2017年09月14日

梅田哲也「りんご」 #札幌国際芸術祭


8/21
中の島の住宅街にひっそりとある会場で、梅田哲也「りんご」観てきました。格子状の木材、長方形の穴に、照明が置かれ、静謐な空間。静かに、木目を、ゆっくりした水の動きを感じる。入り込みすぎて、外に出た時の、引き戻され感が半端なかった。

8/23

梅田哲也「りんご」(会場:中の島1-3)、鑑賞、二回目。堀尾寛太作品で受けた衝撃を鎮めるために。落ち着く。静かな空間。今回は、天井から飯盒に落ちてくる水滴の音をより感じられた。しばし、静けさに身を任せる。今度は雨降りの日に来てみたい。

8/28
梅田哲也「りんご」(札幌市豊平区中の島1条3丁目8-19)三度目鑑賞。今回は、夕刻、まだ外が明るいのもあってか、飯盒から落ちてくる水滴が、器の外に波紋を投げかける様がよくわかった。そして、四角く開けられた穴に所在のわからない照明があったのだけど、上にある器の下がくりぬかれていることがわかった。前回、前々回と受付のお姉さんしかいなかったけど、今日は解説してくれる方が常駐していて、少し、お話が聞けて、より深く鑑賞できた。また何度も見たい展示。

9/12
梅田哲也 りんご @中の島。四度目の鑑賞。一度、雨の夜に来たいと思っていて、まさに今日。…と同じことを思った人がいたのか、今まで見たことないぐらいの大人気。あるいは面白さが浸透したのだろうか。晴天時の微かな感じとは異なり、雨の影響で盛大に水滴が落ちてきて、球形の器が短時間にさまざまな響きと波紋を見せ、前の三回とはまた違った味わい。いつまでもうずくまって見ていたかった。



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2017年09月03日

2017年08月に読んだ本

期間 : 2017年08月
読了数 : 42 冊
キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)
井上 荒野 / 角川春樹事務所 (2014-08-09)
読了日:2017年8月31日
私鉄沿線の小さな駅の商店街ですこぶる繁盛する弁当屋ここ家のオーナーでいつも元気いっぱいの江子、店員の、偏屈な麻津子、新しくやってきた郁子。60歳前後の3人のところに、米屋の新しい店員としてイケメンの進がやってきて色めき立ったり。三者三様の別れを抱えて、一悶着あったり。/アサリのフライ、食べてみたい。/三人一斉に、進を気に入っていると宣言するシーン/キャベツ炒めをめぐる三者三様/自由の王国、と進に形容されるここ家/もう安全だから、と元夫に電話で江子が伝えるシーン。/印象に残ったシーン。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
中島 らも / 講談社 (1994-03-04)
読了日:2017年8月31日
主人公もクセがあるが、酒乱の主治医赤河と亡き親友大道寺不二雄、その妹のさやかの造形が強烈で印象に残る。紆余曲折を経たハッピーエンドといえばハッピーエンド。いつまで続くかわからないことを示唆しながらも。/「"みじめだから中毒になりました"というのを他人様に泣き言のように言ったって、それは通らない。それでは、みじめでなおかつ中毒にならない人に申し訳がたたない。”私のことをわかってくれ”という権利など、この世の誰にもないのだ」(p.124)/バロウズ「剥離、ある病気に関する証言」を読みたくなる。/「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。(p.132)/フーゴー・バルも手にとってみたい/科学は気が長いんだよ/生きる意志を杖にして歩いていく人たちの流れの中にいて、そんな人たちのためだけに泣いたり笑ったりしたいの。(p.146)
トルコ音楽の700年 オスマン帝国からイスタンブールの21世紀へ
関口義人 / DU BOOKS (2016-10-14)
読了日:2017年8月30日
聴きたい曲や寡聞にして知らなかった情報がいっぱいだった、個人的に。/日本での受容。雪村いづみ「ウシュカ・ダラ」、江利チエミ「ウスクダラ」。坂本九「悲しき六十歳」の原曲が「ya Mustafa」だったとは。/トルコの軍楽が影響を与えたベートーベンの劇付随音楽「アテネの廃墟」に使用された行進曲/デイブ・ブルーベックのアルバム「タイム・アウト」の中の「トルコ風ブルーロンド」。/イスラミック・ナシードのムスリム歌手サミ・ユスフをはじめ、トルコにおいてもイスラミック・ナシードは大変人気。/日本語で読めるスーフィズムの研究成果、イディリス・ダニシマズの論文「アナトリア・スーフィズムの射程」/2008〜2010年にトルコでもメジャー・レーベルは音楽産業の衰退に合わせて作品制作を大幅に控え、レコードショップも激減した。/タルカン「アフデ・ヴェファ〜サナートを歌う/オスマン期のスルタンのイメージを音楽に取り込んだGultekin Khan/Kim Ki Oという女性ユニット。イスタンブールから登場。フランスのレーベルからエレクトロ風の作品を出している。最新アルバム「Bir,Iki」。/キルピの2005年のアルバム「The Song」の中のタイトルチューンは世界的にヒットしたチルアウト系コンピレーション「Buddha Bar」(Vol. 7-Buddha Bar )にも収められた。/セゼン・アクスについては、読み落としたのかもしれないが、女帝といえばセゼン・アクスだが、という一文しか見られず。意図的なのかな、と。
【文庫】 それからの三国志 下 陽炎の巻 (文芸社文庫)
内田 重久 / 文芸社 (2011-10-05)
読了日:2017年8月30日
個人的に、三国志といえば、諸葛亮死後の蜀、に関心を持っていたのだが、同じような人が上の世代にもいたんだな、という嬉しさで手に取る。正史を軸におきながら演義などの俗書の説も闊達に採用し、私感も挟むという体で読みやすさ。宦官黄こうがいたるところに名が現れ諸悪の根源とされ、独立した伝も立てられず全体像がわからないが、益州人士が寄ってたかって追い出せなかった、必要悪な側面があったのではないか。夏侯覇の孤独、亡命してきたが、益州人士には受け入れられず、姜維だけに親しみ、張嶷に交際を求め断られた際は益州人は張嶷を是としたとか。竹林の七賢でもっとも偏屈で癖のある嵆康と鐘会の関わり。現世利益を取り込んだ道教が雑多な迷信や呪いをはらみ受け継がれ、日本にも受け継がれてきた、七五三、ひのえうま、還暦祝いなど日本にも残る、と。傅せんの忠義についてはクールな正史でも注記でこれを称揚、傅とうの息子であったとか。孔明の頃使われた南蛮の諸民族の「飛軍」、後期には無くなってしまった。蜀の降伏を決する際に、初めて怒鳴ったのをみられた劉禅。前線に駐屯し鐘会に降った蒋ひん、姜維に皇帝の使節として派遣され、その後も劉禅のそばにつかえた蒋顕、個人的に興味を惹かれる蒋えんの息子二人が蜀滅亡時も役目を果たしていたことを知る。「降伏が遅いとは意外なお言葉。かりにも私は漢の大将軍です。今日やむなくここに参るも、むしろ早過ぎたりと存ずる次第でござる」と語る姜維。なぜ突然司馬昭と艾の間が破綻したのか、なぜ鐘会が安楽な洛陽の貴族生活を捨てようとしたのかは、人間心理も含め謎。鐘会は「世説新語」にもよく登場し、才気やユーモアを振りまき、闊達な風格を示している、と。貴族社会、合議制に世は傾いていって、だんだん君主や有力者一人でどうにかすると言う風潮ではなくなっていくことも描かれる。
将棋めし 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
松本 渚 / KADOKAWA (2017-08-23)
読了日:2017年8月27日
カツ丼頼んだのに取られて玉子丼、カツ丼たのんだら対戦相手がドヤ顔で上カツ丼頼んだから食べる速さで勝ってやったとか、ステーキハウスで美味しさに集中して癒されるとか。正直将棋の駆け引きはわからないのだけど、ごはんどきに気分転換というのは伝わってくる。ただ昨年の12月から東京と大阪の将棋会館の対局はすべて外出禁止になったというのは、三浦九段が対局中に将棋ソフト使った疑いが持たれて結局潔白だと判明した事件と関連があるのだろうか。
アフタヌーン 2017年 11 月号 [雑誌]
講談社 (2017-09-25)
読了日:2017年8月26日
イサック:ついに明かされる過去の因縁、イサックが日本に何を残し、欧州へ傭兵に出たのか。ミコさんは腑に落ちない:エンさんが旧職場にヘルプで呼ばれ、打ち明けられる独立話と、そこへのエンさんの参画の誘い、再就職カウントダウンか?。フラジャイル:語りづらい、けど通ずるところのある過去を持つ岸先生だから促せる晴くんに、泣いてもいいんだよ、辛いところを周りに見せてもいいんだよと言う後押しが印象に残る。あたりのキッチン:清美さんをめぐるさや当てがだんだんとはっきりとしてきて、親父の息子へのまあ焦るなよ、が効いているなあ、と。そして自分の魅力に気づいていない清美さん。BLACK-BOX:なんとなく肩透かしというかそりゃないよと言う幕切れ。そんな乱入した観客がそんなことするなんて、警備はどうなっているんだ、と。あしあと探偵は連載終了が悔やまれる。もっともっと読みたかった、味わい深い作品だったのに。
筑摩世界文学大系〈1〉古代オリエント集 (1978年)
筑摩書房 (1978-04)
読了日:2017年8月25日
イナンナの冥界下りを読み、イシュタルの冥界下りとの類似と違いを楽しみ。ドゥムジとエンキムドゥで、ギルガメッシュ叙事詩にも出てきたエンキムドゥの姿を追う。/彼のバターはすてきだし、彼のミルクは甘いではないか/(もし)彼が彼の最上等のビールを私に注いでくれるとしたら、農夫には私の黄色いミルクをその代りに注いであげよう。(もし)彼が彼の甘いビールを私に注いでくれるならば、農夫には私のヨーグルトをその代りに与えよう。/
ちんすこう りな / 人間社 (2017-08-01)
読了日:2017年8月24日
シャンティブックスにて購入。twitterでの店主さんの紹介を見て、手に取った詩集。ぎょっとするタイトル、人が言わないことをそのまま放り出すように言うところあるけど、全体を通じて感じる淋しさ、ここに私はいるのに、と。ようこ、バイバイ、I love PAPAが個人的にはよかった。
傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)
小野 美由紀 / 幻冬舎 (2015-02-10)
読了日:2017年8月23日
cakesで、不倫の子の胸のうち https://cakes.mu/posts/12629 てエッセイを読み、強く惹かれたのがきっかけで、買ってしまう。自意識をこじらせてこじらせて、自分が何をしたいのかわからなくて、スペイン巡礼に出て、様々な出会いと気づきを得て、母親とも正面からぶつかって、そして、今、といった感じのエッセイ。/「特別である」ということは、決して自分と違う人のことを否定することではない、ということに、私はこの時まだ、気づいていなかった。/「特別になりたい」をやめると、自分の好きなものが、分かるようになる気がする。他人と共有できる、なにかが増えてゆく。特別な自分の代わりに、周りにある、うつくしいものを、愛せるようになる。/自分のペースを守りなさい。そうすれば、ある時、自分のペースと、社会のペースが、かみ合う時が、必ず来るから。/ブラジルには、「マオ・レゾルビーダ」という言葉がある。直訳すると「未解決の人間」。自分の家族や、人生の悩みを、解決していない人間を言うんだ。/弱さは強さの一部だ。/
ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
矢島 文夫 / 筑摩書房 (1998-02-10)
読了日:2017年8月21日
音食紀行に影響されて、手に取る。エンキドゥが、獣の乳を飲む、シカールと言う酒精飲料を飲む場面。ギルガメシュが、イシュタルに言い寄られるも、今までのイシュタルの悪行を並べ上げ、泣きながら天に帰るイシュタル、ギルガメシュを滅ぼせと親に泣き作って、完全に逆恨み...。シャマシュが天から呼びかけ「エンキドゥよ、なぜお前は遊び女を呪うのか、あれがお前に教えたのは、神にふさわしいパンを食べること、王者にふさわしい酒を飲むことだった」と言うシーン。が、印象に残る。これ一冊だけでは再現料理むずかしいなあ、と思ったのだが、他に参照資料があったのかな。
きまぐれオレンジロード 全18巻完結(ジャンプ・コミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
まつもと 泉 / 集英社
読了日:2017年8月20日
1-6,18巻読了。エンディングテーマが懐かしくて聴き込んでるうちに、本編も手に取りたく。けど知ってはいたけどあまりの優柔不断ぶりに、途中はすっ飛ばして、最後の巻へ。そうだった、こんな終わり方だったか、と。最後に、おれ、実は、というのはやはり打ち明けたのかな。
太平洋戦争 日本の敗因〈4〉責任なき戦場 インパール (角川文庫)
NHK取材班 / 角川書店 (1995-07-01)
読了日:2017年8月20日
牟田口中将の作戦はあまりに無謀、兵站無視の精神論、河辺司令官は情実を挟み制止せず。何万もの兵士を犬死に追いやった二人の罪は万死に値するが、二人を責めてそれで終わるのだろうか、という視点が貫かれている。兵站軽視、精神論重視は、士官学校の教育からしてそうなっており、また、エリートは誰も責任を取ろうとしない無責任な体制は、大本営からの「準備命令」と言う形に凝縮されている、と。対するイギリス軍は、若くても有能なら抜擢、補給を重視し、怪我をすれば飛行機で助けてくれるし、飛行機が食料弾薬を豊富に補給。今から見ても勝てるわけがなかった、と。そして、今も、インパール的な状況はそこかしこにある、という指摘は重い。以下備忘録的に。/昭和17年のビルマ占領時の英軍の敗退が英軍与しやすしの印象を与えてしまう/初回の昭和17年時のインパール作戦の打診については、牟田口中将は、地形の困難、道路網構築等後方整備が整わず、実施困難、と回答したが、これをのちに遮二無二インパール作戦に突き進む契機となってしまう/作戦の中身は是非論でいえば非だが、組織の論理ではやらざるを得ない/盧溝橋事件で日中戦争の発端を作ったからインパール作戦で戦争を終わらせたい、という個人的思い/制空権を連合軍に握られたことが大きな敗因の一つ/作戦案は参謀をはじめ全ての上級組織に否定された/ 大本営は反対だった、と言う謎/これではダメだろうと思いながら、兵員も補給もろくにせず軍を送り出す無責任/連合軍はインパール作戦の開始時期、経路をほぼ正確に予測していた/佐藤師団長の独断撤退。日本陸軍始まって以来。しかし河辺司令官は自身に責任が及ぶことを恐れ、軍事法廷にもかけず、心神喪失として処理/河辺司令官も牟田口中将も、戦後の回想で、互いに責任のなすり合いをしているのも問題だが、当時互いに顔を見合わせて何も言えず、ただ黙って気持ちを察してくれるのを待っていたとは、あきれた話/牟田口中将「日本軍というのは神兵だ。神兵というのは、食わず、飲まず、弾がなくても戦うもんだ。それが皇軍だ。それを泣き事言ってくるとは何事だ。」/河辺中将は、大将に昇進、航空総軍司令官の要職に。牟田口中将は、予備役に退いたのち、予科士官学校の校長に。作戦失敗の責任は、陸軍組織の中では一切取られなかった/今日にも跋扈する、日本的な組織における決定と責任の問題が、インパール作戦の中に潜んでいるのではないか。
本日のバーガー 6 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2017-08-16)
読了日:2017年8月19日
チョコソースを活かしたメキシコのバーガーから、日本でもっとハンバーガーを盛り上げようと、ハンバーガーフェスに奔走するストーリー、そしてアイドルとマネージャーの悩み相談まで。神宮寺さんの枠にとらわれない自由な発想がひかる。
絢爛たる醜聞 岸信介伝 (幻冬舎文庫)
工藤 美代子 / 幻冬舎 (2014-08-05)
読了日:2017年8月19日
三年前に挫折してたけど、昨日から再開したら、ぐいぐい引き込まれ。昭和の妖怪、と言われた政治家の評伝。中央の官僚としてメキメキ頭角を表し、かと思えば、私有財産の否定や、国粋主義者、北一輝の謦咳に接し。満州国の経営に辣腕をふるい、東条内閣では、商工大臣、国務大臣兼軍需次官としても活躍し、しかし、大臣辞職を拒むことで東条を退陣に追い込み、戦後は、戦犯として三年収監されるも復帰、あっという間に総理大臣まで上り詰め、周囲からの、あるいは国民からの悪評ももろともせず、安保改定にこぎつけ、退陣。その後も、憲法改正に燃えるが、その後の総理には引き継がれず。その思いが、今の安倍総理が引き継いだ、と。/数々の悪運の強さを自認し、権力とカネが大事、ただそのカネは必ず濾過したものを使えと言ってきた宰相/デモ隊のうち何人が古い安保条約を読んできたのかね、と嘆息する岸。/放漫な自由主義経済は弱肉強食に陥るから、ある程度計画的な経済、統制経済を指向。満州国の経済運営にも取り入れる/上級のものにめっぽう強いのが岸の持ち味/日産コンツェルンを満州へ呼び込み/里見、古海、甘粕、岸と阿片資金が流れたと言われるが確証はない/政治は動機良くても結果ダメならダメ、むしろ動機が悪くても結果よければよし、と言うのが本質では/
永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)
中島 らも / 文藝春秋 (1997-09-01)
読了日:2017年8月17日
燃え殻さん( @Pirate_Radio_ )の「ボクたちはみんな大人になれなかった」で、作中の彼女が読んでいたので読んでみたくなり。電算写植機の前で主人公がクスリのきまった状態で一晩過ごし、翌朝には小説ができてた、って紹介だったけど、その前に詐欺師な知人がからみ、社史の話から蔵書家の医師から啓示を受け、まさかこんな使われ方をするとは。それに乗った編集者もチャーミングで、あれよあれよのエンディング。蔵本の歴史のあたりは含蓄深かったけど、やはり様々なものが蓄積して絞り出されたものが一冊にまとまったあたりのシーンが心に止まる。
おひとり様物語(7) (ワイドKC Kiss)
谷川 史子 / 講談社 (2017-08-09)
読了日:2017年8月15日
ひょんなきっかけでバレンタインチョコを渡してしまったことがきっかけで、毎朝電車が一緒になるだけの丸山さんと花見に行くことになった北野さん。それが初詣になり、初めてお茶を誘われることになり…と。北野さんの背景が説明されるから、その踏み込めなさぶりはわかるけど、丸山さんは?丸山さんはどんな気持ちなのだろう。鈍いのか、天然なのか、わかっててやり過ごしているのか。あとは、まったく周りを気にしない先輩の一言に救われたり、年賀状にコメントがなかったことにこだわり続けてたのを緩めてくれたおおらかな同僚、話して初めてわかったリア充だと思ってた同僚の姿などなど。
AIの遺電子 07 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-08-08)
読了日:2017年8月15日
人身事故を起こした自動運転AIの結末。AIとだけ交流できた人の緩やかな回復。感情制御を破壊されるウィルスに感染した経験のある新聞記者。様々なトピックで、AIが生活に溶け込む近未来を描いて、考える一助になってくれる。
CD付き たそがれたかこ(10) 特装版 (講談社キャラクターズA)
入江 喜和 / 講談社 (2017-08-09)
読了日:2017年8月15日
そうかあ、言っちゃったかあ、という感想。反応も予想の範囲内だったけど、それでもこれでいいのだと思えて、ラジオにもうっかり送ってしまい、怒ったたということは、刺さったということ、きちんと受け止めたのでは、という返しがロックだなあ、と。娘のことも自分のことも、コーヘーくんやマキちゃん、美馬さんも含めて、明るい兆しを見せつつのラスト。個人的には、冒頭の、更級日記の授業を一緒に受けるシーンがいいなあ、と。中高年は振り返る、だからまだ何者でもない若者たちに憧れる、と。
ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック (アクションコミックス)
こうの 史代 他 / 双葉社 (2017-07-28)
読了日:2017年8月15日
海苔の養殖に目を止めた人、いまならバリバリ仕事してそうな径子さんの、きつい中にも愛情のこもった造形に惹かれる人が何人もいたこと。監督が、調べて調べて、原作者のこうのさんが作中に描いてたことは全部つきとめて調べて描いてんですよ〜という語りに、監督、それ初めからこうのさんに聞いて、と心の中で突っ込むシーン。こうのさんが、後半を左手で描いてたことに寄せて、篠原ともえが大好きな椿を描くときに、つばきの汁が筆にのらなくて、椿の花びらで和紙に描いた話しが記憶に残る。あとは、読みの精密さと多様さ。ラストの右手がふられるシーンや掃除をするすずを径子さんが軽く避けるシーンなどなど、様々なシーンに意味を込めて読み取る人びと。観終わってすぐに喫茶で語り合うのを聞くような楽しさでした。
かのひと  超訳 世界恋愛詩集
菅原 敏 / 東京新聞出版局 (2017-07-25)
読了日:2017年8月15日
超訳、ということだけど、全部原文からあたったのか、あるいは英訳を挟んだのだろうか。興味が湧く。もし英訳を挟むならもっと中東の詩人も取り上げて欲しかった。取り上げた詩人と対話するように訳を挟んだ箇所もあるようで、cakes上の原文と照らし合わせる根気と語学力があればもっと深く楽しめたに違いない。以下抜粋と雑感。/愛される1時間/それを味わうために/わたしたちは苦悩で/代金を払い続ける(エミリー・ディキンソン)//たった一度でも/愛の腕に抱かれたことがあるなら/おまえの人生は/おちぶれ くちはて うす汚れる ことはない(テオドール・シュトルム) // マリー・ローランサンの世界でいちばん悲しい女は、どこかで聞いたことあると思ったら、夏木マリ「鎮静剤」だった。/あなたの白い腕だけが/わたしのすべての地平線(マックス・ジャコブ)//巻末のバイオグラフィー、李白のがいちばん心惹かれた。
塩一トンの読書 (河出文庫)
須賀 敦子 / 河出書房新社 (2014-10-07)
読了日:2017年8月15日
膨大な書簡から中世イタリア商人の日常を活写した、イリス・オリーゴ「プラートの商人」。ペソア詩選「ポルトガルの海」、エッサ・デ・ケイロースの「縛り首の丘」所収の「大官を殺せ」、ボタン1つで遠い中国の裕福な大官を殺し、その富を受け取らないかという誘い。この3冊は、手にとってみたいと思った。関川夏央「砂のように眠る」に寄せた、"人が生きるのは、答えを見つけるためではないし、だれかと、なにかと、競争するためなどでは、けっしてありえない。ひたすらそれぞれが信じる方向に向けて、じぶんを充実させる、そのことを、私たちは根本のところで忘れて走ってきたのではないだろうか。"という一節が心に残る。
FEEL YOUNG(フィールヤング) 2017年 09 月号 [雑誌]
祥伝社 (2017-08-08)
読了日:2017年8月14日
16年後のハッピーマニアが読みたくて、購入。シゲタ、フクちゃん、すみれのそれぞれ。ハッピーマニアのエンディングも、読み手にはどちらとも取れるものだったけど。それぞれのうまくいってない結婚生活、相変わらずクールなフクちゃんとの苦いやりとり。そしてシゲタのケースはまさかタカハシ側から…と。to be continuedとあったけど、続くのかな?確かに、何も終わっていなかったけど。
北海道大学エスペラント研究会 / 北海道大学エスペラント研究会 (2016-10-20)
読了日:2017年8月14日
英語は政治経済の言葉で、エスペラントは友愛の言葉、というのは印象に残る。サハリン旅行記の部分は、現地の素朴な人柄が偲ばれる。エスペラント語についての講演にビラをまいてきてくれたサハリンの人は20人。エスペラントを広めて行こうという運動の最初の橋頭堡になるのか、期待したい。サハリンの歴史も簡潔に触れられて有益。エスペラント語自体は、ドイツ語やロシア語の要素が多いのかな、と素人目には思った。まあ、純粋に一からの言語創生というのはなかなかに難しいのかな、と。
桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(3) (アクションコミックス)
ぽんとごたんだ / 双葉社 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
今回の食材は、コオロギ、トド、亀の手、フグの卵巣、豚の脳みそ。トドのソルベは興味津々。どれだけの獣くささなのか。豚の脳みそは食べたことないが、羊の脳みそはプチプチとして淡白だった記憶が、、コオロギ…はあまり心惹かれないかな。亀の手の出汁は気になる。フグの卵巣の糠漬け…無毒化する過程の試行錯誤で何人も死んでいるのだろうなあと思わせるインパクト。毒のあるものを無毒化して食べるのって、すごい執念だなと思う。そして、糠漬けにすると毒がなくなるのはわかってるけど、なぜ毒がなくなるかのメカニズムは不明のままなんだとか。
テラモリ 7 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
クレーマーなお客さんの一言をきっかけに、いままであたためていたことが頭をもたげ、別店舗の応援に志願した高宮。着てるものを勧められる楽しさを覚えたが、それだけでは足りず…。まずはお客様目線ありき、様々なシルエットを日々見られる意味を考えよう、と。そして、就活も本番。いま大好きなことを突き進んでいくことに。副店長の昇進試験も大詰めを迎え、距離は縮まるのか。予告は波乱のようだけど。
響~小説家になる方法~ 7 (BIG COMIC SUPERIOR)
柳本 光晴 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
響の書いたラノベのイラストレーターとの対決、響の許可なく響のドキュメンタリーを撮ろうと目論むプロデューサー、文芸部の三年生引退前の最後の合宿。涼太郎が嫌う祖父江が店に来た時、コーヒー、といわれ、永谷園の茶漬けだして、涼太郎、豆変えた?フレンチ?てやりとりがツボ。才能だけでそこらの作家ども全員蹂躙したのどう思う?と問われ、別に何も。そう思ったのなら思った方がなんとかすればいいんじゃないの、と相変わらずの切れ味。周囲に正体がバレても私だからなんとかする、に、響ちゃん百年後に星座かなんかになってそう、というやりとりがいいなあと思った。
夢の雫、黄金の鳥籠 10 (フラワーコミックスアルファ)
篠原 千絵 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月14日
イブラヒムのエジプト統治の成功、スレイマンの新たなる遠征計画、ヒュッレムの皇子二人、皇女の誕生、和気あいあいな子供たちと対照的にその先を見据える母たち。イブラヒムからの皇子たちへの後見に、ある条件をつけられて、ヒュッレムは…というところまで。スレイマン、イブラヒム、ヒュッレム、三者の思惑が次第にぶつかり合い、軋みを見せていく前兆。
槐 (光文社文庫)
月村 了衛 / 光文社 (2017-06-13)
読了日:2017年8月14日
中学生たちが合宿していたキャンプ場で突如始まった謎の勢力による虐殺。どのような経過をたどって、どう展開していくか、後ろ表紙の内容に興味を惹かれ、手に取る。半グレ集団、チャイニーズマフィア、などなど入り乱れての迫真の駆け引き、アクションも読み応えありながら、なるほど、その役割を割り当て、そのように展開するのか、というのは興味深く、ぐいぐい引き込まれ一気に読んでしまう。中学生たちも、凄惨な出来事をくぐり抜けて、ただ屈するのではなく、前とは違ったものを手に入れて進んでいく様が救いといえば救いか。ただ、解説の方、、、この本も著者の他の作品も、ネタバレがすぎやしないですか、と読んだあとに読んで良かったという思い。
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争〈下〉 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム / 文藝春秋 (2012-08-03)
読了日:2017年8月13日
アメリカ側については、トルーマン大統領、マッカーサー将軍に始まり、周囲の政治家、士官級にまで個人の背景が詳細に語られ、そこが持ち味でもあるのだろうが、冗長にも感じた。また朝鮮、韓国、ロシア側の声はアメリカ側ほど詳細には語られていないように思えたのは仕方ないことか。それにしてもマッカーサーの暴走ぶり、己の夢想のために現実を捻じ曲げ、恥じることない様は、確かに歴史がトルーマンに味方したとは言えるが、その悪影響を被った者にとっては筆舌に尽くしがたかったであろうと思われる。ただ、権力者たちが何を考え、どんな情報を活かし、また活かせなかったか、握りつぶしたか、そのために戦線がどうなったかは詳細に語られていた。また、彭徳懐の造形が一番心にのこった。常に兵士たちとともにあり、兵を守るために直言し、戦後は、農民の苦境を毛沢東に直言し、左遷され、文化大革命で殴殺される際も、自らのただしさを信じ屈せずに死んでいった愚直な将軍のことが。以下、備忘録。/毛沢東はソ連指導部にとって、自らの成果と自分が中国人であることにあまりに大きな誇りを持ち、独立心があまりにも強かった/毛沢東はマッカーサーと同じく現実のままの戦場ではなく、頭の中でこうありたいと願う戦場を見るようになった/死んだ同僚を運ぶフランス兵が、死に対して無感覚になり、何事もなかったかのように、時に笑ったりし、死者を悼む気配が感じられないのを目の当たりにしたアメリカ兵の驚き/中国軍は三日は強烈に戦えたが、それ以降は補給の困難、肉体的持久力の限界、巨大な米空軍力のために、敵との接触を断つことが必要となる/これこそ自らの目先の必要に合わせて歴史を書き換えるマッカーサーの真骨頂であり、国防総省の他の多くの高官も過去に何回となく対処しなければならなかったマッカーサーだった/若手の多くは、マッカーサーの命令無視、中国軍参戦の際に責任を認めなかったこと、軍に対する文民統制を故意に無視したことに激怒していた。/アメリカは参戦しないというシグナル、中国軍が参戦しないという誤った確信、毛沢東が自分の優位を過大評価し南進しすぎて損害を拡大したこと。スターリンが果実を得たかに見えたが、中ソ決裂の萌芽が生まれた/
早乙女選手、ひたかくす 3 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2017-08-10)
読了日:2017年8月12日
幼馴染に成長を実感させる一幕あり、サトルの組んだメニューが効いてる一幕、隠れて自主練してること、青春らしく肝だめしもありからの、インターハイ、というところまで。相変わらずストイックというか微笑ましいというか。
史記・三国志英雄列伝 ―戦いでたどる勇者たちの歴史―
井波律子 / 潮出版社 (2015-11-05)
読了日:2017年8月12日
十何年ぶりかに、本宮ひろ志「赤竜王」を読んで、その前後のことを知りたくなり手に取るが、簡潔な語り口にするする引き込まれ、結局、始皇帝から三国時代の終焉まで読んでしまう。通説を簡易に知李、流れを知るには良いと思った。
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争〈上〉 (文春文庫)
デイヴィッド ハルバースタム / 文藝春秋 (2012-08-03)
読了日:2017年8月12日
マッカーサーの予想に反し、北朝鮮軍の大攻勢、釜山周辺を残すのみに圧倒された後の、鮮やかな仁川上陸での痛撃、しかし、その後の警告を一切無視した鴨緑江を目指した進軍。マッカーサーについていえば、都合の悪い情報は全て無視し、こうあってほしいと言う思念を元に、現場からすると現実離れした命令を出し続け、失敗した後は、責任を政府に、部下になすりつけるという体たらく、と描かれる。もちろん、誤算は米ソ韓朝、各所であったのだが。/以下、備忘録。/戦場の現実と兵士自身が当面する危険と、東京に存在する幻想の世界があり、東京からは現実離れした威勢の良い命令だけが発信された。/アチソンの演説が、朝鮮はアメリカのアジア防衛ラインに入らないという間違ったシグナルを与えた/北朝鮮、ソ連とも中国の役割を小さくしたがっているのが見え見え/「朝鮮全土が失われた。われわれが唯一できるのは、人々を安全に出国させることだ」/マッカーサーにとって、他人を統治するルールは、自分にはけっして適用されなかったのである。
カスバの男―モロッコ旅日記 (集英社文庫)
大竹 伸朗 / 集英社 (2004-07-01)
読了日:2017年8月12日
アラビアンポップスが大音量でかかっている夕暮れの空気感、コーランのCDを昔買ったと言う一節、ブライアン・ジョーンズの「ジャジュカ」と言うアルバムにサラーム海上さんの本を思い出し、カオスの極限にはモンドリアンの「ブロードウェイブギウギ」すら複雑に見えてしまうほどシンプルな縦横の世界がどうしてもあるように思えてならない、という一節の魅惑。旅情に耐えかねて、読後即一ヶ月のモロッコ旅行に出かけた解説の角田光代さんの気持ちもわからぬでもない、と。たっぷりと著者のフィルターを通したモロッコに浸れる一冊。ただ、冒頭の手書きの世界地図、西サハラまでモロッコに含めてしまうのは...と思ったけど。
統計学が最強の学問である
西内 啓 / ダイヤモンド社 (2013-01-24)
読了日:2017年8月9日
ランダム化すればあらゆる事象を説明できるのと、事象の関連性を記す回帰分析が肝、と思った。その手法を自家薬籠中にできれば、と。また、ランダム化にも現実、倫理、感情の観点から適用できないケースもあり、疫学的手法が適切なケースも。完璧な実数調査とサンプル抽出したケースの間の精度の差異をどこまで許容するのか、1%の精度をあげるのにどこまで投資すべきか、考えること。ビジネスでは、分析した結果が利益やコスト削減に結びつくか、考えること(やって感心して終わりでは仕方ない)。また、誤差の範囲かどうかを示すp値の算出も重要、と。
明治の快男児トルコへ跳ぶ―山田寅次郎伝
山田 邦紀 , 坂本 俊夫 / 現代書館 (2009-01-10)
読了日:2017年8月6日
エルトゥールル号事件を契機に、日本各地で講演会で義捐金を募り、ついにはそれを持ってトルコに渡り、貿易に、日本から来る要人のアテンドに、スルタンをはじめとしたオスマン官界との交流を深め、日露戦争時には密かにボスポラス海峡からロシア艦隊を見張り、第一次世界大戦での日土間の関係が悪くなると帰国し、タバコを巻く紙の事業で成功し、また茶人としても流派をつぎ、身分の高い人のするものと思われていた茶道を庶民にも広めた、と八面六臂の活躍、すごい人がいたものだ、と。名が出る前の、森鴎外らとの酒飲み珍道中のエピソードはご愛嬌。以下備忘録的。/エルトゥールル号の怪我人の治療に、ジョン万次郎の息子中浜東一郎が関わっていたとは。/寅次郎の前に、野田正太郎という記者が義捐金を持ってイスタンブルに乗り込み、残り、士官3人に日本語を教え、その後数奇な運命をたどったことも初めて知る/アブデュルハミド2世から、トプカプ宮殿のおびただしい東洋美術工芸品を分類・目録作成するよう命じられたこと/トルコと日本の正式な国交は、トルコ共和國成立後、1925年に相互に大使館開設してから/アルバニア人の店で、羊の頭蓋骨に脳が入ったものを注文。またパチャをいうものを頼んだら、羊の腸、子羊の足、生々しい赤色のものなどが出てきた。/阿片は一度にやめるのは体によくない、と台湾で専売にしたため、それをトルコから送る取引に関わったこと。
さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記 (新潮文庫)
井伏 鱒二 / 新潮社 (1986-09-29)
読了日:2017年8月6日
ジョン万次郎漂流記、のみ読了。一度は、まとまってジョン万次郎のことを読んでみたいと思ってたので。漁に出て漂流、アメリカの捕鯨船に救われ、船員としての仕事、英語を覚え、アメリカ本土で教育を受ける機会に恵まれ、苦心惨憺し、日本へ帰還。幕末の動乱の中で、英語とアメリカ事情に明るいものとして登用され活躍した、と。帰ってきてから、明治を生きたあたりは、さらりと描かれていたので、その辺を詳しく書いたものも読みたい、と思った。
音食紀行 / 音食紀行 (2017-03-18)
読了日:2017年8月5日
#音食紀行 のイベントで購入。簡易レシピと簡潔なインカの歴史の紹介。個人的には、トウモロコシを発酵させたお酒「チチャ」と、インカ・コーラに興味が湧きました。文字を知らず、車輪を知らず、鉄器を知らず、それでも一時は強大な帝国を築き上げた、というのも興味深いところ。あと、無性に、久々に、ドイツのシンセサイザーユニットのクスコが聴きたくなった。
レシピ:音食紀行 , ストーリー:かげはら史帆 / 音食紀行 (2017-06-03)
読了日:2017年8月5日
#音食紀行 のイベントで購入。ベートーヴェンの無給の秘書を自認するシンドラーが語る、晩年のベートーヴェンという体裁で語られるストーリーと当時のレシピ。また当時の音楽家事情なども記され興味深い。魚が好きだったベートーヴェン、という造形。個人的には、言われてみれば納得だけど、聴力を失ったベートーヴェンが使っていた会話帳という史料が存在するということ、ベートーヴェンが喋って、相手が会話帳に書きつける、というやり取りのため、ベートーヴェンのセリフはほぼなく、相手の会話だけで想像するしかないこと、そして、100箇所以上改ざんしたシンドラーの心境などに興味を覚えた。
社畜! 修羅コーサク(2) (ヤンマガKCスペシャル)
江戸 パイン / 講談社 (2017-04-20)
読了日:2017年8月5日
徹頭徹尾おかしい。特技がとんちの中途採用新人。その歓迎会での大人気ない先輩たちの対立を、自分が学生時代、クラスのマドンナに告白してこっぴどく振られ、身の程知らずの勇気があるから勇気くんだ!と3年間呼ばれ続けたエピソードで収めたり、取引はしましょう、その代わり「いのちください」しか言わない、悪魔の取引先から、取引成立と生還をもぎ取ったり、「リンガーハット県」への出張にバスツアーを組まれてしまい、取引先の担当者がカピバラに似過ぎていて笑いをこらえるのに必死な中、なんとか取引をまとめてきたり、なんとか就業時間中に居眠りさせて陥れてやろうとする先輩に、エクストリームな社畜居眠りで切り返したり、最後は、コーサクが左遷された理由の一端が明らかになったり。あいかわらず目が離せない。
わたしが人魚になった日 (マーガレットコミックス)
岩館 真理子 / 集英社 (1985-08)
読了日:2017年8月3日
思いの届かない、もの悲しげな短編が多く、また余白が多くて、想像力を刺激される。省略された描写に何が込められていたのだろうか、と。
キングダム 47 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2017-07-19)
読了日:2017年8月2日
趙の国門、列尾の陥落、飛信隊の初陣のものたちへのケア、王翦の軍略変更、そしてさらなる進軍。李牧と王翦の戦略のぶつかり合いが見ものだった。
ドバイがクール―世界ナンバーワンずくめの楽園都市 (Jujiroブックス)
槙島 公 / 三一書房 (2006-01)
読了日:2017年8月2日
ドバイに興味を持っていたので手に取る。発行は2005年と、リーマンショック前。その後、どうなったのかも気になるところ。この本に書かれてることは、全ていいことだけだったから。国民は裕福で優しく、お金のかかったレジャー施設が目白押し、買い物も便利で、各国料理が取り揃い、戒律も厳しくなく、西欧世界とは異なったイスラムの考えの元で女性も生きやすい、と。/淡水化装置で海水を真水に。天然の海岸が70kmしかないなら、人工の海岸を500km作っちゃった、とか。漁村だったころを知る人は、家族が出稼ぎに行かなくてよくなって嬉しい、と語り、都会育ちの青年は、疲れた時にリラックスしに、砂漠の真ん中のウッドテラスに来る、と。


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2017年08月06日

音食紀行 in 札幌 2017.08.05

昨日。

札幌では初開催!「歴メシ!」の著者、遠藤雅司さんのイベント、音食紀行に行ってきました!
世界の歴史料理を美味しく食べる、再現料理でタイムトラベル!という本のポスターに違わぬ内容。

【お品書き】
■料理
1.サラ・カッタビア(クルトン、コンビーフなどあしらった古代ローマ風チキンサラダ) - 古代ローマ
2.(鶏のフォンがベースの)オニオンスープ(お好みでパルメザンチーズをかけて) - 19c仏
3.(りんごの甘味がソーセージの旨味を引き立てる)フランケン風焼きソーセージ - 19c独
4.(アーモンドとナッツの食感が楽しい)中世風アーモンドライス(お好みで塩、ハチミツをかけて) - 中世英国
5.トロネ風サメのステーキ(ハーブ塩をあしらった) - ギリシャ
6.メルス(古代メソポタミア風ガレット、ドライフルーツ&にんにく入りの古代スイーツ) - メソポタミア
7.(レモンたっぷり)コメルシー風マドレーヌ - 18c仏
8.(香辛料たっぷりなメディチ家由来の)オレンジシャーベット - 16c伊
■ドリンク
・古代ギリシア風フレーバーウォーター
・1530年ミラノ風オレンジジュース
・ニンカシ風ビール
・ヒポクラテスの袖(中世スパイス入りワイン)


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古代ローマ風チキンサラダ、オニオンスープ、メソポタミア風ビール、ギリシャ風フレーバーウォーター、ミラノ風オレンジジュース

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フランケン風焼きソーセージ、サメのステーキ

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ドリンクもアレンジ次第でバラエティ豊かに。

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メソポタ焼き、レモン風味が爽やかなマドレーヌ、香辛料の聴いたオレンジシャーベット

個人的には、アーモンドライスが大ヒット。ご飯好きだからもあるけど、ナッツの旨味に、塩、ハチミツを合わせると至福。また、本読んで食べたかったりんごと焼きソーセージの取り合わせも大ヒット。摩訶不思議な風味のソーセージと、甘みが溶け出して酸味が強調されたりんご、それらの合わさったスープのハーモニーが絶妙。初めて食べたサメ肉も、淡白な味わいの内側と、パクチー、ナンプラーが強調された外側がマッチしてました。再現料理、と言ってもレシピ優先ではなく、いかに美味しく食べれるかに腐心しているとのことで、どれも美味しかったです。あと、特徴としては、歴史再現料理はシナモンが大活躍です。

この日は、夕方の部に参加だったのですが、参加者3人で、アットホームにいろいろ話しながら、あるいは著者の方のお話聞きながらで、ゆったりと楽しめました。バックで流れる古代メソポタミア音楽、フランスバロック音楽も心地よく。また札幌で開催されたら、絶対駆けつけたい、そして、イベントが長く続くように、周りの人たちにもオススメしまくりたくなってる心境。


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2017年08月01日

2017年07月に読んだ本

期間 : 2017年07月
読了数 : 49 冊
ミザントロープな彼女(2) (アフタヌーンKC)
厘の ミキ / 講談社 (2016-11-07)
読了日:2017年7月29日
転校生として、末代さんがはっきり振ったはずの、櫟ちゃんが騙された、本屋王子がやってきてさらに混沌な状況。帯の「恋愛下手くそ」の前に人としてどうなのて感じのコミュニケーション不全。なのに、紆余曲折を経まくって、花火をバックに最後の一言は…と。
ミザントロープな彼女(1) (アフタヌーンKC)
厘の ミキ / 講談社 (2016-07-07)
読了日:2017年7月29日
ストーカーのイケメン男子小千谷くんを救ったばかりに懐かれたコミュ症美少女末代さん…という惹句にひかれて読み始めたが想像以上にドタバタ。小千谷くんの暴走ぶりがなかなかにすさまじく。好意がベースとしてもなかなかに辛いものが。末代さんのお母さんのぶっ飛びぶりも印象に。そっちの都合で勝手に告白しておいて、心の決着にまで突きあわされるとは...という末代さんのつぶやきがクール。
社畜! 修羅コーサク(1) (ヤンマガKCスペシャル)
江戸 パイン / 講談社 (2016-09-20)
読了日:2017年7月29日
バカバカしすぎるんだけど、バカバカしすぎておかしい。東京から墓多に左遷された図画コーサク。ピヨコを東京銘菓と言えば絡まれ、バランス釜にやられ風呂に入れず、仲良くなったと思った先輩には大事な取引先の前で裏切られ、御局様にはなんとか気に入られ、一発ギャグが認められないと取引できない取引先の元では奮闘するも、最後に謎のこだわりを見せ...と全編これでもかと理不尽な目に合わされつつ、社畜ゆえ身につけた能力で乗り切る、と。理不尽なことに耐える耐性が強すぎて..よく壊れなかったなあ、とそっと心で涙を拭う。バランス釜...一度私もそういう部屋に当たったことあって、その苦労は大変共感できました、バランサーです。
ナリワイをつくる: 人生を盗まれない働き方 (ちくま文庫)
伊藤 洋志 / 筑摩書房 (2017-07-06)
読了日:2017年7月29日
無駄な支出を削り、自分の手で広く浅くでもできることを増やしていき、世間への、世界への違和感を大事にし、トライ&エラーで少しずつナリワイを作っていく。書くと簡単そうだけど、到底できそうにない、と思ってしまうあたり、きっと思考停止しているのだろう。とっかかりを作って、徐々に徐々に、と思いつつ。刺さってくるのはそうできてないから。そういう意味ではいい刺激を受けた本。/以下、目にとまったところ。大正時代の調査によると当時の職業は35,000種。最近の厚生労働省の日本標準職業分類によれば2167種。/未知の経験がどれほど難しいかは、小刻みに調べていけば、大抵は解決可能/頑張るというのは一つの思考停止/本来やりたいことのためにお金を稼ぐことだけ考えてやる仕事、という後ろ向きな捉え方で仕事をしない方が良い/Etsy - 手作りの品物を取引できるサイト/仕事は雇用でなければならない、専業でなければ一人前のプロではない、事業は拡大しなければならない、お金がないと何もできない...これらの幻影を私たちは一個一個解き放っていく必要がある。/
歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる
柏書房 (2017-07-24)
読了日:2017年7月28日
音食紀行というイベントの予習のために購入。古代メソポタミア、古代ギリシア、古代ローマ、中世ヨーロッパ、などなど、歴史上のレシピから作った料理を食べてみようという企画。以下雑感。/野菜だし、にんにく入り焼き菓子、パンとビールが生活の中心のメソポタミア人。西洋粥、サメのステーキ、豚の血、うんざりさせられる味のスパルタのスープが興味をそそられる古代ギリシア。プルス(麦粥)に心惹かれる。当初は粥を食べる未開人と言われていたローマ人。各時代のちょっとした飲み物コラムも良い。カッテージチーズが酢と牛乳でそんなに簡単にできるとは。アスパラガスが古代では利尿作用、中世では痛風対策に用いられていたとは。ルネサンス期の貴族は、農民を「野菜食い」とバカにしていたが、のちには王様から農民まで皆、野菜食いになった、と。ルイ15世の妻マリー・レクザンスカの冷えたイチジクとメロンを食べ過ぎたり、15ダースの牡蠣を飲み込んで死にかけたり、ってすごいエピソードだな。/個人的には、西洋粥と、コンポートと焼きソーセージの取り合わせが食べてみたいかな、と。そして続編が出るなら、イスラム世界、とりわけオスマン帝国、ナスル朝あたりも取り上げてもらえると面白いかな、と。
ホー・チ・ミン―民族解放とドイモイ (現代アジアの肖像 10)
古田 元夫 / 岩波書店 (1996-02-05)
読了日:2017年7月28日
高森純一郎「疎遠なる同胞」「国家を背負って」に影響され、ベトナム熱。「国家を背負って」にはちらりと名前の出てきて、ホー・チ・ミンの概論を知りたくて。以下目にとまったところ/フランスについたホーチミンは「フランスにもベトナムのような貧しい人がいる」「フランス本国のフランス人はインドシナのフランス人よりも本当に丁重で礼儀正しい」という重要な発見をし、その後の思想形成に大きな意味をm持った。/1941年にベトナムという枠組みが「復活」した時、狭い意味のキン族主体のベトナム人だけではなく、ベトナムにすむ少数民族を包摂したものとなった。/ホーは自らが合理的と考えても、多数が納得していない方式を、権力を背景に強制することには慎重であった。(p.134)/ベトナム戦争における何よりも大きなホー・チ・ミンの功績は、冷戦時代に戦われたこの戦争を共産主義者と自由主義的ナショナリストの抗争としないで、ベトナム国内でも世界でも、基本的にはアメリカに対する独立と統一を求めるベトナム民族の戦いと認識されるような状況をつくりあげたという点にあると思われる。(p.163)/南ベトナムの軍事的力関係はテト攻勢よりもむしろ悪くなり、この劣勢の挽回に数年を要することになったのである。(p.170)
ボクたちはみんな大人になれなかった
燃え殻 / 新潮社 (2017-06-30)
読了日:2017年7月27日
読み終えたの3回目。きっとまた読み返したくなる。
凪のお暇 1 (A.L.C.DX)
コナリミサト / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年7月26日
何ごとも空気を読んで合わせてたつもりが、同僚にも彼氏にもひどい扱いを受けていたことを知り、発作的に退職、引っ越し、全てをリセットした凪。言いたいことも飲み込んでちゃ今までと同じだ、と、ハローワークで、見た目いかついお隣さんに、追ってきた元彼に、気持ちを伝えたことで少しずつ少しずつ良い方に変わり始め、、、と。
アフタヌーン 2017年 09 月号 [雑誌]
講談社 (2017-07-25)
読了日:2017年7月25日
ミコさんは腑に落ちない。今回は結婚してくれない彼氏の相談をしたい友達の相談に乗りつつ、エンさんの元職場で女子会。シュウさんの直球ド正論のバッサバッサ斬りが心地よく。宝石の国は、ますます佳境に。月でのことを覚えていないことにしたフォスだけど、隠しきれるものではなく、先生のさらりとした反応も疑念を呼ぶ。四季賞の「捨身-photograph」は本当に体張ってて、いっそ清々しく。波よ聞いてくれ。南波さんの天かすと卵と春菊の丼に涙するミナレさん、己のだらしなさを悔いつつ、締め付けられるとニュルンと押し出されることも自覚。イサック。ついに仇敵と対峙、そして日本に残してきた事情も明らかに、この因縁はしぶとく続きそう。ブルーピリオド。進路に迷う主人公にかけられる「でも好きなことをする努力家は最強なんですよ!」という言葉。フラジャイル。余命の少ない少年に、癒し系だね、と言われる岸。それは初めて言われたな…と語られるシーンが印象に。
アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章 (エリア・スタディーズ140)
小澤実 , 中丸禎子 / 明石書店 (2016-03-16)
読了日:2017年7月24日
グリーンランド分を中心にざっと読了。当時のECから、1982年にグリーンランドだけ投票でEC域外化を決めたとは寡聞にして知らず。Nuka K.Godtfredsen「第一歩」(2009)という漫画が、グリーンランドの歴史を描いてるそうだが、日本語、せめて英語で読めるのだろうか。ビュークのダンサー・イン・ザ・ダークのサントラ、聞いてみたくなった。村上春樹「ノルウェイの森」「国境の南、太陽の西」「スプートニクの恋人」「神の子どもたちはみな踊る」がアイスランドで翻訳紹介され、著者もレイキャビクの文学フェスティバルに登場し、合わせて、現地の作家に影響を与えているのだとか。「知の巨人」でジャレッド・ダイアモンドが語っていた、1400年代に滅びたノース人、の記述はあまり見当たらず。学術的には、ノース人、ヴァイキングという呼称があり...とあったので、文献によって定まらないところもあるのかも。
舟を編む 上巻 (KCx)
雲田 はるこ / 講談社 (2017-07-07)
読了日:2017年7月23日
原作のテイストが活かされてて、まじめもかぐやさんも西岡さんも荒木さんも、生き生きと動き回っていて、いいなあ、原作ももう一回読み返したくなった。雲田はるこさんだからか、西岡さんが、落語心中の与太郎とときどき重なる。
観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)
亀田 俊和 / 中央公論新社 (2017-07-19)
読了日:2017年7月23日
尊氏将軍に就任直後は、ほぼ全ての政務を直義が仕切っていた。それは鎌倉期、建武新政期を踏襲する側面が濃かった。高師直も横暴な悪人だったとするイメージは一次史料を見る限りは当たらず、鎌倉末期の御内人の立場からの振る舞いであった。観応の擾乱を通して二人が没落、死去したことは、そういった鎌倉、建武新政期の政治からの断絶、革新、という意味あいがあったこと。それにしてもこの尊氏・直義兄弟の不思議なところは、ここぞという勝負どころで無気力・消極的になってしまうところ。本心では身内とは争いたくないのに、心ならずも担ぎ上げられてしまったという側面もあるのだろうか。それなら最初から争わなければいいのに、と傍目には思え、理解に苦しむ。人間くさいといえばあまりに人間くさい。ヘッドがそんなんだからか、支持勢力も通説では尊氏党、直義党と確固としたものが語られるが、仔細に見ると、ひどく流動的というのはむべなるかな、と。以下備忘録的に。/尊氏はの義詮、直義派の桃井直常、石塔頼房くらいしか主戦派存在せず、両軍の総大将尊氏、直義以下ほぼ全員に厭戦気分が蔓延しているのに対立が治らない不思議な戦争。/皮肉なことに幕府の窮地に直面したため47歳にして征夷大将軍としての尊氏の真価が開花しだした/義詮が京都を奪われたのを無能の証とする説があるが、それも含め、講話条件を一方的に暴力で解決しようと破ったのは南朝側であることは指摘しておきたい。/観応の擾乱は、尊氏ー師直の恩賞、守護職の分配に不満を持つ武士が、直義に接近しつつあるところに、足利直冬の処遇問題が複雑に絡んで勃発したことに求められる/"努力すれば報われる。この場合の「努力」とは幕府への奉公を意味するが、幕府がこのような信頼を得た意義は大きい。忠節を続けていれば、必ず何らかの形で権益を与えられる。万一敵対しても、帰参すれば決して悪いようにはされない。自分が殺されたとしても、最低限、家の存続は許される。"(p.248)
ロマネ・コンティ・一九三五年 六つの短篇小説 (文春文庫)
開高 健 / 文藝春秋 (2009-12-04)
読了日:2017年7月23日
ヤマザキマリさんの講演会で興味を持って、玉砕ける、を読みたくなり手に取る。革命後の知識人の暮らしはどうですかと問われ、はぐらかしにはぐらかし続けた老舎が、三時間に渡って微に入り細に入り、地方で振る舞われた料理を描写して去ったエピソードの寓意から目が離せなかった。他の短編は、阿片、釣り、エロ、ワインを媒介に語られる官能と言った趣か。コクトー「阿片」が読みたくなった。新聞記事に、墜落事故死のスチュワーデス、蝶になって戻る、が新聞の一面になるのを嘆く現地の記者に、日本の新聞のベトナム戦争の書きっぷりよりよっぽどいい、と返すアイロニーも目に止まる。本当のことはちょっと言えない方法で書いてもらった「寿」の字を、大新聞の広告にでかでかと乗せた茶目っ気のエピソードも。
西荻窪ランスルー 3 (ゼノンコミックス)
ゆき林檎 / 徳間書店 (2017-07-20)
読了日:2017年7月22日
今回は、新人の子が、というよりは、群像劇。ベテランの日向野さんに巡ってきたキャラデザの話し。四年目で伸び悩む今野さんをめぐる本人の葛藤と周囲の気遣い、厳しさ、温情。忍耐と根性だけでは乗り切れない壁と、中途半端な優しさよりはっきりとした評価。最後は、ぶりっ子で媚びてると言われながらも、一匹オオカミで、したたかにやりたいように仕事を進めていく子の話。悪口や愚痴、噂話みたいな薄っぺらい会には興味が持てず、体力じゃ男に叶わないから愛嬌というべきことははっきりとして、まわしていく、と。場面場面で自分の仕事のやり方をかえりみてしまう。
夏の闇 (新潮文庫)
開高 健 / 新潮社 (1983-05)
読了日:2017年7月22日
ベトナムとベルリンを舞台に、ベトナム戦争に従軍し、激戦を生き延びたために、ひたすら眠り眠り、食べて飲んでまた眠る、昔付き合っていた女性と再開、同棲した後は、それに性交が加わり。ほぼひたすらそれらのみ。いかに主人公に深い打撃を与えたのかを描きたかったのか。そして、最後は、制止も振り切り、また元の戦場へ戻っていくことが示唆されて終わる。ねっとりとした熱帯の沈みゆくような捉えどころのなさ、深淵、そのくびきから逃れられない。「私は読めないし、感じられないし、考えられない。ねっとりとしたクリームのような睡気が身体のなかにひろがっていて、角張った荷物が泥に沈むようにして私は沈んでいくだけである」「あなた一人がヤキモキしたって、要は歴史の消耗品よ。そんなこと、一から十まで知ってるくせに、あなた、愚直だから自分が避けられないのよ」「あなたは冷酷については慣れていらっしゃるけど、優しさについては不器用そのもよ。もう追及しないわ。どこへでもいらっしゃい」
サトコとナダ 1 (星海社COMICS)
ユペチカ / 講談社 (2017-07-08)
読了日:2017年7月19日
アメリカに留学した日本人女子大生サトコのルームメイトはサウジアラビアから来た女子大生だった、というシチュエーションから興味津々だけど、ナダの聡明でチャーミングな様子に釘付け。誕生日を盛大に祝ったりしないぐらいならまだしも、被り物の事、恋愛結婚がほぼないこと、日に5回礼拝することも、誇りを持って、自分のためにそうしていたり、良い側面もあること、自国や自国の文化かわいそうと言われたくない、というのが印象に残った。サトコの最初は戸惑ったりびっくりすることがあっても、理解しようと寄り添う柔軟な姿勢も暖かく。サトコがアラブやイスラムの文化に興味を持ってくれて嬉しい、というナダに、違うの、私はナダのことが知りたいの、普段は赤ちゃんみたいなのに本当に嬉しいことを言ってくれるとナダがよろこぶシーンが一番印象に残る。
日本人失格 (集英社新書)
田村 淳 / 集英社 (2017-02-17)
読了日:2017年7月19日
”今いる場所がしんどければ一旦離れるべき。執着する必要はない。離れたところから見て何かが見えてくるかもしれない。/最澄の「一隅を照らす」の解釈、自分が何者であるかを知り、譲れない核をはっきりさせ、個を認識し、個を磨くことでやりたいこと、やれること、やらなければならないことが見えて、それらに必死こいて取り組むことで一隅を照らす、と。/自分が何をしている時に楽しいか思い出せばいい。才能と好きなことは近くにあるように思う。/”為末大氏にこっちの道もあればあっちの道もあると示すことのできた指導者のエピソード。/巨大な怒り玉を持っているがために、どうしてもネガティブな考え方や行動しか取れない人は無理やりにでも捨てろ、そう考えた方が楽になる。
江川と西本 2 (ビッグコミックス)
森高 夕次 / 小学館 (2015-10-30)
読了日:2017年7月17日
この巻は次から次へと登場人物が出てきてタイトルの二人の印象が薄いような。もちろん、西本をドラフト指名すると言って巨人がしなかったのは大きなエピソードだったけれど。定岡の人気は伝説的で印象に残る、個人的にはバラエティによく出てた頃の印象しかなかったので。
おんなのいえ(8)<完> (KCデラックス BE LOVE)
鳥飼 茜 / 講談社 (2016-10-13)
読了日:2017年7月17日
読み終えて、いろいろ回り道、やりたいことをつかめた感ある、入り口にたどり着けたありかには拍手を。自分で選びついていくことに思い切ったすみかにも。個人的には川谷さんが面白かったなあ。悟りきっているようでいて、隙があって、自分はそんな風にならないと言いつつ、はまったり。小顔で綺麗な二十歳の女の子にバッサバッサきられるシーンが印象に。何かから自由に生きているつもりかもしれないけど、見る人が見たらキモいんだよ、と。
BLUE GIANT SUPREME 2 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月17日
ミュンヘンで、一人で演奏会することに、やり尽くしたという思いを抱いたダイ。組みたい人を見つけるためにライブハウスを周り、ついに見つけた強い音楽を紡ぎ出すベーシスト。しかし直球のお誘いはすげなく断られ、近くハンブルクに行くという言葉を頼りにハンブルクへ。邂逅まであと少しというところまで。居候させてくれたクラスの語ってくれた、タバコを一本ずつめぐんでもらおうとし、いざという時に助けてくれたジョージア人のエピソードが印象にのこる。世界はこうやって回していかなきゃいけないんだ、と。
クロコーチ(19) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2017-06-29)
読了日:2017年7月17日
東京タラレバ娘(9)<完> (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2017-07-13)
読了日:2017年7月17日
タラレバの反対は「から」、後悔じゃなくて感謝、響くなあ。あと、この人に幸せになってほしい、もし私が幸せにできなくても、誰かが幸せにしてくれればいい、それが愛ってもんだろ、も。ドラマの時もそう思ったけどやっぱり早坂さんオトコマエ。最後のタラレbar相談4連発も重く受け止めつつ。あとがきを読むと、keyの叫びは作者の叫びだったのかな、と。
リバーシブルマン(4) (ニチブンコミックス)
ナカタニD. / 日本文芸社 (2017-01-28)
読了日:2017年7月17日
通訳日記 ザックジャパン1397日の記録 (文春文庫)
矢野 大輔 / 文藝春秋 (2016-09-02)
読了日:2017年7月17日
『通訳日記 ザックジャパン1397日の記録』を読んで思うこと 〜 いずれリーダーになる全ての人へ 〜 http://blog.livedoor.jp/kgo_number10/archives/1066558772.html に触発されて。確かに結果は出なかったけれど、リーダーとして部下に接する様は、部下としてこれほど理想的な上司はいないと思わされる。各選手のことを本当によく見ていて、それが選手に伝わるように言葉で伝え、それを選手も感じている。どこが強くて、どこが弱いか、どうすれば大舞台に出ていけるのか、今日のプレーで足りなかったものは、そして選ばれなかったもの、不運にもケガに泣いたものへも、ちゃんと見てるから腐らずやってくれと伝える。確かにモチベーション上がるなあ、と。/「情熱がなければやっていけない。興味が湧かないことを続けていても仕方がない。」「向上心を持たなくなった瞬間、そのチームは右肩下がりになる」「結果だけを見るのではなく、ピッチ上で何が起こったのか、なぜ起こったのかを冷静に分析する必要がある。でなければ、そこから抜け出せない」/そして最後に監督から通訳への感謝の言葉、大輔のおかげでノーストレスで自分の仕事に専念できた、と。こんなん言われたら本当意気に感じるしかない。
ニルスのふしぎな旅 (講談社青い鳥文庫)
セルマ ラーゲルレーフ / 講談社 (1995-04-15)
読了日:2017年7月16日
ヤマザキマリ講演会で取り上げられたのに触発されて。子供のころアニメで見たきりで忘れていたのを、再び手に取る。いや、もう、ニルスいきなり心入れ替え過ぎ、と思いつつも、小人にされたニルスが、ガチョウのモルテンとともにガンの群れの旅に加わる旅行記を読み進める。様々な土地で、事件を解決したり対決したり役にたったり、さらわれて逃げ出したり、少しずつオムニバスの形式で続く物語。自分のいる小さな村から飛び出て、様々な生き物の視点に触れつつ。「なんだってそんなにあわてるの。雨はパンやお菓子だってわからないの」と人間を戒めるガンの感覚。最初は反目していたのに、途中からは、群れのみんながニルスのことを大好きだし、命をかけて守る、と宣言されるまでに、仲間として認められたニルス。「人間は、大きな土地を持っていますね。ですから、わたしたちあわれな動物が、平和に暮らしていけるような、わずかな土地を残してやろうという気持ちになってほしいんですよ」と語るガンの群れの親分。最後に、人間に戻ってニルスが家に帰ってきたシーンは印象にのこった。
LIMBO THE KING(2) (KCx)
田中 相 / 講談社 (2017-07-07)
読了日:2017年7月16日
二人で組んでの眠り病患者へのダイブ、そこで得られた仮説、一線を引いた研究者への協力依頼、伏せられていた眠り病の原因、次の発生患者の予測、そして…と。最後のページ、どう切り抜けるのか、切り抜けられるのか。しかし、禁忌に触れた、という指摘には重いものが。
今日はヒョウ柄を着る日
星野 博美 / 岩波書店 (2017-07-06)
読了日:2017年7月16日
ヒョウ柄ファッションからどんどん進んでいく妄想。日中のほとんどをコーヒーショップで過ごすのだが、その話は長すぎるので割愛すると言いつつ別の章でさらりと語られたり。自分たちの都合で、虫のいいメッセージを老人たちに送りつけているのでは、という問い。子供に優しいだけじゃやっていけない、買ってくれない客には日に日に厳しくなっていく商店街の側面。香港の早朝から鳥かご持参で喫茶店にやってきて日がな一日そのさえずりに目を細めるおっちゃんたち。自分は覚えているのに、相手が記憶を抹消している、愛も記憶も多い方が寂しい思いをする、という一章。祖父が死んだ日の記憶が家族で食い違い、「その記憶が必要だったんでしょう」と諭す次姉の言葉。キリスト教にまつわるオカルトと言えばオカルト、ただの偶然といえばそうも取れるエピソードなど。星野さんの自分とは異なる視点にハッとさせられ、ユーモアにくすりと笑わされ。
高森純一郎 / 高森純一郎 (2017-05-07)
読了日:2017年7月16日
高森純一郎氏( @takamori_j )の最新作。1979年、中越戦争時に、ベトナム側、中国側で平和交渉を担った二人と、その二人が1930年前後のパリで同じ職場、読書会で集っていたことが語られるストーリー。読書会に集うのは、ベトナム人、中国人、フランス人、イタリア人。また主人公のベトナム人アンも、画家を目指すドイツ人や画家のところに勤めるドイツ人と交流を深め。同じ著者の「疎遠なる同胞」と続けて読むと、サイゴン陥落前から、中越戦争の頃へと時間がつながって感じられる。また、続けて読むことで、〇〇人だからこうだ、あるいは白人だから黄色人種だから、ヨーロッパ人だからアジア人だからこうだ、なんて一概には言えないこと、しかしその考えはなかなか広く共有されない、ということが語られているように思えた。読書会で様々に語られるシーンは、個人的には、梨木香歩「村田エフェンディ滞土録」を思い出させてくれた。自由、平等、博愛を掲げたフランスのやったことが、インドシナでの苛烈な植民地支配であり、ヨーロッパでのアジア人差別か、と繰り返し非難されるが、きっと、それだけでは何も変わらないのだろう。それを受けて、どうするのか、と。隷属は望まぬが、不要な争いはさらに望まない、という姿勢でベトナムの独立運動を支えるフェリー神父の造形が印象深い。また、アンとロングンの最後の対話も、寓意に満ちた政治的寓話のようで何度かみしめても味わい深い。
AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-06-08)
読了日:2017年7月16日
未解読文字を発掘するもAIに任せず人とヒューマノイドで解こうとするふたり。即身仏になり悟りを得ようとするヒューマノイド。嘘をつきとおす道具は揃っていると豪語して患者にうその記憶を植え付けて人生の支えにしている同業者。人にとって便利でありがたい反面、活動領域が狭められる可能性も示唆していることは確か。
三分間のアニミズム (ビッグコミックス)
サメ マチオ / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月15日
家電が調味料が月が…さまざまなものが語り出す、オムニバス形式のシリーズ。自分の身の回りに置き換えるとちょっと楽しい。
スティーブ・ジョブズ(6)<完> (KCデラックス Kiss)
ヤマザキ マリ / 講談社 (2017-07-13)
読了日:2017年7月15日
完結。アップル暫定CEOからCEOへ。インテル製のCPUへと舵をきり、iMacのリニューアル、iPod、iPhone、iPadと立て続けにリリースし、世界に衝撃を与え、ハーバード大での歴史的なスピーチをし、若くして世を去るところまで描かれる。あれだけの革新を起こした人でも、ガンの罹患に当たっては代替医療に走り、貴重な時間を使ってしまったのは、どうして、と思ってしまった。「でも自分で自分を食わなければ誰かに食われるだけだからね」(SONYがiTunesを生み出せなかったことに触れて)/「これから全員夜も週末も働かなければならなくなった 希望者には銃を配布する」には言いそうと思うと同時に、笑ってしまった、が現場で言われれば凍りつくかもだけど、それでもついていく魅力と力強さがあったんだろうな、と。
真昼のポルボロン(1) (BE LOVE KC)
糸井 のぞ / 講談社 (2017-06-13)
読了日:2017年7月15日
9年前、自分を捨てた父と、一夏暮らすことになったるつぼ。決してなにもしゃべらないと心に決めたるつぼだったが…。経緯だけ見ると、捨てた、というよりは、捨てさせられたようにも思うが、子供にとってはきっと同じこと。大嫌いと思っていたのに、なぜか雄弁な表情を読み取ってくれたり、好みを把握してくれたり。そして居候の同居人、隣家の幼なじみなど、周りの大人にもめぐまれ…てところで、嵐の祖母登場というところまで。
忘却のサチコ 10 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2017-06-30)
読了日:2017年7月14日
札幌人としては、さえらの登場回は嬉しかった。ラムしゃぶも美味しそう。他には、持ち込みの素材を蒸せる地獄蒸しが気になったかなら。地獄めぐりに鍾乳洞、関鯖の入手まで詰め込まれた大分編が大変そうだった。
女騎士、経理になる。  (5) (バーズコミックス)
三ツ矢 彰 , Rootport / 幻冬舎コミックス (2017-06-24)
読了日:2017年7月14日
農奴たちが商売でのし上がって、お金は鋳造された自由だ、と述べるシーン。誠実すぎる元貴族と、高貴な家の出の元内務大臣夫人の、正直さのぶつけ合いからの急接近が印象に。
エマは星の夢を見る (モーニング KC)
高浜 寛 / 講談社 (2017-06-23)
読了日:2017年7月14日
ミシュラン調査員の女性のエッセイを原作にしたストーリー。あちこち行けて美味しいもの食べられていいなあ、というイメージだったけど、もちろんそれだけですむわけはなく、決まりごとたくさん、評価するべき項目も多岐にわたり、身元がバレないように細かくきをつかったり、レポート作成に追われたり、また、ただの客としてであれば見なくて済んだことまでも目にすることに。それを補って余りある喜びもあるのだけど。初めての星付け会議でプレゼンするところまで。さあ、これから、といったところでものがたりが閉じられる。もっともっと読みたかったのにという余韻を残しつつ。
高森純一郎 / 高森純一郎 (2011-10-26)
読了日:2017年7月12日
昨年、文学フリマ札幌で初めて手に取り、その重厚な世界観に個人的にやられた高森純一郎( @takamori_j )氏の著作。今作は、ベトナム戦争最末期のサイゴンが舞台。韓国軍に家族を虐殺され、サイゴンに逃れた少女チャウが、韓国人記者のアンソクに助けられ、ともに働くうちに、二人の気持ちは徐々に近づいていくが...と。約40年後の日本からの回想と交互に語られるので、結末はわかっているはずなのに、狂おしいまでにそこに至る過程に引き込まれていく。一番はチャウの造形の魅力。過酷な運命にもただ打ちのめされるだけではなく、したたかに聡明な思考が丹念に描かれ。アンソクも決して取り繕ったり虚勢をはったりすることなく誠実に真摯に仕事に、チャウに向き合う様が描かれ。ベトナム戦争において韓国軍がしたこと、それに対する南ベトナム国民の感情も描かれ、また主に南ベトナム末期の政治、生活も南ベトナム人の視点で描かれる。最近、開高健「ベトナム戦記」「輝ける闇」を読んだので、外国人記者の視点からと合わせ読めた点も興味深かった。以下雑感。/一枚の写真が、全く異なる印象を与えた例。「統一村」の写真。南北朝鮮の国境で暮らす悲劇の農民という像と、免税特典という経済的理由で希望者があとを立たないという情報。/「練乳入りであるインドシナのコーヒーは、喉の渇きを癒す飲料には不向きだ。純粋にコーヒーの味と香りを楽しみ、そしてそのひと時を心穏やかに過ごすためのものである」、度々出てくるベトナムコーヒーの描写に込められた寓意はなんだったのだろう/「政府軍に捕まった共産主義者の扱いは、その時々の権力者の気まぐれと、ちょっとした運の良し悪しで決まるということだ」/高級官僚の最後の矜持。「賄賂が全く行われない潔癖な社会など存在しえません。しかし同時に、誠実さが全くない社会が存在しえないことも事実。賄賂をするにしても、そこには一定の信義が必要…どこの国でも、それは変わらないというのが私の考えです」/ベトナムを戦争の悲劇の舞台として写した数々の報道写真の傑作が「実はハノイもサイゴンと同じことをやっている」という事実を見えにくくする側面があったこと。旧南ベトナム国民を差別したこと、共産党独裁をしき、反対者は容赦なく弾圧したこと、社会主義の路線対立が元で隣国カンボジアへ進攻したことの認知度が低いという側面も。/そして、韓国の外務官僚の語る、虐殺者と信頼し愛するに足る人間の両方を見たことで、人間性の良し悪しが、民族や国籍と無関係であるということをあなたは悟ったが、他の者たちは、外国人という一かたまりとしてとらえてしまう…という趣旨の言葉。それは、本来良い意味で語られる事柄なのに、自分の運命を暗転させた事件が、追いかけて来た運命の皮肉とも言える場面で発せられたシーンがいたく胸に残った。
唐橋史 / 史文庫 (2013-11-04)
読了日:2017年7月10日
文学フリマ札幌で手にとった唐橋史( @FuhitoFumikura )氏の作品。表題作は、遠藤周作「沈黙」、星野博美「みんな彗星を見ていた」あたりを思い出しながら読んでいた。最後まで棄教せず、介錯されこと切れるまでの13秒。何故、というつぶやきが痛ましい。何故、神はこの期に及んで助けてくれるのか、と言いたかったのではないか、と。それを見た一人が激しくうろたえ棄教を宣言し、介錯した者は出奔というのも宜なるかな、と思った。併録は、ものの怪から見た平重衡最後の1日、と、版木を彫る職人と無宿人の娘から見た明治維新の物語。
そこをなんとか 13 (花とゆめCOMICSスペシャル)
麻生みこと / 白泉社 (2017-07-05)
読了日:2017年7月10日
号砲ならされたらっこちゃんの恋路。ただ相手の赤星くんもペースを取り戻そうとそっけなくしたり。けどそこからの、最近冷たい、私なんかした?のど直球に思わず轟沈。けれどけれど、最後に確認したかった東海林先生の気持ちを恋愛相談にかこつけて推し量るも、全く脈なしと見切り決断したラッコちゃん。帰りの電車での東海林先生の、あああああて叫びはきっとtoo lateで、だからこその犬とたわむるなんだろうけど。強烈な赤星ママの登場で、難題な事件を振り分けられるも捨て身の発言でなんとかしたところで、ぐぐぐっと背中を押されるところまで。どんどんスピード感増してきたなあ、と。
中国のフロンティア――揺れ動く境界から考える (岩波新書)
川島 真 / 岩波書店 (2017-03-23)
読了日:2017年7月10日
広州のアフリカ人街、東チモール、マラウィ、金門島、ミャンマーと、中国人が活動しているのが意外に感じられるところ、または歴史的に深い関わりがありそうな国境を接するところを取り上げて描く一冊。ミャンマーでの開発政策が中央政府の路線に密着するあまり、地方の反政府勢力を敵に回してしまったケース。雲南での「大騰越」という現実の国境認識とは異なる、それよりも大きな広がりを持つ境界認識を持っている人の存在。東チモールでの海底ガス田開発を巡り、結局は手を引いたが、他国での開発への関わりは、なんでもかんでもではなく、まずは採算が考えられること、そして経済的に割が合わなくても政治的な採算を考えて開発を進めることもあること。ごくわずかの利益を得るためにどんな苦労でもする、という他国へ稼ぎに出る中国人のメンタリティ。この辺りが個人的には興味深い論点だった。
北18条文学 / 北18条文学 (2017-07-09)
読了日:2017年7月9日
表紙のラーメン大将の肉チャーハンに目が吸い寄せられ、思わず手にとってしまう。おそらく北大を舞台にした、ラーメン大将が端々にフィーチャーされた5つの短編。主人公だったり、主人公に強い印象を与える脇役だったりする「今野」という登場人物の造形が秀逸。盗撮がしたすぎて指先をカメラに改造した顛末は…とか、どうせ付き合えない綺麗な子だから盗撮した、とか、暇すぎるから全裸でうつ伏せになった尻にのせたティッシュを屁で飛ばしたら終了のゲーム、とか。あるいは、大言壮語言えば言うほど相手の女性が、素敵!を連発して今野にはまったり。あるいは学生時代からの生活様式に囚われて二進も三進もいかない青年にかかってくる今野からの電話だったり。これ読んで、無性にラーメン大将で肉チャーハン食べたくなって、駆け込みました。
スタジオプリケ / スタジオプリケ (2017-07-09)
読了日:2017年7月9日
表題作は、一つ年上の憧れの女性を追いかけてきたのに、彼女にはすでに好きな人ができていて、呆然としている主人公が、誘われて、食べる人を元気にしてくれるというスープカレー屋さんへ足を運ぶ話。疲れの質を嗅ぎ当て、各人にオーダーメードでスパイスや具材をアレンジするという仕掛け。「身を縮めていても、しかたがない。前を向かねば。そう決意する勇気をくれたのは、生まれてはじめて食べたスープカレーと、それをつくった店主であった」という気持ちにさせ、一度は好きになった相手に「おれが、勝手に好きになったんです。ただ希さんが素敵で、それで、おれが勝手にここに来たんです。それだけのことです。自分を悪くいわないでください」と言えるまでに回復した主人公。読後感ほっこり。続編も期待したい。併録は、またまた登場のタヌキ娘、キツネ娘のコンビが人間の男性に恋まっしぐらな鶴を軸に繰り広げられるストーリーと、寂しげな幼い娘の話を聞き、励ましていた語り手が実は…という仕掛け。
スタジオプリケ / スタジオプリケ (2016-11-13)
読了日:2017年7月9日
昨年手にとって大変気に入った「狸小路ワンダー」の続編。空手使いのミュウ、人脈が広くいつもクールなシバ、若くして喫茶店主のターニャ。今回は、クリスマスイブ、バイオリンを持ってやってきた女性をめぐるお話。突然仕事が入った男への鋭い洞察、輩を片付けるミュウ、念を入れるシバ、そして、店の前で見たのは…。対することができるようになっただけ少し前進と思いつつ、少し苦さを残して終わる。併録はたぬきとキタキツネのコンビが人間の若い女性に化けて繰り広げられるユーモラスなドタバタ劇。
赤龍王 全9巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]
本宮 ひろ志 / 集英社
読了日:2017年7月9日
劉邦=政治的軍事的手腕としては無能だけど侠気と愛嬌があって皆に愛され人が集まる、項羽=己一人の軍事力は凄まじいものがあるが人事や統率が下手すぎて最後は負ける、というイメージで貫かれている。項羽は伯父の項簗がもう少し長く生きていればもう少し違った展開もあったものを、と感じた。いずれにしても久々の再読で懐かしかった。
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)
寺山 修司 / 角川書店 (2004-06-25)
読了日:2017年7月6日
多分もっと若い頃に読んでいたら、もっと響いていたのだろうと思うのだけど。/チャーリー・ミンガス「豚の呼んでるブルース」聞いてみたい。/「幸福」についてもっと流動的なイメージを持たないと歩兵は一生を歩兵のままで終わることになるだろう。/賭けることが好きでやめられない男の話、ロアルド・ダール「南から来た男」、読んでみたい。/一点豪華主義もなあ...と。部屋はやっすいとこ住んで高級車乗るとか、三日四日飲まず食わずで五日目にフランス料理のフルコースとか。
マリを知るための58章 (エリア・スタディーズ)
竹沢 尚一郎 , 赤阪 賢 / 明石書店 (2015-11-12)
読了日:2017年7月4日
トンブクトゥを中心に、関連する部分を拾い読み。今のマリの領域をめぐる王国の変遷。トンブクトゥの盛衰。交易都市として、学術都市としての側面を簡易に知ることができた。
札幌乙女ごはん。コミックス版 第2巻
松本あやか / Dybooks (2017-06-30)
読了日:2017年7月2日
なかなか進まない主人公と上司の関係に、関西からの新入社員が飛び込んで、三角関係。ただ、後輩が積極的なアタックで、付き合ってるのかどうかの状態から婚約にこぎつけたのに刺激され、自分から一歩踏み込んでみるも、もっと先のことまで考え、ついてこれるか、と逆にバトンを渡される形に。というところまで。炙屋の北海道堪能のコースは知らなかったし、ステーキハウスひげとかもあまりに美味しそうに肉を食べる描写に、あおられる。
ナナマル サンバツ(14) (角川コミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA (2017-07-04)
読了日:2017年7月2日
関東大会も決勝戦。文蔵チームには直前にショックな出来事が知らされたが、笹島の力強い後押し、井上の機転でなんとか立て直し、全国大会へ。にしても、決勝のルールはスリリング。越山の問題に対する読みの深さも成長を見せ。次巻は他チームの敗者復活戦が描かれるのかな。
ミコさんは腑に落ちない(1) (アフタヌーンKC)
イツ 家朗 / 講談社 (2017-06-23)
読了日:2017年7月2日
社畜乙女×主夫彼氏の帯。仕事バリバリOLなミコさんと、家事全般完璧で先回り上等な気遣いも行き届く完璧主夫エンさん。まだこの巻では出会いの話は描かれないけど、元お店の常連とキッチンの人から始まった同棲生活。その繰り広げられる高速でテンポのいい会話が面白くて心地よい。二度寝で遅刻しそうなミコさんをブローして寝てる間に化粧して、下着から服から選んで、朝飯昼飯までもたす一連のやり取りとか、美味しいパンの仕込みをしたエンさんにご飯気分になったと言い出せなかったのに、起きたら何を察したのかエンさんが美味しいご飯の朝食を用意していて、その反応が、ちっ、炊けてやがるだったり、女子会で彼氏が無職とバラされ不穏になるかと思いきやのエンさんの穏やかな返し、突然転がり込んできた友人と特撮の世界に深くはまるミコさん…とキリがないほどどのシーン切り取っても好き。基本率直で明るくて男前なミコさんと、隅々までしっかりと気がきいて穏やかで返しが面白いエンさんのコンビ、まだまだ読みたい。
ボクたちはみんな大人になれなかった
燃え殻 / 新潮社 (2017-06-30)
読了日:2017年7月2日
#ボクたちはみんな大人になれなかった2017 twitterでつぶやきを見かけて気になってた燃え殻さん。cakesで連載と聞き、そのためだけにcakesの有料会員になった。それが本になるなんて買わないわけない!「本当のさよならの時、人はさよならと言わない」(p.138)が一番刺さった言葉。まさにそう、本当にそう、と。一度読み終えて、自分のためだけに何かを書きたくなったこと。すぐにまたcakesの連載を読み返す。だいぶエピソードも登場人物も削って整理して、第一部と第二部もきちんと整理して再構成したんだな、と思った。それぞれ別の時期の別の子のことを語ってたのが、片方が出かけてた時期に出会っていたことになり。どちらも楽しめて二度美味しい。そしてもう一度本を読み返した。きっと、何度も噛みしめると思う。


