/6 (3)映画「日本のいちばん長い日」 (4)宮沢賢治「春と修羅」…「しるし」に満ちた作品として (5)モルモット吉田「初代ゴジラの”呪縛”から逃れた「シン・ゴジラ」
AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)
小林 雅一 / 講談社 (2015-03-19)
読了日:2016年12月9日
「情報端末としての次世代ロボット」は、グーグルをはじめ米IT企業が、あらゆる業界の企業や一般消費者について深く理解し、彼らを内側から支配するために投入する「トロイの木馬」なのです、という指摘。チェスだけでなく一般的に言われることですが、何かがコンピュータに抜かれるまでは「あれこそ至高の競技だ、人間知性の表れだ」などと持て囃されながら、抜かれた途端、「あんなものはもともと大したことなかった」と足蹴にされる傾向があるようです、という指摘。/英語、スペイン語をまなんだAIが、それまで学習した中国語も上達したケース。/映画「トランセンデンス」を見た学者たちの警鐘。/ディープマインド社はグーグルに買収されるにあたり、AI倫理委員会の設置を条件づけたこと/自動運転は、さまざまな難しいケースへの対応が課題、ありそうにない仮定も現実社会では起こりうる/「現代AIのベースとなる「機械学習」とは、たとえば「言葉を聞き分ける」「写真を見分ける」といった人間の知能を、コンピュータが得意とする大規模な数値計算へと巧妙にすり替える手段である。あるいは、いかにも人間の知能らしきものを、統計・確率的な数値計算によって擬似的に表現したものに過ぎない。」/「ディープラーニングのように、人間がロボットやコンピュータに何らかのルールや変数を教えなくても、彼ら自身が問題を解く上で本質的に重要なことに気付いてくれるなら、フレーム問題は解決できる可能性があります。」といったトピックが興味深かった。
かばんとりどり (ゼノンコミックス)
ウラモトユウコ / 徳間書店 (2014-05-20)
読了日:2016年12月8日
再読。ちょっとずつ仕掛けに満ちてて、時にA面B面で語られ、一筋縄じゃいかないところがいいなあ、と。
最後にして最初のアイドル
草野 原々 / 早川書房 (2016-11-22)
読了日:2016年12月5日
shi3zの長文日記の紹介で見かけて。最初のアイドル残酷物語的なところまではついていけたけど、そこからの一気呵成、視点のスケールが大きくなりすぎて、ちょっとついていけず。意識とは、アイドルとは、と立ち止まって考えさせられるものの、すぐにもっと大きなものに絡め取られ。最初の、とは思えない自分がいたりする。
東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
松尾 豊 , 塩野 誠 / KADOKAWA (2015-12-25)
読了日:2016年12月4日
人工知能の話から社会の制度設計の話にまで広がる。「事例を積み重ねて集計するような仕事は、コンピューターでやった方が速くて正確だし、だんだんコンピューターがやるようになるでしょう」といった見通しから、国という概念が、突き詰めると、どこに税金を払ってどのサービスを受けるか、という話になる、とか、「大義名分としての一人一票と、実効的な社会としての長期的意思決定を、うまく折り合いをつけながら変えていく」必要性や、自動運転の車が人を轢いて亡くなったケースで、最後に謝るのが誰か、合意がとれないと先へすすめない、といったトピックまで幅広く。また、見たいと思った映画は、「トランセンデンス」(亡くなった人工知能学者の夫の脳を妻が人工知能空間にコピーする話)、「her/世界でひとつの彼女」。
地図のない場所で眠りたい (講談社文庫)
高野 秀行 , 角幡 唯介 / 講談社 (2016-10-14)
読了日:2016年12月4日
早稲田大学探検部の先輩後輩の対談。探検へかける思い、書くことへの思い、方法論などが語られ興味深かった。一番おかしかったのは、高野さんが、松戸にいるというマツドドンを探す、という学生に、そんなものいるわけないだろ、といったら、高野さんにそんなこと言われたくない!と言われ、言い争いになった、というシーン。あと、「高野 「私は日本人です」とか「元気ですか」とか、現地語でなんて言うのか聞いていると、主語、動詞、目的語の順番はどうなっているかとか、人称によってどういう活用が起きるのかとか、そういうことが自然と頭に入ってきてしまうわけ。」p.271 なんてフレーズを読むと、この人、言語の天才だ、と思ってしまう。あと目にとまったところを以下に。/角幡 お金を出してもらうと、どうしても、なにかあったらどうするんだって話になりますよね。そうして自分のこだわりが変形されてしまうのが怖いんですよ。p.281/角幡 というか、書かないと整理されない 高野 されないよな。書かないと、どんどん忘れていくし、深まらないしね。p.300/高野 行って半分、書いて半分だよね。後半の半分をどうするかというのは、現地でやることに匹敵する大問題なのに。p.322/読み終えて、高野さんの著作はほぼ読んでいるので、角幡さんの「空白の五マイル」「アグルーカの行方」は読みたいと思った。その他に、読みたい!と思ったのは、峠恵子「ニューギニア水平垂直航海記」小学館、荻田泰永「北極男」講談社(2013年)、吉野朔実さんも紹介していたな、と思った「ピダハン」みすず書房、の三冊。
遠い食卓 (アフタヌーンKC)
イシダ ナオキ / 講談社 (2015-07-23)
読了日:2016年12月4日
食にまつわる話を集めた、基本一話読み切り、時に続きもの、そして少しずつ話や登場人物が繋がっていたり。題材も、餃子、インスタント珈琲、茶、カップラーメンと身近なものを取り上げ、思い入れが歌われたり、娘を思う気持ちが空回ったり、ようやくできた友達のミステリアスな面だったり、などなど、味わい深く。何度か読み返したい一冊。
ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2016-11-18)
読了日:2016年12月2日
ヤマシギのチチタプを煮込んだオハウ、食べてみたい。すっとぼけた白石の脱獄王になるまでの道のりが、どこをどうしたらこうなるというぐらい可笑しく。自分を守るためだとはわかっていても、杉元にスイッチが入ってしまった後の光景を見た、アシリパさんの表情が印象に残る。
図書館の主 14 (芳文社コミックス)
篠原ウミハル / 芳文社 (2016-11-16)
読了日:2016年12月2日
語られる宮本の過去と、過去から追ってきた存在。それはいまだに力強くまぶしく。それとからめて語られる新美南吉「嘘」に興味がわく。また、個人的には、読んだことのないルイス・キャロルのアリスの語られ方が魅力的だった。
ピアノのムシ 9 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2016-11-16)
読了日:2016年12月1日
いよいよ語られる蛭田の来歴。ピアノに魅せられたきっかけ。ドイツでの修行。今まで語られず、どのように今の蛭田が作られたかを垣間見られる巻。なんだか物語がググッと進んだ気がする。それにしても、気持ちを手に入れようと、高価なピアノを自腹で、って思い切るなあ、と。
七つ屋志のぶの宝石匣(3) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2016-11-11)
読了日:2016年12月1日
赤い宝石をめぐるミステリーは二転三転。追っていく方向性は、若干修正することにもなりそうで。クールなようでいて、突っ走って、かえっていさみ足みたいなところは、お茶目だなあ、と思ったり。


2016年12月31日

2016年に読んだ本から10冊

2016年に読んだ本から10冊。
順位については順不同。
読後感はこちらから。

真田信繁の書状を読む (星海社新書)
丸島 和洋 / 講談社 (2016-09-22)
読了日:2016年10月3日
 ※「真田丸」関連で読み漁った書籍のうちの一冊。史料を紐解くワクワク感が伝わってくる。

よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ
清水 亮 / KADOKAWA (2016-10-17)
読了日:2016年10月30日
 ※人工知能関係も読み漁った一年。最終章の地球から宇宙、銀河系までぶっ飛ぶスケールが圧巻。

レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)
三島 芳治 / 集英社 (2014-05-19)
読了日:2016年8月27日
 ※味わい深い、ただただ味わい深い。

賢人支配の砂漠
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2014-05-05)
読了日:2016年7月24日
 ※ドバイを舞台にした小説。文学フリマで入手。硬い題材なのにぐいぐいと引き込まれる。

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉
高野 秀行 / 新潮社 (2016-04-27)
読了日:2016年5月22日
 ※独自に定義したアジア納豆を求め、日本からアジアへ。これ読んで、東京にシャン料理食べに行きました。

島へ免許を取りに行く (集英社文庫)
星野 博美 / 集英社 (2016-04-20)
読了日:2016年5月2日
 ※著者のユーモアと異なる視線が切り開いてくれる地平は、抱腹と納得感。味わい深い。

空海の風景〈下〉 (中公文庫)
司馬 遼太郎 / 中央公論社 (1994-03-10)
読了日:2016年5月1日
 ※空海・最澄を主人公にした「阿吽」にやられ、空海関係の書籍を読み漁ったうちの一冊。

BACON ICE CREAM
奥山 由之 / パルコ (2016-01-30)
読了日:2016年3月21日
 ※都市に散らばる色彩がまばゆくて心に刺さってきてなんどもページをめくる。

「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)
佐々木敦 / Pヴァイン (2014-05-30)
読了日:2016年2月21日
 ※美しい論理。

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)
村瀬 秀信 / 双葉社 (2016-01-13)
読了日:2016年2月16日
 ※この本をきっかけにベイスターズの魅力にやられ、中野渡さんの本や前球団社長の池田さんの本に手が伸び、チーム成績が気になりだす。

chokusuna0210 at 17:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年に見た映画

今年映画館に足を運んだ映画は、4作品、うち1作品は2回

(2/27) 映画「禁じられた歌声(原題:TIMBUKTU)」 (シアター・キノ)
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52364090.html

(2/28) 映画「夜会2014 橋の下のアルカディア」(シネマフロンティア)
 徹頭徹尾、濃厚な情念に彩られていた。

(8/27) シン・ゴジラ (1回目。シネマフロンティア。)
 映画「シン・ゴジラ」観てきた。ゴジラシリーズ観たの初めてだったけど、最初から最後まで1分も退屈せず、引き込まれ続けた。事前情報をあまり入れずに行ったので、今から色々調べまくって、2回目に備えたいと思う、という鑑賞直後の感想。

(9/4) シン・ゴジラ (2回目。IMAX上映。ユニバーサル。)
 シン・ゴジラ、8日ぶり2回目鑑賞。隅々まで見渡して、前回から仕入れた情報と照らし合わせながら汲み尽くそうと思ってたのに、気がつくとまたストーリーにグイグイと引き込まれてしまった。そしてまた1分も退屈するところがない。今回IMAXで見たんだけど、確かにいい画像で見た方が断然良い。
 という2回目の感想。次から次へと語りたいことが出てくる良い映画だった。
 そして、この本も買って熟読してしまう。
 ↓ 
 ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか
 

(10/22) 君の名は。(シネマフロンティア)
 秒速5センチメートルとかほしのこえとか言の葉の庭とかに比べれば明るいトーンで、入れ替わる、という予備知識だけはあったけど、頻度とか時間とかそうきたか、と。辻褄が、とか、気づかないか、とか、都合が、とか言いだしたらきりがないけど、総じて楽しかった。
 こちらも、この本を買ってしまう
 ↓ 
 (1)小説「君の名は。」
 (2)君の名は。 Another Side:Earthbound
 (1)はほぼ原作に忠実で(2)の方が色々深読みしていて面白かった。

chokusuna0210 at 17:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年に見たアート

※日付、アーティスト・展覧会名、会場。

・(1/10) Ryota Kuwakubo /LOST #13 @札幌市資料館
Ryota Kuwakubo /LOST #13 @札幌市資料館 http://ow.ly/WR9Bp を見てきた。行くと、真っ暗な部屋に案内され、光源をのせた列車が線路を走り、せんたくばさみ、クリップ、ざる等を4面の壁に照らしていく幻想的な動く影絵の世界。魅了された。はじめて展示にふれたけど、ずっと眺めていたかった、ひたっていたかった。斬新なアイディア。考え方ひとつでこんな表現ができるんだ、と。

・(3/12) la chamble erotique 大奥 -> SYMBIOSYS 蒼野甘夏さん作品あり
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52365551.html

・4/16 一鬼のこ展「Red」 at OYOYO
 レトロスペース坂会館でチラシを見て、吸い寄せられるようにここに足を運ぶ。メインのモデルの一人、七菜乃さんも来場されていて、美しいなあと見とれてしまった。他のモデルの一人の方に、私もこの中に映っているんですよ、と言われてその時はふーんと思ったけど、今考えるとけっこうインパクトのあること言われていたんだなあ、と。縛る、ということから生まれるさまざまな波紋を楽しむ。

・(5/28) 国松希根太展 グランビスタギャラリー(札幌グランドホテル)
 観てきました!卵型の彫刻も、入江か湖の水平線と闇の境目も、吸い込まれそうな漆黒の鏡も、観ていて飽きず、ずっと眺めていたかった。

・(6/11) 北海道・いまを生きるアーティストたち ともにいること ともにあること @道立近代美術館
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52374564.html
近美の地元作家を扱ったシリーズは、今後も続けて欲しい。

・(7/17) 藤城清治美術館@那須塩原
 初めて触れた影絵の世界。メルヘンで甘いだけじゃない、この世界観に圧倒される。風の又三郎を読みたくなった。

・(7/18) 蒼野甘夏展 ゆめのおと@gallery forgotton dreams (清澄白河)
 美人画も動物をモチーフにした作品も楽しめて。館主と甘夏さん作品について少しお話しできたのも嬉しかった。

・(9/10) Gypsy Soul at PROVO (DJ サラーム海上 含む)
・(9/11) サラーム海上の中東音楽講座
 Gypsy Soulは、中東のポップスをかけてくれたり、ライブはベリーダンス、フラメンコから、普段触れる機会のない中近東のダンスを堪能。音楽講座はスライドと動画を見ながら解説してくれて、エジプトのAmr DiabとレバノンのMyriam Farisは一時期通勤の行き帰りにパワープレイしてました。サラームさんの個人誌にサインもらいつつ、少しお話しできたのも嬉しかった。

・(9/19) ゴジラ展 道立近代美術館
 ゴジラシリーズは「シン・ゴジラ」しか見たことなかったけど、そこに至るまでの過程を見ることができて、2時間ぐらい堪能。

・(11/3) 野又圭司展 本郷新記念札幌彫刻美術館
 廃墟のようなディストピアのような作品から、ネット上の炎上を焦げ目のついた木製パソコンで表す少しユーモラスな作品まで。砂で作られた作品には木製の通路で近づけて、その世界に取り込まれたような不思議な感覚を味わえた。

chokusuna0210 at 17:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年12月05日

2016年11月に読んだ本

期間 : 2016年11月
読了数 : 35 冊
逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス)
海野つなみ / 講談社 (2013-06-13)
読了日:2016年11月29日
TLでドラマが面白い、と頻繁にお見かけし、blog「Shi3zの長文日記」でkindle版の一巻が無料と見かけて手に取る。これがきっかけで、ドラマも8話から見てしまう。物語のスタートときっかけはわかった。これからどう転がっていくのかが楽しみ。
コンドームの歴史
アーニェ・コリア / 河出書房新社 (2010-02-20)
読了日:2016年11月29日
BRUTUS 特集 本が好き、つながりで。ローマ帝国の昔から、バースコントロールへの関心があって、使われていたとは。そして、近代にゴム製品として普及するまでは、動物の腸やリネンをはじめとした様々なものが利用されてきた、と。今の基準に照らし合わせると、効果の疑わしいものもあるけれども。そして感染症対策、という意味合いも帯びていく。ただ、素直に使われてきたかというと、バースコントロールへの宗教的な忌避感、あるいは迷信に惑わされて、現在でも使用に反対する勢力があるとは…と。創造的な使用法の紹介は興味深かった。曰く、銃や弾薬を濡らさないようにするために。戦車の無線手はマイクを乾燥させておくカバーとして。沿岸地方に駐留する水兵は装備が湿気で傷む問題を解決するために。出血を止めるため。携帯トイレとして。また、日本、中国など東洋の事例についてはもっと詳細に知りたいと思った。
アグリッパーAGRIPPAー 1 (ジャンプコミックス)
内水 融 / 集英社 (2011-02-04)
読了日:2016年11月27日
ローマものでアグリッパだから、アウグストゥスの時代の将軍アグリッパを描いたものかと早とちりし手にとったが、蓋を開けると、ガリアのヴェルチンジェトリクスを主人公とする物語だった。ローマの支配を壊せ、ここはガリアだ、俺はガリア人だ、と二人から、一部族を味方に引き入れ、自分を追い出した出身部族に乗り込むが…と。
星川洋子 / 合同会社BBC (2016-10-01)
読了日:2016年11月27日
小樽についての短文、好き。星川さんのブラウンブックスの歴史は、思い切りの歴史だなあ、と。新しいことはじめるときは周囲は反対するものだから全部無視してGO、の繰り返し。そして、体阿弥さんのスーパー前向きなエピソード、いいなあ、と。新生活の中でのほっとする珈琲屋さんのエピソードもいい。ものを選ぶ基準、「健康で無駄がなく真面目で威張らない」の力強さ。そして、珈琲と占いの絡まりあいが、転がり転がる小説の楽しさ。続く、って気になる。
三国志外伝 (文春文庫 み 19-35)
宮城谷 昌光 / 文藝春秋 (2016-10-07)
読了日:2016年11月26日
脇役とされる人物を主人公に据えて描かれる短編集。だが、公孫度の前半が董卓の武将徐栄、蔡エンの前半が蔡邕、といった感じで、描写が割かれ、もっと主人公を踏み込んで描いて欲しい、ところもあった。太史慈の話では、愚鈍に描かれる劉繇も、劉繇を主人公にするとそれなりの傑物に描かれていたり、といった対比も興味深かった。正史の三国志を著した陳寿の話も興味深く、また師匠の譙周の佇まいも印象に残った。以下備忘録/劉備は恩人に報いるどころか、必ず裏切ってきた人物/劉備は命がけで他人のために働いたことがなく、これからも己のことしか考えないだろう。(王さん)/王莽の新、滅亡後、短期間、三国時代があった/「わかった、協力しよう」(韓遂)、本当の義俠の人、という描かれ方だった./「河首平漢王」を名乗った隴西の宋建。三十年も続いた政権だった、とは寡聞にして知らず。/今の天子は董卓に擁立されたという事実があるゆえに群雄から尊崇されていない(韓遂)/公孫度が建てたのは王国と言ってよく、亡くなってからもゆるぎなく続いたことを考えれば、四国時代と言ってもいいのでは、と。/恩を忘れず、仇を忘れることができたら、その人は聖人に近い。忘れたふりを貫くことさえ、凡人にはできない/タタール人の砂漠、のような蔡邕の配流先での処遇。「いつ鮮卑の大軍が出現するかわからない荒涼たる平原を、毎日眺めている辛さは、戌兵になってみなければわからないだろう」/蔡エンの作った、回想的な詩、読んでみたい/おそらく父は、上司であった馬謖が、死によって、弁解の道を永久に閉ざされたことを知って、自身も死ぬまで弁解しないと決めたにちがいない/馬謖を用いるなという劉備の言を入れなかった諸葛亮。敗将の言いつけをまともに受けいれられない気持ちがあったのでは、と。ただ、当時の蜀で実践を知り尽くしていたのは劉備。夷陵の戦いも、補給路の長さを突かれたとはいえ、まずい戦い方をしたわけではない、と。/楊震の「四知」、天知る、神知る、我知る、子知る。
講談社 (2016-11-25)
読了日:2016年11月25日
フラジャイル。いつになったら一人でやれるようになるんだ、五年後か、十年後か、他人の人生預かってんだぞバカヤロウ、という檄が刺さる。波よ聞いてくれ。ミナレさんと芽代さんのダイアローグはそれだけでずっと聞いていたい緊張感とテンポとぶつかり合いと炸裂。大上さんだだ漏れです。いいなあ、一生懸命さが空回りしてもちゃんと前に進めてる感。マージナル・オペレーション。鈍いアラタに、ジブリールの思いを伝えるための周りの団結力が微笑ましく。立ち向かう世界との対比でなおさら。球場三食。次回の札幌と北広島という予告に期待。あたりのキッチン!。壮絶な人見知りと料理への愛情と知識、観察眼のブレンドが生み出すストーリーにほっこりする。あしあと探偵。毎回じんわりくるなあ。三話目にしてすでに単行本買いたくなった。春と盆暗もすでに単行本買いたい。四季賞秋の他人の顔。永久保存版。
げんしけん 二代目の十二(21)<完> (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2016-11-22)
読了日:2016年11月25日
どんでんからのさらにどんでん。ひとまずの結論は出した班目。そこに咲さんの登場。受け入れられないとわかっていても、ぶつけられた気持ちが成仏するまで見守ってくれるって、どこの菩薩ですか、と。やり終えた後の班目を見る目がまさに仏。それと重なるのが、地金で嫌われキャラを貫きとおしたクッチーを、仕方ないなあこの人は、という目で見つつも、暖かく送り出してあげる荻上。新人事も手堅く評価され、新会長の初仕事は、それかよ、と暖かくツッコミながら、やはり連載終了時と同じく、げんしけん、第三期を期待してしまう。四コマの後日談も充実。初版についてた小冊子、コメントに、思い入れのある人とない人の差が激しくて面白かった。
波よ聞いてくれ(3) (アフタヌーンKC)
沙村 広明 / 講談社 (2016-11-22)
読了日:2016年11月25日
この巻もパワフル暴走機関車なミナレさん。冠の深夜ラジオ番組の方向性に悩み、すごいネタをつかんだ!と思いきや、勘違いで大迷惑だったり、大先輩に呼び出されての対話の始まりだったり。勢いと空回りと可笑しみが混ざって目が離せない。
好き? 好き? 大好き?―対話と詩のあそび
R・D・レイン / みすず書房 (1978-02-25)
読了日:2016年11月23日
神経症的というかすれ違いというか噛み合わないモヤモヤを感じさせる対話を扱ったものが多く感じた。わたしは糸がなくなったヨーヨーなのよ、と締めくくられる寂しさ。ほんとうに 好き?好き?大好き?と、どれだけ言葉を尽くしたとしても繰り返されそうな問い。もしあたしと結婚しようものなら…のリフレインで語られる、いかにひどい目に合わせるかという詩編、など。/ただいまの 永遠にこそあらね ときとして まさりてあるか 絶えてなきには(59)/世間で言うには 善意ってやつは 地獄への道普請になりもする もしなにごとかにするだけの値打ちがなければ そいつにはちゃんとする値打ちなどありはせぬ(32)/中島敦「石とならまほしき夜の歌八首」は読んでみたいと思った。
思考実験: 世界と哲学をつなぐ75問 (ちくま新書)
岡本 裕一朗 / 筑摩書房 (2013-12-04)
読了日:2016年11月23日
自己、他者、善悪、社会、という大枠で8章に分けて、具体的なエピソードを引いて、思考実験を提示し、あなたならどう考えるか、と問いかけ続ける一冊。白黒はっきりつけて、答えを出すなんてできないけれど、問題のありかと、とっかかりは教えてくれる。/「私」が「私」であるために、心理的連続性、身体的連続性が必須に思われるが、それが満たされれば、それはもう一人の「私」なのか? 「ある時点の人物と、別の時点の人物は数的に同一なのか?」/それが「本物の世界」ではないとしても、その世界に生きる人にとっては、リアルであることは間違いない/自分自身の独立を確立するためにこそ、私は他の人々との連関のうちで生きている。/記号を適切に処理できることは、それを理解することとは別なのだ/ル=グウィン「オメラスから歩み去る人々」(1973)、一人の少女の不幸の上に成り立つ、オメラスの人々の幸福/マイクル・クライトン「ターミナル・マン」(1972)、脳にマイクロチップを埋め込み、暴力的な脳を治療するという発想/事実をどんなに集めても、「それが善いか悪いか」を決定することはできない。/「アルジャーノンに花束をを」では、知能の低い青年に外科的手術を施して、知能を向上させた。それに対して「ハリスン・バージロン」(カート・ヴォネガット 1961)では、能力の高い者に外的なハンディキャップをつけて、能力を低下させることが求められた。/不老不死の王を描いた、ボーヴォワール「人はすべて死す」/断片的なものは、原文にあたってみたく思った。
女騎士、経理になる。 (3) (バーズコミックス)
Rootport / 幻冬舎 (2016-10-24)
読了日:2016年11月20日
帝都までやってきての国債取扱業者になる件も一件落着。戦を終わらす、世界を救う、という司祭補の目論見に否応なく巻き込まれ始めた女騎士とダークエルフ。パソコンが発達するまでの帳簿の修正大変だなあと思いつつ。コラムのメディチ家の帳簿の話しも興味深く。また、チューリップバブルに題材をとった、マンドラゴラバブル。女騎士の来歴ぐ語られる章を読み、チューリップバブルの本が読みたくなった。
テラモリ 5 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2016-11-11)
読了日:2016年11月20日
中央店へのニューカマーの登場。最初は、空回りだったけど、そうなった背景が徐々に明らかにされ、個人プレーだけじゃない、チームワークが実って、店で笑いあえることなんてないと思ってたのに、と。主人公の高宮も成長をみせ、最後の方では、ゆっくりとしか進まない恋路も少し動きだし。というか、最後のコマは、時間の波乱を予感させつつ。違うそうじゃない、のコマ背景に鈴木雅之らしき影のコマが個人的にはツボ。
新井 満 / 文藝春秋 (1994-07)
読了日:2016年11月19日
もう何度読みかえしたかわからない一冊。五年ぶりぐらいに再読。今回は、「ヴェクサシオン」から目にとまった台詞を引用/「雨はね」「傘をさした人の上にだけ降るの」/「人の心はすぐ変わるもんだ」「人の心は変わりようがない」/「生意気なことを言うようですが、大衆というものはもう存在しない、とお考えになった方が良いと思います」/「あっ、十四度C以下だ」/「どうせ始まった生命なら、もう少し大きな零を描いてから死にたい。そういうささやかな希望さ」「何の為の零なの?」「もう一つ別の零を作る為さ」/ 最後の、遠くを見て、相手を見ず、もちろんさ、と繰り返すところに至るところ、そこまでの経緯も含めて、生きることにおける繰り返し、ヴェクサシオンが通奏低音として流れているような、読後感。
兄帰る (ビッグコミックススペシャル)
近藤 ようこ / 小学館 (2006-10-30)
読了日:2016年11月19日
結婚直前に突然失踪した兄。交通事故にあい、無言の帰宅。なぜ?私たちを捨て、いままでどうやって過ごしなにを考えていたのか。婚約者、妹、弟、母の、それぞれの兄をめぐる旅が始まる。別れることは、かわいそうと思われることは、自分のこれまでの人生が否定されることでしょ、ということ。許さないけど、認める、という心のあり方。それぞれの問いかけにそれぞれの答えを得て、ゆっくりと前に動きだす。感懐。味わい深く思い巡らす読後感。あとがきの、人生の決算は棺桶を閉じるまでわからないし、ましてや、本人以外が評価することなんてできない、という趣旨のメッセージが響く。
狼の口 8巻 (ビームコミックス)
久慈 光久 / KADOKAWA (2016-11-15)
読了日:2016年11月19日
1315年、モルガルテンの戦い。オーストリア公弟軍と山岳森林三邦がぶつかる、、騎兵と歩兵の激突は凄惨。他の巻同様、読んでる方に痛さが伝わってくるほど。圧倒的オーストリア優位と思われた戦いは…。騎兵と貴族の戦場が、武装農民に取って代わられる一幕。この世界全部が王侯貴族のものと思うな、二度と来るな、というヴァルターの言葉の重み。この戦いが今も続く永世中立国の歴史につながっているとは、迂闊にして見落としていた。
魚服記
太宰 治 /
読了日:2016年11月17日
坂口安吾「不良少年とキリスト」で傑作とされていたので手に取ってみる。茶屋の娘が滝壺で、水棲生物に変容する幻想譚のようなもの。正直ピンとこず。雨月物語に題材をとったそうだが、太宰自身が、魚服記について、という文で、やらかしちまった、と述べている。
血涙十番勝負 (中公文庫)
山口 瞳 / 中央公論新社 (2002-09)
読了日:2016年11月17日
沢木耕太郎、敗れざる者たち、つながり。芹沢博文、中原誠の項のみ読了。敗れざる者たち、では、ついに俺は名人になれないんだな、と涙する芹沢のエピソードが語られたが、原著にあたると、「芹沢が駄目だとするならば、彼を駄目にしたのは、酒でも博奕でもなく、このような鋭敏すぎる神経である」「名人になれないと思って道路上で泣き出した芹沢の涙にのみ僕は真実を見るのである。」「芹沢の話をただちに否定した米長の言にも真を見ようとする」と、山口氏の暖かい視点が感じられる。
絵でわかる人工知能 明日使いたくなるキーワード68 (サイエンス・アイ新書)
三宅 陽一郎 , 森川 幸人 / SBクリエイティブ (2016-09-16)
読了日:2016年11月16日
shi3zの長文日記 で参照されていて手に取る。簡単な絵でも説明があると、伝わりやすさはぐっと違う。トピックとしては…社会的知能、人工知能同士が相談し合う可能性。検索エンジンを構成する3要素…情報収集、データベース化、検索。クラウドとは、インターネット上の巨大なストレージとその上の豊富な計算パワー。モンテカルロ木探索。自分の仕事を細かく分解しリスト化し、どれを人工知能に任せられるか考える、それによって何割の仕事が置き換え可能かわかる、と。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2015-09-15)
読了日:2016年11月14日
サラーム海上さんの個人誌。サイン本をシャンティブックスで入手。特集はジャジューカ。モロッコの山のなかの村で、年一回50人限定で開かれる音楽祭。もうお客さんも村の人もまじわって、トランス度の高い音楽を聞かせてくれるといったもののようで、確かに、見てて、一体感がつたわってくる。踊りのうまい少年、年々増長しているらしい、てコメントにくすりとしたり。料理紹介、ディスクガイドも、力が入ってるのがつたわってきて、いい創刊準備号だったなあ、と。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2016-11-13)
読了日:2016年11月14日
個人的には大好評!新刊が出たら即、シャンティブックスに駆け込む!ミュージシャンにして旅行家の野崎さんの、初の国内ものにして、舞台は北海道。が、今回は趣向を変えてか、見開き、右頁に、印象に残ったもの、左頁に、ひとこと、といった構成。正直五分で読めてしまうが、味のあるイラストと、こういうのが印象に残ったのか、という視点が興味深くて、これはこれで味だなあ、と思った。
不良少年とキリスト
坂口 安吾 /
読了日:2016年11月14日
バーナード嬢曰く 3、つながりで。歯痛の話から、太宰の入水自殺の話へ。通奏低音は、死んではならない、生きなければ、ということを蓮っ葉な口調で語りかけてくるようなリズム感のある文章。以下備忘録として。/「十日間、私を、いじめたな」 余はブンナグラレ、蹴とばされたり/「太宰が死にましたね。死んだから、葬式に行かなかった」 死なない葬式が、あるもんか。/自殺へのコースをひらいた圧力の大きなものが、彼らの虚弱であったことは本当だと私は思う。/つまり、彼らは、舞台上のM・Cになりきる強靭さが欠けていて、その弱さを現世的におぎなうようになったのだろうと私は思う。結局は、それが、彼らを、死に追いやった。彼らが現世を突ッぱねていれば、彼らは、自殺はしなかった。/第一、ほんとに惚れて、死ぬなんて、ナンセンスさ。惚れたら、生きることです。/死ぬ、とか、自殺、とか、くだらぬことだ。負けたから、死ぬのである。勝てば死にはせぬ。/人間は生きることが、全部である。
珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
岡崎 琢磨 / 宝島社 (2016-11-08)
読了日:2016年11月14日
今回は、ストーリーの柱に、源氏物語が据えられ。正直、通読したことのない身には、一度言われただけでは、ぴんとこないところもあったけれど、ストーリーとからめつつ、誰が言ったの?誰のことなの?というのをぼかしながらの、謎にせまる手法に思いをめぐらせたり。主人公のアオヤマさんの、やさしいところ、やさしすぎるところ、やさしいだけではないところが描かれ、最後には力強く…と。これは続きが描かれるのだろうか、これはこれで、と思わぬところもないではないけれど。ふと思ったけど、嘘は言ってない、誤解を解かなかっただけ、というのと、嘘つきとの間に、当人たちが思うほど、深くて長い溝があるのだろうか。むしろ自覚があるだけ嘘つきの方がましなのでは。受け取る側の方にとっては。
応天の門 6 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2016-11-09)
読了日:2016年11月13日
前の巻から続いて、唐から京へ流れ着いてきた貴人を一肌脱いで助ける道真。その成り行きで、対話を重ね、改めて、唐の文物への憧れを語る道真。家柄など関係なく、科挙を通れば栄達できる唐への憧れを募らす。そして芸術家肌がいきすぎて退廃を体現するかのような源融との邂逅。呪いの桜の木の物語の背景を解き明かし、また一腕振るう。道真の行く末は有名な話だが、どこまで描かれるのかも興味深いところ。
巨娘(3) (アフタヌーンKC)
木村 紺 / 講談社 (2016-11-07)
読了日:2016年11月13日
四年ぶりの新刊。相変わらずの筋の通ったパワフル。ただ、鬼の撹乱もあったり、サチの恋物語もあったり、ポン子と家族の物語もあったり、地下格闘技に潜り込んでの一幕もあったりと、盛りだくさん。なぜか、字が詰まっているのか、みっちり濃厚、時間をかけて読み進めてしまった。
バーナード嬢曰く。 3 (IDコミックス REXコミックス)
施川ユウキ / 一迅社 (2016-10-27)
読了日:2016年11月11日
読んでみたい本がたくさん出てきて困った。/トルストイ「イワン・イリイチの死」”身近な知人の死という事実そのものが、それを知ったすべての人の心に、例の喜びの感情をもたらしたのだった。死んだのが他の者であって自分ではなかったという喜びを。” /坂口安吾「不良少年とキリスト」は早速青空文庫で読んでしまった。歯痛の話から始まって、太宰の入水自殺の話へ。ただ死んではいけないというのではなく、熱い息遣いが伝わってきて。/「読んでない本について堂々と語る本」、読んでみたい。/「高慢と偏見」と「高慢と偏見とゾンビ」と「ジェーン・オースティンの読書会」の関係も味わってみたい。/プッツァーティ「タタール人の砂漠」。こんな風にはなるな、待ってても道は切り開けない自分で切り開け、たいていの人生はドラマチックなことは起こらないそれを受け入れろ、と年代、立場によって様々な感想が、、、と。読んで、自分の感想を試したい/本について、同じ話を、同じテンションで何度もするよ、と指摘された神林が、恥ずかしい、とくずおれながらも、繰り返し、同じ話をすることで、嗜好や考え方が補強され言葉が血肉となって自分らしさというものを獲得できるんだ、だから私は、同じ話を何度だってする!!!と開き直って叫んだとき、町田が微笑みながら、「何度でも」「聞くよ?」といったシーンが、本読みの幸福感をあらわしていてとても好き。こんな本を語り合える友人たちに囲まれた青春時代、羨ましくも懐かしく思った。
わたしたちの猫
文月 悠光 / ナナロク社 (2016-10-31)
読了日:2016年11月8日
詩ならではの言葉のきらめきを舌にのせるようにして楽しみたい。レモンを語り手になぞらえた詩が特に印象的だった。



きみが壁ではないことを

きみを殺して証明したい

懐いた背中をこじ開けて

つきとめる。

(夜明けのうつわ より)



あなたはあなたを

裁くことができますか。

自らのとげを

愛することができますか。

とげを愛してもらえなければ

花は花を生きられない。

(ばらの花 より)



(添え物のような顔をしながら、

こっそり味を変えてしまう---。

そんなひと切れのレモンはいかが、と

わたしはあの人の手を引いてみる)

(レモンの涙 より)
敗れざる者たち (文春文庫)
沢木 耕太郎 / 文藝春秋 (1979-09-25)
読了日:2016年11月7日
沢木耕太郎「流星ひとつ」で、藤圭子との対話の中でとりあげられていたので、手に取ってみる。一度は頂点へ上り詰めた者のその後を描く、と語られていたけど、そういう人もいたけど、登りつめようとして果たせず、という人も描かれているように思った。まあ…そもそも何をもって登りつめたとするか、特に、長嶋を含む三人の三塁手を描く一編が考えさせられる。/輪島功一。テレビでえへえへ笑ってるだけの輪島しか知らない年代からすると、ここに登場する輪島は、プロ中のプロだ。かっこいい。リアル世界でのロッキーかと思うぐらいの。/カシアス内藤について、著者は、燃えきれなかった、と期待したのに期待にこたえてくれず、醒めた筆致を感じるが、そもそも傍観者にすぎないのに、他人の人生に手をつっこんでひっかきまわし、俺がお前の人生変えてやる!と言わんばかりの筆致に、若気の至りか、傲慢さを感じた。その手には乗らないよ、と言わんばかりの内藤の飄々としたところも、筆者は言い訳がましくかくけど、当事者とすれば、当然ではないか、と。/以下備忘録。/内藤のこういう感受性は、ボクサーとして余りにやさしすぎる。だが、それを除いて内藤純一はありないとしたら、それも仕方ないことだ。p.46-47/芹沢博文 「ああ、俺は、名人になれないんだな」 山口瞳「血涙十番勝負」/人間は、燃えつきる人間と、そうでない人間と、いつか燃えつきたいと望みつづける人間の、三つのタイプがあるのだ、と。望みつづけ、望みつづけ、しかし”いつか”はやってこない。内藤にも、あいつにも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも...。p.59/彼にそれができたのは、何かが欠けていたからだ。プロスポーツマンとして大事な何かが。しかし、それは、大事な何かを持っていたということと同じなのだ。プロスポーツ以外の世界で生きるための…。p.86/人生に真の「もしも」など存在しない。まさに、そのように生きるより仕方なかったのだ。p.142/日本ダービーが、天皇賞にも有馬記念にもない熱気を生む理由のひとつは”たった一度”を持ちうるものへの人々の羨望が、乱反射するからにちがいない。p.149/プロというのは与えられた条件を必ず満たせるから金を貰うんだ。減量に苦しんでるなんて、これは恥かしくて人になんかいえることじゃない。p.237/彼のいう<いつか>を、このぼくの手で作れないものか、と思ってしまったのだ。p.246/この世界は勝った者が官軍です。勝った者が強かった者なんです。五回のパンチがどうしたということじゃなくて、柳は強かったんです、だから輪島に買った。p.266/<<結局、内藤君は信じきれなかったんだな>><<なにが?>><<ボクシングさ。ボクシングを信じ切ることができなかった>>p.269/ しかし輪島は逃げなかった。彼が追いつめているのは、柳でもなく、チャンピオン・ベルトでもなく、金でもなく、名誉でもなく、彼自身だったからだ。逃げるわけにはいかなかった。(p.282)/
毎日かあさん13 かしまし婆母娘(ばばははむすめ)編
西原 理恵子 / 毎日新聞出版 (2016-10-22)
読了日:2016年11月6日
家事なんか仕事なんか後回しでも、小さい時の子供達をもっともっとかまってやればよかった、て感慨の巻末の短編がよかった。反抗期を迎えた娘に、留学帰りの息子、いつもゴーイングマイウェイな母との日常が描かれるシリーズ最新作。
きみの言い訳は最高の芸術
最果タヒ / 河出書房新社 (2016-10-26)
読了日:2016年11月6日
高速で耳元で詩的/私的な語りを聞かせてくれているような読み心地。分かり合えなくて当たり前、距離感は人それぞれ、と。以下目にとまったところ。「彼らが望まない限り、彼らの何かを知りたいと望むことは愛があろうが優しさがあろうが傲慢でしかない」「死んでしまう可能性はいつだってすべての生物に存在していて、多分その不条理が、命の定義を作っている」「ポジティブの原点には、完全に甘えのないネガティブがあるのかなあ」「他人をばかにしないと保てない自尊心なんて、要は基盤が皆無ということさ」「言葉によって切り捨てられてきたものを、詩の言葉なら救いだせる信じている」「その人がどんな人であるかなんて、「そこにいる」というその事実に比べたらやっぱりとてもちっぽけだな」。川島小鳥さんの「BABY BABY」、夏になるとめくるというところに共感。個人的にも大切な一冊の写真集なので。
伊藤 裕 / 講談社 (2002)
読了日:2016年11月6日
期待していたよりトンブクトゥの部分は少なめだった。ただ、ジンガラベルやサンコーレなどカラー図版が豊富だったのは良かった。ジェンネの大モスクの年一回の外壁の泥を塗り替える修復作業が、宗教的な意味合いを持つとは。それ以外には、奴隷貿易の拠点となったゴレ島の記事が興味深かった。
とるこ日記―“ダメ人間”作家トリオの脱力旅行記
定金 伸治 , 乙一 / 集英社 (2006-03)
読了日:2016年11月4日
昔よく流行ったブログ本の体裁。基本、左ページに、定金氏がメインの文を書き進め、他の二人が、右ページにツッコミというか脚註というかを挿入していくというスタイル。今となっては読みづらいことこの上ない。慣れるまで大変。宣言通りトルコの情報が、見所が、考察が、てところは期待しないでください、というのはその通り。ただ、ゆるい感じの、グダグダとしたやり取りや、行き当たりばったりの道中記はちょっと面白いかなあ、といったところ。松原さんの詳細な出てきた料理メモは興味深かった。トルコのお菓子、頭痛がするほど甘いというのは同感。
僕はコーヒーがのめない 6 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2016-10-28)
読了日:2016年11月3日
ジャマイカでの体験、新たな焙煎氏の登場、波瀾を予感させつつ、次巻でいよいよ対決、そして完結巻。ほんのり甘み感じるコーヒー、飲んで見たい。そして、普段コーヒー豆栽培に携わってる人たちに飲んでもらうシーンがいいなあと思った。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
永井 孝尚 / SBクリエイティブ (2016-10-06)
読了日:2016年11月3日
プログラマー社長のブログ | 書評:これ、いったいどうやったら売れるんですか? http://blogs.itmedia.co.jp/komata/2016/10/post_135.html で見かけて手に取る。吉野家、ブックオフ、セブンイレブン、はなまるうどん、きゃりーぱみゅぱみゅ、ベンツ…様々な事例をもとに語られるマーケティング理論。具体例が挙げられるのですっと入ってくる。以下備忘録的に/「心拍トレーニング」ができる時計、登山専用ウォッチ、GPSで世界のどこでも現地時間に合わせる時計など、バリュープロポジションを提供できる商品/メルセデス・ベンツ社の買った後のアフターケアの素晴らしさ、オーナーだけ見られる会員専用サイト、コミュニティ、走行距離、保有期間に応じた表彰、走行不能時の無料修理サービスなどなど。それらが巡り巡って、次回の購入につながる、と/「コストは事実、価格は戦略」/セブンイレブンが持つ、年齢ごと時間ごと商品購入データの強み。「朝はサンドウィッチを買うビジネスマンが多いので、美味しいコーヒーを出せば売れる」と考え、企画し、大ヒットしたのが、セブンカフェ/親会社からはなまるに社長としてやってきた人物が、健康うどんを企画し、女性にターゲットを定め、それを広く知らしめるために実施したのが、「期限切れクーポンで50円引きキャンペーン」。一度来てその良さを知ってもらい、リピーターになってもらおうと。その業績改善が評価され、さらに親会社の社長に抜擢、と。もっと調べてみたい/マイケル・ポーターの5つの力、買い手、代替品、新規参入業者、売り手、同業者という観点から見た、ブックオフ(創業時、最近)、普通の新刊本屋、イケメン店主がのんびり構える鋭いセレクトの個人経営古本屋が、興味深かった。
とんかつDJアゲ太郎 8 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-10-04)
読了日:2016年11月2日
IKENOSUKEの逆方向勘違いからの迷走、別名義での開花、突然のイ・ドンミョンの発表と粋な計らい、妹のやりたいことを見つけた先でのアゲ太郎との邂逅。そして、神戸のパンとのコラボでカツサンド。最後に父親がクラブまで足を運んでくれて、やっていることを認めてくれた感がなんだか嬉しい展開。
きのう何食べた?(12) (モーニング KC)
よしなが ふみ / 講談社 (2016-10-21)
読了日:2016年11月1日
だんだんと高齢で来られなくなったお客さんのための出張カット、その時のものが遺影に使われて気持ちがこみ上げたケンジの話とか、事務員さんを増員せねば、で、一人目はあっという間に続かず、二人目は、おっちょこちょいなところもあるけど、機転も聞き、筧の秘密も察しつつも、さらりと気遣って明かさず、と。なんだか巻が進むごとに年取ってからの関係のあり方見たいのが、より描かれていく方向に。


