2007年10月20日
『夜を賭けて』
山本太郎はその昔、メロリンQだった(笑)
今で言えば小島よしおのオッパッピーと同じようなキャラ。
海パン姿で踊っていたメロリンQも、こんなに立派になりました!
02年
監督: 金守珍
原作: 梁石日
脚本: 丸山昇一
撮影: チェ・ジョンウ
音楽: 朴保
出演: 山本太郎
ユー・ヒョンギョン
風吹ジュン
樹木希林
清川虹子
六平直政
奥田瑛二
ってことで本作・・・
最初は役者のオバー・アクトに鼻白んで観ていても、
途中からドラマティックな物語にグッと惹きこまれます。
『パッチギ』 が日本人の繊細さから生まれた良作とするなら、
こちらは韓流に近い圧倒的なバイタリティに支えられた力作。
そのバイタリティは演じる者だけでなく、韓国にオープンセットを作り、本物らしき川まで流しちゃったスタッフの執念に尽きてしまう!
制作は 『月はどっちに出ている』 のシネカノン。
映画ファンはもちろん必見!
今で言えば小島よしおのオッパッピーと同じようなキャラ。
海パン姿で踊っていたメロリンQも、こんなに立派になりました!
02年
監督: 金守珍
原作: 梁石日
脚本: 丸山昇一
撮影: チェ・ジョンウ
音楽: 朴保
出演: 山本太郎
ユー・ヒョンギョン
風吹ジュン
樹木希林
清川虹子
六平直政
奥田瑛二
ってことで本作・・・
最初は役者のオバー・アクトに鼻白んで観ていても、
途中からドラマティックな物語にグッと惹きこまれます。
『パッチギ』 が日本人の繊細さから生まれた良作とするなら、
こちらは韓流に近い圧倒的なバイタリティに支えられた力作。
そのバイタリティは演じる者だけでなく、韓国にオープンセットを作り、本物らしき川まで流しちゃったスタッフの執念に尽きてしまう!
制作は 『月はどっちに出ている』 のシネカノン。
映画ファンはもちろん必見!
2007年10月05日
お薦め3タイトル
お薦めというわりに、★が1こずつ足りないんじゃないかって?
★4つにするには、どれもワンパンチ足りないのだな〜^^;
★は3.8くらいだって思っておいてくださいな(笑)
とはいえ、ワンパンチ足りない演出だからこそ味がある。
言ってみれば作品に 「品」 があるのだわ。
出てくるのはオカマと淫乱の妖精、それにナンパ師ですがね(笑)
「映画ってのはワイラーやワイルダー作品のことだ!」
なんて主張される本物の映画ファンにお薦めしたいタイトルばかり。
私の評価は★3〜★4の下あたりが万人向け・・・かも^^;
『プルートで朝食を』
05年 愛・英
監督: ニール・ジョーダン
原作: パトリック・マッケーブ
脚本: ニール・ジョーダン
パトリック・マッケーブ
撮影: デクラン・クイン
音楽: アンナ・ジョーダン
出演: キリアン・マーフィ
リーアム・ニーソン
ルース・ネッガ
ローレンス・キンラン
スティーヴン・レイ
ブライアン・フェリー
作品の感想は、後に投稿する予定です。
『ククーシュカ ラップランドの妖精』
02年 露
監督: アレクサンドル・ロゴシュキン
脚本: アレクサンドル・ロゴシュキン
出演: アンニ=クリスティーナ・ユーソ
ヴィッレ・ハーパサロ
ヴィクトル・ブィチコフ
作品の感想は、後に投稿する予定です。
『アバウト・ア・ボーイ』
02年 米
監督: クリス・ワイツ
ポール・ワイツ
原作: ニック・ホーンビィ
脚本: ピーター・ヘッジズ
クリス・ワイツ
ポール・ワイツ
撮影: レミ・アデファラシン
出演: ヒュー・グラント
レイチェル・ワイズ
ニコラス・ホルト
トニ・コレット
シャロン・スモール
作品の感想は、後に投稿する予定です。
★4つにするには、どれもワンパンチ足りないのだな〜^^;
★は3.8くらいだって思っておいてくださいな(笑)
とはいえ、ワンパンチ足りない演出だからこそ味がある。
言ってみれば作品に 「品」 があるのだわ。
出てくるのはオカマと淫乱の妖精、それにナンパ師ですがね(笑)
「映画ってのはワイラーやワイルダー作品のことだ!」
なんて主張される本物の映画ファンにお薦めしたいタイトルばかり。
私の評価は★3〜★4の下あたりが万人向け・・・かも^^;
『プルートで朝食を』
05年 愛・英
監督: ニール・ジョーダン
原作: パトリック・マッケーブ
脚本: ニール・ジョーダン
パトリック・マッケーブ
撮影: デクラン・クイン
音楽: アンナ・ジョーダン
出演: キリアン・マーフィ
リーアム・ニーソン
ルース・ネッガ
ローレンス・キンラン
スティーヴン・レイ
ブライアン・フェリー
作品の感想は、後に投稿する予定です。
『ククーシュカ ラップランドの妖精』
02年 露
監督: アレクサンドル・ロゴシュキン
脚本: アレクサンドル・ロゴシュキン
出演: アンニ=クリスティーナ・ユーソ
ヴィッレ・ハーパサロ
ヴィクトル・ブィチコフ
作品の感想は、後に投稿する予定です。
『アバウト・ア・ボーイ』
02年 米
監督: クリス・ワイツ
ポール・ワイツ
原作: ニック・ホーンビィ
脚本: ピーター・ヘッジズ
クリス・ワイツ
ポール・ワイツ
撮影: レミ・アデファラシン
出演: ヒュー・グラント
レイチェル・ワイズ
ニコラス・ホルト
トニ・コレット
シャロン・スモール
作品の感想は、後に投稿する予定です。
2007年10月04日
『オペラ座の怪人』
ども〜♪
たまには記事を更新しておかないと、
忘れさられてしまうから^^;
04年 米/英
監督: ジョエル・シューマカー
原作: ガストン・ルルー
脚本: ジョエル・シューマカー
アンドリュー・ロイド=ウェバー
撮影: ジョン・マシソン
音楽: アンドリュー・ロイド=ウェバー
出演: ジェラルド・バトラー
エミー・ロッサム
パトリック・ウィルソン
ミランダ・リチャードソン
ミニー・ドライヴァー
これ、今頃観たのですよ。
ジョエル・シューマカーにオペレッタ演出?
そりゃあ腕のいいウドン屋にイタリアンのフルコース料理を作れって
言ってるようなもんだろう。無理だ〜!
なんて思ってたものですから(笑)
ところがどっこい!
ジョエル・シューマカー、やりますな。
美味しいウドンもイタリアンも作れる料理人なんざんすね。
映画の詳しい感想は、追って投稿します・・・
って、これだけ書けば十分な気がしないでもないが(笑)
たまには記事を更新しておかないと、
忘れさられてしまうから^^;
04年 米/英
監督: ジョエル・シューマカー
原作: ガストン・ルルー
脚本: ジョエル・シューマカー
アンドリュー・ロイド=ウェバー
撮影: ジョン・マシソン
音楽: アンドリュー・ロイド=ウェバー
出演: ジェラルド・バトラー
エミー・ロッサム
パトリック・ウィルソン
ミランダ・リチャードソン
ミニー・ドライヴァー
これ、今頃観たのですよ。
ジョエル・シューマカーにオペレッタ演出?
そりゃあ腕のいいウドン屋にイタリアンのフルコース料理を作れって
言ってるようなもんだろう。無理だ〜!
なんて思ってたものですから(笑)
ところがどっこい!
ジョエル・シューマカー、やりますな。
美味しいウドンもイタリアンも作れる料理人なんざんすね。
映画の詳しい感想は、追って投稿します・・・
って、これだけ書けば十分な気がしないでもないが(笑)
2007年09月29日
『ぼくを葬る(おくる)』
これも素晴らしいです。
完全無欠なオゾンも、ちょっと若気の至り気味(笑)
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
05年 仏
監督: フランソワ・オゾン
脚本: フランソワ・オゾン
撮影: ジャンヌ・ラポワリー
出演: メルヴィル・プポー
ジャンヌ・モロー
ヴァレリア・ブルーニ=
テデスキ
ダニエル・デュヴァル
マリー・リヴィエール
クリスチャン・センゲワルト
ルイーズ=アン・ヒッポー
ウゴ・スーザン・トラベルシ
完全無欠なオゾンも、ちょっと若気の至り気味(笑)
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
05年 仏
監督: フランソワ・オゾン
脚本: フランソワ・オゾン
撮影: ジャンヌ・ラポワリー
出演: メルヴィル・プポー
ジャンヌ・モロー
ヴァレリア・ブルーニ=
テデスキ
ダニエル・デュヴァル
マリー・リヴィエール
クリスチャン・センゲワルト
ルイーズ=アン・ヒッポー
ウゴ・スーザン・トラベルシ
2007年09月28日
『ふたりの5つの分かれ路』
これがオゾンの最高傑作!!!