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2017年06月30日

2017年06月に読んだ本

期間 : 2017年06月
読了数 : 45 冊
ロビンソンの末裔 (新潮文庫 か 5-3)
開高 健 / 新潮社 (1973-01)
読了日:2017年6月29日
ヤマザキマリさんの講演会で推していて手に取る。夢のような条件に目がくらみ、敗戦直前に、北海道へ開拓民として行くことにした東京都の会計係だった一家のストーリー。夢のような条件は、青森に着く頃には玉音放送が流れ、先に進むに連れ、どんどんどんどんと悪くなり、着いてみれば、土地だけは与えられるが、家もない、食料の支給も不十分、転地も受け入れられない、現金収入もおぼつかないと無い無い尽くし。えいやっと開墾に取り掛かるも、土地が悪すぎて成果が出ず。役場にかけあうもラチがあかず、ついに団結して、中央まで乗り込んで談判し、道作りに予算を割り当ててもらうが、ともに残ったものはわずか、ともに戦ったものも意気があがらず、それでも少しの希望を見出そうとするところで物語は終わる。全くもってひどい話で、無責任なことをいったものたちは誰一人責任を取らず、過酷な条件で頑張っても報われず、その様子が淡々と描き出される。開拓地と比べた敗戦直後の猥雑で活気に満ちた描写、開拓も希望も東洋のウクライナも粉ふきジャガイモの蒸したてもへったくれもあったものかという叫び、仲間が熊に食われたことを語る畳屋の話、畳屋が大臣に「食うものも食えないで今日明日にも死にそうになっている人間が食えないことを訴えているのに、共産党もクソもありますか。あんたの責任を聞いているのだ」と啖呵を切ったシーンが印象に。
ねぇ、ママ (A.L.C.DX)
池辺葵 / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年6月27日
魔女とハンプティダンプティとワカちゃんの話が一番好きかな。
われらの文学〈第7〉安部公房 (1966年)
大江 健三郎 , 江藤 淳 / 講談社 (1966)
読了日:2017年6月26日
安部公房「けものたちは故郷へかえる」「赤い繭」「デンドロカカリヤ」を読了。「けものたちは…」はヤマザキマリさんの講演会で熱く推していたので手に取る。敗戦直後、満州に取り残された天涯孤独の青年が日本への引き上げを目指す話。捕まりそう担ったり、餓死寸前まで荒野で追い詰められたり、騙されたり、襲撃されたり、荷運びにされたり、路上生活を強いられたりして、ようやく引き上げ船に乗り込んで、日本の土を踏む寸前で、全てを奪われ、船底に繋がれるという絶望感。不安、緊張、絶望、落胆、高揚、たまに一筋の光、頼るものとてない中での根無し草の感情が伝わってきて辛い。「赤い繭」は帰るところがなくなったと悟った時には体の全てが解けて繭になり拾われる奇譚。「デンドロカカリヤ」はカフカの「変身」の植物版なのだろうか、見知らぬ植物に段階を踏んで変身してしまった青年の話。
おんなのいえ(1) (BE・LOVEコミックス)
鳥飼茜 / 講談社 (2013-04-12)
読了日:2017年6月25日
自分が安定した就職をして、相手の夢を支える、という図式で自分を納得させていたのに、頼んだことでもないのに、と三十直前に別れを切り出されたありか。実家でくすぶるうちに、母親命令で東京で妹と同居することに。なんとなく叶う願いなんてないよ、自分のまわりに悪い人とか嫌な感情とか人を悪く言わへんのって結局あること認めたくなくて目つむってるだけに見える、「自分ばっかりってちょっと被害妄想ちゃう?ありちゃんて家具屋で働きたかったん?イケメンと遊びまわりたかったん?ありちゃんは何がしたいん?」、誰かを恨んでたいだけの間は向こうから何もやってこないんだ、と周りの人は様々な言葉を投げかけてれるが。きっかけは妹だったけど、一歩踏み出して始めた仕事が背中を押してくれそうで、偶然の再開もあって、というところで続く。どんな不恰好に立ち直ろうとしてんのかお前知ってんのかボケぁ、とありかの知らないところでありかの元彼に啖呵を切ってたシーンが印象に。
BLACK‐BOX(1) (アフタヌーンコミックス)
高橋ツトム / 講談社 (2016-01-22)
読了日:2017年6月25日
強烈なヒールの魅力。父も兄も殺人で捕まり、殺人一家としてセンセーショナルに取り扱われる中のプロボクサーデビュー。周りからはくそ生意気でネジが飛んでると言われても、世界チャンピオンだけを目指して、ひたすら、と。
講談社 (2017-06-24)
読了日:2017年6月25日
ブルーピリオド。周りに合わせることだけ覚えてうまくやれてるとおもってた高校生が絵を描く魅力にとらわれ…て出だしのストーリー。波よ聞いてくれ。ミナレさんが毎度のこといい感じで背中を押すというか引っ掻き回すというか。南波ちゃんが一歩久連子さんに踏み込んだところで続く。マージナル・オペレーション。的確な作戦と戦闘指示でついに直接対決へ。ミコさんは腑に落ちない。時間を巻き戻してミコさんとエンさんの出会いの話。天真爛漫になんでも口に出して、おいしいのリアクションもオーバーで、エンさんも気の利かせ方がカッコよくて、ほっこり。コミックス1巻買いたくなった、あたりのキッチン。ナポリタンをめぐる狂想曲。
レディ&オールドマン 3 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2017-06-19)
読了日:2017年6月25日
当人たちにはわからぬままの「配達」の依頼の激減。小さなバーでのちょっとした交流。父を助けたい小さな子の依頼に応じ。また弟の影。そして、オールドマンに迫る追手。不老不死なのかどうなのか。
TRANSIT(トランジット)25号  美しきブラジル (講談社 Mook(J))
ユーフォリアファクトリー / 講談社 (2014-06-27)
読了日:2017年6月25日
ざっと読了。リオを舞台にした女子大生を主人公にしたショートストーリー、1ページずつ市井の人びとにインタビューしたコーナーとかがよかったかな、個人的には。マシャード・デ・アシスの作品や、ジョルジェ・アマード『丁子と肉桂のガブリエラ』なども手にとってみたいと思った。
先生の白い嘘(7) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2017-05-23)
読了日:2017年6月24日
1-7巻読了。紆余曲折を経ての憎しみを恐れずに、許しを宣言した結果は、凄惨な反発だったけど。次巻完結でどうなるのか。
女の友情と筋肉(4) (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2016-05-27)
読了日:2017年6月24日
辺境遊記 ―― キューバ、リオ・デ・ジャネイロ、小笠原諸島、ツバル、カトマンズ、サハリン、南大東島、ダラムサラ
田崎健太 / 英治出版 (2010-04-19)
読了日:2017年6月24日
リオデジャネイロ、小笠原諸島、サハリン、ツバル、南大東島、を読了。リオのカーニバルの山車はどうやってくるのか、という問いに、ほぼ飲まず食わずで8時間近くかけて3人で押してきた、祭りが終わったら?また押して帰るのさ、というシーンが印象に。ツバルの人々に、近い将来島が沈むことをどう思う?という問いへの大半は、結局は移住するんだろうけど、神にそうならぬよう祈っているから沈まないと信じたい、という声が印象に。またゴミの島としての一面も。戦後、サハリンに残された日本人、朝鮮人の凄まじい苦労、小笠原諸島、南大東島という東京や沖縄から地理的にも文化的にも歴史的にも切り離された存在の独特の文化をうかがい知れた。
外道の歌 3巻 (ヤングキングコミックス)
渡邊 ダイスケ / 少年画報社 (2017-04-24)
読了日:2017年6月24日
2巻-3巻読了。周囲の人は、遺族や被害者に、何一つ要求してはいけない、許すか許さないかも含めてというのが言いたいことなのかなと思いつつ。
日本会議の研究 (扶桑社新書)
菅野 完 / 扶桑社 (2016-04-30)
読了日:2017年6月24日
もし書かれていることを全面的に受け入れるとしたら、もっとも民主的な市民運動というやり方で非民主的な思想が実現されてしまうというホラーだな、と思った。日本会議に現政権の8割の閣僚が属しているという事実。日本政策研究センター、日本青年協議会と言った関係の深い団体から強い影響を受け、生長の家から分派した集団も強い影響力を持つ、と。これらの団体は、農協や労組を始めとした以前は力を持っていた圧力団体が軒並み衰退する中、雑多な勢力をまとめ上げ、しぶとく生き残ってきた。その目的には、明治憲法復元があるのでは、日本全体が右傾化したのではなく現政権が一部の一般的とは言えない思想を持つ勢力の影響を受けているのでは、というのが著者の主張。当該の団体からの反論などもあり、にわかには見さだめ難いのだが、注視していきたい。
みゆき 全12巻完結(少年ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
あだち 充 / 小学館
読了日:2017年6月22日
セットで格安で懐かしさもあって思わず落手。35、6年前、今から考えるとコンプライアンス的にどうなのと思われることもギャグとして許容されていたのだと考えると、おおらかな時代だったんだなあ、と。そして、今読み返すと、ぐずぐずとどちらにもやさしくなんてのは、結局はどちらかをひどく傷つけることなんだということが描かれているように思われ。
CREWでございます! 燃える! ! スチュワーデス物語(書籍扱いコミックス)
御前 モカ / 秋田書店 (2017-06-16)
読了日:2017年6月21日
夜会巻きをめぐる狂想曲、お布団にくるまるの大好きモカさんを連れ出して、モカさんメインの飲み会を開く後輩たちのものすごいチームワークに笑いつつも感銘、そして合コンの前後にカツ丼やら居酒屋やらを挟む大食ぶりは過酷な労働のなせる技か。ただ割合的には、笑いなしの真摯なストーリーも多い印象。たまにはなったのだけど。
図書館の主 15 (芳文社コミックス)
篠原 ウミハル / 芳文社 (2017-06-16)
読了日:2017年6月21日
タチアオイ、存続の危機。図書館員が、利用者たちが、大きな企業が慌ただしく動きだすが…。オーナーのしかけは、もしかしたら、という思いもあったが、それで背中を押された出来事もいくつもあり。話すと長いからと割愛されたオーナーと徳さんの話も聞きたかった、佐藤さとるさんの本も手にとってみたい。まさに大団円。このシリーズのおかげで何冊の本を読みたくなったことか、、多謝。
モキュメンタリーズ 1巻 (ハルタコミックス)
百名 哲 / KADOKAWA (2017-05-15)
読了日:2017年6月21日
同じI.D.の人が落札し続けるAV、そのI.D. の人に会いに行き話を聞くとそkにはもう一つのドラマが。オーストラリアから日本のアイドルへ詣でるために、羽田から浜松まで踏破するのに密着、途中から同行者もでき、距離が深まったりぶつかり合ったり、最後はまさかの…。海軍カレーに対抗して生み出された陸軍ナポリタンの話。自分探しにバングラデシュの漁村に飛んだが、そこで得た結論と行動力のあふれる友人の顛末は。どれもパワフルで惹きつけられるストーリー。
プリンセスメゾン 4 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2017-06-12)
読了日:2017年6月20日
ようやく自分のマンションを手に入れた沼ちゃん。引っ越す前から通い、テンションあがり。手に入れてお話終わるかと思いきや、床のコーティングだったり、なんなり、悩みのタネは出てきて。けど、完璧な物件なんてないから、自分が慣れていけば、と。不動産屋さんの社員たちにも好かれ、仲良くなり、節約節約になりそうな時もそっと背中を押してくれたり。夢中になれるものを持ってる存在に憧れをいだくシーン、けど、抱く側だって何も持ってないわけじゃなく、そう知らされるシーンが印象に。
国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)
ヤマザキ マリ / 小学館 (2015-04-01)
読了日:2017年6月18日
ヤマザキマリさん講演会に足を運んだのをきっかけに再読。講演会と重なる部分も多かったけど、肉声で聞けたのはまた違った体験だし、聞いたことで、改めて再読した際にするすると入ってくる感覚を味わえた。再読して目に留まったのは。出口はない、もがき続けろ、と安部公房の小説が背中を押してくれる、という一節。デビュー作の「彼女のBOSSA NOVA」を読みたいと思ったこと。挫折したデルス・ウザーラに再挑戦しようかな。豊穣の海第四部がジャコモ・フォスカリに与えた影響。過酷な環境がキリスト教やイスラム教の一神教を生み出した、日本のように温暖で環境に恵まれていたら八百万の神で良い、という視点。
ボールルームへようこそ(1) (月刊少年マガジンコミックス)
竹内友 / 講談社 (2012-05-17)
読了日:2017年6月18日
ひょんな事から社交ダンスを始めることになった多々良。やりたいことも見つからず進路も迷っていたところにのめり込めることが見つかり。同じ教室のエースのまさかの失踪にピンチヒッターに指名され…
モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)
白石 典之 / 講談社 (2017-06-10)
読了日:2017年6月18日
伝承的な部分が多くて史実としては扱えない部分の多い史料と個人的な印象があった「元朝秘史」が、考古史料と付き合わせていくと、一面の真実を語っていたと明らかにしてくれていること。チンギスが活動を始めた頃のモンゴルは、群雄割拠ではなく、金と西遼の綱引きが繰り広げられる代理戦争の場であったこと。チンギス・カンの不遇時代と捉えられた時代は、実は遊牧的な見地からするとベストチョイスだったこと。いち早く鉄の利用と鉄の産地の確保にあたったことが他勢力に対して優位に。考古史料、文献史料、古気候学など、文献史学からだけでは明らかにされえない視点を多々提供してくれて、新たな知見に富んでいた。遊牧リテラシーに富んでいたことが他のモンゴルのリーダーとの違いで、その延長線上にある「馬・鉄・道」へ集中した「騎馬軍団の機動力向上」「鉄資源の安定確保」という戦略にも大きく影響した。モンゴルの民の安全と繁栄の実現が至上命題で、それをやっていくうちにモンゴル高原の統一が転がり込んできたという実感だ他のでは。他国への侵略すら?と。
リオデジャネイロという生き方 不安も悩みも笑顔に変える「幸福の個人技」
中原 仁 , KTa☆brasil (ケイタブラジル) / 双葉社 (2016-05-21)
読了日:2017年6月18日
福嶋伸洋さんのリオをめぐる著作に触発されて。リオに永年通う音楽家、音楽プロデューサーの二人が語るリオデジャネイロとカリオカ。人懐こく、ひとたび友達となればとことん力を貸してくれ、それぞれが違う人種、文化を背景に持つことを踏まえて、言いたいことは言う、相手の言うことも尊重する、基本前向き、暗く考えてたってどうなるものでもない、楽しめ。手放しでリオ礼賛だけでなく、治安が悪い地区や悪い奴は確かにいるけれども、と語ることも忘れない。日本人から見るとルーズに思えることも、一瞬一瞬を大事にし、知り合いにあえばちょっとしたおしゃべりですまず、それが重なり、計画通りいくかは、神の思し召しとおもってるふしがあり。だからその場その場の思いつきでどんどん計画がかわりむしろそれがいいことだと考えている。異なる考え方をする人々だと言うことをわかって付き合わないと、と思った。もし、人生を投げ出したくなったら、その前にリオに、と思えるぐらいの魅力的な語りだった。映画「黒いオルフェ」「シティ・オブ・ゴッド」は見てみたいと思った。「今日これから誰に会って何が起きるか全部わかってしまったら、面白くないだろう?」「すべては最後はピザになる」「最後の最後に自分自身でオーライだと思えたら、人がどう思うと気にしない」という楽天性は魅力的。
RIO
高野 寛 / ミルブックス (2014-07-20)
読了日:2017年6月17日
リオデジャネイロの風景と、レコーディングをめぐるリオデジャネイロの縁を語るエッセイ。思い立って地球の裏側とか、思い切るなあ。そして、リオの人々の特徴もよく掴んで、時間にルーズだったり思った通りに事が運ばなくても悠然と構え、リオの流儀に身を浸しているのが伝わってくる。カエターノ・ヴェローゾのアルバム聴きたくなった。本文中に息子でプロデューサーとしても頭角を表しているという親日家のモレーノ・ヴェローゾとの交流が語られてるのを見て。
ライオン 園田ゆり短編集
園田ゆり /
読了日:2017年6月17日
アフタヌーンで「あしあと探偵」連載中の著者の短編集。ライオン、Blue Letterはアフタヌーン上で読んだことあったけど他のは初めて読んだ。どの短編にも通ずるのは、奔放な存在と枠にはまっている(と自ら思う者の)ぶつかり合いと葛藤、だろうか。光と影、天才と凡人、の場合もあるけれど。小学校のクラス、高校の放送部、引きこもりを持つ家庭、と舞台は変わり、どちらの側からも語られる、そう見えるかもしれないけれど、本当はこう思っている、と吐露されるところが印象に残る。優等生に見られてたが学級参観で全てをひっくり返す。自分の興味のある音作りにだけ没頭する小梅に、秩序を守りがちな沖くんが手を焼きながらも惹かれていく様子。本番前には崩れるけど、励ますば本番はきちんとこなす天才肌のちかと、耳はよくて人の指導はできて的確に励ませるけど自分のアナウンス能力は凡庸な子の葛藤。などなど。欲をいえば…紙でも出して欲しかったなあ…
阿・吽 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2017-06-12)
読了日:2017年6月17日
霊山和尚の未来を暗示する導入から、契丹の姫、ゾロアスター教徒との邂逅、武術で役に立ちながらも、漢語がわからず学べないことに劣等感を持つ橘逸勢。空海には追いつけぬと思いつつ共に手を携え、意識の深淵へと降りていく感覚を味わった霊山和尚。お互いに、詩人にしておくには、僧侶にしておくにはもったいない、と火花を散らしつつ、胸襟を開いて交わる白居易。通訳の不備で、対話がままならず、経典の読解のみ業を収めようと奮闘する最澄。最澄が登りに登りきったところと空海が潜りに潜ったところで出会うシーンは象徴的。密教の高僧たちからの伝授は、代わる代わる苛烈に行われるが貪欲に吸収していく空海。まだ長安に学ぶ事が多くあることを感じつつ、勅命にて離れなければならなくなった最澄。確かにここがのちの二人を分けのだ、と。しかし、伝授や意識へ降りていく過程、呪法の可視化など漫画ならではだな、と感銘。
松永久秀 歪められた戦国の“梟雄
天野忠幸 / 宮帯出版社 (2017-04-17)
読了日:2017年6月17日
冒頭の総論、約30pのみ読了。三好長慶生前は残る文書からは、常に主君の意をくみ、専横の振る舞いなどなく、三好義興ともさまざまな案件に共同で取り組み、その死に際しても悲嘆した書状を残しており、毒殺などしたようには見えない。また将軍義輝弑逆も、久秀の息子の久通が行なったことで、そのころは家督を譲り実権も久通が握っていたことが文書からわかる、と。久秀と久通の間には、足利将軍家に対する考えの相違があり、久秀はかくまった義昭を取り逃がし、反三好包囲網に大義名分を与える大失態のため、失脚し三好勢力から排除された。東大寺の失火も、東大寺が中立を守らず敵対勢力に陣地を貸したため攻めたに過ぎず、のちには復興に動いている。信長とは長く同盟勢力だったが、服属後に裏切ったのは一度のみ。敵対する筒井順慶を重用したことに反発したためで、裏切りを繰り返したというのは当たらない、と。通説を覆す研究が進んでいることを看守。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)
村上 春樹 / 講談社 (2004-10-15)
読了日:2017年6月14日
6年ぶりの再読。今となっては、そのセリフは…とか思うところが無くはないけれども、それでも、何年にいっぺんか再読したくなる作品。読み返すと、ユミヨシさんてもっと重要な役回りだったような気がしたけど、前編の真ん中ぐらいに少し、後編の本当に最後の方にだけ登場で意外感。そして、僕が五反田くんに、どうして…と問いかけてからのシーン、そのあとでユキと対話するシーンが何度読んでも白眉だなと思ってしまう。
魔法使いの国の掟―リオデジャネイロの詩と時
福嶋 伸洋 / 慶應義塾大学出版会 (2011-06)
読了日:2017年6月13日
福嶋伸洋「リオデジャネイロに降る雪」を読んで、デビュー作も読んで見たくなり。博士論文がベース、とあったけど、そうは思えないほどライトな読み口。黒いオルフェの原作を書いたヴィニシウス・モライスの章だけでも読もうとかと思ってたけど、意外な収穫として、セシリア・メイリーレスに激しく心惹かれた。その、沈黙、と、過ぎゆくこと、を読むことの悦び。この人の邦訳詩集でないかな…。ひとまずはこの本で訳されてるところだけ楽しむとして。1(バンデイラ),2(セシリア),3(ヴィニシウス)+6 (セシリア) 章、読了/実際に多くの詩人たちが歩むことになったのは、知性のすべてを使って幼年時代にたどり着こうとする、ボードレールからリルケへと至るこの道だった。(p.10)/わたしの精神の風が 生のうえに吹いた。 儚いものすべては消え去った。きみだけが残った 永遠のものであるきみが……(セシリア・メイリーレス p.38)/「動機」 わたしは歌う 瞬間は存在するから わたしの生は完全だから。 わたしはうれしくも 悲しくもない。 わたしは詩人である。 (セシリア・メイリーレス p.41)/望むべきなのは、時のなかで限りないもの、永遠のものになることであり、それは「過ぎゆくこと」という形で実現する。「続いてゆくのは、過ぎゆくこと/それはきみの永遠.../それは永遠/きみがそれなのだ」(p.57)/時間が散逸してしまったもの、消し去ってしまったものを、記憶はふたたび集め、まとめあげる。記憶は、時間による摩耗と戦い、存在を守るのだ(p.57)/「エピグラム7番」 冒険を事とするきみの種族は/大地を 空を 海を持つことを望んだ/わたしの種族には 望まない 手に入れないという/暗いよろこびがある....../きみの種族は望む 出発することを/戦争をし 苦しみ 打ち勝ち 帰還することを/わたしのそれは 行くことも来ることも望まない/わたしの種族が望むのは 過ぎゆくこと(p.58-59)/「愛が永遠なのはそれが続いているあいだだけなの」(ガルシア=マルケスの短編にでてくるスペインの魔術師の妻)(p.108)/「モレーナ、愛の痛み」より この生の悲しみは/言葉を話せないこと。/言われた言葉 聞かれた言葉は/空気のうえの空気でしかないこと......。/(何も言わないで/わたしはきみを愛している。/黙っているとき わたしは/きみを呼んでいる。)(セシリア・メイリーレス p.222-223)
応天の門 7 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2017-06-09)
読了日:2017年6月12日
今回は、藤原多美子入内のことで一巻まるまる費やされる。藤原同士の思惑のぶつかり合い、高子から導かれ、道真経由で力を貸すことになる白梅。至誠は多美子や忠義を尽くす吉野にも通じ。長谷雄が俠気を出す一幕があったり、道真が百鬼夜行の正体にあたりをつけたり。最後は、暦が登場してto be continued. どのような展開をもたらすのか。それにしても、本名を名乗るのは滅多にないこと出あったと。店での諍いの場面で、本名を名乗った長谷雄、あいつ名乗ったぞ、と騒ぎになるが、名乗る意味合いをもう少し解説して欲しかったかな。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
村上 春樹 / 講談社 (2004-10-15)
読了日:2017年6月11日
オスマン帝国治下のアラブ社会 (世界史リブレット)
長谷部 史彦 / 山川出版社 (2017-06-05)
読了日:2017年6月11日
アラブ世界、と言っても、今でいうイラク、シリア、エジプト、チュニジア、リビア、アルジェ、イエメン、サウジアラビア…と広大で多様な地域にまたがっており、オスマン帝国治下に置いても、ほぼ直接的な支配に置かれていたり、独立されたけど宗主権は認める形であったり、集権的からほぼ独立まで様々なグラデーションで統治されていたことが見て取れる。以下備忘録的に。/アレッポを征服したセリム1世は、マムルーク朝スルタンの帯びていた「ハーディム・アルハラマイン」(両聖地の僕)という称号を自らのものと宣し、以降、1922年のオスマン帝国消滅までこの重要称号を帯びた。/スレイマン一世の大宰相リュトフィー・パシャ(在任1539-41)は、強大な力を持ち、イスラームの信仰を守護し、勧善懲悪を旨とする公正なスルタンは、クライシュ族出身でなくともカリフとなりうる、と主張する政治論を著し、「スルタン=カリフ」制を正当化。当時のシェイヒュルイスラームも正当化を推し進めた/西アフリカのソンガイ帝国を滅ぼしたサアド朝君主アフマド・マンスールがシャリーフとして自信満々にカリフを称し、サハラ以南のアフリカのイスラーム教徒たちに大いに喧伝した/サビール・クッターブという小さな複合施設が建設ラッシュ。過密化する都市空間の中で狭い場所に少ない投資でイスラーム的慈善が明確化できるため。/臣民がイスラーム法廷に訴えでることができるだけでなく、文武の官人の不正などの諸問題の行政的解決を求めて嘆願書を定例会議に提出することができた。このような仕組みはオスマン帝国の長期的存続の一因でもあった。/オスマン帝国ではヒヤル-イスラーム法である目的の達成に障害がある場合、他の目的のために合法的手段を用いてこれを達成すること-の活用、年利10%程度ならばクルアーンの禁じる利得に当たらないとする法見解も有力であり、金融業が実は活発だった。
重版未定 2
川崎 昌平 / 河出書房新社 (2017-05-29)
読了日:2017年6月10日
おもしろい本をおもしろいと信じて編集した自分を信じろ。編集長からの力強い言葉。前巻から打って変わってやる気に目覚めた主人公。面白そうな著者を発掘してきて、社の規模からしたら張り込んだ豪華な企画を通してバリバリと突き進んでいくが…。アクシデントはつきものだけど、ここまで…というものを力技でねじ伏せ、私は編集長ですから、とやり遂げる。清々しいくらいに腹を括って。前の巻と違って、仕事に、書籍に、愛がこもっているのが伝わってきた。小出版社での編集というお仕事を垣間見ながら。
巨娘(4) (アフタヌーンKC)
木村 紺 / 講談社 (2017-06-07)
読了日:2017年6月10日
不正が仕込まれた勝負を正面から叩っ斬り、日々成長を見せるバイトリーダーの背中を力強く後押しし、いじめられてた女の子が力強く蘇るエールを送り、仕入先の牧場を荒らす山の神と言われる巨大な猪を葬り去る。この巻も力強く雄々しい巨娘。ただこの巻は彼氏と戦友なその妹が登場しなかったなあ。あと、安易に会社や社会を批判するが野生で私やあの猪と勝負して生き残れると思うのか、て檄が響く。
暗闘
山口 敬之 / 幻冬舎 (2017-01-27)
読了日:2017年6月9日
トランプ政権前夜から発足直後にかけて、安倍政権が先見の明でトランプ周囲とのパイプ作りに成功し、発足前後に率直に意見交換できたこと、ロシアのプーチン大統領にも期待だけさせて成果なしのように報道された首脳会談も、経済協力をテコに主権の棚上げに踏み込む、四島返還へ向けた踏み込んだ意見がかわされ、プーチン側からも平和条約への前向きな姿勢を引き出せたこと、拉致問題以来の外務省への不信から、官邸直結の外務省とは別の外交ルートの確立を模索していたこと、などが描かれる。半年経った今となっては、せっかくパイプを作ったフリンが罷免されたり、一縷の望みを託したTPPも結局はアメリカの脱退で終わったりではあるが、米中露韓それぞれに、言うべきことを言い、是々非々で対して行く、という姿勢はこれからも変わっていかないのか、注視していきたい。また感情的でなく批判的な本と合わせ読むとより立体的に事象を捉えらるかと思った。
擬人化でまなぼ!  ITインフラのしくみ
岡嶋 裕史 / 翔泳社 (2016-10-18)
読了日:2017年6月8日
キャラ同士のやりとりは冗長に感じるところもあったけど、基礎をおさらいするには良いかなあ、と。
バイバイ (角川文庫)
鷺沢 萠 / 角川書店 (2000-01)
読了日:2017年6月6日
同じ著者のエッセイ「ありがとう」で触れられてるのを見て。何年かぶりの再読。幼い頃から親戚をたらい回しにされ、嫌われないことを第一義に掲げ、好意を断れないうちに、嘘を重ね、三人と同時に付き合ってしまってる主人公。人を信じるなんて灰皿を食べるようなものだ、人を信じてはならん、という祖父の言葉どおりに生きてきたが、そんな主人公を信じる、というある種の狂気が強く印象に残り、また一筋の光を感じさせながらの読後感だった。
君はこの国を好きか (新潮文庫)
鷺沢 萠 / 新潮社 (2000-03)
読了日:2017年6月5日
ほんとうの夏、 のみ、何年かぶりの再読。同じ著者のエッセイ「ありがとう」で触れられてるのを見て。普段は通名で暮らす在日韓国人の男の子が、付き合ってる子に自分の国籍を知られないように、交通事故の現場から怒鳴って追い払ったシーンを軸に…隠してたわけじゃない、気がついたらそうなってたのに、今さら…という気持ちをすくい上げたかったのかもしれないけど、幼馴染の、それは隠したかったってことでしょ、という言葉に素直になり、自分から連絡をとることに、と。初出から20年経ったけど、状況は変わったのだろうか、と思いを巡らす。
ありがとう。 (角川文庫)
鷺沢 萠 / 角川書店 (2005-08-25)
読了日:2017年6月5日
何年ぶり何度目かの再読。このエッセイ読んで、「バイバイ」、「ほんとうの夏」も読み返したくなった。世の中には正しいことなんかなく、やりたいことしかないのでは、というフレーズ。一緒に住んでた人に、あんたは私の好きな花すら知らない、と罵った1年後の誕生日に届いたトルコキキョウの花束に頽れたシーン、が印象に残る。比嘉光龍(バイロン)の歌を聞いてみたい。対談での酒井順子さんの、いつもニコニコしていて、どうせ俺なんか、と言わない人ならいい、という基準。ネットをつないでくれた彼女は、のちの、サギサワ@オフィスめめのわたべさんだろうか、と思いをめぐらしたり。
わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
湊川 あい / シーアンドアール研究所 (2017-04-21)
読了日:2017年6月5日
リポジトリを作ってみよう、どうやって変更を記録するの?作業する-ステージする-コミットする、Unstage Selectedでステージから下ろす、フォークしてクローンすることでコピー、masterブランチに移動してみよう、あたりが特に役にたちそう、個人的には。
総理 (幻冬舎文庫)
山口 敬之 / 幻冬舎 (2017-04-11)
読了日:2017年6月5日
官邸の懐深く食い込まなければ、生の情報は取れない、時には政治を動かす現場のメッセンジャーとなってでも、それを御用記者、政権に近すぎるなどという批判は当たらない、外から見ただけでやってることを知りもせず批判したところで何も生まれない、と言う主張は、読み終えたあと一定の説得力を感じたが、ほぼ政権批判がないところは、一定の批判もあり得るだろうと思う。安倍と麻生の一度は総理というどす黒い孤独を抱えた職務を経験したもの同士の得意な絆。麻生の主導したイスラエル・パレスチナ双方に夜経済プロジェクトの9年にも渡る成果。志半ばで倒れた中川元財務大臣のシャイで不器用な実像と国をよくするための政策への思い。下野時に東日本大震災の被災地で安倍があった少女の前向きさに打たれたエピソード。菅官房長官の霞ヶ関の慣例にとらわれない人事で官僚統制を行う方針。消費税増税をめぐる財務省との綱引き。また国民に対しては、耳ざわりの良い政策が飽きられ、媚びない政治が受け入れらているのではないか、という見立て。ただ、それは難しいところで、国民の声を聞き過ぎれば、ポピュリズムに堕するし、国民の声を全く聞かなければ独裁政治と言われる、その間のどこに政策を向けるか、というのは安倍政権の国家観によるのだろう。
早乙女選手、ひたかくす 2 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2017-04-12)
読了日:2017年6月4日
口がかたくてアドバイスもくれる紺野さん登場。早乙女さんと月島くんの関係を前進させようとヤキモキするが…。そして合宿。監督と大学の監督とに何かあったことが示唆されたり、月島の姉の同級生登場で波乱の予感?服なしでお風呂場に取り残されるハプニングを経て、ぐっと距離は縮まらものの、というところまで。
早乙女選手、ひたかくす 1 (ビッグコミックス)
水口 尚樹 / 小学館 (2016-12-12)
読了日:2017年6月4日
学校の、地域の期待を一身に背負うボクシング部のエース早乙女さんと、公式戦0勝で冴えないけど知識はすごい月島くん。紆余曲折あって監督の勧めで、隠れて付き合うことになった奥手の二人が繰り広げるラブコメ。クールビューティなのに、月島くんのことになると落ち込みやすく浮かれやすい様子が微笑ましく。お弁当を返しにきた時の、クラスメイトの、あんたの彼氏の席なら、て一言にゴゴゴゴゴゴてなるところで一巻終わり。
緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)
高橋 祐一 / KADOKAWA (2017-05-01)
読了日:2017年6月4日
ユスティニアヌス帝時代のビザンツ帝国が舞台と知り手に取る。野心と理想を併せ持つユスティニアヌス。類い稀な美貌と怜悧な頭脳を持つテオドラ。愛嬌たっぷりんシア。堅物だが将才は抜群のベリサリウス。何よりも読書が大好きで素直じゃないが頭脳は切れるプロコピウス。敵国ペルシアの野心家ホスロー王子、と魅力的なキャラにことかかず。史実をベースにしながらも、馴染みやすい人物造形とセリフ、最低限な魔法や怪異がストーリーに彩りを添える。「国というのは民あってのものだ。国家の体裁や面子よりも民のことを考えよ」という言葉の重み。ベリサリウスが、同志たちとペルシア戦線から帰ってきて、皇帝となったユスティニアヌスと対面するところで閉じられる物語。どこにも表示がないけど、これは1巻、続きは乞うご期待、か。シリーズ化するとしたら、40年近いユスティニアヌスの治世のどこまでやってくれるのかなあ。
リオデジャネイロに降る雪――祭りと郷愁をめぐる断想
福嶋 伸洋 / 岩波書店 (2016-07-22)
読了日:2017年6月2日
センチメンタル。むせ返るほどの感傷。いや、郷愁なのだろう。見たことも訪れたこともないリオを懐かしく感じさせるような。ヴァンドレー「さあ行こう、待つことは知ることじゃない。知る者は何かが起きるのを待たずに、行動を起こす」/数多くの音楽家と聴衆を巻き込んだムーブメントとしてのボサノヴァは1958/7/10に始まり、1964/4/1に終わりを告げた、後には、音楽のスタイルとしてのボサノヴァが残った、と。/当時の人々が、より政治性の強い、プロテストソングを熱烈に指示したのと対比され。/有名な、黒いオルフェ、原案者はそのオリエンタリズムに納得行かなかったようだが、見てみたい。/22歳の時小さなクラブで、Tristezaを聞いて、そうだリオへ行こうと思い立った著者。/「見えない雪は見える雪よりもきれいだよ」/ジョン・キーツ「耳に聞こえる音楽は美しい、だが聞こえない音楽はそれよりも美しい」にならって/セシーリア・メイレーリス「わたしたちの現在は、未来にふれるやいなや、それを過去に帰る。生とは、絶え間なく失うことである。生は、そのため、絶え間ない郷愁(サウダーデ)である。」/リオにいた時の思いを、繰り返し味わうかのような、それを本のこちら側にいても濃厚に伝わってくるような、心地よい読書体験。
パンドラ (Feelコミックス)
ねむ ようこ / 祥伝社 (2010-08-07)
読了日:2017年6月1日
デビュー作、ブラックだなあ...はっきりと名指しはされないけれども、眠ってる間に切り取られた腐ったものとはきっと…そして気が変わって元に戻そうとした時にはすでに犬が...と。嗚呼、背筋も凍る。一度目だと思ったら二度目の人生だと知らされたり、ケーキでつながる二人だったり、俺様すぎてついていけないと思った彼の可愛いところを垣間見たり、男二人のカップルの部屋に猫のように可愛がられて滞在した女の子などなどの短編集。