2016年11月01日

2016年10月に読んだ本

期間 : 2016年10月
読了数 : 52 冊
山賊ダイアリー(7)<完> (イブニングKC)
岡本 健太郎 / 講談社 (2016-10-21)
読了日:2016年10月30日
狩猟の日々は、それほど変化なく淡々と描かれ、ネタが尽きてきたかなと思いきや、銃を置く仲間あり、生き物を撃っていのちを得る感覚が描かれたりで、エピローグへ。また少し違ったタイトルで続くとのこと。
君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
加納 新太 / KADOKAWA/角川書店 (2016-07-30)
読了日:2016年10月30日
瀧、テッシー、三葉の妹四葉、三葉の父の視点から描かれるサイドストーリー。映画では語られなかった内心にまで踏み込んだ描写が、映画を補完してくれる。特に、父の来し方、三葉の母との出会いと別れ、変遷、そして決断に至るまでが描かれて興味深かった。/瀧の中での宮永三葉は、行ったこともないバイト先にいきなり飛び込み、その場しのぎと憶測となりゆきでなんとか仕事をこなし、失敗したら愛想笑いでうまいことやりすごす、とてつもなくファンキーな女だ。(p.61)/まず、満足からスタートしてくれれば、俺がもうちょっと何とかするでさ。(テッシー)(p.78)/思うに、カップのアイスクリームは、ゆっくり溶かしながら食べるのが美味しい。(四葉)(p.130)/「愛し、に似てゆかし、ですね」(二葉)(p.220)/俊樹はもはや、神への信仰を中心とした共同体を、まったく信頼できない。それを壊したい。この構造を壊したい。神という概念が気に入らないし、それに取り憑かれている人々が気に入らない。(p.254-5)
よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ
清水 亮 / KADOKAWA (2016-10-17)
読了日:2016年10月30日
大半は、人工知能の研究手法、あるいは、こういう活用方法を、という手堅くもわくわくするインタビューだったけど、最後の一章は、世界、地球、宇宙、銀河系まで突き抜けた、スケールの大きなもの。活用するとかではなく、人工知能が仮設を提示し、検証し、それをさらに磨いていくことを繰り返した先には…という壮大な話。それを実現するためのハードを我々はつくるという強い宣言。この社長の話(齋藤元章PEZY Computing創業者代表取締役社長)、もっともっと聞き続けたい!と思ってしまった。また、ドワンゴが出しているというスタイル転写もできるという「OpenToonz」もさわってみたいと思った。興味深いトピックとしては、”画像から文章、文章から画像を生成する人工知能によって、文意を意訳する可能性”(松野豊特任教授の説)、”勝手にドローンを飛ばして、事件のありそうなところにドローンが行って、CNN/LSTMドローンの映像から自動的にキャプションを生成して、ニュース番組をつくって、そのニュース番組の原稿も全部生成してみたいなのは、すぐできそうですよね”、”自由意志は全て幻想であり、意識は全て起きてしまったことに対して”後付け”で辻褄をあわせるだけの存在だということです。”(前野隆司教授の説)、一歳半のまま十八年半生きた女性の例、一例でもあれば生物学的には不老が可能であるという見通し。
幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)
黒谷 知也 / 小学館 (2014-10-30)
読了日:2016年10月30日
短い断章断章で織り込まれる感懐。何度でも味わって読みたくなる。一度読んで、次の日にまた一度読んでしまった。結婚直前に自殺してしまった婚約者。何かを暴くだけが正義ではないのではないか、と。「消えやすいよろこびを何で歌っているひまがあるだろうか」(佐藤春夫「詩論」)、畢竟、飲み込めない悲しみを消化するために、歌は生まれるのだ、と。理由を決めつけてしまいたくない、僕のせいだとわかる覚悟、救うことができたという覚悟、一生わからないかもという覚悟。幸福はアイスクリームみたいに溶けてしまう、というつぶやきが一端をあらわしているのかもしれない。/どうしてみんな物事を判断とか解決とかしたがるのだろう。いくら言葉を重ねても足りないことを単純な言葉で納得しようとする。/離れてたって家族じゃないか 絆があるまま別れるのならそんなに悲しい別れでもない、とひとり思うなんでも整理してしまいがちなクールな兄。/お酒が好きな客に、アルコール中毒で主人公が入院する話を進める書店員。/定年後の嘱託の国語教師との静かで穏やかな時間。作文コンクールの推敲、二人だけの時間。年を食ってた方が年輪がある方が喜ばれる木というのはいいですね 桜はいいですね 私もかくありたいと思ってきましたが、と。私はあの頃の若さが、未熟さが嫌だった、先生のような大人の美しい優しさを持ちたい、と思ったという感慨。
逆境エブリデイ
大川 弘一 / 講談社 (2014-01-22)
読了日:2016年10月30日
堀江貴文メルマガ 2016/08/22でオススメされてた、まぐまぐ創業者の話。訴訟、訴訟に疲れた心を引きずって、「できるだけアウェイで戦う」というルールのみを己に課し、世界各地へポーカー旅。調子に乗って突っ込んで負けてとほほとなったり、粘りに粘って賞金を手に入れたり、カンボジアの田舎道をボロいバイクで疾走したり。最後の、つづく、に期待したいところ。/「ズルじゃなくて、ズルする奴を非難して負けるくらいなら、ズルする奴にどうやってでも勝つ方法を真剣に考えて勝つほうがずっといいとおもうんです。特に僕らみたいなベンチャーは」p.22/仕事もモノも選びまくれる世の中で、なんとなくそれらを選んできた<普通の人>が、ある日突然<働き手>として選ばれなくなった時、人はどこまで時間を遡れば、そんな未来から逃れられるのか p.61/誰にも邪魔されない永遠を感じ、恍惚の対価を求められることもなく延命も終演も完璧な因果となって訪れる。ここまで残った俺たちは、ほかの誰よりもその時間を味わうことが許された者なんだ。p.221/どこの国で今何をしていようと、生きているうちに自由に気づき、生きているうちに明日生きる場所を選べたら。少しだけ離れた場所にある別の生き方に気がついて、なんとなく続けてきたことをやめることができたなら。この世界はなんと美しく、なんて輝いて見えるんだ。p253/
ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀 (歴史新書y)
洋泉社編集部 / 洋泉社 (2016-10-04)
読了日:2016年10月28日
黒幕説については、あらためて、長宗我部も、足利義昭も、朝廷も、イエズス会も、あり得ないことをあらためて提示。明智光秀についての諸論考は正直ものたりなかった。特に、肖像画から得た印象に各史料をあてはめていくとうのは…と。本能寺の変前後の状況については、一般的に伝えられているイメージからすると、実際はもっと地味で実利的な状況だったのだな、というのが伝わってきた。以下、備忘録的に。得られた知見とまとめと手にとってみたい書籍・論文。/五月下旬の段階で、本心はどうであれ表面上は信長に恭順することを元親は決定し、一方で信長の側はそれを知らずに四国攻撃軍を編成していた。そして元親と信長の関係修復に奔走していた光秀も、元親の恭順を知らないまま、六月二日に信長の殺害を実行したのである。(p.21)/信長の光秀折檻事件の背景には、信長の家臣団統制の矛盾が横たわっていて可能性を指摘しておきたい。有力家臣間の裁定に光秀・利三が激しい拒絶反応を示した可能性がある。p.36/分国法がなく信長の上意のみが法とするならそれをくつがえすには自力救済しかなかったのでは、と。/信長は「天下」を継承したとは言え東アジア通交に必要なスタッフ・アイテム・ノウハウを十分に継承したとは考えにくく、信長の東アジア認識はリアリティをともなわず、宣教師のもたらす海外情報に影響され、明との「外交」ではなく「征服」を選択したのでは、と。また「征服」の考えを示した史料も宣教師発のもののみ。/暦の支配が、本能寺の変に朝廷が関わっていた要因ともされたが、現実には当時朝廷の暦は全国に行き渡らず各地で地方暦も存在していた。/信忠は、これほどの襲撃なら退路はふさがれているはずという認識で自刃したが、実際は光秀の行動が隠密裏だったため、退路までは塞がれておらず、安土へ落ち延びることも可能だった。/盛本昌広「本能寺の変 史実の再検証」/当時の人々も、将軍を廃された義稙ですら上洛し将軍に復位したのだから、将軍を辞めてもいない義昭であれば、京都を奪還するかもしれないと考えていたであろう。ましてや、信長の方が先に死んだのだから。p.164/各地域に成立した戦国大名は、自らによる全国統一を目指して争ったかのようによくイメージされる。しかし、それは違う。大名たちの関心事は領国支配の安定であり、天正年間の戦争は織田氏か足利氏かを選択し、その陣営に加わるというものであった。p.167/戦争の行方によっては、義昭が帰洛を果たし、再び幕府が京都や畿内を支配しかねない状況であったのである。そうした情勢を断ち切ったのは、秀吉の関白就任であった。p.172/織田と毛利の戦争は、信長着陣を待たずして、すでに決着がついていたといっても過言ではあるまい。p.182/教団が信長を謀殺することで得られるものは何も無い、と考えるべきだろう。p.193/鷺森移転は雑賀衆対策としての信長の意図を含んだ計画であったと見ることができるのである。p.202/ある程度確実に言えるのは、/長の大陸侵略計画は実在した蓋然性が高いこと。⊃ニ期にスペインなどイベリア勢力が大陸征服計画をいつでも遂行する意志をもっており、日本人の戦闘力を動員しようとしていたこと、である。p.223-4/清水有子「イペリア・インパクト論再考-イエズス会の軍事的性格をめぐって」歴史評論773,2014年/清水有子「織田信長の対南蛮交渉と世界観の転換」(清水光明編「「近世化」論と日本」勉誠出版、2015年)/金子拓「記憶の歴史学-史料に見る戦国」講談社選書メチエ、20111年
講談社 (2016-10-25)
読了日:2016年10月26日
「波よ聞いてくれ」店の名前付けてと言われて、”じゃあ、ハイヌウェレはどう?”…てミナレさん…。そんな話ししながらワイン楽しめたら…のくだりも好き。「あしあと探偵」今回も心に残る。コミックス買いそう。人間そんなに割り切れるもんじゃないでしょう、と。四季賞の「グロース・フォース」スケール大きいなあ。「恋と盆暗」中央線の駅名がキーに。穏やかで静かにじわじわくる。「フラジャイル」”医者の仕事の半分は無事に旅立たせることですよ 僕の仕事です” 「螺旋じかけの海」は相変わらず、どこまでが人で…ということを考えさせられる。
王の挽歌〈下巻〉 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1995-12)
読了日:2016年10月24日
 家臣による父の暗殺、長年養育してくれた忠臣の加担、誰も信じられぬ、また父の死にほっとし、反乱者の妻女をもてあそぶ宗麟、己も信じられぬ、ザビエルの生き様が心にささり、南蛮が貿易の利をもたらさぬと知ってからの入信。日本人の心性が泥沼のようにキリスト教の教えをまげていくという「沈黙」でも語られたテーマの再出。宗麟の臨終で終わりかと思いきや、愚物とさげすまれ領国を追われた義統の最後まで、最後は父の心情を理解できたと感じたところで、幕が降りる。/しかし自分には黄金の茶室を作るほどの下賤な趣味はないことに宗麟は今の利休の嗤いで、誇りを感じ、勇気づけられた。上p21/「豊後一国でよし」上p29 /「これが神か。かくもみじめな裸の姿にて磔となった者をそなたたちは神として崇めるのか」上p104/「この国は私がゴアで想像してたような国ではなかった。この国には我々が考えもつかなかった泥沼があるような気さえします。我々が植える苗の根をいつか腐らせてしまう沼が…」上p112/「その王は戦うたことはないのか」「戦うたことはございました。しかしそれは奪うためではなく、侵す者を防ぎ懲しめるのみでございました」上p120/「戦には善き戦もあれば悪しき戦もございます」上p139/ザビエルのことを考えると遠く手の届かぬ山を歩いている孤高な人ーそんな感じを宗麟は抱く。(あのような男には余はなれぬ。だがあの男を蔑む者も余は認めぬ)上p152/一方では浄らかな世界への憬れがある。そのくせ自分でも驚くような残忍な感情もひそんでいる。一方では母なるもののやさしさへの思慕を持っているのに、同じ女性でも矢乃のような女への嫌悪と憎しみもまじっている。太守として権力を更に得たいという権勢欲望を上抱きながら謀反や死への恐怖に絶えず脅かされている。上p213-4/(余には矢乃と別れる勇気さえ持てぬ)(余には親虎のごとき信念もない)(余にとっては禅は何も与えてはくれなかった。余は和尚の申すごとく常時不動の心を、明鏡止水の境地を持つこともできなかった。解き難し、吟懐一夜の水)下p47
東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)
清野 とおる / Bbmfマガジン (2009-06-16)
読了日:2016年10月23日
どうしようもない看板の割れてるような居酒屋に突っ込んで行きたくなっちゃう気持ち、わかるなあ。そこで一見怪しげ、話すと気さくで愛すべき人たちと仲良くなっちゃう、というのも。魅力的に描かれる赤羽。
アルキメデスの大戦(1) (ヤンマガKCスペシャル)
三田 紀房 / 講談社 (2016-05-06)
読了日:2016年10月23日
世は大日本帝國。数学の腕一本で海軍に乗り込み、不正を暴こうとする主人公の登場。続きが気になる。
小説 君の名は。 (角川文庫)
新海 誠 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-06-18)
読了日:2016年10月23日
映画にほぼ忠実なノベライズ。画面上ギュッと凝縮されてて読み取れなかった部分、細かなところを補足してくれたようには思うけど。さらに深くはサイドストーリー本を手に取ろうかな。/「紐は、時間の流れそのものだって。捻れたり絡まったり、戻ったりつながったり。それが時間なんだって。」「それがムスビ…」/
王の挽歌〈上巻〉 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1995-12)
読了日:2016年10月23日
プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2016-10-19)
読了日:2016年10月22日
大団円、と思いきやの、つづく。いつくるかわからない日を待つより、今のベストをつかみたい。腹の括り方が違うなあ、と。そして、つづきの物語が気になる。自分の理想の間取りを思い描き、丁寧に時間をかけて、選び抜いた物件。そこで暮らす日々が描かれるのだろうか。
放課後さいころ倶楽部 8 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2016-10-12)
読了日:2016年10月22日
学年がひとつあがって、新キャラ登場。不良だと思われて友達も少なくて、一匹狼な子。真面目に波風立てずが信条のボードゲームおたく、けど父の転勤で対戦相手がいなくて…な子。ゲームのことをまっすぐに語る店長のもとに集い。そして、前の巻までの子達はでてこないのかと思いきや、それは次巻に持ち越されそな予感。クアルト!これだけはやって見たいなあと思った、今回でてきたゲームで。ちょっと捻られた四目並べ。
戦国大名の「外交」 (講談社選書メチエ)
丸島 和洋 / 講談社 (2013-08-09)
読了日:2016年10月22日
戦国大名を地域国家に見立て、その間の交渉を外交とし、外交書面の書式や儀礼が説かれ、直接交渉ではなく、一門・宿老や側近が務める取次を介して進められる様が描かれれる。研究者ならざる身には各大名のケーススタディが興味深かった。島津義久の命令を無視してでも豊後に攻めこもうとした取次島津家久、上井覚兼。北条氏康・氏邦ラインの外交とは独立して上杉氏の取次に立候補した北条氏照。その過程で描かれる、一般的な「義」の武将とは懸け離れた、上杉謙信の相手がたの条件だけ積み上げるけど自分は全く譲歩しない、やらずぶったくりな外交。武田信玄の駿河侵攻にあたり、一族の女性が保護されなかったことに激怒し開戦した北条氏康、など。作法としては、同盟破棄を通告してから攻めるのが通例だったこと。境目の国衆の両属は、美濃遠山氏のように承認されていたケースもあった。また武田北条境目の村が半分ずつ年貢を納めるようなケースもあったこと。取次は制度的に決まったものではなく、書状を受けた家臣が、では私がと名乗り出て主君が追認するケースもあり、私的な契約が公的な外交関係に用いられた。その過程で相手国から知行を与えられることがあり、それは自国への外交交渉を有利に運ぼうという思惑から行われたと推定されるが、主従関係の発生にまではいかなかった。また当時の考え方で、取次が独断専行してしまったものでも、面目を潰してしまうから、と追認されるケースがあったこと、取次は「外聞が大事」なあまり独断専行を取るケースがあったことなど興味深い知見が得られた。島津家久・上井覚兼のケースが一番興味深かった。「島津家久は、国衆を従属させる際には、独断で事前交渉を行ったばかりか、場合によっては虚偽の報告をすることも辞さなかった。上井覚兼は、国衆を保護するためには、大名である島津義久の意向にさからって、指揮下にある軍勢の出陣を中止させたうえ、独断で援軍派遣を実施しようとまで考えた。これはすべて、取次としての外聞を重んじた結果である。」(p.209)「取次にとっての交渉相手は、何度も接触を重ねて契約を結び、保護を加えることを誓った対象であったのに対し、大名にとっては、いまだ従属を果たしていないほとんど無関係の相手であった」(p.209)。終章では、「戦国大名は、自身が家中の支持を得て、家中によって支えられた存在であることを、取次を通じて対外的にアピールすることで、権力の存立と安定を図ったと評価することができるであろう。」(p.236)とされる。
ミュジコフィリア(5) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2013-01-28)
読了日:2016年10月20日
現代音楽作曲家川島素晴氏のブログで知る。現代音楽を題材にした漫画、とのことで。実際の作品をモデルにした曲、「インべンション1」や「四苦」などもとりあげられ。難解にしてマイナー、浮世離れしていると語られがちな現代音楽に、大真面目に取り組む若者たち。自分とはなにもかも違う腹違いの兄に、対抗心をもやしつつ、自分の道を確立しようともがく朔。徐々に才能は開花し、凪と出会ったことで一気に花開く。海外のDJとのコラボ、湯浅譲二先生のクラスで示唆された「未聴感」、会員制の音楽家サイトでのポリゴンを使った音楽概念の昇華。正直、個人的には、もっと現代音楽界の話を追ってほしかったけど、凪との出会い、メジャーデビューの過程で物語の速度は一気に増し、それと同時に音楽の話も一気に壮大に、宇宙レベルに、抽象化され、霧散していった印象。けれど、面白かった。明るい余韻を残して閉じられる物語。ひさびさにCDをひっぱりだしてきて、メシアン、ブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキス、シェーンベルク「浄夜」と聴きまくってしまった。/「生きとる人間に届かないものは意味がない」/
ミュジコフィリア(4) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2012-08-28)
読了日:2016年10月20日
知の英断 (NHK出版新書 432)
ジミー・カーター , フェルナンド・カルドーゾ / NHK出版 (2014-04-09)
読了日:2016年10月17日
 大統領、首相経験者、大主教、ヴァージンの経営者という叡智を集結して、世界の和平を推し進めていくエルダーズ。そのような組織があるということも初耳。そして、硬直化した国連や国民国家ではなし得ないことを構想し、推し進めていく。麻薬問題を犯罪ではなく健康問題へ。少女結婚をはじめとした女性を縛る慣習の撤廃。などなど。以下備忘録的に。/カーター、なぜアメリカはイスラエルを強く支援しているのでしょう、に対しては、答えていない、今後もアメリカが支援しないということは考えられない、ずっと支援しつづけてきたから、としか。/われわれが見落としがちなのは、すべての主要宗教は、概して同じ基本信条を持っているということです。すなわち、すべての人が平和を願い、温かいもてなしというものを良しとし、困っている人がいればいつも手を差しのべ、困窮のきわみにある人々に対して時間とお金を使うことにやぶさかでない、ということです。(p.65-66. カーター)/需要を減らさない限り、ドラッグの問題は解決しない。(p.79)ドラッグに対する「戦争」ではなく、ドラッグを「健康問題」にしようと(p.80)(カルドーゾ)/ジェフリー・サックス「世界を救う処方箋」、ジョセフ・スティグリッツ「世界の99%を貧困にする経済」、リチャード・ブランソン「ヴァージン」は読んでみたいと思った。/
空気のつくり方
池田 純 / 幻冬舎 (2016-08-30)
読了日:2016年10月17日
DeNAベイスターズ球団社長の仕事。/ 在任5年間で、入場者数はほぼ倍増、30億の赤字も解消し黒字転換の見込み、横浜スタジアムも買収し一体経営。監督がいてチームがあって野球をしているけど、それ以外のコントロールできる部分は、すべてコントロールする、と。グッズ、イベント、などなど、いくつもある可処分時間を奪い合う構造のなか、球場にいけば何か楽しいことがある、と思わせる、ボールパーク構想。その発想にいたるために何をしてきたのか、いまどうしているのか、他のことに展開するとしたらどうしたよいのかが、丁寧に語られている。以下備忘録的に。/たとえベイスターズが試合に負けたとしても、球場を訪れたこと自体で満足できるような「ボールパーク」にするのが集客の王道です。(p.20)/友好的TOBは二〇一六年一月二一日に成立し、ハマスタの運営会社である株式会社横浜スタジアムにおける、ベイスターズの持ち株比率は七六%にまで達しました。(p.41)/立ち寄る書店は、できる限り毎回場所を変え、その街ならではの空気やその本屋さんの趣味嗜好を感じ取るのも楽しいものです。(p.88)/「なりたい自分」を明確に持って、ブレずに、一本の筋をきちんと通して、世の中に新しい何かを提案し、それを伝え、共感してもらい、浸透させていく。それがコミュニケーションであり、マーケティングであり、ブランディングであり、経営なのです。(pp.244-245)/本物を提供するためには、本物を知らなければなりません。そのためには、常日頃から、見て見て見まくり、聴いて聴いて聴きまくる必要があります。(p.264)/ベイスターズオリジナルビール、飲んでみたい。/
でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)
ゆうき まさみ / 小学館 (2015-01-09)
読了日:2016年10月16日
こっそり妹の名前で兄が応募した漫画が、新人賞を受賞!最初は自分の作品が通ったのかと思った妹も事実を知り…から始まるドタバタコメディ。兄の飄々さと、妹の漫画家としての成長が印象に。
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(3) (ヤンマガKCスペシャル)
マキヒロチ / 講談社 (2016-10-06)
読了日:2016年10月16日
フランス人編集者に十条をお勧めしたり、婚活合コン頑張りたい女子には、うちまで送っていくよ、送っていくよと言われた時、うまくいかなかった時のケーススタディこみで街案内しながら恵比寿をお勧めしたり、古き良き昭和の街とアメリカ文化の絶妙な混合で福生に心惹かれたり、ロックな女子二人に煽られて、楽しく暮らすことの優先順位を改めて見直したり。主人公二人の実家リノベーションは次巻でどうなるのか。小石川図書館の突き抜けた魅力にも心惹かれた。/「ずっとなんてないって思い知るのにどうして人はそれを忘れちゃうのかな 人も街も変わっていくのに どうして受け入れられないのかな」「仕方ないよ 出会っちゃったんだもん 好きになっちゃったんだもん」
ニャンコ先生が行く! 2 (花とゆめCOMICS)
カネチクヂュンコ / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月16日
ニャンコ先生が、ゴミ袋かぶったり、寝袋に詰めて連れてけ!ていうからチャック閉めたら毛がはさまったり、勢いとあさっての方向の力強さがおかしくて、ついつい笑ってしまう。
ミュジコフィリア(2) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2011-11-28)
読了日:2016年10月16日
ミュジコフィリア(3) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2012-03-28)
読了日:2016年10月16日
BRUTUS特別編集合本・本屋好き (マガジンハウスムック)
マガジンハウス / マガジンハウス (2014-07-01)
読了日:2016年10月16日
さまざまな新刊書店、古書店を紹介する一冊。札幌ではくすみ書房が大きく取り上げられていたけど、惜しくも閉店。北方関係のことは書肆吉成が強い、と取り上げられていた。あと、沖縄のカフェユニゾン、行ってみたいなあと思った。/DJ読書イベントとか興味ある。元シンクロ日本代表で今は書店主とか、イベント会社勤務、彫刻家安田侃の弟子からの書店主とか波乱万丈な経歴の方も。そしてカラーブックスシリーズ。すすきのママ101人とか混浴温泉とかどんなラインナップなのか。あと避妊具の歴史みたいな本もどんなのかきになる。
ミュジコフィリア(1) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2011-07-28)
読了日:2016年10月16日
海猫屋の客 (朝日文庫)
村松 友視 / 朝日新聞社 (1989-05)
読了日:2016年10月15日
今月中に閉店の小樽の海猫屋に駆けつけた縁で手に取る。なかなかに、現実の店や街を題材に、著者の小樽人気質を織り込んだ、訳ありミステリーフャンタジーと言ったところか。魚藍館とか本当にあるなら泊まってみたい雰囲気。一癖ある小樽にこだわりを持ち、小樽を語らせたら人後に落ちないマスター。暗黒舞踏の踊り手キク。東京から来た失業という職業となのる清宮。東京から来た自称女優のゆみこ。ベース弾きの河原。訳あり一癖なんでもこいのラインナップで進むストーリーは、途中から幻視とサスペンスも加えて、小樽の街を彩る。以下備忘録的に。/「それぐらい毒づいてくれないと、つき合う熱がわいてこないからね」/血と風は熄まぬ。通り魔のあとに続け。天に一物あり。死の灰に詩の灰。一日の刑は十年の刑。鳥啼く里の鎌いたち。舗石も剥がして歩け。陰の毛 ひなたの毛。瞳尻の夢見知らず。(瀧口修造)/フゴッペのストーン・サークル/「だって、怪しいやさしさを持っている人だもの」/小樽に住んでいながら、小樽、小樽って話してさ、よくもまあ飽きないと思うけど/極彩色の幻想を見た、駅裏の「国際街」/北一ガラスの珈琲館/「悲しきは小樽の町よ、歌うことなき人々の声の荒さよ、か」(石川啄木)/キャバレー現代/
いつかティファニーで朝食を 10 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2016-10-08)
読了日:2016年10月15日
リサの結婚をめぐって、本人も含めて四人のストーリー。まだいいかなあと思ったり、改めて頼もしく思えたり、お互いの関係を見直すきっかけだったり。そして、歌舞伎町で焼きそば食べたい!美味しい讃岐ウドン食べたい!と強く思った巻。
最果てにサーカス 3 (ビッグコミックススペシャル)
月子 / 小学館 (2016-10-12)
読了日:2016年10月15日
富永の死、泰子と小林の同棲、奇妙な三角関係、お互いに文学的に高め合える関係。中也の囁きは、福音なのか呪いなのか。大きく余白を残して第一部完。正直もっと読みたい感を残しつつ。
漫画家ごはん日誌 たらふく (フィールコミックス)
はらぺこ編集部 / 祥伝社 (2016-10-08)
読了日:2016年10月15日
夏目友人帳 21 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月12日
古書店を舞台にした一編と、ぐずで小さいけど起こし係に任命された妖かしの奮闘の一編が印象に残る。古書店で本を選んでるだけなのに、体の一部からちょっとずと力が抜かれる、ってのもホラーですなあ。起こし係りの話は、ニャンコ先生の貪欲そうでいてきちんと気遣いもするところがなんとも愛らしく。
水の色 銀の月(1) (モーニング KC)
吉田 基已 / 講談社 (2006-07-21)
読了日:2016年10月12日
「夏の前日」の後日譚なのかパラレルワールドなのか。みんなに優しく笑顔で好かれる森。いつもつんつんな哲夫。なんだかんだと森のことが忘れられない華海。黄色いレインコートで悲しげに歩道橋に立っていた星。ああ、青春だなあ、といったモヤモヤ紆余曲折を経た人間模様が、次巻でまとまるのか。
山田航(編集) / 鴨々川ノスタルジア実行委員会 (2016-09-15)
読了日:2016年10月11日
今回は神社特集。札幌で身近で見かけるけど、背景まで深くは知らない身には、興味深くためになる。マップ片手に散策したいところ。アイヌの薬草の権威のインタビューも興味深かった。
そこをなんとか 12 (花とゆめCOMICSスペシャル)
麻生みこと / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月10日
クールでシビアな中道先生の、マイウェイからのデレ具合が印象的なのと、主人公らっこちゃんの、弁護士としての成長ぶり、悪戦苦闘からの、本人のあずかり知らぬところで進展していた恋バナ。差し出されたその手をどうするのか?というところで次巻へ。走り出した、走り出したなああ。
流星ひとつ
沢木 耕太郎 / 新潮社 (2013-10-11)
読了日:2016年10月10日
藤圭子、最初の引退間際、1979年に、ホテルのバーで飲みながら行われたインタビュー。言いたくないことは無理に突っ込まず、忘れた時期、忘れたいことも多かったけど、聞きたいところは聞き、それに答えてくれる感があり。まっすぐで純粋でキラキラして、けど少し疲れて。読み終えて思わず、藤圭子ベスト借りてきて聞いてしまった。/「いつでも、同じなんだ、インタヴューって。同じ質問されるから、同じ答えをするしかないんだけど、同じように心をこめて二度も同じようにしゃべることなんかできないじゃない。あたしはできないんだ。だから、そのうちに、だんだん答えに心が入らなくなってくる。心の入らない言葉をしゃべるのって、あたし、嫌いなんだ」(p.9)/「いやならやめればいい。あんな、人の不幸を、有る事無いこと書いたり、あばいたりするような仕事、いやならやめてるよ」(p.15)/「あたし、嘘つくのいやだったんだ」(p.21)/「裏目読みをするなら、ちゃんと、裏の裏まで読んでほしいよ…なんて、ね」(p.25)/「それとは全然ちがう世界なんだよ。海に魚がいるでしょ。その魚に、何十万本もの釣り針をつけた糸を流して、一度に釣り上げなくちゃあいけないの」(p.32)/フランスの空港で、深夜特急の旅の最後にすれ違っていた、と。二人は。/「歌手を悪くした歌なんて、絶対にない、絶対にね」(p.138)/「その手術が、あたしの人生を変えたと思う。よいとか悪いとかいいたいわけじゃなくて、結果として変わってしまったと思うんだ。引退ということの、いちばんの最初のキッカケは、この手術にあるんだから…」(p.176)/「そうなんだよ!周りが、周りの風景が見えてきちゃうと、人間はもう駄目なんだよ。トップを走ることができなくなっちゃうんだよ。」(p.185)/「一度どこかの頂上に登っちゃった人が、そのあとどうするか、どうしたらいいか…。あの<敗れざる者たち>っていう沢木さんの本の中に出てきたよね」(p.195)/「勉強しようと思うんだ、あたし」(p.198)/「前川さんはいい人だよ、それに歌も抜群にうまいよ、あたしはそう思ってる。でも、別れる別れないというのは、それとは違う話だよ」(p.280)
東京タクシードライバー (朝日文庫)
山田清機 / 朝日新聞出版 (2016-02-05)
読了日:2016年10月9日
様々なタクシードライバー、およびタクシー会社経営者にインタビューしたのをもとに紡ぐノンフィクション。波乱万丈な人、様々な客の群像、タクシー業界にかける思いを垣間見ることができる。/この業界に入ってくる、特にいい大学出た人はこの仕事を見下してることが多い。けど、この業界に入ったからには不合理を耐えしのばなければ。耐え忍べば自ずと道は開ける。短期は損気。/タクシードライバーの仕事はロジックと直感の組み合わせによって勝負が決まる。/どんな会社だって、自分から将来こういうことがやりたいから、こういう勉強をさせてくださいと打ち出せないとダメですよね/一度会社を出てしまえば、一人だけの世界、気楽なもの/100%アウトっていう人生はない。世の中本人にはどうしようもないこともある。それで差別をする人が大嫌い/"どんなに正しいことを主張しているつもりでも、人を殺しちゃいけない。敵も味方も、みんなを生かさなくちゃいけない。いいか、味方だけじゃなくて、敵も生かさなくちゃいけないんだ。だから、俺は多神教徒なんだよ"
鳥肌が
穂村 弘 / PHP研究所 (2016-07-15)
読了日:2016年10月8日
身の回りに潜む、ちょっと怖い、鳥肌が、というエピソードを集めたエッセイ。それは怖がりすぎでは?と思うものから、後からジワジワくるものまで。ほんとうはあなたは無呼吸症候群教えないまま隣でねむる(鈴木美紀子)という歌に潜むこわさ。別れ話をしていた屋上から、俺のことわすれられなくしてやるよ、と身を躍らせて消えた男。ビール券を送られてブチ切れる友人に、人がキレる基準の理不尽さと不可解さを覗き込む気持ち。ちなみに、穂村さんがされたら嫌なことは「この文章ってどこまで本当なんですか?」と問われることだそうな。
モンプチ 嫁はフランス人 2 (フィールコミックス)
じゃんぽ~る西 / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2016年10月6日
フランス人は、お互い主張するべきは主張し、ぶつかり、着地点を図る、言った後はケロリと平常。日本人は、何も言わず、察して、丸く収めようとする、てのが印象的。お米大好き!でカレンさんが、ヨーグルトっぽいチーズをご飯の上に、とか、余ったご飯に牛乳と砂糖をいれてあっためました、フランスではリ・オ・レと言います、とか、ツボでした。あと、室内でドローンを飛ばす練習をしてて、プロペラが外れて飛んできて、帰って来た西さんにメガヒットして、「妻が家の中でドローン飛ばしている男なんて今日本で俺くらいだろうな」とつぶやいて、密かな喜びを覚えているところもツボ。4人の娘の国際結婚(中国、ユダヤ、アラブ、コートジボアールと様々)に頭を悩ます夫婦のコメディー映画「最高の花婿」も見てみたくなった。
真夜中にシュークリーム
はあちゅう / 毎日新聞出版 (2016-02-27)
読了日:2016年10月6日
ライトな語り口だなあ、と読み始めたけど、読み進めていくと、その中に、背中を押してくれる力強さを秘めていて。目に止まった言葉を抜粋。/準備不足のあらゆることを受け入れること。準備不足でも、やるのかやらないのか覚悟を決めて、やると決めたら探りながら潔く挑戦すること。(p.11)/でも、「実はみんな普通なんだよ」ってことは、ここだけの話、あなただけへの特典。(p.17)/言った後で、未来の自分に「後はよろしく!」と心で唱えた。この「未来の自分に丸投げ」という無責任行為は他人の目からはどうやら「思い切りがいい」と見られている模様。(p.70)/自分の欠点を認めてあげたら、人の欠点も受け入れてあげられるようになった(p.82)/人生はいつだって何かのための準備期間で、そこを楽しめないと、いつまでも楽しめない人のままなんだと思う。(p.108)/もっといろんな幸せの形を認め合える世の中なら生きやすいのにな。(p.108)/
書肆侃々房 / 書肆侃々房 (2016-09-01)
読了日:2016年10月5日
ジュンク堂でふと手に取ったフリーペーパー。特集 珈琲時間、というのに心惹かれて。見開き2ページに書肆侃々房に作品を書いた著者が寄せる、エッセイ、詩、短歌、イラストが色とりどりで楽しい。/ひとときは紅茶を淹れる読みかけの本はかもめのかたちに伏せて(中家菜津子)/どのくらい遡ればいいのだろう ただ居なかったものでなくなるために いなかったことに意味があるために(渡辺松男)/川口葉子「屋上喫茶階」、青目海「リスボン 坂と花の路地を抜けて」、あたりは手に取ってみたく思った。仙台の老舗の喫茶店のオリジナルブレンドの、深い焙煎で酸味よりも苦味の強い前をたっぷり使って濃く淹れたものが多い(佐藤涼子)、というのも味わってみたい。
燃えよペン (サンデーGXコミックス)
島本 和彦 / 小学館 (2002-11-19)
読了日:2016年10月5日
熱い、とにかく熱い、ベクトルが違おうがずれていようが熱い。納得いく集中線を描くために、大切にしていたレアなバイクを燃やすって。空回りも含めて、漫画に賭ける熱量を感じた。
深い河 (講談社文庫)
遠藤 周作 / 講談社 (1996-06-13)
読了日:2016年10月5日
ある者は妻を病気で亡くし、ある者は若い頃に神学生を弄び、享楽から退屈な結婚生活に転じるも自分の中の渇きを満たせず、ある者は自然と人が触れ合う童話を書き続け、ある者は野心的にカメラマンを目指し、ある者は地獄のビルマの戦場をくぐりぬけた後に供養に訪れ、ある者は鬱屈を抱えながら添乗員をし、と様々な背景を持つものがインドを旅し、対話し、そこで目にした者は、と。輪廻転生と汎神論をめぐる対話が心に残る。登場人物絵は、結局は大津が一番印象に残る。世間的には報われず、ボロ切れのように人生を終えたかに見えても、きっと本人はある種の諦念と思想に殉じ、安らかに至福を覚えたのではないか、と。「ぼくはここの人たちのように善と悪とを、あまりにはっきり区別できません。善の中にも悪がひそみ、悪のなかにも良いことが潜在していると思います。だからこそ神は手品を使えるんです。ぼくの罪さえ活用して、救いに向けてくださった。」(p.106) 江上の好きだと語った、チャームンダー像も見てみたく思った。
新装版 マエストロ(2) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-06-19)
読了日:2016年10月3日
新装版 マエストロ(3) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-07-19)
読了日:2016年10月3日
ほぼ全編、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」で通すってのもすごいなあ。そしてオーケストラの団員、一人一人に焦点を当てた群像劇、ラスト2コンサートで、指揮者の意図が伝わってくる。そして共に演奏する喜びも伝わってくる。オケとブラス、規模の大小、プロとアマの違いはあるけど、一度は身を浸したことがあるだけに、個人的にも。にしても、この漫画に限らず、音楽を題材にした漫画の、いい音楽、感動する音楽、という表現は難しい。これが名演です!と書いてしまえばそう受け取るしかないけれど、音が聞こえて来る訳ではないというジレンマ。
新装版 マエストロ(1) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-05-20)
読了日:2016年10月3日
真田信繁の書状を読む (星海社新書)
丸島 和洋 / 講談社 (2016-09-22)
読了日:2016年10月3日
書状という史料を題材に、元服の時期、実際の活動、石高、家族とのやりとり、馬廻りとしての暮らしぶり、配流時の逼塞具合など様々なことが浮かび上がってくる。そして、書状と関連する文書も用いて、鮮やかに年代比定を実施し、紙や文例、折り方などからも情報を取得し、判断していく手さばきが惚れ惚れするほどで、歴史研究の興奮に満ちた一面を提示してくれたように思った。/以下、備忘録として。/秀吉馬廻りに取り立てられ、肥前名護屋に出陣していたp.96より/真田氏の石高から昌幸・信幸に賦課された普請役を引いた380人を信繁担当分と換算し、信繁の石高を19000石と見積もる。p106より。/真田氏は信幸が徳川家康の姻戚となった一方で、昌幸・信繁が豊臣政権奉行と密着する複雑な姻戚関係を構築したと言える。ここに、関ヶ原合戦において、親子兄弟の判断がわかれる素地が存在したといえる。p.110/信繁が借金を申し出ているのは、彼が伏見という「消費地」かつ大名・旗本が集う「サロン」で暮らしているからであろう。交際費は、馬廻りとしての体面にも関わってくるから、削るわけにはいかなかったと思われる。p.118/信繁が昌幸に従って「西軍」についたのは、秀吉馬廻りとして、豊臣政権奉行衆との間に張り巡らせた姻戚関係によるものであろう。p.146/(上杉景勝が自領の分断を解消すべく行動、毛利輝元は四国九州で領土拡張を図り、西軍の城も攻撃、昌幸には領国拡張を持ちかけ) 三成挙兵は、豊臣政権が成し遂げた天下一統を破壊し、時計の針を戦国の世に戻す状況を生み出していたのである。p.157/以上から、信之は慶長一〇年の上洛時に、河原綱家を伴って九度山を見舞ったことが明らかになる。これが、昌幸・信繁親子と、信之との永遠の別れとなった。p.175/1000石でも領主として復帰したいというのは、30代を九度山に埋もれて過ごした信繁の本音であったのかもしれない。しかし合戦中に寝返っての栄達、しかも主君として仰いだ秀頼を滅ぼしての出世など、信繁には思いもよらなかったのであろう。p.238/本多正純がなんども信用してくれと言ってるのは、信頼できない話と正純が悟っていたからだろうp.238より/信繁が石合十蔵に頼んだことは長女すへを決して離縁してくれるなということであった。九度山で「家族」とともに一四年もの時を過ごした信繁にとって、それが「守りたいもの」のひとつの答えであったのかもしれない。p.248
Spotted Flower 2
木尾士目 / 白泉社 (2016-09-30)
読了日:2016年10月2日
おたく夫と一般人妻の、妊娠してから産まれるまでストーリー。好みの探り方、意志の通し方には、様々な段階と方法がありまして、と。そして、そういう目で見たことなかったけど、これってもしかしてげんしけん二代目、その後、パラレルワールド編的な意味合いもあるのかなあと。班目さん、スー、矢島さん、波戸くん、吉武さんなどなど。今更だけど。
3月のライオン 西尾維新コラボ小説付き特装版 12 (ヤングアニマルコミックス)
羽海野チカ / 白泉社 (2016-09-29)
読了日:2016年10月2日
ページをめくってもめくっても可笑しくて、なかなか読み進まず。桐山の、雷堂棋竜の、スミスの、滑川の、そして二階堂の忠犬エリザベスのモノローグが効いてるなあ、と。雷堂さんの正面突破、そして奥様の器の大きさに圧倒される。桐山の心の声もだけど、巻を通して、彼の愛されぶり、その天賦の才、将棋の強さへの評価が印象に残り。夏祭りの章は本当にホッとするような暖かさに満ちていて。コラボ小説は、桐山と不思議な登場をした女子高生の将棋盤をめぐるダイアローグ。将棋さしの見地からアドバイスを与えるのだけど、…手の込んだやり方をしてしまったなあ、と。ただ、通じた時の嬉しさは共有できる、と。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 3 (ヤングアニマルコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2016-09-29)
読了日:2016年10月2日
将棋から離れ、芸能界に打って出た兄弟子との邂逅。自分のしたことの心なさに気づき震える神宮寺。そして妻の一撃で吹っ切れた兄弟子との真剣勝負。読んでるだけで熱量が伝わってくるかのような。そして、テレビ業界人の誇り、将棋さしだけが命かけてるんじなゃねえ、お茶の間の笑いに、涙に、嘘はあったのか、というセリフがしびれるなあ、と。
信長のシェフ 16 (芳文社コミックス)
梶川卓郎 / 芳文社 (2016-08-16)
読了日:2016年10月1日
岩村城の攻防、鮮やかな秋山信友の散り際と深謀。そして、舞台は家督相続へ。ひっくり返そうとする試みをさらりと切り返すケンの手腕。そして、信忠の、信長とはちがった英明さも明らかにされ。
東京タラレバ娘(6) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2016-09-13)
読了日:2016年10月1日
され、振り向かず走れ、は強力で突き刺さる指針、キーの一言。そして、個室で待ち受けての一幕は何を投げかけようとしているのか。自分の最低な部分に気づき、もがき、足元に火が上がっているのに身動きできず、そんな3人を見放さず、なれるでもなく、ポイントポイントで厳しく的確な言葉を投げてくるキーに興味が尽きない。そしてタラレbarのコーナー、…今回も目にしみてくる話ばかりで。
BLUE GIANT 9 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2016-09-09)
読了日:2016年10月1日
胸が熱くなる。特に67話。一切のセリフなく、演奏シーンだけなのに、熱が伝わってくる。そして一年も連絡を取らなかった結末。新たな目標。不意打ちの代打。ただひたすら成長していくのが伝わってきて、と。


2016年10月03日

2016年09月に読んだ本

期間 : 2016年09月
読了数 : 40 冊
三代目薬屋久兵衛 4 (フィールコミックス)
ねむ ようこ / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2016年9月28日
徐々に縮まっていく距離感、始まりの初々しさ、全然誰にもなれていかない相手が、自分に心を開いてくれる楽しさを味わうミク。そこへどうにか割り込んでこようとする昔の男。さてさて...と。漢方のアドバイサーの仕事も形になりそうで。
女の友情と筋肉 2 (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2015-06-11)
読了日:2016年9月28日
相変わらずの力強さだなあ、と。けど、そんなに飽きない。そして、そんだけの目にあっても、浮気心を抑えきれないってすごいなあと。
鳥啼き魚の目は泪~おくのほそみち秘録~ 6 (プリンセスコミックス)
吉川うたた / 秋田書店 (2016-09-16)
読了日:2016年9月28日
よもすがら 秋風聞くや 裏の山 曽良。芭蕉と曽良、しばしの別れ、そして再会、旅も終わり、また…というところで。最後のページが感慨深く。死者の世界と生者の世界がふとしたことでつながる旅路も最終巻。これを読んで、奥の細道、読む人がいれば芭蕉翁に少しは恩返しが、とあとがきにあったけど、完結前にまんまと読んでしまいました。
アフタヌーン 2016年 11 月号 [雑誌]
講談社 (2016-09-24)
読了日:2016年9月26日
波よ聞いてくれ、は、物腰柔らかだけど、的確にミナレさんの痛いところを意図せずついてる南波ちゃんに注目。そして、最後のページ、会うことで何かが変わるのか、続きがきになる。天の血脈は、最終話。そうきたか、そうきちゃいましたか、と。歴史モノ伝奇ものがいきなりSFかと。ただ、振り返って語らせたかったのかな、と。新連載の、春と盆暗、あしあと探偵は、好感触。次回にも期待。僕のクラスの織田くんは、は戦国モノ好きな人にはわかるかもだけど、そうでなければ厳しいか。「モヤモヤした時は 月面を思い浮かべて そこに思いっきり 道路標識を放り投げるんです」(月と盆暗)
鉄楽レトラ 6 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
佐原 ミズ / 小学館 (2015-02-12)
読了日:2016年9月25日
1-6巻まで読了。フラメンコを題材にした青春漫画。抑制がきかなくて級友に怪我をさせ不登校に、気弱で引っ込み思案で、ちやほやされていたのがあるきっかけで周りからひとが離れていき、あるいは、華々しい舞台を踏んでいたのに、故障をきっかけに引きこもったり。まっすぐでなく、回り道をしたそれぞれが、フラメンコをきっかけに親しくなり、前向きになり、一筋でも光を掴んでいく物語。バスケシューズとフラメンコのシューズが、投げかけた夢と生きる気力を支えあい、最後は…と。スカッとはいかない、一筋縄ではいかない、苦い思いもかみしめて、それでも、それでも、と。フラメンコの事が少し好きになり、もう一度読み返して味わいたくなる読後感。/人の人生を変えてしまうほどの人間て、どんな奴だ?/守られていることも知らずに自惚れている自分はもう嫌です/君を君の踊りを必要だ言ってくれる人間が一人でもいるのなら 君は踊り手であることを忘れてはいけないよ/フラメンコは主にカンテ(唄)、バイレ(踊り)、トーケ(ギター)で成り立っています。踊りが一番目立って見えますが、柱はカンテと言われています。/自分に自信のない人間はどう生きたらいいかわからないんですよ/周囲にとってはどうでもいい事がその人にとっては生き甲斐になったりしてさ。人間て、何気ない事に支えられて生きてんだよね/僕らが君の事飽きると思う?馬鹿にするなよ。/どんなに他人が否定したって、自分が心惹かれるのならそれは貴方にとって正解になる.../私の思うフラメンコの良いところは...苦悩や葛藤、秘めた愛情や興福自慢、普段押し殺している感情を、そのまま思い切り反映できるところ しかも!そういった感情を込めれば込める程格好良く見えてしまうのよ/支えてくれている人が多い分、今度は簡単に捨てられないよ。やらずに無様をさらすなら...やって無様になって来い!/私の人生に失敗は無かった…
俺物語!! 13 (マーガレットコミックス)
アルコ / 集英社 (2016-09-23)
読了日:2016年9月25日
突然の遠距離から、紆余曲折もあったけど、砂川の一発もあったけど、結局は乗り越えられて、最後の、またな、が効いてるなあと思いつつ。ストレートな物語の完結。スペインの祭りへの登場は、派手で似合ってておかしかった。
真田信之 父の知略に勝った決断力 (PHP新書)
平山 優 / PHP研究所 (2016-09-16)
読了日:2016年9月25日
宇都宮仕置で昌幸、信之ともに、独立した豊臣大名に。1589-1600年の昌幸、信之の居所一覧。秀忠の目的は最初から真田昌幸追討。信繁の家臣に樋口角兵衛という名の者がいて大坂の陣後、上田に帰還したとあるが未詳、と(真田太平記読んだ人ならピンと来るはず。)。内政面では出浦昌相が大きな活躍。天災や不作、普請等の負担で、なかなか財政は上向かず。自腹を切ってまで逃げた百姓を買い戻したり。ただ、逃げたり、新たにやってきたものばかりの優遇は、既存のものには恩恵が少なく(なんだか現代の携帯キャリアみたいな。)。家康をはばかってか、信幸から信之へ名乗りを改めたのが通説だが、最近の研究で1608−1612年は再び信幸に名乗りを改めているのだとか。ただし理由は不明とのこと。信吉信政兄弟と信繁との対面。大坂の陣に参加したものや一族を厳しく処罰することで幕府に身の潔白をなんとか証明しようと奮闘。上田を離れることは寂しく思っていたが、家臣に松代転封は光栄と送っていること、松代の重要性から鑑みて、左遷には当たらないのでは、と。昌幸・信尹に泣きついて減刑を図る家臣たちもいたが信之は果断に対処したと思われること。真田信之犯科帳とも言える章で、さまざまな裁定の実態の一端が窺い知れること。四十八騎浪人事件は、本領から引き離されたこと、新たな任地松代でも加増がなかったことが不満の背景にあったこと。真田騒動については、当時の資料に記録が見当たらず、見直しの研究があること。などなど、さまざまな知見に触れられ興味深い一冊となった。
たそがれたかこ(8) (KCデラックス BE LOVE)
入江 喜和 / 講談社 (2016-09-13)
読了日:2016年9月24日
嵐のようにやってきて、嵐のように引っかき回して、その余波で、好意も受けたり。劇団公演を見に行ったのがきーだったり。そして、カウンセリングにチャレンジスクールは次巻に波乱を巻き起こしそう。一緒に行くのは最後と決めたライブも。
六文銭ロック 3 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2015-01-30)
読了日:2016年9月22日
六文銭ロック 4 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2015-08-28)
読了日:2016年9月22日
イスパニアでも暴れまくって、闘牛士してた伊達政宗と意気投合して、オランダ独立戦争にも首をつっこむという破天荒さ。もうこのまま戻ってこないのかと思いきや、時が経ち、大阪、そして、ただでは死んでなかった、新らしい旅立ち、と。スケール大きいなあ。
興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和 (講談社学術文庫)
林 佳世子 / 講談社 (2016-05-11)
読了日:2016年9月22日
文庫化を機に、何年ぶりかの再読。今回興味深かったのは、徴税請負制。中央集権とは逆行する制度で、請負の請負の…と請け負われていくことで、国家の中枢から見ると末端で誰が徴税しているかわからない、けれどうまく回ればうまく回る、柔軟に、そして悪いことばかりでもなく、その権力、財力は徴税することに淵源を持つので、その主体であるオスマン政府に刃向かおうとはなかなかしない、といううまくできてるというか、薄皮一枚で繋がっている綱渡りと言おうか。まだまだ研究が進んでない面もあるようで、進展が待たれる。他に、公正寛容と語られるスレイマン1世の、常軌を逸した愛情への執着ぶり、前半はイブラヒムに、後半はヒュッレムにと向けられたのが顕著。前期には反イスタンブルのメンタリティを持つアクンジュが支持したエディルネが、中期には治世の大半を過ごすスルタンが現れ、宮廷も官僚組織もごっそりやってくる都市になっていたというのが興味深く。また精緻な官僚組織、文書主義の一端を垣間見れたことも。イスタンブルの噂が広まるルート、そのメディアとしての詩の役割。任官における不透明さと任官後の職権の明確さがオスマン官人を規定。ベールに隠されたオスマン女性を自由と見るか制限されていると見るか。さまざまに興味深いテーマに触れられて好奇心を満たされた一冊。
87CLOCKERS 9 (ヤングジャンプコミックス)
二ノ宮 知子 / 集英社 (2016-09-16)
読了日:2016年9月19日
オーバークロックの頂上決戦を仕掛けるMIKEとぼっさん。本当の気持ちがどこにあるのかを見抜いて怒りを見せてまで背中を押し、送り出す奏。最初は淡い恋心だったはずなのに、オーバークロックはいつの間にか奏でを遠くまで連れてきた。何をするにもだるい、何をしたいかわからなかった奏が、自分のできること、やりたいことを見つけ、しっかりして、旅立つ。そして、タイトルの87に込められた意味も明かされ。それぞれの後日談が語られつつ、完結。はたから見るとすごく地味、と捉えられかねないオーバークロックでここまで盛り上げるのはすごいなあ、と。
アド・アストラ 10 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
カガノ ミハチ / 集英社 (2016-09-16)
読了日:2016年9月19日
ハンニバルの策謀によるマルケルスの謀殺。「高潔な紳士には理解できまい。汚泥を掻きあさり、その手を穢してでも掴まねばならぬ勝利もあるのだ」/アルプス越えを目論むハッシュへ、注文通り乗って見せたスキピオ。そして、ハッシュへの復讐を誓うネロの、執念をもっての粘り勝ち、ハッシュの戦死。あとがきの、カルタゴには才能ある将官が少ない、ハッシュ級がゴロゴロいれば…けどカルタゴは大敗北を喫した将軍は処刑される、対してローマはたとえヴァロのような惨敗を喫したものも才能があれば生かして使う。失敗したものにも再度チャンスを与える。今の日本はカルタゴのようで息苦しいですね、という一節が印象に。
天才
石原 慎太郎 / 幻冬舎 (2016-01-22)
読了日:2016年9月19日
石原慎太郎が一人称で語る田中角栄。幼少期から青年期にかけての実体験で、根回しの大事さ、金の貸し借りが人間の運命、値打ちまで決める、この世で末端の仕事をしている人間たちの力が世の中を結果として大きく変えていく、賄賂の効用の原理、この世は互いの利益の軋轢で、それを解決するのは互いの利益の確保、金次第ということ、を淡々と語る。/「まさに自ら反みて縮くんば千万人と雖も吾往かんなのだと悟った」/我々がこれから意識し目指さなくてはならぬのは、外交も含めての自主性ということに違いない。それを許さぬという者の国家としての存在などあり得ぬことに違いない。/総理の座を降りることに決めた決定的要因は血を分けた子供の自殺未遂。/様々な資料にあたって構成されたのだろうけど、特に家庭面での心情などは、本当に語り聞かせているように描かれ、なかなかにうまいなあと思いつつ。頭から終わりまで通しでのライフ・ヒストリーとしての概観は得られたから、細部は類書を当たってみたいとおもった。
沈黙 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1981-10-19)
読了日:2016年9月19日
かつては布教も許され、信徒が何十万人もいたが、今は禁圧されて久しい江戸時代の日本。遠くポルトガルで、師が日本で拷問にかけられ転んだ、と聞かされた三人の弟子たちが、周囲が止めるのも聞かず、捕らえられる危険の高い日本へ潜伏し布教を志す。匿われ逃げ回りつつも細々と教えを広めようとするものの結局は裏切られ、捕らえられ。そして長い煩悶、奉行との対話、転んだ師との対話、自分のために拷問で死んでいく信徒を前にして、ついに転んでしまう。あの時も、あの時も、あの時も、なぜに神は沈黙したままだったのか。最後には、そうではない、一緒に苦しんでいたのだ、と言い聞かせるように、それでも神への愛は深まった、とするが。あたら信徒でない身にとっては、いくら万能でも、苦しみから救われないのなら、たとえそれが真の信仰ではにと言われても、そんな愛はいらない、と思ってしまった。読み終わって、深く思考が沈んでいき、重い問いを突きつけられた感。/「なんのため、こげん責苦ばデウスさまは与えられるとか。パードレ、わしらはなんにも悪いことばしとらんとに」/司祭は殉教するためにあるのではなく、このような迫害の時期には教会の火を消さぬため生き続けなければならぬのです。/踏絵をば俺が悦んで踏んだとでも思っとっとか。踏んだこの足は痛か。痛かよオ。俺を弱か者に生れさせておきながら、強か者の真似ばさせろとデウスさまは仰せ出される。それは無理無法と言うもんじゃい。/魅力のあるもの、美しいものに心ひかれるなら、それは誰だってできることだった。そんなものは愛ではなかった。色あせて、襤褸のようになった人間と人生を棄てぬことこそが愛だった。/「エスパニヤ、ホルトガル、オランダ、エゲレスとそれぞれ名のる女たちが、日本と申す男の耳に、夜伽の旅、たがいの悪口を吹きこみ申してな」/「だが日本人がその時信仰したものは基督教の教える神でなかったとすれば...」/「切支丹が亡びたのはな、お前が考えるように禁制のせいでも、迫害のせいでもない。この国にはな、どうしても基督教を受けつけぬ何かがあったのだ」/「わしが転んだのはな、いいか。聞きなさい。そのあとでここに入れられ耳にしたあの声に、神が何ひとつ、なさらなかったからだ。わしは必死で神に祈ったが、神は何もしなかったからだ」/「強い者も弱い者もないのだ。強い者より弱い者が苦しまなかったと誰が断言できよう」
六文銭ロック 2 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2014-08-29)
読了日:2016年9月18日
幸村は本能寺の変の現場から逃れ、家康に一泡吹かせてから、南蛮を目指す。途中、タイで傭兵に売られ、実力を示すことに。ここまで突き抜けて伝奇的だといっそ清々しい。次はどう暴れまわるのか。
辺獄のシュヴェスタ 4 (ビッグコミックス)
竹良 実 / 小学館 (2016-09-12)
読了日:2016年9月18日
粛々と進められる夜の森の生活。備蓄される食料。しかし一人分足りぬとわかり、一人、別行動に出るエラ。そして突然の豪雨により半年かけた全てが水の泡に。それでも前を向く、エラの強靭さ。対するエーデルガルトは、バチカンの図書室の鍵を手に入れ、行政記録から敵対するものの不正をあぶり出して行き、勢力の拡大を図るのであった。/人には人は変えられない 信賞必罰の神という概念だけが 人を変える(エーデルガルト)/希望はどんなに遠くを見渡しても見つからないこと。 なぜなら、それはいつも、手の中から生まれるものだということを。/この世にあらゆる物理にも逆らい得るものがあるとすれば、それはただひとつ、人間の意志である。
ケマル・アタテュルク―トルコ国民の父 (世界史リブレット人)
設樂 國廣 / 山川出版社 (2016-09)
読了日:2016年9月18日
オスマン帝国末期からの革命運動、そして第一次大戦での敗戦後からの、アンカラ政府樹立、トルコ共和国の成立から、大統領時代の政策、その死までが描かれる。治安維持法や祖国への犯罪法、議会運営のやり方、政策の決定方法、なりふり構わぬ政敵の排除など、今の基準に照らし合わせれば独裁的、専制的と言われそうな側面もあるが、おそらく、そこまでしなければ当時のトルコをまとめ上げられなかったのだろう。祖国解放戦争を共に勝ち抜いてきた戦友たちも一人また一人と離れていき、イスメット・イノニュとの対立を最後に、身の回りに一人もいなくなってしまったというのも凄まじく。興味深かったのは、オスマン帝国末期の指揮系統の弛緩。普通に、命令を拒否して、とあるが、上からの指令が行き届かないのなら、何をもって、軍事、行政がうまくいくというのか。そしてオスマン帝国内で昇進しつつ、いつからケマル・アタテュルクがオスマン帝国を見限り、かわりとなる体制を志向したのか、と。/「来た時のように、引き揚げるべきだ」/ローザンヌ会議、ケマルの暗殺未遂事件たるイズミル事件の詳細。また、経済、宗教、文化政策、国制など、様々な分野で果たした業績についても触れられ、概観できた。
雪花の虎 3 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2016-09-12)
読了日:2016年9月17日
度重なる謀反の平定、そして臣下たちの心が兄よりも景虎へと傾くのは自然の流れであった、と。にしても、下段の著者のコーナーとのギャップは相変わらずのおかしさ。
洗礼ダイアリー
文月 悠光 / ポプラ社 (2016-09-05)
読了日:2016年9月17日
詩人文月悠光さんの初エッセイ。柔らかい語り口に魅了されるが、扱っているテーマは、何気に過ごしている分には日常見過ごしてしまうかもしれない違和感、生きづらさもあったり。読み終えた今、cakesで連載中の「臆病な詩人、街に出る」も書籍化されないかなあ。本棚の中の「適切な世界の適切ならざる私」「屋根よりも深々と」読み返したいたい、と思った次第。以下目に止まったところ。/「折れるな」「見返してやれ」と煽る男性たちを見て、はっとした。彼らは常に、こんな精神論に晒されて生きているのだろう。男性とは、社会の中で「逃げない」ことを義務づけられた窮屈な生き物なのかもしれない。/与えることを恐れなければ、きっと花は咲く/私たちは誰もが、ぼんやりとでも「こう在りたい自分」のイメージを思い描き、それを晒す自由を持っている。自撮りをする自由?そんなの「自分のため」に決まっている。私は自撮りを肯定したい。自己満足を愛したい。そこには、誰の評価にも屈しない強さがあるはずだから。/「一人で立てるようにならないとダメですよ。恋人と別れるたびに、頼れる人を探すんですか?そんなの嫌じゃないですか?」/
君の望む死に方 (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2011-09-01)
読了日:2016年9月16日
余命いくばくもないと宣告された社長が、ある部下に自分を殺させようと目論むも、それを明かさず、そのために開いた社員研修。様々なきっかけを提供し、相手も応じようとするも、その芽をことごとく潰していくのがシリーズの探偵役碓氷優佳。打つ手は打った、結果は序章に出ている、けど、それは誰か、…最後は読み手に委ねられ。最後に何が語られたか、思いを巡らす。その後どういう展開になったのかも。計画は立てず、状況に応じて、機が熟せば、という姿勢なので、いつそれが来るかを気にかけつつの展開だった。/「動機というのは、他人がどうこう言うべきことではないと思います。恨みの重さ、憎しみの重さ、罪の重さ。皆個人個人で秤を持っています。そしてその目盛りは、人によって違うのです。違う目盛りで他人の心を測ることはできないでしょう。だから、わたしは考えません」
失恋したので、ベリーダンスをはじめてみました (『このマンガがすごい!』大賞シリーズ)
内藤 未映 / 宝島社 (2012-12-10)
読了日:2016年9月14日
サラーム海上さんがDJをつとめたGypsy Soulというイベントで YOSHIEさんというダンサーのベリーダンスを見て、感銘を受けて、再読。こちらは、失恋した女子がひょんなきっかけでベリーダンスを始めることで、自分の良いところを見つめ直して、良い意味で魅力をアピールすることを覚え、それは仕事や私生活にも前向きな影響を与え、彼氏もできて幸せになって、というストーリー。人生に対する、日常と異なった視点の導入、という切り口が鮮やかで印象的。
六文銭ロック 1 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2014-01-30)
読了日:2016年9月14日
なかなかに破天荒な設定。幼少の頃、真田幸村が織田信長と会っていて、目をかけられていた、茶々とも会っていた、という設定。そして本能寺の変の設定も。伝奇ものとしては興味深い。
鄭成功―南海を支配した一族 (世界史リブレット人 42)
奈良 修一 / 山川出版社 (2016-09)
読了日:2016年9月14日
概観としては、朱姓を賜ったことで、国姓爺として、滅びた明朝に最後まで忠義を尽くしたところが、後世にまで語り継がれているが、清に対する戦績ははかばかしくなく、台湾を攻め落として程なく亡くなっており、息子の鄭経の方が20年の政権で、台湾の発展により寄与したように思える。また、部下に厳しすぎて、帰って敵方に走らせたり、息子の討伐命令も聞き入れられなかったりと、掌握に難ありな面もうかがえた。鄭経の頃の台湾は、ヨーロッパでは独立王国並みの扱いであったようだ。清朝の招きに応じて、朝貢国として生きるという手もあっただろうが、それを選ばず、その息子の代に至るまで、明の年号を奉じ続けたところが鄭氏政権の真骨頂なのだろう。
アオイホノオ 4 (少年サンデーコミックススペシャル)
島本 和彦 / 小学館 (2010-06-11)
読了日:2016年9月13日
2−4巻読了。ずーっと助走だけしているようなもどかしさと熱さを感じながら読み進める。40年前のビデオ、ウォークマン、出始めの頃ってこうだったのかな、と思いつつ。ようやく漫画を持ち込んで挫折感を味わい、アニメではクラスメイトの庵野に大きく先を越され、悶える。そして、謎なのはトンコさん。天然なのかわかっててやってるのか。
忘却のサチコ 7 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館クリエイティブ (2016-08-30)
読了日:2016年9月13日
前の巻からの引きは、このストーリーのスタート地点に関わるものだったけど、あっけなくも語られず。ただ、どうしてそういうことをしたかの一端は語られたけれども。グリーンカレーに付けて食べるうどん、興味が湧いた。そして、ホタルイカの踊り。踊るところは見れなくても、ホタルイカのさまざまな食べ方に食指。普段、ホタルイカの沖漬けぐらいしか食べないもんなあ、と思いつつ。
四月は君の嘘Coda (講談社コミックス月刊マガジン)
新川 直司 / 講談社 (2016-08-17)
読了日:2016年9月12日
本編で語られる時期のアナザーストーリーが描かれるのかと思いきや、前日譚。子供時代の話を中心に。そう、偶然ではなく、繋がっていることが語られていたり。まだ柔和な頃の主人公の母親が描かれていたり、ピアノを始めるきっかけが描かれていたり、と。
昭和元禄落語心中(10)特装版<完> (プレミアムKC BE LOVE)
雲田 はるこ / 講談社 (2016-09-07)
読了日:2016年9月11日
堂々の完結。八雲の最後の一言がガラリと娘の人生を変え。後日譚として与太郎が襲名披露したり。自分なりのやり方で。希望を持たせる終わり方。

重版出来! 8 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2016-08-30)
読了日:2016年9月11日
様々な新人作家。やりたいことよりウケを重視してしまいブレてしまう者。天才肌だけど家族の問題が追いかけてきて集中できず、担当編集立会いで、立ち向かったり、初の単行本に向け、できることは何でも手をかけ、そして最後は…と。希望をつなぐ終わり方に続きがきになる。以下備忘録。/言いたいことも言えない世の中なんじゃない。自分だ、自分が言えばいいんだ。好きだ!好きだ!好きだ!お前の欲望を俺は認める/泣き言や文句だけ言って許されるのは子供だけだ。どんな状況でも知恵を出しあってやりぬくのが大人の仕事だろ。/あんたは一度も俺の意志を確認しなかった。
モモちゃんとアカネちゃん (講談社文庫)
松谷 みよ子 / 講談社 (2011-12-15)
読了日:2016年9月11日
トイアンナさんのブログとそこから導かれた紫原明子さんの文章がきっかけで手に取った一冊。子供達のファンタジックな挿話に、ママのつぶやきや思考が現実的に挟み込まれてきて。/人間って、ときどきヘビになるのじゃないかしらって。それは、自分でも気づかないときなのかもしれませんけれども。/「どちらも枯れる。それはいけないわ。だから、根分けしなくっちゃ。からまりあったねを分けて、息ができるようにしなくては…」/「ママ、タッタちゃんとタアタちゃんをあげちゃったみたいに、パパもだれかにあげちゃったの?」
WHAT IS SAPEUR ?――貧しくも世界一エレガントなコンゴの男たち
NHK「地球イチバン」制作班 , 影嶋 裕一 / 祥伝社 (2015-12-15)
読了日:2016年9月11日
生活は貧しくても、週末はビシッとした服で決めて、かっこつけて練り歩くコンゴのサプールたち。何のために、どんないいことが、家族はどう思って、社会的にはどう捉えられて、普段の仕事は、などなど、興味を感じる点に答えてくれる一冊。ダイノジの大地さんがレポーターをつとめたというバ番組の方も見たくなった。以下備忘録的に。/コンゴ民主共和国、1980年代のアフリカミュージックシーンを引っ張った国民的ミュージシャン、パパ・ウェンバ、一流ブランドのスーツを身にまとい、ステージへ上がったことで、サプールのファッションは急速に浸透/7月から8月は「サプールの熱い2ヶ月」、ヨーロッパからの里帰り組と地元組との張り合い/言葉と動きを巧みに使って対戦するブードゥ、「何だ、お前の汚れたダサい靴は。俺の靴を見てみろ。JMウエストンだぞ」、聴衆を楽しめたり、指摘によって足りないことに気づきセンスを磨いたり/「サプールは場を盛り上げなきゃいけないんだ」「外見だけ良くてもダメなんだ。内面も綺麗じゃないといけない」「サプールは喧嘩はご法度なんだ。我々は紳士でなければならない」/多くのサプールの家族は夫がサプールであることを歓迎。清潔を保つ、病気にならない、健康である、ことにつながる。子供にかっこいいと思われる。たくさん服を持ってるけど彼なりにやりくり。何かを考えたり、アイデアを出したりすることは自分を向上させる。地域の皆が夫を慕ってる。サプールでいつづけることがすごい。/「サプールとは暗闇を照らす明かり」/3色ルールには肯定派と否定派が。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-07-30)
読了日:2016年9月10日
特集インド・ナゴールの音楽祭。歴史的な城塞に設えられた空調、トイレ、wi-fi完備の豪華テントで聴く音楽祭。なんと、ご飯は観客、主催者、ミュージシャン合同でとるのだとか。なんだか距離感が近くてワクワクしますね。写真で見る限り、夕暮れ時から夜にかけて、幽玄な雰囲気を醸し出す中で奏でられるスーフィー音楽。魅力的な紹介。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-04-30)
読了日:2016年9月10日
イスタンブール特集。20年前に一度行ったきりのイスタンブールの今を感じられて個人的にはうれしい一冊。テロや反政府運動を経て、観光客は少なくなったけど、音楽シーンは盛り上がっているようだ。タルカンの古典民謡をカバーしたアルバム、聴いてみたい。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-01-31)
読了日:2016年9月10日
ベイルート特集。「渋滞、神に感謝するよ!」というタクシー運転手の一言が深い。オールカラーで、食べ物はどれも鮮やかで。どうしてこんな戦乱が起きたか、現地で聞いても腑に落ちる答えは、帰ってこない、と。
古書の来歴 (下巻) (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス / 武田ランダムハウスジャパン (2012-04-10)
読了日:2016年9月10日
内澤旬子「捨てる女」つながり。偶像破壊を推し進めたはずのユダヤ教徒が作成した稀覯本サラエボ・ハガダーとは。古書に付着した物質や署名を手掛かりに来歴を探るストーリーはどんどんと時代を遡り、現代と交互に語られ、どんでん返しにどんでん返し、ここのエピソードがここに活きて、とからまり合い、息つかせず。面白かった。酢を使ったカレー、ヴィンダルー、食べてみたいと思った。/きみたちこそ迷信を信じてる。自分だけは死を免れると思いこんでて、それができないとわかると真っ赤になって怒る。/"私のなすことが私である。私はそのために生まれてきたのだ"(ジェラード・マンリー・ホプキンズ)/どんな小さな文字もすべて、ひとつの詩であり、ひとつの祈りであり、神の光輝へと通じる道だった。あらゆる文字に特有の道があり、特別な謎があるのだ。/ある事柄がなぜ私にとって大切なのか、なぜ私がそれを愛しているのかを(略)そういうことを理解できるかどうかが重要なのだ。それが根底になければ、私たちの会話はただの雑音でしかない。/この街の住人が、自分たちを隔てているものじゃなく、結びつけているものに気づけるかどうかを試すために。
古書の来歴 (上巻) (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス / 武田ランダムハウスジャパン (2012-04-10)
読了日:2016年9月8日
しあわせになる禅 (新潮文庫)
ひろ さちや / 新潮社 (2007-08)
読了日:2016年9月5日
俗っぽい語り口には辟易する場面もあったが、禅的考えの突き抜け、日常に風穴をあけるところは魅力的。禅の先達たちのエピソードに触れられるのも良。/自分のできることはしっかりした上で、余計なことは考えるな/過去を追うな未来を願うな/仏様の物差しでは皆同じ価値/他人や世間のことを意識するな/
ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2016-08-19)
読了日:2016年9月4日
ただ唯一自分の存在を認めてくれたものに心酔し、己が持てる技術のすべてを結集して作り上げたもの。たとえただ利用されたとしても。それを用いて行われるのは、壮大な偽装。競い合う両勢力の均衡を壊しかねないインパクトを持つ。アイヌと思われていたものたちの正体も、もっと大きな世界史的な流れから明らかにされ。また、炭鉱労働者の危険な職場環境も描かれる。
銃座のウルナ 2 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-08-25)
読了日:2016年9月4日
絶対的な悪に立ち向かう志願兵、というストーリーが第一巻だとしたら、この巻は、攻められる方から見た、戦争の真実。なぜ、臭い匂いを放ち、この世のものとも思えない醜い姿に見えるのか、なぜ絶海の孤島の少数民族が戦いに立ち上がったのか、そしてなぜ戦いが続けられるのか。その後の作戦は、と。ただ一つの真実として塗つぶせないものがそこにはあった、と。今まで見ていた地平をひっくり返されるというか。
世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい (ちくま文庫)
森 達也 / 筑摩書房 (2008-03-10)
読了日:2016年9月3日
煎じ詰めると、絶対的な悪も、絶対的な善もない、ピュアな善人が残虐な犯罪を成し得る。彼我に違いなど無い、そのことを正面から受け止めて、生きていかなければいけない、ということか。そりゃ、口に苦しで、ヒットはしないかも。けど…と。以下備忘録として/「情が移る」と住民は顔をしかめながらつぶやいた。当たり前だ。すべて人の営みなのだ。情がない人間などいない。/信者たちの人間らしさに驚いたのならその後に、考えたら当たり前のことなのだと思い至ってほしい。(略)人々は皆それぞれの営みを生きている。泣いたり怒ったり笑ったりしながら、日々との生活を営み、愛したり裏切ったり絶望したりしながら、少しずつ老いてゆく/今の日本における本当の強者は、市民社会が紡ぐ「民意(世論)」だ。圧倒的なチャンピオン/「ならば私が森さんに聞きたい。互いに異なる宗教や、宗教を持つ人と持たない人とが理解しあうことは可能でしょうか」一〇〇%の理解など最初から不可能だし、そもそも人はそれだけの能力を与えられていない。でも少なくとも、今よりははるかにまともなコミュニケーションは可能なはずだと僕は思っている。/国家や外交のシステムに、どうして皆これほどに期待するのだろうと不思議になる。冷淡で当たり前じゃないか。システムなのだから。/


2016年09月02日

2016年08月に読んだ本

期間 : 2016年08月
読了数 : 48 冊
むかしのはなし (幻冬舎文庫)
三浦 しをん / 幻冬舎 (2008-02)
読了日:2016年8月29日
何年かぶりの再読。最初の話と最後の話のつながりに、初読時は気づいていたのだろうか。理屈っぽくも的確な文庫版解説に助けられ。いつかは来るはずの死というものを、三ヶ月後に隕石がぶつかるという設定ではやめたことで、様々なことをあぶり出す。というのが一つのテーマ。表には、昔話の現代版読み替えというテーマを置きつつも。/俺は愛情からおまえを選んだわけじゃない。おまえが一番、俺になにも求めなかったし、おまえが一番、俺に金を遣わなかった。だから選んだ。(ラブレス)/偽りを演じつづける刺激が、人生を豊かにする。(ロケットの思い出)/「遠い、遠い場所へ。しがらみや重力が追いつけない、広くて真っ暗なところへ」(入江は緑)/終わりに直面すると、ひとは二種類に分かれるようだ。すなわち、これまでどおりの日常を堅持しようとするひとと、思い切り好きなことをやって火花のように散ろうとするひと。(たどりつくまで)/私たちは生きている。どれだけ終わりが近づいてきても、哀しいほどに生きている。(たどりつくまで)/いずれ死ぬからといって、生きるのをあっさりやめることはできない(懐かしき川べりの町の物語せよ)/「死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか。いまさらだよな」(懐かしき川べりの町の物語せよ)/「だれかを好きだった記憶もなくなるぐらい生きて、俺が死んでも気づく奴が一人もいないほどになったら、そのときやっと、俺はj本当に自由になれるんじゃないかと思うんだ」(懐かしき川べりの町の物語せよ)
ずばり東京―開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)
開高 健 / 光文社 (2007-09-06)
読了日:2016年8月28日
代官山蔦屋書店で見かけて。つい半世紀前の東京は、今とは全く違った佇まいを見せる。けれど、そこで働く人の悩みは共通することもあったり。/「東京の生活は異常です。これは生活じゃないですよ。わけもわからず走ってるだけです。」/「根本的なことは考えないで、ただ夢中になって毎日の仕事を果しているだけです。それだけでせいいっぱいですよ。家に帰ったら本も読めません。寝るだけです。」/だからあとでどんなに予想がハズれてもあなたはドナリこんではいけないのです。どこへもドナリこんではいけないのです。あなたの心に対してだけドナリこみなさい。それ以外はまったく無意味です。/"見ルコトハソノ物ニナルコトデアル"/ユエニ誰ガタメニ鐘ハ鳴ルト問ウコトヲヤメヨ 汝ガタメニ鳴ルナリ/
レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)
三島 芳治 / 集英社 (2014-05-19)
読了日:2016年8月27日
その学校の二年生は、必ず、レストー夫人という劇をすることになっている。同じ話をクラスごとに別々の脚本に仕立てて。物語の中に登場するような読み聞かせ教育で、いつしか物語の中にいつもいるように感じてしまう美しい少女。彼女を生身の存在のように生き生きと描き出す、劇の記録係り。メモリがないと足を踏み出せず、踊りも踊れないと思っていた少女の転機。一言も喋らない少女と腹話術の得意な少女の組み合わせは、いつしか心が通い合い。衣装係りの男子は、現代アートかと見紛うオブジェを作って、解任されるが、本人には、わたしの本質を見通してくれたと感謝され、結局は、採用されて。4話ともそれぞれ味わい深くて何度も読み返したい。併録の、燃えろ!ストーブ委員、からは、末尾の一節を。「ストーブは、決められた環境を維持することを目的としていて その仕組みは外からは見えない そしてもっとも働いている時 なにもしていないようにみえる」
スティーブ・ジョブズ(5) (KCデラックス Kiss)
ヤマザキ マリ / 講談社 (2016-08-12)
読了日:2016年8月27日
ジョブズの結婚、ピクサーでの日々、アップルへの復帰、人員整理、選択と集中、デザイン重視、Microsoftとの提携、業績の回復。iMacの登場まで描かれる。
知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex)
竹宮 ゆゆこ / 新潮社 (2014-08-28)
読了日:2016年8月27日
"私はこうして、おまえのためにこの世界を回すから"。無職女子xコスプレ男子の恋愛、と言うが、出逢いは最悪、共通点は重い、展開はなし崩し、だけど...と。一人の女性を巡って、お互いの知らかなかった像が結ばれ、お互いが同じ可能性に悩み、お互いが彼女の存在にすがっていることに気づき。突き進み方も、ぶち離し方も急で勢い込んでるけど。ラストのシーンは期待持たさていいなあ、と。
トンブクトゥ 交界都市の歴史と現在
応地 利明 / 臨川書店 (2016-02-10)
読了日:2016年8月26日
トンブクトゥ、その響きに憧れ、泥で作られたモスクとはどんなものか、黄金交易でのかつての繁栄はどんなものだったのか、学術が栄えていた時代のことは、などなど色々知りたく。以下備忘録的に/ティンブクトゥとは元々デベソの意味だったとか/1352-3年にこの地方を訪れたイブン・バットゥータもトンブクトゥについてはほぼ語らず、ガオがスーダン最大の立派な都市とする/ムーサ王はアッ・サーヒーリを招き、ジンガラベイレル・モスクを建てさせた/サードは当時の人口を一万と推定/モロッコのソンガイ進出。マスケット銃を装備し、20倍の兵力差を跳ね返す。総指揮官は、グラナダ王国出身のキリスト教徒からの改修者ジュデル/トンブクトゥは首都になったことはなかった/