だと、私は思っております。
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
04年 仏
監督: フランソワ・オゾン
脚本: フランソワ・オゾン
エマニュエル・ベルンエイム
撮影: ヨリック・ル・ソー
音楽: フィリップ・ロンビ
出演: ヴァレリア・ブルーニ=
テデスキ
ステファン・フレイス
ジェラルディン・ペラス
フランソワーズ・ファビアン
アントワーヌ・シャピー
マルク・ルシュマン
だと、私は思っております。
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
04年 仏
監督: フランソワ・オゾン
脚本: フランソワ・オゾン
エマニュエル・ベルンエイム
撮影: ヨリック・ル・ソー
音楽: フィリップ・ロンビ
出演: ヴァレリア・ブルーニ=
テデスキ
ステファン・フレイス
ジェラルディン・ペラス
フランソワーズ・ファビアン
アントワーヌ・シャピー
マルク・ルシュマン
2007年09月27日
『8人の女たち』
延ばしに延ばしたオゾンもそろそろレビューしなくては^^;
これほど素晴らしい 「純粋映画」 を撮れる監督って、
今はほとんどいません。オゾンだけかも・・・。
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
02年 仏
監督: フランソワ・オゾン
原作: ロベール・トーマ
脚本: フランソワ・オゾン
マリナ・ドゥ・ヴァン
撮影: ジャンヌ・ラポワリー
音楽: クリシュナ・レヴィ
出演: ダニエル・ダリュー
カトリーヌ・ドヌーヴ
イザベル・ユペール
エマニュエル・ベアール
ファニー・アルダン
ヴィルジニー・ルドワイヤン
リュディヴィーヌ・サニエ
フィルミーヌ・リシャール
これほど素晴らしい 「純粋映画」 を撮れる監督って、
今はほとんどいません。オゾンだけかも・・・。
作品の感想は、遅れて投稿する予定です。
TB、コメントは記事の再更新の時にお願いいたします <(_ _*)>
02年 仏
監督: フランソワ・オゾン
原作: ロベール・トーマ
脚本: フランソワ・オゾン
マリナ・ドゥ・ヴァン
撮影: ジャンヌ・ラポワリー
音楽: クリシュナ・レヴィ
出演: ダニエル・ダリュー
カトリーヌ・ドヌーヴ
イザベル・ユペール
エマニュエル・ベアール
ファニー・アルダン
ヴィルジニー・ルドワイヤン
リュディヴィーヌ・サニエ
フィルミーヌ・リシャール
2007年09月26日
2007年09月23日
★8月の厳選・旧作★
7月がアメリカ映画特集だったので、今回は日本編。
定評のある名作ばかり並べてスイマセン^^;
岡本喜八は 『日本のいちばん長い日』 を紹介する予定でしたが、
私の好みはこっち! ってことで、愚連隊に差し替えました(笑)
増村作品は、別途に特集を組みま〜す。
(感想は追って更新する予定です)
『独立愚連隊』 59年 岡本喜八
『裸の島』 60年 新藤兼人
『座頭市物語』 62年 三隅研次
『しとやかな獣』 62年 川島雄三
『けんかえれじい』 66年 鈴木清順
定評のある名作ばかり並べてスイマセン^^;
岡本喜八は 『日本のいちばん長い日』 を紹介する予定でしたが、
私の好みはこっち! ってことで、愚連隊に差し替えました(笑)
増村作品は、別途に特集を組みま〜す。
(感想は追って更新する予定です)
『独立愚連隊』 59年 岡本喜八
『裸の島』 60年 新藤兼人
『座頭市物語』 62年 三隅研次
『しとやかな獣』 62年 川島雄三
『けんかえれじい』 66年 鈴木清順
2007年09月22日
★07年8月に観た作品★
しばらくは、鑑賞作品の★評価のみ掲載します^^;
根拠も示さず低評価にしたのでは、関係各位や作品ファンに申し訳ないので、追って感想は書き込む予定でおります。
『サウンド・オブ・サンダー』
04年 米・独
ピーター・ハイアムズ
『プロデューサーズ(2005年版)』
05年 米
スーザン・ストローマン
『高校野球 HIGH SCHOOL BASEBALL』
06年 米
ケネス・エング
『理髪店主のかなしみ』
02年
廣木隆一
根拠も示さず低評価にしたのでは、関係各位や作品ファンに申し訳ないので、追って感想は書き込む予定でおります。
『サウンド・オブ・サンダー』
04年 米・独
ピーター・ハイアムズ
『プロデューサーズ(2005年版)』
05年 米
スーザン・ストローマン
『高校野球 HIGH SCHOOL BASEBALL』
06年 米
ケネス・エング
『理髪店主のかなしみ』
02年
廣木隆一
2007年09月21日
『さよならみどりちゃん』
埋もれた傑作を発見! これ、良いです!
BS-i制作の低予算映画。しかも企画物だそうで。
期待しないで観たところ、目からウロコな出来栄え。
古厩って 『この窓は君のもの』、『ロボコン』 と、爽やかで手堅い作風ながら、線が細くて食い足りない佳作の人。
言ってみれば 「夢見る夢男ちゃん」 なのかと思ってたんだけど、本作は地に足がついた女と男の切なくも滑稽なリアル・ドラマ。
意外とデキルじゃん! ヤルじゃん! スゴイじゃん!
ちょっと古厩を見直したな〜。
っていうか、原作と脚本のお手柄かもしれないですが(笑)
04年
監督: 古厩智之
原作: 南Q太
脚本: 渡辺千穂
撮影: 池内義浩
音楽: 遠藤浩二
主題歌: 奥村愛子
出演: 星野真里
西島秀俊
松尾敏伸
岩佐真悠子
小山田サユリ
佐々木すみ江
「サイテー男に惚れてしまったバカ女の話」
と、言ってしまえば実もフタもない物語。
出てくる人間がバカでガキで、盛りのついたヤリチン、ヤリマンばかりじゃないか・・・とのお腹立ちもごもっとも!(笑)
けれど、愚かな人たちを観て、作品まで愚かしいと見下げてしまうのでは、映画を鑑賞する甲斐もない。
「恋って気持ちが先か、身体が先か・・・」
なんて青臭いことを真剣に話していた恥ずかしい時期。フワフワと浮ついていて、セックスがしたくてしょうがない二十代・・・。
皆さんにも、そんな時期があったこと忘れていやしません?(笑)
欲望イコール恋なのだと盲信し、しょうもない異性に入れあげてウジウジと煮え切らない日々を過ごす。
好きになってしまったものは、理屈でスッパリと割り切れるものじゃなし、都合の良い女という立場を甘んじて受け入れてしまう。
いや、むしろダメな野郎だからこそ好きで好きでしょうがなくなる。
そんな泥沼な恋愛ってのもありますよね〜。
およそ映画的になりそうもないモチーフが、これほど映画的で面白いのにはビックリしてしまう。
「謎の女・みどりちゃんとは一体どんなヤツなんだ?」
って興味でとことん引っ張っておいて、ありふれた恋愛模様をサラリと演出する、この呼吸の妙。
人生の断片を切り出し、ドラマチックではない日常を描いていくリアリズム。そこに滲み出す巧まざるユーモアと悲哀。
これはもう日本映画のお家芸というのか、はっきり言って独壇場ともいえる作劇法。
この独特の呼吸に慣れ、面白さを理解してもらうためには、小津作品でも観て、もう一度、映画ってのは何ぞや・・・ってところから考えていただくのがよろしいかも。
特に 「スナック有楽」 では名場面の連続。
酔っ払いたちと主人公の交流は驚くほどにナチュラルで、星野真里という女優は天才なのか・・・なんて勘違いしてしまうほど。
天然ボケの不思議女優が、古厩の絶妙な演出によって地金を引き出され、一世一代の大化け。
もちろん、彼女を盛り立てる佐藤二朗、諏訪太朗らバイプレイヤーたちの好演も忘れてはならないところ。
そして何より、貧弱なヌードを惜しげもなく披露した星野真里の根性もアッパレ!
本作は荒井由美の 「14番目の月」 という曲をモチーフにして作られた企画物らしい。
作品のテーマをエンディング曲の歌詞で補強なんぞしようものなら 「小学生みたいな発想で演出するんじゃねえ! 品がない!」 と怒るものと、私の場合は相場が決まっております(笑)
でも、これは企画だからしょうがない・・・っていうか、思いの外、悪くなくて特にオトガメなし。
私としてはユーミンだろうがムーミンだろうが、映画さえ良ければどっちでも構わないわけですが(笑)
『さよならみどりちゃん』 を最後に 「さよなら」・・・
ってわけではないですが、仕事の都合で映画のレビューはしばらくお休みいたします。気まぐれに雑文など更新するかもしれませんので、時々は覗いてやってくださいませ。
もちろん、『シネマ蟻地獄』 は続きます!
レビュー再開の折にはパワーアップして戻ってまいりますので、乞うご期待!