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2017年06月02日

2017年05月に読んだ本

期間 : 2017年05月
読了数 : 53 冊
クロコーチ (18) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2017-03-29)
読了日:2017年5月31日
シマシマ(12) (モーニング KC)
山崎 紗也夏 / 講談社 (2010-10-22)
読了日:2017年5月30日
3-12巻まで読了。シオの選択。そうきたか、と。本当にきっかけは些細なことなんだよな、というのが身に沁みて。最後、誰がかわかりますか?との作者の問いに、こ、これは、社長なの?いつの間に?あんなに嫌っていたのに?というのが謎といかなんというか。4人それぞれの進路は、脚本家に、自分の居酒屋経営に、アートディレクターの卵に、旅行会社と。そして、シオとあの4人が揃った瞬間は本当に奇跡だったんだな、と。他のキャラではやはり菖子さんが強く印象に。バリッと仕事して怒ると強くて、けど、可愛がって、愛情を持って接してくれて、焦らなくていいと諭し、ダメにすると思えば気持ちが残っててもスパッと切って、成長を促すなんて、カッコイイ。以下、各巻あらすじまとめ。 (3巻)シオの元夫、ガイの兄の突然の来訪。それを隠そうと必死になったガイは後から悩み、連絡がつかなくなるが、意を決して、シオに告げると今度はシオが不調に。いちばんの身近な存在を気遣ってやれなかった、と悔やむランだが、駆けつけたのはガイだった (4巻)シオの窮地をすくったことで、ガイはシオへの気持ちに気づき、ちょっとずつだけれど関係が前進。ほかの三人は、やりたいこと、進みたい道を見つけつつあり…と。 (5巻)ランがぐいぐいとせまる巻。負けじとガイも、決死の思いで兄のもとへ決意を告げに。そして、迷うシオ。悩むシオ。リンダも、いつもの調子とは行かず…。(6巻)ランは回答を待ちつつ、ガイは気を入れ替えて父の仕事を学ぼうとし、リンダはのたうちまわっているのを面白い、ゆっくりでいいと受け入れてもらい。マシュは脚本がじょじょに認められ。思いの交錯する年末年始に…。(7巻)急にシオから距離を取り出すランとガイ。シオは悩み混乱し、結局はしがみつき…と。あと、この巻はユミさんがいい味出してるなあ。最後のランの涙は… (8巻)ランのド直球がシオにささり、二人の関係は大きく進むことに。ガイは何か見つけなければと迷走してるけど、動いてるだけ全然いい、と。マシュは脚本家デビューし、リンダはデザイン業界をめざし。(9巻)シオさんの仕事に大きな転機。そして、なんとシープの四人がシェアハウスすることに。どうなることやら。(10巻)シオの新しい店のオープン。行くのが一番のお祝いとなんとか駆けつける四人。ガイはまさかの…だけど。すべてがうまくまわりそうなところに、ひょんな事から、シープが記事になりそうになり…。(11巻)四人それぞれの将来に向けたエピソードが描かれ。そんななかガイはシオへの気持ちを新たにし…。
シマシマ(2) (モーニング KC)
山崎 紗也夏 / 講談社 (2008-09-22)
読了日:2017年5月28日
2巻まで読了。サロンを経営する傍ら、添い寝屋を営むことを思いつき、感じのいいイケメン4人を雇って始めたが…といったところでこちらも続きがきになる。
レンアイ漫画家(1) (モーニングコミックス)
山崎紗也夏 / 講談社 (2011-04-22)
読了日:2017年5月28日
Kindleのセールで見かけて。子供を引き取る条件に、漫画の取材の一環でレンアイして来いって、無茶苦茶な設定だなあと思いつつ、続きが気になる。
日本人嫁、英国に住んだらツッコまざるをえなかった (すくパラセレクション)
ホリー亜紀 / 竹書房 (2016-11-24)
読了日:2017年5月28日
日本生まれ、オーストラリアで出会って、結婚してスコットランドの人口4000人の小さな街へ移住。そこで受けたカルチャーショックを4コマで。オートマ車がほとんどない、電線がない、ナゲットやピザなど少ないメニューをヘビーローテーション、嫁たちは姑に食事に洗濯と頼りがち。基本、自分大好き、ゆるい考えで運営されているものが多く、…などなど違いを言い出せばキリがないけど、ツッコミつつも、気がつけば馴染んでいて、と。
アフタヌーン 2017年 07 月号 [雑誌]
講談社 (2017-05-25)
読了日:2017年5月27日
波よ聞いてくれ、は、ミナレさんの番組にスポンサーが?!と思いきや…そして久蓮木さんの去就と南波さんのモチベーションは?と。新連載の大蜘蛛さんの話は、八神くんの家庭の事情を少し思い出した。四季賞の話、ここで終わるのが良い、というのは確かに新しいかも、と。宝石の国、は、どんどんストーリー全体の核心に迫っていく。あたりのキッチン、は、どストレートな弟子入り志願がまたいい結果を生み出して、清美さんの世界も少しずつ広がって。
外道の歌(1) (ヤングキングコミックス)
渡邊ダイスケ / 少年画報社 (2016-08-08)
読了日:2017年5月27日
善悪の屑1-5読了。Amazonの検索に出てこないので、画像は第2部のものを。法が手を出さない、遺族の無念を晴らす、復讐の代行屋の話。描写はエグいものが多いが、ふと、依頼者の一人が漏らした、復讐しても何も変わらない、虚しいだけだ、ってよく言われますけど、なんだか重い荷物をおろしたようなホッとした感じがします、というのが言いたかったことなのだろうか。
エストニア紀行: 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦 (新潮文庫)
梨木 香歩 / 新潮社 (2016-05-28)
読了日:2017年5月26日
文庫化を機に再読。張り巡らされた地下通路、秘密の通路かと思って掘ったけど、違った、とつぶやく老爺。第二次大戦下でユダヤ人を救い続けたスウェーデン公使ウォーレンバーグのオペラ。マーティン・メレディスのアフリカこの50年、という本。一人森を歩く楽しさを満喫する著者。自分で本を読んで料理を学び山の中、1日1組だけ受け付けるレストランを開く青年。内陸は古代から中世の気配を濃厚に持ち、タリンが突出して都市であることを実感。野卑や下品は世界ぜんたいの豊かさを深める陰影のようなもの、と受け止め。部屋にかかる絵にお礼をいったら鈴の音が鳴り響いたという不思議体験。島の沿岸なら漁ぐらいするしパンも焼き畑も耕す、とたくましい島の女性。自給自足はできてもお金持ちにはなれない、というつぶやきの含意。ちょっと大き目の国が間にあるけど、私たちは隣同士、というおおらかな心。ヒトが生活するだけで、多くの種が絶滅に追いやられている、放射のよりはるかにシビアに。立原道造の「五月の風をゼリーにして持ってきてください」という病床の言葉。旅の別れは今生の別れとばかりに滂沱の涙を流して見送ってくれる女性。帰りの飛行機の視点が、アフリカへと渡る渡り鳥の視点とクロスオーバーするエンディング。すべてが愛おしく、エストニアという国を好きにならずにいられない。
誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく (角川文庫 緑 315-4)
寺山 修司 / KADOKAWA (1973-05)
読了日:2017年5月26日
自伝的エッセイ集。東京時代より、少年期、青年期の青森時代のエッセイの方が個人的には興味深かった。また、血は立ったまま眠っている、や、母親が産み捨てられ、産みの父に返され、そこからまた別のところへ引き取られたエピソード、部屋代を天国に送れればいいのに、などなど、他の作品でも繰り返されるモチーフは、ここから派生したのかな、と思った。「生が終わって死が始まるのではない。生が終われば死もまた終わってしまうのである。」「賭けない男たちとは魅力のない男たち」などの断章。賭博とは、自分の生とか死をどれだけ客観視できるか、という試練でもある、という警句、片手にヴァイオリン、片手にボクシンググローブを抱えて80歳で死んだ老ボクサーも印象に残るシーン。
あゝ、荒野 (角川文庫)
寺山 修司 , 鈴木 成一 / KADOKAWA (2009-02-25)
読了日:2017年5月26日
少年院から出たばかりの新次、渡りの床屋のバリカン、ひょんなことから同じジムでボクサーを目指し始めた二人と、二人の周囲の人間模様。もしも心がすべてなら愛しいお金はなんになる、という歌、赤面どもりの登場人物、などなどは、繰り返しどの作品でも語られ、寺山修司が何度でも語りたいことなんだな、と。最後はその書類で来たか、と。そうなると、バリカンの、今日は勝てそうな気がするとは単に思い過ごしだったのか、あるいは、勝負に対してではなく、新次が予想していた通りの目論見に持っていけるという予感だったのか。昭和40年代前後の世相が、色濃く反映されているのか、そういった時代を読むのも興味深かった。以下備忘録的に。/一人でも生きられる時代というのは決して来ないのだ!/憎まれることによって、一番位の低い愛を手に入れようとしているとまでは、誰もわかってやろうとはしないのであった。/墓場は一番安上がりの墓場である。/許さないけれど、忘れている。/自分は一人で死ぬのなんて嫌なんです。死ぬなら、誰かのせいで死にたい。/世の中には偶然のない人生もある/ジャズと自由は手をつないでゆく/
脳が壊れた (新潮新書)
鈴木 大介 / 新潮社 (2016-06-16)
読了日:2017年5月23日
高野秀行さんのTwitterつながりで手に取る。最近、脳梗塞になられた日垣隆さんのメルマガと合わせて読むと、より理解が深まる。外からはわかりづらい高次脳機能障害のケーススタディとして、こんな風になることがあるんだ、と。性格が変わった、とか言われて片付けられてしまうことも、脳の障害に起因すると知るだけで全然違うと思った。そして、今までの取材対象者の気持ちを本当の意味で体感することができた、と著者がプラスに捉えてるところがすごいな、と。背負いこみすぎる自らの性格で突っ走った結果がこれなら、ゆっくりとでも変えていかないと、と。奥様とのライフストーリーも語られ、個性的だけど、ぶつかりつつも、今はしっかり寄り添っている様が印象に。
輝ける闇 (新潮文庫)
開高 健 / 新潮社 (1982-10-27)
読了日:2017年5月22日
同じ著者のノンフィクション「ベトナム戦記」をフィクションに煮溶かしたらこうなるのか、という感想。熱帯の湿気と暑さと、揺り動かされる精神の作用が混ぜ合わされてこれでもかと迫ってくる。「愛は所有だと人はいう。しかし、それすら人は他者のうちの自分で変えられ、影響を及ぼせられる部分を所有するだけだ。自身の影を人は所有する。所有したと錯覚する」(p.250)「徹底的に正真正銘のものに向けて私は体をたてたい。私は自身に形をあたえたい。私はたたかわない。殺さない。助けない。耕さない。運ばない。煽動しない。策略を立てない。誰の味方もしない。ただ見るだけだ。」(p.251)
ベトナム戦記 (朝日文庫)
開高 健 / 朝日新聞社 (1990-10)
読了日:2017年5月21日
何年前に買ったかはわからないけれど、少なくとも7年以上は、いつか読むから、と手元に置いておいた一冊。再び手に取るきっかけは、角幡唯介「旅人の表現術」。最終章の200人の部隊が17人しか生きのこらなかった激戦の描写は、思ったより淡々としているように感じた。もっとも秋元キャパと取り合ったという、もう死ぬかもしれない、という一枚が雄弁に語っているのかもしれないが。ベトナムの人に関する所感では、現政府や外国勢力など、石にかじりついてでも粘り強く戦って倒すという意志は見られるが、打ち倒した後にどうしたい、という意識は驚くほど希薄、といったところか。50年後の現在でもそうかはわからないが。また、アメリカ軍と南ベトナム政府が農村を破壊するから、皆、北ベトナムの方へ行ってしまう、というのは何をかいわんや。
アレクサンドロス大王―今に生き続ける「偉大なる王」 (世界史リブレット人)
澤田 典子 / 山川出版社 (2013-05)
読了日:2017年5月21日
アレクサンドロスの治績、アレクサンドロス以前のマケドニア王国、後継者戦争、後世のアレクサンドロス像が簡潔にまとめられている。アレクサンドロスを「世界征服者」の象徴として崇拝し、模倣するローマの皇帝たちの行動を「アレクサンドロス模倣」ということ。フィリッポス2世時代は、最近の研究では、王の妻たちの間に正室・側室の区別はなく、長子相続性は確立しておらず、王位継承はその時々の状況に左右される流動的なものだったこと。近習たちを始め、多くのマケドニア出身者が、東方協調路線に不満を鬱積させていたこと。父フィリッポスの「亡霊」が、東方遠征へアレクサンドロスを駆り立てた大きな一因であること。キリスト教やイスラム教が、聖人としてアレクサンドロスを取り込み、プラスイメージを増大させていったこと。近代歴史学では、まず「世界帝国を打ち立てた軍事的天才」「優れたギリシア文明を東方に広げた東西民族の融合を図った卓越した英雄」という壮大なイメージが打ち立てられ、近年は、ミニマリズム(最小限評価主義)といった手法で当時の政策が壮大な理念ではなく、その場その場の状況に応じた合理的な政策であったことがミクロに論証されてきている、といったあたりが興味を引いた。ギリシアとマケドニア間の国号問題、どちらがアレクサンドロスを国家の象徴とするかの綱引き、1950年代、2000年代のアレクサンドロスを題材としてハリウッド映画など、現代の世界にも影響を及ぼす存在であることも語られて締めくくられる。どうしてそのように語られたのか、そうなるにいたった各時代の背景についても触れられ、より理解を深めてくれる。
本日のバーガー 5 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2017-05-16)
読了日:2017年5月20日
わたしは朝令暮改の男だ、昨日の自分が完璧でなければ変えればいい、それが結果的にお客様のためになるなら、という社長さんの姿が印象に。いや、まあ、部下はすごく大変だと思うけどすごく。あとは、スタジオミュージシャンとして、アイドルのデビューに関わることになったサックス奏者の葛藤、自分のやりたいことをやらせてもらえないアイドルの苦悩、本人が気づいていない道を指し示したいマネージャー、店主をめぐる後輩と店員と同業者のさや当て、頼りない焼き鳥やの二代目をアメリカ人の彼女の父に立ち向かえるまでに鍛えた話、バレンタインに告白するのにハンバーガーを…という高校生の相談に乗ったら、タマネギにハンバーガーの薬味としての広大な可能性を感じるアメリカ人との出会いなど。上からデミグラスソースたっぷりかけてタマネギをふんだんにかけたバーガー、美味しそう!!
ピアノのムシ 10 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2017-05-16)
読了日:2017年5月20日
ドイツからの帰還、電気ピアノ、電子ピアノとの邂逅、結婚披露宴での一発勝負の低音弦の断線処理、寄贈されたエメリッヒピアノをめぐる物語、そして、デートコースを一任された蛭田の選択。わたしの好きは自分で決める、の啖呵がすがすがしく。深く理解した上で、意外に思うボールを投げてくるところは流石と思いつつ。
傘寿まり子(3) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2017-05-12)
読了日:2017年5月20日
取材旅行であった事故。ひきはなされるふたり。身元引受人になってくれた孫嫁。最後に一言伝えたくて、屋敷を訪ね、必ずふたたび小説を書いて、この人に読んでもらうことで繋がろう、と思い極め。またネットカフェに舞い戻り、オンラインゲームを教えてもらい、またあらたななかまを見つける。東京の街に乗り出した二人の目にうつるものは…と。
フィリピンパブ嬢の社会学 (新潮新書)
中島 弘象 / 新潮社 (2017-02-16)
読了日:2017年5月20日
研究対象を恋愛対象にしてしまいました…の帯が強烈。ただ、前代未聞ではあるけど、抱腹絶倒とは行かなかった。はまって貢いでお金をいっぱい取られちゃって…みたいなステレオタイプを想像した向きには、きっと期待はずれ。最初は研究対象だったのに、好きになってしまい、ハマってしまい、就職がうまく行かず、結局は養ってもらうような形になり、お店に乗り込んで雇い主の怖い人と対決することになったり、彼女のフィリピンの実家に行って、果てしのない無心に直面し、物心共に憔悴しても、これがフィリピンの家族観、考えかたが違うだけ、と受け入れようとしたり、底抜けにポジティブな考え方に、良い影響を受けたり、と。ビザのためなら他の男と結婚してた、あなた今収入ないから私今頑張ってる、てミカさんにグッときた。
生贄投票(3) (ヤンマガKCスペシャル)
江戸川 エドガワ , 葛西 竜哉 / 講談社 (2017-03-17)
読了日:2017年5月19日
三巻まで読了。原作と比べて、大元の設定は残ってるけど、細かいところはガラッと変えてきてる印象。そんなにそんなに社会的死を高校生がひとクラス分かかえてるものか、とも思うが、なければ作りだせ、とまでいくと…。そして、原作にあったオカルトな面がまだでてきてないけど、これからどう展開していくのか。
月影ベイベ 9 (フラワーコミックスアルファ)
小玉 ユキ / 小学館 (2017-05-10)
読了日:2017年5月19日
完結。おわらもクライマックスを迎え、円ははっきりと亡き思い人の姿を目にし、光と螢子は急速に距離が縮まり、そして、と。
東京タラレバ娘(8) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2017-04-13)
読了日:2017年5月19日
おだやかな幸せを捨てて、激しい奔流へと真っ逆さまな一巻。お前こそタラレバ男だ、の啖呵と、携帯なんか捨てちまえ、という口火。意地悪を言ってたのではなくて、本当に腹を立てていたのだ、という悟り。回想のながさもお腹いっぱいだったけど、巻末のタラレBarもボリューム満点、お腹いっぱい楽しめた。
信長のシェフ 18 (芳文社コミックス)
梶川卓郎 / 芳文社 (2017-04-14)
読了日:2017年5月19日
天王寺砦をめぐる戦いも決着。大きな役割を果たしたのは、フカヒレとポップコーン、という見立て。ケンがいない間の、信長が、なんだこれは、味噌と塩の味しかしないではないか!と怒ってるシーンがあって可笑しかった。きっと大半の現代人より舌が肥えてしまったのね、と。
ミツコの詩 1 (ビッグコミックス)
榎屋 克優 / 小学館 (2017-04-28)
読了日:2017年5月18日
熱い、とにかく熱い。読まれなければ詩ではない、と校舎に、校庭に、砂浜に、教室の黒板に、とめてある車に、詩を書き殴っていく転校生。かつて詩集を出版したことがあったけど、それで食えるはずもなく、くすぶって国語教師をしている吹抜。どうしてそれほど、紙に書かれた以外の詩を毛嫌いするのか、傍目には伝わってこない感もあるけど、詩のボクシングへ巻き込まれる形で参加し、挫折を味わい、心地よい居場所だった詩の同人即売会でも打ち砕かれ。転校生は、過去の吹抜を知っていて、その詩にこのまま留まっていてはいけないと叱咤するために次々とと追い込んでいってるようにも見えるが。
宋の太祖 趙匡胤 (講談社文庫)
小前 亮 / 講談社 (2009-07-15)
読了日:2017年5月18日
まっすぐな親分肌の俠客のような造形の趙匡胤。劉智温の政権が短命に終わり、郭威、柴栄の後周政権で戦に強い武将として頭角を表し、最後は、禅定によって、宋を打ち立てるまでを描く。ちらりと姿を見せた、政治の役割は弱者を助けること、君主が死に王朝が滅んでも、天地はそこにあり、人は生き続ける、主君ではなく民のために政治を行う、という馮道の造形に心惹かれる。五朝八姓十一君に仕えた宰相についてはもう少し知りたく思った。そして、柴栄の「時代を変えるのは、予の果断さであって、宰相の慎重さではない」と言う力強さ。「今回の敗戦の責は、すべて予にある」と認める潔さ、王たるものなかなか自らの過ちを認めない中で、印象に残る。
総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)
原田マハ / 実業之日本社 (2016-12-03)
読了日:2017年5月17日
日本初の最年少女性総理大臣(相馬凛子)と日本初の総理の夫(相馬日和)の物語。夫の目から見た形式で語られ。財閥の御曹司な次男で、鳥の研究は一流だけど、天然で気弱。けれど、妻には、世界中が全部敵に回っても、最後まで味方でいてくれる、と全幅の信頼を寄せられ、夫も、最後に総理を守るのは自分だ、と思いきわめた、信頼に結ばれた関係。相馬総理の造形も秀逸。本当の意味での国民ファースト、既得権益をバッサバッサと切り捨て、声を枯らして、国民の皆さんを守ります!と叫び、実際に力弱きものから救おうとする姿勢。まっすぐで凛々しくて、美しい。そして政財界に太いパイプを持つ日和の母が、最初は批判的だったのに、いつしか強力なバックアップをしてくれて、その造形が強く印象に。そんなにうまくいくかな…などと思わず、エンターテイメントなんだから、楽しめばいいと思いつつ、反面、真摯な描写にはぐっと引き込まれた。
七帝柔道記 (角川文庫)
増田 俊也 / KADOKAWA (2017-02-25)
読了日:2017年5月15日
柔道をやりに北大にきた。授業などほぼ全く出ずに、二浪してやってきた主人公。癖があったり魅力的だったり尊敬できなかったりかっこよかったり、様々な先輩、同期たちに囲まれ、過ごしていく柔道部生活。己の生活のほぼすべてを投じて、七つの帝大でしか行われていない、将来それで食えることは絶対ない、寝技中心の「七帝柔道」に打ち込む男たち。練習量がすべてを決する柔道、と言うが、結果が出なければ、ひたすらただひたすらに過酷になっていく練習。当人たちだって時に、何のため?と思うぐらいなのだから、はたから見たら99%の人が何のために?と思ってしまう。そしてそれだけやっても、勝てるとは限らないのだ。主人公が大学二年生になるまでが描かれるが、当たり前のカタルシスなんて与えてくれない。これだけ苦しい思いをしても苦い思いを抱くのなら…それでも何がしかを得て、皆去っていくようなのだが。続編は、四年生になるまでが描かれるのだろうか。以下備忘録的に。/人間はのう、自分のために頑張れんことでも人のためなら頑張れるんで/俺たちも北大柔道部を愛した。だからおまえたちにもこの柔道部を愛してほしいんだ/腕力、強さと言うたった一つの物差しだけがものを言う世界/たまたま与えられた環境や、天から貰った才能なんて誇るものでもなんでもない。大切なのは、いま目の前にあることに真摯に向き合うことなのだ。自分がいま持っているもので真摯に向き合うことなのだ。/私は、北大だけが苦しんでいると思っていた。北大だけが頑張っていると思っていた。北大だけにドラマがあると思っていた。しかし、他の六大学にも同じようにドラマがあるのだ。他の大学も努力を重ね、七帝戦に臨んでいるのだ。/個人的には、同じキャンパスで過ごし、一年だけだし、柔道部ではないけれど、体育会の部活に所属していた身には懐かしく感じられる記載もあり、楽しめた。
とんかつDJアゲ太郎 10 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2017-05-02)
読了日:2017年5月14日
昼はとんかつ屋、夜はDJとなる間も無く走り抜ける揚げ太郎。オファーへの回答も決め、大きな仕事も次々舞い込むなか、一番の思い人からの仕事のオファー。こうみえてわたしスタイリストだからね、おれこう見えてとんかつ屋だぜ、と振る舞ったところがピークに。無事仕事を終えて二人になれて思いを告げ…。走り走り走り続けてたどり着いたのはやはりクラブ。やっぱりクラブが好きだなあ、というところで終わってもいいようなもう一巻ありそうな。
とんかつDJアゲ太郎 9 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-12-31)
読了日:2017年5月14日
二十年ぶりの叔父の帰還。大きなロックフェスへの出展。二足のわらじのライバルの一本化。そして、考えられないような大きなオファー。父が倒れる。てんこ盛りなできごとのなか、さあ、どうするというところまで。
僕は髪の毛が少ない
新井キヒロ / メディアファクトリー (2012-10-19)
読了日:2017年5月14日
ハゲてる偉人たちの紹介から、髪が薄くなるのを受けいれられず、迷走し、性格も暗くなり仕事も転々とした果てに、スキンヘッドにし、仕事にも女の子にも積極的になり、人生楽しい!どうです?あなたもハゲて見たくなったでしょう、という流れには力強さとユーモアを感じ。
蜃気楼の王国
高井 忍 / 光文社 (2014-02-19)
読了日:2017年5月14日
歴史上の人物が琉球王国を舞台に、名推理を繰り広げる!短編集。/西表での為朝の墓探しをめぐる東郷平八郎と秋山真之。琉球処分とは国防のため、清朝の属国を日本の南には置いておけない、と。日本が乗りかけたグラント提案は、宮古・八重山までは清朝に譲っても良い、というものだった、というトピックをあげつつ。/義経が大陸に渡り、末裔が清朝を開いた、という説が、義経=ジンギスカン説に取って代わられた過程をおいつつ、シーボルト、間宮林蔵、若き日の遠山の金さんのダイアローグ。間宮林蔵が義経の遺跡を偽造したのでは、その背景は、というところまで語りつつ/滝沢馬琴と若き日の遠山の金さんの対話、また為朝琉球王説が取り上げられ。王朝の始祖を為朝と主張することで、その王統すら3代で途絶えたのだから、薩摩の支配さえ永続するものではない、という含意があったこと。宗主国があてにならないとおもいきわめたことから、万国津梁の鐘の碑文、日本とも明とも等しく付き合い、両国の架け橋になろう、という心意気になったこと。/最後は、琉球で布教に努めるベッテルハイムとペリー提督。通詞の板良敷朝忠もちらりと登場。水兵殺害事件を巡る対話と、面従腹背の琉球の姿勢。終わってみれば、ありもしない官職のものと条約を結ばされていたと苦く語るペリーが印象的。
西荻窪ランスルー 2 (ゼノンコミックス)
ゆき林檎 / 徳間書店 (2016-12-20)
読了日:2017年5月12日
天才監督の加入、同僚の漫画家デビュー、とさまざまに刺激を受けつつ、激務をこなしつつの咲。いろいろな人を見送りすぎて学校の先生みたいな心持ちになってしまった松本さん。いいはなしがきて辞めるなら快く送り出そう、そうでなければ話を聞こう、って。咲の素直さとまっすぐさが伝わってきて、この先も目が離せず。
明治の建築家 伊東忠太 オスマン帝国をゆく
ジラルデッリ青木美由紀 / ウェッジ (2015-12-24)
読了日:2017年5月10日
東大教授就任前に、当時は慣例として留学が義務付けられていたが、西欧が必須のところをあつく説き伏せて東洋をメインにすることに。中国、インドからトルコへ。オスマン帝国好きとしては、当時のオスマン帝国内で何を見て、どう感じ、何を見なかった、といったところに興味。総じて、モスクなどにはあまり評価を与えず、シナンの最高傑作セリミエを見てないのは残念、というのは同感か。ただ、当時の情報の行き渡り方から致し方ない面もあったのでは、と。以下備忘録として。忠太のイスタンブル建築探訪には西欧の学問傾向のバイアスがかかっていた。オスマン帝国内の各県の知事にあてた国内旅行許可の文書は同時に忠太の行動を監視し、問題があれば報告するように告げる。日英同盟と日露戦争下のイスタンブル、国費留学中の伊藤博士に大英帝国の保護は当然のように与えられる。イスラム建築の追求が、ギリシアのエンタシスの東への伝播という発想から解放され、別次元に突入した、と。築地本願寺は忠太の代表作、ランドマークとなった。
さかさま世界史 英雄伝 (角川文庫)
寺山 修司 / 角川書店 (2005-03)
読了日:2017年5月8日
イソップの寓話は奴隷のユーモアであり、「長いものには巻かれよ、他人の愚かさを利用せよ」といった卑屈なものと喝破。/シャイロックがユダヤ人の守銭奴と言うだけでなじられる、非合理の世界を当たり前のように描くシェイクスピア。貸した金の代償に一塊の人肉を抵当にしたことは、「心もまた、肉の一部である」と言う寓意をはらんでいるように見える、という指摘。また、イスラエルの知人がシェイクスピアを嫌悪しているというエピソードも。/旧約聖書が書かれたから数千年、ダンテが神曲を書いてから600年がたっているのに、地獄の尺度が一度も修正されないのは片手落ち、と。/トロツキーが、独裁者たちの血なまぐさい抑圧に「おまえはただの現在にすぎない」と言ったというエピソード。/繰り返し記される、マヤコフスキーの詩、「もしも心がすべてなら いとしいお金は 何になる?」。毛皮のマリーズなどでも頻繁に引用され、よほど気に入っているのだな、と/また、漫画サンデー増刊「劇画・毛沢東伝」は読んでみたく思った。
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 (ヤングアニマルコミックス)
武田一義 , 平塚柾緒(太平洋戦争研究会) / 白泉社 (2017-01-27)
読了日:2017年5月8日
フィリピンの東、パラオの南に位置する小島ペリリュー。漫画家として身を立てたいと思っていた田丸。体力もなく気も強くないが、日本へ帰れることを夢見てる。しかし圧倒的な米軍勢力が押し寄せる激戦地。戦闘の前に事故で亡くなる戦友、戦死していく同僚、戦傷に苦しむ者たち、漫画家の力量を見込まれての任務、水や食料の確保の苦闘。どうにもならない状況を淡々と描きつつ。
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)
武田一義 , 平塚柾緒(太平洋戦争研究会) / 白泉社 (2016-07-29)
読了日:2017年5月8日
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
村上 春樹 / 新潮社 (2017-02-24)
読了日:2017年5月8日
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
村上 春樹 / 新潮社 (2017-02-24)
読了日:2017年5月8日
著者にとって、目に見えないもの、幻視、幻聴で片付けられてしまいそうなものを大事にすること、無意識の世界、夢の世界の働きかけによって、現実世界へ影響を及ぼすこと、それをただ信じること、といったことは、これまでも、これからも語りたい、語られるべきテーマなんだろうな、といった読後感。それにしても、まだるっこしい、と感じるのは間違いで、正確に語ろうとする語りに丁寧に耳を傾けるのが正しい姿勢なのか。/「ねじまき鳥クロニクル」にも通じる、井戸と無意識の作用、夢の中でなされたことの現実への反映、大変な労力をかけて湖の対岸の屋敷を手に入れて、隣人の協力を得て、失われたものを手に取りたい人物造形は「グレート・ギャツビー」の構図を思い起こさせ、肖像画が現実と作用しあうところは「ドリアン・グレイの肖像」を思い起こす、というぐらいは、もう誰かが書いていそうだけど。/そして、免色さんは作中でも語られている通り、興味深い人物。汲めども尽きせぬ、語られた以上に、どのようにして生きてきて、どう生きていくのか。また、肖像画がもし完成されたとしたら、そこに何が見出され、何が引きずり出されていたのか。
東京ガールズブラボー (下)
岡崎 京子 / JICC出版局 (1993-01)
読了日:2017年5月8日
女子をこじらせて、つながり
フルーツ宅配便 1 (ビッグコミックス)
鈴木 良雄 / 小学館 (2016-07-29)
読了日:2017年5月8日
ホリエモンメルマガ2016/08/22で見かけて。田舎に戻った青年がラーメン屋でばったり出くわした昔の知人の紹介で、畑違いのデリヘル店長になったことから始まる悲喜こもごも。
空電ノイズの姫君  (1) (バーズコミックス)
冬目 景 / 幻冬舎コミックス (2017-04-24)
読了日:2017年5月6日
ボーカルの事故で解散したバンドからギタリストとして参加を養成される主人公。誰とも友達にならなかったのに、唯一、話が合って仲良くなれそうな美しい転校生。音楽の趣味も、歌が好きな点も、これは転校生もバンドに加入という流れでは、、、と思いつつ、この巻は熱意に負けてバンド加入したところまで。
グ印関西めぐり(濃口)
グレゴリ青山 / メディアファクトリー (2007-10-03)
読了日:2017年5月6日
ディープな関西を知ることができて面白かった。著者の和歌山の山間部に四年住んだ話も興味深く。
CREWでございます! スチュワーデスお仕事日記(1)(書籍扱いコミックス)
御前 モカ / 秋田書店 (2016-06-16)
読了日:2017年5月6日
Twitterで流れて来た無料で読めるパートを読んでるうちに、ぜんぶ読みたくなり。笑顔の裏にも、いろいろたいへんそうなことを抱えているのはわかったが、一番は、帯にもあったけど、急に休んだ人の代わりに、今から30分後に家を出なければならなくて、いく先がアルゼンチン7日間…かな。
蜜蜂と遠雷
恩田 陸 / 幻冬舎 (2016-09-23)
読了日:2017年5月6日
日本で行われる架空の国際的ピアノコンクールを舞台に、コンテスタントやその家族友人、運営側までを視野に入れた群像劇。文学界とクラシック音楽界の対比、演奏者の個性より作曲家の本来言いたかったことに寄り添おうとする作曲家主義、芸術を採点できるのかというジレンマ、インターネットの発達による音源・情報の入手が容易になったことでの世界的レベルの底上げなど、現今のクラシック音楽界が語られつつ、「天才」が渇望される空気も描き。弟子を取らないことで有名な亡き巨匠の最後の弟子という触れ込みの天真爛漫な天才児。音楽エリートの常道を戦略的な意志を持って駆け上ってきた王子。天才少女として一度デビューし実績もあったのに、突如姿を消し、再び表舞台に戻ってきた元天才少女。そして、一度は生活のためと諦めたプロの道に、生活者の音楽があってもいいのではないかと飛び込んできた年長者。4人を軸に描かれる、疾走感溢れるストーリー。もちろん文章から音楽が聞こえてくるわけじゃないけど、素晴らしい演奏の文章での描き方は秀逸。曲については、読みながらもyoutubeでかけながら浸り。続きが気になってページをめくる手は止められない。そして、最後に順位はついたけれど、それさえもどちらでもいいような読後感。コンテスタントたちのこれからに明るい希望の道が開けていることを感じさせるフィナーレ。音楽を世界に連れ出そうとする者、新曲も発表し続け、それが後世にも残るような現代のコンサート・ピアニストを目指す者。音楽以外の道を経験してそれを音楽に還元しようとする者。様々に。
であいもん (2) (角川コミックス・エース)
浅野りん / KADOKAWA (2017-05-02)
読了日:2017年5月5日
空回りも多いけど根は善良な和に、一果との距離も徐々に縮まり。一果は一果で、和の元カノと今、和に片思いしてる女子の板挟みにあったり。運動会でも店をあげてのバックアップにほろりときたり。最後は実の母登場で次巻どうなる、で幕を閉じ。
西荻窪ランスルー 1 (ゼノンコミックス)
ゆき林檎 / 徳間書店 (2016-06-20)
読了日:2017年5月4日
AO入試で受かった大学を蹴って、群馬から西荻窪の会社に入りアニメーターになった咲。とうせみんな持たないと拗ねる社長、やさしくも穏やかに教えてくれる先輩の日向野。やる気のあふれる同期。そして、厳しいけど熱量を持って仕事したい三津監督。様々に刺激を受けつつ、まだ未熟だけどガムシャラに仕事していく姿が清々しく。ただタイトルにある西荻窪があまりでてこないのが個人的には残念。
波飛沫せし家政婦さん (ジュールコミックス)
小池田 マヤ / 双葉社 (2017-04-17)
読了日:2017年5月4日
片付けられない大学生の所に乗り込んでいく里さん。片付けられないやつは人間のクズだ的な一言にぐうの音もでない大学生…なんだか自分に言われたように突き刺さる。そして、別荘地のお嬢様と純朴な青年の一夏の恋が、大人になったら…という場に居合わせた里さん。その力強い背中のおしっぷりに惚れ惚れ。
大砲とスタンプ(3) (モーニング KC)
速水 螺旋人 / 講談社 (2013-12-20)
読了日:2017年5月4日
甘いようで甘くない。軍の兵站を支える、時に紙の兵隊と蔑まれることもある、兵站軍の中尉が主人公。陸軍、空軍と敵兵站地の奪取で競争したり、モルヒネ横流しの調査で、身内のはずの勢力に裏切られていたり、やけに闇勢力に詳しい同僚の前歴が描かれたり、故郷で売られた喧嘩を買うことになったり。なんだか架空のロシア風世界を舞台にしつつ、日本の月給取り界にもありそうなことがちらほらと。
小泉今日子の半径100m (宝島社文庫)
小泉 今日子 / 宝島社 (2007-04)
読了日:2017年5月4日
だいたい10年ちょっと前ぐらいの日常。気さくに語りかけてくるような文体にするすると読めてしまう。自分が思っているよりもずっと…。の自分に出会うことはさ、経験や世界を広げたりするもんね。だからあれだね、あんまり決めつけなくていいのかもしれないね。自分ってこういう人だ!自分はこうでなきゃならない!って決めつけない、て一節が印象に残る。
ヴェニスの商人 (新潮文庫)
シェイクスピア / 新潮社 (1967-11-01)
読了日:2017年5月3日
シェイクスピアを題材に採った「ビブリア古書堂の事件手帖」の完結巻に触発され、また、寺山修司の「さかさま世界史 英雄伝」のシェイクスピアの項を見て、手に取った一冊。主筋のアントニオがシャイロックへの借財を返せず、裁判になるストーリーは記憶にあったが、その他にも、同時並行のストーリーがあって、素人目にはなんだかなくてもいいように思った。どうして最後にわざわざ騙してまで指輪を取り上げて、誠意の照明をさせなければならなかったのか。そして、一番の違和感は、あれだけやり手でヴェニスで商売していたシャイロックが、ヴェニス人を傷つけようとした者が罰せられる法律を知らなかったのって、不自然じゃないか?と思ったところ。まあ、寺山作品で説かれたシェイクスピアのユダヤ人への姿勢は、読み取れたし、時代背景からは致し方なしなのかもしれないが、シャイロックにも一理ある、と思わされるところ多々あり。
ロッシとニコロのおかしな旅 1 (ビッグコミックス)
深巳 琳子 / 小学館 (2017-04-28)
読了日:2017年5月3日
15世紀なかば、フランスを舞台に、旅する医師とその弟子の珍道中。好奇心で時間に首を突っ込んで、お役に立ったり、ひどい目にあったり。活版印刷、稀覯本を扱った章が個人的には興味深く。
会津執権の栄誉
佐藤 巖太郎 / 文藝春秋 (2017-04-21)
読了日:2017年5月3日
若き譜代家臣富田隆実、会津執権とも呼ばれた金上盛備、その家臣白河芳正、以前橋の普請に駆り出され今は兵士に志願した小源太、家中の刃傷沙汰を裁くため、生き証人を匿った津崎。それぞれの目から見た、滅びる直前の芦名家。当主の死去が相次ぎ、佐竹氏から養子をもらうが、芦名一族や譜代の反発、伊達氏から養子をもらおうとした勢力の不満で、家中は分裂し、猪苗代盛国の裏切りを嚆矢に、滅亡の坂を転げ落ちていく。疑心暗鬼となる家中、己の判断が正しかったのか自問し続ける金上、重苦しい空気の立ち込める中、描かれる緊迫したやりとりに惹かれる。最後の章に敵役とも言える、伊達政宗の、芦名滅亡後の去就が描かれるのも愁眉。誰にも命じられたことのなかった傲慢な若者が、関白を前にして、圧倒的な存在に従うことに歓喜を見出してしまったこと、家臣のために粛々と父祖の地を棄て、転封に応じる家康に感銘を受け、国を富ませようと帰路につくところまでが描かれ。秀吉の命を違えなかったものが滅ぼされ、違えたものが生き残り、結局は役に立つものが残されたという冷酷な事実だけが残る。
海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)
吉田 秋生 / 小学館 (2017-04-10)
読了日:2017年5月2日
好きだったものを普通に好きだと言ってもらえるようになりたいの、というチカ。孤立と孤独は別ものだ。あの人は孤独を好んではいるけれど、孤立しているわけじゃないからね、と福田さんを語る坂下課長。すずに嘘をつく重荷を背負わせ、浜田さんの登山家としての誇りを傷つけるところだった、と諭す幸ねえ。人付き合いでもなんでもしっくりくるものはきっとご縁があったから そうでないものは気に入らないと思わず ご縁がなかったと思いなさいって、と語る佳乃。この巻で印象に残ったシーン。
海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス)
吉田 秋生 / 小学館 (2016-01-08)
読了日:2017年5月2日
お前がどこで暮らしたって、お姉ちゃん達がお前のお姉ちゃんなのは変わらないってそう思えるからじゃないのか、と自分の寂しさは押し殺してすずの背中を押す風太の男前。/話聞いてくれる相手がいつまでもおると思とんのか。そんな相手が明日もまたおんなしように笑てくれる保証がどこにあんねん、とこちらは坂下課長を叱りつける福田さん、きっとこの一言がようやう佳乃へ思いを告げる一押しになったのでは、と。/人は最後まで自分の足で歩きたいし、歩いてトイレに行って、口からものを食べたいの、という幸ねえ。/でもそのことと死ぬことはきっと別なの(略) 生きることの先に死があるんじゃなくて死はいつも影みたいにそばにいるんだって もちろんそんなこといつも意識して生きてはいけないわ 病気になったり心が弱くなったりした時に それは突然顔を出すの。その人はつい見てしまったのよ。その人は覚悟して出て行ったのかもしれない。でも家を出るときはいつもの散歩のつもりだったのかもしれないわ。それは誰にもわからない。答えはないのよ。という佳乃の坂下課長への語りかけるシーンが一番心に残った。


2017年05月01日

2017年04月に読んだ本

期間 : 2017年04月
読了数 : 45 冊
日本海ものがたり――世界地図からの旅
中野 美代子 / 岩波書店 (2015-04-23)
読了日:2017年4月30日
日本海をめぐって、西遊記から始まって、大黒屋光太夫、ラ・ペルーズと話は飛んで、最後は、中国での日本海の捉えられ方までぐるっと及ぶスケール。話は思いつくまま気の向くままなのはいつもの中野美代子節を堪能できる。久生十蘭「海豹島」はあらすじの紹介だけでも興味をそそられる。18世紀のヨーロッパの地図では、日本海、朝鮮海が混在し始め。欧米では宗谷海峡がラペルーズ海峡と記され。オクトプス・マップ、トラブル海での釣りなどの図像で、19世紀ロシアが極東からヨーロッパにまで触手を伸ばす様を描き、それをプーチンと重ね合わせるところは、歴史は繰り返すというべきか。そして、西太平洋はすべて中国のものだ!とい大前提を立てれば、日本海も東海も南海も、それぞれ固有の歴史や現状もろとも吹っ飛ばせるだろう、という見方も示し。一つの海をめぐって、時代により国により、捉え方見方は様々な事を改めて教えてくれる。言われてみると確かに、地図をじーっと見てると、日本海とはいうが、もっと俯瞰で見ると、太平洋と言えなくもない、という気になってくる。
城をひとつ
伊東 潤 / 新潮社 (2017-03-30)
読了日:2017年4月30日
紀伊の国人から後北条氏に仕えた大藤信基を祖とする、大藤家五代を主人公に据えて描く連作短編集。失われたとされる孟徳新書を頭の中に収めたと嘯き、知略を持って、敵の心を手玉にとり、大きな成果を収めていく。太田氏から江戸城を奪うのに大きな役割を果たし、小弓公方を決戦場に引き出し、古河公方を河越の戦いに引き出し、上杉謙信を臼井城に釘付けにし、小田原城を攻められた際も、福島正則と織田信雄相手にひと泡ふかせる。人を騙すのが稼業なのに、逆に騙されて最期を迎えた景長の例もあったが、大藤氏から見た戦国史、連作短編集。/己を恃む者は、一度道を誤れば国を滅ぼすが、衆を恃む者は、一人が誤っても国が滅びない、という旨の氏綱の言葉。私利と暴政、征服欲にかられた大名と一線を画し、民を愛して、国を治めることを掲げるが、大きな権力の前には無力だった。土から生まれて土に還るだけとは、三代秀信のことば。諜報活動を稼業とするということは、大半は史料には残らず、そこが想像力のふるいどころ。リスクをもって飛び込み、敵方の心を捉える様は鮮やか。
『グレート・ギャツビー』の世界 ダークブルーの夢
宮脇俊文 / 青土社 (2013-05-23)
読了日:2017年4月30日
中西部と東部の違い、いくら自らの手でお金を稼いでも超えられない身分の壁、と言った事をはじめとして、グレート・ギャッツビーの世界の背景を情熱的に語ってくれる一冊。「北部ミネソタの美の結晶を彼女に見せたかったのだ。そして、その美しさを共有したかったのだ。」(氷の宮殿、について)/「所詮この世に永遠のものなど存在しない。それならばいっそのこと、短くとも、最も美しく輝いているものを求めよう。」「いつかは目の前から消えてしまうことを知っていたからこそ、一瞬でもいいからその手の中につかみ取りたかったのだ。やがてはダークブルーの闇の中に消えてゆく美を、その手のひらに載せて鑑賞したかったのだろう。」(p.23)/「やがては消えていくとわかっているからこそ。消えゆく美、それを留めることができる場所はひとつだけだ。それは記憶。一旦そこに収まった美は永遠だ」(p.25)/これらのシャツのすべてにギャツビーの忍耐の日々が詰まっているかのようだ。それは絢爛豪華なようでいて、実は彼の苦悩の象徴なのだ。そう思うとなんとも悲しいシャツの山に見えてくる。それらの色が鮮やかなだけにより切ない。 」(p.77)/ニックが結局はギャツビーの遺志を引き継いだこと、終わりのない夢、手の届く少し先にある、走り続けなければ見れない夢、アメリカの夢とギャツビーの関わりについても語られる。読む前から思っていたけど、やはり、グレート・ギャツビーを読み返したくなった。
町田くんの世界 5 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2017-04-25)
読了日:2017年4月29日
中学の同窓会だったり、近所の魔女とうわさされてる最近引っ越してきた女性だったり、誕生日をめぐる狂想曲だったり、転校しちゃう同級生に片想いしている子の背中を後押しすることだったり。今回も町田くんの魅力が存分に発揮されているように感じる一巻。人生の深いところまで悟ったような人生観と真っ直ぐすぎたりうっかりすぎて人の気持ちがわからないところのバランスがなんとも言えない。/生まれたばかりの弟を見たとき思ったんだけど、そうか、人は、生まれてくるだけでいいんだなって 生まれてくるだけでもう充分なんだって 価値のない人なんていないよ それでゆっくりでも成長できたらいいなって思うんだ/価値や本質は見かけだけで判断してはだめなんです/僕は悪い人間なんていないと思っています 悪いことをすることがあっても 行い自体は悪くても それには理由があって それなら理由を 言い訳を聞かせてほしいって思います/と言うようなところ。猪原さんの「想いってあふれちゃうでしょ 心の中だけに入れとけないよ」は町田くんにも向けられてるのに、他にもそう思わせるエピソードたくさんなのに、そこはゆっくりと町田くんの中で消化されていくのだろうか。
あたりのキッチン!(1) (アフタヌーンKC)
白乃 雪 / 講談社 (2017-04-21)
読了日:2017年4月29日
人と交わるのが苦手で友達ゼロ、人の目を見て話すこともできない清美さんだけど、料理で気持ちを伝えることができ、一口食べるだけで材料、調味料を当てることのできる能力の持ち主。一念発起して、接客業だけど、街の定食屋さんにバイトへ。厳しいけど腕は確かできちんと見てくれる大将、奔放なようでいてやさしいとこのある息子さん、いきなり乗り込んできて結婚申し込む小学生、大学で初めてできた友人のすずしろさん、とあたたかい周囲に支えられ。料理の細やかさ、一味ひねったり、お客様の現状を観察してそれに応じたものを出したり、そのひとつひとつが愛おしいお話し。
幻想ギネコクラシー 2
沙村広明 / 白泉社 (2017-04-28)
読了日:2017年4月29日
なかなかに、ワンアイデア、一発勝負的な話が多く感じた短編集。。楽しめたけど、そこはそう来るかあ?というような。最後のも本人的にはいい終わり方だったというが、…キックの強度は鮮烈。
ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録 (講談社文庫)
西川 善文 / 講談社 (2013-11-15)
読了日:2017年4月28日
新聞記者を目指していたのに、瓢箪からコマのような銀行入行。実質4、5年の営業店配属のあとは、ずっと、安宅産業、平和相銀合併問題、イトマン事件、バブル崩壊による不良債権処理と、問題案件の処理に奔走し、頭取まで上り詰め、三井住友銀行へと大型合併を成し遂げ、その後は郵政公社の総裁へ転進。華麗な経歴にも思えるが、細かく見ていくと、あの時こうしておけば、みたいなことも語られ、また郵政公社転進後は、今になってみると著者の方針が正しかったのに、政治家の闘争に巻き込まれて頓挫、挫折というシーンも描かれ、私が政治音痴だったから、と言うけど、では打つ手はあったのだろうか、とも思ってしまう。かんぽの宿は今も赤字を垂れ流し続けている、といった記載からは無念がにじみ出ているように思う。ただ、それも含めて、回顧録にありがちな、私だけが正しかった、ヒーローだった、みたいな筆致ではなく、いいとも悪い子も書かれていて、少なくとも「住友銀行秘史」などよりは、すっと身に入ってきた感がある。「会社は最後は人だ」という最初の方の言葉が、最後の方まで貫かれていたように感じた。
旅人の表現術
角幡 唯介 / 集英社 (2016-06-24)
読了日:2017年4月28日
三浦しをん、沢木耕太郎、鈴木涼美と対談。サハラに死す、への言及も、というのに惹かれて、手に取る。「空白の5マイル」「アグルーカの行方」を読んだ身には興味深く、また、読んだ時の、一歩間違えば死と隣あわせのヒリヒリとした読中感を思い出した。以下備忘録的に。/冒険とは、死を自らの生の中に取りこむための作法である。人は冒険を経験するということによって、現代の都市生活から切り離されたところにある死と明確な契りを結ぶことができる。p.14/開高健への熱い思い、輝ける闇、夏の闇を読みたくなる。また、沢木耕太郎の対談が掲載されるが、他の対談であの対談噛み合ってないところあったよねと言われたり、本当はこんなこと聞きたかったと語られたり。/増田さんの「七帝柔道記」、宮城公博「外道クライマー」読みたく思った。/沢木「ひとたび「物書き」になってしまった以上、さりげない旅などできはしないのだ」/何故山に登るのか。それには答えがない。それは、何故、人は生きるのかという問いと同じであるからだ。「神々の山嶺」/人は、生の反対物としてではなく、生のひとつの相として死を受け入れたときにのみ、無条件な生の肯定を経験することができる。(ジョーゼフ・キャンベル「神話の力」)/ヒマラヤの高山の氷壁に描いた一本の美しい登攀ラインは、下手な文章や音楽よりもよほど人の心に訴える力を持っている。p。244/とにかく定住していないと不安でたまらない三浦しをんさんとの対談。違いが鮮明すぎて面白い。 /でも、得体の知れない、よく分からない場所へ探検に行くことで何か見えるものがあるのならば、行く先がジャングルでも子宮でもそうじゃないですか。(鈴木)/でも、今日ショックだったのは男の人には女に我慢させているっていう罪悪感がないってことです。(鈴木)
海街diary(うみまちダイアリー)6 四月になれば彼女は (フラワーコミックス)
吉田 秋生 / 小学館 (2014-07-10)
読了日:2017年4月27日
すずの祖母がいた金沢へ行ったこと、金沢で仲良くなったいとこが鎌倉へ遊びに来たこと。すずへの推薦での進学の話が持ち上がったこと。食堂のおかみの遺産分けをめぐるあれこれ。などなど。/立ち上がってきみの悲嘆の地図をたたみなさい(オーデン)が引用されたシーンが鮮やかで、図書館で資料あさってしまったほど。/誰にも、こんなはずではなかった、ということがあるはず/こんなはずじゃなかったけど 別の見方や考え方があるんだとか それまで見えなかったことが見えてきたりとか/悩めるというのは、いいこと 時間と選択肢があるのだから/時間が解決すると言うけど 時間がたっても消えないものもあるからね 古い傷あとみたいに/残されたお金が、残されたものを傷つけることもある/勝手に不幸だとか決めつけんのどーなワケ? (風太)/小林麻美 雨音はショパンの調べ サイモンとガーファンクル 四月になれば彼女は 聞いてみたくなる。/風太のしぼんだりもどったりのシーンが可笑しみ。
アフタヌーン 2017年 06 月号 [雑誌]
講談社 (2017-04-25)
読了日:2017年4月26日
波よ聞いてくれ。ミナレさん今回も爆走。お前毎回アドリブ部分で自分の心をすり下ろして客に出すのな、って麻藤さんのセリフが効いてる。そして、ラジオにそんなサブリミナル規定があったとは。四季賞からは、宇宙のライカ。片道切符だったライカ犬との対比があたたかい気持ちに。宝石の国は、終わりが近づいているのか、舞台装置が次々と明らかに。ヴィンランドサガは、普通の暮らしが楽しいやつなんてここにはいない、という、戦士の嘯きが不穏さに輪を。あたりのキッチンは、単行本買いたくなって来た。
おもたせしました。 1 (BUNCH COMICS)
うめ / 新潮社 (2017-04-08)
読了日:2017年4月26日
いつも着物で、資料を渡したり、貸借したりで、気の利いた自分も食べたいお土産を、おもたせして、だいたい一緒に食べて帰ってくる寅子さん。編集者かとも思ったけど、さくらおばさんからの指令で動いてるから、編集助手?巻末のお話で、目指してるところは少し描かれるけど。作中、文豪のかたる在りし日の東京や当時の食べものが語られ、興味が湧く。また、東京トイボックスの天川さんがちょこっと登場なのもうれしかった。
キングダム 46 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2017-04-19)
読了日:2017年4月25日
新入隊員の選抜、李斯の登用、そして、三軍連合での趙への侵攻。その成否はスピードにかかっている。李斯の、法とは願いだ、という叫びが熱い。
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(4) (ヤンマガKCスペシャル)
マキヒロチ / 講談社 (2017-04-07)
読了日:2017年4月24日
大森、池袋、北千住に、双子のリノベーションの行方、ティファニーで朝食をの麻里子さんも登場でにぎにぎしく盛りだくさんに。それにしても双子はどうやって東京中くまなく見所を網羅して自分のお気に入りを見つけているのか、興味深い。楽器可物件、女性も安心なセキュリティ高め物件、映画館のある街を巡ったり、漫画家志望だけど、視野が狭くなってる子に目を開かせるきっかけを作ったり。なんだか物件探しがカウンセリングを兼ねているかのように。
中野 美代子 / 福武書店 (1987-07)
読了日:2017年4月23日
何年ぶりかの再読。言いたいのは、カッコ付きの「良識」。自分たちが良識だと信じて止まない、良識ぶった良識なんかくそくらえ、という叫びではないのか、と思った。カニバリズムを題材として掲げつつも。過去のカニバリズムが起きた事件を取り上げ、その経過を描き、生き残ったものがどう遇され、裁かれ、あるいは受け入れられたのか、もし日本で同じことが起こったら、どう受け入れられるか、自分が同じ状況に置かれたらどうするか、ということも含めて。清代に書かれた「鏡花縁」は手に取ってみたく思った。また、副題に、一つの三島由紀夫論のために、と付けながら、一語も三島由紀夫に触れなかった「王国維とその死について」はやられた感があったが、国家への対し方に通ずるものがあったのでは、と解題に触れられ「社会上の習慣は許多の善人を殺し、文学上の習慣は許多の天才を殺す」(王国維)
札幌人図鑑
福津 京子 / 北海道新聞社 (2017-03-04)
読了日:2017年4月22日
札幌の興味深い人たちにインタビューした動画から70人を選んで書籍化。特に、印象に残ったのは…本当は体育教師になりたかった高田さんが、体操クラブのアルバイトから子供達への指導、教室開催、障害のある子の指導、障害のある子の働ける場の創出と広がっていくところがすごいな、と思ったエピソード。札幌の彫刻の戸籍作りに取り組む橋本さんの、札幌デジタル彫刻美術館構想に興味を惹かれ。/気球からの航空写真を撮る八戸さんの波乱万丈に心踊り/オオドオリ大学学長猪熊さん。「ウェブをやるとユーザーの顔が見えてきます。デザインを最終的に手に取るのは私たち生活者」/自休自足南さん。短い営業時間でも大丈夫なようにずっと考えてきた。/犬ぞりレーサーから建設業へ、林さん/フェラーリのデザインをしていたオクヤマさんが、帰国して山形の地場産業の鉄瓶をデザインで蘇らせたエピソード。/鈴鹿8耐ライダーの武石さんのインタビュー後の、あれをやっとけばという後悔もあるけど、好きという気持ちにしたがった人にしか見えない光景もある、という一言。
戯曲 毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている (角川文庫)
寺山 修司 / 角川グループパブリッシング (2009-02-25)
読了日:2017年4月21日
ジャパンアヴァンギャルド、アングラ演劇ポスター傑作展を、札幌グランドホテルのグランビスタギャラリーで観たのがきっかけで手に取った一冊。初めて触れる寺山戯曲。た、確かにアヴァンギャルドというかアンダーグラウンドというか。途中、イメージが飛翔しすぎてわからなくなったり。激情の奔流に押し流されたり。共感より驚異、という後味。以下備忘録的に。/どいつもこいつも「代理人」の世の中だ。私は一体、誰の代理人なんだろう。/不満屋ってのは世の中との折合いが悪いんじゃなくって自分との折合いが悪い奴のことなんだから。/あなたに見せてあげたいの、世界やそのなかにきらめいている色んなもの/地下鉄の鉄骨にも一本の電柱にも流れている血があるそこでは血は立ったまま眠っている/歴史を信じない者は歴史に復讐される。ところが歴史だけしか信じない者は孤独になる。/
七つ屋志のぶの宝石匣(4) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2017-04-13)
読了日:2017年4月20日
ついに、赤い宝石を知るグループからの接触か。謎めいた客の、謎めいた宝石が、蟻の一穴となるのか。あと、焼き鳥屋のお姉さんのエピソードがツボ。お前はちっとも惨めなんかじゃねえ、って焼き鳥屋の大将の啖呵、カッコよかった。
テラモリ 6 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2017-04-12)
読了日:2017年4月20日
話がぐっと進んだ。副店長、男も惚れる男前。厳しく見えるけど、そこまで部下を、周りを思いやれるとは、と。学生時代のバイトが、いいところだと思って働いてもらえたら、って。もちろん、ぎこちないようでいて、すこしづつ進んでいく、高宮さんとの関係も微笑ましく。
創太郎の出張ぼっちめし 3(完) (BUNCH COMICS)
マキヒロチ / 新潮社 (2017-04-08)
読了日:2017年4月20日
なるほど…そういう形でぼっち飯が終わるのかあ、と。凄平麺が心惹かれたなあ、この巻は。そして創太郎がいい意味で変わっていくのを感じられたことも。白石さんの厳しい中にも暖かい思いが描かれているのも。最後に見慣れた札幌の風景が出てきたのも個人的にはよかった。
損する結婚 儲かる離婚 (新潮新書)
藤沢 数希 / 新潮社 (2017-02-16)
読了日:2017年4月17日
結婚と離婚に関する寡聞にして知らない法律を知ることができたのが有益。それらの制度の幾分かが、今の時代に、人々のライフスタイルに合わなくなってきているという指摘も妥当かと。それに対する提案も語られていて、その点も真っ当かな、と。
ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む (新潮文庫)
須田 慎一郎 / 新潮社 (2010-08-28)
読了日:2017年4月16日
様々な事件を取り上げて、反社会勢力の、金融事業、事業会社への食い込みを記載。事件を起こしたものへの筆致は厳しいが、それにとどまらず、背景へも目が配られる。/2000年代、土地に投資が向かったのは、特定目的会社の設立が容易になったこと。キャピタルゲイン(不動産の値上がり分を収益とする。土地が永遠に上がり続けないと誰かがババを引く。)が否定されて、収益還元法(不動産から得られる賃料等の収益を元に価格を評価)が絶対化されたこと。/"ファンドにデリバティブをかませることで資金を極大化し、さらに証券化により債権を流動化するなどという金融テクニックは、金融機関が顧客に提供したり自らが投資プレイヤーとなってファンドを組成する際に散々活用してきたもの"/ただ、ライブドアへの評価は厳しすぎるように感じる。また、見せしめで逮捕されて無罪になった人へ、やりすぎたのだから仕方ない、みたいなものいいはフェアではないと感じる。誰を、どの会社を実名でだし、どれを匿名にするかという選択にも恣意が感じられ、引っかかるところではあった。
仙界とポルノグラフィー
中野 美代子 / 青土社 (1989-07)
読了日:2017年4月15日
再読。今、興味のありそうなところをざっと再読。気賀沢保則「則天武后」を読んで、”ディー判官ものの作者”を再読したくなり。1950年の「中国迷宮殺人事件」がディー判官ものの最初の作品。あとは、エドワード・ワーナーが「中国の神話と伝説」で訳出した、北欧人が盤古を読み込んだバラードが印象に。「時のあけぼの バン・クー(盤古)この世にありしとき 砂もなければ海もなく まして冷たき波もなし 地上は無のみ 高き空もなく 生ける緑のしるしだになく あるは海の深き淵のみ」
響~小説家になる方法~ 6 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2017-04-12)
読了日:2017年4月15日
波乱の会見の続き、そこからの逃亡の後にも事件を起こし。ただ反響だけは大きく、出版も進み、ベストセラーに。高校生活は、新入生も入り、また一悶着。そして同級生がやらかしたことの後始末に上京するが、最後に禍根を残しそうな予感で閉じられる。相変わらずの疾走感。これだけ事件を起こして、そのどれでも訴えられていないのは奇跡に近いし、SNS全盛の時代に脇が甘すぎると思わないでもないけど、そこはそれ。
いつかティファニーで朝食を 11 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2017-04-08)
読了日:2017年4月15日
おもにニューヨークに飛んだ典子と、日々を悩みながら過ごす真理子のストーリーを軸に。かたや着々とニューヨークに居場所をつくり、のびのびと過ごし、かたや、自分の仕事に限界を感じ、ついに仕事を辞めることを決意。ニューヨークでふたりは再会するが、その背後では、新たな再会がありそうな予感…といったところまで。湯葉バーみたいなのすごくいいなあ、北千住、と思いつつ。富山県立図書館にも心惹かれる。/「人の目なんて気にしなくていいのよ 後悔しないことが大事 そうすれば周りも変わっていくんだから…」
重版出来! 9 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2017-04-12)
読了日:2017年4月15日
初めての連載担当作家の初めての単行本。難しい性格の故、アシスタント探しには苦労するが、対話を重ねるうちに少しずつ少しずつだけど人柄がねれてきて。3Dプリンタでのフィギュア作成や、紙を折ってつくる付録などの工夫も凝らされ。そして、この巻でも、自分だけではなく、後進を、育てていこう、育っていってほしい、という願いが込められているように思う。/「きみをきっと遠くまで連れてってくれる」「中田さんには理解できない苦しみやみじめさを知っている人たちに向けて、僕は漫画を描きたい」「手にするものが違っても 必ず何かが残るから、怖がらなくていいの 遠慮しなくていいの 誰からなんと言われても。自分の夢を捨てなくていいんだよ」「この耳が私の金メダルなの!」
厄除け詩集 (講談社文芸文庫)
井伏 鱒二 / 講談社 (1994-04-05)
読了日:2017年4月15日
ハナニアラシノタトエモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ、という有名な一節が収められているのを知り、手に取る。オリジナルではなく、于武陵「勧酒」という漢詩の自由訳だったとは初めて知る。他に、巻頭の、雪崩の先頭に悠然と座る熊の詩、素直にせまってくる、「紙凧」あたりが印象に。”私の心の大空に舞ひあがる はるかなる紙凧一つ 舞ひあがれ舞ひあがれ 私の心の大空たかく舞ひあがれ”
世界は幻なんかじゃない (角川文庫)
辻 仁成 / 角川書店 (2001-09)
読了日:2017年4月12日
ミグ25に乗ってソ連からアメリカに亡命したベレンコ中尉と対談、と言うのに興味を惹かれ手に取る。その前に、大陸横断鉄道でゆっくりとアメリカを横断する旅を挟みつつ。フォークナーの稀覯本に目を輝かせ、アメリカ娘とのささやかなすれ違い、そして再開時の気遣い、「カウボーイにはボスはいない。あらゆるものから自由な者がカウボーイだ」「俺たちは、牛と仕事があればどこへでも駆けつける。たった一人でも仕事をやり遂げる自信がある」という本物のカウボーイたちとの出会い。巻末近くに、ベレンコの元へ。当初は注目を浴び、再婚もし、様々な引きがあったが、今はリスキーな投資に破れ、家族にも去られ、細々と働きながら、けれどもアメリカには選択の自由がある、亡命したことは悔いていない、といい次なるビジネスのことを捲したてる、最後の最後に、ソ連に残してきた息子のことをどう思う?と訪ね、それだけは質問するな、とかえってきたやりとりが印象に残る。
ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)
ジョン・ロンソン / 光文社 (2017-02-15)
読了日:2017年4月10日
大罪を犯したわけではないが、著作の中の著名人の引用が捏造であると指摘された売れっ子ノンフィクション作家、人種差別的なツイートで職を失ったIT企業広報部長、戦没者追悼施設で中指を立てた写真で非難された女性。確かに褒められたことではないが、やったことに対して、あまりにバランスを欠いた、法による裁き以上の過剰とも言える非難を受け、職を失い、精神的にも経済的にもひどくダメージを受けた様子、その後のことまで描かれている。同じようなことをやっても人生を壊された人、壊されたなかった人の差は、運がよかった悪かったぐらいのことしか見当たらない。堂々としてればいい、と言っても、それだけで差がついたとも思えず。恣意的な、あまりに恣意的な制裁が下されているように思える。そして、ひとつひとつは何気ないtweetが集まると大きな矢のようになることは心に止めたいと思う。また日本の例でも類書があれば、と思った。/以下備忘録的に。「ツイッターは今や法律によらない私的裁判の場になっていて、不当に人が裁かれ吊るしあげられているのではないだろうか。/「群衆を動かすには、感情を煽るしかない。物事を誇張して話す。言い切る。そして繰り返して言う。決して、自分の言っていることの正しさを論理的に証明するようなことをしてはいけない」(ル・ボン)/公開羞恥刑は、刑を受ける者が恥ずかしいと思うから成り立つものです。当人が恥ずかしいと感じなければ、すべては崩れます/私たちは恥を感じるのではなく、恥を苦しむのです。」
傷だらけの店長: 街の本屋24時 (新潮文庫)
伊達 雅彦 / 新潮社 (2013-08-28)
読了日:2017年4月9日
街の本屋の店長さんの悪戦苦闘エッセイ。全体的に非常に重いトーン、辛い苦しいが、オブラートにも包まれず、笑いにも昇華されず。私が本当に欲しいのは、時給が低かろうが 土日祝祭日が潰れようが関係ない、本が好きだから本屋で働いてみたい、という気持ちを持った人材である、って。それは、逃げ恥で言うところの、やりがいの搾取ですよね。長年バイトとして戦力になってくれて、一時期は正社員も夢見たがやめていくベテランバイトに、店長を見てると本当に大変で…と言われ。本を愛し大変な読書家だった同業者が、書店を辞めた時の辛さで、本はもう読まない、書店にも近づきたくない、となったエピソードなど。そして、かすかな最後のラインは、「探していた本を見つけた時の喜び。意外な本に出会う楽しさ。客がそれをかなえる空間を創り上げることのみを夢見て、書店員を続けていた」という独白だったのだろう。それも、大型競合店の進出 、赤字による閉店を経て、思い切ることになるのだけど。その喜びにはささやかな本読みとしてはしごく共感するのだけれど。好きだけでは売れない、続けていけない、という部分も大きく感じられ。
東方の黄金 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1804)
ロバート・ファン・ヒューリック / 早川書房 (2007-09-14)
読了日:2017年4月8日
氣賀澤保規 「則天武后」を読んで、狄仁傑の記述に触れ、中野美代子「仙界とポルノグラフィー」で取り上げられていた、「ディー判官ものの作者」を思い出し、一冊読んでみようかと相成った次第。出版年次が一番最初かはわからないけど、狄仁傑の人生の時系列からすると最初になる、この一冊を手にとる。都から転任して、最初の知事業務に当たる平来県での事件。前任者の知事の毒殺から始まった事件は広がりを見せ...と。紆余曲折を経て、最後は手並み鮮やかに解決するが、そこにはまた苦さもあり、と。ストーリー中、朝鮮との交易の話が出てくるが、地図をみると、山東省、確かに海を挟んですぐに朝鮮と向き合っていて、これは確かに交易盛んだったろうな、と思わせる。/全か無かいずれかだ。中間はない(狄仁傑)、剣によって死ぬさだめとあらば、わが血を吸うのがこの剣でありますように!(喬泰)/厩を知らん馬があるか?(柏開)などのニヤリとさせられる名台詞も散りばめられ、普段手に取らないミステリを楽しむことができた。
いのちの車窓から
星野 源 / KADOKAWA (2017-03-30)
読了日:2017年4月8日
療養中に、一切の情報を偽って、ツイッター上のみで交流したことが、救われたというエピソード。あとは、大泉洋、新垣結衣とのかかわりを語った章、そして構成作家の寺坂さんの章が印象に。紅白の前口上を全部記憶してる紅白マニアでラジオ大好き。お互い思春期に救われたことから、ラジオが大好きになり、話が盛り上がり、友情が生まれ、紅白出場が決まったらいの一番に報告し、出場時の台本を寺坂さんが書くことになるなんて。出来すぎた短編映画のように。大泉さんは口では嫌うようなこと言って、うっとうしく絡んでくるようでいて、底に愛が溢れるエピソードもいろいろあり。新垣さんは、普通、がテーマ。スターダムに長くいると失われがちな普通さが残ったのか再獲得されたかして発される気配りと素敵さ。あとは、人見知りで、と自分で言うのは、自分はコミニュケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください、と恥ずかしい宣言をしているのでは、と思い至ったこと。深夜の蕎麦屋を出て、「いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と、好きと言う気持ちだ」と思い至ったシーンが印象に。
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
パウロ コエーリョ / 角川書店 (1997-02)
読了日:2017年4月8日
読もうと思って買ったのに、5年ほど寝かせてしまった本。夢に導かれ、それを兆しと信じ、背中を押され、宝物を探しに出かける羊飼いの少年のお話。書かれたことを信じること、前兆を信じること、キリスト教なりイスラム教なり、一神教の信仰を持っていれば、すんなりと信じられるのだろうか、と思いつつ読み進めた。以下、備忘録的に。心に留めておきたい言葉を。/人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ。/彼は今まで慣れ親しんできたものと 、これから欲しいと思っているものとのどちらかを、選択しなければならなかった。/僕は他の人と同じなんだ。本当に起こっていることではなく、自分が 見たいように世の中を見ていたのだ/わしはだんだんと不幸になってゆくような気がする。なぜなら、自分はもっとできるとわかっているのに、わしにはそれをやる気がないからだ/私は砂漠を何度も越えたことがある しかし砂漠はとても大きく、地平線はとても遠いので、人は自分を小さく感じ、黙っているべきだと思うようになるんだ。/人は、自分の必要と希望を満たす能力があれば、未知を恐れることはない、ということです。
風の歌を聴け (講談社文庫)
村上 春樹 / 講談社 (1982-07)
読了日:2017年4月4日
学生時代に読んで、かっこいい、クールとしびれ、社会人になってから読んで、すかしてるなあ、と思い、少しはなれ、今また手に取ってみると、味わい深く感じられる。
格闘する者に○ (新潮文庫)
三浦 しをん / 新潮社 (2005-03-02)
読了日:2017年4月3日
5年ぶりの再読。折を見て読み返したくなる一作。就活に悩む人にオススメの何冊、みたいな書評エッセイで見かけて、朝井リョウ「何者」読んだのに引き続き、手に取る。今回は、独特の妄想と現実との境目が見えなくなるシーンが特にツボ。
住友銀行秘史
國重 惇史 / 講談社 (2016-10-06)
読了日:2017年4月3日
イトマン事件前後の住友銀行内の、銀行の将来なんかそっちのけの権力闘争。そこに自分の身を捨てて、真に銀行の将来を考え、改革の理想に燃える著者、という立ち位置。やはり著者だけがカッコよくヒーローというのは納得いかないところ。やっていることは、著者が批判している側とどう違うのだろうか、と。メインの攻撃手段は、怪文書とマスコミを使ったリークだし。ただ、情報はこうやってとっていくのか、というのは興味深かったけど。権力闘争とは畢竟、業績ではなく、あいつが好き、嫌いという原始的な感情的な人間関係に基づくのだなあ、と感じさせる。そしてなぜ今頃イトマン事件のことを、というのは著者の説明でも弱いなと思った。ただ、バブルの時代の世相、その狂騒は感じられた。当時の金融行政が護送船団方式の末期であったことはひしひし感じられたが、イトマン事件の処理が表層的なものに止まらず、メインバンク制を改めるところにまで踏み込んでれば、失われた10年にならなかったのに、というは歴史のif、なんとも言えず。
カフカ 《Classics in Comics》
西岡兄妹 , フランツ・カフカ / ヴィレッジブックス (2010-04-20)
読了日:2017年4月3日
カフカの作品から、家父の気がかり / 変身 / バケツの騎士 / ジャッカルとアラビア人 / 兄弟殺し / 禿鷹 / 田舎医者 / 断食芸人 / 流刑地にてを取り上げて、漫画化。ストーリーをそのまま漫画化というよりは、地の文をそのまま当てはめて、挿絵に近いというか、その中間というか。「断食芸人」は、carib song,田辺剛「サウダージ」で取り上げられたのとは趣を異にして、抽象的な文様が、芸人の心象を表しているのかな、と。「兄弟殺し」は、動と静、なぜ殺したいのかも明らかにされず、殺すまでの高揚と、殺した後のただ呆然と連れて行かれる対比が印象に。田舎医者も、理不尽、唐突な馬丁の出現と、往診で裸にされ、最後は雪原に放り出される医者。流刑地にて、の得意な処刑器具の紹介とそれに飛び込んでいく将官もシュールで。
則天武后 (講談社学術文庫)
氣賀澤 保規 / 講談社 (2016-11-11)
読了日:2017年4月3日
空前絶後、女性として女性のまま中国の皇帝となった則天武后。太宗の後宮から、感業寺に尼として入り、高宗が見出した、と言うよく知られるエピソードに疑義を呈し、対立者を取り除いて、皇帝たる高宗を実質的には服従させ、政治を動かした則天武后。個人的には、酷吏の跋扈するこの時代に住みたいとはあまり思わないが、大胆な人材の登用で人身を収攬し、外征にも手腕を発揮し、明堂をはじめとした文化事業にも取り組み、といった側面も伺いしれる。使えるとなれば奸臣だろうと酷吏だろうと使えるだけ使い、潮時と思えば、姻族だろうと容赦なく殺す。そして拙速ではなく、女性が皇帝位についてもおかしくない、と言う世論を、慎重に慎重に編み上げていって、皇位につく様は圧巻。死に際しては「無字碑」を建てさせた。”自分がやってきた仕事や業績は文字にして表しきれないほど無限に大きいということ”、”その評価を後の人間にゆだねたい”ためであったのでは、と。
町田くんの世界 3 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2016-03-25)
読了日:2017年4月2日
すべてを見下す弟の友達に、友達を作るのに資格なんていらないよ、とさらりと言うシーンが印象に残る。
町田くんの世界 2 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2015-11-25)
読了日:2017年4月2日
人類を全部家族と思ってるんじゃないか、と思われたり、それは幼稚園の先生に言われた言葉がきっかけだと描かれたり、何を幸せとするかはその人の自由だから、と諭したり、踏み出せ、大丈夫、何があってもにいちゃんがいるから、と背中をおしたり、この巻の町田くんもかっこいい。
町田くんの世界 1 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2015-07-24)
読了日:2017年4月2日
メガネの似合う優等生な見かけだけど、勉強も苦手、活字も苦手、運動も苦手だけど、少しでも関わりのある周囲の人を家族のように大切に愛し、そのことで本人は無自覚なまま愛される町田一くん。頑なだった不良っぽい美少女、いじられてばかりで卑屈になってた惚れっぽい男子、女子にはぶりっこと思われがちな女の子、モデルをやってる男子、幼稚園の時の先生、などなど、に。読み終わると、世界が愛おしく、誰にも優しくしたくなってしまうような読後感。立て続けに、二回、読んでしまう。/恋に関してはよくわからない。けど、ゆっくりいこうよ、といっているような言葉がすっと受け入れられるシーンが印象に残る。
漫画として現れるであろうあらゆる恋のためのプロレゴメナ (torch comics)
窓ハルカ / リイド社 (2017-02-24)
読了日:2017年4月2日
本屋で見かけて衝動買いしてしまう。男性恐怖症でそのことをネタにデビューを目指す漫画家志望女子と、下ネタ大好き華奢でコスプレ大好きな男子のラブコメ…とくくっていのかどうなのか。二人とも屈折の仕方が面倒くさすぎて、展開も唐突すぎて、思わず噴き出すところもあったし、いや、いくらなんでも顔覚えてなさすぎだろう、と思うところもあったけど、息をもつかせぬジェットコースター、一気呵成に、最後も、え?そこで?という終わり方だったけど、ここまできたらなんとかしそうな気もするし、と。他の作品も読んでみたくなった。
忘却のサチコ 9 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2017-03-30)
読了日:2017年4月2日
相変わらずの、一仕事終えた後の、ご褒美のご馳走を味わうシーンがおかしい。宇都宮で餃子を味わうシーンの、コック姿のパンダが、カリッ、モチッ、プリッと言って微笑んでるシーンが特にツボ。そして鹿児島でまさかの再開、信じられないけど信じて待とうかという思いに。またある時は、野球にも造詣が深く、ある時はイタリアの世界的な作家に日本の編集者の日常を示し、ある時は賞を逃した担当作家のやる気を奮い立たせる、敏腕編集者の一面も描きつつ。しかしタフで該博だなあと感心してしまう。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 4 (ヤングアニマルコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2017-03-29)
読了日:2017年4月2日
ふらりと楽しんでいた祭りで、絡まれてしまった大道将棋。手も無くコテンパンにひねりつぶしたあとに現れたのは、真剣師あがりの先輩棋士。お互い泥沼のそこから這い上がった同士の、激しくぶつかり合う勝負。それは、この先の名人戦への足がかりとなるものとなり、また、隣人の香織との絆を深めるものとなった、と。新たな戦法がどこまで通じるのか、話しがどう進んでいくのかこの先楽しみ。相変わらずの熱量の高さを堪能。
ラーメン大好き小泉さん 5 (バンブーコミックス)
鳴見 なる / 竹書房 (2017-03-30)
読了日:2017年4月2日
つけ麺の奥深さから、ラーメンの幅広い世界へと話しは続き。市場の朝の魚介系ラーメンに舌鼓打ったり、地盤沈下でナナメに傾いたラーメン屋で一杯を味わったり。そして、ラーメンサラダが取り持つ縁。クラスに馴染めない転校生が馴染むきっかけを作ったり。札幌グランドホテルのビアホールが発祥とは知らなかった。ちょうどグランドホテルでお茶してる時に読んだので個人的にシンクロ感。そして北海道のローカルフードだったとは…全国区の食べ物だと思っていた。
町田くんの世界 4 (マーガレットコミックス)
安藤 ゆき / 集英社 (2016-11-25)
読了日:2017年4月2日
猪原さんのがどういう気持ちか相談した時の、”相手を想像して研究し続けていられればずっと仲良くしていられるんじゃないかな”、という父からのアドバイス。人も自分も気持ちを大事にして初めて愛せるんだ、とクラスメートを諭す町田くん、のシーンが印象に。