/モロッコ侵攻にあたり軍人役人は敵前逃亡、学者と商人が抵抗/トンブクトゥは帝国に担保されたのではなく、帝国がトンブクトゥに担保されていた/トンブクトゥの特質は、「港と市街地が一体化した砂丘列の中の構築都市」/生き物のように市域がどんどん展開していき、ピークから収縮していく様を、史料と臨地調査から後付けていくのが圧倒される。また、多民族都市、北からアラブ系、南から黒人系を呼び込んで繁栄したこと。トンブクトゥ自体の産品はほぼなく、本当に貿易の中継地としてのみ栄えたのだな、と。/p.109-171を国会図書館から取り寄せ。
アフタヌーン 2016年 10 月号 [雑誌]
講談社 (2016-08-25)
読了日:2016年8月25日
げんしけん第二部が大団円。朽木の卒業、新会長の選出までが描かれ。ああ、これは、第三部も期待したいなあと思いつつ。ヒストリエは、婚約者を奪われたかわりに王の左腕に抜擢されたエウメネス。周囲の羨望と賞賛をよそに本人は、アレクサンドロスをも睨みつけるほどの憤激。ヴィンランド・サガは、父の死の真相を知らされ一瞬怒りに我を忘れそうになるトルフィン。彼の最後のつぶやきは難しい、どこまでも優しくどこまでも強くとは。球場三食は、今回は広島球場。ほんとカープファンに愛されてる感がひしひしと。天の血脈も、クライマックスか。七支刀で内田と向かい合う安積の運命やいかに。波よ聞いてくれは、今回も安定の暴走ぶりのミナレさん。そんなとこにそんなもの置いておいて忘れて、それが原因で隣人を一方的に断罪、公共の電波で謝罪ってね。どこまでも突っ走っていってほしい。
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
橘 玲 / 新潮社 (2016-04-15)
読了日:2016年8月25日
遺伝、知能、容貌、性差、脳、子育て…様々なトピックに、実験からくる仮説、定説を覆すような新設を次々と提示していく。確かに刺激的。ただ、それだけの実験でそこまで言えるかな、と思うものもあり。逆に、よくこんな興味深い実験を思いついたな、と思うことも。著者が、他の著作でも紹介し、強調するためにこの本でも紹介したというハリスの研究は特に興味深かった。子供に対する子育ての影響はごくごく限定的で、どのような友達集団に属するかの方が影響を与える。親のできることは、より良い集団に属することができるような環境を用意するぐらいだ、と。
女騎士、経理になる。 (2) (バーズコミックス)
Rootport(原著) 三ツ矢 彰 / 幻冬舎 (2016-06-24)
読了日:2016年8月22日
国債をめぐり帝都に乗り込む2人組、そこで待ち受けるは私腹を肥やすのに余念のない大臣。そして若き国王。訴えの行方はどうなることやら。
恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)
稲葉 圭昭 / 講談社 (2016-01-15)
読了日:2016年8月22日
捕まったのは、本人の覚せい剤使用だけど、別途訴えたかったであろう、当時の警察の内情について、内容が正しいのだとすれば、暗澹たる思い。事件の検挙のノルマって。ノルマの立て方がおかしい。本来、どれだけ無事に治っているかが評価されるべきなのに。そして、捜査費が回ってこず、裏金としてプールされ、自腹で賄う。上からは、無理なノルマを押し付けられるが、拳銃をあげたり、密輸を取り締まる件数を上げるためには、捏造も辞さず、そのためにはヤクザや売人たちとも密接な関係を築き上げなければならなかった、と。もちろん、すべてを組織のせいとするのもどうかと思うし、本人もそこまでいっていないが、それを隠れ蓑に、責任を取るべきものが、ほっかむりして悠々自適というのおおかしい、と。
モンプチ 嫁はフランス人 (フィールコミックス)
じゃんぽ〜る西 / 祥伝社 (2015-07-08)
読了日:2016年8月21日
フランス人記者の女性と結婚した漫画家ジャンポール西さんの結婚生活、子育て、フランスとの文革比較エッセイ。奥様側からのエッセイも出てるようなので見てみたい。フランス人のビズへのこだわり、愛していることを365日24時間確認、などなど興味深いトピックも多々あり。さまざまな差異を最初は受け入れられねえ、と思ってても、徐々に慣れて、柔軟に受け入れていく西さん。続きも読んでみたい。
新・四字熟語 (幻冬舎よしもと文庫)
又吉直樹 , 田中象雨 / 幻冬舎 (2015-01-14)
読了日:2016年8月21日
又吉直樹「夜を乗り越える」つながりで。「鈴虫炒飯」から改題。気になった熟語は二つ。「布団反復」と「世界重奏」。「布団反復」は、二度寝すること。シンプル。「世界重奏」は、この世界はあらゆる人々の色々な個性の重なりによってできている。変な奴がいても良いし、自分が変な奴だったとしても一向に構わない。世界という視点から見ると変な奴がいることは、取り分け変なことではない。
天にひびき 9 (ヤングキングコミックス)
やまむら はじめ / 少年画報社 (2014-05-30)
読了日:2016年8月20日
天にひびき  10巻 (ヤングキング・コミックス)
やまむらはじめ / 少年画報社 (2014-11-29)
読了日:2016年8月20日
秋央を残して、あっという間にその先への世界へと旅立っていったひびき。そして、数年後に、日本に忘れ物をしてきたとふらりと戻り、コンサートしようという申し出に即決でOKを出す秋央。そこからはワクワクの始まり。今まで関わってきた人を総力で集めての日々。マーラー「大地の歌」。こういうことがやりたかったんだということの結集と、別れの音楽。しかし、それが誰に向けられてのものだったかは...。そしてまた数年後の日々。どこへ向かったのか、何がしたかったのか、最後に出てきた子供は、帰ってくるのは、プロポーズするのは、と含みを持たせ、読み手に委ね、良い音楽を聴いた後のような余韻を残して。/指揮者はいつもそばに自分の楽器があるわけじゃない でも、だからこそ、強く強く、自分の中に音楽を奏でていなくちゃならない(1巻、ひびき)/「少しでもオケに自分のやってることへの迷いや弱みを見せちゃ駄目なんだよ、全部わかった上でこの曲を指揮してる!そう思わせなくなちゃならない そうしなきゃ奏者はついてこないよ」「どうするかは自分で考えて自分で決めなきゃならない 出した答えが正しかろうが間違っていようが 誰に頼ってもいけないのさ」(梶原,5巻)/どうせ絶対なんてもののない未来なら、自分が本当に価値があると思えるものに賭けるべきだって(梶原,3巻)/3巻のショスタコーヴィチのバイオリン協奏曲、イザイの無伴奏ソナタ第6番、7巻のブラームスのバイオリン協奏曲第一番、2巻のハイドンの交響曲100番、は聞いてみたいと思った。
村上ラヂオ3: サラダ好きのライオン (新潮文庫)
村上 春樹 , 大橋 歩 / 新潮社 (2016-04-28)
読了日:2016年8月20日
肩の力を抜いてすいすいと読めるエッセイ集。一編ごとにつく最後の一言見たいのは、たまにつけないほうがよかったのにと思うったりしつつ。目にとまった本、フレーズ、エピソード。/カート・ヴォネガットの「愛は消えても親切は残る」。ポール・セローがアフリカを縦断した旅行記「ダーク・スター・サファリ」。ガラス一枚挟んでライオンと見つめ合った体験。自らを実験台にした科学者たちのエピソードを集めた「自分の体で実験したい」という本。固定電話にかけたはずなのに、新宿駅の喧騒が流れて「今、電車に乗らなきゃいけないので、電話を切ります」というための「新宿駅装置」。ランボーの「普通の人々が想像の中でしか見られないものを、私はこの目で見てきた」(出典不明だそうだが)。
服を着るならこんなふうに (2) (単行本コミックス)
縞野やえ / KADOKAWA/角川書店 (2016-03-10)
読了日:2016年8月18日
無印良品というブランド、流行のシャワー効果、服と長くお付き合いするために、のコラムが有益。この巻は主人公がファッションを忌避するトラウマを持つきっかけになった幼馴染と再会。服と付き合う楽しさにのめり込んでいき、歯止めがかかり、彼女と妹が仲良くなるところまで描かれ。
世界「誰も行かない場所」だけ紀行
嵐 よういち / 彩図社 (2015-12-18)
読了日:2016年8月18日
ポルトガルの巨石で有名なモンサント村、モロッコの青い町シャウエン、スペイン領メリリャ、スペインのハポン村、クウェート、東ティモール、マダガスカル、クジラ漁を営むラマレム村、鳥葬を行うトルニャン村。確かに珍しいところ、情報の少なくて興味をそそられるところもあるけれど、以前の作品に比べて勢いがないというか、行ってみた、盛り上がりませんでした、つまらなかったです、そのまま書きました、みたいな章が多かったように思った。かろうじて、マダガスカルのバオバブだけは見たいと思えた。
服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)
縞野やえ / KADOKAWA/角川書店 (2015-12-10)
読了日:2016年8月18日
よし!今度の週末にユニクロの黒のスキニーフィットテーパードジーンズとコンバースのオールスターの黒を買いに行こう!あと余力もあれば無地のカットソーも!て、おしゃれ疎い系男に思わせるパワーがある。...いや、大事なのはこれ買っときゃ安心てことじゃなく、主人公の妹ちゃんが折に触れて語るファッションへの姿勢なんだろうとは思いつつ。
ラダック密教の旅 (フォト・マンダラ)
滝 雄一 , 佐藤 健 / 佼成出版社 (1988-02)
読了日:2016年8月17日
「ダライ・ラマに恋して」で半分近く、ラダックでの滞在が取り上げられていたので、この本を興味深く読めた。チベット仏教を色濃く感じさせる写真、素朴な現地の写真、巻末の文章と味わい深く。極度の乾燥とはどんなものなのか思いを馳せつつ。
遺体―震災、津波の果てに
石井 光太 / 新潮社 (2011-10)
読了日:2016年8月17日
3.11、東日本大震災後の釜石市の安置所の三週間を追ったノンフィクション。市職員、医師、歯科医師、消防団員、民生委員、葬儀社職員、住職、市長、自衛隊員、海上保安庁職員…それぞれ被災した方もいるなか、責任感を持って捜索や救助、避難所や安置所での仕事をされた方々が語られたことを著者が再構成したもの。遺体、どう扱うか、供養するかは残された人の心のおさめどころにかかわること、と感じた。
天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)
やまむら はじめ / 少年画報社 (2009-12-28)
読了日:2016年8月17日
1-8巻まで購入。天賦の周囲を引き込む才をもち指揮者を目指すひびき。彼女の音楽に触れた衝撃で音楽的に停滞し、再会し、彼女のオケのコンマスを目標にぐんぐん成長してきた秋央。のだめに比べれば、ギャグや激しいキャラ立ちはないものの、クラシック音楽の滋味にじっくり触れられる感あり。すでに何者かである者、何者かになろうとする者、何者かにはなれないと思ってしまった者の対比も鮮やかに描かれ。
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)
竹宮 ゆゆこ / 新潮社 (2016-05-28)
読了日:2016年8月17日
下の学年のイジメられっ子の女の子を救ったら、実は磨けば光る素材の美少女で、けど懐いてくれるまでには幾つものハードルを越えねばならず、打ち解けたらあとは一気に距離が縮まると思いきや、二人の背後には、いや頭上には、振り払おうとも付いてくる深い闇が立ち込め…と。最後の方に向かうにつれ、展開は急になり、混沌とし、あえての話者の受け渡し、パラレルワールドかと思うような分裂、どちらとも取れる語り、そして信じてやまない事が表され、と。はっきり言って、一読ではわからなかったけど、部分的に再読して自分なりに解釈するしかない、と。/「あの月曜日から、私の世界は、ぐるん!と回ってしまったんです。なにもかも、まるごと全部、どこもかしこも変わってしまいました」/玻璃だったから、周波数が合ってしまった。玻璃だったから、俺たちの間には、チャンネルが開いてしまった。/
ダライ・ラマに恋して
たかの てるこ / 幻冬舎 (2004-09)
読了日:2016年8月15日
「ダライ・ラマ自伝」を読んで、現代ものでもう少しライトなのも、と思い手に取る。大失恋の痛手を癒すために、次の目標はダライ・ラマに会いたい!会見を申し込むも何年か待ち。その間に、チベット本土やチベット文化を色濃く残すラダックに訪れ。チベットでは、表面の友好と自由のなさを、ラダックでは仏教の教えの懐の深さと人情の厚さにふれ。終章のダライ・ラマとの会見も出色。生きるとは、人にとって幸せとはとか大きすぎるように思える問いにも丁寧に答えられていて感銘を受ける。以下備忘録的に。/チベットでは「ダライ・ラマ」ということばを発することも許されず、写真を飾るなどもってのほか/中国人とチベット人はそんな違わないから結婚も珍しくないし、もともとチベットは中国のもの、と言ってはばからない若者/「「私」なんてもの自体、幻想なんだから、すべての人のために祈るってことは、自分ことも含めて祈っているのと同じことなんだよ。他の人のことを思いやって行動し、他の人のために祈っていると、自然と、自分の心にも平和がもたらされるんだ」/「この世に永久に変わらないものはない」ってことが本当に分かっていれば、親の死だって自然のこととして受け止められるはずだよ/前世の記憶のある少女。前世の時の家族にも認められ、引き取りたいと言われるも、断り/僕たちが天地創造を信じることができないように、彼らだって輪廻転生を心から信じることはできないと思うよ。もちろん僕は、彼らの信仰を尊重しているけどね。でも、ただ尊重することしかできないよ/ブッダの教えで大事なことは二つ、因果と永続しない、ということ/大事なことは、どんなときでも自分自身と向き合い、自分の潜在的な可能性を引き出そうとすることです。どれだけ辛い状況でも、悲観的な環境にあっても、心の平安を保つことはできます。(ダライ・ラマ)
アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
島本 和彦 / 小学館 (2008-02-05)
読了日:2016年8月15日
面白かった。熱量は非常に感じた。けどまだなにも始まっていない。俺はまだ本気出してないだけ、俺ならできると思いつつ、一歩を踏み出せず悶々としてる感。庵野秀明の造形は強烈。トンコさんのかわいさと不可解さは印象的。
カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)
せきしろ , 又吉 直樹 / 幻冬舎 (2013-10-10)
読了日:2016年8月15日
又吉直樹「夜を乗り越える」を読んで、気になり、手に取る。自由律俳句と散文と写真。シュールなのから、その背景に思いをいたすもの、うん、と納得してしまうものまで様々。目に止まった四首ずつ。/(せきしろ)すまないが狐の影絵しかできない/日陰で靴底の減りを眺めるだけ/食品サンプルかどうか指で押した/まだまだくすぶれる/(又吉直樹)このカルビは少し僕よりにある/自意識の万国博覧会だ東京の夜/ケバブに自信持ち過ぎ/まだ何かに選ばれることを期待している/ひもぶちきれた新潮文庫
伝え方が9割
佐々木 圭一 / ダイヤモンド社 (2013-03-01)
読了日:2016年8月15日
「99%の会社はいらない」つながり。/イエスに変える3つのステップ。1.自分の頭の中をそのまま言葉にしない 2.相手の頭の中を想像する 3.相手のをメリットと一致するお願いを作る/イエスに変える7つの切り口  1 相手の好きなこと 2 嫌いなこと回避 3 選択の自由 4 認められたい欲 5 あなた限定 6 チームワーク化 7 感謝/強いコトバを作る5つの技術 1 サプライズ法 2 ギャップ法 3 赤裸裸法 4 リピート法 5 クライマックス法/あたりを小手先じゃなく、腹落ちして、自分のものにできれば力強いなあ、と思った。あと、ボランティアなんて偽善だに対する四角大輔さんの「偽善と言われようが、行動することに意味があるんじゃない?何もやらずにいる人より、動く人のほうが素敵だし、その小さな積み重ねによって世の中はよくなると思うんだ」が印象に残る。
自分の仕事をつくる (ちくま文庫)
西村 佳哲 / 筑摩書房 (2009-02)
読了日:2016年8月15日
働き方、働くということについて、原点を見つめ直すために有益な示唆に富んだ一冊。以下備忘録的に。/何のために仕事の現場で効率性を求めるの?経済性の追求であり、仕事の質的価値の向上は二の次なのでは?/デザインが「人を幸せにする」という本来の目的を離れ、デザインのためにデザインに陥って嫌しないか。経済のための経済、医療のための医療、消費のための消費.../人から引き出すノウハウ。できるだけ自由に、自発的に仕事をしてもらうこと。そして逆説的であること。その仕事の価値や意味を問い続けること。不可能に思えてしまうようなことを提案して、オープンにフレキシブルにね。/魅力的な物事に共通するなんらかの法則を見出そうとする時、彼がとる手法は「好きだけど理由がわからないものを、いくつか並べてみる」というもの(略)同じように惹かれるものを並べ、そこにどんな要素が含まれているのか、自分の中の何が感応しているのかを丁寧に探って行く作業だ。/「いい仕事」とは嘘のない仕事を指すのかもしれない。/自分がどんな場所を気持ちいいと思うか。その判断力がなかったら、気持ちのいい場所を生み出すことなどできない。/たとえば花を生けることは生活において必需ではない。が、それを意味がないということに意味はなく、花を生けようと思う気持ちに尊い価値がある。/ミヒャエル・エンデ「どんなことでも、意図を持ちすぎてやるべきでないと思いますね。ものごとには、その価値が、まさに意図のないところにある、というケースもあるわけですから。なぜなら価値が、そのものごとの自身の中にあるからです。人生には、それ自体に価値のあるものが、とてもたくさんあります。経験というものは、何か他のことに役立つから重要なのではなくて、たんに存在しているというだけで重要なんです。」/彼らは仕事において「今この瞬間の自分」を疎外しない。自分がほかでもない自分であることで、その仕事が価値を持つことをよく知っている/「成果は目標ではなく結果に過ぎない」「人はいい仕事をしたい生き物だ」という、一種の性善説が根底に流れている。/しかし、いったい何を期待しているのだろう。そもそも期待すべき対象は自分自身であって、会社ではないのでは?/自分をいかして生きてゆくことこそ、一人ひとりの人間の仕事だろうと僕は思うので、できれば殺さないで欲しいという気持ちがあります。/Twitterで高野葉子さんという方のつぶやきを見て、読みたくなり、手に取る。
外道の歌 1巻 (ヤングキングコミックス)
渡邊 ダイスケ / 少年画報社 (2016-08-08)
読了日:2016年8月14日
芸人前夜 (ヨシモトブックス)
中田 敦彦 / ワニブックス (2013-11-27)
読了日:2016年8月14日
又吉直樹「夜を乗り越える」で取り上げられていたのを見て、読みたくなる。これ読んだら、存在は知ってたけど、ふーん、で終わってたあっちゃんを、そして相方藤森を好きになるわ、ファンになるわ!て勢いのある小説だった。二人の出会いのシーンから、養成所に向かうところ、M-1出場、結果待ちなどなど二人の会話のシーンも心地よいドライブ感。そして、戦略の練り方が、書かれてみれば当たり前と思えることも、その場ではほとんどの者がやっていない、そこで抜きんでていくというのが一貫している。と、書いてみるとやはり好みは分かれるところか。/「PARFECT HUMAN」の原型は、小学校の時の神輿から出てくるシーンに原型を見ました。この本が出た時は、まだ「PARFECT HUMAN」で再ブレイクとか著者も知る由もないのだけど。/借金してホームシアターセットを買う師岡さん。「現在の自分に最新のエンターテイメントをプレゼントし、未来の自分には負の遺産をプレゼントする。ダブルプレゼントだよ。そして何より日本経済を刺激している」。もうこの堂々さに惚れ惚れします。/あと目にとまったのは/プロは周りがプロにするというスガシカオの言葉。/モテる極意は、モテてるて言うだけって、なんだよそれ/人間はさ怒られるぐらいが素敵なんだっ。/観覧車は恋の力で動いている。/講師で来た島田洋七の、俺はまだ天下取ってやろうと思ってんねん、と言ったそのすぐ後に、佐賀のがばいばあちゃんで大ヒット。
ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライラマ / 文藝春秋 (2001-06)
読了日:2016年8月13日
高野秀行「未来国家ブータン」つながり。ブータンでそれほど尊崇されているダライ・ラマについて、もっと知りたいと思い手に取る。ダライ・ラマとして見出されたときのこと、幼少時代の豊かで子供らしい暮らしぶり。指導者としての統治。中国軍の侵攻。信じては裏切られる折衝。民衆の暴発とインドへの亡命。そして現在に至るまでが語られる。ダライ・ラマの目からすると中国のしたことはまさに軍事的侵略。その後は、殺害、拷問、文化的破壊、経済的支配と、チベットにとっては苦しみ以外のものではなかった様が描かれる。けれども、仏陀の思想に基づいて、敵をも愛し、ともに手を携えようという提案、然れども今くるしむ民衆にそれを受け入れてもらうことの難しさも知り、とスケール大きく包み込むような寛容の精神に感銘を受けた。もちろん、混迷の冷戦下の世界を渡るために、寛容だけではなく泥臭い実務もくぐってきたことも忘れずに。1世紀になってからのことももっと知りたくなり。また仏教講話集も手に取りたくなる。/以下備忘録的に。/化身(生まれかわり)については、こんなことを本当に信じているのかとよく尋ねられるが、答えるのは容易ではない。ただ、過去13人のダライ・ラマ、観音菩薩、仏陀と精神的に結びついているということを躊躇なく受け入れることができる。/チベットはかつて一度たりとも中国の一部だったことはない。/「ある意味で、仮想敵は友人より価値がある、なぜなら敵の方が、自制心などといった友人なら教えてくれないようなことをいろいろ教えてくれたからだ、という仏陀の教訓は、今も大切に思っている。」/「お互いを尊重し合い、真実の精神によってのみ友情は育つのである。これが人間の心を動かすのであって、力によってではない。」/宗教は、人間社会にさらに分裂要素を生み出すことで争いの種となってはならないからである。わたしとしては、他の信仰も人の幸福に役立つという点で深く尊敬しており、他宗教の行事にも参加している。/このように苛酷な苦しみのもとで日々を過ごさねばならぬチベット人に、中国人を愛せと期待するわたしのほうが間違っている。/
僕はコーヒーがのめない 5 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2016-07-29)
読了日:2016年8月12日
舞台はジャマイカ編へ。味を追求するためには一切の妥協を排したい周五郎。ひとつでも雇用が減ることは受け入れられないブライアン。ブルーマウンテンをめぐる歴史が語られ興味深い。そして、ラム酒が飲みたくなってくる。
永楽帝―明朝第二の創業者 (世界史リブレット人)
荷見 守義 / 山川出版社 (2016-07)
読了日:2016年8月12日
勇壮でスケールの大きな英傑と、陰惨な簒奪者、息苦しい独裁者。永楽帝にまつわるイメージといえば正負どちらも併せ持つように思ってきたが、この本を読むと簒奪者、独裁者の面が大きいように思った。耐えて耐えて暴発した、洪武帝のやり方に反した奸臣が跋扈した、だから挙兵したのだ、我らに正義あり、と繰り返し繰り返し正当化を訴え、史書を改ざんし、そこまでしないと気が済まず、世間の目が厳しく、やましかったのだろうなと思わざるを得ない。靖難の役を共に戦った者たちを重用するインナーサークル政治。批判する者ははねつけ、左遷し、時に命を奪う。対抗する勢力には洪武帝のやり方に従ってないと批判しつつ、洪武帝が戒めた対外遠征を積極的に行う矛盾。順逆の理、日本、朝鮮などしたがってきた国はあつくもてなし、従わないモンゴル、安南は、たとえ勝ち目が薄くて、膨大な費用がかかっても実施する、と。/永楽帝を太宗と呼ぶか成祖と呼ぶか。太宗なら(建文帝を飛ばして)明朝二代目として、成祖なら王朝の創業者として。洪武帝のつくった明を根こそぎ作り変えたという意味では後者がふさわしいのでは、と。/近年、行政文書である档案研究から正史からはうかがい知れない様々な実像がうかびあがってきているのだとか。洪武帝が燕王を望みつつ、後継にできなかったのは、長幼の序を重んじたため、と。/靖難の役の本質は、南北の戦いなどではなく、お互いの標的はお互いのみという、建文帝と燕王の叔父甥間の私闘が本質。ただ、諸王については、寧王以外はみな建文帝についた模様、と/大航海の狙いが軍事でも経済でもなければ、広く永楽帝の即位を知らしめて朝貢国の増大を図り、皇帝を宗主とする安定的な広域秩序を作り出し、永楽帝の権威を高めようとするものだったのでは、と/檀上寛「永楽帝」講談社、も再読したくなった。
先生の白い嘘(2) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2014-09-22)
読了日:2016年8月11日
エンバンメイズ(5) (アフタヌーンKC)
田中 一行 / 講談社 (2016-08-05)
読了日:2016年8月11日
生徒たちを守りつつ勝利を目指す者、虫けらのように殺すことも厭わず勝利を目指す者。その道は最初片方の圧倒的な有利に思えたが最後は…と。もう、ダーツの技量は行き着くところまで行っているので、あとは仕掛けの奇想天外さと心理戦がメイン。今回もルールの複雑さに理解が追いつかないが終わってみれば、なるほど、と。次の試合の相手は、意外にも、といったところで次巻へ。
絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)
石井 光太 / 新潮社 (2011-06-26)
読了日:2016年8月11日
ヤマザキマリさんの読売新聞書評2016/07/17で見かけて。世界の貧困層についての講義。ひどい、かわいそう、どうして人間がそんな残酷なことを、とステレオタイプに捉えても仕方がない。それぞれの事情で、様々な様相を見せている事態を、まずは知ることから、と。/多くの笑顔があったからといって「安全」を意味しない。「自然淘汰」に残った者たちの笑顔なのだ、と/出稼ぎ成金が出稼ぎで夢破れた者たちを救っているケースも/「あ、さっきの物乞い、iPodで音楽聴いてるわ」/町の路上にいれば誰からも相手にされずくたばるだけ。軍に入れば必要とされる、と嘯く少年兵/貧困とは時に、物乞いのためにさらってきた子供に障害を負わせるといった狂気を生み出す。/読み終わって感じたのは、著者の原動力。路上生活者の妻に言い寄られ断れば、旦那に、せまられたと嘘付かれ、殴られたたきだされ。親しくなるためにと飲んだ密造酒で死にそうな目にあったり。乾いた精液を運ぶアリにたかられる売春宿のベッドで何夜も過ごしたり。様々な目にあいつつも、取材したい、知りたいと向かっていく原動力は何なのか。そして、買春する輩、フィリピンパブに入れ込むような輩、不倫するような輩、といった書き方にも、倫理観が透けて見えてくる。
松村 栄子 / 福武書店 (1995-01)
読了日:2016年8月8日
何回目かわからないぐらいの再読。今回は、繊細さと痛々しさを感じた。おそらくつくばをモデルとした大学。希薄とまではいかないけど、私は私と世界を作り、けれど、時に剥き出しの悪意を傷口にこすりつけたり、分かり合えないけれど、その痛みはわかってしまい、それを癒せるはずの機会も失ったのを見たとき、かたや長い眠りに、かたや眠りからの追放に、そして...と。
パリ、愛してるぜ〜
じゃんぽ~る西 / 飛鳥新社 (2011-05-21)
読了日:2016年8月8日
かなり向こう見ずにパリに渡った漫画家の著者が、新鮮な驚きを抱えつつ、パリの人々と触れ合い、文化の相違に触れ、恋をし、破れ、働いた記録。ショートショートで、一つ一つにオチがなかったりすることもあるけど、すーっと読めて、パリへの愛を深く感じる。フランス人…羨ましいなと思うところもあったり、逆もあったりで、そりゃそうなんだけれどね。
アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング / CCCメディアハウス (1988-04-08)
読了日:2016年8月8日
http://www.yururimaaruku.com/entry/idea_no_tsukurikata でみかけて。/「アイデアは一つの新しい組み合わせであるという原理と、新しい組み合わせを作りだす才能は事物の関連性をみつけだす才能によって高められるという原理」/アイデアのつくり方。1、資料集め 2、資料に手を加える、咀嚼、組み合わせ、関連づける 3、意識の外で何かが組み合わさるのを待つ 4、アイデアの実際上の誕生 5、現実の有用性に合致させるため、具体化し、展開させる/ウェゲナーの大陸移動説も、ダーウィンの種の起源も、それを構成する各々の学説はすでに知られていたが、それを総合し組み合わせて作り上げたのが彼らだった、と。
スティーブズ 5 (ビッグコミックススペシャル)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) , 松永 肇一 / 小学館 (2016-07-29)
読了日:2016年8月7日
アップルの急激な巨大化、IPO、ウォズの株を創業メンバーに安く分ける策、スコッティによる強権的なレイオフと辞職、ジョブズによるMacintoshプロジェクトの乗っ取り、巨象IBMによるパソコンへの進出宣言。ジョブズが禅を教わっていた乙川弘文についてももう少し調べたいと思った。またMacintoshプロジェクトを率いていたジェフ・ラスキンについても。
ナナマル サンバツ (12) (カドカワコミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA/角川書店 (2016-08-02)
読了日:2016年8月7日
クイズによる戦い、読んでて引き込まれここまで熱くなれるとは。早押しのタイミングはまさに知の格闘技。スリリング。問題の切れ目から、一瞬でその先の展開を予想し、ボタンを押す。局面によって求められる対応も様々。攻めてるんだから、間違えても気にしないというのも時にはありと。
SNSポリスのSNS入門
かっぴー / ダイヤモンド社 (2016-07-29)
読了日:2016年8月7日
各SNSの現状、見取り図、立ち位置、なんかはよくまとまってて面白いなあ、と。そこでのイタイ振る舞いかたに関して、逮捕案件だ!と次々と槍玉に挙げ、揶揄していくものの、いちいち的確で面白いのだけど、最後に、登場人物に、こんなの私の好きなSNSじゃない!と語らせるあたりが爽快感というかバランス感覚というか。あと、はあちゅう愛、さえりさん愛が深すぎるなあ、と思った。ビジネス編とベンチャー編は若干余計なお節介がすぎるなあという印象。連載時にはなかったコラムや対談みたいのはお得感。
先生の白い嘘(1) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2014-02-21)
読了日:2016年8月7日
ホリエモンメルマガつながりで
クロコーチ (15) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-07-29)
読了日:2016年8月6日
クロコーチ(14) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-05-28)
読了日:2016年8月6日
扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2008-02-08)
読了日:2016年8月5日
「わたしたちが少女と呼ばれていた頃」のシリーズ第一作。この本で語られていた、切れ者、坊ちゃん、スナフキン、丁稚の造形も詳細に描かれていた。まず犯人が最初に提示され、他の登場人物が事件に迫る形で語られる。動機...については、そんなことで、という声も多かったようだけど、きっときっかけなんて他の人から見たら些細なことだったりするケースも多々あるのでは、と。そして、完璧を期したはずなのに、探偵役となった碓氷優佳に理詰めで指摘されていく事実。暴かれて、それで終了かと思いきやのどんでん返し。第二作でどのような関係性が提示されるのか、ひどく気になるから、きっと手に取ってしまうだろうと思う。
闇ウェブ (文春新書)
セキュリティ集団スプラウト / 文藝春秋 (2016-07-21)
読了日:2016年8月4日
普段見ているインターネットからはたどり着けないダークウェブの世界を垣間見せてくれる。セキュリティ担当者必見てあったけど、どうしたものかと思う案件はいくつも。手軽にDDos攻撃できるサイトとか広範囲な違法なものを売りさばくサイトとか。興味を持ったのは以下。/スプラウトが運営する「THE ZERO/ONE」。/韓国の全国民に発行されているRRNは、1968年から運用されてきた、日本のマイナンバー制度に類似する住民登録番号だが、過去何度も大規模サイバー攻撃を受け、最低でも80%以上の番号情報が流出した可能性があるため、現在新たな制度構築を韓国政府が進めている/IoT家電の取得した個人の健康情報が知らぬ間に抜き出され、闇市場で売買される可能性/ID泥棒。あなたが「あなた」であることを証明する情報が根こそぎ奪われた時、あなたは「誰かが私に成りすましている」と主張することも難しくなる。/ビットコイン。食うか食われるかといった厳しい世界で生き抜いている人間にも信用されるほどの実力を持った決済システムだということも言える/ウルブリヒトとシルクロードを扱ったアレックス・ウィンター監督のDeep Webという映画。/秘匿サービスを利用したデジタル犯罪の闇の深さ、現場の最先端で捜査に携わっている者でさえ、足がつかないと確信し、大胆な犯罪に走るほど深い、ことを垣間見せたエピソード。
ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)
奥野 修司 / 文藝春秋 (2007-10)
読了日:2016年8月4日
丸紅アパートメンツプレスつながりで。5年前に100頁で挫折していたのを掘り起こしてきて、今回は通読。戦後のごく一時期、沖縄に密貿易で大変に栄えた時代があった、その中心はナツコという女性だった、という情報から、直接的な文字資料がほぼない中、証言と状況証拠で固めていった労力と執念には脱帽。/「あんたの目の前にあるのはなんだ?ただの海じゃないよ。海の向こうには黄金があるさ。さあ、黄金の海を渡りなさい」「夏子は気が強いといわれますが、そうじゃなくて、ものの考え方に義侠心がありました。他人のために何かしてやりたくても自分が弱ければ何もできない。そのためには自分が強くなるしかない、というのが夏子の考え方でした。」「この子に運があれば生きて帰る。死ぬも生きるもこの子の人生だよ。そうじゃないかい。」「この時代は長くはない。そろそろ引き際かもしれないね。」/沖縄が黄金に輝いていた時代。特に、与那国の久部良が殷賑を極めた様子は詳細に描かれている。けれど、読後思ったのは、夏子はどこに向かおうとしていたのだろうか、ということ。戦前のマニラに大いに感銘を受け、太平洋戦争の先行きを見通し、先手先手を打って、密貿易に乗り出して巨万の富を築いたように描かれるが、気がつけば、軍とべったりの勢力に先を越され、人に投資しすぎたせいか、金策に困り、陸に定着して第二の人生をと思った矢先に病に倒れる。徒手空拳から表の世界でも大きな存在になろうとしていたということなのだろうか。ただその熱い軌跡は、後世の者からしても惹きつけられて止まないものがあった。
ハイスコアガール(6) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介 / スクウェア・エニックス (2016-07-25)
読了日:2016年8月1日
大野姉の登場でぐいぐいとあいだを取り持ってくれて、ときメモで女心を学ばされ、RPGツクールで一人だけのためにゲームをつくり、さいごは一緒にゲームショーへ。待望の3年ぶりの新刊を堪能。


2016年08月01日

2016年07月に読んだ本

期間 : 2016年07月
読了数 : 40 冊
おとりよせ王子 飯田好実 7 (ゼノンコミックス)
高瀬志帆 / 徳間書店 (2016-07-20)
読了日:2016年7月31日
この巻で最終巻。かぶらずしとマンガ肉、気になります。あと各地のお雑煮おしるこシリーズ。SE職場の仕切りの大変さは、わかるなあ、と。最後は、他の人にもアカウントが…と。
ワカコ酒 7 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2016-07-20)
読了日:2016年7月30日
生ピーマンの肉詰め!気になる。同じ巻で焼いたピーマンの肉詰めと生ピーマンの肉詰めが取り上げられてるところにもこだわり感じる。友達のうちに遊びに行ったエピソードの、タネを先炒めの餃子も気になる!そして、チラガーつまみながら、これはビール泥棒、てシーンがいいなあ。
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2016-05-01)
読了日:2016年7月30日
高森純一郎氏( @takamori_j )の最新作。終戦直前、沖縄から女性・子どもを中心に1万人が、比較的安全とされた台湾へ疎開し、戦後、台湾は中国国民党政府支配下、沖縄はアメリカ政府支配下となり、帰還が困難に。房子は商家の娘から農家へ嫁ぎ、夫の出征に伴い自らで戻り、そして娘麗子を連れて疎開。沖縄戦で母を失った後は、台湾に身を埋めることに。1940年代は房子、1960年代、70年代は麗子を語り手に語られる、台湾現代史と家族の軌跡。2007年の香港の研究者による沖縄来訪と交互に語られるストーリー。生まれ育った地の支配者が入れ替わったため、己が何人かという問いにさらされ、突き詰め、しぶとく生きていく人々。その中で語られるのは、様々な所属から所属へと向けられる目線。農家から商家、日本人から沖縄人、沖縄人から八重山人、日本人・沖縄人から台湾人、台湾人から日本人、中国国民党から台湾人。時には見下し、時には連帯し、時には対等に接し、と。琉球と自由中国から、沖縄と台湾の関係に。実質的な外交事務所の看板掛け替えから語られる物語。最後の方は、無理筋な、沖縄も中国の一部という見方が、沖縄の人々には顧みられず、結局は現実に即した関係へと踏み出していく一幕で幕を閉じる。生まれた地でほとんど育ち、その支配者も入れ替わらなかった身としては計りがたいところもあるけれども、己が何者か、と問いかけるための一助となるように思えた。
仁義なきキリスト教史
架神 恭介 / 筑摩書房 (2014-02-26)
読了日:2016年7月29日
唯一神を大親分、宗教をヤクザの組になぞらえて語られるキリスト教史。イエスの活動、死から、弟子たちの活動、パウロの登場と退場、ローマ帝国での公認化前後、第4回十字軍、叙任権闘争、宗教改革、そして1930年代、ファシズムと手を結ぶ前夜まで、といった重要な節目、節目が語られていく。部外者にとって、それはファンタジー、それは本当にどうでもいいことで争っているように見える、それは本当に俗的すぎて人としてもどうなのかと思える(例えばお金を払えば来世のために罪を償うことを免ずる免償符、同じキリスト教国を攻め滅ぼした十字軍、など)、といった感想を抱いてしまう。もちろん、作者も断っているように、多分に演出を加えたところもあるし、この宗教で救われた人もたくさんいるのだということはおさえつつも。入門書としてはバッチリ、これ以上知りたければ、自分で聖書読んだり、通史、概説書など読んで、さらに深めていけばいいんだと思えた。以下備忘録。/カエサルのものはカエサルに/最後の晩餐、食べていたのは、過越祭の伝統的な食事であるジンギスカンだった/ヘブライニストとヘレニストの差は神殿批判の問題/イエスはキリストだ、いやいやイエスとヤハウェは同じようなものだ、という論争/カノッサの屈辱。教皇には許す選択肢しかなかった。「教皇はただの政治家ではない。任侠を売り物とするヤクザなのだ。/ギリシア正教会との仲違いは、コンスタンティノープル大司教の後継問題、イエスから聖霊が出るかの議論、パンに酵母を入れる入れない、聖職者は独身であるべきかどうか/ルター「わしゃここに立つ!他には何もでけん!ヤハウェ大親分、わしを助けてつかぁさいやァ、アーメン!」/ルターは現行の権力体制をガチガチに信奉していたのである。権力を批判することはあっても、権力者が民衆を支配する構造自体は断じて犯すべきではない、それは神聖不可侵なものであるとルターは信じていたのであった。(p.277)/聖餐論。ミサで信者が小さなパンを食べたりワインを飲んだりするがその意味合いをめぐる論争。最初期は信者同士のお食事会だったと思うのだが、それが宗教的な儀式となり、パンがキリストの体、ワインが血だのという話になっていき...。/カトリック側の自浄努力は「トリエント公会議」。悪習の除去とプロテスタントに攻撃された教理の再提示/
鈴木柊 / 鈴木柊/safety oracle (2016-07-20)
読了日:2016年7月28日
サークル SAFETY ORACLE の鈴木柊( @hatch_smile )さんの詩8編が収められた作品集。文学フリマ札幌のWebサイトで紹介を見かけて、買いたいなと思ってた一冊。個人的には「告白」が一番印象に残った。今さら善人になろうとは思いません、という出だしから、それなら全部自分のものにします、という宣言まで。そして、一緒にもらったペーパーに載ってた「私と「普通」のディスタンス」。続きがあるなら読みたいところです。
札幌市北区役所市民部総務企画課 / 須田製版 (2007-03-01)
読了日:2016年7月27日
北24条にあったと言う飛行場のこと、札幌最北のJRの駅のこと、市電の盛衰、当時は一面麻畑だった光景、初めはぬかるんでばかりだった石狩街道、盛り場としてピークだった時の北24条、札幌駅前の賑わい、などなど。篠路、新琴似と、なぜ地域で薪能や歌舞伎などの伝統芸能を経験者のない中公演しようと思ったのか、興味深いところ。
テラモリ 4 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2016-07-12)
読了日:2016年7月27日
高宮への気持ちに気づいてしまった副店長が、なかったことにしようとしたり、逃げ出そうかとも思ってたけど、結局は、背中を押されたところもあったけど、逃げずに向き合うことに。けれど、その瞬間は、相手が酔って覚えてなかったというオチはつくけど。仕事への意欲が増して、まっすぐに向かってくるのにタジタジとなりつつも。そして、弟の就職。がむしゃらに保護者として邁進してきたのに、ぽっかりと。そして将来像を考えた時に…何もないと思ってしまったけど、「分からないなら、分からないなりに、今やれることをやって、色々挑戦しながら、自問自答し続けるしかないんだよな」と。
ちひろさん 5 (A.L.C.DX)
安田弘之 / 秋田書店 (2016-07-15)
読了日:2016年7月27日
思いついて仮装して店に立ってみるちひろさん。デリカシーのない店主にむくれて、一人、もんじゃ焼き屋で、眩しい若いカップルに視線を向けて元気になったバジ子さん。一番、印象に残ったのは、最初はチャラい感じで近づいてきて、客あしらいがさりげなく、親しく、心地よく、必然の存在となったと同時に、あることがきっかけで、心のブレーカーが落ちた話。どこで間違えたのか、そもそも間違えてたのか。
信条皆無 , 土讃コタロー / プヴァールとペキュシュ (2016-07-22)
読了日:2016年7月27日
サークル「ブヴァールとペキュシュ( @BouvartPecuchet )」さんの、ヒグマをめぐる一冊。前半は小説、後半はノンフィクション。地方史の本で、三毛別羆事件の概要だけ知り、詳細を知りたいと思っていたところにばったり出くわし手に取る。羆の生態や、過去の事件が紹介されるが、これ、下手に反撃しようとしないで逃げるしかない、逃げきれなかったら終わり、という所感。ワンダーフォーゲル部の学生の話とか凄まじい。荷物を取り返してはいけない。そして、冬眠しないケース、しても眠りが浅いケースがあるため、そうやって冬眠し損ねた個体は暴れやすい、と。三毛別羆事件も詳細に経緯が語られ、結局は、住むべきではないところを開拓しようとしてしまったのでは、と。小説の方は、うまくいかない日常を払うように誘われた山菜採りで熊に出会ってしまうが、祖父を置いて逃げて、この先の人生生きていけるか、と自問し、戻って反撃して撃退、あの時に比べれば、とそれまでは辛かった日常も耐えられるように、といった佳編。
講談社 (2016-07-25)
読了日:2016年7月26日
斑目ハーレム崩壊からのまさかの泣きの一回の、どんでん返しの結末、そして次回最終回かあ。気がつけば第一部よりも長い巻数に。第一部の主人公が笹原なら、第二部は斑目が全部持って行ったなあ、と。あと球場三食。毎回各球団のホームグラウンドをまわって、薀蓄を傾けつつ楽しむんだけど、こだわりが感じられて楽しい。今回は西武だったが、早く札幌ドームにも来ないものか。フラジャイルは、病理科廃止に向けた戦いの火蓋が切って落とされた。両方とるのがよい医者、というのは名言だったが。
野崎 卓也 / 野崎 卓也 (2016-07-15)
読了日:2016年7月25日
個人的に待望の第5巻。入荷しました!というシャンティブックスのTwitterで見かけて会社帰りに駆け込み手に取った一冊。今回も色々まわってますよ、と店主の言葉にたがわず、インドを東から西へそして南へと縦横に。著者も書いてるけど、本当に都市ごとにカラーが違って面白い。ゴアには興味が尽きない。ゴアトランス、聞いてみたい。ビーチにクラブにコロニアル様式の建物なども。そして理想都市オーロヴィル。オーガニックなご飯に高額だけど充実していない宿というアンバランス。調和を目指すコミューンなのだとか/たくさんの客引きやぼったくりたちと行き交い"結局のところ、物事を決定、遂行するにあたり、どちらかが多少の妥協点(マイハートブロークン)が発生するのではないだろうか"、という実感/夜11時に宿の部屋の前で鍋パーティをされるカオス/国際電話をかけようにもボタンの「2」のみきかなくてこの日は断念、とか/
斜陽の国のルスダン
並木 陽 / 密林社 (2016-05-02)
読了日:2016年7月25日
舞台は13世紀ジョージア。おそらく史書からすると絶世の美女だったが、戦は負け続き、家臣もまとめきれず、夫には裏切られ、都も追われ…と散々な評価しかくだされなかったルスダンに、兄の意志を受け継ぎ、国を守ろうと、夫と力を合わせるも、モンゴルやホラズムの残党の前に、及ばずながら散っていった悲劇のストーリーを紡ぎあげ、魅力ある読み物に仕立てられているのには感嘆。祖母のタマラ女王にも興味がひかれた。
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2014-05-05)
読了日:2016年7月24日
自身も研究者である高森純一郎氏( @takamori_j )による、在日韓国人3世で開発経済学を専攻する研究者の主人公が、日本人の妻とともに、ドバイのUAE国立大学に赴任し、そこで垣間見た世界から、民族、統治に対する思考を深めていく小説。文学フリマ札幌で入手。UAEナショナルな人民は2割から3割ぐらい、石油を軸にした潤沢な財政を背景とした手厚い保護、現業はすべて外国人労働者に任せ、政治的な自由は少なく、けれど支配者への敬意は強制されなくとも持ち合わせているように見える、と。一見結構づくめに見えても、属人主義、厳しい上下関係は、中にいるものにとって、特に下位に置かれているものにとっては、時に息苦しく感じられる、ということは伝わってきた。日本で生まれ育つも韓国籍、日本語英語は話せるが韓国語は話せない、主人公のバックグラウンドと重ね合わせながら語られるドバイの生活、そこから垣間見える支配体制は、興味深いものであった。
秋永真琴 , 藤沢チヒロ / スタジオプリケ (2016-07-23)
読了日:2016年7月23日
狸小路8丁目にあるというCAFE 泳ぐ鳥。ここを舞台に、店を守るターニャ、常連客のシバ、ミュウが、他の客の事件をズバッと解決。テンポよく進むお話に札幌が舞台とあって、札幌人には馴染むなあ、と思いながら楽しく読む。他愛ないといえば他愛ない事件だけれども、それぞれのキャラも魅力的でクセがあって、短編一発なのはもったいない、他のストーリーも読みたいと思った一冊でした。
わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2016-03-11)
読了日:2016年7月23日
横浜のお嬢様女子校の進学クラスに通う小春。クラスメイトの優桂は、クールで美しく、そして頭も回る。赤信号を走って渡らなければ受験に落ちるというジンクス、高校生なのに酒豪で通っている委員長の本当の姿は、クラスメイトの恋の行方は、百合と噂されているクラスメイトの本当の仲は、受験直前に骨折したクラスメイトが立ち直ったきっかけは、と。日常で見逃されそうなそぶりや口ぶりを鋭く観察し、謎を解き明かしてくれる…のだけど。小春は気づいてしまった、優佳の心に潜む、おそらく本人も気づいていないかと思う性向を。ただ、そこまで求めてしまうのは酷ではないかと読み手としては思ったのだけれど。スタンスの違いといえば違い。君は君、人は人というのもスタンスではないかと思いつつ、それが許せないのが思春期なのかもしれない。
図書館の主 13 (芳文社コミックス)
篠原 ウミハル / 芳文社 (2016-07-15)
読了日:2016年7月21日
イサキ君が自分の紙芝居に自信を取り戻す話し。そして、タチアオイ図書館のスタート時の話。第0巻の話。ここにいる限り、本のことを聞かれる。誰かに本の話をすることで、誰かの本の話を聞くことで、その世界が押し広げられていく、と。いまの時点に話は戻ってきたけど、続く。もしかしたら、話をまとめにかかっているのだろうか。そういえば、ハイジ、確かにちゃんと読んだことないかも。
ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 東日本編 (ちくま文庫)
都築 響一 / 筑摩書房 (2000-12)
読了日:2016年7月20日
滝野霊園、北海道秘宝館、北の京芦別、カナディアン・ワールド、札幌リズム社、レトロスペース坂会館。道民としては現存するところもしないところも気になるところ。穂別地球体験館は、温度差激しすぎて体調崩しそうになったことも。東北の、階段国道、キリストの墓、土偶駅、関東の、神秘珍々ニコニコ園、中部の東洋のコートダジュール、熱海秘宝館、逆さレストとんちん館、養老天命反転地、ジュディ・オング博物館も気になるところ。
99%の会社はいらない (ベスト新書)
堀江 貴文 / ベストセラーズ (2016-07-09)
読了日:2016年7月18日
第4章が特に面白かった。読んでて背中押されるというか発破かけられる一冊。/以下目にとまったトピック。/企業とそのサプライヤーがクラウド上で取引文書を集中管理するプラットフォーム「トレードシフト」/感情マネジメントはめんどくさい、だから人を雇わなければいい/仕事は教えてもらうものではなく真似して勝手に覚え、自分なりに改良を加えるのが基本だ。/チームコミュニケーションアプリSlack/ソースネクスト社の留守電をテキスト化して送信してくれるサービス/佐々木圭一「伝え方が9割」。/HIUでの参加者を動かす仕組み/嫉妬や感情論はどうしてもなくせない、民主主義の限界/キングコング西野さんの「おとぎ町」/ノリよくなんでも飛びつく小田吉男さん
南朝研究の最前線 (歴史新書y)
日本史史料研究会 , 呉座勇一 / 洋泉社 (2016-07-02)
読了日:2016年7月18日
全体的に言うと太平記史観からの脱却が必要。他の文書史料の研究の進展から明らかになったのは、後醍醐が行なった革新的とされる政策の類型はすでに前代からあったもの。室町幕府が建武政権の改革の多くを模倣・継承している点から、建武政権の現実的な面を評価できる。旧幕府の官僚たちも、後醍醐と関係があったならという但し書きもつくが、六波羅の官僚を中心に建武政権につかえていた。ただ楠木正成、名和長年が記録所に入ってた、だから実務能力があった、だから寵臣を無理やり抜擢したわけではない、という立論は疑問符。尊氏の頃の足利家は、代々北条氏と婚姻関係を結んで厚遇を受けていたが、源氏嫡流とはみなされていなかった。建武政権に背いたのは「八方美人で投げ出し屋」の尊氏が弟直義をはじめとした足利家中の人々を含めた当時の武士たちによって「将軍家」へと祭り上げられた体、と。新田義貞は太平記以外の史料では足利一門とされている。楠木正成は、異端の武士とされるが、御家人であり、流通ネットワークを抑える武士という特色も正成だけのものではない。建武政権は武士へ冷淡だったという説は、身内の北畠親房からも、例えば足利家に対し、尊氏の一族以外も多く昇進しと非難されていたことから覆される。ただ、大勢の日和見だった武士たちは、恩賞給付が遅々として進まなかったことが原因で、建武政権を見限っていったのでは、と。それは日和見だったものたちの功績の確定が難しかったからで、政権側より御家人の去就が原因だったのでは、と。1360年の窮乏した南朝では一度給付した恩賞を取り上げたりしたケースもあり、ますます弱体化が進んだ、と。鎌倉府と「南朝方」の対立はあったのか、という点は、鎌倉府が抵抗勢力の討伐を公戦として正当化するために「南朝方」というレッテルを利用した側面を指摘。それが15世紀後半になると行われなくなることで東国の南朝勢力の衰退も合わせて指摘。征西将軍府については、懐良親王の令旨の様式と機能が武家文書に酷似したものとなった、1365年ごろから征西府の権威が九州から伊予まで及び、伊予では南朝の綸旨と競合関係にあった、1371-72年に「征夷大将軍宮」を自称する懐良親王の令旨が見られる点からほぼ完全な自律性を保持し、そのピークは懐良が対明通交を決断した前後にあったことを指摘した説を紹介。ただ、南朝からの自立については留保がつく指摘も。「九州国家」建設の意図については可能性を指摘するにとどめるべき、と。ただ九州武士たちの「九州の論理」については興味深く読んだ。/主に、個人的な征西府への興味から手に取った一冊だったが、それ以前の時代についても、研究が進み、通説とされてきたことが、新たな視点で語られており、知的興奮を得られる一冊となった。
未来国家ブータン (集英社文庫)
高野 秀行 / 集英社 (2016-06-23)
読了日:2016年7月17日
バイオ会社経営の知人から、ブータンに行って欲しい、と言われブータンへ飛んだ高野さん。依頼された目的と自分のやりたかったこと、両方の目的を抱え。その認識の差異と依頼者がこの本を読んだときの感想がまた面白かったのだけどそれは読んだ方に委ねるとして。GNHを掲げることの功罪。すべての国民を見える形ではなく、結果として一つのよりよい方向に導こうとする政策。選択に悩むストレスからの解放とそこからはみ出たいものとの相克。そこにありえたかもしれない未来の日本を見つつ、ブータンの個性を見出した高野さんの視点を味わえる一冊。自分の利益より国家のことを考える心性。かと思えば、ダム工事で首が切られるという噂に見られるように、国家を心底は信じていないものもいて。リアリティとして雪男や想像上の動物を感じる心性。占い、祈祷に委ねることで後でどう転んでも良い方向に人生を捉える。様々な考え方、切り口に触れられて興味が増した。ダライ・ラマ自伝、ブータンに魅せられてあたりは読んでみたいと思った。
丸紅 / 丸紅アパートメント (2016-05-01)
読了日:2016年7月16日
普段は東京で働く夫婦が降り立ったのは西の果て与那国島。渡りづらいことから「渡難」(どなん)と称される断崖の島。厳しい風、自然の脅威。闊歩する馬たち。素泊まりゆえに、ご飯を食べようと探すも店がなく、宿のペヤング食べてたら、他の旅人が分けてくれたり、とのんびり。旦那さんがもふもふした三つ目の妖怪なのはなんでだろうと思いつつ。黒島は、不思議な感覚に導かれたかのように、静かで穏やかでのんびりとした空気を感じた。
サロメ―ナクソス島のアリアドネ/こうもり/ナブッコ (中公文庫―マンガ名作オペラ)
里中 満智子 / 中央公論新社 (2007-03)
読了日:2016年7月16日
サロメ、のみ読了。オスカー・ワイルドの原作の雰囲気がよく出てたと思う。思いつめた上の極端。そこに至るまでの退廃した雰囲気。
陽あたり良好 文庫版 コミック 全3巻完結セット (小学館文庫)
あだち 充 / 小学館 (2014-06-20)
読了日:2016年7月16日
高校近くの下宿に集った女子高生一人と同級生たち。ヒロインかすみと遠距離で年上の憧れの人カツヒコさん、開放的で困った人がいると見逃せないバイタリティあふれる勇作の間をいつしか揺れてしまうように。身の回りにいる人だけかき集めて、弱小野球部が甲子園一歩手前まで行くのはご愛嬌だが。最後の最後は、薄々そうではないかと思っていたけど、唐突な告白、そして落雷で幕を閉じる。その後のことは読者に委ねるように。
遠くにありて (小学館文庫)
近藤 ようこ / 小学館 (1999-06)
読了日:2016年7月16日
東京でのマスコミの就職に夢破れて、父のコネで地元の高校に就職した朝生。お金貯めたらすぐにやめてやる、東京で夢よもう一度、と思っていたが、大家さんとの関係、高校の同級生と親しむうちに、悩み、ぶつかり、最後には…と。家族は解体するけど再構成もする。悩んだ時間も無駄じゃない。息を詰めてその過程を追ってしまった、濃密な読後感。手元に置きたい一冊に。
シルクロード 砂漠幻想 (花とゆめCOMICS)
神坂 智子 / 白泉社 (1986-02)
読了日:2016年7月16日
仏陀の出家前を、ファンタジーも絡めて描いた一編。ホータン国の王子に見初められたと思い、禁制の絹まで持ち出してたどり着いた王女が受けた扱いわ、と。そして命を削って絨毯を織る少女たち。題材は心惹かれるが、料理の仕方は個人的には合わないかなあと思いつつ。
夜を乗り越える(小学館よしもと新書)
又吉 直樹 / 小学館 (2016-06-01)
読了日:2016年7月15日
自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います。読書のおもしろいところは、主人公が自分とは違う選択をすることを経験できることや、今まで自分が信じて疑わなかったようなことが、本の中で批判されたり否定されたりすることにあると思います。/すべてに共感するのではなく、わからないことを拒絶するのではなく、わからないものを一旦受け入れて自分なりに考えてみる。/過去の小説も、優れたものは今に置き換えて読めるし、多くの示唆があります。でも一方で現代だって、いや現代こそ複雑なんだという気持ちもあります。/といったあたりが、印象に残った。そして、太宰も、芥川も、あの夜を乗り越えられたなら…という思い、そして誰かのその夜を乗り越えるための一助に、本がなれるのではないかという願いが伝わってきた。

