2009年10月
2009年10月28日
よしながふみ きのう何たべた? 3
きのう何食べた? 3 (モーニングKC)
著者:よしなが ふみ
販売元:講談社
発売日:2009-10-23
おすすめ度:
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年末実家に帰るかどうかで、
親ってどうしてさあ…とこぼす筧に、
めずらしく怒りの目を向けたあと、
ぜいたくな悩みだよね、とやさしく賢二が諭したり、
実家に帰ったら帰ったで、
両親が、自分の孫をかわいがるのをあきらめ、
となりの家の子たちをかわいがるのに決めたのを目の当たりにしたり、
ちょっと違った家族のかたちと、
一般的な家族のかたちが、
ぶつかるところを垣間見せてくれたり。
忘年会から早くかえったのが、
サッポロ一番みそラーメンに、
手の込んだアレンジを加えたものを年越しそばかわりにするためで、
そのために、パートナーからの電話も無視、
なんで無視したのと言われ、
サッポロ一番みそラーメン食べてたから!
と言ったらお互いに納得してたシーンが、
妙に説得力あって可笑しかったです。
最近、ぜんぜん料理していないので、
正直、筧の料理シーンは前ほどぴんとこないんだけど、
このサッポロ一番みそラーメンだけは、
手がのびそうになる。
2009年10月27日
コンラッド 闇の奥 光文社古典新訳文庫
闇の奥 (光文社古典新訳文庫)
著者:ジョゼフ コンラッド
販売元:光文社
発売日:2009-09-08
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映画『地獄の黙示録』の原作と聞いて、いつか読んでみたいと思っていた一作。読みやすい新訳版が出たとのことで手にとる。
秋の札幌にいても、ページを繰ると、緑深きコンゴの密林にぐっともっていかれる。
奥地の出張所から、大量の象牙を届けてくるも、会社の方針に背を向けたクルツを求めて、大河を遡っていく旅。
クルツに対して外形的な情報は伝わってくるけれども、なかなかたどりつかず、たどりついた時には、マーロウと語ったということは描かれても、語りあったことは詳細には描かれていないように思う。地獄の黙示録でのカーツ大佐の饒舌は、描かれなかった語りを埋める試みだったのかと思うほど。
この書が問題作、とされた時代背景とは、遠く離れた地平に立って読むと、ただただ、クルツを渇望するマーロウの心と、クルツの中に巣食った闇の部分に目を奪われる。
2009年10月21日
オマル・ハイヤーム 岡田恵美子編訳 ルバーイヤート 平凡社ライブラリー
ルバーイヤート (平凡社ライブラリー)
著者:オマル ハイヤーム
販売元:平凡社
発売日:2009-09
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イランの作家、サーデク・ヘダーヤトが、ルバーイヤートを編纂したものを訳したもの。各章に、イラン人の心性にふれるエッセイが付せられていて、理解を深めてくれる。何か大きなものに自分をゆだねてしまうと、じたばたしてもしかたない一種の諦観と、明日どうなるかわからないのだから、今この時を楽しめという刹那主義につながるのだろうか、とエッセイと四行詩を読み比べながら、思う。
岩波文庫版よりも、虚無的な印象を受けた。編集の仕方なのか。
著者:オマル ハイヤーム
販売元:平凡社
発売日:2009-09
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イランの作家、サーデク・ヘダーヤトが、ルバーイヤートを編纂したものを訳したもの。各章に、イラン人の心性にふれるエッセイが付せられていて、理解を深めてくれる。何か大きなものに自分をゆだねてしまうと、じたばたしてもしかたない一種の諦観と、明日どうなるかわからないのだから、今この時を楽しめという刹那主義につながるのだろうか、とエッセイと四行詩を読み比べながら、思う。
岩波文庫版よりも、虚無的な印象を受けた。編集の仕方なのか。
(略)
この世にある者たちはながくはとどまらず
立ち去った者たちは一人として戻ってこない
さあ、起きよ。過ぎゆく世を嘆くな。
さあ、楽しみのうちに、一瞬を過ごせ。
かりにこの世に誠があろうと、
お前の番がいつくるか分からない。
2009年10月20日
西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編
西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編
著者:西原理恵子
販売元:新潮社
発売日:2009-09-25
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いくら上がったり下がったりにしびれたいからって、
1000万溶かしたいとは思えない。
まあ、額の大小の問題だけで、誰だってつっこんでいくときは、
自分だけは儲かるはず…と思うもの。
今回のサイバラも、ウェブクルーの青山社長とタッグをくんで、
身銭切って壮大に損失を出してます。
見てて気持ちのいいぐらいに。
連載中に、ウェブクルーがFXの部門たちあげたのに、
連載中になくなっちゃうというのもご愛嬌。
森永 負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、買っている奴というのは、さっきまで付き合っていた女を平気で踏みつけて捨てることのできる人間なんです。
西原 対して百パーセント負ける人というのは、初恋の人がいまだに忘れられない人(笑)。こういう人は絶対に勝てない。
え?ちょくがどっちのタイプかって?