2017年04月04日

2017年03月に読んだ本

期間 : 2017年03月
読了数 : 53 冊
バブル:日本迷走の原点
永野 健二 / 新潮社 (2016-11-18)
読了日:2017年3月30日
一読、一瞬、どこの国の話だろうと、思ってしまう。銀行が潰れないように、大蔵省が守る。損失補填される株取引。上がり続ける株価。上がり続ける土地価格。ふんだんに使われ、ばら撒かれるお金。もちろん、その表層だけをなぞることなく、世界的な潮流の中で、日本が抜本的な構造改革を行わず、事なかれの先送りをしてしまったために、その歪みがバブルという形で噴出し、軟着陸させることにも失敗した、と。そこで描かれる、いわゆる成り上りと呼ばれる人たちは、その時代、そういった形でしかのしあがれなかっただろうと見ながら、返す刀で、官僚、政治家、企業、特に銀行と証券会社、マスコミにも鋭い筆を向けていく。そして、後付けにはなってしまうが、こうしていたら失われた20年はなかったのに、という処方やありえたかもしれない歴史も示される。
「シン・ゴジラ」、私はこう読む
日経ビジネス / 日経BP社 (2016-10-25)
読了日:2017年3月30日
様々な視点から読み解かれる面白さ。/ゴジラには、防衛出動でなくても対応可能。深い洞察力と、信念に基づいた行動、いざとなれば腹を切る覚悟のある矢口が本作品最大のフィクション。大事な情報だけあげて欲しいと思いつつも、現場が大事でないと思った情報が必要なこともある。「情報を吸い上げる結束点たる人物」の必要性。枝野幸男氏が実名で登場する「太陽の蓋」という映画。ゴジラに超法規的出動が許され他ことに、憲法と自衛隊をめぐる戦後日本の議論はなんだったのかという思い。尾頭ヒロミのモデルが、霞ヶ関官僚の間でまことしやかに囁かれたこと。巨災対の苦闘のディテールが、果てしない徹夜仕事の記憶を呼びさます。硬直化したはずの官僚制度が、民間と軌を一にして、単純な一目的のために有効に機能するというシーン、それも無理は多いが、官製サプライチェーンならやるだろう、という現場関係者。おにぎりの差し入れが一拍入れるような穏やかな空気を流した。いつ復活するともしれない凍ったゴジラを抱えるリスクと引き換えに、日本は国際社会でさまざまなカードを手に。大手町に実はITインフラの根幹部分が集中していること。脚本にわざと破れを作っておくことで、様々な読みを呼び込む仕掛けなのではないか、という指摘。発生可能上映を、ニコニコ動画上に流れるコメントを実際に人が集まって声に出しているイメージに近い、と語る人。ゴジラの進路を地政学的に分析し、1 京急が不憫、2 巨大不明生物の重さに耐えた日本の陸橋すごい、ということを導き出す人。爆撃対象の地図の空白を皇居と推定する人。「実写映画は縁を映し出すもの」。「ゴジラもゴジラ映画も存在しない架空の日本社会」という設定。ゴジラが反戦反水爆映画なら向かうべきはアメリカで繰り返し日本を襲う理由は説明できない。音楽の引用は、映画が映画そのもので完結しなくなる、観客の脳内で記憶の暴走を起こす。シン・ゴジラ、エヴァ、3・11の重ね合わせ。伊福部昭の家の方に、伊福部昭の音楽に乗って、ゴジラがやってくる。硫化水素を取り込んでエネルギー源にする深海生物。血液凝固剤の経口投与の有効性への疑念。春と修羅、と重ね合わせ、現象としてのわたくしの明滅に呼応して、初めて世界が生まれる、ヤシオリ作戦のありようと重ねる見方。船に置かれた折り鶴と春と修羅は、ヒントであったのでは、と。”「ゴジラという現象」に立ち向かう「日本という現象」を支えるのは、「大統領」のような「個」ではなく、無数の、名が残されることもな人々の営為だった”。
AIの遺電子 05 (少年チャンピオン・コミックス)
山田胡瓜 / 秋田書店 (2017-03-08)
読了日:2017年3月26日
飛び出した自分を救って死んだ父を偲ぶために、義手にこだわる少年。体温で意思表示すると信じて抱き枕を大事にする女性。超高度AIの支配から逃れるためと言い募り、法を犯す男性。脳を治療しなければ社会に受け入れられなかったことを思い悩み続ける男性。さまざまなケーススタディーが考える糸口をくれる感。
ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2017-03-17)
読了日:2017年3月26日
アイヌの村を出発し、白石奪還作戦。知恵のぶつかり合いに最後は飛行船まで飛び出し。詐欺師のプロ根性に、あと一歩だけど、敬意を表しつつ。干し柿を食べたら、戦争前の杉元に戻れるかな、というアシリバさんの言葉が染み入る。
【Amazon.co.jp限定】女騎士、経理になる。  (4)  (特典:オリジナル描き下ろし4コマ データ配信) (バーズコミックス)
三ツ矢 彰 , Rootport / 幻冬舎コミックス (2017-02-24)
読了日:2017年3月26日
今回は、全額返済した顧客が消えたことから始まるストーリー。領主に妾として取られることになった歌の好きな農奴の娘、せっかく完成した活版印刷機を銀行に取られそうなドワーフを救うために、奮闘する三人。コラムの、複式簿記の起源や、活版印刷の広まりについても興味深い。
アフタヌーン 2017年 05 月号 [雑誌]
講談社 (2017-03-25)
読了日:2017年3月26日
波よ聞いてくれ。いつものごとくのミナレさんの暴走っぷりがたまらない。「道内の男という男をぶっ殺して北海道をかつての黒松内町のような女の国にしてやる」の後に、実際の黒松内町の説明が入る、という流れが個人的にはツボ。そして、”ミナレ”という名前をめぐる一悶着が、最後に、北海道だからこその語源に繋がり…と。/球場三食は、根っからの自由人と思いきや、主人公の職業が思わず明かされた回。/宝石の国。続けられる月人とフォスの対話。先生の正体も来歴も徐々に明らかにされていく。/フラジャイル。岸の若い時代の、親友の突然の発病とその後の経緯が、今の岸の根幹を形作ったことが描かれる回だった。
アド・アストラ 11 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
カガノ ミハチ / 集英社 (2017-03-17)
読了日:2017年3月25日
イベリア、ローマ、シチリア、カルタゴ。目まぐるしく舞台は変わり、物語も進む。イベリアで、ハンニバルのお株を奪った戦略で大軍に圧勝をおさめ、ローマに帰還、執政官となり、ファビウスとの論戦の末、シチリアで奴隷兵を一年訓練ののち、カルタゴ遠征を認められる。その地で大軍を前にして、休戦協定を結ぶが、その心は…と。もうローマ兵が死ぬのを見たくないから怪物になる、情けはローマに置いてきた、というスキピオ、支えるガイウス。物語は終幕に向け一気に加速していく。ジスコーネの娘をめぐる、西ヌミディアの王と東ヌミディアの王子の奪い合いが国際情勢を大きく動かしたという見立て。
桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(2) (アクションコミックス(月刊アクション))
ぽんとごたんだ / 双葉社 (2017-03-11)
読了日:2017年3月22日
変わった食材大好き、雑食系女子高生桐谷さん。才色兼備だけど変わった食材を目の前にした時の暴走ぶりは誰も止められない。そして幼なじみでご近所さんで、巻き込まれ感ありありだけど、桐谷さんの趣味の理解者の先生。肉屋の息子の豊島くんも巻き込んで。サソリ、かえる、グソクムシ、くじら、キンツル、豚のキンタマ、ザリガニ、ババア、ワニ…。さまざまな食材へアタックを見せる。基本物怖じせずなんでも捌ける桐谷さんだけど、惜しいかな、調味料は基本塩だけと男らしく、いまいち料理への愛情が乏しいけど、そこをしっかりカバーする先生。桐谷さんのボケにもきちんと切り返してるところがテンポよくおかしい。個人的には、キンツルは食べて見たいかなあ。
ちひろさん 6 (A.L.C.DX)
安田弘之 / 秋田書店 (2017-03-16)
読了日:2017年3月21日
初恋の後押ししたり、バジ姉の誘い断ってまでマイカレー作りに勤しみ、酔うと口の悪くなる後輩を愛で、いい子を捕まえた、男友達がくよくよするのをバァーンと背中を押し、立ち止まりそうになるオカジを優しく見守る、この巻のちはるさん
桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
ぽんとごたんだ / 双葉社 (2016-09-12)
読了日:2017年3月21日
ラブホの上野さん (3) (MFコミックス フラッパーシリーズ)
博士 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-02-23)
読了日:2017年3月20日
したくてもできない(主に)男たちに恋愛指南をし、あわよくば自分のところ(ラブホ)の客を増やそうとうごめく上野さん。後輩にはゲスと呼ばれるも、辛辣にして的を得た指摘に救われる身もあり、と。
逃げるは恥だが役に立つ(9)<完> (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2017-03-13)
読了日:2017年3月20日
ドラマよりもう少し詳細に描かれていたんだなあ、という感慨。そして、みくりさん=小賢しい、とドラマで強調されたことへのアンサーとして、平匡さんの、小賢しいて見下してますよね、僕はみくりさんのこと小賢しいと思ったこと、一度もありません、と原作者が描く流れになったんだなあ、ということ。そして、誰もがみたいと思っていたに違いない、百合さんと風間さんの後日談が描かれていて嬉しかった。/周りに遠慮せず自分の判断で自由に生きて 失敗したらそれもちゃんと受け止める それが大人ってもんでしょ あたしがなりたかったのは そういう大人でしょ/逃げたり戻ったり手に入れたり失ったり 毎日ってそんなものでできている/
BLUE GIANT SUPREME 1 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2017-03-10)
読了日:2017年3月20日
いよいよ海外編!行き先はドイツ。けれど、最初は静かに聴く観客に戸惑い、飛び入りでもやらせてもらえないことが続き、閉塞感を感じていたところに差し伸べられた手。日本もジャズもわからないのに、世界一のプレーヤーになる、という言葉を信じて宿を、演奏機会を、そしてお客集めまでやってくれた大学生。ジャズを聴かない彼らに精一杯をぶつけた波紋は…と。なんだか阿部薫の演奏を聴き返したくなった。
シマウマ 15巻 (ヤングキングコミックス)
小幡 文生 / 少年画報社 (2017-02-27)
読了日:2017年3月20日
信長のシェフ 17 (芳文社コミックス)
梶川卓郎 / 芳文社 (2016-12-16)
読了日:2017年3月20日
ようこからのメッセージ、果心居士の蠢動、その上を行く松永久秀の動き、緊張感を孕んだ茶会、そして本願寺の挙兵。めまぐるしく動く情勢に、ケンは毛利を料理で止める大役を仰せつかったが…。直接は語り合えないのに、料理を通して語り、伝えようとする流れに緊張感。
オムライスの秘密 メロンパンの謎: 人気メニュー誕生ものがたり (新潮文庫)
澁川 祐子 / 新潮社 (2017-01-28)
読了日:2017年3月20日
身の回りの様々な食べ物の来歴を調べる著者の手つきはまさに研究者。通説を疑い、数多の書物を渉猟し、独自の説を打ち立てていく様は鮮やか。時に、答えが出ない時も、そこに至るまでの考えの筋道を示してくれて納得感。以下備忘録的に。/カレーライスは、日本初のあんかけご飯で、江戸の汁かけ飯とあんかけ麺の家庭に来た養子なのでは、とにらみ。日本での餃子の独自の進化は、ご飯がいかに進むかを物差しに進んだ、にんにく入りしかり、タレにラー油を入れることしかり。ナポリタンを、口に入れればとにかくねっちゃり、そしてベッチャリ、かつ、もっちゃり、皿の上でぐっちゃり。ナポリタンは”四大ちゃり”でなければならなかった、と書く東海林さだお。茹でたナポリタンを5、6時間置き、さっと湯通しすることで麺を柔らかくし、うどんに近づけたところに、定着の鍵があったのでは、と。しゃぶしゃぶは、モンゴルで、冬季、零下の屋外でかちんかちんに凍った羊肉を包丁で削ぎながら、湯でとかしつつ食べたのが、起源という説も。マレー語には、混ぜる、加えるの意味で、Campur(チャンプル)という言葉があるとのこと。店員が焼く、から、客が焼く、への変化が、韓国から渡ってきた焼肉の、日本化を推し進めたのではないのか、という指摘。肉を素焼きにしてからタレをつける、つけダレ文化と、無煙ロースターは日本で発展し、韓国に逆輸入された、と。タコライスの発祥が、昭和59年というのも、そんなに新しかったのか、という思い。
BLUE GIANT 10 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2017-03-10)
読了日:2017年3月20日
憧れのプレイヤーたちとの共演。そして、念願のライブハウスへの出演決定。しかしそこへおそいかかるアクシデント。それでも大は止まらない。そのライブのコマは本当に音が伝わってきて涙ぐみそうに。雪折に、玉田に、言わせてしまったという罪悪感が、自暴自棄にさせかけるが、吹っ切れて、師匠の示唆する国へと。それがどこかは続編で、ということか。
愛より速く (新潮文庫)
斎藤 綾子 / 新潮社 (1998-09)
読了日:2017年3月20日
雨宮まみ「女子をこじらせて」、つながり。こんなんされたらかなわんわ、両手を挙げて降参という、力強さ、しなやかさ。様々なケーススタディーに驚きつつ、感心しつつ、刺さって来たり。
地獄のガールフレンド 3 (Feelコミックス FC SWING)
鳥飼 茜 / 祥伝社 (2017-03-08)
読了日:2017年3月19日
普通ってなに?お互いにとっての普通は、言わなければうめられない、けど言えない、という関係性がさらに事態を複雑にするけど。もつれた気持ちを解きほぐすために一緒にいるのだから、このままで行く、という宣言は力強く。それぞれのパートナーが、屋台で一杯かわして仲良くなってるシーンに微笑みつつも、きっと理解し受け入れるんだろうな、という予感を残しつつのフィナーレ。しかし、ほんと、刺さる言葉が多くて。
猫嬢ムーム(1) (ワイドKC Kiss)
今日 マチ子 / 講談社 (2016-03-11)
読了日:2017年3月19日
ムームさんと猫大好き先生=下男の、なごやかストーリー。なごむ。
おあとがよろしいようで
オカヤ イヅミ / 文藝春秋 (2017-02-27)
読了日:2017年3月19日
死ぬのが怖い著者が、いろんな作家に、最後の晩餐、なにが食べたいか聞いてまわるお話し。どんなシチュエーションで、またどんな死に方をするか、それぞれの考え方がにじみ出ていて興味深い。墓には、あきらめる、と掘りたい山崎ナオコーラ。好きの振れ幅が半端ない朝吹真理子。スパスパと言い切って心地よい朝井リョウ。人類が滅亡しても自分は生き残っててあれしたいこれしたいという桜庭一樹。死ぬのが怖い、どうすれば、に対して、見たことない景色を見たらいいんじゃ、と提案してくれ、最後に、書いて銭がとれるのは嫌な死に方だろうよ、と語る平山夢明。ちくわぶへの愛も半端ない。食べて見たいと思ったのは、円城塔の語る、宇野千代がやったという極道すき焼き。肉とブランデーとごま油と卵が緊張感を持って立っていて、全く調和しない、って。個人的には、札幌の東区にあるキャロルの、インディアンスパゲティセットかなあ。カツカレーライスパスタって炭水化物と油のかたまりを食べて満足して死にたい。
三代目薬屋久兵衛 5 (Feelコミックス)
ねむようこ / 祥伝社 (2017-03-08)
読了日:2017年3月19日
人間に与えられた運命なんてね いずれ死ぬってことくらいなのよ,という菊乃さんの言葉がしびれる。それ以外のことは自分が選んだこと、運命だなんて言って片付けないわ、という宣言。紆余曲折を経た、三久さんの関係も、前の結婚がうまくいかなかったとしても、僕とするのは初めてでしょ、ということばに背中をおされ、と。
13月のゆうれい 2 (Feelコミックス FC SWING)
高野 雀 / 祥伝社 (2017-03-08)
読了日:2017年3月19日
選んだものだけが未来になる、という覚悟の伝わってくる選択。わたしはあなたの元カノ敗者復活戦じゃない、俺はお前の元カレ敗者復活戦じゃない、という応酬。細胞は三ヶ月、骨は五年でいれかわる、五年経てば自分もまったく別な人になると思えば、気が楽、ってセリフが印象に。葛藤と選択を重ねて出した答えは、きっとお互い納得ずくのことになりそうな予感を残して。
アレンとドラン(1) (KC KISS)
麻生 みこと / 講談社 (2017-03-13)
読了日:2017年3月19日
自己評価が低くて 自意識過剰で 同族がいいのに同族嫌悪 ああなんて面倒くさい。単館系の映画が好きで、それが唯一の支えで、人とうまく交われない林田さん。隣人の江戸川さんに助けられ見守られ、愚痴聞いてもらって、アドバイス受けて、それを実践してるうちに少しずつ歯車がうまく噛み合っていき、世界が広がっていく。このストレートじゃなくひねりを効かせてドライバしていく話、好きです。
星野源雑談集1
星野 源 / マガジンハウス (2014-12-18)
読了日:2017年3月19日
なんだかみうらじゅんとの雑談が一番リズムが良くて、お互いのっていたよう感じられた。みうらじゅんの、ボブ・ディランとあった時に、イラストレーターで小説書いて音楽やって…といろいろ紹介されたあと、ボブ・ディランに「定職はないのか?」ときかれたエピソード。見た目で、若い人にビートルズだと信じられたり、温泉に入ってたら、混浴かよ!と驚かれた話とか。「自分なくしの旅」、"向いてないことをしてみるといいんだよね。すると一つ自分がなくなるから。そうやって確認していくと、たくさんあると思い込んでた自分らしさがないって気付くからね"。「アイノカテゴリー」って基本盗み撮りの写真集の話とか。あとは、笑福亭鶴瓶の、あった話に絶対足さない、そのままだから面白い、という哲学。RGの、あるあるネタは、ウズベキスタン料理みたいなもの、超ニッチだ、と。18人しか集まらなかった2泊3日のあるあるバスツアーを強行。しかるべきシーンで届けたいものを届けられている手応え。といったあたりが印象に。
放課後さいころ倶楽部 9 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2017-03-10)
読了日:2017年3月18日
心を閉ざしがちな奈央を、友人のカンナと隣人の金城がやさしく解きほぐしていく様があたたかい。きっかけはいずれもアナログのボードゲーム。人は一人だしいつかは別れる、だからこそ共に過ごす時間はかけがえない、誰とでも友達になれるわけではないのだから、という金城のストレートな言葉が響くなあ。そして、おとなしいようでいて、静かな言葉で、静かな行動で、気持ちを伝える姿が印象に残った。
モンゴルの曼荼羅 (モンゴルの美術)
杉山 晃造 / 新人物往来社 (1987-07)
読了日:2017年3月18日
邦題はモンゴルの曼荼羅、だけど、モンゴルの美術のほうが内容を表しているかも。個人的には、前半の曼荼羅の部分を求め、手に取り、感銘。夢に出てきそうな威圧感、全身青の鬼のような図像と、真っ赤な背景で微笑む仏画が特に印象に残る。後半は写実的な顔の活仏や、ゲルが目立つ往古のウランバートルの風景画などもあり、こちらも楽しめた。
告白(コンフェッション) (アッパーズKC (93))
福本 伸行 , かわぐち かいじ / 講談社 (2001-01)
読了日:2017年3月16日
ホリエモンメルマガつながりで手に取った一冊。雪山に閉じ込められた男二人の、告白から始まる、息飲む神経戦。優越感と危機感がオセロのようにめまぐるしくひっくり返り、最後は…と。
旦那が何を言っているかわからない件
クール教信者 / 一迅社 (2011-12-29)
読了日:2017年3月13日
無職でゲーム・マンガな夫とそういうのは一切わからないOL妻。けどなんだかんだ言って、お互い好きで、わからないところはわからないままに、いい関係気付けてて、ニヤリとしつつ、微笑ましかったり。
あしあと探偵(1) (アフタヌーンKC)
園田 ゆり / 講談社 (2017-02-23)
読了日:2017年3月13日
連載もずっと読んできたけどこうやってまとまったのを読むと感慨もひとしお。寺崎さんが手がけると、案件は片付くけど、いつも確信に満ちているわけでもなくて、けど嗅覚をはたらかせて、ときにはハッタリも噛ませて、探し出していく。ほんと、連載時も思ったけど、どういう歩みで今の寺崎さんがいるのかも描いて欲しい。
傘寿まり子(1) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2016-11-11)
読了日:2017年3月13日
傘寿まり子(2) (KCデラックス BE LOVE)
おざわ ゆき / 講談社 (2017-02-13)
読了日:2017年3月13日
80歳の作家まりこさんが、四世代同居の家から家出したところから始まる物語。初めて漫画喫茶を知り、声の出ないまっすぐな感情を向けてくる黒猫と出会い、同じ年頃の辛口の不動産オーナーと出会い、真摯な獣医に出会い…外の世界に出てまた見えてくるものも違い、気持ちも華やぐが、これと思ってつかんだことが、ゆっくりときしみ始めて、と。ロマンスグレーを何十年も背負ったような男、とか、年取ってからの同棲はお互い減るよ、といった辛口大家さんの言葉が目をひく。そして、まりこさんの一喜一憂にぐいぐい引き込まれました。
グッドモーニング (新潮文庫nex)
最果 タヒ / 新潮社 (2017-01-28)
読了日:2017年3月13日
最果さんの詩文にはキラキラが詰まっている気がする。詩を読むときはいつも穂村弘の、共感sympathyより驚異wonderを、という趣旨の言葉を思い出す。/"茶色い空を見るとひどく眠りたくなる。ずんと暗い音がして、世界がすこし低くなる/瞬間をわたしは見過ごさない。"/"いつか/大海の真ん中朝を迎えて、そうね、もう一度/わたしと再会をしましょう/花を生む少女を部屋にとじこめて忘れられない棺桶作る/蜜が蜜にながれていくような、ぬかるみがいのちの流れであろうと/星は死ぬ瞬間にやっと爆発をする。もっとも輝くんだ。もっとも輝くんだよ。/
辺獄のシュヴェスタ 5 (ビッグコミックス)
竹良 実 / 小学館 (2017-02-10)
読了日:2017年3月12日
一度蓄えたものがことごとく流されたところから這い上がること。かえって結束は強まり、お互いが何をすべきか知恵を出し合い、代わりのものを用意しつつあったが…。極限の状況の中で見せる意志の強さ。正直どうしてこのカードをここで切らなければ、とも思ったけど。そしてさらなる過酷な運命。次が最終巻ということだけどどうなるのか。
残酷な楽園―ライフ・イズ・シット・サンドイッチ
降籏 学 / 小学館 (1997-04)
読了日:2017年3月12日
5章がオーストラリアにおけるアボリジニの抑圧と差別の歴史、5章がオーストラリアにとってのベトナム戦争、1章が犯罪から抜け出せないストリートチルドレンを描く、明るく洗練されたイメージが強調されがちなオーストラリアの裏面史を描く。人口統計の対象とみなさず、憲法でも人権尊重を記載する条項はなく、福祉的な支給はシットダウンマネーと蔑まれ、生活保護費を薬物購入に充てるドールブラジャーには戻る場所があるのと対比される。CDEPでアボリジニの雇用促進、コミュニテイの経済的自立を図ったが、それをオーストラリア人は未だにアボリジニが収容されていると信じている(人もいるということか)。連帯から分断へ。そして、アボリジニの思想が興味深い。食料を分け合う習慣を持ち、それと同じように体験もわけあう習慣がある、と。経験を連動させながら伝統を受け継いできた、と。「アボリジニの慣習は、何もかも共有することだ。お金も分けあうし、酒もみんなで飲む。見てもいない核実験を見たと言ったマラリンガのアボリジニは、体験や夢も分けあっていた。娶った女性を家族の男性全員が共有する種族もある。それが彼らの常識だった。あんたのものは俺のもので、俺のものはあんたのものだと言ってもアボリジニ社会では間違いではない」/「私たちとアボリジニの垣根をとっ払うには、礼儀をもって接するしかないんじゃないかと思ってるんだ」(p.157)/あなたと同じ大陸に住むアボリジニを、オーストラリア人と呼ぶことはできないのですか?/オーストラリアに住むあなたは、オーストラリア人ではないのですか?(略)彼らと一緒にしないでくれ(p.168)/後半は、戦争を始めた政府ではなく、理不尽にも、帰還兵に非難が集中した現実、第二次大戦中に、捕虜を虐待したことから、未だに根深い日本不信が根付いていることが描かれる。
九段坂下クロニクル
一色 登希彦  , 元町 夏央 / 小学館 (2009-11-30)
読了日:2017年3月12日
九段坂下の歴史的な建造物を巡るアンソロジー。関東大震災後、東京大空襲をくぐり抜け、バブル崩壊も越えて、平成の世まで生き延びた建物。育ちのいい同級生に好意と嫉妬を向ける女の子、戦時中に妾腹の子と言われる境遇から、幸せとは何かもわからぬままに、貪欲に幸せを掴みにいく女性、建物を仕事場にした漫画家とアシスタントの話。個人的にはこの建物とおうむをめぐって仲良くなった中学生の女の子と男の子二人の話が良かった。
音楽という<真実>
新垣 隆 / 小学館 (2015-06-19)
読了日:2017年3月11日
吉本浩二「淋しいのはアンタだけじゃない」、佐村河内守「交響曲第一番」と読んで、この本を再読。主に、佐村河内氏との関わりの部分を中心に。作曲した、作曲家としてNHKのドキュメンタリーに取り上げられた、といったことの裏側に著者がいたことが語られる。読み返してみると、自分が断ればよかったのだけど、できず、結果として佐村河内氏の企てがうまくいかなくなればいいのに、と祈るだけで、陰険といえば陰険と思える箇所もちらほらと。あとは、森達也監督「FAKE」を観たくなってきた。
枕草子/方丈記/徒然草 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07)
酒井 順子 (翻訳) , 高橋 源一郎 (翻訳) / 河出書房新社 (2016-11-22)
読了日:2017年3月11日
高橋源一郎訳「方丈記」のみ読了。ホテル、フロントとか当時はない語彙や、京都の通りの名前、天皇の名前などなどの固有名詞はカタカナで通すとか、それも含めてくだけた文体でポップだなあ、と思いつつ、著者の伝えたかったことの本質を現代人にもわかりやすくするよう努めた点は伝わってきた。原語で挫折、角川ソフィア文庫の解説つき現代語訳で読んだ身には新鮮だった。
戦国繚乱 (文春文庫)
高橋 直樹 / 文藝春秋 (2004-12)
読了日:2017年3月11日
400年にわたり豊前国を平和に治めてきた城井宇都宮氏の鎮房、朝房父子。秀吉の九州征伐には対応できたが、戦後処理の国替を拒み、黒田如水の策謀を知りつつも抗しえず、一度は勝利を収めるも謀殺され、無念の滅亡の道行きを描いた、「城井一族の殉節」。後継者として自負と屈折を抱えつつ、雌伏する弟晴英との謀略戦に打ち勝ち、当主の座についた大友宗麟を描く「大友二階崩れ」。父義鑑の、家臣に無償の奉仕を乞うてはならぬ、けどそのような家臣を持つなら祝着、という言葉、田口蔵人の忠節、そしてその忠義に報いられず、一族を滅ぼす決断を下した宗麟、という図が目に灼き付く。御館の乱を舞台に、謙信に威厳も力量も遠く及ばず、家臣の信頼も薄い中、謙信の影に威圧されながらもその影を意識してまとい、常に冷静沈着な樋口与六(直江兼続)の後押しを受けて、乱を勝ち抜き、当主としても冷徹に完成されいく姿を描いた「不識庵謙信の影」。何度読んだかわからない作品集。何度読んでも苦い後味。
夷酋列像 展実行委員会 / 夷酋列像 展実行委員会 (2015-01-01)
読了日:2017年3月8日
夷酋列像、存在は知っていたが、クナシリ・メナシの乱で、松前藩による鎮圧に協力したアイヌの有力者を描いたものであるとは始めて知った。幕府に乱の不始末を悟られないよう様々に松前藩が工作したようだが、夷酋列像を作らせたのもその一環の意味合いがあったこと、また首長たちが身につけていた衣服類から、当時の東蝦夷地が松前藩、ロシア、アイヌ世界の最前線の地であることがうかがい知れる、と。遠い記憶で、船戸与一「蝦夷地別件」を読んだことが、手に取るきっかけになったので、こちらも再読したくなった。
交響曲第一番 闇の中の小さな光 (幻冬舎文庫)
佐村河内 守 / 幻冬舎 (2013-06-05)
読了日:2017年3月8日
吉本浩二「淋しいのはアンタだけじゃない」を読んで、ゴーストライダー騒動前に、著者がどういった自画像を世間に広めたかったのかという観点と、聴覚障害についての記載を中心に目を通す。そのまま受け止めれば、壮絶の上に壮絶、かつ劇的なのだけど、作曲ができなかったのだとしたら、作曲に苦しんでいた部分はすべてフィクションになるし、その他の部分も虚実はどうなのだろう、と思えてしまうが、それも含めて、世間に広めたかったイメージなのだろう、と。真実は闇の中にこそ隠れている、という末尾は今思うと暗示的。
銃座のウルナ 3 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA (2017-02-25)
読了日:2017年3月5日
自分だけが気づいていたと思ったことに、同僚もうすうす気がついていたことを知るウルナ。そして、今までの規模を上回る総攻撃。非命に倒れるものもいたが、終わった後にウルナに渦巻く思いは…やり切れなさ。
淋しいのはアンタだけじゃない 2 (ビッグコミックス)
吉本 浩二 / 小学館 (2017-02-28)
読了日:2017年3月5日
導入は、一時期話題になった佐村河内守氏のゴーストライダー騒動。そこから、様々な聴覚障害者や医師にインタビューして描かれる、「聴覚障害」という状態に含まれるグラデーション、多様な状況。まずもって見ただけでは障がいとは分からず、その程度もどんどん段階を追って悪化するケースが多く、障がいを得た年齢により、話せるかどうか、聞こえる程度、補聴器が助けになっているかどうか、などなど様々な段階があり、音が意味をもって認識できないことで悲しい思いをするエピソードが描かれる。また、耳鳴りは治療法がない、補聴器はある程度までしか補助にならない、といったことに対しては、最新の研究・治療なども紹介されている。そして、少しは落ちついたこの時期に、聴覚障害、という切り口で佐村河内氏にインタビューする著者と担当者。何度か接するうちに、佐村河内夫婦に好意を抱き始め、しかし、インタビュー内容やインタビュー時の様子と他のインタビューで聞いた内容とを付き合わせて、おかしいのではないか、いや、どちらでもいい、いや突き詰めないと描く意味がないしかえって失礼だ、と葛藤する様も描かれる。話がどう展開していくかはわからないけど、真摯に向き合おうとしていることは伝わってくる。
大奥 14 (ヤングアニマルコミックス)
よしながふみ / 白泉社 (2017-02-28)
読了日:2017年3月5日
薩摩からの篤胤の入婿。最初は反発されつつも、徐々に将軍との距離は縮まり。阿部正弘は、斉昭や井伊掃部頭を抑えつつ、身分や譜代にとらわれない人材登用を志すが…。この空のどこまでも飛べると思っていたのに、まさか自分の翼が折れる日が来るとは、という慨嘆。見違えるように壮健になった将軍を見て、漏らした一言に、篤胤が、そう思わなければやりきれなかった、自分の人生を一編の美しい物語とすることができた、と語ったシーンが心に残る。島津斉彬や西郷吉之助!一橋慶喜まで登場し、いよいよ幕末の風雲へと物語は進んでいく。
淋しいのはアンタだけじゃない 1 (ビッグコミックス)
吉本 浩二 / 小学館 (2016-05-30)
読了日:2017年3月5日
離婚男子 (光文社文庫)
中場 利一 / 光文社 (2015-12-08)
読了日:2017年3月5日
最初は、娘も置いて、洗いざらい家財道具も持ち出して、なんてひどい話だと思うが、それは掴みで、読んでいくうちにだんだんだんだん身につまされます…。そして一癖も二癖もある家族たち、周りの人たち。特に父さんのパワフルさとギャグセンスがツボでした。なんとなく、書き出した時と、最後の方で、考えを変えたか、結末を考えてなかったのではないかと思いつつ。それも含めて、楽しめた一冊。/香織にまかせ、両親にまかせ、仕事を理由に面倒や煩わしさから逃げていた。逃げてばかりいたら、今度は逃げられた。(p.39)/「英語で言うところの「SABORI」っちゅうやつや」「日本語やんけサボりは!」(p.40)/「こんなことしてる場合かあ!オレの夢はアイスクリーム屋の経営じゃあ!人の家の下水なんか知ったこっちゃないわい!」(p.65)/「世間では虐待や虐待や言うては女を責めますけどな、あんなもん、ぜんぶ男の責任ですわ。(略)女一人、やさしい気持ちで暮らせるように、ようせんのか!このド甲斐性ナシめ!」(p.180)/家の外で働く者は、一日中家に居る人のことを、ヒマって思ってしまうのよね...」(p.247)/子供の面倒はどうする?誰だそいつは?面倒くさいから放っておけ。それが嫌なら出て行け。きっと言っていたと思う。(p.319)
日日べんとう 8 (オフィスユーコミックス)
佐野 未央子 / 集英社 (2017-01-25)
読了日:2017年3月4日
茫然自失の出来事からのゆっくりとした復活。クールそうでいてあたたかく見守って引き上げてくれる同僚と、仕事が救ってくれる面と、そしてその父との邂逅。出迎えるなりパイが焦げたあ、とラリアットかまして今すぐ神ダッシュでパイ生地買って戻ってこいのシーンが好き。
クロコーチ(17) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-12-28)
読了日:2017年3月4日
クロコーチ (16) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-10-19)
読了日:2017年3月4日
ローカルビジネスで生きる
坪井大輔 / 株式会社アイテック北海道 (2014-05-27)
読了日:2017年3月3日
流行に対応したアプリを開発しても継続的な利益は得られない、しかし、今後も無くなることがない「決済」という行為に対してサービスを展開していけば、その過程で決済、売買に関する知識、ノウハウ、経験を蓄積できる。/ペルソナとは提供していくサービスのターゲット像。細かく設定することで、ユーザーファーストの視点を打ち出しやすくなる。/無料だったものに対して財布の口を緩めるポイントをフリクションポイント、と呼ぶ/といった視点が印象に残る。個人的には、もっとローカルビジネスだからこその、というところを記して欲しかった気もするが。
松村 栄子 / ベネッセコーポレーション (1995-04)
読了日:2017年3月2日
松村栄子作品、この本と「至高聖所」は何回読み返したかわからない。何年ぶりかで再読。主人公の幼少期から30歳近くまでの、思い惑い悩み、友人に恵まれ、けどもたれ合うわけでなく、それぞれの道を進むんで行き、たまさか道が重なった先で、つい引き比べてしまう。すきっと何かが解決するわけではなく、日々はまた続いていくのだけど、何かしら残っているのは確かなのだけど、といった読後感。/脱皮ばかり繰り返してわたしの肌はひりひりしている。もう身につける殻を間違えてはいけない。(p.33)/一回神経全部抜いて洗濯してきたら?(p.68)/愛してるなら愛してるだけでいいのよ、愛されるだけでいいのよ、証拠なんかいらないの、そういう関係を作りたいの。他人なんか必要としないくらいゆとりのある人じゃないと恋愛はできないんだと思う(p.91)/自分のしたいことに情熱をかけているという意味では、わたしたちの中で一番まともな時間を過ごしているのは彼だと誰もがわかっていた。(p.143)/ただひとつ望みがあるとすれば、自分を取り戻したいということだろうか。(p.212)/数付き合えばいいってものじゃないね、自分に合うひとをたったひとり見つければいいんだよね(p.220)/あたしたちは、一番イキのいいときにいい子のふりしてるとやっと五年間くらい拾ってもらえるのよ。何割引きかのお給料で(p.227)
河井継之助のすべて
安藤 英男 / 新人物往来社 (1997-10)
読了日:2017年3月1日
司馬遼太郎「峠」は河井継之助「塵壺」に沿ってない、今泉鐸次郎「河井継之助伝」の誤りに沿っている、という点と、巻末の年表とも内容が沿ってない、山田方谷のもとを訪れた時はすでに家老で、家老の家柄だった、という記述があったのが印象に。/「塵壺」の巻末に読んだ書物の名、金銭出納の記録、その他備忘的記録がある、とのこと、読んでみたく思った。/山田方谷の忠言は、予言的、「王陽明の書を読む者は、必ずといっていいくらい、彼の事項を慕い、功名手柄を学ぼうとする。その挙句、今世に施そうとして、かえって乱賊の頭となってしまう。これらは総て彼の書の読み方を誤ったもので、かくなっては彼の書も亦、寒心すべきものとなる。」。/また、ガトリング機関砲は、銃身がすぐ詰まり、連発の利点が失われ、カタログの性能とかけ離れており、そのため武勇伝が残ってないのでは、と。/家老となった河井継之助は、財政再建、兵制改革、門閥の平均、を推し進めた。
トドワラと太陽の大地―野付風蓮道立自然公園
広木 忠雄 / 北海道新聞社 (1996-02-19)
読了日:2017年3月1日
春と夏しか行ったことがないので、冬のトドワラが写真で眺められたのは貴重。ただ、もっとトドワラの写真があればよかったなと思いつつ。この写真は約20年前のもの。トドワラは年々、朽ちていくようだけど、今はどうなっているのだろうか。


2017年03月03日

2017年02月に読んだ本

期間 : 2017年02月
読了数 : 47 冊
人間仮免中つづき (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
卯月 妙子 / 小学館 (2016-12-12)
読了日:2017年2月27日
離れ離れの生活を経ての、一緒に暮らす時間も、平穏無事とはいかず、副作用で上がりっぱなしになったかと思えば、ボビーも不調になったり、と壮絶なエピソードがつづき。けど、紆余曲折を経ての、最後の、これから最終ページ描くよ、のシーンが良かったなあ。
平凡倶楽部
こうの史代 / 平凡社 (2010-11-01)
読了日:2017年2月27日
ユリイカのこうの史代特集を読んで読みたくなり。おもちゃ箱をひっくり返したかのような、エッセイからマンガから、自分が生まれた年の光景を再現しようとしてみたり、フォントの配置と太さで風景を描いてみたり、様々。「なぞなぞさん」にみる、取材の体をした、その実記者の拾いたい言葉だけを拾って、あたかもインタビューを受けた側が語ったように見せる記事への皮肉。「古い女」に見る、ただただ流れに乗っていいなりに従っているようでいて、そうでなくては笑って戦争に送り出せない、とつぶやくひやりとした感触。ユリイカで、こういうのやってみたかったと語っていた、意外にも思える、萌え4コママンガ。パラエティに富んでいて楽しめる。最後は、戦争を語り継ぐことについて。「苦難を乗り越えて、誰かや何かの記憶を語ったり秘めたりしながらわたし達に接してくれた、という現実こそが、わたし達にしか伝える事の出来ない戦争の一面だとも思うのだ」
講談社 (2017-02-25)
読了日:2017年2月26日
今号は、波よ聞いてくれ、と高橋ツトムのボクシングマンガが休載でちょっと寂しい。四季賞の星のまたたきは、青春のキラキラをすくい取っていて清々し。宝石の国は、ついに月に乗り込んだフォス。何を知るのか。ヴィンランド・サガは、大きく物語が動くか、分裂に分裂を重ね。新連載のシンギュラリティは雲をつかむ、はなぜ乗りたいかの叫びに心惹かれ期待を持たせる。球場三食は、千葉県民のロッテ愛が伝わり。ミコさんは腑に落ちない、のエンさん人が出来てるなあ、という思いと、徐々に周囲に受け入れられていく様子が微笑ましく。あしあと探偵の、そうすれば僕が必ず見つけ出しますから、の力強さ。イサックは、さらに鉄砲の腕前を披露するが、大軍を目の当たりにしてどうなるか。
ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)
三上 延 / KADOKAWA (2017-02-25)
読了日:2017年2月26日
今回のテーマは、シェイクスピア。様々な場面で引用される名台詞たち。そして写本をめぐる、仕掛けたと思えば、仕掛けられ、わずかな表情をも見逃さない応酬と、読みに対して、さらに深い読みをぶつけて、白熱の戦い。最後は大団円、そうなるだろうとは思っていたけど、期待通りの。そして、スピンオフもたくさん出してくれるとのことで、そちらも楽しみ。ヴェニスの商人、リア王あたりは、読み返したいな、と思った。/以下備忘録。/「ああ、歓び以外の思いはすべて空に消えてゆく。数々の疑惑も、先走った絶望も、ゾッとするような不安も、緑色の目をした嫉妬も」/世界が舞台で人間はそれを演じる役者だというのは、シェイクスピアの戯曲にしばしば登場する考え方/「同じものを食い、同じ武器で傷を受け、同じ病気にかかり、同じ治療で治り、同じ冬の寒さ、夏の暑さを感じないと言うのか?」/その時々でこれこそ自分と言いきれるのが本当の自分。単に感情の強度があるだけで、人間はその強度に応じて決断すればいい(智恵子)/お前自身の覚悟がすべてなんだ。残りの人生なんてどうせ誰にも分かりゃしねえよ。(志田)
彼らが本気で編むときは、
荻上 直子 , 百瀬 しのぶ / パルコ (2017-01-18)
読了日:2017年2月26日
映画を観たあとに購入。映画より何シーンか足されていて、細かい表情や人物の背景も書き込まれていて、映画と合わせて読むと、より楽しめるつくりになっていた。
図書準備室 (新潮文庫)
田中 慎弥 / 新潮社 (2012-04-27)
読了日:2017年2月26日
田中慎弥「孤独論」つながり。「冷たい水の羊」のみ読了。「冷たい水の羊」が、孤独論で語られることの一端を小説で描いた、ということで手に取ったが、重苦しい気持ちに。いじめを受ける、中学生。いじめられてないと考えれば、いじめなど存在しないという論理、そうして目の前のことをやり過ごそうとするが、だんだんと共犯関係のような気もちが醸成され、最後のところへ向かおうとするところで、差し伸べられた手なのか、謎めいた伝言、そして、それでも続くことが示唆される…。ちょっと読後感が重すぎて、表題作の「図書準備室」に手が伸びず。
夢十夜
近藤 ようこ , 夏目 漱石 / 岩波書店 (2017-01-20)
読了日:2017年2月26日
夏目漱石「夢十夜」のマンガ化。第一話は強烈な印象に残っていたが、その他の話の印象は濃淡があり。崖から馬で落ちた話、パナマ帽の男の話、床屋で髪を切られながら外を眺める話。淡々とした描写に、不思議な後味、味わいを残してくれて、また小説の方も手に取りたくなる。
IPPO 5 (ヤングジャンプコミックス)
えすとえむ / 集英社 (2017-02-17)
読了日:2017年2月25日
3日じゃないよ12年かけたんだよ、という父へ贈った靴。手を伸ばせば靴を作る仕事があった、良い靴を作りたいとだけ思っていては、進めないステージがあるのか。プロポーズに使いたいとありったけの思いを込められた靴。人生最高の靴を、と望む師匠でもある祖父への靴。ようやくできた大切な存在。そして三年後。多くは語られないけれども、店は続き、幸せなイベントが、と感じさせてくれて物語は閉じる。
『刻刻』番外編―300日後― (モーニングコミックス)
堀尾省太 / 講談社 (2014-12-19)
読了日:2017年2月25日
ちょっとした後日談。戻ったあとにどう報じられたのか、それを元に動き出しそうな芽を…といった短編。本編を読んだ後のほっと箸休め。
野良猫を尊敬した日
穂村 弘 / 講談社 (2017-01-24)
読了日:2017年2月25日
主に北海道新聞に連載のものをまとめたエッセイ集。これ、ここに書いて、その後の人間関係気まずくなったりしないのだろうか、周りの人は穂村さんのエッセイを読まないのだろうか、と余計なお世話。翻訳者が来日するけど、英語の会話が壊滅的にダメだから、仮病で逃げたなんて、間に入った編集者や翻訳者本人に知られす可能せいのあるエッセイに書けるぐらいなら、腹をくくって直面できるのでは?と。まあ…帯にある、数々のめんどくさいエピソードの一環なのかもしれないけど。インターネットをうちにひくのがめんどくさくて、朝も昼も夜も嵐の日も、ネット環境のために、漫画喫茶に通い詰めたエピソードのように。ただ、ダメだなあ、と他人事として笑うとはできなくて、わかる。やらなきゃならないのに、面倒で、他の人から見たら大したハードルではないのに、ずるずると引っ張って、やってみたら便利で快適で、長い間俺は一体何をやっていたのだろうと思うことは往々にしてあるから。あとは、天職をめぐるエピソードで、客席からのこの職業に就いてなければどうしてましたか、という質問に若手歌人が「自殺してました」といった強度とその後の自分の言葉の強度を比べてしまったシーン。社の保養所に早めに着いてしまったら、社内恋愛らしきカップルの女性の方だけ、紙袋をすっぽりかぶって通り過ぎていったシーン。恵迪寮歌の前口上に寄せて、青春らしい出来事は何一つ起こらなかった、我が「絢爛」の「饗宴」よと思いをはせる一節。寮のクラスメイトが後年、夫婦喧嘩でハイキックを受けて、痛くないよ、と言ったら奥さんが悔しがって空手教室に通い、綺麗なハイキックを決めるようになった話。描きたいものがある、に対して、訳も分からず書いたものが新たな世界の扉を開くのでは、今までの常識を覆し、何か表現された瞬間に、私と世界の間に新たなものが生まれるのでは、という語りかけ、が目を引いた。
蝮の孫
天野 純希 / 幻冬舎 (2016-12-15)
読了日:2017年2月25日
暗愚な君主と言われた斎藤龍興。一度城を追われたことで、行政に、戦に目を向けるようになるが時すでに遅し。国を追われ堺に。戦はもうごめんと商家でやっかいになるが、かつての部下の思いにうたれ一念発起してまた戦陣に身を投じ、最期は…と。斎藤家では力を発揮できぬと織田家に身を投じた竹中重治との対比もあざやか。後日談は、伝承の域だろうが、世間の名声からすると彼我の差は明らかだがどちらが満ち足りた人生かは考えさせられる。
刻刻(8)<完> (モーニング KC)
堀尾 省太 / 講談社 (2014-10-23)
読了日:2017年2月25日
対決から共棲、帰還、何事もなかったかのように、日々が戻ってきたように見えるけど、おそらく前と全く同じになったわけでもなく、大団円といえば大団円、旧式の時計が高らかに刻を刻みながら。
古代ギリシャのリアル
藤村 シシン / 実業之日本社 (2015-10-15)
読了日:2017年2月25日
HISTORIAの読書ブログつながりで。興味深いエピソードがてんこもり。パルテノンが一度爆破され、復建されてたとは知らなかった。また、なんとなく一個のギリシア神話という確固とした軸があるのかと思っていたけど、最高神の位置付けすら差異があるような、うちの都市が一番◎◎神に愛されてるんだ!と主張しあうような、自由で多様性に富んだものだったとは。地理的のみならず、時間軸でも、古代ギリシャの原典群に、古代ローマのレイヤー、ルネサンス期のレイヤーなどがかけられ、現代に語り継がれている、と。オリンポスの神々で惹かれたのは技術に生きるヘファイストス、知恵で渡り合うヘルメス。あとがきにもあるように、「青い空、輝く海。美しき白亜の神殿、パルテノン」という古代ギリシャのイメージを、「古代ギリシャ!プロンズ色の空、ワイン色の海。美しき極彩色の宝物殿、”百足(ヘカトンペドス)”」(p.264)と心地よく覆してくれて。ただ、素人考えから最後の一個。生きるために働くことは卑しいと考えていたのならば…。古代ギリシャ人はどうやって収入を得て、裕福な暮らしをしていたの??というのが、この本からはうかがい知れなかった。
たそがれたかこ(9) (KCデラックス BE LOVE)
入江 喜和 / 講談社 (2017-02-13)
読了日:2017年2月22日
たかこの突然のシャウトと突然のバンド宣言。耐えて我慢する姿を見せつづけるよりは、楽しんでる姿を見せた方がいいと背中を押され。そして引っ越しの知らせを聞いて、大好きなラジオを聴きながら涙を流す。美馬さんと甥っ子とマキは鉢合わせ。みまっちの優しいとこは大好きだけど、ジジイだからなんでもわかってるみたいなところは大嫌いで幕を開けたシーンは、けっきょくはみんな思うところを吐露して。次の巻で終わるというのが寂しいきもちに。
司馬遼太郎全集 (31) 花神2・斬殺・慶応長崎事件
司馬 遼太郎 / 文藝春秋 (1974-03-30)
読了日:2017年2月21日
「英雄児」のみ読了。司馬遼太郎「峠」つながりで。「峠」の骨格というか原型ということなのだろうか。最初の方は、鈴木虎太郎(無隠)の目線で語られ、後半は作者の視点で語られる、河井継之助像。土田衡平に「世帯が小さすぎる。小藩であれだけの男がいるというのは、藩の幸せか不幸せか、こいつは天のみが知ることだ」、山田方谷に「あの男が、長岡のような小藩にいるのは、藩として不利か有利か」と語らせ、以下、「峠」を読んだ身からすると、そこまで厳しく、という視点が綴られていく。一度、そのように描いた人物を、魅力的に膨らませて描こうと思ったのはなぜなのか、気になるところ。/時勢に対して天下随一と言っていいほど鋭敏な男が、「京都朝廷を中心として統一国家をつくる」という政治概念を、ただ一度も持ったことがなかったのである。/(牧野家の家宝什器を全て横浜の外人に売り、江戸長岡の米を米価の高い函館で売り、江戸と新潟の銭相場の差を使い、)長岡藩そのものがブローカーに化したかと思われるほどの荒かせぎをした。/武装中立を表明し、動かない。このあたりが継之助の限界というべきものであった。/継之助は意識的に官軍を愚弄していた。自分の背景に日本随一の装備があることに、自信を持ちすぎていた。/河合はもはやいっぴきの鬼になった。何の得るところもない戦さに、かれは長岡藩士のすべてを投入しようとした。/この墓碑が出来たとき、墓石に鞭を加えにくる者が絶えなかった。多くは、戦火で死んだ者の遺族だという。/おすがは居たたまれずに、縁者を頼って札幌に移住し、明治二十七年、そこで死んでいる。/
Madam M.A / Madam M.A (2016-01-01)
読了日:2017年2月20日
シャンティブックスのTweetで見かけて興味を持ち購入。旅先の写真+セルフメイクアップ写真+音楽、という組み合わせに惹かれて。キャプションはないけど色彩の濃いものが多く感じられる外国の風景。すっぴんに近い写真とのギャップが際立つ、時に攻撃的に感じるくらいインパクトのあるというか癖のあるセルフメイクアップを交互に眺めながら、なんとはなしに心がざわざわしてくる。付属のCDをかけながら、もう一度頭から眺め直してみたけど、おそらく画像を解説するような舞台音楽のようなものではなく、心象を綴ったものだろうからか、自分の中ではうまく重ね合わせられなかったのだけど、その違和を楽しむのもまた一興と思った。
孤独論: 逃げよ、生きよ
田中 慎弥 / 徳間書店 (2017-02-09)
読了日:2017年2月20日
cakes で見かけて興味が湧き手に取る。”「奴隷」とは、有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人を指します。”、脱したいなら、今いる場所から逃げること。/”頼れるのはセンサーたるあなたの肉体と、センサーが示唆する適不適を見逃さないあなたの頭です。”、それがあってインターネットを始めとする電子技術、情報の渦を使いこなせるのではないか。/”独りの時間、孤独の中で思考を重ねる営みは、あなたを豊かにします。そうした準備、練習が、仕事に幅をもたらす。あなたを解放する。”といったあたりが骨子かな、と思った。会社勤めの経験もなく、携帯すら持たない生活をする私が言っても…と言いつつも、そう言った地点から外界を見た視点が、意外と本質をついてるところもある、というのは興味深いな。
夜は短し歩けよ乙女 (5) (角川コミックス・エース 162-6)
琴音 らんまる , 森見 登美彦 / 角川グループパブリッシング (2009-02-26)
読了日:2017年2月19日
3-5巻まで読了。がんばった、先輩がんばった。認識すらされてない、親睦も深められないところから、空回りで遠回りだけど、探したり劇に出たり祭りに行ったり風に巻かれたりして、たどり着いた。何を話そうか、って、きっと聴いたみたいことがお互いたくさんあるはず、そんなあたたかい雰囲気を感じつつ物語の幕がおりた。
深夜0時にこんばんは
冬川智子 / 太田出版 (2013-04-04)
読了日:2017年2月19日
深夜0時のラジオ番組を愛聴する、同業の子に恋するイラストレーター、ハガキ職人目指す中学二年生、一度は音楽の夢をあきらめた専業主婦。一話ごとに主人公が入れ替わりつつ、少しずつ進んで行くエピソード。ラジオからの言葉に背中押されて、進んでみたり、蓋をしていた気持ちに気付いたり、単純なハッピーなエンドなんてないけど、番組みたく突然うちきられることもなく、モヤモヤとした少し苦い思いを抱いたまま人生はつづく、と。
将棋めし 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
松本 渚 / KADOKAWA (2017-01-23)
読了日:2017年2月19日
棋士の対局中のごはん、験をかついだり、脳の糖分補給を優先したり、対局相手への対抗心で選んだりと興味深く。主人公のなゆたさんの食べる時の喜び、味わってる描写もいいなあ、と。直接乗り込んできたファンの子とのやり取りをした後に、突撃は苦手な人もおるからねと穏やかに諭したり、解説を一緒にやった女流棋士の自虐な絡みをなんとか受け切った盤外の指し手も印象に。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2017-01-28)
読了日:2017年2月18日
シャンティブックスで購入。今回は西日本を舞台に、見開き2ページ、右にイラスト、左に一言の構成。看板を4つ紹介しただけの大阪、原爆ドーム一枚の広島、など斬新すぎる旅行記。看板や味のある建物、碑などに興趣を感じるんだなあ、と。モリテツヤさんの汽水空港の書店、気になりました。そして、巻末の愛宕念仏寺に一人混じる野崎さんの写真を見て、思わず「何やってんですか 笑」と声が出てしまいました。
ビジネスエリートの新論語 (文春新書)
司馬 遼太郎 / 文藝春秋 (2016-12-09)
読了日:2017年2月18日
60年前、司馬遼太郎が本名で書いたもの。もとは新聞記者と聞いてはいたが、戦後の混乱の、度胸とハッタリで潜り込み、渡り歩いてきた新聞記者だったのは初めて知った。また、大成とは俺のようになることだ、と言わしめた、二人の老サラリーマン、若き司馬遼太郎の目から見ても、惨めな人生かと思われた彼らと語り合ったシーンが印象に残る。高度経済成長期の入り口とも言える時代、今から考えると、と古臭く思えるところもあれば、60年経っても変わらないところもあり。以下、備忘録と雑感。/私は一生涯、一日の仕事も持ったことがない。すべてが慰みであったから(エジソン)/順調な出世の登山道が壊れてきたので、サラリーマンに人生派が激増した、とあるが、そういうのは高度経済成長が勢いを失った後のことかと思ってた。/「いちばんバカげているのは、徒党を組んで飲屋へゆき、上役の悪口や同僚のタナ卸し、サラリーの上りそこねた話に浮身をやつしている手合だ」/悪口は意地の悪い人の慰めだ(シューベル)/源氏鶏太の立春大吉を主人公にした「天下泰平」、読んでみたく思った。当時でも珍しく思えた、意気に通ずるサラリーマンを描いたのだとか/「愚痴はいかに高尚な内容でも、またいかなる理由があっても決して役に立たない」(エマーソン)/死ぬまで働けるような自分を在職中から育てあげるべきだ。/二十年もつとめて、なお、不遇をカコち、おのれの努力と実力のむくわれざらんことをイキドオリ、ウナギノボリに出世してゆくかつての同僚を嫉視するなどは、下司下根、釈迦も救いようのない亡者と言えるだろう/
峠 (下巻) (新潮文庫)
司馬 遼太郎 / 新潮社 (2003-10)
読了日:2017年2月18日
自分の思想を磨きあげるために漫遊し、一朝ことあらば駆けつける姿勢やよし。けれども、後世の後知恵だけでなく、当時、幕府、新政府軍、奥羽列藩、日本へやってきた外国人たちや、長岡の臣民も思っただろうことだろうけど、一言で言うと、もったいない。どうして、時代が、幕府や藩、武士というものまでなぎ倒してなくしていく未来を見通しながら、あくまで幕府につかえる譜代大名牧野家の一家老である、という立場を崩さなかったのか。陽明学に学び、己の思想を磨き上げた末の美学であるなら仕方がないが、巻き込まれた牧野家の人々には迷惑なことだったろうと思う、結果だけ見ると。運命の成り行きで一時はなるかと思えた武装中立が破れた結果を知る身ゆえ、なおさらなのだけど。結果だけ見ると、どうせ戦うなら、もっと早くから戦線を組み、要所を押さえ、戦うなりの政治的な動きをすればよかったし、降伏なら降伏でもっと早く降伏すれば、犠牲は出なかった。武装中立を目指して破れたというのが一番結果としては悪かったように思う。けれど、司馬遼太郎の筆は、一個の英傑として河井継之助を魅力的に描いている。そこがうまいというか、凄みというか。以下備忘録。/知識という石ころを心中の炎でもって溶かす/俺の命は刺客になるほど廉かねえよ/住みやすくはあるが、物を考えなくなる。寝床は冷ややかな方がいい/人を訪ねることは人を食いに行くことだ/不遇を憤るような、その程度の未熟さでは、とうてい人物とはいえぬ/酔生夢死だな。為すこともなくこの世に生き、そして死んでゆく、その覚悟だけはできている。この覚悟のないやつは、大した男ではない/願わくは一生、拍子木を叩いて青楼に登る、という暮らしがしたいものだ。/汝に休息なし/安全な道などない。あるのは、賭博だけだ。しかし藩を藩主ぐるみ賭博に投じていいのかと言われれば一言もない。/継之助は、長岡藩という藩に対し、分不相応の芝居をさせようとした。/河合さま。勝つ勝つとおっしゃってこのありさまは何事でございます。/解説によると、もう少し厳しい視点で司馬遼太郎が河井継之助を描いた「英雄児」という短編もあるようなので、読んでみたい。
ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)
堀尾 省太 / 講談社 (2016-06-23)
読了日:2017年2月17日
ゴールデンゴールド(2) (モーニング KC)
堀尾 省太 / 講談社 (2017-01-23)
読了日:2017年2月17日
瀬戸内海の小さな島に拾われた福の神。居着いて商売を繁盛させる一方、かかわる人たちを少しずつ変えていき。ある人の福はある人の災いだったり、見えるもの見えないものの差もあったり。どんどん活力を増して行くものもあり、懐疑を抱くものもあり。複雑な様相を見せて行き。目的はなんなのか、気になるところ。
キングダム 45 (ヤングジャンプコミックス)
原 泰久 / 集英社 (2017-01-19)
読了日:2017年2月17日
黒羊戦の終了、そして、東からの思ってもみない巨大な人物の来訪。中華をどうするかという理想が語られ、激論が巻き起こる。一方、飛信隊は、新たな戦力を手に入れるため選抜試験に臨む。
東京タラレバ娘(7) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2017-01-13)
読了日:2017年2月17日
波乱か波乱なのか、と思ったら大人に交わしつつ、全力でおさまるところにおさまるかとと思いきやからの、またひっくり返そうというところまで。どうなることやら。あと、巻末の相談コーナーとおまけマンガの内容の分厚さに圧倒される。
峠 (中巻) (新潮文庫)
司馬 遼太郎 / 新潮社 (2003-10)
読了日:2017年2月17日
峠 (上巻) (新潮文庫)
司馬 遼太郎 / 新潮社 (2003-10)
読了日:2017年2月14日
トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ (ちくま文庫)
ドナルド・J. トランプ , トニー シュウォーツ / 筑摩書房 (2008-02-06)
読了日:2017年2月13日
アメリカ大統領就任を機に、何か一冊、それも本人が語ったものを読みたいと思い、30年前に書かれた自伝を手に取る。読み終わって…これはもうあれでしょ、書かれてることを全て受け入れるなら、誰でもトランプのこと大好きになっちゃうやつでしょ。使い切れないほどお金持ってて、それでも仕事には、というより取引に貪欲で、自治体やライバルたちができないような仕事を、短時日で正確に仕上げ、大がかりに宣伝して、大きな売り上げを手にする。かと思えば、市民へのサービスを向上させたり、時には土地を取り上げられそうになって困ってるおばあさんを颯爽と助けたり。そして、いい事ばかりではなく、負けた話もきちんと書くあたり、好感が持てたり。まずはばーんとふっかけて、それから落とし所を探る、というのや、自分が正しいと思ったら、頑として退かない、というのは、今も変わってなくて、ブレてないなあ、とは思うけど。ただ、このころから、今までの30年に間に、様々なことがあって、今のトランプ大統領になったのだろう。その間隙を埋める本も読んでみたく思った。
雑草たちよ 大志を抱け (フィールコミックスFCswing)
池辺 葵 / 祥伝社 (2017-02-08)
読了日:2017年2月12日
地方の女子高生たちの群像劇。好きなことに一生懸命なのはカッコいい、ひぃちゃんと夏目のダイアローグがいい。なづなさんへ向けた、ピコの母の、愛することにも愛されることにも素直になりなさい、にグッとくる。学校生活は時に残酷だけど、深く理解してくれる信頼してくれる存在もいて、その対話が愛おしく味わい深い。
タカコさん 2 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2017-01-20)
読了日:2017年2月12日
日常の中のちょっとした喜びやイヤなことがあってもほぐしてすすんでいくタカコさんのたたずまいが好きです。
お肉ガール(1) (Ruelle COMICS)
川本スガノ / 実業之日本社 (2017-01-28)
読了日:2017年2月12日
肉を愛し愛し抜いてる米沢さん。牛肉好きなら引けを取らない室長。しゃぶしゃぶ、焼肉、ステーキ、牛カツ、バーベキュー、とこれでもかと美味しく食べるための知識を傾けてくれて、読んでてお腹が減る。そして、肉を見過ぎて人を見ずで、婚活連戦連敗の米沢さん。青い鳥は近くにいても気づかれにくく…。もっともっと肉の話が読みたくなる。
僕はコーヒーがのめない 7 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2017-01-30)
読了日:2017年2月12日
完結。全然内気でおどおどしてた花山が、自分の好きなコーヒーを梃子に、粘り強く、堂々と成長していく姿が、読んでいて清々しく。
でぃす×こみ 2 (ビッグコミックススペシャル)
ゆうき まさみ / 小学館 (2017-01-30)
読了日:2017年2月12日
兄の助力を得ながらのストーリーづくり、オリジナリティーを出そうと悪戦苦闘する妹。クラスメイトや兄の友人に助けられつつの綱渡り。担当編集は一瞬疑いを挟むが…。もう、原作兄、作画妹でいいんじゃないかと思いつつも。この齟齬を楽しむ感じに。
おかあさんの扉6  ピッカピカです六歳児 (オレンジページムック)
伊藤 理佐 / オレンジページ (2017-02-02)
読了日:2017年2月12日
子育てはお酒が進む、の帯通り、娘ちゃんが言ったひとこと、できるようになったことの一つ一つがうれしくって、お酒飲むネタになる吉田夫婦、のシーンが良かったなあ。
WIRED(ワイアード)VOL.25[雑誌]
Conde Nast Japan (コンデナスト・ジャパン) / コンデナスト・ジャパン (2016-10-11)
読了日:2017年2月12日
分散型台帳としてのブロックチェーンの技術。暗号化技術の進展により、より精度の高い認証が、中央集権的ではなく、ユーザー同士の演算により行われる、といったもの。未だ一読全容を掴めた、とまでは言えないが、ブロックチェーンの技術を生かしたさまざまな事業なども紹介され興味が尽きない。/闇サイトSilk Roadの繁栄と崩壊、多数決の思想、ブックコーディネーターの語る新たな出版の可能性、この雑誌を手に取らなければ決して知ることのなかったニンジャとヨーランディ、というアーティストのインパクト。ブロックチェーン以外のさまざまなトピックにも触れられ得難い読後感。以下備忘録。/一般的に「自立」の反対語は「依存」だと勘違いされていますが、人間は物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないんですよ。(中略)だから、自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない。(熊谷喜一郎さん)/STAMPERY:全てのメール、データセットを公証するサービス。/UNPATENT:特許権乱用を撲滅するクラウドファンディング。/宋が滅びても宋銭は明朝でも使われていた。貨幣とは国の保証がなくたって、流通することは、ビットコインのはるか前から知られていたのです。/貨幣が貨幣として使われ続けることに対する人々の間の相互の矛盾、いや、相互の信頼がその価値を支えているにすぎない/
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
田中 圭一 / KADOKAWA (2017-01-19)
読了日:2017年2月12日
著者本人の体験談から始まって、出版関係の方々、大槻ケンジさん、宮内悠介さんなと、作家、ミュージシャンへのインタビューもあり、どういったときにそうなったか、どうやって抜け出せたかを丹念に聞いていく。もちろんみんながみんな、同じ道筋をたどるわけではないが。最後には、纏めると、人間は本質的に、自分が好き、肯定されたい、必要とされたい、これに抗うと心が弱る。ウツな気持ちが追っかけてくることがあっても、法則を掴んで、うまく付き合え、と。
プリニウス5 (バンチコミックス45プレミアム)
ヤマザキマリ , とり・みき / 新潮社 (2017-02-09)
読了日:2017年2月11日
アフリカを旅した男から聞いた話に触発され、急遽アフリカに向かうことにしたプリニウス。ポンペイの有力者の紹介で船に乗り込んだが…。火山島での噴火との遭遇、カラス使いの海の民の子供、ウミウサギをはじめとした不思議な動物やエピソード。思ったことぜんぶ口に出してる感のあるフェリクスさんも大活躍で。続きが気になる。
何者 (新潮文庫)
朝井 リョウ / 新潮社 (2015-06-26)
読了日:2017年2月10日
ちょっとずつ軋みながらも構築される人間関係。全面的に心開いたり、仲良くなったりなんかできない。TwitterやFacebookに入れば生きていることはわかるけど、もちろんそれをそのまま本人と受け取ることなんてできない。/「痛くてもカッコ悪くても、何者でもない私たちは足掻き続けるしかないの!それを観察者として嗤ってても何者にもなれやしないの!」というメッセージが伝わってきた。サワ先輩の「ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと」という言葉、瑞月さんの「人生が線路のようなものだとしたら、自分と全く同じ高さで、同じ角度で、その線路を見つめてくれる人はもういないんだって」て言葉も刺さる。
ユリイカ 2016年11月号 特集=こうの史代 ―『夕凪の街 桜の国』『この世界の片隅に』『ぼおるぺん古事記』から『日の鳥』へ
こうの史代 , 片渕須直 / 青土社 (2016-10-27)
読了日:2017年2月9日
映画「この世界の片隅に」を見て、原作の「この世界の片隅に」を読んで、この本を読んで、また「この世界の片隅に」「夕凪の街 桜の国」「長い道」を読んで、というように繰り返し楽しむ。そして論考を寄せた方たちの、そんなところにまで気付いたんだという着眼点に驚き、事象を集めて筋道立てて意味づけをしてくれる論旨の展開に舌をまく。以下、備忘録。/西島さんとの対談での、すずさんにとっての水原さんと周作さん、道さんにとっての荘介と竹林どのに抱いている三角関係の感情、愛するということは素晴らしい、好きなものが沢山ある方が絶対に人生得なのに、対象が人間だと不幸になってしまう、そんなところに興味があり新鮮な感動を覚える、と。/紙谷高雪さんの「悪い記憶も引き受けることで、晴美との笑顔の記憶が何十年も残り続けることができる、というのすずの出した結論なのだ」と言う指摘/のんさんとの対談での、楠公飯食べたいに対する、私は残飯雑炊の方食べたかった、あるいは、すずさんと似てると思うけど、違うところは結婚できてるとこ!という笑顔が、すずさんそっくりなイラスト、そして下巻の表紙のすずさんの右手の表すもの、などが印象に残る。/中田健太郎さんの論考で取り上げられる、こうのさん作品の「原爆の惨禍をやたら美しい悲劇として昇華したがるもの、それらに吐き気を覚えるのです」というシーン、こうのさん自身による「この時代の人はこういうことをやっているからダメなんだ」と思って終わりにしないための描写。/吉村和真さんの論考での、こうのさんに、標準語と広島弁の書き分けの意図について聞いたところ、「はっきりわかりませんが、そうすべきだと思ったので、そうしました」と回答を得たこと。/村上陽子さんの、政治性が忌避され、日常性が称揚される-原爆文学や漫画をめぐって、なぜそのような事態がくりかえし生じるのだろうか。という問いかけ。「死ねばいい」と誰かに思われた自分の記憶をともに受け止め、生を肯定してくれる存在がある。皆実はそのことを自己の回復の足がかりとしようとしていた、という指摘。/こうの史代Special interviewでの、”人生というのはもともと真っ暗な道で、真っ暗な中に「こういう人になりたい」「こういうものが作りたい」という方向にだんだんと灯りがともってゆくようなものだと思うんですが”
二重螺旋 完全版
ジェームズ・D. ワトソン / 新潮社 (2015-05-29)
読了日:2017年2月8日
「知の逆転」つながりで。才気あふれる筆致で描かれる、ノーベル賞受賞に結びつく発見までの軌跡。半世紀以上前の科学の現場を実感させてくれる。科学研究に関して、イギリスは仁義があったけど、アメリカやフランスにはそんなものはなかった、と。誰かが先鞭をつけていれば、イギリスでは多少遠慮があるが、アメリカやフランスならいけいけどんどん。著者のワトソンがどのようにして研究分野を決め、揺らぎ、興味を持ち、DNAにたどり着き、構造を突き止めるために、研究し、対話し、ひらめき、研究生活を送り、人間模様の渦を巻き起こし、巻き込まれ、といったことが描かれ、スリリングで引き込まれた。相棒とも言えるクリックの造形も個性的で力強く印象に残る。模型を使った思索が、ひらめきに重要な示唆を与えているのも興味深い。最初に二重螺旋の構造を明らかにしたワトソンとクリックだが、ウィルキンスとの差は、タッチの差だったと言える。普段、科学が題材のノンフィクションは敬して遠ざける身にはなおさら。やはり、「知の逆転」のワトソンのインタビューが面白かったから、としか言いようがない。そして完全版で原書に付された膨大な注と資料は非常に効果的に感じた。事実誤認や、公平とは言えない見方、資料による補強が、原書の内容をさらに奥深くしているのではないか。/モーリス「DNAの構造がわかれば、遺伝子がどんな仕組みで働くのかを理解するためにわれわれはより良い位置につくことができます」p.65/ロージーは意地悪でそんなことを言っているのではなかった。なんとこの期に及んで、ロージーのDNA試料の水の含有量に関する私の記憶が、どう考えても間違いであることが判明したのである。p.151/ペルーツは礼儀上、問題の部分をワトソンとクリックに見せる許可をランダルから取り付けるべきだったと認めた。p.289注/フランシスが昼食の時間にイーグルへ飛んでいき、声のとどく場所にいるみんなに、生命の謎が解けたぞと言い放ったときには、私はかすかな胸騒ぎを覚えた。p.310/「デオキシリボ核酸(DNA)について、その構造を提案する。この構造には、生物学的観点からきわめて興味深い、新しい特徴がある」p.344
江川と西本(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス)
森高夕次 , 星野泰視 / 小学館 (2015-04-23)
読了日:2017年2月6日
江川と西本、往年の巨人でスターとして君臨した江川と、実力はあれど比較すると地味な存在だった西本。少年時代の出会いから説き起こされる。怪物、江川。数多のノーヒットノーラン、完全試合をやってきた高校生。けど、最後の、俺、兄がプロ野球とか、甲子園優勝とかいうの聞くと、つい力入っちゃうんだよな、ごめんな、みたいなのは、なんとなくグラゼニの主人公の、自分より、年収の低い選手には力が入っちゃう、みたいなものかと思ってしまった。
明治維新という幻想 (歴史新書y)
森田 健司 / 洋泉社 (2016-12-05)
読了日:2017年2月6日
一言でいうと、新政府軍=私欲=悪、幕府側=無私=善、といった内容。江戸の庶民が、判じ絵、錦絵を流行らせ、その意図するところを明らかにできる、高度な教養を持っていたこと。両軍共、戦争をする勢力として冷めた目で見ていたこと。さりながら、密かに、幕府軍の勝利を望んでいたこと。江戸無血開城における勝海舟、山岡鉄舟、篤姫、和宮の奮闘。庶民の命や自分の手駒が死んでも、目的が達せられればいいと描かれる西郷。話し合おうという幕府側の試みを一切はねつけ、会津では恭順すら拒否し、暴虐を尽くす。広く衆議にて治めると言いつつ、薩長土肥のみ高位につき、議会ですら二十年近く開かれず、と。が、私欲、無私という動機の面だけでは、好き嫌いを語れても、歴史を語れないし、著者の提示する枠組みから外れることはすべて捨象されているようにも思う。一会桑の一翼を担った松平容保・定敬兄弟が、兄は長い謹慎後神職についたこと、弟は箱館まで転戦し、上海に密航したりするも捕まり、謹慎生活、というように過ごしたことを初めて知る。共に、維新前のことは語らず、という点も共通する、と。一つ、興味深い視点としては、幕府側の失政とされていることは新政府軍のイメージ戦略だったのでは、という指摘。実例として、ペリーの書は何度も翻訳、公刊されたが、幕府側の「墨夷応接録」という史料によれば、ペリーの要求を、落ち着いて応接し、あしらい、巧みに取り下げさせた様子が描かれており、しかし、それ故にか、その史料は全く公刊

を許されず、知る人も少ない、という状態に。もし、他にもそう言った史料があるのだとしたら、維新政府の正統性なるものは揺らぐであろう、と。今となっては、という感もあるが。
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
こうの 史代 / 双葉社 (2009-04-28)
読了日:2017年2月5日
ユリイカ、こうの史代特集を読み終わってから再読。どうして気づかなかったのかなあ、周作さんとリンさんの繋がり、というのを再読して、覚帳と書かれたノートの切れ端からようやく悟る。しみじみニヤニヤしとるんじゃけえ、というシーンに改めてほっこりする。過ぎたこと選ばなかった道、みな覚めた夢と同じだな、という独白。この世界で普通でずっとまともでいてくれ、という水原さんの言葉。人が死んだら記憶も消えてなくなる、秘密もなくなる、というリンさんの言葉。この国から正義が飛び去っていく、というすずさんの独白。リンさんのこと秘密じゃなくしてしまった、これはこれでゼイタクなことかも、というすずさんの独白。この世界の片隅にうちを見つけてくれてありがとう、という語りかけ。読み直すと、様々な意味が込められ、絡み合い、味わいが増し、奥行きをふかくしてくれるシーンだったんだな、という思いを新たにする。
海賊とよばれた男(1) (イブニングコミックス)
百田尚樹 , 須本壮一 / 講談社 (2014-06-23)
読了日:2017年2月1日
敗戦、焼け野原、翼賛的組織を拒否したため、メインの売り物の石油も扱えず。しかし、愚痴は一切禁じる、扱えるものはなんでも扱え、一人もクビにしない、という強い決意で、出光がモデルの会社の社長国岡は、どん底から這い上がろうとし、社員もそれに応えようとする。最後の方で、難事業を押し付けられそうになるところで、この巻は終了。熱さは伝わってくる。
長い道 (Action comics)
こうの 史代 / 双葉社 (2005-07-28)
読了日:2017年2月1日
飲み友達同士の父親たちの冗談で、荘介さんのもとに嫁いできた道さん。封建時代じゃないんだから、お互いイヤなら断ればいいのに、と思いつつも、受け入れて結婚生活を送る二人。もっとも荘介さんはフラフラとしているのだけれども。道さんのぼーっとしているようで、芯には強いものを秘めていそうで、時々のまっすぐな言葉もさらりとかわしてしまい、何を考えているかわからないところのある道さんから目がはなせない。/気合を入れて送り出しなさいよ!という義妹の言葉に、熱烈にキスして送り出したり、ガスも水道も止められてるのに小銭かき集めて買ったのがアルコールランプのアルコールと銭湯の回数券で、人は切羽詰まるとなかなか正しいな判断ができなくなりますね、と回顧したり、かと思えば、竹林どの、私も幸せになっていいのですよね?と独語したり、今さらイヤだって言っても俺もう別れてやんないかもよ、という荘介さんの言葉を引き出したり。/


