2004年11月12日

きんとき。

きんときはやっと1才ちょっとになりました。意地悪っ子みたいに目がつり上がり、食いしん坊のおてんばのバカデカ赤ちゃんみたい。我が儘一杯でいい子いい子って撫でくり回してもツンツンして、「おかあさん、離してよ〜」てイヤイヤする。大のお父さんっ子だ。他の子がお父さんのそばによると「ウーー!」って唸りながら間に入ってベッタリ・・・。夜は大きい者同士、見るからに暑苦しそうでも身体のどこかがいつもお父さんにくっついて寝てる。父子家庭のよう・・・。そんなきんときは、保護した時には瀕死の重体だった。

写真館のおばちゃんから「今、男の人が捨て犬を連れてきたけど大変だから来てくれや」と電話が入った。行ってみると両手の平に乗ってしまうほど小さな子は、全身真っ白い粉が吹いたようになってグッタリしていた。よく見てみると・・・白い粉だと思ったのは無数のウジ虫だった。バケツにお湯を汲み、中に浮かせた途端、ウジ虫がいっせいにパーッと散ってまたたく間にバケツを汚した。何度も何度もお湯を取り替えたけどきりがない。成虫になる前の糸みたいなのが数にすると百や千単位でなくて、1万匹もいるのではないかと云うぐらい、私の腕にもはい上がってくる。

10回目には、もうこれ以上やれば、きっとこの子が弱って死んでしまうと思いやめにした。乾かしてタオルにくるむ頃には目に見えるウジはどうやらいなくなっていた。何も食べないし、病院へ行くしかない。獣医先生は、「捨てられて何も食べられず、抵抗力のない赤ん坊に銀バエがたかって産み付ける。今のままではショックで身体がもたないから注射も何も出来ない、とにかく何か食べさせて体力を付けてから連れて来なさい、この子は短命ですね。」と言われた。

帰って、流動食を口に運ぶけど吐き出してしまう。どうしよう、どうしよう、このままじゃ死んじゃうよ。もう、何度こんな辛い思いをしただろうと途方に暮れた。チラッと何かが動いた。口のまわりをみたら唇のすぐした両方に小さな穴が空いて、・・・アッ!ウジ虫。原因はこれだ!と思うと気持ち悪さを通り越して怒りに変わった。そうなると、もう怖いものはない、爪楊枝で皮膚を刺激しないよう、目を凝らして慎重に取り出した。全部で4匹ずつ8匹もいた。穴は貫通して歯ぐきまで達していた。他に肛門線の穴にも7匹、こちらはノミ取り粉をかけたら這い出してきた。もうううううう!!

チビちゃんは喉がふさがったように物が入っていかない。弱っていて一刻を争う。またしても苦汁の選択だ、このままではきっと死んでしまう。私は思いきってスプーンの後ろの方に食べ物を載せて、口に差し込みぐっと喉を押し開いた。ほんのちょっと入っていった。大丈夫そうなので、少しずつ又、慎重に何度も繰り返し、それを何日も続けた。チビちゃんは殆ど眠ってばかり。片時も離れないように、小さな段ボールを暖かくして持ち歩き、他のワンの世話の時には、落ちないよう腰に紐を巻いてカンガルーの親子みたいに懐に入れて共にいた。

ヨロヨロと部屋を歩いたときには拍手喝采した。やがて、枕元で寝られるようになり、とにかく先生に言われたとおり、沢山食べさせもした・・・、そのうち、アレ・・・!?見る見るうちに大きくなって、夜、寝返りを打って目を覚ますと、「このモーフの固まりは何だっけ・・・」、まるでまばたきしている間にも成長して、このまま怪獣になってしまうんじゃないかと思うぐらい、毎日どデカくなった。小さいときには判らなかったけど、なんとチビちゃんは秋田犬だった。

こいつはあの頃のことを覚えているのだろうか。華奢なボランティアさんにドーンといきなり体当たりする。よろめいて逃げ回るボランティアさん。持っているおやつを奪い取って皆を笑わせ、やんちゃぶりを発揮してる姿を見ながらそんなことを思う。「きんとき」と紹介するとボラちゃん達は口を揃えて、「可っ愛い名前ねー」と言うが、由来は宇治金時から来ていることはちょっとの人しか知らない・・・。きんときは目の中入れても痛くないほど愛おしい。

Yasuko(←クリックすれば、メールが送れます)