読みたくなった本!・中田敦彦「芸人前夜」・ ゲーテ格言集・ 太宰治 富嶽百景 (太宰治、井伏鱒二が実名で登場)・ 彼は昔の彼ならず・服装に就いて・善蔵を思う・ 遠藤周作 沈黙 深い河・ まさかジープで来るとは 自由律俳句・ 中村文則 何もかも憂鬱な夜に。
北海道の商人大名
山下昌也 / グラフ社 (2009-03-26)
読了日:2016年7月12日
前身の蠣崎氏から松前藩の成立、幕末までの通史が概観できた。商人大名、というが、配下の民、アイヌ、商人にとっては、辛い君主だったのではないだろうか、と思った。蠣崎氏時代に、自ら領地を削ってアイヌの自治に任せた時期があったけれども、その後は、当たり前のように騙し討ち、商いの信義も守られず。商人からは、薩摩藩でもやってたと例はあがるが、踏み倒す前提での御用金の強要など。初期の英邁な君主、慶広、公広の後は、幼少病弱な君主の時期も多く、国力と実力に見合わない気宇壮大な夢を見た道広、幕末の多難な時期に外交面で活躍を見せた矩広あたりが印象に残るところか。蠣崎波響は出番がなかったような。幕臣旗本へ一族を送り込んで一家を建てさせたことは、アイヌ反乱鎮圧時や家督継承時にいきたこと。商業に比重を置くも、生産、流通の増大を税収増に取り込めなかったところは経済センスも疑問符。ただ、臣下や城下町は20万石の賑わいと表現されたことも。国防のために領地を取り上げられそうになった危機を救ったのは、ロシアの南下の軟化、その背景にはナポレオン・ボナパルトがいた、と海の向こうの事情にも直結していた最前線の国。普通の大名にはない興味深いケースの藩としては面白く読めた。
レディ&オールドマン 1 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2016-06-17)
読了日:2016年7月12日
時は1960年代、アメリカの田舎町。100年の刑期を終えて出てきた男を連れ帰ってしまった、好奇心旺盛なダイナーの娘。ぶっきらぼうだが結局は手を差し伸べる父親。転がり込んできた運び屋の仕事を二人に任せ。男の身元は?100年経ったとは思えないほど若いわけは?家族は?何の罪で?謎が謎を呼び、手がかりは示され、続きが気になる。
宅飲み残念乙女ズ(2) (まんがタイムコミックス)
コナリ ミサト / 芳文社 (2016-07-07)
読了日:2016年7月10日
初めての宅飲みでの残念パスタがつないだ乙女3人の縁。コスメ店員として、バリバリのOLとして、疲れた二人が癒されに来るのがてつ子の部屋。ゆるゆるした空気とざっくりおつまみレシピに癒されほぐれて、と。この空気感がいいなあと。完結なのはちと残念。
響~小説家になる方法~ 4 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2016-06-30)
読了日:2016年7月9日
新人賞の受賞、その授賞式での常識はずれの行動、ずれていく幼馴染の思惑、同級生の七光りを存分に生かしたデビューとヒット。誰が相手だろうと、自分の評価軸は曲げず、つまらないものはつまらないと評価し。そして波乱を呼びそうな、芥川、直木賞候補発表で幕は閉じられ。これが天才ゆえの傲慢なのか、どこへ向かっていくのか、気になるところ。
とんかつDJアゲ太郎 7 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-07-04)
読了日:2016年7月9日
TDA御一行関西ツアー編。東京で智林の繰り出すchillな雰囲気に打たれ、大阪で調子に乗って飲みすぎて、サゲ太郎と言われ落ち込む一幕。そこから串カツ屋での出会いを経て立ち直り、人気DJの飛吉に認められ、復活。そこへとんかつなんかクソ、牛肉しか認めないという神戸の御曹司に腹を立て、神戸に乗り込み、最初は相手にされないのに、飛吉が広めてくれ、御曹司の父に認められ、御曹司も一口食べて改心してくれたのか、いきなりコラボ。落ち込み→復活のサイクルが短すぎて深みはないけど、ポップといったところか。
コミュ障は治らなくても大丈夫 コミックエッセイでわかるマイナスからの会話力 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
水谷緑 , 吉田 尚記 / KADOKAWA (2016-06-23)
読了日:2016年7月9日
前半のスベり続けた黒歴史編は、本当に辛そうで、読み進めるのが辛かったけど、後半のコミュ障のままでも技術を身につければコミュニケーションはできる、といったあたりはサクサク読めて興味深かった。いきなり本質を聞くのではなく、ささいな、相手が考えずに答えられる質問を重ねていって、意外なエピソードにたどり着く、というのが一番印象に。特に、元ちとせから誰にも話したことのなかったウミガメのエピソードを引き出したり。/人が一人亡くなると図書館から一冊本が無くなるくらいの損失があるんだ、という言葉。/勝手な偏見を持っているから驚ける。勝手な偏見をぶつけると喋ってくれる。人は間違った見方を訂正しようとするとき、一番喋ってくれるから、と。…まあ相手とその場の雰囲気は読まなければだろうけど。
香炉を盗む
室生犀星 / Kindleアーカイブ (1921-01-01)
読了日:2016年7月7日
トイアンナblogつながりで。夜分抜け出して他の女のところへ行く男。察して送り出して、うちで待ち空間を凝視し続ける女。けれど、次第に、いない間の思いが出先の男の周りに不穏な状況を作り出し、落ち着かなくなった男が出先の香炉の蓋を持ってきてしまい、と。笑狂いながら女がそれを叩きつけて息絶える一幕。
ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死 (NHK出版新書 368)
石井 光太 / NHK出版 (2012-01-06)
読了日:2016年7月6日
日本に来た外国人が、どのように葬られ、病気に対応し、商売をし、結婚生活を送っているのか。様々な人びとの暮らしぶりに触れて浮き彫りにしていくノンフィクション。ムスリムは土葬絶対だけど、クリスチャンは一部、火葬も許容しているとは知らなかった。土葬は、来世を信じ、最後の審判での復活を信じているからこそ、と。だからイスラム世界には幽霊というのはないのだとか。「商売がネットに変わるというのは、巨大資本が独り勝ちするということなんだ」とつぶやく、個人経営の結婚相談所。バスタと呼ばれるイスラエル人と交流を持つ若い女の子たち。お互いのエイズ感染が発覚して、離婚の危機に陥ったが、夫の故国の医療状況を考え、ふみとどまり、今では戦友という夫婦。タイからやってきて、故郷に仕送りを続けたのに、親戚の子の讒言で戻る故郷を失い、さまようスナックのタイ女性。「私は願う。このような異文化が、より多くの日本人の知るところになればいい、と。日本に根付く異文化を見ることは日本の一側面を直視することだし、在日外国人を支えるものは、きっと日本人自身をも支えるものとなるはずだ。」というあとがきの一節に惹かれる。
印度放浪 (朝日文庫)
藤原 新也 / 朝日新聞 (1993-05)
読了日:2016年7月6日
死んだ人を喰らう犬。弾丸一発のみの原始的な漁に同行する一幕。押し合いへし合いの列車での席の争奪戦。小さな村で生活を共にして、地べたの暮らしを分かち合い。各所で見られるガンジーの意匠。亡くなった自分の小さな子供をこの世の終わりかのように泣き叫びながら河に投げ入れた直後に、ケロリと談笑しつつ友人と歩いて帰ってくる男。死が身近で日常に寄り添っているからかの無常観。/以下備忘録的に。/無茶苦茶に何でもかんでも、負けに行ったんじゃないかなァ…最初の頃は/チベットには上に引きつけられる逆の引力がある。インドでは土に引きつけられる。両極端みたいな感じだね。/(マルコ・ポーロ)すけべの成り行きで、ああいう偉大な旅になっちゃったんだね。/やっぱり彼の長旅は正統だよ。/(アレクサンダーの使いに対する聖者の回答)「われわれに対する知識を、とりつぎを通じてあなたの主人に伝えようというのは、泥のなかに水を通してその清からんことを求めるようなものだ。もし、あなたの主人がわれわれの何者かを知ろうとするならば、まず着ているものを脱ぎすて、謙虚にわれわれのところに来て、ともに陽光の下に坐るべきだ」/この神殿にある神の姿は、この周りの住民の生活のためにだけあるのだ。もし君が本当に神を見たけりゃ、どこにだって神はいるさ、樹にもいるし、岩にもいる、河にも、山にも、道の端にころがっている小石にもいる。君の目の中にもいるし、君が目によって見る全部のものの中にいる。/
ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ちくま文庫)
都築 響一 / 筑摩書房 (2000-12)
読了日:2016年7月4日
都築響一「圏外編集者」つながりで。高知のやんちゃなお父さんが自分の好きなように延々と作り続けている沢田マンション。性愛の展示がインパクトのある凸凹寺。鉱山リゾート、マイントピア別子。マントラ洞窟を擁する石手寺。ユダヤ人もびっくり、能登半島のモーゼの墓。独特すぎる世界観がほとばしって暴走機関車のような、大阪の、食堂・宇宙家族。世界各国のお風呂が集う、スパワールド。一億円金塊とバスガイドさんのポラロイドで埋め尽くされた靜の里公園。店員が走って注文を取りに来ることもある、日本最大の喫茶、カフェギャラリーレストラン・ウズ珈。どれも過剰で、心くすぐり、立ち止まってしまう。よく見つけてきたなあという関心と、作った人の情念が垣間見えて、本当興味が尽きない。
本日のバーガー 2 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2016-05-16)
読了日:2016年7月4日
ハンバーガーの定義、世界のハンバーガー、思い出のハンバーガー探します。大手商社を辞めて、ハンバーガーを開店した主人公のハンバーガー愛が伝わってくる。ただ元上司が、連れ戻すために、仕入れに手を回したり店の評判を落とそうとしたりって、北風と太陽を読んだことはないのか、というぐらいに逆効果で。
本日のバーガー1 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形 怜 / 芳文社 (2016-04-16)
読了日:2016年7月4日
日日べんとう 7 (オフィスユーコミックス)
佐野 未央子 / 集英社クリエイティブ (2016-06-24)
読了日:2016年7月2日
まさかそういう展開で来るとは、と。その乗り換えはどうかと。そして、乗り込んで行ったはいいけど、婚約までしといて、ねてないから二股じゃないってのは説得力ないなあと。ただ、残された主人公はすこしずつ回復のきざし。働きがいを見出しつつ。
東京タラレバ娘(5) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2016-05-13)
読了日:2016年7月2日
女の人への叱咤なのかもだけど、男にも刺さってくるなあ、と五冊読みきってしまう。


2016年07月01日

2016年06月に読んだ本

期間 : 2016年06月
読了数 : 39 冊
恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)
トイアンナ / 光文社 (2016-06-16)
読了日:2016年6月28日
きちんと育まれた自尊心、自分の意思を優先できる人、の節が印象に残る。前半は、インタビューがメインのケーススタディー、後半は、エクササイズを通したセルフケアを試みる実践的な内容。
ルバーイヤート (平凡社ライブラリー)
オマル ハイヤーム / 平凡社 (2009-09)
読了日:2016年6月28日
人は土から生まれて土にかえるだけ。その間は、楽しめ、酒を飲め。来世などありはするものか。誰も見て帰ってきたものなど居らぬ。そういった通奏低音を感じる。以下、備忘録的に/鏡餅を見たイラン人の知人の「あれは宇宙か?」「では日本の天地創造か?それとも混沌か?」/「詩人の墓」をストレスの場にしたいという日本へ出稼ぎにきているイラン人労働者/すべてのことは天の書に記されて、善きも悪しきも綴った筆は、それから頑なにうごこうとしない。せねばならぬことはすべて大初にさだまり、励んだり嘆いたりするは愚かなこと。/水のように流れ来て、風のように去るだけ。/酒を飲め。われらが立ち去ってからも、月は無限に満ちては缺け、また満ちるのだから。/われらが消えても、永遠に世はつづき、われらの生の痕跡も、名ものこりはしまい。われらが生まれる前、この世に欠けたものはなにもなく、われらの死後、なんの変化もあるまい。/
故郷
魯迅 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。移住のため、実家を片付けに久々に帰郷した主人公。大金持ちになったわけではないけど、大金持ちになったと周囲に思われ、貧すれば鈍するを地でいく卑しさを剥き出しでぶつけられ憔悴し、共に語り合った親しい友人には、旦那様と呼ばれ敬語を使われ、その苦労の刻まれた相貌に言葉を失う。「凡ての苦しみは彼をして一つの木偶とならしめた」「希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る」
気の毒な奥様
岡本 かの子 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。本当にショートショート。映画館。機転を利かせた少女のたれ幕にどっと押し寄せる、奥さん以外の恋人ときている紳士たち、という構図におかしみと滑稽さと。
外科室
泉 鏡花 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。外科室、のみ読了。衆人環視のもと、麻酔を拒否しても秘めておきたかった想い、最後の最後にメス持つ手を握りしめ、えぐらせ、そして、最後は...命日が一日違いということはそういうことだったのか。残された夫と娘にも想いを馳せてしまう。「そのときの二人が状、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし」「語を寄す、天下の宗教家、渠ら二人は罪悪ありて、天に行くことを得ざるべきか」
芥川龍之介全集〈4〉 (ちくま文庫)
芥川 龍之介 / 筑摩書房 (1987-01)
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながりで。くいちがう証言。特に重要なのは、女、身襄丸、亡霊となった男の当事者三人だろうけど、分があるのは亡霊かな、、、いや、でも身襄丸がこの証言しても何の得にもならないはずだ、という部分もあり、女の証言も...とやはり混迷は深まるばかり。
げんしけん 二代目の十一(20) (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2016-06-23)
読了日:2016年6月26日
班目ハーレム編も最終局面。要所要所での荻上さんの喝が効いてるなあと思いつつ。グダグダがグダグダを経て、さあ回答は?というところで次巻へつづく引き。
ラーメン大好き小泉さん 4 (バンブーコミックス)
鳴見 なる / 竹書房 (2016-06-17)
読了日:2016年6月26日
油そば、ご当地袋麺勢揃いのお店、トマト麺、サービスエリアで夜間だけ提供のものを食べに行くために、ヒッチハイクとこの巻もストイックにラーメンに貪欲な小泉さん。テキーララーメン…食べてみたい。
捨てる女
内澤 旬子 / 本の雑誌社 (2013-11-20)
読了日:2016年6月26日
「身体のいいなり」ですっかりその語り口に引き込まれてしまった。内澤さんの文章、なんだか、勝手なイメージだけど、はすっぱでべらんめえな江戸っ子の落語家に耳元でマシンガントークされているようなリズム感、爽快感を感じる。個人的には、豚のいたスナックへの初訪問、能町さんとの再訪が一番印象に残るエピソードでした。そして、スケールは全然違うけど(内澤さんのスケールにはかなわないけど)、手放した本を偲ぶ気持ち、とても共感しました。以下、備忘録的に。/あたしの心の中で、仕分ける蓮舫議員とmottainai のマータイさんが喧嘩をはじめるのであった/身体が爽快であるという感覚は、奇妙な自信を呼ぶようだ/四股踏み、7センチヒール外出で腰痛復活/太極拳に凝り、北京合宿、教員免状、弟子40人の母/震災後のトイレットペーパー買占め騒動に腹を立て、尻を紙でぬぐう習慣を打ち捨て/ジェラルディン・ブルックス 古書の来歴 サラエボハガダー/あの古本。すごいんだけどさ、おまえさ…その、なんだ、一体何がやりたかったわけよ?/本とは、モノとは、必要な時にだけその人のもとに滞在して、気持ちが離れればまた別の欲しい人のところに流れてゆくものらしい。この歳になってようやくわかったことだが、古書店さんはそれに日々立ち会っていらっしゃるのだ。/
講談社 (2016-06-25)
読了日:2016年6月25日
げんしけんは、高坂の嘘をついてまで引き出した班目の本音と後悔、そこへ咲がくだした裁定は?と話が大きく動きそうな局面。フラジャイルは、まさかの布施のファゴット愛と、患者の娘のサポート。飲み会でなんと責められようと、患者が事前に蘇生希望、延命措置でもなんでも受けられる治療は全部やる、と言っても、実際には半数はくじける、という研究報告をだしてかばう。花見沢町は、いつの間にかの最終回。最後の一人のために、家を建て、共同生活をサポートし。最後は、どちらともとれる、解釈を委ねるラスト。
癩王のテラス (1969年)
三島 由紀夫 / 中央公論社 (1969-06-28)
読了日:2016年6月25日
舞台は12世紀末カンボジア。英主ジャヤヴァルマン7世。チャンパ遠征から凱旋し、荘厳な寺院を立てるよう命じた日が頂点であった。その後は、癩病にとりつかれ、崩れゆく身体、孤立していく心、混乱していく国内。最後は、離れゆく肉体と精神の対話で締めくくられる物語。/度はずれた悪行と、桁外れの善行とは、メコンの洪水と同じように、王様という川から溢れ出て、民を溺れさせもすれば、田畑を肥やしもする。(棟梁)/さきのことは考えないで、今のたのしさに生きましょうよ。あの不幸な王様に比べたら、わたしたちはずっと仕合わせなのですもの。(村娘)/残酷なむつみ合い。それが癩者の愛なのですわ。(第一王妃)/この世のもっとも純粋なよろこびは、他人のよろこびを見ることだ。そうではないか。(王)/青春こそ不滅、肉体こそ不死なのだ。...俺は勝った。なぜなら俺こそがバイロンだからだ。(肉体)
永遠でないほうの火 (新鋭短歌シリーズ25)
井上 法子 / 書肆侃侃房 (2016-06-12)
読了日:2016年6月24日
表紙の色に通ずるような水色の空気感漂う寂しげな歌、対照的に日差しがまぶしくて活力にあふれてるような歌が個人的には目に止まった。難解で一読どうにも読み解けないものもあったけれど、それはそのまま受け止めて、何度も矯めつ眇めつ眺めて読み解けたら、それはまたそれで楽しいのではないかと。以下引用。/いえそれは、信号、それは蜃気楼、季節をこばむ永久のまばたき/それぞれの影を濡らしてわたしたち雨だった、こんな雨だった/どんなにか疲れただろうたましいを支えつづけてその観覧車/煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火/日々は泡 記憶はなつかしい炉にくべる薪 愛はたくさんの火/ふいに雨 そう、運命はつまずいて、翡翠のようにかみさまはひとり/まっしろな気持ちばかりが駆け出して ああ あこがれ と手をつなぐこと/いっせいにゆれる吊り革 うつむけば海鳴り、親指、ママン---拍手を/心地よくアロエ果肉のなじみつつ半透明の夏がまた来る/触れたのはてのひらだけではつなつのステーキ屋さんでステーキを食む
倉科 遼 /
読了日:2016年6月22日
はあちゅうさんオススメで24巻756円と破格値だったので手に取る。熊本から銀座の女帝になるために上京してきた彩香の紆余曲折を描く。ところどころ、作家、スポーツ選手、政治家、、、モデルを感じさせたり、実際の世相に絡めて描かれるところもあるけどそこはご愛嬌。見返すための手段が、何も、銀座の女帝じゃなくても、政治家でも研究者でも実業家でもよかったのでは、という問いも、母の遺言に経緯が説明されて父を恨むなとあったのに途中まで恨んでたことも、都合よく通りかかったり知り合ったりでヤクザと絆を深めていくのがちょっとご都合主義ではと思うところもありつつも、女帝を目指して突き進む熱量、それを支える人たちの思いにぐっと引き込まれ。自分が変わること、人を育てることは難しい、けどやりがいがあるということを感じさせてくれたりもする。
猫マンガ「ねこまき1」
ミューズワーク / ブルーアート (2013-12-01)
読了日:2016年6月20日
食いしん坊で毒吐きだけど憎めないねこの兄弟。病院に行って帰ってきたら、兄さんやない、姉さんや、というシーンがおかしいというか笑い事じゃないのにシュールな感じで印象に。
オーサ・イェークストロム /
読了日:2016年6月20日
スウェーデンの漫画専門学校の生徒たちの青春グラフィティ。目標の目指し方、人との距離の取り方、片意地の張り方など、なんとなく日本人のメンタリティと重ならない部分も感じられて、ちょっと新鮮。
おいピータン!!(16) (ワイドKC Kiss)
伊藤 理佐 / 講談社 (2016-06-13)
読了日:2016年6月19日
鮎、水筒、じゃがりこ、紫キャベツ、びわ、ベルクのビール二杯…食べものと恋愛にまつわるショートショート。大森さんと渡辺さん、部のすみずみまで知れ渡っちゃったけど、その後いかがおすごしなのでしょうか。
吾輩の部屋である 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
田岡 りき / 小学館 (2016-06-10)
読了日:2016年6月19日
主人公の独り言とメールと電話だけ、ツッコむのは家電だけのマンガ第二弾。憧れの植村さんだけじゃなく、友人の吉田くんも見たくなってきた。
蔵西 /
読了日:2016年6月19日
兄との再会、テルマがなくなった真相、そして、元の場所へ返すための悪戦苦闘。最後は、誤解も解け、お互いの中のわだかまりも解け、進むべき道を見つけ、歩んでいく。東チベットの乾いているけど、あたたかな空気に包まれながら、と。できれば4巻も紙の書籍で出してほしかったなあ、と思いつつ。
プリニウス 4 (バンチコミックス45プレミアム)
ヤマザキマリ , とり・みき / 新潮社 (2016-06-09)
読了日:2016年6月19日
ポンペイの最初の噴火。崩れる建物。争う人々。プリニウス一行も紆余曲折を経て旅立つことに。感情に振り回されるのを是としない、事物の観察に徹する物言いは一貫してぶれないプリニウス。中央政界では、前の皇后と近衛長官が殺され、波乱の予感、と。当時の生活、監修、考え方の描写も端々に出て興味深い。そして、イエスの登場。最初は教えを聞き入れてもらえぬものとして。
SAPEURS  - Gentlemen of Bacongo
Daniele Tamagni / 青幻舎 (2015-06-13)
読了日:2016年6月19日
コンゴ民主共和国の主にプラザビルで活躍するサプールたち。鮮やかな色彩のファッションに身を包みストリートを歩く。平均収入をはるかに超えるスーツに身を包み。マルコ16-15主イエスは言われた、全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ、をひき、造られたものにはサプールも含まれているのですよ、という牧師。衣装をまとうにあたり、組み合わせる色を最大三色に抑えることが完璧な美しさを生み出す、という一節。葉巻はサプールにとって最上級のステータス。吸わない場合でも火をつけないといけません、と語るサルバドール。決して火をつけないサプールも紹介されていたので人それぞれなのか。パリに憧れるもの、それを見せないもの。パリでファッションを極めて、プラザビルで表現することを望むもの。中身は高潔な紳士であるべきと語るもの。人種差別者、部族主義者であってはならないという戒め。舗装されてない道やゴミの敷き詰められた道に立つ彼らの写真にはハッとする。もっともっと彼らの思想に触れてみたいと思った。
ザ・ラストエンペラー (幻冬舎plus+)
見城徹 / 幻冬舎 (2016-05-27)
読了日:2016年6月19日
今日が死から最も遠い日で、明日になればもっと近くなる。だからこそ、今日を生きる。苦しいことでも、今日やるべきことは今日やるのです。/携帯で見られるコンテンツは、彼氏からのLINEに勝たなければならない。/カフェマメヒコ、興味深いケーススタディ。/正直、見城さんの言うこと全工程で、そうですよね、僕もそう思います、という章もあって、そこはもっと書きようなかったのかなああ、と思ったけど、目に刺さってくる言葉があったことも確か。
小説・捨てていく話
松谷 みよ子 / 筑摩書房 (1992-11)
読了日:2016年6月19日
紫原明子さんの、http://wotopi.jp/archives/36793 に触発されて。はたから見れば、劇団にのめり込んで、金策も妻任せ、自分は劇団員を付き従え、女性関係も自由奔放、けど君は僕を見てくれ、と。ただ、一方的に突き放すでもなく、協力を惜しまず、けど耐えきれずに離れる妻。さも自分が被害者のように涙を浮かべ、その後も関係を続けようとする夫。一筋縄ではいかない夫婦関係。絶対愛ってなんでしょうか、とつぶやきつつ。過去の大病の時に懸命に看病してくれたことがあって、無碍にもできないことも描かれたり、と。苦い、わかったような、痛み、それでも、と。/以下備忘録的に/でも心だって、すうっと割れることもあるんですよね。/<僕は人の前で君を殺す。君は人の見えないところで僕を殺す。どちらも罪深いことです>/時間を惜しまないということが、一つの愛の証しなら、それは愛という大きな、はかりしれないものの、ほんの一部に私も所属していたのかもしれません。/これではほんとうの離婚ではないか、というのです、だって、これこそあなたの望んだことでしょうに。違う、離婚したつもりになって、僕を自由にしてほしかったんだ、とあのひとはいいました。そして更に、思うても見ぬことをいいました。一人の男としてこれからも僕を見つめてくれ、と。
家族無計画
紫原 明子 / 朝日出版社 (2016-06-10)
読了日:2016年6月19日
cakesの連載時から愛読。家入一真氏の文章を読んでた時から、結婚相手の方はどんな人なんだろう、と思っていたけど、柔らかくこちらに問いかけてくる、既成の概念にくさびを打ち込んでくれて、すっと入ってくる文章を書く方だった。/以下、備忘録的に。/親は子供のいろんなことが心配になるわよね。でも、最終的にはその子の生命力を信じるしかないのよ/まずは自分の精神状態を健やかに保つための材料を拾うようにする。「病みの魔術」からくれぐれも身を守りながら嗜む。/コンビニ弁当への愛を語る長男/足の悪い老夫婦が、あるいは小さい子を連れた親が、バスに乗る。そんな当たり前のことに肩身の狭い思いをしなくていえ社会は、きっと誰の利益を損なうものでもなく回り回って自分にも優しい。/もし相手の心が変わってしまったら、意地になるだけ時間の無駄だ。お互いの健やかな精神のためにも、結局はそこから離れることが、最も建設的な選択ではないだろうか。/せっかくとても大切なものを手に入れても、思い描いていた物語が現実のものになってしまえば、そう時間がたたないうちにまた別の何かが良く見えてしまう。長い人生、退屈しないで生きていくという目的のためにはよくできたしくみだが、食べても食べてもお腹いっぱいにならないなんて、何だかちょっと虚しい。/あえて火の中に飛び込んでいくような人が少なからずいて、最近私はそういう人たちに見られる、ある共通点に気付いた。彼らは往々にして、大変な読書家なのだ。/あらゆる決断に余白を残す、(仮)の生きかたは、もしかすると個人主義の時代の生きにくさを打破する新たな糸口となるのではと考えている。/
月影ベイベ 7 (フラワーコミックスアルファ)
小玉 ユキ / 小学館 (2016-06-10)
読了日:2016年6月18日
光が思いを告げた結果は、予想通りだったけど。変わらず螢子に接する男らしさ。それに押されたかのように螢子も思いを告げるが、母の面影を自分に見てるに過ぎないと知り、落胆し、踊りにも悪い影響が。けど、光の、誰にならったとしても、お前が踊ればお前の踊り、自信持ってやればいい、といったかんじのことばに助けられ、と。
宇喜多直家・秀家―西国進発の魁とならん (ミネルヴァ日本評伝選)
渡邊 大門 / ミネルヴァ書房 (2011-01)
読了日:2016年6月18日
木下昌輝「宇喜多の捨て嫁」に触発されて手に取る。宇喜多能家、興家と直家の前半生までは、本当にほぼ軍記物しか史料がないんだな、との事。それも含め、直家の生涯を眺め渡すと、梟雄、謀将、裏切りというのは脚色の範囲で、冷静に検討すれば、経済基盤確立、宗教政策、婚姻政策と行政手腕を発揮し、裏切ったとされる宗景とも対等と言える同盟関係であり、騙し討ちも他の戦国大名もやっていた範囲でのことだった、と。以下、備忘録的に。/浦上政宗・小次郎親子の暗殺に伴い、小次郎の弟清宗が江見河原五郎らに擁立された。/1569年には、信長による浦上宗景への討伐。その頃、直家は、今井宗久を通じて信長に服属の意志。「同名衆」、宇喜多姓、浮田姓も同意した、と。/1573年、信長から宗景へ、播磨備前美作の朱印=支配権を与えた。それをきっかけに直家は宗景と決別を宣言/1575、赤松則房、広秀、小寺政職、別所長治、浦上宗景が信長へお礼言上/1577、毛利に命じられ直家は、赤松広秀の拠点龍野へ攻めこむ。しぶとく抵抗され、麦刈りを実施。/
ルバイヤートの謎 ペルシア詩が誘う考古の世界 (集英社新書)
金子 民雄 / 集英社 (2016-05-17)
読了日:2016年6月15日
思い入れたっぷりで、推測も多く、本人も言う通り参考文献にはならないかもしれないけど、参考図書の紹介、紙の科学的年代測定の技術の進展で、真書とされていたルバイヤートや敦煌文献が、次々と偽書と暴かれたこと、「続日本書紀」に738年、唐人、ペルシア人が来日し、以降来日が続いたとあること、フィッツジェラルドがきっかけで人口に膾炙するようになったことを始め、興味深いエピソードに触れられたことは良い点。小川亮作訳「ルバイヤート」、アミン・マアルーフ「サマルカンド年代記」再読したくなる。岡田恵美子編訳「ルバイヤート」(平凡社,2009),スワミ・ゴヴィンダ・ティラー「恩寵の美酒 オマル・ハイヤームの生涯と作品」、イラン人の著者の「オマル・ハイヤームと四行詩」(コスモ・ライブラリー)は手に取ってみたくなる。
コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)
獅子 文六 / 筑摩書房 (2013-04-10)
読了日:2016年6月15日
昭和30年代後半の世相を伺いしれて興味深い。夫婦関係、男女関係、新劇も盛んだけれど、テレビが華々しく登場する世相、意外とドライな親子関係の一例、株に一喜一憂する層、そしてコーヒーの普及。際立った美貌はないけれど、親しみやすさでお茶の間に受け入れられている女優モエ子。年下の新劇の美術監督勉くん。ライバルも登場、コーヒー仲間も絡み、紆余曲折を経てのラストは、違った形での私を見て、ということなのだろうけど思い切った一手だなああ、と。茶道に対抗した可否道というたてつけは面白いなあ、と。
阿・吽 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2016-06-10)
読了日:2016年6月13日
藤原薬子、藤原喜娘、徳一、坂上田村麻呂...。強烈な魅力を放つ登場人物が登場し、また最澄の講義を名もなき空海が聴講する機会が与えられ、一瞬の邂逅。そしてそれぞれが唐へ渡るため、猛然と運命の車輪が回転し始める。勤操和尚の人脈と実務能力、情熱が光る。それも空海の魅力あってこそなのだけど。そして結果は...。道行きは知っているはずなのに、それでもぐっと引き込まれてしまう。
社会人のための恋と仕事の教科書: 仕事上手は恋愛上手
はあちゅう /
読了日:2016年6月11日
目にとまったところを備忘録的に。/リスクを取らない惰性の毎日は、現状維持か後退でしかない/怒るは感情、叱るは理性/全ての約束は1対1の約束として捉え、自分事の尻拭いを相手にさせない配慮が仕事でも恋愛でも、いい関係を築くコツ/自分の時間をあげてでも関係を保ちたい相手こそ自分にとっての大切な人/悩みが長引く人は変えられないことを変えようとしていたり、自分が何を目指しているのか自分でもわかっていない場合が多い/やれることを人に聞いている時点で、足手まとい/
西蔵放浪 (朝日文芸文庫)
藤原 新也 / 朝日新聞社 (1995-06)
読了日:2016年6月11日
インドからゆっくりとチベットへ向かっていく著者。いつの間にかチベットへ。そしてある貧しい部落に転がり込み、一般のチベット人の生活に入り込み、交わり、観察する。チベット語で話したのだろうか。ひどく乾燥した空気、ゆったりというのでは生ぬるい、時間の流れ、来世のための功徳を積むのに一生懸命で時に現世が疎かになっていやしないだろうかと思える生活。その流れにくさびを打ち込むかのように時折行われる祭り。僧といえば徳が高く神秘的なものかと思えば、食い詰めたり、口減らしだったり、気軽になる者も多く、普通以上に普通なものが多く、拍子抜けした印象を抱いたのだとか。そんな著者の切り取ったチベットの空気を感じさせてくれる。40年近く前のことが書かれているのだから、今どうなっているのかも興味が湧くところ。/以下、備忘録的に。/チャンチャベンマというのはこの地方の諺で、酒とバター茶を交互に飲んで暮らす無上の身の上を言うのであった/あんた、心配いらんよ、今、俺たちが住んでいる世の中にゃ、あんたたちの言う来世の世界、地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天上、ひと通り何でもそろってるんだ。きっと、ここは来世なんだよ......ここが来世でなきゃ、何であんたという人間の頭の上にあんなに真青な天国が見えていて、何であんたの足元に虫けらや犬っころが寝転がっているだろう。/
宇喜多の捨て嫁
木下 昌輝 / 文藝春秋 (2014-10-27)
読了日:2016年6月9日
備前の戦国大名宇喜多直家をめぐる物語。全編、苦味と鉄錆、膿の臭いに満ちた読後感。謀将。肉親すら駒として使い、裏切りに裏切りを重ねてのし上がってきたと評される直家。その死の間際から始まり、どうしてそのような行動様式を得るようになったのか、幼少からの生い立ち、青年期の鬱屈と雄飛が描かれていく連作短編集。連作中の鍵となっているのは、直家が持っていたと設定される「無想の抜刀術」。己への殺意を感じたら、それが肉親であろうとも、自らの意思とは関係なく、その対象を殺害すべく体が勝手に動き斬りつけるというもの。幾度もの生命の危機を救ってきたというこの技が、物語の要所要所にくさびを打ち込む。中山信正「命を捨てる、その覚悟は見事だ。ただ民あっての我ら。命を賭けるのは手柄のためでも名誉のためでもないぞ」「婿殿、計略を覚えるのじゃ」「力攻めなど最後の手段じゃ。民のためを思うならば、悪人と罵られる事を厭うな」/島村貫阿弥「人質を守ろうとしたお主を責めるわけではない。だが、身内の情を枷にすれば、あるいは道を誤るかもしれぬぞ」/直家の力を評価し、盛り立ててくれた家中の有力者二人からの言葉が、直家のその後の道を決めることに、影響があったことを感じさせるシーン。その二人を、自らの手で葬らなければならなかったのだが。/島村貫阿弥「八郎よ、難き道を進め」/ぐひんの鼻の上で、浦上宗景は八郎を己の手駒として育てることを誓う。宇喜多能家の孫であり母殺しの罪を背負う八郎ならば、きっと島村貫阿弥よりも凄まじい働きをするであろう。/直家「絶食の脅威を前にしても刃を抜かぬことこそ、真の勇矢もしれん」/岡剛介から江見河原へ。「我主のように悪名を背負い、乱世の鼓を打て。五逆の音色を奏でろ。畜生道の果てにある夢幻能の極みを探し当てるのじゃ」「左すれば、父を越えるのも容易いだろう」
戦場取材では食えなかったけれど (幻冬舎新書)
日垣 隆 / 幻冬舎 (2009-11)
読了日:2016年6月7日
戦場カメラマン、元戦場カメラマンとの対談、鼎談。軍事オタクが高じて戦場に向かうも、今はプロ・バグパイプ奏者、今は業界新聞の記者という方、未だに写真を撮り続けられている方、と様々。ポル・ポトと二度会見した馬渕さんの言説は、刺激するために行ってると本人も言っているけど、様々な視点を提示しつつ、脇の甘い矛盾も抱え、熱量はあるけど、承服はできず、けど、考えるきっかけはたっぷり与えてくれるものだった。/日垣さんと知り合ったきっかけが、取材時の意地悪にもめげず、柔軟に冷静に進めてくれたので、どうしてですかと、問えば、戦場に比べれば命取られるわけじゃないですし、と答えたことがきっかけだった中川さん。/ゲリラや反政府勢力も、昔はジャーナリストを迎え入れるメリットもあったけど、今は自分たちで編集してyoutubeにあげられる。/セルビア人が写ってる写真かどうかで写真の値段が変わる「戦場の正義」。/竹内正右「モンの悲劇」(毎日新聞社)は手に取ってみたいと思った。
はじめてのひと 1 (マーガレットコミックス)
谷川 史子 / 集英社 (2016-05-25)
読了日:2016年6月5日
少しずつつながる登場人物。真面目に思い込みすぎて、自分なんかが大切にされる存在ではないから、と拒否しかけたり。チェロ弾きの40代とまっすぐな絵画修復士の20代の、ストレートな思い。大切なともだちと同僚が仲良くなっちゃってキリキリするなんてと思いつつ穏やかに受け入れていくことにしたり。じぶんばっかり甘やかしてる、あなたは一人でばかり楽しんで、という思いが破裂してしまったけど、旅先からのはがき一枚で解けた思い、などなど。
忘却のサチコ 6 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2016-05-30)
読了日:2016年6月5日
信州のおやきとローメン、讃岐うどん巡り、肉まん、花巻での賢治ゆかりの自炊できる温泉宿。どれも美味しそうで心惹かれる。そして盛岡で出会ったのは?と気になる引きで、続く
Real Clothes 13 (クイーンズコミックス)
槇村 さとる / 集英社 (2011-11-18)
読了日:2016年6月5日
漫画喫茶で13巻まで読了。これは手元に揃えておきたい欲を激しくそそる。そして、ああ仕事したい!と喝を入れてくれる。そして、全巻揃えてしまった!
シマウマ  14巻 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2016-05-21)
読了日:2016年6月5日
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)
池内 恵 / 新潮社 (2016-05-27)
読了日:2016年6月5日
読了0605/サイクス=ピコ協定が、現在の中東の混迷の諸悪の根源、と言う言説があるが、本当か?というところから説き起こされる一冊。確かに、不十分で欺瞞に満ちたものであったが、ではその段階で他に代替案はあったのか?それを実行できるものはあったのか?現地の勢力に応じた線引きをすべきだったというが、諸民族が混在し、点在する状況では、おそらく策定に時間がかかり、策定しても自立した国家運営も難しかったはずだ、と。だからと言って免罪されるものはないが、実態を理解しつつ受け入れるしかない、と。そして、サイクス=ピコ協定単体ではなく、セーブル条約、ローザンヌ条約とセットで理解する必要があること。露土戦争と東方問題は、ソ連の成立、冷戦、トルコとソ連間の緩衝地帯とも言えるソ連の共和国、東欧の共産国家が成立し、トルコ-ロシア関係は直接の接点が激減し、過去のものとなったかに思えたが、シリア内戦を機に、解決などしておらず、ずっとくすぶっていたことが明らかになった、と。/以下備忘録的に。/現在は、依然として「強いトルコ」をどこかで恐れつつ、クルド系反政府組織との紛争や、「イスラーム国」の浸透、そしてロシアとの無謀な紛争によって、不安定化した「弱いトルコ」が出現しかねないこともまた恐れていると言えよう。/ある民族が国家の設立や自治を獲得するか否かは、自らの政府を持って統治することができるか否かは、国際情勢、特にその時々の諸大国あるいは超大国の意向、そして大国間の交渉と強調に大きく依存する。大国の承認が得られるか否かは、その民族がどれだけまとまって組織化しているか、そしてその組織に国を与えることがどれだけその当時の大国の利益にかなっているかにかかっている。/西欧にとって、アラブ諸国やトルコは、地中海の東岸や南岸で、アラブ世界やその背後のサブサハラ・アフリカ、あるいは南アジアから流れ着く移民・難民を、人権や自由の理念・原則からは疑わしい手法を用いながら、食い止めてきた「ダム」か「壁」のような存在だった。/米国とロシアのシリア内戦をめぐるケリー=ラブロフ協定。域外大国間の問題ということで、サイクス=ピコ協定と比べられるが、米露協調を軸に、シリア内戦、中東の諸問題を解決するなら、その後の中東の秩序を型作る原型となったと評価されるかもしれない。/
ツール・ド・本屋さん 2 大泉洋さんに夢中編/島根編 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
横山 裕二 / 小学館 (2013-10-04)
読了日:2016年6月3日
やはり、大泉さんが登場する北海道編が興味深かった。いろいろ縛りのある旅行で大変そうと思いつつ、制約があるからこそ面白みも増すわけで。編集長のパワフル、理不尽、ゴーイングマイウェイはもう笑うしかないレベル。漫画以上に漫画のキャラみたいな。
木暮荘物語 (祥伝社文庫)
三浦 しをん / 祥伝社 (2014-10-10)
読了日:2016年6月1日
文庫版を買ったのを機に、何年ぶりかの再読。通奏低音のように流れる、血がつながってなくたって家族以上に家族の関係は作れる、というテーゼを心地よく感じながら。/どこへ行っても、そこに天国を見つけるだろう。哀しみのなかにも、苦しみのなかにも、輝くものを見いだし、そっとカメラに収めるのだろう。/なにごともなく、けれど家族でも友人でも同僚でも恋人でもない人と、しゃべって関係を築いていく日常。/俺ぁ、飯が食えてたまに笑えりゃ、それでいい。そうやって死ぬまで生きられりゃいいなと思うよ/「つうか、あたりまえ」「優しさはタダだもん」/「子どもがいない奴は、血だか遺伝子だかの流れに乗れない、なんにも残さず生まれて死んでいくだけの生き物ってことになるのか?」


2016年06月11日

【特別展】北海道・いまを生きるアーティストたち ともにいること ともにあること @道立近代美術館

sapporo6hさんのつぶやきで見かけて、道立近代美術館まで。
こういうテーマの時って、だいたい外したことがないので。
以下、鑑賞順に。敬称略で。

紅露はるか

布地の愛らしい模様も活かして作られる、メルヘンと少し寂しい世界の絵画。
「エフブンノイチ」の三連作。湖で一人佇む人と船で迎えに来る人、二人で船出する様子が描かれる。「samsara」は寂しげ色使いの観覧車と雪解け水をたたえる川の対比にシンとした心持ちに。「流星群」はずっと見ていたかった。きらめく光の布地の模様と、流れていく流星、それを眺める人の構図が印象的に。

経塚真代

Who are you? Who am i?と大きく書かれたパネルに、様々なものを持った、あるいは身にまとった粘土細工の女性が所狭しとモビールになり、その中を歩くと不思議な感覚に包まれる。

国松希根太

見たのは何度目かになるHorizonシリーズ。心がとろけるなあ、と思う、毎回。少し遠目からゆったりした気持ちで眺めると、一度も見たことのない光景の水平線が、地平線が浮かび上がってくる。珍しく、絵の具を落としたかに見えた盤面に水面に映る塔のようなものが描かれているのを教えられたり。

斉藤幹男

夢の中の世界を遊ぶような、アニメーション。しゅうまいのグリーピースすくいや、もぐらたたきの穴から出てくるアイスクリームなどなど奇想の世界を楽しむ。

佐藤史恵

暗闇の指定された地点に立ち、しばし待つ。
ポツポツと光がつき、蛍のようにも、星の瞬きのようにも見える。
本当の暗闇から微かな光がついていく過程が、目を開けてする瞑想のような。
もし一人で行って、待っている人がいなければ、
チベットの僧院の声明あたりか、佐藤聰明のMandharaあたりを小さくかけながら、
眺めていたいと思った。

高野理栄子

すべての作品のタイトルが「Ame」。
降り注ぐ金色の雨は、見ていて痛そう。
なんとなく松浦進の版画と同じ味わいを感じた。個人的には。

山田良

海抜ゼロメートル/石狩低地帯。暗闇の部屋、あるいは少し照明を落とした部屋で作品を見ていたら、急に明るくて開放感に満ちた空間に、木で組み上げられた桟道のような作品。窓を通して、外まで続いてるように見えるのもいい。下から見上げるのと、少し階段を上って見渡すのもまたいい。なんだかいいな、と言いながら見て回りたくなる。

鈴木悠哉

並べられる、サインのような図柄の数々。見る側で様々なものに見立てる楽しみ。そしてどういう判断でか、その中の幾つか大きめのサイズで、時に色違いで並べられ。それを探す楽しみも。

今村育子

また、暗闇の部屋で。最初はわからなかった。ルンバのような形状のランプが天井から下がっているのかと。ようく近づいてみると仕掛けがわかって、なんだ、と思ったけど、それまでついては消える微かな光を眺めていて、瞑想的な気分に...なれたらよかったんだけど、すぐ外で、アーティストトークの準備をする人たちのざわめきが入ってきて、入り込めず。少しもったいない気持ちに。


chokusuna0210 at 23:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!美術 

2016年06月02日

2016年05月に読んだ本

期間 : 2016年05月
読了数 : 46 冊
世紀末イスタンブルの演劇空間 (白帝社アジア史選書)
永田雄三 , 江川ひかり / 白帝社 (2015-07-24)
読了日:2016年5月30日
19世紀末から20世紀初頭のイスタンブルで上演された演劇のポスターを資料として、当時の政治、社会、文学、文化、風俗、言語などを浮き彫りにする。/オスマン・トルコ語は宮廷では用いられていたが、庶民には解されず、「素朴な」トルコ語が使われ、その取り違えが、演劇内でユーモアとして使われていた。/シナースィーは民衆を啓発するためにはラシーヌのような悲劇ではなく、モリエールのような喜劇が効果的と考え、民衆の話し言葉で記述する(言文一致体)が必要と判断/アレムダル・パシャという演劇からは、当時、彼が、最初の青年トルコ人と認識されていたことを示し

、これまでの歴史学研究からはうかがえない視点/「円柱通り」に立ち並んだ劇場は、イスタンブルの娯楽の概念を変えた。ラマザン月、結婚式、割礼式のような特別な祝いの時にのみ行われていたのが、決まった場所で継続的に供される、「歓楽街」が出現した、と/全て電力による照明で照らされます、という宣伝文句から見る、各都市と比べて、それほどライフラインの整備が進んでいたわけではないイスタンブル/1910年ごろ、夜の公演があり、遠方から渡し舟でくる人がいて、芝居がはねた後にちょっと休憩したり、渡し船の時間待ちに軽い夜食や甘いお菓子、アイランを食べる人をうかがわせるポスター記載の広告。/演劇ポスターは、その一枚一枚に印紙が貼られることによって、帝国の債務返済に役立っていた。/クリミア戦争以降、諸国の軍人・商人・官吏が滞在したことで、その消費文化がもたらされ、オスマン帝国における消費行動に変化が生じた。/当初は演劇のプログラムの一部だったシネマトグラフは、徐々にシネマとして独立し、娯楽の主役の座を演劇から奪っていった、と/演劇ポスター、プログラム。普段語られることの少ない資料から描き出される歴史像が大変興味深かった。
どんぶり委員長(1) (アクションコミックス)
市川 ヒロシ / 双葉社 (2015-07-10)
読了日:2016年5月29日
まじめで高飛車な委員長が、調理実習で、クラスメイトの吉田くんの作った親子丼に衝撃を受け、以降どんぶりに魅了され、強引な展開で、次次に、いろんなどんぶりを作らせるというコメディ。ナポリタン丼、ベーコンミルフィーユ丼、あまりに美味しそうで、試してみたいと思いました。委員長のキャラがだんだん崩れていって、吉田くんも当初のムリヤリ感から、あいつこれ食ったら喜ぶだろうなあ、てところまで展開されてて、微笑ましい。
風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室 (集英社オレンジ文庫)
青木 祐子 / 集英社 (2015-04-17)
読了日:2016年5月29日
まず風呂ソムリエ、というタイトルに心惹かれて買ってしまった。入浴剤会社の研究員美月と、受付嬢のゆいみが、銭湯で知り合い、ゆいみが開発モニターにスカウトされ、そこに御曹司で営業課長の格馬が加わって…と。美人でクールで理知的だけど女子力に欠ける美月、ふんわりとかわいくて女子力高めのゆいみ。男前で仕事もできて将来の社長なのになぜかモテ力に欠ける格馬。三者三様のキャラがわかりやすく立って、売れるものと売りたいものの葛藤、調香師との連携、開発における数値では表せない皮膚感覚を表現する用語、湯に入れた際のとけ残り、PH値、過酷な湿度で6ヶ月の耐久試験などといった商品開発面も興味深く。美月と格馬が出会った山奥の秘湯、それぞれの温泉にこだわるきっかけも語られ、大きなプロジェクトも動き出し...と。これ続き出せるならシリーズ化してほしいなあと思いつつ。
男と女がいつもすれ違う理由 (幻冬舎plus+)
はあちゅう , 藤沢数希 / 幻冬舎 (2016-05-27)
読了日:2016年5月29日
どこまでも平行線だなあ、と思いつつ、読み比べてみると藤沢さんの方が分があるような、そこまで言い切れる歯切れの良さがすごいなあと思いつつ。
刻刻(7) (モーニング KC)
堀尾 省太 / 講談社 (2013-11-22)
読了日:2016年5月28日
7巻まで読了。
春風のスネグラチカ (F COMICS)
沙村広明 / 太田出版 (2014-07-10)
読了日:2016年5月28日
舞台はソビエト初期。屋敷を預かる役人のもとへ、ふらりと現れた男女二人。賭けをすることで、屋敷に滞在させて欲しい、という申し出を受けるが...。狂った計算。奇妙な同居生活。徐々に明かされていく二人の正体。帝政ロシアの最後を題材に想像を膨らませて描かれたストーリーにぐっと引き込まれた。
青春、残り5分です。(2)
LiLy / カエルム (2016-05-28)
読了日:2016年5月28日
続きを待ち望んでいた1年半。待ち過ぎて、展開忘れて1巻から読み直し。やはり、うじうじグジグジの主人公葵ちゃんよりは、周りにいたら振り回されそうだけど、何を言われようと自分の気持ちにまっすぐで、正面からぶつかり合う薫ちゃんとタケルのコンビが強烈な魅力を放っているように思えた。誰にも1日に与えられる時間は平等で、それを全て自分のために使えるのが青春、そこで自分のために準備できたものだけが、成功を掴める、という一文にぐっと来る。青春残り五分前のキラキラとした輝きがまぶしすぎて目を細めてしまいそう。そして破滅の序曲のようなラスト。また1年半待つのかと思うと...本当に待ち遠しい。
俺物語!! 12 (マーガレットコミックス)
アルコ / 集英社 (2016-05-25)
読了日:2016年5月28日
裏表ありまくりのクラスメイトの田中。普通なら切り捨ててしまうようなことをされても、真正面からぶつかって、砂川ともども、友だちになった猛男。ひねくれてんじゃねえ、腹割って話せばわかる、とどストレートな対人スキル。そして、いつまでも続くと思えたのに、まさかの大和家の海外転勤。残る可能性がないと知った大和は…ひとりで行かせなかった猛男は、と。次巻が気になる。
新しいニッポンの業界地図 みんなが知らない超優良企業 (講談社+α新書)
田宮 寛之 / 講談社 (2016-05-20)
読了日:2016年5月28日
産業廃棄物から製品を作り出すダイセキ、どら焼き機を餡をチョコに変えて海外展開したり、東京ばな奈をOEM供給してる和洋菓子製造機器の専門メーカーのマスダック、熟練の技を再現する全自動イカ釣り機を製作している東和電機製作所、介護・医療・建設の分野で人の補助をする機械を製作するサイバーダインが、初めて聞いた会社では興味深く。また、ミツカンが、ビール、ハンバーガーショップ、カット野菜、飲料など、失敗した事業もあるけど、チャレンジングな軌跡を描いていること。ヘルスケアが強いと思っていたオムロンは、売上高に占めるヘルスケアは12%で、制御機器、電子部品、自動車部品、社会インフラ装置を扱い、PASMO,SuicaなどのICカードのシステムを作っていたことも知る。本文には出てこず、一覧でのみの登場だったけど、キーエンスについてもっと知りたくなった。
講談社 (2016-05-25)
読了日:2016年5月26日
「コール」。缶蹴りだけでこんなに読ませるストーリーが紡げるとは。たかが缶蹴り。けど、普段のクラスメイトの行動を思い出し、観察の結果から導き出した結論がぶつかり合ってスリリングに。「天の血脈」。内田良平の追っ手から逃れた亮。歴史的価値の高い土地へ、再訪を誓う。「げんしけん」。矢島さんの、今はまだ早い、けど、絶対振り向かせる手段を知っているし、それを叶えられるという力強い宣言が清々しい。
のの湯 2 (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)
釣巻和 久住昌之 / 秋田書店 (2016-05-06)
読了日:2016年5月24日
友達二人を1日人力車観光コースに招待したり、クーちゃんの家族での墓参りについていったり、一緒に銭湯に入って、女子トークらしいことをしたりと。なんだか親密さが増して、読んでて微笑ましくなってくる。
江の島ワイキキ食堂  9巻 (ねこぱんちコミックス)
岡井 ハルコ / 少年画報社 (2016-05-16)
読了日:2016年5月23日
過去編もまとまって、現代編に戻ってきたオードリー。ほのぼの、ほんとにほのぼのを味わえる。
ピアノのムシ 8 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2016-05-16)
読了日:2016年5月23日
ラベルもかかったという失音楽症の話、ゴースト騒動をモデルにした話し、ピアノを整音する話しなどなど。
身体のいいなり (朝日文庫)
内澤旬子 / 朝日新聞出版 (2013-08-07)
読了日:2016年5月23日
乳癌の発覚、仕事も手離せないと歯を食いしばり、配偶者はあてにならないと家を出、戻り、けど闘病生活はほぼ一人体制で、数度の手術、終わってみれば、術前よりも快調、という著者のエッセイ。自分なら耐えられるだろうか、この境地に至れるだろうか、と思いつつ読み進める。投げやりだったのがすこしずつ生きる喜びを取り戻していく過程が読めたのが救い。他の本も読んでみたくなった。/以下備忘録的に。/考えないように、感じないようにしていたが、今の生活が耐えがたくて嫌で辛かったのだ。癌かもしれないと言われてようやくわかった。/友人の死を認めるには、どうしたらいいのだろう。その人をよく知る者同士で語り倒すのが一番効果的なのではないだろうか。なるべくその人と同じような関係性を結んだ人と語り合った方がいい。/四度の手術で私が得たこと、それは人間所詮肉の塊であるという感覚だろうか。(略)自分を自分たらしめている特別な何かへのこだわりが薄れてしまった。(p.220)
Real Clothes 8 (クイーンズコミックス)
槙村 さとる / 集英社 (2009-10-02)
読了日:2016年5月22日
2-8まで読了
謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉
高野 秀行 / 新潮社 (2016-04-27)
読了日:2016年5月22日
好奇心から始まった「アジア納豆」をめぐるタイ、ミャンマー、ネパール、中国への旅。その矛先は、最終的には、日本での納豆の起源に迫ることに。秋田や岩手に取材しながら、納豆合宿で自分の手でも作ろうと試み、最終的に思いは縄文時代まで遡っていく。毎回題材の選び方と突飛な行動力には頭がさがります。そして毎回引き寄せるかのように、ポイントになる人に会える剛運。いや、強く求めたから与えられたのだろうか。中でも個人的にはルビナさんとカプラジャンさんが強烈な印象。ひょんなきっかけで知り合い、ものすごく力になってくれるという「親切」の一言では片付けられない熱情。それをぐいぐいと読ませてくれる高野さんの筆。それを支える世界のあちこちにいる友人。最近読んだ森泉岳士さんの「ハルはめぐりて」で女子中学生の主人公が、世界のあちこちの父の友人を頼って旅するのだけど、もし、高野さんに娘さんがいたら、世界のかなり広い範囲で娘さんが一人旅できそう、と思ってしまった。個人的には、日本の塩辛納豆も、アジア納豆を使った数々の納豆料理も食べてみたいと思った。あとがきで書かれていた、”個人的には中世マリ王国の都トンブクトゥでアフリカン納豆を食べてみたい”という一言にも激しく頷く。今から続編に期待です。以下備忘録的に。/シャン族は納豆をおやつとして、調味料として、結婚の時にはお寺に寄進するものとして。単なる食べ物ではない、文化だ。/アジア納豆は山の生活を支える食品にして旨味調味料なのではないか/納豆とは、総本山の定義によると、「煮た大豆の表面に納豆菌が増殖し、「納豆の糸」と言われる独特な粘質物ができるとともに、納豆特有の風味を生じた食品」/シャン族は納豆原理主義者であると同時に、納豆ナショナリズムも強いようだ/「ミャンマーの納豆菌もブータンの納豆菌も、日本の納豆とほぼ同じです。匂い、見た目、粘り気…個性がちがう程度ですね。」/「アジアの納豆民族は全て国内マイノリティで辺境の民である」/
二週間の休暇〈新装版〉
フジモト マサル / 講談社 (2016-03-10)
読了日:2016年5月21日
穂村弘さんの解説に心惹かれ、手に取る。何もかも忘れてどこかへ行きたい、という思いが叶えられ、飛べない鳥たちが住む世界へと流れ着いた日菜子。以前のことは思い出せない、けれど、穏やかに流れる時間、確かな手応えのある隣人たちとの交流。しかし、その時間もいつまでも続かなく...と。けれど、過ごした時間まではなくなるわけでもなく、あったことを糧に、また日常を生きていると。糧になることは人それぞれだろうけど、誰の中にも形を変えてそういうものはある、と。
ロマンチック (朝日文庫)
佐内 正史 / 朝日新聞社 (2006-09)
読了日:2016年5月21日
KOYASAN Insight Guide 高野山を知る一〇八のキーワード (Insight Guide 4)
高野山インサイトガイド制作委員会 / 講談社 (2015-01-24)
読了日:2016年5月19日
真言密教、高野山、空海の足跡、山の暮らし、の四章から成る。図版が豊富。曼荼羅や法具、五智如来、五大明王、四天王など、字面だけでは理解が難しいものも、目で見るとパッとわかりやすく。高野山で暮らして大学に通う学生の1日、僧の1日なども簡易に紹介され。奥の院には戦国大名たちを祀る廟もあり、焼き討ちした織田信長すら祀っているのは懐の広さか。信州真田家が入っているのは昌幸、信繁の配流先だったからか。
空海入門 (角川ソフィア文庫)
加藤 精一 / 角川学芸出版 (2012-04-25)
読了日:2016年5月19日
経典の内容は、読む人の眼力によって決まる。密教の深い読解力をもってすれば、いかなる経典でも、密教経典としての内容を導き出せる、という立場。一切の教えは、すべて仏陀によって説かれ、設定されたのであって、仏教以外の教え(外道)もまた仏陀の教えの一部だ。「宇宙の遍満する法身大日如来の存在に気付きさえすれば誤りだらけのこの私が、この身このまま仏として生きられる」ことを説いた空海。すべてを密教の教えで包み込むおおらかさ、スケールの大きさが底流にあることを感じとれた。
玩物双紙
新城 カズマ / 双葉社 (2014-11-19)
読了日:2016年5月16日
茶器、銀貨、文車、城の石垣、盆山、天文観測機械...モノたちが語る戦国時代、いや、太古から現代までを視野に入れた大きな物語。信長は、あまりに真っ当で、部下を食わそうとし、支配下の民が飢えぬよう手を尽くした、ありきたりの暴君になるのではなく、とことん部下と民のために断崖絶壁を目指して走り続けた、その姿はまさに...「自転車操業」と喝破する茶器。足利義教と一対をなす巨大な才能、一条兼良のこと。随所に影を見せる松永久秀。戦国だ大名だといっても煎じ詰めればショバ争い、手打ちは毎度、大真面目に小競り合いすれば身がもたないし懐ももたないと嘯く銀貨。私共のバブルが覆い尽くした、その後には戦争が来たと嘯く銀貨。そして天竺出身の楠葉西忍、という存在も初めて知る。様々な視点は興味深かったのだが、いかんせん、視点が断片的かつ広すぎて散漫になるきらいがあり、読み進めていくにつれて、辛くなる心持ちも若干した。
私のマルクス
佐藤 優 / 文藝春秋 (2007-12)
読了日:2016年5月15日
佐藤優の学生時代。「私のマルクス」「自壊する帝国」「国家の罠」と読み進めば、学生時代、ロシアでの外交官時代、日本での外交官時代、獄中と通観することができる。先生と仲間と、大いに語り合い、意見をぶつける様が描かれる。以下備忘録的に。/組織には固有の悪があります。もし自分の信念に反するという気持ちが生まれてきたら、周囲の人間関係に流されず、組織を離れることです。(堀江先生)/私はプライドに価値を認めない。プライドこそが人の目を曇らせ、情勢分析の判断を誤る原因になる/神という作業仮説をできるだけ回避することが、僕は人間として誠実なあり方だと思う。(イスラエルの友人)/「”ほんもの”とはどういう意味だ」「言っていることとやっていることが分離していないという意味だ。それから約束を守るということだ」/人生なり、研究なりを真剣に掘り下げて、その先に他の人々ともつながる地下水脈はあるのだろうか。ないならば、僕は一生かけて水の出ない井戸をただ掘っているだけになるんじゃないか/ただ僕は学者には向いていません。真理に関心がないんです。真理はいくつもあると思うんです。/思考停止をせずにいつまでも考え続けていくためには強靭な意志力が必要だ。/J.L.フロマートカ「なぜ私は生きているか」読んでみたい。/
放課後さいころ倶楽部 7 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2016-05-12)
読了日:2016年5月14日
ボードゲーム製作のコンペにのめり込む者、語られる店長の海兵時代とエミリの父の一瞬の邂逅。それぞれの道を決めて歩いてく中で、自分だけ何もなく今のままでいたいと思う者。最後は、完結編のような終わりだったけど、続きはあるとのこと。新たな展開も楽しみ。
ふしぎの国のバード 2巻 (ビームコミックス)
佐々 大河 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-05-14)
読了日:2016年5月14日
奥羽街道を通るのが常道のところ、外国人が踏破したことがないからと会津道にこだわるバードさん、最初は渋っていた通訳の伊藤もついに折れ、宿の娘の献身的な協力もあり、旅立つことに。混浴の温泉文化に触れて、バードさんも入ってみたエピソードも挟みつつ、伊藤の、遅れた習俗は見せたくないという屈託にも触れつつ、それでも私は知りたいのだ、と突き進むバードさん。最初の宿場は、貧しさからくるひどく不衛生な環境に対し、全員に治療投薬はできないので、最低限の衛星教育を施し、大いに感謝され先へと進む。最初は懐かなかった村の少年が、大事なお守りを手渡してくれて、思わずホロリと。
聖書を読む (文春文庫)
佐藤 優 , 中村 うさぎ / 文藝春秋 (2016-02-10)
読了日:2016年5月13日
佐藤優「自壊する帝国」つながりで。著者の一人、佐藤氏が属する、カルヴァン派の、神が誰を選んだかは天のノートにすでに書かれていて不変、努力するのは人間として当たり前、努力したから成功するなんて発想が思い上がり、そして自分は選ばれているにちがいないという確固たる信念。キリスト教徒の中でもカトリックとプロテスタントぐらいは知っていたけど、その中でも細かく特徴があるというのは興味深い。そして一神教の人々の時間感覚の悠久さ。復活を待ち続け、300年でも2000年でもついこのあいだのよう、と。/キリスト教では本人は信仰を捨てたつもりでも教会側はそう思ってない/救世主の降誕という人知を超える出来事が起きたことだけを確認すればよくて、誤訳問題には踏み込まない。神学における主流の立場。都合が悪いことには黙る、と。/エヴァを引き合いに、人間同士はそのままでは互いに繋がれない存在で何か共有できる幻想があって初めて繋がりを持てるのかもしれない。/「原罪」とは「他者」の獲得。自他の区別なく「大いなる全体」に包まれていた人間は「他者」を獲得した瞬間、に「個」となる。/500年以上前の想像力を持てるかどうか。ダンテの「神曲」、「源氏物語」、「太平記」などを通じて。/理屈ではうまく還元できず、イヤだからイヤというのは、これは「啓示」-神様の言葉なんですよ。/田辺元「メメント・モリ」(1958)/辻潤の考え方。人間、ひとりで生まれてきて神様もいない。競争の世界においては、強い男に愛する人を盗られもするが、それでも人間は生きて行かなければならない。虚無僧となり尺八を吹いて金をもらい、誰もくれなければ拾い食いでもして、それで窮すれば死ぬしかない。/
圏外編集者
都築 響一 / 朝日出版社 (2015-12-05)
読了日:2016年5月9日
語りおろし。刺激に満ちた編集論、編集者論。いや、編集に限らず、仕事をする上でどこに向かってどう発想するかということにつながっていくのだと思う。以下備忘録的に。/ハズして笑われるより、先に誰かにやられた方が悔しい。そうじゃない編集者は別の仕事を見つければいい。/DJも編集者も足を運んで自分の世界観を拡張させることが重要。/「TOKYO STYLE」が写真家になるきっかけ。編集、撮影丸ごと自分で自費。編集者としても転機。/「ヒップホップの詩人たち」。業界外にいたから何倍もの手間と時間がかかり価格にも反映。けど、だからこその違う視点が得られたのでは、と/自分が読みたいものがなければ自分で作る!の姿勢は、他の著者の作品「妄想芸術劇場・ぴんから体操」を自費出版したところにも現れ/「僕が取材してきたのは「スキマ」じゃなくて「大多数」だから。有名建築家がデザインした豪邸に住んでいる人より、狭い賃貸マンションに住んでるひとのほうがずっと多いはず。デートで豪華なホテルに泊まる人より、国道沿いのラブホテルに泊まる人のほうがずっと多いはず。ご飯食べて2軒目行こうってなったときに、高級ワインバーより、カラオケスナックに行くひとのほうがずっと多いはず。それだけ。(pp.198-199)
壇蜜×西原理恵子の銭ゲバ問答「幸せはカネで買えるか」【文春e-Books】
西原理恵子 , 壇蜜 / 文藝春秋 (2015-11-27)
読了日:2016年5月8日
トークライブを書き起こしたものとのこと。この二人の取り合わせは面白いに違いないと思ったが予想通りだった。西原さんのスナックサイバラの、女の幸せは自分の手で稼いでナンボという考え方がこのトークライブでも貫かれ、壇蜜さんもその考えに協調しているように見えた。/寄ってきた人をあしらうことも含めて「モテる」というのなら、それは、ただの「傷つけ屋」だよと思うんですよね。(壇蜜)/私は「心の中に小さな野村沙知代を飼いなさい」と、よく周囲の女性に言っています。(西原)/親が理解できそうにないと思った時は、最後まで嘘ついてあげるのが、いちばん優しいのではないでしょうか。(西原)
毎週かあさん 3 (ビッグコミックススペシャル)
西原 理恵子 / 小学館 (2016-04-28)
読了日:2016年5月8日
アフリカのサラリーマン 1 (MFC ジーンピクシブシリーズ)
ガム / KADOKAWA/メディアファクトリー (2015-05-27)
読了日:2016年5月8日
孤独のグルメ2
久住 昌之 / 扶桑社 (2015-09-27)
読了日:2016年5月8日
18年ぶりの続編刊行、連載も6年がかりってのがなんとも気の長い話で。ゴローさん、心の声でいろいろ言いながら食べるのは相変わらずだけれども、こんなに大食いだったのかなあ。冷やし中華のあとに普通のラーメン、定食のあとにまた定食などなど。あと前回も店員を怒鳴りつける店主に苦言を呈していたが、今回は部下に酒を強要するオヤジに苦言を呈し、掴みかかられ返り討ちにする。解説でも書かれてたけど、一度乗った流れに対する順応力確かにすごい。勘と己の欲するところを合わせて突き進んでいく。食べログとか絶対見ないんだろうなあと思いつつ。
ガイコツ書店員 本田さん (1) (ジーンピクシブシリーズ)
本田 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-03-26)
読了日:2016年5月8日
再読、再再読。俳優か!というイケメン外国人おじさんが、娘に頼まれて一般書店では売ってない同人誌のお使いを頼まれ、必死に説明。ベリーナイスパーソン、と言われるが、娘のために一日中外国を駆けずりまわれるあなたのような人にこそ向けられる言葉だ…と。スタイル抜群のパワフルなやおいガールズに筋肉BLをお勧めして超絶感謝され。漫画迷子のお客様に突如始まる漫画ソムリエ。感動できる少女漫画!長くて3巻まで!40代男性でも楽しめる!とか。典型的な陽気なアメリカ人お兄さんに話を聞きながら、変態仮面をお勧めして超絶感謝され。また昨日発売のコミックスのおまけが今日届きました、と電話をかける先輩社員。欧米のコミックはカラフルなのに日本のは白黒主体、どうして?と問われレッツヤケクソ英会話!でしどろもどろ説明のシーンとか特に。
空海「般若心経秘鍵」 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)
空海 / 角川学芸出版 (2011-05-25)
読了日:2016年5月5日
般若心経には、ブッダの教えが語り尽くされている、というが、梵字一文字にしても、凝縮に凝縮を重ねて様々なことが語られていると言われれば、やはりそれを解凍して解き明かすには、受け手側の力量が必要とされ、だからこその「顕密は眼力による」ということなんだな、と。/心を静め正しい智慧を養えば、生死の海を渡っていける。般若心経は大般若経の一部ではなく独自のもの。/美しい蓮の花を見ては、自分の中にこのような美しい仏心が本来そなわっているのだと思い、その蓮の実を見ては、自心の中にすでに蓮の実のように仏徳がそなわっていることに気づきます。/真言ダラニとは何と不可思議なものでしょう。これを誦えるだけで無始以来人間が持っている無知から開放されるのです。
イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅 (双葉文庫)
サラーム海上 / 双葉社 (2016-03-10)
読了日:2016年5月5日
トルコ、レバノン、モロッコ、イスラエルをめぐって料理談義。物珍しさも手伝って、食欲もそそられる。羊の腸を焼いたココレッチ、カリッカリの片口鰯を使ったハムシリ・ピラフ、ハシハシという芥子の実ペースト、西瓜スペアミント白チーズのサラダなどは特に食指が動く。個人的に大好きな街エディルネに一節が割かれているのも嬉しかった。肉で有名な街で魚を食べた話。イスラエルではベジタリアン、ヴィーガンの習慣がいささかファッション的に流行しているのだとか。そして外から見ると音楽や料理でトルコとイスラエルに共通するところを感じるのだとか。移住者やオスマン帝国の支配の影響か。国としては仲が良くない両国だが、と。中東の懐メロをアゲアゲにアレンジするHaSalonてバンドもきになる。
村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫)
村上 春樹 , 大橋 歩 / 新潮社 (2013-11-28)
読了日:2016年5月5日
さらりと読めて、時々クスリと笑い、時に立ち止まってふむふむと思い。それぞれのエピソードを肩の力を抜いて楽しむ。以下備忘録的に。/夢を追わない人生なんて野菜と同じだ、というセリフから、何かをひとからげに馬鹿にするのは良くないですね、という省察。/長嶋さんが、肉離れを、ミート・グッドバイと言っていたらしいというエピソード。/人は結局のところ、自分の身の丈に合ったものしか、身に纏うことができないから。合わないものを押しつけられても、そのうちに自然に剥がれ落ちてしまう。/ドールの費用総抱えでハワイに招待されて、条件はパイナップルの絵を描くことだったのに、十分に楽しんで、結局パイナップルを描かずに帰ってきたオキーフ。/ビートルズと比べるのもおこがましいけど、会社って問題のあるものを排除したがるという感想/アザラシオイルの効くとは言うものの想像を絶した生臭さ/奥さんが鍋物と揚げ物が嫌いで、一人の夜に手持ち無沙汰と思いつつ、そこの肉いいよとか言いつつすき焼きするシーンは想像すると.../ハワイの映画館で「ミスティック・リバー」見てたら最後の最後でフィルムが燃えて、観客の一人が、両手を上げて、おい一体犯人は誰なんだよ、といったシーン/オッペンハイマーの語学にまつわる天才的なエピソードの数々と政治的センスのなさ/アメリカの住たての頃、サム・クックの歌の出だしを口ずさんだら、誰かがその続きを口ずさんだシーン。/最後の、若葉マークと紅葉マークをつけた車を見たことありますか?という問いかけには、それ最近、文庫版のでた、星野博美「島へ免許を取りに行く」の文庫版あとがきに、そうやって走ってるとどの車も避けていくって書いていて、もしかして村上さんが見かけたのは星野さんの車?と想像してしまった。
夏服に着がえれば (Feelコミックス)
元町 夏央 / 祥伝社 (2013-08-08)
読了日:2016年5月4日
表題作の幼なじみの甘酸っぱい恋愛モノはよくあるなあと思いつつ/バイクが共通の話題で学校の美少女と一瞬通じ合ったかと思ったのに、バイクなんて口実だろ!と豹変されたのは何でだろう、気まぐれなのかなと思ったり。/刺さってきたのは、自殺してしまった友人の実可子さんのこと。救えたかなんて思わないこと。私たちも思わないから。という友人たちの言葉が重く。
SADGiRL (torch comics)
高浜寛 / リイド社 (2016-01-29)
読了日:2016年5月4日
深町秋生さんのブログつながりで。なんだろう、少し希望を持たせて落とす、それが巡り、どれが本当だったのだろう、どれも本当だったのか、という思いを残す作品。うまく初めて知ったような演技ができたかなあ、という家族のほろ苦いワンシーンを切り取った作品。最後に地底人はないだろうと思わず笑ってしまった作品など。
Michio's Northern Dreams (2) ラブ・ストーリー PHP文庫 (ほ9-2)
星野 道夫 / PHP研究所 (2005-12-02)
読了日:2016年5月3日
歌代隼人「Instrumental jouney」つながり。/過去とか未来とかは、私たちが勝手に作り上げた幻想で、本当はそんな時間など存在しないのかもしれない。そして人間という生きものは、その幻想から悲しいくらい離れることができない。/寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人とを近づけるんだ。
なれる!SE(2) (ファミ通クリアコミックス)
鶴山ミト , 夏海公司 / エンターブレイン (2012-11-15)
読了日:2016年5月3日
初めての客先訪問、初めての客先作業、自分が幹事で自分の歓迎会、入社初の休日に無手当の休日出勤...充実感と苦い思いのサンドイッチだけれど、どSの上司との関係も少しずつ築けて、OJTは合格した主人公の工兵。今度は所属するシステムエンジニアリング部とOS部の争いに巻き込まれ...と。無茶な営業、無茶な取引先の要求...戯画化はされているけど、あり得ることだよなと思いつつ。
ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2016-04-19)
読了日:2016年5月3日
競馬と占い師に振り回され、最後はヒグマに立ち向かうことになった一行。皮を剥ぎに行く、冷静だが決然とした宣言で締めくくられ。アシリパさんの二輪草へのこだわりとアザラシの肉を茹でたものへの執着が印象に。
ハルはめぐりて (ビームコミックス)
森泉 岳土 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-04-25)
読了日:2016年5月3日
女子中学生ハルが、父の友人たちに導かれて一人旅。にしても、お父さんの友人、ベトナム、台湾、モンゴル在住とワールドワイド。旅をするのと深く読書することの類似を悟り、北投図書館の美しさに感銘を受け、モンゴルの朝昼晩の区別しかない時間感覚にひたる。銀山温泉の章も風情があってよかった。
僕はコーヒーがのめない 4 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2016-04-28)
読了日:2016年5月3日
エスプレッソにこだわるバリスタ野間。アイドルの道をめざして、コーヒー業界には目もくれない、老舗純喫茶の孫娘。二人を翻意させるのは花山のコーヒーにかける情熱だった、と。
和菓子ものがたり (朝日文庫)
中山 圭子 / 朝日新聞社 (2000-12)
読了日:2016年5月3日
坂木司「和菓子のアン」「アンと青春」つながりで。参考文献に挙げられていたので。この本で挙げられていることを豊かな物語世界にまとめあげたのだな、と感じ取れて楽しかった。和菓子の名前に込められた遊び、季節ごとに象徴されるものなども紹介され。
Michio's Northern Dreams (1) オーロラの彼方へ PHP文庫 (ほ9-1)
星野 道夫 / PHP研究所 (2005-11-02)
読了日:2016年5月3日
歌代隼人「Instrumental jouney」つながり。/いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がする。/人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。
島へ免許を取りに行く (集英社文庫)
星野 博美 / 集英社 (2016-04-20)
読了日:2016年5月2日
人間関係にも仕事にも行き詰って、そうだ!免許を取ろう!と五島列島の自動車学校の合宿免許に申し込み。そこで島ののんびりした人と空気に触れ、不器用ながらもコツコツと何かができるようになる実感をつかんだ星野さん。馬に乗れるのがウリの自動車学校って!今まで免許なしで牽引してたおじさんが、「そいじゃけん、はよ取りたかよ。無免許になってしまうけんね」という可笑しみ。そして星野さんが小学校の時自転車の免許を持っていたという話はどこにつながるのか。あまりにできなくて滞在延長を余儀なくされて「寮長」と呼ばれたり、両手両足で別々のことをするための認識の転換がスーッと訪れたり。「誰も私から運転の技術は奪えない」。その運転技術が、東京へ戻ってから、家族のために役に立つことに。そして、父が反対しなかったのはこれを見込んでたからでは、と思いつつも、まあいっかと思い直し、エンディング。一気呵成に読んでしまった。星野さん、一般的に言えばすごく不器用なんだろうけど、だからこそ見えてくる違った視点もあって、そこが面白くて手に取ってしまう。
大奥 13 (ジェッツコミックス)
よしながふみ / 白泉社 (2016-04-28)
読了日:2016年5月1日
老中阿部正弘就任。将軍家定の就任。瀧山の大奥総取締就任。家定の抱える闇を理解し、身体を張って守ろうとする正弘。就任にあたって、己の職務を恥じるな、誇れと伝える瀧山。そして篤姫の登場。幕末へ向けて大きく歯車が動いていく。
空海の風景〈下〉 (中公文庫)
司馬 遼太郎 / 中央公論社 (1994-03-10)
読了日:2016年5月1日
おかざき真里「阿吽」で空海に興味を持ちこの本を手に取る。ただ、この本。小説とは言っても、著者が語りかけてくる感じで、話も取材中のことやら自分の思い出が随所に挿入され、空海という人物が自在に動き回っているようには感じず。どちらかという、空海像に迫ろうとする司馬遼太郎を追ったノンフィクションといった体に思える。そのためか、作品世界に浸かるまでなかなか時間がかかったが、引き込まれたら一気呵成。生まれた地の周辺、若い時代から遣唐使船に乗り込むまでの史料的に空白の時代については、状況証拠と推測を重ね、こうであったろうという像を織り上げている。その後は、国家の記録にも本人の語ったところにも拠ることができる。日本の山林で雑密を拾い集め、自分なりの像を構築したが、奥義は書物からではなく直接伝授されねばらならない、と明確な目的意識で渡唐。無事、伝授を受け、20年の予定を2年で切り上げて戻って来れば、自分よりはるかに恵まれた地位と人脈を駆使した-最も本人にしてみれば周りがよくしてくれただけで自分から仕立てたわけではないだろうが-最澄が、膨大な密教体系の傍流の傍流をもってして、密教の第一人者の地位を築き上げようとしていた。空海からは、権力を持って密教の教えを曲げようとする不逞の輩、という思いがあったであろうと推測しつつも。空海の人生の様々な局面における待ちの姿勢。すぐには登場せず、己の盛名が高まるように仕向け、それが成されてから登場するやり方はここでも発揮され。招来した目録により名が高まったのちに登場。天皇にも愛され、真の密教を極め、広める環境を与えられ、辣腕を発揮していく。最澄に対する著者の筆は、知らなかっただけで、悪意はなかった、そして空海を黙殺することもできたのに、己の足りなさを認め、空海におしえを乞おうという真摯な姿勢はなかなか真似できるものではない、と。最後は、どこまでも筆授で事足りるという考えの最澄が、直接伝授が密教の真骨頂と思い極める空海に、冷たく絶交され、関係が終わるのだが。大日如来が密語(宇宙語)で説法した、という体で語られる「大日経」についてますます興味が湧いてきた。そして著者も語るように、書一つとってもそうだが、不変の空海像などあるのだろうか、という思い。様々な側面を見せつつ壮大な一つの空海像を織り成す様を楽しむことができた。