2017年02月01日

2017年1月に読んだ本

期間 : 2017年01月
読了数 : 43 冊
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
こうの 史代 / 双葉社 (2004-10-12)
読了日:2017年1月31日
「ユリイカ」こうの史代特集を読んで、何年ぶりかの再読。原爆から十年後。皆実さん。ちょっととぼけてお茶目なところもあるけど、芯の強い。同僚の打越さんが急に訪問してきたら、全部洗濯して母が裸で寝てるのがバレないようにそっと外に連れ出したり。この世にいてもいいのかと、自分の中の罪に思う気持ちが許された、気持ちが通じたと思った直後からの、忍び寄る影。「やった!またひとり殺せたと思うてくれとる」という独白の重さ。その三十二年後。病室の弟に、桜の花びらの出前をする姉、一番好きな曲の楽譜をちぎって渡すその友達。そのシーンが、いいなあと思った。それが十七年後の最終話につながっていき。
講談社 (2017-01-25)
読了日:2017年1月27日
「波よ聞いてくれ」の、ミナレさんと店長の会話。「条件がある」「愛人契約なら時給の上乗せを」「お前を愛人にするくらいならウチでキリンを飼うわ」「そんな、キリンなんて私の五倍はウンコするのに…」て、そこかよ!というズレとテンポの良さがツボに。四季賞受賞作も、ミステリアスな雰囲気、偶然の一瞬のチャンスを逃さず、手に取ったつもりが、実は…と。新連載の「イサック」は、期待大。1620年中世ドイツに、傭兵として忽然と現れた武士の物語、鮮烈。
江の島ワイキキ食堂 10巻 (コミック ねこぱんちコミックス)
岡井 ハルコ / 少年画報社 (2017-01-16)
読了日:2017年1月31日
今回も、しらすメープルソフトに挑む人間を見て、尻込みしてた年神候補が、年神を引き受けるきっかけに、とか、ズートピアにかけたネタとか、ひな人形の冒険、大人になっても従順だった娘の急な反抗期、など、いろいろ。犬に嫉妬してたオードリーが、いざ実物が来た途端に、一緒に駆け回ってるシーンが微笑ましかった。
トルコ現代史 - オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで (中公新書 2415)
今井 宏平 / 中央公論新社 (2017-01-17)
読了日:2017年1月29日
ここのトピックスを深掘りしたり、人物に焦点を当てたりではなく、流れを重視して叙述したいということだったが、その流れが悪くて、読み進めるのが辛い箇所があった。行きつ戻りつする時系列、この人はどこにでてきたんだっけ、と。個人的にはやはり現政権の話題が一番興味を引いた。権限は強化されたが、課題は山積といったところか。クルド人との停戦の試みと泥沼化。ゲジェ抗議に見られる民衆の不満。三度のクーデタを行ってきた軍の影響力低下と、クーデタ未遂をきっかけにした強権的対処。各地で止まぬテロ。/第二次大戦中のイノニュの中立外交。50年代のメンデレスによる国家資本主義政策の転換、地方経済・社会重視、農業重視と、軍の介入による終焉、そして処刑。一体メンデレスの罪とはなんだったのだろう。国民を殺したわけでも独裁したわけでも戦争したわけでもないのに。冷戦により戦略的重要性を増すが、ソ連の脅威が小さくなれば、それに応じて重要度も下がり。80年代のオザルの新自由主義的経済の導入。外国からの借金による開発、などは、関心をもったトピックス。
ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)
藤代 裕之 / 光文社 (2017-01-17)
読了日:2017年1月30日
偽ニュースが生まれた経緯、背景はわかった。各社の取組もわかった。けど一ユーザーとして、偽ニュースを見極めるのは難しい。また、さまざまな対策が打たれ、提言もされているが、これからも生み出されてゆくのだろうな、という読後感を持った。
ダーリンは71歳 (コミックス単行本)
西原 理恵子 / 小学館 (2017-01-19)
読了日:2017年1月31日
前の巻でも思ったけど、のろけもここまでくれば清々しい。スケールが違いすぎるというか。ケンカもしょっちゅうするけど、紆余曲折を経て、結局はおさまる、というか収めようとしている。ここまで描くか、というぐらいかっこ悪いところもさらけ出して描かれるというのはどれだけ懐の深い愛情なのだろうかと思いを巡らせてしまう。以下、目にとまったシーン。お金は問題じゃない、時間が大事、それと君の笑顔、一緒に笑って過ごそう、って言ったのに、私の誕生日に営業入れて、金で済まそうたあどういうことだあ!という怒り。昔の写真を見て、歴代彼女を当てようとしたり、往年のアイドルのディナーショーで見つめ合う二人を見て、大人の恋っていいねえ、と迫ったり。ウエストできた!誰に見せるんだ?若い男…浮気してもいいよ、けどバレないようにして、傷つくから。いないよこんなおばさん相手にする男なんて、てやりとりしたシーンの穏やかさ。熱愛発覚の直前に、西原が文春の編集長に、かっちゃんがフライデーの編集長に、直電して、私の写真載るの?と聞いたシーンの抱腹絶倒。
春と盆暗 (アフタヌーンKC)
熊倉 献 / 講談社 (2017-01-23)
読了日:2017年1月29日
もやもやすると想像の中で月面に道路標識を思い切り投げつける子。時折水面から顔を出して呼吸する魚のように息苦しく感じ、目の前に水中都市を現前させる、中央線の駅名を偽名に使う子。美味しいお菓子の解明に血道をあげ、嬉しくなると相手の肩を殴る子。サボテンとコーヒーが好きで、少年たちに空想を吹きこんで楽しむ子。ちょっと不思議な子たちに心惹かれて、片思いする少年・青年たちを描く短編集。一読、ちょっと飛躍多くて、どういうことだろう…と気になり、造形も突飛で、心に引っ掛かり、二読、三読してしまった。少しずつ、距離が縮まり行く過程もまた見てて愉しい。
夜は短し歩けよ乙女 (2) (角川コミックス・エース 162-3)
森見 登美彦 , 琴音 らんまる / 角川グループパブリッシング (2008-06-26)
読了日:2017年1月31日
1-2巻読了。天狗が舞い、李白が酒席をしきる、京都を舞台に、行先行先で幸運に恵まれて不思議な経験をする可憐な女子と、その子に一目惚れするもなかなか認識されず、なんでこんな目に…といった感じの主人公の繰り広げるドタバタ。小説はあまりに取り留めなくて30頁ぐらいで挫折したけど、漫画版はするっと入ってきた。
本日のバーガー 4 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2017-01-16)
読了日:2017年1月31日
白桃、トマトソース、マスカルポーネチーズを挟んだバーガー、食べてみたい。日本の有名なチェーンでも一店舗だけ、ってどこだろう。スコットランドのハギスバーガーも、西洋臓物煮込みオンパレードな感じで気になる。わたせせいぞう「北のライオン」で見かけてから、ハギスは気になる一品。ミートソースとチーズを挟んだスロッピー・ジョーも気になる一品。それにしても、人生の岐路を、ハンバーガーで照らすという趣向も興味深く。
本日のバーガー 3 (芳文社コミックス)
才谷 ウメタロウ , 花形 怜 / 芳文社 (2016-09-16)
読了日:2017年1月31日
トルコのカイマックを使ったセルビアンバーガー、マック&チーズバーガー、どちらも食べてみたいと思わせられた。マック&チーズ、高カロリーそうだけど魅力あるなあ。そしてこの巻から、素直で勉強熱心な女子大生がバイトで加入。それにしても元上司からライバル店の店長まで、主人公の懐の広さには頭がさがる。
ワカコ酒 8 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2017-01-20)
読了日:2017年1月31日
シャキシャキしてそうなソーメンウリの天ぷら!紀州名物、太刀魚を骨ごと砕いてすり潰したさつま揚げみたいな「ほねく」!食べてみたい、と思った。そして、ワカコさんの先輩が久々の一人のみで、時の移ろいは残酷だなんて、そんなことはない、時が経たないと見えないことだってあるんだからね、あの時は持ってなかったもの、あの時はわからなかった気持ち、その時その時のお酒の味があるんだから、と思いを巡らすシーンがいいなあ、と思った。
『ユニクロ帝国の光と影』著者の渾身レポート ユニクロ潜入一年【文春e-Books】
横田増生 / 文藝春秋 (2017-01-27)
読了日:2017年1月27日
ユニクロ社長のうちを悪く言うのはうちのこと知らない人ばかり、実際中を見てから言ってほしい、という一言に、触発されて、というか、著書に対して訴訟まで起こされた身にはおそらくカチンときて、合法的な手続きに則り、本名を変えてまでユニクロでバイトしてのルポ。現場の疲弊感は伝わってきた。サービス残業があったということ、セールにおけるトップの号令の見当違いなどが描かれる。解雇されるに際し、記事の内容に間違いがあったか問いただすも、記事の内容は問題にしていません、という回答しか得られないことが、認めてると同様に読める。最後はなんだか唐突で尻切れとんぼな終わり方だった。
ハイスコアガール(7) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介 / スクウェア・エニックス (2017-01-25)
読了日:2017年1月29日
鉢合わせ、渋谷、対決、深夜の同行と、揺れ動き、最後も鉢合わせ、と。どう進んでいくのか、と。はっきりしないことの罪を、自覚しないことの罪を責められそうな状況で。
応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
呉座 勇一 / 中央公論新社 (2016-10-19)
読了日:2017年1月23日
きっかけは、畠山家の家督相続。そこへ山名、細川はじめ諸勢力が混じり合い、将軍家も巻き込み。勝者はいないというが、読んだ限りでは細川の流れを組む、東軍の勝利なのでは、と。斬新な点は、興福寺の僧経覚、尋尊の記録を紐解いて、応仁の乱をながめたことなのだとか。大和を舞台にした小勢力の小競り合いの丹念な描写には正直退屈した点もあったが、様々な勢力の絡み合い、西へ東への裏切り、状況に引きずられた政治的判断などが丹念に描かれていたのもまた確か。トピックスとしては、経覚と関わりのあった天竺人を父に持つ西忍についてはもう少し調べたいと思った。また尋尊の、身分秩序の維持強化こそは社会の平和・安定につながる、という考えも、現在からみると民衆を苦しめてでも豪奢に生きようという傲慢に見えても、当時の文脈からみると一定の理解はできる、というエピソードもまた興味深い。
知の逆転 (NHK出版新書 395)
ジャレド・ダイアモンド , ノーム・チョムスキー / NHK出版 (2012-12-06)
読了日:2017年1月21日
ノーム・チョムスキー。いくつか著作を読んだことはあったけど、このインタビューは壮絶な資本主義批判。何が資本主義だ、今、社会の根幹を成しているものはみんな国家資本から出てきたものばかり。鉄道しかり。大量生産システムしかり。貿易しかり。インターネットしかり。唯一例外は、金融。だから何度も破綻する。そして結局は国家資本が注入されているではないか、と。まあ…国営企業は親方日の丸で赤字垂れ流し、という側面もあったとは思うのだk度。/トム•レイトン、アカマイ•テクノロジーズ、知られざるインターネットのインフラ会社、多くのeコマースの会社が契約。日本はモバイルからのeコマースがアメリカより発展。利用率は、三割と一桁。スターウォーズ予告編と男子大学バスケの中継で、膨大なトラフィックをさばいて注目を集める。論理より心理が、これからの購買では重要になるのでは、と。/ジャレッド・ダイアモンド「幸せな結婚にとって、一番大事なことは「結婚における一番大事なこと」を探さないということなのです。」「人生というのは、星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するということであって、意味というものは持ち合わせていない。」あと1400年代に滅びたグリーンランドのノース人については調べたいと思った。/オリバー・サックス。レナードの朝、のもとになった出来事を取り上げ、ほとんどの患者が40年のブランクを経て目覚めても、柔軟に現状の自分に適応できた、と。/ミンスキー「集団の中に一般的な叡智があるというふうには信じていません」/ワトソン「本来、人はみなそれぞれ異なっているのに、同じだとみなされなければいけなくなってきている。同時に、あるもののほうが別のものよりもいいという言い方は避けて通るようになってきてもいる。だから、どの花も全て同じように咲くんだと言う。ごまかしです。」「他の人が知らないことを知っていて、それがいいとわかっているので、利益につながる」 「二重らせん」は強く読んでみたいと思った。/
夫のちんぽが入らない
こだま / 扶桑社 (2017-01-18)
読了日:2017年1月27日
はあちゅうさん、文月悠光さんのオススメに心惹かれて手に取る。タイトルはインパクトあるけど、中身は壮絶of壮絶。誰にも言えなくて、自分を縛る大きな柱のようでいて、「普通」を求めてくる周囲の人々に、心のなかで、それはできない、なぜかは言えないけど…と思いながら過ごす人生。人付き合いが絶望的に苦手で、田舎から出てきて、夫となる人以外とはなじめず、けどお互いにお互いが一番と信じられたのは奇跡。そのあとの結婚生活が、世間一般の感覚からは波乱万丈と思われようとも。ぐいぐいと引き込まれて、最後まで読んでしまった。壮絶な中にも、時に自分を突き放すユーモア…なぜに大仁田が無血、大仁田こそ流血だろう、というフレーズには思わず笑ってしまった。
金子 光晴 / 中央公論社 (1976)
読了日:2017年1月18日
「愛情69」のみ読了。あまりに撫で回しすぎて、手垢まみれでつるりとしてしまったから、私も逃げ出す、とか、自らの生まれ出ずるところに感謝したりとか、「これがおへそといふものかい」と驚く男に、てめへだってもつてゐるくせに、と投げつけたり、と多彩な愛情模様を描き出す詩集。それはひどいなあと思ったり、思わずにやりとさせられたり。/君の投げ出した両ももの/おくに/なにがあつても/どうでもいい(愛情2より)/つまり、愛情をおのがものにするには大そうな覚悟が要るのさ。/愛情とひきかへにして、/ただより安く、おのれをくれてやる勇気もいる。(愛情1より)
群像 2017年 02 月号 [雑誌]
講談社 (2017-01-07)
読了日:2017年1月17日
#はあちゅう さん ( @ha_chu ) の純文学デビュー小説が掲載されているということで「群像」購入。三つの短編の中では、「六本木のネバーランド」が一番好き。森さんが何を考えていたのかがとても気になった。そしていま何をしているのだろうかということに思いを巡らす。私が非常ボタンになってあげる、というのがいいシーンだなあ、と個人的には思った。他の二編は、居場所のなさを外に求めて、いっときは得られたけど、結局は得られず。なんだか初期の江國香織作品と通ずるところがあるように感じた。合わせて他の作品もいくつか。水原涼「蹴爪(ボラん)」は、熱帯のフィリピンの村の空気感、もどかしい息苦しさ、持っていきようのない憤りが迫ってくる。「一回建てはじめたなら、そう簡単に放り出すもんじゃねえ」「そうやって諦めるもんじゃねえ。崩れたらまた建てればいい。なあベン、人はそうやって生きてきたんだ」という言葉が印象に。青木淳悟「僕ボードレール」は、あえて受験浪人となった主人公がボードレールと自分を重ね合わせる一篇。岡田暁生「21世紀の巡礼または音楽のテロリズム?」では、テオドール・クルレンツィスという指揮者に興味が湧いてくる。松原仁「「コンピュータが小説を書く」小説ベスト3」で紹介されていた金子邦彦「小説 進物史観」(「カオスの紡ぐ夢の中で」ハヤカワ文庫所収)が気になる。
阿・吽 5 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
おかざき 真里 / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
こんなこともあるだろう、ではなく、必ずやある、と信じて、急いで得度をやり遂げる空海。そして戻ってきた遣唐使船に間に合った空海。最澄との読経合戦は、音が聞こえないはずなのに、読んでるだけでワクワクとした魅力に満ちて。そして、ついに唐へとたどり着き。漂着ゆえ苦労するも、無能だからといってメンツを潰していいわけではない、とすらりと筆の力を見せつけ、ついには長安への道のり。次巻予告の面々を見るだけでもワクワクが募る。/「でも正しいな。でも正しい道は厳しい道やな。もっと上手くやり、思いますけどな。」(霊仙)l、未開の東北へ布教に出ようとする徳一へかけた言葉。/「人一人を救えるのは、同じ高さに居る者だけだ。」(勤操)、思い悩み惑う空海を見て。/「準備をした者の上にしか、機会は訪れん! 」(空海)、まさにそれを地でいく力強さ。
鳥居龍也 / 鳥居龍也 (2000-05-01)
読了日:2017年1月11日
BrownBooksCafeにて購入。すすきのにパンチョ・クラブを構える(今もあるのだろうか?)パンチョさんこと鳥居さんが身の回りに起こったことを語る軽妙でユーモア溢れたエッセイ集。/母親に叱られる子供にいたたまれずに店を出て、心の中でそっと、ぼうず、がんばれよ、と語りかける夜。500円メンチカツの山田食堂の最後のお客になり、ありがとう、忘れません!と出てくるシーン。空の終列車は、ソラの終列車だと思ってたのに、カラの終列車だと思っていた知人がいた、というオチのスプートニクスの話。聞いた全員がハラホロヒレハレになったという杉良太郎「君は人のために死ねるか」ユーロビートバージョン、聞きたい!と思った。
女子をこじらせて (幻冬舎文庫)
雨宮 まみ / 幻冬舎 (2015-04-10)
読了日:2017年1月14日
自分が女子であることをこじらせてこじらせてこじらせてこじらせた末に、開けた一筋の光、完全に克服したわけではないけども、最後に、「目の覚めるような感覚でした。好きなことを自由に書いてもいいんだと思うと、怖かったけど嬉しくて、書き始めたら止まらなかった。これを諦めるなんて、とんでもないバカなことを考えたものだと思いました。死にたくなって当然です。こんな楽しいことを我慢していたのですから。」(p.199)と言える境地になったんだなあ、と。あとは、こじらせを方向転換するきっかけになった武田真治の「今の時代、個性的なオシャレで自分のよさをいくらでも演出できる。だから、自分はブスだからとかそんな言い訳は通用しない」(p.55)が目にとまったところ/今の仕事に不満はある。でも、「私はもっとできるのに!」とは思えなかった。仕事ができないくせに文句ばっかり言って「なんか面白い仕事したい〜」とごねる自分は、見苦しいと思いました。(p.133)は刺さってきた言葉。ほっこりしたのは、弟に、自分の趣味にあったいいAVの探し方を伝授して盛り上がるシーンがいいなあ、と思った。岡崎京子「東京ガールズブラボー」、斎藤綾子「愛より早く」新潮文庫 1998、田房永子「男しか行けない場所に女が行ってきました」イースト・プレス 2015あたりは、手に取りたいと思った。
はなぼん ~わくわく演出マネジメント
花井 裕一郎 / 文屋 (2013-01-16)
読了日:2017年1月8日
ほんとに小布施が好きなんだな、というのが伝わってくる、そして熱量高く、小布施のいいところを伝えてくれて、なるほど、影響受けて移住しちゃった人が何組も出たのも納得。映像制作の道一本できたけど、何か違和感を感じていた時に、取材で出会った小布施町にほれこみ、ついには移住。小布施で働きつつ、交流を深め、ついには図書館長に立候補し、当選、と。以下抜粋と雑感。/”「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」という基本的な考え方。”/”視界の中に常にカメラがあるにもかかわらず、カメラの存在をまったく意識せず、カメラに緊張することもない環境。それを僕たちは時間をかけて作り込んで行った。”/”来館者数を旧図書館の三倍にする。それが町長から館長に課された任務であった。”/町民との話し合いで図書館とはこうあるべしと言う固定観念をぶつけられて苦慮。けど町民主導の図書館、というのを思い出し、すべて受け入れた上で、どうしたらワクワクしてもらえるか演出。/松本元先生”「脳とはプロセスです。生き方もプロセスです。脳を一生懸命働かせて、がんばりなさい。そこでもし君が、志半ばで死んだとしても、次の脳が絶対に見ています。自分だけで達成しようと思ってはいけない」”/”まちとしょテラソへの「想-Imagine Book Search」という連想検索システムの導入”/”アーカイブされた資料が、ただ保管することにあるのではなく、しっかりとエンタテイメントの素材として通用するものだということを雄弁に物語っていた。アーカイブは新たな創造の源になりうるのだ"/"「「まちとしょテラソ」に来たから、こんなことができるようになった」と言ってくれる人がいるなら、それこそが館にとって最高の賛辞であり、勲章ではないだろうか。そんなエピソードがたくさん生まれるような空間であってくれたらと、願っている。”/アーカイブの可能性、個性的な検索システムの導入、などなど興味深いテーマに示唆を受けた。
東京ラブストーリーAfter25years (ビッグコミックススペシャル)
柴門 ふみ / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
読まない方がいいかな、こういうのは楽しかった思い出にしておけばいいのに、と思いつつ手にとってしまう。その後の物語の仕立てとしては、元カノ元カレの子供同士が知らずに付き合い始めて…という、あすなろ白書の後日譚といっしょやん!と突っ込みつつも、登場人物たちの25年分の人生が語られ。リカの発案で海辺で見送るシーンではそれぞれのキャラの持ち味が出ていて、いいなあ、人生は続く、という感にひたる。
千代に八千代に (アクションコミックス)
大澄 剛 / 双葉社 (2014-08-28)
読了日:2017年1月14日
各教科を題材に、登場人物が少しずつ重なり合わせながらの連作短編集。高校時代の国語の先生と付き合っている千代さん。彼からの誕生日プレゼントのチョイスに頭を悩ませるも、その答えは。あるいはよく行く駄菓子屋のお姉さんが話してくれた、円周率に、暮らしの全てが、すべての人が、宇宙の真理が含まれているというエピソード、雨粒がどうして当たっても痛くないのかから、いつまでも変わらずにはいられない、と優しく諭してくれる理科好きの幼馴染。思春期の戸惑いや持って行きようのない気持ちをすくい取り、 また大人だって子供が思うほど大人ではないと、暖かく照らしてくれるような。
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)
こうの 史代 / 双葉社 (2008-01-12)
読了日:2017年1月14日
だいぶ以前に読んで、最近、映画を観たのをきっかけに、上中下巻、再読。映画は、ほぼ原作に忠実に作られていたんだなあ、と。映画ではリンさんと一度しか会ってないところと、戦後のシーンが、若干違うぐらいかな、と。あと、ひさお兄さんから送られてきた教科書が熱烈に落書きされてたシーンは抱腹。ねえすずさん、人が死んだら記憶も消えて無なる 秘密はなかったことになる それはそれでゼイタクな事かもしれんよ、というリンさんの台詞も原作のみだったかな。ケイコ義姉さんの、すずさんがイヤんならん限りすずさんの居場所はここじゃ くだらん気がねなぞせんと自分で決め、というシーンにグッとくる。この街はみんなが誰かを亡くしてみんなが誰かを探しとる みんなが人待ち顔ですね、と橋から語るシーン。周作さんありがとう この世界の片隅に うちを見つけてくれてありがとう 周作さん ほいでもう離れんでずっとそばに居って下さい、とすずさんが語るシーンにも。
雪花の虎 4 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2017-01-12)
読了日:2017年1月14日
兄と妹の家督争いにも決着。内外には女であるとも言わぬし、そうではないとも言わない姿勢。そして武田信玄との一瞬の邂逅。このあとの戦いがどう描かれるのか興味深いところ。
であいもん (1) (角川コミックス・エース)
浅野りん / KADOKAWA (2016-12-03)
読了日:2017年1月14日
東京でバンドの夢破れて京都の実家の和菓子屋に帰るも、そこにはすでにしっかり者で看板娘の跡継ぎがいて…。しっかり者すぎて、家業を捨てて好き勝手してきた無責任な男になんか任せられるか、と全然受け入れてもらえないが、持ち前の折れないメンタルと空気読まなさとお調子者な性格で、絡もう絡もうと空回り。少しずつ少しずつ役にたつところはあれども。和菓子のアン、ばりに和菓子が前面に出てくる感じはしないものの、和菓子心を満たしてくれる。
LIMBO THE KING(1) (KCx)
田中 相 / 講談社 (2017-01-06)
読了日:2017年1月14日
根絶されたはずの眠り病、治療のためには脳の中へダイブしなければならない。事故で片足を失ったアダムは、過去の英雄とタッグを組むことが命じられるが…。いままであったよう設定かもしれないが(たとえばインセプションとか)ぐっと引き込まれる。まだ語られてないが、トラヴィスの過去の個人的な野望に基づく作戦の失敗にウィンターが巻き込まれ、なんら償ってもいないと思われるのだが、それは次巻以降か。
越境者たち 下―カシノそこで、人は夢見る。そこで、人は祈る。
森巣 博 / 扶桑社 (2002-09)
読了日:2017年1月11日
ヒロシとマイキーの物語から、ウルフの物語が絡み合う。マオリの血が4分の1流れ、それをキーに人生のターニングポイントを迎え、ニュージーランドからオーストラリアへ渡ってきた男。以下抜粋。/博奕というのは、途中で反省した奴が負けるのだ。/わたしはわたしであり、それ以外の何物でもない。外側から自分に貼り付けられるカテゴリーは、いっさい、拒絶する(ウルフ)/民族という概念は、外側を排除し、内側の下々の民衆どもを統治する道具として「西欧近代」に発明されたものだったのだ。/マイキー、死ぬなよ。何が起こっても、死んじゃ、駄目だぞ。生きてさえいれば、なんとかなるんだ。きっと。必ず。絶対に。/「いや、博奕は止められないさ」「博奕は止められない」/多くの場合、博奕では、敵が勝利したのではない。自分が負けただけなのだから。/以下、雑感。マイキーを地獄の一歩に誘ったのは、ヒロシの後押しだったと思う。けれど、ヒロシもマイキーも口が裂けてもそんなことは思わず、言わないだろう。すべておのが一身に責めを負って、賭ける、戦う。一度決めてしまった以上は、周りがどうこう言っても届かない、仕方ない、堕ちるにしても上り詰めるにしても自分で決めなければいけないのだから。でも、だからこそ、結末は苦い。
越境者たち 上―カシノそこで、人は夢見る。そこで、人は祈る。
森巣 博 / 扶桑社 (2002-09)
読了日:2017年1月10日
上巻はヒロシとベトナム移民マイキーの物語。ただ、話は最初から脱線に脱線を重ね、マイキーの登場は50pから。脱線が豊穣で味になるところもあるけど、冗長に堕し、繰り返しになっているところもあり、と。ただその独特な視点には魅了される点があることも否めない。/少数者が住みづらい社会とは、また多数者にとっても住みづらい社会である。/ドフトエフスキーの「賭博者」の魅力的な紹介/子供っていうのは、反省のない全体主義者なんですよ。他の子たちと、同一のものを持ち、同一のものを喰い、同一のものを着て、同じことだけをしたがる/同一律を求めれば、必然的に排中律が働く。自明。/マイキーが持った死への認識とは、--人間はいつどこでも、儚く、刹那に、あっけらかんと死ぬ。そして、一度死んだら、もう戻ってはこない。/議会で法律を一本通しただけで、「期待される人間」から「非国民」へと大転換。/人生は素面のほうが楽しい/「だって、俺、自分の金であんな大きな「本当の博奕」を打ったこと、今までになかったんですよ」(マイキー)/ああ、この男もついに「本当の博奕」が持つ魔力の罠に絡め取られてしまったんだな、とこの時わたしは思った。/
科学する麻雀 (講談社現代新書)
とつげき東北 / 講談社 (2004-12-18)
読了日:2017年1月9日
宮内悠介「盤上の夜」の参考文献つながりで。残りの牌を数え上げるプログラムが、人の手より良い成績を上げた、という一節が、参考文献につながったのかな、と。数理的な理論は、正直追いきれないところがあったけど、大まかなヒントはもらえたのでは、と思う。以下抜粋。/「読み」のかわりに統計データを用いよ。「読む」のは基礎技術が身についてからにせよ/麻雀では比例の関係にない要素が多くあり、単純に「数字を取り入れてみました」というだけでは解決できない問題が多くある。/悪形でリーチすべきかどうかは、「2ハン以下はリーチ、3ハン以上はダマ」が基本である。/ごくまれな例外を除き、すべてリーチ/普通、麻雀というのは全局のうち半分近くはベタオリするゲームなのだ。なぜならば、4人いるうちで最も配牌とツモがよかった人が和了するのが麻雀であり、自分だけが毎局毎局上がれるゲームではないからだ/以下、雑感。相手が何点の時の手作りは…というのはちょっと判断基準が厳しいかな、と。そんなんわかるかよ、と。ただ、検証の努力をせよ、という姿勢は傾聴に値する。例えば、流れ。あるにせよ、ないにせよ、論拠を示して論じ、検証していかなければ、何も罪上がらない、と。クスりと笑えたのは、とつげき東北という名前で言うのも気がひけるが、モリッシー大川というネーミングセンスはあまりにひどい、だから疑った、というのは、イヤイヤとつげき東北に言われたくないよとみんな思いますよ、と。
なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか? ―「お客が長居する」のに儲かるコメダのひみつ
高井 尚之 / プレジデント社 (2016-10-28)
読了日:2017年1月9日
コメダ珈琲店に備え付けのものを読了。滞在時間が長くても、全時間帯回転するから大丈夫、平易なメニューを万人に受け入れられらものに近づけ、居心地よく、またきてもらえるお店に。買いてみると簡単そうだけど、実現はなかなかに大変。いまでも定期的に現場に出る社長、いまはすべての株式を手放している創業者のインタビューなど興味深かった。
うと そうそう
森泉 岳土 / 光文社 (2016-12-15)
読了日:2017年1月8日
日常のふとした瞬間に、思いを巡らすこと。自分だけのこだわりを持つこと。モノローグで語られる短い物語が積み重ねられる。/好きなセリフ/ 知らない人だらけの電車ではいつも目を閉じて組曲「惑星」を聴く。わたしの惑星はわたしの王国。/でもね 振り返るとあたたかい気持ちになるの 不思議ね あたたかい気持ちしか残ってないの/はじめて頼んだカフェモカは世界中の幸せを煮詰めたように甘かった/「月は年々少しずつ地球から離れていってるんだって」すげないよね/
([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)
皆川 博子 / ポプラ社 (2015-04-03)
読了日:2017年1月7日
13世紀の少年十字軍を扱った小説。奇跡を起こすと祭り上げられた少年。我こそは神のお告げを受けたと騙る少年。行き場がなくてついていく少年少女。利用しようと群がる大人たち。神などいるのか、いるとしたらどうして自分はこのような境涯に置かれているのか、奇跡は起きたのか、お告げはあったのか、作中の人々の問いはつづく。実際には救いようのない結末だったのだろうけど、物語の中ではかすかな希望が射して締めくくられる。先行作として解説にあった古屋兎丸「インノセント少年十字軍」も読んでみたく思った。以下抜粋。/「死ぬまでの間を、私は、好奇心で充たそう」/無垢はしばしば、無知であることによって維持されると。/「みんな、自分の見たいものを見ているんだ」「みんなの望むように、ゆがんでいくんだ、現実は」/生は、空無に一瞬あてられた光が見せた影にすぎないと。神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ、と。
AIの遺電子(4)(少年チャンピオン・コミックス)
山田 胡瓜 / 秋田書店 (2016-12-08)
読了日:2017年1月5日
1−4巻まで読了。近未来。人間とヒューマノイドが共存する世界。主人公は人間で、ヒューマノイドを診療する医者。そして感情表現豊かなヒューマノイドのナース。人格のバックアップは禁じられているがそれでも闇で実施するものも居る。バックアップした人格は元の人格と同一か?バックアップを取る際、電脳世界に直接接続する際のウィルス感染の可能性。ボディは替えがきいても、頭はどんどん壊れていく。治療を拒む自由と、自分の寿命を自分で終わらせるヒューマノイド。自動運転から手動運転に切り替えると保険がきかなくなる。謝罪するのが機械じゃ納得いかないから人をよこせというクレーマー。産業AIが無意識に訴えかけ夢の中で癒される療法。超高度AIが、集中力を抑えることで、日常生活を大過なく送れるようになるとともに、才能のきらめきは消えてしまったケース。その笑顔がプログラムならこの気持もプログラムなの?という叫び。身体の整形にとどまらず心の整形。回路をいじって恋愛感情をなくしてほしいという願い。/人工知能と共存する設定が、様々な論点、視点を提示してくれる。/最近読んだ本だと、松尾豊、塩野誠「東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」で取り上げられていた論点はけっこう網羅されているなあ、と感じた。
ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)
宮内 悠介 / 早川書房 (2015-08-21)
読了日:2017年1月3日
舞台は近未来のヨハネスブルク、世界貿易センタービル、ジャララバード、ハドラマウト、北東京。共通するのは、初音ミクを立体化したようなアンドロイドDX9が、高層建築から、雨のように繰り返し繰り返し飛び降り続けるということ。少女が雨のように降り注ぐ、というのは最初は何かの比喩かと思ったが、まさにそのまま。意思疎通を図ろうとするもの、部品を再利用しようとするもの、雨に身を晒す度胸試しに敗れて命を落とすもの、様々な関わりがストーリーにくさびを打つ。そして強烈に、散り散りにされたビートに労働歌を載せたというトランスミュージックを聴きたくなる。スラムの暗黒、力強さ、砂漠を這いずり回り、泥の都市を駆け抜け、コンクリートで囲まれたジャングルを感じる。ありえそうな近未来のテクノロジーをちりばめつつ。最終話の戻ってきからのストーリーも、あるのなら、読んでみたい。以下抜粋。/あるいは、信仰を決めるのは、、一人ひとりの内面ではないのかもしれないな。場所であり。座標なのだ。(p.23)/何事も、商売は下手なくらいがちょうどいいのだ(p.50)/「スターリンは言ったそうだな。一人の死は悲劇だが、百万人の死は統計だと」(p.119)/「俺は、悲劇と統計のあいだの一点を見定めたい」(p.120)/「何しろ、四分に一度人が、死ぬ。そして支配勢力が変わるたび、守るべき法そのものが変わるときだ」(p.131)/「だが、きみは…」「パシュトゥンだよ。だからって、ハザラを見殺しにしていい理由はない」(p.137)/「自爆攻撃なら、最初からDXにやらせればいい」「それでは神に近づけない」(p.189)/ジャリアが立ち上がり、ゆっくりとコーランの一節を唱えた。「-なんとつまらないもののために、彼らは魂を売ってしまったのか。」(p.222)/けれど、忘れないことがいいか悪いかも誠にはわからない。なぜなら記憶は歪められ、ねじ曲げられ、捏造される。こうした誤訳の総体こそが、人そのものなのだとしても。(p.247)
螺旋じかけの海(2) (アフタヌーンKC)
永田 礼路 / 講談社 (2016-12-22)
読了日:2017年1月4日
自分の寿命を悟り、自分の身体を切り売りして収入を得るキャリア。どんなことでもして力になりたい、治療を受けさせたいと願う存在。同じ時間を過ごせただけで、人生の時間を重ならせてくれてありがとう、とい言葉が重く。食用に開発した人魚に買い手がつかず、飼育していた飼育員が、いざ買い手がついた途端、一緒に逃亡を図る。心が通じ合ったと思えば、どうして食用に供することができよう、と。ただSFの設定だけど、どこまでが人間か、という線引きには考えさせられる。それが恣意的に運用されれば、人ではないから何をしてもいい、という世界になる可能性も秘め。
あさは、おはよう -大澄剛短編集- (ヤングキングコミックス)
大澄 剛 / 少年画報社 (2016-12-26)
読了日:2017年1月3日
最近泣いてますか?という帯。登場人物の思いがこみ上げて涙を流すシーンはずるいよなあと思いつつ、気持ちが寄り添ってしまう。大事に思っていた人、残された人、昔あこがれていた人、励ましてくれた人、ずっと寄り添ってきた人...様々な思いが静かに語られ、熱く語られ、染み入っていく。/「悪いことばっかり重なって気分が沈んだり落ち込んだり 泥水の中でもがいているような気分になることもままあるけど そういうものの上澄みを「幸せ」っていうんじゃないかって」
ボリス絵日記
ヒグチ ユウコ / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2017年1月2日
猫、鳥、ぬいぐるみ、息子...みんな愛情を受けることに貪欲で、独り占めできなければ、ストレートに怒り、奪いに行くなあ、と。自由になったと思いきや、猫にさらわれ、優しく扱われるが、解放され、けど、また戻ってきて、鳥上位で関係が構築されるストーリー、なんと名付けたらよいのか。あたたかみにほっこりしたり、クールな成り行きにどきりとしたり。
重版未定
川崎昌平 / 河出書房新社 (2016-11-26)
読了日:2017年1月3日
零細出版社での、書籍の企画、原稿取り、組版、校正、印刷所へデータ入れ、出版、大半は重版されず、という流れはわかった。けど、主人公も悩んでいるように、何のために編集しているのだろう、何のために出版しているのだろう。間にあわせることだけを考えて編集しました。誰が読むかわかんないけど、後で大量に返品されるとしても、今、目先の売り上げが立たないと会社が潰れるから出す本。有名な著者に十分な印税を還元できないから、無名な著者のさしてニッチな題材の本を出す、売れない、次の本にも十分なお金をかけられない、というスパイラル。お前本当に俺の文章読みたいの?と作家に問われ、そんなことより早く仕上げてください、読者が待ってます、というスタンス。悲哀といえば悲哀、救いがない、ここをフックにしてこうすれば、という点も見当たらず。意欲的な小出版社はいろいろあるじぇど、そうじゃないところもあり、という点が描かれているのかな。
ナナマル サンバツ (13) (角川コミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA (2016-12-31)
読了日:2017年1月2日
アイドル「ぷらねっつ」との対戦。おバカな路線でくるのかと思いきや、戦略を立てて、勝利を狙ってくる。最後は、解答して勝つ、というシンプルなことで決まる。主人公のしっかり度合いが増し、充実した対戦に。
スティーブズ 6 (ビッグコミックススペシャル)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) , 松永 肇一 / 小学館 (2016-12-28)
読了日:2017年1月2日
完結、というのにびっくり。いや、スティーブ・ジョブズじゃなく、ウォズとジョブズのスティーブズだからここまでで筆を置くのは、予定通りといったところか。見せ場は、ゲイツとジョブズの直接対決シーン、そして、Macintoshが自己紹介するシーンかな。「現実歪曲フィールドとは、強い意志の力で不確定性を消滅させひとつの未来を形作っていくそんな能力にほかならない」
13月のゆうれい  1 (フィールコミックスswing)
高野 雀 / 祥伝社 (2016-02-08)
読了日:2017年1月2日
男っぽい格好が好きな姉ネリと、女装が好きでよくかわいいと言われる双子の弟キリ。ネリのタイプの格好いい周防くんは、実はキリの同居人で…と。お互いの思いがからまり合い、ふとしたことが呪縛を解いてくれたり、繋がりが深まったりで。


2017年01月02日

2016年12月に読んだ本

期間 : 2016年12月
読了数 : 48 冊
ガイコツ書店員 本田さん 2 (ジーンピクシブシリーズ)
本田 / KADOKAWA (2016-12-24)
読了日:2016年12月31日
2巻も書店愛、書店員愛、書物愛が伝わってくるなあ、という一冊。サイン会に押し寄せた編集、編集長、漫画家。ツイッターに載せると小規模店は爆発するから!と載せないことをお願いしたり、どこからどうやって人気の在庫を確保するの?魔法?という係長、行方不明本にも在庫確保にも力になってくれて趣味も本田さんとあう人気者でファンシーな取次さん、BLを求めてはるばる海を越えてやってきたゲイカップルを接客したことで、自問するそれぞれの境界線。メディア化、実写化の特典付録で巻き起こる狂想曲。特典だけ欲しいんですけど?、お客様!!なるほど!!ダメです!!て 笑。そして小指の行方のわからない方の接客では、時々裏声の混じる自問を繰り返しつつも、なんとかクリア、けど後から平常心じゃなかったと気づかされたり、宛先の機関を明記しなくても遅れると知らされたり。営業、書店員、取次、出版…と異種混合の飲み会に参戦して、どうして取次の悪口書かないんですか?と熱く迫られ、うちの取次さんアイドルだし、ぶっちゃけ私に人を面白くdisる技術がないんで、てあたりが潔いというか。大変だなあと思ったのは、1巻の接客研修の話が職場の超えらい人の逆鱗に触れて、担当のチェックと社内のチェックという二重のチェック体制が敷かれてしまったということ。その全ボツまでの過程は巻末に収められています。
ごはんのおとも 2
たな / 実業之日本社 (2016-11-18)
読了日:2016年12月31日
単身赴任から戻ってきて、娘をかまいたくて仕方ないのに、かまいかたのわからない父、そっけなくあしらっているようでちゃんと見ていて、好意はわかっているから、かまいすぎないで、私だって料理だって生き方だって少しは心得ているのよ?と穏やかな形で伝えるストーリーと、鍵を握るヅケ丼。幼いながらも兄の自覚の芽生えた男の子。それぞれ意地をはりあうおじいさんをお店に案内して、喧嘩してるのかと怯えてたら、そうではなく、相手より上を行こうと切磋琢磨してこの地平に来たのだと知り、前より距離を縮める二人の子供。そして、久々に帰ってくるヒューゴさんを、出迎えもせず、今日だったかね?全然忘れてた!あるものでしか夕食にならないよ、といいの募りつつ、豪華な料理といいお酒を並べて、歓待する気持ちを抑えきれない女将のストーリーが良かったかな。すき焼きじゃないよ!ただの肉豆腐だよ!なんて言いつつね。
吉野朔実作品集 いつか緑の花束に (Flowersコミックス)
吉野 朔実 / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月31日
1984を彷彿とさせるような全能の指揮者(コンダクター)が君臨する、管理された世界を舞台にしたmother。クローンとオリジナル、ミックスとの葛藤は表面上覆い隠されているが、内実は...と。ゼブラにとっては唯一でも相手にとってそうではなかったと知った時の絶望感。その萌芽を引き継いだような劇団ソラリスのネーム。吉野さんがこれから描きたかったことについては、個人的には冷んやりとした感触を受けた。一番最後に収められた表題作、わからないということは悪いことではないという占い師の言葉が印象に。必ずしも隈なく照らされた明晰な世界が正しいわけではないのだ、と。
美麗島まで (ちくま文庫)
与那原 恵 / 筑摩書房 (2010-02-09)
読了日:2016年12月31日
世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい (ちくま文庫)つながり。台湾で医院を開いた母方の祖父、舞台女優だった母方の祖母、官僚の父、フリーアナウンサーの先駆けだった母、画家の伯父。ロシア、台湾、与那国、東京、那覇、とその足跡と日本・琉球の近代史を重ね合わせて語られる家族史。森鴎外の日記に出てくる祖父。母の放送局時代の仕事でつながりのあるジョン・カビラ、川平慈英兄弟の父。単純な善人な面だけではない、女にだらしなかったり、謹言だったり、お嬢様育ちすぎて決められた額でのやりくりができなかったり、今から考えると首をかしげる運動と繋がってたり、熱烈な愛情を注ぐも一度裏切られたと感じると放り捨て見向きもしなかったりと、様々な面を描きつつ、けれど、彼らが何を考え、何を見て、何を成し遂げようとして、どのような道筋をたどったか、丹念に辿る旅は、濃密だった。/「ちっとも苦しくなんかなかった。お金はなくても若さがあった。何も恐ろしくはなかったわ。あそこには”自由”と”希望”があったもの」。2・28事件を真正面から取り扱った侯孝賢監督の「非情都市」も観てみたいと思った。
アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極
角幡 唯介 / 集英社 (2012-09-26)
読了日:2016年12月30日
高野秀行、角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」つながりで。129人全員が北極で死亡したフランクリン隊が見たものを追体験しようと北極へ向かった著者。そして、生き残りがいたのか、という謎にも迫る。北極の旅は過酷。普段着る服は厚着の上にさらに厚着。氷点下30度の世界で100キロの荷物をそりで引き、9時間行動すると、7000キロカロリーを消費。食べても食べても、脂肪が燃焼し、痩せていく。そして食べた直後から空腹を感じるような、飢餓感。1日寝ただけでは取れない蓄積した疲労。「今ケンタッキーに行ったら、すいません、百五十ピースください、とか言っちゃうんだろうな」という相棒の言葉。最初は受け付けなかったサラダ油、ゴマ、きな粉を加えた荻田特製チョコレート。「ついにこのチョコが一番上手くなった。体が本当に消耗している証拠だ」。天候不順で撤退したイタリア隊にもらったイタリー飯をかき込み「今、世界で一番うまいものを食べているという絶対的な自信があった」。極地だろうと秘境だろうと、そこには辛さも喜びも人生がぎゅっと凝縮された濃密さで感じられ、だからこそ惹きつけられるのだろう、と感じた。著書出版後、沈没したフランクリン隊の船が引きあげられたというニュースがあったので、そちらにも当たってみたい。それと絡めて、「フランクリン隊と私たちの行為を深いところで断絶させていたのは、まぎれもなく地図の存在だった」「原因が壊血病にあろうと、鉛中毒にあろうと、フランクリン隊を危機に陥れたのは缶詰だった」といったフランクリン隊について扱った他のまとまった文書にも当たってみたいと思った。
盤上の夜 (創元SF文庫)
宮内 悠介 / 東京創元社 (2014-04-12)
読了日:2016年12月30日
人工知能がらみの本で取り上げられていて興味をもって手に取った一冊。一話に一つ、ボードゲームを題材に語られる連作短編集。囲碁盤を感覚器とする棋士、数学者によるチェッカーの完全解、麻雀で次に来る牌を推測するプログラム、すべての文献をスキャンし分析する量子歴史学などなど、興味深いトピックがうまく料理されていて興味が尽きない。/意に反して四肢切断され、生き延びるために囲碁を覚えた少女。囲碁盤を感覚器官として繰り出される打ち筋に魅了され、彼女をサポートするために引退したトップクラスの棋士。/双方が最善を尽くせば必ず引き分けになることが証明されてしまったチェッカー。/封印された麻雀のタイトル戦決勝、そこで行われていたのは、牌が見えているとしか思えない打ち筋、ありていなイカサマは見当たらず、そのカラクリは?そして、この一戦がそれぞれの人生に与えた影響は、と。/古代インド、将棋の原型、チャトランガの構想が頭から離れなくなってしまった、出家し出奔したシッダールタの息子ラーフラ。王として、政治、軍事に手腕を発揮しようとするが、いかんせん弱小国のためうまくいかず、窮余の一策は…。そして、彼の構想が残したものは。/将棋。ゲームを殺すゲームを発案した兄、ゲームを極め尽くそうとする弟。二人の人生を手のひらの上で翻弄する女性。/そして、また、最終章でまた囲碁の話に。

「生きるってのは、どういうことだい? 記憶を積み重ねること。そうだろう? その点、おれはもう死者のようなもんさ。死者が、何かを怖いと感じることなんかあるか? おれは、死んでるから強いのさ!」(p.143)/完全解という形でチェッカーを葬られてから、彼は何をもって生き甲斐としたのだろうか。あくまで、チェッカーに固執したのだろうか。それとも、何か別の生き方を見出したのか。いや、語弊を承知で言ってしまおう。わたしはこう思ったのだ。この話の裏に今隠されているもの-それは、わたしたち皆にとっての問いなのだと。(pp.58-59)/
真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書)
平山 優 / KADOKAWA/角川学芸出版 (2015-10-23)
読了日:2016年12月28日
真田信繁が幸村と称した事実はない。犬伏の別れの前に、昌幸・信繁と信幸が豊臣方、徳川方に属するのは決まっていたのではないか、信幸が事前に大阪から人質を引き上げていたことから伺える、犬伏の別れは創作か、あっても意思確認以上のものではなかったのでは、と。豊臣恩顧の武将が味方する、美濃から適宜援軍を送れる、という誤った情報に基づく情勢分析で真田昌幸・信繁は上田城籠城の準備に入ったと考えられる。第二次上田合戦の真田氏の勝利は、徳川方の作戦変更による攻撃続行中止の結果であり、転がり込んできた結果的な勝利だったのでは、と。真田丸は信繁入城以前か直後に大阪方で築城が決定しており、信繁は普請と守備を担当。ただし信繁独創の設備もあったと思われる。大阪城の周囲に砦を築いて守備するのは信繁の独創ではなかったが、大坂冬の陣で他の砦は陥落しており、その奮戦は特筆できる、と。この辺りが、信繁に対して得られた知見かな、と。個人的には。また、大坂の陣の推移については、和睦条件の堀埋め立てについては、信頼できる史料には見当たらないこと。当時の人は、城に一歩も侵入できなかった徳川方と籠城しこれに痛打を与えた豊臣方では後者が勝者であったと印象を持ったものが多くいたこと。家康は浪人追放と秀頼国替を行うために軍事的圧力で、城内強硬派、牢人たちを諦めさせようとしていたこと。だが予想に反し、牢人たちの抗戦意思が固く、開戦され、慌てて参陣を命じるも間に合わなかった大名がいたこと。大野治長が秀頼参陣を促すために黄金の馬印を持って大阪城に向かったこと、内通者が大阪城に火を放ったことが、少しは優勢だった大阪方の士気をくじいたことが、秀頼参陣の機会を逃し、大きな敗着となったこと、が個人的に得られた知見。通俗な小説が描いたり、通説とされるものが研究の進展で書き換えられていくのを実感できる。
動物たち
panpanya / 白泉社 (2016-11-30)
読了日:2016年12月28日
山の中に捨てても捨てても戻ってきて数を増やして住み着いてしまつ猯たち。保健所の開発した動物捨て機の非道さと滑稽さがツボ。一度取り込んでから、三半規管を狂わすためにぐるぐる回すって…。道で狢を助けたら、ちょっと期待とずれた恩返しをされ続け、最後は狢たちがドングリを主原料とするパン工場建てちゃう話もツボ。ずれ続けたからといってうれしくないわけではないというモノローグがいいなあ、と。
空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
角幡 唯介 / 集英社 (2010-11-17)
読了日:2016年12月28日
高野秀行、角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」つながりで。チベットのヤル・ツァンポー渓谷の「空白の五マイル」とされる場所への思い、自分で見てやろうという試み。過去の探検家たちの道のり、カヌーで下ろうとして行方不明になった大学の先輩の物語とオーバーラップして語られる探検行。死ぬかもしれないという極限に追い込まれることで、逆に、シンプルに生きるということが浮き彫りになる、その実感が、冒険家を冒険へと駆り立てるのだろうな、ということが読み取れた。巻頭の地図には軌跡が記され、この本以降も著作が出版されているから、生きて帰ってきたことはわかっているのに、ここまで読ませるというのは力量だなあ、と。そして自分だけ助かることもできたのに、流されていった後輩を見て、間髪入れず激流に乗り込んでいった先輩のストーリーに胸打たれた。/誰かにだめだと言われても、誰から何も言われなくても、空白の五マイルを目指すことだけが決まっていた。(p.61)/あの時、僕は本流に向かった君の本能的、直感的な判断に大きな感動を覚えました。そこに義隆君の勇気と偉大な人格を見たからでした。(p.107)/一年以内に滝を発見し、新聞に取り上げられ、雑誌の取材を受け、夜一〇時から始まるニュース番組にゲストで登場し、英国王立地理学会で基調講演し、違いが分かる男としてインスタントコーヒーのテレビコマーシャルに出演する。そんなつもりでいたのである。(p.144)/ひとりで旅をして、そこにそれを見つけた。それが何を意味するかは私自身の問題であり、脚色したり、意味づけしたり、社会性をもたせたりする必要など全くなかった。あるのは私はそこに行ったのだという事実だけであり、たしかなのは、私にとってホクドルンというところが特別な場所になったということだけだった。(p.200)/7年間で変わったことはこの渓谷に携帯電話が普及したこと。/死の不安から解放された時、人間というのは腰を抜かしそうになるということを、私はこの時初めて知った。(p.275)/「ベユル・ペマコはメトから北東に四日歩いた、その場所にあるのだ。チベット人はそこで一ヶ月間も巡礼を行う。だからお前の旅は意味がなかった」(p.290)/極論をいえば、死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。過剰なリスクを抱え込んだ瞬間を忘れられず、冒険者はたびたび厳しい自然に向かう。そのようなある種の業が、冒険者を支配していることを否定することはできない。(p.293)
現代思想の遭難者たち
いしい ひさいち / 講談社 (2002-06)
読了日:2016年12月28日
クリーニング店員にはねられて、店員が読んでいたのか、読んでいたのが店員か(哲学科の学生が食えなくてクリーニング店員になってたのか)、事故の構造であって真相ではない、という一節。ちがう?という姿勢に、何事にも定義付けられないという軽やかに逃げさる思想を感じる。フーコーの「オリジナリティとは幻だ。作家は作品を創作したと思い込んでいるが、それは受け取った影響の集積の通過に過ぎない」。バタイユの項の「何かに役立つためでなく富を消費すること(濫費)は、有用性や交換の思考回路を超えた事態に迫り、通常の知や主体にとって不可能な次元を経験させる、という脚注。ハーバーマス先生を囲む会に、対立する勢力を全て呼んで、「よしよしどっちに撃っても弾が当たるぞ」と言いながら登場するハーバーマス。といったあたりが印象に残った。なかなかに文字数が多くて、漫画にしたからといって理解が容易というわけではないけど、雰囲気の一端が味わえる、入り口的な役割は果たせているような。
講談社 (2016-12-24)
読了日:2016年12月26日
ちょっとショックだったのは春と盆暗、連載終了。もともと全4回とのことだったが見落としてたのか。ただ来月コミックス出るとのことなので期待。波よ聞いてくれ、はまだまだ続いていた、茅代さんとミナレさんのダイアローグ、遠回しの批判の矢はだんだんとストレートになり…ただ、真面目にやってきて面白いことも言えないもののためのラジオを作りたかった、てつぶやきは印象に。球場三食は、北海道へ、ファイターズ編。札幌ドームの魅力も語りつつ、札幌市との球団には著しく負担の重い契約にも触れられ、新球場問題へと繋げる。なんだよ…選手の総年俸と同額の年間使用料って…と。大上さんは…には、広島在住経験ありの見た目イカツイけど根はいいやつな新キャラ登場。ほっこり度合いが増す。あしあと探偵は、賭けに出たハッタリからスリリングな展開に。ユリイカの短歌特集のインタビューを見て、読むのを再開しようと思った、月に吠えらんねえ、は、まだその世界観に入り込めず。
忘却のサチコ 8 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月25日
函館と山形のシリーズはご当地のものがてんこ盛りで読み応えあり。この巻も相変わらずの、真面目一徹、全力投球のサチコさん。
海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)
吉田 秋生 / 小学館 (2012-12-10)
読了日:2016年12月25日
親しい人にも言えない秘密を抱えることの苦しさ。一切の縁が切られた母方の親族からの突然の連絡。昇進することによるプレッシャー。そして、病人に寄り添うことと病人になることの間に横たわる深い溝に気づくこと。/神様が何もしてくれないなら自分でやるしかないでしょう/もうすぐ死ぬとわかっていても桜は美しかった。/
レディ&オールドマン 2 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2016-12-19)
読了日:2016年12月25日
連鎖的に次から次へと繋がる仕事。そして、たどり着いたのは、二人の仕事を認めてくれる存在。思惑渦巻くダイナー。ロブの背中を押すマスター。ついていくシェリー。新たな仕事仲間。謎めいたダイアローグと垣間見えた手がかり。
響~小説家になる方法~ 5 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月25日
直木賞とろうがアカデミー章とろうが私は変わらない、と揺るぎない響。自分にも他者にも小説に対する姿勢は厳しく。それを受け止める側もさまざま、反発する者も、悔しいけれど離れられない者も、認め合う者も、素直に受け入れる者も。そして、普通の作家なら晴れの舞台と思われるシーンでも、それまでの自分を貫き通すが、それはどう受け入れられていくのか。というところで次巻へ。才能を持ったものの孤独と戸惑いも垣間見え、けど幼馴染のように問われたらどう返すか、なってみないとわからないのか、思いを巡らすのか。
鞄図書館3
芳崎 せいむ / 東京創元社 (2016-12-21)
読了日:2016年12月25日
本から全く離れてしまった集落への訪問。人から人へと渡ってしまった貸し出し本を巡る旅、そこまで人々を惹きつけた、星を継ぐ者、に興味が湧く。九龍城砦をモデルにしたと思える場所への訪問。誇りをもって村の小さな図書館を運営する司書が、村人を本好きにし、はたからみると滑稽な事件に巻き込まれる一幕。そして愁眉は、父から子へ、三代に受け継がれた、自宅庭に据えられたちいさなちいさな私設図書館、そこから産み出されるエピソード、かな。本をめぐって語り合うことの楽しさを改めて感じさせてくれる。
絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.1) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)
山田 玲司 / 小学館 (2004-05)
読了日:2016年12月25日
自分の人生のテーマは人とつながることなんですよ マンガってのは鏡に向かって自分をとことん掘り下げていくみたいなところがあって 結局その先に、全人類につながる普遍的な何かがあるんですよ それをやっていくうちに、ようやく自分が見えてきた気がするんですよね、という井上雄彦の言葉/ 25年関わったというアマゾンの村のあいさつ。アイニョヒ?(いるかい) アイニョ!(いるよ)を取り上げて「そこにただ存在することが大切なんだ/彼らには生きる目的はないんです/生きてるだけでありがたいんです」と語るグレートジャーニーの関野吉晴の言葉が印象に残った。著者山田玲司が自らの絶望に効くクスリから語り起こし、「 ストリッパー 」という作品で描いた、「はじめから人間には個性も自由もないのよ」という言葉。この作品も読んでみたくなりました。
いぶり暮らし 5 (ゼノンコミックス)
大島千春 / 徳間書店 (2016-11-19)
読了日:2016年12月24日
まわりにあれこれ言われて、関係性に悩む日があっても、結局は自分にとって相手がどうかなのだと思う、けどまた悩むといった一巻。マヨネーズやオリーブオイルの燻製には興味深々。
ギャラリーフェイク 33 (ビッグコミックス)
細野不二彦 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月24日
復活のギャラリーフェイク。東日本大震災の被災地で打った一芝居、美術品破壊犯を追って、ロンドン、サラエボ、ブリュッセルと巡るストーリー、九鼎と3Dプリンターをめぐる一幕…と相変わらず健在のフジタを堪能。
ふしぎの国のバード 3巻 (ビームコミックス)
佐々 大河 / KADOKAWA (2016-12-15)
読了日:2016年12月21日
いよいよ会津を抜けて新潟へ。イトウのお菓子好きすぎるお茶目な一面もかいま見せつつ、戊辰戦争の傷跡で、貧しい土地土地に胸を痛めつつ。どうしてよその土地へ行かなかった?という問いに、そんなことは考えたこともなかった、ここが俺の生まれた土地だ、というきっぱりした返答。貧しく口に合わない食事や、理解できない迷信の類に辟易するシーンもあったけど、基本的には、興味深く、好奇心を向けるバードさんの姿勢には心惹かれる。後半はイトウの前の契約者の登場、パークス公使の手厚い支援はあったが、次巻以降どうなるか気をもむところ。
和歌でない歌
中島 敦 /
読了日:2016年12月19日
R.D.レイン「好き?好き?大好き?」つながり。「石とならまほしき夜の歌」八首のみ読了。禍々しい、暗く、冷たく、灰色の世界を味わえる。
新井 満 / 文藝春秋 (1991-08)
読了日:2016年12月19日
何年かぶりの再読。ヴェクサシオン、サンセット・ビーチ・ホテル、尋ね人の時間、と読み進めてくると、サンセット・ビーチ・ホテルの併録作をのぞいて、骨の髄まで厭世的な男が主人公なんだな、というのが改めて感じられる。この作品も、不能者の増加は人口爆発を抑える地球の意志、フランスの田舎にある二歩進んで三歩下がるリゴドン・ダンス、スクランブル交差点が苦手…。生きることに積極的でないと責められても、それが自分と、むしろ、地球はこの先長くないのでは、という確信を深めていく。発表から30年経ったけど、残念ながら、まだ地球はありますよ、あなたが見たかった地球ではないかも知れませんけど、と語りかけたい心地に。
ユリイカ 2016年8月号 特集=あたらしい短歌、ここにあります
岡井隆 , 穂村弘 / 青土社 (2016-07-27)
読了日:2016年12月18日
どうしても歌に読み手の人生を重ねてしまおうとする、しぶとい私性とのつながり。あえて正面から、鳥居さんのように、人生を扱ったルポと歌集を同時発売するという試み。定型に押し込めようとする力と軽やかに逃れる破調、そこからの、何をもって短歌とするのかという問い。様々な制約をすり抜けて、あらゆる時と人に語りかけようとする試み。楽しそうな歌会を紹介する一節。富豪短歌、ってどうかな、という穂村さんのつぶやき。わからなくてかっこいいと思った吉増剛造「燃える」を語る最果さん。興味深いトピックス多数で楽しめた。そして、気になった短歌を幾つか。穂村さんの、共感ではなく、驚異(wonder)をという言葉にも導かれつつ。

「愛して」という感情は私の大事な焚き火です。きみを燃やすつもりはなかった。(最果タヒ)

八月を 君にゆっくり届きたい俺に 宇宙がよこす各停(雪舟えま)

手紙よ、と手紙でつつかれて起きる 諸島が一つにまとまるように (雪舟えま)

傷ついたことを忘れるようにして生きるのを 逃げると同じと感じるのはなぜ(雨宮まみ)

気に入りのパンティ脱いで鍋奉行 ちょっとそれは具ではないわよ(木下古栗)

夜中突然正気に戻るごめんなさい私もう無理何もかも愛してるけどもう本当は(ルネッサンス吉田)