BS-i制作の低予算映画。しかも企画物だそうで。
期待しないで観たところ、目からウロコな出来栄え。
古厩って 『この窓は君のもの』、『ロボコン』 と、爽やかで手堅い作風ながら、線が細くて食い足りない佳作の人。
言ってみれば 「夢見る夢男ちゃん」 なのかと思ってたんだけど、本作は地に足がついた女と男の切なくも滑稽なリアル・ドラマ。
意外とデキルじゃん! ヤルじゃん! スゴイじゃん!
ちょっと古厩を見直したな〜。
っていうか、原作と脚本のお手柄かもしれないですが(笑)
04年
監督: 古厩智之
原作: 南Q太
脚本: 渡辺千穂
撮影: 池内義浩
音楽: 遠藤浩二
主題歌: 奥村愛子
出演: 星野真里
西島秀俊
松尾敏伸
岩佐真悠子
小山田サユリ
佐々木すみ江
「サイテー男に惚れてしまったバカ女の話」
と、言ってしまえば実もフタもない物語。
出てくる人間がバカでガキで、盛りのついたヤリチン、ヤリマンばかりじゃないか・・・とのお腹立ちもごもっとも!(笑)
けれど、愚かな人たちを観て、作品まで愚かしいと見下げてしまうのでは、映画を鑑賞する甲斐もない。
「恋って気持ちが先か、身体が先か・・・」
なんて青臭いことを真剣に話していた恥ずかしい時期。フワフワと浮ついていて、セックスがしたくてしょうがない二十代・・・。
皆さんにも、そんな時期があったこと忘れていやしません?(笑)
欲望イコール恋なのだと盲信し、しょうもない異性に入れあげてウジウジと煮え切らない日々を過ごす。
好きになってしまったものは、理屈でスッパリと割り切れるものじゃなし、都合の良い女という立場を甘んじて受け入れてしまう。
いや、むしろダメな野郎だからこそ好きで好きでしょうがなくなる。
そんな泥沼な恋愛ってのもありますよね〜。
およそ映画的になりそうもないモチーフが、これほど映画的で面白いのにはビックリしてしまう。
「謎の女・みどりちゃんとは一体どんなヤツなんだ?」
って興味でとことん引っ張っておいて、ありふれた恋愛模様をサラリと演出する、この呼吸の妙。
人生の断片を切り出し、ドラマチックではない日常を描いていくリアリズム。そこに滲み出す巧まざるユーモアと悲哀。
これはもう日本映画のお家芸というのか、はっきり言って独壇場ともいえる作劇法。
この独特の呼吸に慣れ、面白さを理解してもらうためには、小津作品でも観て、もう一度、映画ってのは何ぞや・・・ってところから考えていただくのがよろしいかも。
特に 「スナック有楽」 では名場面の連続。
酔っ払いたちと主人公の交流は驚くほどにナチュラルで、星野真里という女優は天才なのか・・・なんて勘違いしてしまうほど。
天然ボケの不思議女優が、古厩の絶妙な演出によって地金を引き出され、一世一代の大化け。
もちろん、彼女を盛り立てる佐藤二朗、諏訪太朗らバイプレイヤーたちの好演も忘れてはならないところ。
そして何より、貧弱なヌードを惜しげもなく披露した星野真里の根性もアッパレ!
本作は荒井由美の 「14番目の月」 という曲をモチーフにして作られた企画物らしい。
作品のテーマをエンディング曲の歌詞で補強なんぞしようものなら 「小学生みたいな発想で演出するんじゃねえ! 品がない!」 と怒るものと、私の場合は相場が決まっております(笑)
でも、これは企画だからしょうがない・・・っていうか、思いの外、悪くなくて特にオトガメなし。
私としてはユーミンだろうがムーミンだろうが、映画さえ良ければどっちでも構わないわけですが(笑)
『さよならみどりちゃん』 を最後に 「さよなら」・・・
ってわけではないですが、仕事の都合で映画のレビューはしばらくお休みいたします。気まぐれに雑文など更新するかもしれませんので、時々は覗いてやってくださいませ。
もちろん、『シネマ蟻地獄』 は続きます!
レビュー再開の折にはパワーアップして戻ってまいりますので、乞うご期待!
2007年09月20日
『ハードキャンディ』
世の中には・・・
「女性に股間を踏まれながら、汚い言葉で罵られるのが好き」
なんて御仁がいたりするわけです。
中にはもっとハードなマゾヒストもいて、
「尿○に針を刺したり、タ○袋を切って欲しいなり〜!」
ってな、文章にモザイクを掛けたいようなツワモノまでいる^^;
残念なことに?私にはソッチの趣味はなく、
痛いのより気持ちいいのが好き!(ハート)
って、ワザワザ言うこともないか(笑)
おイナリ切られるのと、大倉山からのジャンプと、どっちにする?
みたいな究極の選択を迫られたら・・・
私は迷わずフリチンで大空を舞いますとも!
あ、フリチンじゃなくても良い? さっさと汚いの仕舞えって?
な〜んだ・・・じゃあ、おイナリの方にしょうかな(笑)
05年 米
監督: デヴィッド・スレイド
脚本: ブライアン・ネルソン
撮影: ジョー・ウィレムズ
音楽: ハリー・エスコット
モリー・ナイマン
出演: パトリック・ウィルソン
エレン・ペイジ
サンドラ・オー
ジェニファー・ホームズ
ギルバート・ジョン
【ネタばれ注意】
14歳の少女・ヘイリーは、出会い系サイトで知り合った写真家・ジェフに誘われるまま、彼の自宅へとついて行く。
「飛んで火にいるなんとやら! 赤ずきんちゃん大ピンチ!」
かと思いきや、罠にまんまと嵌められたのは狼のほう。
そして、狼を待ち受けていたのは、恐怖の拷問であった・・・。
「アイデア一発勝負!」 って感じの低予算、早撮り作品かな。
厳密には拷問じゃないけど、男の立場からは明らかに拷問だわな。
「出会い系サイトと性犯罪」 がモチーフじゃなく、「拷問シーン」 から逆算して発想した物語ではないか・・・と、私は思った。
そりゃあ監督は言えないでしょう。自分がいつも妄想しているオナネタを映画化したなんて(笑)
まあ、監督の性的嗜好を勘ぐってもしょうがないか^^;
なぜ私がそう思うかというと・・・
拷問シーンは実によく計算されていて、ここだけで観る価値あり!
のセンセーショナルな内容。
暴力的な直接表現を避け、ネチネチとした会話だけでスリルを生み出す演出はとても秀逸!
もっとも、場所が場所なだけに、映そうにも映せないやね(笑)
その割りに、サスペンス映画としての構成は適当で、荒削りなショットやカット割りが多い。後から登場人物を増やして、いくらか映画的にしてみました・・・って脚本のアラも見えてしまう^^;
まあ、行き当たりばったりな?カメラワークが、逆に密室での心理劇に緊迫感を与えているので、必ずしも時間をかけて綿密に作り上げればいいってものでもないのだけど。
しかしですね・・・
男が拷問を受けるに足るほどの変態野郎なのかどうか、真実が解らないまま物語が進行していくので、誰に加担してストーリーを楽しめば良いのか曖昧なのが困っちゃうわけ。
鑑賞中、妻に訊くと 「男がクロだって証拠も無いのに、明らかにやり過ぎ。少女は常軌を逸している!」 との答。
顔色ひとつかえず男に拷問を加える14歳の少女を観て、狂女とみなすのは正しい映画鑑賞眼という気がする。
一方、私はといえば・・・
「この手の映画は、盛り上がるに越したことはない!」
ってなもので、かなり無責任に観ている映画ズレした男^^;
「少女を自宅に連れ込んだ時点で男はアウト! タマタマに紐をつけてアメリカン・クラッカーみたいにカチカチ鳴らしちゃえ!」
と全面的に少女を応援(笑)
ま、どっちにしても・・・
伏線を張りめぐらせ、小出しに情報を開示して、観客の思惑を巧みに操作する。それが監督の腕の見せ所なはずだけどな〜。
どっちつかずで観ていると、ドキドキ、ハラハラは半減。
もっと立場が二転三転して、少女に絶体絶命のピンチが訪れる。ところが、その裏の攻撃で少女がホームランをかっ飛ばし逆転!
みたいな一進一退の攻防を描いてくれたら、ずっと楽しめるのにな〜と冷静に指摘しながらの鑑賞^^;
そうしたサスペンスの要素を放棄してまで真相を隠そうとする以上は 「お前は何者なんだ?」 という最後の男の問いかけに対する少女の答に、謎を引っ張った効果が最大限に発揮されねばならないはず。
正直なところ、その手のビックリ箱映画にはウンザリなわけですがね。
さりとて構成上、驚愕の種明かしでもなけりゃ、映画的カタルシスも生まれないでしょうに!
男は一体、何をしたのだろうか? あるいは無実なのか?
少女は狂っているのだろうか? それとも復讐鬼なのか?
