2018年07月01日

2018年06月に読んだ本

期間 : 2018年06月
読了数 : 31 冊
和田夏十の本
和田 夏十 / 晶文社 (2000-04)
読了日:2018年6月27日
木皿食堂で、気になる脚本家としてあげられていて手に取る。炎上、黒い十人の女、のシナリオを読む。どちらもググッと引き込まれ。炎上は、原作の三島由紀夫「金閣寺」も読みたくなってきた。/「僕の罪じゃないだろ、現代の社会機構が悪いんじゃないか。僕は被害者じゃないか」「社会機構を殺すわけにはいかないでしょ。人間が殺すことが出来るのは人間とその他の動物だけよ」(黒い十人の女たち)/親父は二度結婚して二度死別した、二度とも親父がくびり殺した、という「二枚の写真」も強い印象。/「ある人になにかを求めても得られなかったなら深追いしないほうが良い。なぜならその人はあなたが求めているものを持っていないからである。あなたはすぐに次の人を探しに出かけなさい」(聖書ふうに)/沢田研二やなかにし礼への言葉。そして、今では当たり前な言説でも、40年以上前では、きっと風当たりが強かったと思われる、女性への保守的な見方への批判が印象に。/「楽しい話なんて何処にもありませんわ。だから空は高く美しく、風は光っているのですわ。」(p.79)/
アフタヌーン 2018年 08 月号 [雑誌]
講談社 (2018-06-25)
読了日:2018年6月26日
あたりのキッチン:中学でうまくいかないと感じ、また夏バテもしている樹を気遣う阿吽の面々、という構図がほほえましく。波よ聞いてくれ:久連木の逃亡へ希望を繋ぐための仕方なしの入信と、それに続く南波ちゃんとミナレさん。それを見抜いた教団の儀式に伸るか反るかの所で、救援にきた三人の登場でどうなることやら。イサック:態勢を立て直したイサックと駆け寄るゼッタ。スピノラ隊長が突撃命令を下せば、スピノラ自身の命と引き換えに城を落とせる、という情勢を作るところまで持って行くことができ。スピノラの死んでは元も子もないという考えを引き出せたイサックの勝利。BLACK−BOX:レオンとの再戦は話題性を増していったが、降って湧いたのは、凌駕の周りが凌駕の罪をかぶったのではという疑惑。概念ドロボウ:全巻買った異端のダーツ漫画「エンバンメイズ」の著者田中一行の最新作とあって期待大。目に見えないものを盗んでいくドロボウと探偵の対決。これはこの先も面白そう。マージナル・オペレーション:イヌワシが指揮するところを初めて見たと興奮するジブリールの微笑ましさと、ミャンマー軍に襲われた村人をできるだけ助けようとするイヌワシに懐疑の目を向ける少年のシーンが印象に。ヒストリエ:王の前で謀反かと思われたエウメネスだが、実は王の前で宮廷での陰謀を示唆。最後はオリュンピアスが王の前に呼ばれ。はじっこアンサンブル:「聞こえないのに聞こえてる」ということばに、「音韻修復」「耳内倍音」「カクテルパーティー効果」「ノイズキャンセリング」という現象を矢継ぎ早に重ね合せる木村の博識と勢い。/広告からは、木尾士目の新装版「陽炎日記」「四年生」に単行本初収録の「クラチカットの街」、よ、酔いたい!てのと、ガイコツ書店員本田さんの本田さんの読み切り「たったひとつのことしか知らない」と辺獄のシュベスタの竹良実の「不朽のフェーネチカ」が7/6緊急電子化というのがすごく心惹かれる。
凍りの掌
おざわゆき / 小池書院 (2012-06-23)
読了日:2018年6月25日
ユリイカのこうの史代特集で見かけて、そのうち手に取りたいなと思っていた一冊。漫画家の孫が、祖父のシベリア抑留の記憶を聞き取って、漫画家したという形の作品。素朴な絵柄で語られる凄まじいまでの体験。敗戦間際に学徒動員され、どこへとも告げられず、配属されたのは、ソ連満州国境。敗戦後は捕虜として連行され、厳しい労働にさらされ、次々と仲間を失い。帰国だ、という噂と、果たされないことの繰り返しに深まる絶望。やがて、ソ連の思想教育で、階級が上のものや人望のあるものなどを吊るし上げる、密告が流行り、精神的にもきつい状況に。祖父はなんとか生き延びて帰ってきたものの、家族を振り切って、まっすぐ代々木の共産党本部に向かったものもいたのだとか。年月により記憶が薄れ、また、辛い記憶に蓋をしようとする作用から、思い出すことは大変だったろうにという思い。ただ、今では語られることも少ないシベリア抑留のことはしっかり伝わってきた。
麦の滴-おれは一万石(4) (双葉文庫)
千野 隆司 / 双葉社 (2018-04-11)
読了日:2018年6月24日
本家から降ってわいたような、菩提寺改築。分家の世子、正紀と正広が普請に関わるように命じられ、しかもそれにかかる各々250両を2ヶ月で集めろ、と。それは、もともと彼らが世子となった事を快く思ってない、正広の実父と本家の勢力が、彼らに無理難題をふっかけ潰そうという策略であった。主人公正紀は、商人と渡り合い、また街で助けた事のある商人に助力を求め、大麦、銭の相場に、足りない分の金策を賭ける事に。最後は老中の懐刀に陳情する商人たちについていき、理でもって銭価改定を具申し、自ら買った銭の相場を有利に進めるためのロビー活動も。これ先物ですよね。なかなかに先進的な商業の一旦に小藩の世子が目を開く、というシーン。そしてシリーズ初、次巻に続きます。
荒ぶる季節の乙女どもよ。(2) (講談社コミックス)
絵本 奈央 / 講談社 (2017-08-09)
読了日:2018年6月23日
荒ぶる季節の乙女どもよ。(3) (講談社コミックス)
絵本 奈央 / 講談社 (2017-12-08)
読了日:2018年6月23日
文芸部廃部の危機から、ひょんなことでなんとか顧問の先生を捕まえて乗り切り。それぞれ、片思いだったり、思いを寄せられてたり、イメチェンからの環境の激変と原稿用紙50枚の課題、劇団時代の指導者との邂逅、小説家として行き詰まり先生に迫るも逆に提案を受けたりと様々な方向に走り出す一幕、と。
北緯14度 セネガルでの2ヵ月 (講談社文庫)
絲山 秋子 / 講談社 (2013-04-12)
読了日:2018年6月23日
サッカーの日本-セネガル戦を前に、あれ、そういえばセネガル滞在記持ってなかったっけ?と本棚から引っ張り出してきた一冊。絲山さんの率直さが印象に残る。どれだけ危ないと注意されたって、無謀ではなく、自分なりに考え、感じた事を大事にして、突き進んでいくところと。そしてセネガルの面々、みんな率直に感情をぶつけてくる。子供らしい嫉妬、喜び、好意。/ブーレ・ヤッサ、ご飯の上に鶏のローストを味の濃い玉ねぎソースで煮たものを乗っけて食べる、ての食べてみたい。「衛生観念についていえば、セネガル人は我々よりずっと病気に弱いから、食べ物にしても、体を清潔に保つことについても、ものすごく気をつけている」「ここにはいくらでもうまいものがある。フランス料理なんてパーパパパパーだ」「もう、限界かもしれない。人の世話になるのは。人の都合に左右され続けるのは。外国にいるのってそういうことか?生きてるのはくだらない冗談を言っているときだけなのか」「言葉を生業としている私が、言葉じゃないんだ、ということを学んだのはとても大きいと思います。短い単語、平凡な言葉のなんと雄弁なことか(略)逆に、流暢な言葉は多くの者を壊してしまう。日本人と話すたびに、いろいろなことが壊れて行くのを感じるのです。」
中米ブラックロード
嵐 よういち / 彩図社 (2013-05-16)
読了日:2018年6月23日
メキシコからパナマまで中米を縦断。人口10万人あたりの殺人事件発生数が世界でも一二を争うシアダー・フアレスやサンペドロスラのような都市へ乗り込み。けれども気をつけていればそれほど直接的には事件に出くわすことはなく。ただ治安が悪そうな空気はひしひしと感じ。一部では東洋人への差別が存在することが描かれ。グアテマラのスラムでは、犯罪を犯すと追放されるため、それなりの自治が行われていることが描かれ。アンティグアを見下ろす十字架の丘で絶景を目の当たりにし。ダブルブッキングでバスの座席がなく、太鼓の上に座らされる羽目になり。シュウさん、オガミノさん、ムシゾウさんと個性豊かな旅の同行者が、一人旅よりも旅の行程を個性的なものにしてくれてるように感じた。「スラム」(彩図社)は手に取ってみたい。
ジャスミンの残り香 ──「アラブの春」が変えたもの
田原 牧 / 集英社 (2014-11-26)
読了日:2018年6月23日
エジプト、シリア、いわゆる「アラブの春」の影響を確かめに渡航した著者。革命前より状況が悪くなったとしても、革命を後悔していないと言い切るエジプト人たち。単純な白黒の線引きでは語れない状況。そして、最後は、優れた少数の集団が革命を起こして人民を指導するというモデルの機能不全が語られ、絶えざる権力への不服従のみが革命精神を成就するのだ、と述べられる。「大半の信徒たちは敬虔でありながらも、同時にイスラームの教えに抵触する偶像をまつったピラミッドを誇り、イスラーム主義者が忌み嫌うベリーダンスを許容し、マイノリティのコプト教徒(原始キリスト教)との共存に気を配っている」「悩ましいのは、反政府系メディアにも情報操作の影がうかがえたことだった。結局、どのメディアも信用できない。そのことが逆に市民たちに深い閉塞感をもたらした」「GIAはこのタクフィール(背教宣告)の対象を「不信仰な為政者を黙認している者」にまで広げ、さらに「GIAに服従しないすべての者」にまで拡大解釈した」「「美しき初期のウンマ」の再現という作業は預言者やサラフ(教友、父祖)のいない現在、私たちのような平凡な人間の手に委ねられるしかない」「でも、自分の可能性を広げるということはどだい、疲れるものだ。それが自由という者なのかもしれない」
バルタザアル
アナトール フランス /
読了日:2018年6月20日
中井英夫「香りへの旅」つながり。エチオビアの王バルタザアルが多くの貢物を持って、シバの女王バルキスの元へ。熱烈な求愛に思いは通じたと感じたが、お忍びで出た先でバルキスを守ろうとして命の危険にさらされるも、回復すると、バルキスの心は離れ。失意で故国に帰り、バルキスのことをきっぱり忘れようとし、そのことが噂で伝わると、自らの心変わりは棚に上げ、裏切られた気持ちになり、軍とともにバルタザアルの元へ乗り込むバルキス。しかし、己への気持ちが微塵も感じられないことをさとり、引き返す、と。神話の神々のような挿話。「まことの幸福は幸福をすつるにあり。われを愛せ、わが外なる一切の者を愛する勿れ。そはわれのみ愛なればなり」「人間は愛する為に造られたものだ。世の中には解釈の出来ぬ事が沢山ある」「女の心がはりだ」
ヨシダ,裸でアフリカをゆく
ヨシダ ナギ / 扶桑社 (2016-05-26)
読了日:2018年6月20日
ヨシダナギ写真展に触発されて。アフリカが好き、アフリカに憧れる、という気持ちだけで、英語なんて4語くらいしかわからないのに、英語と現地語しかわからないガイドを雇ってエチオピアに乗り込み。もちろん、憧れだけできて楽しいこともあったけど、語学力不足や差別、ゴーングマイウェイすぎる人々に振り回され、苛立ち続けることもあり、それでもものすごい優しくてホスピタリティに満ちた対応を受けることもあり、今となっては笑って語れるところがすごいな、と。ものすごく驚いたり、テンションが上がってるところは、手書き文字みたいなフォントになってるところがまたおかしくて。どんなに警戒心が強くてぶっきらぼうな少数民族も、同じ格好をすれば仲良くなれるという信念と実際にそうなれたこと。著者自身は黒い肌に憧れ、なりたいと子供の頃から思っていたけど、実際にそうである身からすると、そんな人ばかりじゃないし、肌の色だけで人生の選択の幅を狭められ、理不尽に思う人もいるという現実を突きつけられ。究極に困って言い返せなくてどうしようもない時は、号泣すると、自分が悪者になりたくないアフリカ人に対処することができたり(一般的だではない、とのことだけど)。なんだかんだで、だいたいは会いたい少数民族にあえて、写真を撮ることができていてすごいなあ、と。勢いとパワーには感服。他の本も、写真集にも触れてみたいと思った。/以下備忘録的に。/同じ国の人間でも、肌の色の明るさで階級がある、と語る男。今まででベストのクスクスだったけど、半端なく小石や砂が入ってジャリジャリした体験。カセナ族の幾何学的模様でとてもアーティステックな建物。エアコンの吹き出し口から大きなイグアナが飛び出してきて。「人は配られたカードだけで勝負しなきゃならない。ないものねだりをしても無駄だろう?だから、こんな何もない国で暮らしていても、私たちは毎日それなりに楽しむことができるんだ」(ジプチ)、アイスを食べてる時にはこないけど、余してるように歩いているとそれを察してさりげなく持っていく、「これがジプチ人だ」(ジプチ)。ガイドに止められてもラクダの生肉を美味しくいただき。濁った水で洗われたゆで卵に「何か問題が起きたとしても、腹をこわす程度だろう?そんなのトイレ行く回数が増えるだけだからあんま気にすんな」という割り切り。コマ族と仲良くなろうと、志願して全裸になって、葉っぱの衣装を身につける著者。ヒンバ族の"衣装"赤土を全身に塗り、重さを感じ、そして四日間取れなかったこと。
一年ののち (新潮文庫)
フランソワーズ サガン / 新潮社 (1960-01)
読了日:2018年6月17日
佐藤真由美「恋する世界文学」つながり。パリのふた組の夫婦、二人の女性をめぐる恋愛模様。とりとめないといえばとりとめないのだけれど。人の気持ちが変わるのは光速の17倍に、と仏典にあるという木皿泉のエッセイを思い出しつつ。そしてうまくいくかどうかは多分にタイミング、相手のご機嫌がうるわしいかうるわしくないかという側面も。そしておおっぴらに他に好きな人がいても隠そうともしない側面もあったり。最後はまた振り出しに戻ったような。読み終わってみれば、ベルナールの吐く言葉に一番惹きつけられていたのかもしれない。/文化とは、何もできない人間に残された唯一のものなのさ(ベルナール)/どうして、ある人たちからは何かを感じ、ほかの人たちからは何も感じないのだろう?(ベルナール)/そんな問題じゃないんだ。おれは分けあわないんだ(ジャック)/彼は、情熱というものが、人生にとってなくてはならないものであることを知りすぎるほど知っていたのだ。それから、情熱が君臨しているときはそれなしには生きられないということも。そのくせ、そうでない時、我々は結構情熱なしで生きられるのだが(アラン)/人は叫び声をあげて生まれる、それは意味がないわけではない、それからあとは、この叫び声の徐々に弱まった続きでしかないのかもしれない。(ベルナール)/人生には恋以外のこともあるのだ、と彼は気づいた(エドワール)/不幸は人に何も教えず、あきらめた人間というものは醜い(ベルナール)/われわれはまたもや孤独になる、それでも同じことなのだ。そこに、また流れ去った一年の月日があるだけなのだ(ベルナール)/以下備忘録的、人物一覧。

アラン …ベアトリスが好き/ファニー …アランの妻

ベルナール …ジョゼが好き/ニコル …ベルナールの妻

ベアトリス …女優志願/ベアトリス夫

エドワール …アランの甥。ベアトリスが好き。/ジョリオ …ベアトリスが好き。ベアトリスに良い役を与えられる劇場支配人。アランの友人。

ジョゼ …25歳の魅力的な女性/ジャック …医学生。ジョゼが好き。
悟浄歎異 —沙門悟浄の手記—
中島 敦 /
読了日:2018年6月16日
学はなくとも実務に優れる悟空と、学はあるのに実際の役に立たず、文字による教養の哀れを感じる悟浄。三蔵法師については、外面的な困難に遭遇した際に切り抜ける道を外ではなく内に求める、普段から動揺しない平静な心が作り上げられている、いつどこで窮死してもなお幸福である心をと語り。ある種の天才たちに囲まれ、己の非才を嘆きつつも、どこか親しみを覚えてしまう。
早乙女選手、ひたかくす 6 (6) (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2018-06-12)
読了日:2018年6月16日
ようやく早乙女さんとの出会いを思い出したサトル。そして、東京行きでマネージャーとライバルのミルキーと一泊するアクシデント。二人の子どもっぽい意地の張り合いが可笑しくて。最後ははじめてのデート、ボクシングの聖地後楽園ホールでお互いの決意を伝え合い、と。まっすぐで初々しすぎてまぶしくてなストーリー。
真昼のポルボロン(3) (BE LOVE KC)
糸井 のぞ / 講談社 (2018-06-13)
読了日:2018年6月16日
完結。持ちあがった縞さんのイギリス行きの話。察してるつぼが身を引こうとするも、るつぼの母のことをようやく思い出した縞さんは、今度こそ過去の轍は踏むまいとがんばり、最後は…と。大団円。失われた時間は取り返せないけど、きっと縞さんとるつぼがよい関係を築けると予感させつつ。教授と英梨さんのやりとりとその後の言葉を託してたところがすごく印象に。おまけのアフタヌーンティーを描いた小編もキュートで。
信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍
ロックリー トーマス / 太田出版 (2017-01-25)
読了日:2018年6月15日
信長、最後の一年間に仕えた「弥助」。イエズス会のヴァリニャーノによって信長に献上された黒人戦士。近侍する者となり厚遇されるが、本能寺の変においては、信長のそば、ついで信忠のもとで奮戦するも叶わず、教会へ逃れ、史料はそこから途絶える。可能性としては宣教師たちと九州へ逃れ、龍造寺隆信と有馬晴信の戦いの際、有馬方との砲兵として活躍したのでは、と。インド人は北東アジアの奴隷を「ハブシ」(アビシニアを表す)と読んでおり、それがポルトガル語では「カフル」となり、フロイスの書簡で弥助もそう呼ばれていたこと。いかんせん史料が少なすぎて、繰り返しと推測と背景説明が多かったように思う。それはそれで興味深かったが。また、アニメやテレビゲームなど現代における弥助のイメージにまで言及されてた点は面白かった。以下備忘録的に/光秀が弥助を伐たなかったのは、有名でも武名もなく注目に値するほど身分も高くない男だったからかもしれない。/推定では1630年代までにのべ数百人のアフリカ人が日本の居住していたとみられる/
イスラム教の論理(新潮新書)
飯山陽 / 新潮社 (2018-02-16)
読了日:2018年6月14日
「イスラム国」ですら、正しいイスラム教徒ではない、と非イスラム教徒が難じることはできない。むしろ、コーランに愚直に則った、それこそイスラムの論理に則った統治、行動だったと語られる。イスラム教徒の中にも、西洋の側から見れば、穏健から過激派まで様々ではあるが。西洋の民主主義と折衷した考えを持つ者もいるが、コーランに愚直に従って行けば、ジハードは義務であり、世界をイスラムの考えで染め上げることは正しいことであり。そこに対話はありうるのだろうか。イスラムは「寛容」などといった議論が一面しか指していないことも明らかにされる。またコーランを読んでその論理の一端でも知りたい。/「イスラム教は、神が人間に恩恵として与えた導きです。神の恩恵であるイスラム教が、人間の産物である民主主義に優越するのは、彼らにとっては「当然のこと」です。」「カリフが神の立法したイスラム法にもとづいて統治を行い執行権を行使する、これがイスラム教において正しいとされる政治のありかたです」「インターネットは、こうした規範テキストへのアクセスの物理的困難さや言語の障壁ですら、いとも簡単に取り除きました。」「ジハードの呼びかけが普遍化すればするほど、彼らにとっては好都合なのです。「イスラム国」は、この「ジハード・スイッチ」とでもいうべき者をオンにしたことで当初の目的の半分は果たしたと評してもいいほど」
北の島 グリーンランド
長倉 洋海 / 偕成社 (2011-07-08)
読了日:2018年6月13日
能町みね子「逃北」に触発されて。北極点まで1300km、グリーンランドで有人の最北の村カナークへと向かった著者。電気も通りプレステで遊ぶ子供た地、テレビもありと近代化の波は押し寄せ。温暖化の影響で氷が緩み、犬ぞりでカナダへ渡ることもできなくなり。また国際的な規制で狩猟も制限され、狩猟による生計は成り立たなくなり、子供達も憧れる職業ではなくなり。同行した狩猟は過酷な旅路、しかし自然の厳しさと対峙していることは感じられ。白熊そのままの毛皮のズボンは印象に残る。堅信式で振る舞われたキビヤック、実写は初めて見たが、「もやしもん」で初めて知って以来食べてみたい一品。
GO! ヒロミGO! コミック 全8巻完結セット
読了日:2018年6月12日
某最高学府T大生ヒロミの、ノンストップ暴走コメディ。何回読んでもパワフルで元気でるなあ、と。
だがしかし 1 (1) (少年サンデーコミックス)
コトヤマ / 小学館 (2014-09-18)
読了日:2018年6月10日
駄菓子屋が舞台のコメディ。実はすごいのかも、と思わせる、息子に店継いでほしい、店番任せて自分は遊びに行きたい、父。菓子への愛情もあり知識も豊富だけど継ぎたくはない息子。そしてやたらと絡んで来る、お菓子愛に溢れる菓子会社の令嬢、と。
夜の樹 (新潮文庫)
トルーマン カポーティ / 新潮社 (1994-03-01)
読了日:2018年6月10日
マキヒロチ、失恋喫茶まさこ、繋がりで。引用されてた一節は、夢を売る女、から。夢を買う富豪、夢を売る女、取り返しに行ったらすでに夢を使ってしまった、と…。夜の樹は、夜汽車で帰宅しようとしてた女子大生が、奇妙な中年男女と同席することになり、グイグイと距離を詰めて来るのに困惑しひやりとする。ミリアムは、夫を亡くして一人暮らしの老女が、美しい少女に目をつけられるが…ホラーな成り行きに。
香水
フランソワーズ サガン , ギヨーム アノトー / 新潮社 (1984-03)
読了日:2018年6月10日
アノトー、サガンの共著になってるけど、当初は大幅に参加の予定のサガンが病に倒れ、章末に少しエッセイを寄せるだけの形になった模様。中井英夫「香りへの旅」の参考文献で見かけて手に取る。/プルーストの作品はタバコの巻き紙一枚でこと足りるだろう。それは次の文章に要約されてしまうだろう。「レオニ伯母のマドレーヌは甘かった。」/現在まで、香水にかんするかぎり、セックスへのあらゆるほのめかしは惨憺たる失敗をこうむっているのである。/ノストラダムスは、いちはつ、ちょうじの蕾と、桃色のバラと、麝香と、龍涎香とを、鉢の中で混ぜ合わせる。ペストの予防薬。/パリ攻囲と食料欠乏のあいだ、人々はリュバンのジャスミン花精油を徴発し、このあまい香りをはなつ蜜でジャガイモをあげたのである。食料品の歴史でもっとも高価なフライド・ポテトだ。/現在化学で知られている二百万の物質のうち、五分の一、つまり四十万は固有の匂いをもっている。これら四十万の匂いは、ご存知のように、少量の基本的な匂いに決して還元されることがなかったのだ。/人々は、香水はつけて、身体は洗わなかった十八世紀を、ひどく馬鹿にした。十九世紀末の人々は、香水をつけず、身体も洗わなかった。/そして詩人の芸術とは、つかの間を引き伸ばしてみせることではないだろうか?...ジャック・ゲランの「青い時(ルール・ブルー)」。
木皿食堂2 6粒と半分のお米 (双葉文庫)
木皿 泉 / 双葉社 (2018-01-10)
読了日:2018年6月10日
脚本家木皿泉のエッセイ、対談、書評、シナリオ、などなど第二弾。/最近は全く売れないというペナント屋に売ってた「地球」と言うペナント。/まず、信頼関係があって、コトバはその場で初めて機能するものである。/人の気持ちは、光の速度の十七倍の速さで移り変わってゆくと仏教の本に書いてあるそうである。/高倉健さんを描いた「男の中の男」/お前まだバレてないのかと言われゾッとした男を描く「秘密を開く」/「寺内貫太郎一家」が向田ドラマの最高傑作/この世のほとんどは、どうでもいいことと、どうにもならないことでできている。(Q10)/今ここにある「現実」の中で一生懸命生きることも大事だけど、外から「現実」に揺さぶりをかけ、修正していくと言う二つの視点がないとダメだと思う。/脚本家和田夏十。市川崑監督の妻。/岩井俊二監督のナレーションもなく字幕だけのドキュメンタリー「市川崑物語」/シナリオ「逃げるってことは」にはグッときた。特に、バラバラに暮らしてる家族が、東京でオリンピックを見るために集まり、バスケを見ながら、「コートの中では、みんな、必死にボールを追っていた。ふいに中の人たちが家族に思えた。ボールは子供だ。その子供を取られまいとかばいながら、力の限りジャンプする。子供を自分の頭より高く差し上げる。それは、まるで生きる方へと押し上げているように見えた」にグッときた。
グアテマラの弟
片桐 はいり / 幻冬舎 (2007-06)
読了日:2018年6月8日
大学を出たあとぶらりとグアテマラに向かいそのまま永住してしまった著者の弟。そこを姉が尋ねたときのエッセイ。最も一番連れてきて欲しかった母を連れ出すことには失敗したのだけど。手土産も、チャッカマンでいい、と。「チャッカマンは売っているけど、たいてい火がつかないんだ」。一番印象に残ったシーンは、結婚して初めて妻と連れ子を日本に連れてきたシーン。グアテマラの山奥から初めて出てきた8歳のフェルナンドが、中華料理屋で新しい料理が出てくるたびに、目と口を限界まで開けて驚き、一口食べると世にも幸せに顔をとろかせたのを、著者の父がとろけるように眺めて、「こんなに感動して食べ物を食べる人間を見たことない!」とうなぎ、天ぷら、寿司、すき焼き、特大エビフライとごちそうに連れ出すけど、最後に、一番美味しかったものを聞いたら「さんま!」と著者の母が作ったさんまの梅煮を答えられ、がっかりの父、喜ぶ母の図まで含めて。/日本人相手メインのスペイン語学校を経営しつつ、日本人観光客が一人もいなくても暮らしていけるような布石を着々とうつ弟。/弟と二人で眺めたティカルの四号神殿の眺め/わさび醤油に浸して、間違いなくヒラメのエンガワだ、断じてココナツの実ではない!と言うシーン/ドーナツを砂糖汁に浸したみたいなブニュエロと言うお菓子/グアテマラから飛行機が離れたときに流れた涙。「すみません、悲しいわけじゃないんです。嬉しいわけでもないんです。寂しいわけでもないんです。でも寂しくないわけでもないんです。」
木皿食堂 (双葉文庫)
木皿 泉 / 双葉社 (2016-05-12)
読了日:2018年6月6日
脚本家木皿泉のエッセイ、対談、書評、シナリオ、などなど盛りだくさん。/気の利いた女が実は男にはとても負担なのだということを繰り返し描く向田邦子ドラマ。/雛祭りの歌を作ったサトウハチローが、当時妻に逃げられてて、楽しいだろ?な、楽しいだろ?と必死に子供に訴えかける情景が浮かぶとか/これからのドラマ。あまりにも甘いものでは現実離れし過ぎているし、かといってフィクションまで苦くては、観客は息苦しいばかりだ/何十年経っても朝起きて隣に誰かがいる不思議さ。「あ、おった!」と心のなかで言ってしまう、と/「お金を稼ぐのは尊いことだと思う。が、同時に、踏みつけにされることでもある。自由を得ることであり、不自由になることでもある。」/どんな関係であろうと、「大切な人」それだけでいいじゃないか、と思うのです。/いてよし!と言ってあげられるドラマを。/ウサギとワニが世界を作った寓話。ウサギが世界を半分作って、ワニが起きると、世界が半分できた!ワニがまた寝てるうちに、ウサギがもう半分世界を作った。そこで夢を見てる人がいるから世界ができるのでは、と。/それで出すときって、自分がなんかひき肉の機械に入るような感じになっちゃうんですよね(羽海野チカ)/「Q10」第6話の「さらば恋人」、聞いてみたい。/西遊記といえば、中島敦「悟浄歎異」、写真集 浅田政志「浅田家」赤々舎あたりは手にとってみたい。「Q10」のシナリオブックも。/木皿泉「君ほほえめば」、「世の中を忘れたような蚊帳の中」、木皿泉「くらげが眠るまで」 イッセー尾形、永作博美あたりは実写版見てみたいなとおもった。
水中翼船炎上中
穂村 弘 / 講談社 (2018-05-23)
読了日:2018年6月3日
17年ぶりの歌集。気になったのは四首。静かなのが二種。うららかなのと、あざやかなのを一つずつ。血液型が替わったのは、大量の輸血のせいだろうか。新しいことばで言った「たましい」はなんだろうか、と思いを馳せつつ。/もうそろそろ目覚ましが鳴りそうな空気のなかで飲んでいる水/カーテンもゴミ箱もない引っ越しの夜に輝くミルクの膜は/血液型が替わったひとと散歩する春は光の渦を跨いで/スカートをまくって波の中に立ち「ふるいことばでいえばたましい」
夜とコンクリート
町田 洋 / 祥伝社 (2014-02-03)
読了日:2018年6月3日
泥酔して終電逃して泊めてほしい同僚と建物が喋るのが聞こえるというその知り合い。静かな。不眠を払いのけてくれるようなイメージ、の表題作。謎の飛行機の残骸と、もう一つの世界から来たという老人の話。自分がいると思っている世界がくるりと一回転するような後味。そして、シマさんのイメージと語る寡黙な娘と仙人と呼ばれる男のささやかな交流。「別に信じてとはいわない」「それが私にとって本当であればいいんだ」「ありがとう わたしはおそれずに大人になる」。静かな、とても静かな後味。
消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)
豊田 正義 / 新潮社 (2009-01-28)
読了日:2018年6月3日
スゴ本つながり。戦慄する読後感。無期になった被告がだんだん人間性を取り戻していくように感じられるのが救いと言えば救いか。暴力による支配、何も考えられず、自らの意志をなくし、なすすべもなく流されていく恐ろしさ。対岸の火事と済ませられるだろうか、と考えさせられる。
青春、残り5分です。(3)
LiLy / カエルム (2018-05-28)
読了日:2018年6月2日
追い詰められたヨシの飛び降り。一命は取り留めたが一生歩けない体に。責任を感じつつ、一生寄り添うことを決意しつつも、どこかホッとしていると感じるダイ。編集者の道を走り始める葵。タケルのプロポーズを振り払って、惚れ込んだセツのプロデュースに賭け、昔の男山崎にもよろめいてしまう薫。子供ができたことで、今までしたことのない向き合いを弥生に見せる山崎。それぞれの道を示しつつ、8年後。後日談はそれぞれ、甘いだけじゃない、苦いところもあるけど、「あたしたちは気づいてなかったここからが本番だってこと」て終わり方が素敵。/巻末の対談、「一生青春!」ておじさんが好きじゃなかったが、ハングリーでいたい、現役でいたいて意味なら賛成、だけど人生のある時期をすぎたら、きちんと大人になることが知性と品格だと思っているんです。大切なものは大人じゃないと守れないから。大人になるのはすごくかっこいいことだっていうのが伝えたかった。というのがグッとくる。/人によって捉え方違うと思うけど 見た目とか育ちとか才能とか ぜんぶ関係ないところで 人が幸せを感じる瞬間て実は 同じなんじゃないかって そういうの追いたい気持ちでずっと編集者やってるよ(安村)/どんなに苦しい夜も必ず明けるから未来 そこに光をのせるの 自分で(薫)/
凶犬の眼 「孤狼の血」シリーズ (角川書店単行本)
柚月裕子 / KADOKAWA / 角川書店 (2018-03-30)
読了日:2018年6月2日
一作目「孤狼の血」が、昭和63年で終わり、平成16年までの年表が示され、平成16年時の日岡をエピローグで書いて終わってたので、続編は年表でさらりと書かれたところを埋めていく試み、ということなのか。エピローグのその後を書く手もあったと思うが。小料理屋志乃の晶子、一ノ瀬、瀧井、唐津、斎宮など、前作のメンバーも登場。大上が絡んだ一連の事件を知りすぎた日岡は田舎の駐在所に飛ばされ。そこには、以前、建築会社の社長と紹介された、実態は一ノ瀬の兄貴分の国岡が工事の現場監督として身を寄せてきた、と。やり残したことがあるからまだ娑婆にいる必要がある、やり終わったら必ずあんたに手錠をかけてもらうから、と暗に見逃すことを求める男の言葉を、信じて待つ日岡。そのやりとりでお互いの男に惚れ込むようになり。犬になれいうならあんたも俺の犬になれ、とヤクザ相手に一歩も引かない日岡。大上だったらどうしたらだろうか、と思いながら決断していく日岡。誰にも漏らさないとはいえ、ヤクザと五分の盃を交わす日岡。自分の貯金を崩して大金で不良刑事から情報を買う日岡。型破りで、彼なりに大上の意志をついだ日岡は、広島県警の暴力団係に戻ってくるが、手腕は評価され一目置かれるが、同僚からもその手法は批判にさらされている。これこのまま、第一作のエピローグまで突っ込んでいくのだろうか、それとも暴対法施行のなかで、変わっていくのだろうか。続編にも期待したい。
午前4時、東京で会いますか?―パリ・東京往復書簡 (ポプラ文庫)
リシャール コラス , シャンサ / ポプラ社 (2009-12-05)
読了日:2018年6月2日
中国出身フランス在住の作家と、フランス出身モロッコ育ち日本在住の実業家の往復書簡。読んでみて、基本、両者ともエリートだなあ、と。中国側は一族の苦難の歴史はありつつも、華麗な経歴。ただその中でもお互い、違った文化からみた今自分がいるところの文化みたいな側面にはふれてみたいと思い、手に取った。シャンサと春美、バルテュスの出会い、コラスと骨董屋の主人の出会いは強く印象に残る。/ページとページの間を読み取れる者にとって、本は作者の魂と心を映し出す見事な鏡(コラス)/我は、我思うゆえにあるのではありません。人間の考えがなければ世界は存在しない、などというのは、単純すぎます。(シャンサ)/関口夏子作品にふれてみたい思いと、ソフィア・コッポラ監督「ロスト・イン・トランスレーション」、二つの文化が出会いながら、決して理解しあえないことを描いた映画、観てみたい思い。


chokusuna0210 at 22:23|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年06月03日

2018年05月に読んだ本

期間 : 2018年05月
読了数 : 63 冊
マキ ヒロチ /
読了日:2018年5月30日
失恋した人にだけ見えると云う失恋喫茶まさこ。どんな失恋をしたの?と話をせがまれ、その人にあった一曲をかけてくれ、最後にビシーっと背中を押してくれる言葉をくれるまさこさん。最高です!ラインナップは、JITTERIN'JINN「プレゼント」、スピッツ「運命の人」、ユニコーン「すばらしい日々」。引用されたカポーティ「夜の樹」は読んでみたいと思った。「あらゆるものごとのなかで一番悲しいことは個人のことなどおかまいなしに世界が動いていることだ。もし誰かが恋人と別れたら世界は彼のために動くのはやめるべきだ」。/「恋が終わる度目をつぶって想像してみるの/愛した人が笑顔でおいしいご飯を食べ夜はぐっすり眠る充足した日々を/そして理想に燃え信念のために生きている人生を/そうすればきっと思えるでしょ/2人で過ごした日々はとっても素晴らしかった!って」
ののはな通信
三浦 しをん / KADOKAWA (2018-05-26)
読了日:2018年5月30日
昭和が終わるころをスタート地点にした手紙のやり取り、女子高生のしゃべり口調の応酬に、なかなかとっつきづらかったのだけど、気持ちのぶつけあい、激しさはつたわってきて。一度は通じたと思えた気持ちも、結局は離れてしまうことに。大学時代に再会するが、この時も結局はすれ違い。二十年の時を経て、またメールのやりとりが始まり…言えなかった思いも明らかになるが。たとえ関係がずっと続かなかったとしても、二人の間にあった激しい思いは、その後の人生を照らす道標になったと感じられた。/「ひたすら清廉に神と対話しようと努めても努めても、どうしても恋や欲望と手を切れず惑ってしまうというなら、明らかなことはひとつ。神の教えの方がまちがっているのよ」「だけど本当のところは無理だよね。だって私たちは友だちではなかったんだもん。もっと激しいなにかだったんだもん。」「あなたをなによりもだれよりも大切に思い、あなたの幸せを祈るものがいること。それだけは変わりません。永遠に。」「ひとが手にすることのできる最もうつくしいものは、宝石でもお花でもなく、記憶なのです。」「あなたに出会ったおかげで、私は人間として生きる喜びと苦しみのすべてを知りました。」
桜の園 (Jets comics)
吉田 秋生 / 白泉社 (1986-09)
読了日:2018年5月30日
女子高で青春を送る生徒たち、それぞれの葛藤と喜びと。しっかりした娘だなんて、望んで呼ばれたわけじゃないのに。男の子みたいって言われ続けてもちっとも嬉しくなくて。やりたいことやってる派手な人と思われてたり。それぞれ飲み込んだり、吹っ切れて違う方向へ行ったり、柔らかくなったり。そういうのいいなあ、と思いつつ。「みんながあたしを大事にしてくれないって思うのやめたの そんならあたしが自分を大事にすればいいんだって」。
孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子 / KADOKAWA / 角川書店 (2017-08-25)
読了日:2018年5月29日
小説→映画→小説、といった形で再読。映画を味わったあとで、もう一度小説の世界を味わい治したくて。やはり、こちらの方が、大上とヤクザたち、大上と大上班、大上と晶子、大上と日岡と、それぞれ濃厚な絆が感じられて、好み。二十年近く経ったあとの日岡が、すっかり大上の薫陶を受けた刑事になって、その意志を注いでいるシーンにグッとくる。
七つ屋志のぶの宝石匣(7) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2018-05-11)
読了日:2018年5月29日
町田くんの世界 7 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2018-05-25)
読了日:2018年5月29日
ちょっと猪原さんとの距離をはかりかねてた町田くん。けど栄さんや氷室くんのあたたかい後押しもあり、自分の気持ちにようやく気づいて、猪原さんにストレートに思いを伝え、ようやく付き合い始めたふたり。初めて町田くんのうちに遊びにきた時、猪原さんが、家族ってよくわからなくって、と言ったのに、難しく考えなくていいんだよ安心してここにいればいいだけだ、って町田くんが言ったのにグッときた。そして最後まで、町田くんは最高だった。それはプロポーズですよ、だなんて。
逃北―つかれたときは北へ逃げます
能町 みね子 / 文藝春秋 (2013-02-01)
読了日:2018年5月28日
稚内、グリーンランド、小樽、夕張、青森、三陸、宮城、新潟。疲れた時は北へ逃げる、そこでなんちゃって生活者として、滞在を楽しむのが好きという能町さん。稚内1ヶ月、やってみて欲しかった。グリーンランド編は再読したけどやはりいいなあ。夕張は、栗下食堂、おーやま、夕張鹿鳴館で町おこしだ!と。アイスランドが青森なら、グリーンランドは夕張、って、すごいたとえきたなあと。レストランと飲み屋以外、博物館、美術館、コミュニティセンター、郵便局、お土産屋、スーパー、カフェ、ケーキ屋、服屋、本屋、コンビニ、CD屋、墓地、海辺と巡ってヌークの生活を楽しんだってのもいいなあ。ノシャップ寒流水族館のヒレで自分をたたいてこっちに餌をとアピールするアザラシ、キュートすぎる。バカにしてるわけではなく、いい感じに寂れてる具合にグッとくるのだとか。
最低の軍師 (祥伝社文庫)
簑輪諒 / 祥伝社 (2017-09-13)
読了日:2018年5月27日
舞台は戦国時代、原氏の治める下総臼井城。上杉輝虎来寇の知らせに、北条方からの援軍は、松田康郷率いるわずか250の兵。城方の当惑と捨て石にされることへの疑義。松田のとった策は、易者である白井浄山を北条家随一の軍師に仕立てて、北条方が力を入れてると信じ込ませることだった。義のための戦いなら何をしてもいいのかという疑義。たとえ最低の軍師と罵られようとも、義のためになくなっていい命などない、という浄三のつぶやきが印象に。城方といえど、領民といえど、もちろん一筋縄ではいかず。浄三と河田長親の幼少期の因縁。その後の流浪の際に知り合った足利義輝の薫陶と戦のない世を終わらせるという理想と挫折。その際に抱いた上杉輝虎への憤り。戦術も何もない籠城軍へ授けた幾つかの策。そして最後に打った大きな策は、ギリギリのところで間に合ったが、それは...、と。河田長親のいうところが本当であったとしても、やられる方がおとなしくやられる義理はないし、それで打ち砕かれるだけの策であればそれまでのこと、とも思えるが、浄三がどう思い、どう自らに言い聞かせたかは行間から読み取るしかない。痛快なようでいて苦さも残し。
めしにしましょう(5) (イブニングKC)
小林 銅蟲 / 講談社 (2018-05-23)
読了日:2018年5月26日
レバーと同量の溶かしバターをミキサーにぶち込む。サイホンの原理でめちゃくちゃ濃いコンソメを取る。金華ハム、干しアミガサタケ、すっぽん、干し貝柱、カツオけずり節を加え...。茹でシャコのオーロラソース。テンパリングの原理。めちゃくちゃ美味しいけどめちゃくちゃ臭いチーズ、リヴァロ。と、この巻も青梅川さんの爆裂レシピ、暴走調理が目を楽しませてくれます。青梅川さんの過去を知る売れっ子漫画家さんも登場する一幕もあり。
アフタヌーン 2018年 07 月号 [雑誌]
講談社 (2018-05-25)
読了日:2018年5月26日
今号は「不朽のフェーネチカ」「フラジャイル」「あたりのキッチン!」が圧巻だった。/南米で、世界初、史上初の生前列聖を噂されるマザー・ドロテアとその背後を探ろうとするジャーナリスト、アレハンドロをめぐる物語。80ページたらずで語られる背景、重さ、究極の選択。「フラジャイル」は、恩師を生かすため、決死の集中力でようやく正しい診断にたどり着いたのに、自分の診断を信じてくれなかった担当医のために、助かる命を救えなかった悔い。泣きながら「今後私の病理診断は絶対です」と叫ぶ宮崎先生。そっとしておいてるようで、岸先生の、君の病理担当増やしといたから、が評価を伝えていて。「あたりのキッチン!」は、花愛づる鈴代さんに撃ち抜かれる清美さんと兼原くん、マスターの幼馴染の花屋さんのぎっくり腰から兼原くんが手をあげた花屋の短期バイト。鈴代さんと親しくなるために花に詳しくなりたい思いに、周りもニヤニヤしつつそっと支えてあげるのが微笑ましく。/あとは、決死の脱出も報われなかったけど、久連木の手の込んだ指示を理解できて、ようやく外部にSOSを送れた「波よ聞いてくれ」のミナレさんと、柳沼くんが自分の中の気持ちに向き合うことにしたのに対して、きっちりついていく「大上さんだだ漏れです」の大上さんかな。/「マージナル・オペレーション」の戦場のヒリヒリさを緩和するかのような、ジブリールのアラタへの恋心もじれったくなってくる。もっとどストレートでいかないと気づかない、いや気づかないようにされてると思いつつ。
レディ&オールドマン 5 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2018-05-18)
読了日:2018年5月26日
ケネデイ暗殺の日、ささやかなナットとオールドマンの誕生日パーティ、ナットを一緒に外に連れだそうとするレディとオールドマン。決意を持って外へ。ビートルズの映画とサンデーを食べるのを心から楽しんだナット。レディの母に会いにいく二人を見送ったナットだが…。レディは母に会えたが一筋縄ではいかなそうな雲行き。オールドマンも弟が行方をくらまし、と。最後はスピンオフで、ジョニーとクレイグの話も。
南米ブラックロード
嵐 よういち / 彩図社 (2008-10-27)
読了日:2018年5月26日
治安が悪くても危ない目にあってもそれを補ってあまりある魅力があることを伝えたい、とあるけど、これでもかと続く危ない目のオンパレードに手に汗握ってしまった。確かに魅力は伝わったけど、相当な準備と覚悟しないと乗り込めないなあ、と。荷物を全く持たずに、前、後ろ、横と15人の州兵に囲まれながら移動する日本人グループに遭遇、ってそこまでいるのかと。ブラジルに死刑制度はないが、様々な形で私刑の仕組みがあるのが制度の矛盾と言うか歪み。毎度のことながら、一節一節ごとのつながりが希薄なところもあるのはご愛嬌。バイーアの女王イヴェッチ・サンガロは聞いてみたいと思った。ペルーの強い酒ビスコに、レモン絞って、砂糖と卵白入れたビスコサワーも飲んでみたいと思った。そして編集者との関係。何か弱みでも握られているのだろうか...様式美なのだろうか。責任取れないしとる気も全くないと明言しながら、著者を、より危険なところに送り、危険な目に合わせて、命削ってこい、こんなんじゃまだまだ納得しませんよ、という様に、嫌悪感を感じた。
守りの名将・上杉景勝の戦歴 (新書y)
三池 純正 / 洋泉社 (2009-05-02)
読了日:2018年5月26日
景勝以外の記述はだいたい従来の通説に則っている感。関ヶ原前後の毛利輝元の行動が光成準治研究に拠ってるところが目にとまるぐらい(決戦に目を注ぐのではなく、大阪城に入って以降、西国支配に意欲を燃やし始めた)。景虎との跡目争いを勝ち抜き(景勝の扱いは臣下の第一人者だったが、景虎は常に謙信のそばに置かれ優遇されていたのでは、という指摘)、信長による包囲網で滅亡寸前に追い込まれながらも本能寺の変で息を吹き返し。紆余曲折を経て、天正14年の上洛で秀吉に従属する一大名に。1598年、越後91万石から、会津92、佐渡14、出羽庄内14の計120万石となった(とあるが、以前は、越後、佐渡、信州川中島だったような。)。会津への移封は国人領主を束ねる立場から近世大名に脱皮する契機でもあった。神指城は、敵を迎え撃つ意識が弱い、領国経営の中心となる意識が感じられ、それを謀反と称されるのは片腹痛かっただろう、と。上杉家への侮辱は、謙信への侮辱、この屈辱を晴らすため、傷つけられた誇りを取り戻すため、家康相手に上杉家の存続をかけても戦わねばならなかった。この「誇り」がこの本を貫くキーワード。革籠原で大規模な一戦を想定したと言う「北の関ヶ原論」には疑義。景勝が兼続に「武名の衰運今においては驚くべきに非ず」と語り、幸福。戦後は「律儀」を評価され、将軍家の深い信頼を得るまでに。「偉大な謙信の正統な後継者として、景勝はその誇りのままに最後の最後まで戦人として戦い抜いてきた。そこには己の生き方を貫いたという満足はあっても、少しの後悔もなかったはずである」
飲食男女(おんじきなんにょ)―おいしい女たち (文春文庫)
久世 光彦 / 文藝春秋 (2006-04)
読了日:2018年5月23日
違う唇が喋るのを聞いたエピソードからして妖しく強烈な導入。亡き親友の彼女に迫られた、背伸びして入った高級な湯豆腐屋。子供の頃の一時期一緒に住んでた親戚のお姉さんとジャム。同じアパートの人妻と白桃。次々と豪華なんだけど取り合わせの奇妙なディナーを持ってきてくれる親友の妻。メロンパン、クリームパン、刺身、せんべい、牛乳...。子供の頃仲間たちみんなで見た写真の女と電車でばったりあった驚き。札幌に疎開していた時にあった活発な少女。とろろ芋の好きな女。骨の鳴る女。近所の洋館に出入りする外国人の男女の思い出。煮凝りの思い出と共に語られる日仏ハーフの絵描きとの日々。/なんとも言えないあじわい深さ。もう何度か読んだらしっくりくるのか/「<ファウスト・ハイム>では、いつだってヴェルレーヌみたいな雨が降っていた」と言う一文の印象と、井上順のお茶の水えれじい聞いてみたいなという思い。
素顔のままで
北川 悦吏子 , 島崎 ふみ / フジテレビ出版 (1992-06)
読了日:2018年5月22日
ふと思い立って米米CLUBのベスト借りてきたら、その中に「君がいるだけで」入っていて、そういえば、「素顔のままで」の主題歌だったよな、と思い、ドラマ見たこともないのに、手に取った一冊。安田成美、中森明菜W主演の月9。お嬢様でおっとりしていて自分の気持ちを殺してしかれたレールを進んでいた司書の優美子、思ったことははっきりといいミュージカル女優になる夢に向かってまっすぐ進んでいくカンナ。正反対の二人が、ひょんなことから同居することになり、優美子はカンナに影響されて、しっかりと自分の考えを持つようになり、自分の気持ちに正直に生きていくように。それが、カンナの好きな一也との恋につながってしまったのは皮肉だけれども。カンナは孤独な生い立ちから突っぱりがちだったのに、初めての友情に触れ、信じられる人ができて、心がほぐれていき。5人のあいだで恋が生まれて、破れて、夢を見つけて、諦めて、諦めきれずに再び夢見て。最後は、どうして、と思わずにはいられなかったけども。そのうちドラマの方も見てみたいと思った。/「いくつになったからできて、いくつになったからできないってことないよ」(カンナ)/「感じのいいさよならなんか、私はいらないわ。私は心が躍るような瞬間が欲しい」(優美子)/「でも男との女のことは、そうそう決めたようにはいかないさ。さあ、始めましょうで、始まるわけでもない。気がついたら、もう始まってるんだよな」(卓郎)/「人が人を愛するというのは、とても大切な、かけがえのないことじゃないか。そんな心の大事な心の真ん中のところで、親友に嘘をついてしまって、本当の友情と言えるのか」(優美子の父)/「こんなことで駄目になるアタシたちじゃないだろ」(カンナ)/「カンナいつか言ったじゃない。明日や明後日は自分の味方だって」(優美子)/
孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子 / KADOKAWA / 角川書店 (2017-08-25)
読了日:2018年5月21日
映画が気になって、先に原作を読んでみたくなり。読んでから、映画の公式サイトをみると、ああ、この人は出てこないんだ、この人とこの人をまとめたな、とかいろいろ想像したり。知らない人からみれば、悪徳警官、違法捜査てんこ盛りで、ヤクザから上前はねて、めちゃくちゃなことをしてると言われる大上。新たに配属された日岡は、振りまわされ、違和感を、反発を覚えていたが、次第に、どういう思いで大上が行動しているかを知り...。そうなってしまったか、という思いと、ミイラ取りがミイラという思いと、いや、確かに意志は継がれ、と。続編もあるらしいけど、どう続いていくのか、年表で駆け足で語られた日岡の日々が描かれるのか、と。同志です、とつぶやいた重さが、ひどく印象に残る。
カラスと書き物机はなぜ似てる? (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2015-10-17)
読了日:2018年5月19日
女と猫シリーズ第四弾。美味しいもの大好きの専業主婦新上さんが主人公の三編と、前巻の主人公九さんと清水くんが主人公の二編。この構成。個人的には、九-清水コンビの話、作者も気に入ってると見たのですが、どうでしょうか。と自分に寄せて考える。新上さんのターンは、夫も母も子育てに協力的で、自分一人の時間として外に飲みに行くのもオーケー、保育園で虐待だ不倫だと絡んでくるママに、落ち込んだこともあったけど、ちゃんとかばってくれる人あり、理解してくれる人ありで、立ち直り、最後はきちんと言いたいことを言えて、と。並行して進む、銀さんとヒラリーの件は、さりげないアプローチに、ヒラリーが、その気はないから、とど直球で打ち返し続けるものの、自分のいたらなさを見抜かれやんわり大人の指摘をされたシーンでは素直に悪かったと思い、あえてそれ以上は突っ込まない銀さんの優しさも。九-清水コンビの続編は、小鳥遊さんが九さんタバコ減った、清水さんは九さんに合わせて酒量をセーブしてると見抜いたり、九さんのなんでも周りに喋ってしまうデリカシーの無さに、清水くんが「俺が我慢するからいいよ」と受け、それがさらに九さんを面白くない気持ちにさせてとループになるも最後は大団円。「良かった大きな病気じゃなくて」「俺達はもう若くないからお互い気をつけような」にグッときてしまう。
テラモリ 9 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2018-05-11)
読了日:2018年5月19日
テラモリへ入社したいと語る高宮に、平尾副店長の、もっと慎重に検討した方がいいというアドバイス。喜んでくれると思ったのに、意外な反応に、仕事に影響出るくらい悩む高宮。けど、誰だって完璧になんてできない、仕事に影響出ることだってある、とテツコのアドバイスに背中を押され。職場の実態を知ってなお、入社したいと言ってくれるなんて私たちへの最大の賛辞だわ、と花が語るのを聞き、少し考えをかえる平尾。そして、いきなりの職場へ高宮父の登場。不審な動きに怪訝な気持ちを抱くのをグッとこらえて丁寧に接客し、父親からも太鼓判を押され。高宮へ、入社したいと言ってくれたのは嬉しかった、と伝え。二人の気持ちも通じあいこれから、というところで最終コマのどんでん。次の巻ではどうなるのか。
たぶんサワークリーム
井口 可奈 / 密林社 (2018-03-25)
読了日:2018年5月19日
もくじが、小さなイラスト+ページで、そのキュートさに撃ち抜かれる。小さなイラスト+俳句+短い小説+短歌+短いコメントが見開き2ページに詰め込まれ、それが15パターン。一番好きな組み合わせは、七五三みずうみに放てば民話、と始まり、ループタイ 力が欲しいかと問われほどほどがいいと答える 欲しい、で終わる一編。誰も見てないけどみずうみに立てる主人公のエピソード。そして、おばあちゃんに車でひかれて、何でひいたんだと問われ、おじいちゃんが、愛だよ、と照れ笑いするシーン。とくべつな動物が吐き出すという錦糸卵どういう理屈だ、が唐突で印象に残る。
仕事は狼ではなく森へは逃げない(下) (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2018-05-17)
読了日:2018年5月19日
女と猫シリーズ第6弾は完結巻。まさか銀さんと小鳥遊さん、そう来たか、という展開から、小鳥遊さんのうふふふに刺激されたかのようで、ヒラリーは、銀さんのお料理には働く女子への癒しがある、と思い起こし、九さんの、どんなに疲れていてもこの店でヒラリーをいるとお酒が美味しいまた頑張ろうと思えるという思いがあったり。最後には、ニックネームじゃなく、本名で、きっぱりと思いを告げる銀さん、猫をみたら詩を詠むことも覚えてるで、と添えて。思いが通じて。猫を見なくても詩を詠めるようになった、どれだけ凹んでいてもたちなおれるぐらいの元気をもらったヒラリー。最後は、銀さんのお店で、粘着してくる元彼の上司に、きっちりとNoを伝えることができ、「私のための」「私の」料理を美味しく味わうヒラリーのシーンで大団円かな、と。
仕事は狼ではなく森へは逃げない(上) (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2018-04-17)
読了日:2018年5月19日
女と猫シリーズ第五弾は銀さんが主人公。ヒラリーへの思いを募らせる銀さんの独り言シーンに、なぜか居合わせてしまう清水さん。泥酔した九さんの代わりに携帯を探しに来て、「当然だろ惚れてる女なんだから なんでもしてあげたいと思うよ」とか、「ヒラリーさんは狼じゃないから森へ逃げないしね」とか、「何か変化があったのなら何もないより前進だな」とか、「年上のお姉さんはへこんだ年下の男が大好きなんだぜ」とか、要所要所でさらりと銀さんに、アドバイスとか、似たような状況にあった自分と重ね合わせた気持ちとかを伝えてくれて。けどけど、二度もヒラリーと朝を迎えたのに、ドキッパリ正面から、気持ちは嬉しいけど付き合えない、あなたが好きじゃない、とヒラリーから直球を投げられ、振り回された形の銀さん。研究と称して、ベトナムの花鍋を食べたかえりに、ヒラリーの自棄とも思える申し出に、「物理やなくてマインド!ええも悪いも気持ちごまかし生きとったら何やったってなんか減るんや!」「オレのメシ食うて出来た身体もっと大事にして」と潔く返す銀さん。二人の関係、袋小路のまま次巻へ。
鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2014-05-17)
読了日:2018年5月19日
女と猫シリーズ第三弾。詩歌の雑誌の編集長を勤める九さん。今期の新入社員は文芸とか全然詳しくないキュートな20代と、以前の部下で出戻りの清水くん。/清水くん「知識の差とか考えや常識が人それぞれ違うのはあたりまえ!みんな別の人生を生きていてたまたま今同席してるだけなんだから」/「俺の気持ちは室町時代の閑吟集の蛍です」(我が恋は水に燃えたつ蛍、蛍 物言はで笑止の蛍)と九さんに遠回しなようなはっきりとしたような告白/小鳥遊さん「マジョラムの香りを知ってるあの歳の男子なんて貴重よ」/清水くん「俺だってあなたの気持ちに火を灯したかったんだ」/タベルさん「年齢を年の功にするにはまずは素直にならなきゃね」/九さん「もういいとか言いながらずっと押せ押せで口説いてるくせに 私にどうして欲しいの?欲しくないの!?どっちなの!?」/そしてはっきりした告白は、都都逸の折句で風流な清水くん/そしてタベルさんから所望の都都逸は、ベタベタの大甘なのを提出。めでたく二人がうまくいったことを隠しても隠しきれない様に。/清水くん「俺 わからなくても聞くよ」「わかりあえなくても一緒にメシ食って楽しいなら充分なんじゃないの?」「わからない同士でもうまく一緒にいる方法を考えられるくらいにはお互い年をとっただろ?」/本当この清水くんが男前で男前で惚れ込んで、このシリーズで一番好きなキャラクターに。彼を主人公に一冊書いてくれればいいのに、と思うぐらいに。/煮立てたビールで豚しゃぶとか豆腐を煮る。
老いた鷲でも若い鳥より優れている (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2013-04-17)
読了日:2018年5月19日
女と猫シリーズ二作目は小鳥遊さんが主人公。バイト先にやってきたかっこいい店長に迫られるも、いなしかわしつつ絶妙な距離感を測り、銀さんのお店に連れてきたり。息子を愛するがゆえに、厳しいこともいい、自分が認めない彼女とは別れさせたり、当然反発も受け。凛として飄々としているようでも悩みどころは勿論あり。「母さんはあんたの奴隷じゃないし炊飯器でも冷蔵庫でもぬか床でもないのよ 洗濯機でも掃除機でも留守番係でもないし 思うままに怒鳴っていい壁じゃない 嘘つかれて待たされて平気じゃない 作った料理を食べてもらえなくて悲しくないわけじゃない」「人は私を悪く言わないかわりに距離を置く いつものことで辛くはないけど寂しかった でも今更どうにもで来ないと諦めているのも私なのよ」「50代の私は「妻でもあり母親でもある私」 「心地いいそ

れだけで充分幸せだわ」「老いた鷲でも爪は衰えてないって早く教えてさしあげたいわ」そして、銀さんの「体が欲しいもん教えてくれてる時は素直に従ったらええですよ」にグッとくる。ブリコのマリネ、しょっつる仕立て、揚げ出し豆腐のからし菜漬け、、地鶏の煮凍りとじゅんさいのポテトサラダ、食べてみたい。
女と猫は呼ばない時にやってくる (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2012-05-17)
読了日:2018年5月19日
二股の末彼氏は後輩に取られ、転勤で関西から東京へやってきたヒラリーさん。居を高円寺に定めたのは、憧れの詩人に会えるかもと言う目論見。猫を見たら詩を詠むことにするとマイルールをつくり。ふとした縁で近所のサラダとワインの美味しいお店へ。そこは研究熱心なシェフ銀さんと、佇まいの美しい凛とした美魔女でスーパーのパートさんの小鳥遊さん、美味しいもの大好き専業主婦新上さん、詩歌雑誌編集長の九さんと楽しい常連の集うお店だった、と。銀さんのほのかな恋心なり、妻子ありつつよりだけ戻そうと追っかけてきた元カレだったりごちゃごちゃあったりしつつ、そんなん酒と食事の肴程度のもん、初めて食べたもの、美味しいと感じる時が一番、と最高の笑顔で締めくくるヒラリーさん。憧れの詩人の正体も意外なところから現れ、と。
探検家の憂鬱 (文春文庫)
角幡 唯介 / 文藝春秋 (2015-05-08)
読了日:2018年5月19日
「探検を含めた冒険行為は人間が生きることの意味を表現するための有効な手段になる」と考える著者が、冒頭、便利な飛行機や自動車や通信機器の揃う現代で、冒険することの意味、どういったことが冒険となりうるかについて熱く語る冒頭は、少々理屈っぽすぎて、挫折しそうだった。なんでそんなことするの?と言う冒険しない人からの無理解に、きっと自分なりに考え続けたことだったのだろう、と。ただ、「それしかない」手段で行われた大昔の冒険と、無補給やGPSなし、単独、徒歩など、自ら望んで制約をつけざるを得ない冒険との間には、質的にも意味合いとしても大きな違いを感じざるを得ない。/「「物書き」が紀行文においてさりげなさを装うことは欺瞞にすぎない」(沢木耕太郎「夕陽が眼にしみる」)は、エッセイや自伝にも当てはまらないかとふと思い。/北極の冒険が文章になりにくいのは、「雪の上を歩いた。寒かった。飯を食った。寝た。」でかなり説明されるから、と言いつつ、アグルーカの行方は、手に汗握る読み物として成立していたのは、手腕が発揮されていたからか。/「私は探検や冒険がしたい。未知の空間の中ではらはらとした時間に身を置き、それをうまく文章で表現したい。だけどうまくそれができなくて困っている」/私たちの身体が自然から大きく切り離されてしまったことへの警戒感/
中井 英夫 / 平凡社 (1975)
読了日:2018年5月19日
香道、植物の香り、香水、香水の詩集、植物図鑑、オリジナルの小説、と様々な要素で魅せる一冊。香り高い題材、文章にたゆたい、遊ぶ一冊。/「クラブサンの上に置かれる白い指に似て、香りは眼に見えず人を虜囚にする」/vol de nuit 夜間飛行、には、夜を盗む、人でなしの恋、という意味もあるのだとか/橋立は老松という銘なのだから、海に映るその影をしみじみと思い浮かべて楽しむほうに主眼/紅い涙-夜間飛行、眸-カランドル、の印象的な詩/奈良の壺阪寺の盲人のための植物園、道標の綱がはっていて、それを伝わっていくといい香りのする植物だけ植えてあるのだとか/旧約聖書に題をとった、アナトール・フランス「ユダヤの太守」「バルタザアル」も読んでみたくなる。
穂崎円 / 穂崎円 (2017-11-1)
読了日:2018年5月16日
がたんごとんさんにて。ひさびさの一目惚れで完全に衝動買い。装丁の手触りもフォントも挿絵も色合いも好みで。そして中の短歌も個人的にはなかなかに好みの世界観。以下、引用しつつ。

ハローハロー視界は真っ白なのですが無かったことにはならない どうぞ(p.9)

樹が君にひとであること責めたのか 森に陽射しはまっすぐ落ちて(p.26)

君に降るあれは光でなく埃 懺悔のような上書きをする(p.31)

雪の降る予感に顔が上を向く記憶するとは負けていること(p.36)は、忘れてしまえる方が勝ちでいつまでも覚えてる方は...と言うたとえなのか。

束の間の眠りの前に分かちあう酒、歌、煙草、故郷の話(p.46)は、何となく初回、あるいは浅い付き合いだけどポツポツと話しあったりする情景が思い浮かび。

博愛のことば説きつつ地表まで決して届かぬ天使の梯子(p.51)は、少し皮肉さを感じながら。

心臓にふいご吹き込むようなひと今夜わたしの部屋へ来なさい(p.67)、はなびらがいくさの後に降るように今夜わたしの部屋へ来なさい(p.68)をはじめとした、一連の「今夜わたしの部屋へ来なさい」の畳み掛けるようなリズム。

あ。わたしの中の水位が上がりだし波際しろく泡立っている。(p.90)は、感情が溢れ出す瞬間をあざやかに切り取っているように感じ。

手はわたし、手放せるのはわたしだけ。広げた手から鳥が羽ばたく(p.118)