それはなお続くはるさめ 銀河まで寄ろうそのあと嘘をゆるそう (山中千瀬)
夢の雫、黄金の鳥篭 9 (フラワーコミックスアルファ)
篠原千絵 / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月18日
イブラヒムのエジプト遠征、ヒュッレムの第二子解任、ギュルバハルの子ムスタファ皇子との交流。誰も殺さなくて済むために、最高の権力を得たい。皇帝の寵愛を失わず、大宰相の後見を失わず、と。帯の、本当に悪女だったのかは、見る立場によって変わる。帝国を司るものか、子を思う母なのか。
オスマン帝国六〇〇年史 三大陸に君臨したイスラムの守護者 (ビジュアル選書)
設樂 國廣 , 齊藤 優子 / KADOKAWA/中経出版 (2014-09-17)
読了日:2016年12月15日
勃興から滅亡までの概観。よくまとまってるなと思いつつも、最新の研究成果を盛り込んでいないのではないかと思われる箇所も。ソコルル・メフメト・パシャの、スエズ運河計画、ボルガ河〜ドン河運河計画は、イスタンブルから遠く離れ、財政負担が大きく、技術力が至らず、完成に至らなかったが、後年どちらも同地点で実現していることから、先見の明があったと言える、と。スレイマン二世(在位1687−1691)は当時のスルタンとしては異例なほど活躍、臨時戦争税の廃止、キリスト教徒農民の人頭税徴収方法改変、ムスタファ・キョプリュリュを大宰相に任命、ニシュとベオグラードを奪還、新銀貨クルシュを投入してオスマン市場の基本通貨を安定させた、と。
逃げるは恥だが役に立つ(8) (KC KISS)
海野 つなみ / 講談社 (2016-10-13)
読了日:2016年12月14日
2−8巻まで読了。ドラマを8話から10話まで見た後に見ると、ここをこう使って、こう組み替えたんだ、とか、違うところを楽しんだりとか。
月影ベイベ 8 (フラワーコミックスアルファ)
小玉 ユキ / 小学館 (2016-12-09)
読了日:2016年12月14日
読まれた母の日記、込められた思い。そして、雷雨がきっかけで、秘めた思いを打ち明け。それを正面から受け止めて、語ってくれる一幕で。
バイナリ畑でつかまえて
山田 胡瓜 / アスペクト (2016-08-02)
読了日:2016年12月13日
A面は、Facebook、Google ストリートビュー、イヤフォンマイクなど、ITサービス、機器、技術を取り上げたショートショート。クックパッドの項で、母親が無料で次々とレシピをネットに上げることに不満な娘、その通りに作ってみるものの母の味にはならず、母から「その違いがわかるのはあんただけなんだよ」と言われ、なんだか暖かい気持ちに、と。B面は、AIをテーマにした中編。もしも愛する人が亡くなったら、その時、中身をそっくり人工知能に移せたら、という設定で問いかけてくる、あなたならどう思う、そしてどうする、と。それは必ずしも喜びだけではないかもしれない、と。
筑摩世界文学大系〈84〉近代劇集 (1974年)
イプセン , ショー / 筑摩書房 (1974-06-25)
読了日:2016年12月11日
「コンドームの歴史」つながりで、バーナード・ショウ「ウォレン夫人の職業」のみ読了。当時は物議を呼ぶ刺激的な戯曲だったのだろうけど、今の基準からすると過激とも思われず、なのは致し方なし。ウォレン夫人の職業も、はっきりそれとは指されず、まわりくどく描写されるところから汲むしかなく。ただ、娘としては、知らずに、今までそのお金で育って、教育を受けてきたことには、何がしか申し立てをしなければ気がすまなかったのだろう、と。/フランク:妹たちは自分の好きなようにするがいい。ぼくは自分の好きなようにする。ぼくたちは二度と会わなくたって平気さ。それが兄妹というもんだよ。/ヴィヴィー:わたくしにとっては、この人生には美もなければ、ロマンスもありません。人生はあるがままです。わたくしは人生をあるがままに受け取るつもりです。/ヴィヴィー:涙をながしたってただでしょ。その涙と引きかえにあなたはわたしの全生涯の平穏と無事を提供させようとなさっているのです。/ヴィヴィー:お母さん、あなたは娘を欲しがり、フランクは妻をほしがっています。わたしは母親もいりませんし、夫もいりません。わたしは自分自身もフランクも容赦しないで、あの子を追っ払いました。あなたには容赦すると思っているんですか?/プレイド:きれいな女というものは、そういう-つまりだね、そういう関係でない友人というものが必要なんだ。たまにはそういう関係からのがれられないと、自分の美貌がかえって苦痛になるだろう。/ウォレン夫人:女が裕福な暮しをしようとしたら、自分に親切にしてくれるだけの金のある男に、こっちから親切にしてやるのさ、それしかないんだよ。
悪女(わる)(3) (BE・LOVEコミックス)
深見じゅん / 講談社 (1989-09-08)
読了日:2016年12月11日
1−3巻まで読了。30年前の仕事ぶりってこんなんだったのかなあ、と思いつつ、能天気に見えて、打たれ強く、気付く人には響いて、引き寄せられてしまう、山田麻里鈴。向こうが一目惚れするような女になりなさい、という峰岸さんのアドバイス。なぜ耐えられるの?と問われ、ここだけの話ですが私にもよくわからない、と押し通せるところ。出世する人は会社と自分のことを考え、しない人は出世のことばかり考える、エライ人の受け売りですが、とチャーミングにいうところ、が目に止まったかな。
細野不二彦短編集 2 (ビッグコミックス)
細野 不二彦 / 小学館 (2016-11-30)
読了日:2016年12月11日
鉄道オタクの青年が専門性を発揮して活躍する短編が良かったかな。あとは、猿飛リバイバルも、ちょっとしたサイドストーリーを見せてくれるギャラリーフェイクも良かったけど、個人的には、愛しのバットマン、が収穫だった。
小路花唄(1) (アフタヌーンKC)
麻生 みこと / 講談社 (2016-12-07)
読了日:2016年12月11日
あの、路地恋花の続編が出ていたとは。今回の主人公は、前作にも出てきていたオーダーメイド靴屋さん。その恋路が語られ、仕事の悩みが語られ、既に独立していった店子たちも登場して、後日譚が語られる。贅沢な気持ちに。そして、前作では、作家兼喫茶店マスターのところに出入りしていた娘が新たな店子に。この先どう絡んでいくのか楽しみ。
エンバンメイズ(6)<完> (アフタヌーンKC)
田中 一行 / 講談社 (2016-12-07)
読了日:2016年12月11日
対戦相手は、思ってもみなかった、過去から追ってきた相手。そして、究極の難設定の台たち。張り巡らされる駆け引き。最後は…と。終わりかたについては意外感。こうきましたか、と。息つめて読んでいたのが、深く息を吐き出す感。
あっちもこっちも―星里もちる短編集 (ビッグコミックススペシャル)
星里 もちる / 小学館 (2013-01-30)
読了日:2016年12月11日
喜ばしいこともあるのかもしれないけれど、理屈の通じぬものとの対峙は疲れるな、と。それに限らず、話を聞かないキャラというのは星里作品のポイントなのかな、と。タクシーものはシリーズ化しようとしたけど、挫折したとか、巻末に作品改題がついているのはよかった。りびんぐゲーム以来、星里作品からはなれていたけど、ひさびさにふれてみて、あたたかい気持ちに。
サンセット・ビーチ・ホテル (文春文庫)
新井 満 / 文藝春秋 (1996-05)
読了日:2016年12月11日
夫と妻、南の島と寒冷なNY、自然が好きと人が好き、撮影する者と自ら描く者、さまざまな対比がなされる二編が収められる。こんにちは、さようなら、ありがとうを意味するマーシャル後、ヤボイ!。絶海の楽園かと思われた地で見かけた後始末の悪い焚き火のあとに、地球は長くないのでは、と思いを馳せる夫。サムルノリの音楽に身体震わされる妻。「夫婦とは何だろう、と碧は思う。二人で生きるということか。ならば、なぜ二人なのか。一人で生きられないからか。だが、一人を生きられない者に、二人を生きる資格はない。そう思ったからこそ、申し出た別居である。」(p.180)という独白。<毎日、どうしていますか><私?私はね、毎朝、生まれるの><ほう><そして、毎晩、死ぬの><あいかわらずだなァ>(p.180-181)という対話が心に残る。
絶望に効くクスリ vol.13―One on one 革命的対談漫画 (ヤングサンデーコミックススペシャル)
山田 玲司 / 小学館 (2008-06-05)
読了日:2016年12月11日
能力が低いからダメなんじゃなくて、自分に何ができるかが大切なんだと思いますよ…そういう自分の価値に気づいたら、宗教も薬もいらないと思うんです。一番頼れる「自分」を見つけることですよね。(古澤巌)/若い人に言いたいのは、悩む前に「自分はその時精一杯やったのか?」ってことなんですよ。もし、まだやってないなら、やりきってみて…ボロボロになって、これ以上進めないって言った時に変われると思うんです…(平野悠)/その時立たされた立場でそれぞれが一生懸命生きるしかないのね。それが「切に生きる」ってことなんですよ。(瀬戸内寂聴)といったあたりが、目に止まったことば。あとは、瀬戸内寂聴が世阿弥をえがいた「秘花」、古澤巌の原点になった「夕陽のガンマン」を手に取りたいなと思った。
女の友情と筋肉(3) (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2015-12-19)
読了日:2016年12月10日
ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか
塚本晋也 , 高橋一生 / 青土社 (2016-11-25)
読了日:2016年12月9日
感心するようなトリビアから、なるほど、という時勢をからめた切り取り方から、それはご自分の専門にひきつけすぎでしょ、と思ったり、ないものねだりの言いがかりだなあ、と思うものもあったり、難解で立論についてけないものも、含めて、楽しめた。こういう様々な視点から語られる一冊を待っていた。/最後のシーンのゴジラのしっぽにこめられていた意味、カヨコの巨大生物への呼び方が 「ガッズィーラ」から、「ゴジラ」へ変わった契機への着目。日本との対比で、軍事力の行使をためらわないロシア軍に、「冷温停止」はできなかったのでは、ロシアにこそ巨災対が必要だったのでは、という問いかけ。初代ゴジラの足音と咆哮のからくり。 「エヴァンゲリオン」、「ゴジラ」第一作、3・11ドキュメンタリの3つの素材をDJ庵野秀明がマッシュアップしたMADである、という断言。初代ゴジラも、シン・ゴジラも、記録的観客動員数を記録するも、どちらも「君の名は。」という同名映画に年間興収トップを阻まれたというトリビア。 シン・ゴジラによる破壊は、容易にあれこれの「意味」へと回収可能な「記号」ではなく、そのような安易な置き換えに抵抗する圧倒的な何かの出現を示す「しるし」だった、という指摘。尾頭ヒロミだけで一章をさき、キューティーハニーの夏子の進化系であるヒロミ、という枠組みを押し通す論考。野暮を承知で、生命科学の見地から、経口投与しても血液凝固させられませんよなどなど指摘せずにはいられない、まさに空想科学読本を地でいく論考。/また、さらに読みたく、観たくなったのは、下記の5つ。(1)片山杜秀「音楽から"深読み"する「シン・ゴジラ」 (2)部谷直亮「中野区にゾンビ襲来!本気で対応策を考えてみた」「JB PRESS」2016/4/6 (3)映画「日本のいちばん長い日」 (4)宮沢賢治「春と修羅」…「しるし」に満ちた作品として (5)モルモット吉田「初代ゴジラの”呪縛”から逃れた「シン・ゴジラ」
AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)
小林 雅一 / 講談社 (2015-03-19)
読了日:2016年12月9日
「情報端末としての次世代ロボット」は、グーグルをはじめ米IT企業が、あらゆる業界の企業や一般消費者について深く理解し、彼らを内側から支配するために投入する「トロイの木馬」なのです、という指摘。チェスだけでなく一般的に言われることですが、何かがコンピュータに抜かれるまでは「あれこそ至高の競技だ、人間知性の表れだ」などと持て囃されながら、抜かれた途端、「あんなものはもともと大したことなかった」と足蹴にされる傾向があるようです、という指摘。/英語、スペイン語をまなんだAIが、それまで学習した中国語も上達したケース。/映画「トランセンデンス」を見た学者たちの警鐘。/ディープマインド社はグーグルに買収されるにあたり、AI倫理委員会の設置を条件づけたこと/自動運転は、さまざまな難しいケースへの対応が課題、ありそうにない仮定も現実社会では起こりうる/「現代AIのベースとなる「機械学習」とは、たとえば「言葉を聞き分ける」「写真を見分ける」といった人間の知能を、コンピュータが得意とする大規模な数値計算へと巧妙にすり替える手段である。あるいは、いかにも人間の知能らしきものを、統計・確率的な数値計算によって擬似的に表現したものに過ぎない。」/「ディープラーニングのように、人間がロボットやコンピュータに何らかのルールや変数を教えなくても、彼ら自身が問題を解く上で本質的に重要なことに気付いてくれるなら、フレーム問題は解決できる可能性があります。」といったトピックが興味深かった。
かばんとりどり (ゼノンコミックス)
ウラモトユウコ / 徳間書店 (2014-05-20)
読了日:2016年12月8日
再読。ちょっとずつ仕掛けに満ちてて、時にA面B面で語られ、一筋縄じゃいかないところがいいなあ、と。
最後にして最初のアイドル
草野 原々 / 早川書房 (2016-11-22)
読了日:2016年12月5日
shi3zの長文日記の紹介で見かけて。最初のアイドル残酷物語的なところまではついていけたけど、そこからの一気呵成、視点のスケールが大きくなりすぎて、ちょっとついていけず。意識とは、アイドルとは、と立ち止まって考えさせられるものの、すぐにもっと大きなものに絡め取られ。最初の、とは思えない自分がいたりする。
東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
松尾 豊 , 塩野 誠 / KADOKAWA (2015-12-25)
読了日:2016年12月4日
人工知能の話から社会の制度設計の話にまで広がる。「事例を積み重ねて集計するような仕事は、コンピューターでやった方が速くて正確だし、だんだんコンピューターがやるようになるでしょう」といった見通しから、国という概念が、突き詰めると、どこに税金を払ってどのサービスを受けるか、という話になる、とか、「大義名分としての一人一票と、実効的な社会としての長期的意思決定を、うまく折り合いをつけながら変えていく」必要性や、自動運転の車が人を轢いて亡くなったケースで、最後に謝るのが誰か、合意がとれないと先へすすめない、といったトピックまで幅広く。また、見たいと思った映画は、「トランセンデンス」(亡くなった人工知能学者の夫の脳を妻が人工知能空間にコピーする話)、「her/世界でひとつの彼女」。
地図のない場所で眠りたい (講談社文庫)
高野 秀行 , 角幡 唯介 / 講談社 (2016-10-14)
読了日:2016年12月4日
早稲田大学探検部の先輩後輩の対談。探検へかける思い、書くことへの思い、方法論などが語られ興味深かった。一番おかしかったのは、高野さんが、松戸にいるというマツドドンを探す、という学生に、そんなものいるわけないだろ、といったら、高野さんにそんなこと言われたくない!と言われ、言い争いになった、というシーン。あと、「高野 「私は日本人です」とか「元気ですか」とか、現地語でなんて言うのか聞いていると、主語、動詞、目的語の順番はどうなっているかとか、人称によってどういう活用が起きるのかとか、そういうことが自然と頭に入ってきてしまうわけ。」p.271 なんてフレーズを読むと、この人、言語の天才だ、と思ってしまう。あと目にとまったところを以下に。/角幡 お金を出してもらうと、どうしても、なにかあったらどうするんだって話になりますよね。そうして自分のこだわりが変形されてしまうのが怖いんですよ。p.281/角幡 というか、書かないと整理されない 高野 されないよな。書かないと、どんどん忘れていくし、深まらないしね。p.300/高野 行って半分、書いて半分だよね。後半の半分をどうするかというのは、現地でやることに匹敵する大問題なのに。p.322/読み終えて、高野さんの著作はほぼ読んでいるので、角幡さんの「空白の五マイル」「アグルーカの行方」は読みたいと思った。その他に、読みたい!と思ったのは、峠恵子「ニューギニア水平垂直航海記」小学館、荻田泰永「北極男」講談社(2013年)、吉野朔実さんも紹介していたな、と思った「ピダハン」みすず書房、の三冊。
遠い食卓 (アフタヌーンKC)
イシダ ナオキ / 講談社 (2015-07-23)
読了日:2016年12月4日
食にまつわる話を集めた、基本一話読み切り、時に続きもの、そして少しずつ話や登場人物が繋がっていたり。題材も、餃子、インスタント珈琲、茶、カップラーメンと身近なものを取り上げ、思い入れが歌われたり、娘を思う気持ちが空回ったり、ようやくできた友達のミステリアスな面だったり、などなど、味わい深く。何度か読み返したい一冊。
ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2016-11-18)
読了日:2016年12月2日
ヤマシギのチチタプを煮込んだオハウ、食べてみたい。すっとぼけた白石の脱獄王になるまでの道のりが、どこをどうしたらこうなるというぐらい可笑しく。自分を守るためだとはわかっていても、杉元にスイッチが入ってしまった後の光景を見た、アシリパさんの表情が印象に残る。
図書館の主 14 (芳文社コミックス)
篠原ウミハル / 芳文社 (2016-11-16)
読了日:2016年12月2日
語られる宮本の過去と、過去から追ってきた存在。それはいまだに力強くまぶしく。それとからめて語られる新美南吉「嘘」に興味がわく。また、個人的には、読んだことのないルイス・キャロルのアリスの語られ方が魅力的だった。
ピアノのムシ 9 (芳文社コミックス)
荒川三喜夫 / 芳文社 (2016-11-16)
読了日:2016年12月1日
いよいよ語られる蛭田の来歴。ピアノに魅せられたきっかけ。ドイツでの修行。今まで語られず、どのように今の蛭田が作られたかを垣間見られる巻。なんだか物語がググッと進んだ気がする。それにしても、気持ちを手に入れようと、高価なピアノを自腹で、って思い切るなあ、と。
七つ屋志のぶの宝石匣(3) (KC KISS)
二ノ宮 知子 / 講談社 (2016-11-11)
読了日:2016年12月1日
赤い宝石をめぐるミステリーは二転三転。追っていく方向性は、若干修正することにもなりそうで。クールなようでいて、突っ走って、かえっていさみ足みたいなところは、お茶目だなあ、と思ったり。


2016年12月31日

2016年に読んだ本から10冊

2016年に読んだ本から10冊。
順位については順不同。
読後感はこちらから。

真田信繁の書状を読む (星海社新書)
丸島 和洋 / 講談社 (2016-09-22)
読了日:2016年10月3日
 ※「真田丸」関連で読み漁った書籍のうちの一冊。史料を紐解くワクワク感が伝わってくる。

よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ
清水 亮 / KADOKAWA (2016-10-17)
読了日:2016年10月30日
 ※人工知能関係も読み漁った一年。最終章の地球から宇宙、銀河系までぶっ飛ぶスケールが圧巻。

レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)
三島 芳治 / 集英社 (2014-05-19)
読了日:2016年8月27日
 ※味わい深い、ただただ味わい深い。

賢人支配の砂漠
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2014-05-05)
読了日:2016年7月24日
 ※ドバイを舞台にした小説。文学フリマで入手。硬い題材なのにぐいぐいと引き込まれる。

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉
高野 秀行 / 新潮社 (2016-04-27)
読了日:2016年5月22日
 ※独自に定義したアジア納豆を求め、日本からアジアへ。これ読んで、東京にシャン料理食べに行きました。

島へ免許を取りに行く (集英社文庫)
星野 博美 / 集英社 (2016-04-20)
読了日:2016年5月2日
 ※著者のユーモアと異なる視線が切り開いてくれる地平は、抱腹と納得感。味わい深い。

空海の風景〈下〉 (中公文庫)
司馬 遼太郎 / 中央公論社 (1994-03-10)
読了日:2016年5月1日
 ※空海・最澄を主人公にした「阿吽」にやられ、空海関係の書籍を読み漁ったうちの一冊。

BACON ICE CREAM
奥山 由之 / パルコ (2016-01-30)
読了日:2016年3月21日
 ※都市に散らばる色彩がまばゆくて心に刺さってきてなんどもページをめくる。

「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)
佐々木敦 / Pヴァイン (2014-05-30)
読了日:2016年2月21日
 ※美しい論理。

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)
村瀬 秀信 / 双葉社 (2016-01-13)
読了日:2016年2月16日
 ※この本をきっかけにベイスターズの魅力にやられ、中野渡さんの本や前球団社長の池田さんの本に手が伸び、チーム成績が気になりだす。

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2016年に見た映画

今年映画館に足を運んだ映画は、4作品、うち1作品は2回

(2/27) 映画「禁じられた歌声(原題:TIMBUKTU)」 (シアター・キノ)
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52364090.html

(2/28) 映画「夜会2014 橋の下のアルカディア」(シネマフロンティア)
 徹頭徹尾、濃厚な情念に彩られていた。

(8/27) シン・ゴジラ (1回目。シネマフロンティア。)
 映画「シン・ゴジラ」観てきた。ゴジラシリーズ観たの初めてだったけど、最初から最後まで1分も退屈せず、引き込まれ続けた。事前情報をあまり入れずに行ったので、今から色々調べまくって、2回目に備えたいと思う、という鑑賞直後の感想。

(9/4) シン・ゴジラ (2回目。IMAX上映。ユニバーサル。)
 シン・ゴジラ、8日ぶり2回目鑑賞。隅々まで見渡して、前回から仕入れた情報と照らし合わせながら汲み尽くそうと思ってたのに、気がつくとまたストーリーにグイグイと引き込まれてしまった。そしてまた1分も退屈するところがない。今回IMAXで見たんだけど、確かにいい画像で見た方が断然良い。
 という2回目の感想。次から次へと語りたいことが出てくる良い映画だった。
 そして、この本も買って熟読してしまう。
 ↓ 
 ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか
 

(10/22) 君の名は。(シネマフロンティア)
 秒速5センチメートルとかほしのこえとか言の葉の庭とかに比べれば明るいトーンで、入れ替わる、という予備知識だけはあったけど、頻度とか時間とかそうきたか、と。辻褄が、とか、気づかないか、とか、都合が、とか言いだしたらきりがないけど、総じて楽しかった。
 こちらも、この本を買ってしまう
 ↓ 
 (1)小説「君の名は。」
 (2)君の名は。 Another Side:Earthbound
 (1)はほぼ原作に忠実で(2)の方が色々深読みしていて面白かった。

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2016年に見たアート

※日付、アーティスト・展覧会名、会場。

・(1/10) Ryota Kuwakubo /LOST #13 @札幌市資料館
Ryota Kuwakubo /LOST #13 @札幌市資料館 http://ow.ly/WR9Bp を見てきた。行くと、真っ暗な部屋に案内され、光源をのせた列車が線路を走り、せんたくばさみ、クリップ、ざる等を4面の壁に照らしていく幻想的な動く影絵の世界。魅了された。はじめて展示にふれたけど、ずっと眺めていたかった、ひたっていたかった。斬新なアイディア。考え方ひとつでこんな表現ができるんだ、と。

・(3/12) la chamble erotique 大奥 -> SYMBIOSYS 蒼野甘夏さん作品あり
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52365551.html

・4/16 一鬼のこ展「Red」 at OYOYO
 レトロスペース坂会館でチラシを見て、吸い寄せられるようにここに足を運ぶ。メインのモデルの一人、七菜乃さんも来場されていて、美しいなあと見とれてしまった。他のモデルの一人の方に、私もこの中に映っているんですよ、と言われてその時はふーんと思ったけど、今考えるとけっこうインパクトのあること言われていたんだなあ、と。縛る、ということから生まれるさまざまな波紋を楽しむ。

・(5/28) 国松希根太展 グランビスタギャラリー(札幌グランドホテル)
 観てきました!卵型の彫刻も、入江か湖の水平線と闇の境目も、吸い込まれそうな漆黒の鏡も、観ていて飽きず、ずっと眺めていたかった。

・(6/11) 北海道・いまを生きるアーティストたち ともにいること ともにあること @道立近代美術館
http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52374564.html
近美の地元作家を扱ったシリーズは、今後も続けて欲しい。

・(7/17) 藤城清治美術館@那須塩原
 初めて触れた影絵の世界。メルヘンで甘いだけじゃない、この世界観に圧倒される。風の又三郎を読みたくなった。

・(7/18) 蒼野甘夏展 ゆめのおと@gallery forgotton dreams (清澄白河)
 美人画も動物をモチーフにした作品も楽しめて。館主と甘夏さん作品について少しお話しできたのも嬉しかった。

・(9/10) Gypsy Soul at PROVO (DJ サラーム海上 含む)
・(9/11) サラーム海上の中東音楽講座
 Gypsy Soulは、中東のポップスをかけてくれたり、ライブはベリーダンス、フラメンコから、普段触れる機会のない中近東のダンスを堪能。音楽講座はスライドと動画を見ながら解説してくれて、エジプトのAmr DiabとレバノンのMyriam Farisは一時期通勤の行き帰りにパワープレイしてました。サラームさんの個人誌にサインもらいつつ、少しお話しできたのも嬉しかった。

・(9/19) ゴジラ展 道立近代美術館
 ゴジラシリーズは「シン・ゴジラ」しか見たことなかったけど、そこに至るまでの過程を見ることができて、2時間ぐらい堪能。

・(11/3) 野又圭司展 本郷新記念札幌彫刻美術館
 廃墟のようなディストピアのような作品から、ネット上の炎上を焦げ目のついた木製パソコンで表す少しユーモラスな作品まで。砂で作られた作品には木製の通路で近づけて、その世界に取り込まれたような不思議な感覚を味わえた。

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2016年12月05日

2016年11月に読んだ本

期間 : 2016年11月
読了数 : 35 冊
逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス)
海野つなみ / 講談社 (2013-06-13)
読了日:2016年11月29日
TLでドラマが面白い、と頻繁にお見かけし、blog「Shi3zの長文日記」でkindle版の一巻が無料と見かけて手に取る。これがきっかけで、ドラマも8話から見てしまう。物語のスタートときっかけはわかった。これからどう転がっていくのかが楽しみ。
コンドームの歴史
アーニェ・コリア / 河出書房新社 (2010-02-20)
読了日:2016年11月29日
BRUTUS 特集 本が好き、つながりで。ローマ帝国の昔から、バースコントロールへの関心があって、使われていたとは。そして、近代にゴム製品として普及するまでは、動物の腸やリネンをはじめとした様々なものが利用されてきた、と。今の基準に照らし合わせると、効果の疑わしいものもあるけれども。そして感染症対策、という意味合いも帯びていく。ただ、素直に使われてきたかというと、バースコントロールへの宗教的な忌避感、あるいは迷信に惑わされて、現在でも使用に反対する勢力があるとは…と。創造的な使用法の紹介は興味深かった。曰く、銃や弾薬を濡らさないようにするために。戦車の無線手はマイクを乾燥させておくカバーとして。沿岸地方に駐留する水兵は装備が湿気で傷む問題を解決するために。出血を止めるため。携帯トイレとして。また、日本、中国など東洋の事例についてはもっと詳細に知りたいと思った。
アグリッパーAGRIPPAー 1 (ジャンプコミックス)
内水 融 / 集英社 (2011-02-04)
読了日:2016年11月27日
ローマものでアグリッパだから、アウグストゥスの時代の将軍アグリッパを描いたものかと早とちりし手にとったが、蓋を開けると、ガリアのヴェルチンジェトリクスを主人公とする物語だった。ローマの支配を壊せ、ここはガリアだ、俺はガリア人だ、と二人から、一部族を味方に引き入れ、自分を追い出した出身部族に乗り込むが…と。
星川洋子 / 合同会社BBC (2016-10-01)
読了日:2016年11月27日
小樽についての短文、好き。星川さんのブラウンブックスの歴史は、思い切りの歴史だなあ、と。新しいことはじめるときは周囲は反対するものだから全部無視してGO、の繰り返し。そして、体阿弥さんのスーパー前向きなエピソード、いいなあ、と。新生活の中でのほっとする珈琲屋さんのエピソードもいい。ものを選ぶ基準、「健康で無駄がなく真面目で威張らない」の力強さ。そして、珈琲と占いの絡まりあいが、転がり転がる小説の楽しさ。続く、って気になる。
三国志外伝 (文春文庫 み 19-35)
宮城谷 昌光 / 文藝春秋 (2016-10-07)
読了日:2016年11月26日
脇役とされる人物を主人公に据えて描かれる短編集。だが、公孫度の前半が董卓の武将徐栄、蔡エンの前半が蔡邕、といった感じで、描写が割かれ、もっと主人公を踏み込んで描いて欲しい、ところもあった。太史慈の話では、愚鈍に描かれる劉繇も、劉繇を主人公にするとそれなりの傑物に描かれていたり、といった対比も興味深かった。正史の三国志を著した陳寿の話も興味深く、また師匠の譙周の佇まいも印象に残った。以下備忘録/劉備は恩人に報いるどころか、必ず裏切ってきた人物/劉備は命がけで他人のために働いたことがなく、これからも己のことしか考えないだろう。(王さん)/王莽の新、滅亡後、短期間、三国時代があった/「わかった、協力しよう」(韓遂)、本当の義俠の人、という描かれ方だった./「河首平漢王」を名乗った隴西の宋建。三十年も続いた政権だった、とは寡聞にして知らず。/今の天子は董卓に擁立されたという事実があるゆえに群雄から尊崇されていない(韓遂)/公孫度が建てたのは王国と言ってよく、亡くなってからもゆるぎなく続いたことを考えれば、四国時代と言ってもいいのでは、と。/恩を忘れず、仇を忘れることができたら、その人は聖人に近い。忘れたふりを貫くことさえ、凡人にはできない/タタール人の砂漠、のような蔡邕の配流先での処遇。「いつ鮮卑の大軍が出現するかわからない荒涼たる平原を、毎日眺めている辛さは、戌兵になってみなければわからないだろう」/蔡エンの作った、回想的な詩、読んでみたい/おそらく父は、上司であった馬謖が、死によって、弁解の道を永久に閉ざされたことを知って、自身も死ぬまで弁解しないと決めたにちがいない/馬謖を用いるなという劉備の言を入れなかった諸葛亮。敗将の言いつけをまともに受けいれられない気持ちがあったのでは、と。ただ、当時の蜀で実践を知り尽くしていたのは劉備。夷陵の戦いも、補給路の長さを突かれたとはいえ、まずい戦い方をしたわけではない、と。/楊震の「四知」、天知る、神知る、我知る、子知る。
講談社 (2016-11-25)
読了日:2016年11月25日
フラジャイル。いつになったら一人でやれるようになるんだ、五年後か、十年後か、他人の人生預かってんだぞバカヤロウ、という檄が刺さる。波よ聞いてくれ。ミナレさんと芽代さんのダイアローグはそれだけでずっと聞いていたい緊張感とテンポとぶつかり合いと炸裂。大上さんだだ漏れです。いいなあ、一生懸命さが空回りしてもちゃんと前に進めてる感。マージナル・オペレーション。鈍いアラタに、ジブリールの思いを伝えるための周りの団結力が微笑ましく。立ち向かう世界との対比でなおさら。球場三食。次回の札幌と北広島という予告に期待。あたりのキッチン!。壮絶な人見知りと料理への愛情と知識、観察眼のブレンドが生み出すストーリーにほっこりする。あしあと探偵。毎回じんわりくるなあ。三話目にしてすでに単行本買いたくなった。春と盆暗もすでに単行本買いたい。四季賞秋の他人の顔。永久保存版。
げんしけん 二代目の十二(21)<完> (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2016-11-22)
読了日:2016年11月25日
どんでんからのさらにどんでん。ひとまずの結論は出した班目。そこに咲さんの登場。受け入れられないとわかっていても、ぶつけられた気持ちが成仏するまで見守ってくれるって、どこの菩薩ですか、と。やり終えた後の班目を見る目がまさに仏。それと重なるのが、地金で嫌われキャラを貫きとおしたクッチーを、仕方ないなあこの人は、という目で見つつも、暖かく送り出してあげる荻上。新人事も手堅く評価され、新会長の初仕事は、それかよ、と暖かくツッコミながら、やはり連載終了時と同じく、げんしけん、第三期を期待してしまう。四コマの後日談も充実。初版についてた小冊子、コメントに、思い入れのある人とない人の差が激しくて面白かった。
波よ聞いてくれ(3) (アフタヌーンKC)
沙村 広明 / 講談社 (2016-11-22)
読了日:2016年11月25日
この巻もパワフル暴走機関車なミナレさん。冠の深夜ラジオ番組の方向性に悩み、すごいネタをつかんだ!と思いきや、勘違いで大迷惑だったり、大先輩に呼び出されての対話の始まりだったり。勢いと空回りと可笑しみが混ざって目が離せない。
好き? 好き? 大好き?―対話と詩のあそび
R・D・レイン / みすず書房 (1978-02-25)
読了日:2016年11月23日
神経症的というかすれ違いというか噛み合わないモヤモヤを感じさせる対話を扱ったものが多く感じた。わたしは糸がなくなったヨーヨーなのよ、と締めくくられる寂しさ。ほんとうに 好き?好き?大好き?と、どれだけ言葉を尽くしたとしても繰り返されそうな問い。もしあたしと結婚しようものなら…のリフレインで語られる、いかにひどい目に合わせるかという詩編、など。/ただいまの 永遠にこそあらね ときとして まさりてあるか 絶えてなきには(59)/世間で言うには 善意ってやつは 地獄への道普請になりもする もしなにごとかにするだけの値打ちがなければ そいつにはちゃんとする値打ちなどありはせぬ(32)/中島敦「石とならまほしき夜の歌八首」は読んでみたいと思った。
思考実験: 世界と哲学をつなぐ75問 (ちくま新書)
岡本 裕一朗 / 筑摩書房 (2013-12-04)
読了日:2016年11月23日
自己、他者、善悪、社会、という大枠で8章に分けて、具体的なエピソードを引いて、思考実験を提示し、あなたならどう考えるか、と問いかけ続ける一冊。白黒はっきりつけて、答えを出すなんてできないけれど、問題のありかと、とっかかりは教えてくれる。/「私」が「私」であるために、心理的連続性、身体的連続性が必須に思われるが、それが満たされれば、それはもう一人の「私」なのか? 「ある時点の人物と、別の時点の人物は数的に同一なのか?」/それが「本物の世界」ではないとしても、その世界に生きる人にとっては、リアルであることは間違いない/自分自身の独立を確立するためにこそ、私は他の人々との連関のうちで生きている。/記号を適切に処理できることは、それを理解することとは別なのだ/ル=グウィン「オメラスから歩み去る人々」(1973)、一人の少女の不幸の上に成り立つ、オメラスの人々の幸福/マイクル・クライトン「ターミナル・マン」(1972)、脳にマイクロチップを埋め込み、暴力的な脳を治療するという発想/事実をどんなに集めても、「それが善いか悪いか」を決定することはできない。/「アルジャーノンに花束をを」では、知能の低い青年に外科的手術を施して、知能を向上させた。それに対して「ハリスン・バージロン」(カート・ヴォネガット 1961)では、能力の高い者に外的なハンディキャップをつけて、能力を低下させることが求められた。/不老不死の王を描いた、ボーヴォワール「人はすべて死す」/断片的なものは、原文にあたってみたく思った。
女騎士、経理になる。 (3) (バーズコミックス)
Rootport / 幻冬舎 (2016-10-24)
読了日:2016年11月20日
帝都までやってきての国債取扱業者になる件も一件落着。戦を終わらす、世界を救う、という司祭補の目論見に否応なく巻き込まれ始めた女騎士とダークエルフ。パソコンが発達するまでの帳簿の修正大変だなあと思いつつ。コラムのメディチ家の帳簿の話しも興味深く。また、チューリップバブルに題材をとった、マンドラゴラバブル。女騎士の来歴ぐ語られる章を読み、チューリップバブルの本が読みたくなった。
テラモリ 5 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2016-11-11)
読了日:2016年11月20日
中央店へのニューカマーの登場。最初は、空回りだったけど、そうなった背景が徐々に明らかにされ、個人プレーだけじゃない、チームワークが実って、店で笑いあえることなんてないと思ってたのに、と。主人公の高宮も成長をみせ、最後の方では、ゆっくりとしか進まない恋路も少し動きだし。というか、最後のコマは、時間の波乱を予感させつつ。違うそうじゃない、のコマ背景に鈴木雅之らしき影のコマが個人的にはツボ。
新井 満 / 文藝春秋 (1994-07)
読了日:2016年11月19日
もう何度読みかえしたかわからない一冊。五年ぶりぐらいに再読。今回は、「ヴェクサシオン」から目にとまった台詞を引用/「雨はね」「傘をさした人の上にだけ降るの」/「人の心はすぐ変わるもんだ」「人の心は変わりようがない」/「生意気なことを言うようですが、大衆というものはもう存在しない、とお考えになった方が良いと思います」/「あっ、十四度C以下だ」/「どうせ始まった生命なら、もう少し大きな零を描いてから死にたい。そういうささやかな希望さ」「何の為の零なの?」「もう一つ別の零を作る為さ」/ 最後の、遠くを見て、相手を見ず、もちろんさ、と繰り返すところに至るところ、そこまでの経緯も含めて、生きることにおける繰り返し、ヴェクサシオンが通奏低音として流れているような、読後感。
兄帰る (ビッグコミックススペシャル)
近藤 ようこ / 小学館 (2006-10-30)
読了日:2016年11月19日
結婚直前に突然失踪した兄。交通事故にあい、無言の帰宅。なぜ?私たちを捨て、いままでどうやって過ごしなにを考えていたのか。婚約者、妹、弟、母の、それぞれの兄をめぐる旅が始まる。別れることは、かわいそうと思われることは、自分のこれまでの人生が否定されることでしょ、ということ。許さないけど、認める、という心のあり方。それぞれの問いかけにそれぞれの答えを得て、ゆっくりと前に動きだす。感懐。味わい深く思い巡らす読後感。あとがきの、人生の決算は棺桶を閉じるまでわからないし、ましてや、本人以外が評価することなんてできない、という趣旨のメッセージが響く。
狼の口 8巻 (ビームコミックス)
久慈 光久 / KADOKAWA (2016-11-15)
読了日:2016年11月19日
1315年、モルガルテンの戦い。オーストリア公弟軍と山岳森林三邦がぶつかる、、騎兵と歩兵の激突は凄惨。他の巻同様、読んでる方に痛さが伝わってくるほど。圧倒的オーストリア優位と思われた戦いは…。騎兵と貴族の戦場が、武装農民に取って代わられる一幕。この世界全部が王侯貴族のものと思うな、二度と来るな、というヴァルターの言葉の重み。この戦いが今も続く永世中立国の歴史につながっているとは、迂闊にして見落としていた。
魚服記
太宰 治 /
読了日:2016年11月17日
坂口安吾「不良少年とキリスト」で傑作とされていたので手に取ってみる。茶屋の娘が滝壺で、水棲生物に変容する幻想譚のようなもの。正直ピンとこず。雨月物語に題材をとったそうだが、太宰自身が、魚服記について、という文で、やらかしちまった、と述べている。
血涙十番勝負 (中公文庫)
山口 瞳 / 中央公論新社 (2002-09)
読了日:2016年11月17日
沢木耕太郎、敗れざる者たち、つながり。芹沢博文、中原誠の項のみ読了。敗れざる者たち、では、ついに俺は名人になれないんだな、と涙する芹沢のエピソードが語られたが、原著にあたると、「芹沢が駄目だとするならば、彼を駄目にしたのは、酒でも博奕でもなく、このような鋭敏すぎる神経である」「名人になれないと思って道路上で泣き出した芹沢の涙にのみ僕は真実を見るのである。」「芹沢の話をただちに否定した米長の言にも真を見ようとする」と、山口氏の暖かい視点が感じられる。
絵でわかる人工知能 明日使いたくなるキーワード68 (サイエンス・アイ新書)
三宅 陽一郎 , 森川 幸人 / SBクリエイティブ (2016-09-16)
読了日:2016年11月16日
shi3zの長文日記 で参照されていて手に取る。簡単な絵でも説明があると、伝わりやすさはぐっと違う。トピックとしては…社会的知能、人工知能同士が相談し合う可能性。検索エンジンを構成する3要素…情報収集、データベース化、検索。クラウドとは、インターネット上の巨大なストレージとその上の豊富な計算パワー。モンテカルロ木探索。自分の仕事を細かく分解しリスト化し、どれを人工知能に任せられるか考える、それによって何割の仕事が置き換え可能かわかる、と。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2015-09-15)
読了日:2016年11月14日
サラーム海上さんの個人誌。サイン本をシャンティブックスで入手。特集はジャジューカ。モロッコの山のなかの村で、年一回50人限定で開かれる音楽祭。もうお客さんも村の人もまじわって、トランス度の高い音楽を聞かせてくれるといったもののようで、確かに、見てて、一体感がつたわってくる。踊りのうまい少年、年々増長しているらしい、てコメントにくすりとしたり。料理紹介、ディスクガイドも、力が入ってるのがつたわってきて、いい創刊準備号だったなあ、と。
野崎卓也 / 野崎卓也 (2016-11-13)
読了日:2016年11月14日
個人的には大好評!新刊が出たら即、シャンティブックスに駆け込む!ミュージシャンにして旅行家の野崎さんの、初の国内ものにして、舞台は北海道。が、今回は趣向を変えてか、見開き、右頁に、印象に残ったもの、左頁に、ひとこと、といった構成。正直五分で読めてしまうが、味のあるイラストと、こういうのが印象に残ったのか、という視点が興味深くて、これはこれで味だなあ、と思った。
不良少年とキリスト
坂口 安吾 /
読了日:2016年11月14日
バーナード嬢曰く 3、つながりで。歯痛の話から、太宰の入水自殺の話へ。通奏低音は、死んではならない、生きなければ、ということを蓮っ葉な口調で語りかけてくるようなリズム感のある文章。以下備忘録として。/「十日間、私を、いじめたな」 余はブンナグラレ、蹴とばされたり/「太宰が死にましたね。死んだから、葬式に行かなかった」 死なない葬式が、あるもんか。/自殺へのコースをひらいた圧力の大きなものが、彼らの虚弱であったことは本当だと私は思う。/つまり、彼らは、舞台上のM・Cになりきる強靭さが欠けていて、その弱さを現世的におぎなうようになったのだろうと私は思う。結局は、それが、彼らを、死に追いやった。彼らが現世を突ッぱねていれば、彼らは、自殺はしなかった。/第一、ほんとに惚れて、死ぬなんて、ナンセンスさ。惚れたら、生きることです。/死ぬ、とか、自殺、とか、くだらぬことだ。負けたから、死ぬのである。勝てば死にはせぬ。/人間は生きることが、全部である。
珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
岡崎 琢磨 / 宝島社 (2016-11-08)
読了日:2016年11月14日
今回は、ストーリーの柱に、源氏物語が据えられ。正直、通読したことのない身には、一度言われただけでは、ぴんとこないところもあったけれど、ストーリーとからめつつ、誰が言ったの?誰のことなの?というのをぼかしながらの、謎にせまる手法に思いをめぐらせたり。主人公のアオヤマさんの、やさしいところ、やさしすぎるところ、やさしいだけではないところが描かれ、最後には力強く…と。これは続きが描かれるのだろうか、これはこれで、と思わぬところもないではないけれど。ふと思ったけど、嘘は言ってない、誤解を解かなかっただけ、というのと、嘘つきとの間に、当人たちが思うほど、深くて長い溝があるのだろうか。むしろ自覚があるだけ嘘つきの方がましなのでは。受け取る側の方にとっては。
応天の門 6 (BUNCH COMICS)
灰原 薬 / 新潮社 (2016-11-09)
読了日:2016年11月13日
前の巻から続いて、唐から京へ流れ着いてきた貴人を一肌脱いで助ける道真。その成り行きで、対話を重ね、改めて、唐の文物への憧れを語る道真。家柄など関係なく、科挙を通れば栄達できる唐への憧れを募らす。そして芸術家肌がいきすぎて退廃を体現するかのような源融との邂逅。呪いの桜の木の物語の背景を解き明かし、また一腕振るう。道真の行く末は有名な話だが、どこまで描かれるのかも興味深いところ。
巨娘(3) (アフタヌーンKC)
木村 紺 / 講談社 (2016-11-07)
読了日:2016年11月13日
四年ぶりの新刊。相変わらずの筋の通ったパワフル。ただ、鬼の撹乱もあったり、サチの恋物語もあったり、ポン子と家族の物語もあったり、地下格闘技に潜り込んでの一幕もあったりと、盛りだくさん。なぜか、字が詰まっているのか、みっちり濃厚、時間をかけて読み進めてしまった。
バーナード嬢曰く。 3 (IDコミックス REXコミックス)
施川ユウキ / 一迅社 (2016-10-27)
読了日:2016年11月11日
読んでみたい本がたくさん出てきて困った。/トルストイ「イワン・イリイチの死」”身近な知人の死という事実そのものが、それを知ったすべての人の心に、例の喜びの感情をもたらしたのだった。死んだのが他の者であって自分ではなかったという喜びを。” /坂口安吾「不良少年とキリスト」は早速青空文庫で読んでしまった。歯痛の話から始まって、太宰の入水自殺の話へ。ただ死んではいけないというのではなく、熱い息遣いが伝わってきて。/「読んでない本について堂々と語る本」、読んでみたい。/「高慢と偏見」と「高慢と偏見とゾンビ」と「ジェーン・オースティンの読書会」の関係も味わってみたい。/プッツァーティ「タタール人の砂漠」。こんな風にはなるな、待ってても道は切り開けない自分で切り開け、たいていの人生はドラマチックなことは起こらないそれを受け入れろ、と年代、立場によって様々な感想が、、、と。読んで、自分の感想を試したい/本について、同じ話を、同じテンションで何度もするよ、と指摘された神林が、恥ずかしい、とくずおれながらも、繰り返し、同じ話をすることで、嗜好や考え方が補強され言葉が血肉となって自分らしさというものを獲得できるんだ、だから私は、同じ話を何度だってする!!!と開き直って叫んだとき、町田が微笑みながら、「何度でも」「聞くよ?」といったシーンが、本読みの幸福感をあらわしていてとても好き。こんな本を語り合える友人たちに囲まれた青春時代、羨ましくも懐かしく思った。
わたしたちの猫
文月 悠光 / ナナロク社 (2016-10-31)
読了日:2016年11月8日
詩ならではの言葉のきらめきを舌にのせるようにして楽しみたい。レモンを語り手になぞらえた詩が特に印象的だった。



きみが壁ではないことを

きみを殺して証明したい

懐いた背中をこじ開けて

つきとめる。

(夜明けのうつわ より)



あなたはあなたを

裁くことができますか。

自らのとげを

愛することができますか。

とげを愛してもらえなければ

花は花を生きられない。

(ばらの花 より)



(添え物のような顔をしながら、

こっそり味を変えてしまう---。

そんなひと切れのレモンはいかが、と

わたしはあの人の手を引いてみる)

(レモンの涙 より)
敗れざる者たち (文春文庫)
沢木 耕太郎 / 文藝春秋 (1979-09-25)
読了日:2016年11月7日
沢木耕太郎「流星ひとつ」で、藤圭子との対話の中でとりあげられていたので、手に取ってみる。一度は頂点へ上り詰めた者のその後を描く、と語られていたけど、そういう人もいたけど、登りつめようとして果たせず、という人も描かれているように思った。まあ…そもそも何をもって登りつめたとするか、特に、長嶋を含む三人の三塁手を描く一編が考えさせられる。/輪島功一。テレビでえへえへ笑ってるだけの輪島しか知らない年代からすると、ここに登場する輪島は、プロ中のプロだ。かっこいい。リアル世界でのロッキーかと思うぐらいの。/カシアス内藤について、著者は、燃えきれなかった、と期待したのに期待にこたえてくれず、醒めた筆致を感じるが、そもそも傍観者にすぎないのに、他人の人生に手をつっこんでひっかきまわし、俺がお前の人生変えてやる!と言わんばかりの筆致に、若気の至りか、傲慢さを感じた。その手には乗らないよ、と言わんばかりの内藤の飄々としたところも、筆者は言い訳がましくかくけど、当事者とすれば、当然ではないか、と。/以下備忘録。/内藤のこういう感受性は、ボクサーとして余りにやさしすぎる。だが、それを除いて内藤純一はありないとしたら、それも仕方ないことだ。p.46-47/芹沢博文 「ああ、俺は、名人になれないんだな」 山口瞳「血涙十番勝負」/人間は、燃えつきる人間と、そうでない人間と、いつか燃えつきたいと望みつづける人間の、三つのタイプがあるのだ、と。望みつづけ、望みつづけ、しかし”いつか”はやってこない。内藤にも、あいつにも、あいつにも、あいつにも、そしてこの俺にも...。p.59/彼にそれができたのは、何かが欠けていたからだ。プロスポーツマンとして大事な何かが。しかし、それは、大事な何かを持っていたということと同じなのだ。プロスポーツ以外の世界で生きるための…。p.86/人生に真の「もしも」など存在しない。まさに、そのように生きるより仕方なかったのだ。p.142/日本ダービーが、天皇賞にも有馬記念にもない熱気を生む理由のひとつは”たった一度”を持ちうるものへの人々の羨望が、乱反射するからにちがいない。p.149/プロというのは与えられた条件を必ず満たせるから金を貰うんだ。減量に苦しんでるなんて、これは恥かしくて人になんかいえることじゃない。p.237/彼のいう<いつか>を、このぼくの手で作れないものか、と思ってしまったのだ。p.246/この世界は勝った者が官軍です。勝った者が強かった者なんです。五回のパンチがどうしたということじゃなくて、柳は強かったんです、だから輪島に買った。p.266/<<結局、内藤君は信じきれなかったんだな>><<なにが?>><<ボクシングさ。ボクシングを信じ切ることができなかった>>p.269/ しかし輪島は逃げなかった。彼が追いつめているのは、柳でもなく、チャンピオン・ベルトでもなく、金でもなく、名誉でもなく、彼自身だったからだ。逃げるわけにはいかなかった。(p.282)/
毎日かあさん13 かしまし婆母娘(ばばははむすめ)編
西原 理恵子 / 毎日新聞出版 (2016-10-22)
読了日:2016年11月6日
家事なんか仕事なんか後回しでも、小さい時の子供達をもっともっとかまってやればよかった、て感慨の巻末の短編がよかった。反抗期を迎えた娘に、留学帰りの息子、いつもゴーイングマイウェイな母との日常が描かれるシリーズ最新作。
きみの言い訳は最高の芸術
最果タヒ / 河出書房新社 (2016-10-26)
読了日:2016年11月6日
高速で耳元で詩的/私的な語りを聞かせてくれているような読み心地。分かり合えなくて当たり前、距離感は人それぞれ、と。以下目にとまったところ。「彼らが望まない限り、彼らの何かを知りたいと望むことは愛があろうが優しさがあろうが傲慢でしかない」「死んでしまう可能性はいつだってすべての生物に存在していて、多分その不条理が、命の定義を作っている」「ポジティブの原点には、完全に甘えのないネガティブがあるのかなあ」「他人をばかにしないと保てない自尊心なんて、要は基盤が皆無ということさ」「言葉によって切り捨てられてきたものを、詩の言葉なら救いだせる信じている」「その人がどんな人であるかなんて、「そこにいる」というその事実に比べたらやっぱりとてもちっぽけだな」。川島小鳥さんの「BABY BABY」、夏になるとめくるというところに共感。個人的にも大切な一冊の写真集なので。
伊藤 裕 / 講談社 (2002)
読了日:2016年11月6日
期待していたよりトンブクトゥの部分は少なめだった。ただ、ジンガラベルやサンコーレなどカラー図版が豊富だったのは良かった。ジェンネの大モスクの年一回の外壁の泥を塗り替える修復作業が、宗教的な意味合いを持つとは。それ以外には、奴隷貿易の拠点となったゴレ島の記事が興味深かった。
とるこ日記―“ダメ人間”作家トリオの脱力旅行記
定金 伸治 , 乙一 / 集英社 (2006-03)
読了日:2016年11月4日
昔よく流行ったブログ本の体裁。基本、左ページに、定金氏がメインの文を書き進め、他の二人が、右ページにツッコミというか脚註というかを挿入していくというスタイル。今となっては読みづらいことこの上ない。慣れるまで大変。宣言通りトルコの情報が、見所が、考察が、てところは期待しないでください、というのはその通り。ただ、ゆるい感じの、グダグダとしたやり取りや、行き当たりばったりの道中記はちょっと面白いかなあ、といったところ。松原さんの詳細な出てきた料理メモは興味深かった。トルコのお菓子、頭痛がするほど甘いというのは同感。
僕はコーヒーがのめない 6 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2016-10-28)
読了日:2016年11月3日
ジャマイカでの体験、新たな焙煎氏の登場、波瀾を予感させつつ、次巻でいよいよ対決、そして完結巻。ほんのり甘み感じるコーヒー、飲んで見たい。そして、普段コーヒー豆栽培に携わってる人たちに飲んでもらうシーンがいいなあと思った。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
永井 孝尚 / SBクリエイティブ (2016-10-06)
読了日:2016年11月3日
プログラマー社長のブログ | 書評:これ、いったいどうやったら売れるんですか? http://blogs.itmedia.co.jp/komata/2016/10/post_135.html で見かけて手に取る。吉野家、ブックオフ、セブンイレブン、はなまるうどん、きゃりーぱみゅぱみゅ、ベンツ…様々な事例をもとに語られるマーケティング理論。具体例が挙げられるのですっと入ってくる。以下備忘録的に/「心拍トレーニング」ができる時計、登山専用ウォッチ、GPSで世界のどこでも現地時間に合わせる時計など、バリュープロポジションを提供できる商品/メルセデス・ベンツ社の買った後のアフターケアの素晴らしさ、オーナーだけ見られる会員専用サイト、コミュニティ、走行距離、保有期間に応じた表彰、走行不能時の無料修理サービスなどなど。それらが巡り巡って、次回の購入につながる、と/「コストは事実、価格は戦略」/セブンイレブンが持つ、年齢ごと時間ごと商品購入データの強み。「朝はサンドウィッチを買うビジネスマンが多いので、美味しいコーヒーを出せば売れる」と考え、企画し、大ヒットしたのが、セブンカフェ/親会社からはなまるに社長としてやってきた人物が、健康うどんを企画し、女性にターゲットを定め、それを広く知らしめるために実施したのが、「期限切れクーポンで50円引きキャンペーン」。一度来てその良さを知ってもらい、リピーターになってもらおうと。その業績改善が評価され、さらに親会社の社長に抜擢、と。もっと調べてみたい/マイケル・ポーターの5つの力、買い手、代替品、新規参入業者、売り手、同業者という観点から見た、ブックオフ(創業時、最近)、普通の新刊本屋、イケメン店主がのんびり構える鋭いセレクトの個人経営古本屋が、興味深かった。
とんかつDJアゲ太郎 8 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-10-04)
読了日:2016年11月2日
IKENOSUKEの逆方向勘違いからの迷走、別名義での開花、突然のイ・ドンミョンの発表と粋な計らい、妹のやりたいことを見つけた先でのアゲ太郎との邂逅。そして、神戸のパンとのコラボでカツサンド。最後に父親がクラブまで足を運んでくれて、やっていることを認めてくれた感がなんだか嬉しい展開。
きのう何食べた?(12) (モーニング KC)
よしなが ふみ / 講談社 (2016-10-21)
読了日:2016年11月1日
だんだんと高齢で来られなくなったお客さんのための出張カット、その時のものが遺影に使われて気持ちがこみ上げたケンジの話とか、事務員さんを増員せねば、で、一人目はあっという間に続かず、二人目は、おっちょこちょいなところもあるけど、機転も聞き、筧の秘密も察しつつも、さらりと気遣って明かさず、と。なんだか巻が進むごとに年取ってからの関係のあり方見たいのが、より描かれていく方向に。