ミステリーの謎解き部分で、畳み掛けるように盛り上げてくれなくちゃイカンのでは?^^;
「あの時、無意識に投げ捨てた煙草の火が、そんな悲劇を!!!」
みたいなさ・・・ベタやな〜(笑)
実はね・・・
私は観ている最中、これは男の妄想か夢に違いない!
って、ずーっと思ってました^^;
男が気を失ってから目覚めると、映像の色調が変わるのが第一の理由。(あれは単に、時間の経過を示すための光だったわけね)
第二の理由は・・・
気を失った大男を抱え上げ、椅子に座らせて縛ったり、後には不自然な恰好で椅子の上に立ち上がらせたりするなんて、あんなに細くて小さな少女では物理的にムリ(笑)
ツマラナイことを指摘するな!
と思われる方もいるでしょうが、こういうのってミステリーでは常識。
「男を天上の梁から吊るすのは、女には不可能だ。誰か共犯者がいるか、他に真犯人がいるはずだ!」
って、誰もが知っているレトリックじゃないですかね?^^;
まあねえ、映画にウソはつきものですから・・・
『羊たちの沈黙』 で、ガラス張りの牢獄から逃げ出したレクター博士が、看守の皮をなめして天上に張っちゃう。そのシーンを観て、私なんかヤンヤと喜んだわけで^^;
「そんなヒマがあったら、とっとと逃げろよ!」
と指摘するのが正しい気もする(笑)
あっ、色々と文句をつけてますが・・・
本作はバツグンに迫力や緊張感ありますからね!
観る価値十分だから★は3つですよ、奥さん!
いや、ウソくさいけど本当ですってば・・・^^;
センセーショナルな内容だけが取り沙汰され、映画としての出来不出来を指摘する人が少ないかも・・・と、敢えて書いてます。
「性犯罪を繰り返す人間は、やっぱり病気だ!」
「精神的な治療によって更生させるべき!」
「重犯者には、いっそ男の機能を奪う処置を!」
「いや、それは人権蹂躙だ!」
「じゃあ、被害者の人権はどうなんだ!」
といった議論は、どこの国でもあるでしょうね。
いくらなんでも 「去勢法」 は現実味が薄いので、「重度の性犯罪者は枯れるまで鎖に繋いでおこう!」 ってな懲罰は、当たり前に考えられて然るべきでしょう。
そうした示唆、教訓も含め、本作は色んな人に観てもらい、様々に語られて欲しい作品。
特に、手鏡を懐にしのばせて街を徘徊している元大学教授などには、是非とも本作を観てもらいたいもの!(笑)
身だしなみはトイレの鏡で直していただき、ついでに心の身だしなみも正して欲しいと思うわけですな(笑)
かく言う私めも・・・己が変態度には自信がございます!(笑)
でもね、ちょっとくらい変態が入ってるような男のほうが、交際するとスリリングで楽しいに決まってます!(根拠なしw)
あ、単なる変態と、性犯罪者を一緒にしちゃダメですよ!
変態は社会に迷惑を掛けない以上、不健全なる精神を持った健全なる変態なんですから(笑)
「女性に股間を踏まれながら、汚い言葉で罵られるのが好き」
なんて御仁がいたりするわけです。
中にはもっとハードなマゾヒストもいて、
「尿○に針を刺したり、タ○袋を切って欲しいなり〜!」
ってな、文章にモザイクを掛けたいようなツワモノまでいる^^;
残念なことに?私にはソッチの趣味はなく、
痛いのより気持ちいいのが好き!(ハート)
って、ワザワザ言うこともないか(笑)
おイナリ切られるのと、大倉山からのジャンプと、どっちにする?
みたいな究極の選択を迫られたら・・・
私は迷わずフリチンで大空を舞いますとも!
あ、フリチンじゃなくても良い? さっさと汚いの仕舞えって?
な〜んだ・・・じゃあ、おイナリの方にしょうかな(笑)
05年 米
監督: デヴィッド・スレイド
脚本: ブライアン・ネルソン
撮影: ジョー・ウィレムズ
音楽: ハリー・エスコット
モリー・ナイマン
出演: パトリック・ウィルソン
エレン・ペイジ
サンドラ・オー
ジェニファー・ホームズ
ギルバート・ジョン
【ネタばれ注意】
14歳の少女・ヘイリーは、出会い系サイトで知り合った写真家・ジェフに誘われるまま、彼の自宅へとついて行く。
「飛んで火にいるなんとやら! 赤ずきんちゃん大ピンチ!」
かと思いきや、罠にまんまと嵌められたのは狼のほう。
そして、狼を待ち受けていたのは、恐怖の拷問であった・・・。
「アイデア一発勝負!」 って感じの低予算、早撮り作品かな。
厳密には拷問じゃないけど、男の立場からは明らかに拷問だわな。
「出会い系サイトと性犯罪」 がモチーフじゃなく、「拷問シーン」 から逆算して発想した物語ではないか・・・と、私は思った。
そりゃあ監督は言えないでしょう。自分がいつも妄想しているオナネタを映画化したなんて(笑)
まあ、監督の性的嗜好を勘ぐってもしょうがないか^^;
なぜ私がそう思うかというと・・・
拷問シーンは実によく計算されていて、ここだけで観る価値あり!
のセンセーショナルな内容。
暴力的な直接表現を避け、ネチネチとした会話だけでスリルを生み出す演出はとても秀逸!
もっとも、場所が場所なだけに、映そうにも映せないやね(笑)
その割りに、サスペンス映画としての構成は適当で、荒削りなショットやカット割りが多い。後から登場人物を増やして、いくらか映画的にしてみました・・・って脚本のアラも見えてしまう^^;
まあ、行き当たりばったりな?カメラワークが、逆に密室での心理劇に緊迫感を与えているので、必ずしも時間をかけて綿密に作り上げればいいってものでもないのだけど。
しかしですね・・・
男が拷問を受けるに足るほどの変態野郎なのかどうか、真実が解らないまま物語が進行していくので、誰に加担してストーリーを楽しめば良いのか曖昧なのが困っちゃうわけ。
鑑賞中、妻に訊くと 「男がクロだって証拠も無いのに、明らかにやり過ぎ。少女は常軌を逸している!」 との答。
顔色ひとつかえず男に拷問を加える14歳の少女を観て、狂女とみなすのは正しい映画鑑賞眼という気がする。
一方、私はといえば・・・
「この手の映画は、盛り上がるに越したことはない!」
ってなもので、かなり無責任に観ている映画ズレした男^^;
「少女を自宅に連れ込んだ時点で男はアウト! タマタマに紐をつけてアメリカン・クラッカーみたいにカチカチ鳴らしちゃえ!」
と全面的に少女を応援(笑)
ま、どっちにしても・・・
伏線を張りめぐらせ、小出しに情報を開示して、観客の思惑を巧みに操作する。それが監督の腕の見せ所なはずだけどな〜。
どっちつかずで観ていると、ドキドキ、ハラハラは半減。
もっと立場が二転三転して、少女に絶体絶命のピンチが訪れる。ところが、その裏の攻撃で少女がホームランをかっ飛ばし逆転!
みたいな一進一退の攻防を描いてくれたら、ずっと楽しめるのにな〜と冷静に指摘しながらの鑑賞^^;
そうしたサスペンスの要素を放棄してまで真相を隠そうとする以上は 「お前は何者なんだ?」 という最後の男の問いかけに対する少女の答に、謎を引っ張った効果が最大限に発揮されねばならないはず。
正直なところ、その手のビックリ箱映画にはウンザリなわけですがね。
さりとて構成上、驚愕の種明かしでもなけりゃ、映画的カタルシスも生まれないでしょうに!
男は一体、何をしたのだろうか? あるいは無実なのか?
少女は狂っているのだろうか? それとも復讐鬼なのか?
ミステリーの謎解き部分で、畳み掛けるように盛り上げてくれなくちゃイカンのでは?^^;
「あの時、無意識に投げ捨てた煙草の火が、そんな悲劇を!!!」
みたいなさ・・・ベタやな〜(笑)
実はね・・・
私は観ている最中、これは男の妄想か夢に違いない!
って、ずーっと思ってました^^;
男が気を失ってから目覚めると、映像の色調が変わるのが第一の理由。(あれは単に、時間の経過を示すための光だったわけね)
第二の理由は・・・
気を失った大男を抱え上げ、椅子に座らせて縛ったり、後には不自然な恰好で椅子の上に立ち上がらせたりするなんて、あんなに細くて小さな少女では物理的にムリ(笑)
ツマラナイことを指摘するな!
と思われる方もいるでしょうが、こういうのってミステリーでは常識。
「男を天上の梁から吊るすのは、女には不可能だ。誰か共犯者がいるか、他に真犯人がいるはずだ!」
って、誰もが知っているレトリックじゃないですかね?^^;
まあねえ、映画にウソはつきものですから・・・
『羊たちの沈黙』 で、ガラス張りの牢獄から逃げ出したレクター博士が、看守の皮をなめして天上に張っちゃう。そのシーンを観て、私なんかヤンヤと喜んだわけで^^;
「そんなヒマがあったら、とっとと逃げろよ!」
と指摘するのが正しい気もする(笑)
あっ、色々と文句をつけてますが・・・
本作はバツグンに迫力や緊張感ありますからね!