2016年05月01日

2016年04月に読んだ本

期間 : 2016年04月
読了数 : 56 冊
信長のシェフ15 (芳文社コミックス)
梶川卓郎 / 芳文社 (2016-04-16)
読了日:2016年4月30日
長篠の戦いの決着。そして信長が当主の座を信忠に譲るところまで。それぞれ、自分から言い出せない、掟に縛られた案件を、ケンの料理がときほぐしていく。モモと生ハムのそうめんがおいしそすぎて。
高杉さん家のおべんとう 10 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
柳原 望 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2015-07-23)
読了日:2016年4月30日
生みの父親の家との関係性、久留里の受験、そしてハル自身のフランスへの栄転。人が留まり、そして去るということは。留まることは意志。不断の努力で留まるために努めること。そして、去るのではなく移動なのだと。最後は四年後の話。大団円。うさぎドロップと同じような終わり方。やはり最後の落とし所はこういった形になるということなのか。
日日べんとう 6 (オフィスユーコミックス)
佐野 未央子 / 集英社クリエイティブ (2015-12-25)
読了日:2016年4月30日
荒井との結婚を決めるも、荒井の事情で宙ぶらりん。その間に、紫藤の事務所で働くことにした黄理子。結婚を断る理由はなかったものの、紫藤といれば世界が違った色彩で見える。さて、三人の行方は、と。
BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2013-11-29)
読了日:2016年4月30日
1-8巻まで読了。中高バスケ部だった大が、ある日聴いたジャズのライブに打たれ、世界一のサックスプレイヤーなると心に決め。毎日河原で練習。目をつけてくれたサックスプレイヤーが、月謝も取らずにレッスンしてくれ。初めてのライブ、初めてのセッション、挫折、克服。仙台から東京へ上京。生意気だけど天才的な同年代のピアニストとの邂逅。同居する同級生のドラムへの目覚め。ピアニストの人知れぬ挫折。お互い高め合って、ぶつかりあって成長していく熱さ。読んでて圧倒される。そして熱いジャズを聞きたくなる。
なれる!SE(1) (ファミ通クリアコミックス)
鶴山ミト / エンターブレイン (2012-03-15)
読了日:2016年4月29日
内定が取れずあせる工兵が唯一手にした内定はSE。しかしそこは無茶なオーダー、疲弊する人員のブラックな世界だった。そしてついた上司は優秀だがどS、見た目は中学生な立花さん。いきなりの無茶ぶりに耐えきれず投げ出しかけるが、踏みとどまって、初めてネットワークを繋げる喜びを感じたところで次巻。立花さんがここにたどり着いた背景など語られるのだろうか。ネットワークの基礎知識もさらりと盛り込まれていて○。
シマウマ  13巻 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2016-04-25)
読了日:2016年4月29日
空海の風景〈上〉 (中公文庫)
司馬 遼太郎 / 中央公論社 (1994-03-10)
読了日:2016年4月29日
自壊する帝国 (新潮文庫)
佐藤 優 / 新潮社 (2008-10-28)
読了日:2016年4月28日
読んでいると、ぐっと心を、ソ連崩壊前夜のモスクワへ持って行かれる。佐藤優「国家の罠」の前日譚。モスクワ勤務時代の話。チェコで神学を収めるために留学を希望するも、果たせず、外務省に入省し、ロシア語研修、モスクワ勤務を命ぜられ。スパイ小説さながらの情報将校じみた活躍。そして、ロシア人たちとの交流、生き様が描かれる。サーシャ、ポローシン、シュベード、イリイン…。/ロシアでは「川を三つ越えれば、誰も浮気をとがめない」と言う。/「それで済ませる。洗いざらい話すのは誠意でもなければ愛情でもない」(サーシャ)/各共和国の新聞を読み比べることで民族問題に提言。担当官に。初めて責任を持って担当する事項。情報分析専門官、佐藤優の誕生。/「ソ連にも良い人間もいれば、悪い人間もいる。その比率はチェコスロバキアでもイギリスでもアメリカでも一緒だ。ただし、ソ連やチェコスロバキアでは、国家の方針により、良い人間も悪い人間にならざるを得ない状況がある。モスクワに行ってからも良いロシア人と付き合うことだ」(マストニーク)/帝政ロシアのモロゾフ財閥の一人が日本に亡命して開いたのが洋菓子のモロゾフ/「カネの無心をする奴はインテリじゃない」(サーシャ)/ソ連時代からロシア人の間で「あいつはパブリック・マローゾフのような奴だ」というのは、「出世のためなら親でも家族でも売り渡す人物」というたいへんな悪口だった。/「キリスト教的な問題の立て方が諸悪の根源のように思える。人間に原罪なんて存在しない。そのままの人間は善でも悪でもないと素直に認めればいいんだ」(ポローシン)/「それでも人間の平等と尊厳を求める共産主義の理念を掲げ続けることには意味があると僕は考える。僕は共産主義の理念とロシア国家に残りの人生を捧げることにしたんだ。こういう生き方があってもいいんじゃないだろうか」(クプツォフ)/「筋を通すということの重要性を私はロシア人から教えられました。結局、筋を通す生き方をした方が幸せなのだと思います。」(著者)/「人間は生き死ににかかわる状況になると誰かにほんとうのことを伝えておきたくなるんだよ。真実を伝えたいという欲望なんだ」(イリイン)/(鈴木宗男攻撃に加わることを断り) ソ連崩壊前後の人間模様を見た経験から、盟友を裏切る人間は決して幸せな一生を送ることができないと確信していたからだ。/
テラモリ 3 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2016-04-12)
読了日:2016年4月24日
高めの時給につられて、スーツ屋さんのバイトに転がり込んだ女子大生高宮さん。接客業なのに接客が苦手すぎて、知識がなさすぎて、ドS副店長にしごかれる日々。他の同僚も個性豊かで。悔しさに涙しながらも、少しずつ覚えて、慣れて、成長していく高宮さん。そしてお約束かもだけど厳しかった副店長の心がふと…といったところ。
ガイコツ書店員 本田さん (1) (ジーンピクシブシリーズ)
本田 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-03-26)
読了日:2016年4月24日
ガイコツの書店員本田さん、女性のようです。同僚たちも動物にガスマスクと個性豊か 笑。けれど、書店員の職務へのプライドはひときわ高く。お客様に、ざっくりすぎるおすすめを求められた時の、突如始まるおすすめ大喜利!のシーンが好きです。
吾輩の部屋である 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
田岡 りき / 小学館 (2015-11-12)
読了日:2016年4月24日
登場人物は一人だけ。あとは、電話やメールで登場。主人公が一人で呟いて家電が淡々と突っ込んでいくというシュールさ。自意識を膨らませていってカラカラ空回りな様子が、嫌いじゃないです。河川の研究、ってこんな感じなのかな、と思ったり。
アンと青春
坂木 司 / 光文社 (2016-03-17)
読了日:2016年4月23日
アンと青春→和菓子のアン 再読→アンと青春再読。読んだら前の巻も再読したくなり、そしたらこの本もまた読みたくなり。/「知識だけじゃダメ。それと目の前のものを結びつけることができなきゃ、それはただの情報。アンちゃんみたいに、自分で考えて答に近づいていくのがいいんだ」(立花さん)/京都に行った際の「あのお店、近所にあったらいいのに」「午後も、買えたらいいのに」「スマイルゼロ円、だったらいいのに」のやりとり。そしてパフェ、縁結び、パワースポット、可愛い和風雑貨、和カフェ...女子の都であると、京都を活写。/「自分の置き換えてみなよ」「自分の友達が、誰かにバカにされたりしたら、あんただって嫌なくせに!」という友達からの叱咤。/「醜さも、きれいですよ」「前に、教えてくれたじゃないですか。『源氏物語』の、嫉妬から生まれたススキの場面、あれは醜い感情だけど、きれいでした」(アン)/「でも、つらいときは、正直に言ってね。『大丈夫』って、大丈夫じゃない人が使う言葉だと、私は思ってるから」(椿店長)/「色眼鏡の汚れは、なかなか落ちねえんだよ」(お米やさん)
世界飛び地大全 (角川ソフィア文庫)
吉田 一郎 / KADOKAWA/角川学芸出版 (2014-08-23)
読了日:2016年4月23日
今現在もある、あるいは過去にあった飛び地にまつわる歴史、経緯、エピソード。/インド-バングラデシュ間のクチビハール問題は解決したのだろか(領土交換と国籍確定が行われたようだ)。ドゥブロヴニクとクロアチアを結ぶペルジェサク大橋は完成したのか(結局中止になったとか)。一年以上居留したものは政府から一定金額が配当され、2000年には年額約33万円相当だったというアラスカ。ベルギーとオランダにまたがるバールレは、玄関がついてる方の税法に従うため、法律の変更のたびにしばしば玄関を付け替える家が続出したのだとか。マレーシア、シンガポール間、イスラエル、パレスチナ間はいうまでもなく、歴史的な大英帝国の役割は、飛び地を扱うこの本でも、全くの悪役、腹黒紳士として登場。いっても詮無いことだが、この帝国がなければ、今、世界でどれだけの争いが起こってなかったのだろうかと思ってしまう。河口慧海のチベット潜入の目的が、チベット語経典からの直接の和訳であったこと。「ゴアを見たものはリスボンを見る必要なし」ということわざがあったくらい繁栄していたゴア。武力でも民主的手段でもスペインにとって難攻不落のジブラルタル。複雑怪奇な経緯をたどるマカオの歴史。川筋が変わったため、調査の結果、リオ・リコに住んでいたメキシコ人は、アメリカ領にも住んだことがあると判明、それならアメリカ国籍をよこせ!と裁判を起こしたのだとか。
気まぐれコンセプト 完全版
ホイチョイ・プロダクションズ / 小学館 (2016-02-16)
読了日:2016年4月21日
約1000ページ近く、35年分。当時の流行っていたもの、できごとが振り返れてよかったな、と。特に、バブルの頃の筆は踊っている気がする。きっとホイチョイが一番時代の波に乗っていた時だからか。広告用語ページの、バーニングマン、ランディング・ページあたりは興味を惹かれた。代官山蔦屋の昼はラウンジ、夜はかっこいいバーというのも味わってみたく。ブログ本をiPadで買って読んで、違和感感じて、最初からiPadでブログ読めばいいじゃん、てとこにクスリとなったり。横浜駅の改修工事がサグラダファミリアの工事終了を超えそうだとか。エクストリーム出社かと思いきやただの無断欠勤。今ならなんでもクレームで辞めさせられる、という皮肉の効いた4コマ目。などなどが目にとまる。
ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー
白石 美雪 / 武蔵野美術大学出版局 (2009-09-26)
読了日:2016年4月17日
佐々木敦「「4分33秒」論」つながりで。/ジョン・ケージが影響を受けたクーマラスワミーの著作に当たってみたい。/マルセル・デュシャンのための音楽、のフレーズの切れ目ごとに入る休符、ソナタとインターリュードも、適宜休符が挟まれることで静かな印象。/「4分33秒」についても、「信じてもらえないかもしれないが、チャンス・オペレーションズのチャートを使って長さを決め、一つ一つ沈黙を繋いで曲を書き上げた」とケージは語る。/連続性が破壊された、ブーレーズのピアノ・ソナタ第2番が与えた衝撃。/ストーニーポイントでの暮らしは、キノコへの熱狂、ガラスで作られた部屋の開放性、権力支配からかけ離れた芸術家コミューンの形成をもたらし、ケージの音楽の根幹にかかわっていた。/ケージ「わたしは聴く人になったのである」/「自らを落ち着かせ、静めるために」作られた彼のあらゆる作品は、何かを語りかけようとはしない。それらを見聴きする人を穏やかで静謐な気分で満たすところに、最大の美点がある p.216/「サイレンス」「月曜から一年後」でエッセイやレクチャーを埋め尽くす小噺は一つのページであっても特定のテーマに沿って並んでいるのではない。
辺獄のシュヴェスタ 3 (ビッグコミックス)
竹良 実 / 小学館 (2016-04-12)
読了日:2016年4月17日
かつて、結束して生き残ろうとした先輩。その生き残りが、エラたちを目に留める。突然の隔離、独房、ありもしないことすら吐かせようとする試練。連行。嘘をついてでも取り入ろうとするもの、陥れようとするのを逆手に取り、生き残る。どこまで続くのかと思いつつ、目が離せない。
最果てにサーカス 2 (ビッグコミックススペシャル)
月子 / 小学館 (2016-04-12)
読了日:2016年4月17日
富永、小林、泰子の三人で三越のテーブルを囲んで、俺たち中也被害者の会だな、とからりというシーンが印象に残る。中也本人を前にしてその詩に魂揺さぶられ圧倒されたのを認められず、詩をこき下ろし貶め、あとで自己嫌悪に陥る小林。小林と泰子の関係、泰子の気持ちをすべて見透かした上で、それを言い出せず、どこか自分の気持ちに他人事みたくなってしまうところのある中也。愛憎劇は加速していき…。にしても月子さんの描く、長谷川泰子は可憐で無邪気で小悪魔で魅力的。長谷川泰子自身のかたった、ゆきてかへらぬ、より活き活きとしている感あり。
ちづかマップ 3 (フラワーコミックススペシャル)
衿沢 世衣子 / 小学館 (2015-08-10)
読了日:2016年4月17日
今和次郎「考現学」をベースに、吉祥寺から三鷹、武蔵境まで街歩き。清澄白河までお使いのついでに見つけた今はない、倉庫の美術館。スペインの歌手が好きな後輩のポスターをポスターを濡らしてしまったお詫びに、その歌手が日本でめぐったところを探しつつ回る街歩き。大森で海苔がとれていたこと。秋田から出てきた子に連れられて、新宿の魅力再発見。今度は札幌にも来てくれないかなあ、と思いつつ。
たそがれたかこ(7) (KCデラックス BE LOVE)
入江 喜和 / 講談社 (2016-04-13)
読了日:2016年4月16日
こっちにしてみりゃ相手が終着駅かもしれないけど、むこうにしてみりゃ、通過駅のひとつだからね…通過駅でも「駅」になれるだけスゴイことです、のやり取りがしみてきます。
とんかつDJアゲ太郎 6 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-04-04)
読了日:2016年4月16日
DJは上達したが、カツの方は一向に上達してない…と悩んだアゲ太郎。しかし、DJもカツも、digってMIXという点では同じだ!と開眼し、数々のうまいカツ屋をめぐり、店主と語り、工夫を技術を味の秘密に迫り、そのまま真似するのではなく、自分に取り入れ、より良いものへと仕上げていく、と。面白い、実に面白い。
和菓子のアン (光文社文庫)
坂木 司 / 光文社 (2012-10-11)
読了日:2016年4月15日
「アンと青春」を読んだのを気に、再読。登場人物たちが最初の巻ではどう描かれていたのかを思い出しながら。そして、やはり和菓子の世界は奥深い。四季感、有職故実を織り込んだ表現、言葉遊びがきらめくように語られ、意を込められる。店長の「賭け事大好き、おかしな噂に首を突っ込むのはもっと好き。好物は牛丼とビール。でもって可愛い女の子をバイトに入れるのが趣味なんだ」という紹介のされ方。七夕の直前と直後をお菓子にしている個性、星合と鵲。知的な食、というテーマにおはぎを出し、その豊かな物語性、ネーミングの七変化を楽しみ。即物的な彼氏が、精一杯の意味を込めて渡した、結千切の紋の入ったお菓子。「だからこれからの数日は、久しぶりのデートだと思うことにしているんですよ」という店長の言葉。それぞれのシーンが蘇ってくる。
藤沢周平未刊行初期短篇
藤沢 周平 / 文藝春秋 (2006-11)
読了日:2016年4月14日
「残照十五里ケ原」のみ読了。天野純希「北天に楽土あり」つながりで。北天...は最上氏の視点からだが、こちらは荘内に根を張る、前森蔵人改め東禅寺義長・幸長の視点で語られる。荘内の勢力からすれば、上杉も大宝寺も伊達も最上も所詮はよそ者。しかし、独力で独立できなければ、どこかの力を借りなければならず。最上の力を借りて、大宝寺を討った後は、後ろ盾を得つつも最大限の自治を得たが、上杉の侵攻に、次第に力を失い、最後は討ち滅ぼされてしまう。勝正が本庄繁長に大怪我を負わせ一矢報いたのを最後に。最上家の中山玄蕃が舌打ちしつつ最上領へ去っていくエンディング。北天...では有能な文官としてのみ描かれた東禅寺義長だが、本作では武将とし知略・胆力を持つ存在として描かれる。大宝寺義興は、北天…では兄に及ばずながらも粘り強くしたたかに統治を進める支配者として描かれるが、今作では無能で、無能すぎて上杉への依存を強めたと描かれる。
北海道松前町 編 / 松前町 (2010-03-01)
読了日:2016年4月12日
道南における蠣崎氏の支配の成立、松前藩の成立、アイヌとの関係、江戸時代の支配、転封と復帰、幕末の波乱と松前藩の終焉までが描かれる。地域の顕彰を意図してるからか、支配の悪い側面はあまり描かれないように感じた。/武田信広がコシャマインを討った描写。蠣崎季広による和人地を削減してのアイヌとの住み分け政策。家康から、松前の地を治めているなら松前家と名乗れば良いと言われたエピソード。参覲交代は5年に一度で許されたこと。交易のできる場所「商場」を知行地として上級家臣に分け与え。松前公広が三男泰広を幕臣として仕えさせたことがシャクシャインの戦いの際に活きたこと。家老松前広長による60巻の歴史資料「福山秘府」。蠣崎波響こと蠣崎将監広年による「夷酋列像」。文化面だけではなく、松前の旧領復帰にも尽力。幕末に藩主松前崇広が幕閣の中心として奮戦するも最後は失意のうちになくなり。正議隊のクーデターにより幕末に活躍した有力な重臣が粛清され。混乱した藩では、幕府の残存勢力の攻勢を支えきれなかった、と。簡潔にポイントを押さえて松前藩史を抑えることができた。
アイヌと松前の政治文化論―境界と民族 (歴史科学叢書)
菊池 勇夫 / 校倉書房 (2013-05)
読了日:2016年4月12日
ボサノヴァの歴史外伝 パジャマを着た神様
ルイ カストロ / 音楽之友社 (2003-03-01)
読了日:2016年4月12日
ナラ・レオン、ジョアン・ジルベルトの章のみ読了。晩年、闘病しつつも歌手活動を続けたナラ・レオン。滅多に人を招き入れず、会わず、出かけず、パジャマを着て引きこもっているジョアン。運転中に目をつぶったり、みんなで浜辺に行ったのに、瞑想が終わると自分だけの世界に入ってそのままふらりと帰ってしまったり。電話や曲作りのやりとりだけで会ったことのない人たち。けど、ジョアンを敬愛する人々はたくさん。マイペースだけど、憎めない感じ。こだわりにこだわり抜いたアルバム「ジョアン」は聞いてみたくなって仕方ない。
ハル吉 / 峠の地蔵出版 (2014-10-01)
読了日:2016年4月12日
タコシェで購入。個人のblogで書いてたものが元になったるからか、かなり自由に書かれている。伊福部昭大好きで、そういう志向のは褒められるが、モートン・フェルドマン的なものとかは、長い、ザ☆眠い!、3曲あるけど全部同じ、そんなにいらねー、など言いたい放題。ただ具体的にこんな曲、こんな聴きどころ、というのが詳細に書かれているので、未聴の物のとっかかりとしては傑出。/Bollywoodの曲、Asha Bhosle & Kronos Quartet - YSMH: Songs From Burman's Bollywood amazon/クラフトワークのカヴァー含むBalanescu Quartet:Possessed/水晶の夜事件を題材にしたジョン・ゾーン: Kristallnacht -うんざりするガラス破砕音が12分続く/David Lang:Are you experienced?/映画「皇帝ペンギン」のサントラ Emilie Simon:La Marhe de i'Empereur/Glenn Branca:Symphony no.2 -ギター9名のノイズ/Jim Fox:Last Things - the copy of last drawingは月の輝く夜にモハーヴェ砂漠に一人佇んでいるような雰囲気。/jim Fox:Descansos. past -ウッドベースとチェロ九声部/John Luther Adams:the light that fills the world -スヤスヤ眠る赤ちゃんの上で静かに回り続けるガラガラメリーのような/Kevin Volans:White man sheeps -アフリカ音楽の影響/Bang on a can:Bang on a can meets Kyaw Kyaw Naing -ミャンマーの伝統打楽器とのコラボ/Lou Harrison:Piano Concerto他 大友直人指揮新日本フィル、キース・ジャレット。ガムランや中国風、和風な響き/Michael Gordon:Rushes -パルス音だけで旋律一切なし。/Michael Nyman:A ZED AND TWO NOUGHTS -料理の鉄人結果判定シーンで「赤い帽子の女」が使われていた。/涼風サルサ、J-POPなのにサルサ、透明感のある声、北原愛子復活への希望/佐藤聰明 日・月(邦楽)、夜へ(室内楽集)、Mandara Trilogy/久石讓:ヴァイオリニストを撃て! 〜ハードなミニマル/最後の方に自作の二枚も潜り込ませて、自虐的に紹介しているところもご愛嬌。
アソーレス、孤独の群島―ポルトガルの最果てへの旅
杉田 敦 / 彩流社 (2005-01)
読了日:2016年4月12日
代官山蔦屋書店で見かけて。9つあるアソーレスの島々のうち、主にファイアル島に滞在した時の随想。地図で見ると、ヨーロッパと北アメリカのちょうど中間地点に位置するアソーレス。地理的には孤島というほかないが、文化的にはポルトガルをベースとしつつも、コスモポリタンな文化も見られる、と。/「僕たちの態度は、明らかに怠慢という間接的な悪意に満ちている」「日々のなかで、見つめるべきものを見つめてさえいれば、そして少しばかりのきっかけと、少しばかりの想像力さえあれば、旅先で見つめた気になるもののほとんどは手に入るはずだ」/ポルトガル人の巨大なものを志向する完成、大航海時代に先陣を切って見せた向こう見ずさ/マドレデウスの「アソーレスの島々」というインストゥルメンタルの曲。/1902年、母方の家族のいるテルセイラ島に数ヶ月滞在した、14歳のペソア/「ビッカの苦い泡が、身体を芯から目覚めさせる。」
夢の雫、黄金の鳥籠 8 (フラワーコミックスアルファ)
篠原 千絵 / 小学館 (2016-04-08)
読了日:2016年4月11日
大きな転機となった一巻。史実だから展開はわかっていたはずなのに、それでも…と。ハディージェのイブラヒムへの降嫁、イブラヒムの反乱者が治めるエジプトへの軍事派遣。そして、その背景にある二つの別れについては、おそらくこの本でしか語られないのだろう、と。
服なんて、どうでもいいと思ってた。 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
青木U平 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2015-02-23)
読了日:2016年4月10日
なぜか女性ファッション誌編集部に異動になった盆栽、映画、ボクシング、エロ雑誌の男性社員。文化の違いに戸惑うことばかりだったが…服のコーディネートについてもっと語られるかと思いきや純然たるギャグ漫画でした。そして、本当に読みたかったのは、服を着るならこんな風に、て本の方だったと読み終えてから気づいた。
ちづかマップ
衿沢 世衣子 / 講談社 (2010-01-22)
読了日:2016年4月10日
龍眠帖と修悦体、に激しく心惹かれる。そして!京都の寺社めぐり、御朱印帳にも。ちづかマップの、一番最初に出たもの。一巻二巻読んでからこちらを読んで、背景、登場人物がすっとわかった。
ちづかマップ 1 (フラワーコミックス〔スペシャル〕)
衿沢 世衣子 / 小学館 (2012-08-09)
読了日:2016年4月10日
日本橋、水元公園、堀切菖蒲園、滋賀。古地図が大好きな元気いっぱいちょっと雑なところもある女子高生ちづかと巡る街歩き。同級生の男子が見せてくれたアプリ「東京時層地図」、優れものの感じがしますが、1900円…ちょっと二の足を踏んでしまう。
ちづかマップ 2 (フラワーコミックススペシャル)
衿沢 世衣子 / 小学館 (2013-06-10)
読了日:2016年4月10日
青梅、麹町、王子、和歌山編。落語が大好きな同級生竹本さんの登場。普段笑わないけど、話の引き出しがたくさんありそうでなんだかいいなあ、と。甘いもの巡りは読んでて食べたくなる。
夏目友人帳 20 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき / 白泉社 (2016-04-05)
読了日:2016年4月10日
箱庭の守り人の妖に請われて、最後は、そっと箱庭で花見する話が一番良かったかな。
岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン / 盛林堂書房 (2016-03-26)
読了日:2016年4月9日
那覇の市場の古本屋ウララから取り寄せ。岡崎武志さん、小山力也さんが、全国の、一部、フランスやベルギーもありの、古本屋を撮った写真集。それぞれの佇まいも味があるが、廃品回収屋さんの社屋に併設、とか、5分ごとに店の女主人が「やすくしときますよ」と耳元で囁く、とか、個性的なキャプションにもグッとくる。夢に出てきそうな昭和レトロな堀川書店。飲み屋街の一角にあり、仕切りなく、道へ道へと出て行こうとする活気。大抵のお店は既に亡くなっているというのが残念。巻末の二人の対談を読みながら、また写真を見返すのも味わいがあってよかった。札幌からはなずな書館1店のみ。
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
佐藤 優 / 東洋経済新報社 (2012-07-27)
読了日:2016年4月9日
要諦は、読書には順番がある。当該分野の読書の基礎知識がなければ、速読できないし、しても指の運動になるだけ。時間は有限だから、読むべき本を絞り込み、読まなくていい本は外にはじく。といったところか。「重要なことは、知識の断片ではなく、自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ」。/ジョゼフ・メン「サイバークライム」の中国政府がどの国よりもインターネットのトラフィックを厳重に監視しているという指摘/「教養のための外国語とか歴史というような、動機があいまいなままだらだらと学習することは時間と機会費用の無駄なのでやめたほうがいい」/ミラン・クンデラの「3の法則」を逆手に取り、相手に自分を強く印象付けるために、一ヶ月以内に3回会う、重要な人脈を維持するためには相手と三ヶ月以上の間を空けてはいけない、と。/すごい読書法のロシア人も登場する同じ著者の「自壊する帝国」、歴史小説で歴史観を養う危険性を繰り返しつつ、これだけは別格とあげる、沖縄の人々の心情を見事に表しているという大城立裕「小説 琉球処分」、高橋一雄「もう一度 高校数学」、デヴィッド・W・モラー「詐欺師入門 騙しの天才たち その華麗なる手口」も読んでみたい。
歌代 隼人 / 歌代 隼人 (2009-03-11)
読了日:2016年4月9日
信愛書店で見かけて。/バンドをクビになったのを踏ん切るかのように勢いよくヒッチハイクの旅へ。時に、若く青臭く、時に、最初から人の行為をあてにしすぎているなあと感じたり、素直に感情を吐露し、意気投合し、旅から旅へ。躍動感を感じる。読んでてワクワクするような。いか備忘録的に。/エチオピアでは人気DJが石川さゆりをかけてめっちゃ盛り上がるらしい/川瀬慈さんの撮った「ダンシング・アディス・アベバ」/終わりが来るとわかっていなければ全力を注げない。そんなふうにだけは生きたくないな。/なあ、ものすごく感動する夕日だとか何か景色を見てそれをどうやって愛する人に伝える?(略)変わることだって 自分が変わることでそれを伝えるんだって 星野道夫/「新たな出会いの喜びを もたらすための悲しみか」/那覇。チューバの音が夏に溶けていった/沖縄本島最南端の岬で、全裸でトランペット吹く。 生きてる。今、生きているぞ俺は!/ああ、きっとすべては正しく噛み合っているに違いない。おれはただ、流れに乗っかって直感で行動するだけでいい。出会うべき人間、本、思想。/「TGOって書いてある缶を見つけたら俺を思い出してくれ」
北天に楽土あり: 最上義光伝 (文芸書)
天野 純希 / 徳間書店 (2015-10-09)
読了日:2016年4月9日
三好元長、長曾我部元親、そして最上義光。勝ち切れない英雄。力戦苦闘して束の間小王国を築くも、時をおかずあえなく瓦解。そういう人々を描くと部類のうまさを発揮するのだろうかこの作者は、と思いつつ。最上義光の出発点は、戦国大名とも言えない、最上郡一郡すらおさめられない、小土豪。不戦のみを掲げ、ついには戦うべきときに戦えなくなった父を隠居に追い込み、従わぬものの制圧に乗り出す。時に、狡猾な謀略を用い、敵対勢力を謀殺するも、家臣や降ってきた者には寛大。度量の広いところを見せ、取り込んでいく。妹である伊達政宗の生母ともなった義との関係も、叱咤激励され奔放に振る舞われつつも、大事に思い。しかし、周囲の伊達に上杉に大宝寺。それぞれ最上より精強な兵を持っていたり、肥沃な領土を持っていたり。時に絶体絶命の窮地に立ちつつも、粘りに粘って、生き残り。豊臣政権に与するも、荘内をめぐっては割を食わされ、娘も殺され、憎悪を募らせ、家康には、英邁な長男義康の廃嫡を求められ、それでも関ヶ原戦には、伊達と匹敵する、上杉を上回る領地を手に入れ、民生に力を入れ、領土を富ませるが...その死後10年と持たず、改易されてしまうとは。松本清張の短編「武将不信」を読んだときにも思ったが、苦い苦い読後感。人に支えられ、戦で、治世で、成果を上げられた時の戦果が輝かしければ輝かしいだけ、その対比として/「わしの、負けか」早くから豊臣政権に近づき、臣従した景勝。その間、荘内だけを見据え、周囲の伊達や大宝寺との小競り合いを繰り返してきた自分を省みて。/「互いに心を許し合ったわけではない。わだかまりのすべてを水に流せたわけでもないだろう。それでも、最上も伊達も、新たな世で生きていかねばならない。」/氏家守棟の最後の言葉。もう荘内にこだわるのはやめてください。領内は既に豊かで殿に心服。さらに豊かさを求めて、血を流すべきではない、と。/窮地の最上家を救うため、単身、伊達家に援軍派遣を請いに乗り込んだ義康。三成に責められれば、父の方針に反して息子義康が勝手にやったことと言えばいい。伊達とて上杉が山形まで領することを望んでいまい。その時は私を押し立てて最上領へ押し出せばよい、と。使者として帰還後、さらに凄みを増した義康/「自分が招いた惨状なのだと、義光は思った。過去に捉われて、唐入りという夢に憑かれた秀吉のことは嗤えない」
代官山17番地
ハービー山口 / アップリンク (1998-04)
読了日:2016年4月6日
@sibuya_photo つながり。20年前まで、東京都心近くにこんなに緑豊かで、レトロな空間が残っていたとは。代官山にあった、同潤会アパートを題材に撮影されたモノクロ写真集。一つの町として息づいていて、そこで暮らす人の表情も鮮やかに捉えられていて、見入ってしまう。
気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている
村瀬 秀信 / 交通新聞社 (2014-05)
読了日:2016年4月6日
「4522敗の記録」の著者によるチェーン店愛を熱く語るエッセイ。/”そう。「吉野家」の牛丼はあくまで七味があってこそ。あえて言おう。牛なんておまけなんです。アレは牛のダシが効いた七味丼なんですと!”というエキセントリック。餃子の王将がブレイク前に書かれ、押し出されたヘヴィユーザーは今はぎょうざ界のデスメタル「ぎょうざの満州」に宗旨替えしたというが、近隣にないので、満州もきになる。ロイホが高い割にビミョーと言われていたそうだが、後日談で今はむかし、メニューやサービスを徹底的に見直しクオリティの高いサービスを確立、と。そしてパセラの項で出てきた、秋葉原のハニトーカフェ、気になります。KFCのどこが好きかと聞かれ、皮、と即答せざるを得ない、には深くうなずき。てんやのてん娘ちゃんてキャラがSNS上でてんや関連のつぶやき、投稿を探し出してクーポンくれたりする、というのがなかなか気のきいたサービスだなあ、と。そして沖縄編A&W。ルートビアは個人的には懐かしい心惹かれる味。ようやくルートビアをお代わりして完飲した!と意気揚々と沖縄出身者にまくし立てると「地元の人間はA&Wに行ったらオレンジジュースですよ」と冷たく言われたり。なじみのあるチェーンではふむふむ、他の地方特有のチェーンについてもそういうのがあったのかと興味深く。
シマウマ  12巻 (コミック(YKコミックス))
小幡文生 / 少年画報社 (2015-12-28)
読了日:2016年4月4日
シマウマ  (11) (ヤングキングコミックス)
小幡文生 / 少年画報社 (2014-11-25)
読了日:2016年4月4日
シマウマ 10 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2014-05-26)
読了日:2016年4月4日
シマウマ 7 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2013-05-27)
読了日:2016年4月3日
シマウマ 9 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2014-02-24)
読了日:2016年4月3日
シマウマ 8 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2013-08-26)
読了日:2016年4月3日
陰陽師―瀧夜叉姫― 8 (リュウコミックス)
夢枕獏 , 睦月ムンク / 徳間書店 (2016-01-13)
読了日:2016年4月3日
5-8巻読了。平将門の乱の頃を時代背景に。悲しみのあまり魔にとりつかれた将門。盟友ながら討伐する側に回った俵藤太。傍観者を気取りつつ要所を締める蘆屋道満あたりが印象に残った。安倍晴明の存在感はそれほどなく、サブタイトルの瀧夜叉姫もほぼ活躍がなくといった感じではあったが。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 2 (ジェッツコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2016-03-29)
読了日:2016年4月3日
3月のライオンのスピンオフ、第2巻。この巻では、神宮寺が闇を這いずり回る三年間を送ることになった、名人との対局が描かれる。傲慢なまでの自信が完膚なきまでに叩き潰される様が。そして、その名人の、貧しい幼少時代、やっと好きな将棋の道で、と思ったところでの赤紙招集、ガ島での壮絶な戦いを経ての現在が描かれる。将棋の王、王国、タニマチ持ちでの豪遊…まだ戦争の余韻がくすぶる時代を背景に描かれるシーンに熱量を感じつつ。神宮寺がどう這い上がっていくのかが気にかかる。
重版出来! 7 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2016-03-30)
読了日:2016年4月3日
ラーメン食べて、ヒンナーと叫ぶところとか(ゴールデンカムイを意識してか)、着信きっとけ!越後製菓か!のくだりとか、編集部でバット素振りして、選手は無理でもコーチなら指名されるかも、のくだりはお腹が痛くなるほど笑ってしまった。仕事の面でも、格闘技で挫折したにいちゃんが、黒沢に、どうしてスパッと次のステップへ?と問い、結局は自分がそうしたかったから、と言われて目から鱗のシーンとか、少女漫画の伝説的な編集者が、ヒットを出す秘訣を、専門学校か短大をでたOLが自分の中にいて、その声に従う、彼女に、初めて読む喜びも手渡したい、そしてその感覚が古くなっていないか、常にアップデートを心がける、というところが印象に残った。
クロコーチ(13) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-03-23)
読了日:2016年4月3日
クロコーチ(12) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2015-12-19)
読了日:2016年4月3日
野村 浩司 / アップリンク (2000-05-01)
読了日:2016年4月3日
西荻窪の音羽館で見かけて。十二人の写真家による渋谷を題材にした写真の競演。合成かと見まごうばかりの花舞台を街中に持ち込んだシリーズ。看板だけを執拗に写した一枚。顔から下の人物像を集めたシリーズ。何気ない風景だけを切り取ったもの。渋谷にいそうな女子高生をイメージして撮られたシリーズ。渋谷とそこに居た人々を、様々な角度から切り口から見られて興味深かった。
漂流郵便局: 届け先のわからない手紙、預かります
久保田 沙耶 / 小学館 (2015-02-02)
読了日:2016年4月1日
届け先が最初からない、あるいはもういなくなってしまった届け先への手紙をあずかる郵便局。最初は、芸術祭期間中の、期間限定の企画のはずが、ずっとつづくことに。香川県粟島。思いを預かってくれる郵便局。どこにも行き場のない思いを、書くことで形にし、預かってくれるという試み。
シマウマ 5 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2012-08-27)
読了日:2016年4月1日
シマウマ 6 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2012-12-24)
読了日:2016年4月1日
シマウマ外伝AKAとKIINU (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2011-12-12)
読了日:2016年4月1日
シマウマ 4 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2012-05-28)
読了日:2016年4月1日


