今年はあっと言う間に梅雨が明けたあと、なかなか夏らしい天気が見られませんでしたが、そんな一日、久しぶりに里山歩きに出かけました。
 行き先は、あきる野市の秋川を遡り、支流の養沢川上流にある上養沢集落。秋川は渓谷美で有名で、本流を遡っていくと檜原村があります。養沢川を上っていくと、青梅の御岳山山頂にある御嶽神社へと続きますが、上養沢は最上流にある集落です。武蔵五日市駅からバスに乗り、終点の上養沢から渓谷沿いを歩きます。


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 五日市駅を出発した時はハイカーで満員でしたが、終点の上養沢に降り立ったのは一人。上養沢は静かな山あいの集落でした。バス停のところにあったのは、年月を経た周辺案内板。ちょっといい感じです。


上養沢~養沢神社

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 一旦、集落の最上流までさかのぼり、そこから下流に向かって歩き始めます。道沿いにまばらに家屋が並ぶ小さな集落ですが、社寺を思わせるような立派な造りの屋敷が目に付きます。山岳信仰で栄えた御嶽神社の裏参道にあたる場所なので、それと関係があるのかどうか・・

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路傍の石仏が、かつて人通りのある道だったことを感じさせます。


養沢神社

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 狛龍のある珍しい神社です。鳥居をくぐると見慣れない形の石造物が見えたので、近寄ってみたところ、社殿に向かい鎮座する雌雄の龍の像でした。何か由来があるのかと思い地元の人に聞いてみると、この地域出身の有力者が神社から龍が立ち昇っていく姿を夢で見たことから、龍の像を寄進したとのことでした。社殿の前には、狛犬もあります。

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養沢神社~海入道

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 養沢神社から、渓流沿いの道を下流に向かって歩きます。いくつかの集落を過ぎると、海入道と言うバス停がありました。山の中なのに、海??? 地元の人と話をしていて、昔この辺りは海だったとの話を聞きました。これは、何か由来があるのかも。後ほど、考えてみたいと思います。

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秋川流域は、渓流釣りのメッカです。

地理院地図 _ GSI Maps|国土地理院

海入道~本須

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 さらに、養沢川沿いを下っていきます。道沿いに石仏を見かけますが、その中で百番供養塔と彫られている石造物に目が止まりました。ネットで調べてみたところ、百番供養塔とは巡礼を完結した人がその功徳を広く人々に広めるために建てられたものだそうです。

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 本須集落から、渓流沿いの道を離れ斜面上にある軍道(ぐんどう)集落に向かいます。


軍道

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 坂を上り集落に出ると、ぐっと視界が開けます。青空が見えないのが残念。軍道とはちょっと気になる地名ですが、戦ではなく、「崩土(くど)」と言う崩壊地名に由来するとのことです。

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 軍道集落から、谷沿いの集落が見渡せる道を歩きながらバス停のある都道に下ります。もう少し歩くと秋川渓谷ですが、軍道バス停で終了にしました。

地理院地図 _ GSI Maps|国土地理院2

 養沢神社の狛龍のことが気になったので、ウォーキングの途中、地元のお三方とお話をしてみました。狛龍のことは文中で書いたとおりですが、それ以外では、この地域は御嶽神社とつながりがあり野菜などの供物を納めていたこと、昔この辺りは海だったなどのお話を聞かせていただきました。道々で山間地とは思えない豪華な建物を見かけましたが、集落を代表して御嶽神社に奉納する家格の高い家だったのではなどと思ったりしました(想像です)。
 さて、海入道の地名です。山間地にある海の付く地名としては長野県の小海がありますが、これは八ヶ岳が噴火した際に崩れた土砂が川を堰き止め、湖になっていたことに由来します。同じような現象がこの地域で無かったかネットで検索してみると、数十万年前に秋川流域一帯は五日市湖と呼ばれる大きな湖だったとの記述を見つけました。ただ数十万年前のことなので、これを地名の由来とするには無理があります。とすると・・・。海入道のすぐ下流には、軍道と言う崩壊地名がありました!ここで規模の大きい崩壊があり、一時、養沢川を堰き止めていたと考えれば、小海と同じ理屈で説明ができそうです。地元の方は五日市湖のことをどこかで耳にした事があったのか、それとも有史以降に川を塞ぐような出来事があり伝承や地名として残ったのか。文献などを当たれば、もう少し確からしいことが分かるのかもしれませんが、ここまでとしたいと思います。
 山間地を歩いていると、興味を惹かれる地名に出会うことが時々あります。文献などでしっかり調べる事はなかなか出来ていませんが、勝手に想像を巡らすのも一つの楽しみ方かななどと自己満足をしています。お話を聞いた年配のお父さんは、とても気さくな方で、若い頃にしていた仕事の話など聞かせていただきました。いろいろな出会いを求めて、また里山歩きに出かけてみたいと思います。