でも「きみ」はどこにもいない鳥の異称いつかは終わる影おくりの影(p.120)
重版出来! 11 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2018-05-11)
読了日:2018年5月16日
表も裏も光も闇も全部撮るんだ。世間の興味がご主人様だ。という週刊誌カメラマン。担当作家と人気アイドルのストーリーは苦い結末を見せつつも。/才能はあるのになかなか次作が出せない作家に、担当を黒沢さんに変えるという荒療治。最近の顧客は興味だけで購入するので、掲載誌、出版社などをほとんど意識せず、SNS発のヒットも多い。象徴的なエピソードとして、電子書籍ストアあてに届いたファンレター。そして柔軟にもweb用のコマ割の研究を始める漫画家さん。電子書籍は星の光みたいなもんかなと思う電子書籍ストア社員。星の光が届く時間は様々、読む人にゆっくり届く作品も、秒で届く作品もある、でも書かれた漫画は全て誰かの心に届いている、と。/自分の明らかなミスや弱点を確認したら負けたことは忘れていいんですと選手時代のことを語る黒沢さん。担当する作家さんも、徐々に前作が電子書籍で盛り上がりを見せ、次作にもようやく手がつき、そして知人の子が編集者になりたいと宣言する場に居合わせ、頑なな作家さんに少し春のきざしを感じさせるところで次巻へ。
現代詩人探偵 (創元推理文庫)
紅玉 いづき / 東京創元社 (2018-04-12)
読了日:2018年5月15日
SNSが縁で地方都市で開かれたオフ会「現代詩人卵の会」。九人の参加者は、今後の詩作を続けることと、10年後の再会を約して別れた。しかし10年後に集まったのは、5人だけ。他の4人は死んでいた。自殺だったのか事故だったのか。どうして死ななければならなかったのか。それまでどんな詩を書いてきたのか。最期の詩はなんだったのか。それらの詩にどんな意図が込められていたのか。それを知りたくて、主人公の25歳の男性は、遺族の元を、当時の関係者のところをまわる。時に、暖かく迎えられたり、冷たく追い払われたり。墓を暴くような所業とわかっていても、やめられず。その結果は生き残ったメンバーと都度集まり報告し。しかし、話が進むにつれ、詩にかけることの苦しみ、苦味、時折射す喜びが語られ、大きなトリックは主人公にも...と。最後、彼は詩を書くのだろうか、いや書くんだろうきっと、と思いつつ、また全ての創作者への祈りに深く頷きつつ。/以下備忘録として。詩は彼を救わなかったのだ。それが不幸なことなのか幸せなことなのか/たかだかそんなことのために。死ぬことで男の詩人になる、それだけのために/僕は知りたかったはずだ。死ぬしかなかったのか、死ななければ詩人でなかったのか。それを探して、考えて。/
おもたせしました。3 (BUNCH COMICS)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) / 新潮社 (2018-05-09)
読了日:2018年5月13日
新潮社クラブとあんみつと文豪のエピソード。開高健が、釣りで坊主だった時の哀れな開高健ですと言いながら出てくるとか半年缶詰で22枚しか書けなかったとか、庭から本当に逃げ出そうとしたこととか。川端康成の霊が、原稿に詰まってたら手伝ってくれるとかいう話とか。/留学の夢叶う友に、たい焼き型茶漬けを持って行き、一緒に食べつつ、留学先にもたせたり。/杜鵑花でさつきと読ませる名前がきっかけで不登校になった子に、森鴎外のオットーやアンヌなどに漢字をあてた子や孫の名前を教えつつ、吉祥寺のケーニッヒのホットドッグを頬張り/カップリングや腐女子がわからぬ老作家と、檀一雄と太宰治が、シュッとした二人が乱暴に毛蟹を食べる構図を思い浮かべたり/最後はみんなで持ち寄っての花見シーン。文学と手土産をからめた「おもたせしました」てエッセイ書きませんかと編集者から依頼を受けた主人公の寅子。きっとネタにはつまらないだろうなと思わせつつ。いつもLINEのみでやりとりしてた叔母のさくらさんは最後、後ろ姿までしか見せず、おもたせもかぶったところで、大団円、と。/文豪たちが名教師だった頃(佐久間文子)読んでみたいなと思った。クールに見える芥川龍之介が意外や熱血教師だった話、とかとか。
違国日記 2 (フィールコミックスFCswing)
ヤマシタトモコ / 祥伝社 (2018-05-08)
読了日:2018年5月13日
母を亡くした高校生の姪と、叔母の小説家。ぎこちないながらも始まった同居。元の家を片付ける過程で思い起こされる姉との忌まわしい思い出。それを抱えつつ姪の朝には自分なりに公正に接しようとする槙生。親のいない子と無神経に全クラスに知らされたと聞きすっぽかした卒業式。槙生の元カレの不意の訪問。そして槙生と旧友たちとの女子会。距離感、責任、自分なりの流儀、そのバランス。その模索する感じも読んでてすんなり入ってくる。
鞄図書館4
芳崎 せいむ / 東京創元社 (2018-05-11)
読了日:2018年5月13日
戦地で読んだ、ブルックリン横丁。そして、兵隊文庫。ノンフィクション「戦地の図書館」。ナチスの行なった、書籍大虐殺(ビブリオコースト)と重ね合わせながら語られる。また、クレオパトラとカエサルの時代にタイムスリップした鞄の活躍。警察官と婚約者と古本屋の微笑ましい交流が一転、その影にあったものは、というストーリー。ただの何気ない読書会かと思いきや次々と参加者の素性が明らかになり、というストーリー。ラッセル・ブラットん「ウィンブルドン」は読んでみたいと思った。/ダフネ・デュ・モーリア「いま見てはいけない」「人形」「鳥」を軸に語られるミステリー。など。「本というものは分解してみれば白い紙の上に黒い線が引いてあるものでしかないのです くねくねと曲がりくねったこの黒い線の列なりに 我々の心は深く揺らされ笑わされ泣かされ身体の底から勇気づけられる」(司書)
紫の夢-おれは一万石(3) (双葉文庫)
千野 隆司 / 双葉社 (2018-02-14)
読了日:2018年5月13日
高価な龍野の醤油をめぐる強盗殺人事件と、突如高岡藩に発覚した出入りの商人からの巨額の借財、その二つが結び合わさって進んでいくのが今回のストーリー。堅物で藩財政のことで頭がいっぱいで、時に妻の気持ちに無神経になってしまいむくれられる主人公。しかし、藩への真摯な思いは通じて、すれ違いを見せつつも、最後に今後販路を開こうとする各大名への振る舞いの場でも、妻が大きな役割を果たし。最後の、ふすまを開けるシーンは、もう一幅のドラマにしたい、このあとエンドロールが流れるな、という大団円。直言の臣下に、言外に殿も汗をかいて金策をと迫られたり、奥方に構えるところがあるから味のことしか言えなかったのではとアドバイスされたり。杭のこと、塩のことと前巻までの活躍が買われて、財政手腕を発揮している親族に見込まれて、借財を返すきっかけの大きな仕事を任されたり、と個人的には見所もいろいろだった。
アルカイダから古文書を守った図書館員
ジョシュア・ハマー / 紀伊國屋書店 (2017-06-15)
読了日:2018年5月13日
0513読了 イスラム武装勢力から古文書を守ったハイダラを軸に、彼が古文書を収集する仕事についた経緯や仕事ぶり、その後の寄付を募る活動、世界中からの講演やネットワークづくり、国内での古文書を扱う人材の育成、図書館の創設などが語られる一方、トンブクトゥを含むマリの歴史、中世に花開いた科学と宗教が共存する進歩的な学術都市と、原理主義の脅威にさらされるという反動をくりかえす歴史。植民地主義に翻弄され、独立後も一筋縄ではいかない状況。世俗的な音楽プロデューサーの活動。中世のイスラムに戻そうという原理主義的なイスラム勢力、ゼイネブ、ベルエフタール、ガリー、など。映画Timbuktuは映画館で観られたので、トンブクトゥのウッドストックも観てみたいと思った。実際の古文書救出大作成は、トンブクトゥ各所への分散した隠匿、トンブクトゥから首都バマコへの移送作戦の二段階に別れて行われたが、30回以上に渡る移送が、武装勢力に気づかれず、あるいは気づかれても見逃されたのかわからないが、奇跡的なこと、という印象と、実際の作戦遂行は、ハイダラの甥が身体を張って陣頭指揮をとったという印象を受けた。また堅物かと思いきやお茶目なと言うか図太さというか、図書館の建設は、資料のデジタル化が先と釘を刺されてたのに、無視して建ててしまい、しかも選定地ミスで数十年に一度の洪水で水浸しになった際は、それでいて、もう一度建て直してもらわなければなりません、という目的のためには図太い一面も持つハイダラ。訳者あとがき(2017年)段階では、まだ古文書をバマコからトンブクトゥへは戻せていないようだけれど、いつかそのニュースに触れられたら、と思う。また砂漠のブルース、アリ・ファルカ・トゥーレも聴いてみたく思った。「ハイダラが信仰していたのは、文字で書かれた言葉の力だ。本の表紙と表紙のあいだには、人間の多種多様な経験と思想が閉じ込められている。ハイダラはその力を信じ、それがこの男を衝き動かす原動力になっていた」
土漠の花 (幻冬舎文庫)
月村了衛 / 幻冬舎 (2016-08-05)
読了日:2018年5月12日
以前に読んだ同じ作者の「槐」と構造が似てるな、という読後感。半グレ集団に襲われたキャンプ場と敵意ある武装勢力に追われるソマリアの自衛官たち、というどちらも極限状況。戦ううちに、結束が高まり、理解しあい信頼も深まったと思いきや、仲間はどんどん死んでいき、全員は生き残れないと思い極めた者が自己犠牲で皆を救い、生き残ったものは、死んだ者たちの分も懸命に生きねばと思う。そして苦い読後感。だからと言って価値が下がるとかそういうものでもなくぐいぐい引き込まれたのだけど。「土漠では夜明けを待つ勇気のある者だけが明日を迎える」。
パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)
川内 有緒 / 幻冬舎 (2010-07-01)
読了日:2018年5月11日
絵を描く素養もなくパリに飛び込んで、絵描きとして評価され絵で食べれるようになったエツツさん。何度だまされても、前にフランスで暮らした楽しい思い出がないからそれまでは、と何度も再起する鍼灸師。前例のないヨーヨーのパフォーマーとして悩みつつも這い上がっていくアーティスト。本物のアフリカを感じたいからという理由でパリで花屋を開いた者。パリでオートクチュールのテーラーになった人。パリで漫画喫茶を開いた人。そんな生き方、考え方もあるんだ、と目を開かせてくれる人たちのお話。「全てはちゃんとやりたいようになるんだから。不安に思っているとそっちの方に行っちゃうよ。心配しちゃだめ、だめ。ほら、それよりさ、飲もうよ」(エツツさん)。スクワットの成立過程については、何か他にないかあたってみたく思った。「日々やっていることはしょうもないことでも、それが何か大きなものにつながってる。自分は確かに正しい世界にいるって知ってることが大切。」(国連職員)
短歌と俳句の五十番勝負
穂村 弘 , 堀本 裕樹 / 新潮社 (2018-04-26)
読了日:2018年5月9日
歌人穂村さんと俳人堀本さんが、毎回、いろんな方からお題をもらって、それを互いに詠む。それに伴い、詠んだ背景や思い出、空想などを重ね合せる一冊。お題「窘められて」の"なめくじにトマトケチャップかけてたらたしなめられて恋に堕ちたり(穂村弘)" "瞑目を窘められてジャズ暑し(堀本裕樹)"は一つのお題で、個人的に二人ともいいなあと思った題。それぞれ背景は全く違うけど。瞑目を...は若い頃、デビット・マレイ 「octet plays Trane」をふと聞いたことからジャズ喫茶にはまり、そこのマスターに言われた一言にちなんで、と。あとは、堀本さんの”つやつやのバターロールや秋の湖” "切り口の楕円美し胡瓜漬け"が鮮やかな一瞬を感じ。 "スキヤキを低く歌ふやクリスマス"にしみじみとした情感を。また、穂村さんの”五円玉にテープを巻けばゲーム機は騙されるって転校生が"に思わず小学校の情景が浮かぶ。最後は、あとがき対談。異化を感じさせるという西東三鬼の俳句、読んでみたくなる。/引用としては、元カノがつけてた香水をふと嗅いでしまった混乱から、ラマンのDVDを借りたり、不意のエロスだけが風景を異化する、という句が苦虫を噛み潰した村上龍の顔とともに浮かび上がった、とか。「人生はただ一問の質問に過ぎぬと書けば二月のかもめ」(寺山修司)を自らの句と重ね合わせたり。初代ファミコンのよくやったゲームが個人的にドンピシャだったりの堀本さんの雑感が目にとまる。
桝田 武宗 / 筑摩書房 (1990-04)
読了日:2018年5月8日
八重山を読む、つながり。八重山の社会と文化、つながり。寡聞にして知らなかった、八重山共和国とはなんだったのか。終戦直後、行政機構としては、日本政府も、沖縄県も、八重山支庁も無くなった八重山で、”食料の欠乏、物資の不足、手のほどこしようもないマラリアの蔓延、あらゆる種類の犯罪の多発、闇商人たちの横行、栄養失調者の群れ”という状況の中で立ち上げられた、八重山自治会=八重山共和国。著者が幅広く調査してきて打ち立てるにいたった仮説をバックに、執拗に、独立を意図していたのではないか、という問いかけをし、ようやく肯定してくれた当時の創設メンバーの一人。ようやく手にした自治だったが一週間足らずでアメリカ軍政の支配下に置かれ、事実上解散。しかし、そのメンバーの多くは、引き続き発足した、八重山支庁に参画したが、人民寄りの政策により実害を被る資産家らのロビイングにより、11ヶ月で、首長はじめ大量の離職者をだし、八重山共和国の理念は崩壊した、と。著者がピックアップした、当時の海南時報の記事も、当時の空気感を知るよすがとして参考になった。
羊の木(5) (イブニングKC)
いがらし みきお / 講談社 (2014-05-23)
読了日:2018年5月7日
最後の方は暴走して自滅するものあり、なんども与えられたチャンスをことごとく無にして消えたものあり、そして、のろろの正体は、三田村は何者で動機はなんだったのか、プロジェクト自体があったのかという可能性まで示唆しつつ、ひとまずの大団円。残されたものはそれぞれ溶け込んだのだろうと思わせつつ。
羊の木(4) (イブニングKC)
いがらし みきお / 講談社 (2013-10-23)
読了日:2018年5月7日
ネコノヒー 2
キューライス / KADOKAWA (2018-04-27)
読了日:2018年5月7日
納豆リベンジもやはり果たせずネコノヒー。菓子パンのカロリーを見てしまって震えるネコノヒー。セクシーに塩をふるトルコ人ヌスレットの真似をするネコノヒー。ヤセノヒーになってしまいペショペショとしながらチャーハンをつつく哀愁。イカスミパスタを豪快に食べ過ぎて、上半身真っ黒になって、けど満足そうに店を出てくるネコノヒー。お正月の顔の変遷が、土日月火曜日の顔の変遷と一緒のネコノヒー。この巻も哀愁を漂わせつつ、愛らしくて目がはなせない。あと、テテテーンランド、行ってみたいな、と思った。
羊の木(3) (イブニングKC)
いがらし みきお / 講談社 (2013-01-23)
読了日:2018年5月7日
荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (講談社コミックス)
絵本 奈央 / 講談社 (2017-04-07)
読了日:2018年5月7日
文芸部で官能小説を朗読する部員たち。観念ばかりふくらんで、実際のそういうことは否定的だけど興味は隠せず。けれど、教室で不用意なひとことで非難にさらされたり、かばってくれる男子がいたり。主人公は、急激にかっこよくなってモテはじめる幼馴染への気持ちに気がついてしまい。そんなところに校長先生から廃部のお知らせ。どうなることやら、と。
人間の居場所 (集英社新書)
田原 牧 / 集英社 (2017-07-14)
読了日:2018年5月7日
AKB48の秋葉原の劇場、新宿ゴールデン街、三里塚闘争の小屋、磯釣りの浜辺、LGBTの運動、カリフ制再興を唱える日本人ムスリムとその周囲の人々、子供食堂、長期囚のいる刑務所、ヤクザ、シリア難民の避難先。誰かにとっての居場所が描かれる。「理解するのではなく、分からないことを大切にする。性は闇。それでいい。そのうえで違いを対等に認め合う。それが共生の前提である。」「銀河系という店には、暴力の匂いがあった(略)たとえ相手が何者だろうと馬鹿なこと言いやがったら殴るぞ、という姿勢があった。」
ミザントロープな彼女(3)<完> (アフタヌーンKC)
厘の ミキ / 講談社 (2017-05-01)
読了日:2018年5月7日
こじらせとこじらせがぶつかりあい、あさってのほうに向きつつ、最後には…と。個人的には、正直最後のほうはついてけなかった。
世界の終わりとオートマチック (オフィスユーコミックス)
岡井 ハルコ / 集英社 (2018-04-25)
読了日:2018年5月6日
80歳が寿命とされた世界で、生前葬を演出する会社に勤める女性。大きな失敗をして、なし崩しに退社したが...。青い猫があらわれて死者とかすかに繋がれるという都市伝説に望みを託す人々。亡くした子供と一目でも会いたい。あるいは軽はずみな娘が危ない目に合わないように訴えかけたい父。そして、明かされるこの世界の成り立ち。いつか無くなる世界だとしても、それでも、と。
ハーン ‐草と鉄と羊‐(1) (モーニング KC)
瀬下 猛 / 講談社 (2018-04-23)
読了日:2018年5月6日
源義経=チンギス・ハン説の作品がこの時期に読めるとは。学術的には否定されてるけど、伝奇としては描くに足るのか。蝦夷地、金の地方都市へと逃れ、タタルに捕らえられ、ケレイトに連れ去られる。オン・ハンのもとで頭角を表すも謀反に失敗。逃亡しボウルチュとあったところまで。ボルテとの一瞬の邂逅、ジャムかとの盟友の誓いも描かれ。鉄を重視した描写が印象に。世界帝国を打ち立てるところまで描かれるのだろうか。
めしにしましょう(4) (イブニングKC)
小林 銅蟲 / 講談社 (2017-12-22)
読了日:2018年5月6日
1-4巻まで読了。漫画家广さんの仕事場で、チーフアシの青梅川さんが、アシめしというには、豪快すぎスケールでかすぎなご飯をこれでもかと繰り出すマンガ。ファイナルカレー、ファッチューチュンあたりはいいなあと思いつつ。バター一個づかいとかも。よくわからない陶器から素材が出てきたりとか魔改造されてんのかてくらいなルンバとか異能の新担当とかいろいろぶっ飛んだ設定もたのしみつつ。
本日のバーガー 8 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2018-04-16)
読了日:2018年5月6日
バーガーフェスの会場探し、華道部の生徒に思いを伝えたいバーガーから、母校の桜を残し、校舎解体前にバーガーフェスの会場として使わせてもらうためのバーガーまで。そして、テレビのドキュメンタリーがバーガーフェスを取り上げてくれると思いきや一波乱。最後は、日本未出店のバーガーチェーンを呼ばないかアメリカに飛ぶが早速一波乱に巻き込まれそうで、と。
響~小説家になる方法~ 9 (BIG COMIC SUPERIOR)
柳本 光晴 / 小学館 (2018-04-27)
読了日:2018年5月6日
ドキュメンタリーはお蔵入りに。そして、文芸部長かよの思いつきで、全員、高校生文芸コンクールに応募することに。その過程で、小説家になりたいと強く思うようになった咲希。苦節五年でようやく芥川賞に手が届いた作家。そして、生臭い、総理を目指すが決め手に欠ける文部科学大臣が次の波乱を巻き起こしそうで。正直、次々と波乱を起こさなければストーリーが進まないのかという気にもなり。
おしゅしだよ どうもね!
やばいちゃん / KADOKAWA (2017-08-07)
読了日:2018年5月6日
崖の下に落ちたおもちゃ取りたいからと、マグロがタコのネタ借りたのに、ネタごと崖の下に…てシーンが不憫で一番印象に。
ボルジア家風雲録 (下) 智将チェーザレの激闘
アレクサンドル・デュマ / イースト・プレス (2013-08-07)
読了日:2018年5月5日
通読して、当時の通説ではボルジア家は、毒薬と陰謀と近親相姦で彩られ、教皇の政策は聖性など欠片もなく、全て自家の利益のために図られ、チェーザレの打ち立てようとした王国は自らのなんら理想もなく自らの野望と栄達のためで、約束は平気で破り、仲間は平気で裏切るが、弁舌で言いくるめ、したたかに生き延びる、といった形で描かれる。ボルジア家の悪徳を否定した、という最近の研究にも当たってみたい。/下巻からは、ルクレツィアの資産の増大。教皇軍総司令官に任命されたチェーザレ。享楽と戦費のために免償(大赦の期間にローマを訪れる代わりに払うお金)を売り出し、また枢機卿たちを増やし気まぐれに亡きものとすることで財産を増やした。美しき男女が一年間チェーザレに弄ばれて捨てられた描写。最後は客用に用意した毒ワインによって教皇は死にいたり、チェーザレは死線をさまよった、と描かれる。最後はフランスに幽閉され、逃亡後に小領主の小競り合いで命を落とすチェーザレ。最後まで見捨てなかったのはミケロットだけだった、と。
オイディプス王 (岩波文庫)
ソポクレス / 岩波書店 (1967-09-16)
読了日:2018年5月5日
デュレンマット「巫女の死」つながり。宣託を避けようと行われた処置をくぐり抜け、知らぬ間に父を殺し、母と結婚し子をなしていた。それを知らずに十数年、王位にあったオイディプス王。一つの神託をきっかけに、知らずとはいえ己のなしたことを知らされ。一つ証言が出るたびに、いやそれなら自分は当てはまらない、いややはり当てはまったと波状攻撃で真実を知らされ。「こんなことならどうしてひとは、デルポイの神託のかまどだの、空に鳴きさけぶ鳥だのと、あれこれ気にすることがあろうか。」(オイディプス)、とずっと思てたら良かったのに、なぜに当時の人はかくも神託にすがり振りまわされていたのだろうか。なぜに自分の母親ほどの年齢の妃とすんなり結婚する運びになったのか。今よりもずっと平均寿命の短かったと思われる古代ギリシャでもそれは普通のことだったのだろうか。そして、デュレンマットも書いていたが、オイディプス王の名前の由来にもなったという踵の傷を見て妃は何も思わなかったのか。などなど思うところはあるが。そういった全てをひっくるめて一編の悲劇ということか。じゃあ、いったいどうすれば良かったんだ、と。確かにその神託を下した意志とはなんだったのかと呪いたくもなろうかと。
あんずのど飴 (IKKI COMIX)
冬川 智子 / 小学館 (2013-01-30)
読了日:2018年5月5日
行きたい大学を書けというオーダーに、行けるところならどこでも的なことを書いて、職員室に呼ばれたことが縁で仲良くなった二人。片方はあなたは心のきれいな人だ、片方はあなたは面白い人だ、と意気投合し、二人の仲はいつまでも続くかと思われたけど。かすかなすれ違いは大きなものとなって。卒業式の時も顔を合わせないまま、時は流れ、同窓会。あなたが眩しかった、あなたが大好きだった、とお互いに伝えられなかった思いを打ち明けつつ。切なく、その時は戻ってこないことを惜しみつつも。
中央モノローグ線 (バンブー・コミックス)
小坂俊史 / 竹書房 (2009-10-17)
読了日:2018年5月5日
中野、高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪、吉祥寺、武蔵境、荻窪、それぞれに割り当てられてキャラクターがモノローグで語る四コマ。中野の漫画家、高円寺の古着屋オーナーが一番多くて印象に残るかな。阿佐ヶ谷OLの年数を経て得たしたたかさや、西荻窪の劇団員のささやかな居場所だけど、それでも...と言ったところも目に。
昭和天皇物語 2 (ビッグコミックス)
能條 純一 , 永福 一成 / 小学館 (2018-03-30)
読了日:2018年5月5日
朕は国家なりという意識、自らが感情を出すと周囲の誰かが傷つくという戒め。そして皇太子となってその儀式に自分を10年養育してくれた足立タカの姿を認め、またタカもそれを感じたシーン。皇后候補として学習院女子部にやってきた現皇后。引き合わされた二人の様子に周囲は安堵を見せるが。民衆の中に分け入り、民衆が何を考えてるか知り、民衆とともにありたいと願った大正天皇像も描かれ。貞明皇后の凛とした宮中に政治を介入させまいという姿勢もまた描かれ。それに対する山縣の策謀としての宮中某重大事件の幕開けが告げられるところまで。
ボルジア家風雲録 (上) 教皇一族の野望
アレクサンドル・デュマ / イースト・プレス (2013-08-07)
読了日:2018年5月4日
ボルジア家の悪徳とは研究により多くが否定されてきた、と「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」で読んだ気もするが、否定された悪徳に基づいた書も読んでみたく思い手に取る。/上巻からは、伯父の教皇に、枢機卿になるように勧められたこと、教皇になる可能性もあることをほのめかされて以降、ロドリゴが完璧な悪魔の化身となったと描かれる。ジェムをめぐってはオスマン帝国のバヤズィト二世もヨーロッパ外交の重要なプレイヤーとして登場。そして流暢なイタリア語を駆使し、フランス王に親愛の情を抱かせ、チェーザレと馬を並べる様子が描かれるジェム。そしてチェーザレの片腕ミケロットの登場。対フランス同盟の結成、など。
ネコノヒー 1
キューライス / KADOKAWA (2017-10-30)
読了日:2018年5月4日
ちょっととぼけてるけど、いろんなことにチャレンジして、ちょっとうまくいかなくて哀しい表情になったり、目が離せない。苦いものは苦手だけど、つい口にしたくなったり。流しそうめんの前日に素振りまでして楽しみにしてたのに、でっかい猫に隣にこられてちっとも食べれなかったり。信長の草履をあっためてるうちにあったかくなって寝ちゃって、信長に羽織をかけてもらったり。食券の仕組みがわかんなくてお腹すかせて待ちぼうけだったり。卵かけ御飯の卵が山盛りのご飯から滑り落ちていったり。納豆を力一杯混ぜすぎてつき破っちゃったり。カップ焼きそばを湯切り前に蓋を全部とっちゃったり。あるある、てことから、そりゃないよね、てことまで目白押しで、笑いつつ共感しつつ、ネコノヒーが好きになりすぎてこまる。
失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)
フリードリヒ・デュレンマット / 光文社 (2012-07-12)
読了日:2018年5月4日
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2018/04/post-b67f.html つながりで。「トンネル」普段と同じように列車で大学へ向かっていた男が、いつもよりトンネルに入ってる時間が長いと感じてから、どこへともなく限りなく速度をあげて、果てしなく下っていくトンネルへと列車が走るところへ乗り合わせてしまったストーリー。「僕たちがコンパートメントにすわっていたときにはもう、すべてがおしまいになっていたのに、それに気づいていなかったんだ」「まだ何も変わったところはないような気がしたのに、そのときには本当はもう、僕たちは深みへと落ちていく穴の中に入り込んでしまっていたんだ」が印象に。また当時は150kmでも相当速い部類だったんだな、と。「失脚」ある共産主義国家の政治局員十三人の対話劇。序列13位のNの目から描かれる。権力闘争の血生臭さと滑稽さ。綱渡りの対話劇で最後に失脚するのは、と。「故障」車の故障で田舎の宿に泊めてもらうことになったビジネスマン。毎晩老人が行う裁判ゲームに嬉々として参加したが...。何が正しいかより、自分にはこんなことだってできるという全能感に酔っていき、最後にとった行動と老人たちの驚き。「巫女の死」もう適当な宣託しか下したくない疲れ果てた老巫女。金を積まれればどんな神託も述べさせる神殿長。金を積んで神託を行わせる陰謀家。神託に踊らされる支配者一族たち。オイディプス王の挿話に一捻りふたひねりが加えられ、唸らせられる。描かれなかったソフォクレス「オイディプス王」の裏面、といったところなのか。原作の方も読んでみたくなる。「どうでもいい話など存在しないのだよ。全てがつながっているのだから。どこかを揺すれば、全体を揺さぶることになるのだ。パニュキスよ」
おしゅしだよ
やばいちゃん / KADOKAWA/エンターブレイン (2014-04-28)
読了日:2018年5月4日
他愛なさすぎる、けど愛らしくて目が離せない。まぐろとタコが出会って、タコがくしゃみしたらネタが吹っ飛んで、まぐろの上にポトリ。えーんえーんていいながら、二人でシャリだけになりながら、吸盤で引っ付いたネタをはがそうとしてるのが一番好き。そして、気がつくと、ててーん、と口ずさみたくなる。
深夜のダメ恋図鑑 (フラワーコミックスアルファ)
尾崎 衣良 / 小学館 (2015-04-10)
読了日:2018年5月3日
辛辣といえば辛辣だけど、言われる男もどうかと思われる案件多し、で。外面が良いにも程があると同じ作者だから買って見たけど。
昭和天皇物語 1 (ビッグコミックス)
能條 純一 , 永福 一成 / 小学館 (2017-10-30)
読了日:2018年5月3日
一部創作ありって書いてるけどなかなかにしっかり描かれてる印象。敗戦後、マッカーサーとの会談。古今の王で、命乞いに来たのではなく、自分の命と引き換えに民を救おうとしたものがいただろうか、どんな風に育ち、生きて来たのかという回顧から、昭和天皇の少年時代のストーリーへ。しかし、一つの漫画に、原案、脚本、監修がつくって相当手厚い布陣なのでは。
パリの国連で夢を食う。 (幻冬舎文庫)
川内有緒 / 幻冬舎 (2017-06-09)
読了日:2018年5月1日
エイヤとアメリカの大学院に行きそのまま就職、日本に帰ってきてコンサルで激務。そんな中で、ふと軽い気持ちで出してみた国連の採用に受かりパリへ。国連のお仕事、採用の仕組み、国によって拠出金や人口の割合で割り当て人数が決まっていて、同国人の枠がすでに一杯ならどんなに優秀でも採用されず、予算は2年縛りで柔軟に使えないので、火を吹きそうな部署に人が割り当てられず、暇な部署に人がいても助けられないという硬直性。組織をよくしようと、もっとリサイクルを!という活動に携わるも様々な壁にぶち当り。そして、中で働く様々な国籍の個性的な職員たち。もっとも日本の小さな都市に住んでるとそう思うだけで、川内さんも書いてるように、彼らは彼らの国の常識にしたがって行動してるだけかもしれないのだ。また、サキーナというレンズを通したパリやイタリアが居心地が悪い、という話にもつながる側面があり。そしてパリ生活もなかなかに大変。部屋は少なく、高く、設備も様々で大家や銀行、役所との交渉、交渉、格闘。パリで知り合った魅力的な人々、アーティストたち。その辺はインタビューしてデビュー作にまとまってるとのことでそちらを読んでみたい(「パリでメシを食う」)。印象的なのはやはり、世界一周の旅人。一緒にフランスの田舎にいっていいなあと思ってたのが、思わず戻ってきてくれて、「そして、旅人は、恋人になった」と。あと、目に止まったシーンを。「リッスン(聞いて)。出張なんかどうでもいいんだよ。人生では家族のことのほうが仕事よりもよっぽど大切だ」「もし、きみが、幸運にも、青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、それはきみについてまわる。なぜならパリは移動祝祭日だからだ」「国連組織のミッションは、「人類の心の中に平和を築くこと」である。しかし、国連で働くこと自体は、果たして職員の心の平和に貢献しているのか」


chokusuna0210 at 08:43|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年05月01日

2018年04月に読んだ本

期間 : 2018年04月
読了数 : 64 冊
無名亭の夜
宮下 遼 / 講談社 (2015-08-26)
読了日:2018年4月30日
再読。同じ著者の「多元性の都市イスタンブル」を読み、再読したくなる。味わいもまたひとしお。表題作「無名亭の夜」は少年-連隊長、アフマド-隊長-宰相、精霊-驢馬-語り部-酒場の主人、と言うつながりを注意深く結びつけて、物語の組成たる視覚聴覚嗅覚触覚味覚に知性を加えた6つをあげ、最後の一つは...というのもテーマ。トルコ語のアシュクが日本語ではなんと語られるかは読んでのお楽しみ。書に描かれる枠線が、物語の世界と現実の世界を分ける国境線...そこを超えて行ったのはイスケンデルと...と成長した少年こと連隊長だった、と。ジェンギズ・ハーンの裔たるクリム・ハン国の姫君がとらえられたことで行われたセリム1世とシャー・イスマーイールの美姫を賭けた将棋での一騎打ち。そこで帝王からの問いに見事な回答を見せた連隊長、「この世の在りようはわしの詩想と詩の技とによって、詩連へと結わえられた」とアフマドが語るシーンが印象に。また現代東京と16世紀オスマン帝国を行きつ戻りつしつつ、東京側の「彼」が徒弟の語る物語を聞きつつ、時に踏み込み、物語の中にいる心地になり、また、彼の描く一筆一筆が、徒弟の語る物語を結わえることになったのも味わい深く。「ハキルファキル」は、表題作の野心に満ちた仕掛けを堪能した後では、少し軽めの小粋な小品に感じられた。そしてやはりバーキーについて調べたくなった。
大清帝国と中華の混迷 (興亡の世界史)
平野 聡 / 講談社 (2007-10-18)
読了日:2018年4月30日
2章から6章と終章を読了。門外漢には刺激的な通史。清の統治理念がいかに変遷していって、どの部分が現代中国にも受け継がれているのか、対モンゴル・チベット関係の問題の淵源がどの辺りにあるのか、日本との関係はどうだったのか、解き明かしてくれる。/「清は当初内陸アジアの帝国として台頭し、発展しつつあったのであり、決して日本人が一般的に考えるような「東アジアの中華帝国」「歴代中華帝国の最後の王朝」という存在ではなかったと考えrている。」(p.134)/雍正帝の、人間性や道徳は民族・文化の出自に関係なく備わり得るものであり、満州人と漢人を問わず、徳の高い者と凡庸な者は当然存在しうると考えた/「伝統」「美風」が政治的に強調されるのは、権力の側にそれを保つための自信がないときや、外部により協力な他者が現れたときであることは古今東西変わらぬ、例えば「美しい国」なども。/乾隆帝の「堂子」。仏陀、菩薩、関羽やシャーマンの神々で孔子は含まれぬ「中外一体」の小宇宙。/雍正帝と乾隆帝の「盛世」は、満州人、そして内陸アジアと漢人の関係を何ひとつ根底から変えないまま、漢人の「華」に対するかつてない弾圧・抑圧と、それと引き替えの巨大な版図を残して暮れていった。(p.186)/「中華」の文化的伝統と、現実の近代「中華」国家との間には大きな隔たり。(1)理念としての「中華」。「中華」の文明が華開く場としての「中国」-文化的に決定される「中華」(2)「中華」の文明が行われていようがいまいが、「中華」王朝が支配した場所は全て「中華」「中国」でありうるので、それを放棄せず維持する-権力的に決定される「中華」(p.207より)/円明園の本当に悲劇的なものだけが放ちうる凄絶な美/清末。漢人による「暗黒でおくれたチベット」改造の正当化とチベット人の「もはや自分たちが清を受け入れる理由がなくなったばかりか、抑圧ばかり被るようになった」という意識。近現代チベット問題の根源。(p.282より)/琉球=沖縄が「東アジアの結節点」たりえたのは、日明・日清関係が疎遠なものであった間までのこと/宮古・八重山が日本領となっているのは紙一重の外交史的展開によるもの。伊東博文の割譲案に李鴻章が頷いていれば今頃中国領だったかもしれない、と。サンシイ事件参照。/モンゴル・チベット人からみた新政は、既存の仏教中心の社会を解体し、強制的に漢人との同化を迫るものとしてとらえられてゆき(p.337)
ダークマスター オトナの漫画 完全版 (ビームコミックス)
泉 晴紀 / KADOKAWA (2018-04-12)
読了日:2018年4月30日
玉石混交。読み終えて、謎すぎる!とか、なんだそりゃ!と思うのもあったけど、クスリと笑ったり、暖かい気持ちで読み終えたものもあり。マスター、どこ行ったんだろう、とか、UFOはないだろう、とか、人が消えるマジック終わってそのまま蒸発とか、様々。
かぞく (ニチブンコミックス)
土田世紀 / 日本文芸社 (2013-04-19)
読了日:2018年4月29日
ぱらっと手に取ってみて、全部読みたくなった一冊。少し前の家族観、家族の情景を描きたかったのかなあと思いつつ。連続ものにしようとして絶筆になってしまった、最後の二章、行く末が気になった。
カフェでカフィを 2 (集英社クリエイティブコミックス)
ヨコイ エミ / 集英社クリエイティブ (2018-04-25)
読了日:2018年4月28日
腐れ縁の同期だと思ってた二人の行く末、内向的なまま大人なになってしまった兄と妹、そして姪との関係などなど。コーヒー、お茶がキーになるショートストーリー。
サトコとナダ 3 (星海社COMICS)
ユペチカ / 講談社 (2018-04-28)
読了日:2018年4月28日
ナダの婚約者アブダーラさん。突然のアメリカ来訪。周囲の友人たちとは会えたけど、ナダとは空港にいく車から一瞬会えただけ。自主性を尊重してくれない兄への反発、時折見せるサウジの慣習を奇異に思うんでしょ!と言う憤り。けど、お互いに違いを認めつつも、自分のところに引き寄せすぎず、過剰にそこへ入り込もうとせず、穏やかな距離感が保たれていてホッとする。後半は、サトコが教会のボランティアで様々な立場の人々を目の当たりにしたり、日本人コミニュティに入って新鮮な思いをしたり、と。
あたりのキッチン!(3) (アフタヌーンKC)
白乃 雪 / 講談社 (2018-04-23)
読了日:2018年4月28日
鈴代さんが恋愛に興味がないと知り玉砕するも、友達になりたいとストレートに清美さんに頼む兼原くんの巻。旧な伯母さんの来訪に動揺するも、ちゃんとやってることは伝えられた清美さんの巻。幼い頃の清美さん、その父、阿吽のマスターのつながりが示唆される一幕。バレンタインをめぐる狂想曲。樹くんの父へ何かをプレゼントして喜ばれたいという思いと、周りの店員達がこぞって協力してくれる愛され具合の巻。辛いものを食べるのが娯楽ってちょっとわかる気がするわ、と微笑む鈴代さんのシーンがこの巻の白眉かなと個人的には思いつつ。そして、料理で人を喜ばせる!というところに清美さんが自分の適性を見出したシーンも。
アフタヌーン 2018年 06 月号 [雑誌]
講談社 (2018-04-25)
読了日:2018年4月27日
猫が西向きゃ:フロー、空間の浮動化。思念が現実に影響を与えてしまう世界での奇譚。ヒストリエ:なんだかやけになったエウメネス。王の御前で対話の末に剣を取り出して取り押さえられようとするが。イサック:城を遠巻きにする草原で剣で対峙するイサックと錬蔵。迫り来る敵兵。逃亡を図るプリンツ。ヴィンランド・サガ:フローキを殺そうと猛るトルフィンの前に身を投げ出したのはバルドル。彼の説得で、皆で変装して脱出することになるが...。ブルーピリオド:大作を仕上げて受けた翔さんと、次回作が自己模倣に陥って酷評の落差。好きな事をしてるからって楽しいことばかりではない、と煩悶。フラジャイル;北風と太陽を参考に、岸とは違う道で病理医として何かをつかみかけてる宮崎先生。あたりのキッチン:勉強に悩む清正と友人たち。鈴代さんの特別授業と清美さんの勉強応援メニューが少しは効き目があって、と。Black-Box:理恵がレオンのところに乗り込んで再起不能のレオンの婚約者と意気投合して決まったレオン-凌駕戦。チャンピオンになって幸せを掴んで、と言う言葉に、俺にそんな資格はないんだと返した凌駕の真意は。恋の罪:すでに物語は破局へ向けて最終局面なのかな。四季賞の蛇の山はひやりとした読後感。手元においておきたい。
ミコさんは腑に落ちない(2) (アフタヌーンKC)
イツ 家朗 / 講談社 (2018-01-23)
読了日:2018年4月26日
もっともっと読んでいたかったと思った完結巻。冒頭はミコさんとエンさんの出会いの話。エンさんの勤めるレストランに客としてやってきたミコさんの激しすぎる「美味しい」のリアクションが店員一同のハートをぐっと鷲掴みにし。そして仕事で落ち込んでやってきたミコさんを、店の範疇を超えた独自のこだわりでもてなすエンさん。そのこだわりが店を辞すことにつながったのだけれど。そしてエンさんが無職なことに過剰反応してしまったミコさんの友人二人。電話で詰問するような事をしてしまうけど、本人を目の前にして、納得。ミコさんとエンさんの素直に喜ぶところと息がぴったりなところと気遣い合うところがベストな組み合わせで、見てて微笑ましく。最後は、エンさんが元の勤め先の先輩の独立に誘われめでたく再就職。引っ越し後とその後の二人がさらりと描かれ。ああ、この空気感にもっと触れていたかった。単行本はサブストーリーも一個追加されていて嬉しかった。
検証 拓銀破たん10年
北海道新聞社 , 道新= / 北海道新聞社 (2008-07-01)
読了日:2018年4月24日
拓銀破綻から10年の北海道経済を描いたもの。/ウインザーホテル洞爺の再生劇について。「再生しつつある北海道経済の象徴」「道外の資金、ノウハウに頼るしか無い自立できぬ北海道経済の象徴」「サミットのテーマ「環境」がこれからの北海道経済の切り札になる」と様々な見方。/厳正な処理をすることが日本の将来のため、という正論が山一を自主廃業に追い込んだ。その流れに拓銀ものみこまれた、という元大蔵省の官僚。道銀との合併の話があったから大蔵省も最悪の事態に備えて勉強をはじめた、と語る元道銀頭取。財政金融政策の責任を誰も問おうとしない、拓銀幹部の責任ばかり問題にするのはおかしい、と元北洋銀頭取。リスク回避の嗅覚が鋭すぎてそれゆえリスクがつきものの企業育成はあまり得意ではなかったのかもと描かれる。それぞれの立場で見えてくる風景も様々。/受け皿銀行に移す時、黙って移せば受け皿がつぶれる。移さなければ北海道経済が崩壊する。そんな状況に直面し、悪戦苦闘して引当金付きの買い取り制度を考え出しました。(武井北洋銀元頭取)/北海道人気質。自然体の生き方、つきあいの良さは、裏を返せば、危機に対する感応度が低い。道庁や自治体、国などのお上頼み、官依存。/もちろん、元行員の行く末も様々。この当時はうまくいってるととりあげられていても、今となっては会社も吸収され、悪評もあり、行方もわからないというケースも。拓銀破綻をばねに生き残り、成長した会社も。
夜明けの図書館(4) (ジュールコミックス)
埜納 タオ / 双葉社 (2016-05-17)
読了日:2018年4月24日
John Lurie,The gift from a night sky(星を蒔く妖精たち)をめぐる先輩社員と留学生のストーリー。亡き夫が必ず買ってきた白くて丸いものがたくさんぶらさがったものが十団子という魔除けで、いかに一緒にいたひとを大切に思ってたかわかる話。非正規職員から見た図書館司書という仕事、正職員への視線…嘱託だからまかせてもらえないという思いに投げかけられた柔らかなひとこと。ディスクレシアの疑いのある児童へ、できることはないかという思いから、行きあったひとつの解決方法。レファレンスが人生を豊かにする、といった思いを抱かせてくれるストーリー。
拓銀はなぜ消滅したか
北海道新聞社 , 道新= / 北海道新聞社 (1999-03)
読了日:2018年4月23日
後から振り返ってみれば、潰れるべくして潰れたように思えるが、渦中にいては押しとどめようもなかったのでは、との思いも。バブルもハジけようという時に、積極攻勢に出て大きな穴をあけた経営陣。ダミー会社に塩漬けにしておけばいつか市況が回復するのではという甘い見通し。取引先も悲喜こもごも。政治銘柄で破綻した拓銀から運転資金を引き出した会社もあれば、無情にも連鎖倒産した会社もあり。預金は保護されたが、拓銀抵当証券を買ったものは放って置かれ、親会社の債務を押し付けられた子会社や関連会社は、再就職でも一番後回しにされ。最後の頭取が大蔵官僚にかけた「これ以上無理です」の電話。なんの心の準備もないまま、受皿銀行にされた頭取の、即断即決。大蔵省は否定しても、日債銀の時とは明らかに力の入れ方が違い、拓銀はスケープゴートにされたという見方。刑事告訴は、時効の壁で、バブルの戦犯と名指しされた者たちではなく、その後始末を押し付けられた形の者たちへと刃が向き。海外メディアに「NAREAI」と書かれた北海道の銀行と企業の体質。様々なトピックが目に止まり、どうにかできなかったかとの思いとどうにもならなかったのだという思い。
五色の舟 (ビームコミックス)
近藤ようこ , 津原泰水 / KADOKAWA/エンターブレイン (2014-03-24)
読了日:2018年4月22日
見世物小屋一家と未来を見通す異形の獣くだん。血の繋がりはないが家族のように暮らす一座と、座長を以前から支援する医師。気の持ちよう、なのかもしれないけど、望んだ世界へと人を運ぶくだんの能力。あったかもしれない戦後の話と家族の行く末にすこし救われる思い。
A子さんの恋人 4巻 (ハルタコミックス)
近藤 聡乃 / KADOKAWA (2017-09-15)
読了日:2018年4月22日
A子さんには、東京にひとり、アメリカにひとり、恋人がいて。ぐるぐるぐるぐる考え続けていて。性格の悪い仲のいい友達がいて。なかなかに辛辣なセリフが飛び交い、思ってたことは顔に出て、図星を指したりさされたり。山田、懐深いなあ。Aくんのいつもクールですましてるのに、A子のことになると時に取り乱すところ、すべて見通した上でまだ待ちつづけるところなど。4巻まで読み進めてきて、もうAくんでいいよー、Aぬんにしようよー。という読後感。まだ続くとのこと。
傘寿まり子(6) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2018-04-13)
読了日:2018年4月22日
なんとか看板作家も確保でき、順調な滑り出しを見せたまり子のWeb文芸誌。しかし、ゲリラ的な番組に看板作家の家を直撃されたことから暗転。なんとかみんなで片付けをはじめ、それを中継することで、また評判を呼び。最後のページの提案になるのかならないのか、と。
森田真規 , 戸塚泰雄 , 小林英治 編集 / nu (2018-04-11)
読了日:2018年4月22日
5号がよかったので6号も購入。個人的にはハッとさせられる考え、キャラクター、作品、人などのとっかかりをくれる貴重な一冊。気になったフレーズ、作品を備忘録的に。リラックスして描いてるように見えて緻密、どこまで描いたら絵として最高なのかを知っていて不足もなく余計なこともしてない、と安西水丸べた褒めの台湾人カップル。柴崎友香のアメリカ滞在時の経験を元にした、新潮、連載の連作短編。ロベルト・ポラーニョの「2666」のトートバッグ。会社の福利厚生にサウナを含めてくれるよう社長にめっちゃ熱くプレゼンするライターさん。清原椎監督「わたしたちの家」。仕事の関係で二年ほど集中的に立ち食いそばを食べ歩いた、と言う出だしにやられたエッセイ。テンギョウ・クラさんのプロフィールにあったvagabond.link。芥川賞の選評で宮本輝さんに噛み付いた温又柔さんみたいなパンチライン。諦めたとしても最終的には自分を信じてる、ちゃんと労ってる、そういうもう一人の「自分B」を持ったほうがいい。草森紳一「ナンセンスの練習」所収の「ビートルズと極楽浄土」。世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦。イワフチさん「8月の不良」、きくちゆみこさん「愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ」、SNOW SHOVEKING中村さん「NEW YORK BOOK STORE」。
珈琲の世界史 (講談社現代新書)
旦部 幸博 / 講談社 (2017-10-18)
読了日:2018年4月22日
歴史の流れよりは、個々の興味深いトピックに目がとまる。モーガン・フリーマン、ジャック・ニコルソン「最高の人生の見つけ方」に出てくる、コピ・ルアクしか飲まないという億万長者。カフワは14-15世紀にエチオピアからイエメンに伝来するももともとはコーヒー以外の材料から作られていた、白ワインやカート茶なども。ザブハーニーが、コーヒーの果実や種子にもカートと同じような働きがあるからとそこからカフワを作ろうと考えついたこと。16世紀半ば、オスマン帝国全盛期に、民衆の不満がスーフィズムへの傾倒を呼び、それにつきもののコーヒーやカフェハネがイスタンブルで流行。政治的に扱われたコーヒー禁止令、大宰相キョプリュリュ・メフメト・パシャも就任直後に発令。オーストリアをオスマン帝国のウィーン包囲から救ったコルシツキーが開いた、青い瓶の下の家、と言うカフェにちなんだのが、ブルー・ボトル・コーヒー。浸出法やネルドリップの原型はフランスから。第二次大戦中のコーヒー豆品薄の時期に、薄く入れて飲んでいたのが、アメリカで今でいうアメリカンが定着するきっかけ。1952年に宣伝のために作られた言葉「コーヒーブレイク」、仕事中に小休憩をとる習慣は同時期に発明されたカップベンダー自販機とともに普及。カフェ、といえば交流、コミュニティがメインで、コーヒー自体の美味しさを売りにするカフェは以外にも、20世紀末になるまで現れず、しかもまず日本に現れた、と。
ポップア-トのある部屋 (講談社文庫)
村上 龍 / 講談社 (1989-03-10)
読了日:2018年4月21日
発作的に再読。左腕だけは君のもの。あなたの全ては私のもの?と尋ねられ、Noと答えたら、けど左腕くらいはいいでしょう、と。どんな時に幸せを感じますか?と言うインタビューをするエピソード。マイルス・デイヴィスのビッチェズ・ブリュー、聞きたくなる。
魔法少女サン&ムーン~推定62歳~ (バンブーコミックス)
サメマチオ / 竹書房 (2018-04-07)
読了日:2018年4月21日
いままでとはガラリと違う作風。コンパクトをふてり同時に開くと、その時だけ時が止まり、したがって成長もしない。そんなこんなで、実年齢はずっと若いまま、70を越してしまった二人。やろうと思えば不老不死だけど、周りの人の年齢は止められない。そんな中での苦悩と葛藤。それでいて、とぼけたところもあって、と。
ヴァレンタイン会議 三島芳治選集 (つゆくさ)
三島芳治 /
読了日:2018年4月21日
味わい深くて大好きだった「レストー夫人」を描いた人だ!と思い、反射的にダウンロード。ずっと耳栓して人の声に耳を傾けない子の「これはコスモアンプリファイヤーと行って外界のノイズをしゃだんする事で自分の中の小宇宙を」に「その設定はもういいよ」のシーンが一番好き。限定一人でその人の時間を止められるという能力のささやかさも。
古本屋台 (書籍扱いコミック)
Q.B.B. , 久住 昌之 / 集英社 (2018-04-05)
読了日:2018年4月21日
気がついたらぶらりとててる古本屋台。白波一杯100円で飲ませてくれるけど、うちは飲み屋じゃないんだからとおかわりはナシ。ぶっきらぼうだけど、たまにおつまみくれたり、バイオリン弾いたり、古時計かけてみたり。他の客に絡む客や常識のない客には、ピシリと、帰れ、と。ヒゲの主人公がまた親父さんにしびれてる様がまたかわいらしく。どこでなにをしてた人か謎だけれど。行きたいと思った時になかったり、しばらく見かけなかったり、常連さんやご近所さんがどこどこでやってたよと教えてくれたり。そんなつながりもいいなあと。かすかなようで、ゆるやかにつながっているような。
葉桜と魔笛
太宰 治 /
読了日:2018年4月20日
cakesの三宅香帆さんの連載で見かけて。病気で死が間近の美しい妹のタンスから衝撃的な手紙の束を見つけ、その相手から手紙が来たかのように姉が代筆するも、全て見抜かれ、妹に実は...と語られる短編。姉が妹に向けた気持ち、妹が手紙を書いた気持ち、それぞれがからまりあい...と。
私の男 (文春文庫)
桜庭 一樹 / 文藝春秋 (2010-04-09)
読了日:2018年4月20日
5年ぶりの再読。今回は、骨になっても一緒に...というフレーズをキーに読み進める。そのために、恩人を流氷の上に流し、東京へと逃げてきたのに、結局は離れてしまうことに、と。その8年の間隔での移り変わりが気になった。あとは、匂いと風と。目に文が吸いつくようで読み飛ばすのを許さないような引力。津波テンデンコなんていうけど一人で生き残ってもしょうがないと言う老婆の嘆きが重く。
通商国家カルタゴ (興亡の世界史)
佐藤 育子 , 栗田 伸子 / 講談社 (2009-09-18)
読了日:2018年4月20日
アド・アストラつながり。7,8,9章のみ読了。歴史は勝者が書く、とばかりにローマ帝国の視点の者しか目にしたことがなく、カルタゴ視点のものは初めて読むかも。ボリュビオスは、ハンニバル戦争の真の要因は、傭兵浅草寺のサルディニア問題に遡ると指摘。そのため対ローマ復讐へ傾き、その急先鋒がハンニバルの父ハミルカル・バルカであり、彼がスペインへ出発した時には、開戦への秒読みが始まっていた、と。またそれは民会に集結した下層の者たちの支持を受けていた、と。ハンニバルはサグントゥム問題で開戦したが、それよりは不当に奪われたサルディニア島の返還と不当な賠償金の返還を要求した方がよかった、と。アルプス越えは、ハンニバルの名将ぶりよりも、フェニキア人、カルタゴ人が長年に渡って蓄積した地理学的実力の発揮であった。ファビウスの無限の補給と豊富な人員を生かした持久戦はじわじわと効果をあげ。そして明確なプランを描き切る前に、サグントゥム問題で開戦してしまったため、ハンニバルは、あと一突きでローマを陥落させられるチャンスも座視してしまい。ハンニバルのイタリアで試みた、反ローマ、非ローマの緩やかな同盟の結成は叶わず。最後はザマの敗戦を招いた、と。ハンニバルが、ローマに敗れたあとも、貴族層の発言力を弱め、財政改革を行い、一般民衆の税負担を軽減したこと。しかし急進的な改革が反発を受け、国外に逃亡し、シリア王のブレーンとなったのち、自死することとなったことが描かれる。またカルタゴに原因があったかのような滅亡についても、当時のローマが、簡単に戦争を仕掛け、簡単に殲滅する戦争マシーンともいうべき様相を呈していたことを指摘している。それは力のおごりだけではなく、軍事的栄光をめぐる激しい競争に起因していたのでは、と。
東京を生きる
雨宮 まみ / 大和書房 (2015-04-22)
読了日:2018年4月17日
http://lineblog.me/ha_chu/archives/67276069.html つながりで。故郷を憎み、東京に溶け込み、東京の人になろうとして、なのに東京でも屹立してる人でなければ、東京の人だなんて言えない気がして、生活を削って華やかなものを纏うことのアンバランスさに気づいたり、もしも死ぬならダンスフロアで死ねたらいいという思いに自らの「生命力」を感じたり。ここまで自分をさらけ出し、痛めつけ、それでも東京への愛と憎んでいたはずの故郷への愛を確認する、凛とした姿勢を感じた。
世界地図のおもしろい読み方 (扶桑社文庫)
「地図の読み方」特捜班 / 扶桑社 (2007-06-28)
読了日:2018年4月15日
日付変更線を変えてまで…キリバス。内陸国なのにチチカカ湖に海軍…ボリビア。フランスとスペインに税金納めるアンドラ。ロシア連邦内の仏教国、カルムイク共和國。ハワイの鎖国中の島、ニイハウ島。国家まであるのに定住民のいないディエゴガルシア島。国内移動なのに出入国手続きのいる、タンザニアのザンジバル島-広範な自治権をもった政府があるため。中国の標準時が一つであること-西の人は不便だろうなあ、非公式な新疆時間はあるようだけど。ルーマニアとチャド、モナコとインドネシアは全く同じ国旗。などなど興味深いトピックだった。
夢の雫、黄金の鳥籠 11 (フラワーコミックスアルファ)
篠原 千絵 / 小学館 (2018-04-10)
読了日:2018年4月15日
狩りの練習でヒョウを追う皇子たち。敵対する妻妾を殺さないからとヒュッレムをなめてかかった女官に下された裁断。そして、アルヴィーゼ・グリッティの帰還。客人としてハディジエに引き合わせるイブラヒム。最愛のものと結ばれぬ四人の交錯。グリッティの最期を史実から知る身には、儚く映るが、手柄を立てて必ず迎えに来るという力強い宣言。いざ場面はハンガリー遠征へ、と。個人的には見開き2ページで古都エディルネがこの時期も重要な拠点として描かれてたのがうれしく。
編プロ☆ガール (ぶんか社コミックス)
川崎昌平 / ぶんか社 (2018-04-10)
読了日:2018年4月15日
同じ作者の、重版未定、重版未定2が面白かった身には、買わずにいられなかった一冊。出だしからして、フィクションて言ってるけど、この本のことだろ!とツッコミたいエピソード。そして、醤油大さじ9、まだ△覆里豊で用意した調味料、弱火でコトコト煮込み焦げ目がしっかりつくように焼く、200分強火にかけた鍋に上質紙3kgを流し込み200度に熱した油を注ぐ...と恐怖の誤植オンパレードのレシピ本が実話だったこと...。ミスを謝罪にきておいて、うちは編プロで編集はするが刊行物に責任持つのが版元でしょう、火事が怖いなら薪を焚べるな、と啖呵を切った逃げた編集者の上司。確認、という最低限の手間さえ惜しんだ、あるいは惜しまざるをえなかった忙しさ、その発生する構造。どこかで本が出なくても人が死ぬわけじゃないとこっそり消える編集者たち、真正面から受け止めて心を壊す者たち。「あっという間に消える本をあっという間に編集する それが俺たち編プロなんだ」という矜持。「読まれるかどうかは編集者が決めることじゃない読者が決めることなんだよ」。「読まれない本にも読者に選択肢を与えている点で意義があるんです」。クールでニヒルなシーンが多いけど、それでも...という思いがかすかに残っているのは感じられる。出色は、版元の危機を企画で救ったエピソード。作者自身もほぼありえないけどこういった形があってもいいのではないか、と。最後に新米だった束美が編プロでしかできないことをやると引き抜きを断り、先輩と同じことを新人に言いながら教育するシーンで締めくくられる。
居酒屋の世界史 (講談社現代新書)
下田 淳 / 講談社 (2011-08-18)
読了日:2018年4月15日
第四章 イスラム圏の居酒屋のみ、目にとまり。コーランでは、飲酒を戒める章句はあるが、それほど厳しいものには感じられない、と著者。アブー・ヌワースの詩にあるように実際には、市井に居酒屋はあった、と。またオマル・ハイヤームやハーフィズにも飲酒を詠う詩があったと。ヨーロッパの多機能な居酒屋とは違い、社交の場としてはモスクがその役割を果たし、飲酒、エンターテイメント、売春といった機能に限られていた、と。オスマン帝国ではカフェにその役割が移っていった、と。読み落としたのかもだけど、アラビア語やオスマン語では居酒屋に当たるのはなんだったのか気になるところ。アブー・ヌワースは読み返したくなって来た。
家島 彦一 , 渡辺 金一 / 東洋経済新報社 (1984-10)
読了日:2018年4月14日
湯川武「ユダヤ商人と海 ゲニザ文書から」を読みたくて、「イスラム世界の人びと4 海上民」手に取る。「昼も夜も彷徨え」つながりで。マイモニデスは直接は出てこなかったけど、作中でいえば弟のダヴィデが商人の道を選んだこともあり、そのバックグラウンドの世界を知りたく思い。遠隔の地の姻せきを巡って、アデン、インド、エジプトとめぐる商人がいたり、代理人やパートナーにのみ頼るのではなく、利益になるとなれば、遠方まで自ら出かけ旅し時には住み付く商人もいたこと。遠く中国まで足をのばしたものも。そしてムスリムと同様に各地のユダヤ教徒コミュニティがそれを後押しした面も。
夜明けの図書館(2) (ジュールコミックス)
埜納 タオ / 双葉社 (2013-05-16)
読了日:2018年4月14日
新米図書館司書が主人公。レファレンスで利用者の人生にちょっとした転機がもたらせたら、と。この巻は、あいまいな情報から姉妹の思い出の絵本を探してギクシャクした今の関係がいい方向に。廃部寸前の男子校の料理部に、最初は受け入れられなかったけど、いろいろ館内を見て回るのはムダじゃなくてチャンスだよ、と背中を押し。昔芸妓でならした人が長年の相方の記憶に訴えかけるために探してる唄。東京から来てクラスに馴染めない子が探している植物。最後はレファレンスばかりにかまけて他の仕事が回ってないと事務職の同僚に怒られるオチも。あいまいな情報から推測に推測を重ねて求められていた情報にたどり着いた時の楽しさ。
夜明けの図書館(3) (ジュールコミックス)
埜納 タオ / 双葉社 (2014-08-16)
読了日:2018年4月14日
新米図書館司書が主人公。この巻のレファレンスは、司書を目指すきっかけになった子供時代の近所の司書さんに、だいぶ遠回りしたあとに助けてもらい、近所の体の弱い友人のためにすずなり星を調べるエピソード。自分がバカだと決めつけて、祖父からの遺品のオウムを手放そうとする青年へのアドバイス。病気に悩む人に、治療はできないけど、できるだけの情報を手渡そうとする話。定年退職してどこにも居場所のないと感じる人がよりどころにしていた遺構が、大昔に建設計画だった鉄道の施設の一部だと解き明かすまでの道のり、など。
八重山の社会と文化 (やいま文庫16)
古川 純 / 南山舎 (2015-04-01)
読了日:2018年4月14日
オヤケアカハチ、及び波照間島への興味から手に取った一冊。それに限らず興味深いトピックがあったので、以下備忘録的に。/八重山の考古学発掘の成果からの、土器→無土器→土器という稀有な変遷。/オヤケアカハチ・ホンガワラは、大浜の倭寇の子孫で偉大な気高い(赤髪の)頭領、という意味。/琉球から独立するアカハチ王国の意図があったのでは、それに対する宮古、与那国の反発が、琉球王国と組んでの、アカハチ討伐になったのでは、内実は八重山の内戦だったのでは、という提言/宮古・八重山の先島の民のみ人頭税を課された。/津波痕跡が残らないことこそが、その地点を津波が襲った証拠にもなりうるのだ。(トートロジーに陥る恐れも)/1945年12月、一週間だけの八重山自治会=八重山共和国。/出版許可綴の申請書に見る八重山再建の熱意/復興博覧会(1950)。(これについてはもう少し掘り下げてみたい) /八重山では敗戦後4ヶ月間行政機能が停止していた。/波照間の住民が強制移住させられた崎山の「崎山節」。(これももう少し当たってみたい)/蔡温が強制移住の提唱者。
長尾 雅人 , 福永 光司 / 岩波書店 (1988-01-01)
読了日:2018年4月13日
井筒俊彦「中世ユダヤ哲学史」のマイモニデスの項のみ読了。聖なるシナイ山の体験に直結するタルムードが、それだけでは人を「神の宮居」に導き入れない。当時のユダヤ知識人社会において、哲学は一般に、非ユダヤ的な営み、聖に反する俗なるものと考えられていた。その哲学が「神の宮居」への直線コースであると、主張。と言った一節のみ引いておこう。
キングダム 49 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2018-01-19)
読了日:2018年4月13日
朱海平原の戦い。初日。馬南慈と信の一騎打ちは時間に阻まれ、そして、王翦と李牧の読み合いは、間隙を縫って、左翼の麻鉱を討った李牧に軍配があがるかと思いきや、蒙恬の決死の立て直しでなんとか挽回。山の民と犬戎うの戦いも火蓋が切られ。2日目は、王賁に超軍が殺到するところまで。臨時とはいえ将に立てられた蒙恬に信は…と。立って戦え、が檄となり。
歩きながら考える編集部 / 誠光社 (2016-01-01)
読了日:2018年4月13日
「なnD」5を読んで興味を惹かれたZINE。その中から気になった三人を。/野村正次郎。Mac OS 10.5、Windows Vistaにチベット語を搭載。2010年にiOSにチベット語システムが搭載され、チベット人たちは自分たちの文字で多くのデータを作ることができるようになった。数百巻のチベット大蔵経をiPhoneで読むことができ、伝統的なチベット仏教の伝授会に僧侶たちはiPadを持って出席。/「私たちはかつての物質的な文字ではなく、新しい文字をいま手にしている。ここから新しい文学や芸術が必ず生まれるであろう」/60歳超えた新人ギタリスト濱口祐自。「たまにはジャズ屋もブルースやファンクやったりしたらいいんじゃないかと思うね」。アルバムにも当たってみたい。/谷口愛。坂口三千代「クラクラ日記」の紹介。「相手のことは変えられない、でも自分のあり方は決められる。」
TRANSIT(トランジット)特別編集号 美しきイスラームという場所2015 (講談社 Mook(J))
ユーフォリアファクトリー / 講談社 (2015-06-19)
読了日:2018年4月11日
ざっと読了。イエメン。世界初の高層建築都市と二人のフォトグラファーの対談が印象に。サウジ。リヤドに建つキングダムセンターの、周囲から抜きん出てそびえ立つ威容の写真が強い印象。その他、美しき光景を収めた写真をパラパラと眺めて楽しむ。
くるい咲き 越前狂乱
大塚 卓嗣 / 光文社 (2018-02-15)
読了日:2018年4月11日
戦国時代。越前。潮目が変わった、と朝倉家の衰退を予見し見限り、織田陣営に走った武勇一本槍の富田長繁。いっとき、戦場で長繁と関わり、最後まで朝倉家についていた小林吉隆。ただただ面白き戦をしたい、越前を手に入れたい、民に良い暮らしなど興味がない、戦では無類の強さを発揮する長繁と、民のこと主家のことなど良心と戦いつつ、長繁とは付かず離れずどこか煮えきれない、けど生き残ってきた吉隆。信長により朝倉家が滅ぼされ、後に据えられた桂田長俊を長繁が滅ぼし、越前を手に入れたと思ったのもつかのま、湧き上がる膨大な一揆勢。最後は700vs100000の兵力差を物ともせず、蹴ちらす勢いだったが...。先行きの見えない、度重なる出陣は味方から、背後からの銃撃を誘った、と。燃えるような、己の欲望剥き出しの長繁像は鮮烈な印象。ただ、凡人ではそれについていけないというのもまた理解でき。
辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦
高野 秀行 , 清水 克行 / 集英社インターナショナル (2018-04-05)
読了日:2018年4月11日
前作、「世界の辺境とハードボイルド室町時代」が面白かったので、同じコンビだし手に取る。「ゾミア」から浮かび上がる、「強大な権力の支配から逃れるために、あえて「窓口」をつくらない、というのは支配される側の一種の知恵ですね。」「結局、文明とは誰のものなのか」「むしろ文明でメリットを得てきたのは国家の側だったんだっていうことを学びました」という視点。イブン・バットゥータの「大旅行記」で最高のキャラと紹介されるのが暴虐と慈愛の君主、インドのムハンマド=ビン=トゥグルク。/町田康「ギケイキ」で描かれる中世への鋭い視点には二人とも賞賛。「「ギケイキ」の中で義経は、兄の頼朝について「あの人の場合は、意識的に田舎者になった節がある」という言い方をしてるでしょ。これ、鋭くないですか。/頼朝はあえて関東の田舎者になったからこそ、田舎者の世界でトップを張れた。/「列島創世記」。縄文時代はゴテゴテに凝った土器をつくっていたのに、時代が進んで弥生時代になると、土器がシンプルになっていく/道具は必ずしも実用性からデザイン性へという変化をたどるわけではない/というのを読んで、個人的に、最近読んだ八重山の社会と文化で、考古学の発掘成果から土器->無土器->土器と言う時代変遷が紹介されてたおり通ずるものがあるのだろうか/「日本語スタンダードの歴史」「現代日本語の源流についても、約五百年前、すなわち応仁の乱以降の一五・一六世紀の日本語を眺めれば足りる」/室町期には、流通が発達して、都にいろいろなものが集まってくる、と同時に、都の知識や教養が地方に拡散していった結果、人々が都を目指すようになったって言ってたじゃないですか。/政宗もローカルルールにのっとって文書を書いていたんですが、朝鮮出兵のときに、九州の名護屋城にいろいろな大名たちと一緒に集結させられて共同生活を営むようになると、文書から三濁点が消えて点が二つになるんです。/様々な興味深い視点が提示されていて飽きさせない魅力。もう、「普遍」というものを根底から覆す「ピダハン」はもっとも強烈な印象で手に取ってみたく思った。/あとは、清水和裕「初期イスラーム時代の奴隷女性と境域の拡大」「歴史学研究」950 2016/10月号 ー原則イスラーム教徒を奴隷にすることはない、細川重男「頼朝の武士団 将軍・御家人たちと本拠地・鎌倉」洋泉社新書y - 吾妻鏡を元に頼朝周辺の御家人の生態を描いた。彼らの会話がチンピラ言葉で訳される。あたりにもあたってみたい。
織田信長 <天下人>の実像 (講談社現代新書)
金子 拓 / 講談社 (2014-08-19)
読了日:2018年4月11日
史料に基づいて、信長は革新的かつ先進的な存在ではなかった、という視点で描かれていると知り、手に取った一冊。「天下」という言葉を日本全国と捉えるか畿内周辺と捉えるか。後者ととらえ、天下布武とは畿内周辺を静謐とし、それ以外の領域の勢力とは信長優位で友好関係を結べればそれでよしとしてたのではないか、と。領国支配も柴田、羽柴ら大身の家臣に分権的に領域支配を委ねる、さして目新しくなく(中央集権的ではなく)、行政制度、租税徴収制度では後進的という評価もあり。将軍義昭を担いでいた時期も、戦国期室町幕府の政治的枠組みから逸脱しようとしておらず、強い主導性の発揮には慎重。朝廷との関係も、将軍がいる際は将軍が、いなくなった後は信長自身が朝廷を支えるべきという素朴な考えから行動していることが伺える。官位に対しても、さほどどうあるべきかの知識もなく、思い入れもなかった。ゆえに朝廷と官位を巡って確執があったこともない、と。ただ、最晩年については、著者は、天正十年武田氏討滅から将軍推任に至る流れが、天下静謐すれば事足れり、としていた信長の意識に変化を生ぜしめたのではないか。中国四国攻めへとうつる動きがあまりにも性急だったため。また、長宗我部氏との断行の経緯は、天下静謐の考えからはみ出した、剥き出しの欲望、統一への志向が見られ、それも含め、天下静謐から全国統一という流れを感じ取り、阻止しようとしたのが光秀であり、その結果としての本能寺の変ではなかったか、と。興味深い説。