んー、そうですねえ、何から何までひきずっていくタイプですね。いろんなものが捨てられないタイプですね。なので、ふたりの言うことが正しいなら、絶対に勝てないほうなんでしょう、きっと。長いこと生きていると、ようやく自覚もできてきて、博打、賭け事方面は、適性ないな、博才ないなと思ってなるべく近寄らないようにしていますです、ハイ。
あ、1ドル114円の時にかったドルの外貨預金は超塩漬け物件にしてますがなにか・・・。
2009年10月12日
新海誠 小説・秒速5センチメートル
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
著者:新海 誠
販売元:メディアファクトリー
発売日:2007-11-14
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監督自身による、映画のノベライズ。
本人も述べているように、映画と小説で相互補完的な位置づけ。
文字ゆえの特性か、映画よりも、深く、登場人物の内面に切り込んでいる。
特に、第三話「秒速5センチメートル」は、大人になった遠野貴樹の現在が描かれているが、高校卒業後、そこにいたるまでの過程も、その内面も深く描かれ、映画とあわせみると、より味わいが深まるように感じた。
白洲次郎,プリンシプルのない日本
プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
著者:白洲 次郎
販売元:新潮社
発売日:2006-05
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NHKドラマ「白洲次郎」に感銘を受けて、手にとる。
実際、伊勢谷友介演じる白洲次郎は、かっこよく描かれていて、
実際の本人はどんなこと言っていた人なんだろうと興味をひかれて。
中身は、いろんな雑誌に書いた直言集。
当時の政治経済状況に左右されるのは当たり前だけど、
それでも4、50年前に書かれたとは思えないほど、
今にも通じる指摘がなされているのは、
先見の明なのか、ある面における日本の進歩の無さなのか。
日本人は、複雑なことほど簡単にかたづけてしまいたがる
補助金をやってまで運営しなければならない会社があるとは思えない
政府に意見を言うなら、団体の名に隠れてでなく、堂々と個人の資格で言うべし
プリンシプルのない妥協は、一時のごまかしにすぎない
死んだふりをしてろというんだな。ダメだよ。死んだふりをしたって生きてるんだから、いつか起き上がって来るよ。
といったあたりが目にとまり。
2009年10月11日
新海誠監督 秒速5センチメートル
秒速5センチメートル 通常版 [DVD]
出演:水橋研二
販売元:コミックス・ウェーブ・フィルム
発売日:2007-07-19
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桜の花びらが落ちる速度。
秒速5センチメートル。
小学生のときに出あった、
貴樹と明里。
中学生になって、
はなればなれになって、
一年ぶりに再会するまでを描いた「桜花抄」。
高校生になった貴樹を、
思い焦がれる香苗の目線で語られる、「コスモナウト」
大人になった貴樹と明里の現在と、
山崎まさよし「One more time,One more chance」にのせて、
走馬灯のように思い出がかけめぐるラスト、
「秒速5センチメートル」。
淡くて、かすかな思いが、一瞬ふれあって、また離れていって、
遠くを見すぎていて、思いは伝わらなくて、
強く何かをもとめていたはずなのに、やわらかさを失って、
果たされない想いがつみかさなっていくように見えて、
最後に見せた笑いに、また新たに踏み出す予感をみせるような、
はかなくて、うつくしい、60分。
2009年10月10日
沙村広明 制服は脱げない
シスタージェネレーター沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)
著者:沙村 広明