2016年11月01日

2016年10月に読んだ本

期間 : 2016年10月
読了数 : 52 冊
山賊ダイアリー(7)<完> (イブニングKC)
岡本 健太郎 / 講談社 (2016-10-21)
読了日:2016年10月30日
狩猟の日々は、それほど変化なく淡々と描かれ、ネタが尽きてきたかなと思いきや、銃を置く仲間あり、生き物を撃っていのちを得る感覚が描かれたりで、エピローグへ。また少し違ったタイトルで続くとのこと。
君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
加納 新太 / KADOKAWA/角川書店 (2016-07-30)
読了日:2016年10月30日
瀧、テッシー、三葉の妹四葉、三葉の父の視点から描かれるサイドストーリー。映画では語られなかった内心にまで踏み込んだ描写が、映画を補完してくれる。特に、父の来し方、三葉の母との出会いと別れ、変遷、そして決断に至るまでが描かれて興味深かった。/瀧の中での宮永三葉は、行ったこともないバイト先にいきなり飛び込み、その場しのぎと憶測となりゆきでなんとか仕事をこなし、失敗したら愛想笑いでうまいことやりすごす、とてつもなくファンキーな女だ。(p.61)/まず、満足からスタートしてくれれば、俺がもうちょっと何とかするでさ。(テッシー)(p.78)/思うに、カップのアイスクリームは、ゆっくり溶かしながら食べるのが美味しい。(四葉)(p.130)/「愛し、に似てゆかし、ですね」(二葉)(p.220)/俊樹はもはや、神への信仰を中心とした共同体を、まったく信頼できない。それを壊したい。この構造を壊したい。神という概念が気に入らないし、それに取り憑かれている人々が気に入らない。(p.254-5)
よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ
清水 亮 / KADOKAWA (2016-10-17)
読了日:2016年10月30日
大半は、人工知能の研究手法、あるいは、こういう活用方法を、という手堅くもわくわくするインタビューだったけど、最後の一章は、世界、地球、宇宙、銀河系まで突き抜けた、スケールの大きなもの。活用するとかではなく、人工知能が仮設を提示し、検証し、それをさらに磨いていくことを繰り返した先には…という壮大な話。それを実現するためのハードを我々はつくるという強い宣言。この社長の話(齋藤元章PEZY Computing創業者代表取締役社長)、もっともっと聞き続けたい!と思ってしまった。また、ドワンゴが出しているというスタイル転写もできるという「OpenToonz」もさわってみたいと思った。興味深いトピックとしては、”画像から文章、文章から画像を生成する人工知能によって、文意を意訳する可能性”(松野豊特任教授の説)、”勝手にドローンを飛ばして、事件のありそうなところにドローンが行って、CNN/LSTMドローンの映像から自動的にキャプションを生成して、ニュース番組をつくって、そのニュース番組の原稿も全部生成してみたいなのは、すぐできそうですよね”、”自由意志は全て幻想であり、意識は全て起きてしまったことに対して”後付け”で辻褄をあわせるだけの存在だということです。”(前野隆司教授の説)、一歳半のまま十八年半生きた女性の例、一例でもあれば生物学的には不老が可能であるという見通し。
幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)
黒谷 知也 / 小学館 (2014-10-30)
読了日:2016年10月30日
短い断章断章で織り込まれる感懐。何度でも味わって読みたくなる。一度読んで、次の日にまた一度読んでしまった。結婚直前に自殺してしまった婚約者。何かを暴くだけが正義ではないのではないか、と。「消えやすいよろこびを何で歌っているひまがあるだろうか」(佐藤春夫「詩論」)、畢竟、飲み込めない悲しみを消化するために、歌は生まれるのだ、と。理由を決めつけてしまいたくない、僕のせいだとわかる覚悟、救うことができたという覚悟、一生わからないかもという覚悟。幸福はアイスクリームみたいに溶けてしまう、というつぶやきが一端をあらわしているのかもしれない。/どうしてみんな物事を判断とか解決とかしたがるのだろう。いくら言葉を重ねても足りないことを単純な言葉で納得しようとする。/離れてたって家族じゃないか 絆があるまま別れるのならそんなに悲しい別れでもない、とひとり思うなんでも整理してしまいがちなクールな兄。/お酒が好きな客に、アルコール中毒で主人公が入院する話を進める書店員。/定年後の嘱託の国語教師との静かで穏やかな時間。作文コンクールの推敲、二人だけの時間。年を食ってた方が年輪がある方が喜ばれる木というのはいいですね 桜はいいですね 私もかくありたいと思ってきましたが、と。私はあの頃の若さが、未熟さが嫌だった、先生のような大人の美しい優しさを持ちたい、と思ったという感慨。
逆境エブリデイ
大川 弘一 / 講談社 (2014-01-22)
読了日:2016年10月30日
堀江貴文メルマガ 2016/08/22でオススメされてた、まぐまぐ創業者の話。訴訟、訴訟に疲れた心を引きずって、「できるだけアウェイで戦う」というルールのみを己に課し、世界各地へポーカー旅。調子に乗って突っ込んで負けてとほほとなったり、粘りに粘って賞金を手に入れたり、カンボジアの田舎道をボロいバイクで疾走したり。最後の、つづく、に期待したいところ。/「ズルじゃなくて、ズルする奴を非難して負けるくらいなら、ズルする奴にどうやってでも勝つ方法を真剣に考えて勝つほうがずっといいとおもうんです。特に僕らみたいなベンチャーは」p.22/仕事もモノも選びまくれる世の中で、なんとなくそれらを選んできた<普通の人>が、ある日突然<働き手>として選ばれなくなった時、人はどこまで時間を遡れば、そんな未来から逃れられるのか p.61/誰にも邪魔されない永遠を感じ、恍惚の対価を求められることもなく延命も終演も完璧な因果となって訪れる。ここまで残った俺たちは、ほかの誰よりもその時間を味わうことが許された者なんだ。p.221/どこの国で今何をしていようと、生きているうちに自由に気づき、生きているうちに明日生きる場所を選べたら。少しだけ離れた場所にある別の生き方に気がついて、なんとなく続けてきたことをやめることができたなら。この世界はなんと美しく、なんて輝いて見えるんだ。p253/
ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀 (歴史新書y)
洋泉社編集部 / 洋泉社 (2016-10-04)
読了日:2016年10月28日
黒幕説については、あらためて、長宗我部も、足利義昭も、朝廷も、イエズス会も、あり得ないことをあらためて提示。明智光秀についての諸論考は正直ものたりなかった。特に、肖像画から得た印象に各史料をあてはめていくとうのは…と。本能寺の変前後の状況については、一般的に伝えられているイメージからすると、実際はもっと地味で実利的な状況だったのだな、というのが伝わってきた。以下、備忘録的に。得られた知見とまとめと手にとってみたい書籍・論文。/五月下旬の段階で、本心はどうであれ表面上は信長に恭順することを元親は決定し、一方で信長の側はそれを知らずに四国攻撃軍を編成していた。そして元親と信長の関係修復に奔走していた光秀も、元親の恭順を知らないまま、六月二日に信長の殺害を実行したのである。(p.21)/信長の光秀折檻事件の背景には、信長の家臣団統制の矛盾が横たわっていて可能性を指摘しておきたい。有力家臣間の裁定に光秀・利三が激しい拒絶反応を示した可能性がある。p.36/分国法がなく信長の上意のみが法とするならそれをくつがえすには自力救済しかなかったのでは、と。/信長は「天下」を継承したとは言え東アジア通交に必要なスタッフ・アイテム・ノウハウを十分に継承したとは考えにくく、信長の東アジア認識はリアリティをともなわず、宣教師のもたらす海外情報に影響され、明との「外交」ではなく「征服」を選択したのでは、と。また「征服」の考えを示した史料も宣教師発のもののみ。/暦の支配が、本能寺の変に朝廷が関わっていた要因ともされたが、現実には当時朝廷の暦は全国に行き渡らず各地で地方暦も存在していた。/信忠は、これほどの襲撃なら退路はふさがれているはずという認識で自刃したが、実際は光秀の行動が隠密裏だったため、退路までは塞がれておらず、安土へ落ち延びることも可能だった。/盛本昌広「本能寺の変 史実の再検証」/当時の人々も、将軍を廃された義稙ですら上洛し将軍に復位したのだから、将軍を辞めてもいない義昭であれば、京都を奪還するかもしれないと考えていたであろう。ましてや、信長の方が先に死んだのだから。p.164/各地域に成立した戦国大名は、自らによる全国統一を目指して争ったかのようによくイメージされる。しかし、それは違う。大名たちの関心事は領国支配の安定であり、天正年間の戦争は織田氏か足利氏かを選択し、その陣営に加わるというものであった。p.167/戦争の行方によっては、義昭が帰洛を果たし、再び幕府が京都や畿内を支配しかねない状況であったのである。そうした情勢を断ち切ったのは、秀吉の関白就任であった。p.172/織田と毛利の戦争は、信長着陣を待たずして、すでに決着がついていたといっても過言ではあるまい。p.182/教団が信長を謀殺することで得られるものは何も無い、と考えるべきだろう。p.193/鷺森移転は雑賀衆対策としての信長の意図を含んだ計画であったと見ることができるのである。p.202/ある程度確実に言えるのは、/長の大陸侵略計画は実在した蓋然性が高いこと。⊃ニ期にスペインなどイベリア勢力が大陸征服計画をいつでも遂行する意志をもっており、日本人の戦闘力を動員しようとしていたこと、である。p.223-4/清水有子「イペリア・インパクト論再考-イエズス会の軍事的性格をめぐって」歴史評論773,2014年/清水有子「織田信長の対南蛮交渉と世界観の転換」(清水光明編「「近世化」論と日本」勉誠出版、2015年)/金子拓「記憶の歴史学-史料に見る戦国」講談社選書メチエ、20111年
講談社 (2016-10-25)
読了日:2016年10月26日
「波よ聞いてくれ」店の名前付けてと言われて、”じゃあ、ハイヌウェレはどう?”…てミナレさん…。そんな話ししながらワイン楽しめたら…のくだりも好き。「あしあと探偵」今回も心に残る。コミックス買いそう。人間そんなに割り切れるもんじゃないでしょう、と。四季賞の「グロース・フォース」スケール大きいなあ。「恋と盆暗」中央線の駅名がキーに。穏やかで静かにじわじわくる。「フラジャイル」”医者の仕事の半分は無事に旅立たせることですよ 僕の仕事です” 「螺旋じかけの海」は相変わらず、どこまでが人で…ということを考えさせられる。
王の挽歌〈下巻〉 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1995-12)
読了日:2016年10月24日
 家臣による父の暗殺、長年養育してくれた忠臣の加担、誰も信じられぬ、また父の死にほっとし、反乱者の妻女をもてあそぶ宗麟、己も信じられぬ、ザビエルの生き様が心にささり、南蛮が貿易の利をもたらさぬと知ってからの入信。日本人の心性が泥沼のようにキリスト教の教えをまげていくという「沈黙」でも語られたテーマの再出。宗麟の臨終で終わりかと思いきや、愚物とさげすまれ領国を追われた義統の最後まで、最後は父の心情を理解できたと感じたところで、幕が降りる。/しかし自分には黄金の茶室を作るほどの下賤な趣味はないことに宗麟は今の利休の嗤いで、誇りを感じ、勇気づけられた。上p21/「豊後一国でよし」上p29 /「これが神か。かくもみじめな裸の姿にて磔となった者をそなたたちは神として崇めるのか」上p104/「この国は私がゴアで想像してたような国ではなかった。この国には我々が考えもつかなかった泥沼があるような気さえします。我々が植える苗の根をいつか腐らせてしまう沼が…」上p112/「その王は戦うたことはないのか」「戦うたことはございました。しかしそれは奪うためではなく、侵す者を防ぎ懲しめるのみでございました」上p120/「戦には善き戦もあれば悪しき戦もございます」上p139/ザビエルのことを考えると遠く手の届かぬ山を歩いている孤高な人ーそんな感じを宗麟は抱く。(あのような男には余はなれぬ。だがあの男を蔑む者も余は認めぬ)上p152/一方では浄らかな世界への憬れがある。そのくせ自分でも驚くような残忍な感情もひそんでいる。一方では母なるもののやさしさへの思慕を持っているのに、同じ女性でも矢乃のような女への嫌悪と憎しみもまじっている。太守として権力を更に得たいという権勢欲望を上抱きながら謀反や死への恐怖に絶えず脅かされている。上p213-4/(余には矢乃と別れる勇気さえ持てぬ)(余には親虎のごとき信念もない)(余にとっては禅は何も与えてはくれなかった。余は和尚の申すごとく常時不動の心を、明鏡止水の境地を持つこともできなかった。解き難し、吟懐一夜の水)下p47
東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)
清野 とおる / Bbmfマガジン (2009-06-16)
読了日:2016年10月23日
どうしようもない看板の割れてるような居酒屋に突っ込んで行きたくなっちゃう気持ち、わかるなあ。そこで一見怪しげ、話すと気さくで愛すべき人たちと仲良くなっちゃう、というのも。魅力的に描かれる赤羽。
アルキメデスの大戦(1) (ヤンマガKCスペシャル)
三田 紀房 / 講談社 (2016-05-06)
読了日:2016年10月23日
世は大日本帝國。数学の腕一本で海軍に乗り込み、不正を暴こうとする主人公の登場。続きが気になる。
小説 君の名は。 (角川文庫)
新海 誠 / KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-06-18)
読了日:2016年10月23日
映画にほぼ忠実なノベライズ。画面上ギュッと凝縮されてて読み取れなかった部分、細かなところを補足してくれたようには思うけど。さらに深くはサイドストーリー本を手に取ろうかな。/「紐は、時間の流れそのものだって。捻れたり絡まったり、戻ったりつながったり。それが時間なんだって。」「それがムスビ…」/
王の挽歌〈上巻〉 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1995-12)
読了日:2016年10月23日
プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)
池辺 葵 / 小学館 (2016-10-19)
読了日:2016年10月22日
大団円、と思いきやの、つづく。いつくるかわからない日を待つより、今のベストをつかみたい。腹の括り方が違うなあ、と。そして、つづきの物語が気になる。自分の理想の間取りを思い描き、丁寧に時間をかけて、選び抜いた物件。そこで暮らす日々が描かれるのだろうか。
放課後さいころ倶楽部 8 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
中道 裕大 / 小学館 (2016-10-12)
読了日:2016年10月22日
学年がひとつあがって、新キャラ登場。不良だと思われて友達も少なくて、一匹狼な子。真面目に波風立てずが信条のボードゲームおたく、けど父の転勤で対戦相手がいなくて…な子。ゲームのことをまっすぐに語る店長のもとに集い。そして、前の巻までの子達はでてこないのかと思いきや、それは次巻に持ち越されそな予感。クアルト!これだけはやって見たいなあと思った、今回でてきたゲームで。ちょっと捻られた四目並べ。
戦国大名の「外交」 (講談社選書メチエ)
丸島 和洋 / 講談社 (2013-08-09)
読了日:2016年10月22日
戦国大名を地域国家に見立て、その間の交渉を外交とし、外交書面の書式や儀礼が説かれ、直接交渉ではなく、一門・宿老や側近が務める取次を介して進められる様が描かれれる。研究者ならざる身には各大名のケーススタディが興味深かった。島津義久の命令を無視してでも豊後に攻めこもうとした取次島津家久、上井覚兼。北条氏康・氏邦ラインの外交とは独立して上杉氏の取次に立候補した北条氏照。その過程で描かれる、一般的な「義」の武将とは懸け離れた、上杉謙信の相手がたの条件だけ積み上げるけど自分は全く譲歩しない、やらずぶったくりな外交。武田信玄の駿河侵攻にあたり、一族の女性が保護されなかったことに激怒し開戦した北条氏康、など。作法としては、同盟破棄を通告してから攻めるのが通例だったこと。境目の国衆の両属は、美濃遠山氏のように承認されていたケースもあった。また武田北条境目の村が半分ずつ年貢を納めるようなケースもあったこと。取次は制度的に決まったものではなく、書状を受けた家臣が、では私がと名乗り出て主君が追認するケースもあり、私的な契約が公的な外交関係に用いられた。その過程で相手国から知行を与えられることがあり、それは自国への外交交渉を有利に運ぼうという思惑から行われたと推定されるが、主従関係の発生にまではいかなかった。また当時の考え方で、取次が独断専行してしまったものでも、面目を潰してしまうから、と追認されるケースがあったこと、取次は「外聞が大事」なあまり独断専行を取るケースがあったことなど興味深い知見が得られた。島津家久・上井覚兼のケースが一番興味深かった。「島津家久は、国衆を従属させる際には、独断で事前交渉を行ったばかりか、場合によっては虚偽の報告をすることも辞さなかった。上井覚兼は、国衆を保護するためには、大名である島津義久の意向にさからって、指揮下にある軍勢の出陣を中止させたうえ、独断で援軍派遣を実施しようとまで考えた。これはすべて、取次としての外聞を重んじた結果である。」(p.209)「取次にとっての交渉相手は、何度も接触を重ねて契約を結び、保護を加えることを誓った対象であったのに対し、大名にとっては、いまだ従属を果たしていないほとんど無関係の相手であった」(p.209)。終章では、「戦国大名は、自身が家中の支持を得て、家中によって支えられた存在であることを、取次を通じて対外的にアピールすることで、権力の存立と安定を図ったと評価することができるであろう。」(p.236)とされる。
ミュジコフィリア(5) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2013-01-28)
読了日:2016年10月20日
現代音楽作曲家川島素晴氏のブログで知る。現代音楽を題材にした漫画、とのことで。実際の作品をモデルにした曲、「インべンション1」や「四苦」などもとりあげられ。難解にしてマイナー、浮世離れしていると語られがちな現代音楽に、大真面目に取り組む若者たち。自分とはなにもかも違う腹違いの兄に、対抗心をもやしつつ、自分の道を確立しようともがく朔。徐々に才能は開花し、凪と出会ったことで一気に花開く。海外のDJとのコラボ、湯浅譲二先生のクラスで示唆された「未聴感」、会員制の音楽家サイトでのポリゴンを使った音楽概念の昇華。正直、個人的には、もっと現代音楽界の話を追ってほしかったけど、凪との出会い、メジャーデビューの過程で物語の速度は一気に増し、それと同時に音楽の話も一気に壮大に、宇宙レベルに、抽象化され、霧散していった印象。けれど、面白かった。明るい余韻を残して閉じられる物語。ひさびさにCDをひっぱりだしてきて、メシアン、ブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキス、シェーンベルク「浄夜」と聴きまくってしまった。/「生きとる人間に届かないものは意味がない」/
ミュジコフィリア(4) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2012-08-28)
読了日:2016年10月20日
知の英断 (NHK出版新書 432)
ジミー・カーター , フェルナンド・カルドーゾ / NHK出版 (2014-04-09)
読了日:2016年10月17日
 大統領、首相経験者、大主教、ヴァージンの経営者という叡智を集結して、世界の和平を推し進めていくエルダーズ。そのような組織があるということも初耳。そして、硬直化した国連や国民国家ではなし得ないことを構想し、推し進めていく。麻薬問題を犯罪ではなく健康問題へ。少女結婚をはじめとした女性を縛る慣習の撤廃。などなど。以下備忘録的に。/カーター、なぜアメリカはイスラエルを強く支援しているのでしょう、に対しては、答えていない、今後もアメリカが支援しないということは考えられない、ずっと支援しつづけてきたから、としか。/われわれが見落としがちなのは、すべての主要宗教は、概して同じ基本信条を持っているということです。すなわち、すべての人が平和を願い、温かいもてなしというものを良しとし、困っている人がいればいつも手を差しのべ、困窮のきわみにある人々に対して時間とお金を使うことにやぶさかでない、ということです。(p.65-66. カーター)/需要を減らさない限り、ドラッグの問題は解決しない。(p.79)ドラッグに対する「戦争」ではなく、ドラッグを「健康問題」にしようと(p.80)(カルドーゾ)/ジェフリー・サックス「世界を救う処方箋」、ジョセフ・スティグリッツ「世界の99%を貧困にする経済」、リチャード・ブランソン「ヴァージン」は読んでみたいと思った。/
空気のつくり方
池田 純 / 幻冬舎 (2016-08-30)
読了日:2016年10月17日
DeNAベイスターズ球団社長の仕事。/ 在任5年間で、入場者数はほぼ倍増、30億の赤字も解消し黒字転換の見込み、横浜スタジアムも買収し一体経営。監督がいてチームがあって野球をしているけど、それ以外のコントロールできる部分は、すべてコントロールする、と。グッズ、イベント、などなど、いくつもある可処分時間を奪い合う構造のなか、球場にいけば何か楽しいことがある、と思わせる、ボールパーク構想。その発想にいたるために何をしてきたのか、いまどうしているのか、他のことに展開するとしたらどうしたよいのかが、丁寧に語られている。以下備忘録的に。/たとえベイスターズが試合に負けたとしても、球場を訪れたこと自体で満足できるような「ボールパーク」にするのが集客の王道です。(p.20)/友好的TOBは二〇一六年一月二一日に成立し、ハマスタの運営会社である株式会社横浜スタジアムにおける、ベイスターズの持ち株比率は七六%にまで達しました。(p.41)/立ち寄る書店は、できる限り毎回場所を変え、その街ならではの空気やその本屋さんの趣味嗜好を感じ取るのも楽しいものです。(p.88)/「なりたい自分」を明確に持って、ブレずに、一本の筋をきちんと通して、世の中に新しい何かを提案し、それを伝え、共感してもらい、浸透させていく。それがコミュニケーションであり、マーケティングであり、ブランディングであり、経営なのです。(pp.244-245)/本物を提供するためには、本物を知らなければなりません。そのためには、常日頃から、見て見て見まくり、聴いて聴いて聴きまくる必要があります。(p.264)/ベイスターズオリジナルビール、飲んでみたい。/
でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)
ゆうき まさみ / 小学館 (2015-01-09)
読了日:2016年10月16日
こっそり妹の名前で兄が応募した漫画が、新人賞を受賞!最初は自分の作品が通ったのかと思った妹も事実を知り…から始まるドタバタコメディ。兄の飄々さと、妹の漫画家としての成長が印象に。
吉祥寺だけが住みたい街ですか?(3) (ヤンマガKCスペシャル)
マキヒロチ / 講談社 (2016-10-06)
読了日:2016年10月16日
フランス人編集者に十条をお勧めしたり、婚活合コン頑張りたい女子には、うちまで送っていくよ、送っていくよと言われた時、うまくいかなかった時のケーススタディこみで街案内しながら恵比寿をお勧めしたり、古き良き昭和の街とアメリカ文化の絶妙な混合で福生に心惹かれたり、ロックな女子二人に煽られて、楽しく暮らすことの優先順位を改めて見直したり。主人公二人の実家リノベーションは次巻でどうなるのか。小石川図書館の突き抜けた魅力にも心惹かれた。/「ずっとなんてないって思い知るのにどうして人はそれを忘れちゃうのかな 人も街も変わっていくのに どうして受け入れられないのかな」「仕方ないよ 出会っちゃったんだもん 好きになっちゃったんだもん」
ニャンコ先生が行く! 2 (花とゆめCOMICS)
カネチクヂュンコ / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月16日
ニャンコ先生が、ゴミ袋かぶったり、寝袋に詰めて連れてけ!ていうからチャック閉めたら毛がはさまったり、勢いとあさっての方向の力強さがおかしくて、ついつい笑ってしまう。
ミュジコフィリア(2) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2011-11-28)
読了日:2016年10月16日
ミュジコフィリア(3) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2012-03-28)
読了日:2016年10月16日
BRUTUS特別編集合本・本屋好き (マガジンハウスムック)
マガジンハウス / マガジンハウス (2014-07-01)
読了日:2016年10月16日
さまざまな新刊書店、古書店を紹介する一冊。札幌ではくすみ書房が大きく取り上げられていたけど、惜しくも閉店。北方関係のことは書肆吉成が強い、と取り上げられていた。あと、沖縄のカフェユニゾン、行ってみたいなあと思った。/DJ読書イベントとか興味ある。元シンクロ日本代表で今は書店主とか、イベント会社勤務、彫刻家安田侃の弟子からの書店主とか波乱万丈な経歴の方も。そしてカラーブックスシリーズ。すすきのママ101人とか混浴温泉とかどんなラインナップなのか。あと避妊具の歴史みたいな本もどんなのかきになる。
ミュジコフィリア(1) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2011-07-28)
読了日:2016年10月16日
海猫屋の客 (朝日文庫)
村松 友視 / 朝日新聞社 (1989-05)
読了日:2016年10月15日
今月中に閉店の小樽の海猫屋に駆けつけた縁で手に取る。なかなかに、現実の店や街を題材に、著者の小樽人気質を織り込んだ、訳ありミステリーフャンタジーと言ったところか。魚藍館とか本当にあるなら泊まってみたい雰囲気。一癖ある小樽にこだわりを持ち、小樽を語らせたら人後に落ちないマスター。暗黒舞踏の踊り手キク。東京から来た失業という職業となのる清宮。東京から来た自称女優のゆみこ。ベース弾きの河原。訳あり一癖なんでもこいのラインナップで進むストーリーは、途中から幻視とサスペンスも加えて、小樽の街を彩る。以下備忘録的に。/「それぐらい毒づいてくれないと、つき合う熱がわいてこないからね」/血と風は熄まぬ。通り魔のあとに続け。天に一物あり。死の灰に詩の灰。一日の刑は十年の刑。鳥啼く里の鎌いたち。舗石も剥がして歩け。陰の毛 ひなたの毛。瞳尻の夢見知らず。(瀧口修造)/フゴッペのストーン・サークル/「だって、怪しいやさしさを持っている人だもの」/小樽に住んでいながら、小樽、小樽って話してさ、よくもまあ飽きないと思うけど/極彩色の幻想を見た、駅裏の「国際街」/北一ガラスの珈琲館/「悲しきは小樽の町よ、歌うことなき人々の声の荒さよ、か」(石川啄木)/キャバレー現代/
いつかティファニーで朝食を 10 (BUNCH COMICS)
マキ ヒロチ / 新潮社 (2016-10-08)
読了日:2016年10月15日
リサの結婚をめぐって、本人も含めて四人のストーリー。まだいいかなあと思ったり、改めて頼もしく思えたり、お互いの関係を見直すきっかけだったり。そして、歌舞伎町で焼きそば食べたい!美味しい讃岐ウドン食べたい!と強く思った巻。
最果てにサーカス 3 (ビッグコミックススペシャル)
月子 / 小学館 (2016-10-12)
読了日:2016年10月15日
富永の死、泰子と小林の同棲、奇妙な三角関係、お互いに文学的に高め合える関係。中也の囁きは、福音なのか呪いなのか。大きく余白を残して第一部完。正直もっと読みたい感を残しつつ。
漫画家ごはん日誌 たらふく (フィールコミックス)
はらぺこ編集部 / 祥伝社 (2016-10-08)
読了日:2016年10月15日
夏目友人帳 21 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月12日
古書店を舞台にした一編と、ぐずで小さいけど起こし係に任命された妖かしの奮闘の一編が印象に残る。古書店で本を選んでるだけなのに、体の一部からちょっとずと力が抜かれる、ってのもホラーですなあ。起こし係りの話は、ニャンコ先生の貪欲そうでいてきちんと気遣いもするところがなんとも愛らしく。
水の色 銀の月(1) (モーニング KC)
吉田 基已 / 講談社 (2006-07-21)
読了日:2016年10月12日
「夏の前日」の後日譚なのかパラレルワールドなのか。みんなに優しく笑顔で好かれる森。いつもつんつんな哲夫。なんだかんだと森のことが忘れられない華海。黄色いレインコートで悲しげに歩道橋に立っていた星。ああ、青春だなあ、といったモヤモヤ紆余曲折を経た人間模様が、次巻でまとまるのか。
山田航(編集) / 鴨々川ノスタルジア実行委員会 (2016-09-15)
読了日:2016年10月11日
今回は神社特集。札幌で身近で見かけるけど、背景まで深くは知らない身には、興味深くためになる。マップ片手に散策したいところ。アイヌの薬草の権威のインタビューも興味深かった。
そこをなんとか 12 (花とゆめCOMICSスペシャル)
麻生みこと / 白泉社 (2016-10-05)
読了日:2016年10月10日
クールでシビアな中道先生の、マイウェイからのデレ具合が印象的なのと、主人公らっこちゃんの、弁護士としての成長ぶり、悪戦苦闘からの、本人のあずかり知らぬところで進展していた恋バナ。差し出されたその手をどうするのか?というところで次巻へ。走り出した、走り出したなああ。
流星ひとつ
沢木 耕太郎 / 新潮社 (2013-10-11)
読了日:2016年10月10日
藤圭子、最初の引退間際、1979年に、ホテルのバーで飲みながら行われたインタビュー。言いたくないことは無理に突っ込まず、忘れた時期、忘れたいことも多かったけど、聞きたいところは聞き、それに答えてくれる感があり。まっすぐで純粋でキラキラして、けど少し疲れて。読み終えて思わず、藤圭子ベスト借りてきて聞いてしまった。/「いつでも、同じなんだ、インタヴューって。同じ質問されるから、同じ答えをするしかないんだけど、同じように心をこめて二度も同じようにしゃべることなんかできないじゃない。あたしはできないんだ。だから、そのうちに、だんだん答えに心が入らなくなってくる。心の入らない言葉をしゃべるのって、あたし、嫌いなんだ」(p.9)/「いやならやめればいい。あんな、人の不幸を、有る事無いこと書いたり、あばいたりするような仕事、いやならやめてるよ」(p.15)/「あたし、嘘つくのいやだったんだ」(p.21)/「裏目読みをするなら、ちゃんと、裏の裏まで読んでほしいよ…なんて、ね」(p.25)/「それとは全然ちがう世界なんだよ。海に魚がいるでしょ。その魚に、何十万本もの釣り針をつけた糸を流して、一度に釣り上げなくちゃあいけないの」(p.32)/フランスの空港で、深夜特急の旅の最後にすれ違っていた、と。二人は。/「歌手を悪くした歌なんて、絶対にない、絶対にね」(p.138)/「その手術が、あたしの人生を変えたと思う。よいとか悪いとかいいたいわけじゃなくて、結果として変わってしまったと思うんだ。引退ということの、いちばんの最初のキッカケは、この手術にあるんだから…」(p.176)/「そうなんだよ!周りが、周りの風景が見えてきちゃうと、人間はもう駄目なんだよ。トップを走ることができなくなっちゃうんだよ。」(p.185)/「一度どこかの頂上に登っちゃった人が、そのあとどうするか、どうしたらいいか…。あの<敗れざる者たち>っていう沢木さんの本の中に出てきたよね」(p.195)/「勉強しようと思うんだ、あたし」(p.198)/「前川さんはいい人だよ、それに歌も抜群にうまいよ、あたしはそう思ってる。でも、別れる別れないというのは、それとは違う話だよ」(p.280)
東京タクシードライバー (朝日文庫)
山田清機 / 朝日新聞出版 (2016-02-05)
読了日:2016年10月9日
様々なタクシードライバー、およびタクシー会社経営者にインタビューしたのをもとに紡ぐノンフィクション。波乱万丈な人、様々な客の群像、タクシー業界にかける思いを垣間見ることができる。/この業界に入ってくる、特にいい大学出た人はこの仕事を見下してることが多い。けど、この業界に入ったからには不合理を耐えしのばなければ。耐え忍べば自ずと道は開ける。短期は損気。/タクシードライバーの仕事はロジックと直感の組み合わせによって勝負が決まる。/どんな会社だって、自分から将来こういうことがやりたいから、こういう勉強をさせてくださいと打ち出せないとダメですよね/一度会社を出てしまえば、一人だけの世界、気楽なもの/100%アウトっていう人生はない。世の中本人にはどうしようもないこともある。それで差別をする人が大嫌い/"どんなに正しいことを主張しているつもりでも、人を殺しちゃいけない。敵も味方も、みんなを生かさなくちゃいけない。いいか、味方だけじゃなくて、敵も生かさなくちゃいけないんだ。だから、俺は多神教徒なんだよ"
鳥肌が
穂村 弘 / PHP研究所 (2016-07-15)
読了日:2016年10月8日
身の回りに潜む、ちょっと怖い、鳥肌が、というエピソードを集めたエッセイ。それは怖がりすぎでは?と思うものから、後からジワジワくるものまで。ほんとうはあなたは無呼吸症候群教えないまま隣でねむる(鈴木美紀子)という歌に潜むこわさ。別れ話をしていた屋上から、俺のことわすれられなくしてやるよ、と身を躍らせて消えた男。ビール券を送られてブチ切れる友人に、人がキレる基準の理不尽さと不可解さを覗き込む気持ち。ちなみに、穂村さんがされたら嫌なことは「この文章ってどこまで本当なんですか?」と問われることだそうな。
モンプチ 嫁はフランス人 2 (フィールコミックス)
じゃんぽ~る西 / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2016年10月6日
フランス人は、お互い主張するべきは主張し、ぶつかり、着地点を図る、言った後はケロリと平常。日本人は、何も言わず、察して、丸く収めようとする、てのが印象的。お米大好き!でカレンさんが、ヨーグルトっぽいチーズをご飯の上に、とか、余ったご飯に牛乳と砂糖をいれてあっためました、フランスではリ・オ・レと言います、とか、ツボでした。あと、室内でドローンを飛ばす練習をしてて、プロペラが外れて飛んできて、帰って来た西さんにメガヒットして、「妻が家の中でドローン飛ばしている男なんて今日本で俺くらいだろうな」とつぶやいて、密かな喜びを覚えているところもツボ。4人の娘の国際結婚(中国、ユダヤ、アラブ、コートジボアールと様々)に頭を悩ます夫婦のコメディー映画「最高の花婿」も見てみたくなった。
真夜中にシュークリーム
はあちゅう / 毎日新聞出版 (2016-02-27)
読了日:2016年10月6日
ライトな語り口だなあ、と読み始めたけど、読み進めていくと、その中に、背中を押してくれる力強さを秘めていて。目に止まった言葉を抜粋。/準備不足のあらゆることを受け入れること。準備不足でも、やるのかやらないのか覚悟を決めて、やると決めたら探りながら潔く挑戦すること。(p.11)/でも、「実はみんな普通なんだよ」ってことは、ここだけの話、あなただけへの特典。(p.17)/言った後で、未来の自分に「後はよろしく!」と心で唱えた。この「未来の自分に丸投げ」という無責任行為は他人の目からはどうやら「思い切りがいい」と見られている模様。(p.70)/自分の欠点を認めてあげたら、人の欠点も受け入れてあげられるようになった(p.82)/人生はいつだって何かのための準備期間で、そこを楽しめないと、いつまでも楽しめない人のままなんだと思う。(p.108)/もっといろんな幸せの形を認め合える世の中なら生きやすいのにな。(p.108)/
書肆侃々房 / 書肆侃々房 (2016-09-01)
読了日:2016年10月5日
ジュンク堂でふと手に取ったフリーペーパー。特集 珈琲時間、というのに心惹かれて。見開き2ページに書肆侃々房に作品を書いた著者が寄せる、エッセイ、詩、短歌、イラストが色とりどりで楽しい。/ひとときは紅茶を淹れる読みかけの本はかもめのかたちに伏せて(中家菜津子)/どのくらい遡ればいいのだろう ただ居なかったものでなくなるために いなかったことに意味があるために(渡辺松男)/川口葉子「屋上喫茶階」、青目海「リスボン 坂と花の路地を抜けて」、あたりは手に取ってみたく思った。仙台の老舗の喫茶店のオリジナルブレンドの、深い焙煎で酸味よりも苦味の強い前をたっぷり使って濃く淹れたものが多い(佐藤涼子)、というのも味わってみたい。
燃えよペン (サンデーGXコミックス)
島本 和彦 / 小学館 (2002-11-19)
読了日:2016年10月5日
熱い、とにかく熱い、ベクトルが違おうがずれていようが熱い。納得いく集中線を描くために、大切にしていたレアなバイクを燃やすって。空回りも含めて、漫画に賭ける熱量を感じた。
深い河 (講談社文庫)
遠藤 周作 / 講談社 (1996-06-13)
読了日:2016年10月5日
ある者は妻を病気で亡くし、ある者は若い頃に神学生を弄び、享楽から退屈な結婚生活に転じるも自分の中の渇きを満たせず、ある者は自然と人が触れ合う童話を書き続け、ある者は野心的にカメラマンを目指し、ある者は地獄のビルマの戦場をくぐりぬけた後に供養に訪れ、ある者は鬱屈を抱えながら添乗員をし、と様々な背景を持つものがインドを旅し、対話し、そこで目にした者は、と。輪廻転生と汎神論をめぐる対話が心に残る。登場人物絵は、結局は大津が一番印象に残る。世間的には報われず、ボロ切れのように人生を終えたかに見えても、きっと本人はある種の諦念と思想に殉じ、安らかに至福を覚えたのではないか、と。「ぼくはここの人たちのように善と悪とを、あまりにはっきり区別できません。善の中にも悪がひそみ、悪のなかにも良いことが潜在していると思います。だからこそ神は手品を使えるんです。ぼくの罪さえ活用して、救いに向けてくださった。」(p.106) 江上の好きだと語った、チャームンダー像も見てみたく思った。
新装版 マエストロ(2) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-06-19)
読了日:2016年10月3日
新装版 マエストロ(3) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-07-19)
読了日:2016年10月3日
ほぼ全編、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」で通すってのもすごいなあ。そしてオーケストラの団員、一人一人に焦点を当てた群像劇、ラスト2コンサートで、指揮者の意図が伝わってくる。そして共に演奏する喜びも伝わってくる。オケとブラス、規模の大小、プロとアマの違いはあるけど、一度は身を浸したことがあるだけに、個人的にも。にしても、この漫画に限らず、音楽を題材にした漫画の、いい音楽、感動する音楽、という表現は難しい。これが名演です!と書いてしまえばそう受け取るしかないけれど、音が聞こえて来る訳ではないというジレンマ。
新装版 マエストロ(1) (アクションコミックス)
さそう あきら / 双葉社 (2014-05-20)
読了日:2016年10月3日
真田信繁の書状を読む (星海社新書)
丸島 和洋 / 講談社 (2016-09-22)
読了日:2016年10月3日
書状という史料を題材に、元服の時期、実際の活動、石高、家族とのやりとり、馬廻りとしての暮らしぶり、配流時の逼塞具合など様々なことが浮かび上がってくる。そして、書状と関連する文書も用いて、鮮やかに年代比定を実施し、紙や文例、折り方などからも情報を取得し、判断していく手さばきが惚れ惚れするほどで、歴史研究の興奮に満ちた一面を提示してくれたように思った。/以下、備忘録として。/秀吉馬廻りに取り立てられ、肥前名護屋に出陣していたp.96より/真田氏の石高から昌幸・信幸に賦課された普請役を引いた380人を信繁担当分と換算し、信繁の石高を19000石と見積もる。p106より。/真田氏は信幸が徳川家康の姻戚となった一方で、昌幸・信繁が豊臣政権奉行と密着する複雑な姻戚関係を構築したと言える。ここに、関ヶ原合戦において、親子兄弟の判断がわかれる素地が存在したといえる。p.110/信繁が借金を申し出ているのは、彼が伏見という「消費地」かつ大名・旗本が集う「サロン」で暮らしているからであろう。交際費は、馬廻りとしての体面にも関わってくるから、削るわけにはいかなかったと思われる。p.118/信繁が昌幸に従って「西軍」についたのは、秀吉馬廻りとして、豊臣政権奉行衆との間に張り巡らせた姻戚関係によるものであろう。p.146/(上杉景勝が自領の分断を解消すべく行動、毛利輝元は四国九州で領土拡張を図り、西軍の城も攻撃、昌幸には領国拡張を持ちかけ) 三成挙兵は、豊臣政権が成し遂げた天下一統を破壊し、時計の針を戦国の世に戻す状況を生み出していたのである。p.157/以上から、信之は慶長一〇年の上洛時に、河原綱家を伴って九度山を見舞ったことが明らかになる。これが、昌幸・信繁親子と、信之との永遠の別れとなった。p.175/1000石でも領主として復帰したいというのは、30代を九度山に埋もれて過ごした信繁の本音であったのかもしれない。しかし合戦中に寝返っての栄達、しかも主君として仰いだ秀頼を滅ぼしての出世など、信繁には思いもよらなかったのであろう。p.238/本多正純がなんども信用してくれと言ってるのは、信頼できない話と正純が悟っていたからだろうp.238より/信繁が石合十蔵に頼んだことは長女すへを決して離縁してくれるなということであった。九度山で「家族」とともに一四年もの時を過ごした信繁にとって、それが「守りたいもの」のひとつの答えであったのかもしれない。p.248
Spotted Flower 2
木尾士目 / 白泉社 (2016-09-30)
読了日:2016年10月2日
おたく夫と一般人妻の、妊娠してから産まれるまでストーリー。好みの探り方、意志の通し方には、様々な段階と方法がありまして、と。そして、そういう目で見たことなかったけど、これってもしかしてげんしけん二代目、その後、パラレルワールド編的な意味合いもあるのかなあと。班目さん、スー、矢島さん、波戸くん、吉武さんなどなど。今更だけど。
3月のライオン 西尾維新コラボ小説付き特装版 12 (ヤングアニマルコミックス)
羽海野チカ / 白泉社 (2016-09-29)
読了日:2016年10月2日
ページをめくってもめくっても可笑しくて、なかなか読み進まず。桐山の、雷堂棋竜の、スミスの、滑川の、そして二階堂の忠犬エリザベスのモノローグが効いてるなあ、と。雷堂さんの正面突破、そして奥様の器の大きさに圧倒される。桐山の心の声もだけど、巻を通して、彼の愛されぶり、その天賦の才、将棋の強さへの評価が印象に残り。夏祭りの章は本当にホッとするような暖かさに満ちていて。コラボ小説は、桐山と不思議な登場をした女子高生の将棋盤をめぐるダイアローグ。将棋さしの見地からアドバイスを与えるのだけど、…手の込んだやり方をしてしまったなあ、と。ただ、通じた時の嬉しさは共有できる、と。
3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代 3 (ヤングアニマルコミックス)
西川秀明 / 白泉社 (2016-09-29)
読了日:2016年10月2日
将棋から離れ、芸能界に打って出た兄弟子との邂逅。自分のしたことの心なさに気づき震える神宮寺。そして妻の一撃で吹っ切れた兄弟子との真剣勝負。読んでるだけで熱量が伝わってくるかのような。そして、テレビ業界人の誇り、将棋さしだけが命かけてるんじなゃねえ、お茶の間の笑いに、涙に、嘘はあったのか、というセリフがしびれるなあ、と。
信長のシェフ 16 (芳文社コミックス)
梶川卓郎 / 芳文社 (2016-08-16)
読了日:2016年10月1日
岩村城の攻防、鮮やかな秋山信友の散り際と深謀。そして、舞台は家督相続へ。ひっくり返そうとする試みをさらりと切り返すケンの手腕。そして、信忠の、信長とはちがった英明さも明らかにされ。
東京タラレバ娘(6) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2016-09-13)
読了日:2016年10月1日
され、振り向かず走れ、は強力で突き刺さる指針、キーの一言。そして、個室で待ち受けての一幕は何を投げかけようとしているのか。自分の最低な部分に気づき、もがき、足元に火が上がっているのに身動きできず、そんな3人を見放さず、なれるでもなく、ポイントポイントで厳しく的確な言葉を投げてくるキーに興味が尽きない。そしてタラレbarのコーナー、…今回も目にしみてくる話ばかりで。
BLUE GIANT 9 (ビッグコミックススペシャル)
石塚 真一 / 小学館 (2016-09-09)
読了日:2016年10月1日
胸が熱くなる。特に67話。一切のセリフなく、演奏シーンだけなのに、熱が伝わってくる。そして一年も連絡を取らなかった結末。新たな目標。不意打ちの代打。ただひたすら成長していくのが伝わってきて、と。


2016年10月03日

2016年09月に読んだ本

期間 : 2016年09月
読了数 : 40 冊
三代目薬屋久兵衛 4 (フィールコミックス)
ねむ ようこ / 祥伝社 (2016-09-08)
読了日:2016年9月28日
徐々に縮まっていく距離感、始まりの初々しさ、全然誰にもなれていかない相手が、自分に心を開いてくれる楽しさを味わうミク。そこへどうにか割り込んでこようとする昔の男。さてさて...と。漢方のアドバイサーの仕事も形になりそうで。
女の友情と筋肉 2 (星海社COMICS)
KANA / 講談社 (2015-06-11)
読了日:2016年9月28日
相変わらずの力強さだなあ、と。けど、そんなに飽きない。そして、そんだけの目にあっても、浮気心を抑えきれないってすごいなあと。
鳥啼き魚の目は泪~おくのほそみち秘録~ 6 (プリンセスコミックス)
吉川うたた / 秋田書店 (2016-09-16)
読了日:2016年9月28日
よもすがら 秋風聞くや 裏の山 曽良。芭蕉と曽良、しばしの別れ、そして再会、旅も終わり、また…というところで。最後のページが感慨深く。死者の世界と生者の世界がふとしたことでつながる旅路も最終巻。これを読んで、奥の細道、読む人がいれば芭蕉翁に少しは恩返しが、とあとがきにあったけど、完結前にまんまと読んでしまいました。
アフタヌーン 2016年 11 月号 [雑誌]
講談社 (2016-09-24)
読了日:2016年9月26日
波よ聞いてくれ、は、物腰柔らかだけど、的確にミナレさんの痛いところを意図せずついてる南波ちゃんに注目。そして、最後のページ、会うことで何かが変わるのか、続きがきになる。天の血脈は、最終話。そうきたか、そうきちゃいましたか、と。歴史モノ伝奇ものがいきなりSFかと。ただ、振り返って語らせたかったのかな、と。新連載の、春と盆暗、あしあと探偵は、好感触。次回にも期待。僕のクラスの織田くんは、は戦国モノ好きな人にはわかるかもだけど、そうでなければ厳しいか。「モヤモヤした時は 月面を思い浮かべて そこに思いっきり 道路標識を放り投げるんです」(月と盆暗)
鉄楽レトラ 6 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
佐原 ミズ / 小学館 (2015-02-12)
読了日:2016年9月25日
1-6巻まで読了。フラメンコを題材にした青春漫画。抑制がきかなくて級友に怪我をさせ不登校に、気弱で引っ込み思案で、ちやほやされていたのがあるきっかけで周りからひとが離れていき、あるいは、華々しい舞台を踏んでいたのに、故障をきっかけに引きこもったり。まっすぐでなく、回り道をしたそれぞれが、フラメンコをきっかけに親しくなり、前向きになり、一筋でも光を掴んでいく物語。バスケシューズとフラメンコのシューズが、投げかけた夢と生きる気力を支えあい、最後は…と。スカッとはいかない、一筋縄ではいかない、苦い思いもかみしめて、それでも、それでも、と。フラメンコの事が少し好きになり、もう一度読み返して味わいたくなる読後感。/人の人生を変えてしまうほどの人間て、どんな奴だ?/守られていることも知らずに自惚れている自分はもう嫌です/君を君の踊りを必要だ言ってくれる人間が一人でもいるのなら 君は踊り手であることを忘れてはいけないよ/フラメンコは主にカンテ(唄)、バイレ(踊り)、トーケ(ギター)で成り立っています。踊りが一番目立って見えますが、柱はカンテと言われています。/自分に自信のない人間はどう生きたらいいかわからないんですよ/周囲にとってはどうでもいい事がその人にとっては生き甲斐になったりしてさ。人間て、何気ない事に支えられて生きてんだよね/僕らが君の事飽きると思う?馬鹿にするなよ。/どんなに他人が否定したって、自分が心惹かれるのならそれは貴方にとって正解になる.../私の思うフラメンコの良いところは...苦悩や葛藤、秘めた愛情や興福自慢、普段押し殺している感情を、そのまま思い切り反映できるところ しかも!そういった感情を込めれば込める程格好良く見えてしまうのよ/支えてくれている人が多い分、今度は簡単に捨てられないよ。やらずに無様をさらすなら...やって無様になって来い!/私の人生に失敗は無かった…
俺物語!! 13 (マーガレットコミックス)
アルコ / 集英社 (2016-09-23)
読了日:2016年9月25日
突然の遠距離から、紆余曲折もあったけど、砂川の一発もあったけど、結局は乗り越えられて、最後の、またな、が効いてるなあと思いつつ。ストレートな物語の完結。スペインの祭りへの登場は、派手で似合ってておかしかった。
真田信之 父の知略に勝った決断力 (PHP新書)
平山 優 / PHP研究所 (2016-09-16)
読了日:2016年9月25日
宇都宮仕置で昌幸、信之ともに、独立した豊臣大名に。1589-1600年の昌幸、信之の居所一覧。秀忠の目的は最初から真田昌幸追討。信繁の家臣に樋口角兵衛という名の者がいて大坂の陣後、上田に帰還したとあるが未詳、と(真田太平記読んだ人ならピンと来るはず。)。内政面では出浦昌相が大きな活躍。天災や不作、普請等の負担で、なかなか財政は上向かず。自腹を切ってまで逃げた百姓を買い戻したり。ただ、逃げたり、新たにやってきたものばかりの優遇は、既存のものには恩恵が少なく(なんだか現代の携帯キャリアみたいな。)。家康をはばかってか、信幸から信之へ名乗りを改めたのが通説だが、最近の研究で1608−1612年は再び信幸に名乗りを改めているのだとか。ただし理由は不明とのこと。信吉信政兄弟と信繁との対面。大坂の陣に参加したものや一族を厳しく処罰することで幕府に身の潔白をなんとか証明しようと奮闘。上田を離れることは寂しく思っていたが、家臣に松代転封は光栄と送っていること、松代の重要性から鑑みて、左遷には当たらないのでは、と。昌幸・信尹に泣きついて減刑を図る家臣たちもいたが信之は果断に対処したと思われること。真田信之犯科帳とも言える章で、さまざまな裁定の実態の一端が窺い知れること。四十八騎浪人事件は、本領から引き離されたこと、新たな任地松代でも加増がなかったことが不満の背景にあったこと。真田騒動については、当時の資料に記録が見当たらず、見直しの研究があること。などなど、さまざまな知見に触れられ興味深い一冊となった。
たそがれたかこ(8) (KCデラックス BE LOVE)
入江 喜和 / 講談社 (2016-09-13)
読了日:2016年9月24日
嵐のようにやってきて、嵐のように引っかき回して、その余波で、好意も受けたり。劇団公演を見に行ったのがきーだったり。そして、カウンセリングにチャレンジスクールは次巻に波乱を巻き起こしそう。一緒に行くのは最後と決めたライブも。
六文銭ロック 3 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2015-01-30)
読了日:2016年9月22日
六文銭ロック 4 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2015-08-28)
読了日:2016年9月22日
イスパニアでも暴れまくって、闘牛士してた伊達政宗と意気投合して、オランダ独立戦争にも首をつっこむという破天荒さ。もうこのまま戻ってこないのかと思いきや、時が経ち、大阪、そして、ただでは死んでなかった、新らしい旅立ち、と。スケール大きいなあ。
興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和 (講談社学術文庫)
林 佳世子 / 講談社 (2016-05-11)
読了日:2016年9月22日
文庫化を機に、何年ぶりかの再読。今回興味深かったのは、徴税請負制。中央集権とは逆行する制度で、請負の請負の…と請け負われていくことで、国家の中枢から見ると末端で誰が徴税しているかわからない、けれどうまく回ればうまく回る、柔軟に、そして悪いことばかりでもなく、その権力、財力は徴税することに淵源を持つので、その主体であるオスマン政府に刃向かおうとはなかなかしない、といううまくできてるというか、薄皮一枚で繋がっている綱渡りと言おうか。まだまだ研究が進んでない面もあるようで、進展が待たれる。他に、公正寛容と語られるスレイマン1世の、常軌を逸した愛情への執着ぶり、前半はイブラヒムに、後半はヒュッレムにと向けられたのが顕著。前期には反イスタンブルのメンタリティを持つアクンジュが支持したエディルネが、中期には治世の大半を過ごすスルタンが現れ、宮廷も官僚組織もごっそりやってくる都市になっていたというのが興味深く。また精緻な官僚組織、文書主義の一端を垣間見れたことも。イスタンブルの噂が広まるルート、そのメディアとしての詩の役割。任官における不透明さと任官後の職権の明確さがオスマン官人を規定。ベールに隠されたオスマン女性を自由と見るか制限されていると見るか。さまざまに興味深いテーマに触れられて好奇心を満たされた一冊。
87CLOCKERS 9 (ヤングジャンプコミックス)
二ノ宮 知子 / 集英社 (2016-09-16)
読了日:2016年9月19日
オーバークロックの頂上決戦を仕掛けるMIKEとぼっさん。本当の気持ちがどこにあるのかを見抜いて怒りを見せてまで背中を押し、送り出す奏。最初は淡い恋心だったはずなのに、オーバークロックはいつの間にか奏でを遠くまで連れてきた。何をするにもだるい、何をしたいかわからなかった奏が、自分のできること、やりたいことを見つけ、しっかりして、旅立つ。そして、タイトルの87に込められた意味も明かされ。それぞれの後日談が語られつつ、完結。はたから見るとすごく地味、と捉えられかねないオーバークロックでここまで盛り上げるのはすごいなあ、と。
アド・アストラ 10 ─スキピオとハンニバル─ (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
カガノ ミハチ / 集英社 (2016-09-16)
読了日:2016年9月19日
ハンニバルの策謀によるマルケルスの謀殺。「高潔な紳士には理解できまい。汚泥を掻きあさり、その手を穢してでも掴まねばならぬ勝利もあるのだ」/アルプス越えを目論むハッシュへ、注文通り乗って見せたスキピオ。そして、ハッシュへの復讐を誓うネロの、執念をもっての粘り勝ち、ハッシュの戦死。あとがきの、カルタゴには才能ある将官が少ない、ハッシュ級がゴロゴロいれば…けどカルタゴは大敗北を喫した将軍は処刑される、対してローマはたとえヴァロのような惨敗を喫したものも才能があれば生かして使う。失敗したものにも再度チャンスを与える。今の日本はカルタゴのようで息苦しいですね、という一節が印象に。
天才
石原 慎太郎 / 幻冬舎 (2016-01-22)
読了日:2016年9月19日
石原慎太郎が一人称で語る田中角栄。幼少期から青年期にかけての実体験で、根回しの大事さ、金の貸し借りが人間の運命、値打ちまで決める、この世で末端の仕事をしている人間たちの力が世の中を結果として大きく変えていく、賄賂の効用の原理、この世は互いの利益の軋轢で、それを解決するのは互いの利益の確保、金次第ということ、を淡々と語る。/「まさに自ら反みて縮くんば千万人と雖も吾往かんなのだと悟った」/我々がこれから意識し目指さなくてはならぬのは、外交も含めての自主性ということに違いない。それを許さぬという者の国家としての存在などあり得ぬことに違いない。/総理の座を降りることに決めた決定的要因は血を分けた子供の自殺未遂。/様々な資料にあたって構成されたのだろうけど、特に家庭面での心情などは、本当に語り聞かせているように描かれ、なかなかにうまいなあと思いつつ。頭から終わりまで通しでのライフ・ヒストリーとしての概観は得られたから、細部は類書を当たってみたいとおもった。
沈黙 (新潮文庫)
遠藤 周作 / 新潮社 (1981-10-19)
読了日:2016年9月19日
かつては布教も許され、信徒が何十万人もいたが、今は禁圧されて久しい江戸時代の日本。遠くポルトガルで、師が日本で拷問にかけられ転んだ、と聞かされた三人の弟子たちが、周囲が止めるのも聞かず、捕らえられる危険の高い日本へ潜伏し布教を志す。匿われ逃げ回りつつも細々と教えを広めようとするものの結局は裏切られ、捕らえられ。そして長い煩悶、奉行との対話、転んだ師との対話、自分のために拷問で死んでいく信徒を前にして、ついに転んでしまう。あの時も、あの時も、あの時も、なぜに神は沈黙したままだったのか。最後には、そうではない、一緒に苦しんでいたのだ、と言い聞かせるように、それでも神への愛は深まった、とするが。あたら信徒でない身にとっては、いくら万能でも、苦しみから救われないのなら、たとえそれが真の信仰ではにと言われても、そんな愛はいらない、と思ってしまった。読み終わって、深く思考が沈んでいき、重い問いを突きつけられた感。/「なんのため、こげん責苦ばデウスさまは与えられるとか。パードレ、わしらはなんにも悪いことばしとらんとに」/司祭は殉教するためにあるのではなく、このような迫害の時期には教会の火を消さぬため生き続けなければならぬのです。/踏絵をば俺が悦んで踏んだとでも思っとっとか。踏んだこの足は痛か。痛かよオ。俺を弱か者に生れさせておきながら、強か者の真似ばさせろとデウスさまは仰せ出される。それは無理無法と言うもんじゃい。/魅力のあるもの、美しいものに心ひかれるなら、それは誰だってできることだった。そんなものは愛ではなかった。色あせて、襤褸のようになった人間と人生を棄てぬことこそが愛だった。/「エスパニヤ、ホルトガル、オランダ、エゲレスとそれぞれ名のる女たちが、日本と申す男の耳に、夜伽の旅、たがいの悪口を吹きこみ申してな」/「だが日本人がその時信仰したものは基督教の教える神でなかったとすれば...」/「切支丹が亡びたのはな、お前が考えるように禁制のせいでも、迫害のせいでもない。この国にはな、どうしても基督教を受けつけぬ何かがあったのだ」/「わしが転んだのはな、いいか。聞きなさい。そのあとでここに入れられ耳にしたあの声に、神が何ひとつ、なさらなかったからだ。わしは必死で神に祈ったが、神は何もしなかったからだ」/「強い者も弱い者もないのだ。強い者より弱い者が苦しまなかったと誰が断言できよう」
六文銭ロック 2 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2014-08-29)
読了日:2016年9月18日
幸村は本能寺の変の現場から逃れ、家康に一泡吹かせてから、南蛮を目指す。途中、タイで傭兵に売られ、実力を示すことに。ここまで突き抜けて伝奇的だといっそ清々しい。次はどう暴れまわるのか。
辺獄のシュヴェスタ 4 (ビッグコミックス)
竹良 実 / 小学館 (2016-09-12)
読了日:2016年9月18日
粛々と進められる夜の森の生活。備蓄される食料。しかし一人分足りぬとわかり、一人、別行動に出るエラ。そして突然の豪雨により半年かけた全てが水の泡に。それでも前を向く、エラの強靭さ。対するエーデルガルトは、バチカンの図書室の鍵を手に入れ、行政記録から敵対するものの不正をあぶり出して行き、勢力の拡大を図るのであった。/人には人は変えられない 信賞必罰の神という概念だけが 人を変える(エーデルガルト)/希望はどんなに遠くを見渡しても見つからないこと。 なぜなら、それはいつも、手の中から生まれるものだということを。/この世にあらゆる物理にも逆らい得るものがあるとすれば、それはただひとつ、人間の意志である。
ケマル・アタテュルク―トルコ国民の父 (世界史リブレット人)
設樂 國廣 / 山川出版社 (2016-09)
読了日:2016年9月18日
オスマン帝国末期からの革命運動、そして第一次大戦での敗戦後からの、アンカラ政府樹立、トルコ共和国の成立から、大統領時代の政策、その死までが描かれる。治安維持法や祖国への犯罪法、議会運営のやり方、政策の決定方法、なりふり構わぬ政敵の排除など、今の基準に照らし合わせれば独裁的、専制的と言われそうな側面もあるが、おそらく、そこまでしなければ当時のトルコをまとめ上げられなかったのだろう。祖国解放戦争を共に勝ち抜いてきた戦友たちも一人また一人と離れていき、イスメット・イノニュとの対立を最後に、身の回りに一人もいなくなってしまったというのも凄まじく。興味深かったのは、オスマン帝国末期の指揮系統の弛緩。普通に、命令を拒否して、とあるが、上からの指令が行き届かないのなら、何をもって、軍事、行政がうまくいくというのか。そしてオスマン帝国内で昇進しつつ、いつからケマル・アタテュルクがオスマン帝国を見限り、かわりとなる体制を志向したのか、と。/「来た時のように、引き揚げるべきだ」/ローザンヌ会議、ケマルの暗殺未遂事件たるイズミル事件の詳細。また、経済、宗教、文化政策、国制など、様々な分野で果たした業績についても触れられ、概観できた。
雪花の虎 3 (ビッグコミックススペシャル)
東村 アキコ / 小学館 (2016-09-12)
読了日:2016年9月17日
度重なる謀反の平定、そして臣下たちの心が兄よりも景虎へと傾くのは自然の流れであった、と。にしても、下段の著者のコーナーとのギャップは相変わらずのおかしさ。
洗礼ダイアリー
文月 悠光 / ポプラ社 (2016-09-05)
読了日:2016年9月17日
詩人文月悠光さんの初エッセイ。柔らかい語り口に魅了されるが、扱っているテーマは、何気に過ごしている分には日常見過ごしてしまうかもしれない違和感、生きづらさもあったり。読み終えた今、cakesで連載中の「臆病な詩人、街に出る」も書籍化されないかなあ。本棚の中の「適切な世界の適切ならざる私」「屋根よりも深々と」読み返したいたい、と思った次第。以下目に止まったところ。/「折れるな」「見返してやれ」と煽る男性たちを見て、はっとした。彼らは常に、こんな精神論に晒されて生きているのだろう。男性とは、社会の中で「逃げない」ことを義務づけられた窮屈な生き物なのかもしれない。/与えることを恐れなければ、きっと花は咲く/私たちは誰もが、ぼんやりとでも「こう在りたい自分」のイメージを思い描き、それを晒す自由を持っている。自撮りをする自由?そんなの「自分のため」に決まっている。私は自撮りを肯定したい。自己満足を愛したい。そこには、誰の評価にも屈しない強さがあるはずだから。/「一人で立てるようにならないとダメですよ。恋人と別れるたびに、頼れる人を探すんですか?そんなの嫌じゃないですか?」/
君の望む死に方 (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2011-09-01)
読了日:2016年9月16日
余命いくばくもないと宣告された社長が、ある部下に自分を殺させようと目論むも、それを明かさず、そのために開いた社員研修。様々なきっかけを提供し、相手も応じようとするも、その芽をことごとく潰していくのがシリーズの探偵役碓氷優佳。打つ手は打った、結果は序章に出ている、けど、それは誰か、…最後は読み手に委ねられ。最後に何が語られたか、思いを巡らす。その後どういう展開になったのかも。計画は立てず、状況に応じて、機が熟せば、という姿勢なので、いつそれが来るかを気にかけつつの展開だった。/「動機というのは、他人がどうこう言うべきことではないと思います。恨みの重さ、憎しみの重さ、罪の重さ。皆個人個人で秤を持っています。そしてその目盛りは、人によって違うのです。違う目盛りで他人の心を測ることはできないでしょう。だから、わたしは考えません」
失恋したので、ベリーダンスをはじめてみました (『このマンガがすごい!』大賞シリーズ)
内藤 未映 / 宝島社 (2012-12-10)
読了日:2016年9月14日
サラーム海上さんがDJをつとめたGypsy Soulというイベントで YOSHIEさんというダンサーのベリーダンスを見て、感銘を受けて、再読。こちらは、失恋した女子がひょんなきっかけでベリーダンスを始めることで、自分の良いところを見つめ直して、良い意味で魅力をアピールすることを覚え、それは仕事や私生活にも前向きな影響を与え、彼氏もできて幸せになって、というストーリー。人生に対する、日常と異なった視点の導入、という切り口が鮮やかで印象的。
六文銭ロック 1 (ビッグコミックス)
武論尊 / 小学館 (2014-01-30)
読了日:2016年9月14日
なかなかに破天荒な設定。幼少の頃、真田幸村が織田信長と会っていて、目をかけられていた、茶々とも会っていた、という設定。そして本能寺の変の設定も。伝奇ものとしては興味深い。
鄭成功―南海を支配した一族 (世界史リブレット人 42)
奈良 修一 / 山川出版社 (2016-09)
読了日:2016年9月14日
概観としては、朱姓を賜ったことで、国姓爺として、滅びた明朝に最後まで忠義を尽くしたところが、後世にまで語り継がれているが、清に対する戦績ははかばかしくなく、台湾を攻め落として程なく亡くなっており、息子の鄭経の方が20年の政権で、台湾の発展により寄与したように思える。また、部下に厳しすぎて、帰って敵方に走らせたり、息子の討伐命令も聞き入れられなかったりと、掌握に難ありな面もうかがえた。鄭経の頃の台湾は、ヨーロッパでは独立王国並みの扱いであったようだ。清朝の招きに応じて、朝貢国として生きるという手もあっただろうが、それを選ばず、その息子の代に至るまで、明の年号を奉じ続けたところが鄭氏政権の真骨頂なのだろう。
アオイホノオ 4 (少年サンデーコミックススペシャル)
島本 和彦 / 小学館 (2010-06-11)
読了日:2016年9月13日
2−4巻読了。ずーっと助走だけしているようなもどかしさと熱さを感じながら読み進める。40年前のビデオ、ウォークマン、出始めの頃ってこうだったのかな、と思いつつ。ようやく漫画を持ち込んで挫折感を味わい、アニメではクラスメイトの庵野に大きく先を越され、悶える。そして、謎なのはトンコさん。天然なのかわかっててやってるのか。
忘却のサチコ 7 (ビッグコミックス)
阿部 潤 / 小学館クリエイティブ (2016-08-30)
読了日:2016年9月13日
前の巻からの引きは、このストーリーのスタート地点に関わるものだったけど、あっけなくも語られず。ただ、どうしてそういうことをしたかの一端は語られたけれども。グリーンカレーに付けて食べるうどん、興味が湧いた。そして、ホタルイカの踊り。踊るところは見れなくても、ホタルイカのさまざまな食べ方に食指。普段、ホタルイカの沖漬けぐらいしか食べないもんなあ、と思いつつ。
四月は君の嘘Coda (講談社コミックス月刊マガジン)
新川 直司 / 講談社 (2016-08-17)
読了日:2016年9月12日
本編で語られる時期のアナザーストーリーが描かれるのかと思いきや、前日譚。子供時代の話を中心に。そう、偶然ではなく、繋がっていることが語られていたり。まだ柔和な頃の主人公の母親が描かれていたり、ピアノを始めるきっかけが描かれていたり、と。
昭和元禄落語心中(10)特装版<完> (プレミアムKC BE LOVE)
雲田 はるこ / 講談社 (2016-09-07)
読了日:2016年9月11日
堂々の完結。八雲の最後の一言がガラリと娘の人生を変え。後日譚として与太郎が襲名披露したり。自分なりのやり方で。希望を持たせる終わり方。

重版出来! 8 (ビッグコミックス)
松田 奈緒子 / 小学館 (2016-08-30)
読了日:2016年9月11日
様々な新人作家。やりたいことよりウケを重視してしまいブレてしまう者。天才肌だけど家族の問題が追いかけてきて集中できず、担当編集立会いで、立ち向かったり、初の単行本に向け、できることは何でも手をかけ、そして最後は…と。希望をつなぐ終わり方に続きがきになる。以下備忘録。/言いたいことも言えない世の中なんじゃない。自分だ、自分が言えばいいんだ。好きだ!好きだ!好きだ!お前の欲望を俺は認める/泣き言や文句だけ言って許されるのは子供だけだ。どんな状況でも知恵を出しあってやりぬくのが大人の仕事だろ。/あんたは一度も俺の意志を確認しなかった。
モモちゃんとアカネちゃん (講談社文庫)
松谷 みよ子 / 講談社 (2011-12-15)
読了日:2016年9月11日
トイアンナさんのブログとそこから導かれた紫原明子さんの文章がきっかけで手に取った一冊。子供達のファンタジックな挿話に、ママのつぶやきや思考が現実的に挟み込まれてきて。/人間って、ときどきヘビになるのじゃないかしらって。それは、自分でも気づかないときなのかもしれませんけれども。/「どちらも枯れる。それはいけないわ。だから、根分けしなくっちゃ。からまりあったねを分けて、息ができるようにしなくては…」/「ママ、タッタちゃんとタアタちゃんをあげちゃったみたいに、パパもだれかにあげちゃったの?」
WHAT IS SAPEUR ?――貧しくも世界一エレガントなコンゴの男たち
NHK「地球イチバン」制作班 , 影嶋 裕一 / 祥伝社 (2015-12-15)
読了日:2016年9月11日
生活は貧しくても、週末はビシッとした服で決めて、かっこつけて練り歩くコンゴのサプールたち。何のために、どんないいことが、家族はどう思って、社会的にはどう捉えられて、普段の仕事は、などなど、興味を感じる点に答えてくれる一冊。ダイノジの大地さんがレポーターをつとめたというバ番組の方も見たくなった。以下備忘録的に。/コンゴ民主共和国、1980年代のアフリカミュージックシーンを引っ張った国民的ミュージシャン、パパ・ウェンバ、一流ブランドのスーツを身にまとい、ステージへ上がったことで、サプールのファッションは急速に浸透/7月から8月は「サプールの熱い2ヶ月」、ヨーロッパからの里帰り組と地元組との張り合い/言葉と動きを巧みに使って対戦するブードゥ、「何だ、お前の汚れたダサい靴は。俺の靴を見てみろ。JMウエストンだぞ」、聴衆を楽しめたり、指摘によって足りないことに気づきセンスを磨いたり/「サプールは場を盛り上げなきゃいけないんだ」「外見だけ良くてもダメなんだ。内面も綺麗じゃないといけない」「サプールは喧嘩はご法度なんだ。我々は紳士でなければならない」/多くのサプールの家族は夫がサプールであることを歓迎。清潔を保つ、病気にならない、健康である、ことにつながる。子供にかっこいいと思われる。たくさん服を持ってるけど彼なりにやりくり。何かを考えたり、アイデアを出したりすることは自分を向上させる。地域の皆が夫を慕ってる。サプールでいつづけることがすごい。/「サプールとは暗闇を照らす明かり」/3色ルールには肯定派と否定派が。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-07-30)
読了日:2016年9月10日
特集インド・ナゴールの音楽祭。歴史的な城塞に設えられた空調、トイレ、wi-fi完備の豪華テントで聴く音楽祭。なんと、ご飯は観客、主催者、ミュージシャン合同でとるのだとか。なんだか距離感が近くてワクワクしますね。写真で見る限り、夕暮れ時から夜にかけて、幽玄な雰囲気を醸し出す中で奏でられるスーフィー音楽。魅力的な紹介。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-04-30)
読了日:2016年9月10日
イスタンブール特集。20年前に一度行ったきりのイスタンブールの今を感じられて個人的にはうれしい一冊。テロや反政府運動を経て、観光客は少なくなったけど、音楽シーンは盛り上がっているようだ。タルカンの古典民謡をカバーしたアルバム、聴いてみたい。
サラーム海上 / 株式会社クロコ (2016-01-31)
読了日:2016年9月10日
ベイルート特集。「渋滞、神に感謝するよ!」というタクシー運転手の一言が深い。オールカラーで、食べ物はどれも鮮やかで。どうしてこんな戦乱が起きたか、現地で聞いても腑に落ちる答えは、帰ってこない、と。
古書の来歴 (下巻) (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス / 武田ランダムハウスジャパン (2012-04-10)
読了日:2016年9月10日
内澤旬子「捨てる女」つながり。偶像破壊を推し進めたはずのユダヤ教徒が作成した稀覯本サラエボ・ハガダーとは。古書に付着した物質や署名を手掛かりに来歴を探るストーリーはどんどんと時代を遡り、現代と交互に語られ、どんでん返しにどんでん返し、ここのエピソードがここに活きて、とからまり合い、息つかせず。面白かった。酢を使ったカレー、ヴィンダルー、食べてみたいと思った。/きみたちこそ迷信を信じてる。自分だけは死を免れると思いこんでて、それができないとわかると真っ赤になって怒る。/"私のなすことが私である。私はそのために生まれてきたのだ"(ジェラード・マンリー・ホプキンズ)/どんな小さな文字もすべて、ひとつの詩であり、ひとつの祈りであり、神の光輝へと通じる道だった。あらゆる文字に特有の道があり、特別な謎があるのだ。/ある事柄がなぜ私にとって大切なのか、なぜ私がそれを愛しているのかを(略)そういうことを理解できるかどうかが重要なのだ。それが根底になければ、私たちの会話はただの雑音でしかない。/この街の住人が、自分たちを隔てているものじゃなく、結びつけているものに気づけるかどうかを試すために。
古書の来歴 (上巻) (RHブックス・プラス)
ジェラルディン・ブルックス / 武田ランダムハウスジャパン (2012-04-10)
読了日:2016年9月8日
しあわせになる禅 (新潮文庫)
ひろ さちや / 新潮社 (2007-08)
読了日:2016年9月5日
俗っぽい語り口には辟易する場面もあったが、禅的考えの突き抜け、日常に風穴をあけるところは魅力的。禅の先達たちのエピソードに触れられるのも良。/自分のできることはしっかりした上で、余計なことは考えるな/過去を追うな未来を願うな/仏様の物差しでは皆同じ価値/他人や世間のことを意識するな/
ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル / 集英社 (2016-08-19)
読了日:2016年9月4日
ただ唯一自分の存在を認めてくれたものに心酔し、己が持てる技術のすべてを結集して作り上げたもの。たとえただ利用されたとしても。それを用いて行われるのは、壮大な偽装。競い合う両勢力の均衡を壊しかねないインパクトを持つ。アイヌと思われていたものたちの正体も、もっと大きな世界史的な流れから明らかにされ。また、炭鉱労働者の危険な職場環境も描かれる。
銃座のウルナ 2 (ビームコミックス)
伊図透 / KADOKAWA/エンターブレイン (2016-08-25)
読了日:2016年9月4日
絶対的な悪に立ち向かう志願兵、というストーリーが第一巻だとしたら、この巻は、攻められる方から見た、戦争の真実。なぜ、臭い匂いを放ち、この世のものとも思えない醜い姿に見えるのか、なぜ絶海の孤島の少数民族が戦いに立ち上がったのか、そしてなぜ戦いが続けられるのか。その後の作戦は、と。ただ一つの真実として塗つぶせないものがそこにはあった、と。今まで見ていた地平をひっくり返されるというか。
世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい (ちくま文庫)
森 達也 / 筑摩書房 (2008-03-10)
読了日:2016年9月3日
煎じ詰めると、絶対的な悪も、絶対的な善もない、ピュアな善人が残虐な犯罪を成し得る。彼我に違いなど無い、そのことを正面から受け止めて、生きていかなければいけない、ということか。そりゃ、口に苦しで、ヒットはしないかも。けど…と。以下備忘録として/「情が移る」と住民は顔をしかめながらつぶやいた。当たり前だ。すべて人の営みなのだ。情がない人間などいない。/信者たちの人間らしさに驚いたのならその後に、考えたら当たり前のことなのだと思い至ってほしい。(略)人々は皆それぞれの営みを生きている。泣いたり怒ったり笑ったりしながら、日々との生活を営み、愛したり裏切ったり絶望したりしながら、少しずつ老いてゆく/今の日本における本当の強者は、市民社会が紡ぐ「民意(世論)」だ。圧倒的なチャンピオン/「ならば私が森さんに聞きたい。互いに異なる宗教や、宗教を持つ人と持たない人とが理解しあうことは可能でしょうか」一〇〇%の理解など最初から不可能だし、そもそも人はそれだけの能力を与えられていない。でも少なくとも、今よりははるかにまともなコミュニケーションは可能なはずだと僕は思っている。/国家や外交のシステムに、どうして皆これほどに期待するのだろうと不思議になる。冷淡で当たり前じゃないか。システムなのだから。/


2016年09月02日

2016年08月に読んだ本

期間 : 2016年08月
読了数 : 48 冊
むかしのはなし (幻冬舎文庫)
三浦 しをん / 幻冬舎 (2008-02)
読了日:2016年8月29日
何年かぶりの再読。最初の話と最後の話のつながりに、初読時は気づいていたのだろうか。理屈っぽくも的確な文庫版解説に助けられ。いつかは来るはずの死というものを、三ヶ月後に隕石がぶつかるという設定ではやめたことで、様々なことをあぶり出す。というのが一つのテーマ。表には、昔話の現代版読み替えというテーマを置きつつも。/俺は愛情からおまえを選んだわけじゃない。おまえが一番、俺になにも求めなかったし、おまえが一番、俺に金を遣わなかった。だから選んだ。(ラブレス)/偽りを演じつづける刺激が、人生を豊かにする。(ロケットの思い出)/「遠い、遠い場所へ。しがらみや重力が追いつけない、広くて真っ暗なところへ」(入江は緑)/終わりに直面すると、ひとは二種類に分かれるようだ。すなわち、これまでどおりの日常を堅持しようとするひとと、思い切り好きなことをやって火花のように散ろうとするひと。(たどりつくまで)/私たちは生きている。どれだけ終わりが近づいてきても、哀しいほどに生きている。(たどりつくまで)/いずれ死ぬからといって、生きるのをあっさりやめることはできない(懐かしき川べりの町の物語せよ)/「死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか。いまさらだよな」(懐かしき川べりの町の物語せよ)/「だれかを好きだった記憶もなくなるぐらい生きて、俺が死んでも気づく奴が一人もいないほどになったら、そのときやっと、俺はj本当に自由になれるんじゃないかと思うんだ」(懐かしき川べりの町の物語せよ)
ずばり東京―開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)
開高 健 / 光文社 (2007-09-06)
読了日:2016年8月28日
代官山蔦屋書店で見かけて。つい半世紀前の東京は、今とは全く違った佇まいを見せる。けれど、そこで働く人の悩みは共通することもあったり。/「東京の生活は異常です。これは生活じゃないですよ。わけもわからず走ってるだけです。」/「根本的なことは考えないで、ただ夢中になって毎日の仕事を果しているだけです。それだけでせいいっぱいですよ。家に帰ったら本も読めません。寝るだけです。」/だからあとでどんなに予想がハズれてもあなたはドナリこんではいけないのです。どこへもドナリこんではいけないのです。あなたの心に対してだけドナリこみなさい。それ以外はまったく無意味です。/"見ルコトハソノ物ニナルコトデアル"/ユエニ誰ガタメニ鐘ハ鳴ルト問ウコトヲヤメヨ 汝ガタメニ鳴ルナリ/
レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)
三島 芳治 / 集英社 (2014-05-19)
読了日:2016年8月27日
その学校の二年生は、必ず、レストー夫人という劇をすることになっている。同じ話をクラスごとに別々の脚本に仕立てて。物語の中に登場するような読み聞かせ教育で、いつしか物語の中にいつもいるように感じてしまう美しい少女。彼女を生身の存在のように生き生きと描き出す、劇の記録係り。メモリがないと足を踏み出せず、踊りも踊れないと思っていた少女の転機。一言も喋らない少女と腹話術の得意な少女の組み合わせは、いつしか心が通い合い。衣装係りの男子は、現代アートかと見紛うオブジェを作って、解任されるが、本人には、わたしの本質を見通してくれたと感謝され、結局は、採用されて。4話ともそれぞれ味わい深くて何度も読み返したい。併録の、燃えろ!ストーブ委員、からは、末尾の一節を。「ストーブは、決められた環境を維持することを目的としていて その仕組みは外からは見えない そしてもっとも働いている時 なにもしていないようにみえる」
スティーブ・ジョブズ(5) (KCデラックス Kiss)
ヤマザキ マリ / 講談社 (2016-08-12)
読了日:2016年8月27日
ジョブズの結婚、ピクサーでの日々、アップルへの復帰、人員整理、選択と集中、デザイン重視、Microsoftとの提携、業績の回復。iMacの登場まで描かれる。
知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex)
竹宮 ゆゆこ / 新潮社 (2014-08-28)
読了日:2016年8月27日
"私はこうして、おまえのためにこの世界を回すから"。無職女子xコスプレ男子の恋愛、と言うが、出逢いは最悪、共通点は重い、展開はなし崩し、だけど...と。一人の女性を巡って、お互いの知らかなかった像が結ばれ、お互いが同じ可能性に悩み、お互いが彼女の存在にすがっていることに気づき。突き進み方も、ぶち離し方も急で勢い込んでるけど。ラストのシーンは期待持たさていいなあ、と。
トンブクトゥ 交界都市の歴史と現在
応地 利明 / 臨川書店 (2016-02-10)
読了日:2016年8月26日
トンブクトゥ、その響きに憧れ、泥で作られたモスクとはどんなものか、黄金交易でのかつての繁栄はどんなものだったのか、学術が栄えていた時代のことは、などなど色々知りたく。以下備忘録的に/ティンブクトゥとは元々デベソの意味だったとか/1352-3年にこの地方を訪れたイブン・バットゥータもトンブクトゥについてはほぼ語らず、ガオがスーダン最大の立派な都市とする/ムーサ王はアッ・サーヒーリを招き、ジンガラベイレル・モスクを建てさせた/サードは当時の人口を一万と推定/モロッコのソンガイ進出。マスケット銃を装備し、20倍の兵力差を跳ね返す。総指揮官は、グラナダ王国出身のキリスト教徒からの改修者ジュデル/トンブクトゥは首都になったことはなかった/