また、参考文献としては、・金子拓「誠仁親王の立場」「織豊期研究」15,2013 ・等身大の姿を描いたと話題になった池上裕子「織田信長」吉川弘文館,2012 あたりにあたってみたく思った。
マジカルプランツ 食虫植物・多肉植物・ティランジアをおしゃれに楽しむ
木谷美咲 / 山と渓谷社 (2012-01-13)
読了日:2018年4月10日
漫画「タニクちゃん」を見て、そそられた一冊。みんな食べてる多肉植物の項で挙げられていたアロエ。そうか!多肉植物だったのか、と。他にアイスプラント、グラパラリーフは食べてみたことあり。食虫植物食べてみた、はなかなか食欲がそそられず、チャレンジ精神には頭が下がります。多肉植物の寄せ植えやアレンジメントは美しくて見てて飽きず、でした。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
斎藤 康毅 / オライリージャパン (2016-09-24)
読了日:2018年4月10日
通読するものではないのかもだけど通読。途中までは手を動かしながら。途中からは読むのみで。一度挫折。外部のセミナーを受けたあとに再挑戦。高校数学の復習が必要。また何度か立ち返って自分のものにすることも必要。/重み、バイアス、ネイピア数、シグモイド関数、ソフトマックス関数(出力を確率として捉える)、過学習=あるデータセットだけに過度に対応した状態。ニューラルネットワークの学習の際に認識精度を「指標」とすべからず、パラメータの微分がほとんどの場所で0になるから。/勾配が示す方向は、各場所に置いて関数の値をもっとも減らす方向。/ミニバッチとして無作為に選ばれたデータを使用する確率的勾配降下法(SGD)/逆伝播/重みとバイアスを訓練データに適応するように調整することを「学習」 /ニューラルネットワークの学習において重みの初期値は重要/ベイズ最適化/NumPyではfor文を使うと処理が遅くなる->im2col関数を使用。
ハイスコアガール(8) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切蓮介 / スクウェア・エニックス (2018-03-24)
読了日:2018年4月8日
ハルオをめぐる大野と日高。大野のブラックユーモアあふれる、自分の部屋へのハルオの招待、ハルオをのこしての、日高とのゲームでの直接対決。最後のシーンの大野の真意は次巻へ。
銃座のウルナ 5 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA (2018-03-28)
読了日:2018年4月8日
トホマの正体を知ってしまったウルナ、それでも受け入れ、求め合い、一体となったと思ったときに、戦火が忍び寄り、人々は疑心暗鬼に。その矛先はよそ者へと向けられ…。黙って一人去るトホマ。残されたウルナは…。誰が悪いわけではない、そういう側面もあるが、やられたものが許しとともに言うならともかく、やったほうがいうのはな、というシーンもありつつ。また、記憶するものがいなくなれば、無かったことにされてしまう悲しみも。
池袋レインボー劇場 1 (ヤングアニマルコミックス)
えりちん / 白泉社 (2016-06-29)
読了日:2018年4月8日
全3巻。家出してきて当てにしていた先輩のところにもいれなくなり、転がり込んだのが歩夢姐さんのところ。何をしているか最初は教えてくれなかったけど、仕事先についていくとストリップ劇場と知り。そのステージを見たことで、魅せられ、自分も踊り子を目指すことに、と。後輩の踊り子さんたち、寮の大家の不登校の中一の少年、歩夢のストーカーで客の警察官とそれぞれ個性的。好きでやってることだけど、理解してくれる人ばかりじゃないと言う歩夢の言葉。主人公が好きになった美術教師のバックグラウンドと、5年後に…と言う言葉を残して閉じられる物語。その先のことも、これまでの歩夢のストーリーも読みたかったなと思いつつ。
えじぷり! 1 (裏少年サンデーコミックス)
ナオダ ツボコ / 小学館 (2017-09-12)
読了日:2018年4月8日
エジプトの国民食コシャリ専門店コシャリ屋コーピーのカウンターにあって気になってた一冊。モテすぎてモテることに飽き飽きしていた高校生のコウ。親友の並川。そんな時に、コウが見かけた、エジプトの壁画のような女の子クレオに一目惚れし猛アタック。ちょいちょいエジプト小ネタを挟みつつ、ヒエログリフの手紙を送るなど、遠回しなアプローチに終始してたけど、並川の助けも借りて、付き合うことに。おとなしくて、見た目は壁画見たいだけど、趣味はいたって和風なクレオだけど、誰かが争っているのを見ると大声でたしなめたりと気の強いところをみせたり。構わずエジプト好きを突き進むコウとの案外いいコンビっぷりが微笑ましく。
タニクちゃん (フィールコミックス)
よねまる / 祥伝社 (2016-07-08)
読了日:2018年4月8日
現在3巻まで。母が世界一周に出かけたため、転職中で無職の男が、母の経営する多肉植物の店の店番を任されることに。頼りない店番ぶりに、多肉植物が喋れるようになり、時に、育て方を厳しく指導したり、時に、恩に感じ好意を寄せたりとにぎにぎしく進められるストーリー。多肉植物の種類、育て方などに触れられて楽しい。東京根津の「弥生坂 緑の本棚」と言う多肉植物ショップ&カフェで見かけて気になっていた一冊。
死にたい夜にかぎって
爪 切男 / 扶桑社 (2018-01-26)
読了日:2018年4月8日
夫の...の、こだまさんと一緒に同人誌を出してたとのことで手に取る。どうにもならない実家の人々、実家のある町への思いの描き方が通ずるものがあるかなあ、と。あとは、帯に描きたくなるフレーズ目白押しの暗黒かつ怒涛の青春時代が赤裸々に語られ、初体験から、職場で好意を寄せてくれた人、一晩だけあった人、行きつけの喫茶店の名物おばさん、そして六年暮らして、大ゲンカしながらも最愛と思った人に振られ、自分が長い間持っていたコンプレックスも砕いてくれて、愛した女は時速400キロで去って行った...て、ウルっときそうな終わり方かと思いきや、あとがきのどんでん返しがまたすごかった。
金子山 / Kumanbachi Books (2014-06-22)
読了日:2018年4月7日
模索舎の店頭で見かけて一目惚れした写真集。2010-14年の東京での人々を撮った写真。ほぼカメラ目線の人がいない...ということは無許可なのかなと思いつつ。まず巻頭からして朝方のラブホの前でふざけて寝っころがりながパンツ脱いだ男の人とそれ見て笑う人。そして、これでもかと街中で路チューしてる人たちいるのか、と、そんな隙間で寝こけている人たちがいるのか、と。虚ろな目で荷物を運ぶ佐川女子。なぜか大股広げて空を見上げるスーツの男性。電話で二人とも寝こけているのにハーモニーを感じる一枚。座り込む人。電話する人。待ち合わせ顔の人。様々な人々が描かれ、猥雑な、東京の空気が伝わってきて、エネルギーを感じる一冊。ほとんどの人がガラケーなのも少し時代を感じる。個人的には宝物になりそうな一冊。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 6 (ヤングアニマルコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2018-03-29)
読了日:2018年4月7日
白い巨塔とかの作家がモデルなのだろうか。パフフルな小説家に見込まれた神宮寺。半生記を書くから取材させろと押しかけられ。その間もぐんぐん勝ち進み。神宮寺の元カノが大女優となり結婚、祝ってやれと背中を押したのも小説家だった。乗り込んだA級は曲者の実力者の揃う手強い世界だった。初戦の行方は…というところまで。
明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)
ヨッピー / 幻冬舎 (2017-09-20)
読了日:2018年4月7日
ネットでよく見かけるライターさんの、軽快なタッチで描かれてるけど、そっと背中を押してくれるような一冊。水風呂はいるのはいいなあ、とちょっと思った。めちゃくちゃやっているようでいて、ちゃんと道筋はついているんだなあ、と。以下備忘録として。/少しのふざけも許されない会社に呆れ、どんどん浮いていった会社員時代。組織が優れていれば優れているほど、個人のやりがいは搾取される仕組み。反面、インターネットの世界ではオモコロでお下劣記事を連発。お金にはならず、むしろ減る一方だったけど、やりたいことをやりたいようにやれていた、と。で、結局のところいいたいのは「あなたも本業以外に何かやれ」と。とにかく自分がやってみたいことを100個ぐらい書き出してみて。消費する趣味を生産する趣味にする方法を考えよう、と。まだまだ儲かるイスなんて探せばガラガラに空いてるんだからと。/生きる上で大事にしていることは、会いたい人に会う、行きたいところにいく、やりたいことをやる/何かしようと思って行動して何かができた時は自分の事を少し好きになれるはずで、結局のところ「幸せの近道」なのでは、と。
森田真規 , 戸塚泰雄 , 小林英治 編集 / nu (2017-3-29)
読了日:2018年4月6日
東京のクリエイターたちへのインタビュー。そんな考えあったんだ、とかその映像見てみたい!と新鮮な刺激を受けた一冊。模索舎で見つけて手に取る。興味深いトピック目白押しで書き留めてみる。/「百年」というお店の店主。「百年を選んで売ってくれるということは、値段だけではなて、自分が大切にしていた本が、百年を通して、どこか別のところへ行くとをいいことだと思ってくれているのかなと思うんです。」/恵比寿映像祭の空族のインスタレーション=映画「バンコクナイツ」のスピンオフ、見てみたかった/ゆっくり本を読みたい人のためのカフェバー「fuzukue」@初台 行ってみたい。ただ、お連れ様同士の会話も厳禁なそうで/映画「バンコクナイツ」。オレたちは神様じゃないから。これが正解ですよ、みたいなことをやろうというつもりはないわけで。オレたちは現実で怒っていることをが面白いと思っているんです。/富田克也さん。最近読んでるんですけどコレすごいですよ、が譚嗣同「仁学」、支配階級が天に通ずる道を絶たれた、本当はみんなそれぞれ天に通じていたはずなのに。/コーネリアスのインタビュー見て、小沢健二、流動体について、神秘的、チェックしたくなった/テンギョウ・クラさんには強烈な印象。格闘家を目指してたところから英語教師、そしてヴァガボンドへ。ザ・東京ヴァガボンドx上野とか興味深い。/Mother Tereco「Oracle」聞いてみたい。/渋谷TSUTAYA O-EASTビル屋上で農業始めちゃう三人組/黒田三郎の詩を読むと泣けちゃうという前野健太さんと、古書往来座の今は亡き名物店長のお話が鮮烈/キデンセンの餃子の王将話も面白く/ヴェルベット・アンダーグラウンドのファーストと「FANTASMA」/Thomas A.Goldwasser Rare Booksというサンフランシスコの予約制の本屋さん。それだけで一編の小説の書けそうな。/三品輝起さん。人も物も聖俗で判断してはならない。陰影こそ見なくちゃならない。/
織田信長 不器用すぎた天下人
金子拓 / 河出書房新社 (2017-04-22)
読了日:2018年4月4日
浅井長政、武田信玄、上杉謙信、毛利輝元という一度は信長と同盟を結んだ大名、松永久秀、荒木村重、明智光秀といった信長を裏切った家臣との関係を洗い出すことで語られる信長の実像。/裏切られの理由には、信長に「外交の手ぬるさ・不器用さ」があった。(略)信長と個々に同盟している相手同士の敵対という状況があるにもかかわらず、現状に配慮せずに一本調子で、彼らの和睦を推し進めようとしたこと(信玄・謙信の例)、現地における対立的状況を無視して、一方だけ、あるいは双方ともに肩入れすること(久秀・輝元の例)、信長と相手の支配地の境目に位置する領域にある勢力に対する、無配慮な支援・介入(信玄・謙信・輝元の例)などが挙げられる(p.162より)と言う一節に集約されれるのではないだろうか。信長は人を信じすぎたのではないだろうか、という一文が印象に。/信長と謙信のすれ違いを、謙ちゃんと信くんの恋愛模様にたとえたり、RADWIMPSの歌詞が出てきたりとポップな面も見せて読みやすくする一面も。/やまもといちろうBLOG -【書評】『織田信長 不器用すぎた天下人』(金子拓・著)に中小企業オーナー経営者の悲哀を見た、を読んで手に取った一冊。
イスラームの「英雄」サラディン―十字軍と戦った男 (講談社選書メチエ)
佐藤 次高 / 講談社 (1996-05)
読了日:2018年4月3日
中村小夜「昼も夜も彷徨え マイモニデス物語」を読んで、参考文献に挙げられていて手に取る。サラディンが権力を握ってからをざっと拾い読み。カーディー・アルファーディルについては随所に記述が見られたが、マイモニデスについての記述は皆無だった。また、一貫して、ザンギー朝、アッバース朝を形式的には敬い、上において、刺激しないようにした姿勢は印象に残った。
珈琲とエクレアと詩人 スケッチ・北村太郎
橋口 幸子 / 港の人 (2011-04-18)
読了日:2018年4月3日
港の人、の社名にもなった詩集「港の人」を書いた北村太郎。彼の晩年に、夫婦で、ご近所さん、大家として関わりを持った著者の語る詩人との交友が味わい深く描かれる。時に、こういう気持ちだったのでは、と推しはかりすぎるところが、目につきはするが、総じてその視線はあたたかく、読んでて心地よいものだった。北村太郎の詩をもっと読んでみたくなった。
ヒラヤマハルタカ / しまや出版 (2016-1-31)
読了日:2018年4月1日
食品サンプルを集め続け、部屋に飾るA美。同棲する彼氏にプロポーズと同時に、今後食品サンプルを買わないでくれと告げられ...。追い出し、手酷くふったあとに、食べ物が食品サンプルに、食品サンプルが腐る幻覚が見えるようになり。最後は...と。スイーツは最強、って、元サヤに戻ったのか、快方に向かッタのかは、読者に委ねられ。あとがきの、人は生まれながらに、何かを集めたがるものだ、が染み入る。自分の場合は...本だな。
あこ / あこ自宅 (2017-08-20)
読了日:2018年4月1日
とくしゅう ストリップの手引き。女性目線からの案内。料金システム、観劇のマナー、全国マップ、観劇を楽しもう!。なるほど、こんな感じなんだ、という入り口には良いのかも。北海道にはもう全然ないみたいです。
川嶋克編集室 / 川嶋克編集室 (2018-01-01)
読了日:2018年4月1日
スナック文化論、と銘打たれた小冊子。スナック4軒とも、大分県日田市隈町1丁目と2丁目にあるお店。常連客と乾杯、水割り濃いめで彼の人生もちと濃いめ、なんてキャプションに導かれつつ。地元の人に愛され、ママの人柄が愛され、大人の社交場にくつろぐにくる人たち。ママの来歴も様々で。味わい深い一冊。
大畑沙織 / 株式会社インディヴィジョン (2007-08-01)
読了日:2018年4月1日
タイトルが、藤岡亜弥「さよならを教えて」に感じが似ていて、手に取る。パラパラと。明るい廃墟。もの寂しい印象だけど。そこまで深くは入り込んでこず。
RAPID COMMUTER UNDERGROUND (ビッグコミックススペシャル)
座二郎 / 小学館 (2014-07-30)
読了日:2018年4月1日
東京の満員電車の地下鉄、通勤の行き帰りで描かれたという一冊。通勤車両にウサギやら象やらの動物がまよいこむファンタジーな展開から、twitterで漫画描きながら通勤してるとつぶやいていたら、ファンの女子高生が会おうと乗り込んでくるけど、微妙にすれ違ったり、と。独特の味わいの絵とストーリー。
臆病な詩人、街へ出る。 (立東舎)
文月 悠光 / リットーミュージック (2018-02-16)
読了日:2018年4月1日
自分の臆病さを、肝心なことから逃げて、相手にばかり委ねてしまう面もあると気づき。/かと思えば、叩かれると落ち込むどころか生き生きする面もあり/エイヤとミスIDのオーディションに申し込む勢いもあり。"恐れるな。挑まなければ、「負けた」という記録さえ残らないのだから"/その振れ幅と言うかギャップというかそこは面白いなあと思いつつ。/"<学生詩人>の看板が定着した頃、私は最大のミスを犯した。大学を卒業してしまったのだ。"のユーモアに吹き出し。/チョーヒカルさんからの率直なダメだし。それでいて、指摘するだけ指摘したらあとはカラッと付き合ってくれる気持ちのいいところに感心/女のくせに、詩人のくせに、というカテゴライズへの反発。/石原吉郎の詩、雨宮まみ「東京に生きる」は手に取ってみたくなった作品/ただ、その場で言い返すのが苦手で、後からいいたいことがまとまるからって、対話が、相手のセリフのみ、自分のセリフは後から本でのみ、というシーンには違和感。作品が一番だからといって、後付けでそれをされると、される側は...と思ってしまった。/
疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい
伊藤 和弘 , 佐田 節子 / 日経BP社 (2017-11-25)
読了日:2018年4月1日
タイトルに惹かれて手に取ってみる。いくつかは取り入れてみようかな、と。以下備忘録的に。/帰りの電車で席に座って寝てしまう/ベッドの上で寝る前に本を読む/まだ眠くないのにベッドに入る/休日にいつまでも寝ている/は疲れを取るのによくない、と。直感的にはなんで2つ目、3つ目はダメなんだろう、と思いつつ。/様々な専門家に聞きに行ってるので、それどっちがいいんだろう(例えば適正な昼寝の時間)みたいなトピックもあり。/昼寝は横になるのベスト、できなければなるべく上半身倒してリラックスした姿勢、時間は30分以内、カフェインの効果が現れるのは20-30分後だから昼寝前にコーヒー/湿度を50%以上に保つとウイルスの95%は活動できなくなる/休日はいつもより2時間以上遅く起床してはいけない/ベッドにいる時間をできるだけ短くすること、そのためベッドで本を読むのはいけない、の理由が、脳にベッドは眠る場所と習慣付けさせること...がいまいち納得いかず。/朝起きてスマホやPC使うのは、交感神経刺激して良い、寝る前はダメ/仮眠はイスに座った状態、あるいは机に突っ伏し、20分目安/夜の断食時間をしっかり確保、朝は太陽の光を浴びながら朝食/じっくり考えてもいいアイデアがでない時はさっさと寝る、イヤなことがあって眠れない時は、忘れるためと思って無理に眠ろうとしない、という知見/起床後4時間以内に光を見る、起床後6時間たったら仮眠タイム、起床後11時間経ったら体を動かす/
昼も夜も彷徨え - マイモニデス物語 (中公文庫)
中村 小夜 / 中央公論新社 (2018-01-23)
読了日:2018年4月1日
一章一章がそれだけでドラマに成り得る、読み応え。学問に邁進するモーセ、商人となり家族を支えようとする弟ダビデ。厳しいだけかと思われた中に尊敬すべき点を持つ父マイモン。か弱く見えて芯は強いライラ。名家出身で機転のきくサラ。言葉と高い事務処理能力でのし上がるカーディー・アルファーディル。そして、かの有名なサラディン。それぞれの人物像が際立ち、名言を吐き、己の思想にしたがって突き進んでいくところが魅力的。個人的には、背教者と蔑まれる強制改宗者の同胞を、悩みに悩んで、理路整然と、律法を読み解くことで、救い出そうと熱弁を振るうシーン。「私たちが従うべきは 神の律法だけです なぜ異教徒の法によって 同胞を断罪しなければならないのでしょうか」「トーラーを知らずに他者を断罪するは神の御名を汚す行為です 同胞を共同体から絶つことは命を絶つに等しい行為です 知らなかったからでは許されません」 (彼らが死か強制改宗か選ばされた際、それは命惜しさではなく)「命がなければ 神への愛と信仰を 貫き通すことができないからではありませんか 」が一番印象に。/また、公開書簡中で語られる、昼も夜もさまよえ、にも感銘。「たったひとつでも教えに背くことを強要される地には留まるな。家も、故郷も、持ち物もすべて手放して、己の信じるものを守れる場所を見つけるまで、昼も夜も彷徨え。世界は大きくて広いのだから」/肉屋の祖父アモスの諫言も深く染み入る。/そして、終章の言葉も。「でもそれは町から町へ国から国へ 場所を変えることじゃない 生きていることそのものが魂の旅なんだ 何かを知れば知るほど 人間の身では永遠に知り得ないことがあると気づく 言葉を重ねれば重ねるほど 言葉にできない想いがこぼれ落ちてゆく 求めれば求めるほど宇宙の果てが無限に遠ざかっていく 決してたどり着けないと知りながら その果てを目指し続けること それが人生の旅なんだ 」
ロマンス暴風域
鳥飼 茜 / 扶桑社 (2017-10-23)
読了日:2018年4月1日
端で見ればどうしてと思っても、渦中にあれば暴風に対するように抗えず、といったところか。どんどんはまっていき、距離が縮まったように感じた時の、急転直下。そのあとの今までのことが全て嘘だったかのような仕打ち。意図がわからず混乱するのもむべなるかな。相談に乗ってくれる後輩の真摯さが身にしみる。これ一巻で終わってもいいような気がするけど、どう続くのか。


chokusuna0210 at 20:30|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年04月03日

2018年03月に読んだ本

期間 : 2018年03月
読了数 : 42 冊
多元性の都市イスタンブル -近世オスマン帝都の都市空間と詩人、庶民、異邦人
宮下 遼 / 大阪大学出版会 (2018-02-28)
読了日:2018年3月29日
贅沢で豊穣な時間旅行を味わう。読んでる間は、16,17世紀のイスタンブルに迷い込みたゆたうような感覚、読み終わり深い余韻が残る。建築物や街並み、宮廷が描かれ、高官、詩人、庶民、外国人の目から見たイスタンブルが描かれる一冊。
アフタヌーン 2018年 05 月号 [雑誌]
講談社 (2018-03-24)
読了日:2018年3月27日
今回の読み切りは、ガイコツ書店員本田さんの作者が送る「たったひとつのことしか知らない」。小学生時代そんなに長いこと親しくしたわけでもなかった相手が、大人になってから、必ず節目節目に電話をかけてきて、くだらない雑談をする。それだけなのに、ただそれだけなのに、と。とっておきの切り札が、酔ったインド人のおっさんに...された話とか。/恋の罪。伯爵に陵辱されるヘルマン。そしてエルネスティナが旅立つ理由とは。/あたりのキッチン。辛いものがきっかけで、親友鈴代さんの誕生日を知り、辛いものでもてなすことを目論む清美と兼原くん。カレーとラッシーの組み合わせは合理的、と冷静な鈴代さん。辛さが娯楽を実感して楽しげに笑う鈴代さん。そして、就職する際の適性に思いあたる清美さんでした。あたたかい。/波よ聞いてくれ。盗聴を警戒して筆談しつつ、ごまかすための久連木、ミナレ、南波の会話がまた面白くて。/バギーポップ。不用意な一言が頼りにしていた先輩を芯から怒らせてしまい。/ブルーピリオド。手段のための手段で描いていたと後悔していたが、先輩の仏像をモチーフにした祈る絵を見て、自分の中の描きたいことを見つけ出した八虎。/イサック。抜け穴が見つかりもうダメかと思いきやイサックの機転で抜け穴を塞ぎ。またロレンツォが皇族を殺したことが伝わり、攻め手も撤退の構え。防御側も、傭兵部隊はボルマン隊長が死に、16歳の少年があとをつぐことに。/フラジャイル。ダメ病理医伍代先生、岸先生に尻叩かれて、危ない橋渡ってそれでもちゃんとした病理医になりたい一念でやり遂げるの巻。/ヴィンランド・サガは、父の仇との思わぬ遭遇に、トルフィンの押さえ込んでいたものが決壊する兆し/やたらと電子押してたなあ/それにしてもやたらと、コミックDAYSのこと押してたなあ。もう紙は諦めて、電子に移ってほしいのだろうか。/
カフェイン・ガール (リュエルコミクス)
飯塚 めり / 実業之日本社 (2018-03-15)
読了日:2018年3月25日
カフェインを取るとピキーンと効いてきて仕事がはかどったりイメージがひらめいたりなメルちゃん。その効果はカレーのスパイスでも現れるみたい。カフェインがキマると見えないお友達が現れておしゃべりしたり相談したり。そんなタッチで描かれるキュートな東京カフェめぐり。新宿の珈琲貴族エジンバラ(通常モーニングの他に雑炊!高い位置からミルクとコーヒー注いでくれるカフェオレ!)、アマーテ京王モール(ゴージャスで純喫茶な内装)、下北沢のNeue(チョコミントパフェ)、カフェ・トロワ・シャンブル(カフェ・グラッセ、シナモントースト!)あたりが個人的には気になった。
沙門空海唐の国にて鬼と宴す 壱 (単行本コミックス)
大西 実生子 / 角川書店 (2013-06-26)
読了日:2018年3月25日
映画「空海」の原作の漫画化。漫画は、遣唐使船で日本から渡ってくるところから描かれ、白楽天の代わりに橘逸勢が相棒として描かれる。二人が金吾衛の屋敷へ化け猫祓いに入っていくところまででfin。続刊がないのが惜しまれる。原作の雰囲気をなんとなく感じられてよき、と思ったのに。
世界は寒い 1 (フィールコミックスFCswing)
高野雀 / 祥伝社 (2018-03-08)
読了日:2018年3月25日
バイト先の忘れ物の紙袋に入っていたのは、モデルガンではなく、本物の銃だった。拾った女子高生たちが、殺したい人を一人づつあげて、実行しようと計画を練るが…と。元の持ち主の手が迫ってるなか、次はどうなることやら。狂言回しの細野さんの向こう見ずな好奇心と冷静さが気になる。
北北西に曇と往け 1巻 (ハルタコミックス)
入江 亜季 / KADOKAWA (2017-10-13)
読了日:2018年3月25日
北北西に曇と往け 2巻 (ハルタコミックス)
入江 亜季 / KADOKAWA (2018-03-15)
読了日:2018年3月25日
アイスランド在住、フランス人の祖父に引き取られた慧。17歳だが探偵稼業。犬をつれもどす依頼の真意は...。そして昔女優だった女性の尋人は...と。祖父と付き合うことになったカトラ。その姪のリリア。車と話せる慧。声の美しさで嘘をついてるかどうかわかるリリア。少し不思議な能力もアイスランドの大地では受け入れられそうな感じがしてくる。連絡がつかなくなった日本で叔父夫婦に引き取られていた弟。叔父夫婦殺害の嫌疑がかけられるが本人は否定。けど、その話は一巻で謎めいて締めくくられるのに、二巻ではほぼ全く語られず。慧のプログラマーの親友が日本からやってきて、アイスランド案内をする二巻。それはそれで美しき友情とアイスランドの観光スポット、来歴が語られ面白かったのだが。三巻はどこへ向かって展開していくのか。
ピアノのムシ 12 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2018-03-16)
読了日:2018年3月24日
蛭田をはめようとしたピアノ教師を逆に返り討ちにし、生徒たちの前で罵倒したことで、名誉毀損で訴えられ。おまけに、プロレス観戦中のヤジで、傷害事件に巻き込まれ。留置場であった、刑務所帰りの調律師に、何を求めて調律師をしてるのかと問われ。客を選び客を妥当し続け、ピアノを調律しようと望むものは、それならの金と教養がなければと言わんばかりに見える蛭田に対して。その問いは、後輩女子にとっては、どんな一見のピアノの良し悪しもわからない客であろうと客は客、いつかきっと…という理想をいだいて走り続けることの合わせ鏡に。もういっしょに出向くことはない、という宣言、次の最終巻ではどんな結末を迎えるのか。
ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2018-03-19)
読了日:2018年3月24日
暗闇での戦いの結末。そして、アシリパさんを連れての網走監獄行き。のっぺらぼうが父なのかどうかを確かめに。監獄への潜入はうまくいったかに思えたが。真ののっぺらぼうは?そして、網走監獄に攻め込んで来た第七師団の成否は?と。
狷本一貧乏な観光列車瓩走るまで ながまれ海峡号の奇跡
佐藤優子 / ぴあ (2018-03-02)
読了日:2018年3月21日
1,2章は、ごく低予算な観光列車が、知恵と工夫と情熱で、運行にこぎつけ、鉄タビオブザイヤー2016グランプリに輝くまでの軌跡を描いた物語。3章はそれを支えた地元の人のストーリー。4章は、仕掛け人の永山さんのストーリー。/スタート地点からして大きなハンデ。JR九州の豪華観光列車の十億円、社内デザイナーを登用し抑えに抑えたJR四国の観光列車でも予算二億円のところに、道南いさりび鉄道は3500万円。必要最低限の設備も揃えられず、クーラーがつけられないから、窓を開けて楽しんでもらう。貨物との共用路線で待合が発生するから、無人の信号所で止まって絶景を楽しんでもらう、地元の人ですら何もないところに観光のために人など来ない、というところに、ホームでのバーベキュー、終着駅のイタリアンに協力を得て車内で振舞われるイタリアン、沿線の店に協力を仰いだ駅売りスタイル、と知恵が絞られ、魅力的に描かれる観光列車。利益も出ず熱い思いだけで手弁当でバーベキューを運営してくれるメンバーに、客の目線で冷静にダメだししていく運営者とあいだに立つ仕掛け人が何とかなだめて納得してもらい、本番では素晴らしいものができ好評を博したところが個人的には印象に。定期観光列車の企画プロデュース募集販促催行精算まで旅行会社が一手に引き受け、鉄道会社は運行に専念という画期的形式。/以下備忘録として/ながまれという言葉 函館地方の古い方言で ゆっくりしてのんびりしての意味だと言う//私たちが地方の方々と築こうとしていたのは ビジネスや取引うんぬんよりも はるかに人間くさいところでの結びつき そこに気付かずに予算を出すんだからあれをやってこれをやってと機械的に進めようとするのは、とんでもない思い違いです /よかったもののトップは 茂辺地駅でのバーベキュー「いさりび焼き」。"いさりび焼きトリオ"の労苦をねぎらう結果となった /函館海鮮スイーツ丼のインパクト!/「残念ながら 過去に何度も使われたスローガン乗って残すと言われた線が残った試しがありません これからは発想を転換して呼んで残す方向に舵を切っていくべき」
アド・アストラ 13 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス)
カガノ ミハチ / 集英社 (2018-03-19)
読了日:2018年3月21日
史実を知るゆえ、どうなるかはわかっているのに、どう描かれるかにワクワクを抑えきれない最終巻。いよいよザマの決戦。カルタゴの参謀シレノスが、開戦前のハンニバルのスピーチに、戦いは決して数では決まらない、それを証明したハンニバル殿が数を拠り所にすることになるとは…と危惧した通り、戦象の突入作戦をスキピオに読み切られ、騎兵を戦場から引き離す策も見抜かれ、見事にお株を奪われた包囲殲滅作戦を喰らってしまう、と。窮地に追い込まれ、最後に戦陣に散ろうとするハンニバルを、シレノスが、あなたが天才的な戦略で勝ち続けてきたゆえに気づかなかった対応策があります、降伏してその首を差し出すことです、という進言。その成否は、スキピオによる厳しい条件が付されたものの、了承され、首も取られることはなかった、と。ローマに凱旋したスキピオの栄光も長くは続かず。カルタゴに戻り内政に力を注ぎ、国力を大回復させたのに、国を追われたハンニバル共々、苦いを思いを噛み締めて、死に至った点まできっちりと描かれていて感銘を受けた。
ものするひと 1 (ビームコミックス)
オカヤ イヅミ / KADOKAWA (2018-03-12)
読了日:2018年3月18日
兼業作家の淡々とした日常。行きつけのバーでは、広辞苑取り出し、たほいやなどして遊び。バイト先の警備会社では、センセーと呼ばれ、バーで知り合った大学生に学祭に呼ばれ、アイドルサークルの子と知り合い、就活しないの怖くなかったんですかと問い詰められたり、どうやって小説家になったのかと問われたり。同期の受賞パーティーにいき、流れで文壇バーに足を踏み入れ、戦うのが作家だみたいな男性に絡まれたり。静かで淡々としていてけと情熱は秘めていて、いつまでも読んでいたい。巻末の対談であげられてた、長嶋有「問いのない答え」はよんでみたい。
テンジュの国(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)
泉 一聞 / 講談社 (2018-03-09)
読了日:2018年3月18日
舞台は18世紀チベット。医者の家の跡継ぎカン・シバと、結婚相手としてやってきたラティ。お互いの印象もよく、好きな薬草の話や染色の話をお互いに聞き合い、理解しようと話し合い。村人にも好かれ、家族にも愛されほのぼのと、当時のチベットの生活が語られる。次の巻ちょっと波乱もあるようですが。18世紀チベット、少し調べたくなってきた。
桐谷さんちょっそれ食うんすか!?(4) (アクションコミックス(月刊アクション))
ぽんとごたんだ / 双葉社 (2018-03-12)
読了日:2018年3月18日
ラクダ、カンガルーのバーベキューに、ダチョウの卵のオムライス、お土産のサンショウウオ燻製、イソギンチャクの唐揚げ、ハロウィンパーティのカラスのフライドチキンと煮込み。どれも一癖あって、食べたいかどうかはかなり好みの分かれるところだけど。ラクダ、カンガルーあたりは気になるかな。コラボしたパンとサーカス、米とサーカスてお店も気になります。なぜか先生によそよそしかった桐谷さんの理由もわかって、雑食好きメンバーも増えて、楽しかなりそな予感。
へんなものみっけ! 2 (ビッグコミックス)
早良 朋 / 小学館 (2018-03-12)
読了日:2018年3月18日
出向で博物館に来た市役所職員の薄井くん。動物観察と保護飼育標本化につきすすむあかり先生、一見常識人のように見えて魚類水性生物が専攻の鳴門先生が鬼の形相であんこう踏みつける場に居合わせたり。人間は地表のカビといってはばからない地学専攻の先生、警察からも依頼が来る植物同定の大家。コレクションルームの管理人と多士済々のメンバーにまぎれて、何も語るものがないと落ち込むこともあったけど、高い事務処理能力と整理力で、彼らをサポートができるとわかり、鳴門先生の悲願の埋めていたクジラの掘り起こしを強力にサポート。遠来の客人の先生に、見込まれ、お前の仕事は海外ならプロの専門家の仕事だ、と。もしかしたらそういう道も、と思わせるところで続く。さまざまな生物の生態の話なども興味深く、研究教育日々の業務まで博物館のことご語られ、読んでて飽きることなく、長く続いて欲しいなあという思った。
へんなものみっけ! 1 (ビッグコミックス)
早良 朋 / 小学館 (2017-07-12)
読了日:2018年3月18日
ボンクラボンボンハウス 2 (フィールコミックス)
ねむようこ / 祥伝社 (2018-03-08)
読了日:2018年3月18日
内装も進み、改装中のまま実家から飛び出し、栄吉のアドバイスで、仮住居整えたり、聖大に告白したり。自分が1人で何もできないとか弱さ認めて口に出してどうする、出すな、1人でできるようになれ、とか、鍵の合わない扉ガチャガチャやっても仕方ないからな、とか、ステキなだけじゃなくて自分がどう生活するかイメージしてみろとか、キーとなる言葉をくれるのは栄吉なのに、溶けるほど聖大に引き込まれて行く一樹。無神経な一言が結果として栄吉の扉を開けたことも知らずに。
金剛寺さんは面倒臭い 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
とよ田 みのる / 小学館 (2018-03-12)
読了日:2018年3月18日
金剛寺さんは面倒臭い、たしかにタイトル通りなんだけと、そこに惚れ込んだ純朴誠実でストレートな地獄から来た鬼の樺山くん。初々しくも遠回りしつつも、手を繋ぐだけで見開き8ページ使って、周りの人や生き物を幸せにしたり、本編と関係ない話を次々放り込んで来たり、先行きの気になる2人、最高です。
プリンセスメゾン 5 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2018-03-12)
読了日:2018年3月17日
誰かのための選択をしたいとお見合いした要さん。思い切り自分のための選択をしてそれでも惹かれる人がいればと沼越さん。どんどんまち歩きして自分の街に馴染もうとする沼越さんに、どう過ごしているかつい気にしてしまう伊達さん。ただの不動産屋さんと顧客ではなく、ピクニックに行ったり、お互いの人生の話にそっと耳を傾けたり。
おいピータン!!(17) (ワイドKC Kiss)
伊藤 理佐 / 講談社 (2018-03-13)
読了日:2018年3月17日
完結。名前をおいおいピータンに変えて続くようですが。大森さんの話じゃないけど、コロッケ食べてレモンサワー飲んで結婚しよう、て話か印象に。大森さんは、大家さんにペットのクロ飼ってるの見つかって、引っ越すなら結婚しようかと、たこ焼き食べてる時にプロポーズ。続編は結婚後の話になるのかなと。ほかにも、古いけど新しい野菜対決、嫌いな人とランチがかぶらない斬新な方法、人違いされてその時だけ誰かの元カノ誰かのパパになった気分、出張先の失敗とビュッフェの教え、できた義姉が東京で食べたかったのはピザ、自分の大好きな人が満面の笑みで出迎えたのが宅配ピザ屋さん、などなど
放課後さいころ倶楽部 11 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2018-03-12)
読了日:2018年3月17日
ゲーム好きな女子たちが、思いをストレートにぶつけたり、イメチェンしてまだ思いを告げに行ったのに幸せ祈るしかできなかったり、ミドリの兄登場の一波乱だったり、河原の老人たちと仲良くなり頑な女性の心を開く一幕だったり。なんだかゲームより人間模様が気になる今日この頃。店長さんは、シティハンターの海坊主なんだろうかと思う瞬間も。
戦国・織豊期 赤松氏の権力構造 (岩田選書―地域の中世)
渡邊 大門 / 岩田書院 (2014-11)
読了日:2018年3月17日
赤松広英の基礎的研究のみ読了。藤原惺窩との関わりについては先行的研究で詳しく述べられていること、専著には力作もあるが一次史料が使いこなしきれておらず顕彰的側面が強いこと、良質な文書が少なく、大阪での普請に名が上がったりもするが、合戦での活躍もほぼなく、領土での治世の状況も不詳、最後は関ヶ原で西軍に属し、亀井茲矩の讒言で改易、死罪となったとされるが、それも不詳なところがある、と。頻繁に改名してるように言われるが、一次史料に署名されてるのは、広英、広貞のみであることがわかる、と。一次史料からここまで言えるということが簡潔にまとめられていて個人的に関心のある人物だったので興味深く読む。火坂雅志「壮心の夢」所収の「桃源郷」の主人公として読んだのが初めてで、それから折に触れ追ってきた人物ゆえに。
間違う力 (角川新書)
高野 秀行 / KADOKAWA (2018-03-09)
読了日:2018年3月16日
高野さんの著作をほぼ読んできた身としては、年表で著作や活動が時系列に語られたり、あの本の背景にこんな事情が、とかうかがい知れて興味深かった。/どんなにアホでもデタラメでも今やっている者がやらない者よりえらいのだ。/予習してのぞんだ探検部の部会/王道は失敗しても様になるが、奇襲は失敗すると単なる間抜け/フランスの植民地で通訳をつけて人類学をやる先生の、日本人研究者は言語ができない、は、日本人はフランス語ができない、という話/アフリカ、南米、東南アジアとターゲットを変えた経緯/私のひそかなる夢は、「アメリカに語学留学して英語がペラペラになること」である。/テサロニキでのブラインドサッカー大会は不備だらけだったけど、「でも、ここは大会をやってるからな。やらない日本よりはるかにいいよ」と参加者
早乙女選手、ひたかくす 5 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2018-03-12)
読了日:2018年3月16日
早乙女さんが寄りかかったことで、思わずサトルの覚悟が口からこぼれたシーンから、早乙女さんが練習練習で関わってこなかったクラス行事に関わり、クラスの女子との結束が深まったり、文化祭のコスプレカフェでまたまたサトルとの距離が縮まったり、かと思えば、マネージャーにひたかくしていた、早乙女さんだけ覚えていたサトルとの出会いを暴かれそうになり、最後はリングの上で話す話さないの話に。意外と次の巻あたりで話の決着ついてしまうのではないだろうかと危ぶんだり。相変わらずの二人の初々しい距離の取り方を微笑ましく眺めていたり。
(050)都 (百年文庫)
ギッシング , H・S・ホワイトヘッド / ポプラ社 (2010-10-13)
読了日:2018年3月16日
買ってから7年ちょっと越しの読了。「くすり指」ローマで行き合った男女の、ひとときの、思いが通じたとお互いが感じた瞬間があったのにすれ違って行く様。あやまって踏まれた薬指を大事そうに眺める最後のシーンが印象に。「お茶の葉」は、旅先のロンドンでたまたま買った安いけど良さそうなものと思った首飾りがあれよあれよと見る人見る人で値が跳ね上がり、と言う奇譚。「ローマ熱」娘を持つ二人の中年女性が、ローマのテラスで語り合いながら、今で言うならマウンティングなんでしょうかこれはという会話を繰り広げ。「女の子はよくとても馬鹿げた理由から、とても大事なことをしてしまうでしょう。」
月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)
阿部 共実 / 小学館 (2018-02-23)
読了日:2018年3月12日
完結。皆には隠していた関係だったのに、喜んで欲しくて、フライング気味に、他のクラスメイトに話してしまったことが、関係を一気に冷やしたけれども、会えない日々、語れない日々は、お互いに、喪失感をもたらしていて...。もう、誰に見られても聞かれてもいいとばかりに、お互いに教室で謝るシーン。お互いへの思いを伝え、お互いが自分にとって大切な存在だと伝えあい、そして、二人だけの秘密が、三人で分かち合うものとなり、二人の実験の結果と、もう一人の大切な人との語らいが描かれていて。思い出すとしんとした気持ちに。
丸紅茜 / 丸紅アパートメンツプレス (2018-02-11)
読了日:2018年3月11日
ミャンマー出張中の後輩のもとへ、ノリでふらりと乗り込んできた先輩。バリバリ働く後輩とゆるゆる生きているように見える先輩。人生の考えたくないことから逃避して仕事にのめり込む後輩と、行き当たりばったりゆるゆるしているように見えて、そりゃ抱えるものもありますわな先輩。レジャーもデートも寺寺寺。信心深さと金ぴかさの両立。のんびりとした空気。モヒンガー。サスペンションなしで高速で山下りするジェットコースター並みのバス。いいなあこの空気感。行ったことないけどミャンマーには親近感。高野秀行さんの何冊かの著作に影響されて、高田馬場のシャン料理食べに行ったり。シャンティブックスで買ったミャンマー音楽コンピレーション「VIVID RANGOON」一時期聞き込んでたり。そんなこんなも思い出させてくれた一冊。副題のゴールデンスランパーに触発されてビートルズ盤引っ張り出してきたり。
書肆吉成 / 書肆吉成 (2014-05-20)
読了日:2018年3月11日
うまくプリントできずに悩んでいた橋口さんに、プリンターの久保元幸さんが助言した、ベルリンの街の匂いや空を思い出したらどうですか?という助言。東松照明「東京/都市の視線」展ポスターの、カンディンスキーのカンヴァスに豆粒大の手榴弾をぶつけて破裂させたみたいな絵。平凡社の「未開と文明」(1969年)の、山口昌男解説、日常的世界に起こる出来事にいくら感情移入してみても何も突破できないということ。魯迅の短編「孔乙己」で他人の本に手を出して鞭打たれた主人公の、「窃書は盗みとは申せん…窃書はな…読書人のわざ」。河野聡子さんの、パンダフォール、パンダが降ってくる情景を描いた詩。小川基さんのアイヌ文様を語る一編。それぞれに深い味わい。
陰謀の日本中世史 (角川新書)
呉座 勇一 / KADOKAWA (2018-03-09)
読了日:2018年3月11日
源平合戦、鎌倉時代、建武の新政、観応の擾乱、応仁の乱、本能寺の変、関ヶ原の戦いから太平洋戦争まで。陰謀とされる事件、事象をバッサバッサと斬っていく鮮やかさ。事件の一番の受益者が陰謀の犯人とは必ずしも言えず、犯人は結果を全て見通して事態を完全にコントロールしていたわけもなく、被害者と加害者の立場の逆転しているケースもあり、結果から逆算して綺麗に事象を説明できるのは怪しいケースが多い、秘密裏に遂行しなければならないため参加者を限定せざるを得ない、と陰謀論を特徴付ける。世の事象、人々の行動は、さまざまな要因がからまり合い、簡単に説明できないことが多いのに、そこに、〇〇の陰謀だ!と簡単に説明できる補助線を引くことで説明できたかのように思える爽快感には抗いがたいものだ、と。日本中世史をケースに現代に応用も可能な視座の提供、戦国武将に経営をまなぶみたいな視点とは一線を画している。まだ論争に決着付いてないけど、最近有力だと言う関ヶ原合戦、一瞬でかたがついた学説、もう少しあたってみたい。/以下備忘録的に/平清盛と源義朝は、当時はかなりの勢力差があり義朝が清盛をライバル視していたとは考えられない。後世の「愚管抄」の作者が大昔から源平が拮抗してたかのように描いただけ/比叡山延暦寺が後白河法皇と対立し平清盛に助けてもらったことを隠したい「愚管抄」/後白河法皇に夜義経の検非違使留任は勢力のある武士を自衛のため手元においておきたい自然な感情からで、頼朝を怒らせるとは思ってなかった可能性。/幕府は置かないが自身に忠実な武士は優遇する後醍醐と、幕府は置くが武士を将軍にはしない護良と言う政権構想の違いが両者の対立の核心。/応仁の乱の契機は将軍の跡目争いなどではなく、畠山氏内紛への山名宗全の介入。「応仁記」は日野富子と山名宗全を悪者に/朝廷はスポンサーたる信長との関係強化を望んでおり、朝廷が信長を敵視していたという見解は成り立たない。三職推任問題も朝廷黒幕説の根拠ではなく、むしろ公武融和の証拠/光秀の(本能寺の変時の)状況は、黒幕が作り出せるものではなく、ただの幸運、突然訪れた好機を逃さず決起した突発的な単独犯行と見るべき/黒幕説論者は一様に織田信長を過大評価/まだ結論は出てないが、西軍の小早川秀秋が合戦以前ないし合戦開始直後に東軍に寝返りあっと言う間に決着がついたことは、ほぼ確定/呉座勇一「戦争の日本中世史」、金子拓「織田信長 不器用すぎた天下人」2017にも当たってみたくなる。
こぐまのケーキ屋さん (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
カメントツ / 小学館 (2018-03-02)
読了日:2018年3月10日
腕が良くてキュートだけど、ケーキのこと以外はほとんどわかんないこぐまのケーキ屋さん。見かねたお客さんが店員になってくれて二人三脚。隅から隅まで悪意のない善意の世界。店長さんと店員さんのやりとりが、ほんと読んでてほのぼのしてくる。なぜそんなにケーキのこと以外知らないのか、巻末で少しだけ描かれる。それでも店出せたのはすごいなと思う。干し柿を見て、干すと美味しくなると教えてもらい、シュークリームを干してがっかりしたり、ラングドシャが言えなくてモゴモゴしたりと随所に可笑み。
ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ヨハーン・ヴォルフガング ゲーテ / 集英社 (2004-05-01)
読了日:2018年3月10日
ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ヨハーン・ヴォルフガング ゲーテ / 集英社 (2004-05-01)
読了日:2018年3月8日
池内紀訳だからか最後までたどり着けた。一度は読んで見たかった作品。学問を修めたのに何者にもなれなかったと絶望し、毒杯で自殺しようとするも、天使の合唱で思いとどまり、悪魔に魂を売り払い、悪魔とともに安酒場から、若い娘との恋、女神たちとの饗宴、深い森、王国の助っ人業などさまざまな世界をめぐり見聞し、最後は、広大な領地を領民たちのために豊かに残すことを図りつつ、つい、悪魔との契約時に、魂を渡す合言葉、時よ止まれ、お前は美しいを口走ってしまう、と。最後は悪魔と天使でファウストの魂の奪い合い。他人には及ばぬさまざまな体験をした魂は、格別なる美味だとでも言うのだろうか、と。端的に、長い…劇とすれば必要なのかもしれず味わいなのだろうけど、抄訳でもいいかなと言う気に。マンガ版も再読してみようかな。/山のような本を読んでわかったことといえば、せいぜいのところ、この世には苦しんでいる人がどっさりいて、そこにちらほら、幸せ者がいるといったことぐらいだ(ファウスト)/それよりも書物です。頁をめくるのが無上のよろこびです。(ワーグナー)/時よ、とどまれ、おまえはじつに美しい(ファウスト)/ああいう手合いはどこにでもいましてね。人が楽しく踊っていると、わきからあれこれケチをつける。(ファウスト)/花は妬まない 争いをしない 野暮だもの(実のついたオリーブ)/ぶどうの発酵中はひどいものだが、とどのつまりは酒になる。(メフィスト)/命令する者は、まさに命令の中にこそ、深いよろこびを見つけなくてはならない(ファウスト)/何であれ願いつづけ、求めつづけた。ついぞ満ち足りたことのない男だった(メフィスト)
梅原真隆 / 角川書店 (1974-10-30)
読了日:2018年3月6日
前回は関西弁で訳された講談社古典新訳文庫版を読んだが、より古いもので、標準語で訳されたものを見つけ再読。手に取るきっかけは、ドラマ版「白夜行」、刑事役の武田鉄矢が折々につぶやいていたのに触発され。やはり、読みが浅いからか、念仏さえ唱えていれば老若男女悪人も善人も救われる、善をなそうなどとは弥陀の救いをかえって妨げるから、弥陀の救いをひたすら信じろ、というように読めてしまう。「浄土真宗では今生で本願の救いを信じ、来生には浄土に往生して覚をひらくのであると師匠からうけたまわつている」
回転銀河(5) (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2008-08-11)
読了日:2018年3月4日
双子の悪魔…何者なのだろう。生徒の親の運命までコマのように手のひらの上で転がし。高校生の痛さ、切なさよりそちらに目が行き。小学生の貴大が姉の友人ミチルに、泣きながらどうしたら話がうまくなるの?と相談した回答が、うーむ、まずは深夜ラジオを聞け、そしてハガキ職人になれ、なのがツボでした。
服を着るならこんなふうに (3) (単行本コミックス)
縞野やえ / KADOKAWA/角川書店 (2016-08-10)
読了日:2018年3月4日
おしゃれに自身なくしてる友人に、自分もそうだった頃を思い出しながらアドバイスする回がよかったなあ。あと、主人公が、○○でしょ!と知識を披露したあとに、妹が、私が教えました!と胸をはるくだり、繰り返し、がツボでした。ユニクロルメールのオックスフォードストライプシャツのグリーン、アダム エ ロペのリネンストレッチ ラウンジパンツ、欲しくなった。
新装版 デイジー・ラック(2) (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2018-02-13)
読了日:2018年3月4日
回転銀河の5巻を読んだら、そこに「Daisy Luck」のスピンオフが紛れ込んでいて、それがおもしろかったので、本編の方も購入。小学生以来の幼馴染の女子4人が30歳前後で下した決断。結婚生活をより充実なものにしたり、フリーでやってる仕事が転機を迎えたり、大きな仕事を任されて浮気男を切ってやり手の男に踏み込んだり、パン職人を目指したり、様々に。四者四様に描かれる連作短編集。ただ、作者も描いてる通り打ち切りは惜しい、ミチルと貴大の話はもっと読みたかった。
新装版 デイジー・ラック(1) (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2018-02-13)
読了日:2018年3月4日
ほのぼのドイツぐらし。 ~国際結婚3年め、南ドイツの田舎町で新生活はじめました~
白乃 雪 / KADOKAWA (2018-02-28)
読了日:2018年3月4日
ドイツ暮らしもなれたと思った頃に、夫の転職で、ドイツを北から南へ縦断、ハンブルグからバイエルンへ。漫画が描けるならどこでもいいと気軽にOKしたが、そこは方言が強くて聞き取れず、徒歩圏内にスーパーがない田舎だった...と。それでも徐々に順応してくのすごいなあと。どや顔のアルパカ、ツボ。ベルギーで行われたインタラクティブコンサートでペインティング担当の回もツボ。あと、日本留学経験のある夫が、風邪の時に、鍋で炊いたご飯、ダシからとった味噌汁、蒸した魚の純和食を出してくれた回の、納豆以外はほぼいけるという日本食好きぶり。スーツケースの半分を日本からのお土産で埋めてきてくれた友人に、作者、五体投地、夫、プロポーズされたみたいにウルウルの回も。レーダーホーゼて革の半ズボン、初めて絵で見たかも。村上春樹「回転木馬のデッドヒート」のレーダーホーゼンに出てきて以来気になってたもの。これがきっかけで妻の愛が急に覚めてしまうという愛の理不尽を描いた短編の事を。
(044)汝 (百年文庫)
吉屋信子 , 山本有三 / ポプラ社 (2010-10-13)
読了日:2018年3月4日
山本有三『チョコレート』だけ読了。ふわふわとした手前勝手な善意が、何の役にも立たず、自分も窮地に追い込んでしまう話し。(2010/3/27)からの、8年越しの読了。吉屋信子「もう一人の私」は一緒に生まれたはずの双子の姉の存在を知り、心に留めてたからこその、映画館のトイレで見かけた、新婚旅行時のバルコニーで見かけた、もう一人の私…の幻影だったということなのだろうか。幻影を追っていっていつの間にか入れ替わってたシーンはぞっとする。石川達三「自由詩人」は、太宰治「親友交歓」を思い出した。相手の自由さと自分を被害者に起き続ける相手を憎みつつ、抗えないもどかしさ。後味の悪さ。「腹を立てる自分のみすぼらしさを考えて、自制する。そこがあいつのつけ目であるらしい」
ナナマル サンバツ(15) (角川コミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA (2018-03-02)
読了日:2018年3月3日
スマホによる敗者復活戦も終わり、関西の実力校、北のトリッキーなチームと飛び込み、本戦前の宿舎では上級生が緊張に満ちて会食にむかうが、意外なところから問題がやってきて。そろそろキャラが多すぎて把握しきれなくなってきてるけど、少し読み返すか…。
「自分」を仕事にする生き方 (幻冬舎単行本)
はあちゅう / 幻冬舎 (2017-12-19)
読了日:2018年3月3日
自分に引きつけて考えれば好きなことはわかっている。あとはそれをどう生き方にしていくか、と。淡々と発信してさらけ出していくしかないのだな、と。どうなりたいかを目指して、少しずつ軌道を変えていくためにも少しずつ何かを、と。/以下、備忘録的に。/自分の力でお金を稼がないと自分の人生の舵取りさえ出来ない/謙虚が行き過ぎると、何も出来なくなる/自分で探せなくても「好き」を淡々と発信していれば世の中の方が、絶対にあなたを見つけてくれます/仕事をすることによってどんな社会を実現したいですか?/もしも幸せが感じられなくなったら、他人の目は気にせず、自分の心を守ることを優先させてもいいと思うのです。/「好きなことをする時間を増やす」「好きなことのためのお金を経費にする」/仕事はモチベーションでやり遂げるものではなく、責任感でやり遂げるもの/3分で終わることを、心の中に3時間置かないようにしてください
ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)
池澤 夏樹 / 新潮社 (2000-07-28)
読了日:2018年3月3日
観光やサーフィンなリゾートだけじゃないハワイイを、といっても、リゾートのハワイイすらよく知らぬ身だけれども、ハワイイ固有の自然、言語、文化、産物、それを守り、受け継ごうと活動する人々、アメリカ化の浸透、などさまざまなトピックスを説き起こしてくれて、少しずつ、読み終わるのがもっったいなく感じるほどどっぷりハワイイに浸かれた、紙の上の旅行を堪能できた。以下備忘録的に。/神がヒトという種だけを特別にかわいがってくれるという妄想はもう捨てなければならない/ロビンソン一族の私有地ニイハウ島/「一日ここでぼんやりしていた。少し泳いだし、いい日だったさ」/真昼のプリニウスでの、ホースで溶岩を止める試み/ハワイイ本来の植物は山の上の方に追いやられ、細々と暮らしている/ハワイイに最初にクックがヤギを連れてきて、天敵もおらず餌は食べ放題でたちまち増えた/キース・ロビンソン「なすべきことが目の前にあれば、ただそれをすればいいのだ」/ジェイムズ・クック。出会った島民に敬意をもって接し、その文化を軽侮の目で見ることもなかった。/カメハメハの統一。1810-9年。戦いは終わり、統治は安定し、王は敬愛を受けた。/カアアフマヌの合理主義。偶像は倒され神官の権威は失墜/池澤夏樹「楽しい終末」/はじめに詩があり、それに節がつき、振りが添えられてフラになる/大きなハワイイ語の辞書には様々な雨を表す単語が百三十、風を表す言葉が百六十載っている/バリーフラナガンのギター奏法。駒沢敏器「ミシシッピは月まで狂ってる」/チャールズとケリイのデュオ、ハパ/文字がないとなれば、朗唱と儀式と彫像と神殿がその抽象的な概念を伝える役を担う/マウ・ピアイルグは自分が知っている海域をはるかに離れたところで、赤道を超えて北極星が見えなくなるところまで行って、なおかつ目的地に船をピタリとつけた。/身内の集まりに、二千人が押しかける、遠慮という言葉が辞書にないハワイイの人/精妙な神話体系を作り出し、素晴らしいフラを生み出し、チャントを唱え、レイを作り、日々を飾った。/この海を走ってぼくが感じたのは、自分たちがいかに無力であるかと覚ることの快感、自然の力がいかに大きくて、予測不能で、こちらを無視しているかを実感することの快感だった。/池澤夏樹「明るい旅情」/ミッドウェイ海戦を戦闘詳報を綿密に読み込んで描いた澤地久枝「そう海よ眠れ」/アホウドリの振るまいをただ坐って一時間も二時間も見ているだけで心が心地よくゆるむ。遠くから息をひそめてモンク・クールを見ている喜びも忘れられない。/「宇宙をうたう」中公新書、日本の詩歌に登場する天体を縦横に論じてこんなに面白い本はない。/


chokusuna0210 at 21:56|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年03月01日

2018年02月に読んだ本

期間 : 2018年02月
読了数 : 41 冊
アフタヌーン 2018年 04 月号 [雑誌]
講談社 (2018-02-24)
読了日:2018年2月25日
はしっこアンサンブル。げんしけんの木尾士目の最新作は工業高校の合唱部…をまずは作るところから。勧誘するために毎日放課後に立って歌を歌い続ける一年生。低すぎる声を持て余す主人公。熱いだけでなく音響への深すぎる知識を持つ男が主人公の声の可能性を見つけたとき、何かがはじまりそな予感が。/ブルーピリオド、壁にぶち当たる八虎。ここにあるモンみーんな誰かが考えて作ってんねんやろ。そしたらコンビニも美術家みたいなモンやん、だから見にきたという橋田の柔軟さ。/天国大魔境。外と内の話が並行して描かれてるんだろけどもはやわからなくなってきた。前号読み返そう。/ヒストリエ。虎狩りで虎に襲われ顔に大きな傷を負ったパウサニアス。生の意味を考えた時、引っかかるのは襲ってきたときの獣の顔のことだけだった、と。/波よ聞いてくれ。カレーや店員としてもDJとしても主役ポジではないのではと煩悶するミナレ。久連木への気持ちを見抜かれいじわるされつつ制作者としては適切なアドバイスくれる穂隠に心開きつつある南波ちゃん。解放の日はせまるといわれたけれども…と。南波ちゃんの抑えた表情の豊かさが見どころ。/フラジャイル。五代先生…まったく同情できないけど、それでもやり直そうとするところ鬼気迫る。そして岸先生からの、筋はあんたが通すんだよ、という宣告。/大上さんだだ漏れです。柳沼くんの遠い親戚で昔家族ぐるみで付き合いのあった美しいお姉さんの登場。純粋だけどきになるところもあり、波乱の予感。/マージナル・オペレーション。行列できるほど抱き上げてほしい子供達に愛されているアラタ。その夜、湿布を貼りに来てくれたジブリールとのやりとりの愛らしさといったら。/ヴィンランドサガ。一人でやすやすと城内に乗り込んだガルムとようやくグズリースのもとにたどり着いたトルフィン。にしても強すぎないかガルム 笑/あたりのキッチン。祝いのちらし寿司とタイムカプセルをめぐる一幕。清美の亡父と阿吽のご主人が同級生だったのでは、ということが示唆されつつ。おれは当人たちが気づくまで描くのかな、そのままなのかな。/Black-Box。ビッグマウスで観客に憎まれながら確実に勝ちを重ねていく凌駕。事故から再起できないレオンとの再戦を望み、大物プロモーターに、ボクサーをゴミみたいに捨てんじゃねえと凄むが。一方、再起不能の彼女とすごすレオンを物陰から見つつ。再戦は叶うのか。/バギーポップ。でこぼこ師弟コンビのつかのまの休息。部室での一幕や一緒で勉強したりの微笑ましさ。/うちとわたし。四季賞受賞作。似合わないは何かを諦める理由にはならない。何かを始めるのは恥ずかしいことではない。そして、誰にも気づかれないスピードで少しずつ優しくなれたらいいなと思う、怒りん坊の主人公の物語。これ何度も読み返したいかも。工場のぽっちゃりな同僚のさりげない優しさもしみ入る。
モブ子の恋 2 (ゼノンコミックス)
田村茜 / 徳間書店 (2018-02-20)
読了日:2018年2月25日
こんなこと言ったら変に思われるかも嫌われるかもという思いを乗り越えて、絞り出すように、少しずつ気持ちを伝える。それが相手に届く。その繰り返しで少しずつ距離が縮まるの、見てて歯がゆいけどなんだかあたたかい。不器用な二人のラブストーリー、続きが気になる。
Switch別冊 ◆ 札幌国際芸術祭2014 OFFICIAL GUIDEBOOK 都市と自然
スイッチパブリッシング (2014-07-11)
読了日:2018年2月25日
brownbookscafeにて見かけて思わず購入。SIAF2017を熱心に見た身としてはものすごく興味を惹かれて。テーマは都市と自然。ゲストディレクターは、坂本龍一。相通ずるところもあるけれど、大友良英ディレクターとはカラーが違うなという感じも受け。2014は本でしか見てないから、的外れかもしれないけど、大友さんの方が、人に寄ってると言うか。/音楽も美術も聴こえないものを聴き、視えないものを視るためのものだと思います。(坂本龍一)/ヨーゼフ・ボイス「社会彫刻」。作家や作品ではなく、社会を構成する大勢の人たちこそが主役であり、彼/彼女たちがアートをつくり上げると考えたのです。/島袋道浩さんが、シャルジャで行ったパフォーマンス。立ち会ってみたかった。地元の労働者しか乗らないフェリーに、富裕層や観光客も乗るように導線を作り、その先に、アイスクリームの塩がけ、アイスクリームの胡椒がけを提供して楽しんでもらうという企み/行ってみたい、もっと調べたい、見てみたいテーマや人、場所など。アートというのはまさに社会に「一石を投じる」こと、一種の鍼治療みたいなものなのです。(島袋道浩)/デュオ内の新さっぽろギャラリー。ほのかな明かり音影気配...インスタレーション、今村春子。楢原武正「大地開墾」シリーズ。高谷史郎「CHROMA」。深澤孝史「とくいの銀行」。福井の近く?「やぎや」。http://heysapporo.meoto.co/はまだあるのかな。「すし処さっぽろ」の蝦夷前寿司。札幌の住宅は30年で建て替えられているというデータ。松江さんの「JP-01 SPK」、空から見た札幌。フーズバラエティすぎはら。特別な配合の釉薬をかけて焼くことで完成後も断続的に貫入が怒りかすかな音が聞こえてくるという宮永愛子作品。マレウレウ。坂本龍一が北極圏で録音した素材が一部使われている「Out Of nOise」。
世界の歴史〈20〉近代イスラームの挑戦 (中公文庫)
山内 昌之 / 中央公論新社 (2008-02-01)
読了日:2018年2月24日
長い19世紀アンソロジーの、QJR朝イメージアップ大作戦に触発されて手に取る。7章のカージャール朝分のみ読了。なかなかに大変な時代という印象。イギリスやロシアに翻弄された外交政策。常備軍すら整備できず敗戦につぐ敗戦で領土を喪失。末期には実を結ばない、漫遊とも言える、国家財政をいためるほどのシャーの外遊などいいことなし。経済政策は無策ゆえに、外国勢力に次々と特権を与え、タバコボイコット運動など人民の強い反発を受ける、と。
ディレイ・エフェクト
宮内 悠介 / 文藝春秋 (2018-02-07)
読了日:2018年2月24日
表題作のみ読了。東京中で、ある日、戦時中の光景が、いまの景色と重なり合って、リアルに現れる。最初は戸惑うがだんだんと慣れてきて。しかし戦況が進むと、破滅的なシーンが予想され、それを幼い娘にも見て欲しい夫と見せたくない妻が諍いを起こし…と。そこまでもエフェクトだったのかというのと見せたくない理由が語られるシーンが印象に。なかなかにない着想だけど、グイグイと読まされた。
ワカコ酒 10 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2018-02-20)
読了日:2018年2月24日
なめこおろしと焼酎のとりあわせが魅力的。
オスマン朝宮殿の建築史
川本 智史 / 東京大学出版会 (2016-09-01)
読了日:2018年2月24日
広い視野で、オスマン朝の宮殿と言えばトプカプ宮殿、宮殿を、宮廷儀礼を論じるならトプカプ宮殿を事例に、と言うのを覆し、諸史料から可能な限り、他の宮殿の像、儀礼を復元し、それ以前に確立していたことをあぶり出し、また、首都、副都、それ以外の都市のはたした役割、スルタンの移動まで含めて論じられていて、大変興味深かった。また、久々にまとまってオスマン朝の研究書を読んで、様々なテーマで研究が進展しているのを感じた。
錦繍 (新潮文庫)
宮本 輝 / 新潮社 (1985-05-01)
読了日:2018年2月23日
ある事件がきっかけで離婚した夫婦。それぞれがそれぞれの10年を過ごした後、秋の蔵王でばったり再会し、その後、文通を始める。お互いの手紙で語られるそれぞれの来し方。忘れられなかったはずなのに、振り切って再婚したはずなのに、忘れられず、新しい相手への愛も芽生えず、障害を持った子を育てることで、自分も強くあろうとする亜紀。する事なす事裏目裏目で、ヒモのように暮らしていたが、おとなしいと思っていた女に、自分の事業を手伝うように言われ、少しずつ前へと進み出す有馬。ハッピーエンドではないとの書評もあるけれど、これはこれでハッピーエンドなのではないだろうか。お互いがお互いの歩む道にかすかにでも希望を見出し始めるという形の。別れる時には語れなかった思いや、聴きたかったこと、お互いのバックグラウンドまで理解し合った上での。/以下備忘録的に。/生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれへん。(亜紀)/人間は変わって行く。時事刻々と変わって行く不思議な生き物だなあ。(亜紀の父)/私は跡形もなくこの世から姿を消してしまう。けれども、私の命そのものは、自分の背負い込んだ悪と善に包まれながら、決して消滅すことなくつづいて行くのだ。(有馬)
麺/Berliner(.ed) / 麺/Berliner(.ed) (2017-12-31)
読了日:2018年2月21日
カージャール朝目当てで購入。カージャール朝の君主たちをコミカルにデフォルメして親しみを込めて紹介。モハンマド君ちゃんとか、ヒゲ!ヒゲしか印象に残らない、とか、なぜかいろんな製品に肖像画印刷とか、もうもう、と。そしてカージャール朝のことを自分でも調べたくなった。次にインパクトがあったのが、デリバリー国務卿。袁世凱と徐世昌の物語。この二人の関係、治績あたりももっと調べたくなった。小説では、1907年10月ウィーンに、シェーンベルク、マーラー、クリムト、エゴン・シーレ、トロツキー、そしてヒトラーが一堂に会し、それぞれシーレとすれ違ったと言う仮想の物語が印象に。シェーンベルクの室内交響曲聞いてみたくなる。/トペリウス「確かに、未来は大切です。」「でも、それだけではだめです。自分が何者であるか知るために、僕らはまず自分たちがどこから来たのか知らなくては」(「カレワラの夢」)/クリムト「人というのは、何でも分かりやすく端的にまとめた言葉を欲するんだ。だから「世紀末」だの「退廃的」なんて言葉でまとめる。だが、実際にそこに中身はない。あるのは、個別の芸術家が身を削って表現した作品だけだ。」(「黄昏を背にして」)
諸井 誠 / 音楽之友社 (1974)
読了日:2018年2月19日
中学生か高校生の時に図書館で読んで魅了されたのに、タイトルを忘れ、著者の名字だけ覚えていたて、次に読みたくなった時に、探しあぐね、インターネットが発達してからようやく探し当て、買い求めたのに、また手放してしまい、買い戻したのに、また見当たらず、再度購入。今度は手放さないぞ、と思いつつ。クラシック喫茶を舞台に恋のさや当て。喫茶の娘と作曲家と評論家志望の二人の。文章はやはり時代を感じる、昭和軽薄体に乗ったのか、マコトニオ・モンロイという筆名、エーーッチ、オゲレーーーツというセリフに時代を感じてしまう。ただ、それを差し置いても、音楽を語るときの熱はすごく感じるし、魅力的に語られることで様々な曲が聞きたくなってくる魔力。この小説に感化されてピエール・ブーレーズ「ル・マルトー・サン・メートル」は大好きな曲となり何度聞き返したかわからない。バレンボイム、ジャクリーヌ・デュ・プレ夫妻のブラームスのチェロソナタ第一番、バーンスタインのミサ、萩原朔太郎のアフォリズム、ブレーズ+ニューヨークフィルの中国の不思議な役人、ブルックナーのロマンティックの第二楽章、ブーレーズの弦楽四重奏の書、アンソニー・ニューマンの演奏するジョン・ブルのWalsingam、ビゼーの子供の遊び、マラルメの美しい詩に触発されたブーレーズのインプロヴィザシオン、バルトークの夜想曲=弦チェレの第三楽章などなど、今回も聞きたい読みたいが目白押し。
人物アメリカ史(上) (講談社学術文庫)
R. ナッシュ , G. グレイヴズ / 講談社 (2007-08-10)
読了日:2018年2月19日
フランクリン分のみ読了。「フランクリン自伝」の語らなかった、独立戦争を含む後半生について埋めて欲しく。簡潔に知るには有益だった。派遣されて、ロンドンに長く滞在して、俯瞰した視点を持ち、時に植民地アメリカの急進をなだめイギリスに従う姿勢を見せた時もあったが、最終的には植民地の姿勢を支持し、イギリスと決裂後は、フランスに使節として派遣され、大変な歓待ぶりを示され、人気を博し、アメリカの力になってくれるよう力を振るったことなどが描かれる。
南鳥島特別航路 (新潮文庫)
池澤 夏樹 / 新潮社 (1994-03)
読了日:2018年2月19日
5年越しに、通読。朝風呂しながら一編一編読んでいく楽しみ。視点が地球大。時に、自然の視点で思考が巡らされ。内間古洞の暗闇で自らの闇を感じ取る力に失望し、白峰では雪が人に与える徒労感に思いを馳せ、八重干瀬では営々と礁を作ってきた珊瑚と月と地球の綱引き、膨大な海の水が動くという現象を記し、常願寺川を見たオランダ人の「これは川じゃない、滝だ」という言葉に立山での砂防の難しさを知り、乗鞍岳では高い山を登る苦労は人を浄化し遠方から降り来る祝福を受信し、その遠方へ向かう意識を離陸させる場として人の精神を高めるとする。道は富を運び込むものであり、何かを運び去るものである。南鳥島への航路で、金子光晴の感覚的で美しい旅行記「マレー蘭印紀行」のペースであると感じ、ようやくの陸地にただただ安堵感を覚えコロンブスが乗組員の反乱を抑えるのに苦労したかわかったこと。雨竜沼で、5000年は一瞬であること、だがこの先100年の雨竜沼も想像できないこと。対馬での郷土史家永留久恵さんの案内。塩水に強い植物たちが、ライバルたちのいないところに群生するマングローブの不思議。様々な場所へ旅し思い巡らされる思考を受け止める愉しみ。
橋本 倫史 / 橋本 倫史 (2017-07-21)
読了日:2018年2月18日
初めて手に取ったミニコミだけど、この巻は沖縄が舞台。ルートビアで有名なA&W。占領時代からの歴史を辿り。現在はオレンジジュースが一番出るというのも意外。またドライブインハワイのAランチに込められた歴史。食の視点から憧れられていたアメリカ。何気に手に取った一冊だったけど読み応えありだった。/北海道が舞台のがあったら買いたい。
西原理恵子 (文藝別冊)
西原理恵子 / 河出書房新社 (2018-01-22)
読了日:2018年2月18日
冒頭のロングインタビューの圧巻。子供時代、予備校時代、大学時代からのデビュー、結婚、離婚、死別、子育て、新恋人と怒涛の半生。ダーリンは70歳が、サイバラ版俺物語だったとは...。友人知人の漫画家からの寄稿はサイバラ家訪問時の話が楽しく。高野秀行対談では、顧客が入れ変わらないとある段階まで行くとどんなハードなことしても納得してもらえない、一節が、なるほどと。田中K一対談では、禍福は糾える縄の如しを地で行く話。ウツ抜け、読み返したくなった。歴代担当編集4人の鼎談も、デザイナー2人とサイバラの鼎談もドライブ感があって面白かった。
モブ子の恋 1 (ゼノンコミックス)
田村茜 / 徳間書店 (2017-10-20)
読了日:2018年2月18日
極端に引っ込み思案でネガティブな田中さん。バイト先のしっかり者の入江くんのことが気になりだすけど、引っ込み思案すぎてなかなか距離が縮まらず。けど、少しずつ少しづつ、気持ちを言葉にすることで、少しずつ少しずつ距離が縮まり…。見ていて歯がゆくなって来るけど、あたたかく見守りたいような続きが気になるような。
昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)
木皿 泉 / 河出書房新社 (2016-01-07)
読了日:2018年2月18日
若くして夫の一樹を亡くしたテツコさん。そのギフとの二人暮らし。いまの恋人の岩井さん。隣人で一樹の幼馴染で笑えなくなって客室乗務員を辞めてしまった宝。一樹を慕っていたいとこの虎。そしてギフと山登りの師匠。ゆっくりとだけど、テツコさんが、亡き夫のことを手放し、新たな道へ踏み出そうとする様子を主軸にしつつ、周囲にいる人のちょっととぼけていて、自分なりに真摯で愛すべき様が印象に残る。取引先と砂漠の真ん中でケンカして降ろされたけど、普通の顔で歩いていた岩井さん。バイクで事故って正座できなくなり住職を辞めた、顔の筋肉の加減かいつもわらったような顔で産婦人科医をやめた友人とのエピソード。一樹の残したお守りを後輩の客室乗務員に持ってもらうことで、一樹が空か見てる、とギフに話すシーン。山登りする理由は、誰かと生死を共にしたかったから、と真剣に告げる師匠。見ず知らずの小学生の女の子に願いを叶える三枚のカードを渡したことにやきもきするテツコさん。「もういいよね。一樹は死んだってことで」とテツコさん。「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時にそのことだけが人を救ってくれるのよ」とギフ。「動くことは生きること。生きることは動くこと」「この世に、損も得もありません」と一樹の母。"さようなら、小さな私。一樹とずっと一緒にいたいと願った私。もう全ては終わったと絶望した私。世界から拒絶されたと思っていた私。今、気づいた。私はそんなところに閉じ込められるものじゃないということに。今もなお、時間の中を生きつづけなければならないものであるということに。"(p.277)
モンプチ 嫁はフランス人 3 (フィールコミックス)
じゃんぽ~る西 / 祥伝社 (2018-02-08)
読了日:2018年2月17日
趣味もバックボーンも全然違うのに、夫婦になる時はなるんだなあ、という実感。今日やりたいことは泣いてもわめいても今日やりたい、あるいは、嫌いだから今日から付き合わないと面と向かって言いそれで通ってしまう、子供のロックな精神。日本人脳とフランス人脳を随時に切り替えられるカリンさん。音への非常に強いこだわりをもつカレンさんとPCのスピーカーで十分な西さん。フランスのコミック市で来る日も来る日もフランスと日本の文化の違いを問われ、そんな細かいことどうでもいいでしょと叫びたくなった一幕など。どっちがいいとかではなく、彼我の違いを冷静な筆致で描く姿勢。ひとまずの完結で、きっと違うタイトルで続きが描かれるのだと期待。
ナラタージュ
島本 理生 / 角川書店 (2005-02-28)
読了日:2018年2月17日
大人の恋愛とは、みたいな話になり、そこから、大人の恋愛小説とはみたいな話になり、色々検索したらどこにも出てきたこの一冊を手に取ってみる。島本作品は、リトル・バイ・リトル以来二作目。スマートでスタイリッシュな大人の恋愛、みたいな表層的な言葉を吹き飛ばす勢いで、秘めた熱量高く、もがき、誰も思い通りに行かず、けど最後は痛みを抱えつつ大切な思い出になっている感がある、泉、葉山先生、小野くん。その時は大丈夫だと思ったから始めたのに、始めてみたら全然大丈夫じゃなかったという残酷さ。完璧に魅力的な頼れる存在として思い描いていたのに、自分可愛さの嘘を言い出しかねていた側面を知り、それでもやめられない思いのどうしようもなさ。死を前にした覚悟の手紙を渡され、それほどまでに信頼してくれたこととそれをどうにもしてあげられなかったことに耐えかねていなくなってしまった者。綺麗になんていかない、もがき、のたうちまわる、それでも…と最後のワンシーンは思わせてくれる。"本当にたのしかったっ、にわかに彼が窓から身を乗り出してそう叫んだ。"、このシーンは涙を禁じ得なかった。最初は真摯な優しさだったはずが、あまりにも目の前にいるのに気持ちがよそを見ていて、悲しく虚しくなり、結局は独りよがりの押し付けになってしまった、それでも最後にこう言えた、言わざるを得なかった苦衷に。/以下備忘録的に/シンディ・ローパーのタイム・アフター・タイムとネイティヴ・サンのスーパーサファリは聞いてみたい曲に/そういう、まだ実際に起こってないことに対する心配なんていうものは、しょせん、すべて妄想なのよ/だけど、今さら正直に話すのは怖かった。/だって、君はさっき、一緒に死んでもいいって言ったじゃないか/結局、自分が一番可愛いだけじゃないですか、なにかを得るためにはなにかを切り捨てなきゃいけない、そんなの当然で、あなただけじゃない。/本当はずっと君のそばにいてあげたかった/それが聞けただけでも十分です。
お肉ガール
川本 スガノ / 実業之日本社 (2018-01-19)
読了日:2018年2月15日
そ、その変装が見抜けないなんて、と思いつつも、肉好き、肉愛に満ちた2人の距離はぐぐっと縮まり、最後は肉修行のために失踪した父も出てきて大団円。肉の肉巻き、美味しそう。低音じっくりで焼いたハンバーグも。
二匹目の金魚
panpanya / 白泉社 (2018-01-31)
読了日:2018年2月15日
不思議な感触のpanpanya さんの漫画。夕方街中に流れるメロディーの発生源を突き止める小さな冒険。ローポポーが家路とは思わなかった。海開きの反対の海閉じのそれっぽさとちょっとの違和感。通学路でリヤカーを渡されたことで迷い込んだ世界と意外な解決策。金魚を逃してしまったいきものががりが知った屋台センター。などなど。なんだか目の前に差し出されたらそのまま信じてしまいそうな世界。
新久千映のお酒のお時間です (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
新久 千映 / KADOKAWA (2018-01-26)
読了日:2018年2月15日
ワカコ酒の新久さんの家飲み模様が描かれるコミックエッセイ。生ハム原木、メンテナンス大変そうだけど確かに盛り上がりますよね。東京の友人とスカイプで飲み会。お互い料理を見せ合ったり語ったりで最後はシャットダウン。巻末の広島のディープな居酒屋案内も良き。
いぶり暮らし 7 (ゼノンコミックス)
大島千春 / 徳間書店 (2018-01-20)
読了日:2018年2月14日
燻製チーズフォンデュとか、燻製コンビニチキンとか、燻製ミートソースとかどれも心そそられる。
インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ
小林弘人 , 柳瀬博一 / 晶文社 (2015-01-24)
読了日:2018年2月12日
「広告」から「狭告」へ。広くあまねく大衆に語りかけるのではなく、自分の周囲から情報を得て、自分の周囲に発信する形への転換。そこでのアイドルになれば、さらに広く発信されることも、という形に。そして、一芸だけのスペシャリストではこの先苦しい。全て自分でやるとか、何かと何かを掛け合わせて価値を生み出すかしていかないと、と。/以下備忘録的に。/予期できないものや立証しづらいものを作ることが今求められていることで、「未定調和」こそ最も知的で野蛮/お前のソーシャルグラフがつまらないのは、お前自身がつまらないからだ/一芸しかなくても食えていける商売が永遠にある=「営業」/大前提、己がサービスを愛してこそ、サービスが愛される、十分条件ではない/顧客をも巻き込む形のコンテンツがあつい
er-しんどいオカマのお悩み相談 明るくないし強くもない孤独に苦悩し続けるオカマがひとりの人間として綴る哀憐の讃歌 (eロマンス新書)
BSディム / KADOKAWA / エンターブレインDMG (2018-02-02)
読了日:2018年2月12日
オカマだからって...と世間のイメージを綺麗に裏切るオカマ像を掲げて、ぼそぼそと語るように相談に答えていく。切れ味鋭くなくても、考えに考えて、こうしたらと言ってくれるような。SNSで幸せ自慢を繰り返す友人が辛いに、ああ、仏門に入ればいいんじゃない?という回答者の友人のオカマ。人間関係のうちで一番辛いのは所属するコミュニティに自分の存在価値がなくなること。幸福に見える人は自分の人生に大なり小なり折り合いをつけて生きているもの。解決し得ない悩みを解消するにはどうにかして自分自身を納得させるしかない、と喝破。尊敬している人、好きな有名人、自分を盛り上げる音楽、カラオケの十八番、みんなマライア・キャリー。何度も読み返す本は、ネパールの絵本「プンクマインチャ」、ドーン・チョーレチャてしゃべるヤギがすごい、と。友人ができず、また去るのも、忙しさにかまけてこちらから連絡を取らないから、誘われる受身が前提で、連絡がこなければ疎遠になった、と。存在を認めたからと言って許容をする必要はないし、無理にコミュニケーションを取る必要もない、と。
ダーリンは72歳 (コミックス単行本)
西原 理恵子 / 小学館 (2018-01-19)
読了日:2018年2月11日
いつもサイバラがスイカの種を取ってから食べさせてたから、一人でスイカ食べたら種があって驚いて、顔中種だらけになっちゃったってエピソードが甘やかしすぎてて一番好き。
図鑑少年 (中公文庫)
大竹昭子 / 中央公論新社 (2010-10-25)
読了日:2018年2月11日
昔何度も読んで一度手放してしまい、買い戻した一冊。やはり個人的ベストは「なくしたピアス」。帰り道に見かけた街頭でウードを弾く旅の女性に心惹かれ、コーヒーを一緒に飲み、仕事場に泊まってもらい、翌朝置き手紙となくしたはずのピアスがあっただけの一編が何年も心に残っている。週刊石川雅之の「ただそれだけで」と通ずるものがあると個人的には思っていて。次に印象に残っていたのが、知的障害のある少年のファミレスでの一幕をハラハラしながら見守っていた「おじぎ草」。他の短編はほぼ忘れていて、新たに味わい直す。都会に住む者たちの出会ったちょっとした違和感をすくい取って、そのままこちらに差し出してくれる、オチなどないよ、ただ続いていくの、といった感触。真上の住人の毎夜の足音が末期癌の痛みを和らげるためと知った青年。酔っ払いの英文が読めるのかよという挑発に、「すらすらってわけにはいかないです」と生真面目に答えて場の空気を和らげた青年。ベランダから飛んで行ったシーツを十数年ぶりの同級生がなぜか偶然見ていたこと。台風の後にできた穴池をめぐる思い。ものすごい執念で川に落ちたサッカーボールを追い続ける親子に話しかけると日本語を解さないと知ったシーン。風呂釜点検を頼んだら、どの人もうまそうにセブンススターをうまそうに吸って煙の行方で何かを判断していたこと。Do you know me?と間違いファックスを受けた外国人が語りかけてきたこと。どうしようもなく神経質な付き合っていた男が聞いていたモーツァルトのピアノソナタ8,10,15番と弦楽四重奏曲と、ブッカー・リトルの「Life' a little blue」
乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益
佐々木功 / 角川春樹事務所 (2017-09-29)
読了日:2018年2月11日
なかなかに史談から取ってきてるのかなあ、と。そうでなければ、忍び働きの活躍などは描けないと思うが。甲賀で他家に操られた庶子の兄と叔父に裏切られて、家を潰され出奔し、斎藤道三に商人として仕えるも、道三の敗死を機に、鉄砲の腕で信長に仕え。家康との同盟に大きな役割を果たし、服部半蔵と面識を得て、伊勢の攻略にも辣腕を振るい。対信玄戦での再度の家康への派遣、援軍の将としておもむき、飛び加藤と対峙し。お前はおれだ、と信長の絶大な信頼を受け、関東管領に命じられるも、1ヶ月後の本能寺の変。それまでは無欲、冷静沈着、透徹した行動で衆を率いていたが、徳川の誘いを断った時点で何をみていたのだろうか。気になるところ。前田慶次郎が良き武者ぶりを発揮し、沈着な一益と好対照。二度死んだのだから、と言うが死んで余生と思う者が関東管領に任じられるほどの働きぶりを見せるものだろうか、と。もっと史実の滝川一益も追いたくなってきた。
ナグネ――中国朝鮮族の友と日本 (岩波新書)
最相 葉月 / 岩波書店 (2015-03-21)
読了日:2018年2月10日
ふと西武線のホームであった女性を、アシスタントに。それをきっかけに中国での朝鮮族について深く知ることに。韓国人からも差別され、日本人からも差別され。それは著者の知らない日本であり、韓国であり、中国であった、と。/時に、自分の関わり方を悔い、私に人を支える資格などあるのだろうか、と思い悩むシーンもあったけど、正直、自分に置き換えてみて、ここまでできるだろうかと考えると心もとない。それをやってのけるところに感銘。そして、差別されるだけでなく、故郷に帰省した恩恵が、漢族が増えてから村が汚くなった、と言うところも描く。また、中国では地下にもぐらざるをえない、国家に認定されない宗派のクリスチャンであり、「奇跡をうたい、現世利益を前面に押し出す彼らをひとえに非難できないのは、占領、戦争、南北分断、差別、そして流浪と家族離散の歴史を生きざるをえなかった朝鮮民族の宿命を、日本人の私に理解できるわけがないと思うからだ 」(p.188)とも語られる。/あなたがたは地の塩である、あなたがたは世の光である、というマタイの福音書の言葉が心に残る。
恋するアラブ人
師岡 カリーマ・エルサムニー / 白水社 (2004-11)
読了日:2018年2月10日
普段なじみのない、アラブ古典詩の世界に導いてくれつつ、エジプト人気質を語り、アラブ女性は毅然としているのが美しい、と。またケチを忌避する文化、謝らない文化ゆえに、ただ謝罪を示したというだけでその詩が後世に広く伝えられたり、過保護な子育てが語られたり、と。以下備忘録的に。/ジョークがエジプト人の日常に欠かせないエッセンスであることは有名だが、ユーモアのセンスや朗らかさに恵まれなかった人間は、妻に捨てられても周囲が納得してしまうほど、不運なのである。/「君はどこの部族の出身か」尋ねると、旅人は、「私は、恋のためなら命を捨てる部族の者だ」/「モタナッビーは、たとえ誤っても、正しい」とさえ言われた、文法書にはないような見慣れないアラビア語でも、モタナッビーの詩にあれば、それは正しいということだ。/「貴方は太陽、王たちは惑星、太陽が昇れば惑星は残らず姿を消すのです」
松村 栄子 / マガジンハウス (1992-10)
読了日:2018年2月8日
粗茶一服シリーズの再読を気に、再読したくなる。松村栄子の30代一歩手前の、トルコ、ギリシャ、イタリア、スイス、ドイツ、フランスのバックパック旅行記。クアラルンプール-ドバイ-イスタンブルという旅程が自分の時のと重なり親近感。イスタンブルでは親しくなりたい心と警戒心のせめぎ合いにやや疲れ。ギリシャでは、村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」に触発されて、ピニャコラーダ飲みたかったてところに親近感。ラヴェンナへの憧憬はイブ・ボンヌフォアの「おまえはランプをとった、そして扉を開ける/ランプをどうしよう、雨が降っている、夜が明ける」(ドゥーヴの動と不動)という詩から。ヴェネチアの最新式完全全自動公衆トイレとの対峙。セガンチーニ美術館のためにやってきたサンモリッツ、あたりが印象に。
南條範夫 / 桃源社 (1973-02-25)
読了日:2018年2月7日
為氏は、寺社が不法に占拠していた土地に、年貢優遇を餌に農民を味方につけ、本拠地を築き、寺社勢力を打ち負かし、勢力を拡大、将軍家にも献金を怠らず、内ケ島の勢力を飛騨にきずきあげる。/雅氏は、家臣や農民の妻女にまで手を出す色狂いで忌避され、最後は、母の自殺の原因が雅氏にあったと知った家臣に殺され。/氏理は武辺を重んじるが、時勢を見る目は暗く、本願寺から織田にくだったまでは良かったが、柴田勝家の寄騎に組み入れられたからか、最後まで佐々成政に肩入れし、最後は金森長近に攻められ降伏。ただ本領は安堵され。裏切ったのち帰参した川尻家をだまし討ちで誅殺した瞬間、地震で城、領地、家臣もろとも滅亡、と。/黒川十蔵「享保に咲く」で深谷新之助あらため東常堯として英邁に描かれていた東常堯は、ここでは、追われた国を取り返す気概もなく、氏理に寄食しながら名家の誇りにのみしがみつくしょうもない人物として描かれる。加来耕三「消えた戦国武将」との対比するとまた興味深く。/極小の国にて、極小の勢力が生き残ろうとあがくが、それほど才覚も見られずといった描かれ方に感じた。
景徳鎮からの贈り物―中国工匠伝
陳 舜臣 / 新潮社 (1993-09)
読了日:2018年2月7日
二編のみ読了。【景太のラム】父がギルドから追放になった広州の黄結。七宝に魅入られて、美しい色を出すのに試行錯誤。時は、明代。土木の変で皇帝英宗がオイラトに捕えられるも、その後、明側の離間策が効いてオイラトの勢力が四分五裂。それを見たオスマン帝国のメフメト二世が、東からの脅威が弱まったのを好機にコンスタンティノープルを攻略。そこから逃れたローマという職人が広州にたどり着き、黄結に大食窯を譲り七宝の製法を教え、逆に陶磁の製法を教わり、名声は首都まで高まる、という壮大なバタフライ・エフェクト。ここまでスケールの大きな円環を描かれるとどっぷり酔いしれる。ラムは、ローマがなまって、その音の近い「藍」という姓を名乗ったことから。/【景徳鎮からの贈り物】こちらは清朝雍正帝の時代。弟が皇帝擁立の功で栄達したが、のちに罪に問われ処刑された年希亮が、謹慎中に本来やりたい陶磁の研究に打ち込み、唐英という同志を得て、景徳鎮を陶磁の中心として繁栄させたストーリーに、二人が愛でた骨董屋の娘のストーリーとそっと二人の背中を押していたエピソード、二人の工房にて才を発揮していた娘が実は雍正帝に処刑された功臣の孫で密かに復讐を図っていて、その矢は一つは雍正帝に、一つは娘の想い人に、思いがけない形で達してしまう、と。こちらも大きな円環が描かれていて、綾なす運命に引き込まれる。
消えた戦国武将 (メディアファクトリー新書)
加来 耕三 / KADOKAWA / メディアファクトリー (2012-10-17)
読了日:2018年2月6日
最後の代の内ヶ島氏理、本願寺との同盟、織田信長への鞍替え、越中への進出、柴田勝家の北陸軍に寄騎として加わり、信長死後は佐々成政に同心。最後は攻められて降伏。領地を減らされたが本領安堵され、能の宴を催そうと主だった家臣を集めた夜に地震にして一夜に滅亡。わずかな家臣、一族は難を逃れたが、と。黄金との関わりについては、出てたはずだ、と見込みは描かれるが、はっきりと史料はないように思われる。状況証拠だけ。そして、内ヶ島氏だけでは語りきれなかったか、鎌倉、室町時代から語り起こされ、戦国時代の通説じみたところが長々述べられているところもあり、冗長に感じた。もっとも、内ヶ島氏の情報を簡潔に得るにはいい一冊だとは思うが。
必要になったら電話をかけて (村上春樹翻訳ライブラリー)
レイモンド カーヴァー / 中央公論新社 (2008-07-01)
読了日:2018年2月4日
【薪割り】一月、アル中療養施設に入っていたあいだに、妻に逃げられたマイヤーズ。バスで1時間のところの貸し間へと足を運び。そこの夫婦と交わらないように暮らしていたが。ある日家主に届けられた木材の山を目にして、報酬も求めず、薪にしたくなり。その作業を無心な進めるうちに、何かがマイヤーズの中で回復していき、そこを出る決意を告げるまでの短編。ままならぬ人生に、心を閉ざしがちの日々に、何か光明が射したような流れが印象に。【どれを見たい?】 引っ越したあと、別々に暮らし、その後はおそらく別れると思われる夫婦が、引っ越す前夜に、大家夫妻に招かれ、夕食をともにする短編。家族のような交流を持ち、いなくなることを寂しがってくれる夫妻。そして、見きれないほどのスライドを持って来て、どれが、みたい?と レバノンとアラスカのスライドを見つつ。別れを予期する二人はその夜も淡々と。大家の発電機が焼けた中、私たちもう行ってもいいわよね、という一言が乾いた後味 【夢】毎晩夢を見る妻と夢を見ない夫。話す妻と書き留めておいたらと夫。隣家とのささやかな交流。突然の家事と隣家の子供達の死。何が欲しいのよ、という隣家の夫人の叫び。最後は彼女を食事に招待するところまで。悲しみをつたるために、といいあぐねつつ、招待することに決めた夫妻。彼女の悲しみが癒えたのかは、日々の暮らしに紛れてわからない。何が欲しいの、は理不尽に彼女の子供を連れ去った運命に向けての叫びだったのか。【破壊者たち】新誘同士、二組のカップル。片方の妻は略奪愛で別の男の妻へ。新たな夫を含む四人がすごすひと時。これ以上深く付き合おうとは思わない、と描かれ。あるとき近所で火事が起こり、皆でその見物に出かけたが...。「ロバートの顔は紅潮し、表情は険しかった。まるでここで起こったことのすべては-放火、投獄、裏切り、密通、秩序の破壊-ニックのせいであり、ニックが責めを負うべきものだと言わんばかりの顔つきだった。ニックはジョアンの身体に手をまわしたまま、ロバートをにらみ返した。」/「ビルのことを考えていたの」「ねえ、ときどき彼のことを考えてるのよ。結局のところ、私が初めて愛したのは、あの人だから」【解題】(村上春樹) より 「我々の人生にとって大事なのは、自分にとってまっとうと思える決意をどこまでも維持することであり、自分にとってまっとうに見える姿勢をどこまでも維持することである。」/いずれの話も、誰か彼かが、以前酒に溺れ、今は酒を断っている様が語られ。これは著者の体験に根ざしたモチーフのようで。何年かぶりの再読、味わい深い思いは変わらずであった。
ラーメン大好き小泉さん公式アンソロジー (バンブーコミックス)
アンソロジー , 鳴見なる / 竹書房 (2018-01-30)
読了日:2018年2月4日
表紙カバーとった植田まさしの描く小泉さんの破壊力。みずしな孝之の大澤さんと小泉さんのインスタの写真でのお店あて対決!ラーメン探偵小泉さん。あとは、大澤さんの、小泉さん好きすぎての妄想、夢オチネタ。札幌の美味しいラーメンてんこ盛りの回。…すすり、は食べに行かなきゃ。どの作家さんもきちんと自分の漫画にしてて、小泉さん愛を感じて美味しい一冊。
ラーメン大好き小泉さん 6 (バンブーコミックス)
鳴見 なる / 竹書房 (2018-01-30)
読了日:2018年2月4日
山椒のしびれにはまる子、ファミレスの充実したラーメンメニュー、ラーメン無料サービスのビジネスホテル、オススメのラーメンという厄介な問いに一度は引き下がった転校生の粘り腰、と。小泉さん、なんだか他の子とはわりと普通の距離なのに、大澤さんには一段とそっけなく。けどめげない大澤家ポジティブシンキング。ラーメンと甘味のセットのあるラーメン屋さん、凶悪だなあ、思わず勢いで頼んじゃう気しかしない。そして山椒の魔力、激しく同感です。
道‐MEN 北海道を喰いに来た乙女 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)
アサウラ , 柴乃櫂人 / 集英社 (2017-06-23)
読了日:2018年2月4日
「キタノステラ」でみよしの愛を熱く語っていた著者の作品を読んでみたくなり。/北海道が独立したパラレルワールド。そこに東京や各地から送り込まれる工作員。未成年の特殊能力者で構成される自衛秘密組織(運転手..がどうかは突っ込まれてたけど)。そして道の帝「ドウテイ」。様々な設定はありつつも、やはり、東京から工作員担ってでも北海道の美味いものを食い尽くしたい、とやってきたメロンの存在感が強烈。その熱意は、たとえ、組織間の争いに巻き込まれても、命を差し出してもいいと思うほどの入れ込み。ここまで熱く北海道のB級グルメを語り、褒め称え、全身で喜ぶ姿には読んでる方も嬉しくなってしまう。その足で、セコマのホットシェフのカツ丼を食べに行ったぐらい。ガラナ、セコマ、びっくりドンキー、ミルキッシモ、うにいくら丼、まるちゃんダブルラーメン、みよしの、ソフトカツゲン、ビタミンカステーラ、夕張メロンゼリー、焼きそば弁当、などなど。DSK179遺伝子は何の略だったのか...大好き179(北海道の市町村)?。一番の敵対勢力のアーマーが何でできてるかというと...と。そして、メロンも幸之助も、好きなものを突き詰めるとは、という熱さと難しさと楽しさを感じさせてくれる。
未来に先回りする思考法
佐藤航陽 / ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015-08-27)
読了日:2018年2月4日
自分の職業観、やってる仕事、やりたいことについて、考えを揺さぶり、棚卸ししたうえで再構築したくなってくる一冊。気になったトピックス。