2016年03月31日

2016年03月に読んだ本

期間 : 2016年03月
読了数 : 55 冊
シマウマ 3 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2011-12-12)
読了日:2016年3月30日
シマウマ 2 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2011-04-25)
読了日:2016年3月30日
J.L. ボルヘス / 筑摩書房 (1986-02)
読了日:2016年3月30日
杉田英明「アラビアンナイトと日本人」つながりで。「千夜一夜」の翻訳者たち、のみ読了。バートン、マルドリュス、エンノ・リットマンの三人に焦点を当て。バートンの破天荒さが印象に残る。馬と砂漠と夜がわたしを知っている 客人と剣、紙とペンとが。(アル・ムタナッビー「詩集」)の機知をものにし、人食いのアマチュアから、睡眠中に数カ国語を話すといった伝説。ナイルの水源への探検隊を指揮し、ソマリ族に槍で下顎を刺されたり、と。
アンと青春
坂木 司 / 光文社 (2016-03-17)
読了日:2016年3月30日
シリーズ第二弾。デパートの和菓子店でバイトする杏子。相変わらず、和菓子は饒舌だと思った。そこに込められた良い思いも悪意もひっくるめて。語呂合わせや季節感、故事に則った奥深さが秘められ。口に含むと甘くさらりと流れていくのだけれど。今回も、飴細工の鳥、に込められた思い。クールな同僚の見せた感情の揺らぎ。京都旅行で発見した和菓子への思い。「見るだけでも楽しい。食べればおいしい。でも、その意味を知ったら、もっともっと楽しくておいしい。知れば知るほど面白くなる。京都は、和菓子に似ている」。「なんかさ、ここまでくると常識とか何って思うよね。どの時点のやつを採用してるかっただけでしょ」。仕事は未熟だが、和食厨房、和菓子職人、パティシエと渡り歩いてきた柏木との出会い。和菓子の師匠の再登場と、謎かけのように、甘酒を織り込んだ警句を吐き。「だからーーー働くしかないんですよね」そのどれにもなれていないから、せめて目の前の仕事をきちんとやって、お金を稼ごう、という思い。一番クスリと笑ったやりとりは、「でも、甘酒もブームなんですか?」「はい。江戸時代から」ってやりとり。そして、自然体でのびのびと、けれどときに思い悩み、仕事に対しては勉強熱心でぐんぐん成長していく、そんな杏子に、思いを寄せ始めている先輩もいて...続きがあることに期待を持たせる終わりかた。
シマウマ 1 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2010-11-29)
読了日:2016年3月30日
杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)
古井 由吉 / 新潮社 (1979-12)
読了日:2016年3月28日
第二図書係補佐、つながりで。杳子のみ読了。谷底で初めて出会った二人。街中で再会した二人。神経質が神経質を通って、壊れそうな緊張感を持った関係。ピンと張り詰めたような、自分ではどうしようもないような心の失調。「なぜ信じてくれないのよ。すぐにわかったって言ったでしょう。少しも迷いなんかしなかったわよ。」という悲痛な叫び。「あたしを観察してるのね、あなた。勝手になさい。だけど、あなたがあたしを観察すると、あたしも自然にあなたを観察することになるのよ。どちらかだけということはないのだから」という関係。
長峰博之 /
読了日:2016年3月27日
かくれキリシタンは、かくれてもいなければキリシタンでもない、という通説のイメージを覆す研究が紹介され、何冊かある類書へ導いてくれた一編。最先端の研究は、説得力を持って、通説を覆してくれる。あらゆる宗教は土着化するというのは興味深く。他の宗教、他の土地の事例も探ってみたくなる。以下、引用。同じく「かくれ」るにしても、「正統」たる本山と連絡をとるという選択肢があったか否か、これは江戸時代における仏教とキリシタンの根本的な相違点であっただろう。/信仰というものが共同体と密接に結びついていたことを示している。すなわち、共同体の中において完全に個人で信仰を秘して生活することは困難だっただろうし、逆に潜伏キリシタンの村で一人純然たる仏教徒でいることも困難だっただろう。
WORKING!! 1 (ヤングガンガンコミックス)
高津 カリノ / スクウェア・エニックス (2005-11-25)
読了日:2016年3月27日
北海道のファミレスが舞台と聞いて手に取るがまだ北海道テイストは味わえず。小さいもの好きな主人公。小学生みたく見える先輩。仕事はできるが帯刀のチーフ。クールな調理スタッフ。男性恐怖症でみたら殴っちゃう先輩。そして仕事しない元ヤンの店長。空気のようなオーナー。こ、個性的すぎる。
講談社 (2016-03-25)
読了日:2016年3月27日
げんしけん二代目は、ついに班目が自分の手で班目ハーレムの幕を降ろす。結局は誰とも..という形で。波よ聞いてくれは、バトンを渡されたミナレさんがやりがいに燃えるのと城華さんの優しさが。萩尾望都の、由良の門を、はネオ寄生獣読み切りシリーズが単行本になるそうなのでそちらでも読み返したい。読み切りの、あたりのキッチン!、は永久保存版にしたい。新連載のインハンド、は感染症を題材にしたもの。今後が気になる。作品に出てきた「チフスのメアリー」(ちくまプリマー新書)を以前読んだこともあって。はじまりのはる4は、きれいごとだけではない、語られづらい震災後の状況を描きつつ、エンディングを迎える。BLACK-BOXは、キックの王者がボクシングに転向、とライバル現るの予感。ヴィンランド・サガは、フローキがトルフィンの父に抱えていた因縁がきになる。
辺境のダイナミズム (ヨーロッパの中世 3)
小澤 実 , 薩摩 秀登 / 岩波書店 (2009-03-24)
読了日:2016年3月27日
第1章のみ読了。スカンディナヴィアとアイスランドの章を。辺境なのではなく、独自の文化圏なのだ。スカンディナヴィアは、イスラム、カトリック、ギリシア正教の結節点として。アイスランドは、外界とのやりとりが限定されていたおかげで独自の発展を遂げたことが描かれる。特にグリーンランドを扱った章は興味深かった。
イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ / 文藝春秋 (2007-04-10)
読了日:2016年3月26日
第二図書係補佐、つながりで。ド直球の恋愛小説と思いきや、ラストは...というところまでは把握していたのだが、自分の違和感アンテナが鈍すぎて、最後の2行で、えっ?そうだったの?と。言われてみれば、そういう構造のミステリは今まで何冊もあったのに。当時の時代背景を丁寧に解説してくれる解説を読んで、もう一度、side-A,side-Bを読み返して、ようやく構造が分かった。トリックともいえないトリック、それは嘘だよね、いや、これは嘘でもないけど本当だよね、というのを後付けつつ。「絶対なんて言葉はないんだよ...。それが分かって初めて大人になる...。」
人間コク宝
吉田 豪 / コアマガジン (2004-12-03)
読了日:2016年3月25日
第二図書係補佐、つながりで。坂上忍、安部譲二、稲川淳二、田代まさし、真木蔵人、岸部四郎、ROLLY、山本晋也、梨元勝、内田裕也、桑名正博、三浦和義、チャック・ウィルソン。濃い、確かに濃いメンツ。インタビューを通すとさらに強く感じる。借金で首がまわらなくなり、死を覚悟することはなかったんですか?と問われ、「そんなのないですよ。死を覚悟するぐらいやったら、もっと借りる(笑)」(岸部四郎)。その後古本関係の取材を一緒にしたとか。その際の芸能、犯罪に強いキントト文庫、気になる。また、内田裕也「俺はロッキンローラー」とかも読んでみたくなる。安部譲二のどこまで本当かわからない大物交友。水道橋博士「芸人春秋」でも触れられていた稲川淳二の壮絶な家庭事情。ROLLYの破天荒な家庭からアンチテーゼが前衛すぎて理解されなさすぎる状況。真木蔵人のコンプライアンスがどうこういう世相だったら生き残れなさそうなヤンチャぶりと独特の語り口。などなど。
プレーンソング 草の上の朝食 (講談社文庫)
保坂 和志 / 講談社 (1996-08)
読了日:2016年3月25日
一緒に住むはずだった彼女と別れ、一人で住む広い部屋。転がり込んできた友人とその彼女。また別の友人。猫と競馬のこと。淡々と語られ、描かれる、練馬区の急行も止まらない駅近くに住む二十代男性の視点で描かれるストーリー。何気なさが何気なさを通って、何気なさに落ち着く。「猫って、一匹だけ選び出すのって、できないんだから。猫はつねに猫全体なのよ」「や、だめなんだよ。俺、さ。会社いくとつい一生懸命働いちゃうから。疲れちゃうんだ。それに、そういうのって、便利に使われちゃうじゃない」といった空気感の登場人物を楽しむ。そして「そんなんじゃなくて、本当に自分がいるところをそのまま撮ってね。そうして、全然ね、映画とか小説とかでわかりやすっていうか、だからドラマチックにしちゃっているような話と、全然違う話の中で生きてるっていうか、生きてるっていうのも大げさだから、「いる」っていうのがわかってくれればいいって」といったあたりがこの小説全体にも通ずるのかな、と。
人生の100のリスト
ロバート・ハリス / 講談社 (2004-02-24)
読了日:2016年3月21日
ファッションモデルと付き合う、原宿に自分のサロンを作る、ギャンブルでメシを喰う、南の島で放浪者たちの集うバーを開く、映画で殺し屋を演じる、人妻と恋をする、バックギャモンの世界チャンピオンになる、阿片窟で一夜を過ごす、ブックショップを開く、娼婦と恋をする、画廊を経営する、男と恋をする、子供を持つ、旅人を主人公にした小説を書く、あたりを読む。ブックショップひらいてた前後の狂騒の時期が、生きるパワーに満ちていて、読み応えがあった。だいぶ前に買った「地図のない国から」読み返したくなった。
87CLOCKERS 8 (ヤングジャンプコミックス)
二ノ宮 知子 / 集英社 (2016-03-18)
読了日:2016年3月21日
ミケがぼっさんと組みハナを切り、ハナは奏でと組んで二人を倒すことを目指し。そこへ久々のジュリア登場。好意と本音を言い放ち、ハナと奏の関係も壊れるかと思いきや一歩前進。奏…たくましくなったなあと思いつつ。奏母、奏妹もいい味だしてたこの巻。ハナ父、ハナ母も乗り込んできたが。急速に話が展開してきている気がする。
B(ベー)ーブラームス20歳の旅路ー (エッジスタコミックス)
留守key / 小学館クリエイティブ (2016-03-11)
読了日:2016年3月21日
型破りなヴァイオリン演奏で人をひきつけるレオーネ、形式にこだわりすぎるところがあるが才能を秘めたピアニスト、ブラームス、20歳。人生観も音楽館も正反対のふたりだが、音楽修行に各地をまわる。楽譜に忠実にあれ、と基本姿勢を持つも、そこにとどまらない柔軟さ、楽しむこと、楽しませることを吸収していくブラームス。この先がたのしみ。そして取り上げられたベートーベン、ブラームスの曲をききたくなる。
BACON ICE CREAM
奥山 由之 / パルコ (2016-01-30)
読了日:2016年3月21日
代官山蔦屋書店で見かけて。店頭のサンプルを一度立ち読みし、しばらくして戻ってきてもう一度通読し、やはり欲しくなり。結局買ってしまった一冊。買ってからも、パソコンの横に置いて、何ページか必ずめくってしまう。「この世界の色、形、光、ぜんぶ」という帯。都会の人の営み。色とりどりの。トランペットを吹く人。雪を漕いでいる人。更地の真ん中にソファを置いてくつろぐ三人の男。水を弾くスプーン。それぞれはつながりを持たないように見えて、そこにある。その様々なシーンを楽しむ。もっともっとたてばなぜこんなに惹かれたかわかるのかもしれない。
世界はフムフムで満ちている 達人観察図鑑
金井 真紀 / 皓星社 (2015-04-30)
読了日:2016年3月21日
音羽館で見かけて。各界の達人にインタビューしたもの。相手の名前は明かされないので、わからない人は本当にわからないけれど、その言葉には重みがある。「スポーツをやってていいのは、二度死ねること」と青年は言った。 競技人生が終わる時が一度目の死。そのあと始まる二度目の人生は「一度死を経験した者として生きられると思う」(オリンピック選手)/「仲間は大事だ。それもほんと。でも。大人になったら、抜け駆けしてもいいんだよナ」(お笑い芸人)/「歌人の条件はまず、ナルシストであること。そうして同時に、嘆き人であること。その両方がないと歌は詠めない。ほら、晶子なんかもそうでしょう」(歌人)/子供のころ架空の天気予想図を書いていた気象予報士。架空の映画館の看守をしていたディレクター。架空の時刻表をつくっていた乗り物雑誌記者。/「調子がいいときのあなただったら、こうするでしょうね」(キャディー)/「私の仕事はものの延命措置です。ゴミになるか商品になるかギリギリの中古品を拾ってきて、誰かに売る。買ってもらえれば、とりあえず延命できる....。」(古書店主)/「決めてることはいっこだけ。それっぽいことをしないってことです」(出版社の社長)/「顔を見たら、有罪か無罪かわかるようになっちゃいましてね」(法廷画家)/「そういえば...むかし見た映画に...こういうシーンがあったなぁ…」ってひとりごとをいうの。「あ、それ使えるかも」と乗ってくる(漫画雑誌の編集者)/「字ぃ書くとき、十を目指しちゃだめ。九で寸止めすんの。粋になりすぎると、野暮になんだよ」(寄席文字書家)
アド・アストラ 9 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
カガノ ミハチ / 集英社 (2016-03-18)
読了日:2016年3月21日
何もせぬこと それがハンニバルにとっての最大の打撃となるのだ(ファビウス)。カプア、シラクサと大きな拠点をローマが奪還。約定に反し、アルキメデスを救うことはできなかったスキピオ。勝利に浮かれるものたちを前に、まだ戦争は終わってない、気を引き締めねばとファビウス。そこへイベリア戦線でのスキピオの父と叔父の戦死の報。スキピオは志願して特例として指揮権を与えられ、イベリアへ。初戦、鮮やかな戦略で、バラカ家のイベリア本拠地カルタゴノヴァを陥落。バルカ家の連中はただの憎たらしい侵略者だがあんたはまるで言葉の通じぬ神の災いだ、と敵対部族にいわしめる変貌。さて次の一手は。
世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)
マイケル・ルイス / 文藝春秋 (2013-03-08)
読了日:2016年3月20日
バーリ、アイズマン、そしてコーンウォール・キャピタルの面々。彼らはリーマンショックの局面で、下がるほうに賭けて大いに儲けた。しかし、手放しで喜べたわけでもなかった。億万長者にはなったが、ある者は、己が正しいがゆえに己が憎まれることに失望し、金融界を去り、ある者は、破局の引き金を引いた者たちが、自分たちのポケットに大金をつっこんだまま、政府に、つまり納税者にツケをまわしたことを憎み、ある者は、街行く人々の様子がなんら変わらないことを呆然と見つめる。もちろん、リスクを最大限にとって、成功すれば自分のもの、失敗すればツケは税金だなんて、モラル・ハザードにもほどがあるし、クズ債権を寄せ集めて、ピカピカの債権にする手口、そのもとになっている幻想をあきらかにする筆致からは、空恐ろしさを感じる。たしかに無知は罪だ。しかし、だからといって、最初からハメてやるつもり満々の者たちの、詐欺的行為が免罪されるわけでもない。下がるほうに賭けたものたちの慧眼には目を瞠るが、やはり読んでいる身にも手放しの賞賛という気にもなれず。金融の持つ、虚業としての側面があきらかにされ、その後は落ち着いたのかと思いきや、現状そうでもないことにも暗澹とした気持ちに。
17歳
橋口 譲二 / 産業編集センター (2007-01)
読了日:2016年3月19日
写真集食堂めぐたま、にて手に取る。17歳だけを撮りためた一冊。中にはのちに宝塚のトップスターになった人も。みんな、その当時の好きな芸能人、得意なこと、最近読んだ本などフランクに語り。今は皆40代後半。どうしているのか気になる人は何人かいたけど、特に気になったのは、沖縄のサトウキビ畑で働いている、職業 旅の途中、の彼。回り回って今はどこかにしっかり根を下ろしているのだろうか、と。
夜光
佐藤 信太郎 / 青幻舎 (2014-11-14)
読了日:2016年3月19日
写真集食堂めぐたまで、手に取る。夜のネオン街を、人が通らなくなった瞬間を狙って撮りためた写真集。中野正貴「TOKYO NOBODY」に通じる試みか。猥雑で賑々しいはずの盛り場に人がいないと、つるりとしてやけにネオンが迫ってきて、静か。明るくて活気があるのに、より止まって見える不思議さを感じる。
JP-01 SPK
松江 泰治 / 赤々舎 (2014-08-16)
読了日:2016年3月19日
写真集食堂めぐたま、にて手に取る。北海道を上空から空撮した写真。緑なす自然の風景もいいが、整然と並ぶ札幌の街並みにより惹きつけられた。見ていて心がシーンとなって静かな気持ちに。
徳富 蘆花 / 蘆花全集刊行会 (1928)
読了日:2016年3月18日
杉田英明「アラビアンナイトと日本人」つながりで。蘆花全集 第2巻  短篇小説集;石美人,羅武烈号,花あらそひ,老武者,すつる命,外交奇譚 から、外交奇譚の「土京の一夜」を。アブデュル・ハミド2世退位の前後にまつわるストーリー。ある夜、イスタンブルの道を歩いていたフランス大使。犬が加えていた、切り取られた足と靴。その柄は…ある身分のものしか身につけられぬはずのもの。唐突に知らされたスルタンの退位。表向きは病気が原因とされたが、大宰相にせまった大使が引き出した話は…と。奇々怪々な東方世界というオリエンタリズムをかんじながらも、濃厚なエキゾチズムにひたる。
発光都市TOKYO
野口 克也 / 三才ブックス (2010-08-25)
読了日:2016年3月18日
西荻窪の古本屋ねこの手書店で手に取り、パラパラとめくって、吸い寄せられて、買ってしまう。都市の発光を上空から。見てると、スーッと引き込まれる。活動する都市。愛して止まない都市。
エロ事師たち (新潮文庫)
野坂 昭如 / 新潮社 (1970-04-17)
読了日:2016年3月18日
第二図書係補佐、つながりで。野坂昭如の長編デビュー作。45年前でこの内容だと、当時としてはだいぶ刺激的だったのではないかと推察。いまとなっては、むき出しの欲望は、無機質に綺麗に均され…と思ってしまう。戦争の名残が、確実に濃厚に満ちており、根源からあふれでてくるような生命力もかんじるエロ事師たち。「写真、本、媚薬にはじまって口づてに顧客の数は増え、やがて器具からブルーフィルムにまで手を拡げ、常に強い刺激を求める磯餓鬼亡者相手の東奔西走」(p.18)、果ては女衒、乱交のあっせん、ダッチワイフまで。当初は自分も興奮して人のも、てかんじだったのが、あるきっかけで、人の世話ばかりに。人助けのヒューマニュズムや、と。おそらく半分は衒いで、半分は本当に信じ込んでいたのではないか。最後の送りもスブやんらしく。解説は澁澤龍彦。
世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)
穂村 弘 / 小学館 (2009-10-06)
読了日:2016年3月16日
第二図書係補佐つながりで、再読。今回読んで面白かったのは。もらったラブレターに書かれた私の好きな男…に、ベートーベン、エジソン、伊達政宗とならんで、穂村弘(1962-2031)と書いてあったエピソード。享年が勝手に…てのと、別の知り合いの女性の、男の享年が決まっていると安心して付き合えるんじゃないの?というアドバイスのシュールさ。雪の札幌で、彼女と手をつないで歩いていて、彼女がすべった瞬間に、わっと驚いて、手を離したこと、しばらくして起き上がって、私わかった気がする、と言われたこと。黄昏のレモン明るくころがりてわれを容れざる世界をおもふ という井辻朱美さんの歌。世界の「自由さ」の中に含まれた「自然なルール」がわからないと、人間は一言も口を利くことができなくなる、という嘆き。「誰のことも、一番相手のことも、自分自身に比べたら十分の一も好きじゃないよね、あなたは」と、10年間つきあっていた相手に責めるでもなく言われたこと。又吉さんの語っていた、自分かわいさを極限まで推し進めたらこうなった、というエピソードを堪能できた。
酩酊ガール (バーズコミックス)
アザミ ユウコ / 幻冬舎 (2016-02-24)
読了日:2016年3月15日
会社の同僚の花越路さんと楯野川さんはお酒が大好きなOL。ストレス解消はおいしいお酒と料理。ちょっととっつきづら先輩も誘ってみればお酒大好きで話せる人で。どんどん広がっていく世界。チョコを使わずにチョコの風味をだしたサンクトガーレンインペリアルスタウトチョコレート、大人のカルピスのような日本酒 讃岐くらうでぃ、インドの青鬼あたりは気になるなあ。青鬼は飲んだことあるけど、また飲みたくなる。そして、これでおしまい、はもったいないなあ。つづきが読みたくなる。
俺物語!! 11 (マーガレットコミックス)
アルコ / 集英社 (2016-02-25)
読了日:2016年3月14日
舞台は札幌・小樽、修学旅行。大和がかわいすぎて手を出しそうな自分をおしとどめるのに必死な猛男。あえてわかってて距離をちぢめてしまう大和。みていてほんとに甘酸っぱく。そして、守られるだけじゃだめだ、つよくなりたい!とボクシングや柔道やらに通うこっそり大和。結局猛男から受け身をならうことに。そして砂川に近づき、猛男を遠ざけようとする、一見爽やかイケメンの登場、の巻。相変わらず、猛男、自分の道をまっすぐだなあ、と思いつつ。
女騎士、経理になる。  (1) (バーズコミックス)
三ツ矢 彰 Rootport(原著) / 幻冬舎 (2016-02-24)
読了日:2016年3月13日
PL、BS、手形…。経理の基礎をまなぶにはよいのかも。魔界で囚われて、経理の知識を鍛えられ、人間の国へ帰ってきた女騎士。ひょんなことで銀行にやとわれることになり、行きがかりで、子供達がやっている肉屋の再建を黒エルフとともにすることになるが…。黒エルフの生い立ち、肉屋の先行きが気になるところ。巻末近くからは、勇者編もはじまり。これはまじりあうのだろうか、と思いつつ。
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(2) (ヤンマガKCスペシャル)
マキヒロチ / 講談社 (2016-03-09)
読了日:2016年3月13日
今回は、秋葉原、蔵前、経堂、神楽坂。そして、主人公でもある、不動産屋さん姉妹の家もリフォームを検討することに。客は、なんとなく、あるいは、憧れて、前からいて馴染みがあって、と、吉祥寺での物件を目指すが、ヒアリングして、それなら吉祥寺はやめましょう、と他の街へつれだし、いっしょにその街を楽しんで、暮らしを変えるきっかけとする。鮮やかに。蔵前が東京のブルックリン、というのは初めて聞いたなあ。秋葉原の電気街だけじゃない多彩な魅力。経堂のにぎにぎしい商店街。神楽坂のおしゃれな本屋さん。どれも魅力的。
創太郎の出張ぼっちめし 2 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2016-03-09)
読了日:2016年3月13日
この巻は、沖縄、富山、仙台、鹿児島、上海。創太郎元カノにあうの巻×2。沖縄で偶然再会した「いつかティファニーで朝食を」の麻里子さんとは、朝ごはんをいっしょに食べて、こんな人だったのかな、もう知らない人みたいだ、そして、僕にできることはない、と思いながらも、心からの、幸せになってね、が言えて、大学時代の、元カノからは、自分をずっと思ってたのではなくて、誰でもいいから結婚したいのが透けて見えて、断ってしまい、と。車窓は飽きない、車窓は筋書きのないシナリオだからというロマンあふれる先輩の声に導かれるように、おれんじ電車を堪能したり、上海出張で昔の友人が、茶酔いして脳が冴える話を聞いて興味が湧いたり。総じてお勧めに素直に乗るところがいいところなのかなあと思いつつ。
三代目薬屋久兵衛 3 (フィールコミックス)
ねむ ようこ / 祥伝社 (2016-03-08)
読了日:2016年3月13日
思いがけず直接会ったことで、ほどけた三久の呪縛。まっすぐ叶くんに向かっていき、うまくいきそうなところに、アキトの邪魔。しかし、それがかえって叶くんを後押ししたことなり。見るなら見せる覚悟が必要、という言葉も彼を後押しし。おせっかいなんだけど、あたたかく見守りつつ、うまくいくように手を差し伸べるまわりのメンバーも微笑ましく。
地獄のガールフレンド 2 (フィールコミックスFCswing)
鳥飼 茜 / 祥伝社 (2016-03-08)
読了日:2016年3月13日
なんか、もうボタン押すの疲れたんだよね、というのと、人としてみる、というところが、記憶に残るというか、ゲスなようでいて、言わないことを言う鹿谷くんがいい味出してるなあ、と。
IPPO 4 (ヤングジャンプコミックス)
えすとえむ / 集英社 (2016-02-19)
読了日:2016年3月13日
切磋琢磨しあえる強烈なライバルの登場。客の要望を最大限に取り込んで、いい靴を作りたいという想いと、自分の中の美しい靴の美学が確立している職人がぷつかり。どんな化学反応が起こるのかたのしみに。お客様の要望があって僕がやると決めれば、どんなことでもできる、というかっこよさ。
銃座のウルナ 1 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-02-25)
読了日:2016年3月13日
孤島の軍事施設へ派遣された狙撃兵のウルナ。厳しい先輩、襲撃してくる蛮族、襲われる補給隊。唯一軍人ではない孤島研究の第一人者の謎めいた行動。それを垣間見た時に、蛮族と遭遇し…と。厳しい環境、不可解な命令、謎の生態。続きが気になる。
応天の門 5 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2016-03-09)
読了日:2016年3月12日
藤原基経による、宮廷内での祭の提案、藤原良房の暗殺未遂、大納言伴善男の毒殺未遂。心ならずも巻き込まれる道真。引くも進むもままならぬところを、もち合わせる知識を総動員さして対処。結果として大納言とよしみを通じることに。また密航してきた唐人の女の正体は、目的は?というところで次巻に。
ほんの小さな幸せをきっと君は奇跡だという 猫とろ恋愛シチュエーション・アンソロジー
猫とろ / KADOKAWA (2015-11-20)
読了日:2016年3月12日
表紙を見てジャケ買い。だいたい見開き2ぺージのショートストーリー。甘酸っぱい、切ない、哀しいまで、想うことが美しい絵で綴られる。
エンバンメイズ(4) (アフタヌーンKC)
田中 一行 / 講談社 (2016-03-07)
読了日:2016年3月12日
メインの勝負は、迷宮を仕立てて、千台のダーツ台を配置し、先に投擲し終わったものの価値。もはやダーツの技術を超えたところの話になってきているが、策略の巡らしあい、手に汗握るシーソーゲーム。終わったあとの打ち上げのシーンに心和む。
ヴェーベルン―西洋音楽史のプリズム
岡部 真一郎 / 春秋社 (2004-04-30)
読了日:2016年3月12日
ウェーベルンの「交響曲」、第一楽章の第一部分と第三部分が六音ずつのシンメトリーの関係、中央の部分は音列の特質に基づいて構成、楽章全体も大きなシンメトリー、と示されても、シンメトリーを感じられる耳ではなく、歯がゆいというか。楽理を身につけたひとなら容易に聞き分けられるのだろうか。「交響曲」は、20年代末から30年代末にかけての、音色に対する執着というえるまでの特別の関心をあらわす作品群のひとつ。コンポーザー=コンダクターとしてのウェーベルンは、一定の評価を受けつつも、あちこちで根付かず、時勢などのタイミングも悪く、完璧主義が負の方向に出てしまって、投げ出したり、オファーを断ったり、と大成功とまではいかなかったようだ。指揮者として身を立てるには余りに未成熟だったのかもしれない、あるいは、成熟の道を選ぶほど指揮活動に全身全霊を傾けていたのではないかも、という指摘も。協力者、仲間たちが次々と亡命する中、孤立。当時のドイツの政権には冷遇されているのに、信頼感を寄せる、政治的立ち回りはあまりうまくない印象。そして、アメリカ兵に誤射される悲劇的な最期をとげる。
いつかティファニーで朝食を 9 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2016-03-09)
読了日:2016年3月12日
大好きだった後輩に、送別会の最後で思いの丈をぶちまけることができた麻理子。ニューヨークへ旅立ち、見るもの会う人食べるもの全て新鮮で発見に満ちている典子。結婚直前のいさかいで、男嫌いが爆発してしまうが結局いまの相手が自分を救ってくれたと思い直すリサ。三者三様のライフ。今回の朝食は、江ノ島、ニューヨーク、尼崎。
ナワナノ~七菜乃緊縛写真集~ (SANWA MOOK)
一 鬼のこ , 七菜乃 / 三和出版 (2015-08-27)
読了日:2016年3月12日
レトロスペース・坂会館でポスターを見かけたのをきっかけに手に取る。縄が彩る独特の世界観。まるで生きているかのように。人を絡め取るかのように見えてきて不思議な気持ちに。
新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか (SB新書)
田村 圭介 , 上原 大介 / SBクリエイティブ (2016-03-05)
読了日:2016年3月12日
各電鉄内を示す地図はあっても、新宿駅全体を示す地図が今までなかったというのは意外。プラットホームは南北に走っているから、連絡通路は東西を横断。JR新宿駅は、階段を登れば南口、階段を降りれば東西口。旧甲州街道は尾根であり、その起伏にそって地下も作られている。p.111の新宿駅を東西につらぬく抜け道は、すごく有益。1950年ごろは、都電と西武新宿線が東口界隈を活発にし、歌舞伎町の繁栄を支え、新宿を盛り上げた。西側の整然さと、東側の雑然さの対比。新宿学、という本は手にとってみたいと思った。どうやってさばくのか…という話はなかったように思うが、新宿駅とその周辺の駅も含めた「大新宿駅」の構造や成り立ち、歴史を深く知ることができて興味深かった。また、スマホアプリ「新宿ダンジョン」をクリアした身からすると、その制作秘話にふれられたこともうれしかった。
球団と喧嘩してクビになった野球選手 (双葉文庫)
中野渡 進 / 双葉社 (2014-03-13)
読了日:2016年3月10日
村瀬秀信「4522敗の記録」を読んで気になり、手に取る。中野渡進。横浜ベイスターズの中継ぎの投手。スポーツニュースで、個性的でユーモアあふれる、キャンプ時の声出しの様子が放送されて、ブレイクした記憶はあった。活躍できたのがほぼ一年だけだったというのは知らなかった。小宮山さんと仲良くなったきっかけ、飲み会を断られて巴投げした話(小宮山さんからは、背負い投げ、と訂正されていたが。)、清原も含めた食事会で死ぬほどフォアグラを食べて以降食べたくなくなった話、びびってボール球を続けて出したら、ミットをもった谷繁が全力疾走してきて、その勢いのままみぞおちにグーでパンチされ、叱責されたこと。辞めた後も、ラジオDJ、悪役商会、大学の野球監督とオファーがあったのを断ってもつ鍋やの開店を決意。精密機械部品加工の会社の社長が働かせてくれることになり、昔書いたサインが縁で本来個人になんか卸してくれない食肉会社が卸してくれることになり、役所に行けば、プロ時代を知ってるおじさんがどうすれば効率良く融資されるか丁寧に教えてくれる。選手同士の楽しいエピソードから、球団に対して立腹した話、厳しかった高校時代、社会人時代の練習と、尊敬できる監督や先輩たちの話、などが描かれていて、読みごたえがあった。
ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)
エドガー・アラン・ポオ / 東京創元社 (1974-09-27)
読了日:2016年3月9日
杉田英明「アラビアンナイトと日本人」つながりで。シェへラザーデの千二夜の物語、のみ読了。千一夜を生き抜いたシェヘラザードが、余計なことをして、結局殺される、というあらすじだけ見かけて、原作が気になり。平穏な生活を送っていたのに、どうしても、シンドバッドの冒険の物語を、当時は眠くてはしょって語ってしまったことが気になって、寝ている王を叩き起こしてまで語り始める。が、女たちとヒトコブラクダの見分けがつかない話をしたところで、バカにしてるのかと逆鱗にふれることになり、絞首台に送られてしまうことに。もっと荒唐無稽な話は千一夜のあいだにもあっただろうし、なぜに今回だけ、という思いと、最後に思ったことはいささか溜飲をさげたとは思うが、王には届かなかっただろうな、という思いと。
図説 ブリューゲル ---風景と民衆の画家 (ふくろうの本/世界の文化)
岡部 紘三 / 河出書房新社 (2012-08-09)
読了日:2016年3月7日
ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論 (集英社新書)つながりで。ざっと通読。豊富な図版、細部までの描写、それに対する解説が目をひく。描かれたくなかったであろうことまで描く、と。在世中は、ほどほどの評価。死後しばらくして忘れられ、二十世紀初頭に再評価されたとのこと。ポピュラーでよく知られたひとなのかと思ってたけど、意外と残された記録がすくなく、謎の部分が多いのだとか。
竹内 豊治 / 法政大学出版局 (1986-02)
読了日:2016年3月7日
ざっと読む。楽理は理解難しく。シェーンベルクの音楽理論を語ったところが興味深い。「一羽の小鳥が飛んでくる…」というのがそれを示しているのだとか。
声と文字 (ヨーロッパの中世 第6巻)
大黒 俊二 / 岩波書店 (2010-02-26)
読了日:2016年3月7日
最初は、1427年シエナでの説教師ベルナルディーノの説教を独特の速記法で一言一句漏らさず記録したベネデット。最後は、自分では書けなかったが、代筆を駆使して帳簿をつけ、富裕な農民として立派な経営をした、おそらく読むことはできたであろうもうひとりのベネデット。古代から中世まで、ヨーロッパを中心に、使われていた言語はラテン語か、俗語か、使われていた文字は何か、文字を知るものと文字を知らぬものの対比、その間に広く横たわる「文字を知るがごときもの」のグレーゾーン。行われてきた言語改革、文字改革。宗教と説教の果たした役割。などなどが述べられる刺激的な試み。史料から、実際に、話されていたことを復元するのは困難きわまりないが、史料と背景を読み込むことでスリリングにせまっていく。/史料を通す際の歪みや偏光を是正して生の声に近づく、歪みや偏光自体に歴史性を読み込む。筆記することによる「声と文字の複雑な絡み合い」=「声と文字の弁証法」の特異性。「声と文字の弁証法」「俗語とラテン語の弁証法」の二項対立の構造とその広がり。俗語の流動性とラテン語の不変性。西欧中世に独特のラテン語と俗語の二重言語体制の生成発展の様相を追い、その構造と特徴を社会生活の広まりのなかで解明すること。刹那文書の内容、外見、具体的な使用法から、中世人と文字の付き合い方を探ること。これらのことが目指される。/ベネデットは、反芻するために説教を記録した。/カロリング・ルネサンスのラテン語改革は、ラテン語の純化と統一により、聖職者のラテン語と民衆の口語との距離が一気に開く。/ブリテン島のラテン語学習者たちの生み出した最大の工夫は「分かち書き」の手法/カロリング・ルネサンスのために書かれたような「初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった」(ヨハネによる福音書、冒頭)/シャルルマーニュの言語改革は、誤りに満ちたテクストは聖書や典礼の理解を危うくするから、こうした危険を排除して神のことばを正しく伝えることが目的であった。/分かち書きの定着を促したのは、黙読の必要/11世紀が「声と文字」の関係の質的転換、声から文字への大分水嶺。書かれたものの量の増大、リテラシーの拡大。読み書きできなくても「リテラシー」を持つ者の存在。読み書き能力の量的増大。/短時間に大量の文書を作成する必要が生じた際の、草書体の出現、証書・カルチュレール・帳簿の登場。/無文字文書、12世紀の欠け歯のナイフまで、儀礼と象徴に満ちた「声の文化」の執拗な持続が見られるが、13世紀末イングランドでは、モノに即した記憶と証明の世界は遠くなりつつあった。/「書記局の偽造」。権力者が代替わりしたときに、以前に発給された特許状が再認されるのがつねで、その際自分が有利になるようひそかにテクストに手をいれること。/中世後期における読み書き能力の躍進は、「文字を知らぬ人」がラテン語を覚え、「文字を知るがごとき人」の段階を経て「文字を知る人」に変容していくのではなく、俗語が文字の世界に進出することで展開。/遍歴商人から商人の定地化。為替などのさまざまな商業技術の発達により。/ラテン語は俗語を文字に導き、書字言語に成長させる役割を果たしていた。/安定した書字言語の影響下で声のみの言葉が書字言語に成長する例は、ほかにも漢文を読み下すことで文字に親しんでいった古代日本人、トルコ語やペルシア語がアラビア語と系統のことなる言葉でありながら文字はアラビア文字を採用した事実などが思い浮かぶ。(この方向もっと推し進めてほしい。というかそういう研究はないのだろうか)/カロリング・ルネサンスのラテン語復興は、神の言葉を正しく伝えるため。イタリア・ルネサンスのほうは神の言葉に対抗して人間の言葉を復権。自然と人間の発見、教会支配からの人間の解放。カロリング・ルネサンスは俗語の抑圧をともなったが、イタリア・ルネサンスは双方で書き、使い分ける。カロリング・ルネサンスがラテン語の古典回帰と反動としての俗語の自立を促し、二重言語体制の出発点となったのに対し、イタリア・ルネサンスのラテン語復興は、二重言語体制を前提とし、そのもとで俗語が優位になっていくなかで行われた。/ベネデットの帳簿の大半は動産、不動産売買、嫁資や小作の契約、債務、債権の記述で、当事者名、購入物品、金額、支払期限が淡々と記される。重要な取引を忘れず、相手に欺かれない証拠とするため。/最後は、中世一千年の「声と文字」の発展の結果としての俗語の確立が「母語の発見」という経過を経て、近代世界がかかえこむ国家、民族、言語の関係という重い課題を予示していることにふれられ、しめくくられる。
自ら上場した会社を辞め、41歳で再び起業したシリアルアントレプレナーの挑戦 『ベンチャー魂は消えない』
経沢香保子 /
読了日:2016年3月7日
前の会社を辞めた時のことはさらりと、今の会社の立ち上げと運営については情熱をもって語られる。特に印象に残ったのは、心に澱をためない工夫。心と身体の状態が安定していないといい仕事できない。いい夢は、周囲を幸せにすることで自分も幸せになる、悪い夢は、自分の欲や自己顕示に基づく、という対比。あまりにつらくて、上場をやめようと思うと相談した時のサイバー・エージェント藤田社長の、「そう、大変だったね、でも一度決めたことはやり遂げた方がいいよ。一生後悔するよから」というアドバイス。
渦森今日子は宇宙に期待しない。 (新潮文庫nex)
最果 タヒ / 新潮社 (2016-02-27)
読了日:2016年3月6日
最果タヒさんの詩が好きで、それがきっかけで手に取った一冊。宇宙人+女子高生…ふだんはあまり手に取らない分野なので、個人的に入り込めるかなあと思ったけど、読み始めたら疾走感。きらきらととりとめもなくつづられる考え事がどどっと流れ込んでくるかんじの文体が心地よく。「私が宇宙人なのは、ちょっと左利きなの、ってぐらいのことで、それに私には友達がいる。放課後に喫茶店。友達や後輩が待っている。それでどうしてさみしいなんて、思うんだろう。」(p.104)/宇宙探偵部なんて、何をするのかわからない部に入ることになり、謎の転校生もやってきて、体育祭と部活の合宿。楽しいことみんなつめこんで、それでも高校生だから高校生なりの葛藤や気持ちのゆらぎや焦りや将来のことなんかも考えたり。オカルト好きの部長、真面目でしっかりしすぎでかっこよくてモテる律とまわりに気を使いつつも我が道をゆく柚子の姉妹、部長大好き夢見るツインテール少女の岬、クールで美しい転校生の須磨。個性豊かな面々とすごす高校三年生の夏。終章の覚悟を決めるあたりのところが特に好き。
定山渓連合町内会事務局 / 定山渓連合町内会事務局 (2005-07-01)
読了日:2016年3月3日
妙木忍「秘宝館という文化装置」つながりで。/温泉場の開発につとめた美泉定山の情熱、生涯が簡潔に描かれ、行方不明になったとされる最期についても、客死してある寺に葬られていることを明らかにしてくれる。また、昭和30年代までは混浴だったとは寡聞にしてしらず。そのなかで、自然なかんじで映っている男女の写真もあり。/今は、豊平峡ダムの底に沈んでいるが、豊平峡の入り口より3キロあまりのところに炭酸水の湧き出る泉があったとか。それを一斗瓶に詰めて売った人や、地元の子供たちが砂糖持参で即席のサイダーを作ったりしていたのだとか。/吊り籠の渡しは、命綱もなく、むき出しで、渓谷から渓谷へと渡るもの。今はないようだが、機会があればのってみたかった。/豊羽鉱山が10年前まで操業していたのも寡聞にして知らず。/定山渓鉄道は、最期は、走れば走るほど赤字が増えて、昭和44年に廃線。/図版も豊富でよみごたえがあった。
中華と対話するイスラーム―17‐19世紀中国ムスリムの思想的営為 (プリミエ・コレクション)
中西 竜也 / 京都大学学術出版会 (2013-04)
読了日:2016年3月3日
序章、1・5・8章、終章のみ読むことに。/イスラーム法の規定では、夫婦喧嘩の際、夫が怒りにまかせて妻に離縁を口走ろうものなら、それでほんとうに離縁が成立してしまう。イスラーム法と中国の法との矛盾を引き起こす原因。/アラビア語の著書でだが、中国に暮らすムスリムが「戦争の家」に住んでいることを宣言する馬徳新。/その解決法が、妻たちの犯行に対しては罵倒よりも殴打を選べ、なのは、著者のいう通りどうかと思うが、理念と現実に折り合いをつけようとしていたことは確か。弟子の馬聯元は、あくまで中国ムスリムが聖戦にまきこまれないで住むことを第一に考え、そのうえで万が一に備えて合法的な戦闘の進め方を明らかにした。イスラーム法と中国の現実が衝突するケースをあえて問題にし、イスラーム法学に背かぬようそれを解決する方法を真摯に探求していたことを明らかにしたのが第5章。/文明間対話のあるべき姿として、普遍主義と特殊主義のいずれにも偏らない道を模索する場合、中国ムスリムの諸事例は、モデル・ケースとして十分参照にあたいするのではなかろうか。(p.382). また回良玉氏のように、2003年から2012年まで国務院副総理をつとめ、中国ムスリムとして、イスラーム諸国との外交の場で活躍したケースも紹介される。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2015-11-08)
読了日:2016年3月3日
野崎が行く!シリーズ全4冊読み終わったけど、なぜか中国編が一番ぐいぐいひきこまれ、一気に最後までページをめくる手がとまらなかった。相性なのか、4冊読み続けて野崎ワールドに身体が馴染んだからかなのかはわからないけれど。しかし、第一部漢族編が、判型違いで織り込まれているのは何か意味があるのだろうか。(漢族編)約一千年前の街並みが残っているという鎮江の西津古渡、中国入国三日目で持参していてあカメラをラーメンに落として壊してしまったというこのあと新疆、カザフスタン、ヨーロッパへと向かう旅人。その旅人とシンクロするようにカメラが壊れてしまい、道行く人に声かけて、壊れてるけどカメラ要る?と譲渡するシーン。以前日本に留学経験のあるアメリカ人の「トリガナイテイマスネ、マダ、ニンゲンハオキルマエ。イマハトリノセカイ、モウスコシデニンゲンノセカイニナル」という朝のつぶやき。街の音、寺の音とかを録音しているといって驚かれて、テープを意識してだまりこむふたりの間とか。(チベット族編)鳥葬を目の前にした「魂の抜けた人間は、ただに肉の塊か」というつぶやき。声をはれない、元巨人の吉村選手似のタクシーの運転手によせる共感。八美ですれちがった泣いている女児にクッキーをにぎらせたらぴたりと泣き止み、宇宙とは繋がっているものだ!と感心したシーン。それぞれのシーンがあざやかに印象に残る。漢族圏の各都市は、ファッションセンター、携帯屋、カフェなど日本の市街地とほぼ変わりなく、若者のほとんどがスマホを所有していた。東チベットのラルン・ガル・ゴンパの僧侶たちでさえも所有していた、というあとがきから、失われていく風情を惜しむ感を読み取ったり。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2015-02-27)
読了日:2016年3月2日
沖縄編での友人Sさんとの「たくちゃんはなんでバンドとかドラムをやってるの?」「うーん、音で気持ち良くなってほしいからですかね。Sさんは?」「お客さんに笑ってもらいたいからかな」という対話が一番印象に残る。あとがきの「僕は東京に戻ってきた日の翌朝、出社するために、地下鉄のホームへと向かった。すると驚いたことに、僕は他の歩いている人達に、次々と抜かれてしまった。東京はペース(流れ)が早いということを、改めて実感させられた出来事であった。」という一節。これも含めて、便利すぎるもの、過度に文明的なものへの忌避感があるのかなと思った。また、出社ということは会社員なのだろうか。だとしたら、頻繁に旅に出られるという環境はいいなあ、と思った。バンドを組んでツアーしたり。台湾編は、バンドでツアーのお話だったから。非常にもりあがったみたいで、他の日本や台湾のバンドとも心温まるかんじで、読んでるほうも楽しくなってくるような。
アウトサイダーの幸福論 (集英社新書)
ロバート・ハリス / 集英社 (2015-02-17)
読了日:2016年3月2日
読みおえて、少し肩の力が抜ける本、楽になって、リラックスできたような。自分の中を爽やかな風が通り抜けていく。それだけでもめっけもの。以下備忘録的に。/ポーカーとバックギャモンでメシを食っている時、一晩でギャンブルのための軍資金全てと三ヶ月分の家賃を持って行かれたことがある。一晩寝ては起きをくりかえし、翌朝シャワーを浴び、涙を洗い流し、夜には新鮮な気持ちで勝負にでかけた。/(今は会わなくなった友がいても)あの時はあの時だ。彼らと過ごした素晴らしい瞬間は永遠に素晴らしい瞬間としてぼくの心の中に刻まれている。でも、今のぼくは違う瞬間の連続の中で生きている。/プレヒトの「快感」という詩。それを真似て書かれた著者の「快感」/「お前はいつもニコニコしてなにも考えなくて良い気なもんだ。もっと真剣に自分を見つめたらどうだ」「ぼくは今、この時、この瞬間を楽しんでいるんだ。今はキミとこうして屋台で食事をするひとときを楽しんでいた。キミはそんな瞬間を見事にぶち壊してくれた。さも分かったような口を利かないでくれ」/ぼくはヒトを社会的地位や役職や経歴や学歴などではなく、良いやつか嫌な奴か、信用できる奴か出来ない奴か、頼りになるかならないかといった、根本的な見地から人を判断、認識することを覚えた。/映画「イージーライダー」とケルアック「ダルマ行者たち」が放浪の旅のきっかけ/人間、オープンでいるかぎり、傷つくときは傷つくし、胸が痛いときは痛い。生きるということは、喜びを感じるのと同じように、痛みを感じることも条件なのだ。/魅力的なアフォリズムもひかれている。出典がわかるともっとうれしいのだけれど。/自由と、本と、花と、そして月があったら、幸せになれない人間なんているだろうか。(オスカー・ワイルド)/真実の最大の敵は、権威に対する思慮のない敬意である(アインシュタイン)/空を舞う星を生むためには、魂にカオスがなければならない(ニーチェ)/降参するな、希望を捨てるな、自分を売るな(クリストファー・リーヴ)


2016年03月27日

祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ


祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ
http://hibiyal.jp/hibiya/museum/exhibision2015sobue-cozfish.html

 ちょっと経ったけれども、3/19に観覧。

 マンガからハードカバーまで、さまざまな本の一覧
 カタカナの読みやすさに特化したフォントがない!と自分で作り出したフォント。
 人より大きな本にはさまれてみる体験。
 話者ごとにフォント、色を変えた、我輩は猫である。
 しりあがり寿の4冊の漫画の、どうなってるかわからない、複合的なつながり方を見せたスライド。
 カレーのスパイスまぜて印刷されたもの。

 装丁の可能性を野心的に拡げる試みとして興味深く観覧しました。
 全部が全部、商業ベースに乗せられる訳ではないだろうけど、
 面白い、実に、面白かった。

chokusuna0210 at 20:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!美術 

2016年03月21日

西荻日記 2016.03.18 〜カカカカカカオをもとめて

1年8ヶ月ぶりに西荻窪へ。
旅の道連れ一名と。
IMG_4326


最大の目的は…。
IMG_4328

パインラーメン専門店「パパパパパイン」の期間限定チョコレート担々麺「カカカカカカオ」に、チョコワンタントッピング。甘辛さ堪能してきました。

お店を出て歩き始めてみかけた看板。
何が四百倍なのか、気になる。
まさか…名字?
IMG_4329


お腹をみたしたところで、まずは「信愛書店」へ。
何やらがらりとかわっていて、コミュニティスペースみたいのを前面に。
本もだいぶ減って、その分、人が集まれるスペースを、といったかんじで。
ここでは、歌代隼人「instrumental journey」という、バンドをクビになったトランペット奏者が、東京沖縄間をヒッチハイクで往復、というロードムービー的な本を。自費出版ぽいので、なかなか手に入らなさそうというのと、パラッとめくって心ひかれたので。

IMG_4442


次は、「ねこの手書店」という古書店。
「発光都市TOKYO」を手にとって、吸い寄せられてそのままレジへ。夜、上空から、発光する東京を撮影したもの。
発光都市TOKYO
三才ブックス
2010-08-25


お茶は、むかしっからある「GRACE」で、オレンジケーキとアイスティー。
おそらくご近所の方々が入れ替わりでおしゃべりしてて、にぎわってるかんじ。
IMG_4336


見かけた看板。
西荻には、…忍者がいるのでしょうか? 笑
IMG_4334


音羽館。
絶妙なラインナップで、西荻に来るたびに立ち寄りたくなるお店。
ここでは、@shibuya_photoという写真集、金井真紀「世界はフムフムで満ちている」を。
IMG_4443




忘日舎。
新刊も古書もあつかうこじんまりとした本屋さん。
おそらく自分の好きな本しか置かないこだわりを強くかんじる。
pippoさんの新刊を買うか迷ったけど、個人的に、今は詩歌が必要な時期ではない、と今回は見送り。
また訪れてみたいお店。
IMG_4341


西荻窪駅に向かう道すがら、駅近のコンビニの前で、
スーツのお兄さんが、立ったまま、カップ麺をかきこんでいた。
なんだか妙にあわただしく、雑踏の中でも目立っていて、印象に残る。


番外編で、すこし中野にも足をのばす。
中野の商店街のきらめき。
IMG_4346


面白くつしたたち。
IMG_4344


中野ブロードウェイをぐるぐる散策した中でみつけたあざやかな一角。
IMG_4347


タコシェ。
同人、自費出版など、手に入りづらいものを取り揃えていて、興味をひく。
今回は、現代音楽ディスクガイド、を。個人が誰はばかることなく書いてるから、ザ☆眠い、長い、そんなにいらねー、と書きたい放題なのと、愛ある紹介とがあわさって。
タイの地獄寺のフィールドレコーディングとそれをサンプリングしたリミックスCDも心ひかれたが、考えたすえにパスした。
IMG_4441


西荻窪に帰還。
夜の西荻窪の街並み。
IMG_4348


雨ねこ。
前回、できてすぐぐらいの時に行って、かんじよくて、料理もおいしくって、だったので再訪。
今回も大大満足^^
IMG_4359


西荻窪を堪能して、宿にむかう。

chokusuna0210 at 21:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!西荻 

2016年03月13日

la chamble erotique 大奥 @ Space SYMBIOSIS

IMG_4313
IMG_4314


今日まで開催されていた8人の作家による展覧会。

日本画の蒼野甘夏さんの作品がみたくて、足を運ぶ。
パンフレットにもなっていた、女性の上半身と片足をクローズアップした作品のなまめかしさ。
踊り子の少女の口紅の赤さ、唇のなまめかしさが印象的な二作品を堪能。
絵の前でしばし佇む。

他には、インドのシヴァをモチーフにしたスカーフ、ガネーシャをモチーフにしたタペストリーが印象に残ったFARAさん、
見る角度によって、ことごとく角度の変わるガラス作品の小島有香子さんの作品、
ぬめっとした質感が目をひく、花をあしらった徳丸鏡子さんの陶芸の作品、
が印象に残った。


chokusuna0210 at 23:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年03月01日

2016年02月に読んだ本

期間 : 2016年02月
読了数 : 45 冊
東京美女散歩
安西 水丸 / 講談社 (2015-03-13)
読了日:2016年2月29日
日本橋、吉祥寺、両国-錦糸町、町田などごくわずかを拾い読み。日本橋のデパートで、美女の知り合いの仕事終わりをまったり、東京の街角で、葉巻を吸ってると、自然と美女に声をかけるきっかけになりやすい、とか。すみませんサインしてください、と村上春樹さんの著書を出され、仕方ないなあ、と村上春樹さんの似顔絵を描いてあげるくだりがなんだかいいなあ、と思ったり。町田編は、まほろ駅前多田便利軒が大フィーチャーされていて、個人的に楽しく読めた。あと「大島」とあったので、てっきり以前ちょっとだけ住んだ事のある江東区大島かと思って勢い込んでページをめくったら、伊豆七島の大島で、個人的にちょっとがっかりしたり(伊豆大島には何の罪もないのだけど)。
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)
又吉 直樹 / 幻冬舎 (2011-11-23)
読了日:2016年2月28日
だいたい9割が自分語りで、残り1割が本の紹介。でもその語りがひきこまれる。だいたいが子供時代、売れない時代の痛い思い出なのだけど、ただ痛いだけではなく、最後は本の話につながる。子供時代の暗い感情を書きなぐったノートの居場所を、尾崎放哉句集の中に、あったあったと見つけたこと。「暑いので…申し訳ないので…冷たい飲み物を奢らせてください…でも先程古着を買ったので…お金がないので…奢れないので…諦めます…すみませんでした」(p.29)と声をかけて、結局その子と仲良くなれたエピソード。その彼女が、あなたがこの本を好きなのはよくわかるといった、古井由吉「杳子」。穂村弘「世界音痴」への深い共感。野坂昭如「エロ事師たち」が渋谷の本屋にことごとくない、ことから語られるエピソード。高校時代の苦い恋の話とからめて、乾くるみ「イニシエーションラブ」をありふれた恋愛小説ではないと語る。吉田豪「人間コク宝」はとりあげる人物もアクがつよく個性的。これらの本は手にとってみたい、と思った。/どうして本を読むのか、という問いには、「もう自分は駄目なんじゃないかとか思っていて、誰にも相談なんて出来なくて、そんな時に古い小説を開いたら自分がいた。そこに自分と同じようにどうしようもない人間がいた。その人たちは皆自分よりも歳上だったから、まだまだ可能性はある、生きられる、と思った」(p.19)、「小説の楽しみ方は色々とあるが、僕が文学に求める重要な要素の一つが、普段から漠然と感じてはいるが複雑過ぎて言葉に出来なかったり、細か過ぎて把握しきれなかったり、スケールが大き過ぎて捉えきれないような感覚が的確な言葉に変えて抽出されることである。」(p.150)といったところが著者なりの答えなんだと思う。
「なぜ?」から始める現代アート (NHK出版新書)
長谷川 祐子 / NHK出版 (2011-11-08)
読了日:2016年2月28日
キュレーターである著者が、さまざまな現代アートのアーティストを紹介しつつ、現代アートを見ることの意義を示唆してくれる。立ち止まり、考えさせ、何かを感じさせることで、見るものの意識にゆさぶりをかけ、異なる視点を得るきっかけになれば、幸い、ということなのだろう。なぜだかわからぬが惹かれてしまう世界に、的確に言い表す言葉を当てられた感。以下備忘録的に。/パキスタン宮廷絵画とアニメの手法を重ね合わせたシャジア・シカンダー。エリアソンの、巨大な壁一面に「太陽」を映し出す。「夕陽を見るというごく日常の体験が、工業的で、人工的な空間の中で再現されることで、見慣れたものに対するみんなの意識がリフレッシュしたのです」。(p.69) 「存在の不確実さ、危うさを知れば知るほど、「見る」ことは深まっていくということです。」(p.109)河原温 I am still alive という電報を知り合いに打つというプロジェクト。死を常態とする仏教的な世界観。「受け取った人は河原さんの生の確認とともに、自分自身の生の有限性を照射します。「まだ」私たちは生きている、と。」(p.111) 「私たちは、いつかは終わりのくるやわらかい脆い身体と、人間としての倫理や理念などの一貫したものをあわせもっています。情報や感性はその中間にあって、意識を更新し続けてくれます。見ることは、見えないことを意識することでより深まり、記憶や情報は、雲のように始まりや終わりが定かでない状態で、私たちの中に浸透していきます。」(p.116) フランシス・アリス「グリーン・ライン」。パレスチナ-イスラエル国境を緑色のペンキを垂らしながら、ひたすら歩く。「しばし何か詩的なことをすると政治的になり、なにか政治的なことをすると詩的になる」. 「不便になること、悪意をもたれてしまうかもしれないこと、社会的なマナーにかなっていないこと、アートは、絶えずそのような両義性や矛盾を抱え込むものです。アートは自己批判しながら、前に進んで、新しいものになっていく。それが、新しい提案の原動力だと考えます。」(p.164) /マティアス・シューラー「クラウド・スケープス」

室内に雲をつくるプロジェクト。特定の湿度に保った室内で、上と下の温度差を一五度にすることで雲を発生させるというものです。/wahのグラウンドにお風呂プロジェクト。勢いだけというか、シュールな景観というか、使わないときの蓋とか給水、排水が全く考慮されてないように見受けられるとか、いろいろつっこみどころはありつつもある種の力はかんじる。/サラ・ジーの日用雑貨を慎重に繊細に考慮して配置した小宇宙。SANAAのローレックス・ラーニングセンターのあまりにひとつながりでなだらかな曲線を描く建築、も印象に残る。
講談社 (2016-02-25)
読了日:2016年2月27日
げんしけん、班目ハーレム、自分で終結させられずは…まあ予想通りの展開か。結局は、自分で決めそうなendだったが、さてさて。波よ聞いてくれ、は、どこまでも彷徨える日本人鼓田ミナレ宣言が力強く。ヴィンランドサガは波乱の予感。マージナルオペレーションは、アラタの子供を食い物にするものたちへのアラタの怒りがひしひしと。ヒストリエは、圧巻のマケドニア軍。はじまりのはる4は、あの時を悔いながらも技術を身につけ被災地に活かそうとする前向きな女子学生が描かれる。天の血脈は、内田の動向がきになる。BlackBOXは、相打ちなのかそれとも。読み切り二作は、取っておきたいクオリティ。コトノバドライブは、久々にゆったりした空気感を楽しめた。
波よ聞いてくれ(2) (アフタヌーンKC)
沙村 広明 / 講談社 (2016-02-23)
読了日:2016年2月27日
この巻も、ノンストップでハイテンションでジェットコースターなミナレさん、札幌の風景、風物詩も織り込みつつ、ラジオDJとして…どこへ向かっているのかは迷走気味だけど、斬新な試みであることは確か。この勢いをいつまでも眺めていたくなる。
辺境で 伊図透作品集 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-02-25)
読了日:2016年2月27日
机上の計画だけで、技術的裏付けもなく、強引に進められる、辺境の鉄道敷設。稼ぎがいいだけじゃねえ、頭が悪いからこんなところで働いている、商売する頭も技術もない、多くは引き止める家族もいない、だから換えのきく頭数として送られてくる、と嘯く現場の長いリーダー。ここにくるようなやつじゃないだろう、と言われつつも働く、新入り。実は国の腐敗を暴こうとする新聞記者。懸命に働き、溶け込んだように見えたが、中央から来た官僚にみぬかれ、暗殺。そこまでする必要があるか、と問うも、相手にもされず。静かに憤りを秘め、事故に見せかけて、コンクリートに埋めてしまう。おれは死んで行くやつは何人も見てきたんだ、と。苦い思いの残る「辺境者」。それは誇りを持って定年までつとめあげた鉄道職員の最期を描く「NO TITLE」も同じ。デザイン学科なのに鉄に目覚め、懸命に卒業制作の鉄のオブジェにとりくむ美大生を描いた「STEEL BLUE」”鉄を扱うことは不自由さと闘う事、鉄と闘う事で自分と闘っているんだ。鉄を叩く事で自分を叩いているんだ 私の弱さを叩いているのだ”。懸命さがひたすらまぶしい/男子=バカ、と達観した女子小学生のえがく魅力的な悪ガキたち、かものはしのようなかっこいい靴を求めて街をさまよう男子学生、あこがれの子がカウンター越しに履いているのを知らず、同級生の子がネットでサクッと見つけて買ってしまったのも知らず。「ミツバチのキス」「エイス」を愛読した身からすると原点にもさかのぼれる味わいふかい作品集。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2015-10-04)
読了日:2016年2月27日
シリーズ第一弾。この旅の前にインドにも行っていたようで、そちらの旅行記も希望、と思ってしまった。まずはミャンマー編。タイの前哨戦的な位置づけだけどなかなかに楽しんでいるのが伝わって来る。民家におじゃまして一緒に食事したり、NHKの放送を一緒に見たり。タイのお祭り、結構楽しみにしていたのに、記述があっさりでちょっとびっくりした。旅人たちとのやりとりも興味深く。そして、この章では、ドラムを叩くひとだということがわかりました。徐々にあきらかになっていくのだろうか、野崎さんのこと。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2016-02-12)
読了日:2016年2月27日
シャンティ・ブックスで四冊まとめて購入。あまり読んだことのない、スリランカ旅行記から手に取る。手書きの文字と絵の絶妙な味。一日の終わりにその日のお小遣い帳のつくのが楽しく。あまり聞いたことのない街にでかけ、現地の人に聞いて安宿に入り、現地の人と同じ空気感ですごす旅が心地よくかんじられた。しかし、野崎さん、誰なんだ?という思いは、他のシリーズを読んで徐々にあきらかに。「街には大音量で真言(マントラ)がながされていた。ここはアジアだ!」という感慨。宿の主人との「私はミックスだ。父が仏教。母がヒンドゥー教。このようなミックスの人は結構いるよ。ヒンドゥー教も仏教も違いはないさ」という対話が印象に残る。
カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容
宮崎 賢太郎 / 吉川弘文館 (2014-01-21)
読了日:2016年2月27日
星野博美「みんな彗星を見ていた」つながりで。/以下、本の流れにそって。キリシタン禁教令が出されていた江戸時代の信徒を「潜伏キリシタン」(p.40)、カクレキリシタン=「明治に入ってキリシタン禁令の高札がおろされ、信仰の自由が認められたのちも、仏教の仏様も、神道の神々や民族神も、そして先祖代々伝わるキリシタンの神々もそれこそ三位一体の神様のように拝み続けて今日に至っている人々のこと」(p.4)、と定義。厳密に言うと、隠れているのではなく、拝んでいるものを他に見せると祟られるからと隠している「隠しキリシタン」。「カクレキリシタンは隠れているのではなもなければ、キリスト教とでもなく、キリスト教的雰囲気を醸し出す衣をまとった典型的な日本の民族宗教の一つ」(p.9)。カクレキリシタンがなぜカトリックに戻らないかというと、社会的、経済的、歴史的要因も重要だが、もっとも本質的なのは、祖先崇拝、奇跡信仰、タタリ信仰にあるのではないか。(p.14より)。時代をぐっと16世紀初頭に巻き戻すと、そこは日本の歴史の中でもっともキリスト教の教勢がさかんだったころ。そのころのアフォンソ・デ・ルセナ神父の回想によると「私が大村に来たときにはすでに全領民がキリシタンであった。しかし彼らはキリシタンの諸事についてはただ洗礼を受けるのに必要なこと以外には何も知らなかった」(p.22)、とあり、また浦上教徒流配事件では、そこまでして教えに準じたはずの信徒が、肝心の教えをほとんど理解していなかったことも史料に残されている。そのことも含め、一部の知識人、大名、武士以外の庶民には、十分な書籍の流通もなく、識字率も低かったことから、改宗したといっても十分の教理が理解されていなかった可能性を示唆する。幕末の殉教事件の数々にもつながる強い信仰心とは、宣教師と信徒とのあいだの「御恩と奉公」論理で説明づけられるものだったのでは、また祖先がずっと拝んでた、共同体でも拝んでたということが要因だたのでは、と。「現世利益をも止め、勧められた教えを受け入れ、それが叶えられない場合には容易に離れ、さらに悪い状況に陥れば神仏のタタリかと恐れる民衆の素朴な信心」(p.50)が描かれたエピソードも残される。日本の民俗宗教の特徴を、重層信仰、祖先崇拝、現世利益志向、儀礼中心ととらえ、キリスト教を一神教、唯一絶対神崇拝、来世志向、教義中心とすると、カクレキリシタンは、まぎれもなく日本の民俗宗教といえる。「カクレキリシタン信仰の本質はを一言で言い表すとすれば「フェテシズム的タタリ信仰」と言えるのではないでしょうか」(p.201)。
おひとり様物語(6) (ワイドKC Kiss)
谷川 史子 / 講談社 (2016-02-12)
読了日:2016年2月25日
簡単なハッピーエンドにはしない。いい予感がする余韻をもたせつつ、あるいは苦いけどハッと気づきがあったような終幕で、描かれる短編集。好きな人のためにカッコ悪くなれる男こそかっこいいと背中を押すおババ、かっこいい。現実に傷つけられに行こう、とふんぎりをつけた彼女、かっこいい。そして、なんてことなくすれ違うはずのふたりの距離がちぢまるのをながめる甘酸っぱさ。今時電波の入らない喫茶店なんてあるのだろうかと思う喫茶エゾリス、行ってみたい。最初ぱっと話すけどあとは適度にほうっておいてくれて、常連さん同士が仲良くなるとうれしくなってしまう、ぼーっとできて居心地のよさそうな喫茶店。
百貨店ワルツ (リュエルコミックス)
マツオ ヒロミ / 実業之日本社 (2016-01-28)
読了日:2016年2月25日
舞台は架空の20世紀初頭、異国情緒たっぷりの港町に建つ、三紅百貨店。大正ロマンもかくやという思い入れたっぷりな、モダンガールぶりに目を惹かれる。背伸びした女学生が勧められた、すみれの香りのバニシングクリーム。初めて洋装するタイピストの子を、見下すでなくかろやかにアドバイスするモダンガールの粋にぐっとくる。そして、尾形亀之助の、色ガラスの街が気になって、早速ダウンロードしてくる。
秘宝館という文化装置
妙木 忍 / 青弓社 (2014-03-21)
読了日:2016年2月24日
北野麦酒「蒐める! レトロスペース・坂会館: 坂館長の趣味と好奇心に関する極私的な歴史」の参考文献にあげられていて興味を持ち、手に取る。この本を読むと、ああ、なんで定山渓の秘宝館に閉館前に行っとかなかったのだろう、と悔やしい思い。最初の伊勢の医学的要素が、のちの館では受け継がれず、アミューズメント要素が強調されたこと。女性客に強くアピールする姿勢を見せていた北海道秘宝館。女子労働力率の上昇、観光への女性の参入比率の増大が意識されたのではないか、と。あわせて定山渓温泉をひらいたという美泉定山にも興味がでてくる。衰退の背景には、単に性の情報を伝える場所ではないので、性情報の増加が原因ではなく、団体旅行の衰退や娯楽の多様化、人々が観光に求めるものの変化、などがあったのでは、と。著者自身が最後のほうで述べてる通り、秘宝館の一側面を照らし出したもので、もっとさまざまな視点から語られるべきというのは、公平な見方だな、と。秘宝館研究の原点が、遠野物語で知られる遠野で「山崎のコンセイサマ」(山崎の金勢様)を見たことにあり、性の信仰の対象が観光地化されていることがずっと気になっていた、と。図版も豊富で興味深い話題も多く、引きこまれた。
図書館の主 12 (芳文社コミックス)
篠原ウミハル / 芳文社 (2016-02-16)
読了日:2016年2月23日
今回は学校司書に焦点をあてた一巻。前任校で図書館を王国にした廉で退職に追い込まれたとウワサされる新任の学校司書。それを支える司書教諭。無邪気に、あるいは、明確な敵意を持って、学校図書館に理解のない教師たち。慕ってくる子供たち。直球で理解をもとめうとましがられることもあったけど、児童図書館タチアオイに子供たちといったことがきっかけで、「秘密の花園」を紹介され、図書館授業が役にたったと感謝されたとき、私の力で…いや、子供たちの力なんだ、と思うきっかけに。他にとりあげられた「小公子」とともに、手にとってみたい本。自分が小学生の時の学校図書館…遠い記憶の彼方だけど、こんな学校司書がいたら、もっともっと本を楽しめただろうなあ、と思った。そういえば、この巻は、最初のころからの主要キャラの宮本さんが出てこなかったなあ、と思った。
珈琲いかがでしょう 3 (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
コナリミサト / マッグガーデン (2016-02-13)
読了日:2016年2月23日
ひさびさ読むと主要キャラの垣根ちゃんまですっかり忘れてて。完結巻の最後の方はいままでの登場人物勢揃いで後日談が語られたのだけど、もう一度一巻から読み直して納得。一杯のコーヒーに癒される物語と、不穏な過去の足音が追いかけてくるのが、絡み合って語られるストーリーなんだと改めて思った。毒入りの可能性のあるコーヒーをタバスコ入りと思い込んで飲み干してしまう垣根ちゃんの突き抜け、ブチ切れる珈琲マスターのおばあさんが印象に。
佐藤秀峰 /
読了日:2016年2月21日
shi3zの長文日記 | 男たちはなぜ死を賭してまで戦ったのか 特攻の島 http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20160216/1455575874 に触発されて、1-8巻まとめ買い。確かに重い。死が確約された兵器に乗り込むことを志願し、極限の状態で、己の生きる意味、死ぬ意味を問い続けざるを得ない。何度も出撃をくりかえすのに、奇跡的に生還してしまう渡辺。敬愛する上官も、苦楽を共にした同僚も突撃して散る中、次の突撃の機会を得た渡辺は…と。はやく9巻が読みたい。/航行中に自分の位置を確認する方法がなく、前進しかできず、脱出装置もない。真っ暗闇をブレーキのない車で走り回れって言ってるようなもの。/死が怖い、死に意味を見つけられないから。もし死ぬことに意味を見いだせれば、死は単なる恐怖ではないはず。そして死に意味を見つけられるのは、生きる意味を見つけられた人間だけなのかもしれない。/俺には何もありません 生きる理由も死ぬ理由も このまま死んだように生きたくはありません ここで命を燃やします。/貴様は生きろ/
「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)
佐々木敦 / Pヴァイン (2014-05-30)
読了日:2016年2月21日
「4分33秒」と言えば、かのジョン・ケージが50年以上前に作曲()した、初演の際、ピアニストが出てきて、何も演奏せず、4分33秒後に、退場した、何も演奏されなかった曲。