観る価値十分だから★は3つですよ、奥さん!
いや、ウソくさいけど本当ですってば・・・^^;
センセーショナルな内容だけが取り沙汰され、映画としての出来不出来を指摘する人が少ないかも・・・と、敢えて書いてます。
「性犯罪を繰り返す人間は、やっぱり病気だ!」
「精神的な治療によって更生させるべき!」
「重犯者には、いっそ男の機能を奪う処置を!」
「いや、それは人権蹂躙だ!」
「じゃあ、被害者の人権はどうなんだ!」
といった議論は、どこの国でもあるでしょうね。
いくらなんでも 「去勢法」 は現実味が薄いので、「重度の性犯罪者は枯れるまで鎖に繋いでおこう!」 ってな懲罰は、当たり前に考えられて然るべきでしょう。
そうした示唆、教訓も含め、本作は色んな人に観てもらい、様々に語られて欲しい作品。
特に、手鏡を懐にしのばせて街を徘徊している元大学教授などには、是非とも本作を観てもらいたいもの!(笑)
身だしなみはトイレの鏡で直していただき、ついでに心の身だしなみも正して欲しいと思うわけですな(笑)
かく言う私めも・・・己が変態度には自信がございます!(笑)
でもね、ちょっとくらい変態が入ってるような男のほうが、交際するとスリリングで楽しいに決まってます!(根拠なしw)
あ、単なる変態と、性犯罪者を一緒にしちゃダメですよ!
変態は社会に迷惑を掛けない以上、不健全なる精神を持った健全なる変態なんですから(笑)
2007年09月13日
『青春☆金属バット』
こういう映画ばかりを褒めていると、
優一郎は 「相当にバカ」 なのじゃないか・・・
なんて思われるのが怖くて、★は3つにしておきました(笑)
それでなくても、『どんてん生活』 を大絶賛した前歴があるので、
「相当にバカ」 なのは間違いないのですが^^;
バカ映画なら何でも褒めるわけではないので、そこんとこヨロシク!
06年
監督: 熊切和嘉
原作: 古泉智浩
脚本: 宇治田隆史
撮影: 橋本清明
音楽: 赤犬
出演: 竹原ピストル
安藤政信
坂井真紀
上地雄輔
佐藤めぐみ
若松孝二
寺島進
かつて高校野球部に在籍していた補欠とエース。
片や、27歳にして全く冴えないフリーター。
片や、ヤル気ゼロの悪徳警察官。
「俺はどうしてこんなことしてるんだろう・・・」
と、青春時代の挫折を引きずった二人が、バット強盗と警官という立場で再会し、一投一打、入魂の勝負をする・・・ってだけのお話。
こういうのを生真面目で青臭く、はたまた文学的に描かれちゃうと
「おいおい、勘弁してくれよ」
と言いたくなるわけだが、荒唐無稽なコメディにしてくれるとスンナリと受け入れられる。
だって、こんな話を大マジでやられたら恥ずかしいでしょうに(笑)
それにしても・・・
山下敦弘も相当にバカだけど、熊切もバカだねえ(笑)
そもそも、主人公のキャラ設定が 「究極のスイング」 完成を目指し、日々、金属バットを振り続ける男だもん(笑)
「どうして究極のスイングなんだ?」
などと言い出さないでくださいね^^;
それが、映画作者が設定した作品の世界観なんですから。
「ドラえもん」は、21世紀からやってきたネコ型ロボットが、未来の道具を取り出して活躍するって話。
それが作者の設定した世界観。
「なんだリアリティがないな!」 とか・・・
「ドラえもんの描きこみが足りない!」とか・・・
誰も言わないと思うのだけれど(笑)
まあ 「ドラえもん」 ってのは、西部劇だとかホラーだとかと同じように、ジャンルみたいなもので、皆さんの中に予備知識がある。
いきなり、バットを振ってる男やら、ベイブ・ルースの息子と呼ばれる男が出てきたら、なんのこっちゃ・・・と思われても無理はない(笑)
しかしですね・・・
映画ってもんは、登場人物がどんな人間かを説明するのに費やせる時間など、本当に限られたもの。
「どれだけ効率よく省略して、何を重点的に観せるか」
その判断が監督のお仕事。
そういう意味でも、熊切は本当に巧い演出家だと思う。
徹底して状況や人物の説明を省いていながら、バツグンにキャラが立って観えてくる。
笑いのセンスも良いし、何より力の抜き方を心得ている。
正直言って、出演者の演技レベルは高くないが、それを感じさせない演出をしているのが、また巧い(笑)
主人公。花の無いこと、この上なし(笑)
安藤政信が出てきて、やっと映画的になる(笑)
ヒロイン。巨乳のアル中、暴力女。
胸元は特殊メイク、だと思う(笑)
ベーブ・ルースの息子は若松孝二が熱演!
ブリーフ一丁で、体当たりの演技!(笑)
低予算映画で若手監督が好き勝手して、それを楽しむ。
それもまた、贅沢には違いない。
けれど、こういうのを大きな予算でやらせてあげたいな・・・という親心が働いてしまうのは、私だけ?(笑)
若松孝二が劇中で言うわけですよ。
「野球ってのは、まだまだ奥が深いからな」
これは、若手監督たちへの叱咤激励でしょうな。
いや、しかし・・・
本作も北野武の影響が顕著で、『3-4X10月』 をチンマリさせたような映画だ。
おそらく、現代作家で最も影響力を持っているのは、押井守と北野武なのだろうなあ・・・なんてことを、改めて思うのでした。
優一郎は 「相当にバカ」 なのじゃないか・・・
なんて思われるのが怖くて、★は3つにしておきました(笑)
それでなくても、『どんてん生活』 を大絶賛した前歴があるので、
「相当にバカ」 なのは間違いないのですが^^;
バカ映画なら何でも褒めるわけではないので、そこんとこヨロシク!
06年
監督: 熊切和嘉
原作: 古泉智浩
脚本: 宇治田隆史
撮影: 橋本清明
音楽: 赤犬
出演: 竹原ピストル
安藤政信
坂井真紀
上地雄輔
佐藤めぐみ
若松孝二
寺島進
かつて高校野球部に在籍していた補欠とエース。
片や、27歳にして全く冴えないフリーター。
片や、ヤル気ゼロの悪徳警察官。
「俺はどうしてこんなことしてるんだろう・・・」
と、青春時代の挫折を引きずった二人が、バット強盗と警官という立場で再会し、一投一打、入魂の勝負をする・・・ってだけのお話。
こういうのを生真面目で青臭く、はたまた文学的に描かれちゃうと
「おいおい、勘弁してくれよ」
と言いたくなるわけだが、荒唐無稽なコメディにしてくれるとスンナリと受け入れられる。
だって、こんな話を大マジでやられたら恥ずかしいでしょうに(笑)
それにしても・・・
山下敦弘も相当にバカだけど、熊切もバカだねえ(笑)
そもそも、主人公のキャラ設定が 「究極のスイング」 完成を目指し、日々、金属バットを振り続ける男だもん(笑)
「どうして究極のスイングなんだ?」
などと言い出さないでくださいね^^;
それが、映画作者が設定した作品の世界観なんですから。
「ドラえもん」は、21世紀からやってきたネコ型ロボットが、未来の道具を取り出して活躍するって話。
それが作者の設定した世界観。
「なんだリアリティがないな!」 とか・・・
「ドラえもんの描きこみが足りない!」とか・・・
誰も言わないと思うのだけれど(笑)
まあ 「ドラえもん」 ってのは、西部劇だとかホラーだとかと同じように、ジャンルみたいなもので、皆さんの中に予備知識がある。
いきなり、バットを振ってる男やら、ベイブ・ルースの息子と呼ばれる男が出てきたら、なんのこっちゃ・・・と思われても無理はない(笑)
しかしですね・・・
映画ってもんは、登場人物がどんな人間かを説明するのに費やせる時間など、本当に限られたもの。
「どれだけ効率よく省略して、何を重点的に観せるか」
その判断が監督のお仕事。
そういう意味でも、熊切は本当に巧い演出家だと思う。
徹底して状況や人物の説明を省いていながら、バツグンにキャラが立って観えてくる。
笑いのセンスも良いし、何より力の抜き方を心得ている。
正直言って、出演者の演技レベルは高くないが、それを感じさせない演出をしているのが、また巧い(笑)
主人公。花の無いこと、この上なし(笑)
安藤政信が出てきて、やっと映画的になる(笑)
ヒロイン。巨乳のアル中、暴力女。
胸元は特殊メイク、だと思う(笑)
ベーブ・ルースの息子は若松孝二が熱演!