・社会に必要とされていないものを提供しようとする試みほど報われない努力はないように思います

・テクノロジ ーは 「人間を拡張するものであること 」 。そして 、 「いずれ人間を教育しはじめること 」 。最後に 「掌からはじまり 、宇宙へと広がっていくこと 」

・人間は 、思っている以上にパタ ーンの塊

・「ユ ーザ ーが望むニ ーズ 」と 「現在の技術で実現できること 」の接合点を突き詰めていけば 、そこにバラエティはあまりなく 、多くの場合その未来像は似たものにならざるをえません

・大きなリタ ーンを出すためには 、適切な時に適切な場所にいることが重要

・なぜうまく継続的なイノベーションを生み出せるのか?「必要性だ」

・現時点ではシステムが過去の情報から導き出す「合理的」な答えが、長期的にみれば必ずしも合理的ではない

・本当にそれが必要なのか、別のもっと良い方法はないのか常に考え続けてください
享保に咲く
黒川 十蔵 / 幻冬舎 (2017-12-04)
読了日:2018年2月4日
帰雲城―一夜で滅びた白川郷土の黄金郷、のみ読了。飛騨の内ヶ島氏を扱った小説なんて初めてみたので。内ヶ島氏の本家筋の鉱山技師深谷新之助が飛騨に入るところから描かれるストーリー。内ヶ島氏のために見事金鉱をさぐり当て、氏理の娘を娶り、来る秀吉の侵攻に備え、佐々成政へ軍資金を送る使者、そして上方の情勢を探る密使として活躍。硝煙の生成にも成功する。しかし、当てにしていた日吉神社の勢力に裏切られ、万事休すと思われた時、帰雲城を襲った地震が、裏切り者もろとも、城と領地を全て飲み込んでしまう...。内ヶ島氏理も新之助も妻も、新之助が地滑りを予期して無事に逃れた、という設定に。佐々氏の寄騎として、豊富な金と硝煙を生成する技術力、寺社勢力と和睦する外交力、石田三成の忍びたちを撃退すると言ったしたたかさを見せ、なかなか魅力的に描かれている。
恋する世界文学 (集英社文庫)
佐藤 真由美 / 集英社 (2011-04-20)
読了日:2018年2月2日
読んだのは、ティファニーで朝食を、マノン・レスコー、自負と偏見(オースティン)、ブラームスはお好き、月と六ペンス、ロリータ、赤と黒、嵐が丘、奥さんは小犬を連れて、アンナ・カレーニナ、の分。著者がサガンで一番好きな「一年ののち」、読んでみたい。田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」のヒロインが心酔するジョゼが主人公。そして「この暗い、ねっとりとした脂気と血を含んだ書物に永遠に手を出さないか、生涯において五度以上読み返すことをおすすめする」と語った書物とは、ナボコフ「ロリータ」。「赤と黒」の主人公の「でも、私が自分を軽蔑するようになったら、私にはいったい何が残るでしょう?」。「世間のだれもがこっそりとやって知らん顔していることを、大ぴらにおやりになっただけ」でそしりを受け、悲劇的な運命をたどったアンナ(・カレーニナ)。著者の「女性が型にはめられて生きてきた、ということに注目できる男性作家はすごいなと思う」/あらすじを紹介しつつ著者のツッコミやエピソードが挿入されて、ライトに読ませてくれて、その腕に見惚れる。ただ、見事すぎてこれだけで原作に当たらなくてもいいかなあ、と思うのもちらほら。ただ、マノン・レスコー、自負と偏見あたりは、手を出してみたいな、と思った。
未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界 (NextPublishing)
ラウル アリキヴィ , 前田 陽二 / インプレスR&D (2016-01-29)
読了日:2018年2月2日
国家が、国民一人一人にユニークなIDをふっている、それを元に国民の情報を一元的に管理するデータベースを構築、省庁や組織ごとにデータベースを作成したり利用することは許されず、各種システムをそのデータベースを元に構築、また、国民一人一人にIDに基づいた生涯使えるメールアドレスを付与。"システム構築のスタート時点から国際標準の利用、オープンソースの活用を考えていたため、開発コストを下げることができた。" 様々な仕組みをシステム化するための基盤を意識して整えてきたことがわかる。また、プライバシーに関する認識も日本とは違い、また、システムへの信頼性も高いものなのだろう。小国だからできた、ではなく、戦略の有無の違い。取り入れるべきは取り入れるべきと感じた。ほぼ賞賛一方だったので、問題点なども(ないのかもしれないけど)もう少しあげてくれるともっと良かったように思う。


chokusuna0210 at 20:00|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年02月28日

川本智史 オスマン朝宮殿の建築史

オスマン朝宮殿の建築史
川本 智史
東京大学出版会
2016-09-01



自分が学生時代にやっていた研究テーマが、より広い地域、より長い時代を比較の視座に持ち、それを含む大きなテーマの中で、深く議論されているのを見て、悔しさの前に脱帽。

個人的には、イスタンブル遷都後のエディルネを、メフメト二世時代、バヤズィト二世時代を中心に取り上げて、副都としての機能を果たしてきたことを論じたことがあったのだけど。

より広い視野で、オスマン朝の宮殿と言えばトプカプ宮殿、宮殿を、宮廷儀礼を論じるならトプカプ宮殿を事例に、と言うのを覆し、諸史料から可能な限り、他の宮殿の像、儀礼を復元し、それ以前に確立していたことをあぶり出し、また、首都、副都、それ以外の都市のはたした役割、スルタンの移動まで含めて論じられていて、大変興味深かった。また、久々にまとまってオスマン朝の研究書を読んで、様々なテーマで研究が進展しているのを感じた。

以下、備忘録的に、目に止まったトピック。

スルタンの廃立や反乱など、一見すればオスマン朝の「衰退」の象徴とされる出来事は、近年オスマン近世史研究者のテズジャンによって「王権」を掣肘するプロト民主主義の政治的プロセスであったという再評価がおこなわれている(p.9)

(1369年ニコポリスの戦い)ある捕虜はエディルネに15日間とどめ置かれ、ゲリボルに二ヶ月幽閉され、ブルサに連行され、スルタンの宮殿で使役された。「つまりこの時期、オスマン宮廷が本拠地としていたのは依然ブルサであり、バルカン側のエディルネではなかった。」(p.32)

galerieあるいはaulaという単語ひとつの意味に応じて、宮殿と儀礼のイメージがまったく異なってしまうのである。(p.54)

エディルネ旧宮殿は一四一〇から二〇年代に完成された儀礼用の中庭を備えた宮殿であり、これはおそらくティムール朝にあった「白の宮殿」をモデルにしたものだと推測される。(略)トプカプ宮殿建設以前にエディルネで新たな宮殿儀礼と空間様式が既に形作られていたのである。(p.69)

バヤズィト二世による頻繁なエディルネ滞在の記録は、メフメト二世がイスタンブルを首都とすることを企図したにもかかわらず、エディルネが実質的に副都として機能していたことを示唆するのである。(p.145)

エディルネは一七世紀後半に再び脚光を浴びる。メフメト四世は在位期間のほとんどをエディルネで過ごし、続くスレイマン二世、アフメト二世、ムスタファ二世はいずれもイスタンブルではなくエディルネに滞在した。ほぼ半世紀に渡って、宮廷はイスタンブルを離れてエディルネを首都としたのであった(p.155)(1648-1703年)

参考文献の、澤井一彰「1509年のイスタンブル大地震とその後の復興」をよみかえしたくなった。

【追記】
羽田正は遊牧民の集結地、交易の中心、墓廟の存在という三点を、イルハン朝の君主が建設させた首都の特徴であるとする。(p.124)

興味深いことにオスマン朝の歴代スルタンのうちエディルネで埋葬されたものは一人も存在せず、メフメト二世以降埋葬地は新都イスタンブルへと移された。(pp.138-9)

スルタンの滞在地がイスタンブルとエディルネのどちらかに定まらないため、ヴェネツィア共和国はこれに対処するため両都に外交官を常駐させる必要があったのである。(p.144)(バヤズィト二世期)

バヤズィト二世期後半によって積極的に利用されたエディルネが、次代のセリム一世期になるとイスタンブル以上に宮廷が長期間滞在する都市となり、イスタンブルとエディルネの両都に二つの政府があったとまで報告されているのわけである。(p.146)

イスタンブルとエディルネには儀礼用中庭を備えた宮殿が存在していたが、ここを離れて都市郊外にスルタンが長期滞在する伝統も継承されていたのである。(p.148)

バヤズィト二世とセリム一世は、相当長期間旧都エディルネに滞在し、実質的には複都制に近い体制がとられていたとみてよいだろう。(p.155)

2018年02月02日

2018年1月に読んだ本

期間 : 2018年01月
読了数 : 45 冊
([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街 (ポプラ文庫)
大島 真寿美 , 彩瀬 まる / ポプラ社 (2013-12-05)
読了日:2018年1月31日
松村栄子の粗茶一服シリーズ再読を期に、スピンオフの短編のみ読了。呉服屋のあるじの語りで、その娘のこと、そして粗茶一服シリーズに出てきた佐保が登場。内弟子になったばかりの時の頃。自分の行く末にビシッとした筋を通すかのように、友衛家の先代の妻菊路の銘の入った着物を購入。人知れず周りの人を支え続けた菊路の人柄が、あるじの口から語られる一遍。シリーズ再読後だと味わいもまた深く。
ヘンな論文 (角川文庫)
サンキュータツオ / KADOKAWA (2017-11-25)
読了日:2018年1月29日
表紙に惹かれ、手に取り、目次を読んだだけで、興味をそそられる、珍論文に基づいた研究が目白押しでそのままレジへ。研究の醍醐味、好奇心の幅広さ、対象への熱烈な愛情、そして剽窃への戒め、まで語られる。ワクワクしつつ一気に読み切ってしまった。これは絶対に続編も書います。歴史学徒の端くれだった時期もあったので、その頃のことを思い出しつつ。しかし、歴史系はここまでぶっ飛んだ研究にはお目にかかったことないなあ。以下備忘録的に。/河川敷のカップルの生態の調査に、男女二人ずつの擬似カップルで当たらせたら、1組が本当にカップルに!それをはじめ小林茂雄先生の論文、興味をそそられるのばかり。喫煙所における見知らぬ他者への声のかけやすさ、対面中における携帯電話の使用を促進・抑制する空間的特徴…。夫婦関係に不満がない、奥さんとの関係は良好、奥さんへの愛情がある、彼女とも真剣、と言う婚外恋愛している男性6人へのインタビューに基づいた研究。研究を、人間とは何か/この世界とは何か、今どうなのか/今までどうだったのかの、4つの組み合わせであると喝破/原因を解明するプロセスが何よりも重要。/大道仮説実験の塚本浩司先生の活動、もう少し追いたい/珍論文研究をやっていて味わい深く思うのは、ほとんどの論文の末尾の「課題と展望」/研究者は、明らかにしたいことに向かって、ひとつひとつの論文を連続ものとして書いている。したがって、一篇の論文は「点」にしかすぎないが、彼らは将来的に「線」出会ったり「面」にしていくつもりで書いている。しかし、それらは門外漢から見れば「だろう」とか「可能性がある」ばかりであまりに淡い点にしか見えない/湯たんぽ研究家宅にお邪魔した時、奥様がお茶とお菓子を運んで来てくださり、「奥様はどの湯たんぽが好きですか?」と聞くと、黙って首を振っただけ、というのが一番印象に残ったシーン。
ここは、おしまいの地
こだま / 太田出版 (2018-01-25)
読了日:2018年1月28日
前作がインパクト大だったこだまさんのエッセイ。生まれ育った集落を、おしまいの地と書きつつも、最後には愛着が感じられる。人生で次々とアクシデントに見舞われながらも、力強く...とは言えないけど、受け止めて生きていく様が描かれ。帯にも書かれてたけど祖父が車にはねられた時の独特のエピソード。すごいな、そんな考え方、血を流して横たわりながら。インドア派の夫を自発的に外出したくなる人間に変えてしまった凄まじい家。新米教師時代の授業参観がうまくいったのは、子供達が失敗すると先生がクビになるという噂を信じて一致団結して良い子にしてたからと後から知ったこと。首の治療をしてくれる先生の「最悪、骨がくっつかなくてもいいんだよ。ネジが緩んでなければ大丈夫なんだから」に、まるで人生のようだ、というところが一番印象に。
西荻窪ランスルー 4 (ゼノンコミックス)
ゆき林檎 / 徳間書店 (2018-01-20)
読了日:2018年1月28日
できるお姉さん花澤さんの、社長の松本さんへの思い。不器用で無愛想でなにも伝わってないようでちゃんとみていてくれてるシーンに悶え。50にもなって真正面からど正論をたたきつけられるオッサン、と落ち込むシーンもツボ。ナオの、がんばってるんだけど次の目標が、大学の仲間とあっても仕事の話がわかってもらえず楽しくなくて、と悩んでるところにバーンと背中を押してくれる三津さん。主人公のエダちゃんも、頼りにしてた先輩がいなくなる可能性に動揺するも、周りに支えられきちんとわたしは大丈夫ですと言えて。最後はみなそれぞれの場所で成長してがんばってることご描かれて。どこの会社にいたって、この業界にいるならどこかで繋がっている、とエダちゃんが語るシーンが印象に。
光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)
トルストイ / 新潮社 (2005-05)
読了日:2018年1月28日
ライフハック大全繋がり。著者が折に触れてよく読むとのことで。ローマ帝国はトラヤヌス帝の頃。富裕で俗世の生活に浸りきり、何度かキリスト教徒の生活に加わろうとするが、その度に見知らぬ医者に論破され引き返すユリウス。子供の頃の親友で、若くしてキリスト教徒たちとの共同生活に入り、神の道を進むパンフィリウス。信仰生活に疑義を呈し続けるユリウス、それに逐一反論し筋道立てて神の道を説くパンフィリウス。キリスト教徒とその信仰は欺瞞にまみれていると説く見知らぬ医者。長い長いその対話を通じて、最後は信仰の道の素晴らしさを説く、と言う仕立て。/周りの誰も愛しておらず愛されていないと自覚したユリウス/暴力強制を認めず戦争や裁判機構を認めず私有財産を認めず科学芸術その他人生を軽やかな楽しいものにする一切を認めないのです、と説く医者/神々の意志と全人類の霊知をうって一丸とした自由な活動家、あるいはまた、一人の人間の言説に対する強制的な盲信のほうが頼りになるかをね、と医者/幸福とは何か/愛を語るに、家屋を合理的に堅牢に建てることができるのは基礎工事がしっかりしてるからだ、とパンフィリウス。/人間の本性とは?力に余る労役を課して奴隷たちを苦しめたり、四海の同胞を虐殺したり、奴隷にしたり、女を享楽の道具にしたりすることですか、と挑発するパンフィリウス/悪が消滅するのは、そこから必然的に生ずる自他の不幸を、すべての人々が理解した時、四海同胞の精神が実現されるのは、我々各個人が兄弟となった時/「光は世に来れるに、世の人々その行い悪しきゆえ、光より闇を愛したり」/真理を知れば自由になりますよ/
サワサワ
中川 真 , 高橋 ヨーコ / 求龍堂 (2003-04-01)
読了日:2018年1月27日
池澤夏樹「きみのためのバラ」を読んだら無性に読み返したくなった一冊。現世と神様を信じることの距離が日本よりもぐっと近い、バリの空気を濃厚に感じつつ。祈ることが日本よりもずっと力を持ち、パンサリの直感がヤンティの回復に大きな力となり。バリ人だって日本人と同じく人の目をすごく気にする、だからこういうところを紹介したい、とヤンティが言ったシーンが印象に残る。また四人がみたイメージ、マデの祖父がパンデとともに戦い、恩に報いようとするシーンも。
アフタヌーン 2018年 03 月号 [雑誌]
講談社 (2018-01-25)
読了日:2018年1月27日
個人的今月の一コマは、「あたりのキッチン!」p543中段の一コマ。清正の、清美さんからは何もねーよなという心の声だだ漏れの顔、国重さんの、あ、今、清美さんから何もないよなって顔し点なと言う心の声、清美さんの????という戸惑い、清正父の、見ていられない…と言う心の声。前後合わせて読むと味わい深い。/天国大魔境、は、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」を思い起こさせる導入。大上さん、だだ漏れですは、ただひたすら大上さんがいじらしく、柳本くんもそれにこたえはじめていて。宝石の国、は、先生から、機構的に語れないことを挟みつつの教え子たちへの真実の吐露。さて宝石たちの選択は、と。ブルーピリオド、芸大祭で会った予備校でのライバル、向けられた意外な一言、美術以外にもいろいろあるくせにこっちにくんな、そして八虎はただただ自分らしい絵を生み出すためにもがく、作品で見返すために。波よ聞いてくれ、は、続々新キャラ登場でもミナレさんの切れ味変わらず、久連木さんの冷静な交渉がいぶし銀。イサックは、まさかの戦を無くすと言われ逆上したロレンツォの凶行がどう出るか。フラジャイルは、他病院内の争いからセカンドオピニオンを求めてやってきた患者を巡り、最後の、診断つけるためならなんでもするよね?の岸先生の殺気がどう出るか。マージナル・オペレーション、最後のコマ、ジブリールとの作戦会議はどう出るのか。Black-Box、思わず前号を見返したけど、やはり凌駕とレオンの約束の内容は描かれてない。約束してくれよ、という描写があっただけで。お前の女が壊れようが死のうが俺には関係ない、は相変わらずの凌駕らしさ。四季賞冬四季大賞の「うつくしいものたち」、幸福な王子の変奏曲のような、味わい深く。球場三食は完結。確かに主要な球場回ったら終わるだろうなとは思ってたけど。大トリは横浜DeNA、ハマスタ。堂々魅力的に描かれていた。バギーウィップは、精密な作戦勝ちのテニス。恋の罪は、ついに片方は父の、片方は勤務先のしがらみを断ち切って、堂々交際宣言の若い二人が、次からどう波紋を起こすのか。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
河合 雅司 / 講談社 (2017-06-14)
読了日:2018年1月27日
なかなかに憂鬱なトピックスが並ぶ。もちろん個人で、マクロの少子化対策など打てるわけもなく、もっとも悲惨なシナリオが実現したとして、その中でどう生きていくか考えざるを得ない。そのための指針として。一番ありそうなのは、p.146で語られているところか。第二部の処方箋については、素人目にはどれも頷けないものだった。以下備忘録的に。/政府は社会保障費の抑制に向けて、医療介護を「病院完結型」から「地域完結型」へシフトさせようとしている、その際、必然的に公的サービスを補完する「家族の支え」に期待が集まるが..。/東京一極集中は日本の破綻に。食料やエネルギーを地方に頼っているのに、そこから人材をとことん吸い上げて地方が機能しなくなれば、東京の首を締める、と。/首都圏は、人口は増えているのに、生産年齢人口は減っている。/
七つの夜 (岩波文庫)
J.L.ボルヘス / 岩波書店 (2011-05-18)
読了日:2018年1月24日
七つの魅惑的な主題について、ボルヘスが語った講演録。美しき、心惹かれる引用、考察の数々。/私たちは芸術のために作られている、私たちは記憶のために作られている、私たちは詩のために作られている、あるいは私たちは忘却のために作られている(神曲)/人は誰も人生のわずか一瞬において、永遠に自分を定義されてしまう。その瞬間に人は永遠の自分に出逢います。(神曲)/夢は私たちに魂の卓越と言う考えを示す、なぜなら魂は肉体から自由で、ひたすら遊び、夢見るからだと(悪夢)/アレクサンダー伝説の一つ。ロバート・グレイヴズ作。死んだはずのアレクサンダーが傭兵として転戦。(千一夜物語)/仏教徒であるとは、理解することではない。四つの崇高な真理と八つの道を感じることなのです。(仏教)/唯一の自我というものは存在しない。存在するのは一連の精神状態です。(仏教)/禅宗の教師によれば、非論理的な答えを通じ、不意の直観によって真理に到達するのです。(仏教)/ハーフィズの「私は飛ぶ、私の塵は私となるだろう」(詩について)/アンゲルス・シレジウス「薔薇に理由はない、咲くから咲くのだ」(詩について)/書物がある主題を完全に説明し尽くすとは考えられていなかった。書物は口頭による教授のための一種の便覧とみなされていたのです。(カバラ)/ピタゴラス。書物は束縛する。文字は人を殺し、霊は人を生かす(カバラ)/あらゆる経験に反して、書くことが発話に先行すると考えられるようなものです。もしそうなら、聖書において偶然なことは何ひとつ存在しない。つまりすべてはあらかじめ決定されていなければならない。(カバラ)/あらゆるものは私たちを置きざりにしていきます。「近きものは全て遠ざかる」(盲目について)
三島 由紀夫 , 佐伯 彰一 / 新潮社 (1973)
読了日:2018年1月23日
蘭陵王、のみ読了。楯の会の訓練時のひと時、昼に見た自然のワンシーンと、夜に部屋に集い、横笛で蘭陵王を奏し、聞き入る著者と学生たちのワンシーンを鮮やかに切り取り。最後の一行が示唆的。あなたの考える敵と私の考える敵は一致したということなのだろうか、それとも...。
ニューヨーク・シティ・マラソン (集英社文庫)
村上 龍 / 集英社 (1989-09)
読了日:2018年1月23日
cafe オリーブと鳩で手に取った、稲越功一「Paris 1989」つながり。そこに、この本所収の「パリのアメリカ人」の一部が使われていて。「俺には力がないって、この、いい感じの瞬間を持続させる力が俺にはないってね、足りないんだよ、足りないし、勇気もないんだ」(ハカタ・ムーン・ドッグ・ナイト)、「成功というものに縁がなく年をとった者に取って、進歩とか変化は明らかに敵なのだろう」(メルボルンの北京ダック)、「この絵のどこに自殺を止める力があるのかわからなかったが、ヘレナは分厚いスタエルの画集を買った」(パリのアメリカ人)。スタエル=ニコラ・デ・スタエル、亡命ロシア人の抽象画家とあるが、見てみたい。Nicolas de Stael/NY。娼婦と男娼のカップル、ある勝負がきっかけでニューヨークシティマラソンに出ようと特訓を始める娼婦。二人の関係性も微妙に変化していき..。リオ。大事故を起こして療養中のF1ドライバーと娼婦の物語。考えるって何よ、YESなのNOなの?てスタンス。最後の最後に出した答えは...と。ローマ。寸借詐欺師のはずが情にほだされ話を聞いているうちに...。コートダジュール。何不自由ない生活を送ってたはずなのにコンコルドのコックピットから見た地球に宗教的なものを感じ仕事が手につかなく。最後は、直接地球をの声を聞いたかのように。フロリダ。急に妻に去られた男が、別荘のプールに泳ぎに来たメキシコ人に料理を振舞い奇妙な交流がお互いの人生を少しずつ良い方向に動かし…。香港。不思議な生物、産卵体の液を脳に注入することで一気にダンスの名手になりスター街道をのし上がり、男のもとを去っていったマーム。結末は物悲しく。/リアリスティックなものから、ファンタジーなものまで。
フランクリン自伝 (岩波文庫)
松本 慎一 , 西川 正身 / 岩波書店 (1957-01-07)
読了日:2018年1月22日
デール・カーネギー「人を動かす」つながり。独立戦争を戦った後半生30年分がないのは意外だった。その部分については、他を当たってみたい。勤勉、倹約、富の道へ通ず。書くは易し、行うは難し。だからこそそれを貫けたフランクリンは名を残したのだろう。そして、「人を動かす」にも出てきた数々のエピソード。いたずらに自分の正義を正面からぶつけるべからず、好意も得られず、意見も聞き入れられない、と。フランクリンさん、皮肉ではなく大した人だよ、身近にいたら、きっと好きになっちゃうよ。以下備忘録的に。/不遜な言葉には弁護の余地がない。謙遜が足りないのは分別が足りないのだという以外には。/一向に金を返さない友人をそれでも愛し続けるフランクリン/印刷業で名をあげるフランクリン/自負心ほど抑えがたいものはない/嫌いな人に頼み事をして、距離を縮めたフランクリン効果/理屈屋で反対好きで言葉争いに耽るような連中は、多くは仕事がうまくいかない。時に勝利しても、それより役にたつ、人の好意というものを得ることは決してないから/
BLUE GIANT SUPREME 3 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2017-10-30)
読了日:2018年1月21日
大のプレーを見て、ようやく相方になってくれたベースのハンナ。楽器店の試奏室で激しく練習を繰り返し、ぶつかり続ける二人。評論家たちの前での演奏は、彼らに賛否を巻き起こし。そして、新たなメンバーを求めてベルリンへ。ポーランド出身のピアニストは鮮烈な印象を残したが、と。読むと無性にジャズが聴きたくなる。この巻はミンガス。hatocoffee にて手に取った一冊。
いちばんやさしいブロックチェーンの教本 人気講師が教えるビットコインを支える仕組み (「いちばんやさしい教本」シリーズ)
杉井靖典 / インプレス (2017-08-25)
読了日:2018年1月21日
興味を惹かれたトピック

・一見不可能と思える状況下においても実用的な合意を得る仕組みを備えていて、それが「時間の恵果とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束する」特徴を持っているものを「ブロックチェーン」と呼びましょう、と

・コンピューターは擬似乱数しか作れない

・ハッシュ関数:SHA256等のアルゴリズムを用い、任意の入力値を与えた場合に、どんな値が返ってくるかがわからない。長さの異なる文字列を与えても、常に一定の桁数となる点も特徴。

・秘匿計算、秘匿検索

・シュノア署名:双方向通信を必要とせずに個人認証

・ホットウォレット運用、コールドウォレット運用

・未使用残高 UTXOと言う概念 たくさんのウォレットアドレスに含まれる未使用残高を全て合計したものが残高

・合意がひっくり返される=ブロックチェーンが分岐した状態

・先着順を管理するためのサブシステムを別に用意してブロックチェーンと連携させながら稼働。例:Hyperledger Fabric

・店頭では、ゼロ・コンファメーションで支払いを承認せざるを得ない。見切り発車での現場での承認手続き。
花のお江戸で粗茶一服
松村 栄子 / ポプラ社 (2017-10-31)
読了日:2018年1月20日
雨にも負けず粗茶一服、風にも負けず粗茶一服、ひよっこ茶人茶会へまいる、と読んでから再読するとより深く味わえた。あれだけ型にはまりたくないともがいてたのに、いざ教える段になると弟子を型にはめようとしていたと気づいたこと。祖父が弓道師範を言いくるめるのに家伝として持ち出したナウシカもどきの怪しい言い伝え。佐保の、遊馬は、坂東巴流以外のことをしごとにする気なんかないのではという見立て。碧巌録からの軸の言葉が印象的なこと。弟子たちが拙いながらも遊馬への敬意を最大限に表現してくれたこと。花は足で入れろ、自らの足で探し、野にある花をきちんと見て茶室に連れてくる、そうすればどういう姿でそこにあるべきかわかる。殺すか殺さないか、生きるか死ぬか、常にその瀬戸際にいるのが武士、たとえ馬鹿みたいに平和な世の中でもだ、と弥一。そしてようやく最後の最後で家元を継ぐ覚悟を決めた遊馬。今度は、家元としての奮闘記も読んでみたいところ。
阿・吽 7 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2018-01-12)
読了日:2018年1月20日
一足先に日本へ帰還した最澄。皇太子の思惑に阻まれ、桓武帝のそばで祈ること叶わず、挙句の果てには、天台の教えではなく、おまけのように教わっただけの密教で祈祷をせよとの通達。しかも、灌頂には帝ではなく身代わりの勤操が。お主は本当は怒っているのではないか、という言葉がいたわりに満ちて響く。一方の空海は、千人の弟子を差し置いて恵果和尚から後継に指名されることに。ともに阿頼耶識へとダイブする相方と認められ、恵果の全てを飲み干す器の者と認められ。そしてこちらも日本へ向かうと宣言したところまででこの巻は終わり。一体何巻になるのだろうと思っていたけど、意外とテンポよく話が進められる。
でぃす×こみ 3 (ビッグコミックススペシャル)
ゆうき まさみ / 小学館 (2018-01-12)
読了日:2018年1月20日
デビュー作を兄が描いたってこと、まさかの展開で自分で告白。ここ笑うとこですよー、て確かにすごい瞬発力。やれること、やりたいこと、好きなこと、混ぜ込んで悩んで悩んで物語が立ち上がる瞬間を垣間見れるような面白さ。
七つ屋志のぶの宝石匣(6) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2018-01-12)
読了日:2018年1月20日
追っている石かと思われる場面が二回あったけど、空振りで、ただしのぶは顕定から嬉しい言葉をもらえたからそれでいいかと。乃和との関係は乃和の兄の登場で波乱含み、なにかを企んではいるようだけれど。
凪のお暇 3 (A.L.C.DX)
コナリミサト / 秋田書店 (2018-01-16)
読了日:2018年1月20日
ふわふわとしたお隣さんへの憧れがかたまって、すごく親しくなったと思いきや、モーゼの海割の二つ名を聞くこととなり。距離感なく老若男女問わずトリコにし、全員を悪意なく平等に愛するという離れ業に、凪は振り回され。元カレのほうがまだまともに思える錯覚に。呼びかけにも忠告にも答えず、どう展開していくのか。あと、ちくわぶのパーカー、欲しい。
ひよっこ茶人、茶会へまいる。 (朝日文庫)
松村栄子 / 朝日新聞出版 (2011-08-05)
読了日:2018年1月15日
粗茶一服シリーズ再読に伴い再読。雨にも負けず粗茶一服、風にも負けず粗茶一服、そしてこの本当読むと、最新作、花のお江戸で粗茶一服がよく読めると感じる。袱紗捌きを制するものは茶道を制する、といえば言い過ぎかもだけど、そういう側面もあること。名香だと思って大事にしてたらせんべいの海苔だった、狭い部屋でお茶時をしていたら一酸化炭素中毒で倒れた(よくある話)、お香合の蓋の裏に御家元の顔が書いてあります、というから蓋を開けたら花押だった...などの失敗談。さまざまな流儀があるのに、自分が習ったことない形を全て間違いだとおもいなしてしまうことへの戒め。若い茶人を引き連れて案内した時のエッセイなどなど。この部分が小説に活かされているのかなと思いながら読むのもまた楽し。
僕のジョバンニ 1 (フラワーコミックスアルファ)
穂積 / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2018年1月14日
チェロのコンクールで優勝するも周囲に理解されない鉄雄。海難事故の生き残りで鉄雄の家に引き取られた郁未。二人の絆は、チェロを教え、教えられることで強固になるが、そこに世界的なチェリストが気虚したことで関係が刺激され、であってから初めて一週間離れ離れになった二人が再会した時には波乱の予感が、と。
LIMBO THE KING(3) (KCx)
田中 相 / 講談社 (2018-01-05)
読了日:2018年1月14日
眠り病発生患者の予測地図からの探索。そして、アダムの身近に次の発生患者。冷静なルネに、身内を救いたいゆえの暴走を見せるアダム。政府による眠り病再発の発表。アナフィラキシーに見せかけて患者に何かしたように見えるセス。あなたたちによくないことが起こると告げた少女。次の一手は、と。だんだん、まとめて読み返さないと把握できなくなってきた。
とつげきドイツぐらし!
白乃 雪 / KADOKAWA/富士見書房 (2016-08-31)
読了日:2018年1月14日
アフタヌーンで個人的に大お気に入りの「あたりのキッチン」を連載してる作者が、結婚して旦那さんの住むドイツのハンブルクへ移住。ドイツ語も3語しか知らず、漫画道具だけ抱えての見切り発車。覚えることたくさんだけど、覚えてしまえば、英語よりカッチリした文法で馴染みやすい。厳格なドイツ人と言うイメージだったけど、公的機関とかでもゆるいというかいい加減な人が意外と多く。北海道より緯度が高く、寒い期間が長く、ちょっとでも暖かい、陽が射すと、貪欲に日光を浴びにいく人々、たとえ零下5度でも。豊富なソーセージの種類。ノーをはっきり言うイメージだったけど、遠回しな言い方が多用されていたり、同じドイツでも北と南では文化も気候も違い、方言も強烈に違ったり。文化の違いからくるちょっとした驚きを新鮮に伝えてくれる。ただ、ドイツどっぷりの生活の中で、日本の下町の定食屋を舞台の漫画を描き続けられるって、すごいなあ、と思った。
(P[ま]1-4)風にもまけず粗茶一服 (ポプラ文庫ピュアフル)
松村栄子 / ポプラ社 (2014-01-04)
読了日:2018年1月13日
シリーズ最新作「花のお江戸で粗茶一服」を読んだのを機に再読。主人公遊馬が、比叡山に入ってから、自分なりのものをつかみ、山を下りるところまでが描かれ、末尾に、カンナの母の話、カンナと幸麿の結納の話、宗家の番頭が名乗りを上げる三話が併録。山の中で、吊り橋を渡り、谷での練習を経て、弓剣茶の三道が交わるところに思いをいたすシーンが愁眉。カンナが結納の時、軸にかけた、

「銀盌裏に雪を盛る」が清冽だと思った。
あきの実 , 藤沢チヒロ / POPLS (2017-11-05)
読了日:2018年1月13日
北海道xグルメx旅!!のマンガとエッセイのアンソロジー。「狸小路ワンダー」「鴨々川フレンズ」のチヒロさん、秋永真琴さんが参加と知り手に取る。セコマのカツ丼、豚キクラゲたまご丼が美味しそうだったり、札幌小樽余市の自転車旅に心惹かれたり、札幌は麻生の駄菓子バーの駄菓子食べ放題とファミコンができる魅力、サンドリアのサンドイッチ、さっぽろテレビ塔の上のレストランのナポリタンスパゲティ気になる!札幌が舞台の、ばんぱいやのパフェ屋さんて小説も。みよしの愛!なアサウラさんのエッセイからは、みよしのに焼きの違いがあるとは、すあげぷらすの生ラム炭焼きカレー

が押し、王将は別もんだ!と強調してますが、私はどちらも好きです、アサウラ「道MEN 北海道を喰らいに来た乙女」は読んでみたい一冊に、そして、みよしのが2020年に東京進出!とは知らなかった。
社会を根底から変えるシェアリングエコノミーの衝撃! 仮想通貨ブロックチェーン&プログラミング入門
玉蔵 / ヒカルランド (2017-11-24)
読了日:2018年1月13日
シェアリングエコノミーの考え方や、先進的で分散的な仮想通貨を中心とした世界像など興味深かった。格差社会の見方とか、陰謀論的なところは賛同できないところもあったけど、総じてワクワクさせてくれる一冊。

・取引が10分毎に約2千取引溜まったら1ブロックに固める。→前のブロックのハッシュを入れてブロックをつなげる。その時、簡単にデータを書き込めないようにスロットを回してゼロが18個並ばないと書き込めないような負荷を与える→ゼロがそろったらブロックをつなげた報酬として12.5ビットコインもらえる→書き込んだ新ブロックはみんなにブロードキャストされ共有される

・STEEM :記事をんせていいねが多くつくとSteemをより多くもらえる

・日本エストニアEUデジタルソサエティ推進協議会、e-residency、現地に行かなくても会社をネットで設立できるエストニア…この辺面白そう。国民になるための手数料10000円

・いろんなものがシェアリングされてるけど、個人的にはスキルのシェアが興味を惹かれる

・ビットコインをHackしよう、なんなら自分で仮想通貨を作っちゃおうて試みも。

・個人間の転職紹介サイト SCOUTER

・いろんなスキルのある人に相談できる TIME TICHET、スキルに応じたマッチングcoconala

・ブロックに反映するために、何かするたびにマイニング~>testrpcてシミュレーターでその手間を省く

・ヴェルグルの奇跡...第二次世界大戦前、"腐るお金"としての労働証明書で経済を回したから、と。最後はどうなったんだろう..。

・米国債を担保に融資し財政破綻国家を救おうという試み、中川財務大臣(当時)とIMFストロスカーン専務理事(当時)。陰謀論に組したくはないが...

・DASH、MONERO、Zcash...匿名性の高いコイン、黒い三連星、売買記録追跡不可能。

・ハンガリーとアイスランドは中央銀行を廃止して政府が独自の紙幣を発行する国へ。住宅ローンを免除に(アイスランド)。IMFの借金も返済して、検事総長が前首相と元首相を告訴(ハンガリー)。
巨娘(5) (アフタヌーンKC)
木村 紺 / 講談社 (2018-01-05)
読了日:2018年1月13日
江戸野菜を使ったメニューを開発するために近県を走り回り、休暇先の伊豆で静かに過ごすためにヤクザの抗争に立ち入り鎮圧し、自分の過去の事件を鳥吉になすりつけたライバル店へのオトシマエ、チェーンの名前を変えようとする社長をあしらう一幕、と、この巻も八面六臂の活躍のジョーさん。いつも通り力強く、なのに、帯に完結とあり...また再開されないかな。
きみのためのバラ (新潮文庫)
池澤 夏樹 / 新潮社 (2010-08-28)
読了日:2018年1月13日
味わい深い短編集。何年ぶりかの再読。(都市生活)欠航にて空港で余分な時間をすごさなければならなくなった男の憤りと、入ったレストランで、見知らぬ女と話せたことですっと鎮まる様が描かれ。(レギャンの花嫁)美しくまわりにうらやまわる完璧な花嫁を襲った突然の悲劇。結婚式の前日にそのようなことがおこるとは、と。触発されてバリの紀行文を他にも読みたくなった。「泣いてもしかたないのよ。ラカはもういないんだし、私は生きているんだから。今日と明日と明後日を生きるしかないのよ。そうよね?」(連夜)琉球王国の王女と花園係男性の身分違いの恋心の未練が、現代の女医と病院出入りの花屋の男性に憑依して、自分たちでも制御のきかないような幾夜をすごし、つきものがおちたように離れてしまう一編。(レシタションのはじまり)その争いをなくすという真言、本当にあるのならぜひとも知りたい。世界に平和がひろがる寓話。(ヘルシンキ)北欧の国で、日本で結婚した男が、妻がどうしてもサンクトペテルブルクにかえりたいと離婚し、年に一回、子供とは第三国で会う話。普段ロシアにいる子どもはどんどん日本語を忘れていき、いずれ意志が疎通できなくなるのでは、と。静かな悲しみ。(人生の広場)人生の休暇、叔母の遺産を使い果たすまでパリに滞在し様々な人を見続けた友人の語り。ロスティというハッシュブラウンの上に生ハムと缶詰の桃が乗った料理、気になる。(20マイル四方で唯一のコーヒー豆)ある日突然、家庭では英語しか口から出てこなくなった少年。父との確執をかかえ、父の友人の撮影旅行についていき、そこで心ほぐされる経験。そう、人生は一本道だけではないのだと。私にこうやって話せたんだから、君はこの問題から抜け出したと思う。(きみのためのバラ)夫婦で列車に乗ったことから、過去の旅行時のメキシコの、見知らぬ美しい少女のことを思い起こす一編。
人を動かす 文庫版
D・カーネギー / 創元社 (2016-01-20)
読了日:2018年1月11日
だぶりもあるし、それができれば苦労しないよと思うところもあるけど、あげられている例をよく噛み締めて、納得して、肚に落とすしかない。全部は無理でも、すこしずつでもいいから。中でも批判するなは一番身にしみた。



◇PART1 人を動かす三原則

1 盗人にも五分の理を認める 2 重要感を持たせる 3 人の立場に身を置く

◇PART2 人に好かれる六原則

1 誠実な関心を寄せる 2 笑顔を忘れない 3 名前を覚える 4 聞き手にまわる 5 関心のありかを見抜く 6 心からほめる

◇PART3 人を説得する十二原則

1 議論を避ける 2 誤りを指摘しない 3 誤りを認める 4 穏やかに話す 5 爛ぅ┘広瓩氾えられる問題を選ぶ 6 しゃべらせる 7 思いつかせる 8 人の身になる 9 同情を寄せる 10 美しい心情に呼びかける 11 演出を考える 12 対抗意識を刺激する

◇PART4 人を変える九原則

1 まずほめる 2 遠まわしに注意を与える 3 自分の過ちを話す 4 命令をしない 5 顔をつぶさない 6 わずかなことでもほめる 7 期待をかける 8 激励する 9 喜んで協力させる



リンカーンやフランクリンについて、調べたくなった。/我々は他人からの賞賛を強く望んでいる。それと同じ強さで他人からの非難を恐れている。/批判が呼び起こす怒りは、意欲を削ぐだけでなく、状態も改善されない/人を非難するのは天につばするようなものだ/人を裁くな、人に裁かれたくなければ/神様でされ、人を裁くにはその死後までお待ちになる/自己の重要感を渇望するあまり、狂気の世界にまで入る人がいるのだ/かけがえのない、人の熱意を呼び覚ます能力/どんな人間でも何かの点で私よりも優れている、私の学ぶべきものを持っているという点で/人を動かす最善の法は、まず相手の心のなかに強い欲求を起こさせること/我々は自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる/心の底からの笑顔、千金の笑顔/人の悪口をいうかわりにほめる/動作は感情にしたがっているようにみえるが、動作と感情は並行/快活さを失ったなら、快活そうにふるまい、しゃべること/商談の秘訣は相手の話に耳を傾けること。/「自分のことだけしか考えない人間は、教養のない人間である。たとえ、どれほど教育を受けても、教養が身につかない人間である。」/常に相手に重要感を持たせる/議論に勝つ唯一の方法は、議論を避けること/誤りを指摘しない、頭から相手の間違いを指摘するのは、効果ないどころでなく、相手の自尊心を傷つけ、話し合いすらできなくなる/非難はどんな馬鹿者にもできる、理解につとめねば/わずかなことでもほめる、心から/
(P[ま]1-3)雨にもまけず粗茶一服<下> (ポプラ文庫ピュアフル)
松村 栄子 / ポプラ社 (2010-02-26)
読了日:2018年1月10日
シリーズ最新作「花のお江戸で粗茶一服」を読んだのを機に再読。主人公遊馬が、最初の情けなくもいけ好かない地点から、人にも恵まれ、徐々にできること、やりたいことの方向性をつかみ、結局は、あれほど忌避していた比叡山へ行くことに。弟行馬の宗家乗っ取り計画を、まさかと言われた遊馬が見破り、その過程で、大人びた行馬が、じゃじゃ馬ならし、源氏物語、星の王子様を引き合いに遊馬と対話するくだりが今回は愁眉かな。
(P[ま]1-2)雨にもまけず粗茶一服<上> (ポプラ文庫ピュアフル)
松村 栄子 / ポプラ社 (2010-02-26)
読了日:2018年1月9日
花のお江戸で粗茶一服
松村 栄子 / ポプラ社 (2017-10-31)
読了日:2018年1月8日
粗茶一服シリーズ第三弾。完結編!なのだろうか...もう少し続きが読みたいような気もする。突然の出奔、山ごもりから東京の友衛家へ戻ってきた遊馬。ただ、すんなり家元を継ぐのかと思いきや、出る前とあまり変わらぬ頼りなさを垣間見せ、また家業だけでは食えぬと言われ、工事現場にアルバイトに出たりと、序盤はなかなか話が動かず。けれど、次から次への群像劇とアクシデント、ひょんなことからのテレビ取材などを経て、ようやく肚がかたまり、最後は、3.11にもからめて行く末が暗示され、と。弓・剣・茶の山道をおさめる坂東巴流という架空の流派を舞台に描かれた青春もの、成長ものも大団円を迎え。読み終えてみれば、結構な読みごたえ。著者の「至高聖所」からのファンとしては続編なり他の作品なりもっと読みたい所。とりあえずは、第一弾を再読することに。以下備忘録的に。/ほんとうに私なんか無理だと思うなら、ひとの二倍でも三倍でも努力して無理でなくしなさい。わたしなんか無理、だから何もしないというのは、謙虚でもなんでもない、ただの傲慢だよ/遊馬の父・秀馬と母・公子のなれそめ/連れ戻されたとはいえ、一番そばにいてやる必要がある時に、帰ってきてしまった自責に押しつぶされそうな行馬/四年やるから坂東巴流の弓・剣・茶をおさめろと言い渡される行馬/宗家と坂東巴家の点前の違いへの探求と考察から、一子相伝の手前の復元までの鮮やかな行馬の考察/秀美は、遊馬と弥一の茶席。花所望をされ、あえて空の花瓶、外の雪模様を花と見立てるシーンが一番の風流と感じた。
そこをなんとか 14 (花とゆめCOMICSスペシャル)
麻生みこと / 白泉社 (2018-01-04)
読了日:2018年1月7日
赤星母との遭遇、中道先生の人生の転機、そして突然現れた楽子父が遭った架空請求詐欺。改世家の家庭事情も垣間見え。相続にまつわって戸籍を辿るうちに、腹違いの兄弟が三人いることがわかった松井さん。松井さんの父の遺品をきっかけに、蒸発して15年帰らなかった荻野さんを探し当てた一章、など。描かれなかった、松井さん嫁のストーリーも番外編で読んでみたいもの。
Black! (下) (祥伝社コミックス文庫 (32))
原田 梨花 / 祥伝社 (2005-10-01)
読了日:2018年1月7日
だいぶ前に、紙屋高雪「オタクコミュニスト超絶マンガ評論」築地書館、2007年11月を見て、手に取った一冊。3回か4回目の再読。最初は見ててイライラするぐらいぼーっとして世間知らずだった主人公の好が、父の死をきっかけに世間の荒波に放り出されて、それでも幼馴染やバイト先のメンバー、しっかり者のおばさんに支えられつつ、少しずつしっかりしていき、素直でお茶を淹れるのがうまいのを活かして、愛され、徐々に自分の居場所を作っていき、最後には周囲も驚く選択を、という成長物語。自分の気持ちを有り体の言葉でごまかさずに、人より遅くてもきちんと考えて積み上げていくところがいいなあ、と。
オンエアできない!  女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます (ソノラマ+コミックス)
真船佳奈 / 朝日新聞出版 (2017-10-20)
読了日:2018年1月7日
twitter でみかけて面白そうで購入。テレビ局ADの大変なお仕事模様がコミカルに描かれ。とくに局内の変な先輩ファイル、強烈でした。最後の思い出の白黒写真をカラー化する企画の話にはほっこり。
Black! (上) (祥伝社コミックス文庫 (26))
原田 梨花 / 祥伝社 (2005-01-01)
読了日:2018年1月6日
立ち向かう者たち (光文社文庫)
東 直己 / 光文社 (2011-12-08)
読了日:2018年1月6日
7年ぶりに読むの再開。我が娘にケガをさせた知的障害を持つ被告の漏らした「それは、俺が、いることを、知って欲しかったから…」という言葉に、傍聴席にいながらいてもたってもいられず、弁護人と被告の兄に、なんとかなりませんでしょうか、と泣いて訴えてしまう男。まだまだ現場でやれるのに、という自負が屈折して、アナウンサーから管理職にされて悪酔いする男、そこに流れてる、レイ・ブライアントの「アフタヌーン・イン・パリ」、店のママが読む岩波文庫の「唐詩選」。地元の子供の通過儀礼となっている橋からの飛び込みがどうしても怖い少年が、漂白の”ケンシの人”との対話で生きることの意味、死ぬことの意味を深く考え、決意する一幕。自分をいじめた者たちへの奮激と屈辱のあまり引きこもる男が、いざ復讐のとば口に手をかけようとすると、当の相手たちから暖かく迎えられ、戸惑いつつも立ち止まるシーン。その場しのぎのやけっぱちで生きてきた女と、自分が正しいと自負しつつ、それを言わなくてもわかってもらおうとして損をし続けてきた男の、A面B面のようなお話。ススキノ探偵シリーズとはまた違って、様々なストーリーを見せてくれる。
チューバはうたう―mit Tuba
瀬川 深 / 筑摩書房 (2008-03)
読了日:2018年1月5日
何年かぶりの再読。表題作のみ。音楽をするのではなく、チューバが吹きたい、という強い気持ちが、ブラスバンドにもオーケストラにも、その他のバンドにも所属することをよしとせず、多摩川の河川敷で一人チューバを吹いていた主人公。ある時、黒帽子のインディペンデントのクラリネット吹きに声をかけられその楽団に加わることになり...。ライブのシーンで、Spiel!(吹いて!)と言われて、チューバを渡され、吹きまくるシーンに胸が熱くなる。「あんたが往復チケットを買うか、片道チケットを買うかだ」と世界放浪の演奏旅行に誘われたこと、どうなったかは描かれなかったけど、きっと、日本を飛び出て、演奏旅行に加わるんだろうな、という予感を孕んだワクワク感。/セルヒオ・オルテガ、ビクトル・ハラ「不屈の民」、El pueblo unido jamas sera vencido 連帯する人民は決して打ち倒されない 聞いてみたい。
声をかける
高石宏輔 / 晶文社 (2017-07-18)
読了日:2018年1月5日
文月悠光さんの推薦文に惹かれて。ナンパをする男が、その時に感じた恐れ、高揚、逡巡、喜び、虚しさ、試行錯誤などを語った小説。何を求めてるのか、何を話したいのか、自分でもわからない瞬間を経つつ、きっと合うはずから、どうも合わない、合わなくなった、魅力を感じなくなった、あるいは、あなたの母親にはなれないと突き放されたり、次へ次へと渡り、行き着いた先は、最後に語られる悠。ずっと渡りあるいて終わるのかと思いきや、こういう展開になるとは思わなかった。/ノルウェイの森の苺のショートケーキのエピソードがここで使われているとは。/「彼女の話を優しく聞き、彼女の交友関係に溶け込み、彼女たちの抱くような欲望は都会の人間にとって避けられないことだと認めさえすればよかったのだ」という後悔と諦めの悪さも吐露したり。/
米澤穂信と古典部
米澤 穂信 / KADOKAWA (2017-10-13)
読了日:2018年1月3日
新作短編は、奉太郎の過去の読書感想文がテーマに。たしかに中学生の時に書いたものを高校の時に衆人環視で読まれることの恥ずかしさ。山月記の解釈にはなるほどと思う一面も。ミステリに対する博学と愛情は著者自身からも対談者からも感じられた。ボルヘスをミステリの視点から読み直すというのはぜひやってもらいたいもの。影響を受けたとされる本もいくつか当たってみたい。
カイロ大学 (ベスト新書)
浅川芳裕 / ベストセラーズ (2017-12-09)
読了日:2018年1月3日
まさに混沌と破壊。普通の感覚でいえば、悪環境と言える教育環境も、タフになれる、最先端の問題を体感できると逆説的にとらえ、魅力的に誘う著者の筆力。その学生生活も破天荒。でも、本質をつかもうと興味の対象をガッと掴んで突っ込んで行き、その問題を突き詰めていき、そのためにはこっちだ、と決断も早い。/以下備忘録的に。/中田考氏のSSY外国語教室て、Sekai Seifuku ni Yakudatsuの略だったのか/小池百合子都知事が都政、国政をいくら混乱させても平然としているを、カイロ大学仕込みの混乱を自ら仕込んでいるから、という視点/カイロのナイト・エンタメ文化は昼寝の習慣と夜ふかしの結びつきによって生まれた/カイロは世界からクリエイティブな人材を寄せ付けないパワーに満ちている、つまり、凡人でも成功する確率が高い/ナセル「危険を冒そうとしない者は、人生にまともに立ち向かえない輩である。(略)危険を冒さないものは、自ら生み出した恐怖の虜になる」/重層的なエジプト人のアイデンティティ:ファラオの末裔エジプト人、アラブ人、ムスリムやキリスト教であること、アフリカ人というアイデンティティ/サイイド・クトゥブについてもう少し調べたい/喧嘩するときに、互いに罵り合いながらも仲裁が現れるのを待つ、できれば止めて欲しい、誰かに止めて欲しいという打算の元に喧嘩するエジプト人/地元住民の多数派である農民の大半は流行りのイスラム集団の思想に影響を受けてなかった。人や思想が駆け巡る都市部で何が起ころうと農民たちの悠久の時は変わらず。
半端者(はんぱもん)―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA)
東 直己 / 早川書房 (2011-03-10)
読了日:2018年1月2日
映画「探偵はバーにいる3」を観に行ったのを機に、4年ぶりの再読。一作目、二作目を読んだので、次は前日譚ものを、と。/読むの3回目なのに、割と、この後どうなるんだろう、と新鮮な気持ちで読んでしまった。フェ・マリーンがなぜ主人公を好きになったのかは謎のまま。のちの探偵もこの頃はそこまでケンカに強くはなく、けど、青臭い正義感だけで体当たりでぶつかっていってる印象。筆記体のエアメールを読めなくて、恥を忍んで、英文科の教授に訳してもらい、涙するシーンが印象に。/大貫妙子「黒のクレール」、ススキノのジャブ70ホールで映画「禁じられた遊び」、ロドリーゴのある貴紳のための幻想曲、第二楽章。杉田二郎ライブ「ANAK」という曲。サード・イヤー・バンド「錬金術」、アイリーン・キャラ「フェイム」、古くからある「金富士」という焼き鳥屋。気になった固有名詞を抜き書き。
ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250
堀 正岳 / KADOKAWA / 中経出版 (2017-11-16)
読了日:2018年1月2日
ぜんぶをやることはない、というとおり、そのつもりもないし、できはしないし、と思うけど、それでも気になったところを抜書き。さらにこの中から、いくつかでもやりたいなと思いつつ。

・なりたい自分の言葉を真似ることで性格を変える

・RescueTimeで時間を見える化

・緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急であることはない

・ToDoist:簡単なToDoリストからGTDを意識した整理方法まで

・一度に行う仕事は常に一つだけ

・Chromeの開いているサイトを保存したければ、ブックマークから、すべてのタブをブックマークに追加、を利用

・記憶の宮殿:宮殿内の場所を想像しながら鍵となるイメージをおが置いてある場面を思い描き記憶

・眠る、10時間前カフェインを控え、3時間前食事を控え、2時間前仕事など緊張感高める作業を止め、一時間前には液晶スクリーンを見るのをやめる

・手のひらをパーにし、肩を意識的に下げ、声をゆっくり、怒りをやり過ごす

・落ち込んだ時は、自分を肯定する言葉を大量に投下

・noisliでホウィアトノイズ、川や風の環境音を作り出す

・IFTTT:ウェブサービスと生活の様々な機器をつないで自動化するサービス

・workflow:iPhone,iPad上で複数のアプリの昨日を組み合わせた自動化を実現

・3箇所にバックアップをとる、少なくとも2種類の方法で、1種類はオフサイトに。

・Backblaze:パソコンの処理の合間に、背後でデータを米国のデータセンターに暗号化して送信

・Windowsならバッチファイル、win10ならUbuntuシェル、と言った技術を学ぶ価値は高い

・Pythonで退屈な単純作業をコンピュータに肩代わり

・Pocket :一時保存場所、ブラウザ拡張機能をインストールすると、ボタンひとつでウェブページ保存

・Googleアラート:設定した検索ワードやテーマに基づき、最新情報を配信

・Nuzzel:SNSのアカウントで登録しておくと数人以上の友人が共有している記事を自動的に選別

・Google検索のテクニックはHack119を参照

・本、映画、店…選択の幅を広げる仕組みを意識し、世界の新鮮さを保つ

・DayOneで読書ジャーナル

・クリップボード履歴ツール

・アプリケーションランチャー MacならAlfred、windowsならwox

・duet: iPhoneやiPadをMacやPcの外部ディスプレイにするアプリ

・macOSの文章作成ツールScrivener:ツール内でカード作成、短い文章を結合し、より長い文章を構成

・アウトライナー機能:word、macOSのOmniOutliner、ウェブサービスWorkflowy

・心に溜まった本音を、自アドレスか捨てメアドへ送信

・マインドフルネス:現在起こっていることに意識を集中させる瞑想法、認知療法の手法、ストレス軽減、心理的症状に効果。ふだん利き腕として使っている腕と逆の腕で日常の活動を試みる、など。