/モロッコ侵攻にあたり軍人役人は敵前逃亡、学者と商人が抵抗/トンブクトゥは帝国に担保されたのではなく、帝国がトンブクトゥに担保されていた/トンブクトゥの特質は、「港と市街地が一体化した砂丘列の中の構築都市」/生き物のように市域がどんどん展開していき、ピークから収縮していく様を、史料と臨地調査から後付けていくのが圧倒される。また、多民族都市、北からアラブ系、南から黒人系を呼び込んで繁栄したこと。トンブクトゥ自体の産品はほぼなく、本当に貿易の中継地としてのみ栄えたのだな、と。/p.109-171を国会図書館から取り寄せ。
アフタヌーン 2016年 10 月号 [雑誌]
講談社 (2016-08-25)
読了日:2016年8月25日
げんしけん第二部が大団円。朽木の卒業、新会長の選出までが描かれ。ああ、これは、第三部も期待したいなあと思いつつ。ヒストリエは、婚約者を奪われたかわりに王の左腕に抜擢されたエウメネス。周囲の羨望と賞賛をよそに本人は、アレクサンドロスをも睨みつけるほどの憤激。ヴィンランド・サガは、父の死の真相を知らされ一瞬怒りに我を忘れそうになるトルフィン。彼の最後のつぶやきは難しい、どこまでも優しくどこまでも強くとは。球場三食は、今回は広島球場。ほんとカープファンに愛されてる感がひしひしと。天の血脈も、クライマックスか。七支刀で内田と向かい合う安積の運命やいかに。波よ聞いてくれは、今回も安定の暴走ぶりのミナレさん。そんなとこにそんなもの置いておいて忘れて、それが原因で隣人を一方的に断罪、公共の電波で謝罪ってね。どこまでも突っ走っていってほしい。
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
橘 玲 / 新潮社 (2016-04-15)
読了日:2016年8月25日
遺伝、知能、容貌、性差、脳、子育て…様々なトピックに、実験からくる仮説、定説を覆すような新設を次々と提示していく。確かに刺激的。ただ、それだけの実験でそこまで言えるかな、と思うものもあり。逆に、よくこんな興味深い実験を思いついたな、と思うことも。著者が、他の著作でも紹介し、強調するためにこの本でも紹介したというハリスの研究は特に興味深かった。子供に対する子育ての影響はごくごく限定的で、どのような友達集団に属するかの方が影響を与える。親のできることは、より良い集団に属することができるような環境を用意するぐらいだ、と。
女騎士、経理になる。 (2) (バーズコミックス)
Rootport(原著) 三ツ矢 彰 / 幻冬舎 (2016-06-24)
読了日:2016年8月22日
国債をめぐり帝都に乗り込む2人組、そこで待ち受けるは私腹を肥やすのに余念のない大臣。そして若き国王。訴えの行方はどうなることやら。
恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)
稲葉 圭昭 / 講談社 (2016-01-15)
読了日:2016年8月22日
捕まったのは、本人の覚せい剤使用だけど、別途訴えたかったであろう、当時の警察の内情について、内容が正しいのだとすれば、暗澹たる思い。事件の検挙のノルマって。ノルマの立て方がおかしい。本来、どれだけ無事に治っているかが評価されるべきなのに。そして、捜査費が回ってこず、裏金としてプールされ、自腹で賄う。上からは、無理なノルマを押し付けられるが、拳銃をあげたり、密輸を取り締まる件数を上げるためには、捏造も辞さず、そのためにはヤクザや売人たちとも密接な関係を築き上げなければならなかった、と。もちろん、すべてを組織のせいとするのもどうかと思うし、本人もそこまでいっていないが、それを隠れ蓑に、責任を取るべきものが、ほっかむりして悠々自適というのおおかしい、と。
モンプチ 嫁はフランス人 (フィールコミックス)
じゃんぽ〜る西 / 祥伝社 (2015-07-08)
読了日:2016年8月21日
フランス人記者の女性と結婚した漫画家ジャンポール西さんの結婚生活、子育て、フランスとの文革比較エッセイ。奥様側からのエッセイも出てるようなので見てみたい。フランス人のビズへのこだわり、愛していることを365日24時間確認、などなど興味深いトピックも多々あり。さまざまな差異を最初は受け入れられねえ、と思ってても、徐々に慣れて、柔軟に受け入れていく西さん。続きも読んでみたい。
新・四字熟語 (幻冬舎よしもと文庫)
又吉直樹 , 田中象雨 / 幻冬舎 (2015-01-14)
読了日:2016年8月21日
又吉直樹「夜を乗り越える」つながりで。「鈴虫炒飯」から改題。気になった熟語は二つ。「布団反復」と「世界重奏」。「布団反復」は、二度寝すること。シンプル。「世界重奏」は、この世界はあらゆる人々の色々な個性の重なりによってできている。変な奴がいても良いし、自分が変な奴だったとしても一向に構わない。世界という視点から見ると変な奴がいることは、取り分け変なことではない。
天にひびき 9 (ヤングキングコミックス)
やまむら はじめ / 少年画報社 (2014-05-30)
読了日:2016年8月20日
天にひびき  10巻 (ヤングキング・コミックス)
やまむらはじめ / 少年画報社 (2014-11-29)
読了日:2016年8月20日
秋央を残して、あっという間にその先への世界へと旅立っていったひびき。そして、数年後に、日本に忘れ物をしてきたとふらりと戻り、コンサートしようという申し出に即決でOKを出す秋央。そこからはワクワクの始まり。今まで関わってきた人を総力で集めての日々。マーラー「大地の歌」。こういうことがやりたかったんだということの結集と、別れの音楽。しかし、それが誰に向けられてのものだったかは...。そしてまた数年後の日々。どこへ向かったのか、何がしたかったのか、最後に出てきた子供は、帰ってくるのは、プロポーズするのは、と含みを持たせ、読み手に委ね、良い音楽を聴いた後のような余韻を残して。/指揮者はいつもそばに自分の楽器があるわけじゃない でも、だからこそ、強く強く、自分の中に音楽を奏でていなくちゃならない(1巻、ひびき)/「少しでもオケに自分のやってることへの迷いや弱みを見せちゃ駄目なんだよ、全部わかった上でこの曲を指揮してる!そう思わせなくなちゃならない そうしなきゃ奏者はついてこないよ」「どうするかは自分で考えて自分で決めなきゃならない 出した答えが正しかろうが間違っていようが 誰に頼ってもいけないのさ」(梶原,5巻)/どうせ絶対なんてもののない未来なら、自分が本当に価値があると思えるものに賭けるべきだって(梶原,3巻)/3巻のショスタコーヴィチのバイオリン協奏曲、イザイの無伴奏ソナタ第6番、7巻のブラームスのバイオリン協奏曲第一番、2巻のハイドンの交響曲100番、は聞いてみたいと思った。
村上ラヂオ3: サラダ好きのライオン (新潮文庫)
村上 春樹 , 大橋 歩 / 新潮社 (2016-04-28)
読了日:2016年8月20日
肩の力を抜いてすいすいと読めるエッセイ集。一編ごとにつく最後の一言見たいのは、たまにつけないほうがよかったのにと思うったりしつつ。目にとまった本、フレーズ、エピソード。/カート・ヴォネガットの「愛は消えても親切は残る」。ポール・セローがアフリカを縦断した旅行記「ダーク・スター・サファリ」。ガラス一枚挟んでライオンと見つめ合った体験。自らを実験台にした科学者たちのエピソードを集めた「自分の体で実験したい」という本。固定電話にかけたはずなのに、新宿駅の喧騒が流れて「今、電車に乗らなきゃいけないので、電話を切ります」というための「新宿駅装置」。ランボーの「普通の人々が想像の中でしか見られないものを、私はこの目で見てきた」(出典不明だそうだが)。
服を着るならこんなふうに (2) (単行本コミックス)
縞野やえ / KADOKAWA/角川書店 (2016-03-10)
読了日:2016年8月18日
無印良品というブランド、流行のシャワー効果、服と長くお付き合いするために、のコラムが有益。この巻は主人公がファッションを忌避するトラウマを持つきっかけになった幼馴染と再会。服と付き合う楽しさにのめり込んでいき、歯止めがかかり、彼女と妹が仲良くなるところまで描かれ。
世界「誰も行かない場所」だけ紀行
嵐 よういち / 彩図社 (2015-12-18)
読了日:2016年8月18日
ポルトガルの巨石で有名なモンサント村、モロッコの青い町シャウエン、スペイン領メリリャ、スペインのハポン村、クウェート、東ティモール、マダガスカル、クジラ漁を営むラマレム村、鳥葬を行うトルニャン村。確かに珍しいところ、情報の少なくて興味をそそられるところもあるけれど、以前の作品に比べて勢いがないというか、行ってみた、盛り上がりませんでした、つまらなかったです、そのまま書きました、みたいな章が多かったように思った。かろうじて、マダガスカルのバオバブだけは見たいと思えた。
服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)
縞野やえ / KADOKAWA/角川書店 (2015-12-10)
読了日:2016年8月18日
よし!今度の週末にユニクロの黒のスキニーフィットテーパードジーンズとコンバースのオールスターの黒を買いに行こう!あと余力もあれば無地のカットソーも!て、おしゃれ疎い系男に思わせるパワーがある。...いや、大事なのはこれ買っときゃ安心てことじゃなく、主人公の妹ちゃんが折に触れて語るファッションへの姿勢なんだろうとは思いつつ。
ラダック密教の旅 (フォト・マンダラ)
滝 雄一 , 佐藤 健 / 佼成出版社 (1988-02)
読了日:2016年8月17日
「ダライ・ラマに恋して」で半分近く、ラダックでの滞在が取り上げられていたので、この本を興味深く読めた。チベット仏教を色濃く感じさせる写真、素朴な現地の写真、巻末の文章と味わい深く。極度の乾燥とはどんなものなのか思いを馳せつつ。
遺体―震災、津波の果てに
石井 光太 / 新潮社 (2011-10)
読了日:2016年8月17日
3.11、東日本大震災後の釜石市の安置所の三週間を追ったノンフィクション。市職員、医師、歯科医師、消防団員、民生委員、葬儀社職員、住職、市長、自衛隊員、海上保安庁職員…それぞれ被災した方もいるなか、責任感を持って捜索や救助、避難所や安置所での仕事をされた方々が語られたことを著者が再構成したもの。遺体、どう扱うか、供養するかは残された人の心のおさめどころにかかわること、と感じた。
天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)
やまむら はじめ / 少年画報社 (2009-12-28)
読了日:2016年8月17日
1-8巻まで購入。天賦の周囲を引き込む才をもち指揮者を目指すひびき。彼女の音楽に触れた衝撃で音楽的に停滞し、再会し、彼女のオケのコンマスを目標にぐんぐん成長してきた秋央。のだめに比べれば、ギャグや激しいキャラ立ちはないものの、クラシック音楽の滋味にじっくり触れられる感あり。すでに何者かである者、何者かになろうとする者、何者かにはなれないと思ってしまった者の対比も鮮やかに描かれ。
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)
竹宮 ゆゆこ / 新潮社 (2016-05-28)
読了日:2016年8月17日
下の学年のイジメられっ子の女の子を救ったら、実は磨けば光る素材の美少女で、けど懐いてくれるまでには幾つものハードルを越えねばならず、打ち解けたらあとは一気に距離が縮まると思いきや、二人の背後には、いや頭上には、振り払おうとも付いてくる深い闇が立ち込め…と。最後の方に向かうにつれ、展開は急になり、混沌とし、あえての話者の受け渡し、パラレルワールドかと思うような分裂、どちらとも取れる語り、そして信じてやまない事が表され、と。はっきり言って、一読ではわからなかったけど、部分的に再読して自分なりに解釈するしかない、と。/「あの月曜日から、私の世界は、ぐるん!と回ってしまったんです。なにもかも、まるごと全部、どこもかしこも変わってしまいました」/玻璃だったから、周波数が合ってしまった。玻璃だったから、俺たちの間には、チャンネルが開いてしまった。/
ダライ・ラマに恋して
たかの てるこ / 幻冬舎 (2004-09)
読了日:2016年8月15日
「ダライ・ラマ自伝」を読んで、現代ものでもう少しライトなのも、と思い手に取る。大失恋の痛手を癒すために、次の目標はダライ・ラマに会いたい!会見を申し込むも何年か待ち。その間に、チベット本土やチベット文化を色濃く残すラダックに訪れ。チベットでは、表面の友好と自由のなさを、ラダックでは仏教の教えの懐の深さと人情の厚さにふれ。終章のダライ・ラマとの会見も出色。生きるとは、人にとって幸せとはとか大きすぎるように思える問いにも丁寧に答えられていて感銘を受ける。以下備忘録的に。/チベットでは「ダライ・ラマ」ということばを発することも許されず、写真を飾るなどもってのほか/中国人とチベット人はそんな違わないから結婚も珍しくないし、もともとチベットは中国のもの、と言ってはばからない若者/「「私」なんてもの自体、幻想なんだから、すべての人のために祈るってことは、自分ことも含めて祈っているのと同じことなんだよ。他の人のことを思いやって行動し、他の人のために祈っていると、自然と、自分の心にも平和がもたらされるんだ」/「この世に永久に変わらないものはない」ってことが本当に分かっていれば、親の死だって自然のこととして受け止められるはずだよ/前世の記憶のある少女。前世の時の家族にも認められ、引き取りたいと言われるも、断り/僕たちが天地創造を信じることができないように、彼らだって輪廻転生を心から信じることはできないと思うよ。もちろん僕は、彼らの信仰を尊重しているけどね。でも、ただ尊重することしかできないよ/ブッダの教えで大事なことは二つ、因果と永続しない、ということ/大事なことは、どんなときでも自分自身と向き合い、自分の潜在的な可能性を引き出そうとすることです。どれだけ辛い状況でも、悲観的な環境にあっても、心の平安を保つことはできます。(ダライ・ラマ)
アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
島本 和彦 / 小学館 (2008-02-05)
読了日:2016年8月15日
面白かった。熱量は非常に感じた。けどまだなにも始まっていない。俺はまだ本気出してないだけ、俺ならできると思いつつ、一歩を踏み出せず悶々としてる感。庵野秀明の造形は強烈。トンコさんのかわいさと不可解さは印象的。
カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)
せきしろ , 又吉 直樹 / 幻冬舎 (2013-10-10)
読了日:2016年8月15日
又吉直樹「夜を乗り越える」を読んで、気になり、手に取る。自由律俳句と散文と写真。シュールなのから、その背景に思いをいたすもの、うん、と納得してしまうものまで様々。目に止まった四首ずつ。/(せきしろ)すまないが狐の影絵しかできない/日陰で靴底の減りを眺めるだけ/食品サンプルかどうか指で押した/まだまだくすぶれる/(又吉直樹)このカルビは少し僕よりにある/自意識の万国博覧会だ東京の夜/ケバブに自信持ち過ぎ/まだ何かに選ばれることを期待している/ひもぶちきれた新潮文庫
伝え方が9割
佐々木 圭一 / ダイヤモンド社 (2013-03-01)
読了日:2016年8月15日
「99%の会社はいらない」つながり。/イエスに変える3つのステップ。1.自分の頭の中をそのまま言葉にしない 2.相手の頭の中を想像する 3.相手のをメリットと一致するお願いを作る/イエスに変える7つの切り口  1 相手の好きなこと 2 嫌いなこと回避 3 選択の自由 4 認められたい欲 5 あなた限定 6 チームワーク化 7 感謝/強いコトバを作る5つの技術 1 サプライズ法 2 ギャップ法 3 赤裸裸法 4 リピート法 5 クライマックス法/あたりを小手先じゃなく、腹落ちして、自分のものにできれば力強いなあ、と思った。あと、ボランティアなんて偽善だに対する四角大輔さんの「偽善と言われようが、行動することに意味があるんじゃない?何もやらずにいる人より、動く人のほうが素敵だし、その小さな積み重ねによって世の中はよくなると思うんだ」が印象に残る。
自分の仕事をつくる (ちくま文庫)
西村 佳哲 / 筑摩書房 (2009-02)
読了日:2016年8月15日
働き方、働くということについて、原点を見つめ直すために有益な示唆に富んだ一冊。以下備忘録的に。/何のために仕事の現場で効率性を求めるの?経済性の追求であり、仕事の質的価値の向上は二の次なのでは?/デザインが「人を幸せにする」という本来の目的を離れ、デザインのためにデザインに陥って嫌しないか。経済のための経済、医療のための医療、消費のための消費.../人から引き出すノウハウ。できるだけ自由に、自発的に仕事をしてもらうこと。そして逆説的であること。その仕事の価値や意味を問い続けること。不可能に思えてしまうようなことを提案して、オープンにフレキシブルにね。/魅力的な物事に共通するなんらかの法則を見出そうとする時、彼がとる手法は「好きだけど理由がわからないものを、いくつか並べてみる」というもの(略)同じように惹かれるものを並べ、そこにどんな要素が含まれているのか、自分の中の何が感応しているのかを丁寧に探って行く作業だ。/「いい仕事」とは嘘のない仕事を指すのかもしれない。/自分がどんな場所を気持ちいいと思うか。その判断力がなかったら、気持ちのいい場所を生み出すことなどできない。/たとえば花を生けることは生活において必需ではない。が、それを意味がないということに意味はなく、花を生けようと思う気持ちに尊い価値がある。/ミヒャエル・エンデ「どんなことでも、意図を持ちすぎてやるべきでないと思いますね。ものごとには、その価値が、まさに意図のないところにある、というケースもあるわけですから。なぜなら価値が、そのものごとの自身の中にあるからです。人生には、それ自体に価値のあるものが、とてもたくさんあります。経験というものは、何か他のことに役立つから重要なのではなくて、たんに存在しているというだけで重要なんです。」/彼らは仕事において「今この瞬間の自分」を疎外しない。自分がほかでもない自分であることで、その仕事が価値を持つことをよく知っている/「成果は目標ではなく結果に過ぎない」「人はいい仕事をしたい生き物だ」という、一種の性善説が根底に流れている。/しかし、いったい何を期待しているのだろう。そもそも期待すべき対象は自分自身であって、会社ではないのでは?/自分をいかして生きてゆくことこそ、一人ひとりの人間の仕事だろうと僕は思うので、できれば殺さないで欲しいという気持ちがあります。/Twitterで高野葉子さんという方のつぶやきを見て、読みたくなり、手に取る。
外道の歌 1巻 (ヤングキングコミックス)
渡邊 ダイスケ / 少年画報社 (2016-08-08)
読了日:2016年8月14日
芸人前夜 (ヨシモトブックス)
中田 敦彦 / ワニブックス (2013-11-27)
読了日:2016年8月14日
又吉直樹「夜を乗り越える」で取り上げられていたのを見て、読みたくなる。これ読んだら、存在は知ってたけど、ふーん、で終わってたあっちゃんを、そして相方藤森を好きになるわ、ファンになるわ!て勢いのある小説だった。二人の出会いのシーンから、養成所に向かうところ、M-1出場、結果待ちなどなど二人の会話のシーンも心地よいドライブ感。そして、戦略の練り方が、書かれてみれば当たり前と思えることも、その場ではほとんどの者がやっていない、そこで抜きんでていくというのが一貫している。と、書いてみるとやはり好みは分かれるところか。/「PARFECT HUMAN」の原型は、小学校の時の神輿から出てくるシーンに原型を見ました。この本が出た時は、まだ「PARFECT HUMAN」で再ブレイクとか著者も知る由もないのだけど。/借金してホームシアターセットを買う師岡さん。「現在の自分に最新のエンターテイメントをプレゼントし、未来の自分には負の遺産をプレゼントする。ダブルプレゼントだよ。そして何より日本経済を刺激している」。もうこの堂々さに惚れ惚れします。/あと目にとまったのは/プロは周りがプロにするというスガシカオの言葉。/モテる極意は、モテてるて言うだけって、なんだよそれ/人間はさ怒られるぐらいが素敵なんだっ。/観覧車は恋の力で動いている。/講師で来た島田洋七の、俺はまだ天下取ってやろうと思ってんねん、と言ったそのすぐ後に、佐賀のがばいばあちゃんで大ヒット。
ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライラマ / 文藝春秋 (2001-06)
読了日:2016年8月13日
高野秀行「未来国家ブータン」つながり。ブータンでそれほど尊崇されているダライ・ラマについて、もっと知りたいと思い手に取る。ダライ・ラマとして見出されたときのこと、幼少時代の豊かで子供らしい暮らしぶり。指導者としての統治。中国軍の侵攻。信じては裏切られる折衝。民衆の暴発とインドへの亡命。そして現在に至るまでが語られる。ダライ・ラマの目からすると中国のしたことはまさに軍事的侵略。その後は、殺害、拷問、文化的破壊、経済的支配と、チベットにとっては苦しみ以外のものではなかった様が描かれる。けれども、仏陀の思想に基づいて、敵をも愛し、ともに手を携えようという提案、然れども今くるしむ民衆にそれを受け入れてもらうことの難しさも知り、とスケール大きく包み込むような寛容の精神に感銘を受けた。もちろん、混迷の冷戦下の世界を渡るために、寛容だけではなく泥臭い実務もくぐってきたことも忘れずに。1世紀になってからのことももっと知りたくなり。また仏教講話集も手に取りたくなる。/以下備忘録的に。/化身(生まれかわり)については、こんなことを本当に信じているのかとよく尋ねられるが、答えるのは容易ではない。ただ、過去13人のダライ・ラマ、観音菩薩、仏陀と精神的に結びついているということを躊躇なく受け入れることができる。/チベットはかつて一度たりとも中国の一部だったことはない。/「ある意味で、仮想敵は友人より価値がある、なぜなら敵の方が、自制心などといった友人なら教えてくれないようなことをいろいろ教えてくれたからだ、という仏陀の教訓は、今も大切に思っている。」/「お互いを尊重し合い、真実の精神によってのみ友情は育つのである。これが人間の心を動かすのであって、力によってではない。」/宗教は、人間社会にさらに分裂要素を生み出すことで争いの種となってはならないからである。わたしとしては、他の信仰も人の幸福に役立つという点で深く尊敬しており、他宗教の行事にも参加している。/このように苛酷な苦しみのもとで日々を過ごさねばならぬチベット人に、中国人を愛せと期待するわたしのほうが間違っている。/
僕はコーヒーがのめない 5 (ビッグコミックス)
川島 良彰(コーヒーハンター) , 吉城 モカ / 小学館 (2016-07-29)
読了日:2016年8月12日
舞台はジャマイカ編へ。味を追求するためには一切の妥協を排したい周五郎。ひとつでも雇用が減ることは受け入れられないブライアン。ブルーマウンテンをめぐる歴史が語られ興味深い。そして、ラム酒が飲みたくなってくる。
永楽帝―明朝第二の創業者 (世界史リブレット人)
荷見 守義 / 山川出版社 (2016-07)
読了日:2016年8月12日
勇壮でスケールの大きな英傑と、陰惨な簒奪者、息苦しい独裁者。永楽帝にまつわるイメージといえば正負どちらも併せ持つように思ってきたが、この本を読むと簒奪者、独裁者の面が大きいように思った。耐えて耐えて暴発した、洪武帝のやり方に反した奸臣が跋扈した、だから挙兵したのだ、我らに正義あり、と繰り返し繰り返し正当化を訴え、史書を改ざんし、そこまでしないと気が済まず、世間の目が厳しく、やましかったのだろうなと思わざるを得ない。靖難の役を共に戦った者たちを重用するインナーサークル政治。批判する者ははねつけ、左遷し、時に命を奪う。対抗する勢力には洪武帝のやり方に従ってないと批判しつつ、洪武帝が戒めた対外遠征を積極的に行う矛盾。順逆の理、日本、朝鮮などしたがってきた国はあつくもてなし、従わないモンゴル、安南は、たとえ勝ち目が薄くて、膨大な費用がかかっても実施する、と。/永楽帝を太宗と呼ぶか成祖と呼ぶか。太宗なら(建文帝を飛ばして)明朝二代目として、成祖なら王朝の創業者として。洪武帝のつくった明を根こそぎ作り変えたという意味では後者がふさわしいのでは、と。/近年、行政文書である档案研究から正史からはうかがい知れない様々な実像がうかびあがってきているのだとか。洪武帝が燕王を望みつつ、後継にできなかったのは、長幼の序を重んじたため、と。/靖難の役の本質は、南北の戦いなどではなく、お互いの標的はお互いのみという、建文帝と燕王の叔父甥間の私闘が本質。ただ、諸王については、寧王以外はみな建文帝についた模様、と/大航海の狙いが軍事でも経済でもなければ、広く永楽帝の即位を知らしめて朝貢国の増大を図り、皇帝を宗主とする安定的な広域秩序を作り出し、永楽帝の権威を高めようとするものだったのでは、と/檀上寛「永楽帝」講談社、も再読したくなった。
先生の白い嘘(2) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2014-09-22)
読了日:2016年8月11日
エンバンメイズ(5) (アフタヌーンKC)
田中 一行 / 講談社 (2016-08-05)
読了日:2016年8月11日
生徒たちを守りつつ勝利を目指す者、虫けらのように殺すことも厭わず勝利を目指す者。その道は最初片方の圧倒的な有利に思えたが最後は…と。もう、ダーツの技量は行き着くところまで行っているので、あとは仕掛けの奇想天外さと心理戦がメイン。今回もルールの複雑さに理解が追いつかないが終わってみれば、なるほど、と。次の試合の相手は、意外にも、といったところで次巻へ。
絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)
石井 光太 / 新潮社 (2011-06-26)
読了日:2016年8月11日
ヤマザキマリさんの読売新聞書評2016/07/17で見かけて。世界の貧困層についての講義。ひどい、かわいそう、どうして人間がそんな残酷なことを、とステレオタイプに捉えても仕方がない。それぞれの事情で、様々な様相を見せている事態を、まずは知ることから、と。/多くの笑顔があったからといって「安全」を意味しない。「自然淘汰」に残った者たちの笑顔なのだ、と/出稼ぎ成金が出稼ぎで夢破れた者たちを救っているケースも/「あ、さっきの物乞い、iPodで音楽聴いてるわ」/町の路上にいれば誰からも相手にされずくたばるだけ。軍に入れば必要とされる、と嘯く少年兵/貧困とは時に、物乞いのためにさらってきた子供に障害を負わせるといった狂気を生み出す。/読み終わって感じたのは、著者の原動力。路上生活者の妻に言い寄られ断れば、旦那に、せまられたと嘘付かれ、殴られたたきだされ。親しくなるためにと飲んだ密造酒で死にそうな目にあったり。乾いた精液を運ぶアリにたかられる売春宿のベッドで何夜も過ごしたり。様々な目にあいつつも、取材したい、知りたいと向かっていく原動力は何なのか。そして、買春する輩、フィリピンパブに入れ込むような輩、不倫するような輩、といった書き方にも、倫理観が透けて見えてくる。
松村 栄子 / 福武書店 (1995-01)
読了日:2016年8月8日
何回目かわからないぐらいの再読。今回は、繊細さと痛々しさを感じた。おそらくつくばをモデルとした大学。希薄とまではいかないけど、私は私と世界を作り、けれど、時に剥き出しの悪意を傷口にこすりつけたり、分かり合えないけれど、その痛みはわかってしまい、それを癒せるはずの機会も失ったのを見たとき、かたや長い眠りに、かたや眠りからの追放に、そして...と。
パリ、愛してるぜ〜
じゃんぽ~る西 / 飛鳥新社 (2011-05-21)
読了日:2016年8月8日
かなり向こう見ずにパリに渡った漫画家の著者が、新鮮な驚きを抱えつつ、パリの人々と触れ合い、文化の相違に触れ、恋をし、破れ、働いた記録。ショートショートで、一つ一つにオチがなかったりすることもあるけど、すーっと読めて、パリへの愛を深く感じる。フランス人…羨ましいなと思うところもあったり、逆もあったりで、そりゃそうなんだけれどね。
アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング / CCCメディアハウス (1988-04-08)
読了日:2016年8月8日
http://www.yururimaaruku.com/entry/idea_no_tsukurikata でみかけて。/「アイデアは一つの新しい組み合わせであるという原理と、新しい組み合わせを作りだす才能は事物の関連性をみつけだす才能によって高められるという原理」/アイデアのつくり方。1、資料集め 2、資料に手を加える、咀嚼、組み合わせ、関連づける 3、意識の外で何かが組み合わさるのを待つ 4、アイデアの実際上の誕生 5、現実の有用性に合致させるため、具体化し、展開させる/ウェゲナーの大陸移動説も、ダーウィンの種の起源も、それを構成する各々の学説はすでに知られていたが、それを総合し組み合わせて作り上げたのが彼らだった、と。
スティーブズ 5 (ビッグコミックススペシャル)
うめ(小沢高広・妹尾朝子) , 松永 肇一 / 小学館 (2016-07-29)
読了日:2016年8月7日
アップルの急激な巨大化、IPO、ウォズの株を創業メンバーに安く分ける策、スコッティによる強権的なレイオフと辞職、ジョブズによるMacintoshプロジェクトの乗っ取り、巨象IBMによるパソコンへの進出宣言。ジョブズが禅を教わっていた乙川弘文についてももう少し調べたいと思った。またMacintoshプロジェクトを率いていたジェフ・ラスキンについても。
ナナマル サンバツ (12) (カドカワコミックス・エース)
杉基 イクラ / KADOKAWA/角川書店 (2016-08-02)
読了日:2016年8月7日
クイズによる戦い、読んでて引き込まれここまで熱くなれるとは。早押しのタイミングはまさに知の格闘技。スリリング。問題の切れ目から、一瞬でその先の展開を予想し、ボタンを押す。局面によって求められる対応も様々。攻めてるんだから、間違えても気にしないというのも時にはありと。
SNSポリスのSNS入門
かっぴー / ダイヤモンド社 (2016-07-29)
読了日:2016年8月7日
各SNSの現状、見取り図、立ち位置、なんかはよくまとまってて面白いなあ、と。そこでのイタイ振る舞いかたに関して、逮捕案件だ!と次々と槍玉に挙げ、揶揄していくものの、いちいち的確で面白いのだけど、最後に、登場人物に、こんなの私の好きなSNSじゃない!と語らせるあたりが爽快感というかバランス感覚というか。あと、はあちゅう愛、さえりさん愛が深すぎるなあ、と思った。ビジネス編とベンチャー編は若干余計なお節介がすぎるなあという印象。連載時にはなかったコラムや対談みたいのはお得感。
先生の白い嘘(1) (モーニング KC)
鳥飼 茜 / 講談社 (2014-02-21)
読了日:2016年8月7日
ホリエモンメルマガつながりで
クロコーチ (15) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-07-29)
読了日:2016年8月6日
クロコーチ(14) (ニチブンコミックス)
リチャード・ウー / 日本文芸社 (2016-05-28)
読了日:2016年8月6日
扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2008-02-08)
読了日:2016年8月5日
「わたしたちが少女と呼ばれていた頃」のシリーズ第一作。この本で語られていた、切れ者、坊ちゃん、スナフキン、丁稚の造形も詳細に描かれていた。まず犯人が最初に提示され、他の登場人物が事件に迫る形で語られる。動機...については、そんなことで、という声も多かったようだけど、きっときっかけなんて他の人から見たら些細なことだったりするケースも多々あるのでは、と。そして、完璧を期したはずなのに、探偵役となった碓氷優佳に理詰めで指摘されていく事実。暴かれて、それで終了かと思いきやのどんでん返し。第二作でどのような関係性が提示されるのか、ひどく気になるから、きっと手に取ってしまうだろうと思う。
闇ウェブ (文春新書)
セキュリティ集団スプラウト / 文藝春秋 (2016-07-21)
読了日:2016年8月4日
普段見ているインターネットからはたどり着けないダークウェブの世界を垣間見せてくれる。セキュリティ担当者必見てあったけど、どうしたものかと思う案件はいくつも。手軽にDDos攻撃できるサイトとか広範囲な違法なものを売りさばくサイトとか。興味を持ったのは以下。/スプラウトが運営する「THE ZERO/ONE」。/韓国の全国民に発行されているRRNは、1968年から運用されてきた、日本のマイナンバー制度に類似する住民登録番号だが、過去何度も大規模サイバー攻撃を受け、最低でも80%以上の番号情報が流出した可能性があるため、現在新たな制度構築を韓国政府が進めている/IoT家電の取得した個人の健康情報が知らぬ間に抜き出され、闇市場で売買される可能性/ID泥棒。あなたが「あなた」であることを証明する情報が根こそぎ奪われた時、あなたは「誰かが私に成りすましている」と主張することも難しくなる。/ビットコイン。食うか食われるかといった厳しい世界で生き抜いている人間にも信用されるほどの実力を持った決済システムだということも言える/ウルブリヒトとシルクロードを扱ったアレックス・ウィンター監督のDeep Webという映画。/秘匿サービスを利用したデジタル犯罪の闇の深さ、現場の最先端で捜査に携わっている者でさえ、足がつかないと確信し、大胆な犯罪に走るほど深い、ことを垣間見せたエピソード。
ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)
奥野 修司 / 文藝春秋 (2007-10)
読了日:2016年8月4日
丸紅アパートメンツプレスつながりで。5年前に100頁で挫折していたのを掘り起こしてきて、今回は通読。戦後のごく一時期、沖縄に密貿易で大変に栄えた時代があった、その中心はナツコという女性だった、という情報から、直接的な文字資料がほぼない中、証言と状況証拠で固めていった労力と執念には脱帽。/「あんたの目の前にあるのはなんだ?ただの海じゃないよ。海の向こうには黄金があるさ。さあ、黄金の海を渡りなさい」「夏子は気が強いといわれますが、そうじゃなくて、ものの考え方に義侠心がありました。他人のために何かしてやりたくても自分が弱ければ何もできない。そのためには自分が強くなるしかない、というのが夏子の考え方でした。」「この子に運があれば生きて帰る。死ぬも生きるもこの子の人生だよ。そうじゃないかい。」「この時代は長くはない。そろそろ引き際かもしれないね。」/沖縄が黄金に輝いていた時代。特に、与那国の久部良が殷賑を極めた様子は詳細に描かれている。けれど、読後思ったのは、夏子はどこに向かおうとしていたのだろうか、ということ。戦前のマニラに大いに感銘を受け、太平洋戦争の先行きを見通し、先手先手を打って、密貿易に乗り出して巨万の富を築いたように描かれるが、気がつけば、軍とべったりの勢力に先を越され、人に投資しすぎたせいか、金策に困り、陸に定着して第二の人生をと思った矢先に病に倒れる。徒手空拳から表の世界でも大きな存在になろうとしていたということなのだろうか。ただその熱い軌跡は、後世の者からしても惹きつけられて止まないものがあった。
ハイスコアガール(6) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介 / スクウェア・エニックス (2016-07-25)
読了日:2016年8月1日
大野姉の登場でぐいぐいとあいだを取り持ってくれて、ときメモで女心を学ばされ、RPGツクールで一人だけのためにゲームをつくり、さいごは一緒にゲームショーへ。待望の3年ぶりの新刊を堪能。


2016年08月01日

2016年07月に読んだ本

期間 : 2016年07月
読了数 : 40 冊
おとりよせ王子 飯田好実 7 (ゼノンコミックス)
高瀬志帆 / 徳間書店 (2016-07-20)
読了日:2016年7月31日
この巻で最終巻。かぶらずしとマンガ肉、気になります。あと各地のお雑煮おしるこシリーズ。SE職場の仕切りの大変さは、わかるなあ、と。最後は、他の人にもアカウントが…と。
ワカコ酒 7 (ゼノンコミックス)
新久千映 / 徳間書店 (2016-07-20)
読了日:2016年7月30日
生ピーマンの肉詰め!気になる。同じ巻で焼いたピーマンの肉詰めと生ピーマンの肉詰めが取り上げられてるところにもこだわり感じる。友達のうちに遊びに行ったエピソードの、タネを先炒めの餃子も気になる!そして、チラガーつまみながら、これはビール泥棒、てシーンがいいなあ。
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2016-05-01)
読了日:2016年7月30日
高森純一郎氏( @takamori_j )の最新作。終戦直前、沖縄から女性・子どもを中心に1万人が、比較的安全とされた台湾へ疎開し、戦後、台湾は中国国民党政府支配下、沖縄はアメリカ政府支配下となり、帰還が困難に。房子は商家の娘から農家へ嫁ぎ、夫の出征に伴い自らで戻り、そして娘麗子を連れて疎開。沖縄戦で母を失った後は、台湾に身を埋めることに。1940年代は房子、1960年代、70年代は麗子を語り手に語られる、台湾現代史と家族の軌跡。2007年の香港の研究者による沖縄来訪と交互に語られるストーリー。生まれ育った地の支配者が入れ替わったため、己が何人かという問いにさらされ、突き詰め、しぶとく生きていく人々。その中で語られるのは、様々な所属から所属へと向けられる目線。農家から商家、日本人から沖縄人、沖縄人から八重山人、日本人・沖縄人から台湾人、台湾人から日本人、中国国民党から台湾人。時には見下し、時には連帯し、時には対等に接し、と。琉球と自由中国から、沖縄と台湾の関係に。実質的な外交事務所の看板掛け替えから語られる物語。最後の方は、無理筋な、沖縄も中国の一部という見方が、沖縄の人々には顧みられず、結局は現実に即した関係へと踏み出していく一幕で幕を閉じる。生まれた地でほとんど育ち、その支配者も入れ替わらなかった身としては計りがたいところもあるけれども、己が何者か、と問いかけるための一助となるように思えた。
仁義なきキリスト教史
架神 恭介 / 筑摩書房 (2014-02-26)
読了日:2016年7月29日
唯一神を大親分、宗教をヤクザの組になぞらえて語られるキリスト教史。イエスの活動、死から、弟子たちの活動、パウロの登場と退場、ローマ帝国での公認化前後、第4回十字軍、叙任権闘争、宗教改革、そして1930年代、ファシズムと手を結ぶ前夜まで、といった重要な節目、節目が語られていく。部外者にとって、それはファンタジー、それは本当にどうでもいいことで争っているように見える、それは本当に俗的すぎて人としてもどうなのかと思える(例えばお金を払えば来世のために罪を償うことを免ずる免償符、同じキリスト教国を攻め滅ぼした十字軍、など)、といった感想を抱いてしまう。もちろん、作者も断っているように、多分に演出を加えたところもあるし、この宗教で救われた人もたくさんいるのだということはおさえつつも。入門書としてはバッチリ、これ以上知りたければ、自分で聖書読んだり、通史、概説書など読んで、さらに深めていけばいいんだと思えた。以下備忘録。/カエサルのものはカエサルに/最後の晩餐、食べていたのは、過越祭の伝統的な食事であるジンギスカンだった/ヘブライニストとヘレニストの差は神殿批判の問題/イエスはキリストだ、いやいやイエスとヤハウェは同じようなものだ、という論争/カノッサの屈辱。教皇には許す選択肢しかなかった。「教皇はただの政治家ではない。任侠を売り物とするヤクザなのだ。/ギリシア正教会との仲違いは、コンスタンティノープル大司教の後継問題、イエスから聖霊が出るかの議論、パンに酵母を入れる入れない、聖職者は独身であるべきかどうか/ルター「わしゃここに立つ!他には何もでけん!ヤハウェ大親分、わしを助けてつかぁさいやァ、アーメン!」/ルターは現行の権力体制をガチガチに信奉していたのである。権力を批判することはあっても、権力者が民衆を支配する構造自体は断じて犯すべきではない、それは神聖不可侵なものであるとルターは信じていたのであった。(p.277)/聖餐論。ミサで信者が小さなパンを食べたりワインを飲んだりするがその意味合いをめぐる論争。最初期は信者同士のお食事会だったと思うのだが、それが宗教的な儀式となり、パンがキリストの体、ワインが血だのという話になっていき...。/カトリック側の自浄努力は「トリエント公会議」。悪習の除去とプロテスタントに攻撃された教理の再提示/
鈴木柊 / 鈴木柊/safety oracle (2016-07-20)
読了日:2016年7月28日
サークル SAFETY ORACLE の鈴木柊( @hatch_smile )さんの詩8編が収められた作品集。文学フリマ札幌のWebサイトで紹介を見かけて、買いたいなと思ってた一冊。個人的には「告白」が一番印象に残った。今さら善人になろうとは思いません、という出だしから、それなら全部自分のものにします、という宣言まで。そして、一緒にもらったペーパーに載ってた「私と「普通」のディスタンス」。続きがあるなら読みたいところです。
札幌市北区役所市民部総務企画課 / 須田製版 (2007-03-01)
読了日:2016年7月27日
北24条にあったと言う飛行場のこと、札幌最北のJRの駅のこと、市電の盛衰、当時は一面麻畑だった光景、初めはぬかるんでばかりだった石狩街道、盛り場としてピークだった時の北24条、札幌駅前の賑わい、などなど。篠路、新琴似と、なぜ地域で薪能や歌舞伎などの伝統芸能を経験者のない中公演しようと思ったのか、興味深いところ。
テラモリ 4 (裏少年サンデーコミックス)
iko / 小学館 (2016-07-12)
読了日:2016年7月27日
高宮への気持ちに気づいてしまった副店長が、なかったことにしようとしたり、逃げ出そうかとも思ってたけど、結局は、背中を押されたところもあったけど、逃げずに向き合うことに。けれど、その瞬間は、相手が酔って覚えてなかったというオチはつくけど。仕事への意欲が増して、まっすぐに向かってくるのにタジタジとなりつつも。そして、弟の就職。がむしゃらに保護者として邁進してきたのに、ぽっかりと。そして将来像を考えた時に…何もないと思ってしまったけど、「分からないなら、分からないなりに、今やれることをやって、色々挑戦しながら、自問自答し続けるしかないんだよな」と。
ちひろさん 5 (A.L.C.DX)
安田弘之 / 秋田書店 (2016-07-15)
読了日:2016年7月27日
思いついて仮装して店に立ってみるちひろさん。デリカシーのない店主にむくれて、一人、もんじゃ焼き屋で、眩しい若いカップルに視線を向けて元気になったバジ子さん。一番、印象に残ったのは、最初はチャラい感じで近づいてきて、客あしらいがさりげなく、親しく、心地よく、必然の存在となったと同時に、あることがきっかけで、心のブレーカーが落ちた話。どこで間違えたのか、そもそも間違えてたのか。
信条皆無 , 土讃コタロー / プヴァールとペキュシュ (2016-07-22)
読了日:2016年7月27日
サークル「ブヴァールとペキュシュ( @BouvartPecuchet )」さんの、ヒグマをめぐる一冊。前半は小説、後半はノンフィクション。地方史の本で、三毛別羆事件の概要だけ知り、詳細を知りたいと思っていたところにばったり出くわし手に取る。羆の生態や、過去の事件が紹介されるが、これ、下手に反撃しようとしないで逃げるしかない、逃げきれなかったら終わり、という所感。ワンダーフォーゲル部の学生の話とか凄まじい。荷物を取り返してはいけない。そして、冬眠しないケース、しても眠りが浅いケースがあるため、そうやって冬眠し損ねた個体は暴れやすい、と。三毛別羆事件も詳細に経緯が語られ、結局は、住むべきではないところを開拓しようとしてしまったのでは、と。小説の方は、うまくいかない日常を払うように誘われた山菜採りで熊に出会ってしまうが、祖父を置いて逃げて、この先の人生生きていけるか、と自問し、戻って反撃して撃退、あの時に比べれば、とそれまでは辛かった日常も耐えられるように、といった佳編。
講談社 (2016-07-25)
読了日:2016年7月26日
斑目ハーレム崩壊からのまさかの泣きの一回の、どんでん返しの結末、そして次回最終回かあ。気がつけば第一部よりも長い巻数に。第一部の主人公が笹原なら、第二部は斑目が全部持って行ったなあ、と。あと球場三食。毎回各球団のホームグラウンドをまわって、薀蓄を傾けつつ楽しむんだけど、こだわりが感じられて楽しい。今回は西武だったが、早く札幌ドームにも来ないものか。フラジャイルは、病理科廃止に向けた戦いの火蓋が切って落とされた。両方とるのがよい医者、というのは名言だったが。
野崎 卓也 / 野崎 卓也 (2016-07-15)
読了日:2016年7月25日
個人的に待望の第5巻。入荷しました!というシャンティブックスのTwitterで見かけて会社帰りに駆け込み手に取った一冊。今回も色々まわってますよ、と店主の言葉にたがわず、インドを東から西へそして南へと縦横に。著者も書いてるけど、本当に都市ごとにカラーが違って面白い。ゴアには興味が尽きない。ゴアトランス、聞いてみたい。ビーチにクラブにコロニアル様式の建物なども。そして理想都市オーロヴィル。オーガニックなご飯に高額だけど充実していない宿というアンバランス。調和を目指すコミューンなのだとか/たくさんの客引きやぼったくりたちと行き交い"結局のところ、物事を決定、遂行するにあたり、どちらかが多少の妥協点(マイハートブロークン)が発生するのではないだろうか"、という実感/夜11時に宿の部屋の前で鍋パーティをされるカオス/国際電話をかけようにもボタンの「2」のみきかなくてこの日は断念、とか/
斜陽の国のルスダン
並木 陽 / 密林社 (2016-05-02)
読了日:2016年7月25日
舞台は13世紀ジョージア。おそらく史書からすると絶世の美女だったが、戦は負け続き、家臣もまとめきれず、夫には裏切られ、都も追われ…と散々な評価しかくだされなかったルスダンに、兄の意志を受け継ぎ、国を守ろうと、夫と力を合わせるも、モンゴルやホラズムの残党の前に、及ばずながら散っていった悲劇のストーリーを紡ぎあげ、魅力ある読み物に仕立てられているのには感嘆。祖母のタマラ女王にも興味がひかれた。
高森純一郎 / ちょ古っ都製本工房 (2014-05-05)
読了日:2016年7月24日
自身も研究者である高森純一郎氏( @takamori_j )による、在日韓国人3世で開発経済学を専攻する研究者の主人公が、日本人の妻とともに、ドバイのUAE国立大学に赴任し、そこで垣間見た世界から、民族、統治に対する思考を深めていく小説。文学フリマ札幌で入手。UAEナショナルな人民は2割から3割ぐらい、石油を軸にした潤沢な財政を背景とした手厚い保護、現業はすべて外国人労働者に任せ、政治的な自由は少なく、けれど支配者への敬意は強制されなくとも持ち合わせているように見える、と。一見結構づくめに見えても、属人主義、厳しい上下関係は、中にいるものにとって、特に下位に置かれているものにとっては、時に息苦しく感じられる、ということは伝わってきた。日本で生まれ育つも韓国籍、日本語英語は話せるが韓国語は話せない、主人公のバックグラウンドと重ね合わせながら語られるドバイの生活、そこから垣間見える支配体制は、興味深いものであった。
秋永真琴 , 藤沢チヒロ / スタジオプリケ (2016-07-23)
読了日:2016年7月23日
狸小路8丁目にあるというCAFE 泳ぐ鳥。ここを舞台に、店を守るターニャ、常連客のシバ、ミュウが、他の客の事件をズバッと解決。テンポよく進むお話に札幌が舞台とあって、札幌人には馴染むなあ、と思いながら楽しく読む。他愛ないといえば他愛ない事件だけれども、それぞれのキャラも魅力的でクセがあって、短編一発なのはもったいない、他のストーリーも読みたいと思った一冊でした。
わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)
石持 浅海 / 祥伝社 (2016-03-11)
読了日:2016年7月23日
横浜のお嬢様女子校の進学クラスに通う小春。クラスメイトの優桂は、クールで美しく、そして頭も回る。赤信号を走って渡らなければ受験に落ちるというジンクス、高校生なのに酒豪で通っている委員長の本当の姿は、クラスメイトの恋の行方は、百合と噂されているクラスメイトの本当の仲は、受験直前に骨折したクラスメイトが立ち直ったきっかけは、と。日常で見逃されそうなそぶりや口ぶりを鋭く観察し、謎を解き明かしてくれる…のだけど。小春は気づいてしまった、優佳の心に潜む、おそらく本人も気づいていないかと思う性向を。ただ、そこまで求めてしまうのは酷ではないかと読み手としては思ったのだけれど。スタンスの違いといえば違い。君は君、人は人というのもスタンスではないかと思いつつ、それが許せないのが思春期なのかもしれない。
図書館の主 13 (芳文社コミックス)
篠原 ウミハル / 芳文社 (2016-07-15)
読了日:2016年7月21日
イサキ君が自分の紙芝居に自信を取り戻す話し。そして、タチアオイ図書館のスタート時の話。第0巻の話。ここにいる限り、本のことを聞かれる。誰かに本の話をすることで、誰かの本の話を聞くことで、その世界が押し広げられていく、と。いまの時点に話は戻ってきたけど、続く。もしかしたら、話をまとめにかかっているのだろうか。そういえば、ハイジ、確かにちゃんと読んだことないかも。
ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 東日本編 (ちくま文庫)
都築 響一 / 筑摩書房 (2000-12)
読了日:2016年7月20日
滝野霊園、北海道秘宝館、北の京芦別、カナディアン・ワールド、札幌リズム社、レトロスペース坂会館。道民としては現存するところもしないところも気になるところ。穂別地球体験館は、温度差激しすぎて体調崩しそうになったことも。東北の、階段国道、キリストの墓、土偶駅、関東の、神秘珍々ニコニコ園、中部の東洋のコートダジュール、熱海秘宝館、逆さレストとんちん館、養老天命反転地、ジュディ・オング博物館も気になるところ。
99%の会社はいらない (ベスト新書)
堀江 貴文 / ベストセラーズ (2016-07-09)
読了日:2016年7月18日
第4章が特に面白かった。読んでて背中押されるというか発破かけられる一冊。/以下目にとまったトピック。/企業とそのサプライヤーがクラウド上で取引文書を集中管理するプラットフォーム「トレードシフト」/感情マネジメントはめんどくさい、だから人を雇わなければいい/仕事は教えてもらうものではなく真似して勝手に覚え、自分なりに改良を加えるのが基本だ。/チームコミュニケーションアプリSlack/ソースネクスト社の留守電をテキスト化して送信してくれるサービス/佐々木圭一「伝え方が9割」。/HIUでの参加者を動かす仕組み/嫉妬や感情論はどうしてもなくせない、民主主義の限界/キングコング西野さんの「おとぎ町」/ノリよくなんでも飛びつく小田吉男さん
南朝研究の最前線 (歴史新書y)
日本史史料研究会 , 呉座勇一 / 洋泉社 (2016-07-02)
読了日:2016年7月18日
全体的に言うと太平記史観からの脱却が必要。他の文書史料の研究の進展から明らかになったのは、後醍醐が行なった革新的とされる政策の類型はすでに前代からあったもの。室町幕府が建武政権の改革の多くを模倣・継承している点から、建武政権の現実的な面を評価できる。旧幕府の官僚たちも、後醍醐と関係があったならという但し書きもつくが、六波羅の官僚を中心に建武政権につかえていた。ただ楠木正成、名和長年が記録所に入ってた、だから実務能力があった、だから寵臣を無理やり抜擢したわけではない、という立論は疑問符。尊氏の頃の足利家は、代々北条氏と婚姻関係を結んで厚遇を受けていたが、源氏嫡流とはみなされていなかった。建武政権に背いたのは「八方美人で投げ出し屋」の尊氏が弟直義をはじめとした足利家中の人々を含めた当時の武士たちによって「将軍家」へと祭り上げられた体、と。新田義貞は太平記以外の史料では足利一門とされている。楠木正成は、異端の武士とされるが、御家人であり、流通ネットワークを抑える武士という特色も正成だけのものではない。建武政権は武士へ冷淡だったという説は、身内の北畠親房からも、例えば足利家に対し、尊氏の一族以外も多く昇進しと非難されていたことから覆される。ただ、大勢の日和見だった武士たちは、恩賞給付が遅々として進まなかったことが原因で、建武政権を見限っていったのでは、と。それは日和見だったものたちの功績の確定が難しかったからで、政権側より御家人の去就が原因だったのでは、と。1360年の窮乏した南朝では一度給付した恩賞を取り上げたりしたケースもあり、ますます弱体化が進んだ、と。鎌倉府と「南朝方」の対立はあったのか、という点は、鎌倉府が抵抗勢力の討伐を公戦として正当化するために「南朝方」というレッテルを利用した側面を指摘。それが15世紀後半になると行われなくなることで東国の南朝勢力の衰退も合わせて指摘。征西将軍府については、懐良親王の令旨の様式と機能が武家文書に酷似したものとなった、1365年ごろから征西府の権威が九州から伊予まで及び、伊予では南朝の綸旨と競合関係にあった、1371-72年に「征夷大将軍宮」を自称する懐良親王の令旨が見られる点からほぼ完全な自律性を保持し、そのピークは懐良が対明通交を決断した前後にあったことを指摘した説を紹介。ただ、南朝からの自立については留保がつく指摘も。「九州国家」建設の意図については可能性を指摘するにとどめるべき、と。ただ九州武士たちの「九州の論理」については興味深く読んだ。/主に、個人的な征西府への興味から手に取った一冊だったが、それ以前の時代についても、研究が進み、通説とされてきたことが、新たな視点で語られており、知的興奮を得られる一冊となった。
未来国家ブータン (集英社文庫)
高野 秀行 / 集英社 (2016-06-23)
読了日:2016年7月17日
バイオ会社経営の知人から、ブータンに行って欲しい、と言われブータンへ飛んだ高野さん。依頼された目的と自分のやりたかったこと、両方の目的を抱え。その認識の差異と依頼者がこの本を読んだときの感想がまた面白かったのだけどそれは読んだ方に委ねるとして。GNHを掲げることの功罪。すべての国民を見える形ではなく、結果として一つのよりよい方向に導こうとする政策。選択に悩むストレスからの解放とそこからはみ出たいものとの相克。そこにありえたかもしれない未来の日本を見つつ、ブータンの個性を見出した高野さんの視点を味わえる一冊。自分の利益より国家のことを考える心性。かと思えば、ダム工事で首が切られるという噂に見られるように、国家を心底は信じていないものもいて。リアリティとして雪男や想像上の動物を感じる心性。占い、祈祷に委ねることで後でどう転んでも良い方向に人生を捉える。様々な考え方、切り口に触れられて興味が増した。ダライ・ラマ自伝、ブータンに魅せられてあたりは読んでみたいと思った。
丸紅 / 丸紅アパートメント (2016-05-01)
読了日:2016年7月16日
普段は東京で働く夫婦が降り立ったのは西の果て与那国島。渡りづらいことから「渡難」(どなん)と称される断崖の島。厳しい風、自然の脅威。闊歩する馬たち。素泊まりゆえに、ご飯を食べようと探すも店がなく、宿のペヤング食べてたら、他の旅人が分けてくれたり、とのんびり。旦那さんがもふもふした三つ目の妖怪なのはなんでだろうと思いつつ。黒島は、不思議な感覚に導かれたかのように、静かで穏やかでのんびりとした空気を感じた。
サロメ―ナクソス島のアリアドネ/こうもり/ナブッコ (中公文庫―マンガ名作オペラ)
里中 満智子 / 中央公論新社 (2007-03)
読了日:2016年7月16日
サロメ、のみ読了。オスカー・ワイルドの原作の雰囲気がよく出てたと思う。思いつめた上の極端。そこに至るまでの退廃した雰囲気。
陽あたり良好 文庫版 コミック 全3巻完結セット (小学館文庫)
あだち 充 / 小学館 (2014-06-20)
読了日:2016年7月16日
高校近くの下宿に集った女子高生一人と同級生たち。ヒロインかすみと遠距離で年上の憧れの人カツヒコさん、開放的で困った人がいると見逃せないバイタリティあふれる勇作の間をいつしか揺れてしまうように。身の回りにいる人だけかき集めて、弱小野球部が甲子園一歩手前まで行くのはご愛嬌だが。最後の最後は、薄々そうではないかと思っていたけど、唐突な告白、そして落雷で幕を閉じる。その後のことは読者に委ねるように。
遠くにありて (小学館文庫)
近藤 ようこ / 小学館 (1999-06)
読了日:2016年7月16日
東京でのマスコミの就職に夢破れて、父のコネで地元の高校に就職した朝生。お金貯めたらすぐにやめてやる、東京で夢よもう一度、と思っていたが、大家さんとの関係、高校の同級生と親しむうちに、悩み、ぶつかり、最後には…と。家族は解体するけど再構成もする。悩んだ時間も無駄じゃない。息を詰めてその過程を追ってしまった、濃密な読後感。手元に置きたい一冊に。
シルクロード 砂漠幻想 (花とゆめCOMICS)
神坂 智子 / 白泉社 (1986-02)
読了日:2016年7月16日
仏陀の出家前を、ファンタジーも絡めて描いた一編。ホータン国の王子に見初められたと思い、禁制の絹まで持ち出してたどり着いた王女が受けた扱いわ、と。そして命を削って絨毯を織る少女たち。題材は心惹かれるが、料理の仕方は個人的には合わないかなあと思いつつ。
夜を乗り越える(小学館よしもと新書)
又吉 直樹 / 小学館 (2016-06-01)
読了日:2016年7月15日
自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います。読書のおもしろいところは、主人公が自分とは違う選択をすることを経験できることや、今まで自分が信じて疑わなかったようなことが、本の中で批判されたり否定されたりすることにあると思います。/すべてに共感するのではなく、わからないことを拒絶するのではなく、わからないものを一旦受け入れて自分なりに考えてみる。/過去の小説も、優れたものは今に置き換えて読めるし、多くの示唆があります。でも一方で現代だって、いや現代こそ複雑なんだという気持ちもあります。/といったあたりが、印象に残った。そして、太宰も、芥川も、あの夜を乗り越えられたなら…という思い、そして誰かのその夜を乗り越えるための一助に、本がなれるのではないかという願いが伝わってきた。

読みたくなった本!・中田敦彦「芸人前夜」・ ゲーテ格言集・ 太宰治 富嶽百景 (太宰治、井伏鱒二が実名で登場)・ 彼は昔の彼ならず・服装に就いて・善蔵を思う・ 遠藤周作 沈黙 深い河・ まさかジープで来るとは 自由律俳句・ 中村文則 何もかも憂鬱な夜に。
北海道の商人大名
山下昌也 / グラフ社 (2009-03-26)
読了日:2016年7月12日
前身の蠣崎氏から松前藩の成立、幕末までの通史が概観できた。商人大名、というが、配下の民、アイヌ、商人にとっては、辛い君主だったのではないだろうか、と思った。蠣崎氏時代に、自ら領地を削ってアイヌの自治に任せた時期があったけれども、その後は、当たり前のように騙し討ち、商いの信義も守られず。商人からは、薩摩藩でもやってたと例はあがるが、踏み倒す前提での御用金の強要など。初期の英邁な君主、慶広、公広の後は、幼少病弱な君主の時期も多く、国力と実力に見合わない気宇壮大な夢を見た道広、幕末の多難な時期に外交面で活躍を見せた矩広あたりが印象に残るところか。蠣崎波響は出番がなかったような。幕臣旗本へ一族を送り込んで一家を建てさせたことは、アイヌ反乱鎮圧時や家督継承時にいきたこと。商業に比重を置くも、生産、流通の増大を税収増に取り込めなかったところは経済センスも疑問符。ただ、臣下や城下町は20万石の賑わいと表現されたことも。国防のために領地を取り上げられそうになった危機を救ったのは、ロシアの南下の軟化、その背景にはナポレオン・ボナパルトがいた、と海の向こうの事情にも直結していた最前線の国。普通の大名にはない興味深いケースの藩としては面白く読めた。
レディ&オールドマン 1 (ヤングジャンプコミックス)
オノ・ナツメ / 集英社 (2016-06-17)
読了日:2016年7月12日
時は1960年代、アメリカの田舎町。100年の刑期を終えて出てきた男を連れ帰ってしまった、好奇心旺盛なダイナーの娘。ぶっきらぼうだが結局は手を差し伸べる父親。転がり込んできた運び屋の仕事を二人に任せ。男の身元は?100年経ったとは思えないほど若いわけは?家族は?何の罪で?謎が謎を呼び、手がかりは示され、続きが気になる。
宅飲み残念乙女ズ(2) (まんがタイムコミックス)
コナリ ミサト / 芳文社 (2016-07-07)
読了日:2016年7月10日
初めての宅飲みでの残念パスタがつないだ乙女3人の縁。コスメ店員として、バリバリのOLとして、疲れた二人が癒されに来るのがてつ子の部屋。ゆるゆるした空気とざっくりおつまみレシピに癒されほぐれて、と。この空気感がいいなあと。完結なのはちと残念。
響~小説家になる方法~ 4 (ビッグコミックス)
柳本 光晴 / 小学館 (2016-06-30)
読了日:2016年7月9日
新人賞の受賞、その授賞式での常識はずれの行動、ずれていく幼馴染の思惑、同級生の七光りを存分に生かしたデビューとヒット。誰が相手だろうと、自分の評価軸は曲げず、つまらないものはつまらないと評価し。そして波乱を呼びそうな、芥川、直木賞候補発表で幕は閉じられ。これが天才ゆえの傲慢なのか、どこへ向かっていくのか、気になるところ。
とんかつDJアゲ太郎 7 (ジャンプコミックス)
小山 ゆうじろう / 集英社 (2016-07-04)
読了日:2016年7月9日
TDA御一行関西ツアー編。東京で智林の繰り出すchillな雰囲気に打たれ、大阪で調子に乗って飲みすぎて、サゲ太郎と言われ落ち込む一幕。そこから串カツ屋での出会いを経て立ち直り、人気DJの飛吉に認められ、復活。そこへとんかつなんかクソ、牛肉しか認めないという神戸の御曹司に腹を立て、神戸に乗り込み、最初は相手にされないのに、飛吉が広めてくれ、御曹司の父に認められ、御曹司も一口食べて改心してくれたのか、いきなりコラボ。落ち込み→復活のサイクルが短すぎて深みはないけど、ポップといったところか。
コミュ障は治らなくても大丈夫 コミックエッセイでわかるマイナスからの会話力 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
水谷緑 , 吉田 尚記 / KADOKAWA (2016-06-23)
読了日:2016年7月9日
前半のスベり続けた黒歴史編は、本当に辛そうで、読み進めるのが辛かったけど、後半のコミュ障のままでも技術を身につければコミュニケーションはできる、といったあたりはサクサク読めて興味深かった。いきなり本質を聞くのではなく、ささいな、相手が考えずに答えられる質問を重ねていって、意外なエピソードにたどり着く、というのが一番印象に。特に、元ちとせから誰にも話したことのなかったウミガメのエピソードを引き出したり。/人が一人亡くなると図書館から一冊本が無くなるくらいの損失があるんだ、という言葉。/勝手な偏見を持っているから驚ける。勝手な偏見をぶつけると喋ってくれる。人は間違った見方を訂正しようとするとき、一番喋ってくれるから、と。…まあ相手とその場の雰囲気は読まなければだろうけど。
香炉を盗む
室生犀星 / Kindleアーカイブ (1921-01-01)
読了日:2016年7月7日
トイアンナblogつながりで。夜分抜け出して他の女のところへ行く男。察して送り出して、うちで待ち空間を凝視し続ける女。けれど、次第に、いない間の思いが出先の男の周りに不穏な状況を作り出し、落ち着かなくなった男が出先の香炉の蓋を持ってきてしまい、と。笑狂いながら女がそれを叩きつけて息絶える一幕。
ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死 (NHK出版新書 368)
石井 光太 / NHK出版 (2012-01-06)
読了日:2016年7月6日
日本に来た外国人が、どのように葬られ、病気に対応し、商売をし、結婚生活を送っているのか。様々な人びとの暮らしぶりに触れて浮き彫りにしていくノンフィクション。ムスリムは土葬絶対だけど、クリスチャンは一部、火葬も許容しているとは知らなかった。土葬は、来世を信じ、最後の審判での復活を信じているからこそ、と。だからイスラム世界には幽霊というのはないのだとか。「商売がネットに変わるというのは、巨大資本が独り勝ちするということなんだ」とつぶやく、個人経営の結婚相談所。バスタと呼ばれるイスラエル人と交流を持つ若い女の子たち。お互いのエイズ感染が発覚して、離婚の危機に陥ったが、夫の故国の医療状況を考え、ふみとどまり、今では戦友という夫婦。タイからやってきて、故郷に仕送りを続けたのに、親戚の子の讒言で戻る故郷を失い、さまようスナックのタイ女性。「私は願う。このような異文化が、より多くの日本人の知るところになればいい、と。日本に根付く異文化を見ることは日本の一側面を直視することだし、在日外国人を支えるものは、きっと日本人自身をも支えるものとなるはずだ。」というあとがきの一節に惹かれる。
印度放浪 (朝日文庫)
藤原 新也 / 朝日新聞 (1993-05)
読了日:2016年7月6日
死んだ人を喰らう犬。弾丸一発のみの原始的な漁に同行する一幕。押し合いへし合いの列車での席の争奪戦。小さな村で生活を共にして、地べたの暮らしを分かち合い。各所で見られるガンジーの意匠。亡くなった自分の小さな子供をこの世の終わりかのように泣き叫びながら河に投げ入れた直後に、ケロリと談笑しつつ友人と歩いて帰ってくる男。死が身近で日常に寄り添っているからかの無常観。/以下備忘録的に。/無茶苦茶に何でもかんでも、負けに行ったんじゃないかなァ…最初の頃は/チベットには上に引きつけられる逆の引力がある。インドでは土に引きつけられる。両極端みたいな感じだね。/(マルコ・ポーロ)すけべの成り行きで、ああいう偉大な旅になっちゃったんだね。/やっぱり彼の長旅は正統だよ。/(アレクサンダーの使いに対する聖者の回答)「われわれに対する知識を、とりつぎを通じてあなたの主人に伝えようというのは、泥のなかに水を通してその清からんことを求めるようなものだ。もし、あなたの主人がわれわれの何者かを知ろうとするならば、まず着ているものを脱ぎすて、謙虚にわれわれのところに来て、ともに陽光の下に坐るべきだ」/この神殿にある神の姿は、この周りの住民の生活のためにだけあるのだ。もし君が本当に神を見たけりゃ、どこにだって神はいるさ、樹にもいるし、岩にもいる、河にも、山にも、道の端にころがっている小石にもいる。君の目の中にもいるし、君が目によって見る全部のものの中にいる。/
ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ちくま文庫)
都築 響一 / 筑摩書房 (2000-12)
読了日:2016年7月4日
都築響一「圏外編集者」つながりで。高知のやんちゃなお父さんが自分の好きなように延々と作り続けている沢田マンション。性愛の展示がインパクトのある凸凹寺。鉱山リゾート、マイントピア別子。マントラ洞窟を擁する石手寺。ユダヤ人もびっくり、能登半島のモーゼの墓。独特すぎる世界観がほとばしって暴走機関車のような、大阪の、食堂・宇宙家族。世界各国のお風呂が集う、スパワールド。一億円金塊とバスガイドさんのポラロイドで埋め尽くされた靜の里公園。店員が走って注文を取りに来ることもある、日本最大の喫茶、カフェギャラリーレストラン・ウズ珈。どれも過剰で、心くすぐり、立ち止まってしまう。よく見つけてきたなあという関心と、作った人の情念が垣間見えて、本当興味が尽きない。
本日のバーガー 2 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形怜 / 芳文社 (2016-05-16)
読了日:2016年7月4日
ハンバーガーの定義、世界のハンバーガー、思い出のハンバーガー探します。大手商社を辞めて、ハンバーガーを開店した主人公のハンバーガー愛が伝わってくる。ただ元上司が、連れ戻すために、仕入れに手を回したり店の評判を落とそうとしたりって、北風と太陽を読んだことはないのか、というぐらいに逆効果で。
本日のバーガー1 (芳文社コミックス)
才谷ウメタロウ , 花形 怜 / 芳文社 (2016-04-16)
読了日:2016年7月4日
日日べんとう 7 (オフィスユーコミックス)
佐野 未央子 / 集英社クリエイティブ (2016-06-24)
読了日:2016年7月2日
まさかそういう展開で来るとは、と。その乗り換えはどうかと。そして、乗り込んで行ったはいいけど、婚約までしといて、ねてないから二股じゃないってのは説得力ないなあと。ただ、残された主人公はすこしずつ回復のきざし。働きがいを見出しつつ。
東京タラレバ娘(5) (KC KISS)
東村 アキコ / 講談社 (2016-05-13)
読了日:2016年7月2日
女の人への叱咤なのかもだけど、男にも刺さってくるなあ、と五冊読みきってしまう。


2016年07月01日

2016年06月に読んだ本

期間 : 2016年06月
読了数 : 39 冊
恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書)
トイアンナ / 光文社 (2016-06-16)
読了日:2016年6月28日
きちんと育まれた自尊心、自分の意思を優先できる人、の節が印象に残る。前半は、インタビューがメインのケーススタディー、後半は、エクササイズを通したセルフケアを試みる実践的な内容。
ルバーイヤート (平凡社ライブラリー)
オマル ハイヤーム / 平凡社 (2009-09)
読了日:2016年6月28日
人は土から生まれて土にかえるだけ。その間は、楽しめ、酒を飲め。来世などありはするものか。誰も見て帰ってきたものなど居らぬ。そういった通奏低音を感じる。以下、備忘録的に/鏡餅を見たイラン人の知人の「あれは宇宙か?」「では日本の天地創造か?それとも混沌か?」/「詩人の墓」をストレスの場にしたいという日本へ出稼ぎにきているイラン人労働者/すべてのことは天の書に記されて、善きも悪しきも綴った筆は、それから頑なにうごこうとしない。せねばならぬことはすべて大初にさだまり、励んだり嘆いたりするは愚かなこと。/水のように流れ来て、風のように去るだけ。/酒を飲め。われらが立ち去ってからも、月は無限に満ちては缺け、また満ちるのだから。/われらが消えても、永遠に世はつづき、われらの生の痕跡も、名ものこりはしまい。われらが生まれる前、この世に欠けたものはなにもなく、われらの死後、なんの変化もあるまい。/
故郷
魯迅 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。移住のため、実家を片付けに久々に帰郷した主人公。大金持ちになったわけではないけど、大金持ちになったと周囲に思われ、貧すれば鈍するを地でいく卑しさを剥き出しでぶつけられ憔悴し、共に語り合った親しい友人には、旦那様と呼ばれ敬語を使われ、その苦労の刻まれた相貌に言葉を失う。「凡ての苦しみは彼をして一つの木偶とならしめた」「希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る」
気の毒な奥様
岡本 かの子 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。本当にショートショート。映画館。機転を利かせた少女のたれ幕にどっと押し寄せる、奥さん以外の恋人ときている紳士たち、という構図におかしみと滑稽さと。
外科室
泉 鏡花 /
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながり。外科室、のみ読了。衆人環視のもと、麻酔を拒否しても秘めておきたかった想い、最後の最後にメス持つ手を握りしめ、えぐらせ、そして、最後は...命日が一日違いということはそういうことだったのか。残された夫と娘にも想いを馳せてしまう。「そのときの二人が状、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし」「語を寄す、天下の宗教家、渠ら二人は罪悪ありて、天に行くことを得ざるべきか」
芥川龍之介全集〈4〉 (ちくま文庫)
芥川 龍之介 / 筑摩書房 (1987-01)
読了日:2016年6月27日
トイアンナのぐだぐだ |【保存版】数千冊は読書した私が勧める、あなたの人生を変えるかもしれない30冊 つながりで。くいちがう証言。特に重要なのは、女、身襄丸、亡霊となった男の当事者三人だろうけど、分があるのは亡霊かな、、、いや、でも身襄丸がこの証言しても何の得にもならないはずだ、という部分もあり、女の証言も...とやはり混迷は深まるばかり。
げんしけん 二代目の十一(20) (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2016-06-23)
読了日:2016年6月26日
班目ハーレム編も最終局面。要所要所での荻上さんの喝が効いてるなあと思いつつ。グダグダがグダグダを経て、さあ回答は?というところで次巻へつづく引き。
ラーメン大好き小泉さん 4 (バンブーコミックス)
鳴見 なる / 竹書房 (2016-06-17)
読了日:2016年6月26日
油そば、ご当地袋麺勢揃いのお店、トマト麺、サービスエリアで夜間だけ提供のものを食べに行くために、ヒッチハイクとこの巻もストイックにラーメンに貪欲な小泉さん。テキーララーメン…食べてみたい。
捨てる女
内澤 旬子 / 本の雑誌社 (2013-11-20)
読了日:2016年6月26日
「身体のいいなり」ですっかりその語り口に引き込まれてしまった。内澤さんの文章、なんだか、勝手なイメージだけど、はすっぱでべらんめえな江戸っ子の落語家に耳元でマシンガントークされているようなリズム感、爽快感を感じる。個人的には、豚のいたスナックへの初訪問、能町さんとの再訪が一番印象に残るエピソードでした。そして、スケールは全然違うけど(内澤さんのスケールにはかなわないけど)、手放した本を偲ぶ気持ち、とても共感しました。以下、備忘録的に。/あたしの心の中で、仕分ける蓮舫議員とmottainai のマータイさんが喧嘩をはじめるのであった/身体が爽快であるという感覚は、奇妙な自信を呼ぶようだ/四股踏み、7センチヒール外出で腰痛復活/太極拳に凝り、北京合宿、教員免状、弟子40人の母/震災後のトイレットペーパー買占め騒動に腹を立て、尻を紙でぬぐう習慣を打ち捨て/ジェラルディン・ブルックス 古書の来歴 サラエボハガダー/あの古本。すごいんだけどさ、おまえさ…その、なんだ、一体何がやりたかったわけよ?/本とは、モノとは、必要な時にだけその人のもとに滞在して、気持ちが離れればまた別の欲しい人のところに流れてゆくものらしい。この歳になってようやくわかったことだが、古書店さんはそれに日々立ち会っていらっしゃるのだ。/
講談社 (2016-06-25)
読了日:2016年6月25日
げんしけんは、高坂の嘘をついてまで引き出した班目の本音と後悔、そこへ咲がくだした裁定は?と話が大きく動きそうな局面。フラジャイルは、まさかの布施のファゴット愛と、患者の娘のサポート。飲み会でなんと責められようと、患者が事前に蘇生希望、延命措置でもなんでも受けられる治療は全部やる、と言っても、実際には半数はくじける、という研究報告をだしてかばう。花見沢町は、いつの間にかの最終回。最後の一人のために、家を建て、共同生活をサポートし。最後は、どちらともとれる、解釈を委ねるラスト。
癩王のテラス (1969年)
三島 由紀夫 / 中央公論社 (1969-06-28)
読了日:2016年6月25日
舞台は12世紀末カンボジア。英主ジャヤヴァルマン7世。チャンパ遠征から凱旋し、荘厳な寺院を立てるよう命じた日が頂点であった。その後は、癩病にとりつかれ、崩れゆく身体、孤立していく心、混乱していく国内。最後は、離れゆく肉体と精神の対話で締めくくられる物語。/度はずれた悪行と、桁外れの善行とは、メコンの洪水と同じように、王様という川から溢れ出て、民を溺れさせもすれば、田畑を肥やしもする。(棟梁)/さきのことは考えないで、今のたのしさに生きましょうよ。あの不幸な王様に比べたら、わたしたちはずっと仕合わせなのですもの。(村娘)/残酷なむつみ合い。それが癩者の愛なのですわ。(第一王妃)/この世のもっとも純粋なよろこびは、他人のよろこびを見ることだ。そうではないか。(王)/青春こそ不滅、肉体こそ不死なのだ。...俺は勝った。なぜなら俺こそがバイロンだからだ。(肉体)
永遠でないほうの火 (新鋭短歌シリーズ25)