2017年04月17日05:00ちょっと待ておじさんとポケモンGO

今日の担当は北村和夫です。

 

昨年私も友人と観光に行ってきた福井県の「東尋坊(とうじんぼう)」は、

せり出した岩肌に日本海の荒波が打ち寄せる景勝地であるが、

残念ながら断崖絶壁から身を投げる人が後を絶たないようだ。

富士山の青木ケ原についで、日本で二番目に自殺者が多い場所である。

 

我々二人が行った時は、雨の日の夕方であったため、

ほとんど人がおらず陰鬱(いんうつ)な感じがして、

「こんな時に死にたくなるのかな?」と二人で笑った覚えがある。

 

もちろん対策も講じているようだ。

いろんなところに自殺を思いとどまらせる「思い出せ 家族の顔や 友の顔」の類の看板が設けてある。

また、「救いの電話」と称し公衆電話にテレホンカードや10円硬貨が常備され、誰かに相談できるようになっている。

 

この東尋坊では年間30人程度が自殺するとされる。

岩場に向かう通りの中程に、NPO法人「心に響く文集・編集局」の活動拠点がある。

同法人代表の茂幸雄さんは「東尋坊の“ちょっと待ておじさん」といわれ、

福井県警OBで現地の警察署勤務時代、自殺防止のパトロールを始めた。

任期中、自殺したとみられる21人の検視を行い、約80人を保護した

自殺を思い立って東尋坊に来るのは、9割以上が福井県外の人らしい。

 

「自殺者が家族に宛てた遺書を見せてもらいましたが、

誰ひとり「死にたい」とは書いていませんでした。

また、金銭問題などはっきり原因が分かる人は少ない。

人間関係のつまずきといった、ちょっとしたきっかけで自殺を考えた人が

「助けてくれ」と心の中に思っても、手を差し伸べられない現状があります。」と茂さん。

 

茂さんは定年退職後NPO法人を立ち上げ、現在はメンバー16人がローテーションを組んで、

午前11時から日没までのパトロールに当たっている。

 

ところが、ところがである。今年は3月までの自殺者はゼロなのである。

茂さんたちの活動とともに、「ポケモンGO」効果なのである。

ポケモンGOのプレーヤーが集まる芝生の広場は、かっては自殺を決意した人が最後に思いを巡らす場所だった。

東尋坊に行ってみると分かるが、荒々し岩肌は約1キロにわたって続いており、

眺望の良い記念撮影スポットから少し奥に入ると人通りが少ない場所がある。

 

しかし、「ポケモンGO」のおかげで事態は一変し、

「レアポケモンが多く出るスポットとして有名になり、観光客が途切れることなく訪れるようになった。

この結果、場の雰囲気が変わり、常に人の目があることで抑止効果が生まれたのか、

今年に入ってからの自殺者はゼロ。

「自殺の名所」と言われてきた東尋坊が、汚名を返上したようである。

 

アプリがリリース直後の昨年夏、

東尋坊にポケモン目当ての観光客が大挙して押し寄せていると話題を集め、

夜間に多くの人がテントを張って陣取り、

闇の中沢山のスマートフォンの画面が光っている光景などが地元紙に報じられた。

 

現在。ドローンの導入を検討しており、「ポケモンGO効果」を喜んでいても油断をしていないようだ。

 



トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字