それだけをテーマに、一回時間×回の講義を行なうという意欲的な試み。以下備忘録的に。

なぜ分秒なのかという問いには、

・秒数に直すと273秒= 273度=絶対零度だから

・ダニエル・シャルルが「小鳥たちのために」で唱えた英文のタイプライターの配列が、「4」と「'」分、「3」と「''」秒を示す記号が同じだから

・4フィート33インチロバート・ラウシェンバーグの「ホワイト・ペインティング」キャンパスをな真っ白く塗ってるだけにまつわるなんらかの数値ではないか

と諸説あるそうな。

「音楽」という集合が「音」という集合の中にあり、そして「音楽」は「音」の外縁に向かって少しずつであれ拡大していく。どこまでも拡大することはないかもしれないけれど、それでも「音」との間に余地がある限り、「音楽」は広がってゆく可能性を有している。p.34

理想論めいた話ではありますが、耳さえあれば、そしてそこにある「音」を「音楽」として認識できるのであれば、作曲はもういらないんじゃないのというところまで考えることが出来る可能性を『分秒』は潜在させている。p.56

それはある意味では、やはり紛れもない矛盾なんだと思います。『分秒』の後で作曲をするということに、ある種の後ろめたさや無意味さとケージは向き合いながら、その後の長い時間、それでも作曲を、音楽をやっていったのだと僕は思います。p.57

ジョン・ケージはレコードを一枚も持ってなくて、「音楽が聴きたい時は窓を開ける」と言っていた。p.73

「無為の指定」と「時間と空間の限定」。この二点が『分秒』を形成しているとすると、サーストン・ムーアは「無為」のほうを捨てたということになります。「無為」の方だけを活かすと、ポース・グリフィスが言ったような、「今でも『分秒』は鳴っている」ということになってくる。その二つのどちらかにウェイトを置くかによって『分秒』の解釈の仕方は大きく変わってくるでしょう。p.95

I have nothing to say and I'm saying it (私は何も言うことがない。私はそれを言っている。) p.100

周りの音を楽しめばいいのかもしれないが、それは生活態度であって芸術ではない。耳を開いて、いろいろな「鳴っている音」に対して耳を澄ますという態度は、心が豊かになるという意味ではいいのかもしれないけれども、それは芸術ではないんだと。p.139

『分秒』では「枠を作ってその中で何もしない」ことが、「聴く」ことの能動化を促すと言われているけれども、やはりそれだけでは足りないのではないか。つまり、「聴く」ことをもっと促すための仕掛けが必要だと言っているわけです。p.176

コンセプトは理解されるためだけにあるわけじゃないと言いたい。p.195

『分秒』という作品が何をしているのかというと、ほんとうにただ「四分三三秒という時間が流れる」ということだけしているんです。p.225

二〇一二年の夏には「『分秒』著作権騒動」がありました。これは『分秒』はジョン・ケージの作曲作品として著作権が管理されているので、四分三三秒、沈黙を続けると著作権法に違反するのでは、というツイートが拡散されたもの p.248

ジョン・ケージ「サイレンス」/ポール・グリフィス「ジョン・ケージの音楽」/マイケル・ナイマン「実験音楽 ケージとその後」/白石美雪「ジョン・ケージ-混沌ではなくアナーキー」/近藤譲「線の音楽」/「45分18秒」 コーム・プラスティックスというオランダのレーベルからリリースされた全曲『分秒』の作品集、にもあたってみたい。
スティーブズ 4 (ビッグコミックススペシャル)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) , 松永 肇一 / 小学館 (2016-02-12)
読了日:2016年2月20日
アップルの躍進。AppleIIの成功は、アップル社の規模を大きくしたが、それは元からの社員との軋轢も招いた。ウォズとの仲もうまくいかず、あらゆるプロジェクトに口を出して歩き、祟り神と言われはじめたスティーブ。しかしアップル株を売るのと引き換えに得た、ゼロックスのパロアルト研究所の見学。現在につながるテクノロジーとの邂逅、アラン・ケイとの邂逅、研究所内のみで、本社からは評価されない技術を継承する意欲を持つものが現れた。きっと、技術のプロテクトよりも、理解者が現れたことの方が嬉しかったと思う。
雪花の虎 2 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2016-02-12)
読了日:2016年2月20日
甲斐では信玄のクーデターによる当主就任。越後では、父為景が病死し、虎は景虎として元服。家臣の本城実乃に請われて、坂戸城主として乗り込み、初戦を鮮やかな勝利で飾る。景虎の名は上がり、兄晴景の名は下がっていくが。その行く末は、次巻に。謙信女性説、さまざまなエピソードから裏付けようと試みられ興味深い。
オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)
宮崎 かすみ / 中央公論新社 (2013-11-22)
読了日:2016年2月20日
最後は、さまざまの友人の前で、それぞれ異なった自分像、改悛した者、男色へ生きる者、家族を想う者、才能の枯れていない者、を演じ分け、それぞれに対して、いない者への悪口を述べていた、ということか。それでもなお、残された作品のうちのいくつかの煌めきは後世にまでとどろくものであったことは否定できない。

「私の人生における二つの大きな転機は、父が私をオックスフォードに送り出したときと、社会が私を監獄に送り込んだときであった」p.18

「ぼくの青磁にふさわしく生きるのは、日ごとに難しくなってきている」p.20

「詩人になって、作家になって、そして劇作家になる。とにかく有名になる。たとえ悪名でも名を売るよ」p.34

ワイルドは「ペン・鉛筆・毒薬」という評論で描いたトマス・グリフィス・ウェインライトのように、「若い洒落者として何者か」になろうとしていた。p.35

ワイルドは人々の話題の的になろうと決意し、とてつもなく目立つ服装をして人の目を惹き、ウィットの利いた会話で、見るだけでなく聞くにも値する男であることを証明してみせた。こうしてオスカー・ワイルドは、何の作品を生み出すこともしないままに、よそ者にとっては難攻不落の年、ロンドンをやすやすと征服したのである。p.40

「何か申告するものはありますか?」「何もありません、才能のほかには」p.47

「芸術をそれ自身のために愛せよ、されば汝の求むもの、すべて与えられん」p.48

彼は、リスペクタビリティ(中流階級独特の上品ぶった振る舞い)を笑いものにして中流階級を敵に回したにもかかわらず、中流階級が稼いだ金はほしかったのである。p.55

「彼の犯罪はそのスタイルに強烈な個性を与えた。これは初期の作品には欠落していた資質だった」p.67

このような芸術(肖像画)と人生(ドリアン)の関係性の顚倒は、「人生は芸術を模倣する」という「嘘の衰退」のテーマをプロットで表現したものである。p.93

こうして緑色のカーネーションは、わかる人だけにわかる秘密の符号として、その夜の劇場を彩った。p.109

『真面目が肝心』は、ワイルドの社交界喜劇としては、四作目にして最高の出来映えとなった傑作である。p.128

「神々や芸術家たちというのは、常に曖昧さを備えているものだよ」p.138

「本当は...私が嘘をついたの」(「理想の夫」)p.141

「真の友人ならそんあことは言わない」(ダグラス)p.155

「破産裁判所へ移送されたとき、ロビー(ロス)が裁判所の陰気な長い廊下で待っていてくれた。野次馬が群がる中、手錠をかけられ、うなだれて通り過ぎた私に向かって、彼はうやうやしく帽子を取ってくれたのだ。その様子が気取りのない、とても素敵なものだったから、群衆もシンと静まり返ったほどだったのだよ」p.200

友人から借金をしてまで、囚人たちに金を施す。これがワイルドの慈善の流儀なのである。この話は、自分の宝石や金箔を剥いで困窮する者らに施す幸福な王子を彷彿とさせる。p.229

ワイルドがダグラスのことを悪しざまに言いながら、ダグラス本人には愛情のこもった手紙を書いていたことはジッドが証言した。ダグラスも『自伝』中で、釈放されてからのワイルドが自分に対して二枚舌を使っていたと、困惑しつつ書いている。そしてワイルドがそんなことをした理由は、酷薄なダグラスに裏切られたかわいそうな自分を演出して人々の同情をかい、財布の紐をゆるめさせるためだったのだろうと推測する。なぜなら、ダグラスにはやはりロスやハリスのことを、ケチだの送金がなだのと悪口を言っていたからだ。p.244

晩年のワイルドが友人たちに寄生しながら、その陰で彼らの悪口を言っては同情を集めていたというのは、残念ながら本当のようだ。p.245

多くのワイルド伝の伝えるところは違って、実際にはダグラスとパーシーは、出獄以降、ワイルドに相当な額を援助していた。さらに二〇〇〇ポンドを求めるというのは、強欲のそしりも免れない厚かましさである。p.268
目的をもたない意志―山川方夫エッセイ集
山川 方夫 / 清流出版 (2011-02)
読了日:2016年2月19日
「夏の葬列」が印象的な、著者の映画評、東京にまつわること、自分の人生についての三章立てのエッセイ。「要するに私は生きたいのであり、とりたてて他に私のいいたいことは何もない気がする。私は生きたい。私の生きることの価値をつくり出していきたい。」「生きることは、あらゆる点でひどく忍耐のいる仕事だ。しかし、生きようとしない人間には意味がない、と私は思う」(「灰皿になれないということ」)/こんな出だしとしめくくりのエッセイ。なろうと思えば、人間、灰皿にだってなれる、というある作家の言葉、意志力への信頼への懐疑をいだくタイトル。/彼女が執着し、愛しているのは、じつはいつもこの存在を喪失したなにかなので、喪失したそのなにかへの追慕、偏執的なともいえる執着とその激情、それがデュラスの作品に一貫してながれている彼女の個性である。僕が、彼女の個性につき、「目的をもたない意志」という理由はここにあるのである。(「目的をもたない意志」)
普通の人 (朝日文庫)
安西 水丸 / 朝日新聞社 (2000-01)
読了日:2016年2月17日
村上春樹「雑文集」「村上さんのところ」など読んで、手にとりたくなった一冊。昔の普通、ってこんなんだったのかなあ、と思いつつ読む。大半はサラリーマンとその家族みたいな登場人物で。やたらと、誰に食わせてもらってると思ってるんだ!と怒ってるお父さんがでてくるのが印象に残る。最後のほうのインタビューで、ニューヨークいってみたくて暮らしたけど、人には面白おかしく話したけど、早くかえりたかった、なんてあたりが、らしいなああ、と思いつつ。あとハードカバー版巻末の水丸さんの写真、すごい男前です。
4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)
村瀬 秀信 / 双葉社 (2016-01-13)
読了日:2016年2月16日
横浜ファンでもないのに手にとってしまったのは、高野秀行さんのTwitterで見かけて興味を持ってしまったから。1998年の優勝時の記憶は鮮烈。Numberの特集号まで買った記憶がある。漁業会社のオーナーが酔狂で作った球団が、最初の優勝、二度目の優勝に至る道筋。そして、最下位近辺の現状。その中でも、勝ちたいと思い、率先してみんなを引っ張る人もいたし、高い技術を持ってタイトルを獲る者もいた。ただ、噛み合わない期間が長すぎた。外から見ると、近藤昭仁監督、大矢明彦監督は、低迷時代の力量の低い監督というイメージだったけど、権藤監督時代に花開く土壌を作った手腕のある監督と描かれていたこと。優勝からの低迷のターニングポイントは、谷繁を中日へ出してしまったからという意見が多数なこと。野武士的な個性あふれる管理野球とは反する選手たち、ひとつの漁船に乗る仲間として、結束するように。いい方に転がればチームワークのいいチーム、悪い方にころがれば、負け癖のついたなあなあのチームへ。ただ、ひとりひとりを詳細に語られると、選手も監督も球団側も、魅力あふれる人がたくさんいて引き込まれる。ガソリンスタンドのおじいさんに、横浜から出て行かないでください、と懇願され一年在団を伸ばした古木。ラーメン屋さんで若手に次から次へと飲ませてたら一回の会計が24000円になってしまった田代。名前を知ってる選手も知らない選手もこんなにも熱量を持って愛を持って語られると、輝いて見える。横浜ファンじゃなくても、好きになってしまいそうなぐらいに。/「まだはもうなりもうはまだなり」、一番印象に残った言葉。
このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)
魔夜 峰央 / 宝島社 (2015-12-24)
読了日:2016年2月15日
表題作のみ読了。ネットで流れてきた断片が、通して読むことによってようやくつながった。なぜ、そんなに埼玉差別が発生したのか?東京埼玉茨城新潟以外の扱いは?など、なぜがつきないが。関所、奉行所、埼玉人と東京人が別メニュー、薬などいらない草でも食べておけ、三越にくるな星友にいけ、医者などいない祈祷師しか、などなど、ものすごい差別のオンパレード。秘密組織を立ち上げ、放棄しようとする主人公。伝説の埼玉人に助けられるが…と、これからのところで物語が閉じられるが、続きが気になるような気にならないような。
おかあさんの扉5  なにそれ! ?五歳児 (オレンジページムック)
伊藤理佐 / オレンジページ (2016-02-02)
読了日:2016年2月14日
四歳児にから五歳児のころの、伊藤さんちのあーこさんのお話。いろいろなことば覚えていろいろできるようになり。娘のお泊まり保育のときの、昼観劇、途中下車で飲みの、うちに帰ってからも飲みで、次の日ゴミも捨てずに寝坊…親はしゃぎすぎ。のコマと、夜、夫婦で、あんなことしてた、こんなこと言ってた、と娘ちゃんを肴に二人で飲んでるのがまたいいなあと。ところどころに挟まれる、吉田戦車さんの手になる、おとうさんの扉、も解説というかツッコミというかいいアクセントになっている。
忘却のサチコ 5 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2016-02-12)
読了日:2016年2月14日
向こう側の透けて見えるイカ刺し。透明感のある仁淀川を眺めつつ、戻り鰹なとなどの高知グルメを堪能。幼なじみの作ってくれたニジマス燻製に舌鼓うちつつ、新人育成にも悩み、原稿の遅いエッセイストの催促に朝までかかり、築地で新人と美味しい朝ごはんを食べたり。お誘いやアプローチはことごとくクソ真面目なスタンスで、気づかぬうちにかわしきり。作家のサポートをこなしていく、サチコさん。
プリンセスメゾン 2 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2016-02-12)
読了日:2016年2月14日
運命の物件に巡り合うために、休日ごとに物件巡りする沼越さん。不動産屋の伊達さんも本腰入れて手頃で素敵な物件を探し出し。すごくクールで有能なんだけど、水の上が恐くて、スワンボート乗り場でくずおれる姿が可笑しいです。沼越さんの友達が、また沼越さんに聞かせようと、ブルーハーツの終わらない歌、ダウンロードしてきて、いっしょにイヤホンで聴きだしたら、二人とも、夜の帰り道、ヘッドバンキング止まらないコマ、一番好きです。
素数の音楽 (新潮文庫)
マーカス デュ・ソートイ / 新潮社 (2013-09-28)
読了日:2016年2月14日
買い物客がエェブサイトで注文を出すたびに、彼らが使っているコンピュータは、一〇〇桁以上の素数を利用したセキュリティーを使う。このセキュリティーシステムは、発明者三人の頭文字をとってRSAと呼ばれている。p.33/どうも、最初の一手がうさんくさい。あってほしくないものがあるとしておいて、結局それがなかったというのはずるい、というのだ。あり得ないことがあると仮定するこの戦略は、ギリシャ人が証明を構成する上で強力な手段となった。p.77/600p超の文庫だったが、100pほどで読み進められなくなり、というか頭にはいってこなくなり、挫折してしまった。たまには専門外のものもと思いお借りしたのだけれど。
でんしょのはなし (マイクロマガジン☆コミックス)
鈴木みそ / マイクロマガジン社 (2015-06-30)
読了日:2016年2月13日
電子書籍について、各界のキーパーソンに話を聞きに行き、時にはきかれたくないだろうことも聞きつつ、出版はどこへ向かうのか、零細漫画家はどう生き残っていけばよいのかを模索する。熱い言葉、厳しい言葉、示唆に富む話を得つつも。/講談社の電子書籍の担当者が、取次・書店に対しては謝るしかない、自社の抱える高給社員には、自然減を待つしかない、という率直なものいい。編集者はフリーでいいのでは?という問いには、プロモーションと訴訟リスクを取り上げる。Amazonのガードの堅さと、消費税払ってないのでは?とか聞きにくいことをずばりと聞いたり。コルク佐渡島氏、10年後も売れると信じている作家とつきあう、100年後に残るものを作りたい。ネットの本質は「検索」と「シェア」と語る。「作家の頭の中をパブリッシュする」のが自分のやりたいこと、と。/デジタルもアナログもどちらも生き残るというDMM.comの社長。ネットの特性は、オープンでインタラクティブなコミュニケーション、だからcakesとnoteをつくったという加藤氏。あるバーで、10万円で一生ただでビールを飲める権利を売り出したら、、普通大損しそうなのに、食べ物も頼む、友達もたくさんつれてくる、で、10万円で店の熱心なサポーターを手に入れたことが大きい、と、漫画家もそれができるのでは、と。
アラビアン・ナイトと日本人
杉田 英明 / 岩波書店 (2012-09-28)
読了日:2016年2月13日
書誌学的興味から手にとる。文学のみならず、映画、演劇まで幅広く目配りして、渉猟してあり、目をみはる。池澤夏樹の小説の一節とか、どうやってみつけだしてきたのかなあ、とか。ざっとページをめくり、目にとまったところをひろい読む。/アラジン、アリババなど、もっとも有名な物語が、依拠した写本が残ってなかったり、アラビア語原典がみつかっていない系譜に属するとは寡聞にして知らず。千二夜目に語り残した物語を語ったところ、逆に不興を買い殺されてしまったというポーの短編「シェヘラザードの第千二夜の物語」(1948)よんでみたい。東洋史の大家宮崎市定がアラビア語をかじって、アラビアン・ナイトを読んでいた、というのも意外の感。前島訳全十二巻の特徴は仕上がりが均一ではなく、あとの巻になるほど、充実度がますのだとか。あと個人的には、日夏耿之介、三島由紀夫あたりがアラビアン・ナイトと関係が深かったのを興味深く読み。J.L.ボルヘス、土岐恒二訳「「千夜一夜」の翻訳者たち」『永遠の歴史』筑摩叢書 1986、大仏次郎「トルコ人の手紙-大衆文芸について」『ちくま日本文学全集』第38巻 大仏次郎 筑摩書房 1992、モンキー・パンチ「千夜一夜物語」嶋中書店 2004、徳富蘆花「外交奇譚」(土京の一夜、所収)あたりはあたってみたい。
最澄と空海 日本仏教思想の誕生 (講談社選書メチエ)
立川 武蔵 / 講談社 (1998-12-10)
読了日:2016年2月13日
おかざき真里「阿・吽」つながりで。/最澄は、その後の生涯でもわかるように、反体制的な野人ではない。伝統の重み、国家権力の強さなどに反発し続けたわけではない。p.73 奈良仏教に対する批判勢力として台頭する天台仏教もまた、国家の庇護のもとに生まれたのであった。p.76 最澄の僧のイメージは、一〇名もの僧によって大寺院の戒壇院で具足戒を受け、その戒を守ることにほとんどのエネルギーを費やす比丘ではなかった。心がまえ一つで山林を修行する者が彼の理想とする「僧」であった。p.92/空海は、「大日経」や「金剛頂経」にもとづく、確立された仏教密教を日本に導入したのである。p.168/空海は唐に渡る前から、二〇年も滞在する気はなかったのではないか。(略)というのは、空海はおそくとも唐に渡った二年目には多数の書籍などを買い求めているからだ。(略)もっとも、二〇年を経て空海が帰っていたならば、彼は日本では何もできなかったであろう。それを空海は知っていた。 p.173  「即身成仏義」は、彼の思想をもっとも簡潔に、しかも体系的に述べている書の一つである。p.210 空海の思想の核心は、世界がマンダラであり、かつ仏の身体であるということだ。p.256 /最澄は「現象世界は真実の相を示している」ととらえ、空海は「世界はマンダラというすがた(相)をとり、かつそれは仏の身体である」と考えた。p.262
数に強くなる (岩波新書)
畑村 洋太郎 / 岩波書店 (2007-02-20)
読了日:2016年2月13日
小飼弾「弾言」つながりで。ざっくり言うと、全体を見て「数を作る」のが大事。個別の数値をいくら覚えても、使う場面でパッと出てこないし、応用もきかない。自分なりのいくつかのモノサシでパッと推定して把握できるように、と。フェルミ推定のすすめ、みたいなものか。その言葉自体はでてこなかったけど。その際は、結果は、2倍から半分のあいだの誤差に収まるようにすること、と。例としては、面接で、ここまで何段の階段をのぼってきた?とふときかれ、自分の歩幅、面談している研究室の高さから、ざっと段数を割り出して答えたり、とか。著者は、6%の法則というのを提示してくれる。なんでも物事の6%が変わったら、ひとは、何か違うぞ、と認識しはじめるというもの。ただ、消費税についての世論は変わらなかったと思うが。それで政権が倒れることもなく。以下、備忘録的に。/「自分の出処進退は絶対、人に相談してはいけない。一晩考えて出ない結論は、一年経っても出ない。一晩考えたら明くる日には必ず決めろ。それを守らなければダメだぞ」という先輩のことば。”物事の先頭に立って動いている人は、「その場で作る」という動作をしている”/人も世も何事も「変わる」が基本である。ならば、「変わる」に応じて自分もいつでも変われる準備をしておく必要がある。/知識は使わないとすぐに錆びつく。そして終いには「ただ知っている」という状態になる。/自己評価は2割増しの法則/あるところまで頑張って成果が出たらスパッと切り上げろ。最初の2割の努力で8割の成果が挙がる。その後は8割の努力で2割の成果しか挙がらない。
怪獣記 (講談社文庫)
高野 秀行 / 講談社 (2010-08-12)
読了日:2016年2月13日
トルコ南東部のワン湖に棲むというUMA、ジャナワール。証拠とされるのは新聞記事、目撃情報、うさんくさそうなビデオ。気になって探しにいく著者。トルコ留学をひかえた知人とカメラマンとの道中。調子のようさそうなガイドと誠実そうな運転手のトルコ人コンビとの5人の珍道中。目撃証言者の顔写真、住所、氏名付きの本をもとに、著者、目撃者とインタビューを試み、実際ワン湖の周囲で聞き込みを続けるが、得られるのは大半が、既知の情報だったり、信頼できない話だったり。一部に、ハッとするほど、真剣な話もあったが。早い段階で、最初に見たビデオは、やらせでフェイクだと確定したにも関わらず、いや、もっと調査して真実を伝えなければ、それができるのは私だ、と使命感に燃える著者。聞き込みの結果、ジャナワールはいない、と結論付けた帰り道に、遠くから、湖上の何か怪しい物体を目撃する一行。現地の人には植物では?と言われるも、後日、湖上をさらっても何も出てこず。植物なら動くはずはないし、もしかしたらジャナワールはいるのではにないか、という可能性も残して閉じられるストーリー。途中まで全然乗り気じゃなかったのに、一転して、著者よりノリノリに、勝手に情報を仕入れてきてアポとってずんずん行動していくトルコ人コンビのくだりが、特に、抱腹絶倒でした。/以下備忘録的に。/トルコにはじめてネッシーを紹介したヌトゥク教授。「その証人が信頼できる人物なら、イスラムの重要な習慣でも二名で十分だったんだよ。ましてや、ジャナワールの目撃者はここに載せただけでも四十八人もいる」/ジャナワールが話題になった期間は、PKKとトルコ政府軍が激戦になった時期と一致。プロパガンダの可能性も示唆するクルドの青年/「人間がなんでもいちばんえらいという考えが地球を滅ぼそうとしている。そんな人間の驕りを吹き飛ばすためにもUMAが見つかってほしい」と語る科学ライターの本多さん/小さい魚がたった一種類しか棲めないような湖に巨大生物が生息できるわけがない/日本や世界各国ではウザル・コナックは今でもジャナ・ブームの火付け役として知られているが、実は本国トルコでは火消し役だった/トルコ人は好奇心が並外れて強いけれど、「自分が何か役に立ちたい」という気持ちはもっと強い/高い金を払って、私が彼らを雇っているというのが信じられない。どう見ても、私たちは彼らの親切心で取材に同行させてもらっているようだ。/「エヴリヤ・チェレビがワン湖の竜について書いてますよ!」/辺境で活動するようになって二十年が経つが、自分が雇ったスタッフに逆に取材されるなんて初めてだ。/出されたあいらんが飲み物なのか下剤なのか判別がつくイヒサン/話を信じてもらえない、あるいは笑って受け流されるというのは、すごくむかつくことなのだ。しかも、こっちが本気になればなるほど、バカみたいに見られる。/泥をかぶったガスではないか、という仮説の提示/解説の「カッコよく、かつ、世界にこれほどヒマな人間が他にいるだろうか」という一文に愛と熱量と可笑しさを感じる。
蒐める! レトロスペース・坂会館: 坂館長の趣味と好奇心に関する極私的な歴史
北野 麦酒 / 彩流社 (2015-04-01)
読了日:2016年2月11日
札幌市西区にあるレトロ・スペース坂会館。行ったことはないけど、ディープな世界がひろがるサブカルの巣窟みたいなイメージがあったけど。この本は館長にインタビューしつつ語られる会館のコレクションの全貌、館長のこだわり。若干、内容重複するところもあるけど、館長の情熱が伝わってきた。坂会館の建物は、かつてはレストランだったこと、弥永北海道博物館の存在は認めていること、参考文献の妙木忍「秘宝館という文化装置」が気になること、子供のために作ったのではないという思い、マネキンをひろったこと、太田八重子さんという方と知り合ったことが蒐集の原点にあったのではないかということ。さまざまな価値あるものが盗まれたこと、けれども公開はやめないこと。などなど。俄然、現地に行きたくなってきてしまった。
みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記
星野 博美 / 文藝春秋 (2015-10-06)
読了日:2016年2月11日
著者の、ミッションスクールで生じたキリスト教への思い、祖先をたどっていくうちに、御宿・岩和田に漂流したスペイン船の船長、船員たちと交流があり、一部はそこへとどまったのではという仮説、そして、リュートを習うことにに導かれてはじまった、キリシタンをめぐる旅。それは次第に、西洋人も、日本人も含めて、殉教者を追う旅となり、長崎、大村、果てはバスクまで足を伸ばすことに。列福、列聖がだれのために、なんのために、どんな政治的背景のもとにおこなわれ、序列化されたか。純粋な宗教心だけからは説明がつかないことも、ときあかしてくれる。ただ、個人的には、ページが進むにつれて、熱を帯びてくる殉教したキリシタンに対する思いには正直ついていけなかった。かわいそうに、殺さなくても、死ななくても、他の道もあったのに、死に際してもそんなことまで、という感情が強すぎて。/「いつしか音楽は、調弦や楽譜に縛られた、ずいぶん窮屈なものになってしまいました」/「リュートは無茶な要求に応えず、消えていくほうを選んだ。誇り高い楽器だと思いますよ」/ベルメーオ、大村純忠・喜前、あたりには、さらにあたってみたいと思った。
詩集 夏の森 (角川文庫)
銀色 夏生 / KADOKAWA/角川書店 (2016-01-23)
読了日:2016年2月7日
つれづれノートのほうはしばらく離れてしまったけど、ふと、本屋でみかけて、何ページか読んで、心にまっすぐ届いてきて、そのままレジに持って行ってしまった。いくつもいくつも揺さぶりかけてくる言葉があって。その中から少しだけ引用。もっとも、前後の文脈と写真込みで素晴らしいのだけれども。/心の解放が必要だ 人には時々 そして帰るところも/誰もがある種の偏見や 独自のフィルター越しにものごとを捉えているのだから 人の偏見を指摘して批判するよりも フィルター込みのその人の魅力を味わいたい/その時々に 見えてくるものは違います/くりかえす波の中で またひとつ強くなる 弱くなって強くなる
昭和元禄落語心中(9) (KCx)
雲田 はるこ / 講談社 (2016-02-05)
読了日:2016年2月7日
次巻で完結とのこと。八雲師匠、亡くなったかつて関わった人々から、呼ばれる声。慕って現世にとどめようと、ヨタや松田さんやさまざまな人たち。伸ばした手をつかんだその先には…と。
クロコーチ(11) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2015-10-19)
読了日:2016年2月7日
書かずの753 2 (ビッグ コミックス)
相場 英雄 / 小学館 (2016-01-29)
読了日:2016年2月7日
スタンドプレーばかりだったのが、チームプレーで活かし活かされ、成長を認められてきた文子。最初は札幌に飛ばされ腐っていたものの、巨悪を追い、警察の見立ても覆す取材力を発揮し、やり甲斐を感じ始めたところへ、以前は希望していたワシントンへの辞令。あとは任せろ、思い切り暴れてこい、と背中を押され旅立ち。入れ替わるように競っていたライバルが札幌に送り込まれてくるエンディング。そう、最後のページの、完、の文字を見てくずおれる。これから…これからが大活躍じゃないかあああと心の中で叫びつつ。
理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
高橋 昌一郎 / 講談社 (2008-06-17)
読了日:2016年2月7日
弾言、つながり。便宜的に設定された複数の登場人物による対話形式で、読みやすくはあるが、語られることは一読即理解といったたぐいのものではない。なんども読んで味わいたい、知的刺激に満ちた本。汲みつくせる時はくるのだろうかと思いつつ。/ 選択の限界。「単記投票方式」にも「上位二者決選投票方式」にも「勝ち抜き決選投票方式」にも「複数記名方式」にも「順位評点方式」にも問題がある。どうあっても民意を完全になど反映できない選挙制度。どのような投票方式を選ぶか決めた時点で、すでに当選者のタイプも暗黙のうちに決まってしまう、と/基本強調だが、裏切られたら「しっぺ返し」する戦略の有効性/科学の限界。ニュートン物理学の「時間」とは、宇宙全体に普遍的に流れるものであり、「空間」は、宇宙全体の不動の枠組みと捉えられていた。ところがアインシュタインは、そのような絶対時間と絶対空間の概念を放棄し、時間と空間も、それぞれの観測者によって異なる相対的な概念であることを立証。/「なぜ科学を選ぶべきなのか」という根本的な疑問に答えなければならない/知識の限界。「自己言及のパラドックス」/ゲーデルの不完全性原理。/すべての心理を知る「神」は、もちろん自然数論も知っているはずであり、自己矛盾するはずがありません。ところが、自然数論の不完全性定理によって、ゲーデル命題に相当する特定の多項方程式については、矛盾を犯すことなく、その心理を決定できません。よって、すべての真理を知る「神」は存在しません。/スマリヤン教授の数奇な人生にはもうすこしふれてみたい。/ゲーデルの1951年のアメリカ数学会での伝説的な公演もよんでみたい/自然界や自然数論の究極の中心を覗いてみると、そこに見えてきたのは確固たる実在や確実性ではなく、根源的な不確定性やランダム性が潜んでいたということなのです!/
夏の葬列 (集英社文庫)
山川 方夫 / 集英社 (1991-05)
読了日:2016年2月5日
その昔、国語の教科書でみかけた「夏の葬列」が深く印象に残り、そのうちまとまって読んでみたいと、断続的に思いつつ。今回は、短編+中編の組み合わせ。多感な時期に敗戦を迎え、編集者として辣腕をふるい、作家デビューするも、昭和40年に35歳で交通事故死。その時代制約の中で書かれたものが、いくつ、現代にまで届くかと思いつつ、やはり、底には現代にまで通ずるものがあり。/結局、ぼくらはそれが自分だけのものだと信じながら、じつは一人一人、規格品の人間として、規格品の日常に、規格品の反応を示しているだけのことではないのか? それが自分だけのものだと錯覚して、じつは一人一人、目に見えぬ規律に統一され、あやつられて毎日をすごしているのではないのか?(「お守り」)。それが嫌で、日常的にカバンにダイナマイトをしのばせたのに、じつは…と。他と違った自分でいたいという思いさえ規格化されていた皮肉/「十三年」。あなたの娘ではないと思わせるために、わざわざ、娘の年を間違ってさらりと教えた女の人の気持ちとは。/「死のうとしている人間を、軽蔑しちゃいけない。どんな人間にも、その人なりの苦労や、正義がある。その人だけの生き甲斐ってやつがある。そいつは、他の人間には、絶対にわかりっこないんだ、って」(「他人の夏」)/「夫婦って、きっと、おたがいに自分の一人ぼっちをプレゼントしあうものなのね」(「一人ぼっちのプレゼント」)/「ぼくはあの戦争中のほうが、なんとなく毎日にハリがあったね」/すべての連帯感、すべての友情が、じつはそれぞれの同じような錯覚によってのみ成立すること、しかしこの事実は、その連帯感や友情をウソだとする根拠にはならないこと/「ちぇっ、汚ねえ街だな。戦争にゃ、敗けるもんじゃありませんね」/いわばぼく自身の生命を、最後までぼく一人の手で始末せねばならないという、冷厳で絶対的な人間のさだめへの恐怖だった。/いったい、ぼくはなにをしているのだろう。なにをしようとしているのか、とぼくは思った。そうだ。とにかくなにかをはじめなければならない。(「煙突」)/良妻賢母、誰にも迷惑をかけぬ人間、誰からもうしろ指をさされぬ人間……古い家族制度と、それをつらぬくスジという観念。それを守りぬくのをただ一つの生き甲斐とし、母は父の死後をがんばりとおしてきた。それが母の力であり正義であっり、誇りだった。私はそれを否定し、無視したのだ。いわば私は祖父を棄て、そのことによって母を殺したのだ。ただ、私のわがままを通すために。(「海岸公園」)
ウィスパー・ボイスの魅惑 「天使のささやき」必聴盤 (Serie′aube′)
松生 恒夫 / 平凡社 (2004-03-11)
読了日:2016年2月4日
思い入れたっぷりな、ポップス好きな著者による、ウィスパー・ボイスの歌姫たちの紹介。ただ、クロディーヌ・ロンジェもブロッサム・ディアリーも聞いてはみたものの、いささか自分には古く感じられピンと来ず。アストラッド・ジルベルトは以前ボサノバにはまったときに聴きかじったのでしっくり来たが。個人的な収穫は、vem vet の入ったデビュー・アルバムだけ持っていたリサ・エクダール。紹介されるままに聞いてみると耳にしっくりきて、sings Salvadore poe,Back to Earth,Heaven Earth and beyondあたりのアルバムは買いたくなってきた。小野リサがシンプルな演奏でボサノバの古典を歌うNamorada、渡辺満里奈のa piece of cake にフリッパー・ギターのメンバー作詞作曲のRainy kind of loveあたりもふれてみたく。また、さらりとふれられていたがカヒミ・カリィにももっと紙幅をさいてほしかったなあ、と。アストラッド・ジルベルトの、本人は気に入っていないらしいが、「That Girl From Ipanema」も気になる一枚。三曲目のFar awayは、チェット・ベイカーがボーカルとトランペットで飛び入りするのだとか。
真田一族と家臣団のすべて (新人物文庫)
丸島 和洋 / KADOKAWA (2016-01-15)
読了日:2016年2月4日
文書の年代の比定、相違ががあった際にどちらを正ととるか、残されたものをどこまで信用するかを測りながら、コツコツ手堅く、史実を確定しようとする姿勢には頭がさがる。真田家の家臣研究も、端緒についたところで、矢澤頼綱ほどの重臣でも、通説では、真田幸綱の弟とされるが、甥とする仮説も立てられているのだとか。一門衆の小山田茂誠が、九度山の昌幸から書状をもらい、菩提寺の再興を託され、信幸の舅の弔問について知らされたいたこと。河原綱家が、俗に言う犬伏の別れで、人払いの理由を知らず、入っていき、昌幸に下駄を投げつけられ歯がかけたエピソードは、当時大阪屋敷にいたはずで成り立たないが、そんなエピソードがつくられるくらい、身近に思われていたことがわかる、と。いまからすると高額な草津の入湯料の上納を免除された湯本三郎右衛門尉。武田、上杉、豊臣と数奇な変遷をたどった藤田信吉。忍びの棟梁とされた出浦昌相は、忍城攻めの記述が、誤読された可能性を示唆。信繁に、九度山でずっとつきしたがい、大阪入場にもしたがった高梨内記。信幸の嫡男にはばからない言動をくりかえして出奔、のちゆるされて信之につかえ、その死後殉死した鈴木右近に意外に事跡がすくなかったこと。いずれも興味深く読んだ。
ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論 (集英社新書)
ヤマザキ マリ / 集英社 (2015-12-17)
読了日:2016年2月4日
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロあたりは知ってるけど、ボッティチェリ、ラファエロ、ブリューゲルあたりは名前聞いたことあるけど、あとは結構初見の方もいらして。「女の人のことをすぐに好きになってしまい、浮気もたくさんする。惚れた女には、自分の財産のすべてをあげてしまう。フィリッポ・リッピのそんなふるまい自体が、ルネサンスの「人間至上主義」の証です。しかも、よりによって彼は修道院の「お坊さん」。私はそのことに興味がそそられてなりません」という愛ある紹介。なんだかんだ言いつつもえらいひとに好かれるようにがんばり大きな仕事をなしとげたミケランジェロ、人間嫌いが根本にあるせいかそのあたりの人間関係がうまくいかずつまずくことの多かったレオナルドという対比。北方とイタリアを往復して二つの地域の美術をむすびつけ、画業に一生をささげたデューラーのパワフルさ。ブリューゲルは特に絵も見たくなった。モデルが描かれたくなかったであろう細部まで書き込み、また、いままでにない視点、全員後ろ向きや、微細に写し取ることで中心がわからなくなったり、さまざまな企みに満ちているのだとか。八角形の奇観ともいえるカステル・デル・モンテを建設したフェデリーコ二世(フリードリヒ二世)。そして最終章で語られるこの一節。「でも、一度でも何かを綺麗だと感じたり、ものごとから知的な刺激を受けて、知識や芸術に対する感受性が花開いてしまえば、人はそれなしでは生きていけなくなる。私はそのことを信じているのです」にぐっとくる。
ダーリンは70歳 (コミックス単行本)
西原 理恵子 / 小学館 (2016-01-20)
読了日:2016年2月2日
間をおかず再読。今度は、気に入ったところをひろいながら。帯の、プレゼント何がいい?に、フェイスリフトに脂肪吸引に…と言われ、「そんなのやめて一緒に年をとろーよ」という一言にはじまり。地元チベット料理レストランで、おいしいけどこれさあ、どさんこラーメンのギョーザ半ライス定食と同じじゃねえ?といいたれ、マニ車をまわしながら「痩せますように痩せますように」ととなえれば「マニ車はそんあ願いは叶えん」と怒られ。フリーメーソンの昇進試験受ける、なんてエピソードを堂々と書き。枕営業で、これもだめあれもだめで効果がなく、最後に、サイバラ生き写しの19歳をつれてきて、ほんとにどこから連れてきたのかと。そのあと京都を散策しながら、いまから19歳のあの子を助けてあげれば、、、助けない、いろいろあっていまのあなたがここにいるからね、ヴィンテージカーだよ、キズはそれが値うち、と語ったり。サイバラがきたから、ウケようとしてちんこ出したら、ホテルの若い女性コンシュルジュで、もう死にたいてメールきたり、新幹線の見送りでホームでぬいで、駅員に連行されたり。怒ってる理由がほんとのほんとにわからなくて、「わからないんだよ、教えて、なおすから、ボク70なんだよ もうあんまり長く生きられないかもしれない 時間がもったいないんだよ」と。謝ったら負けだといわんばかりに面白動画おくってごまかそうとしたり、さらに怒りに火をそそぐけど、「理解してよ、ぼくを理解してよ」と懇願して仲直りしたり。二人でいつもくだらない話ばかりして何の約束もせず日々をすごしてます、て一節が心にのこる。
須賀敦子全集〈第4巻〉遠い朝の本たち、本に読まれて、書評・映画評ほか
須賀 敦子 / 河出書房新社 (2000-07-10)
読了日:2016年2月1日
本を紹介するエッセイ、何冊分かひろいよみ。デュラス「北の愛人」は、美しい紹介にこころひかれる。詩行はかえって、成熟の時間を枝のうえで待っている青い果実のような、明日に向かった美しさを獲得している p.198 などという美しい紹介をされている中村朝子訳、青土社の「パウル・ツェラン全詩集」にも心ひかれる。イリス・オリーゴ「プラートの商人」は14世紀フランスの商人の詳細な書簡から浮かび上がるという当時の情景が興味深い。


2016年02月28日

映画「禁じられた歌声(原題:Timbuktu)」

映画「禁じられた歌声(原題:Timbuktu)」を観に。

トンブクトゥという名前には、その昔、憧れがあって、イブン・バットゥータの旅行記、レオ・アフリカヌスの旅行記のトンブクトゥ関係部分などを読んでイメージを膨らませていた。

今は、イスラムの過激派組織の一派が支配する街となってしまっている。

そして、映画を観終わったあとは、重苦しい気持ちに。

神は、聖典は、慣習は、本当にそのようなことを望んでいたのだろうか、と。

何をしても罰せられない極彩色の女はどうして今のようになったのか。
最後の方のバイクに乗った緑色の男は何者だったのか。
最後に母を見送るトヤをかき抱いていた女性は誰だったのか。
気にかかることは多々あった。

砂漠の景色、土でできた建物の並ぶ街並み、特徴的な突起を持つサンコーレモスクは印象に残った。

また理不尽な支配にも黙って屈せず、言いたいことは言う、禁じられ鞭打たれようともしたいことはする、ボールなしでサッカーをするなど、ただ黙って支配されるのではなく、人々が強さも併せ持つ姿も描かれていて心に残った。

chokusuna0210 at 19:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!映画・ドラマ 

2016年02月27日

「カクレキリシタンは隠れてもいなかったしキリスト教徒でもなかった」 - 宮崎賢太郎「カクレキリシタンの実像」

星野博美「みんな彗星を見ていた」つながりで。

星野作品が殉教者、特に聖職者に焦点をあてたものだとすると、こちらは従来のカクレキリシタン像に大きな変更を迫るもの。

個人的に抱いていた、従来の(江戸期、明治以降を区別しない)隠れキリシタン像といえば、キリスト教の教えを守り、教えのために殉教者も出し、仏教や神道を隠れ蓑に、教えを守り続け、幕末にいたった、というものだったが、読み終えると、一般の信徒たちは、教えを十分に理解していなかった可能性、教えのためではなく、祖先崇拝、共同体意識、御恩と奉公など日本民俗的な心性が殉教に導いたのではということ、隠れ蓑ではなくいくつかある信心の一つに加えられていたこと、守り続けられたものは原型から遠く離れて土着化したもの、そして今も土着化した教えをいただいている人々が少数ながらいる、ということがわかった。

西洋諸国はともかく、またイスラムなど一神教が根付いた地域ものぞき、中国、インド、サハラ以南のアフリカなど、日本以外の多神教的な教えが根付いていそうな地域でのキリスト教の受容についても興味がでてきた。パッと思いつくのは、モンゴル帝国のカーンたち。モンケやクビライは、キリスト教も含め各宗教を認めたが、どれかひとつではなく、その時々役に立つものをとりいれるような姿勢ではなかったか、ということ。また、マルコ・ポーロが「東方見聞録」で描いた、泉州の、かつてはキリスト教徒だったと思われる信徒が、その礼拝に接して、全く異なるものとして受容されている姿が思い出される。

一神教とならざる身とすれば、それはキリスト教ではない!ではなく、流れ流れ着いた、キリスト教徒日本派みたいなものと認めてもよいのでは、現に、カトリックとプロテスタントみたいな区別もあるのだし、と思ってしまう。熾烈な異端/正統論争をくりひろげてきた側からすると許容しがたいということなのだろうか。どこからどこまでがキリスト教徒で、どこからがそうではないのか、その線引きは繊細で内面に踏み込んだ難しい問題だということも読み取れ、だからこそ、著者が結び近くでこう述べることには深くうなづける。

「頭から水をかけられて洗礼を受ければクリスチャンと認められるというわけでもないのと同様に、頭から水をかけられていないからクリスチャンとは呼べないというものでもないでしょう。洗礼という儀礼そのものに意味があるのではなく、キリストの精神を理解し、その心を生きているかどうかということに本質的な意味があると思います。さすれば、仏教徒でありながらキリスト教の教えに触れ、隣人愛の精神を生きている者はキリスト教仏教派のクリスチャンと呼んでもいいのではないでしょうか。」(p.212)



2016年02月25日

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)

高校の英語の夏休みの宿題で、「ドリアン・グレイの肖像」が指定され、なんだろこれ面白くない、と思ったものを、大人になってから読み返して引き込まれ、「ウィンダミア卿夫人の扇」でさらに魅了された記憶がある。今考えると、高校生にドリアン・グレイって、刺激強すぎやしないかと思うけれども。

「私は人生にこそ精魂をつぎ込んだが、作品には才能しか注がなかった」と嘯いた作家を語るなら、まずはその人生を持って語らしめよ、というのが、著者のスタンス。淡々と事実を積み重ねていき、あえて、評価は下さない、と。しかし、おそらくワイルド自身が築き上げたかったであろうワイルド像は、著者が積み重ねていく資料の前では、崩れ去ることは否めない。

栄光から転落、天国から地獄へ。若い時代から才能を煌めかせて、周囲を魅了し、奇抜なファッションで話題をさらい、ひとたび集まりがあれば、そこで披露されるウィットと警句をちりばめた話術の才は居並ぶものを愉しませずにはいられない。小説から、劇作家としてもあたりにあたり、時代の頂点に立つかのごとくだったが、止めるに止められない、いささか社会への反抗的な気分もあったのだろう、当時は犯罪とされた同性愛が命取りとなり、監獄へと送られる。

そこから出たあとのことは、

------------------------------------
友人から借金をしてまで、囚人たちに金を施す。これがワイルドの慈善の流儀なのである。この話は、自分の宝石や金箔を剥いで困窮する者らに施す幸福な王子を彷彿とさせる。(p.229)

ワイルドがダグラスのことを悪しざまに言いながら、ダグラス本人には愛情のこもった手紙を書いていたことはジッドが証言した。ダグラスも『自伝』中で、釈放されてからのワイルドが自分に対して二枚舌を使っていたと、困惑しつつ書いている。そしてワイルドがそんなことをした理由は、酷薄なダグラスに裏切られたかわいそうな自分を演出して人々の同情をかい、財布の紐をゆるめさせるためだったのだろうと推測する。なぜなら、ダグラスにはやはりロスやハリスのことを、ケチだの送金がなだのと悪口を言っていたからだ。(p.244)

晩年のワイルドが友人たちに寄生しながら、その陰で彼らの悪口を言っては同情を集めていたというのは、残念ながら本当のようだ。(p.245)

多くのワイルド伝の伝えるところは違って、実際にはダグラスとパーシーは、出獄以降、ワイルドに相当な額を援助していた。さらに二〇〇〇ポンドを求めるというのは、強欲のそしりも免れない厚かましさである。(p.268)
------------------------------------

とあるとおり。
人として語るに落ちる感は否めないが、それでもなお、当然のごとく、残された作品の煌めきが消える訳ではない。願わくば、作品よりも魅力的だったという、ワイルドが座談の才を発揮している場面に、居合わせてみたかったものだ、と思った。


chokusuna0210 at 20:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!小説 

2016年02月24日

佐々木敦 「4分33秒」論

「4分33秒」と言えば、かのジョン・ケージが50年以上前に作曲(?)した、
初演の際、ピアニストが出てきて、何も演奏せず、4分33秒後に、退場した、
何も演奏されなかった曲。まあ、紹介の仕方にもいろいろあり、それはこの講義のテーマの底流を成すものなのだけど、それだけをテーマに、一回3時間×5回の講義を行なうという意欲的な試み。

なぜ「4分33秒」なのか?という問いには、
・秒数に直すと273秒= 273度=絶対零度だから
・ダニエル・シャルルが「小鳥たちのために」で唱えた英文のタイプライターの配列が、「4」と「'」(分)、「3」と「''」(秒)を示す記号が同じだから
・4フィート33インチ=ロバート・ラウシェンバーグの「ホワイト・ペインティング」(キャンパスをな真っ白く塗ってるだけ)にまつわるなんらかの数値ではないか
と諸説あるようだ。
本人が語っていれば、一発解決な気もするが、そうではないということは、意図して語らず、ご想像にお任せする、むしろ想像を煽り立てたいという意図だったのか、あるいは、本当に意味のない、パッと思いついただけのことだったのか。

「4分33秒」について、「何も演奏しなかった」と紹介される時、そこには、音楽がなかった、と捉えられる。ただ、そこには、聴衆の立てる音、ざわめき、外の音などが流れていたはず。だから、それらも音楽として聴こうじゃないか、という試みだと個人的には捉えていた。
つきつめると、もう作曲なんていらないのではないか、ただ耳を澄ませば、音楽は鳴っているんだよ、と。そこには、「音楽」が「音」の外縁に向かって、どこまでも広がっていく可能性を秘めている、と。

けど、そこには、それ以降もジョン・ケージはその後も作曲を続けたという矛盾があった。

”「それはある意味では、やはり紛れもない矛盾なんだと思います。『4分33秒』の後で作曲をするということに、ある種の後ろめたさや無意味さとケージは向き合いながら、その後の長い時間、それでも作曲を、音楽をやっていったのだと僕は思います。」”(p.57)

また、「聴取の詩学」とも言われる聴取の特権化、あまりにも、聴取にのみ重きを置いているのではないか、という懐疑も。

”周りの音を楽しめばいいのかもしれないが、それは生活態度であって芸術ではない。耳を開いて、いろいろな「鳴っている音」に対して耳を澄ますという態度は、心が豊かになるという意味ではいいのかもしれないけれども、それは芸術ではないんだと。” (p.139)

そしてケージ本来の意図はどこにあったのだろうか、と。

近藤譲が「一回性の音楽」というように、最初の聴衆は、「4分33秒」が何であるか知らなかったはずだ。もしかしたら、鋭い一部の聴衆は、何も演奏しないことで、そこに流れる音を聴け、楽しめということかとこの短い時間で悟ったかもしれないが、大抵の聴衆は、何だよまだ始まらないのかよ何も怒らないじゃないか、と思ってたのではないか、と。そして、一度「4分33秒」が「演奏」されてしまったあとは、聴衆たちは、何が起こるのかを知っている。ああ、何も演奏されないし、そこで流れる音を楽しめばいいのね、と。初演の際に起こるはずの聴取に対する態度の変換が意図なら、なにもこんなことはしなくてよかった。もっと耳をすませよ、とケージがいうだけですんだ。有名なエピソードで、”ジョン・ケージはレコードを一枚も持ってなくて、「音楽が聴きたい時は窓を開ける」と言っていた。”(p.73)というのもあるそうな。


『4分33秒』を形成するもの。

"「無為の指定」と「時間と空間の限定」。この二点が『4分33秒』を形成しているとすると、サーストン・ムーアは「無為」のほうを捨てたということになります。「無為」の方だけを活かすと、ポース・グリフィスが言ったような、「今でも『4分33秒』は鳴っている」ということになってくる。その二つのどちらかにウェイトを置くかによって『4分33秒』の解釈の仕方は大きく変わってくるでしょう。"(p.95)

”『4分33秒』という作品が何をしているのかというと、ほんとうにただ「四分三三秒という時間が流れる」ということだけしているんです。”(p.225)

結局は、器だけが残った。そこに何を盛るか、何を見るかは、委ねられているということだろうか。
消化不良ながらの読後感としては。

最近の面白いなあ、と思った動きにはこんなものも。

"二〇一二年の夏には「『4分33秒』著作権騒動」がありました。これは『4分33秒』はジョン・ケージの作曲作品として著作権が管理されているので、四分三三秒、沈黙を続けると著作権法に違反するのでは、というツイートが拡散されたもの" (p.248)

『4分33秒』はきっとこれからも、トリッキーな立ち位置で、さまざまな考えを喚起して、音楽を考える際のキーワードになっていくことが予感される。

参考文献や演奏では、
・ジョン・ケージ「サイレンス」
・ポール・グリフィス「ジョン・ケージの音楽」
・マイケル・ナイマン「実験音楽 ケージとその後」
・白石美雪「ジョン・ケージ-混沌ではなくアナーキー」
・近藤譲「線の音楽」
・「45分18秒」 コーム・プラスティックスというオランダのレーベルからリリースされた全曲『4分33秒』の作品集
あたりにもあたってみたいと思った。

最後に、ケージが語ったという一節を。

”I have nothing to say and I'm saying it (私は何も言うことがない。私はそれを言っている。)” (p.100)


chokusuna0210 at 09:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!音楽 本・CD 