ブリーフ一丁で、体当たりの演技!(笑)
低予算映画で若手監督が好き勝手して、それを楽しむ。
それもまた、贅沢には違いない。
けれど、こういうのを大きな予算でやらせてあげたいな・・・という親心が働いてしまうのは、私だけ?(笑)
若松孝二が劇中で言うわけですよ。
「野球ってのは、まだまだ奥が深いからな」
これは、若手監督たちへの叱咤激励でしょうな。
いや、しかし・・・
本作も北野武の影響が顕著で、『3-4X10月』 をチンマリさせたような映画だ。
おそらく、現代作家で最も影響力を持っているのは、押井守と北野武なのだろうなあ・・・なんてことを、改めて思うのでした。
2007年09月12日
『メルシィ!人生』
なんと申しましょうか・・・
映画って〜のは、面白すぎない程度に面白い・・・
このあたりが、実は一番心地よいと思うことありません?
だって、面白すぎたり、感激しすぎたりすると、観終えてから疲れるでしょ?(笑)
しかも、ブログで記事にするとなれば、なんとか面白さを伝えたいと、ついつい気合が入り、また疲れる(笑)
00年 仏
監督・脚本: フランシス・ヴェベール
撮影: ルチアーノ・トヴォリ
音楽: ウラディミール・コスマ
出演: ダニエル・オートゥイユ
ジェラール・ドパルデュー
ティエリー・レルミット
ミシェル・ラロック
ミシェル・オーモン
ジャン・ロシュフォール
アレクサンドラ・ヴァンダヌート
スタニスラス・クルヴィレン
かつて・・・大学の奨学金を得るため白人青年が黒人に成りすます 『ミスター・ソウルマン』 という作品があったけれど、本作はゲイ差別を利用してリストラを免れるサラリーマンのお話。
『奇人たちの晩餐会』 でハイブロウなフレンチ・コメディを撮ったランシス・ヴェベールの作品で、前作よりも軽妙でハイテンポ。
その分だけ、笑いがハリウッド調に近いメジャーなノリかな。
けれど、前作が演劇的だったのに比べると、より映画的な設定になっていて、私はこちらの方が好き。
テーマがゲイ差別なだけに如才なく風刺を取り入れながらも、嫌味のない爽やかな人生訓といった程度なのもありがたい。
ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。
フランス映画界を代表する役者の共演で、似非ゲイの騒動を描いちゃうってタクラミが、なんとも贅沢で良いではあ〜りませんか!
また、主人公の上司や妻を演じる女優さんたちが、大人の魅力ムンムンで美しいのだわ〜。芳しいのだわ〜。下半身がモンヤリしてくるのだわ〜(笑)
さらには、可愛らしいスコティッシュ・フォールドの子猫も出てきて、私は超ご機嫌♪
たまには気楽に映画を楽しみたいな〜って時には、これオススメ!
「いや、映画ってものは、いつでも気楽に楽しみたいものだ!」
と主張されるあなた・・・あなたは正しい!
「何を言ってるの! 映画は人生そのものよ!」
と熱弁されるあなた・・・
あなたも・・・正しい!(笑)
しかしですよ、コンドーム帽を頭にかぶった男の姿に人生の哀愁を垣間見る必要はまったく無いと思うわけ(笑)
絶妙に力が抜けた演出っていうか、観ているこちらの力が抜け切ってしまうバカらしさ(笑)
とはいえ、人生なんてそれくらい滑稽でアホくさい・・・と思わせてくれる映画って、なんて素敵なんでしょう。
そういう意味では 「メルシィ!人生、メルシィ!映画」。
そういえば、6月の時点で、今年のプロ野球は終わった・・・
と思っていたのに、我がタイガースは破竹の快進撃で今や首位!
「メルシィ!タイガース、メルシィ!岡田」(笑)
いや〜愉快快々、何が起こるかわからないものですよね・・・
人生も、映画も、野球も(笑)
映画って〜のは、面白すぎない程度に面白い・・・
このあたりが、実は一番心地よいと思うことありません?
だって、面白すぎたり、感激しすぎたりすると、観終えてから疲れるでしょ?(笑)
しかも、ブログで記事にするとなれば、なんとか面白さを伝えたいと、ついつい気合が入り、また疲れる(笑)
00年 仏
監督・脚本: フランシス・ヴェベール
撮影: ルチアーノ・トヴォリ
音楽: ウラディミール・コスマ
出演: ダニエル・オートゥイユ
ジェラール・ドパルデュー
ティエリー・レルミット
ミシェル・ラロック
ミシェル・オーモン
ジャン・ロシュフォール
アレクサンドラ・ヴァンダヌート
スタニスラス・クルヴィレン
かつて・・・大学の奨学金を得るため白人青年が黒人に成りすます 『ミスター・ソウルマン』 という作品があったけれど、本作はゲイ差別を利用してリストラを免れるサラリーマンのお話。
『奇人たちの晩餐会』 でハイブロウなフレンチ・コメディを撮ったランシス・ヴェベールの作品で、前作よりも軽妙でハイテンポ。
その分だけ、笑いがハリウッド調に近いメジャーなノリかな。
けれど、前作が演劇的だったのに比べると、より映画的な設定になっていて、私はこちらの方が好き。
テーマがゲイ差別なだけに如才なく風刺を取り入れながらも、嫌味のない爽やかな人生訓といった程度なのもありがたい。
ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。
フランス映画界を代表する役者の共演で、似非ゲイの騒動を描いちゃうってタクラミが、なんとも贅沢で良いではあ〜りませんか!
また、主人公の上司や妻を演じる女優さんたちが、大人の魅力ムンムンで美しいのだわ〜。芳しいのだわ〜。下半身がモンヤリしてくるのだわ〜(笑)
さらには、可愛らしいスコティッシュ・フォールドの子猫も出てきて、私は超ご機嫌♪
たまには気楽に映画を楽しみたいな〜って時には、これオススメ!
「いや、映画ってものは、いつでも気楽に楽しみたいものだ!」
と主張されるあなた・・・あなたは正しい!
「何を言ってるの! 映画は人生そのものよ!」
と熱弁されるあなた・・・
あなたも・・・正しい!(笑)
しかしですよ、コンドーム帽を頭にかぶった男の姿に人生の哀愁を垣間見る必要はまったく無いと思うわけ(笑)
絶妙に力が抜けた演出っていうか、観ているこちらの力が抜け切ってしまうバカらしさ(笑)
とはいえ、人生なんてそれくらい滑稽でアホくさい・・・と思わせてくれる映画って、なんて素敵なんでしょう。
そういう意味では 「メルシィ!人生、メルシィ!映画」。
そういえば、6月の時点で、今年のプロ野球は終わった・・・
と思っていたのに、我がタイガースは破竹の快進撃で今や首位!
「メルシィ!タイガース、メルシィ!岡田」(笑)
いや〜愉快快々、何が起こるかわからないものですよね・・・
人生も、映画も、野球も(笑)
2007年09月11日
『スーパーマン リターンズ』
主演のブランドン・ラウスは、まさに新スーパーマン役者にふさわしきナイス・ルッキング・ガイ!
カノウ姉妹の恭子さんも大絶賛されたことでしょう!(笑)
加えて最新VFXを駆使してアクションもパワー・アップ!
前シリーズのファンも、納得の出来栄えではないでしょうかね。
06年 米
監督: ブライアン・シンガー
脚本: マイケル・ドハティ
ダン・ハリス
撮影: ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽: ジョン・オットマン
テーマ音楽: ジョン・ウィリアムズ
出演: ブランドン・ラウス
ケヴィン・スペイシー
ケイト・ボスワース
ジェームズ・マースデン
フランク・ランジェラ
バットマンがタイツを脱ぎ、X-MENのウルヴァリンも私服で登場する。「タイツを穿いたヒーロー」 を揶揄してパロディにすることさえ時代遅れな今日。
そんな時代の趨勢に抗い、マイナーチェンジしたとはいえ赤いマントにモッコリ・タイツで決めたレトロ・ヒーローの復活は、とっても潔いと思う(笑)
そもそもが、このアナクロ・ヒーローさん。
敵と戦うってよりは、ひたすら市民の生活を守る 「ひとりレスキュー隊隊長」 みたいな人(人じゃないけど)。
火事だの車の暴走だの、ちょっとした事件事故にも気まぐれで?レスキューに赴くわけであります。
しかしですよ・・・
この世にスーパーマンなるお方が実在したら、ビルの屋上からオチオチ投身自殺もしてられない(笑)
路上で百円を拾いポケットに忍ばせたとたん、スーパーマンが飛んできて
「チッチッチ! ダメだよ優さん、お金は交番に届けようね」
なんて、爽やかな笑顔で言われちゃったりして、市民のささやかな幸福までもが奪われかねないのですな(笑)
全くもって嫌な世の中になる気がしてしまうのは、私だけでしょうかね?^^;
さて、スーパーマンのスーパー大売出しみたいな活躍を観ている分には、痛快この上ないわけですが・・・
ヒーローに人間的な弱点を与え、ドラマを面白く見せようとする昨今の風潮にまでは抗えなかったようで^^;
他の男と結婚してしまったかつての恋人をストーキングした挙句、スーパーな能力で彼女と夫の会話を盗み聞きするクダリは、さすがにいただけない!!!(笑)
クラーク・ケントの姿で恋に悩むなら、まだ許せるかと思うけど^^;
言うに及ばず監督のブライアン・シンガーは実力派監督。
しかし、彼が得意なのは 『X-MEN』 のアダルティでダークな世界観。清く正しく美しいスーパーマンの演出には不向きな気がしてしまう。
リチャード・ドナー編のように、大人から子供まで幅広く楽しめる単純明快なスーパーマンが観たかった! それが私の本音。
こうなったら、とことん 「大人のスーパーマン」 を突き詰めてみてはどうだろう。
夜は居酒屋で店の酒を飲み干し、仲間と雀荘にしけこみ大三元!