・Yes,Butの導入:できます、ただ期限を延ばすか、内容減らせますか/いいですが、先に入ってる件とは同時に進められません、どちらを優先しますか

・ハンロンの剃刀:人間の不完全性に由来することを悪意と受け取って悪意で返すことは避けよう

・フランクリン効果:敵対的な人物にあえて頼み事をして、心理的な距離を縮める

・Slack:立ち話のアイデアをチームで共有。チャット。

・片付け前に部屋の写真を撮る

・minikura:月200円で指定の箱に詰めたものを保管するプラン、月250円で30点を上限に箱の中の品を撮影してウェブ上で閲覧可能にしてくれるプラン

・ダイスキン:百均で売られてるモレスキン風の手帳

・水を定期的に飲んで疲労を避ける

・TrackR:財布にいれとく、キーチェーンにつけとく、捜し物をみつけやすく

・ダクトテープ:防水から簡単な修理まで。3M社「スコッチ強力多用途補修テープ」

・継続を意識するよりも、「やめないこと」、行動をゼロにしない工夫を

・アプリStreaks:12種類までのタスクを登録、何日間のうちに何度までそれを実行するか記録。達成率を見れる。

・Don't Break the Chain:習慣がどれだけつづいたか管理できるカレンダー

・手作り手帳で習慣トラッキング

・新しい習慣に接ぎ木する ex.歯を磨くついでに歯間ブラシ、朝の珈琲飲むついでにサプリ

・睡眠量、食事、調子の良さを、ライフログとして残す

・Kaorisan:VAサービス、安くはないが、オンライン調べ物やデータ入力を代行してくれる。

・人生でずっとやってみたかったことを30日だけとりいれる

・マインドマップで人生の見取り図を。自分の下に、仕事家庭趣味などの枝を

・iPhoneのInsightTimerは、瞑想の時間、環境音などを設定、実践回数をトラッキング

・著者がおりにふれてよみかえす、トルストイ「光あるうちに光の中を歩め」

・実現したい目標、向かいたい未来に向け、ゆるやかに航路を作ってくれるような、「小さな習慣」を探して。それこそがあなたの人生を変えるライフハック
バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)
東 直己 / 早川書房 (1996-01-01)
読了日:2018年1月1日
映画「探偵はバーにいる3」を観に行ったのを機に、7年ぶりの再読。こちらは映画「探偵はバーにいる1」の原作。読み進めるうちにだんだんと思い出していく感じ。ただ、あれほど身近にいながら、電話の声を聞き違えるということは...特に、声の聞き分けに自信のありそうな探偵をして...と野暮なことが気になったりしたが。以下備忘録/「人生を味わうためには、それなりに明晰な頭脳と、それなりに誠実な人柄と、それなりに豊かな教養が必要なのだ。」/近所の公園で、証拠はあるのか、証拠はあるのか、と必ず叫ぶ悪ガキの比喩/泥酔の翌朝に於けるしらじらしい悔恨は...で始まる萩原朔太郎の詩句。散文詩「宿命」より「宿酔いの朝に」より。
ゴールデンカムイ(12): ヤングジャンプコミックス
野田 サトル / 集英社 (2017-12-19)
読了日:2018年1月1日
姉畑編の決着、アシリパの父をめぐる対話、ラッコの肉が見せた幻覚、そして追っていたはずの盲目の盗賊団に逆に包囲され。巻頭のあらすじ1ページ漫画がいい仕事してました。


chokusuna0210 at 21:00|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2018年02月01日

いまさらながら、2017年に見たアート 〜札幌国際芸術祭2017を中心に


いまさらながらで、誰得だけど、自分のために、2017年に見たアート、まとめ。
一番の大収穫は、夏から秋にかけての、札幌国際芸術祭2017。
札幌の町のあちこちに興味深い展示、イベント、ライブと盛りだくさんで、
休日に、会社帰りに、精力的に観てまわった。
テーマは、「芸術祭ってなんだ?」だったけど、
個人的には、芸術祭に限らず、芸術って、自由でいいんだ、ということに尽きる。
こんな見方が、考え方があるんだ、という衝撃。
使い方全然違うけど、「都市の空気は自由にする」て昔習った言葉、思い出し。
日常のすぐ隣にある非日常。
石山緑地、AGS6・3ビル、日専佐野ビル、金市館ビル...
札幌にもこんなところがあったんだと言う思いも抱き。
観て、感じたことが、少しでも日常にくさびを打ち込めたら、と思った。
個人的には、梅田哲也「りんご」が一番観に行った、一番印象に残った展示。
なぜに、りんご倉庫に置かれた球形のガラスに水が穿たれるだけで、
人をこれほど惹きつけるのか。
そして、opengate2017。演者たちが、観客たちの中を自由に歩き回り、奏で、演じ、混沌した空間を作り出す、不思議さと心地よさ、唯一無二のパフォーマンス。
ただ、そこまで観るのに入れ込んだ芸術祭なのに、芸術祭ロスがなく、するっと自分の中から抜けて行ったのが、どうしてなのかは、未だわからず。

以下は、日付-観た展示-会場と一言コメント

--------------------------

1/9 「チームラボアイランド 踊る!美術館と、学ぶ!未来の遊園地」 @札幌ファクトリーホール
 ・荘子の鵬もかくやという、鳥の視点の映像がトリップできそうでよかった。
1/29 テラダモケイ+ @グランビスタギャラリー
 ・スラムダンク、忠臣蔵、お花見などのプラモが印象的。
2/11 ときゆりか 花とロシア語展 &knapsack coffee
 ・キュートな線画の女の子と細長い猫とキリル文字の取り合わせが可愛くて。
4/3 ジャパンアヴァンギャルド アングラ演劇ポスター傑作展 札幌グランドホテル グランビスタギャラリー
 ・これ見てしばらく寺山修司にはまる。
6/22 ルパン三世 アジトをさがせ! 丸井今井
 ・すっかりルパンのアジトに潜り込んだ気分、写真撮りまくり。
7/18 ウリュウユウキ 寿珈琲
8/6 羽海野チカの世界展 大丸札幌

8/19 梅田哲也 わからないものたち 金市館ビル …一度目
 ・何度も見に行った、シュールな展示たち。驚きつつこういうことかな?と自分で意味づけしていく楽しさ。
8/20 クワクボリョウタ 札幌ループライン CAI02 …一度目
 ・札幌国際芸術祭を観に行こうと思ったきっかけの展示。ライトを乗せた模型列車が影絵に映し出すノスタスジックな札幌に酔いしれる。
8/21 梅田哲也 りんご (りんご:札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)…一度目
8/23 丸尾寛太 補間 (AGS6・3ビル 南6西3) ...一度目
8/23 梅田哲也 りんご (りんご:札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)…二度目

8/26 さわひらき うろ・うろ・うろ 北海道教育大学 アーツ&スポーツ文化複合施設 HUG 北1東2
8/26 中崎透 シュプールを追いかけて 500m美術館
 ・スキーに特化した展示、読むものも多くて、充実してて、一時間超引き込まれる。
8/26 梅田哲也 わからないものたち 金市館ビル …二度目

8/27 梅田哲也 わからないものたち 金市館ビル …三度目
8/27 丸尾寛太 補間 (AGS6・3ビル 南6西3) ...二度目
8/27 都築響一 北海道秘宝館「春子」 北専プラザ佐野ビル
 ・秘宝館、どうして定山渓にあるうちに行っとかなかったんだ、と悔しい気持ちに。
8/27 大量居酒屋てっちゃんサテライト 北専プラザ佐野ビル
8/27 レトロスペース坂会館別館 北専プラザ佐野ビル
8/27 the 100 japanese comtemporary artists season5 北専プラザ佐野ビル
8/27 端聡 "Intention and substance" 北専プラザ佐野ビル
 ・映画のキャシャーンの世界観を思い起こしつつ、
8/27 テラコヤーツ 北海道資料館
8/27 木彫りの熊… 北海道資料館
 ・木彫りの熊のヴァリエーションを楽しむ。
8/27 地震画… 北海道資料館
8/27 クワクボリョウタ 札幌ループライン CAI02 …二度目
8/27 梅田哲也 りんご (りんご:札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)…三度目

8/27 おおば比呂司展 北海道資料館
8/27 はかりきれない世界の単位展 つばらつばら
 ・展示もよかったけど、BGMもよくて、repairのアルバム買って、今でも愛聴してます。
9/2 大漁居酒屋てっちゃん 店内ツアー
 ・営業前のてっちゃんでカオスな内装を心ゆくまで観察できて楽しかった。
9/3 大友良英 モエレ沼公園
9/3 伊藤隆介 モエレ沼公園
9/3 (黄色いチューブ)
9/3 ナム・ジュン・パイク モエレ沼公園

9/5 me you her 展 大洋ビル …1回め
 ・ポップでキュートなグラフィック展でした。

9/9 sighting 蒼野甘夏 ギャラリー門馬
9/9 クワクボリョウタ Lost #16 円山動物園西門
 ・列車がトンネルくぐった時に映し出される像に吸い込まれそうでしびれる。
9/9 石川直樹展 宮の森美術館

9/13 端聡 "Intention and substance" 北専プラザ佐野ビル ...二度目
9/13 都築響一 北海道秘宝館「春子」 北専プラザ佐野ビル ...二度目
9/13 大量居酒屋てっちゃんサテライト 北専プラザ佐野ビル ...二度目
9/13 梅田哲也 りんご ..…四度目

9/16 クワクボリョウタ Lost #16 円山動物園西門 ...二度目
9/16 open gate 第二日目 石山緑地
9/17 大友良英アーカイブ 三岸好太郎美術館
 ・大友良英フィルムワークスのCD、非売品だったようで、是非是非発売してほしい。ノイズ音楽にしびれる。
9/17 毛利悠子 そよぎ またはエコー 札幌市立大学芸術の森キャンパス
9/17 札幌芸術の森美術館 鈴木昭男、EYE(ドッカイドー 海)、刀根…、マークレー、藤田…
 ・EYEは暗闇の中で夜光塗料だけが光る空間をたゆたう。得難い経験。
9/17 open gate 第三日目 石山緑地

9/23 石狩シーツ 吉増剛造 北海道大学総合博物舘
9/23 me you her 展 大洋ビル …2回め
9/24 札幌ループライン クワクボリョウタ …三度目
9/24 梅田哲也 わからないもの ...四度目
9/24 open gate の部屋 . トオンカフェ
9/25 open gate の部屋 . トオンカフェ

9/27 梅田哲也 りんご …五度目
9/28 大友良英アーカイブ 三岸好太郎美術館 …二度目
9/29 堀尾寛太 補間 …三度目
9/29 梅田哲也 りんご …六度目

9/30 伊藤隆介 長征-すべての山に登れ モエレ沼公園

10/14 蒼野甘夏日本画展 …三越札幌9階ギャラリー
10/14 マユミ・ウヌマ・リンク …三越札幌9階ギャラリー
10/21 サプール写真展 …大丸札幌
 ・かっこいいコンゴのおしゃれな男たち。会場にかかってたパパ・ウェンバの曲もよく。
12/02 サッポロレトログラフィック ペーパーショップサクマ
12/02 都市標本図鑑 oyoyo
 ・こんな切り取り方があったのか、と他の人の視点で町歩きしてる気分に。
12/9 札幌国際芸術祭を振り返る 500m美術館
12/9 松浦シオリ個展「夢見始め」 to ov cafe
 ・魅入られ引き込まれそうな雰囲気の美人画の数々。思わずポストカード購入。
12/29 jobin. 漂う明日
 ・まさに叙情的、という個人的感想。ふわふわ揺れるモビールに音楽を感じたり、ラピュタを感じたり。テーマ曲の佐々木恒平さんの音楽も素敵でした。

chokusuna0210 at 22:23|PermalinkComments(0)clip!美術 

2017年12月31日

2017年に読んだ本から10冊

2017年に読んだ本から10冊。
順位については順不同。
読後感はこちらから。
なんだか、年の後半に集中してしまったから、来年は半年に一度やったほうがいいかなあ、と。また来年も楽しい本当の出会いがあらんことを。

疎遠なる同胞
高森純一郎 / 高森純一郎 (2011-10-26)
読了日:2017年7月12日
※ベトナム戦争、日本、韓国のことが描かれる。戦火の中を駆けるベトナム人少女と現代日本を行き来しつつ、どっぷり濃厚に60s-70sサイゴンに浸ってしまった。中越戦争を題材にした「国家を背負って」も渋く重厚だったけど、今回はこちらを。


ボクたちはみんな大人になれなかった
燃え殻 / 新潮社 (2017-06-30)
読了日:2017年7月2日
※連載も読んで、この本も三度読んで人にも勧めて。「本当のさよならの時、人はさよならと言わない」というあたりが一番琴線に触れた。

歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる
柏書房 (2017-07-24)
読了日:2017年7月28日
※音食紀行というイベント参加のために購入。古代メソポタミア、古代ギリシア、古代ローマ、中世ヨーロッパ、などなど、歴史上のレシピから作った料理を食べてみようだなんて!

騙し絵の牙
塩田 武士 / KADOKAWA (2017-08-31)
読了日:2017年12月13日
※大泉洋をあて書きに、出版業界を舞台に描かれた作品。黒か白かはっきりと決められれば、簡単に人を理解できるが、様々な面が矛盾をはらみつつ、それぞれ真実だからややこしい。息もつかせぬ展開。


観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)
亀田 俊和 / 中央公論新社 (2017-07-19)
読了日:2017年7月23日
※尊氏・直義兄弟の不思議なところは、ここぞという勝負どころで無気力・消極的になってしまうところ。それでも生き残った尊氏の底知れなさ。

私たちの星で
梨木 香歩 , 師岡カリーマ・エルサムニー / 岩波書店 (2017-09-08)
読了日:2017年11月11日
※公正と寛容、個の確立といったテーマが往復書簡で味わい深く語られる。


外道クライマー
宮城 公博 / 集英社インターナショナル (2016-03-25)
読了日:2017年9月28日
※生と死の境界線によって生の実感が湧く


ミコさんは腑に落ちない(1) (アフタヌーンKC)
イツ 家朗 / 講談社 (2017-06-23)
読了日:2017年7月2日
※社畜乙女×主夫彼氏の帯。仕事バリバリOLなミコさんと、家事全般完璧で先回り上等な気遣いも行き届く完璧主夫エンさん。この二人の空気感、やりとり、本当にツボでたまらない。


上海の中国人、安倍総理はみんな嫌いだけど8割は日本文化中毒! (講談社+α新書)
山下智博 / 講談社 (2017-11-20)
読了日:2017年12月23日
※タイトルはちょっとアレだけど、中国のネット文化や中国人の気質をわかりやすく描いてくれて吉


革命のファンファーレ 現代のお金と広告 (幻冬舎単行本)
西野 亮廣 / 幻冬舎 (2017-10-04)
読了日:2017年11月4日
※煽ってくる挑発してくれる一冊。熱くなった気持ちを次の一歩へと向けなければ。

chokusuna0210 at 09:39|PermalinkComments(0)clip!

2017年12月に読んだ本

期間 : 2017年12月
読了数 : 42 冊
探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)
東 直己 / 早川書房 (1995-08-01)
読了日:2017年12月30日
映画「探偵はバーにいる3」を観に行ったのを機に、6年ぶりの再読。登場人物名やエピソード、設定を抽出して、再構成し、新たな登場人物を追加したのが映画版の第三弾だと改めて認識。ただ、原作とするにはあまりに再構成されすぎていて、と言ったところか。確かに、原作に忠実だと登場人物が多すぎて、映画としてはまとまりがつかない。けど、こちらはこちらでもちろん味がある。
響~小説家になる方法~ 8 (ビッグ コミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2017-12-27)
読了日:2017年12月30日
津久井の響に無許可でのドキュメンタリー撮影と、それに気づいて決意を固める響。企画を潰すと意気込む響の取った手は…と。身勝手な津久井の理屈と真っ向対峙する響の対話が緊張感に満ちていた。
大奥 15 (ヤングアニマルコミックス)
よしながふみ / 白泉社 (2017-12-28)
読了日:2017年12月30日
家定の死、勅許を得ぬ日米修好通商条約、安政の大獄、和宮降嫁と描かれ、最後は、ミステリータッチの謎が残され次巻へ。いよいよ将軍も14代まで進み、大奥の話もあと少しというところか。家定と篤胤の深く信頼しあった関係が印象に残る。この時が最高という瞬間はあまりにも儚く。
九月の四分の一 (新潮文庫)
大崎 善生 / 新潮社 (2006-02-28)
読了日:2017年12月30日
九年前の読書記録 http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/51529824.html に触発され、報われざるエリシオのために、のみ再読。やはり同じ箇所に打たれるし、ある種の痛ましさと羨望を覚える。
探偵はBARにいる3 (ハヤカワ文庫JA)
古沢良太 , 森晶麿 / 早川書房 (2017-11-07)
読了日:2017年12月29日
映画を観てからの読了。映画では語られなかった設定、より細やかな台詞回しと心情描写があり、映画と合わせると、二度美味しいつくりになっていた。
二度寝で番茶 (双葉文庫)
木皿 泉 / 双葉社 (2013-09-12)
読了日:2017年12月29日
印象に残ったのは、自由も、家族も、愛も幻影なのだから、そのようなものに縛られても...ということか。木皿泉の二人なりの答えは提示されつつ。巻頭エッセイの、気まぐれな店、の店主も強烈。今ので十分美味しいのに、どんどん味を追求して変化させていくカレー屋の主人。ある時トムヤムクンラーメンがメニューに加わり、その味もどんどん変わり、ある時バイト君でも出せるように仕込んだ後、出奔...と。いかに気まぐれシェフの一品なんかよりも存在感、と。/以下備忘録的に。/情けというのは、よくよく考えると気持ちの悪いものである。そんなものにがんじがらめになってしまうと、容易に解けるものではない。/気分が悪いと、ろくなことしか起きないから。なるべくすみやかに、フツーの状態に戻して自分も安心したいわけです、ボクは。/その日が終わるとプチっと潰すカレンダー/我々ぐらいの年代になると、理由もなく会わなくなった人は過去に山のようにいますからね/本当に品格のある人は、他人の品格についてとやかく言わないでしょう/傷がないと何もつくれない、というのはウソですよ。映画監督のヴィスコンティは、大金持ちで、ハンサムで、貴族。傷どころかなんでも持っていて、あんなすごい映画をつくれるんですから。/私達は思うようにいかない時、時間に任せようと考えるけど、時間はコマ切れだととらえている人は、保留という発想はないでしょうね。/女の人って、結局、言葉が欲しいんだと思いますよ。/若い時、友達とスキー旅行に行ったんだけど、お互い本を一冊ずつ持ってきてい、それが全く同じ川端康成の文庫本だった。(略)三十年経った今でも、その友人とは仲良しです。
野崎 卓也 / 野崎 卓也 (2017-12-01)
読了日:2017年12月28日
判型も変わり、内容も大幅チェンジ。イラスト入り紀行文→スケッチにキャプション→見開きに箱根の地図と感想。名刺大のカードにカラーの風景画。野崎が行くファンとしては、紀行文も読みたいなあと思いつつ、これはこれで画伯への道の趣き。特に、湯河原の花火の絵がいいなあと思いました。
コンニャク屋漂流記 (文春文庫)
星野 博美 / 文藝春秋 (2014-03-07)
読了日:2017年12月28日
なぜに縁もゆかりもない星野さんの一族や祖先の話が、こんなにも楽しく血湧き肉躍る感じで読めてしまうんだろう、と。舞台は、千葉・御宿町の岩和田から和歌山へ飛び、最後は戸越銀座に戻ってきて締めくくられる。一族の中にある、漁師的な気質と農民的な気質のせめぎ合いが描かれ、同じ外房でもちょっと離れると全く違う文化が広がっていたり。人はどんな時に家族の歴史を知りたくなり、それを伝えたくなるのか、それは終わりが近づいた時、と。今までそれほど知りたくならなかったのは近づいてると思ってなかったからかと我が身を振り返り。すでに話を聞く祖父母は亡くなっているのだけれども。古文書と寺を巡って墓碑を丹念に調べることで、祖先の来歴に著者なりの結論を出して行く過程はページをめくるのももどかしくなるくらいの圧巻でした。ロドリゴの要求に狡猾な外交術を見せる家康のシーンは印象に。
スティル・ライフ (中公文庫)
池澤 夏樹 / 中央公論社 (1991-12-10)
読了日:2017年12月26日
三宅花帆さんの記事「池澤夏樹を読むだけで、息がラクにできるようになる理由」https://cakes.mu/posts/17489 に触発され再読。もう何度読み返したかわからない作品。「見えないガラスの糸が空の上から海の底まで何億本も伸びていて、雪は一片ずつその糸を伝って降りて行く」「雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。」といった描写を楽しみつつ。あと、佐々井が山のスライドを見せてくれてた記憶はあったんだけれど、川のスライドも見せてたというのは記憶から抜け落ちていた。
アフタヌーン 2018年 02 月号 [雑誌]
講談社 (2017-12-25)
読了日:2017年12月26日
波よ聞いてくれ。いつ解放されるとも知れぬ中での首謀者との対話と抜け出す糸口を探るメンバー。イサック。ロレンツォを討ちとるまで行かずとも、足止めさせた一発の銃弾。Black Boxは、運命の暗転したレオンと、頭に大きな爆弾を抱えてしまった凌賀の対話。あたりのキッチンは、生意気言いがちな料亭の息子が父への思いはいじらしく、食堂のみんな、料亭の大先輩たちが気をもみ、願いを叶えてやろうとするいじらしさ。恋の罪は、だんだんと外堀を埋められていき、かわしきれなくなってきた公爵の魔の手。
局地的王道食(2)<完> (ワイドKC モーニング)
松本 英子 / 講談社 (2017-12-07)
読了日:2017年12月24日
のらぼう菜、豆かん天、海苔、葛湯などなど。あきる野市と埼玉の一部のみにあるのらぼう菜。3話に渡って描くとは相当の思い入れを感じました。船橋に最盛期千軒、いま三軒の海苔作るところがあって、作者の同級生がやってるとか、子供の頃の常食ぷりとか。和心あふれる葛湯のませてくれるお店に心惹かれ。その昔、西大島から西荻窪まで電車で45分かけて何度も通った、甘いっ子の豆かん思い出しながら読んだ豆かん天の章。二巻完結だけど、モグさんは同居人なのでしょうか。いいコンビ。
局地的王道食(1) (ワイドKC モーニング)
松本 英子 / 講談社 (2016-07-22)
読了日:2017年12月24日
ちくわぶ、かんぴょう、アメリカンドッグ、ちくわ磯辺巻き、フィンガーチョコレート、求肥などなど。ちょっとした食べ物への思い入れと再会。ちくわぶ…一時期鍋いっぱいにちくわぶ、麺つゆで茹でて食べていたブームの時期があったので、ここまで語ってくれて嬉しい。求肥マシマシののあんみつ、食べてみたくなる。
本日のバーガー 7 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ;花形怜 / 芳文社 (2017-12-15)
読了日:2017年12月24日
アイドルの父親を改心させたコロッケバーガー、元上司が大切にしている部下の思い出のバーガーを再現したクラブケーキバーガー。人生にふてくされてた女子高生を前向きにさせたウィズ・ザ・ロッド。ハンバーガーの美味しんぼが、鮮やかに人生のワンシーンを変えてくれるストーリー。巻末のチョコレートベーコン、気になります。
わたし今、トルコです。 (ビームコミックス)
市川 ラク / KADOKAWA (2017-12-11)
読了日:2017年12月24日
トルコ好きが高じて、日本におけるトルコ文化を題材に「白い街の夜たち」を描くも、青春成分強すぎて、トルコを書ききれなかったと思ってるところに、ポンと留学した作者。ただ、時節はテロがあったりクーデターがあったり、トルコ男性に変な迫られ方をしたりで、いい面ばかりじゃなかったけども、韓国人や中国人の同級生に助けられ、ルームメートに力づけられ、トルコの田舎の結婚式に飛び込んだり、様々なトルコ文化やトルコ人の側面に触れられ、てところまで。1巻て書いてなかったけど、これからもよろしくってあったから、続いてほしいなあ、と。食べ物に関して言えば、バクラヴァは、手に持って逆さにして食べると、舌がパリパリを感じて上あごにしっとりがくっついてgoodてのは試してみたい。あと、祭りの夜店で食べたオーロラソースのかかったケバブサンドはパチもんだと思ってたけど、アラブ圏の食べ方らしく、刮目。
ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて (コミックス単行本)
西原 理恵子 , 高須 克弥 / 小学館 (2017-04-26)
読了日:2017年12月23日
西原理恵子「ダーリンは71歳」と合わせて読むとより面白い。サイバラによる描き方に、真っ向反論、そうじゃないんだ、と。言えば言うほどの面もあるけど、本人に書かれるとより興味深く。僕ほど連載をドキドキしながら読んでる読者はいるだろうか、何を描かれているか、と。ロバはロバなりの才能を活かせ、サラブレッドよりロバが劣るとかではなく、悪平等主義で、頑張ればなんとかなるとかウソ、という率直さにはなるほど、と。あとは、りえくまの荒ぶりが印象的。二人の話が描かれた漫画、エッセイを読むと、サイバラの恋愛ってサバサバしてるのかと思いつつ、かなり女子なんだなあ、の感。
PARIS1989 (Mag graphic)
稲越 功一 / マガジンハウス (1989-12)
読了日:2017年12月23日
cafe オリーブと鳩 にて手に取った一冊。村上龍のパリの人々の日常を切り取ったエッセイ、ビデオカメラ越しのパリが、きれいだなあ、と感じたエッセイとあわせて、モノクロの30年前のパリを眺める楽しみ。激しくキスしてたポンヌフの恋人たちは、撮られてることに気づいてたのか、構わなかったのか。
上海の中国人、安倍総理はみんな嫌いだけど8割は日本文化中毒! (講談社+α新書)
山下智博 / 講談社 (2017-11-20)
読了日:2017年12月23日
ヘタレを自任しつつ苦手なことから逃げて逃げて、けれど可能性を感じてエイヤと中国語もできずに中国に飛び込んで、悪戦苦闘して、動画界の人気者、有名人になった著者。中国と日本のインターネット文化の違い、気質など違いが浮き彫りになってとても興味深く。随所で出てくるのは、中国人のスピード感。ちょっとでもいけると思ったらすぐ行動、ダメなら修正していき、それでもダメならす早く撤退。その中から当たるものが出てくるダイナミックさ。ただ、タイトルは著者もどこかで書いてたけどどうにかならなかったのかな、と。反中、親中な層をいたずらに刺激しそうだし、フラットな層には届きづらくなったのでは、と。内容は何かを煽ったりするのではなく、いたずらに賛美するのではなく、至極真っ当で、違いは違いととらえた上で、摩擦がなくなるように僕がぬるぬると潤滑油になりたい、という地点に着地するのだから。/以下備忘録的に。/表現の力の可能性。物事の見方を180度変える力/春画やその手の小説、江戸時代のソフトパワー、恥の文化など、アニエス・ジエール「エロティック・ジャポン」が詳しい/板尾創路、ペドゥナ「空気人形」/クールジャパンじゃなくフールジャパンで行こう/反日的なコメントにそうじゃない中国人もいると知ってほしいというコメントがつき/映画「ヒトラー最期の12日間」に嘘字幕をつけてヒトラーがあらゆることに怒り悩み意気消沈する総統閣下シリーズ/中国でお仕事するには「大班」。思考回路の違いが浮き彫りに/爆買いの背景には電子決済の発達/動画クイーンpapiちゃん/鳥本さん、「ライフハッカー」の連載に著者との関係がまとめられてる/世界初のバーチャルユーチューバー「キズナアイ」/「中間で重要なのは、もろもろの問題をいったん地面に下ろし「ここでみんな楽しく遊ぼうよ」という空間を作ることだと思います。そうして、この場が盛り上がれば、結果として日中友好は生まれてくるのだと思います。」
奇食珍食 糞便録 (集英社新書)
椎名 誠 / 集英社 (2015-08-12)
読了日:2017年12月21日
奇食珍食、の分だけ読了。東京スポーツ連載で短めのためもあるのか、これはやばそうだから、と手をつけなかったものも何品か。コブラの心臓をベトナム焼酎に入れて飲む、というのに心惹かれ。馬の生肉「馬刺し」を食べるのは長野と南九州だけというのは本当なのか。ヤシガニの臓物をボウルでぐちゃぐちゃにかき回しめんつゆに入れたそばを食べてみたくなり。キビヤックの項で、北極圏にドライビレッジ(禁酒地帯)というのがあるのを初めて知り。昆虫食系列はちょっと手が出ないけど、発酵食品系列はいろいろ食べてみたいなあ、と。
江の島ワイキキ食堂 11 (ねこぱんちコミックス)
岡井ハルコ / 少年画報社 (2017-12-11)
読了日:2017年12月17日
オードリーのひとことで背中を押された頼。その裏で、オードリーが親しい友人として、貧乏神を救ってやりたいと奔走し、結局はわからなければならなかったシーンが印象に。最後は大団円で。
テラモリ 8 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2017-12-12)
読了日:2017年12月17日
まわりのめでたい話、別れた話ありつつも、本筋の2人の話もしっかり進んで。見てて恥ずかしくなるくらい初々しくぎこちなく、けど、着実に距離が縮まり、そろそろ次の巻くらいには、というところかなあ。自分がプレゼントを選ぶ段になって、来店する客がプレゼントに馳せる思いを実感し、初心に帰るシーンが印象に。
傘寿まり子(5) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2017-12-13)
読了日:2017年12月17日
WEBマガジン創刊に活路を見出したまりこだが、専門家に話を聞きに行くも、最初は全否定され…。なんとか心の扉を開き、始めるにあたってのアドバイスを引き出すことができ。看板作家のあてがひょんなことからつきそうになるが、事態はなんだかサスペンスな方向に。
やさしい訴え (文春文庫)
小川 洋子 / 文藝春秋 (2004-10-01)
読了日:2017年12月17日
三宅香帆 京大院生が選んだ「人生を狂わす」名著50|眠れない夜には小川洋子。静かな大人の恋愛小説を読みたい人へ https://cakes.mu/posts/17914 に触発されて、再読。/夫の生活から逃げるように別荘にやってきた瑠里子が出会ったのはチェンバロ製作者の新田と弟子入りしている薫。彼らと親しくしていくうちにどうしようもなく新田に惹かれ、自分に振り向かせ、自分だけのものにしようともがくけど、結局は、チェンバロでつながった二人のつながりには割り込めないと思い知らされ。けれどカリグラフィーの専門家である瑠里子が見出した、自分でもチェンバロに少しでも形を残せる答えは…と。きっともう二度と会うことはなくても、微かなつながりが残せた、そのことの余韻を残しつつ。/でも、どんな重大な出来事でも、紙に書くと一行か二行で終わっちゃうんですよ。「目が見えなくなった」とか、「無一文になった」とか(略)世の中何でも、大げさに考えすぎない方がいいなあ、って(瑠里子)/私たちいつも、空気の震えに耳を済ましているでしょ?チェンバロの弦が響く音に。すると相手の心の震えまでが、一緒に伝わってくるんです(薫)/人を求めるのに、理由はないよ(新田)/そして、もちろん、読み終わった後は、出てきたチェンバロの曲をいくつかダウンロードして浸りたい気持ちに。
フランス人ママ記者、東京で子育てする
西村・プぺ・カリン / 大和書房 (2015-07-26)
読了日:2017年12月17日
じゃんぽーる西さんのフランス生活マンガと嫁はフランス人を読んで、面白くて、妻のカリンさんも本を書いてると知り、手に取る。フランスと日本、双方の出産、子育て、教育事情を知るカリンさんからの、どちらが一番!てことではなく、違いを比較しながら、この点はフランス、この点は日本がいいとあげて論じてくれてるところが丁寧に感じた。フランスのヌヌー(乳母)を雇うのがポピュラーな点、フランスにもあったベビーカー論争などは特に興味深く。西さんとの出会いが、"「パリで暮らす日本人の生活を漫画にしました。書店では品切れですけど、アマゾンなら1円で買えます」サラリーマンの格好をした漫画家に、初対面でこう言われた。"てのが、なかなかインパクトありました。また、銀座にある、パリのカフェを再現していると言う「オー・バカナル」にも興味を惹かれました。
辺獄のシュヴェスタ 6 (ビッグコミックス)
竹良 実 / 小学館 (2017-12-12)
読了日:2017年12月16日
大団円、といえば大団円。目的を果たせるか危ういところもありながら。そして、エラの中での、目的を果たすために、他の命を断つことと、それをどう引き受けて行くかの葛藤が、単純な勧善懲悪ではなく、印象に残る。
謎のあの店 3 (Nemuki+コミックス)
松本英子 / 朝日新聞出版 (2017-12-07)
読了日:2017年12月16日
線路と線路の間にあるカフェで電車見酒、五能線で海と絶景、旅情にひたる旅、ハンバーガーから餅へと転身した自由すぎる店主、囲まれて経でせめられる快楽に目覚め、居心地の良すぎる民家カフェで前の客にならって食器を下げた時の連体感、高砂駅近くの早朝しかやってない総菜屋さん、店で食べると美味しいけどうちで作るといまいちだったカレーそうめん、などなど。この巻も印象に残る店目白押し。
応天の門 8 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2017-12-09)
読了日:2017年12月16日
恵まれた境遇を当てこすられる道真。ただの陰口叩きの同僚には毅然と攻撃的に反論するが、家柄も富もないものから、投げつけられると考え込んでしまう一幕も。そして、己の才能のいかしどころを求めて思索を続ける。書のみでは足らず、実践がともなわなければ、と。業平が疲れた様子を見せると、周りが一斉に、女か、女だな、また女か、と一斉に心の声の吹き出し出すの、ツボでした。
きっと可愛い女の子だから (アクションコミックス(月刊アクション))
柳本 光晴 / 双葉社 (2014-09-10)
読了日:2017年12月15日
なかなかに、一見真面目でおとなしく見えたりするけど、うちに秘めた思いは強烈で、ツンデレというか、二人の場面ではストレートに思いを伝える子達の連作短編集。「響〜小説家になる方法」と同じ作者と聞き興味を惹かれ。
古都 (新潮文庫)
川端 康成 / 新潮社 (1968-08-27)
読了日:2017年12月13日
これが本当に昭和30年代の京都人なのだとしたら、まさに異文化。相手を思いやるあまりに自分の結婚からも、親しい家族を得る喜びからも身を引いてしまう苗子の考え。職人らしい頑固で一本気で筋の通った秀夫。京都の四季、風物、文化への考えを語る父と千重子。個人的にはあまり馴染みのない京都の風景、祭りなどを浮かび上がらせる筆致は印象に。/「杉がみな、真直ぐに、きれいに立って、人間の心もあんな風やったら、ええなと思うのどっしゃろか」/千重子が父に進めたパウル・クレーの画集が見たくなった。
騙し絵の牙
塩田 武士 / KADOKAWA (2017-08-31)
読了日:2017年12月13日
大泉洋をあて書きに、出版業界を舞台に描かれた作品。帯にデカデカと、あなたは大泉洋に騙される、とあったけど、なるほどそう来たか、と。出版の先細りとどう活路を見出していくか、小説を愛する思い、雑誌を守ろうとする思い、次々と乗っけられるプレッシャー、社内政治の圧力、家庭も安住の地ではなく、と息もつかせず展開していき、最後は、と。黒か白かはっきりと決められれば、簡単に人を理解できるが、様々な面が矛盾をはらみつつ、それぞれ真実だからややこしい、だからこそ面白いのかもしれない。/軽快なやりとりも楽しく。「海外ではこれをハニートラップというんじゃないのかね」「先生、それは違います。日本でもハニートラップです」/「巣鴨のスパイ小説って、今までにないんちゃうか?」「病院の待合室で健康的な情報取って何が面白いんですか。そもそも巣鴨のどこを爆破して、誰を撃つんですか」/振り回される者の悲哀も。「兵隊が口を揃えて文句を言っても不毛だ」/本当に細かいところで気になったのは二点。二階堂大作と二階堂原作の書分けは何か意味があったのだろうか。うちの両親も言ってた、の時には、すでに片方はいなかったのではないか、ということぐらいかな。/「思考を続ける人間には、真贋を見極める目が備わっている。本物を、上質を選ぶ慧眼を身につけることが、情報の波にさらわれない唯一の対抗策だと小山内は信じる」/
生活の世界歴史〈7〉イスラムの蔭に (河出文庫)
前嶋信次 / 河出書房新社 (1991-11-05)
読了日:2017年12月11日
前嶋信次「イスラム世界」河出、つながりで。10世紀バグダードとコルドバに焦点をあてた、詩情豊かな、味わい深い、生活の世界歴史シリーズ。最近こういうのあまりないような気が。新版の中公の世界歴史が1、2章さいてやってるぐらいか。12ヶ月つづった田園賦は単調だったけど、イブン・ハズムをとりあげた恋愛賦は興味深く。また、後ウマイヤ朝の歴史を簡易に知れたのもよかった。人種宗教に寛容とされた後ウマイヤ朝なのに、返す刀で、父はムスリムでも祖父がキリスト教徒だと、キリスト教徒の孫、とさげすまれた高官サンチュエロが出て来るあたり、矛盾を感じる。/財宝を隠してると疑われた盲目の元カリフが、その気に入った庭園を現カリフに使わせないように案じた一計。ビザンツから入ってきたという廃カリフを二度とカリフ位につけまいとする目を潰す行為。自分たちの固有の言語に対する再評価、シュービーヤ思想、イランの民の間にだけ起こったわけではないが、特にイラン人の間に強く、シリア語、ヘブライ語、トルコ語を固有とする人々の間にも動きは見られた。思いがけず金持ちになった人が、焦って使い果たそうとするのはなぜなんだろう、と思わされるエピソード。そして栄達し零落しまた復活した際、自分を見捨てた元の友人がすり寄ってきたのを、受け入れるふりして叩きのめすエピソードも。茴香を入れた二種のザクロジュースが眼病によく効いた、という話。嘘を言うのはその人の魂に暗い裂け目があり、恐るべき精神的奇形に悩んでいる明らかな証拠である。
ゴッホ絵画集 近代絵画
ヴィンセント ヴァン ゴッホ / アートクラシックス (2013-06-16)
読了日:2017年12月10日
作品でたどる生涯ってあったけど、生涯の説明はほんとに簡素だった。映画ゴッホ最期の手紙に出てきた絵はこれなんだ、とたどれたのは収穫。また、約500枚の絵を編年順でみることで作風の移り変わりも知ることができた。
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(5) (ヤンマガKCスペシャル)
マキヒロチ / 講談社 (2017-12-06)
読了日:2017年12月10日
野方、水道橋、鎌倉、高島平、そしてリノベ中の双子の家の見学会。母の束縛を嫌いながら諦めてる娘への一言、日々の仕事に疲れ果ててる女性へ遊園地のある街で暮らすことの楽しさを教え、西海岸風の暮らしに憧れる女子にほんまもんの湘南の海岸暮らしに開眼させ、東雲、常盤平、高島平と団地の良さを語る回もありのこの巻。団地マニア大山顕さんについてはもう少しおってみたいと思った。
サトコとナダ 2 (星海社COMICS)
ユペチカ / 講談社
読了日:2017年12月10日
「翻訳できない世界のことば」という本に”サマル”というアラビア語があった。”日が暮れたあと遅くまで夜ふかしして友達と楽しく過ごすこと”らしい きっとこれのことだ、と言うシーン。サウジ国旗は縦にしてはいけない、をきっかけに様々な国旗のタブーを知り。ナダの、私はこう、あなたはそう、でも友だちよ、そういうものよ、と言うことばが染み入る。あとがきに出てきた、建物の味のする食べ物って…。そして、ナダの婚約者のアメリカ来訪の予告が気になる次巻。
今夜は最高! (1982年)
日本テレビ放送網 (1982-01)
読了日:2017年12月9日
ジョージ川口の飛行機で三回墜落した話のどこまで本当なのかな語り口。ドラム演奏している間にヤクザの出入りが始まってメンバーも客も自分以外逃げちゃった話の破天荒。田中小実昌の、仕事は短く酒は長し、人生は短く芸術は長し、の迷言。今では大御所のビートたけしも檀ふみにかかると結果としてはかなりのいじられ役に。勝手に作っちゃった村田英雄エピソードとかよく怒られなかったなあ(笑)と。竹村健一「おとなの英語」とか読んでみたい。タモリと山下洋輔のエセ江戸弁、ケメチシセメが食いたい!って(笑)。32歳のタモリが急に、スヌーピー二時間見てて飽きない、とか。赤塚不二夫邸に居候してた時、用もないのに、セントラルヒーティングをボンボンたいて、暑いとか言って、に、赤塚不二夫が、お前はそんなことしてたのか(笑)と突っ込むシーンが好き。あと、細かいこと言うと、今よりずいぶんあけすけに…語ってるなあ、と言う対談も。今ならコンプライアンスが…と問われかねないことも35年前だからか。排卵日や性体験を面と向かって聞いて、いやーん、で済まされるとか。
Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)
レイモンド カーヴァー / 中央公論社 (1997-10-01)
読了日:2017年12月9日
「でぶ」の太った男を語っていたのに、最後に自分がそうなったような幻視、「サマー・スティールヘッド」の両親に誇ろうと思った時のひやりとした結末、「あなたお医者さま?」の噛み合わなさ、「収集」の突然押しかけてきたハウスクリーニングが当たったという男のシュールさと怖さ、最後の行動のなぜ?そのまま渡せばいいだけのことを?という違和感、「足もとに流れる深い川」の主人公の感じる、怖い、とにかく怖い、という思い、「ダンスしないか?」の端ではわからないこだわり、「大聖堂」の最初は受け入れ難かったのに、いつの間にか親しくなっていく過程の楽しさ、「ぼくが電話をかけている場所」の苦さ、「ささやかだけど役に立つこと」の妻も「怖くて怖くて仕方ない」と語り、「何かを食べるっていいことなんです」と最後に三人で食卓を囲むシーンの味わい、「使い走り」を読むと、チェーホフを読み返したくなる、「父の肖像」を読んで自分の父のことに思いを馳せ、「レモネード」に横たわる深い悲しみ。決して何かの結末がつけられるわけではなく、違和感を放り出して終わるように見えて、そこが味わい深いのかも。/「私たちの人生において、私たちは毎日毎晩、体の一部をちょっとずつ落としていくんです。ひとかけら、またひとかけらね」(「収集」)/「そこにあるものはただ美と平和と、そして死の壮大さのみであった」(「使い走り」)/
中島 悠爾 / 集英社 (1983-10)
読了日:2017年12月6日
アランダルスの女たち、シェーラザード、ヌール・ジャハーンとムムターズ・マハルのみ読了。アランダルス=アル・アンダルスのことと思われるが。ゴート貴族の娘からとらわれてイスラム勢力の太守に嫁ぐが、夫が暗殺され、一説では彼女の野心が原因で、しかし思惑は外れ、敵対する王に身を寄せ、二人の半島の支配者の妻だったことだけを思い出に余生を生きたこと。初期イスラム教徒の寛容も語られる、曰く信仰、人種、出自を問題にしなかった、と。実際はどうかわからぬが。/アルマンスールのハレムに差し出されることになったアストゥーリアス王ベルムード二世の妹「国を守るべきは兵士の槍であって、女の...ではない」/アルハケム一世「男が愛の虜となった時、男が女に仕える姿は美しい」/シェーラザードは、架空の人物に対しどんなことを語るのかと思いきや、著者が千夜一夜物語の面影をしのびにバグダードへ行った際の随想でちょっとがっかり。ヌール・ジャハーンについては寡聞にして知らず、ジャハンギール帝の後半生に政治力を振るったこと、次帝の即位に際してはスパッと身を引いたことが語られる。タージ・マハルを捧げられたムムターズ・マハル、十数人の子を産み、夫の戦場には常についていき、皇后としての期間は3年しかなかったことなど。ムガル帝国についてはもっと調べたいと思った。
コロンブスの犬 (河出文庫)
管 啓次郎 / 河出書房新社 (2011-10-05)
読了日:2017年12月5日
詩情豊かな、行ったことのない30年前のブラジルに行った気にさせてくれるエッセイ、紀行、雑感。読んでるだけで異世界に連れていってくれるような感覚を味わえる。/以下備忘録的に。死刑のない国で、被害者の中には一部の警官に秘密で仕返しを依頼する、「必殺隊」の登場、刑務所内の犯人をどこかへ連れ出し私刑する/星の名を通貨の名として採用した国なんて、ふたつはない。クルゼイロ。ブラジルでは一杯のカフェは、二百五十の南十字星によって買われる。/あらゆる現代の旅行者は、コロンブスとの連続性を生きている。(略)彼はやってきた、見た、新大陸を。黄金の土地を。空白の可能性を。/ブラジルでは、心が南極むきに冷え切ったやつだと思われたくなければ、最低でもこれぐらいのことはいわなくてはならない。/ポルトガルはブラジルの零落した父親だ。小心で、若い頃の勇壮さをすっかり忘却したこの小男は、ブラジルに少なくともことばと料理を教えた。/英語をほんとうにものにしようと思うなら、アメリカん小学校、中学校の教科書はひととおり読まなければいけないね。特に社会科、理科。つまりね、平均的なアメリカ人なら誰でも知っているような知識と、それに使われる単語があるわけでしょう。そうしたものはいちどはおさえておかなくちゃ。/コルテスの通訳ドニャ・マリーナ、マリナリ・テネパル、メキシコのマリンチェの物語/貿易風が体の中を吹き抜け、きみはもう光と風の透明な容器でしかなくなってしまう。
二つの「この世界の片隅に」―マンガ、アニメーションの声と動作―
細馬宏通 / 青土社 (2017-09-07)
読了日:2017年12月3日
原作版、アニメ版の違いを詳細に比較し、それぞれで語られたこと語られなかったことをあぶり出し、また、それぞれのセリフ、背景を精密に読み込んで導き出される仕掛けの数々に驚かされる。そんな細かいことどうでもよくない?という声を押しのけて、神は細部に宿るという思いを強くさせられる。リンさんが、すずさんを周作さんの妻と気づく場面の解き明かしが一番印象に。
火色の文楽 1 (ゼノンコミックス)
北駒生 / 徳間書店 (2017-11-20)
読了日:2017年12月3日
バレエで14年、頂点を目指してたけどケガで断念。幼馴染の紹介で、文楽を観にいき、心を鷲掴みにされ、入門することに。けど、バレエへの未練を見抜かれ、バレエのみに打ち込むゆえに人の輪に入れぬことを悟り。文楽の心も人の心をつかめないと思い、思われてきたけど、主人公弓矢なりのやり方で少しずつ掴んでいき、と。三浦しをん「あやつられ文楽鑑賞」「仏果を得ず」を楽しく読んだ身には待望の一冊。
語るボルヘス――書物・不死性・時間ほか (岩波文庫)
J.L.ボルヘス / 岩波書店 (2017-10-18)
読了日:2017年12月3日
書物、不死性、時間、エマヌエル・スウェーデンボリ、探偵小説の五つのテーマでボルヘスが講演したもの。該博な知識から様々な引用がなされ、考えを進めていく指針となり。特に、時間の章が味わい深かった…一読すっと入ってこずに、二度ほど読んだけど、それだけの魅力があった。/書物、古代の人たちは、書物を口頭で言われた言葉の代替物と見なした、次に重要な概念は、それが聖なる作品になり得るかもしれない、ということ。/私の考えでは、書物はひもとくたびに変化するのです。/スペイン民謡では「死の喜びはあまりにも大きい。どうか死よ、ふたたび私に生がもたらされることがないよう、音もなくそっと忍び寄ってきてくれ」と歌われ/不死になるというのは、成し遂げた仕事の中で、他社の記憶に残された思い出の中で達成されるものなのです。/<<論証によって人を納得させることはできない>>(エマソン)/霊魂は金の椅子を求めたりはしない、今のまま生き続け、永遠でありたいと願うだけである。(テニソン)/「人は二度同じ川に降りていかない」(ヘラクレイトス)/「何かが自分から遠ざかった瞬間に、時は流れる」(ボワロー)/永遠から発生した時間はふたたび永遠なるものに回帰したいと願っているのです/われわれは移ろいゆくものと永続的なものとでできているのです。/
塩の道-おれは一万石(2) (双葉文庫)
千野 隆司 / 双葉社 (2017-10-11)
読了日:2017年12月3日
高岡藩世子の井上正紀。不作で年貢が減収となり、なんとか藩財政を立て直そうと、船着場を整備し、商人を呼び込み、経済を活性化しようと奮闘。自分を疎む、国家老の妨害、先に助力した商人の手助け、付き人や友人の奮闘、分かり合えぬと思っていた妻の思わぬ援助、合力してくれる藩士の助けを得て、いざ結果は…と。できぬと言われれば、ではどうするかだな、と前向きに考え、妻との約束をすっぽかし機嫌を損ね、友人に相談すれば、お前らしいしくじりだなと言われ、国家老には「陣屋へ戻れ、その方へ追って沙汰をいたす」と厳しく詰め寄るシーンも。
泥水のみのみ浮き沈み 勝新太郎対談集 (文春文庫)
文藝春秋 , 文芸春秋= / 文藝春秋 (2017-06-08)
読了日:2017年12月2日
冒頭の映画評論家白井さんは、大麻事件も含め、自分の気持ちに忠実にやりすぎる勝さんをたしなめる感じ。たけしには、オレの悪口あちこちで言ってくれて、と切り込んで、言いたいこと言い、たけしが何かいっても、気に入らなければとりあわず、みたいな丁々発止。瀬戸内さんとは波長があったのか、テンポのよいやりとり、(中村玉緒との対談で)「いちばん面白かったのは、勝さんが刑務所に入っている時が結婚していちばん安心できたって言うのよ。居場所が分かってるのはあの時だ血けだったって(笑)」。石原慎太郎は、勝さんを褒めよう褒めようというのが前にでてきすぎて、読めない。三國連太郎とは旧知の仲の親しさ、途中湾岸戦争のニュース追いすぎたせいで寝込んだり、ぶらりと相撲中継見にいっちゃったりの自由闊達。森繁久彌は、勝さんに過去の「あそび」を種々あばかれ、たじたじ。最後の中村玉緒とのは圧巻。あんな旦那で大変ですねて言われるけど、うちはこの夫婦しか知らないし、いいもわるいもない。地方のロケ先で、お風呂に入ってたら、勝さんが、ドアのところで、今日は玉緒がきてるからまずいだろ、って、マッサージだよ、といっても、(とりあわず) と入るところとか。/「俺をね、枠の中に入れないでくれと言いたいんだ。たとえば芸能界とか、予算だとか、日数だとか言う枠でね。」/「ボウフラが人を刺すような蚊になるまでは、泥水飲み飲み浮き沈み」(「座頭市」で森繁久彌に歌ってもらった)/「素質はなかったね。腰がダメだった。三島さんはぶきっちょだったのかもしれない。ボディービルしちゃったために、体が固くなってた。」(居合の稽古をつけたとき)/(津本陽)「美談なんてのは、全部、後からつけたものですよ。歴史は力と力のぶつかり合いですからね。」/「それは誰かいるなと思ってた」「噂だよ」「(取り合わず)探偵さんまではいかなくても誰かに頼んで、調べようと思ったら調べられるんだけど、調べて分かってしまったらやっぱり怖いし、それでものすごくやきもち焼きなんです。」


chokusuna0210 at 09:17|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年12月03日

2017年11月に読んだ本

期間 : 2017年11月
読了数 : 38 冊
おやすみカラスまた来てね。 2 (ビッグコミックス)
いくえみ 綾 / 小学館 (2017-11-10)
読了日:2017年11月26日
ひょんなことで入ったススキノのバーで、マスターにであったことが縁で、バーテンダーになった主人公。水商売は初めてじゃなかったけど、いろいろ手探りで。マスターの娘と奮闘。力及ばず昔からのお客が離れてしまったりもしたけれど。元カノがぶらりと客できたり、口の厳しい同業者に鍛えられ、出入りのかわいい花屋の娘に恋し、少しずつ距離を詰めて、天使ではない裏の顔も知ってしまい、それを乗り越えたと思いきやのまさかの元サヤ…。なんか飄々としていて憎めない主人公から目が話せない。
おやすみカラスまた来てね。 1 (ビッグコミックス)
いくえみ 綾 / 小学館 (2016-06-10)
読了日:2017年11月26日
AIの遺電子 08 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-11-08)
読了日:2017年11月26日
インプラントを埋め込んだギャンブル依存症対策、今生きている世界がバーチャルでないとどうして言い切れるかと懐疑的な青年。どんどんオンラインのグループができていくけど、いつしか動かなくなるコミニュティが積み重なっていく感覚。最後は、主人公の旅立ち。母親の一人を探しに。このシリーズはこれで完結だけど続編も出るとのこと。
ピアノのムシ 11 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2017-11-16)
読了日:2017年11月26日
蛭田の周囲からどんなに都合を押し付けられようとも、相変わらずの自分のやり方を押し通すストーリー。星野さんの立て続けの受難と、苦くても前に進むストーリー。自分の筋を通せず、憤りながらも理不尽な要求を受け容れる八島。
あしあと探偵(2) (アフタヌーンKC)
園田 ゆり / 講談社 (2017-11-22)
読了日:2017年11月26日
横領したサラリーマンを追う一幕。妻とキャバ嬢がともに協力し、あと一歩のところまで来るが…。はたまた上司の娘の猫探し。はたまたネットゲームでの盟友を探してくれという依頼。それはあなただけの気持ちでしょう、彼がそんなに弱いとは思えない、話して見ては、というアドバイスとそのあとの展開に胸が熱く。最後は、創業者の影を追う仕事と勢いからの麦野くんの正式採用。これからというところで終わってしまうのはもったいなくもっともっと読みたい思い。書き下ろしもちょこちょこあって楽しかった。次回作にも期待。
凪のお暇(2)(A.L.C.DX)
コナリ ミサト / 秋田書店 (2017-11-16)
読了日:2017年11月26日
おとなりの達観した小学生の子との距離もぐっと縮まり、おとなりの自由人なゴンさんとは、ぶらりバーベキューで心をほぐされ、無理やり連れてこられた婚活パーティーでは元同僚にきっちり言い返し、のこの巻の凪さん。上の階のおばさんの、言葉足らず、ただ素直に思いを伝えるだけでよかったのに、が印象に。
講談社 (2017-11-25)
読了日:2017年11月26日
ミコさんは腑に落ちない、最終回。…腑に落ちない、もっともっと読みたかった。応援が足りなかったのか…。エンさん就職して急に凛々しく。忙しくなった2人が落ち合う場所は結局エンさんの職場、という大団円。無理して弁当用意してくれたエンさんに、ヴァチカンに届けとばかりに祈るミコさんの姿が可笑しく。波よ聞いてくれ、は、監禁かと思いきやのまさかの展開に。ミナレさんの、この宗教法人肉のにおいが強すぎる、にふきだす。ブルーピリオド、僕の「好き」だけが僕を守ってくれるんじゃないのかなあ」にしんみりと。ヴィンランドサガは、負けて捕らえられた処刑前の兵士が、繰り返しの先にある来世なんかのためではなく、何かわからないすばらしいもののために命を使いたかった、魂は頭と身体どちらにあるのか、と語るシーンが印象に。フラジャイル、岸先生の、患者のためになるなら怒ればいいが、自分のための怒りならしまっとけ、誰もお前の仕事を侮辱などしてない、が響く。あたりのキッチン!は、阿吽に、しっかりと居場所を作りつつある清美さんとそれを暖かく見守る伯母さんの構図がいいなあ、と。四季賞特別賞の、緑川さんと土田くん。ほぼ、小学五年生の2人の対話で進むけど、距離を置こうとするのを逃さず、真摯に語り距離を詰め、率直に思いを伝えるところが読んでてほろりと来る。
ロングバケーション (角川文庫)
北川 悦吏子 / 角川書店 (1998-07)
読了日:2017年11月26日
なにかのきっかけで話に出たことで、あらすじから結末までどうだったかな、と思い出したくて再読。懐かしいセリフも目白押し。携帯もスマホもインターネットもなくて、連絡手段は固定電話、公衆電話だった時代のラブストーリー。/(人生の)脇役をカメラは追いかけない、主人公にはなれない、鉄則だ/映画スティングのサントラ盤ソラス/恋愛なんてタイミングなんだからね。タイミング・オンリー/好きなものは好きなんですよ!好きって気持ちは止められないから世界で一番えらいんですよ!!/いい人だけど、いい人で優しいけど、いろんな人にやさしくて、いろんな人ちょっとずつ傷つけるんですよね/ひとりでしあわせでいられない人は、誰かといてもしあわせになれないんじゃないかな/
hasya / hasya (2013-09-01)
読了日:2017年11月25日
柔らかな絵で描かれた2013年のトルコ旅行記。イスタンブルも取り上げられているけど、一番大きな扱いはサフランボル。こじんまりとしながらも人も街も魅力的に描かれていて、思わず行きたくなるほど。
レディ&オールドマン 4 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2017-11-17)
読了日:2017年11月25日
オールドマンが死んだとの噂を流し、流れを見極め。ナットの過去の話しを聞き、関係性がかわり。最後はオールドマンの弟らしき人物との邂逅。主人公2人をめぐる勢力の動きもめまぐるしく。
燕のはさみ 1巻 (ハルタコミックス)
松本 水星 / KADOKAWA (2017-06-15)
読了日:2017年11月25日
時は大正時代。父が銀座で営む床屋で、メキメキと腕を上げていく燕。子爵にも腕を買われ、常連客もつき、街中でかっこいい髪型の人を見かければ追いかけて自分のものにしようとするほど研究熱心。雑誌にも紹介され順風満帆かと思いきや、同じ銀座の女理髪師のキャッチフレーズを掲げたライバル登場。豪華な設備、人員と、華やかな接客で客を奪っていく。技術だけでは客を魅了できない、と雇ってもらい、さまざまな気づきを得て、肚が座ったところまで。甘くてふわふわ大正乙女の理髪師物語から、苦味も味あわせ、と。この先も楽しみ。
東京アンダーワールド (角川文庫)
ロバート ホワイティング / 角川書店 (2002-04)
読了日:2017年11月20日
主に、アメリカ人ニコラ・ザペッティの目を通して描かれた占領期からバブル期あたりまでの東京の裏面史。暗躍する不良外国人、ヤクザ、実業家、政治家、力道山。波乱万丈にして活力あふれる豪快なエピソードに満ちていた。東京という街は外部の助けがなくても十分腐敗している、その腐臭が不良外人を引きつけたにすぎない。
違国日記 1 (フィールコミックス FCswing)
ヤマシタトモコ / 祥伝社 (2017-11-08)
読了日:2017年11月19日
事故で両親を亡くして、親戚の少女小説家槙生のもとに引き取られた、朝。たらい回ししようとするばかりの親戚連中にブチ切れて勢いで啖呵を切ったものの、我に帰れば、極度の人見知りで、誰かと暮らすなんて…と戸惑う槙生。そんなところも受け入れてくれる友人の奈々。以前付き合っていた、力になってくれる笠島くん。周りに頼ることも覚え、朝もできること増やしつつ、変わっていく関係性。辛い時にくれた、LINEの、最近どう?に込められた気持ちを読み解くシーンが

印象に。/私はいつも不機嫌だしあなたを愛せるかどうかわからないけど、私はあなたを決して踏みにじらない/アサガオの観察日記なんて大人になってからの方が楽しいに決まってんじゃん。/好きなセリフ二つ。
仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
春名 幹男 / 文藝春秋 (2015-11-20)
読了日:2017年11月19日
ガッキィ・ファイターおすすめ。公開された外交文書からたどる、確かに、いざとなったら米国が守ってくれるだなんて、幻想というのがよくわかる一冊。ただ、フェアであるべき米国の外交が、…というのは甘いと言われかねないのでは。食うか食われるかの世界なのでは。それはそれとして、外交政策はもっと練られるべきなのだろうと考えさせられた一冊/日本語のガイドラインを読んだだけでは日本が攻撃された時主体的に防衛するのは自衛隊で、米軍はサブ。/そもそも世界の外交舞台で自国が負う義務を軽いと公言する外交官などいない。/在日米軍は日本本土を防衛するために駐留しているのではなく、韓国台湾東南アジアの戦略的防衛のために駐留、という機密文書/在日米軍には守るための装備がなく、攻撃用の装備しかないという証言/日本を敵視するニクソンの本音、「初歩的な」同盟国として日本を対等ではない同盟国とみなす考え方。/沖縄返還後に、繊維分野で約束が果たされなかったと憤慨したニクソンがぶつけてきた、ドル・ショック、ニクソン訪中宣言に比して語られることの少なかった対敵通商法。
ふしぎの国のバード 4巻 (ハルタコミックス)
佐々 大河 / KADOKAWA (2017-11-15)
読了日:2017年11月18日
開港地新潟から、開港地ではないのに文明開化した山形を通り、秋田へと、蝦夷ヶ島への道のりをゆくバードと伊藤。チャールズ・マリーズが以前の契約を盾に手紙で帰還をせまり、バードの持病には不安の兆しが。悩む伊藤の次の一手は?そして、文明開化していない面を手付かずの日本文化として興味を向けがちなバードさんに、文明開化している側面を見せたがる伊藤の葛藤。歩荷の女性の、真摯な文字への興味と向学心や優しさに触れたり、車夫の心意気、巡査の横柄などに触れつつ、旅路は進む。
早乙女選手、ひたかくす 4 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2017-11-10)
読了日:2017年11月18日
ひさびさのサトルの試合。惜しいところまでは行ったが…。そして、早乙女選手の寄り添い方が、そばにいるのではなく、サトルのせいで弱くなったと言われたくないように練習したくなった!というもので、本当サトルでなくても最高、と。早乙女選手の試合は、本人とセコンドのサトルの分析で、結果を出すことができ。大きな目標を果たしたからか、早乙女選手がデレモードになったところで幕を。サトルが負けた後に、早乙女選手だと思って、胸の内の苦い思いを吐き出したと思ったら、早乙女弟だったシーンが印象に。
雪花の虎 5 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2017-11-10)
読了日:2017年11月18日
海に目を向ける景虎。財政難を民の活力を活かし、商業を盛んにすることで乗り越えようと努め。一族の長尾政景の反乱をおさめ、新たに宇佐美定満を臣下に迎えた景虎。今のままでは武田に勝てぬと諫言され、宇佐美が調べた武田の情報を学び、川中島を絶対奪われてはならぬと諭されたところで幕。川中島の戦い、なぜに同じところで何度も?フェス的な?て解説にふきだす。そして、歴史好きの友達に、川中島のこと教えてと頼んだら、わざわざジオラマまで作って乗り込んでくる熱の入れように恐れ入る。が、わかる、その気持ち。
未承認国家に行ってきた
嵐 よういち / 彩図社 (2017-03-28)
読了日:2017年11月18日
アブハジア、沿ドニエストル、(ロシア侵攻後の)クリミア共和国、チェルノブイリ、北キプロス、コソボ。本当に、そこに行った人の旅行記なんて珍しくて手にってしまう。筆致は淡々とした印象。出発が迫ってるのに、宿の人が出てこず、鍵も開けてくれないので、2回の窓から飛び降りたとかワイルドだったけど。アブハジアとジョージア、沿ドニエストルとモルドバ、クリミアとロシア、ウクライナ、北キプロスとトルコ・ギリシア、コソボとセルビアなど、住民に、どう思うか聞いてみても反応は様々。語りたくない、という反応も多く。治安も様々。差別なんかないと言いつつ、空港でウクライナ人であるがゆえに嫌がらせされるのを目の当たりにした、ウクライナ人運転手のシーン。アブハジアでの、ジョージアはこわいし語りたくない、ロシアはもっと語りたくない。コソボでの、紛争にひどく傷ついている人がいるから軽々しく聞かない方がいいという忠告など、一筋縄ではいかない側面も。
舟を編む 下巻 (KCx)
雲田 はるこ / 講談社 (2017-11-07)
読了日:2017年11月17日
せっかくやる気になったのに、一目置くまじめにも認められたのに、辞書編纂から外された西岡の悔しさとそのあと陰ながら支えてくれた漢らしさ。あとがきに書いてくれてありがとな、てとこでうるっと来る。13年の月日が流れ、新たなメンバーも加わり。言葉なんか知らないけど、新鮮な風を巻き起こしてくれる。一コマかぐやさんの、みみみみっちゃん、この二人絶対付き合いますのキュートさがツボ。最後に原作者のしをんさんが触れていたけど、マンガでしか表現できない、舟を編む、存分に味わえました。個人的には最後の一コマ。乾杯のグラスに立つ波に浮かぶ舟が強く印象に。
のみじょし 1 (バンブーコミックス)
迂闊 / 竹書房 (2015-07-04)
読了日:2017年11月17日
お酒大好きOL、旦那大好き主婦、ジム通いで鍛える書店員の三人が繰り広げるコメディ。いい味出してるなあ、突進、ふんわり受け止め、クールにツッコミ、と。
雪女
小泉 八雲 /
読了日:2017年11月16日
相澤亮「雪ノ女」の原作と聞き。マンガとの違いを味わいつつ。ただ、どうして、誰にも行ってはいけないなんて呪いをかけてしまったのだろう、と自分でも後悔したのではないだろうか、あるいは当の本人だったんだから別に罰しなくも良かったのではないだろうか、と詮無い思いがめぐる。
このマンガがすごい! comics 雪ノ女 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)
相澤 亮 / 宝島社 (2015-12-10)
読了日:2017年11月16日
雪のなかで出会った、確かめたら壊れる、けど、確かめたくなってしまった。雪女の話をモチーフに、描かれるストーリー。主人公の職業が別のものであれば、それほど強く過去にこだわることもなかったのでは、と詮無きことを思う。それぞれの子供たちがであい、同じ思い出を持っていることで心が通じるシーンが印象的。
島旅ひとりっぷ
松鳥 むう / 小学館 (2013-03-01)
読了日:2017年11月16日
離島キッチンで食事がてら手に取り、欲しくなり購入。鳩間島。一度訪れただけなのに個人的に思い入れがあり、追体験できてうれしい。干潮時の潮干狩り見たいのができるとは知らなかった。口永良部島ののんびりした空気感が印象に、今は大変なんだろうなと思いつつ。福江島ものんびり。南大東島の隔絶された感も。インガンダルマ、強烈だなあ。あと、個人的にはミーティング強制参加のユースは肌が合わなそうだなあ、と。著者の姿勢が柔軟で無理ない感じで読んでてほっこりした。
たそがれの市 あの世お伽話
近藤 ようこ / KADOKAWA (2017-10-28)
読了日:2017年11月15日
死んだ者がたどり着く市場をめぐる話。迎えが来る者、思い出と交換に助かる者、先に行った妻にやり直してくれと頼むも今の夫と暮らす家で下働きになる者、子供時代に仲の良かった友人がだんだん成長していく様を眺める者と、さまざま。
キングダム 48 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2017-10-19)
読了日:2017年11月15日
鄴への包囲も完了し、舞台は、朱海平原の決戦へ。蒙恬と王賁の戦術眼が光る中、状況は刻々と変化。馬何慈が王賁と相見えたところでこの巻は終了
とんかつDJアゲ太郎 11 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2017-11-02)
読了日:2017年11月12日
いよいよの完結巻。地元のとんかつ屋として何かやれること、多くの人に認められてきたDJとしてのプレイをミックスさせた一大イベントの開始。アゲ太郎のやりたいことが認められ、大きなうねりとなり、これからも何かを起こしてくれそうなワクワク感を残したままのフィナーレ。読んでてワクワクした。
シュークリーム・パニック (講談社文庫)
倉知 淳 / 講談社 (2017-09-13)
読了日:2017年11月12日
限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件のみ読了。メタボ解消セミナーで山奥に連れてこられた4人のメタボ中年男性とテンション高くてちょっと胡散臭いインストラクター。インストラクターのシュークリームがなくなったことで一騒ぎ起きて、「メタボ界のシャーロックホームズ」たる主人公が推理に乗り出すが…。いや、もう、絶食させられてる人の食べたいもの談義とか美味しそうすぎて目の毒でしかない!そして大真面目な推理繰り広げて最後それかよ!と。まあ…人は合理的に行動するとは限らない、むしろその逆のことが多いというのも宜なるかなですが。サクサク読めて抱腹絶倒。
パン屋再襲撃 (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES)
村上 春樹 , Jc ドゥヴニ / スイッチパブリッシング (2017-06-20)
読了日:2017年11月12日
なかなかに原作忠実な漫画化。けど、個人的にはあまり絵が好きになれず…
いつかティファニーで朝食を 12 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2017-11-09)
読了日:2017年11月12日
前の巻のながれからして、この巻でどどどっと急展開するかと思いきや、さちさんの話が二話あったりで。けど、麻里子さん、のりちゃんの周りは入籍や妊娠、そして同僚の退職とあわただしく。麻里子さんも退職を決め、どうなる朝ごはんライフ?と思いきやの気になるお誘い。ニューヨークの朝ごはんはさすがに手が出ないけど、静岡途中下車のおでん屋さんは心惹かれる。取材、離島キッチンとあったけど、どの話に活かされていたのだろう。
大家さんと僕
矢部 太郎 / 新潮社 (2017-10-31)
読了日:2017年11月12日
WEBでも読めたけど、書き下ろしも多数ときき紙版も購入。一軒家の一階と二階でだけど、大家さんと暮らす矢部さんと大家さん(88才)のおはなし。ごきげんように一緒に出演して、さてわたる大家さんのトーク力、のシーンとか好きです。あと、要支援1から要介護1にあがっちゃった、とぼやく大家さんに、ドラクエのレベルアップのテーマ、大家さんはレベルが上がった、こしが2まがつた、て後輩ののちゃーんが返すシーンも。大家さんはこの作品読んだのだろうか、と思ったら最後のページに描かれてて、その注文もじんわりと。終、とあるから、続編はないのかな、もっと読みたいと思った。
グッド・コマーシャル (幻冬舎よしもと文庫)
西野 亮廣 / 幻冬舎 (2013-05-24)
読了日:2017年11月11日
シーンは一つ。確かに、最初は舞台のために書いたとあって。綿密なようでいて、穴だらけで勢いだけの立てこもり犯。予想外な展開に、慌てすぎての支離滅裂な言動、目的の喪失に、まさかのつながりなどなど、最後にはきれいに伏線を回収していく手際が鮮やか。そうきたか、そうきたか、と。それでいて、誰も彼もみな死ぬ、今ではなくても、いつか死ぬ、余分な人間など一人もいない、というメッセージがさらりと込められていて。最後のシーンも、最初にそれぞれが望んだものが、どうなったか、知ることができて良いなあ、と。「嘘に理由が必要か?」も効いている。
私たちの星で
梨木 香歩 , 師岡カリーマ・エルサムニー / 岩波書店 (2017-09-08)
読了日:2017年11月11日
公正と寛容がテーマ。個の確立についても。往復書簡で様々に語られるエピソード。敬意を表しつつ、思索を深め、距離が縮まっていく様が読んでいて快い。以下備忘録的に。目にとまったところを。/ムハンマド・ムフスィンの「ネドイルコ」、聞いてみたい。/松尾芭蕉「舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす」/シリアのタヒーナから導かれる軽やかな妥協/「文化それ自体が融合した異文化の結晶であり、個人はその多彩さを映す鏡であると同時に、それぞれ尖ったり曲がったり濁ったりして、どこかに新しい色をもたらす要素となればいい。たとえはみ出しても、地球からも人類からも零れ落ちることはできないのだから」(pp.43-44)/アラブ人とユダヤ人が出会った時、お互いすぐさまそのことを名乗り合うということ/「今まで読んだ者をすべてふるい落としたら、私には何が残るだろう」/たとえ今いる場所から動くことができなくても、答えは必ずどこかで待っている。私たちの星のどこかで。それを見つけるために私たちの星のどこかで。それを見つけるために私たちは本を読み、ファンタジーを愛し、旅をする。(p.167)
チャンネルはフテネコのままで
芦沢 ムネト / KADOKAWA (2017-11-02)
読了日:2017年11月5日
シュールな展開、フテネコとテレビ。一番おかしかったのは、2020年、東京オリンピック、新競技、テレビ投げ。20m投げた後に、ぱちっとスイッチ入れて、テレビ…つきました!優勝です!って。
銃座のウルナ 4 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA (2017-10-12)
読了日:2017年11月5日
戦地の英雄として故郷に戻り、穏やかな生活を始めたウルナ。旧友の出征、不穏な事件がひたひたと。そして、あたらしくできた最愛の人が、過去の戦線で因縁のあった満足の生き残りなのでは、というところまで。家族をすべて失ったというが、それはもしかして…。自分の前に現れたのは、遠大な復讐なのかそれとも別の何かの…。ということまで語り得る最後のコマ。
氷菓 (10) (カドカワコミックス・エース)
タスクオーナ / KADOKAWA/角川書店 (2016-07-22)
読了日:2017年11月5日
クドリャフカ編完結。奉太郎のあざやかな手さばきで解き明かされる謎、苦い後味を残しながらで。もう二編は、中学時代の教師がヘリ好きだという記憶から導かれた推論、もう一幕は、奉太郎とえるの対話だけで進む、職員室へ呼ばれた生徒への推論。やってるうちに当初の目的を忘れちゃうのはご愛嬌。
羊の木(2) (イブニングKC)
いがらし みきお / 講談社 (2012-06-22)
読了日:2017年11月4日
波乱の起きる、のろろ祭り。新住民の絡んだ、家宅侵入、傷害事件に誘拐事件。娘がさらわれたのに警察に通報しない父に不信を抱く娘。そして、既婚の男をめぐる二人の女の対立が波乱を呼びそうな最後に。いずれにせよ新住民をめぐる波紋が少しずつ少しずつ広がっていきそうな展開に。
革命のファンファーレ 現代のお金と広告 (幻冬舎単行本)
西野 亮廣 / 幻冬舎 (2017-10-04)
読了日:2017年11月4日
刺激的な言葉が並ぶ、背中を押してくれるような。まず自分の売り物作んなきゃなあ、と。/「しるし書店」の試みは心底面白い!と思った。読書が得意な人には何もなかった、読書家という職業ができれば、と。おとぎ出版、という仕組みも。本を出したい人がクラウドファンディングで買い手を事前に募り100人買い手が見つかった時点で出版が決定、と。君に決定権はあるか、覚悟はあるか、とも。youtubeの独演会も見なければ。/以下備忘録的に。/踏み出せないのは勇気がないからじゃない、情報がないからだ、行動できていない理由は、情報収集をサボっているせいだ。この変化の激しい、職業に寿命がある時代に、肩書きを決め打ちすることのリスク。やりたいことをかけ持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術。入り口でお金をとるな、マネタイズのタイミングを後ろにズラして、可能性を増やせ。人は「確認作業」でしか動かない。
ミュージアムの女
宇佐江 みつこ / KADOKAWA (2017-09-27)
読了日:2017年11月2日
美術館に行った時に、会場の隅に座っている係員の人、その人たちから眺めた世界。お客が作品を触ってしまうと、事故報告書を書かなければいけないとは。できるだけ作品をありのまま楽しんでほしい、と、作品を保護しなければいけないというジレンマ。職員しか入れない自分のロッカーでミニ展覧会を開く職員と、それを楽しみにしている職員などなどのエピソードにほっこり。なんだか岐阜県立美術館に行ってみたくなる。


chokusuna0210 at 20:00|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年11月06日