2016年01月31日

2016年01月に読んだ本

期間 : 2016年01月
読了数 : 43 冊
村上春樹 雑文集
村上 春樹 / 新潮社 (2011-01-31)
読了日:2016年1月31日
村上さんのところ、を読んだことをきっかけに、挫折してたのを、五年越しに読了。各所でのあいさつ、音楽、文学、質問への回答、翻訳、人物などなど雑多な内容だけど、まとめて読むとどっしり読み応え。物語というものへの深い信頼感が感じられる文章を多々読むことができる。また、和田さんと水丸さんの解説対談よむと、ほんとに親しいんだろうなという空気感が伝わってくる。/安西水丸「平成版 普通の人」よんでみたい。/私が小説を書く理由は、煎じ詰めればただひとつです。個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるためです。我々の魂がシステムに絡め取られ、貶められることのないように、常にそこに光を当て、警鐘を鳴らす、それこそが物語の役目です。p.79/僕はA面とB面をひっくり返せるCDを昔から提唱しているんですけど、誰も取り合ってくれない(笑)/CDのライナーノーツに、「ここの町の「タンジェリン」というレストランの名物(ということになっている)のビーフ・ウェリントンの肉はちょっと堅すぎるのではないか」て、お茶目すぎる…。/飛行機に乗ると「言い出しかねて」(I Can't Get Started)を反射的に思い出す。/いくつもの異なった物語を通過してきた人間には、フィクションと実際の現実とのあいだに引かれている一線を、自然に見つけだすことができる。その上で、「これは良い物語だ」「これはあまり良くない物語だ」と判断することができる。pp.204-5/(キャッチャー・イン・ザ・ライを読み返して) 世間とうまく折り合いをつけることができず、かといって自己評価の軸を自分の中に打ち立てることもかなわず、あっちに揺れ、こっちに揺れしながら、うつうつとしている一人の少年の姿-それは多かれ少なかれ僕ら自身の姿でもあるのだけれど-が、僕らの前に浮かび上がってくる。p.235/文章による救済の可能性を信じることができず、最後には自らの命を絶つことになったかつての僚友、アーネスト・ヘミングウェイの運命とはあくまで対照的だった。フィッツジェラルドは死の間際まで、しがみつくように小説を書き続けていた。「この小説が完成すれば…」と自らに言い聞かせていた、「すべては回復される」。p.274/僕が書く小説は、ありがたいことに、そのような最終的な明白な結論を必要としていません。必要がないものを無理に書く必要はない、ということです。僕は明白な結末というのが好きではないのです。日常生活のほとんどの局面において、そんなものは存在しないわけですから。 pp.369-70/「思うのだが、僕らを噛んだり刺したりする本だけを、僕らは読むべきなんだ。本というのは、僕らの内なる凍った海に対する斧でなくてはならない」(カフカ)/作家が物語を創り出し、その物語がフィードバックして、作家により深いコミットメントを要求する。そのようなプロセスを経過することによって作家は成長し、固有の物語をより深め、発展させていく可能性を手にする。p.409
ジャズ・アネクドーツ
ビル クロウ / 新潮社 (2000-07)
読了日:2016年1月28日
職業としての小説家、村上さんのところ、あたりを読んで手に取りたくなった一冊。知らないミュージシャンも多かったので、馴染みのありそうなところをひろいよむ感じで。/当時、ハリウッドで人気のホセ・ファーラーが飛び入りで粋なプレイをみせたあと、スタン・ゲッツが肩をすくめ、ぶっきらぼうに、「もしあいつが俺のバンドで仕事したいっていうんだったら支払いはスケール(組合の規定給与)だからな!」といったエピソード/ツアーのかえりのバスでサイコロ賭博でつきについて、千ドル以上買って、他のメンバー全員をおけらにして家にかえりついたビリー・ホリデイ。/当時のバンドはほとんど「イヤー・バンド(譜面なしバンド)だった。曲を聴いて、そこに自分の潜り込めそうな場所を、自分が入り込めそうなパートを探すんだ。こういうこところが手薄だなと感じたら、それがあんたの居場所だ。/ピストルをつきつけられアル・カポネの本拠地につれてかれたファッツ・ワーラー。最初はおびえていたがカポネや子分たちからやんやの喝采を受けるとだんだん調子がでてきて、結局三日とどめおかれて、一曲リクエストごとに100ドル札何枚かのチップもをもらい、かえるころには数千ドルの資産がふえてた話/ゴムバンドやら糊やらチューインガムなんかであちこちくっつけたひどいサックスで、得もいわれぬような音をだしたレスター・ヤング。/麻薬の支払いをとどこおらせた報復に、ステージ直前に楽器をこわされたチャーリー・パーカー。バンドリーダーが用意していた、クラリネット、フルート、バスーン、あると、テナー、イングリッシュ・ホルンまでつかって吹きこなして、ステージをこなしたエピソード。/チャールズ・ミンガスが、最前列に陣取って、おしゃべりに夢中で聞く気のない客に、4小節ふいて、4小節客のおしゃべり、4小節ふいて、4小節客のおしゃべり…とくりかえしてほかの客が大笑い、みたいなエピソードも。
ダーリンは70歳 (コミックス単行本)
西原 理恵子 / 小学館 (2016-01-20)
読了日:2016年1月27日
過激なのろけ、ここまで描くか、というすがすがしさ。サイバラにそれを描かせる高須先生も懐が深いなあ、と。もっとも、随所に、これを描くなよと釘をさすのに、ことごとく描かれてしまうところまで描ききっているけど。一番おかしかったのが、接待下手で、並み居る外国の医師たちに最後はお土産に千疋屋のメロンわたしたら、外国ではみかんぐらいの安さで買えるらしく、最後のメロンのジョークがわからなかった、と何人もから電話をもらったところが一番ツボでした。人生の残り時間が少ないから、理解して、そのままでいいよ、また一緒に見よう、ストレートにほろりときそうなシーンもいくつもあり、過激すぎる愛情表現もあり、ジェットコースターのようでもあり。
タカコさん 1 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2016-01-20)
読了日:2016年1月27日
ひとより少しだけ耳のいいタカコさん。レストランで働き、お気に入りのアパートの一階で周りの人々の生活音にほっとする。ひとりじゃないと感じられるから。口数少なくいつも笑っていて、はたから見たら辛そうなことも受け止めているように見えても、のんびりと自分のペースで、ゆったりと、ときにへこんでも、立ち直って、見てる人は見てくれていて。読んでてほっとする物語。
空海―日本人のこころの言葉
村上 保壽 / 創元社 (2009-01-31)
読了日:2016年1月27日
おかざき真里「阿・吽」つながりで。最澄への理趣釈経の借用を断ったのは、経典の真意は修行を通してのみ理解できるものと知っていたにもかかわらず、それを経ずに伝法灌頂を受けようとする態度を断じるためだった、と。「秘蔵の奥旨は文を得ることを貴しとせず。ただ心をもって心に伝うるにあり」(「性霊集」巻第十)/文の起こり必ず由あり。天朗らかなるときはすなわち象を垂れ、人感ずるときはすなわち筆を含む(「三教指帰」巻上)/抜擢され唐へ派遣され、漂着した福建で、見事な書を披露し、大使に学識と才能を認められ、20年のところを特別に2年で特別に帰朝を認められ、歴代天皇に、書で、文化で、神秘的な力などで歳を愛された、と。もっと、類書にあたりたくなった。
見えないアメリカ (講談社現代新書)
渡辺 将人 / 講談社 (2008-06-17)
読了日:2016年1月26日
南部、都市、メディア、信仰…さまざまな切り口から、文学、映画、音楽など日本人でも触れることの多いアメリカとはちがった「見えないアメリカ」が描かれる。ポピュリズムがいい意味でも使われるケースがあるという背景、ヒューイ・ロング、ジョージ・ウォーレスら何人かのポピュリストから描かれる世相、政治も扱うテレビ番組が大勢に与えた影響。「保守」と「リベラル」といっても、そのなかでもさまざまな濃度、志向、傾向が見られること。自由主義という国是のなかでもさまざまな意見を持つ人々がいる。以下備忘録的に。/個別の例外をはじめから気にして分類そのものを拒むと、現存する傾向がなにも見えなくなってしまい、結果として統合的な理解にも到達しないからだ。/ノックして話してみないと、その地域の本当の「活気」はわからない。エスニック集団の流入具合や対立の緊張もキャンバシングでわかる /日本であまり知られていないことの一つに、アメリカ民衆の「反ワシントン政治」感情がある。/「無神論者」というのは、ある意味で「宗教の臭い」にきわめて敏感なひとたちである。/ハンティング愛好地域の素朴な「地域文化の否定」に対する反発と不安が、NRAなどのガンロビーとむすびつくことで強大な銃規制反対の流れになっている。/メンバー以外に利益をもたらす公共活動に身を捧げるには、ただ乗りの「フリーライダー」を大目見ないといけない/都市の移民マイノリティにみられるエスニックなアイデンティティ、「南部」などに代表的にみられる強烈なアメリカの地域性、「人民」の熱情としてのポピュリズム精神、なんらかの強い「信仰」、メディア環境。こういったものは「アメリカン・エッグ」のなかの二項対立の陣地にアメリカ人をとりむすぶ、”ミクロの接着剤”かもしれない。
日本人のこころの言葉 最澄
多田 孝正 , 木内 堯大 / 創元社 (2012-04-10)
読了日:2016年1月25日
おかざき真里「阿・吽」つながりで。「悪事を己に向かえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり(「山家学生式」六条式)。唐へ渡り、帰国、比叡山に法灯をともし、密教を学ぶため、空海から灌腸を授かり、理趣釈経の書写を断られ疎遠になり、徳一との論争に決着のつかぬままなくなるところまで。
ワカコ酒 6 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2016-01-20)
読了日:2016年1月24日
この巻は、なまこ酢、もずく酢など酢の物とじゃこが特に印象に残る。しかしほんと毎回毎回読むと一品つまみながら飲みたくなる。
蜩ノ記
葉室 麟 / 祥伝社 (2011-10-26)
読了日:2016年1月24日
江戸時代豊後の架空の小藩羽根藩を舞台に、奥祐筆だった庄三郎は、不始末がもとで、切腹のところを罪一等を免じられ、7年前に事件を起こし山村に幽閉され、家譜を書くことを命ぜられていた元郡奉行の戸田秋谷の補助、および監視を命ぜられる。最初は馴染まず、家老や筆頭祐筆の顔色をうかがっていたものの、次第に、秋谷の高潔な人柄、正しいことを恥じずに生きる姿勢に心惹かれ、秋谷が起こしたとされる事件にも疑いの目を向けていく。村でのさまざまな事件や家譜の作成が進められていくうちに、次第に真相があきらかになり…と。ひっかかるとすれば、信念と先見の明で幽閉中の身ながらも打てる手を先手先手で打ってきた秋谷が、拷問も辞さない役人たちの到来を予期しつつ手を打たなかったこと。いっても詮無いことではあるけれど。ただ、信じた道を突き進み、関わるものを心服させ、心には心をもってし、最初から穏やかではなかったにしろ、ある時点で腹をくくり、最後は従容と…いったたたずまいは心にのこる/「ひとは誰しもが必ず死に申す。五十年後、百年後には寿命が尽きる。それがしは、それを後三年と区切られておるだけのことにて、されば日々をたいせつに過ごすだけでござる」p.21/「だが、先の世では仕組みも変わるかもしれぬ。だからこそ、かように昔の事跡を記しておかねばならぬ。何が正しくて何が間違っておったかを、後世の目で確かめるためにな」p.46/「疑いは、疑う心があって生じるものだ。弁明しても心を変えることはできぬ。心を変えることができるのは、心をもってだけだ」p.126/「あのように美しい景色を目にいたしますと、自らと縁のあるひともこの景色を眺めているのではないか、と思うだけで心がなごむものです。生きていく支えとは、そのようなものだと思うております。」p.180/心空及第して等閑に看れば、風露新たに香る隠逸の花 p.186/「あの日のわたしはどうかしていたと思うが、いまになってはどうしようもない。江戸に出て学問をして学んだのは、おのれを顧みるということだった。古の聖賢の教えを学べば、いまからどのように生きねばならぬかがわかってくる。わたしは歩むことになった道を前に進むだけだ」p.203/「さようなことは自分で申せ。友とはいつでも心を打ち明けて話せる相手のことだぞ」p.229/「善行からは美しき花が咲き、悪行からは腐臭を放つ実が生るとな」p.243
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
村上 春樹 / 文藝春秋 (2015-11-21)
読了日:2016年1月24日
敬虔なラオスの街のたたずまい、橙書店で、ヤクルトスワローズ詩集を朗読した、東京するめ倶楽部同窓会的な熊本、ポートランドという名をもつ二つの街の意欲的なレストラン、などもさらりと読め、また個人的には興味深い、アイスランド、フィンランドの旅行記もあり。ノルウェイの森、ダンス・ダンス・ダンスを執筆したギリシャの島再訪も興味深く。/レイキャビクだけで340人の作家が登録されている作家大国、市井の人々が、音楽、絵画、文芸…さまざまな表現者として活動している人が多く、大昔から変わらないアイスランド語が大事にされ、動植物も孤島の特性ゆえか独自の進展をとげ、日本ほどの国土に万人の人口、火山が多く温泉も豊富なアイスランド。「天気が気に入らないじゃあ15分待て」という格言もあるほどの天候のかわりやすさ。首都のどまんなかでタイミングさえあえば見られるオーロラ。迷い込んだ子パフィンをひとばんかくまって翌朝海にはなしてあげる島のひとびと。/フィンランドのカウリスマキ監督兄弟のやっているバーでの、お店はあいてるのに注文すらできなかったというシュールなできごと/「それらの風景が具体的に何かの役に立つことになるのか、ならないのか、それはまだわからない。結局のところたいした役には立たないまま、ただの思い出として終わってしまうのかもしれない。しかしそもそも、それが旅というものではないか。それが人生というものではないか。」p.172-3
ようこそポルトガル食堂へ (幻冬舎文庫)
馬田 草織 / 幻冬舎 (2014-07-03)
読了日:2016年1月24日
ポルトガル料理に魅せられた著者の、ポルトガル料理旅行記。出会う人みなホスピタリティーあふれる、情熱的な人ばかりで。けれど、そこにはゆったりした時間がながれていて。心ひかれる料理とお酒の数々が。文庫版は、イマジネーションを働かせてもらいましょう、と図版はばっさりカットしたとのこと。ハードカバー版もみてみたくなった。/干しブドウ、干しイチジクを豚の血で固めたデザート!食べてみたい!/シミができたら、スプレーと靴みがきブラシのようなものを店員がもってきてくれるとか。個人的にはよくこぼすのでありがたいなあ。/商いのポルト、学問のコインブラ、祈りのブラガ、遊びと政治のリスボン。/「自家製ラードで鶏を揚げるとコクがでる。」/「パッパスは豚の血をベースに豚肉やレバー、耳、心臓、鶏肉などをすべてミンチ状にし、小麦粉を加えて煮込んだ焦げ茶色のスープ。ドロドロの濃厚さに驚いたが、クセというよりコクが強く、クミンがたっぷりきいていてスパイシーなので結構飲めてしまう。」飲んでみたい!
夜はもう明けている
駒沢 敏器 / 角川書店 (2004-06)
読了日:2016年1月21日
五つの章すべてに、少しずつ登場人物をだぶらせながら語られるストーリー。心の中に溜まり、固まってしまった、いいようのない悲しみ、暴力の塊。それに引きずられるもの、浄化され新たな一歩を踏み出すもの、さまざま。ただ、生硬にすぎるというか、そのまま描かれすぎるというか。もうすこし噛み砕いて、物語としてなめらかな方が、受け止めやすいようにかんじた。/「自分で感じたことを、感じなかったことにしてない?」/自分を支えてきた理由は言い訳ばかりで、人に対しては何も与えていない。体から力が抜けて、何かが底からはい上がってくる感じがした。/「大切なのは、そういうことではない。言葉がどうとか、誰の責任だとか、そういうことではないです。自分に魂が残っていることを、僕は奪われることでわかったんですよ」/「それまでの僕は、崖の上の日本兵でした。そういうことです」/「いちど始まった暴力は、心が空になるまで途中では止まらない、という話ですか」/でも苦しさから逃れようとして自分や相手を追いこむと、そこに何かが入ってきます。それはとても悪い存在です。/どの報道のなかにも、沖縄の国道が毎日のように渋滞している事実を伝えるものはなかった。/「何かの恐怖にさらされたとき、我われは精神の核とでも呼べるものとのつながりを失ってしまう。それこそが、テロリストたちが狙うものだ。我われはそもそもどのような人間であるのか、それを忘れさせてしまうのが彼らの真の企てであり、我われを人間たらしめている精神から遠ざけてしまうことが、彼らの快感であるのだ。」
半径5メートルの日常: 月刊はあちゅう (2015年8月号)
はあちゅう /
読了日:2016年1月19日
これで一月分ならなかなかバラエティー豊富で読み応えありそうに思った。公衆の面前でも下ネタを言う彼氏に悩んでいたときの、友達の、はるかちゃん、それはラッパーになるしかないよ、なんか言い出したら、フロム埼玉とか続ければ、て回答がツボでした。以下備忘録的に。/努力というのは、眠らない事じゃない、苦しいことじゃない。我慢する事じゃない。全力を傾けること。/会社に嫌々行くような社会人にはならない。会社は自分でその場所にいることを「選んで」いる。楽しめないのは自分のせい。/ひとつめは、嫌なことを嫌ということで、ふたつめは、やりたいことをやる、ということです。/感じよく接することと、自分を消耗してまで相手に合わすことは違う。疲れない人間関係を構築するためにちゃんと自分自身に、「消耗しない権利」を認めてあげよう。/「怒りは君を幸せにしたか?」怒りからは何も生まれない。/普段から漠然と感じてはいるが複雑すぎて言葉に出来なかったり、細かすぎて把握しきれなかったり、スケールが大き過ぎて捉えきれないような感覚が的確な言葉に代えて抽出されることである。(ピース又吉の文学に求める重要な要素の一つ)
赤めだか
立川 談春 / 扶桑社 (2008-04-11)
読了日:2016年1月18日
談志の弟子、というと談四楼のは何冊か読んだことがあったが、談春のは初。しかしこんな読ませる芸談をかける人がいるなんて。読み終わって即座にyoutubeで探して立川談春「包丁」40分ほど聴き入ってしまった。競艇選手目指すも挫折し、頼み込んで談志に弟子入り、目をかけられ稽古もつけてくれるようになったのに、風邪をうつしてはいけないと、談志からの稽古を断ったところあっというまに冷遇され、築地の市場へ一年修行に出されたり、弟弟子に先をこされたり、談志と師匠の小さんの仲をとりもとうと奔走したり。理不尽も憤りもかみしめつつ、それでも落語への師匠への愛が貫かれ、読んでて熱くなってくる。/でもな努力して皆偉くなるんなら誰も苦労はしない。努力したけど偉くならないから寄席に来てるんだ。「落語とは人間の業の肯定である」。よく覚えときな」p.13/よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。温む方にもキャリアが必要なんだ。p.64/「あのなあ、師匠なんてものは、褒めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん、と思うことがあるんだ」p.69/「私は、自分のしたくないことは、絶対にしたくないんです。師匠はわかってくれました」p.104/「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな(略)よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの。世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」p.116 談志流の嫉妬と馬鹿の基準。厳しくも刺さる。/「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情は談志の中にはないんです。そんなことはどうでもいい。何故なら…」「談志の心の中には、いつも小さんがいるからだ」p.282-3 談志には、オレとルビがふられている。このラストシーンもじーんとくる。
最澄・空海 (日本の仏教思想)
宮坂 宥勝 , 稲谷 祐宣 / 筑摩書房 (1986-03)
読了日:2016年1月17日
おかざき真里「阿・吽」つながりで。最澄「願文」と空海「秘蔵宝鑰」序文が読みたくて。「生ける時善を作さずんば死する日獄の薪と成らん」(「願文」より)/秘蔵宝鑰のほうは、リズム感がここちよい。「悠々たり悠々たり太だ悠々たり」「杳々たり杳々たり甚だ杳々たり」「知らじ知らじ吾も知らじ」「思ひ思ひ思ひ思ふとも聖も思ふこと無けん」「生れ生れ生れ生れて生の始に暗く」「死に死に死に死んで死の終に冥し」。「摩尼と燕石と驢乳牛醐と察せずはあるべからず。察せずはあるべからず。」宝珠とまがいもの、ロバの乳と牛の最上のバターとの区別をよくよく知らなければならない。

まんがでわかるLinux シス管系女子 (日経BPパソコンベストムック)
Piro(結城洋志) / 日経BP社 (2015-02-18)
読了日:2016年1月17日
さらりと読めて、理解できる、てかんじではないけど。ゆるふわな見た目だけど、ほんとうに理解するなら熟読しないとと思いつつ。個人的には苦手なLinuxのコマンド、シェルスクリプトを新入社員が先輩社員に教わりながら成長していくストーリー。ssh、正規表現、sudoコマンド、vimのコマンド早見表http://vim.rtorr.com/lang/ja/ が便利なこととか、実行権限、変数、環境変数、bash,cut,echo,sort,head,tail,kill,コマンドライン引数、関数,>,>>(リダイレクト)など丁寧に解説してある。まあ、使いこなすには実際に手を動かさねばですが。
職業としての小説家 (Switch library)
村上春樹 / スイッチパブリッシング (2015-09-10)
読了日:2016年1月17日
他書でもふれてあることでも、こうして、著者自身の小説に対するスタンスがまとまって読めるというのは貴重。以下、備忘録的に。/ポーランドの詩人スビグニェク・ヘルベルト「源泉にたどり着くには流れに逆らって泳がなければならない。流れに乗って下っていくのはゴミだけだ」(ロバート・ハリス「アフォリズム」所収)/ジェームズ・ジョイス「イマジネーションとは記憶のことだ」/もしあなたが小説を書きたいと志しているなら、あたりを注意深く見回してください/自分のことを「長編小説作家」だと見なしています/アイザック・ディーネセン「私は希望もなく、絶望もなく、毎日ちょっとずつ書きます」/ある意味においては、小説家は小説を創作しているのと同時に、小説によって自らをある部分、創作されているのだということです。/「何をどのように書いたところで、結局はどこかで悪く言われるんだ」/日本でデビューした当時にしていたことを、もう一度アメリカでやり直したことになります。四十代にしてもう一回「新人状態」にリセットされたというか。
きのこくーちか 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
新國 みなみ / 小学館 (2016-01-12)
読了日:2016年1月16日
ワーニャさんの元妻のところにいる娘さん登場。ワーニャさんの美しくもワガママな弟登場。紅ちゃんの友達のクールなあんずちゃん、きのこハウスに遊びに、とにぎやかになり、これからというところでの完結は名残惜しい。アミガサタケの肉詰めのトマトには食べてみたく思った。最終話には、ワーニャさんとゆん太くんの出会いと同居のいきさつストーリーも納められほっこり。
まりしてん訐藺緝(ぎんちよひめ) (PHP文芸文庫)
山本 兼一 / PHP研究所 (2015-11-09)
読了日:2016年1月16日
大友家の猛将立花道雪に、嫡子同然に育てられ、城督の地位を譲られた訐藺緝院のちの立花宗茂を婿に迎えるが、わたしが城督、という強烈な自負と、妻として夫に、という思いのせめぎあい。女は生きづらい、女はめんどう、何事も男の許しを得て、と思う反面、男も生きづらい、体面と意地が大事すぎてからめとられている、と思ったりも。通説の夫婦不仲説に反して、この小説では、訐藺緝韻里気泙兇泙閉鷂世鮟〔个鷹揚に受け止め、活かしていったこと、夫婦はさまざまな話をし、お互いに居心地がよく、深いところで通じ合っていると思っていた様子が描かれている。おそらく史料上では宗茂の施策とされていることを、種々、訐藺緝韻猟鷂世箸靴討い襪里世蹐Δ韻鼻△修海肋説。側室が来た後、城外に別居したのも、立花家のためを思って、不仲のためではなく、と。最後も、病死したのではなく、死んだことにして諸国行脚へというこれからの望みを託すような終わり方で。興味深かったのが秀吉の描きかた。最初は、日本を、朝鮮を、唐天竺までをという気宇壮大さ、情熱、偉大さを感じたが、最後には我欲にまみれたかさかさとした存在に。
村上さんのところ
村上 春樹 / 新潮社 (2015-07-24)
読了日:2016年1月16日
回答にくすりと笑ったりふむふむとうなづいたり、深くうたれたり。読んで見たい本、聴いてみたい音楽、見てみたい映画なども示唆を受け。以下備忘録的に/店に来た十人のうち三人が気に入ってくれればいい。そしてそのうちの一人が「また来よう」と思ってくれればいい。それで店って成り立つんです。/(メディアやSNSから離れて)ゆっくりソファに座って、モーツァルトを聴いて、ディケンズを読みましょう。/この話はまた今度にしましょう。/「意味はようわからんけど、なんかおもしろいし、読んだあと腹にたまるんや」というのが僕の考える小説の理想のかたちです。/瀬古さん。「日本でもっとも有名な小説家の方だ。村山春樹さんだ」/Bill EvansのアルバムaloneのHere's that Rainy Dayが一番好きでノルウェイの森読みたくなる、に対し、ビル・エヴァンス作曲のInterplayが好きという回答/情景描写と心理描写と会話が小説にとっての三要素。グレート・ギャツビーが完璧。/ハルキストではなく、村上主義者、で。/女性は怒りたい時に怒る、の対処法。これは自然現象なのであって、あきらめるしかないと思う。とにかく平謝りに謝ってその場を切り抜ける。/馬主になったとしたら馬名はと問われ「滝のしらたき」て/伊豆の網代という干物の街に、「猫が店番をしている干物屋さんがある」という情報を耳にして、カメラを持って訪ねたけど、見当たらなかった、というエピソード/スコットランドのアイラ島でとれる小さな新鮮な生牡蠣に、アイラのシングル・モルトを注いで、するっと一口で食べるのが最高においしい/「約束された場所で」の河合隼雄、村上春樹対談で人生観が変わるほどの衝撃を受けた読者/グレン・グールドが1958年に録音したハイドンのピアノ・ソナタ変ホ長調 Hob.X:49/何度も見返してる映画、ジョン・フォード「静かなる男」、フレッド・ジンネマン「真昼の決闘」/愚痴や不平や人の悪口ばかり言っているような人間を、僕はプロとは呼びたくないですね。本当のプロというのは黙って耐えるものです。まわりがなんと言おうと、自分のやるべきことをただ黙々と、手抜きなしに続けていける人間です。/「セロニアス・モンクのいる風景」/大西順子「Baroque」
唐から見た遣唐使―混血児たちの大唐帝国 (講談社選書メチエ (125))
王 勇 / 講談社 (1998-03)
読了日:2016年1月15日
上野誠「天平グレートジャーニー」つながりで。阿部仲麻呂については、帰郷を望みつつも、玄宗に許可を得られずとどまった、という描き方。羽栗翔は数奇な運命をたどり、位階のすすまなかった空白の40年を経て、天皇の側近まで上り詰める。藤原清河の娘、喜娘については、苦難の末日本にまでたどりついたことまではわかるが、その後とどまったか、すぐに唐へかえったかはつまびらなかならず、と。興味は惹かれるが。読んだ中では、今からみれば破天荒にも映る円載が異彩をはなっていた。また、弁

正、秦朝元親子のそれぞれの行く末も。
今日から人生を変えるためのエンジンになる本
はあちゅう /
読了日:2016年1月13日
めにとまったところ、引用したり、自分なりにかみくだいたり。/わからない人にはわからないでいいし、全ての人にお伺いを立てる必要は無いな、と。/ありのままの自分を受け入れるのも大事だけど、どんどん年をとるのは目に見えているので、60 才までそのままなら後退でしかない/どうせ批判されるなら、自分の好きなことをやって批判されたほうがよい/「頑張りたいけど頑張れない」っていうのは自分に甘えを許している証拠/自分の仕事に不満はあるけど、イライラして思考停止せず、なぜ私はここにイライラするんだろう、と考えることでその先に成長があるはず。/やりたい人はやる方法を探すし、やりたくない人は諦める方法を探す。/人っていろんなことで悩むけど、結局悩むのって自分のことが好きだから。自分のことばかり考えてたら悩むけど、ハッピーな人は人の事を考えているからあまり悩まないのかも。/自分の人生において、私は「私という会社」の社長であり、「私という雑誌」の編集長。
一緒に遭難したいひと 2 (ワイドKC Kiss)
西村 しのぶ / 講談社 (2005-07-13)
読了日:2016年1月13日
本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)
堀江 貴文 / SBクリエイティブ (2015-12-04)
読了日:2016年1月13日
備忘録的に。/「失敗が嫌だから、やらない」「あとで何か言われそうだから言わない」「嫌われたくないから、突っ込まない」それで何かいいことがあるのだろうか。/大事なのは信用であって、お金ではないのだ/「自分には才能がない」「凡人だからできない」といった時点で「今のままでいい」と言っているのと同じ/「やり方」なんてものはなくて、すべてが「トライアンドエラー」なのだと思っている/「リスクがあるからできない」と思っているものは、きっと「やる必要のないもの」だ/実際には存在しない「世間」などというものを気にする必要はまったくない/プライドはなくなったほうが、みんなに愛される。確実にとっつきやすくなって、人が寄ってくる/「彼/彼女」にうざがられているんじゃないか」「嫌われているんじゃないかと思ったら、その時点で負けだ。/打てる手を探そうともせず、ただ現状に対する愚痴をこぼすだけの人間を僕は「オヤジ」と呼んでいる。/十分な睡眠時間をとることによって、起きている間の生産性を高めることができる。/まずは、やりたいと思うことはすべてやろうとすること。そして、自分一人ではどうしようもなくなった時に、人に仕事を任せていき、そぎ落としたあとに残ったものがあなたのコアバリューだ。/量が質を作るのであって、その逆はない。/やりたいことを見つけて、ノリとフィーリングでチャレンジするだけ。僕が語ってきたのは、突き詰めればたったこれだけのことだ。/納得しなければやらない人もいるが、世の中はすごい勢いで前へ前へと進んでいる。「納得してから」という時間すらもったいない。/「言い訳野郎は立ち去れ」
マルコ・ポーロ―『東方見聞録』を読み解く (世界史リブレット)
海老澤 哲雄 / 山川出版社 (2015-12-20)
読了日:2016年1月12日
勢い込んで手に取ったが個人的には肩透かし。最新の研究成果にふれられるかと思いきや、話の進め方が古典的というか、東方見聞録の記載にそって話をすすめるが、他の史書には一切書かれていないが、マルコはそこにいたはず、という姿勢ですすめられていく。そこにいなかった、という可能性も大きいかと思うのだけど。それぞれの版による記載の違いは興味深い。また、遺品目録についても読んでみたいと思った。以下、備忘録的に。/カアンの側室の選考に漏れた女性をマルコが娶ったという説、そこから宮廷の奥深くの情報を得られたのではないか、と/旅程には、ミカエル8世による、ビザンツ帝国再興も大きく影響した。ジェノバと組んだミカエル8世により、ベネチアは冷遇されたため/
天智と天武 1 -新説・日本書紀- (ビッグコミックス)
中村 真理子 / 小学館 (2013-02-28)
読了日:2016年1月11日
百済高句麗新羅と唐。蘇我入鹿が新羅と結ぼうとしているととらえ、中大兄皇子を焚きつけて、大化の改新へと突き進ませたのは、百済の王子豊璋、のちの藤原鎌足だったという設定。そして、その際に殺したはずの入鹿と皇極帝の子供である月皇子が大海人皇子だったという設定。その大海人皇子が中大兄皇子に従者として欲しいと願いで流ところまでで一巻は終わり。新説というだけあり、初めて聞く説。展開が楽しみ。
響~小説家になる方法~ 3 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2015-12-28)
読了日:2016年1月11日
新人賞前に、新人賞選考の作家に蹴りを入れてしまった響。編集のふみに釘を刺されるも、深夜に乗り込んで、直裁な物言いと作品の力で、逆にその小説家を魅了してしまう。そして、個人的には、響と吉野桔梗の対話が興味深かった。なぜなるのかは人それぞれの物語があるのだから。当人にとって必要かどうかも含めて。
とんかつDJアゲ太郎 5 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-01-04)
読了日:2016年1月11日
アゲ太郎の妹が、とんかつとファッションの共通点に気づいて、服飾の道に進むことを決めたり、名古屋から乗り込んできたビートメイカーに、アンセム作りのためにビートメイクを特訓してもらったり、新しい大箱のイベントで、アゲ太郎のテーマを披露して大盛り上がりしたり。この巻もにぎやか、たのしく、そして、やっぱり読むととんかつ食べたくなる。
天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険 (講談社文庫)
上野 誠 / 講談社 (2015-01-15)
読了日:2016年1月11日
最初は、主人公の平群広成のキャラが薄すぎて入り込めず。率直な物言いが買われて抜擢されたはずなのに、上司の前でいいよどみ、まじめな性格なのか、その後も平板なものいいで、目立たず。大使のしたたかさ、秦朝元の軋轢を生みながらも事を前に進める才気などのほうが目をひく。ただ、物語が進むにつれ、特に、蘇州から出港したあたりから重い責任感を帯び。そこから漂流して、林邑、そこからふたたび蘇州、長安、洛陽、登州、渤海王府から日本に戻るまではまさに切った貼った、考えに考え抜いて、策をめぐらし、要路にわたりをつけ、なんとか帰ってくるまでには、手に汗にぎる。林邑で知らずにおかした誤りの一手が、直接ではないにせよ乗員100名余の命を奪ってしまった苦さをかかえつつも。そして愁眉は阿部仲麻呂の造形。あまのはら・・・のひたすら望郷をのぞむひよわなイメージがあったが、それをくつがえす、傲慢、力がある、そしてあくなき銭への欲求。ちょっと前に墓誌銘の発見で話題になった井真成の登場。吉備真備の冷徹さ、しかし持ち帰った書籍と学識が残した大きな足跡。周囲に登場する人物も魅力的で知りたくなってくる。/病床に伏せながら、土産を問われ、目の覚めるような春画を一巻買い求めてほしいと言う山上憶良/世の中には、話しかけないことのほうが、礼儀にかなっている場合もあるのである。(揚州組と新揚州組の軋轢)/「功も過もわれ一人にあり、我にしたがいたまえ」(平群広成)/ここでも無知は死を意味するのだ(林邑での襲撃を受けて)/あなたは、死んだ百名近い日本の遣唐使たちに対する責任があるとともに、私たちにも応分の責任があるはずだ。それを、勝手に死のうとは、身勝手にもほどがある。(安東)/
ほっかいどう映画館グラフィティー
和田由美 , 北の映像ミュージアム / 亜璃西社 (2015-11-26)
読了日:2016年1月10日
気になるところを拾い読み。いまでも現役のシアターキノ、行ったことはあったけど、無くなってしまった蠍座、東映パラス。本で読んだだけで行ったことはないけど気になる存在、ジャブ、ジャブパート2。昔は札幌にもこんなに映画館があったんだ、といったことにおどろき。札幌以外でも、民宿に転換した映画館というのもあったそうな。
真鍮のむし (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)
田中 啓文 / 東京創元社 (2014-03-12)
読了日:2016年1月8日
このシリーズもこの巻で一区切り。語り手のトランペット吹き辛島が、自身のクインテットを解散し一念発起してアメリカに渡ることに。そこへサックス吹きの永見緋太郎もついていくことに。失踪したバスクラリネット吹きの再発掘に手を貸したり、トランペットから足を洗おうとしていた辛島を大掛かりな仕掛けを組んでまで思いとどまらせたり、アフリカから来たジャズで身をたてることを夢見た若者の背中を押したり、ぼろい楽器ばかり盗まれる謎に挑んだり、と。ディスクガイドでは、「兆」富樫-山下デュオ、は聞いてみたく思った。
中原中也  新潮日本文学アルバム〈30〉
新潮社 (1985-05)
読了日:2016年1月8日
月子「最果てにサーカス」に触発されて、再読。秋山駿による評伝、最後の10ページほどを費やした大岡昇平の中原中也の写真についてのエッセイ。そして直筆原稿の写真を含む豊富な図版。/中原は泰子にたいして、愛人、夫、父親、保護者、友人の役割を演じようとしたのか?そのどれでもあり、どれでもない気がする/富永太郎「秋の悲歌」「私は透明な秋の薄暮の中に墜ちる。…私は私自身を救助しよう」/富永太郎「熱情的なフーガ」/中原は彼の詩をすべて「知識」以前の「生の言葉」を編んで作ろうとしている。そういう言葉で精神の頂点を探り、生の深みへ至ること。これが他の知的詩人との違いであり、われわれに直裁に問いかけてくる彼の詩の魅力の精髄/「白痴群」を創刊。詩をたくさん発表。それとともに、酒と悪口と喧嘩とを外套のように羽織った、ランボオかヴェルレーヌ張りの、不吉な背光に飾られた無頼の詩人のイメージをばら撒く。まだ22歳である。/まことに人生花嫁御寮、とくりかえす、「春日狂想」が中原の遺言であろう、と。
文学部唯野教授の女性問答 (中公文庫)
筒井 康隆 / 中央公論社 (1997-07)
読了日:2016年1月6日
女性からの質問に唯野教授がこたえるという形式で。備忘録的に。/仮定の質問には、仮定の質問がフィクションであることをはっきり指摘しておく必要。それに対する答えも、当然フィクションになるんだってことを言明すればよろしい。/サブカル関係のことなら、小林信彦「1960年代日記」でカバーできちゃう。/ファッツ・ワーラーというピアニストのジャズ、1929年「コニーズ・ホット・チョコレート」というレビューが大当たり、その中の一曲が「ハニイサックル・ローズ」、他にも「エイント・ミス・ビ・ヘブン(浮気はおよしよ)」という誰でも知ってる曲も/神の存在を証明した哲学者としてアリストテレスがとりあげられているけど、半かじりだけど、止むに止まれず動かそうとするものは神でなくてもよいのでは、と思ったのだが。もう少し読み返してみようかな。
泣くな道真 大宰府の詩 (集英社文庫)
澤田 瞳子 / 集英社 (2014-06-25)
読了日:2016年1月6日
灰原薬「応天の門」を読んで、なにか、菅原道真のものを読みたいなあ、と思ってたところにばったりでくわし衝動買い。ちょっとずつ読むつもりが、一気に読んでしまった衝動読み。貴族たちの陰謀にはめられ、人身位を極めたのに、太宰府にながされてきた菅原道真。最初は、嘆き憤怒し引きこもるばかりだったところを、怠け者すぎてあだ名が「うたたね殿」の龍野穂積、都では女流歌人として名をなしたこともあった小野しず子またの名は、よく知られる…とあとでわかるのだけど、にこやかな風貌の下に任地太宰府への強烈な愛を秘める長官小野葛絃、その甥の武人小野葛根しず子の兄とまわりを固めるキャラも魅力的で。ふとしたきっかけで、道真が港町の怪しい商人の目利きとして働くことになり、その伝で、葛根が見つけてしまった事件を解く役回りになり、それがひいては自分を流したものへ一矢報いようとすることに。また、己が都でつくった民のことを思った歌「寒い早十首」が、現場の役人や僧侶からすると、実情を知らぬ、はなにもひっかけぬものだったと知った時の嘆き。都の頂点と民の実情をよく知る政治家となり、太宰府の政治にもよい影響をもたらすというストーリーもあったのでは、という期待をもたせつつ、閉じられる物語。また、道真のみならず、まわりのしず子も、穂積も、葛根も、何かを掴んで変化していく様を見ているのも魅力的だった。/さりながら仏とは元来、自らを滅してでも他を救おうとするもの。ならばこのまま野に置かれてこそ、如来図はその真価を発揮するのではあるまいか。p.159/人は置かれた場所で生きねばならない。哀しみに沈み、悲嘆にくれるのもそれはそれで一つの生き方。さりながらただ我が身を嘆き、他人を恨んでも、そこからもたらされるものなど何もなかろう。p.198/積善の家には必ず余慶有り、積不善の家には必ず余殃有りp.232
カンタヴィルの幽霊/スフィンクス (光文社古典新訳文庫)
ワイルド / 光文社 (2015-11-11)
読了日:2016年1月6日
アーサー・サヴィル卿の犯罪、模範的億万長者、謎のないスフィンクス、については、福田恒存訳でも読んだことがあったが、読後感はさほどかわらず。アーサー…については、そりゃないだろうというご都合主義的な展開に、主人公にとってだけのハッピーエンド、皮肉?滑稽?大真面目?と首をかしげつつも。模範的・・・は、こじんまりとまとまりすぎた小話というか。謎のない・・・は、風情があるといえばいえるけれども、彼女をそこまで駆り立てたものは、当時の文化、風俗、時代背景に左右されたのだろうか。収穫は、"スフィンクス"こと、アイダ・エヴァーソン。「回想」は、彼女の目から見た、裁判前後のオスカー・ワイルドのダンディぶりをあますことなく描写してくれていて読み応えあり。余白に、詩編がのたうってる書をとりあげて、あなたは豪華な余白だけの書をだすべきといったくだりが印象に残る。先駆けた、文学での「4分33秒」と思って、思わず笑みがこぼれてしまった。/ウィンだダミア卿夫人「女が自分の過ちを魅力にできないとしたら、その女はただの雌です」(アーサー・サヴィル卿の犯罪)/「死はこよなく美しいにちがいない。(略)昨日はなく、明日もない。時を忘れ、生を赦し、安らかになるんじゃ。おまえなら、わしを助けられる。おまえなら、わしのために死の家の門を開けることができる。なぜなら、愛がつねにおまえと共にあり、愛は死よりも強いからじゃ」(カンタヴィルの幽霊)/
島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史 (角川ソフィア文庫)
上里 隆史 / 角川学芸出版 (2011-06-23)
読了日:2016年1月6日
エピソードを集めた軽いタッチながらも、さまざまな通説への反論も提示。/近世琉球王国は、薩摩藩の奴隷状態であったとする説は、近年、中国と日本に二重に朝貢する国家だったという見方が有力 /羽地朝秀の古琉球の政治経済社会を転換する改革。海中心の交易国家から、幕藩制に整合させるような形で、陸を中心とする農業国家へ。現在、琉球の「伝統」と認識されるものはほとんどこの時期にできあがる。その路線を受けつぎ完成させたのが蔡温。琉球の「中国化」が進められる。/山崎二休守三は興味深い。薩摩藩の琉球進行に抵抗した日本人。/オランダ船の旗をかかげて航行していた琉球船の知恵 /琉球王朝料理は現在、部分的にしか伝えられていない。ゴーヤチャンプルーやラフテーだけが沖縄料理ではない。さまざまなバリエーションがあった。時には和食かとみまごうものも/元朝第17代天元帝の次男地保奴(テイボヌ)が琉球に流されたという記録があるとか。/日琉同祖論は、日本からの強制ではなく、立派な日本人になることを目指した戦前の沖縄人からとなえられたもの、と。 /戦前の南洋諸島に沖縄出身者が多いのは、戦前の沖縄の経済状況を反映/喜界島をふくむ奄美諸島は、現在鹿児島県に属するが、薩摩藩に征服されるまでは、琉球王国の一部でもあった。一般に琉球の歴史といった場合、奄美地域、先島、は辺境と位置付けられているが、ヤマト中心史観に異議を申し立てた沖縄自身が沖縄島中心史観に陥ってないか、という提言。
一緒に遭難したいひと 1 (1)
西村 しのぶ / 講談社 (2005-02-10)
読了日:2016年1月6日
お金はないけど気のいい二人組みの美女のうち、片方に、お堅い公務員の茫洋とした彼氏ができて、いっしょに里帰りしたり、ご飯食べに行ったりののんきなお話。…いつのバブルの頃の話かと思いきや、15年ぐらい前の本。にしても、のんきすぎやしないですか、と思いつつながめる。なんで読みたいと思ったんだっけなあ。何かの本で紹介されていたと思うのですが。
銀翼のイカロス
池井戸 潤 / ダイヤモンド社 (2014-08-01)
読了日:2016年1月3日
今回も、破綻しかけの航空会社、政権交代を機にタスクフォースをつくって乗り込んできた政治家たち、行内の過去に問題融資を行った勢力を向こうに回して、半沢の胸の空くような活躍ぶり。ただし、返り血はもっとも信頼する者の退場という形で浴びることになったが。描かれ方は、過去に問題を起こしたこともあったけど、銀行はスジを通してやってきた、というストーリーだけど、利権に群がる政治家、不勉強なままスタンドプレーに走った政治家、ポピュリズムなマスコミ、再建屋でならした剛腕の弁護士たちの憎々しげな捨て台詞にも一抹の理がないわけではない。もちろん、本筋とのからみでいえば、それはそれ、これはこれ、ということになるだろうけれども。これ…続編はあるのだろうか。半沢が頭取になるところまで突っ走るのだろうか。「評価が定まるのは、常に後になってからだ。もしかしたら、間違っているかも知れない。だからこそ、いま自分が正しいと信じる選択をしなければならないと私は思う。決して後悔しないために」(中野渡頭取)
女の穴(リュウコミックス)
ふみふみこ / 徳間書店 (2011-09-13)
読了日:2016年1月3日
地球人と子供をつくるためにやってきた宇宙人と称する女子高生。夭折した兄が後頭部に人面疽のように張り付いてしまった女子高生。ゲイで男子校生に片思いする初老の古典教師の弱みをにぎっていたぶる普段は優等生の女子高生。一見極端に思える設定でも、語られる思いは真摯で、せまってくるものがある。
親子でがっちょりおかん飯
西原 理恵子 , 枝元 なほみ / 毎日新聞出版 (2015-12-10)
読了日:2016年1月3日
これは、おいしそうすぎて、連載中は太っただろうなあ、というパワフルさ。山形だしとトマトピラフは作ってみたくなった。そして…対談の合間に挟まれるマンガもパワフル。モチ10個キムチワンパック豚バラ肉500gにんにくショウガごま油上から山盛りチーズぶっかけてー、これでモチをおかずにご飯がもりもり!に、てめえこれ女の料理じゃねえ、と突っ込むサイバラの図。本日の金言:今のカレー粉超優秀、プロが何年も試行錯誤して作ったカレー粉です、家庭のかくし味は足をひっぱるだけ。金言頂きました:一つの料理に入れる具材は三つまで。それぞれ食感の違うものを。には、ふむう、なるほど、と。
中原中也―天体の音楽
樋口 覚 / 青土社 (2007-11)
読了日:2016年1月3日
月子「最果てにサーカス」つながりで。/中也の「詩的履歴書」より。大正四年より現今迄の制作詩篇約七百。内五百破棄。大正十二年より昭和八年十月迄、毎日々々歩き通す。読書は夜中、朝寝て正午起きて、それより夜の十二時迄歩くなり。/富永太郎の、上海への遁走とあわただしい撤退、「熱情的なフーガ」、中川千春さんの、詩についての悪態を集めた本、「詩とは何かー罵倒詞華抄」、谷川俊太郎がとても好きなエロティックな詩集といっている金子光晴「愛情69」は手にとってみたいと思った。/谷川俊太郎の、昔外国の詩祭でトルコの詩人と対話、通勤路に面した家に住んでいるが、自分の家のガラス窓に毎日詩を書いて貼っておく、道行く人はそれを読んでいく、という話、数学の教科書が詩で書かれているという話、が興味深かった。
中原中也 (講談社文芸文庫)
大岡 昇平 / 講談社 (1989-02-06)
読了日:2016年1月3日
中原中也とも一時期直接の交友があった著者による評伝。三章にわたり、時制が行ったり来たりで把握しづらい分もあったが、内容は濃密。長谷川泰子氏については、悪い人ではないし、美しい瞬間もあったが、詩才や文学の才などはなく、どちらかというと気のいい俗っぽい人、文学酒場にもタカりにくるような歓迎されざる客だった、小林との同棲時はノイローゼだった、という評価。/富永太郎の失恋の特徴は、それを過誤と敗北ではなく、自己の存在の理由に転じようとする意志にある、過誤を過誤と認めたくない大変な傲慢だが、その傲慢のうちに、大正十四年、二十四歳で死んだ。/もう秋か、ーそれにしても何故に永遠の太陽を惜むのか、俺達はきよらかな光の発見に心ざす身ではないのか、ー季節の上に死滅する人々からは遠く離れて。(小林秀雄訳)/病気というシチュエーションが二人を結んだと中原はいうが、通俗小説を連想するのは中原の中の「口惜しき人」のさせる業である。ここにあるのは、単に泰子が男を替えたという事実だけである。/中原の詩が今日これほどまでに読まれるに到った素地には、歌曲となりラジオの普及とともに浸透した、という一因もあった。/長男を失った頃の「ゆきてかへらぬ」「一つのメルヘン」「言葉なき歌」「冬の長門峡」「月の光」などの傑作は、長男を失った時期に書かれた。/安原喜弘「中原中也の手紙」にもあたってみたい/「お母さん、ぼくは女に逃げられたところなんですよ」と中原がいったので、「そう、それはよかったじゃないか」と答え、乱雑な家の中を一日がかりで掃除したという。(母フクさんへの聞き取り)/著者に贈られた、「玩具の賦 昇平に」という詩にもあたってみたい/中原の詩作群を、私小説的な告白とする者、後期には宇宙の理を体現するところまで来ていたとする者、さまざまな見方があるとか。周囲の、後世のさまざまな評価、毀誉褒貶の向こうに、各自なりの中原中也像が結ばれているのだと思う。
女子学生、渡辺京二に会いに行く (文春文庫)
渡辺 京二 , 津田塾大学三砂ちづるゼミ / 文藝春秋 (2014-12-04)
読了日:2016年1月1日
文壇高円寺、つながりで、手にとる。目にとまったところを。/他人とのつきあいなんて考えてもきりがない。人間はまわりから嫌われてもいい。自分はこういう人間ということで、いやならつきあってもらわなくてけっこう、でもつきあってくれる人とは誠心誠意つきあう。それでいいんです/自分の一生のなかで、あそこに遊びにいったら、誰かと会えるんじゃないか、そう思える場所があるということ自体すばらしいんです/お互い自分が育ってきた、所属したものに対する愛着というのがあれば、どうしても異なるものに違和感も生まれてくる。それがあることを承知しながら、それを超えた普遍的なものを求めていかなくちゃいけない。普遍的なものばっかりだというのは嘘なんです。/自分を確立しないと人のためにできないということはないのよ。自分自身がだめでも人のためにしてあげなさい。それが一番いいんです。/善も悪の世界も共に超えて包摂できる、包みこんでいけるものは宗教だけだと思うんです。親鸞さんだけだと思うんです。/人間という生き物は、光から影まで、要するに闇まで、振幅が大きいわけで、その全振幅というのを全面的に肯定しながら、それぞれの居場所をきちんと作ってやるということがやっぱり大事だと思うんですね。/人間とは、社会から必要とされ、役立つとか、そのために生きてるのではない。せっかく生んでもらった自分のこの生命というものを、生き延びさせていくということが、それ自体で、価値があること。/自分とは違う他人がいて、そのつきあいの中の楽しさもあった。それだけで十分。それが基本だということです。無名に埋没せよ、ということです。


2016年01月13日

2015年12月に読んだ本

期間 : 2015年12月
読了数 : 45 冊
僕はコーヒーがのめない 3 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2015-12-28)
読了日:2015年12月31日
コナコーヒーの農園主パーシーから出された宿題に取り組む花山。その答えは、ハワイ再訪時にようやく導かれ。その答えに満足したパーシーは、マーケティングの面では加々谷を後押し。社内の開店準備室もしっかり進捗し、バリスタも社内から選ばれたがやや波乱の予感。
長谷川 泰子 / 講談社 (1974)
読了日:2015年12月31日
編集が巧みなのか、長谷川氏の語りが生き生きと描かれ、そこに中原中也の詩をはじめとして関係する人々の文章が挿入されていく。なんとなくイメージとしては、長谷川氏は、中原中也のもとを去ったあとは没交渉なのかと思っていたが、その語るところが正しいのであれば、小林秀雄と同棲時も、その後も、結婚後も、行き来があったことがうかがえた。編者のあとがきでは、今回は事実を中心に語ってもらい、その当時の心境等はご本人がまとめたいとのこと、とあったが、それは果たされたのだろうか。一生を語り下ろされたのを読んだかんじでは、当時にあっても、自由でいろんな人と交友しざっくばらんな人柄だったことがうかがえる反面、本人が潔癖症と語る小林秀雄と同棲時に顕著だった神経症的な側面もあわせもっていたこともうかがえる。/中原と小林をみて、両方とも相手に一目おいて本格で話し、かえって喧嘩にはならず。けど、真剣勝負。おざなりに仲良くするのとはちがう、と。/「あなたは中原とは思想が合い、ぼくとは気が合うのだ」という小林のことば/小林の退院をまって、中原のところを去るつもりで、中原には黙っていて、いよいよになって「私は小林さんとこへ行くわ」と告げる/「俺は、実は女がいるんだ、女がジーっとして待ってるんだ」と言い置いてそのころはよく帰って行った小林/河上さんとの対話「秀雄さんいなくなっちゃった」「いじめるからだよ、仏壇に線香でもあげて拝んどきな」/小林がいなくなってからは中原がよく世話をやいてくれました/「中村屋」でばったり小林とでくわし。むこうもなんともいえない顔、こちらも何も話せず。/彫刻家の高田氏のアトリエで、よく中原ととっくみあいのけんか/松竹の撮影所にでかけるときも、中原が子供をあずかってくれたこと/「喧嘩しながらでも、私が中原から離れていかなかったのは、重要な何かを育てるもと、源泉をもってる人と思ったからです。それを私は中原をふくめたグループでみるとき、思想の里というんですが、そのなかでも重要な酵母である中原を失ったことが悲しい、と私は詩につくったのです」p.200
阿・吽 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2015-12-08)
読了日:2015年12月29日
この巻は空海の巻。土佐の海辺にて百万回の真言を唱える修行。丹生の村での経験。そして究極は、この国ではもう学ぶことはない、海の向こうへ向かわねば、という思い。その思いは偶然にも最澄のものと重なり次巻へ。
阿・吽 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2015-05-12)
読了日:2015年12月29日
最澄と桓武天皇の巻。山に籠り、修行に専念し、また、上も下もない、ともに学ぼうと、来るものを拒まず受け入れ続ける最澄。しかし、ついていけずに食料を持ち出して逃げるもの、つねに笑みをたやさず食料も調達してくるが得体のしれない者も。そばにあって、彼我の実力差に絶望する者。別の道へと進む者。「答えを途中で出すのは弱い者のすることだ」と断じつつもそばに残ることを決めた者。最澄が、絶望を抱えつつも進むのだ、と観じつつ。そして桓武の登場。民も家臣も家族も「愛」で救い得るとふるまうも、度重なる死、遠征軍の敗北、洪水…災難続きに自信もぐらつくが、そこにみた一筋の光は最澄だった、というところで結ばれる物語。
ジャズ小説
筒井 康隆 / 文芸春秋 (1996-06-10)
読了日:2015年12月28日
田中啓文「辛い飴」つながりで。そのタイトルもジャズ小説。千趣会のカタログに書いてあったものをまとめたのだとか。ジャズにまつわる短編小説と巻末にディスクガイド。タイムスリップで往年のニューオーリンズに降り立つジャズマニアの夫婦。墜落の警告すらツアーのイベントと信じようとするかしないかで大混乱の機中。ブラジルの流儀に染まった男が、後輩のもとへ去った彼女にとろうとする行動は…。気にいらないやつをバンドから追い出したくて解散したバンマスが出くわした出来事とは。などなど。チャーリー・クリスチャンのローズ・ルーム(葬送曲)、アート・ブレイキーのミラージュ、フランク・シナトラのワン・フォー・マイ・ベイビー(ミラージュ)、エラ・フィッツジェラルドのハウ・ハイ・ザ・ムーン(懐かしの歌声)、とにかく聞けば元気になるアフロ・キューバンジャズ、ディジー・ガレスピのマンテカ、クバナ・ビー(ムーチョ・ムーチョ)は聴きたくなる。
筒井康隆全集〈16〉男たちのかいた絵・熊の木本線
筒井 康隆 / 新潮社 (1984-07)
読了日:2015年12月28日
「辛い飴」つながりで、熊の木本線のみ読了。ひょんなことから山の中の熊の木集落によることになった男は、通夜の席に同席し、見よう見まねで、村人たちの踊りに混ざったが…と。正直、音楽小説としてはピンとこなかったけど、呪術的な側面に着目しだということなのだろうか。
ユリアヌス―逸脱のローマ皇帝 (世界史リブレット)
南川 高志 / 山川出版社 (2015-12-20)
読了日:2015年12月28日
逸脱の…と捉えると、周囲の予想を逸脱した軍事的才能を見せ、皇帝コンスタンティウス二世の敷いたレールを逸脱し、反乱し皇帝位に登り詰め。当時の宮廷文化、政治文化、規範から逸脱した施作を展開。伝統宗教を復興する試みは、当初、信仰の自由、宗教的寛容の中で実現しようとしたものの、次第に、独自の哲学観、禁欲的生活信条が前面に押し出され、一般市民、キリスト教徒のみならず、伝統宗教を信仰するものの理解をも逸脱していった、と。ただ一度ローマ人らしくふるまったのがペルシア遠征であったが、成果をあげられず、死を招いてしまった、と。反乱の際には、従来、周囲におされ、止む無く、といったユリアヌス像が有力であったが、状況証拠や事後の展開から考えると、本人が積極的で、主導権をとり、周囲に認めさせたのではないか、という説も提示されているのだとか。巻末に思想面から研究をすすめられている中西恭子氏の論文があげられているが、単著にまとまると個人的にはうれしく思う。
げんしけん 二代目の十(19) (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2015-12-22)
読了日:2015年12月27日
いよいよ卒業旅行も佳境。くじびきイベントでもつれにもつれた糸がさらにもつれて…。吉武さんの日光東照宮解説聞いてると、さらに関係書をあたってみたくなる。そして、単行本だけに出てくる、後日談4コマは相変わらず楽しめる。
落下する緑―永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫)
田中 啓文 / 東京創元社 (2008-07)
読了日:2015年12月27日
五十代の自分では常識人と思っているジャズトランペット吹きの辛島。率いるバンドにいる若手の天才テナーサックス奏者永見。辛島の語りで、ジャズにまつわるさまざまな事件の謎が、常識にとらわれない永見の発想で次々と解かれていくストーリー。巨匠と不詳の弟子の抽象画をめぐる謎。傲慢な評論家をとっちめる一編。姿を消したかつての人気トランペッターの軌跡。ジャズフルートから尺八の世界に飛び込んだ男の葛藤。亡くなった人気時代小説家の遺稿をめぐる謎。などなど。そうきたか、、、というのもありつつ、ストーリーにジャズをうまくからめてぐいぐいと引き込まれる。/「自分とスタイルが同じで、なおかつ自分よりも数段すごい場合はどうするか。そのときは、引退するしかない。自分の存在意義がなくなるからである。それでも現役を続けたいなら、新しいスタイルを編み出さなければならない。それがプロのクリエイティブなミュージシャンだ、と私は思っている。」/「ほかのメンバーのスウィング度を百とすると、彼は三千ぐらいスウィングしていたのだ。」/巻末の山下洋輔の解説もグルーヴィーというか、**はほとんどが**するんだよ、とか、あれがあれするテーマで、とかネタバラししないような配慮はご愛嬌としても、読んでて体がうねってくるというか。個人的には、テナーを堪能した!という気にさせてくれるデクスター・ゴードン「Swiss Nights, Vol.1」、モダンジャズトランペットの雄クリフォード・ブラウンの「The beggining and the end」、田中夏樹「コココケ」、トロンボーンの大原裕ひきいるSIGHTSの「El Sur」、など、解説をみただけで聴きたくなるアルバムが目白押し。
辛い飴 (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)
田中 啓文 / 東京創元社 (2010-11-11)
読了日:2015年12月27日
シリーズ第二弾。手に取ったきっかけは、蕎麦屋においてあった、ちょっと前ののジャズ評論雑誌。そこで紹介されていたのに興味を持ち。/この巻では、小さな島で行われる祭事にまつわるストーリー、地方の金持ちの道楽で建てられた豪華スタジオから次々と楽器がなくなる謎、伝説のブルースマンを探す旅、酒と博打で身を持ち崩したトロンボーン奏者を救ったのは、実は、、、という話。阪神の金本をモデルにしたと思われる応援団のトランペットにまつわる謎。40年ぶりに発掘されてヒットしたジャズメン達の来日をめぐって。敏腕だが傲慢な音楽プロデューサーとその妻をめぐる謎。そして、特別編には永見が登場しない、辛島と幼馴染の今はヤクザものになったアルトサックス吹きのストーリー。/アルバート・マンゲルスドルフのジャズトロンボーン、ガトー・バルビエリのThe Third World,ジャンベのママディ・ケイタのNankama,作中でミリカが歌ったパーカーズムード、聞いてみたくなる。著者が世界の音楽小説で最高傑作という筒井康隆「熊の木本線」も読んでみたい。
考えるヒント〈4〉 (1980年) (文春文庫)
小林 秀雄 / 文藝春秋 (1980-09)
読了日:2015年12月27日
月子「最果てにサーカス」つながりで。中原中也の章のみ読了。中也との思い出、追悼文、詩に対する評など30ページ足らずのもの。「中原は、言わば人生に衝突する様に、詩にも衝突した詩人であった。彼は詩人というより寧ろ告白者だ。彼はヴェルレエヌを愛していたが、ヴェルレエヌが、何を置いても先ず音楽をと希うところを、告白を、と言っていた様に思われる。」(p.70)
文学部唯野教授のサブ・テキスト (文春文庫)
筒井 康隆 / 文藝春秋 (1993-07-10)
読了日:2015年12月25日
文学部唯野教授を読んだ勢いで。唯野教授への100の質問では、唯野教授が筒井さんが言ってたけど、みたいな言辞を弄するのがおもしろかったり、ロレンス・ダレル「スピリット・オブ・プレイス」という紀行文に興味を惹かれる。また大橋洋一氏による筒井康隆氏へのインタビューでは、国書刊行会をやめて風の薔薇という出版社をつくった方が紹介されたり、高橋氏の教え子からの唯野教授のモデルは高橋氏ではないのかという手紙が紹介されたり。ポスト構造主義による一杯のかけそば分析は、パロディだからなのかもだけど、ぱっと見意味があるとは思えない数式の挿入、図式化、なんでも性欲、権力欲に結びつけるばかばかしさがにじみでていておかしい。類書としては、著者の「短編小説講義」、賞談小説の先駆として紹介されている「大いなる助走」についてもあたってみたい。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)
筒井 康隆 / 岩波書店 (2000-01-14)
読了日:2015年12月24日
伊予原新「梟のシエスタ」つながりで、何十年ぶりかの再読。文庫版のあとがきには、ベストセラーとなったあとのさまざまな反応についても触れられていて興味深い。大学を舞台にしたドタバタといえばこちらの方が先駆と思いふたたび手にとる。唯野教授の饒舌のドライブ感はくせになりそう。印象批評から始まって、構造主義まで、文学理論の講義を扱いながらも、同期の教授昇格運動、昇進の望みを断たれた講師の発狂、学内政治の力学と醜悪さ、覆面作家としての活動などが織り込まれた一大絵巻。扱いやすいテキスト、だいたいにおいて詩を評論することしかできないところから、日常のなんの気なしの行動をびっくりするほどの文学的言説で新鮮に変えてしまう異化の作用、テキストが書かれた状況を一切判断停止するところ、テキストを解体して、その向こうに何物かを構築しようとする動きまで…おしなべて借り物感、無理矢理感は否めない、かといって、気まぐれに起こる父親のように理論なき印象批評もよい影響を与えない、虚構の虚構による虚構のための文学理論が待たれる、といったところか。「文学は人生論ではない」というのもうなずけるところ。
うせもの宿 3 (フラワーコミックスアルファ)
穂積 / 小学館 (2015-12-10)
読了日:2015年12月23日
語られる長い長い松浦の物語。死者を宿に導き続けることになった経緯、そして女将との関係も。断ち切ることを、進められるも、生きて欲しいと願われ、世界は眩しいと感じ、戻ってくる結末。生も死も同じ、意味などない、変わらないものなんてない、けど、それでも、と。
弾言 成功する人生とバランスシートの使い方
小飼 弾 , 山路 達也 / ビンワード (2013-04-21)
読了日:2015年12月23日
さまざまな提言/最も重要なのは、何が正しいかではなく、何が残るか It's not what is right,it's what is left./読書に限らず、情報を取り入れるときは、問題意識を持っていることが重要、自分は何を知るべきかは、自分に何が足りないかを考えれば見えてくる。ヒントになりそうな情報が入った時にピンとくる。/本を読み終わったら、今度は「自分を読んで」みてください。その本を読む前の自分と読み終わった後の自分がどう変わったか/週40時間以上働いてはいけない、ワーキングプアの本質は、もらえる給料が少ないことではなく、多くの貴重な時間が奪われていること。/残業が多く、学ぶ人がいないならいる意味がない。/自分が何に対して強い興味を感じるということも飢えないとわからない/無記名の善意、誰でも利用できるツールがこれほど充実している時代は歴史上なかったでしょう/働かないと食べていけない、それを自分が安月給で働いていることの言い訳にしてはいけない/知的生産性を上げるために必要なコストは極小/知的生産性の測定は、キャッシュフローを生み出すのにどれだけ時間を使ったかを見ること/
梟のシエスタ
伊与原 新 / 光文社 (2015-07-17)
読了日:2015年12月22日
 「本の雑誌」のレビューで見かけて、手に取る。地方国立大学の学長選、学部改組をめぐるミステリー。順当に、出来レースで決まると思われたケースが、次々とひっくりかえされ、保身、名誉欲、抜駆け、先見の明、暴露、さまざまなものがあらわれ、強いと思われたものが墜ち、使われていたと思われた者が、遠大な志を秘めて取引していたり。梟こと袋井准教授は、数々の仕掛けを放ち、場を動かしていくが、その目的は…といったところが読みごたえがあった。何十年かぶりに、筒井康隆「文学部唯野教授」も読み返したくなった。
ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった (爆笑コミックエッセイ)
山下陽子(原作) , ヤマシタサツキ(絵) / リーダーズノート (2011-09-30)
読了日:2015年12月22日
タイトルどおり、ある日突然ダンナが手裏剣マニアになってしまい、会社も辞め、数少ない手裏剣術の使い手に教えを乞い、ついには、自分で道場まで開いてしまうというエッセイコミック。原作者は妻、絵は義理の妹という家族感。作中で妻も語っているが、よくそんな考え方でこれまで社会をわたってこれたな、と描かれるが、会社やめるときも、じゃあ最悪私がやしなったるわ、好きにしなさいと結果的に背中を押し、手裏剣術にのめりこむ夫にも、バサバサと切り捨てたり、ツッコミを入れたり、それでも受け入れたり、と懐が深く。四年前の本なので、まだ、道場は続いているのだろうか、その後どんな展開を見せているのだろう、といったところも気になるところ。
er-6人以上は危険水域!? ビッチな私の見分け方 (eロマンス新書)
日本ビッチ協会 , トイアンナ / KADOKAWA / エンターブレインDMG (2015-12-18)
読了日:2015年12月21日
四つの類型に分けて、特徴を分析、まわりの人にインタビュー、類型どんぴしゃの方おひとりにも深くインタビュー、という構成。痴女ちゃん、清楚ちゃん、サークラちゃん、メンヘラちゃんの4タイプ。
ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2015-12-18)
読了日:2015年12月20日
残酷な死をのぞむ囚人からの追跡。第七師団からの追っ手。それと知らぬ形での土方歳三との邂逅。そして、最後は、アシリパさんの父の秘密があかされる。厳しい網走監獄への道ゆきが示されつつ。
ピアノのムシ 7 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2015-12-16)
読了日:2015年12月20日
引き抜きにあったけど、環境待遇人間関係すべてを置いて、今の上司の調律した音が好きだからと残る決意。幻の巻き線技術を、結局幻のまま終わらせることになったケース。被曝ピアノの欺瞞と屈託と良心の呵責となにもかも飲み込んだ結末。最後は、このピアノはビブラートしない、という謎の言葉を残し。
放課後さいころ倶楽部 6 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2015-12-11)
読了日:2015年12月20日
父と娘の和解のきっかけとなったゲーム。秘かに想いを寄せる男子たちの願いを少しだけ叶えるゲーム。姉に認められたい弟が戦略を練るゲーム。ドイツから来て新しくできた日本の友達のことをより深く知ることのできるゲーム。ゲームをきっかけに深まる人間関係、ゲームの妙味と相俟って、楽しく読める。
火花
又吉 直樹 / 文藝春秋 (2015-03-11)
読了日:2015年12月20日
コンビで活動する売れてない芸人徳永。ある時、花火大会の余興でよばれた時に出会った、狂気すら感じさせる神谷を師匠として私淑し、影響を受け、葛藤する。ふたりの対話が理屈っぽさをはらみながら多大な熱量を感じさせる。やさしくつつみこんでくれる姐さんのような存在の真樹さん。しかし神谷が真樹さんにふられてからの迷走ぶり、加速度をつけて落ちていく様子、そして失踪。前よりは売れるようになった徳永の葛藤、そして相方の引退。神谷の再登場…その仕方のぶっとび具合と言ったら…。けど、見放せない、情の深さを感じさせつつ、閉じられる物語。ひきこまれて一気に読んでしまった。
ゴージャスなナポリタン
丸山 浮草 / 産業編集センター (2015-10-16)
読了日:2015年12月17日
ゴージャスなナポリタン、というタイトルだけで衝動買い。はっきりとはかかれないが、おそらく富山県を舞台に、印刷会社のコピーライターともふささんと、その友人、彼女、部下、近くのオフィスの人を巻き込んだ人間模様。40歳過ぎ、実家暮らし、独身、どことない先行きへの不安。このままでいいのだろうか小説、とあったけど、解決策というか、きっかけは発作的。自分の決断の遅さとはいえ、はしごをのぼったら、外されていた感