週末にはゴルフで500ヤードの超ロング・ショット連発!
えっ!?
それって、スーパーマンじゃなく、単なるスーパー・サラリーマンじゃないかって?
ヒーローに人間的な弱点を与えてみました(笑)
(例によって「8月に観た映画」で、まとめるつもりだったのですが、小出しで日々更新するセコい方法に変えました・苦笑)
カノウ姉妹の恭子さんも大絶賛されたことでしょう!(笑)
加えて最新VFXを駆使してアクションもパワー・アップ!
前シリーズのファンも、納得の出来栄えではないでしょうかね。
06年 米
監督: ブライアン・シンガー
脚本: マイケル・ドハティ
ダン・ハリス
撮影: ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽: ジョン・オットマン
テーマ音楽: ジョン・ウィリアムズ
出演: ブランドン・ラウス
ケヴィン・スペイシー
ケイト・ボスワース
ジェームズ・マースデン
フランク・ランジェラ
バットマンがタイツを脱ぎ、X-MENのウルヴァリンも私服で登場する。「タイツを穿いたヒーロー」 を揶揄してパロディにすることさえ時代遅れな今日。
そんな時代の趨勢に抗い、マイナーチェンジしたとはいえ赤いマントにモッコリ・タイツで決めたレトロ・ヒーローの復活は、とっても潔いと思う(笑)
そもそもが、このアナクロ・ヒーローさん。
敵と戦うってよりは、ひたすら市民の生活を守る 「ひとりレスキュー隊隊長」 みたいな人(人じゃないけど)。
火事だの車の暴走だの、ちょっとした事件事故にも気まぐれで?レスキューに赴くわけであります。
しかしですよ・・・
この世にスーパーマンなるお方が実在したら、ビルの屋上からオチオチ投身自殺もしてられない(笑)
路上で百円を拾いポケットに忍ばせたとたん、スーパーマンが飛んできて
「チッチッチ! ダメだよ優さん、お金は交番に届けようね」
なんて、爽やかな笑顔で言われちゃったりして、市民のささやかな幸福までもが奪われかねないのですな(笑)
全くもって嫌な世の中になる気がしてしまうのは、私だけでしょうかね?^^;
さて、スーパーマンのスーパー大売出しみたいな活躍を観ている分には、痛快この上ないわけですが・・・
ヒーローに人間的な弱点を与え、ドラマを面白く見せようとする昨今の風潮にまでは抗えなかったようで^^;
他の男と結婚してしまったかつての恋人をストーキングした挙句、スーパーな能力で彼女と夫の会話を盗み聞きするクダリは、さすがにいただけない!!!(笑)
クラーク・ケントの姿で恋に悩むなら、まだ許せるかと思うけど^^;
言うに及ばず監督のブライアン・シンガーは実力派監督。
しかし、彼が得意なのは 『X-MEN』 のアダルティでダークな世界観。清く正しく美しいスーパーマンの演出には不向きな気がしてしまう。
リチャード・ドナー編のように、大人から子供まで幅広く楽しめる単純明快なスーパーマンが観たかった! それが私の本音。
こうなったら、とことん 「大人のスーパーマン」 を突き詰めてみてはどうだろう。
夜は居酒屋で店の酒を飲み干し、仲間と雀荘にしけこみ大三元!
週末にはゴルフで500ヤードの超ロング・ショット連発!
えっ!?
それって、スーパーマンじゃなく、単なるスーパー・サラリーマンじゃないかって?
ヒーローに人間的な弱点を与えてみました(笑)
(例によって「8月に観た映画」で、まとめるつもりだったのですが、小出しで日々更新するセコい方法に変えました・苦笑)
2007年09月06日
TBに関するお報せ
現在、トラックバック・スパムが増えて難儀いたしております。
そのため、TBが即時に反映されない設定に変え、内容確認した後に表示させています。
何度もトラックバックを繰り返し行っていただいた皆様には、お報せが遅れて、大変ご迷惑をおかけしました。
しばらくご不便をおかけいたしますが、よろしくご理解の上、ご協力をお願いいたします。
シネマ蟻地獄管理人 優一郎
そのため、TBが即時に反映されない設定に変え、内容確認した後に表示させています。
何度もトラックバックを繰り返し行っていただいた皆様には、お報せが遅れて、大変ご迷惑をおかけしました。
しばらくご不便をおかけいたしますが、よろしくご理解の上、ご協力をお願いいたします。
シネマ蟻地獄管理人 優一郎
2007年09月05日
『闇打つ心臓 HEART,BEATING IN THE DARK』
な〜んだ、長崎俊一か・・・
なんて言ってる人! 誰ですか!?(笑)
確かに、近ごろはパッとした活躍してない印象ありますかね。
韓国映画のリメイクを撮ってる場合じゃないだろうとか・・・
ま、色々と大変なのよ。日本の映画界で生き残っていくのは^^;
しかし、これはかなり面白いですよ!
多分、レンタル屋さんではDVDを一枚しか扱っていないかも。
是非とも、邦画の棚を探して、見つけてくださ〜い!
05年
監督・脚本: 長崎俊一
撮影: 猪本雅三
音楽: 大友良英
エンディングテーマ: カヒミ・カリィ
出演: 内藤剛志
室井滋
本多章一
江口のりこ
諏訪太朗
水島かおり
1982年に長崎が撮った8mm映画 『闇打つ心臓』。
本作は、長崎自らによる35mm作品でのリメイクです。
とはいえ・・・本作4つのパートで構成されています。
リメイク版だけだったら★は2つ止まりだったかもしれません(笑)
その1
82年に出演していた内藤剛志、室井滋が昔の役柄で出てきます。
リメイクというよりは、その後の二人。続編でしょうかね。
その2
内藤や室井が演じていた 「子供を虐待死させた夫婦」 と同じ設定の若者たちの物語も同時進行します。
その3
オリジナル作品の映像がドラマと並行して挿入されます。
内藤や室井の若いこと! 諏訪太朗もフサフサです!(笑)
その4
打ち合わせやリハーサルなど、楽屋裏のドキュメンタリーも挿入。
なんてったって、これがミソ! 漢・内藤が見所です!(笑)
その4 (おまけ1)
「リメイクに出演したい! 23年前の自分を殴りたいんだ!」
制作の佐々木史朗に役者魂をまくし立てる内藤。
その4 (おまけ2)
本読みの途中で内藤剛志が怒って帰っちゃったりして!(笑)
その4 (おまけ3)
突然、暴走しちゃう内藤アニキ! 行け行け!(笑)
23年前の作品をリメイクする意味とは何か・・・
そんな作り手たちの思いが観えてくるトリッキーな構造の傑作です。
80年代、長崎や石井聰亙らが自主制作で8mmを回していた熱い時代。あれは何だったんだろう・・・みたいな部分も透かし観えてきます。
特典映像を含めて、映画好きにはたまらない逸品のはず!
観て損はこかない、こかせないです!(笑)
『闇打つ心臓』公式サイトはこちら!
なぜか黒沢清のインタビューも掲載されてます(笑)
なんて言ってる人! 誰ですか!?(笑)
確かに、近ごろはパッとした活躍してない印象ありますかね。
韓国映画のリメイクを撮ってる場合じゃないだろうとか・・・
ま、色々と大変なのよ。日本の映画界で生き残っていくのは^^;
しかし、これはかなり面白いですよ!
多分、レンタル屋さんではDVDを一枚しか扱っていないかも。
是非とも、邦画の棚を探して、見つけてくださ〜い!