2017年10月に読んだ本

期間 : 2017年10月
読了数 : 55 冊
1万円起業 文庫版
クリス・ギレボー / 飛鳥新社 (2015-04-25)
読了日:2017年10月31日
ヒントはたっぷり。あとは自分に置き換えてできるかどうか。「あなたが大好きなこと、得意なことが何でも人の興味を引くわけではないし、ビジネスにつながるわけでもないのだ」「買いたいものは自分でつくろう」。増やしたいもの減らしたいもののリスト作り。お金にならないプロジェクトや作業でいっぱいになってしまうと言う間違い。価格帯を高くつける、あるいは値上げの有効性。などなど。
ちひろさん 7 (A.L.C.DX)
安田弘之 / 秋田書店 (2017-10-16)
読了日:2017年10月29日
いい人顔ばかりじゃ疲れっちゃう、たまには毒も吐くよ、優しくなんかしてヤンないよ、けどいいっぱなしじゃ終わらない、ちゃんと仲良くなって、な、ちひろさん。バジ姉の憧れの人に、お父さんになって、と言って一悶着あったけれど、そんなつもりじゃなくてというのは伝わるのだろうか。
氷菓 (11) (角川コミックス・エース)
タスクオーナ / KADOKAWA (2017-10-26)
読了日:2017年10月29日
クリスマスにお正月にバレンタインと、イベントにまつわる話も多多ある短編連作。納屋に閉じ込められ助けを求めるヒントに、信長の朝倉攻めとお市の方のエピソードが出てきたのが個人的にはなんだかうれしく。
現代中国経営者列伝 (星海社新書)
高口 康太 / 講談社 (2017-04-26)
読了日:2017年10月29日
レノボ、ハイアール、シャオミ、ファーウェイ。波乱万丈の生涯を乗り越えてきた経営者たちが築いた帝国。しかし、今は右肩下がりになってしまっている現状と、どうにか這い上がってくるのではないか、という期待も込められている。とにかくやろう、やりながら修正していこうと云うスピード感は日本にはないもの。国の政策もガラッと変わり、改革派と守旧派がせめぎ合う。終章のこれからの経営者たちの紹介が興味深かった。
町田くんの世界 6 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2017-10-25)
読了日:2017年10月28日
この巻も町田くんワールドが、音楽の教育実習生、育児に疲れきってしまったママさん、ミュージシャンの夢を追いながらたこ焼き屋をする男を、オトしてしまう。茶化さず率直に素直な町田くんと話してるときっとくつろぐのだろう…恋心を抱いてもこたえてはくれないけど。ただ最後の一コマは始まりの合図なのか。
蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
芥川 龍之介 / 新潮社 (1968-11-19)
読了日:2017年10月28日
すごい古書店 変な図書館 (祥伝社新書)で、ある古書店主が、大人になってから読み返すとまた違った味わいがありますよと語っていたのに惹かれ。確かに。自分の中では、カンダタが自分で糸を切ったように記憶していた。では、カンダタはどうするべきだったのだろうか。自分より下の糸を黙って切ればよかったのだろうか。糸が切れないと信じて上り続ければ良かったのだろうか。お釈迦さまはどうして欲しかったのだろうか。虫を殺すのをためらうぐらいの善行をしたものなら地獄にもうなるほどいただろうになぜカンダタだったのか。天国は変わらぬ午後を迎えています、という最後に感じる無常観。確かに今からすると、さまざまな思惑を投げかけてくれる。
あたりのキッチン!(2) (アフタヌーンKC)
白乃 雪 / 講談社 (2017-10-23)
読了日:2017年10月28日
花火のお弁当、思い出のチキンライス、大事な試合前の水餃子とカツおにぎり、アジフライのコツ、すずしろさんの夏バテと親御さん対策大作戦、と、この巻も清美さんと、阿吽のマスターの、食べる人ひとりひとりに思いを馳せたこだわりのメニューが語られる。ナポリタン、特に美味しそうでした。
羊の木(1) (イブニングKC)
いがらし みきお / 講談社 (2011-11-22)
読了日:2017年10月28日
ある地方都市で、元受刑者11人を受け入れるプログラムを行い…という設定。周囲の市民にははからず、なにかあったとしても普通の事件と同様に処理する、という腹で、市長と友人の三人しか知らずにはじめられたが…と。定期的な様子見など実務を担う友人は、意識するなと言われても、起こしてきた事件をどうしても思い出し平静でいられないシーンもあるけど、それでも…と。もちろんみな情にふれ更生して…なんて一直線ないい話に進むわけもなく、千差万別、打ち解けようとするもの、頑ななもの、刑務所出を吹聴して脅そうとするもの、さまざまで。ホリエモンメルマガ20171023つながりで。
外面が良いにも程がある。 (フラワーコミックスアルファ)
尾崎 衣良 / 小学館 (2014-12-10)
読了日:2017年10月28日
ネットで途中まで無理立ち読みしてたので、続きが気になり。地味だったりおとなしく見えた人が実はできる人で毒吐き、というパターンが二つ、あんな奴やめて俺にしとけよパターン二つといった短編集。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
フィリップ・K・ディック / 早川書房 (1977-03-01)
読了日:2017年10月28日
DVDで「ブレードランナー ファイナルカット」を観て気になり、原作を手に取る。動物を持つことがステイタスであること。他のバウンティ・ハンターの存在、警察官や警察署長になりすまして偽の警察施設まで持っているアンドロイドたち。感情を制御するボックスの存在。主人公の大きな支えになっているデッカードの妻。マーサー教の浸透と欺瞞、…などなど、映画との違いを楽しみながら読む。というか、ここまで違えば、原作というよりは、原案かなあ、と。エッセンスが残っているのは感じたけど。わしは自分さえも裁かぬのだというマーサーの姿勢がいいなあ、と。あと、人間とアンドロイドの違いは、感情移入、というのが底に流れるものか。近未来を描いたSFだけど、映話はもう実現しているよね、テレビ電話やSkypeで。ホバーカーまではなかなかだけど。
アフタヌーン 2017年 12 月号 [雑誌]
講談社 (2017-10-25)
読了日:2017年10月27日
波よ聞いてくれ、は、怪談収集からのまさかの展開、どうなるのこれ、と。金のひつじ、は、だんだん読むのが息苦しくなってきた。大上さん、だだ漏れです、の大上さんのストレートさがいつも眩しい。宝石の国、は、いよいよ月へ再び、と、序盤の一方的な悪と描かれた月の勢力が、だんだんと姿を変えていく。フラジャイルは、間瀬さん編完了、もっともっと間瀬さん読みたい!と思う怜悧で酷薄に見えながら業界への愛を感じさせるエンド。恋の罪、は出だしから波乱の予感、原作にもあたってみたい。イサック、の、義侠心あふれる傭兵隊長の、契約を盾にこの城に戻ってきた、に、隊員が戻りたくてしょうがないって言ってましたてシーンがクスリ、と。ダレカノセカイ、穏やかに生きていたかったのに、本人も知らずに世界を救う能力を秘めていたことを世界中に知られる、というスタート地点。Black-Boxはライバルにも訪れた破滅の予兆。四季賞秋大賞「二人で破戒れば怖くない」は、みんなの中にいてもお互いに孤独を感じていた二人が惹かれあい、どこか遠くへと願うが...と。また違う作品も読んで見たくなる作家。四季賞夏特別賞「○の記憶」は、そんな性癖が!と言うアイデア一発モノに思えてなかなか読ませてくれた。ライフ2、の、初恋ラヴァーズパーク、札幌の白い恋人パークがモデルなんだろうけど、なんだか言ってみたくなった。大好きな「あたりのキッチン」「ミコさんは腑に落ちない」は二度ずつ読んだ。
痴人の愛
谷崎潤一郎 /
読了日:2017年10月23日
麻生みこと「小路花唄」2巻に触発されて。思い通りに淑女に育てようとしたつもりが、奔放に我がままに育ってしまい、一度は追い出したものの、すぐに後悔する始末、結局は手玉に取られ、屈服し、それをわかりつつも、他の方には何かと言われるだろうが、最後はこれが私たちの形、と開き直った感のある話。バカだなあ、というのは簡単だけれど、それだけでは済まないものを投げかけられているような。「小路花唄」の、せやかてナオミだってワンチャンあったやん、は、今読み返してみるとかなりマイルドというか毒気が抑えられていたんだなあ、と思った。以下備忘録。/ナオミを「偉くすること」と、「人形のように珍重すること」と、この二つが果たして両立するものかどうか?/「あたし、昔のような幸福が欲しいの。でなけりゃなんにも欲しくはないの。あたしそう云う約束であなたの所へ来たんだから」/「いやならあたし、誘惑するわよ。譲治さんの決心を踏みにじって、滅茶苦茶にしてやるわよ」/彼女の浮気と我が儘とは昔から分かっていたことで、その欠点を取ってしまえば彼女の値打ちもなくなってしまう/
読了日:2017年10月23日
酒場でとなりにすわった気のいいおじさんの、昔はこうだった、すごかったんだ、あんな人がいた、こんな面白い話が、というのを聞いているような感覚。浮気がバレて奥さんに百万円払って、次バレたら150万円と念書書いたのに懲りずに浮気した男の人の顛末。玉ころがしと言ってスカウトして別の店に紹介する手数料で食ってる男。千人斬りを豪語する人。昔のクラブやスナックのホステスとの交流、などなど。
早川書房のコミック 31点体験版
早川書房編集部 / 早川書房 (2017-05-31)
読了日:2017年10月22日
高橋葉介、coco、清原なつの、坂田靖子、横山えいじ、とり・みき、ふくやまけいこ、西島大介などなどの31冊が試し読みできる。高橋葉介「夢幻紳士シリーズ」、ちょっと続きを見てみたい。西島大介「凹村戦争」も続きを読みたく思った。清原なつの作品は大半読んでいたので、ちょっとずつ再読する懐かしさ。とり・みき「キネコミカ」はひねりが効いていたなあ。
マンスール―イスラーム帝国の創建者 (世界史リブレット人)
高野 太輔 / 山川出版社 (2014-10-01)
読了日:2017年10月22日
前嶋信次「イスラム世界ー河出書房新社を読み、再読したくなり手に取る。ササン朝アッバース朝でこそ、ネストリウス派は隆盛を極めた、という点、隠れマニ教徒として処刑されたものがいた、というエピソードに、陳舜臣「桃源郷」はこの辺りに着想を得たのかな、と。簡潔に、マンスールの人柄、政策、その時代を彩った人材についてまとめられていることを再確認。
おれは一万石 (双葉文庫)
千野 隆司 / 双葉社 (2017-09-13)
読了日:2017年10月22日
一万石の大名に養子で入ることになった主人公。剣術には自信があったが御前試合であと一歩及ばなかったことをバネに、養子が決まる前から、ある農民との出会いをきっかけに、養子先の内政に関わることに。若さと勢いで、突っ込んでいって、真摯に国を良くしようと志し、手を差し伸べる者も、快く思わない者もいて、最後は…と。スカッと爽快な読後感。そして人気が出たのか、第二弾が一月後に出たとか、どこまでシリーズが続くのか。
AV男優しみけん 〜光り輝くクズでありたい
しみけん / 扶桑社 (2015-05-31)
読了日:2017年10月22日
男優一本で食っていくのは希少種。男優あるあるは、たいへんだなあ、という思いを。県民性にみるエロはちょっと強引かとクスリとしつつ、経験上そうだといわれればなるほどと。男優になろうと思ってまずゲイ雑誌に飛び込むというあさっての方向がまたすごく、そこで出会ったマツコ・デラックスに背中を押されるというのも縁だなあ、と。傍目にはつらいと言われそうなことも、ポジティブシンキングで転換していくのはすごいなあと。印象に残ったエピソード/腋の下が好きすぎる彼氏を更生させてください、というテーマでテレビ出演したエピソード/高級マンションに引っ越したら男優の先輩がパーティ用のバズーカ持ってきてスプリンクラー作動させようとしたり、拡声器で窓からAV男優が住んでまーすと叫ばれたり、納車直後のベンツのバック時にオーライオーライと言ってもらってったらがっつりぶつけたりとかのエピソード/「普通の人生を選んだ人なら、そういう泣き言を言う資格があるけれど、普通じゃない人生を選んだ人は、普通じゃない人生を生きる覚悟を白!お前にはそういう覚悟と自覚が足りなすぎる」というマツコ・デラックスの叱咤。
真昼のポルボロン(2) (BE LOVE KC)
糸井 のぞ / 講談社 (2017-10-13)
読了日:2017年10月21日
祖母の来訪、るつぼとの真摯な対話、夏休みが終われば自分の行きたいところは自分で決めなさい、と。夏之助が連れ出してくれて、帰り道で、縞が持っていてほしい記憶を持ってくれていたことで、少しずつ話すようになり。そしてショージの母親の来訪。拗ねるショージに毒舌のるつぼが力強く、最後はひとつ提案をして物語は締めくくられ、次巻へ。
世界の歴史〈8〉イスラム世界 (河出文庫)
前嶋 信次 / 河出書房新社 (1989-10-01)
読了日:2017年10月21日
20年ぶりぐらいに再読。読めば読むほど、興味深いトピックが次々と。イスラム世界を語るのに、前段のササン朝ペルシアから語るの、今となっては斬新。ムハンマド、正統カリフ時代、ウマイヤ朝、アッバース朝、後ウマイヤ朝とアンダルスの輝き、ファーティマ朝、ブワイフ朝、セルジューク朝などの諸王朝が編年で、エピソードを交えて語られ、最後はコンスタンティノープルの陥落、エピローグは、グラナダ陥落が語られる。気になったトピックは、ササン朝ペルシアの風雲児バハラーム・チュービーナ、正統カリフ時代の堯将イブヌル・ワリード、カアバに数十の神像があったがアッラーはその中の一つだった、ムハンマドがアッラーの教えに帰依したために迫害を受けたものを一時アビシニアに避難させていた、オスマーンの功績は聖典の統一、ウマイヤ朝のワリード一世時がカリフ帝国の最大版図、アラブの部族に先進文化諸民族を対比させ優位に位置付けるシュウビーヤ思想、アッバース朝の功臣アブー・ムスリム、マンスールを兇漢から救ったマアン・ブヌ・ザーイダ、マンスールは扇風機の発明者、ウマイヤ朝を立て直したアブドル・マリク、アッバース朝のマンスールが、イスラーム史上二大吝嗇漢、名君とされるアッバース朝のラシードは23年間の治世中17年間母とバルマク家に実権を握られていた、アッバース朝のアル・ハッジャージは東方の総督として厳しいながらも治績、ウマイヤ朝のムーサー・ブヌ・ヌサイル、配下のターリク・ブン・ジヤードがアンダルスを攻略、後ウマイヤ朝の創建者にて英主のアブドル・ラフマーン、コルドバはジルヤーブの頃から風俗がガラッとあらたまる、コルドバのカリフの謁見の間の豪奢さ、ファーティマ朝の奇人カリフたるアル・ハーキムの原理主義的すぎる矢継ぎ早の諸政策は治下の人々は大いに困惑したと想像、インドの奴隷王朝第5代ラディーヤ(在位1236−40)がシャジャル・アッドゥルと並んでイスラム世界の女王。多岐にわたりそれぞれ調べてみたいトピックス。特にラシード、後ウマイヤ朝を調べたい。
信長嫌い
天野 純希 / 新潮社 (2017-05-22)
読了日:2017年10月21日
織田信長のことは徳川家康に聞いて理解していたはずが、その足元を掘り返されたことに死の間際に気づく今川義元、一度も戦で手柄をあげてない真柄直隆が、家中では主戦派として疎まれ、息子には投げ飛ばされた末、姉川の戦いで見せた奮闘。名家というプライドだけを胸に、突っ込んでいくが、その度に負け、逃げる逃げる逃げる六角承禎。流されるままに生きたことで、将軍弑虐、大仏炎上、三好家を崩壊させた暗愚の君主の汚名を着ることになった三好義継。戦場に立つとお腹が痛くなり、茶の湯に初めて没頭できる道を見つけたが父の追放に連座し、どこかほっとする佐久間信栄、百地丹波。最後は、織田秀信。己自身が何者かはともかく、己の体内を流れる血と風貌には天下人をもひれ伏させる力があることに、秀信は、自分の中に流れる信長の血を厭いつつも、最後は膝を屈して生きながらえるよりも誇り高く生きようと思い極める、結局はそれすら果たされず、高野山に流されるが、最後の三十数名まで戦ったことは胸に抱えつつ。
本を読む人のための書体入門 (星海社新書)
正木 香子 / 講談社 (2013-12-26)
読了日:2017年10月19日
マンガ「重版出来!」で書体デザイナーがとりあげられていたのに触発されて再読。淡古印、大髭書体、ゆうつきごごうかな、と、書体の背景にある物語まで読ませてくれる手腕に敬服。筆跡鑑定に科学的根拠がない、というのは寡聞にして知らなかった。/文字に味を感じる三要素、ふさわしい場所で使われている、美しい(読みやすさ)、時間。/「書体を見分けるとは、文字の中に記憶を見出すことである。」/活版印刷の職人がなくそうと努めた文字の凹凸が、若い世代に味として逆に好まれるという皮肉
おもたせしました。 2 ((BUNCH COMICS))
うめ / 新潮社 (2017-10-07)
読了日:2017年10月17日
いつもながらの、叔母のお使いで、ちょっと気のきいた手土産を持参し、例のごとくお腹がなってしまい、ご相伴にあずかるストーリー。食べつつ、近代文学の文豪たちの一節がさらりと語られるところがまた味。いちじくのあしらわれた羊羹、たべてみたい!
ボンクラボンボンハウス 1 (Feelコミックス)
ねむようこ / 祥伝社 (2017-10-07)
読了日:2017年10月15日
何にもなりたくないからと大学中退してぶらぶらする主人公が、亡き祖母の家をもらい受け、親から200万もらい、自活に乗り出すドタバタ。友人、兄や兄が連れてきてくれた店子、その友人と、支えてくれる人に恵まれなんとか漕ぎ出せそうだけれど、と。確かに甘いといえば甘い、日がな漫画読んでアイス食べてだらだらしたいというのは、傍目には腹立たしいが、じゃあ、腹立たしく思う方が、ありもしない普通に流されて、思考停止して、やりたくもないことやっていやしないか、という問いかけも含んでいるんだろうなあ、と。
鶯谷ワールドエンド 1 (BUNCH COMICS)
篠丸 のどか / 新潮社 (2016-10-08)
読了日:2017年10月15日
社内で後輩と二股をかけていた彼氏に裏切られ、仕事も住む場所も変えてやってきた鶯谷。花屋で働きつつ、イケメンな獣医にどんどん惹かれていき。大きな亀のいるラブホを軸に、ストレートに気持ちを伝えたことで関係は深まると思いきやな、最後の一コマが衝撃的で、次巻でどう消化するのか。
美術手帖 2017年9月号
美術手帖編集部 / 美術出版社 (2017-08-17)
読了日:2017年10月15日
hatocoffeeで手に取り。川島小鳥特集といえば手に取らないわけがない。じゅんじゅんちゃんとの撮影が、写真至上主義な二人による意識的な撮影だったと語られていたところが印象に。対談していた石川竜一さんの写真集もチェックしたい。小冊子でカップルのような男女二人の眩しい写真集がついていて、買って、手元にも置いておきたいと思った。
山田航(編集) / 一般社団法人かもテラ (2017-08-23)
読了日:2017年10月15日
すすきのの遊郭の歴史は興味深かったが、他にも道内に様々に遊郭があったというのは寡聞にして知らなかった。それにしても、人を止めるために、官営で遊郭作ってしまうって大胆な政策だなあ。あと、アイヌ料理の紹介ページが個人的には興味深く。画家本間紹夫の孫が語る、ライフヒストリーと札幌の明治時代も興味深く。
肉小説集 (角川文庫)
坂木 司 / KADOKAWA (2017-09-23)
読了日:2017年10月15日
豚足に絡めた武闘派になりたくてなれなかったヤクザ崩れのお話。古都金沢で上品と薄味を心がけて生きてきた主人公が、下品で濃い味と感じられる婚約者の父と、最初はおっかなびっくり、サシでとんかつやに連れて行かれ、結婚取り止めたいと思うカルチャーショックを受けるも、最後は打ちとけ合い…義父(予定)、義父(未定)、義父(お、お父さん!)、義父(大丈夫ですか?)とか、いちいちジェットコースターのような心の揺れ動きに合わせて呼び方が変わるのが楽しく。まずい実家のバラ肉料理と、行きつけの床屋での角煮の対比。嘘がつけなくて真っ正直で部下がついてこないと思っていた上司が、実は部下たちや家族にもそこが愛されていたと気づかせてくれる肩肉料理。憧れていた先輩の家へ流れで転がり込んでしまい、面白い話をしてとハードルをあげ、押したり引いたり、単刀直入にいったり、笑わせたりで、千夜一夜が始まる話。ハムサンド好きな男の子と生ハムサンド好きな女の子が塾で一緒になり、ある事件をきっかけに親しくなり、二人にしかわからない秘密を共有するかのような関係に、と。豚の肉の部位が章扉にあり、それにまつわる連作短編集。読んで美味しく、豚肉食べたい気持ちそそられる。
流 (講談社文庫)
東山 彰良 / 講談社 (2017-07-14)
読了日:2017年10月15日
1940年代の台湾、中国と、1970、80年代の台湾、日本、中国を舞台に語られるストーリー。祖父殺しの犯人探しを軸に、台湾での少年期、青年期、徴兵から帰還後の身を切るような別れ。大人になってからの、日本の地での出会いと、その先の別れの示唆。個性豊かな祖父、叔父、叔母一族から、友人たちから得た影響を糧に、最後は、どんでん返しの、その人が犯人だったの、という思いと、単純に善悪で割り切れない、憎悪がからみあい、大切な人を守るとしたら、その時自分ならどうしたという問いかけもなされ。/「人というものはおなじものを見て、おなじものを聞いていても、まったく違った理由で笑ったり、泣いたり、怒ったりするものだが」「悲しみだけは霧のなかでチカチカともる灯台の光みたいに、いつもそこにあっておれたちが座礁しないように導いてくれるんだ」(宇文叔父)/「だから、あたしたちはだれかといっしょにいるんだと思う」「ひとりぼっちじゃ耐えられないことがいっぱいあるから」(毛毛)/魚が言いました わたしは水のなかで暮らしているのだから あなたはわたしの涙が見えません/心から願うものが手に入らないとき、わたしたちはそれと似たもので満足するしかない。もしくは、正反対のもので。そしていつまでも、似たものを似たものとしてしか認めない。それを目にするたびに、妥協したという現実を突きつけられる。だけど、ほとんどの人は気づいていない。その似たものでさえ、この手に掴むのは、ほとんど奇跡に近いのだ(p.430)
女くどき飯
峰 なゆか / 扶桑社 (2016-03-06)
読了日:2017年10月14日
一般公募で、作者とご飯食べて口説いてくれる人を募集してその様子を漫画化、と。一番印象に残ったのは、カウンセラーの彼。よく心読まれそうとか言われませんか?に、口には出さないけど、頭の中は、ニコニコ動画の画面で常にコメント流れてます、に、こわい!こわすぎる!と。トップバッターはぶっちゃけすぎ、他人の金で高いご飯食べたかった、会社の近くで一番高そうだからここにした、って。文系大学院生には、なんだかすごく好感。連絡取れなくなった二人はどうしてなんでしょうね。あと、あさりだしの冷麺!包丁で一枚一枚皮から脂を剥いだ鶏皮!食べてみたい。とひとのこと、食べ物のことを連ねつつ、ダメだしポイントが己の来歴に重なってたりすると身悶えするよね。
重版出来! 10 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2017-10-12)
読了日:2017年10月14日
フォントの話、中田のインタビュー、タンポポ鉄道の映像化の三本立て。フォントの話は、具体的な制作過程が描かれ、「もっと湿り気のある、遠くから響いてくる声のようなフォントがいいんだよね。」なんて要求にも応じるプロの仕事っぷりに感嘆。インタビューは、しっかりと写真撮影があるというのを事前に確認できなかったことで、担当する漫画家中田に多大なプレッシャーを与えてしまい、結局編集長と謝罪してなかったことに。今日という日をいつまでも忘れるなよ、という言葉に込められた暖かさ。映像化は、原作者、プロデューサー、脚本家、コーディネーター、広報部門、芸能事務所とお互いがプロとして譲れないところを持ちつつも、どうやって成功に導いていくかが描かれ。「若いヤツは理想を語ればいいんだ、そいつを叶えてやるのが、俺らの仕事だよ」って河原崎さんすごくカッコよかった。
小路花唄(2) (アフタヌーンKC)
麻生 みこと / 講談社 (2017-10-06)
読了日:2017年10月14日
メインの靴職人をめぐる、元彼の娘と靴職人志望の大学生のさや当ても気になるけど、前作から読んでる身としては、ナオミちゃん、井澤さんの登場が印象深く。…そんな波乱万丈があったとは、そして、ナオミかてワンチャンあったやないか、て。痴人の愛、読み直したくなってきた。
プリニウス6 (バンチコミックス45プレミアム)
ヤマザキマリ , とり・みき / 新潮社 (2017-10-07)
読了日:2017年10月14日
アフリカを旅するプリニウス、次期属州総督ヴェスパシアヌスとの再会、砂漠行、アフリカの奥地にいるという奇妙な民族への関心、ローマではネロの側近の暗躍、セネカが一枚噛み、最後はローマ大火で幕を閉じる。ハゲの特効薬の実験、まずヴェスパシアヌスにやらせて、効果があれば自分も試そうとか、プリニウスも一筋縄ではいかず。
Ian M / Ian M (2017-10-01)
読了日:2017年10月11日
#nevermindthebooks で購入。札幌市の教育委員会がやったことを知ってほしいという旨の札がブースに掲げてあったが、全編英語、私の読解力不足か、ある時突然ALTたちの契約を解除して放り出した、ところまでは読み取れたが、それ以上の深いところはつかみきれず。
裕仁皇太子ヨーロッパ外遊記
波多野 勝 / 草思社 (1998-05)
読了日:2017年10月10日
古川隆久「昭和天皇」(中公新書)つながりで。それなりに興味を持って手に取ったつもりが、80p以降は流し読んでしまう。来る機会に再挑戦したい。/1900年代初頭、日本人は低賃金、長時間労働をいとわず勤勉に働いたことから現地労働者の反感を買い.../大正8年(1919)9月、詩人ダヌンツィオが義勇軍を率いてフィウメ占領/英仏以外の訪問先は依然未決定のまま艦隊はジブラルタルにいたった/日英同盟の発展的解消、日米英仏の四カ国の太平洋地域の安全保障条約。/外遊前の冴えない、心もとなく描かれる皇太子像と、外遊中に磨かれ、帰国後に力強く洗練された像との対比。
緋色の玉座II【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)
高橋 祐一 / KADOKAWA / 角川書店 (2017-09-01)
読了日:2017年10月10日
ベリサリウスのペルシア戦線での奮闘、ペルシアの女将軍ペーローズが、行方知れずとなっていたテオドラの妹、シアの姉であったという展開、プロコピウスとの訣別、そして、ペルシアでの勝利から、命令にない、首都への行軍。自らもとって代われる機会に、皇帝に忠義を尽くしたという名声、最後はヴァンダル王国への遠征が示唆されて終わる。血湧き肉躍る冒険譚、戦陣譚。史実とファンタジーとうまく融合させ、ぐいぐいと読ませられた。当時のビザンツ、ササン朝の歴史を調べた区なってきた。/「戦争を理想的な形で終結させて、それによって達成した平和な体制をきちんと整備して、それを長期にわたって維持する。そういう人間をこそ最高の名将と呼ぶべきだ」/「貴様は神などという空虚なものを、愚かしくも信じている。自分には神の加護があると信じて、己の実力ではなく、信仰心によって私に勝とうなどと謝って考えている。私は神など信じない。いや、神などには頼らない。神が私に、一体何をしてくれたというのだ?」/「自分がこんなに愚かな人間であったとは、俺は思いもしなかった。これが、王になるということか。これが権力を握るということか。」/プロックスに参謀と言う地位を与え、歴史を書く目標を与えたのはあなたでしょう/「今は逃げるときではありません」
通りすがりのあなた
はあちゅう / 講談社 (2017-09-27)
読了日:2017年10月10日
#はあちゅう さん、初文芸作品、「群像」掲載の三作品を読んで、心惹かれたので、単行本も手に取る。名づけ得ぬ関係が愛おしく綴られる短編集。付き合ってるわけではないけど、海外勤務中に部屋を借りる。世界一周の途中で会って、追いかけたり、追って欲しかったりの関係。十八歳までイギリス人として成長した同級生の里帰りについて行き、日本にいる時とは関係が逆転したり。ルームシェアしている彼氏のところに転がり込んだときのふとしたルームメイトとの関係。パナマに留学した時の、同時期に行った男の子と、現地でぐいぐいと仲良くなろうとしてくれた子。知り合い、友達、恋人、夫婦、何かにつけはっきりと関係に名前をつけたがる空気に、こういう関係だっていいでしょ、と柔らかく差し出してくれるような。なんとなく、対話もあるんだけど、基本、20代前半女子から耳元でモノローグを聞いている感触。パナマ留学の話の、ちょっと意地悪な視点が印象にのこった。/「俺は、俺の人生を悪いほうに引きずりこむやつを、友達だとは思えない。」/
かしましめし 1 (Feelコミックス)
おかざき真里 / 祥伝社 (2017-09-08)
読了日:2017年10月9日
美大の同級生三人が、同期の葬式で再開し、家飲みを重ねていくうちに打ち解け、ついには…と。職場での裏切り、辛い思い、そして性的マイノリティとしての苦悩、三者三様悩みを抱えつつ、けれども、美味しいものを美味しいと分かち合い、他愛ない話に興じるかけがえのなさ。問題を解決してほしいわけじゃない、解決したからといって、必ずしも救われるわけじゃないのだからと。
カフェでカフィを (集英社クリエイティブコミックス)
ヨコイ エミ / 集英社クリエイティブ (2017-09-25)
読了日:2017年10月9日
カフェにくるっとした眉で来たOLと、妻との思い出を胸にふらっと入ってきた老人と、妻のお使いで入って戸惑っている夫の思いの交錯。自動販売機と、缶コーヒーの対話。自動販売機が目の当たりにした、同僚の二人の恋の始まり。などなど。カフェを舞台にちょっとしたエピソードが語られるのが心地よい。
であいもん (3) (角川コミックス・エース)
浅野りん / KADOKAWA (2017-10-03)
読了日:2017年10月9日
一果の母親の登場と、一果の選択。今の一果なら、約束が果たされなくてもそれを許せるはず、という和の言葉が響く。そして、緑青の職人に憧れて入ってきた、新しい職人。無駄を排し、完璧を志すゆえに、一度は入ったほころび。そこから得るものを得て、前を向く様が印象に。最後は、和をめぐる思いがクリスマスに…と。和菓子体験教室は楽しそうで、ちょっとやってみたい。
さっぽろM'S雑居群街図
MARO企画、亜璃西社 / 亜璃西社 (2017-09-15)
読了日:2017年10月9日
行きたいお店がてんこ盛りに。M'sと名のつく商業施設、当たり前だけど、一応の統一感を持って広げていたのだなあ、と。その歴史もさらりとまとめてあり、元店員やグループの創始者の対談なども読めて楽しい。ポルトガル料理出すお店や、アメリカンな”SUSHI”を出すお店とか、興味をそそられる。また、写真がすごくよくて、なんだかサイバーパンクな香港の下町のような(見たことないけど…)風情を出しているんですよ、これが。
モノクロの君に恋をする (新潮文庫nex)
坂上 秋成 / 新潮社 (2017-06-28)
読了日:2017年10月9日
最初はだるい感じの気弱な大学生の青春ものかなあ…と読み進めるも、お気楽な漫画サークルのはずなのに、入部テストが出てきたあたりから加速し、その出題がディープすぎて、出てきた先輩たちが強烈すぎて。主人公の解答も熱がこもっていて。一緒に入った、天真爛漫な美少女も含めて、皆、漫画に対する火傷しそうな熱い情熱を抱き、それをぶつけ合い。そのいちいちが可笑しくてぶっ飛んでいて楽しい。もちろん、皆、一直線に夢を目指すには紆余曲折を経ているのだけれども、それでも入ってきた新人の背中を後押ししようとしている。眩しい。/「本当に何かが好きな人ってね、どうすればそれがもっと凄いことになるかを考えてる人なんだって、思うんだ」/「そうしてるうちに、自分の身体と紙の上の世界が繋がって、そこに魂が流れていく感覚が湧き起こる瞬間がある」/「だが、彼女を拒むのは、単なる社会だ。普通に生きて普通に振る舞うことをよしとするくだらん仕組みだ。それは決して、世界のすべてではないのだよ。社会がどれだけ狭量だろうと-いつだってどこかに優しい場所はあるんだ」
星川洋子 / 合同会社BBC (2017-10-01)
読了日:2017年10月8日
特集:人生で最高の一杯、公募で集めたのにクオリティ高い!みんな一編の短編のように香り立つ。あと、元店員さんの文に触れられたのも懐かしく嬉しく。ティファニーで朝食をの映画版のラストが思い出せない、のをモチーフにした小説(個人的には小説→映画の順でみたら、ウソでしょ!?と怒髪天を衝きそうに...)。星川さんがドーナツの袋と一緒に捨ててしまったものは…。体阿弥さんが、祖父と祖母に出したコーヒーとナポリタンの思い出。奥田さんが韓国で味わったコーヒーの顛末。といろいろ読みどころあり。そして、連載小説を書いてる永堀裕二さんが、Ritaru Coffeeの店内に置かれていて魅了された連載小説の作者と知り、これはもう他の作品も読むしかないでしょうという気にさせられ。
Spotted Flower 3
木尾士目 / 白泉社 (2017-09-29)
読了日:2017年10月8日
出産、元彼登場からの動揺、卑屈も甘え、そして、留守宅への連れ込み、マンガのためならなんでも、編集者の的を得た妄想、と。一、二巻読み返さなきゃ。
淋しいのはアンタだけじゃない 3 (ビッグコミックス)
吉本 浩二 / 小学館 (2017-09-29)
読了日:2017年10月8日
聴覚障害には個人差があり過ぎて一概にはくくれないこと、耳鳴りは聴覚障害や心因性のものとされてきたが、脳が本来来るはずの音の信号を聞き取ろうとするために無理をすることで発生するなでは、という説も。補聴器も特別な資格なく眼鏡屋で買えて、適切な調節もされず、つけたり外したり、慣れる前にやめることで、効果を発揮してないのではないかと。状態が悪化することで、捉え方が狭くなり、本人には耳鳴りが強く認識されているケースもあるのでは、と。佐村河内氏とは最後は行き違ってしまったけど、語りかけるような、言いたいことが届くことを祈るような内容に。森達也監督のFakeも観てみたいと思った。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 5 (ヤングアニマルコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2017-09-29)
読了日:2017年10月8日
ありとあらゆる棋譜を金を出して搔き集める田中名人。関西から流れてきた真剣師を居候させ、対振り飛車の研究を進め、ついに泥沼流居飛車穴熊の極意を編み出した神宮寺。朔の、退くことはあっても逃げることはない、という言葉が力強く。ナオの、どうせあたしは卑しい卑しい真剣師、と独語しながらもだからこその誇りを背後に感じ。次は編み出したものをぶつける展開なのか。
いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン
大塚雄介 / ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017-03-24)
読了日:2017年10月8日
興味を引かれたトピック。

・ビットコイン:電子署名で取引者がトレースできる=マネロンしにくい

・ビットコイン送金:10−30分で取引承認、決済完了

・コインチェックペイメント 無料アプリで導入可能

・特定の企業や国が発行←→参加メンバー全員による民主的な運営

・銀聯カードの外貨持ち出し枠 年190万円に →ビットコインへ

・日本 外貨持ち出し枠撤廃=1978年

・円-ビットコイン-ドル と間に挟むと手数料が安くなる

・ビットコイン・ピザ・デイ:ピザ2枚=1万BTC、ビットコインが初めて実際のものと取引された日

・手数料を上乗せすると、決済速度を速くできる?

・公開鍵暗号と電子署名

・数ある金融商品の中から、手持ち資産や収入、リスク選好、目標リターンによって、最適な商品(の組合せ)を提案するタイプのサービスは、全てフィンテックによって自動化される可能性

・資金決済法の改正=本人確認の徹底、預かり資産の分離

・2017年7月から、ビットコインをはじめとした仮想通貨には消費税がかからないことに

・文書管理プラットフォームのFactom -ブロックチェーン技術を使用

・150億円を集めたダオがハッキングにより75億円を失い、イーサリウムが暴落。

ただ、セキュリティについては、起きた事象と解決策を見くらべるに、絶対安全とまで言えるのか、という思い。また、将来的にはうちと組んだ方が有利ですよというのは若干ポジショントークかなと思いつつ。簡にして要を得た概説だった。
東大卒プロゲーマー (PHP新書)
ときど / PHP研究所 (2014-07-16)
読了日:2017年10月7日
shi3zの日記 | 情熱の値打ち http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20170919/1505797302 というエントリをみて興味を持ち手に取る。バランス無視の、好きなことにだけ打ち込める集中力は誰にでも真似できるものではないけれど、挫折してもそこで終わらず、何がダメだったのか分析し、答えが出なければ柔軟に相談にいき、最後は自分で決める。プロゲーマーというウメハラ一人がまっさらな荒野に立っていた明日どうなるかもわからない業界に飛び込むストーリーは、まさに一編の成長物語。以下備忘録的に。/KOFというゲームの八神庵の「とんで、キックからの、どうしたぁ!」の頭文字からとったハンドルネーム。ゲームをしてなければ、食事かジムで身体を動かすかのストイックさ。「ロジックや合理性は、情熱があってこそ生きるもの。情熱なしにそれらを振り回したところで、何も生み出すことはできないのだ」「情熱から生まれた合理性こそが、僕を成功や達成感に導いてきた。だから僕は、自分が情熱を燃やせる仕事を選んだ」、プロは皆例外なく、自分が生きている業界の発展に尽くしたい、どんな貢献がありえるか常に模索、業界が発展しなければ自分も長く活躍出来ない。「新しい知識を習得する機会を失えば、そこで成長は止まる」「何かを手放すかわりに何かを選べたのだから、その人には、その選んだ何かに情熱を傾ける力があるはずだ」
国のない男
カート ヴォネガット / NHK出版 (2007-07-25)
読了日:2017年10月4日
武蔵野ヘルスセンター車窓課「週刊車窓」でライナスの毛布のようなと紹介されていて、興味をもち手に取る。個人的にはチョムスキーと似た味わいを感じつつ。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」というおじさんの叫びが響く。「スローターハウス5 子ども十字軍」を読んでみたいと思った。/真実というのは、われわれは人生についてほとんど何も知らないということであり、何がいい知らせで何が悪い知らせなのかもまったくわかっていないということなのだ。(p.46)/電子化されたって、いいことなんか、何もない。苦労するだけ損だ。われわれはダンシング・アニマルなのだ。起きて、外に出て、何かするというのはすばらしいことではないか。われわれは、この地球に住んでばかばかしいことをするために生まれてきた。これに関してはだれにも違うとは言わせない。(p.71)/リンカーンのゲティスバーグの戦場での演説/われわれは、本来生命を育むようにできているこの惑星を、原子力エネルギーと化石燃料を使った熱力学的ばか騒ぎによって破壊しているんだ。(略)今地球の免疫システムはわれわれを排除しようとしていると思う。(p.130)
ダーカウ / ダーカウ (2017-10-01)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。正方形の手書き文字で書かれた紙をコピーしてクリップで束ねた簡素な作りだけど、表紙とタイトルに心惹かれ、手に取る。日の出そば、出てきたのは個人的に親しみ。また、初めての海外がベトナム一人旅と突っ込んでいったエピソードと、北24条のベトナム感が好きなので、というフレーズにぐっとくる。
くるちゃぉ、よこちゃぉ / チームめがね (2017-10-01)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。バナナをモデルにしたグラビア雑誌、って発想、くだらなくて大好きなんですけど、昔の雑誌風に編集しました!ていうけど、これ30年ぐらい前の安いエロ本のフォーマットでしょ、と。青バナナと茶バナナの対談とか本当にもう。茶バナナちゃん、もしかしてバナってる…ってフィリピンの出身?超バナナー、とか、「バナナからヴァナナへ」とか、もう全編可笑しかったです。
かわむらえりこ / かわむらえりこ (2017-10-01)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。ディジュリドゥ、紙とか掃除機とか雨樋とか長い筒であればある程度音が出るというのは、なるほど、と。ディジュリドゥ協奏曲のCD買っちゃったり、映画「20世紀ノスタルジア」でディジュリドゥが大いにフィーチャーされてたりで、個人的に興味のある楽器だったので、手に取った一冊。尺八を愛好する外国人も多くなりつつある、からの、イギリス人ジャーナリストがセレクトした日本の音楽のアルバム、てのも気になる。
かわむらえりこ / かわむらえりこ (2017-10-01)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。アフリカの太鼓、ジャンベ。太鼓を愛する楽しさが伝わってくる。アフリカ人になりてーって叫びとワイワイした語りのままストーリーは唐突に終わる。品川の民族楽器店ティンガ・ティンガ、気になる。
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。元祖の考察が読み応えあり。元祖が閉店したら、それを元祖としてるものはどこへ行くのか、ってなんだか哲学的。串カツや美唄焼き鳥はなぜそこが?とか、札幌カリーって、北海道民会って、ししゃもって、なんの元祖ですかという視点まで興味深く。
赤沼俊幸 / 赤沼俊幸 (2017-09-21)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。閉店の貼り紙の物悲しさをたっぷり味わえる。けど、閉店があるから、新しい店の始まりもある、という希望を感じさせるフレーズも。小樽の「占い」は、スナックの店名なのか、占いやさんなのか、占いならこの閉店を占えていたのかはなかなかに皮肉。よく集めたなあ、という思いと、自分のカメラロールの中に入っている、3ヶ月とか4ヶ月で閉店したお気に入りだった店の閉店貼り紙、探してみようと思った。
赤沼俊幸 / 赤沼俊幸 (2017-09-12)
読了日:2017年10月1日
#nevermindthebooks で購入。札幌で一番感じの良いお店が、表示を外したのはなぜなのか。帯広で二番目に安くてうまい店の深い理由(一番は母や妻の手料理だから、と)などが、目に留まる。謙虚な店コーナーの、他にもっといい店あります、宅飲みに毛が生えたようなお店、若い女の子がいる店ではありません、などの、自虐的なフレーズのオンパレードで苦笑してしまった。


chokusuna0210 at 20:55|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年10月02日

2017年09月に読んだ本

期間 : 2017年09月
読了数 : 40 冊
インカメ越しのネット世界
りょかち / 幻冬舎 (2017-05-26)
読了日:2017年9月30日
SNSにおいて、本垢、サブ垢、それ以上の複数のアカウントと、それぞれ使い分ける方が、複層的な自分を表現し、それぞれの階層にわけて接する方が、自然なのではないかという提言が目に留まる。あと、自撮りのテクっていろいろあるんだなあ、と感心。
きのう何食べた?(13) (モーニング KC)
よしなが ふみ / 講談社 (2017-09-22)
読了日:2017年9月30日
大台を祝う誕生日の攻防、初詣をめぐる温度差、大先生からの少しずつの取引先譲渡、友人の病死に己の年代を痛感、買い物友達の家にお呼ばれ、事務所に新人登場、と。野菜を美味しく食べるコツ、ちょっといいかも。
ガイコツ書店員 本田さん (3) (ジーンピクシブシリーズ)
本田 / KADOKAWA (2017-09-27)
読了日:2017年9月30日
イッツタイムトゥークロース、グンナイハヴァグンナイ!...とありったけの英語をかき集めて、ハリウッド俳優みたいなカップルが閉店時間後に入店したのを止めようとしたら、「わかりまし...ンフフフフフ」と日本語話者だとわかった時のショック。書店員に向いてるタイプを問われ、「労働の対価をお賃金には直接的には求めず表情筋を鍛えて適当に操ることができそこそこの社会性を持ち終わりなき整理整頓を日々こなせる人」と淡々と答えてからの一連の流れ。のシーンがおかしかった。各出版社の個人の感想による棚運営雑感が興味深かった。さて、作者書店退職でメインキャラの同僚たちも様々な理由で多数職場を去った中、アニメ化により連載延長が決まり、次の展開はどうなるのか。
賢帝と逆臣と 小説・三藩の乱
小前 亮 / 講談社 (2014-09-11)
読了日:2017年9月30日
こんなにも姦臣とされてきた呉三桂を、人間臭く魅力的に描いた作品があっただろうか。反乱者の血筋とされながら、美味いものには目がない、寒いところは大嫌いな間諜の李基信を語り手に、即位し、実験を得るまでは雌伏、実験を握ってからは、己の判断の一つ一つに大きな責めを負いながら、名君への道を目指す康熙帝を対置しつつ、呉三桂の魅力も引けを取らず。いや、こちらに皆親近感を覚えるのではないかと。/先帝の政策はそれほど嫌われていた、将来のためにどこが拒否されたのかしっかり分析しないと、ただ輔政大臣の政治に異を唱えれば帝位を失う可能性もある/李基信「食い物は重要だよ。理想だけでは人は動かないからね」/突厥の兵を借りて天下を統一した唐はやがて突厥を支配、契丹の兵を借りて中原を制した後晋は燕雲十六州を割譲した、それに習おうとしたと言う、清を利用しようとして逆に利用された呉三桂の言い分/なぜ閥を作ろうとするのか、個人として国と皇帝に奉仕すればよいではないか。/決断力があるわけではないし、過去のことを根に持っているし、言動が首尾一貫しないことが多い。吝嗇だし、利己的だし、そもそも今回の叛乱も自分だけの都合で起こしたようなものだ。並べてみるといいところがないが、それでも応援したくなるから不思議だ。/李基信「あなたは山海関を開いたじゃないですか」/決断できなかった呉三桂を責めようとは思わなかった。それが人間なのだ。進言するだけの立場で合理的に渡河するべきだと判断するのと、すべての責を負って決断するのとでは、心の負担がまったく異なる/補佐を必要とするのは、何かに欠けた男だ/山海関を開いて異民族を中原にみちびき、旧主の縁者を狩り立て、さらに大義名分のない叛乱を起こし、最後は敗北が見えてから即位する。呉三桂は稀代の悪党、そして愚か者として罵られるにちがいない。「そんなことは三十年前から覚悟している。死んだ後のことなど、頓着していられるか」/死の間際の、「長江を渡れ」には不覚にも涙してしまった。
3月のライオン 13 (ヤングアニマルコミックス)
羽海野チカ / 白泉社 (2017-09-29)
読了日:2017年9月30日
初手から林田先生飛ばしまくりの恋煩いと、島田九段のかっこよさ。二階堂のフルスロットルでの宗谷名人とのぶつかり合いとラブレターのような棋譜、周りの棋士達の隠しても隠しきれない自分もそうありたいという願い。葬儀屋が実家の滑川棋士の、なぜに自分は傍観者のようで引き裂くように輝かないのかという問い。幸田家から零を追った香子の今更ながらの独語。夏祭りと2人の男との楽しかった思い出に浸るあかりさん。暖かい川本家にようやくの居場所を見つけた心地の零。主人公とそれを取り巻くキャラにまで焦点をあて、語ってくれ、それぞれが魅力的で。
ARCHIPELAGO
石川 直樹 / 集英社 (2009-11-26)
読了日:2017年9月28日
宮の森美術館の石川直樹展観て、感銘を受けた写真が多数で心踊った。少し前の吹雪のススキノ。浦河のどこか遠くを静かに見つめる老人の写真。白老のアフルンパルと思われる洞窟の写真。しばし手元で眺められる贅沢。また、個人的に興味のあるトカラ列島の写真も多数。悪石島のポゼなどの貴重な写真。個人的に行ったことのある波照間島の行事は何の神事だったのか。
外道クライマー
宮城 公博 / 集英社インターナショナル (2016-03-25)
読了日:2017年9月28日
生と死の境界線によって生の実感が湧く、というのは角幡唯介さんの著書を読んでいても感じた、底に流れている考えだと思った。誰も行ったことがない、あるいは、そのアプローチはとったことがない、という登山、沢登りに賭ける思い。たとえ、人に、なぜそこまでと問われたとしても。もちろん、旅が進めば、過酷な状況に、余裕もなくなり、自分が決めた相棒に、小さなことで怒り、果ては殺意まで抱いたことまで赤裸々に語られている。時に下世話で軽妙な語り口をまぶしながらも、底に流れているのは、灼けるような熱い思い。以下抜粋。/私には、自然の猛威を剥き出しにした本当の称名滝の内院に入り込みたいという欲望があった。それは登山者が持つ一種、狂気的な感情なのだろう。山に自殺をしに行くわけではないが、生と死の境界線によって生の実感が湧く。死と隣り合わせのギリギリのところで自然の内院に入り込み、なおかつそこに自分だけの何かを残したいのだ。登山とは、狂気を孕んだ表現活動なのだ。(p.196)/これから私たちがやろうとしているのは、自殺ではない。冒険だ。情熱に基づいた純粋な行動は、仮に死が伴ったとしても否定されるべきではない。(pp.203-204)/そうだ、そうなのだ。俺は、人生でも、登山でも、波乱の中にしか自分がここにいるような実感を持てないのだ。(p.250)
アフタヌーン 2017年 11 月号 [雑誌]
講談社 (2017-09-25)
読了日:2017年9月27日
波よ聞いてくれ、最終兵器みたいなガイドさんが出てきて、波乱の予感。金のひつじは、不穏なスタート。ブルーピリオドは、天才たちと向き合ってもへこまず少しずつ進んでいき。BLACK-BOXは、結果は無効試合でも引く手はあって、次の舞台化と思われる時に波乱。ミコさんは腑に落ちないは、エンさんの就職が決まりかけ、引っ越しも決まり、ミコさんの親友二人も駆けつけるが、一人はエンさんの先輩狙いだけど活躍できず、一人は颯爽とピザを持って現れ、二人とも、電話はすみませんでした...てとこが可笑しく。跳ね火は、クールと崩れが交互に顔を出し、最後は、長いこと続きそうな、がっちりと組み合っていきそうな。あたりのキッチン!は、ゲン担ぎのカツと栄養的な面からの代替案とのせめぎ合い、が見事に描かれ。フラジャイルはまさかの主人公登場しない外伝、間瀬さんがそんなことになってるとは、と、次回の解答が楽しみ。大上さんだだ漏れです、は、大上さんのまっすぐな思いが柳沼君を変えたんだと思った、触っただけで、自分の口から考えてることが漏れてしまうのがわかってて、手をつなぎたいと言える熱さ、率直さが眩しい。
ぼくはこんな音楽を聴いて育った (単行本)
大友 良英 / 筑摩書房 (2017-09-11)
読了日:2017年9月26日
大友さんが生まれてから、横浜で育ち、福島に移り、浪人し、大学へ進むまでのライフヒストリーを通じた、生きた昭和の音楽史。甘酸っぱい青春の思い出を照れつつも開陳してくれたり、自分では下手くそと言いながら、がむしゃらに音楽に食らいついていき、キャバレーのバンドに加えてもらったりのパワーに感嘆。聞きたい、見たい、読みたいと思ったものが溢れ出てきて困った。→坂本九「悲しき六十歳」、ウルトラQの劇伴、ビートルズ来日の貴重なドキュメント竹中労「ザ・ビートルズレポート」、山下毅雄のテレビ劇伴音楽、オーネット・コールマン「フリージャズ」、タイガース「廃墟の鳩」、ラジオの自作、新谷のり子「フランシーヌの場合」、ポール・マッカートニー&ウィングスの「007/死ぬのは奴らだ」、NHKFM近藤譲パーソナリティの「現代の音楽」、阿部薫との邂逅、タモリ「ソバヤ」、高柳昌行・阿部薫「解体的交感」、日野元彦カルテット「流氷」、友部正人「にんじん」、デレク・ベイリー「Where is the police?」、間章の批評、マイルス「Get up with it!」、ジム・ホール、ビル・エバンス「アンダーカレント」、副島輝人「日本フリージャズ史」、阿部薫・山崎比呂志「Jazz Bed」。
波よ聞いてくれ(4) (アフタヌーンKC)
沙村 広明 / 講談社 (2017-09-22)
読了日:2017年9月25日
局の先輩との対話の続きから、ポンポンポンと、ミナレさんの掛け合いが楽しく。そして同居させてくれてる瑞穂が、憧れの大先輩に一歩踏み込み。ドタバタ旅の始まりの予感。
毎日かあさん14 卒母編
西原 理恵子 / 毎日新聞出版 (2017-09-21)
読了日:2017年9月24日
最後の、ありがとう、楽しかったには、万感の思いがこめられていて、泣きそうになってしまった。人は二度死ぬ、一度目は命が止まった時、二度目は忘れられた時、という言葉が印象に。帆を膨らませていってしまった、もう背中しか見えない、と書く寂しさと嬉しさがないまぜになった感情が率直に書かれていて響いた。
アド・アストラ 12 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
カガノ ミハチ / 集英社 (2017-09-19)
読了日:2017年9月23日
カルタゴの地でさらに勝利を重ね、ついには、カルタゴ元老院に、ハンニバルの帰還命令を出させることになったスキピオ。直接対決を前に、突然の和平提案、初めて一対一で対話するスキピオとハンニバル。運命とは大河、過ちを正すため遡ろうと足掻いても、結局この身をゆっくり押し流すとハンニバル。あなたのことを知れば知るほど学べば学ぶほど私はあなたを師として敬愛するようになった、と率直に語るスキピオ。会談は決裂。次巻は最終巻とのこと。結果はわかっているがどう描かれるのか。
月刊シミュレーション編集室 / 月刊シミュレーション編集室 (2012-01-15)
読了日:2017年9月23日
もみの木soのブックマーケットで、こんな雑誌見たことない!と思い、思わず手に取ってしまった一冊。巻頭で、もし自分が明日消えるとしたら、と言う設定で二十代の男女にインタビューしてるんだけど、会いたい人に会いにとか、淡々といつも通りに、から、果たせなかった告白を、とか、ハチャメチャないたずらをとか、果てには、そんな顔出しでここにその性癖語りますか、というのまで様々なグラデーションがあるんだなあ、と。他に、棒高跳びの選手で街のヒーローみたいな一筆書きみたいなマンガが面白かったかな。なかなか異色な味わい。
ぬかびら見聞録発行委員会 / ぬかびら見聞録発行委員会 (2005-04-26)
読了日:2017年9月23日
ぬかびらのことは全然知らなかったけど、パッとみ、面白そうで他じゃ手に入らなそうで手に取る。個人的に3度ほど行ったことのある、一度潰れる前のかんの温泉に触れられていて嬉しい。あの、タウシュベツ橋梁が糠平というのも知らなかった。然別湖の氷上露天風呂、氷の上で着替えて風呂に入るまでとてつもなく寒いけど、入ってしまえば極楽…なるほど。菓子の家、おいしい状態で食べて欲しい店員さんの熱意が強すぎて、一時間以内に食べてね、と言われるけど、後でゆっくり食べようと思っても、一時間以内に食べます!と伝えましょう、って。亀の子荘では、憧れの?露天で日本酒ができるのだとか。通り一遍の観光ガイドじゃなくて、主観や地元ならではの視点も入っていて、なかなかに楽しめました。
ファーストアルバム (SPACE SHOWER BOOKs)
川島 小鳥 / スペースシャワーネットワーク (2016-12-07)
読了日:2017年9月23日
これは、デビュー作「BABY BABY」の続きだ!と思い、手に取る。個人的な思いこみだけど。じゅんじゅんその後、なのだろうと思い。銀杏BOYZ「あいどんわなだい」を買って、ジャケットに、BABY BABYの子を見かけ、その後、どうなったか全然情報がなかったので、こうしてまた写真集で見かけられて嬉しかった。もちろん、銀杏のジャケットを飾った他の子たちも収められている。その中では、真剣な顔でより目で手すりに顎を乗せてる女の子の写真が一番印象に。
音食紀行 / 音食紀行 (2017-06-18)
読了日:2017年9月22日
ルネサンス、イタリア時代の興味深いトピックス。イタリア料理で現在大きな地位を占めるトマトもジャガイモも伝わっていなかった時代のお話。/フェンネルを生でサラダで食べてたが、当時から「ワインに合わない」と言う結論に。シチリアに伝わった米食、当初はアーモンドミルクと砂糖を加えて煮ていた…って甘いリゾットのようなものか。食べてみたい。ローズウォーター、水1リットル、レモン2個、黒砂糖大さじ4杯、乾燥したバラの花びら4枚(なければ市販のローズウォーター100ml)をよく混ぜて冷暗所に三時間置き、ガーゼなどで漉して飲む。心惹かれる。1532年、マントヴァで開かれた「ごくささやかな晩餐」、紳士18人で、キジのサラダ18皿、鶏5羽、ソーセージ90本、鴨5羽、ソーセージパイ包み焼き5つ、ヤマウズラ15羽、ミラノソーセージ15本、ミートボール、レバー珍味、で第一のコースとか、凄まじい。
武蔵野ヘルスセンター車窓課 / 武蔵野ヘルスセンター車窓課 (2010-05-01)
読了日:2017年9月22日
もみの木soのブックマーケットで、「ぬかびら見聞録」て本を買ったら、レジのお兄さんに「それが好きならこれもどうですか?」とおすすめされて手にとってぱらっとめくって気に入って買った本。2009年の中央線・総武線の中野-吉祥寺間の建物や風景を記しつつ、作者の会社生活、ネギトロ買ってきてのんだくれるの生活の一端をうかがい知ることのできる一冊。短い東京生活時に、20回ほど西荻窪に通った身としては身近に感じた。心の支えになったというカート・ヴォネガット「国のない男」、手にとってみたい。ある電車帰り、自分と両隣のおじさんが三人とも携帯のゲームに没頭してて日本終わってると思ったり。「エウレカ」の内容が天下一品ラーメンのトッピングと井村屋のあずきバーか…アルキメデスにタコ殴りにされそうですね、という一節にクスリと笑ったり。
夏目友人帳 22 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき / 白泉社 (2017-09-05)
読了日:2017年9月20日
いわく付きの宿に泊まってしまい、なんとか妖の見えない友人を守ろうとする夏目、何か助けになりたいと願う友人たち、その宿を定宿とする妖が、宿を守ろうとするために、自らにも類が及ぶ出禁の札を手にしたところにはほろり。ただ、暖かい結末が用意されていたりするのだけれど。
完全コンプリートガイド 札幌へアートの旅 札幌国際芸術祭2017公式ガイドブック (マガジンハウスムック)
コロカル編集部 / マガジンハウス (2017-07-03)
読了日:2017年9月19日
再読!いろいろまわった後に読むと、今回は、特に、毛利悠子さんの北へと遡っていく旅、丸尾寛太さんの札幌の古い地図と重ね合わせた旅がとても興味深く読めました。
七つ屋志のぶの宝石匣(5) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2017-09-13)
読了日:2017年9月18日
寿司屋の大将と顕信の子供時代、私生活が謎のモデルと仕事上での接点、探しているものへ近づく一歩なのか。
あたらしいひふ (Feelコミックス FC SWING)
高野雀 / 祥伝社 (2017-09-08)
読了日:2017年9月18日
地味、派手、無難、ギャル、それぞれの服をまとい、同じ会社に勤める四人のそれぞれの思い、悩みが交錯し、最後、服を買いにいくの、なんかいい!と思える表題作。高校生三人の女子の物語と、学生時代の友人と飲む三人の三十代手前の男性三人の話しは、コインの裏表のように。誰もが、自分が持ってないものをうらやましがる、それにとらわれると苦しい、自分にもひとに羨ましいと思われるものが眠っているとしても、と。
fit!!! (ビッグコミックススペシャル)
ウラモト ユウコ / 小学館 (2017-09-12)
読了日:2017年9月18日
ジム初心者の女性二人とインストラクターの物語。天然に見えたり、こだわりがあったり、後輩に言ったことが自分に返って来たり。邪気のない指摘にいままでの姿勢を考え直したり、どこでも言えなかった不安を吐き出したり。最後は味に興味もないのにラーメンを食べ歩いていた理由が明かされ、その過程で、一人じゃないとあたたかく語りかけてくれる。
放課後さいころ倶楽部 10 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2017-09-12)
読了日:2017年9月18日
自分のなかの思いに気づいた子、自分の中に秘めていた思いをぶつけることに決めた子、いずれもボードゲーム上のメタファーに背中を押され、勇気をもらいボードゲームを遊ぶことで、自分の中の答えをつかんで行くストーリー。いい意味でボードゲームの美味しんぼ的なマンガと思ってます。最後のコマでぶつけられた思いは次巻でどうなるのか。
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
前野ウルド浩太郎 / 光文社 (2017-05-17)
読了日:2017年9月18日
バッタを研究してお金をもらえる仕事につきたい、バッタに食べられたい、バッタを駆除するために殺虫剤以外の方法を編み出したい。勢いと情熱で突っ走り、不安を抱えつつも、博士課程を出て、学振の期限が切れた後、アフリカはモーリタニアのバッタ研究所へ。給料をふっかけられたり、初のフィールドワークに戸惑ったり、厳しい気候に参ったり、肝心のバッタになかなか会えなかったり。ちょっとずつちょっとずつ、自分なりにやり方を工夫して行って乗り越え、2年の期限がすぎて、無収入になった後も、できることを考え、自ら広告塔となってバッタのことを宣伝し、最後には念願の就職を。願わくば、期限なしの仕事につき、バッタに食べられ、バッタを駆除する方法を発見する夢がかなえば、と思ってしまうぐらい、引き込まれた。あと、ババ所長!熱いし、よく見ててくれるし、ここぞというところで励まして、褒めてくれて、すごい上司だなあ、と。それと、京大の学長の面接シーンが印象に残る。
世界の混沌を歩く ダークツーリスト
丸山 ゴンザレス / 講談社 (2017-07-26)
読了日:2017年9月17日
ゴンザレスさんの知りたい!という内奥から湧き上がる好奇心に、こちらもページをめくる手が止まらない。/ジャマイカのドラッグ農園主に、お前はもっとフルーツ食べないと死ぬぞ!とアドバイスされ、「カルテル・ランド」と言うメキシコ麻薬戦争のドキュメンタリーDVDを観たり、マスターキートンがきっかけで考古学者を目指してた時期があったことからルーマニアに思い入れがあったり、地下住人のリーダーのブルース・リーに「ありのままを伝えてくれるなら構わない」と許可をもらったり、フィリピンの銃工場で村人が以前日本のヤクザに連れて行かれて部品だけメイドインジャパンであると知ったり、プノンペンは今は繁栄した国際都市で出稼ぎも食うためではなくより豊かな生活をするために変わりつつあること、スラムの水道はホースでひかれている写真、取材したラスベガスの地下住人が帰国後鉄砲水で死んだとtwitterで知ったこと、などが、印象に残るシーンかな。
傘寿まり子(4) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2017-09-13)
読了日:2017年9月16日
東京でできた友だちとゲーセンへ乗り込み、格闘ゲームの神と言われた子と対戦し、負けたけど仲良くなり、その様子を撮影した動画が話題になり。それが元で新作のアイデアが降ってきて。けど、古巣の文芸誌からは冷酷な宣告。心折れかけるが、橋がなくなったなら自分でかければいい、と、不案内なネットに活路を見出し、やりたいことを宣言。なんだかもう年寄りだからとくじけないでがんばってやりたいこと実現しようとする姿が熱くて。
ストレンジ・ファニー・ラブ (フィールコミックス)
チョーヒカル / 祥伝社 (2017-09-08)
読了日:2017年9月16日
一つのストーリーに一つの不思議な能力で語られるラブ。嬉しくなると浮遊してしまったり、周期的に透明人間になる女の子だったり、三時間だけ過去に戻れたり、うろこの生えてる子だったり、一瞬だけ絵が現実化する筆だったりさまざま。過去をやり直しにいったのに、結局自分の過去の思いを再度味わい、覆さず、そのままにしてしまった話がいちばん好きかな。
昭和天皇―「理性の君主」の孤独 (中公新書)
古川 隆久 / 中央公論新社 (2011-04-01)
読了日:2017年9月16日
6年前に二章途中で挫折していたのを、「昭和天皇実録の謎を解く」読んだのがきっかけで再開。徳治主義で平和主義。欧州、特に英国への親近感を抱きつづけ。開戦には最後まで反対し抵抗するも果たせず、始まったらとことんやらないと、そして敗戦の目にいち早く気づき、民を心配し、一撃講話論者としてだが終戦を図る。初期においては、人気も権威も抜群。ただ、講話論者として、世論と乖離したあたりから権威が低下していき、意図と反しても機械的に承認するに近くなり。開戦に向かっていく時期に、側近に漏らしたが、それ以上何かした形跡がないという趣旨の記述が増えていったことに諦念を感じる。戦後は、自らも退位を考えたり、退位を勧められたりもしたが、批判を受けたとしても、位に止まることで、日本の復興、政治的安定に資すると言う形で責任を取ろうとした、と。冷静な筆致で、戦争責任ありやなしやの二択ではなく、主導したわけではないが、全く責任を逃れ得るものではない、という指摘。参考文献の加藤恭子「昭和天皇と美智子妃、その危機に」文春新書、高橋紘「昭和天皇」岩波書店、原武史「昭和天皇」岩波新書、松本健一「畏るべき昭和天皇」毎日新聞社、波多野勝「裕仁皇太子ヨーロッパ外遊記」あたりは手に取ってみたく思った。
すごい古書店 変な図書館 (祥伝社新書)
井上理津子 / 祥伝社 (2017-09-01)
読了日:2017年9月14日
新聞の連載がもとということだけど、一店舗2ページの紹介。どういう基準で選んだラインナップかは興味のあるところ。著者が全く専門外で興味を持ってないところも選ばれていたから。こんなのを買った、みたいな紹介はいいなあ、と思った。読みたい本、行ってみたいお店、印象に残った言葉を備忘録的に。/つちうら古書倶楽部-250坪に30万冊ずらり/ほん吉<下北沢>「店をおしゃれにすることに興味がないんです。私にとって、本はアクセサリーじゃなく、がつがつ読むもの。昔ながらの本屋さんを目指してます」/SNOW SHOVELING<深沢>-店名の由来は村上春樹の「文化的雪かき」/梶原書店<北区堀船>芥川「蜘蛛の糸」渡してくれて、若いときに読むのとまた違う感想を持つと思うよ、と/タコシェ「預かる基準は、そのジャンルに詳しい人以外にもちゃんと伝わる内容であること」/朝倉喬司「ヤクザ・風俗・都市-日本近代の暗流」読んでみたくなる/八重洲のR.S.Booksが閉店してて、その親元が金井書店<目白>というのは寡聞にして知らなかった。/岡原功祐がコロンビアの麻薬取引の街メデジンで何年も交渉してギャングに許可を得て撮った「Any given day」て写真集(so books<代々木公園>)/双子のライオン堂<赤坂>二十人の作家が選書した本が並ぶ/コ本や<王子> 若き映像作家、アートディレクターが選書/司書房<赤塚> 古本以外もおもしそうなものはなんでも/併設カフェで多肉植物も食べれるという、弥生坂 緑の本棚<根津>/食の文化ライブラリー<高輪>「シャンパン風ドブロク」/立川まんがぱーく/国境なき医師団のドキュメントまんが、フランスの「フォトグラフ」/ノーベル文学賞、平和賞候補になったこともある賀川豊彦の資料館
映画大好きポンポさん (ジーンピクシブシリーズ)
杉谷 庄吾【人間プラモ】 / KADOKAWA (2017-08-26)
読了日:2017年9月9日
ポンポさんの手厳しいけど根底に面白い映画をプロデュースするための愛が流れてるのが伝わってくる。登場人物ごとの好きな映画ベストスリーとその詳細な解説がまたいい。一巻だからか駆け足で登場人物たちが成長していってとんとん拍子で世界を奪ってしまうのはご愛嬌。最後の挨拶もまた、らしいといえばらしくて、クスリとわらえてしまう暖かさ。
ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2017-08-18)
読了日:2017年9月9日
明治時代のボニー&クライドな二人の造形と、自然としまくっちゃってる姉畑支遁の登場。どちらも突き抜けているという点では共通点か、鮮烈。
「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)
半藤 一利 , 御厨 貴 / 文藝春秋 (2015-03-20)
読了日:2017年9月9日
「昭和天皇実録」を軸に、対談者たちが今までの知見に付け加えられたことを明らかにし、また関連資料も紹介し、背景も解説してくれる。読後、だいぶ前に二章で挫折していた、古川隆久「昭和天皇」中公新書、に再挑戦したくなった。以下備忘録的に。第一次大戦の戦跡後を見て、戦争の悲惨さを漏らした言葉が伝わり、陸軍がのちに天皇をかなり無視して行動する布石になったとする見方。/治安維持法の成立を事前に止めようと動いていたこと。/熱河作戦阻止の行動と失敗が、大元帥の作戦指揮発動権は、使えないものが白日のもとにさらされた。/二二六事件の自決に際して勅使を賜りたいとの申し出への怒り/開戦前に陸海軍のトップから後続を外させた政治的直感。/自分たちを正当化するための壁。そこに向かってやりたいことを叫んでおけば、その名の下でどんなひどいことでも国民に強いることができる。ごくたまに御神体から反対の声が聞こえてくるけれども、もう一度同じことを叫べば、結局許してもらえる/乃木大将が自決直前に昭和天皇にわたした「中興鑑言」、後醍醐天皇を例に、天皇がやっていいこと悪いことを忌憚なく論じた書/特攻に対して。天皇としては、そのようにまでせねばならなかった、しかし、大元帥としては、しかし、よくやった、という見方。/大東亜政略指導大綱に見る、大東亜共栄圏の新秩序を作る、アジアの解放と言う名目の嘘。/開戦後4ヶ月で陸軍参謀総長、その2ヶ月後には海軍の軍令部総長がもう天皇に虚偽の報告をしていた/長谷川清査閲使の1945年6月の報告で、国内の戦争遂行能力は著しく低いこと、満州に派遣していた梅津参謀総長から、支那派遣軍と関東軍は一撃か二撃で崩れると報告を受けていた。/陸海軍は本当のことを報告しないから、天皇がアメリカの短波放送で日本軍の実情を知る状態であった、と。
瀬戸正人 写真集 binran
瀬戸 正人 / リトル・モア (2008-10-25)
読了日:2017年9月6日
三年ぶりの再読。変わらぬ読後感。猥雑な感じと何か起こりそうな予感と。
ナミビアを知るための53章 (エリア・スタディーズ141)
水野一晴 , 永原陽子 / 明石書店 (2016-03-16)
読了日:2017年9月6日
自然、歴史、文化、都市とさまざまな面からナミビアを幅広く紹介。日本の二倍以上の面積に、200万人強と、人口密度はまばらに思える。随所に、この小規模な国では世界的なレベルで…輩出するのは難しく、とある点が気になったといえば気になった。以下、興味を惹かれたところ。中南部ではドイツ統治時代の、北部では南ア時代の記憶が中心となる、植民地支配の歴史に関する記憶の分断ともなってナミビアに影。/黒人居住区カトゥトゥーラではいたるところから肉を焼く匂い、焼肉の露店が多い。/野生動物の肉、ゲームミートや、牛肉など、都市部のレストランではさまざまな肉料理/北部に住むオバンボ人の昆虫食/版画家ムファゲンヨ、の独特な作風。
ブラジルの光、家族の風景: 大原治雄写真集
大原治雄 / サウダージ・ブックス (2016-04-18)
読了日:2017年9月6日
だいぶ前に書肆吉成のブログで見かけて気になってた一冊。年表を見るとかなり波乱万丈。移民としてブラジルに渡り70年間一度も日本に帰らず、せっかく耕した農地は飛行場として接収され、愛する人にも先立たれ。その間にもコツコツと撮りためた日常の風景、家族のモノクロ写真。胸をうたれる。家族や近所の人に向ける視線が印象的。特に、妻の生前、最後に撮ったという写真が。
闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々 (光文社新書)
溝口 敦 / 光文社 (2016-04-19)
読了日:2017年9月4日
ほぼホワイトからほぼブラックまで様々なグラデーション。カンヌに出品された映画にも出演した元ヤクザ、今は地域の顔役、表の顔を持ちながら、間に何枚も会社を噛ませて出会い系サイト運営でもうける者、インターネット草創期から裏サイトを運営する者、ドラッグ好きが講じて自分で化学式を操って中国のメーカーに発注するまでになったドラッグディーラー、闇カジノを渡り歩いたイカサマディーラー、デリバリーヘルス経営のもうけを元に、他の業種にも進出した者まで。そういう世界もあるのか、というのを垣間見せてくれる。
ワカコ酒 9 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2017-08-19)
読了日:2017年9月3日
明太子の天ぷら!お酒進みそう。こち刺身、カリカリ缶詰ポーク焼き、鯨のさえずりも美味しそう。
月曜日の友達 1 (ビッグコミックス)
阿部 共実 / 小学館 (2017-08-30)
読了日:2017年9月3日
中学生になった水谷さんが、自分がまだ子供のまま取り残されていること、けど周囲には合わせたくないこと、自分の好きなことを大事にしたいこと、月谷くんとだけは通じ合える予感。「別に変でもいいじゃないか」と違った見方で捉えてくれて、欲しい言葉をくれて、理解して、気遣いもできる大人の面も持ちながら、弱さも知ってしまい。水谷さんの思考がほぼ全部吹き出しで詩的に語られるのが心地よい。その真っ直ぐさが眩しい。「友達になろう。楽しいことやつらいことをわけあって一緒に生きていこう」という宣言の真っ直ぐさといったら。
完全コンプリートガイド 札幌へアートの旅 札幌国際芸術祭2017公式ガイドブック (マガジンハウスムック)
コロカル編集部 / マガジンハウス (2017-07-03)
読了日:2017年9月3日
のんxレトロスペース坂会館のコラボは異色でハッとした。それも含めて札幌の街に映えていた。ゆら・ゆら・ゆらの背景を知ることができて興味深かった。マレウレウのメンバーのアイヌとしての語り、石川直樹の鮮烈な写真、シュプールを追いかけての中崎透の語りなど、興味深い読み物も多かった。
もう二度と食べたくないあまいもの (祥伝社文庫)
井上 荒野 / 祥伝社 (2013-04-12)
読了日:2017年9月3日
喫茶つばらつばらで手に取り、一編読んだらピタッとはまり、全部読みたくなり、購入。表題作はなく、帯に、男女の間にふと訪れるさまざまな「終わり」を描いた10の物語、とあり、解説に、ままならぬ物語、とあるが、もう二度と食べたくないあまいものとは、男女の間にある燃え上がるような瞬間、少なくとも片方はそう思えるようなひと時を指すのだろうか。ずっと、庭に出て電話をしてると思ってた男に、誰と話してるの?と問えば、誰とも、とかえってくる、背筋のすっと寒くなるシーン。「フォークナーってなんか気がくるってるよね」という一言。嘘つきで一人の女に忠誠を尽くせないと自分でおもいきわめ、ふらふらと団地で流しのカレー屋をする男。別れた夫の母と妹たちと一夏を過ごすことに決めている女。朗読会という口実で出かけて、密会していたのに、ある時本当に朗読会に出て、今の男にとっての自分の軽さと、夫への大切さに思いを馳せた妻、などなど。古本、幽霊、オークション、奥さん、手紙、などぶっきらぼうな名詞のタイトルとそこに流れるどこか練れた爛熟した雰囲気を楽しむ。


chokusuna0210 at 22:13|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年09月28日

堀尾寛太「補間」 #札幌国際芸術祭


堀尾寛太「補間」(会場:AGS 6・3ビル (札幌市中央区南6条西3丁目13)鑑賞。
狭い空間で明滅する光を見つめるまでは良かったが、
地下室でのフラッシュには参った…
身体の奥深くの神経まで焼き切れるような刺激を受ける。
チリチリとした音と一瞬だけ見える光景を頼りに歩く頼りなさを感じる。

といった感想が、

堀尾寛太「補間」二度目鑑賞。
胸の奥の神経灼かれる思いして、
まさかもう一度見に来るとは思わなかったけど、
同行者を得て。

シャッターの開け閉めと連動している箇所を二箇所発見。
チリチリとした試着室の隅に指輪上のものがあって糸が絡まっている箇所を発見。
地下一階は前回一人で来た時と運営が変わったのか、
学芸員的な方が一緒についてきてくれて、
入り口の反対側の壁沿いしか行けないことに。
けど、途中明かりが少しつく場面もあって、
前回のような全くの暗闇にカンカンと鋭い音とともにフラッシュが瞬くだけなのとは違った味わい。
カンカン言う音も光る際に発されるのではなく、
逆に、周期的に床に当たる音に反応して光が発されるのだとか。
通うとわからないことがわかったりまた味わいが深まる。

といった感想に。
わからないことを、自分なりに解釈し、また通うことで、解き明かされる喜び。

image
image
image


chokusuna0210 at 20:58|PermalinkComments(0)clip!

