2007年04月10日

その声が僕を焦がす/洸

その声が僕を焦がす
洸著 / 奥貫亘イラスト
海王社
ガッシュ文庫(2007.4)


「それ以上は期待するな」
尾崎と心交わせたかと思った瞬間、冷たく突き放されてしまった右京。けれど尾崎は右京が傍にいるのは許してくれる。その微妙な状態にさえ喜びを感じていたとき、尾崎の親友・藤倉に右京の秘密がばれてしまう。藤倉はより大胆に右京に迫り始め、尾崎は俺よりも藤倉の方が優しいと右京の気持ちを試すような言葉を投げかける。
そんな中、大学の先輩・柏田に災難が降りかかることを知った右京は彼を助けようと動きはじめるのだが…。

尾崎哲也(おざきてつや)×氷室右京(ひむろうきょう)
大学3年生同士。
「その声が僕を動かす」の続編です。

前作で、尾崎の「期待するな」という言葉は人に頼りがちな右京への励ましみたいなものかな、とか感想に書いたりしてましたけど、全然違ってて(笑)言葉どおりの意味だったのですね。
身体を重ねたとはいえ二人の距離は縮まることはなく、朝尾崎と一緒に登校して朝練をし、帰りは部活後二人で帰るという、ただそれだけ。それでも、水に慣れようとする右京の手を尾崎は引いてくれて、朝夕一緒に帰ることは許してくれる。
そうやって尾崎の傍にいられる時間があるだけで、右京は幸せを感じています。耐えているわけではなくて、本当にそれで幸せなんですから、相変わらずの「のほほん」さんです。
そんな時、前作でもう現れないとか言っていた左京が再び不吉な予言を持って右京の前に現れます(笑)。

尾崎や右京が所属する水泳部の部長・柏田(かしわだ)が女子大生殺害の疑いをかけられ逮捕されるというのです。柏田は水に入れない右京が水泳部に入ることを許してくれた人で、大らかで頼れる存在。
柏田が濡れ衣を着せられて逮捕されることを防ごうと、右京は再び動き始めます。

最初は一人で動き始めますが、尾崎にはすぐにばれてしまい二人で協力することになります。しかし柏田が警察に事情徴収されると、その噂はすぐに広まり、そんな時二人でコソコソしているのを友人の藤倉(ふじくら)がかぎつけ、右京は藤倉に全てを話すはめになってしまうのです。
自分が水に入れなくなった理由、左京のこと、尾崎に近づいたわけ、そして今回の柏田のこと。

しかしそれを聞いた藤倉は右京を気味悪がることなく、自分も協力すると言ってくれるんですね。そして、右京が尾崎に近づいたのは予言のせいだった、つまり好きだったからというわけではない…と曲解した藤倉は、右京にあからさまに接近しはじめます。
そんな中で、初めて尾崎の父が登場するんですが、尾崎の「期待するな」という言葉が、どうも親子の確執に発端がありそうだというのがわかります。また、殺された女子大生の身辺を探るため、女子マネージャーまで巻き込んで、今回は「探偵団」を結成することに(笑)。

事件の真相も興味深いですが、うまく尾崎と右京の関係が絡んでいて面白かったです。傍にいられるだけで幸せと感じていた右京が嫉妬に胸を痛めたり、人を好きになる苦しさを感じたり、そういう面では成長もします。しかし右京は基本がぼんやりさんで、そして頑張りやなので悲壮感がないのがいいですね。
藤倉は前作からよく右京のお世話をしていた人です。飄々と軽いタイプに見えますが、食えないタイプではあるけれど、大人ですねー。藤倉に好きだと告白されて、流されない右京もいいんですよね。どんなにぼんやりしてても尾崎への気持ちはハッキリしていて、無垢ゆえの真面目さ頑なさみたいなのも右京の長所になっていると思います。
そんな右京が真っ直ぐに尾崎を見つめるから・・・尾崎が右京を遠ざけようとした理由も、今回なるほどなと思いました。

これで完結なんでしょうけど、尾崎がお父さんを「ギャフン」(笑)と言わせるところも見てみたい気もします。
またどこかでツンツン尾崎とおっとりぼんやり美人の右京の恋がまた読めたら嬉しいんですけど。

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1. その声が僕を焦がず【洸 / illust 奥貫亘 】  [ 詞の音 ]   2007年04月10日 08:11
「その声が僕を動かす」の続編です、人気があったのですかね?わりと早めの出版だったような気がいたします。前作では何度か身体の関係はあったものの、どう見てもまだ想いが通じ合っていなかった二人ですからこの...

この記事へのコメント

1. Posted by Jura   2007年04月10日 08:14
こんにちは。
「探偵団」って笑っちゃいますよね
なんだかもう、某アニメの小学生達を思い出してしまいました(笑)

上手く事件が解決したからいいようなものの…右京はかなり危ない目にあってるし

この話なんだか終わりって行ってもなんとなく中途半端な印象を受けるので私も続きをどこかで書いて欲しいなと思った一人です。

TBさせていただきました
ではまた!
2. Posted by mimu   2007年04月10日 14:11
>Juraさん、こんにちは。

某アニメって見た目は子供云々…のアレでしょうか。
実はアレを思い出して「その線でシリーズになるのか?」とか思ったりしてました(笑)
右京の恋はとりあえず実りましたけど、尾崎の父のこととかやはり気になるし、この先が知りたいな〜と思いますよね。
もし続きがあったら、藤倉ももう事情を知っていることですし、やはり「探偵団」再結成でしょうか(笑)

TBありがとうございます。
こちらからも返させて下さいね!
3. Posted by ちびこ   2007年04月10日 21:22
こんにちは、mimuさん!
早い続編で嬉しい1冊でした。
探偵団結成には、えっと思いましたが、活動するにはこの方が絶対便利ですよね。私も入りたいくらいです(笑)
でもちゃんと尾崎と右京の恋も進行(?)して、すごく楽しめました。
尾崎に突き放されても、右京に悲壮感やら卑屈な感じがなくて、読んでいてイライラもなかったですし。って尾崎の態度で右京ラブなのは分かりましたし。
続きを書いて欲しいですね。
4. Posted by 水月    2007年04月11日 01:49
こんばんは〜みむさん!

おや、今回は「探偵団」まで結成されちゃうんですか?凄い展開だ〜(笑)
これもまた手元にありますが・・・いつ読めるやら?(笑)
まだ落ち着いて本を読む時間を確保するにはもうちょっと時間がかかりそうです。
でも、早く読みたくなってしまいました〜!
是非、この続編も読みたい〜って感じですね。
5. Posted by mimu   2007年04月11日 05:57
>ちびこさん、こんにちは。

早く続編が出てくれると待ってる方は嬉しいですよね〜。
私も「探偵団」なんてあんまり大勢でゴチャゴチャやるより、右京と尾崎の愛のコンビネーション(?)で事件を解決してくれるほうが本音はいいんですけど、藤倉は今回美味しいポジションになったことだし(笑)楽しいかも、と思います。
右京のぽわ〜んとした性格がとっても和みます。
尾崎も腰が引けてただけでホントは、絶対ほっとけないという感じでしたよね。
また二人に会いたいですね〜!
6. Posted by mimu   2007年04月11日 06:02
>水月さん、こんにちは。

そうなんです、なんだか可愛いですよね「探偵団」って大学生が…(笑)

新学期はバタバタしますよね。
うちも落ち着くのは5月も半ば過ぎてからじゃないかしら…。
特に今週は本を読む時間も細切れのような…。
時間ができたら、楽しみにしてる本を先に読んでしまうのも手ですよ〜!

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