販売元:講談社
発売日:2009-09-23
おすすめ度:
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『シスタージェネレーター』より。
ちょっと世の中ななめに見たようでいて、ばっさばっさと時事ネタ(っぽいものを)きっていく、女子高生サチとニュウ子の辛口短編、全8話。
なぜ、初詣でわざわざ韓流ブームが滅びますようにって祈らなきゃならないんですか^^
なぜ、ともだちと組んだバンドの名前をドイツ語にしなきゃいけないんですか^^
せりふがぎゅうぎゅうにつまって、それがマシンガンのようにテンポよくぽんぽんとぶつかりあって、テンション高くて、一気によまされてしまう。
2009年10月09日
村上かつら 淀川ベルトコンベアーガール 第二話
(月刊 スピリッツ 第二号 より)
あげ工場につとめる女の子の物語。
ちょっとかっこいいな、
と思う同僚の女の子が、
サイフ泥棒のぬれぎぬを着せられたのを、
即席探偵よろしく、
解決しようと悪戦苦闘。
なにもかも、
すっきり解決とはいかず、
のみこんだこともあったけど、
一生懸命な気持ちだけはつたわって、
といったかんじで。
つづきが楽しみ。
村上かつら作品、
週刊連載の『CUE』が失速気味で終わり、
『ラッキー!』もちょっとものたりなく思っていたので、
この連載つづいて、単行本までもっていってほしいな。
できれば、『村上かつら短編集』3もでてほしいな。
あげ工場につとめる女の子の物語。
ちょっとかっこいいな、
と思う同僚の女の子が、
サイフ泥棒のぬれぎぬを着せられたのを、
即席探偵よろしく、
解決しようと悪戦苦闘。
なにもかも、
すっきり解決とはいかず、
のみこんだこともあったけど、
一生懸命な気持ちだけはつたわって、
といったかんじで。
つづきが楽しみ。
村上かつら作品、
週刊連載の『CUE』が失速気味で終わり、
『ラッキー!』もちょっとものたりなく思っていたので、
この連載つづいて、単行本までもっていってほしいな。
できれば、『村上かつら短編集』3もでてほしいな。
2009年10月08日
柴崎友香 レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー
(『Melbourne』 1 より)
http://www.goningumi.com/
3年ぐらい前に、秋葉原でやってた文学フリマで手にとった一冊から。
穂村弘、長嶋有が参加しているって新聞でみかけて、でかけたことを思い出す。
そのなかから、一篇。
おたがいにおたがいを快く思ってないだろうな、
と思っている二人の女の子のモノローグが交互に。
友達の家でのパーティのあと、
そのまま泊まって迎えた朝の、
けだるげななかでの、
こまやかな心の動きのモノローグと。
会えるかもしれない、
わずかな可能性にかけて、
でかけていって、
出あえた時の一瞬に向けて、
動いていく心をとらえたモノローグと。
ばっさりと終えられて、
かすかな後味を残してくれる。
おたがいに嫌いあってるのって、
隠しているつもりで、
それとなく、
伝わってしまうものだろうか。
やはり、
などという思いもいだきつつ。
http://www.goningumi.com/
3年ぐらい前に、秋葉原でやってた文学フリマで手にとった一冊から。
穂村弘、長嶋有が参加しているって新聞でみかけて、でかけたことを思い出す。
そのなかから、一篇。
おたがいにおたがいを快く思ってないだろうな、
と思っている二人の女の子のモノローグが交互に。
友達の家でのパーティのあと、
そのまま泊まって迎えた朝の、
けだるげななかでの、
こまやかな心の動きのモノローグと。
会えるかもしれない、
わずかな可能性にかけて、
でかけていって、
出あえた時の一瞬に向けて、
動いていく心をとらえたモノローグと。
ばっさりと終えられて、
かすかな後味を残してくれる。
おたがいに嫌いあってるのって、
隠しているつもりで、
それとなく、
伝わってしまうものだろうか。
やはり、
などという思いもいだきつつ。