2017年09月25日

梅田哲也 わからないものたち @金市館ビル #札幌国際芸術祭

今はなき狸小路のラルズプラザ、金市館ビルの7階の広いスペースを使って、
様々な仕掛けに満ちたオブジェが置かれた展示。

入ってすぐの大きな球体に逆さに映る、街の景色。
狭い通路を通った先が開け。
ドアの隙間から七色の光を放つ機器。
スピーカーを三つくくってぐるぐる回すもの。
扇風機と連動したノコギリ板が震える音。
天井から下げられた高速回転する待ち針を刺した球とストロボライトの組み合わせ。
壁に開けられた窓がピンホールカメラに。
天井の一角から飛び出た部品。
糸と石を使って自動的に閉じてくれる原始的な自動ドア。
定期的に突如咆哮を上げて蛇のようにくねる管。
青と赤の光に包まれてかすかにスピーカーから聞こえるささやき。
あちらこちらに点在するものを、
これはどうなってるんだろう?とか、
こういうものなのかな?とか、
そうきたか!面白い!ワクワクする!
と自分なりの解釈を重ねていくのが楽しい、
また、誰かの解釈と交錯するのもまた楽しい。
昼と夕方と夜でも、違った顔を見せてくれるのもまたいい。


------------------------------
(鑑賞日記)

8/19
今はなき狸小路のラルズプラザ、金市館ビルで、梅田哲也「わからないものたち」て展示を見てきました!遅ればせながら、札幌国際芸術祭のパスポート買いました! なんだかワクワクする仕掛けに満ちていて、これはなんだろこれはなんだろ…と巡ってるうちにあっという間に時間が。会期中にもう1、2回はいきたい。

8/26
梅田哲也「わからないものたち」を観に。前回は昼に一人で。今回は夜にふたりで。わくわくした仕掛けに満ちていたのは変わらずだったけど。ただの赤と青の光の展示かと思いきやいるところによって、ラジオからのような音が聞こえたり。扇風機と連動した板が大きな音を出すのに、壁側の大きな板も絡んでいること。ただ意味もなく空中に糸で吊り下げられた石が、開けたら閉まるだけの原始的な自動ドアの仕掛けだったり。初回一人では見つけられなかった出口を見つけたり(初回は、入口から出てきた)。細かなことだけど一人で見に行くとわからないこともわかるケースとして面白かった。あと、昼と夜の違い。夜行くと壁際の穴から天井に映るピンホールカメラのような光景は見られず。それも含めて昼と夜の展示の空気感の違いも感じとれた。

8/28
梅田哲也「わからないものたち」三度目鑑賞。初回は夕刻、二度目は夜と来て、三度目は開場すぐの昼下がり。この日は、壁際のピンホールカメラを重点的に。広い範囲の天井に、交差点を行き交う車や人が映し出されて、しばし見惚れる。そして、三者三様の光の入り具合、展示物への反映を楽しむ。

9/24
四度目鑑賞。昨日のライブパフォーマンス「わかりやすいこと」の個人的な復習のために。ちょっとずつ興味を惹かれる展示が移りゆき、昨晩のくるくるまわるスピーカーが止まっているのを楽しみ、昨晩の痕跡を思い出しつつ。


image
image
image

chokusuna0210 at 21:32|PermalinkComments(0)clip!美術 

梅田哲也「りんご」(2017/9/25追記) #札幌国際芸術祭

りんご倉庫として使われていた空間に、格子状の木材が組まれ、大きな長方形の穴が穿たれ、その中に水がたたえられ、照明が置かれる。床には、球形の器が置かれ、天井には飯盒があり、そこからポタポタと落ちる水滴が器に溜まっていく。

晴れた時には、ポツポツとした音が、
雨の時には、激しく打ち付けるような音が、
夜だけ開く、薄暗い倉庫内に、響く。
揺らめく淡い光をずっと見つめながら、
水の打ち付ける音を聞いていると、
心がすっと静かになり、
涼しい風が吹いていく心地。

どっぷりその世界に持っていかれるので、
外に出て、普通の住宅街に足を踏み入れた時、
現実に引き戻される感覚が半端なく強い。
そんな展示でした。

(2017/9/25追記)

------------------------------
(鑑賞日記)
8/21
中の島の住宅街にひっそりとある会場で、梅田哲也「りんご」観てきました。格子状の木材、長方形の穴に、照明が置かれ、静謐な空間。静かに、木目を、ゆっくりした水の動きを感じる。入り込みすぎて、外に出た時の、引き戻され感が半端なかった。

8/23

梅田哲也「りんご」(会場:中の島1-3)、鑑賞、二回目。堀尾寛太作品で受けた衝撃を鎮めるために。落ち着く。静かな空間。今回は、天井から飯盒に落ちてくる水滴の音をより感じられた。しばし、静けさに身を任せる。今度は雨降りの日に来てみたい。

8/28
梅田哲也「りんご」(札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)三度目鑑賞。今回は、夕刻、まだ外が明るいのもあってか、飯盒から落ちてくる水滴が、器の外に波紋を投げかける様がよくわかった。そして、四角く開けられた穴に所在のわからない照明があったのだけど、上にある器の下がくりぬかれていることがわかった。前回、前々回と受付のお姉さんしかいなかったけど、今日は解説してくれる方が常駐していて、少し、お話が聞けて、より深く鑑賞できた。また何度も見たい展示。

9/12
梅田哲也 りんご @中の島。四度目の鑑賞。一度、雨の夜に来たいと思っていて、まさに今日。…と同じことを思った人がいたのか、今まで見たことないぐらいの大人気。あるいは面白さが浸透したのだろうか。晴天時の微かな感じとは異なり、雨の影響で盛大に水滴が落ちてきて、球形の器が短時間にさまざまな響きと波紋を見せ、前の三回とはまた違った味わい。いつまでもうずくまって見ていたかった。



image
image




































chokusuna0210 at 00:20|PermalinkComments(0)clip!美術 

梅田哲也「りんご」(追記) #札幌国際芸術祭

りんご倉庫として使われていた空間に、格子状の木材が組まれ、大きな長方形の穴が穿たれ、その中に水がたたえられ、照明が置かれる。床には、球形の器が置かれ、天井には飯盒があり、そこからポタポタと落ちる水滴が器に溜まっていく。

晴れた時には、ポツポツとした音が、
雨の時には、激しく打ち付けるような音が、
夜だけ開く、薄暗い倉庫内に、響く。
揺らめく淡い光をずっと見つめながら、
水の打ち付ける音を聞いていると、
心がすっと静かになり、
涼しい風が吹いていく心地。

どっぷりその世界に持っていかれるので、
外に出て、普通の住宅街に足を踏み入れた時、
現実に引き戻される感覚が半端なく強い。
そんな展示でした。

------------------------------
(鑑賞日記)
8/21
中の島の住宅街にひっそりとある会場で、梅田哲也「りんご」観てきました。格子状の木材、長方形の穴に、照明が置かれ、静謐な空間。静かに、木目を、ゆっくりした水の動きを感じる。入り込みすぎて、外に出た時の、引き戻され感が半端なかった。

8/23

梅田哲也「りんご」(会場:中の島1-3)、鑑賞、二回目。堀尾寛太作品で受けた衝撃を鎮めるために。落ち着く。静かな空間。今回は、天井から飯盒に落ちてくる水滴の音をより感じられた。しばし、静けさに身を任せる。今度は雨降りの日に来てみたい。

8/28
梅田哲也「りんご」(札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)三度目鑑賞。今回は、夕刻、まだ外が明るいのもあってか、飯盒から落ちてくる水滴が、器の外に波紋を投げかける様がよくわかった。そして、四角く開けられた穴に所在のわからない照明があったのだけど、上にある器の下がくりぬかれていることがわかった。前回、前々回と受付のお姉さんしかいなかったけど、今日は解説してくれる方が常駐していて、少し、お話が聞けて、より深く鑑賞できた。また何度も見たい展示。

9/12
梅田哲也 りんご @中の島。四度目の鑑賞。一度、雨の夜に来たいと思っていて、まさに今日。…と同じことを思った人がいたのか、今まで見たことないぐらいの大人気。あるいは面白さが浸透したのだろうか。晴天時の微かな感じとは異なり、雨の影響で盛大に水滴が落ちてきて、球形の器が短時間にさまざまな響きと波紋を見せ、前の三回とはまた違った味わい。いつまでもうずくまって見ていたかった。



image
image




































chokusuna0210 at 00:16|PermalinkComments(0)clip!美術 

2017年09月03日

2017年08月に読んだ本

期間 : 2017年08月
読了数 : 42 冊
キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)
井上 荒野 / 角川春樹事務所 (2014-08-09)
読了日:2017年8月31日
私鉄沿線の小さな駅の商店街ですこぶる繁盛する弁当屋ここ家のオーナーでいつも元気いっぱいの江子、店員の、偏屈な麻津子、新しくやってきた郁子。60歳前後の3人のところに、米屋の新しい店員としてイケメンの進がやってきて色めき立ったり。三者三様の別れを抱えて、一悶着あったり。/アサリのフライ、食べてみたい。/三人一斉に、進を気に入っていると宣言するシーン/キャベツ炒めをめぐる三者三様/自由の王国、と進に形容されるここ家/もう安全だから、と元夫に電話で江子が伝えるシーン。/印象に残ったシーン。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
中島 らも / 講談社 (1994-03-04)
読了日:2017年8月31日
主人公もクセがあるが、酒乱の主治医赤河と亡き親友大道寺不二雄、その妹のさやかの造形が強烈で印象に残る。紆余曲折を経たハッピーエンドといえばハッピーエンド。いつまで続くかわからないことを示唆しながらも。/「"みじめだから中毒になりました"というのを他人様に泣き言のように言ったって、それは通らない。それでは、みじめでなおかつ中毒にならない人に申し訳がたたない。”私のことをわかってくれ”という権利など、この世の誰にもないのだ」(p.124)/バロウズ「剥離、ある病気に関する証言」を読みたくなる。/「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。(p.132)/フーゴー・バルも手にとってみたい/科学は気が長いんだよ/生きる意志を杖にして歩いていく人たちの流れの中にいて、そんな人たちのためだけに泣いたり笑ったりしたいの。(p.146)
トルコ音楽の700年 オスマン帝国からイスタンブールの21世紀へ
関口義人 / DU BOOKS (2016-10-14)
読了日:2017年8月30日
聴きたい曲や寡聞にして知らなかった情報がいっぱいだった、個人的に。/日本での受容。雪村いづみ「ウシュカ・ダラ」、江利チエミ「ウスクダラ」。坂本九「悲しき六十歳」の原曲が「ya Mustafa」だったとは。/トルコの軍楽が影響を与えたベートーベンの劇付随音楽「アテネの廃墟」に使用された行進曲/デイブ・ブルーベックのアルバム「タイム・アウト」の中の「トルコ風ブルーロンド」。/イスラミック・ナシードのムスリム歌手サミ・ユスフをはじめ、トルコにおいてもイスラミック・ナシードは大変人気。/日本語で読めるスーフィズムの研究成果、イディリス・ダニシマズの論文「アナトリア・スーフィズムの射程」/2008〜2010年にトルコでもメジャー・レーベルは音楽産業の衰退に合わせて作品制作を大幅に控え、レコードショップも激減した。/タルカン「アフデ・ヴェファ〜サナートを歌う/オスマン期のスルタンのイメージを音楽に取り込んだGultekin Khan/Kim Ki Oという女性ユニット。イスタンブールから登場。フランスのレーベルからエレクトロ風の作品を出している。最新アルバム「Bir,Iki」。/キルピの2005年のアルバム「The Song」の中のタイトルチューンは世界的にヒットしたチルアウト系コンピレーション「Buddha Bar」(Vol. 7-Buddha Bar )にも収められた。/セゼン・アクスについては、読み落としたのかもしれないが、女帝といえばセゼン・アクスだが、という一文しか見られず。意図的なのかな、と。
【文庫】 それからの三国志 下 陽炎の巻 (文芸社文庫)
内田 重久 / 文芸社 (2011-10-05)
読了日:2017年8月30日
個人的に、三国志といえば、諸葛亮死後の蜀、に関心を持っていたのだが、同じような人が上の世代にもいたんだな、という嬉しさで手に取る。正史を軸におきながら演義などの俗書の説も闊達に採用し、私感も挟むという体で読みやすさ。宦官黄こうがいたるところに名が現れ諸悪の根源とされ、独立した伝も立てられず全体像がわからないが、益州人士が寄ってたかって追い出せなかった、必要悪な側面があったのではないか。夏侯覇の孤独、亡命してきたが、益州人士には受け入れられず、姜維だけに親しみ、張嶷に交際を求め断られた際は益州人は張嶷を是としたとか。竹林の七賢でもっとも偏屈で癖のある嵆康と鐘会の関わり。現世利益を取り込んだ道教が雑多な迷信や呪いをはらみ受け継がれ、日本にも受け継がれてきた、七五三、ひのえうま、還暦祝いなど日本にも残る、と。傅せんの忠義についてはクールな正史でも注記でこれを称揚、傅とうの息子であったとか。孔明の頃使われた南蛮の諸民族の「飛軍」、後期には無くなってしまった。蜀の降伏を決する際に、初めて怒鳴ったのをみられた劉禅。前線に駐屯し鐘会に降った蒋ひん、姜維に皇帝の使節として派遣され、その後も劉禅のそばにつかえた蒋顕、個人的に興味を惹かれる蒋えんの息子二人が蜀滅亡時も役目を果たしていたことを知る。「降伏が遅いとは意外なお言葉。かりにも私は漢の大将軍です。今日やむなくここに参るも、むしろ早過ぎたりと存ずる次第でござる」と語る姜維。なぜ突然司馬昭と艾の間が破綻したのか、なぜ鐘会が安楽な洛陽の貴族生活を捨てようとしたのかは、人間心理も含め謎。鐘会は「世説新語」にもよく登場し、才気やユーモアを振りまき、闊達な風格を示している、と。貴族社会、合議制に世は傾いていって、だんだん君主や有力者一人でどうにかすると言う風潮ではなくなっていくことも描かれる。
将棋めし 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
松本 渚 / KADOKAWA (2017-08-23)
読了日:2017年8月27日
カツ丼頼んだのに取られて玉子丼、カツ丼たのんだら対戦相手がドヤ顔で上カツ丼頼んだから食べる速さで勝ってやったとか、ステーキハウスで美味しさに集中して癒されるとか。正直将棋の駆け引きはわからないのだけど、ごはんどきに気分転換というのは伝わってくる。ただ昨年の12月から東京と大阪の将棋会館の対局はすべて外出禁止になったというのは、三浦九段が対局中に将棋ソフト使った疑いが持たれて結局潔白だと判明した事件と関連があるのだろうか。
アフタヌーン 2017年 11 月号 [雑誌]
講談社 (2017-09-25)
読了日:2017年8月26日
イサック:ついに明かされる過去の因縁、イサックが日本に何を残し、欧州へ傭兵に出たのか。ミコさんは腑に落ちない:エンさんが旧職場にヘルプで呼ばれ、打ち明けられる独立話と、そこへのエンさんの参画の誘い、再就職カウントダウンか?。フラジャイル:語りづらい、けど通ずるところのある過去を持つ岸先生だから促せる晴くんに、泣いてもいいんだよ、辛いところを周りに見せてもいいんだよと言う後押しが印象に残る。あたりのキッチン:清美さんをめぐるさや当てがだんだんとはっきりとしてきて、親父の息子へのまあ焦るなよ、が効いているなあ、と。そして自分の魅力に気づいていない清美さん。BLACK-BOX:なんとなく肩透かしというかそりゃないよと言う幕切れ。そんな乱入した観客がそんなことするなんて、警備はどうなっているんだ、と。あしあと探偵は連載終了が悔やまれる。もっともっと読みたかった、味わい深い作品だったのに。
筑摩世界文学大系〈1〉古代オリエント集 (1978年)
筑摩書房 (1978-04)
読了日:2017年8月25日
イナンナの冥界下りを読み、イシュタルの冥界下りとの類似と違いを楽しみ。ドゥムジとエンキムドゥで、ギルガメッシュ叙事詩にも出てきたエンキムドゥの姿を追う。/彼のバターはすてきだし、彼のミルクは甘いではないか/(もし)彼が彼の最上等のビールを私に注いでくれるとしたら、農夫には私の黄色いミルクをその代りに注いであげよう。(もし)彼が彼の甘いビールを私に注いでくれるならば、農夫には私のヨーグルトをその代りに与えよう。/
ちんすこう りな / 人間社 (2017-08-01)
読了日:2017年8月24日
シャンティブックスにて購入。twitterでの店主さんの紹介を見て、手に取った詩集。ぎょっとするタイトル、人が言わないことをそのまま放り出すように言うところあるけど、全体を通じて感じる淋しさ、ここに私はいるのに、と。ようこ、バイバイ、I love PAPAが個人的にはよかった。
傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)
小野 美由紀 / 幻冬舎 (2015-02-10)
読了日:2017年8月23日
cakesで、不倫の子の胸のうち https://cakes.mu/posts/12629 てエッセイを読み、強く惹かれたのがきっかけで、買ってしまう。自意識をこじらせてこじらせて、自分が何をしたいのかわからなくて、スペイン巡礼に出て、様々な出会いと気づきを得て、母親とも正面からぶつかって、そして、今、といった感じのエッセイ。/「特別である」ということは、決して自分と違う人のことを否定することではない、ということに、私はこの時まだ、気づいていなかった。/「特別になりたい」をやめると、自分の好きなものが、分かるようになる気がする。他人と共有できる、なにかが増えてゆく。特別な自分の代わりに、周りにある、うつくしいものを、愛せるようになる。/自分のペースを守りなさい。そうすれば、ある時、自分のペースと、社会のペースが、かみ合う時が、必ず来るから。/ブラジルには、「マオ・レゾルビーダ」という言葉がある。直訳すると「未解決の人間」。自分の家族や、人生の悩みを、解決していない人間を言うんだ。/弱さは強さの一部だ。/
ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
矢島 文夫 / 筑摩書房 (1998-02-10)
読了日:2017年8月21日
音食紀行に影響されて、手に取る。エンキドゥが、獣の乳を飲む、シカールと言う酒精飲料を飲む場面。ギルガメシュが、イシュタルに言い寄られるも、今までのイシュタルの悪行を並べ上げ、泣きながら天に帰るイシュタル、ギルガメシュを滅ぼせと親に泣き作って、完全に逆恨み...。シャマシュが天から呼びかけ「エンキドゥよ、なぜお前は遊び女を呪うのか、あれがお前に教えたのは、神にふさわしいパンを食べること、王者にふさわしい酒を飲むことだった」と言うシーン。が、印象に残る。これ一冊だけでは再現料理むずかしいなあ、と思ったのだが、他に参照資料があったのかな。
きまぐれオレンジロード 全18巻完結(ジャンプ・コミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
まつもと 泉 / 集英社
読了日:2017年8月20日
1-6,18巻読了。エンディングテーマが懐かしくて聴き込んでるうちに、本編も手に取りたく。けど知ってはいたけどあまりの優柔不断ぶりに、途中はすっ飛ばして、最後の巻へ。そうだった、こんな終わり方だったか、と。最後に、おれ、実は、というのはやはり打ち明けたのかな。
太平洋戦争 日本の敗因〈4〉責任なき戦場 インパール (角川文庫)
NHK取材班 / 角川書店 (1995-07-01)
読了日:2017年8月20日
牟田口中将の作戦はあまりに無謀、兵站無視の精神論、河辺司令官は情実を挟み制止せず。何万もの兵士を犬死に追いやった二人の罪は万死に値するが、二人を責めてそれで終わるのだろうか、という視点が貫かれている。兵站軽視、精神論重視は、士官学校の教育からしてそうなっており、また、エリートは誰も責任を取ろうとしない無責任な体制は、大本営からの「準備命令」と言う形に凝縮されている、と。対するイギリス軍は、若くても有能なら抜擢、補給を重視し、怪我をすれば飛行機で助けてくれるし、飛行機が食料弾薬を豊富に補給。今から見ても勝てるわけがなかった、と。そして、今も、インパール的な状況はそこかしこにある、という指摘は重い。以下備忘録的に。/昭和17年のビルマ占領時の英軍の敗退が英軍与しやすしの印象を与えてしまう/初回の昭和17年時のインパール作戦の打診については、牟田口中将は、地形の困難、道路網構築等後方整備が整わず、実施困難、と回答したが、これをのちに遮二無二インパール作戦に突き進む契機となってしまう/作戦の中身は是非論でいえば非だが、組織の論理ではやらざるを得ない/盧溝橋事件で日中戦争の発端を作ったからインパール作戦で戦争を終わらせたい、という個人的思い/制空権を連合軍に握られたことが大きな敗因の一つ/作戦案は参謀をはじめ全ての上級組織に否定された/ 大本営は反対だった、と言う謎/これではダメだろうと思いながら、兵員も補給もろくにせず軍を送り出す無責任/連合軍はインパール作戦の開始時期、経路をほぼ正確に予測していた/佐藤師団長の独断撤退。日本陸軍始まって以来。しかし河辺司令官は自身に責任が及ぶことを恐れ、軍事法廷にもかけず、心神喪失として処理/河辺司令官も牟田口中将も、戦後の回想で、互いに責任のなすり合いをしているのも問題だが、当時互いに顔を見合わせて何も言えず、ただ黙って気持ちを察してくれるのを待っていたとは、あきれた話/牟田口中将「日本軍というのは神兵だ。神兵というのは、食わず、飲まず、弾がなくても戦うもんだ。それが皇軍だ。それを泣き事言ってくるとは何事だ。」/河辺中将は、大将に昇進、航空総軍司令官の要職に。牟田口中将は、予備役に退いたのち、予科士官学校の校長に。作戦失敗の責任は、陸軍組織の中では一切取られなかった/今日にも跋扈する、日本的な組織における決定と責任の問題が、インパール作戦の中に潜んでいるのではないか。
本日のバーガー 6 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2017-08-16)
読了日:2017年8月19日
チョコソースを活かしたメキシコのバーガーから、日本でもっとハンバーガーを盛り上げようと、ハンバーガーフェスに奔走するストーリー、そしてアイドルとマネージャーの悩み相談まで。神宮寺さんの枠にとらわれない自由な発想がひかる。
絢爛たる醜聞 岸信介伝 (幻冬舎文庫)
工藤 美代子 / 幻冬舎 (2014-08-05)
読了日:2017年8月19日
三年前に挫折してたけど、昨日から再開したら、ぐいぐい引き込まれ。昭和の妖怪、と言われた政治家の評伝。中央の官僚としてメキメキ頭角を表し、かと思えば、私有財産の否定や、国粋主義者、北一輝の謦咳に接し。満州国の経営に辣腕をふるい、東条内閣では、商工大臣、国務大臣兼軍需次官としても活躍し、しかし、大臣辞職を拒むことで東条を退陣に追い込み、戦後は、戦犯として三年収監されるも復帰、あっという間に総理大臣まで上り詰め、周囲からの、あるいは国民からの悪評ももろともせず、安保改定にこぎつけ、退陣。その後も、憲法改正に燃えるが、その後の総理には引き継がれず。その思いが、今の安倍総理が引き継いだ、と。/数々の悪運の強さを自認し、権力とカネが大事、ただそのカネは必ず濾過したものを使えと言ってきた宰相/デモ隊のうち何人が古い安保条約を読んできたのかね、と嘆息する岸。/放漫な自由主義経済は弱肉強食に陥るから、ある程度計画的な経済、統制経済を指向。満州国の経済運営にも取り入れる/上級のものにめっぽう強いのが岸の持ち味/日産コンツェルンを満州へ呼び込み/里見、古海、甘粕、岸と阿片資金が流れたと言われるが確証はない/政治は動機良くても結果ダメならダメ、むしろ動機が悪くても結果よければよし、と言うのが本質では/
永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)
中島 らも / 文藝春秋 (1997-09-01)
読了日:2017年8月17日
燃え殻さん( @Pirate_Radio_ )の「ボクたちはみんな大人になれなかった」で、作中の彼女が読んでいたので読んでみたくなり。電算写植機の前で主人公がクスリのきまった状態で一晩過ごし、翌朝には小説ができてた、って紹介だったけど、その前に詐欺師な知人がからみ、社史の話から蔵書家の医師から啓示を受け、まさかこんな使われ方をするとは。それに乗った編集者もチャーミングで、あれよあれよのエンディング。蔵本の歴史のあたりは含蓄深かったけど、やはり様々なものが蓄積して絞り出されたものが一冊にまとまったあたりのシーンが心に止まる。
おひとり様物語(7) (ワイドKC Kiss)
谷川 史子 / 講談社 (2017-08-09)
読了日:2017年8月15日
ひょんなきっかけでバレンタインチョコを渡してしまったことがきっかけで、毎朝電車が一緒になるだけの丸山さんと花見に行くことになった北野さん。それが初詣になり、初めてお茶を誘われることになり…と。北野さんの背景が説明されるから、その踏み込めなさぶりはわかるけど、丸山さんは?丸山さんはどんな気持ちなのだろう。鈍いのか、天然なのか、わかっててやり過ごしているのか。あとは、まったく周りを気にしない先輩の一言に救われたり、年賀状にコメントがなかったことにこだわり続けてたのを緩めてくれたおおらかな同僚、話して初めてわかったリア充だと思ってた同僚の姿などなど。
AIの遺電子 07 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-08-08)
読了日:2017年8月15日
人身事故を起こした自動運転AIの結末。AIとだけ交流できた人の緩やかな回復。感情制御を破壊されるウィルスに感染した経験のある新聞記者。様々なトピックで、AIが生活に溶け込む近未来を描いて、考える一助になってくれる。
CD付き たそがれたかこ(10) 特装版 (講談社キャラクターズA)
入江 喜和 / 講談社 (2017-08-09)
読了日:2017年8月15日
そうかあ、言っちゃったかあ、という感想。反応も予想の範囲内だったけど、それでもこれでいいのだと思えて、ラジオにもうっかり送ってしまい、怒ったたということは、刺さったということ、きちんと受け止めたのでは、という返しがロックだなあ、と。娘のことも自分のことも、コーヘーくんやマキちゃん、美馬さんも含めて、明るい兆しを見せつつのラスト。個人的には、冒頭の、更級日記の授業を一緒に受けるシーンがいいなあ、と。中高年は振り返る、だからまだ何者でもない若者たちに憧れる、と。
ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック (アクションコミックス)
こうの 史代 他 / 双葉社 (2017-07-28)
読了日:2017年8月15日
海苔の養殖に目を止めた人、いまならバリバリ仕事してそうな径子さんの、きつい中にも愛情のこもった造形に惹かれる人が何人もいたこと。監督が、調べて調べて、原作者のこうのさんが作中に描いてたことは全部つきとめて調べて描いてんですよ〜という語りに、監督、それ初めからこうのさんに聞いて、と心の中で突っ込むシーン。こうのさんが、後半を左手で描いてたことに寄せて、篠原ともえが大好きな椿を描くときに、つばきの汁が筆にのらなくて、椿の花びらで和紙に描いた話しが記憶に残る。あとは、読みの精密さと多様さ。ラストの右手がふられるシーンや掃除をするすずを径子さんが軽く避けるシーンなどなど、様々なシーンに意味を込めて読み取る人びと。観終わってすぐに喫茶で語り合うのを聞くような楽しさでした。
かのひと  超訳 世界恋愛詩集
菅原 敏 / 東京新聞出版局 (2017-07-25)
読了日:2017年8月15日
超訳、ということだけど、全部原文からあたったのか、あるいは英訳を挟んだのだろうか。興味が湧く。もし英訳を挟むならもっと中東の詩人も取り上げて欲しかった。取り上げた詩人と対話するように訳を挟んだ箇所もあるようで、cakes上の原文と照らし合わせる根気と語学力があればもっと深く楽しめたに違いない。以下抜粋と雑感。/愛される1時間/それを味わうために/わたしたちは苦悩で/代金を払い続ける(エミリー・ディキンソン)//たった一度でも/愛の腕に抱かれたことがあるなら/おまえの人生は/おちぶれ くちはて うす汚れる ことはない(テオドール・シュトルム) // マリー・ローランサンの世界でいちばん悲しい女は、どこかで聞いたことあると思ったら、夏木マリ「鎮静剤」だった。/あなたの白い腕だけが/わたしのすべての地平線(マックス・ジャコブ)//巻末のバイオグラフィー、李白のがいちばん心惹かれた。
塩一トンの読書 (河出文庫)
須賀 敦子 / 河出書房新社 (2014-10-07)
読了日:2017年8月15日
膨大な書簡から中世イタリア商人の日常を活写した、イリス・オリーゴ「プラートの商人」。ペソア詩選「ポルトガルの海」、エッサ・デ・ケイロースの「縛り首の丘」所収の「大官を殺せ」、ボタン1つで遠い中国の裕福な大官を殺し、その富を受け取らないかという誘い。この3冊は、手にとってみたいと思った。関川夏央「砂のように眠る」に寄せた、"人が生きるのは、答えを見つけるためではないし、だれかと、なにかと、競争するためなどでは、けっしてありえない。ひたすらそれぞれが信じる方向に向けて、じぶんを充実させる、そのことを、私たちは根本のところで忘れて走ってきたのではないだろうか。"という一節が心に残る。
FEEL YOUNG(フィールヤング) 2017年 09 月号 [雑誌]
祥伝社 (2017-08-08)
読了日:2017年8月14日
16年後のハッピーマニアが読みたくて、購入。シゲタ、フクちゃん、すみれのそれぞれ。ハッピーマニアのエンディングも、読み手にはどちらとも取れるものだったけど。それぞれのうまくいってない結婚生活、相変わらずクールなフクちゃんとの苦いやりとり。そしてシゲタのケースはまさかタカハシ側から…と。to be continuedとあったけど、続くのかな?確かに、何も終わっていなかったけど。
北海道大学エスペラント研究会 / 北海道大学エスペラント研究会 (2016-10-20)
読了日:2017年8月14日
英語は政治経済の言葉で、エスペラントは友愛の言葉、というのは印象に残る。サハリン旅行記の部分は、現地の素朴な人柄が偲ばれる。エスペラント語についての講演にビラをまいてきてくれたサハリンの人は20人。エスペラントを広めて行こうという運動の最初の橋頭堡になるのか、期待したい。サハリンの歴史も簡潔に触れられて有益。エスペラント語自体は、ドイツ語やロシア語の要素が多いのかな、と素人目には思った。まあ、純粋に一からの言語創生というのはなかなかに難しいのかな、と。
桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(3) (アクションコミックス)
ぽんとごたんだ / 双葉社 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
今回の食材は、コオロギ、トド、亀の手、フグの卵巣、豚の脳みそ。トドのソルベは興味津々。どれだけの獣くささなのか。豚の脳みそは食べたことないが、羊の脳みそはプチプチとして淡白だった記憶が、、コオロギ…はあまり心惹かれないかな。亀の手の出汁は気になる。フグの卵巣の糠漬け…無毒化する過程の試行錯誤で何人も死んでいるのだろうなあと思わせるインパクト。毒のあるものを無毒化して食べるのって、すごい執念だなと思う。そして、糠漬けにすると毒がなくなるのはわかってるけど、なぜ毒がなくなるかのメカニズムは不明のままなんだとか。
テラモリ 7 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
クレーマーなお客さんの一言をきっかけに、いままであたためていたことが頭をもたげ、別店舗の応援に志願した高宮。着てるものを勧められる楽しさを覚えたが、それだけでは足りず…。まずはお客様目線ありき、様々なシルエットを日々見られる意味を考えよう、と。そして、就活も本番。いま大好きなことを突き進んでいくことに。副店長の昇進試験も大詰めを迎え、距離は縮まるのか。予告は波乱のようだけど。
響~小説家になる方法~ 7 (BIG COMIC SUPERIOR)
柳本 光晴 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
響の書いたラノベのイラストレーターとの対決、響の許可なく響のドキュメンタリーを撮ろうと目論むプロデューサー、文芸部の三年生引退前の最後の合宿。涼太郎が嫌う祖父江が店に来た時、コーヒー、といわれ、永谷園の茶漬けだして、涼太郎、豆変えた?フレンチ?てやりとりがツボ。才能だけでそこらの作家ども全員蹂躙したのどう思う?と問われ、別に何も。そう思ったのなら思った方がなんとかすればいいんじゃないの、と相変わらずの切れ味。周囲に正体がバレても私だからなんとかする、に、響ちゃん百年後に星座かなんかになってそう、というやりとりがいいなあと思った。
夢の雫、黄金の鳥籠 10 (フラワーコミックスアルファ)
篠原 千絵 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
イブラヒムのエジプト統治の成功、スレイマンの新たなる遠征計画、ヒュッレムの皇子二人、皇女の誕生、和気あいあいな子供たちと対照的にその先を見据える母たち。イブラヒムからの皇子たちへの後見に、ある条件をつけられて、ヒュッレムは…というところまで。スレイマン、イブラヒム、ヒュッレム、三者の思惑が次第にぶつかり合い、軋みを見せていく前兆。
槐 (光文社文庫)
月村 了衛 / 光文社 (2017-06-13)
読了日:2017年8月14日
中学生たちが合宿していたキャンプ場で突如始まった謎の勢力による虐殺。どのような経過をたどって、どう展開していくか、後ろ表紙の内容に興味を惹かれ、手に取る。半グレ集団、チャイニーズマフィア、などなど入り乱れての迫真の駆け引き、アクションも読み応えありながら、なるほど、その役割を割り当て、そのように展開するのか、というのは興味深く、ぐいぐい引き込まれ一気に読んでしまう。中学生たちも、凄惨な出来事をくぐり抜けて、ただ屈するのではなく、前とは違ったものを手に入れて進んでいく様が救いといえば救いか。ただ、解説の方、、、この本も著者の他の作品も、ネタバレがすぎやしないですか、と読んだあとに読んで良かったという思い。
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争〈下〉 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム / 文藝春秋 (2012-08-03)
読了日:2017年8月13日
アメリカ側については、トルーマン大統領、マッカーサー将軍に始まり、周囲の政治家、士官級にまで個人の背景が詳細に語られ、そこが持ち味でもあるのだろうが、冗長にも感じた。また朝鮮、韓国、ロシア側の声はアメリカ側ほど詳細には語られていないように思えたのは仕方ないことか。それにしてもマッカーサーの暴走ぶり、己の夢想のために現実を捻じ曲げ、恥じることない様は、確かに歴史がトルーマンに味方したとは言えるが、その悪影響を被った者にとっては筆舌に尽くしがたかったであろうと思われる。ただ、権力者たちが何を考え、どんな情報を活かし、また活かせなかったか、握りつぶしたか、そのために戦線がどうなったかは詳細に語られていた。また、彭徳懐の造形が一番心にのこった。常に兵士たちとともにあり、兵を守るために直言し、戦後は、農民の苦境を毛沢東に直言し、左遷され、文化大革命で殴殺される際も、自らのただしさを信じ屈せずに死んでいった愚直な将軍のことが。以下、備忘録。/毛沢東はソ連指導部にとって、自らの成果と自分が中国人であることにあまりに大きな誇りを持ち、独立心があまりにも強かった/毛沢東はマッカーサーと同じく現実のままの戦場ではなく、頭の中でこうありたいと願う戦場を見るようになった/死んだ同僚を運ぶフランス兵が、死に対して無感覚になり、何事もなかったかのように、時に笑ったりし、死者を悼む気配が感じられないのを目の当たりにしたアメリカ兵の驚き/中国軍は三日は強烈に戦えたが、それ以降は補給の困難、肉体的持久力の限界、巨大な米空軍力のために、敵との接触を断つことが必要となる/これこそ自らの目先の必要に合わせて歴史を書き換えるマッカーサーの真骨頂であり、国防総省の他の多くの高官も過去に何回となく対処しなければならなかったマッカーサーだった/若手の多くは、マッカーサーの命令無視、中国軍参戦の際に責任を認めなかったこと、軍に対する文民統制を故意に無視したことに激怒していた。/アメリカは参戦しないというシグナル、中国軍が参戦しないという誤った確信、毛沢東が自分の優位を過大評価し南進しすぎて損害を拡大したこと。スターリンが果実を得たかに見えたが、中ソ決裂の萌芽が生まれた/
早乙女選手、ひたかくす 3 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月12日
幼馴染に成長を実感させる一幕あり、サトルの組んだメニューが効いてる一幕、隠れて自主練してること、青春らしく肝だめしもありからの、インターハイ、というところまで。相変わらずストイックというか微笑ましいというか。
史記・三国志英雄列伝 ―戦いでたどる勇者たちの歴史―
井波律子 / 潮出版社 (2015-11-05)
読了日:2017年8月12日
十何年ぶりかに、本宮ひろ志「赤竜王」を読んで、その前後のことを知りたくなり手に取るが、簡潔な語り口にするする引き込まれ、結局、始皇帝から三国時代の終焉まで読んでしまう。通説を簡易に知李、流れを知るには良いと思った。
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争〈上〉 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム / 文藝春秋 (2012-08-03)
読了日:2017年8月12日
マッカーサーの予想に反し、北朝鮮軍の大攻勢、釜山周辺を残すのみに圧倒された後の、鮮やかな仁川上陸での痛撃、しかし、その後の警告を一切無視した鴨緑江を目指した進軍。マッカーサーについていえば、都合の悪い情報は全て無視し、こうあってほしいと言う思念を元に、現場からすると現実離れした命令を出し続け、失敗した後は、責任を政府に、部下になすりつけるという体たらく、と描かれる。もちろん、誤算は米ソ韓朝、各所であったのだが。/以下、備忘録。/戦場の現実と兵士自身が当面する危険と、東京に存在する幻想の世界があり、東京からは現実離れした威勢の良い命令だけが発信された。/アチソンの演説が、朝鮮はアメリカのアジア防衛ラインに入らないという間違ったシグナルを与えた/北朝鮮、ソ連とも中国の役割を小さくしたがっているのが見え見え/「朝鮮全土が失われた。われわれが唯一できるのは、人々を安全に出国させることだ」/マッカーサーにとって、他人を統治するルールは、自分にはけっして適用されなかったのである。
カスバの男―モロッコ旅日記 (集英社文庫)
大竹 伸朗 / 集英社 (2004-07-01)
読了日:2017年8月12日
アラビアンポップスが大音量でかかっている夕暮れの空気感、コーランのCDを昔買ったと言う一節、ブライアン・ジョーンズの「ジャジュカ」と言うアルバムにサラーム海上さんの本を思い出し、カオスの極限にはモンドリアンの「ブロードウェイブギウギ」すら複雑に見えてしまうほどシンプルな縦横の世界がどうしてもあるように思えてならない、という一節の魅惑。旅情に耐えかねて、読後即一ヶ月のモロッコ旅行に出かけた解説の角田光代さんの気持ちもわからぬでもない、と。たっぷりと著者のフィルターを通したモロッコに浸れる一冊。ただ、冒頭の手書きの世界地図、西サハラまでモロッコに含めてしまうのは...と思ったけど。
統計学が最強の学問である
西内 啓 / ダイヤモンド社 (2013-01-24)
読了日:2017年8月9日
ランダム化すればあらゆる事象を説明できるのと、事象の関連性を記す回帰分析が肝、と思った。その手法を自家薬籠中にできれば、と。また、ランダム化にも現実、倫理、感情の観点から適用できないケースもあり、疫学的手法が適切なケースも。完璧な実数調査とサンプル抽出したケースの間の精度の差異をどこまで許容するのか、1%の精度をあげるのにどこまで投資すべきか、考えること。ビジネスでは、分析した結果が利益やコスト削減に結びつくか、考えること(やって感心して終わりでは仕方ない)。また、誤差の範囲かどうかを示すp値の算出も重要、と。
明治の快男児トルコへ跳ぶ―山田寅次郎伝
山田 邦紀 , 坂本 俊夫 / 現代書館 (2009-01-10)
読了日:2017年8月6日
エルトゥールル号事件を契機に、日本各地で講演会で義捐金を募り、ついにはそれを持ってトルコに渡り、貿易に、日本から来る要人のアテンドに、スルタンをはじめとしたオスマン官界との交流を深め、日露戦争時には密かにボスポラス海峡からロシア艦隊を見張り、第一次世界大戦での日土間の関係が悪くなると帰国し、タバコを巻く紙の事業で成功し、また茶人としても流派をつぎ、身分の高い人のするものと思われていた茶道を庶民にも広めた、と八面六臂の活躍、すごい人がいたものだ、と。名が出る前の、森鴎外らとの酒飲み珍道中のエピソードはご愛嬌。以下備忘録的。/エルトゥールル号の怪我人の治療に、ジョン万次郎の息子中浜東一郎が関わっていたとは。/寅次郎の前に、野田正太郎という記者が義捐金を持ってイスタンブルに乗り込み、残り、士官3人に日本語を教え、その後数奇な運命をたどったことも初めて知る/アブデュルハミド2世から、トプカプ宮殿のおびただしい東洋美術工芸品を分類・目録作成するよう命じられたこと/トルコと日本の正式な国交は、トルコ共和國成立後、1925年に相互に大使館開設してから/アルバニア人の店で、羊の頭蓋骨に脳が入ったものを注文。またパチャをいうものを頼んだら、羊の腸、子羊の足、生々しい赤色のものなどが出てきた。/阿片は一度にやめるのは体によくない、と台湾で専売にしたため、それをトルコから送る取引に関わったこと。
さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記 (新潮文庫)
井伏 鱒二 / 新潮社 (1986-09-29)
読了日:2017年8月6日
ジョン万次郎漂流記、のみ読了。一度は、まとまってジョン万次郎のことを読んでみたいと思ってたので。漁に出て漂流、アメリカの捕鯨船に救われ、船員としての仕事、英語を覚え、アメリカ本土で教育を受ける機会に恵まれ、苦心惨憺し、日本へ帰還。幕末の動乱の中で、英語とアメリカ事情に明るいものとして登用され活躍した、と。帰ってきてから、明治を生きたあたりは、さらりと描かれていたので、その辺を詳しく書いたものも読みたい、と思った。
音食紀行 / 音食紀行 (2017-03-18)
読了日:2017年8月5日
#音食紀行 のイベントで購入。簡易レシピと簡潔なインカの歴史の紹介。個人的には、トウモロコシを発酵させたお酒「チチャ」と、インカ・コーラに興味が湧きました。文字を知らず、車輪を知らず、鉄器を知らず、それでも一時は強大な帝国を築き上げた、というのも興味深いところ。あと、無性に、久々に、ドイツのシンセサイザーユニットのクスコが聴きたくなった。
レシピ:音食紀行 , ストーリー:かげはら史帆 / 音食紀行 (2017-06-03)
読了日:2017年8月5日
#音食紀行 のイベントで購入。ベートーヴェンの無給の秘書を自認するシンドラーが語る、晩年のベートーヴェンという体裁で語られるストーリーと当時のレシピ。また当時の音楽家事情なども記され興味深い。魚が好きだったベートーヴェン、という造形。個人的には、言われてみれば納得だけど、聴力を失ったベートーヴェンが使っていた会話帳という史料が存在するということ、ベートーヴェンが喋って、相手が会話帳に書きつける、というやり取りのため、ベートーヴェンのセリフはほぼなく、相手の会話だけで想像するしかないこと、そして、100箇所以上改ざんしたシンドラーの心境などに興味を覚えた。
社畜! 修羅コーサク(2) (ヤンマガKCスペシャル)
江戸 パイン / 講談社 (2017-04-20)
読了日:2017年8月5日
徹頭徹尾おかしい。特技がとんちの中途採用新人。その歓迎会での大人気ない先輩たちの対立を、自分が学生時代、クラスのマドンナに告白してこっぴどく振られ、身の程知らずの勇気があるから勇気くんだ!と3年間呼ばれ続けたエピソードで収めたり、取引はしましょう、その代わり「いのちください」しか言わない、悪魔の取引先から、取引成立と生還をもぎ取ったり、「リンガーハット県」への出張にバスツアーを組まれてしまい、取引先の担当者がカピバラに似過ぎていて笑いをこらえるのに必死な中、なんとか取引をまとめてきたり、なんとか就業時間中に居眠りさせて陥れてやろうとする先輩に、エクストリームな社畜居眠りで切り返したり、最後は、コーサクが左遷された理由の一端が明らかになったり。あいかわらず目が離せない。
わたしが人魚になった日 (マーガレットコミックス)
岩館 真理子 / 集英社 (1985-08)
読了日:2017年8月3日
思いの届かない、もの悲しげな短編が多く、また余白が多くて、想像力を刺激される。省略された描写に何が込められていたのだろうか、と。
キングダム 47 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2017-07-19)
読了日:2017年8月2日
趙の国門、列尾の陥落、飛信隊の初陣のものたちへのケア、王翦の軍略変更、そしてさらなる進軍。李牧と王翦の戦略のぶつかり合いが見ものだった。
ドバイがクール―世界ナンバーワンずくめの楽園都市 (Jujiroブックス)
槙島 公 / 三一書房 (2006-01)
読了日:2017年8月2日
ドバイに興味を持っていたので手に取る。発行は2005年と、リーマンショック前。その後、どうなったのかも気になるところ。この本に書かれてることは、全ていいことだけだったから。国民は裕福で優しく、お金のかかったレジャー施設が目白押し、買い物も便利で、各国料理が取り揃い、戒律も厳しくなく、西欧世界とは異なったイスラムの考えの元で女性も生きやすい、と。/淡水化装置で海水を真水に。天然の海岸が70kmしかないなら、人工の海岸を500km作っちゃった、とか。漁村だったころを知る人は、家族が出稼ぎに行かなくてよくなって嬉しい、と語り、都会育ちの青年は、疲れた時にリラックスしに、砂漠の真ん中のウッドテラスに来る、と。


chokusuna0210 at 21:02|PermalinkComments(1)clip!

2017年08月06日

音食紀行 in 札幌 2017.08.05

昨日。

札幌では初開催!「歴メシ!」の著者、遠藤雅司さんのイベント、音食紀行に行ってきました!
世界の歴史料理を美味しく食べる、再現料理でタイムトラベル!という本のポスターに違わぬ内容。

【お品書き】
■料理
1.サラ・カッタビア(クルトン、コンビーフなどあしらった古代ローマ風チキンサラダ) - 古代ローマ
2.(鶏のフォンがベースの)オニオンスープ(お好みでパルメザンチーズをかけて) - 19c仏
3.(りんごの甘味がソーセージの旨味を引き立てる)フランケン風焼きソーセージ - 19c独
4.(アーモンドとナッツの食感が楽しい)中世風アーモンドライス(お好みで塩、ハチミツをかけて) - 中世英国
5.トロネ風サメのステーキ(ハーブ塩をあしらった) - ギリシャ
6.メルス(古代メソポタミア風ガレット、ドライフルーツ&にんにく入りの古代スイーツ) - メソポタミア
7.(レモンたっぷり)コメルシー風マドレーヌ - 18c仏
8.(香辛料たっぷりなメディチ家由来の)オレンジシャーベット - 16c伊
■ドリンク
・古代ギリシア風フレーバーウォーター
・1530年ミラノ風オレンジジュース
・ニンカシ風ビール
・ヒポクラテスの袖(中世スパイス入りワイン)


C0E512A9-8CA6-4632-B344-F609623D9F3E

古代ローマ風チキンサラダ、オニオンスープ、メソポタミア風ビール、ギリシャ風フレーバーウォーター、ミラノ風オレンジジュース

CAE93141-59DA-4DC7-942C-0A2A6FCC807E

フランケン風焼きソーセージ、サメのステーキ

IMG_0566

ドリンクもアレンジ次第でバラエティ豊かに。

72CAFBA8-B961-467A-B2D4-57AE974AE43E

メソポタ焼き、レモン風味が爽やかなマドレーヌ、香辛料の聴いたオレンジシャーベット

個人的には、アーモンドライスが大ヒット。ご飯好きだからもあるけど、ナッツの旨味に、塩、ハチミツを合わせると至福。また、本読んで食べたかったりんごと焼きソーセージの取り合わせも大ヒット。摩訶不思議な風味のソーセージと、甘みが溶け出して酸味が強調されたりんご、それらの合わさったスープのハーモニーが絶妙。初めて食べたサメ肉も、淡白な味わいの内側と、パクチー、ナンプラーが強調された外側がマッチしてました。再現料理、と言ってもレシピ優先ではなく、いかに美味しく食べれるかに腐心しているとのことで、どれも美味しかったです。あと、特徴としては、歴史再現料理はシナモンが大活躍です。

この日は、夕方の部に参加だったのですが、参加者3人で、アットホームにいろいろ話しながら、あるいは著者の方のお話聞きながらで、ゆったりと楽しめました。バックで流れる古代メソポタミア音楽、フランスバロック音楽も心地よく。また札幌で開催されたら、絶対駆けつけたい、そして、イベントが長く続くように、周りの人たちにもオススメしまくりたくなってる心境。


chokusuna0210 at 09:01|PermalinkComments(0)clip!音楽 本・CD 

2017年08月01日

2017年07月に読んだ本

期間 : 2017年07月
読了数 : 49 冊
ミザントロープな彼女(2) (アフタヌーンKC)
厘の ミキ / 講談社 (2016-11-07)
読了日:2017年7月29日
転校生として、末代さんがはっきり振ったはずの、櫟ちゃんが騙された、本屋王子がやってきてさらに混沌な状況。帯の「恋愛下手くそ」の前に人としてどうなのて感じのコミュニケーション不全。なのに、紆余曲折を経まくって、花火をバックに最後の一言は…と。
ミザントロープな彼女(1) (アフタヌーンKC)
厘の ミキ / 講談社 (2016-07-07)
読了日:2017年7月29日
ストーカーのイケメン男子小千谷くんを救ったばかりに懐かれたコミュ症美少女末代さん…という惹句にひかれて読み始めたが想像以上にドタバタ。小千谷くんの暴走ぶりがなかなかにすさまじく。好意がベースとしてもなかなかに辛いものが。末代さんのお母さんのぶっ飛びぶりも印象に。そっちの都合で勝手に告白しておいて、心の決着にまで突きあわされるとは...という末代さんのつぶやきがクール。
社畜! 修羅コーサク(1) (ヤンマガKCスペシャル)
江戸 パイン / 講談社 (2016-09-20)
読了日:2017年7月29日
バカバカしすぎるんだけど、バカバカしすぎておかしい。東京から墓多に左遷された図画コーサク。ピヨコを東京銘菓と言えば絡まれ、バランス釜にやられ風呂に入れず、仲良くなったと思った先輩には大事な取引先の前で裏切られ、御局様にはなんとか気に入られ、一発ギャグが認められないと取引できない取引先の元では奮闘するも、最後に謎のこだわりを見せ...と全編これでもかと理不尽な目に合わされつつ、社畜ゆえ身につけた能力で乗り切る、と。理不尽なことに耐える耐性が強すぎて..よく壊れなかったなあ、とそっと心で涙を拭う。バランス釜...一度私もそういう部屋に当たったことあって、その苦労は大変共感できました、バランサーです。
ナリワイをつくる: 人生を盗まれない働き方 (ちくま文庫)
伊藤 洋志 / 筑摩書房 (2017-07-06)
読了日:2017年7月29日
無駄な支出を削り、自分の手で広く浅くでもできることを増やしていき、世間への、世界への違和感を大事にし、トライ&エラーで少しずつナリワイを作っていく。書くと簡単そうだけど、到底できそうにない、と思ってしまうあたり、きっと思考停止しているのだろう。とっかかりを作って、徐々に徐々に、と思いつつ。刺さってくるのはそうできてないから。そういう意味ではいい刺激を受けた本。/以下、目にとまったところ。大正時代の調査によると当時の職業は35,000種。最近の厚生労働省の日本標準職業分類によれば2167種。/未知の経験がどれほど難しいかは、小刻みに調べていけば、大抵は解決可能/頑張るというのは一つの思考停止/本来やりたいことのためにお金を稼ぐことだけ考えてやる仕事、という後ろ向きな捉え方で仕事をしない方が良い/Etsy - 手作りの品物を取引できるサイト/仕事は雇用でなければならない、専業でなければ一人前のプロではない、事業は拡大しなければならない、お金がないと何もできない...これらの幻影を私たちは一個一個解き放っていく必要がある。/
歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる
柏書房 (2017-07-24)
読了日:2017年7月28日
音食紀行というイベントの予習のために購入。古代メソポタミア、古代ギリシア、古代ローマ、中世ヨーロッパ、などなど、歴史上のレシピから作った料理を食べてみようという企画。以下雑感。/野菜だし、にんにく入り焼き菓子、パンとビールが生活の中心のメソポタミア人。西洋粥、サメのステーキ、豚の血、うんざりさせられる味のスパルタのスープが興味をそそられる古代ギリシア。プルス(麦粥)に心惹かれる。当初は粥を食べる未開人と言われていたローマ人。各時代のちょっとした飲み物コラムも良い。カッテージチーズが酢と牛乳でそんなに簡単にできるとは。アスパラガスが古代では利尿作用、中世では痛風対策に用いられていたとは。ルネサンス期の貴族は、農民を「野菜食い」とバカにしていたが、のちには王様から農民まで皆、野菜食いになった、と。ルイ15世の妻マリー・レクザンスカの冷えたイチジクとメロンを食べ過ぎたり、15ダースの牡蠣を飲み込んで死にかけたり、ってすごいエピソードだな。/個人的には、西洋粥と、コンポートと焼きソーセージの取り合わせが食べてみたいかな、と。そして続編が出るなら、イスラム世界、とりわけオスマン帝国、ナスル朝あたりも取り上げてもらえると面白いかな、と。
ホー・チ・ミン―民族解放とドイモイ (現代アジアの肖像 10)
古田 元夫 / 岩波書店 (1996-02-05)
読了日:2017年7月28日
高森純一郎「疎遠なる同胞」「国家を背負って」に影響され、ベトナム熱。「国家を背負って」にはちらりと名前の出てきて、ホー・チ・ミンの概論を知りたくて。以下目にとまったところ/フランスについたホーチミンは「フランスにもベトナムのような貧しい人がいる」「フランス本国のフランス人はインドシナのフランス人よりも本当に丁重で礼儀正しい」という重要な発見をし、その後の思想形成に大きな意味をm持った。/1941年にベトナムという枠組みが「復活」した時、狭い意味のキン族主体のベトナム人だけではなく、ベトナムにすむ少数民族を包摂したものとなった。/ホーは自らが合理的と考えても、多数が納得していない方式を、権力を背景に強制することには慎重であった。(p.134)/ベトナム戦争における何よりも大きなホー・チ・ミンの功績は、冷戦時代に戦われたこの戦争を共産主義者と自由主義的ナショナリストの抗争としないで、ベトナム国内でも世界でも、基本的にはアメリカに対する独立と統一を求めるベトナム民族の戦いと認識されるような状況をつくりあげたという点にあると思われる。(p.163)/南ベトナムの軍事的力関係はテト攻勢よりもむしろ悪くなり、この劣勢の挽回に数年を要することになったのである。(p.170)
ボクたちはみんな大人になれなかった
燃え殻 / 新潮社 (2017-06-30)
読了日:2017年7月27日
読み終えたの3回目。きっとまた読み返したくなる。
凪のお暇 1 (A.L.C.DX)
コナリミサト / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年7月26日
何ごとも空気を読んで合わせてたつもりが、同僚にも彼氏にもひどい扱いを受けていたことを知り、発作的に退職、引っ越し、全てをリセットした凪。言いたいことも飲み込んでちゃ今までと同じだ、と、ハローワークで、見た目いかついお隣さんに、追ってきた元彼に、気持ちを伝えたことで少しずつ少しずつ良い方に変わり始め、、、と。
アフタヌーン 2017年 09 月号 [雑誌]
講談社 (2017-07-25)
読了日:2017年7月25日
ミコさんは腑に落ちない。今回は結婚してくれない彼氏の相談をしたい友達の相談に乗りつつ、エンさんの元職場で女子会。シュウさんの直球ド正論のバッサバッサ斬りが心地よく。宝石の国は、ますます佳境に。月でのことを覚えていないことにしたフォスだけど、隠しきれるものではなく、先生のさらりとした反応も疑念を呼ぶ。四季賞の「捨身-photograph」は本当に体張ってて、いっそ清々しく。波よ聞いてくれ。南波さんの天かすと卵と春菊の丼に涙するミナレさん、己のだらしなさを悔いつつ、締め付けられるとニュルンと押し出されることも自覚。イサック。ついに仇敵と対峙、そして日本に残してきた事情も明らかに、この因縁はしぶとく続きそう。ブルーピリオド。進路に迷う主人公にかけられる「でも好きなことをする努力家は最強なんですよ!」という言葉。フラジャイル。余命の少ない少年に、癒し系だね、と言われる岸。それは初めて言われたな…と語られるシーンが印象に。
アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章 (エリア・スタディーズ140)
小澤実 , 中丸禎子 / 明石書店 (2016-03-16)
読了日:2017年7月24日
グリーンランド分を中心にざっと読了。当時のECから、1982年にグリーンランドだけ投票でEC域外化を決めたとは寡聞にして知らず。Nuka K.Godtfredsen「第一歩」(2009)という漫画が、グリーンランドの歴史を描いてるそうだが、日本語、せめて英語で読めるのだろうか。ビュークのダンサー・イン・ザ・ダークのサントラ、聞いてみたくなった。村上春樹「ノルウェイの森」「国境の南、太陽の西」「スプートニクの恋人」「神の子どもたちはみな踊る」がアイスランドで翻訳紹介され、著者もレイキャビクの文学フェスティバルに登場し、合わせて、現地の作家に影響を与えているのだとか。「知の巨人」でジャレッド・ダイアモンドが語っていた、1400年代に滅びたノース人、の記述はあまり見当たらず。学術的には、ノース人、ヴァイキングという呼称があり...とあったので、文献によって定まらないところもあるのかも。
舟を編む 上巻 (KCx)
雲田 はるこ / 講談社 (2017-07-07)
読了日:2017年7月23日
原作のテイストが活かされてて、まじめもかぐやさんも西岡さんも荒木さんも、生き生きと動き回っていて、いいなあ、原作ももう一回読み返したくなった。雲田はるこさんだからか、西岡さんが、落語心中の与太郎とときどき重なる。
観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)
亀田 俊和 / 中央公論新社 (2017-07-19)
読了日:2017年7月23日
尊氏将軍に就任直後は、ほぼ全ての政務を直義が仕切っていた。それは鎌倉期、建武新政期を踏襲する側面が濃かった。高師直も横暴な悪人だったとするイメージは一次史料を見る限りは当たらず、鎌倉末期の御内人の立場からの振る舞いであった。観応の擾乱を通して二人が没落、死去したことは、そういった鎌倉、建武新政期の政治からの断絶、革新、という意味あいがあったこと。それにしてもこの尊氏・直義兄弟の不思議なところは、ここぞという勝負どころで無気力・消極的になってしまうところ。本心では身内とは争いたくないのに、心ならずも担ぎ上げられてしまったという側面もあるのだろうか。それなら最初から争わなければいいのに、と傍目には思え、理解に苦しむ。人間くさいといえばあまりに人間くさい。ヘッドがそんなんだからか、支持勢力も通説では尊氏党、直義党と確固としたものが語られるが、仔細に見ると、ひどく流動的というのはむべなるかな、と。以下備忘録的に。/尊氏はの義詮、直義派の桃井直常、石塔頼房くらいしか主戦派存在せず、両軍の総大将尊氏、直義以下ほぼ全員に厭戦気分が蔓延しているのに対立が治らない不思議な戦争。/皮肉なことに幕府の窮地に直面したため47歳にして征夷大将軍としての尊氏の真価が開花しだした/義詮が京都を奪われたのを無能の証とする説があるが、それも含め、講話条件を一方的に暴力で解決しようと破ったのは南朝側であることは指摘しておきたい。/観応の擾乱は、尊氏ー師直の恩賞、守護職の分配に不満を持つ武士が、直義に接近しつつあるところに、足利直冬の処遇問題が複雑に絡んで勃発したことに求められる/"努力すれば報われる。この場合の「努力」とは幕府への奉公を意味するが、幕府がこのような信頼を得た意義は大きい。忠節を続けていれば、必ず何らかの形で権益を与えられる。万一敵対しても、帰参すれば決して悪いようにはされない。自分が殺されたとしても、最低限、家の存続は許される。"(p.248)
ロマネ・コンティ・一九三五年 六つの短篇小説 (文春文庫)
開高 健 / 文藝春秋 (2009-12-04)
読了日:2017年7月23日
ヤマザキマリさんの講演会で興味を持って、玉砕ける、を読みたくなり手に取る。革命後の知識人の暮らしはどうですかと問われ、はぐらかしにはぐらかし続けた老舎が、三時間に渡って微に入り細に入り、地方で振る舞われた料理を描写して去ったエピソードの寓意から目が離せなかった。他の短編は、阿片、釣り、エロ、ワインを媒介に語られる官能と言った趣か。コクトー「阿片」が読みたくなった。新聞記事に、墜落事故死のスチュワーデス、蝶になって戻る、が新聞の一面になるのを嘆く現地の記者に、日本の新聞のベトナム戦争の書きっぷりよりよっぽどいい、と返すアイロニーも目に止まる。本当のことはちょっと言えない方法で書いてもらった「寿」の字を、大新聞の広告にでかでかと乗せた茶目っ気のエピソードも。
西荻窪ランスルー 3 (ゼノンコミックス)
ゆき林檎 / 徳間書店 (2017-07-20)
読了日:2017年7月22日
今回は、新人の子が、というよりは、群像劇。ベテランの日向野さんに巡ってきたキャラデザの話し。四年目で伸び悩む今野さんをめぐる本人の葛藤と周囲の気遣い、厳しさ、温情。忍耐と根性だけでは乗り切れない壁と、中途半端な優しさよりはっきりとした評価。最後は、ぶりっ子で媚びてると言われながらも、一匹オオカミで、したたかにやりたいように仕事を進めていく子の話。悪口や愚痴、噂話みたいな薄っぺらい会には興味が持てず、体力じゃ男に叶わないから愛嬌というべきことははっきりとして、まわしていく、と。場面場面で自分の仕事のやり方をかえりみてしまう。
夏の闇 (新潮文庫)
開高 健 / 新潮社 (1983-05)
読了日:2017年7月22日
ベトナムとベルリンを舞台に、ベトナム戦争に従軍し、激戦を生き延びたために、ひたすら眠り眠り、食べて飲んでまた眠る、昔付き合っていた女性と再開、同棲した後は、それに性交が加わり。ほぼひたすらそれらのみ。いかに主人公に深い打撃を与えたのかを描きたかったのか。そして、最後は、制止も振り切り、また元の戦場へ戻っていくことが示唆されて終わる。ねっとりとした熱帯の沈みゆくような捉えどころのなさ、深淵、そのくびきから逃れられない。「私は読めないし、感じられないし、考えられない。ねっとりとしたクリームのような睡気が身体のなかにひろがっていて、角張った荷物が泥に沈むようにして私は沈んでいくだけである」「あなた一人がヤキモキしたって、要は歴史の消耗品よ。そんなこと、一から十まで知ってるくせに、あなた、愚直だから自分が避けられないのよ」「あなたは冷酷については慣れていらっしゃるけど、優しさについては不器用そのもよ。もう追及しないわ。どこへでもいらっしゃい」
サトコとナダ 1 (星海社COMICS)
ユペチカ / 講談社 (2017-07-08)
読了日:2017年7月19日
アメリカに留学した日本人女子大生サトコのルームメイトはサウジアラビアから来た女子大生だった、というシチュエーションから興味津々だけど、ナダの聡明でチャーミングな様子に釘付け。誕生日を盛大に祝ったりしないぐらいならまだしも、被り物の事、恋愛結婚がほぼないこと、日に5回礼拝することも、誇りを持って、自分のためにそうしていたり、良い側面もあること、自国や自国の文化かわいそうと言われたくない、というのが印象に残った。サトコの最初は戸惑ったりびっくりすることがあっても、理解しようと寄り添う柔軟な姿勢も暖かく。サトコがアラブやイスラムの文化に興味を持ってくれて嬉しい、というナダに、違うの、私はナダのことが知りたいの、普段は赤ちゃんみたいなのに本当に嬉しいことを言ってくれるとナダがよろこぶシーンが一番印象に残る。
日本人失格 (集英社新書)
田村 淳 / 集英社 (2017-02-17)
読了日:2017年7月19日
”今いる場所がしんどければ一旦離れるべき。執着する必要はない。離れたところから見て何かが見えてくるかもしれない。/最澄の「一隅を照らす」の解釈、自分が何者であるかを知り、譲れない核をはっきりさせ、個を認識し、個を磨くことでやりたいこと、やれること、やらなければならないことが見えて、それらに必死こいて取り組むことで一隅を照らす、と。/自分が何をしている時に楽しいか思い出せばいい。才能と好きなことは近くにあるように思う。/”為末大氏にこっちの道もあればあっちの道もあると示すことのできた指導者のエピソード。/巨大な怒り玉を持っているがために、どうしてもネガティブな考え方や行動しか取れない人は無理やりにでも捨てろ、そう考えた方が楽になる。
江川と西本 2 (ビッグコミックス)
森高 夕次 / 小学館 (2015-10-30)
読了日:2017年7月17日
この巻は次から次へと登場人物が出てきてタイトルの二人の印象が薄いような。もちろん、西本をドラフト指名すると言って巨人がしなかったのは大きなエピソードだったけれど。定岡の人気は伝説的で印象に残る、個人的にはバラエティによく出てた頃の印象しかなかったので。
おんなのいえ(8)<完> (KCデラックス BE LOVE)
鳥飼 茜 / 講談社 (2016-10-13)
読了日:2017年7月17日
読み終えて、いろいろ回り道、やりたいことをつかめた感ある、入り口にたどり着けたありかには拍手を。自分で選びついていくことに思い切ったすみかにも。個人的には川谷さんが面白かったなあ。悟りきっているようでいて、隙があって、自分はそんな風にならないと言いつつ、はまったり。小顔で綺麗な二十歳の女の子にバッサバッサきられるシーンが印象に。何かから自由に生きているつもりかもしれないけど、見る人が見たらキモいんだよ、と。
BLUE GIANT SUPREME 2 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月17日
ミュンヘンで、一人で演奏会することに、やり尽くしたという思いを抱いたダイ。組みたい人を見つけるためにライブハウスを周り、ついに見つけた強い音楽を紡ぎ出すベーシスト。しかし直球のお誘いはすげなく断られ、近くハンブルクに行くという言葉を頼りにハンブルクへ。邂逅まであと少しというところまで。居候させてくれたクラスの語ってくれた、タバコを一本ずつめぐんでもらおうとし、いざという時に助けてくれたジョージア人のエピソードが印象にのこる。世界はこうやって回していかなきゃいけないんだ、と。
クロコーチ(19) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2017-06-29)
読了日:2017年7月17日
東京タラレバ娘(9)<完> (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2017-07-13)
読了日:2017年7月17日
タラレバの反対は「から」、後悔じゃなくて感謝、響くなあ。あと、この人に幸せになってほしい、もし私が幸せにできなくても、誰かが幸せにしてくれればいい、それが愛ってもんだろ、も。ドラマの時もそう思ったけどやっぱり早坂さんオトコマエ。最後のタラレbar相談4連発も重く受け止めつつ。あとがきを読むと、keyの叫びは作者の叫びだったのかな、と。
リバーシブルマン(4) (ニチブンコミックス)
ナカタニD. / 日本文芸社 (2017-01-28)
読了日:2017年7月17日
通訳日記 ザックジャパン1397日の記録 (文春文庫)
矢野 大輔 / 文藝春秋 (2016-09-02)
読了日:2017年7月17日
『通訳日記 ザックジャパン1397日の記録』を読んで思うこと 〜 いずれリーダーになる全ての人へ 〜 http://blog.livedoor.jp/kgo_number10/archives/1066558772.html に触発されて。確かに結果は出なかったけれど、リーダーとして部下に接する様は、部下としてこれほど理想的な上司はいないと思わされる。各選手のことを本当によく見ていて、それが選手に伝わるように言葉で伝え、それを選手も感じている。どこが強くて、どこが弱いか、どうすれば大舞台に出ていけるのか、今日のプレーで足りなかったものは、そして選ばれなかったもの、不運にもケガに泣いたものへも、ちゃんと見てるから腐らずやってくれと伝える。確かにモチベーション上がるなあ、と。/「情熱がなければやっていけない。興味が湧かないことを続けていても仕方がない。」「向上心を持たなくなった瞬間、そのチームは右肩下がりになる」「結果だけを見るのではなく、ピッチ上で何が起こったのか、なぜ起こったのかを冷静に分析する必要がある。でなければ、そこから抜け出せない」/そして最後に監督から通訳への感謝の言葉、大輔のおかげでノーストレスで自分の仕事に専念できた、と。こんなん言われたら本当意気に感じるしかない。
ニルスのふしぎな旅 (講談社青い鳥文庫)
セルマ ラーゲルレーフ / 講談社 (1995-04-15)
読了日:2017年7月16日
ヤマザキマリ講演会で取り上げられたのに触発されて。子供のころアニメで見たきりで忘れていたのを、再び手に取る。いや、もう、ニルスいきなり心入れ替え過ぎ、と思いつつも、小人にされたニルスが、ガチョウのモルテンとともにガンの群れの旅に加わる旅行記を読み進める。様々な土地で、事件を解決したり対決したり役にたったり、さらわれて逃げ出したり、少しずつオムニバスの形式で続く物語。自分のいる小さな村から飛び出て、様々な生き物の視点に触れつつ。「なんだってそんなにあわてるの。雨はパンやお菓子だってわからないの」と人間を戒めるガンの感覚。最初は反目していたのに、途中からは、群れのみんながニルスのことを大好きだし、命をかけて守る、と宣言されるまでに、仲間として認められたニルス。「人間は、大きな土地を持っていますね。ですから、わたしたちあわれな動物が、平和に暮らしていけるような、わずかな土地を残してやろうという気持ちになってほしいんですよ」と語るガンの群れの親分。最後に、人間に戻ってニルスが家に帰ってきたシーンは印象にのこった。
LIMBO THE KING(2) (KCx)
田中 相 / 講談社 (2017-07-07)
読了日:2017年7月16日
二人で組んでの眠り病患者へのダイブ、そこで得られた仮説、一線を引いた研究者への協力依頼、伏せられていた眠り病の原因、次の発生患者の予測、そして…と。最後のページ、どう切り抜けるのか、切り抜けられるのか。しかし、禁忌に触れた、という指摘には重いものが。
今日はヒョウ柄を着る日
星野 博美 / 岩波書店 (2017-07-06)
読了日:2017年7月16日
ヒョウ柄ファッションからどんどん進んでいく妄想。日中のほとんどをコーヒーショップで過ごすのだが、その話は長すぎるので割愛すると言いつつ別の章でさらりと語られたり。自分たちの都合で、虫のいいメッセージを老人たちに送りつけているのでは、という問い。子供に優しいだけじゃやっていけない、買ってくれない客には日に日に厳しくなっていく商店街の側面。香港の早朝から鳥かご持参で喫茶店にやってきて日がな一日そのさえずりに目を細めるおっちゃんたち。自分は覚えているのに、相手が記憶を抹消している、愛も記憶も多い方が寂しい思いをする、という一章。祖父が死んだ日の記憶が家族で食い違い、「その記憶が必要だったんでしょう」と諭す次姉の言葉。キリスト教にまつわるオカルトと言えばオカルト、ただの偶然といえばそうも取れるエピソードなど。星野さんの自分とは異なる視点にハッとさせられ、ユーモアにくすりと笑わされ。
高森純一郎 / 高森純一郎 (2017-05-07)
読了日:2017年7月16日
高森純一郎氏( @takamori_j )の最新作。1979年、中越戦争時に、ベトナム側、中国側で平和交渉を担った二人と、その二人が1930年前後のパリで同じ職場、読書会で集っていたことが語られるストーリー。読書会に集うのは、ベトナム人、中国人、フランス人、イタリア人。また主人公のベトナム人アンも、画家を目指すドイツ人や画家のところに勤めるドイツ人と交流を深め。同じ著者の「疎遠なる同胞」と続けて読むと、サイゴン陥落前から、中越戦争の頃へと時間がつながって感じられる。また、続けて読むことで、〇〇人だからこうだ、あるいは白人だから黄色人種だから、ヨーロッパ人だからアジア人だからこうだ、なんて一概には言えないこと、しかしその考えはなかなか広く共有されない、ということが語られているように思えた。読書会で様々に語られるシーンは、個人的には、梨木香歩「村田エフェンディ滞土録」を思い出させてくれた。自由、平等、博愛を掲げたフランスのやったことが、インドシナでの苛烈な植民地支配であり、ヨーロッパでのアジア人差別か、と繰り返し非難されるが、きっと、それだけでは何も変わらないのだろう。それを受けて、どうするのか、と。隷属は望まぬが、不要な争いはさらに望まない、という姿勢でベトナムの独立運動を支えるフェリー神父の造形が印象深い。また、アンとロングンの最後の対話も、寓意に満ちた政治的寓話のようで何度かみしめても味わい深い。
AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-06-08)
読了日:2017年7月16日
未解読文字を発掘するもAIに任せず人とヒューマノイドで解こうとするふたり。即身仏になり悟りを得ようとするヒューマノイド。嘘をつきとおす道具は揃っていると豪語して患者にうその記憶を植え付けて人生の支えにしている同業者。人にとって便利でありがたい反面、活動領域が狭められる可能性も示唆していることは確か。
三分間のアニミズム (ビッグコミックス)
サメ マチオ / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月15日
家電が調味料が月が…さまざまなものが語り出す、オムニバス形式のシリーズ。自分の身の回りに置き換えるとちょっと楽しい。
スティーブ・ジョブズ(6)<完> (KCデラックス Kiss)
ヤマザキ マリ / 講談社 (2017-07-13)
読了日:2017年7月15日
完結。アップル暫定CEOからCEOへ。インテル製のCPUへと舵をきり、iMacのリニューアル、iPod、iPhone、iPadと立て続けにリリースし、世界に衝撃を与え、ハーバード大での歴史的なスピーチをし、若くして世を去るところまで描かれる。あれだけの革新を起こした人でも、ガンの罹患に当たっては代替医療に走り、貴重な時間を使ってしまったのは、どうして、と思ってしまった。「でも自分で自分を食わなければ誰かに食われるだけだからね」(SONYがiTunesを生み出せなかったことに触れて)/「これから全員夜も週末も働かなければならなくなった 希望者には銃を配布する」には言いそうと思うと同時に、笑ってしまった、が現場で言われれば凍りつくかもだけど、それでもついていく魅力と力強さがあったんだろうな、と。
真昼のポルボロン(1) (BE LOVE KC)
糸井 のぞ / 講談社 (2017-06-13)
読了日:2017年7月15日
9年前、自分を捨てた父と、一夏暮らすことになったるつぼ。決してなにもしゃべらないと心に決めたるつぼだったが…。経緯だけ見ると、捨てた、というよりは、捨てさせられたようにも思うが、子供にとってはきっと同じこと。大嫌いと思っていたのに、なぜか雄弁な表情を読み取ってくれたり、好みを把握してくれたり。そして居候の同居人、隣家の幼なじみなど、周りの大人にもめぐまれ…てところで、嵐の祖母登場というところまで。
忘却のサチコ 10 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月14日
札幌人としては、さえらの登場回は嬉しかった。ラムしゃぶも美味しそう。他には、持ち込みの素材を蒸せる地獄蒸しが気になったかなら。地獄めぐりに鍾乳洞、関鯖の入手まで詰め込まれた大分編が大変そうだった。
女騎士、経理になる。  (5) (バーズコミックス)
三ツ矢 彰 , Rootport / 幻冬舎コミックス (2017-06-24)
読了日:2017年7月14日
農奴たちが商売でのし上がって、お金は鋳造された自由だ、と述べるシーン。誠実すぎる元貴族と、高貴な家の出の元内務大臣夫人の、正直さのぶつけ合いからの急接近が印象に。
エマは星の夢を見る (モーニング KC)
高浜 寛 / 講談社 (2017-06-23)
読了日:2017年7月14日
ミシュラン調査員の女性のエッセイを原作にしたストーリー。あちこち行けて美味しいもの食べられていいなあ、というイメージだったけど、もちろんそれだけですむわけはなく、決まりごとたくさん、評価するべき項目も多岐にわたり、身元がバレないように細かくきをつかったり、レポート作成に追われたり、また、ただの客としてであれば見なくて済んだことまでも目にすることに。それを補って余りある喜びもあるのだけど。初めての星付け会議でプレゼンするところまで。さあ、これから、といったところでものがたりが閉じられる。もっともっと読みたかったのにという余韻を残しつつ。
高森純一郎 / 高森純一郎 (2011-10-26)
読了日:2017年7月12日
昨年、文学フリマ札幌で初めて手に取り、その重厚な世界観に個人的にやられた高森純一郎( @takamori_j )氏の著作。今作は、ベトナム戦争最末期のサイゴンが舞台。韓国軍に家族を虐殺され、サイゴンに逃れた少女チャウが、韓国人記者のアンソクに助けられ、ともに働くうちに、二人の気持ちは徐々に近づいていくが...と。約40年後の日本からの回想と交互に語られるので、結末はわかっているはずなのに、狂おしいまでにそこに至る過程に引き込まれていく。一番はチャウの造形の魅力。過酷な運命にもただ打ちのめされるだけではなく、したたかに聡明な思考が丹念に描かれ。アンソクも決して取り繕ったり虚勢をはったりすることなく誠実に真摯に仕事に、チャウに向き合う様が描かれ。ベトナム戦争において韓国軍がしたこと、それに対する南ベトナム国民の感情も描かれ、また主に南ベトナム末期の政治、生活も南ベトナム人の視点で描かれる。最近、開高健「ベトナム戦記」「輝ける闇」を読んだので、外国人記者の視点からと合わせ読めた点も興味深かった。以下雑感。/一枚の写真が、全く異なる印象を与えた例。「統一村」の写真。南北朝鮮の国境で暮らす悲劇の農民という像と、免税特典という経済的理由で希望者があとを立たないという情報。/「練乳入りであるインドシナのコーヒーは、喉の渇きを癒す飲料には不向きだ。純粋にコーヒーの味と香りを楽しみ、そしてそのひと時を心穏やかに過ごすためのものである」、度々出てくるベトナムコーヒーの描写に込められた寓意はなんだったのだろう/「政府軍に捕まった共産主義者の扱いは、その時々の権力者の気まぐれと、ちょっとした運の良し悪しで決まるということだ」/高級官僚の最後の矜持。「賄賂が全く行われない潔癖な社会など存在しえません。しかし同時に、誠実さが全くない社会が存在しえないことも事実。賄賂をするにしても、そこには一定の信義が必要…どこの国でも、それは変わらないというのが私の考えです」/ベトナムを戦争の悲劇の舞台として写した数々の報道写真の傑作が「実はハノイもサイゴンと同じことをやっている」という事実を見えにくくする側面があったこと。旧南ベトナム国民を差別したこと、共産党独裁をしき、反対者は容赦なく弾圧したこと、社会主義の路線対立が元で隣国カンボジアへ進攻したことの認知度が低いという側面も。/そして、韓国の外務官僚の語る、虐殺者と信頼し愛するに足る人間の両方を見たことで、人間性の良し悪しが、民族や国籍と無関係であるということをあなたは悟ったが、他の者たちは、外国人という一かたまりとしてとらえてしまう…という趣旨の言葉。それは、本来良い意味で語られる事柄なのに、自分の運命を暗転させた事件が、追いかけて来た運命の皮肉とも言える場面で発せられたシーンがいたく胸に残った。
唐橋史 / 史文庫 (2013-11-04)
読了日:2017年7月10日
文学フリマ札幌で手にとった唐橋史( @FuhitoFumikura )氏の作品。表題作は、遠藤周作「沈黙」、星野博美「みんな彗星を見ていた」あたりを思い出しながら読んでいた。最後まで棄教せず、介錯されこと切れるまでの13秒。何故、というつぶやきが痛ましい。何故、神はこの期に及んで助けてくれるのか、と言いたかったのではないか、と。それを見た一人が激しくうろたえ棄教を宣言し、介錯した者は出奔というのも宜なるかな、と思った。併録は、ものの怪から見た平重衡最後の1日、と、版木を彫る職人と無宿人の娘から見た明治維新の物語。
そこをなんとか 13 (花とゆめCOMICSスペシャル)
麻生みこと / 白泉社 (2017-07-05)
読了日:2017年7月10日
号砲ならされたらっこちゃんの恋路。ただ相手の赤星くんもペースを取り戻そうとそっけなくしたり。けどそこからの、最近冷たい、私なんかした?のど直球に思わず轟沈。けれどけれど、最後に確認したかった東海林先生の気持ちを恋愛相談にかこつけて推し量るも、全く脈なしと見切り決断したラッコちゃん。帰りの電車での東海林先生の、あああああて叫びはきっとtoo lateで、だからこその犬とたわむるなんだろうけど。強烈な赤星ママの登場で、難題な事件を振り分けられるも捨て身の発言でなんとかしたところで、ぐぐぐっと背中を押されるところまで。どんどんスピード感増してきたなあ、と。
中国のフロンティア――揺れ動く境界から考える (岩波新書)
川島 真 / 岩波書店 (2017-03-23)
読了日:2017年7月10日
広州のアフリカ人街、東チモール、マラウィ、金門島、ミャンマーと、中国人が活動しているのが意外に感じられるところ、または歴史的に深い関わりがありそうな国境を接するところを取り上げて描く一冊。ミャンマーでの開発政策が中央政府の路線に密着するあまり、地方の反政府勢力を敵に回してしまったケース。雲南での「大騰越」という現実の国境認識とは異なる、それよりも大きな広がりを持つ境界認識を持っている人の存在。東チモールでの海底ガス田開発を巡り、結局は手を引いたが、他国での開発への関わりは、なんでもかんでもではなく、まずは採算が考えられること、そして経済的に割が合わなくても政治的な採算を考えて開発を進めることもあること。ごくわずかの利益を得るためにどんな苦労でもする、という他国へ稼ぎに出る中国人のメンタリティ。この辺りが個人的には興味深い論点だった。
北18条文学 / 北18条文学 (2017-07-09)
読了日:2017年7月9日
表紙のラーメン大将の肉チャーハンに目が吸い寄せられ、思わず手にとってしまう。おそらく北大を舞台にした、ラーメン大将が端々にフィーチャーされた5つの短編。主人公だったり、主人公に強い印象を与える脇役だったりする「今野」という登場人物の造形が秀逸。盗撮がしたすぎて指先をカメラに改造した顛末は…とか、どうせ付き合えない綺麗な子だから盗撮した、とか、暇すぎるから全裸でうつ伏せになった尻にのせたティッシュを屁で飛ばしたら終了のゲーム、とか。あるいは、大言壮語言えば言うほど相手の女性が、素敵!を連発して今野にはまったり。あるいは学生時代からの生活様式に囚われて二進も三進もいかない青年にかかってくる今野からの電話だったり。これ読んで、無性にラーメン大将で肉チャーハン食べたくなって、駆け込みました。
スタジオプリケ / スタジオプリケ (2017-07-09)
読了日:2017年7月9日
表題作は、一つ年上の憧れの女性を追いかけてきたのに、彼女にはすでに好きな人ができていて、呆然としている主人公が、誘われて、食べる人を元気にしてくれるというスープカレー屋さんへ足を運ぶ話。疲れの質を嗅ぎ当て、各人にオーダーメードでスパイスや具材をアレンジするという仕掛け。「身を縮めていても、しかたがない。前を向かねば。そう決意する勇気をくれたのは、生まれてはじめて食べたスープカレーと、それをつくった店主であった」という気持ちにさせ、一度は好きになった相手に「おれが、勝手に好きになったんです。ただ希さんが素敵で、それで、おれが勝手にここに来たんです。それだけのことです。自分を悪くいわないでください」と言えるまでに回復した主人公。読後感ほっこり。続編も期待したい。併録は、またまた登場のタヌキ娘、キツネ娘のコンビが人間の男性に恋まっしぐらな鶴を軸に繰り広げられるストーリーと、寂しげな幼い娘の話を聞き、励ましていた語り手が実は…という仕掛け。
スタジオプリケ / スタジオプリケ (2016-11-13)
読了日:2017年7月9日
昨年手にとって大変気に入った「狸小路ワンダー」の続編。空手使いのミュウ、人脈が広くいつもクールなシバ、若くして喫茶店主のターニャ。今回は、クリスマスイブ、バイオリンを持ってやってきた女性をめぐるお話。突然仕事が入った男への鋭い洞察、輩を片付けるミュウ、念を入れるシバ、そして、店の前で見たのは…。対することができるようになっただけ少し前進と思いつつ、少し苦さを残して終わる。併録はたぬきとキタキツネのコンビが人間の若い女性に化けて繰り広げられるユーモラスなドタバタ劇。
赤龍王 全9巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]
本宮 ひろ志 / 集英社
読了日:2017年7月9日
劉邦=政治的軍事的手腕としては無能だけど侠気と愛嬌があって皆に愛され人が集まる、項羽=己一人の軍事力は凄まじいものがあるが人事や統率が下手すぎて最後は負ける、というイメージで貫かれている。項羽は伯父の項簗がもう少し長く生きていればもう少し違った展開もあったものを、と感じた。いずれにしても久々の再読で懐かしかった。
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)
寺山 修司 / 角川書店 (2004-06-25)
読了日:2017年7月6日
多分もっと若い頃に読んでいたら、もっと響いていたのだろうと思うのだけど。/チャーリー・ミンガス「豚の呼んでるブルース」聞いてみたい。/「幸福」についてもっと流動的なイメージを持たないと歩兵は一生を歩兵のままで終わることになるだろう。/賭けることが好きでやめられない男の話、ロアルド・ダール「南から来た男」、読んでみたい。/一点豪華主義もなあ...と。部屋はやっすいとこ住んで高級車乗るとか、三日四日飲まず食わずで五日目にフランス料理のフルコースとか。
マリを知るための58章 (エリア・スタディーズ)
竹沢 尚一郎 , 赤阪 賢 / 明石書店 (2015-11-12)
読了日:2017年7月4日
トンブクトゥを中心に、関連する部分を拾い読み。今のマリの領域をめぐる王国の変遷。トンブクトゥの盛衰。交易都市として、学術都市としての側面を簡易に知ることができた。
札幌乙女ごはん。コミックス版 第2巻
松本あやか / Dybooks (2017-06-30)
読了日:2017年7月2日
なかなか進まない主人公と上司の関係に、関西からの新入社員が飛び込んで、三角関係。ただ、後輩が積極的なアタックで、付き合ってるのかどうかの状態から婚約にこぎつけたのに刺激され、自分から一歩踏み込んでみるも、もっと先のことまで考え、ついてこれるか、と逆にバトンを渡される形に。というところまで。炙屋の北海道堪能のコースは知らなかったし、ステーキハウスひげとかもあまりに美味しそうに肉を食べる描写に、あおられる。
ナナマル サンバツ(14) (角川コミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA (2017-07-04)
読了日:2017年7月2日
関東大会も決勝戦。文蔵チームには直前にショックな出来事が知らされたが、笹島の力強い後押し、井上の機転でなんとか立て直し、全国大会へ。にしても、決勝のルールはスリリング。越山の問題に対する読みの深さも成長を見せ。次巻は他チームの敗者復活戦が描かれるのかな。
ミコさんは腑に落ちない(1) (アフタヌーンKC)
イツ 家朗 / 講談社 (2017-06-23)
読了日:2017年7月2日
社畜乙女×主夫彼氏の帯。仕事バリバリOLなミコさんと、家事全般完璧で先回り上等な気遣いも行き届く完璧主夫エンさん。まだこの巻では出会いの話は描かれないけど、元お店の常連とキッチンの人から始まった同棲生活。その繰り広げられる高速でテンポのいい会話が面白くて心地よい。二度寝で遅刻しそうなミコさんをブローして寝てる間に化粧して、下着から服から選んで、朝飯昼飯までもたす一連のやり取りとか、美味しいパンの仕込みをしたエンさんにご飯気分になったと言い出せなかったのに、起きたら何を察したのかエンさんが美味しいご飯の朝食を用意していて、その反応が、ちっ、炊けてやがるだったり、女子会で彼氏が無職とバラされ不穏になるかと思いきやのエンさんの穏やかな返し、突然転がり込んできた友人と特撮の世界に深くはまるミコさん…とキリがないほどどのシーン切り取っても好き。基本率直で明るくて男前なミコさんと、隅々までしっかりと気がきいて穏やかで返しが面白いエンさんのコンビ、まだまだ読みたい。
ボクたちはみんな大人になれなかった
燃え殻 / 新潮社 (2017-06-30)
読了日:2017年7月2日
#ボクたちはみんな大人になれなかった2017 twitterでつぶやきを見かけて気になってた燃え殻さん。cakesで連載と聞き、そのためだけにcakesの有料会員になった。それが本になるなんて買わないわけない!「本当のさよならの時、人はさよならと言わない」(p.138)が一番刺さった言葉。まさにそう、本当にそう、と。一度読み終えて、自分のためだけに何かを書きたくなったこと。すぐにまたcakesの連載を読み返す。だいぶエピソードも登場人物も削って整理して、第一部と第二部もきちんと整理して再構成したんだな、と思った。それぞれ別の時期の別の子のことを語ってたのが、片方が出かけてた時期に出会っていたことになり。どちらも楽しめて二度美味しい。そしてもう一度本を読み返した。きっと、何度も噛みしめると思う。


chokusuna0210 at 21:55|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年06月30日

2017年06月に読んだ本

期間 : 2017年06月
読了数 : 45 冊
ロビンソンの末裔 (新潮文庫 か 5-3)
開高 健 / 新潮社 (1973-01)
読了日:2017年6月29日
ヤマザキマリさんの講演会で推していて手に取る。夢のような条件に目がくらみ、敗戦直前に、北海道へ開拓民として行くことにした東京都の会計係だった一家のストーリー。夢のような条件は、青森に着く頃には玉音放送が流れ、先に進むに連れ、どんどんどんどんと悪くなり、着いてみれば、土地だけは与えられるが、家もない、食料の支給も不十分、転地も受け入れられない、現金収入もおぼつかないと無い無い尽くし。えいやっと開墾に取り掛かるも、土地が悪すぎて成果が出ず。役場にかけあうもラチがあかず、ついに団結して、中央まで乗り込んで談判し、道作りに予算を割り当ててもらうが、ともに残ったものはわずか、ともに戦ったものも意気があがらず、それでも少しの希望を見出そうとするところで物語は終わる。全くもってひどい話で、無責任なことをいったものたちは誰一人責任を取らず、過酷な条件で頑張っても報われず、その様子が淡々と描き出される。開拓地と比べた敗戦直後の猥雑で活気に満ちた描写、開拓も希望も東洋のウクライナも粉ふきジャガイモの蒸したてもへったくれもあったものかという叫び、仲間が熊に食われたことを語る畳屋の話、畳屋が大臣に「食うものも食えないで今日明日にも死にそうになっている人間が食えないことを訴えているのに、共産党もクソもありますか。あんたの責任を聞いているのだ」と啖呵を切ったシーンが印象に。
ねぇ、ママ (A.L.C.DX)
池辺葵 / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年6月27日
魔女とハンプティダンプティとワカちゃんの話が一番好きかな。
われらの文学〈第7〉安部公房 (1966年)
大江 健三郎 , 江藤 淳 / 講談社 (1966)
読了日:2017年6月26日
安部公房「けものたちは故郷へかえる」「赤い繭」「デンドロカカリヤ」を読了。「けものたちは…」はヤマザキマリさんの講演会で熱く推していたので手に取る。敗戦直後、満州に取り残された天涯孤独の青年が日本への引き上げを目指す話。捕まりそう担ったり、餓死寸前まで荒野で追い詰められたり、騙されたり、襲撃されたり、荷運びにされたり、路上生活を強いられたりして、ようやく引き上げ船に乗り込んで、日本の土を踏む寸前で、全てを奪われ、船底に繋がれるという絶望感。不安、緊張、絶望、落胆、高揚、たまに一筋の光、頼るものとてない中での根無し草の感情が伝わってきて辛い。「赤い繭」は帰るところがなくなったと悟った時には体の全てが解けて繭になり拾われる奇譚。「デンドロカカリヤ」はカフカの「変身」の植物版なのだろうか、見知らぬ植物に段階を踏んで変身してしまった青年の話。
おんなのいえ(1) (BE・LOVEコミックス)
鳥飼茜 / 講談社 (2013-04-12)
読了日:2017年6月25日
自分が安定した就職をして、相手の夢を支える、という図式で自分を納得させていたのに、頼んだことでもないのに、と三十直前に別れを切り出されたありか。実家でくすぶるうちに、母親命令で東京で妹と同居することに。なんとなく叶う願いなんてないよ、自分のまわりに悪い人とか嫌な感情とか人を悪く言わへんのって結局あること認めたくなくて目つむってるだけに見える、「自分ばっかりってちょっと被害妄想ちゃう?ありちゃんて家具屋で働きたかったん?イケメンと遊びまわりたかったん?ありちゃんは何がしたいん?」、誰かを恨んでたいだけの間は向こうから何もやってこないんだ、と周りの人は様々な言葉を投げかけてれるが。きっかけは妹だったけど、一歩踏み出して始めた仕事が背中を押してくれそうで、偶然の再開もあって、というところで続く。どんな不恰好に立ち直ろうとしてんのかお前知ってんのかボケぁ、とありかの知らないところでありかの元彼に啖呵を切ってたシーンが印象に。
BLACK‐BOX(1) (アフタヌーンコミックス)
高橋ツトム / 講談社 (2016-01-22)
読了日:2017年6月25日
強烈なヒールの魅力。父も兄も殺人で捕まり、殺人一家としてセンセーショナルに取り扱われる中のプロボクサーデビュー。周りからはくそ生意気でネジが飛んでると言われても、世界チャンピオンだけを目指して、ひたすら、と。
講談社 (2017-06-24)
読了日:2017年6月25日
ブルーピリオド。周りに合わせることだけ覚えてうまくやれてるとおもってた高校生が絵を描く魅力にとらわれ…て出だしのストーリー。波よ聞いてくれ。ミナレさんが毎度のこといい感じで背中を押すというか引っ掻き回すというか。南波ちゃんが一歩久連子さんに踏み込んだところで続く。マージナル・オペレーション。的確な作戦と戦闘指示でついに直接対決へ。ミコさんは腑に落ちない。時間を巻き戻してミコさんとエンさんの出会いの話。天真爛漫になんでも口に出して、おいしいのリアクションもオーバーで、エンさんも気の利かせ方がカッコよくて、ほっこり。コミックス1巻買いたくなった、あたりのキッチン。ナポリタンをめぐる狂想曲。
レディ&オールドマン 3 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2017-06-19)
読了日:2017年6月25日
当人たちにはわからぬままの「配達」の依頼の激減。小さなバーでのちょっとした交流。父を助けたい小さな子の依頼に応じ。また弟の影。そして、オールドマンに迫る追手。不老不死なのかどうなのか。
TRANSIT(トランジット)25号  美しきブラジル (講談社 Mook(J))
ユーフォリアファクトリー / 講談社 (2014-06-27)
読了日:2017年6月25日
ざっと読了。リオを舞台にした女子大生を主人公にしたショートストーリー、1ページずつ市井の人びとにインタビューしたコーナーとかがよかったかな、個人的には。マシャード・デ・アシスの作品や、ジョルジェ・アマード『丁子と肉桂のガブリエラ』なども手にとってみたいと思った。
先生の白い嘘(7) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2017-05-23)
読了日:2017年6月24日
1-7巻読了。紆余曲折を経ての憎しみを恐れずに、許しを宣言した結果は、凄惨な反発だったけど。次巻完結でどうなるのか。
女の友情と筋肉(4) (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2016-05-27)
読了日:2017年6月24日
辺境遊記 ―― キューバ、リオ・デ・ジャネイロ、小笠原諸島、ツバル、カトマンズ、サハリン、南大東島、ダラムサラ
田崎健太 / 英治出版 (2010-04-19)
読了日:2017年6月24日
リオデジャネイロ、小笠原諸島、サハリン、ツバル、南大東島、を読了。リオのカーニバルの山車はどうやってくるのか、という問いに、ほぼ飲まず食わずで8時間近くかけて3人で押してきた、祭りが終わったら?また押して帰るのさ、というシーンが印象に。ツバルの人々に、近い将来島が沈むことをどう思う?という問いへの大半は、結局は移住するんだろうけど、神にそうならぬよう祈っているから沈まないと信じたい、という声が印象に。またゴミの島としての一面も。戦後、サハリンに残された日本人、朝鮮人の凄まじい苦労、小笠原諸島、南大東島という東京や沖縄から地理的にも文化的にも歴史的にも切り離された存在の独特の文化をうかがい知れた。
外道の歌 3巻 (ヤングキングコミックス)
渡邊 ダイスケ / 少年画報社 (2017-04-24)
読了日:2017年6月24日
2巻-3巻読了。周囲の人は、遺族や被害者に、何一つ要求してはいけない、許すか許さないかも含めてというのが言いたいことなのかなと思いつつ。
日本会議の研究 (扶桑社新書)
菅野 完 / 扶桑社 (2016-04-30)
読了日:2017年6月24日
もし書かれていることを全面的に受け入れるとしたら、もっとも民主的な市民運動というやり方で非民主的な思想が実現されてしまうというホラーだな、と思った。日本会議に現政権の8割の閣僚が属しているという事実。日本政策研究センター、日本青年協議会と言った関係の深い団体から強い影響を受け、生長の家から分派した集団も強い影響力を持つ、と。これらの団体は、農協や労組を始めとした以前は力を持っていた圧力団体が軒並み衰退する中、雑多な勢力をまとめ上げ、しぶとく生き残ってきた。その目的には、明治憲法復元があるのでは、日本全体が右傾化したのではなく現政権が一部の一般的とは言えない思想を持つ勢力の影響を受けているのでは、というのが著者の主張。当該の団体からの反論などもあり、にわかには見さだめ難いのだが、注視していきたい。
みゆき 全12巻完結(少年ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
あだち 充 / 小学館
読了日:2017年6月22日
セットで格安で懐かしさもあって思わず落手。35、6年前、今から考えるとコンプライアンス的にどうなのと思われることもギャグとして許容されていたのだと考えると、おおらかな時代だったんだなあ、と。そして、今読み返すと、ぐずぐずとどちらにもやさしくなんてのは、結局はどちらかをひどく傷つけることなんだということが描かれているように思われ。
CREWでございます! 燃える! ! スチュワーデス物語(書籍扱いコミックス)
御前 モカ / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年6月21日
夜会巻きをめぐる狂想曲、お布団にくるまるの大好きモカさんを連れ出して、モカさんメインの飲み会を開く後輩たちのものすごいチームワークに笑いつつも感銘、そして合コンの前後にカツ丼やら居酒屋やらを挟む大食ぶりは過酷な労働のなせる技か。ただ割合的には、笑いなしの真摯なストーリーも多い印象。たまにはなったのだけど。
図書館の主 15 (芳文社コミックス)
篠原 ウミハル / 芳文社 (2017-06-16)
読了日:2017年6月21日
タチアオイ、存続の危機。図書館員が、利用者たちが、大きな企業が慌ただしく動きだすが…。オーナーのしかけは、もしかしたら、という思いもあったが、それで背中を押された出来事もいくつもあり。話すと長いからと割愛されたオーナーと徳さんの話も聞きたかった、佐藤さとるさんの本も手にとってみたい。まさに大団円。このシリーズのおかげで何冊の本を読みたくなったことか、、多謝。
モキュメンタリーズ 1巻 (ハルタコミックス)
百名 哲 / KADOKAWA (2017-05-15)
読了日:2017年6月21日
同じI.D.の人が落札し続けるAV、そのI.D. の人に会いに行き話を聞くとそkにはもう一つのドラマが。オーストラリアから日本のアイドルへ詣でるために、羽田から浜松まで踏破するのに密着、途中から同行者もでき、距離が深まったりぶつかり合ったり、最後はまさかの…。海軍カレーに対抗して生み出された陸軍ナポリタンの話。自分探しにバングラデシュの漁村に飛んだが、そこで得た結論と行動力のあふれる友人の顛末は。どれもパワフルで惹きつけられるストーリー。
プリンセスメゾン 4 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2017-06-12)
読了日:2017年6月20日
ようやく自分のマンションを手に入れた沼ちゃん。引っ越す前から通い、テンションあがり。手に入れてお話終わるかと思いきや、床のコーティングだったり、なんなり、悩みのタネは出てきて。けど、完璧な物件なんてないから、自分が慣れていけば、と。不動産屋さんの社員たちにも好かれ、仲良くなり、節約節約になりそうな時もそっと背中を押してくれたり。夢中になれるものを持ってる存在に憧れをいだくシーン、けど、抱く側だって何も持ってないわけじゃなく、そう知らされるシーンが印象に。
国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)
ヤマザキ マリ / 小学館 (2015-04-01)
読了日:2017年6月18日
ヤマザキマリさん講演会に足を運んだのをきっかけに再読。講演会と重なる部分も多かったけど、肉声で聞けたのはまた違った体験だし、聞いたことで、改めて再読した際にするすると入ってくる感覚を味わえた。再読して目に留まったのは。出口はない、もがき続けろ、と安部公房の小説が背中を押してくれる、という一節。デビュー作の「彼女のBOSSA NOVA」を読みたいと思ったこと。挫折したデルス・ウザーラに再挑戦しようかな。豊穣の海第四部がジャコモ・フォスカリに与えた影響。過酷な環境がキリスト教やイスラム教の一神教を生み出した、日本のように温暖で環境に恵まれていたら八百万の神で良い、という視点。
ボールルームへようこそ(1) (月刊少年マガジンコミックス)
竹内友 / 講談社 (2012-05-17)
読了日:2017年6月18日
ひょんな事から社交ダンスを始めることになった多々良。やりたいことも見つからず進路も迷っていたところにのめり込めることが見つかり。同じ教室のエースのまさかの失踪にピンチヒッターに指名され…
モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)
白石 典之 / 講談社 (2017-06-10)
読了日:2017年6月18日
伝承的な部分が多くて史実としては扱えない部分の多い史料と個人的な印象があった「元朝秘史」が、考古史料と付き合わせていくと、一面の真実を語っていたと明らかにしてくれていること。チンギスが活動を始めた頃のモンゴルは、群雄割拠ではなく、金と西遼の綱引きが繰り広げられる代理戦争の場であったこと。チンギス・カンの不遇時代と捉えられた時代は、実は遊牧的な見地からするとベストチョイスだったこと。いち早く鉄の利用と鉄の産地の確保にあたったことが他勢力に対して優位に。考古史料、文献史料、古気候学など、文献史学からだけでは明らかにされえない視点を多々提供してくれて、新たな知見に富んでいた。遊牧リテラシーに富んでいたことが他のモンゴルのリーダーとの違いで、その延長線上にある「馬・鉄・道」へ集中した「騎馬軍団の機動力向上」「鉄資源の安定確保」という戦略にも大きく影響した。モンゴルの民の安全と繁栄の実現が至上命題で、それをやっていくうちにモンゴル高原の統一が転がり込んできたという実感だ他のでは。他国への侵略すら?と。
リオデジャネイロという生き方 不安も悩みも笑顔に変える「幸福の個人技」
中原 仁 , KTa☆brasil (ケイタブラジル) / 双葉社 (2016-05-21)
読了日:2017年6月18日
福嶋伸洋さんのリオをめぐる著作に触発されて。リオに永年通う音楽家、音楽プロデューサーの二人が語るリオデジャネイロとカリオカ。人懐こく、ひとたび友達となればとことん力を貸してくれ、それぞれが違う人種、文化を背景に持つことを踏まえて、言いたいことは言う、相手の言うことも尊重する、基本前向き、暗く考えてたってどうなるものでもない、楽しめ。手放しでリオ礼賛だけでなく、治安が悪い地区や悪い奴は確かにいるけれども、と語ることも忘れない。日本人から見るとルーズに思えることも、一瞬一瞬を大事にし、知り合いにあえばちょっとしたおしゃべりですまず、それが重なり、計画通りいくかは、神の思し召しとおもってるふしがあり。だからその場その場の思いつきでどんどん計画がかわりむしろそれがいいことだと考えている。異なる考え方をする人々だと言うことをわかって付き合わないと、と思った。もし、人生を投げ出したくなったら、その前にリオに、と思えるぐらいの魅力的な語りだった。映画「黒いオルフェ」「シティ・オブ・ゴッド」は見てみたいと思った。「今日これから誰に会って何が起きるか全部わかってしまったら、面白くないだろう?」「すべては最後はピザになる」「最後の最後に自分自身でオーライだと思えたら、人がどう思うと気にしない」という楽天性は魅力的。
RIO
高野 寛 / ミルブックス (2014-07-20)
読了日:2017年6月17日
リオデジャネイロの風景と、レコーディングをめぐるリオデジャネイロの縁を語るエッセイ。思い立って地球の裏側とか、思い切るなあ。そして、リオの人々の特徴もよく掴んで、時間にルーズだったり思った通りに事が運ばなくても悠然と構え、リオの流儀に身を浸しているのが伝わってくる。カエターノ・ヴェローゾのアルバム聴きたくなった。本文中に息子でプロデューサーとしても頭角を表しているという親日家のモレーノ・ヴェローゾとの交流が語られてるのを見て。
ライオン 園田ゆり短編集
園田ゆり /
読了日:2017年6月17日
アフタヌーンで「あしあと探偵」連載中の著者の短編集。ライオン、Blue Letterはアフタヌーン上で読んだことあったけど他のは初めて読んだ。どの短編にも通ずるのは、奔放な存在と枠にはまっている(と自ら思う者の)ぶつかり合いと葛藤、だろうか。光と影、天才と凡人、の場合もあるけれど。小学校のクラス、高校の放送部、引きこもりを持つ家庭、と舞台は変わり、どちらの側からも語られる、そう見えるかもしれないけれど、本当はこう思っている、と吐露されるところが印象に残る。優等生に見られてたが学級参観で全てをひっくり返す。自分の興味のある音作りにだけ没頭する小梅に、秩序を守りがちな沖くんが手を焼きながらも惹かれていく様子。本番前には崩れるけど、励ますば本番はきちんとこなす天才肌のちかと、耳はよくて人の指導はできて的確に励ませるけど自分のアナウンス能力は凡庸な子の葛藤。などなど。欲をいえば…紙でも出して欲しかったなあ…
阿・吽 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2017-06-12)
読了日:2017年6月17日
霊山和尚の未来を暗示する導入から、契丹の姫、ゾロアスター教徒との邂逅、武術で役に立ちながらも、漢語がわからず学べないことに劣等感を持つ橘逸勢。空海には追いつけぬと思いつつ共に手を携え、意識の深淵へと降りていく感覚を味わった霊山和尚。お互いに、詩人にしておくには、僧侶にしておくにはもったいない、と火花を散らしつつ、胸襟を開いて交わる白居易。通訳の不備で、対話がままならず、経典の読解のみ業を収めようと奮闘する最澄。最澄が登りに登りきったところと空海が潜りに潜ったところで出会うシーンは象徴的。密教の高僧たちからの伝授は、代わる代わる苛烈に行われるが貪欲に吸収していく空海。まだ長安に学ぶ事が多くあることを感じつつ、勅命にて離れなければならなくなった最澄。確かにここがのちの二人を分けのだ、と。しかし、伝授や意識へ降りていく過程、呪法の可視化など漫画ならではだな、と感銘。
松永久秀 歪められた戦国の“梟雄
天野忠幸 / 宮帯出版社 (2017-04-17)
読了日:2017年6月17日
冒頭の総論、約30pのみ読了。三好長慶生前は残る文書からは、常に主君の意をくみ、専横の振る舞いなどなく、三好義興ともさまざまな案件に共同で取り組み、その死に際しても悲嘆した書状を残しており、毒殺などしたようには見えない。また将軍義輝弑逆も、久秀の息子の久通が行なったことで、そのころは家督を譲り実権も久通が握っていたことが文書からわかる、と。久秀と久通の間には、足利将軍家に対する考えの相違があり、久秀はかくまった義昭を取り逃がし、反三好包囲網に大義名分を与える大失態のため、失脚し三好勢力から排除された。東大寺の失火も、東大寺が中立を守らず敵対勢力に陣地を貸したため攻めたに過ぎず、のちには復興に動いている。信長とは長く同盟勢力だったが、服属後に裏切ったのは一度のみ。敵対する筒井順慶を重用したことに反発したためで、裏切りを繰り返したというのは当たらない、と。通説を覆す研究が進んでいることを看守。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)
村上 春樹 / 講談社 (2004-10-15)
読了日:2017年6月14日
6年ぶりの再読。今となっては、そのセリフは…とか思うところが無くはないけれども、それでも、何年にいっぺんか再読したくなる作品。読み返すと、ユミヨシさんてもっと重要な役回りだったような気がしたけど、前編の真ん中ぐらいに少し、後編の本当に最後の方にだけ登場で意外感。そして、僕が五反田くんに、どうして…と問いかけてからのシーン、そのあとでユキと対話するシーンが何度読んでも白眉だなと思ってしまう。
魔法使いの国の掟―リオデジャネイロの詩と時
福嶋 伸洋 / 慶應義塾大学出版会 (2011-06)
読了日:2017年6月13日
福嶋伸洋「リオデジャネイロに降る雪」を読んで、デビュー作も読んで見たくなり。博士論文がベース、とあったけど、そうは思えないほどライトな読み口。黒いオルフェの原作を書いたヴィニシウス・モライスの章だけでも読もうとかと思ってたけど、意外な収穫として、セシリア・メイリーレスに激しく心惹かれた。その、沈黙、と、過ぎゆくこと、を読むことの悦び。この人の邦訳詩集でないかな…。ひとまずはこの本で訳されてるところだけ楽しむとして。1(バンデイラ),2(セシリア),3(ヴィニシウス)+6 (セシリア) 章、読了/実際に多くの詩人たちが歩むことになったのは、知性のすべてを使って幼年時代にたどり着こうとする、ボードレールからリルケへと至るこの道だった。(p.10)/わたしの精神の風が 生のうえに吹いた。 儚いものすべては消え去った。きみだけが残った 永遠のものであるきみが……(セシリア・メイリーレス p.38)/「動機」 わたしは歌う 瞬間は存在するから わたしの生は完全だから。 わたしはうれしくも 悲しくもない。 わたしは詩人である。 (セシリア・メイリーレス p.41)/望むべきなのは、時のなかで限りないもの、永遠のものになることであり、それは「過ぎゆくこと」という形で実現する。「続いてゆくのは、過ぎゆくこと/それはきみの永遠.../それは永遠/きみがそれなのだ」(p.57)/時間が散逸してしまったもの、消し去ってしまったものを、記憶はふたたび集め、まとめあげる。記憶は、時間による摩耗と戦い、存在を守るのだ(p.57)/「エピグラム7番」 冒険を事とするきみの種族は/大地を 空を 海を持つことを望んだ/わたしの種族には 望まない 手に入れないという/暗いよろこびがある....../きみの種族は望む 出発することを/戦争をし 苦しみ 打ち勝ち 帰還することを/わたしのそれは 行くことも来ることも望まない/わたしの種族が望むのは 過ぎゆくこと(p.58-59)/「愛が永遠なのはそれが続いているあいだだけなの」(ガルシア=マルケスの短編にでてくるスペインの魔術師の妻)(p.108)/「モレーナ、愛の痛み」より この生の悲しみは/言葉を話せないこと。/言われた言葉 聞かれた言葉は/空気のうえの空気でしかないこと......。/(何も言わないで/わたしはきみを愛している。/黙っているとき わたしは/きみを呼んでいる。)(セシリア・メイリーレス p.222-223)
応天の門 7 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2017-06-09)
読了日:2017年6月12日
今回は、藤原多美子入内のことで一巻まるまる費やされる。藤原同士の思惑のぶつかり合い、高子から導かれ、道真経由で力を貸すことになる白梅。至誠は多美子や忠義を尽くす吉野にも通じ。長谷雄が俠気を出す一幕があったり、道真が百鬼夜行の正体にあたりをつけたり。最後は、暦が登場してto be continued. どのような展開をもたらすのか。それにしても、本名を名乗るのは滅多にないこと出あったと。店での諍いの場面で、本名を名乗った長谷雄、あいつ名乗ったぞ、と騒ぎになるが、名乗る意味合いをもう少し解説して欲しかったかな。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
村上 春樹 / 講談社 (2004-10-15)
読了日:2017年6月11日
オスマン帝国治下のアラブ社会 (世界史リブレット)
長谷部 史彦 / 山川出版社 (2017-06-05)
読了日:2017年6月11日
アラブ世界、と言っても、今でいうイラク、シリア、エジプト、チュニジア、リビア、アルジェ、イエメン、サウジアラビア…と広大で多様な地域にまたがっており、オスマン帝国治下に置いても、ほぼ直接的な支配に置かれていたり、独立されたけど宗主権は認める形であったり、集権的からほぼ独立まで様々なグラデーションで統治されていたことが見て取れる。以下備忘録的に。/アレッポを征服したセリム1世は、マムルーク朝スルタンの帯びていた「ハーディム・アルハラマイン」(両聖地の僕)という称号を自らのものと宣し、以降、1922年のオスマン帝国消滅までこの重要称号を帯びた。/スレイマン一世の大宰相リュトフィー・パシャ(在任1539-41)は、強大な力を持ち、イスラームの信仰を守護し、勧善懲悪を旨とする公正なスルタンは、クライシュ族出身でなくともカリフとなりうる、と主張する政治論を著し、「スルタン=カリフ」制を正当化。当時のシェイヒュルイスラームも正当化を推し進めた/西アフリカのソンガイ帝国を滅ぼしたサアド朝君主アフマド・マンスールがシャリーフとして自信満々にカリフを称し、サハラ以南のアフリカのイスラーム教徒たちに大いに喧伝した/サビール・クッターブという小さな複合施設が建設ラッシュ。過密化する都市空間の中で狭い場所に少ない投資でイスラーム的慈善が明確化できるため。/臣民がイスラーム法廷に訴えでることができるだけでなく、文武の官人の不正などの諸問題の行政的解決を求めて嘆願書を定例会議に提出することができた。このような仕組みはオスマン帝国の長期的存続の一因でもあった。/オスマン帝国ではヒヤル-イスラーム法である目的の達成に障害がある場合、他の目的のために合法的手段を用いてこれを達成すること-の活用、年利10%程度ならばクルアーンの禁じる利得に当たらないとする法見解も有力であり、金融業が実は活発だった。
重版未定 2
川崎 昌平 / 河出書房新社 (2017-05-29)
読了日:2017年6月10日
おもしろい本をおもしろいと信じて編集した自分を信じろ。編集長からの力強い言葉。前巻から打って変わってやる気に目覚めた主人公。面白そうな著者を発掘してきて、社の規模からしたら張り込んだ豪華な企画を通してバリバリと突き進んでいくが…。アクシデントはつきものだけど、ここまで…というものを力技でねじ伏せ、私は編集長ですから、とやり遂げる。清々しいくらいに腹を括って。前の巻と違って、仕事に、書籍に、愛がこもっているのが伝わってきた。小出版社での編集というお仕事を垣間見ながら。
巨娘(4) (アフタヌーンKC)
木村 紺 / 講談社 (2017-06-07)
読了日:2017年6月10日
不正が仕込まれた勝負を正面から叩っ斬り、日々成長を見せるバイトリーダーの背中を力強く後押しし、いじめられてた女の子が力強く蘇るエールを送り、仕入先の牧場を荒らす山の神と言われる巨大な猪を葬り去る。この巻も力強く雄々しい巨娘。ただこの巻は彼氏と戦友なその妹が登場しなかったなあ。あと、安易に会社や社会を批判するが野生で私やあの猪と勝負して生き残れると思うのか、て檄が響く。
暗闘
山口 敬之 / 幻冬舎 (2017-01-27)
読了日:2017年6月9日
トランプ政権前夜から発足直後にかけて、安倍政権が先見の明でトランプ周囲とのパイプ作りに成功し、発足前後に率直に意見交換できたこと、ロシアのプーチン大統領にも期待だけさせて成果なしのように報道された首脳会談も、経済協力をテコに主権の棚上げに踏み込む、四島返還へ向けた踏み込んだ意見がかわされ、プーチン側からも平和条約への前向きな姿勢を引き出せたこと、拉致問題以来の外務省への不信から、官邸直結の外務省とは別の外交ルートの確立を模索していたこと、などが描かれる。半年経った今となっては、せっかくパイプを作ったフリンが罷免されたり、一縷の望みを託したTPPも結局はアメリカの脱退で終わったりではあるが、米中露韓それぞれに、言うべきことを言い、是々非々で対して行く、という姿勢はこれからも変わっていかないのか、注視していきたい。また感情的でなく批判的な本と合わせ読むとより立体的に事象を捉えらるかと思った。
擬人化でまなぼ!  ITインフラのしくみ
岡嶋 裕史 / 翔泳社 (2016-10-18)
読了日:2017年6月8日
キャラ同士のやりとりは冗長に感じるところもあったけど、基礎をおさらいするには良いかなあ、と。
バイバイ (角川文庫)
鷺沢 萠 / 角川書店 (2000-01)
読了日:2017年6月6日
同じ著者のエッセイ「ありがとう」で触れられてるのを見て。何年かぶりの再読。幼い頃から親戚をたらい回しにされ、嫌われないことを第一義に掲げ、好意を断れないうちに、嘘を重ね、三人と同時に付き合ってしまってる主人公。人を信じるなんて灰皿を食べるようなものだ、人を信じてはならん、という祖父の言葉どおりに生きてきたが、そんな主人公を信じる、というある種の狂気が強く印象に残り、また一筋の光を感じさせながらの読後感だった。
君はこの国を好きか (新潮文庫)
鷺沢 萠 / 新潮社 (2000-03)
読了日:2017年6月5日
ほんとうの夏、 のみ、何年かぶりの再読。同じ著者のエッセイ「ありがとう」で触れられてるのを見て。普段は通名で暮らす在日韓国人の男の子が、付き合ってる子に自分の国籍を知られないように、交通事故の現場から怒鳴って追い払ったシーンを軸に…隠してたわけじゃない、気がついたらそうなってたのに、今さら…という気持ちをすくい上げたかったのかもしれないけど、幼馴染の、それは隠したかったってことでしょ、という言葉に素直になり、自分から連絡をとることに、と。初出から20年経ったけど、状況は変わったのだろうか、と思いを巡らす。
ありがとう。 (角川文庫)
鷺沢 萠 / 角川書店 (2005-08-25)
読了日:2017年6月5日
何年ぶり何度目かの再読。このエッセイ読んで、「バイバイ」、「ほんとうの夏」も読み返したくなった。世の中には正しいことなんかなく、やりたいことしかないのでは、というフレーズ。一緒に住んでた人に、あんたは私の好きな花すら知らない、と罵った1年後の誕生日に届いたトルコキキョウの花束に頽れたシーン、が印象に残る。比嘉光龍(バイロン)の歌を聞いてみたい。対談での酒井順子さんの、いつもニコニコしていて、どうせ俺なんか、と言わない人ならいい、という基準。ネットをつないでくれた彼女は、のちの、サギサワ@オフィスめめのわたべさんだろうか、と思いをめぐらしたり。
わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい / シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
読了日:2017年6月5日
リポジトリを作ってみよう、どうやって変更を記録するの?作業する-ステージする-コミットする、Unstage Selectedでステージから下ろす、フォークしてクローンすることでコピー、masterブランチに移動してみよう、あたりが特に役にたちそう、個人的には。
総理 (幻冬舎文庫)
山口 敬之 / 幻冬舎 (2017-04-11)
読了日:2017年6月5日
官邸の懐深く食い込まなければ、生の情報は取れない、時には政治を動かす現場のメッセンジャーとなってでも、それを御用記者、政権に近すぎるなどという批判は当たらない、外から見ただけでやってることを知りもせず批判したところで何も生まれない、と言う主張は、読み終えたあと一定の説得力を感じたが、ほぼ政権批判がないところは、一定の批判もあり得るだろうと思う。安倍と麻生の一度は総理というどす黒い孤独を抱えた職務を経験したもの同士の得意な絆。麻生の主導したイスラエル・パレスチナ双方に夜経済プロジェクトの9年にも渡る成果。志半ばで倒れた中川元財務大臣のシャイで不器用な実像と国をよくするための政策への思い。下野時に東日本大震災の被災地で安倍があった少女の前向きさに打たれたエピソード。菅官房長官の霞ヶ関の慣例にとらわれない人事で官僚統制を行う方針。消費税増税をめぐる財務省との綱引き。また国民に対しては、耳ざわりの良い政策が飽きられ、媚びない政治が受け入れらているのではないか、という見立て。ただ、それは難しいところで、国民の声を聞き過ぎれば、ポピュリズムに堕するし、国民の声を全く聞かなければ独裁政治と言われる、その間のどこに政策を向けるか、というのは安倍政権の国家観によるのだろう。
早乙女選手、ひたかくす 2 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2017-04-12)
読了日:2017年6月4日
口がかたくてアドバイスもくれる紺野さん登場。早乙女さんと月島くんの関係を前進させようとヤキモキするが…。そして合宿。監督と大学の監督とに何かあったことが示唆されたり、月島の姉の同級生登場で波乱の予感?服なしでお風呂場に取り残されるハプニングを経て、ぐっと距離は縮まらものの、というところまで。
早乙女選手、ひたかくす 1 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2016-12-12)
読了日:2017年6月4日
学校の、地域の期待を一身に背負うボクシング部のエース早乙女さんと、公式戦0勝で冴えないけど知識はすごい月島くん。紆余曲折あって監督の勧めで、隠れて付き合うことになった奥手の二人が繰り広げるラブコメ。クールビューティなのに、月島くんのことになると落ち込みやすく浮かれやすい様子が微笑ましく。お弁当を返しにきた時の、クラスメイトの、あんたの彼氏の席なら、て一言にゴゴゴゴゴゴてなるところで一巻終わり。
緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)
高橋 祐一 / KADOKAWA (2017-05-01)
読了日:2017年6月4日
ユスティニアヌス帝時代のビザンツ帝国が舞台と知り手に取る。野心と理想を併せ持つユスティニアヌス。類い稀な美貌と怜悧な頭脳を持つテオドラ。愛嬌たっぷりんシア。堅物だが将才は抜群のベリサリウス。何よりも読書が大好きで素直じゃないが頭脳は切れるプロコピウス。敵国ペルシアの野心家ホスロー王子、と魅力的なキャラにことかかず。史実をベースにしながらも、馴染みやすい人物造形とセリフ、最低限な魔法や怪異がストーリーに彩りを添える。「国というのは民あってのものだ。国家の体裁や面子よりも民のことを考えよ」という言葉の重み。ベリサリウスが、同志たちとペルシア戦線から帰ってきて、皇帝となったユスティニアヌスと対面するところで閉じられる物語。どこにも表示がないけど、これは1巻、続きは乞うご期待、か。シリーズ化するとしたら、40年近いユスティニアヌスの治世のどこまでやってくれるのかなあ。
リオデジャネイロに降る雪――祭りと郷愁をめぐる断想
福嶋 伸洋 / 岩波書店 (2016-07-22)
読了日:2017年6月2日
センチメンタル。むせ返るほどの感傷。いや、郷愁なのだろう。見たことも訪れたこともないリオを懐かしく感じさせるような。ヴァンドレー「さあ行こう、待つことは知ることじゃない。知る者は何かが起きるのを待たずに、行動を起こす」/数多くの音楽家と聴衆を巻き込んだムーブメントとしてのボサノヴァは1958/7/10に始まり、1964/4/1に終わりを告げた、後には、音楽のスタイルとしてのボサノヴァが残った、と。/当時の人々が、より政治性の強い、プロテストソングを熱烈に指示したのと対比され。/有名な、黒いオルフェ、原案者はそのオリエンタリズムに納得行かなかったようだが、見てみたい。/22歳の時小さなクラブで、Tristezaを聞いて、そうだリオへ行こうと思い立った著者。/「見えない雪は見える雪よりもきれいだよ」/ジョン・キーツ「耳に聞こえる音楽は美しい、だが聞こえない音楽はそれよりも美しい」にならって/セシーリア・メイレーリス「わたしたちの現在は、未来にふれるやいなや、それを過去に帰る。生とは、絶え間なく失うことである。生は、そのため、絶え間ない郷愁(サウダーデ)である。」/リオにいた時の思いを、繰り返し味わうかのような、それを本のこちら側にいても濃厚に伝わってくるような、心地よい読書体験。
パンドラ (Feelコミックス)
ねむ ようこ / 祥伝社 (2010-08-07)
読了日:2017年6月1日
デビュー作、ブラックだなあ...はっきりと名指しはされないけれども、眠ってる間に切り取られた腐ったものとはきっと…そして気が変わって元に戻そうとした時にはすでに犬が...と。嗚呼、背筋も凍る。一度目だと思ったら二度目の人生だと知らされたり、ケーキでつながる二人だったり、俺様すぎてついていけないと思った彼の可愛いところを垣間見たり、男二人のカップルの部屋に猫のように可愛がられて滞在した女の子などなどの短編集。


chokusuna0210 at 19:08|PermalinkComments(0)clip!メディアマーカー 

2017年06月02日

2017年05月に読んだ本

期間 : 2017年05月
読了数 : 53 冊
クロコーチ (18) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2017-03-29)
読了日:2017年5月31日
シマシマ(12) (モーニング KC)
山崎 紗也夏 / 講談社 (2010-10-22)
読了日:2017年5月30日
3-12巻まで読了。シオの選択。そうきたか、と。本当にきっかけは些細なことなんだよな、というのが身に沁みて。最後、誰がかわかりますか?との作者の問いに、こ、これは、社長なの?いつの間に?あんなに嫌っていたのに?というのが謎といかなんというか。4人それぞれの進路は、脚本家に、自分の居酒屋経営に、アートディレクターの卵に、旅行会社と。そして、シオとあの4人が揃った瞬間は本当に奇跡だったんだな、と。他のキャラではやはり菖子さんが強く印象に。バリッと仕事して怒ると強くて、けど、可愛がって、愛情を持って接してくれて、焦らなくていいと諭し、ダメにすると思えば気持ちが残っててもスパッと切って、成長を促すなんて、カッコイイ。以下、各巻あらすじまとめ。 (3巻)シオの元夫、ガイの兄の突然の来訪。それを隠そうと必死になったガイは後から悩み、連絡がつかなくなるが、意を決して、シオに告げると今度はシオが不調に。いちばんの身近な存在を気遣ってやれなかった、と悔やむランだが、駆けつけたのはガイだった (4巻)シオの窮地をすくったことで、ガイはシオへの気持ちに気づき、ちょっとずつだけれど関係が前進。ほかの三人は、やりたいこと、進みたい道を見つけつつあり…と。 (5巻)ランがぐいぐいとせまる巻。負けじとガイも、決死の思いで兄のもとへ決意を告げに。そして、迷うシオ。悩むシオ。リンダも、いつもの調子とは行かず…。(6巻)ランは回答を待ちつつ、ガイは気を入れ替えて父の仕事を学ぼうとし、リンダはのたうちまわっているのを面白い、ゆっくりでいいと受け入れてもらい。マシュは脚本がじょじょに認められ。思いの交錯する年末年始に…。(7巻)急にシオから距離を取り出すランとガイ。シオは悩み混乱し、結局はしがみつき…と。あと、この巻はユミさんがいい味出してるなあ。最後のランの涙は… (8巻)ランのド直球がシオにささり、二人の関係は大きく進むことに。ガイは何か見つけなければと迷走してるけど、動いてるだけ全然いい、と。マシュは脚本家デビューし、リンダはデザイン業界をめざし。(9巻)シオさんの仕事に大きな転機。そして、なんとシープの四人がシェアハウスすることに。どうなることやら。(10巻)シオの新しい店のオープン。行くのが一番のお祝いとなんとか駆けつける四人。ガイはまさかの…だけど。すべてがうまくまわりそうなところに、ひょんな事から、シープが記事になりそうになり…。(11巻)四人それぞれの将来に向けたエピソードが描かれ。そんななかガイはシオへの気持ちを新たにし…。
シマシマ(2) (モーニング KC)
山崎 紗也夏 / 講談社 (2008-09-22)
読了日:2017年5月28日
2巻まで読了。サロンを経営する傍ら、添い寝屋を営むことを思いつき、感じのいいイケメン4人を雇って始めたが…といったところでこちらも続きがきになる。
レンアイ漫画家(1) (モーニングコミックス)
山崎紗也夏 / 講談社 (2011-04-22)
読了日:2017年5月28日
Kindleのセールで見かけて。子供を引き取る条件に、漫画の取材の一環でレンアイして来いって、無茶苦茶な設定だなあと思いつつ、続きが気になる。
日本人嫁、英国に住んだらツッコまざるをえなかった (すくパラセレクション)
ホリー亜紀 / 竹書房 (2016-11-24)
読了日:2017年5月28日
日本生まれ、オーストラリアで出会って、結婚してスコットランドの人口4000人の小さな街へ移住。そこで受けたカルチャーショックを4コマで。オートマ車がほとんどない、電線がない、ナゲットやピザなど少ないメニューをヘビーローテーション、嫁たちは姑に食事に洗濯と頼りがち。基本、自分大好き、ゆるい考えで運営されているものが多く、…などなど違いを言い出せばキリがないけど、ツッコミつつも、気がつけば馴染んでいて、と。
アフタヌーン 2017年 07 月号 [雑誌]
講談社 (2017-05-25)
読了日:2017年5月27日
波よ聞いてくれ、は、ミナレさんの番組にスポンサーが?!と思いきや…そして久蓮木さんの去就と南波さんのモチベーションは?と。新連載の大蜘蛛さんの話は、八神くんの家庭の事情を少し思い出した。四季賞の話、ここで終わるのが良い、というのは確かに新しいかも、と。宝石の国、は、どんどんストーリー全体の核心に迫っていく。あたりのキッチン、は、どストレートな弟子入り志願がまたいい結果を生み出して、清美さんの世界も少しずつ広がって。
外道の歌(1) (ヤングキングコミックス)
渡邊ダイスケ / 少年画報社 (2016-08-08)
読了日:2017年5月27日
善悪の屑1-5読了。Amazonの検索に出てこないので、画像は第2部のものを。法が手を出さない、遺族の無念を晴らす、復讐の代行屋の話。描写はエグいものが多いが、ふと、依頼者の一人が漏らした、復讐しても何も変わらない、虚しいだけだ、ってよく言われますけど、なんだか重い荷物をおろしたようなホッとした感じがします、というのが言いたかったことなのだろうか。
エストニア紀行: 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦 (新潮文庫)
梨木 香歩 / 新潮社 (2016-05-28)
読了日:2017年5月26日
文庫化を機に再読。張り巡らされた地下通路、秘密の通路かと思って掘ったけど、違った、とつぶやく老爺。第二次大戦下でユダヤ人を救い続けたスウェーデン公使ウォーレンバーグのオペラ。マーティン・メレディスのアフリカこの50年、という本。一人森を歩く楽しさを満喫する著者。自分で本を読んで料理を学び山の中、1日1組だけ受け付けるレストランを開く青年。内陸は古代から中世の気配を濃厚に持ち、タリンが突出して都市であることを実感。野卑や下品は世界ぜんたいの豊かさを深める陰影のようなもの、と受け止め。部屋にかかる絵にお礼をいったら鈴の音が鳴り響いたという不思議体験。島の沿岸なら漁ぐらいするしパンも焼き畑も耕す、とたくましい島の女性。自給自足はできてもお金持ちにはなれない、というつぶやきの含意。ちょっと大き目の国が間にあるけど、私たちは隣同士、というおおらかな心。ヒトが生活するだけで、多くの種が絶滅に追いやられている、放射のよりはるかにシビアに。立原道造の「五月の風をゼリーにして持ってきてください」という病床の言葉。旅の別れは今生の別れとばかりに滂沱の涙を流して見送ってくれる女性。帰りの飛行機の視点が、アフリカへと渡る渡り鳥の視点とクロスオーバーするエンディング。すべてが愛おしく、エストニアという国を好きにならずにいられない。
誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく (角川文庫 緑 315-4)
寺山 修司 / KADOKAWA (1973-05)
読了日:2017年5月26日
自伝的エッセイ集。東京時代より、少年期、青年期の青森時代のエッセイの方が個人的には興味深かった。また、血は立ったまま眠っている、や、母親が産み捨てられ、産みの父に返され、そこからまた別のところへ引き取られたエピソード、部屋代を天国に送れればいいのに、などなど、他の作品でも繰り返されるモチーフは、ここから派生したのかな、と思った。「生が終わって死が始まるのではない。生が終われば死もまた終わってしまうのである。」「賭けない男たちとは魅力のない男たち」などの断章。賭博とは、自分の生とか死をどれだけ客観視できるか、という試練でもある、という警句、片手にヴァイオリン、片手にボクシンググローブを抱えて80歳で死んだ老ボクサーも印象に残るシーン。
あゝ、荒野 (角川文庫)
寺山 修司 , 鈴木 成一 / KADOKAWA (2009-02-25)
読了日:2017年5月26日
少年院から出たばかりの新次、渡りの床屋のバリカン、ひょんなことから同じジムでボクサーを目指し始めた二人と、二人の周囲の人間模様。もしも心がすべてなら愛しいお金はなんになる、という歌、赤面どもりの登場人物、などなどは、繰り返しどの作品でも語られ、寺山修司が何度でも語りたいことなんだな、と。最後はその書類で来たか、と。そうなると、バリカンの、今日は勝てそうな気がするとは単に思い過ごしだったのか、あるいは、勝負に対してではなく、新次が予想していた通りの目論見に持っていけるという予感だったのか。昭和40年代前後の世相が、色濃く反映されているのか、そういった時代を読むのも興味深かった。以下備忘録的に。/一人でも生きられる時代というのは決して来ないのだ!/憎まれることによって、一番位の低い愛を手に入れようとしているとまでは、誰もわかってやろうとはしないのであった。/墓場は一番安上がりの墓場である。/許さないけれど、忘れている。/自分は一人で死ぬのなんて嫌なんです。死ぬなら、誰かのせいで死にたい。/世の中には偶然のない人生もある/ジャズと自由は手をつないでゆく/
脳が壊れた (新潮新書)
鈴木 大介 / 新潮社 (2016-06-16)
読了日:2017年5月23日
高野秀行さんのTwitterつながりで手に取る。最近、脳梗塞になられた日垣隆さんのメルマガと合わせて読むと、より理解が深まる。外からはわかりづらい高次脳機能障害のケーススタディとして、こんな風になることがあるんだ、と。性格が変わった、とか言われて片付けられてしまうことも、脳の障害に起因すると知るだけで全然違うと思った。そして、今までの取材対象者の気持ちを本当の意味で体感することができた、と著者がプラスに捉えてるところがすごいな、と。背負いこみすぎる自らの性格で突っ走った結果がこれなら、ゆっくりとでも変えていかないと、と。奥様とのライフストーリーも語られ、個性的だけど、ぶつかりつつも、今はしっかり寄り添っている様が印象に。
輝ける闇 (新潮文庫)
開高 健 / 新潮社 (1982-10-27)
読了日:2017年5月22日
同じ著者のノンフィクション「ベトナム戦記」をフィクションに煮溶かしたらこうなるのか、という感想。熱帯の湿気と暑さと、揺り動かされる精神の作用が混ぜ合わされてこれでもかと迫ってくる。「愛は所有だと人はいう。しかし、それすら人は他者のうちの自分で変えられ、影響を及ぼせられる部分を所