05年
監督・脚本: 長崎俊一
撮影: 猪本雅三
音楽: 大友良英
エンディングテーマ: カヒミ・カリィ
出演: 内藤剛志
室井滋
本多章一
江口のりこ
諏訪太朗
水島かおり
1982年に長崎が撮った8mm映画 『闇打つ心臓』。
本作は、長崎自らによる35mm作品でのリメイクです。
とはいえ・・・本作4つのパートで構成されています。
リメイク版だけだったら★は2つ止まりだったかもしれません(笑)
その1
82年に出演していた内藤剛志、室井滋が昔の役柄で出てきます。
リメイクというよりは、その後の二人。続編でしょうかね。
その2
内藤や室井が演じていた 「子供を虐待死させた夫婦」 と同じ設定の若者たちの物語も同時進行します。
その3
オリジナル作品の映像がドラマと並行して挿入されます。
内藤や室井の若いこと! 諏訪太朗もフサフサです!(笑)
その4
打ち合わせやリハーサルなど、楽屋裏のドキュメンタリーも挿入。
なんてったって、これがミソ! 漢・内藤が見所です!(笑)
その4 (おまけ1)
「リメイクに出演したい! 23年前の自分を殴りたいんだ!」
制作の佐々木史朗に役者魂をまくし立てる内藤。
その4 (おまけ2)
本読みの途中で内藤剛志が怒って帰っちゃったりして!(笑)
その4 (おまけ3)
突然、暴走しちゃう内藤アニキ! 行け行け!(笑)
23年前の作品をリメイクする意味とは何か・・・
そんな作り手たちの思いが観えてくるトリッキーな構造の傑作です。
80年代、長崎や石井聰亙らが自主制作で8mmを回していた熱い時代。あれは何だったんだろう・・・みたいな部分も透かし観えてきます。
特典映像を含めて、映画好きにはたまらない逸品のはず!
観て損はこかない、こかせないです!(笑)
『闇打つ心臓』公式サイトはこちら!
なぜか黒沢清のインタビューも掲載されてます(笑)
2007年09月04日
『グエムル -漢江の怪物-』
オープニングは漢江に降り注ぐ雨の描写・・・。
その重厚な映像だけでポン・ジュノ作品だと言い当てられると思った。
これほど傑出した映画監督が、今どれほどいるだろう?
しかも、ポン・ジュノはこれが三作目なのだ。
一作目は森田芳光テイストのコメディ。
二作目が 『砂の器』 を思わせる傑作ミステリー。
そして本作は、いよいよゴジラである!
ポン・ジュノこそが日本映画の正当なる継承者!
とみなすのは、いささか早計だろうか(笑)
06年 韓
監督: ポン・ジュノ
脚本: ポン・ジュノ
ハ・ジョンウォン
パク・チョルヒョン
撮影: キム・ヒョング
音楽: イ・ビョンウ
出演: ソン・ガンホ
ピョン・ヒボン
パク・ヘイル
ペ・ドゥナ
コ・アソン
イ・ジェウン
●怪獣パニック映画の復権と新セオリー
「なんて新しいんだ!」
その言葉を、私は本作を観ながら二度も発し、興奮で悶絶した。
いわゆる怪獣パニック映画は、怪獣の正体、全貌を観せず、できるだけストーリーを引っ張るものと相場が決まっている。
ところがどっこい、このポン・ジュノときたら・・・
全く出し惜しみなどしないのだ。
いきなり全貌を現す-漢江の怪物-グエムル!
その見事なほどの暴れっぷり、パニック演出の切れ味、
程よき怪物のサイズ設定やら、異形のクリーチャー・デザイン、
CGの完成度と巧緻な画像合成に至るまで、ケチのつけようもない。
従来の特撮映画が、都市を破壊する巨大怪獣といったダイナミズムで勝負していたのに比べ、ポン・ジュノは殺戮を繰り広げる小規模な怪物をスピーディーに描くことで、新たなダイナミズムを構築している。
こうした表現は既にしてスピルバーグやキャメロンが実現していたと言ってしまえば確かにその通り。
しかし、それをSF的空間ではない日常世界に持ち込み、しかもアジアの景観の中に登場させたことは全くもって新しいと言わねばなるまい。
二度目の 「なんて新しいんだ!」 は、グエムルに少女をさらわれた家族の反応を観た瞬間の感想だ。
床を転げまわり、駄々っ子のように泣きじゃくる大人たち。
驚くなかれ! 本作は、コメディ・タッチのドラマなのだ。
本来、怪獣パニックというだけで映画は荒唐無稽になる。
その荒唐無稽さをはぐらかすため、ドラマ部分はシリアスに演出し、科学的ロジックなどを導入して物語にリアリズムを付与するのが、これまでの怪獣映画のセオリー。
だが、本作は荒唐無稽なストーリーの上にコメディを塗りこんでなおリアリティを失っていない。これはポン・ジュノの全作に共通する特徴で、コミカルなシーンとシリアスなシーンを一定のテンションで統一させる手腕は、怪力としか評しようのない演出力である。
●ポン・ジュノが持ち込んだ商業映画のタブー
さらに本作が面白いのは、ゴジラが原水爆実験によって生み出された怪獣である点をも踏襲し、文明批判に代わって反米思想を隠しテーマにしているところにもある。
怪物の出現原因が米軍基地の過失であるというだけに留まらず、怪物が未知のウィルスを媒介しているホストと誤認して厳戒態勢を布くアメリカ軍を描くあたりは、大量破壊兵器の存在を主張してイラクを攻撃した大国の驕りに対する揶揄であろう。
また、怪物が人間を捕食するだけでなく、生きたまま拉致する不気味さは、北朝鮮のイメージと重なって見えてくる。娘を取り戻そうと奮戦する家族の姿に、北朝鮮による日本人拉致問題の家族をダブらせて観た方もいたのではないか。
全体主義の怪物国家を作り上げてしまった背景に、米ソによる朝鮮戦争への軍事介入があった歴史的事実をも踏まえて、ポン・ジュノが辛口なドラマを作劇したとみなして間違いないだろう。
映画で露骨な反米思想を描くのは、日本においては暗黙のタブー。沖縄の米軍基地問題を取り上げたドキュメンタリーはあっても、商業映画、とりわけ娯楽作品の中では背景としてしか描けぬ限界がある。
いや、日本に限らず、他国のネガティヴ・キャンペーンを堂々と描いた作品など、最近とんと目にしたことがない。
本作の映画化にあたって 『殺人の追憶』 での成功が大きく作用しただろうことは言うまでもないが、若い世代を中心に反米ムードが高まっている韓国国内の風潮が、本作を後押しし、大ヒットに繋がったのは想像に難くない。
あるいは、娯楽作品の常識では考えられないような子供の死が結末に待っている本作に対して、嫌悪感を抱かれた方もいただろう。
これは韓国映画の未成熟さと無縁ではないと私は考える。
韓国映画界は性描写に関する規定が厳しい一方で、暴力描写に関しては驚くほどに規制がユルイ印象があるのだ。
ポン・ジュノのデビュー作 『吠える犬は噛まない』 では、動物虐待をコメディにしているが、日本はもとより動物愛護団体のロビイングが盛んな欧米では考えられないルーズさ。
ある意味、そうしたユルイ規制を逆手に取り、ポン・ジュノはドラスティックな映像表現を敢えて選んで活用しているとさえ思われる。
「反米思想を織り込んだブラック・コメディ怪獣映画」
日本ではB級の予算でパロディを作るくらいでしか成立しないであろう企画が、韓国では堂々たるA級作品として作られる。
何かと過剰過敏な日本映画界の表現規制を思うにつけ、表現者の自由が保障された韓国映画の実情は羨ましい環境には違いない。
もちろん、反米思想はあくまでも隠し味として物語に紛れ込ませ、怪物と対決する家族のドラマといった娯楽表現に徹しているポン・ジュノの演出は、パニック映画の本質から外れることはない。
「ゴジラ」 を観た観客は 「原水爆実験が生み出した怪獣」 といった社会風刺的な設定に対して感動するわけではなく、ゴジラが放射能を噴き出しながら東京のビル群を破壊する姿、つまり映画でしか味わえない映像表現のダイナミズムに感銘を受けるのだ。
もっとも、オープニングから展開されるグエルムの暴れっぷりが圧巻で、それ以降は観ている方も演出も息切れしてしまう感は否めない。あまりのテンションの高さゆえ、中だるみを感じてしまうのだ。
例えば、父親の死によって主人公が無力感にさいなまれるシークエンスなどは、前作 『殺人の追憶』 で最も効果的だった刑事たちの焦燥感、無力感、悲壮感の演出を、まんま転用しちゃったのね(笑)
自作の二番煎じがイケナイとは言わないけれど、前作ほどのインパクトが感じられない以上は、違った表現が観たかったところ。
贅沢な要求になってしまうが・・・。
●ポン・ジュノは映画界のグエルムである
日本のお家芸であり、邦画文化の象徴的存在でもあった「ゴジラ」。
しかし、いつしかゴジラは子供たちのヒーローへと様変わりし、平成の新シリーズに至っては、大人の鑑賞に堪えうるようなダイナミズムもドラマ性も失ってしまった。
一方、ゴジラの元ネタ 『原子怪獣現る』 を筆頭に、ゾンビだエイリアンだと次々に新境地を開拓してきたハリウッド。
ところが90年代に入り、怪獣映画はCG表現こそが主役となり、演出の冴えやドラマの面白さは二の次、三の次。大量消費的で子供だましなモンスターたちが跋扈するようになる。
そうした時流の中、本作のオリジナリティについて言及する以前に、映画の歴史を巧みに融合させた全く新しい怪獣パニック映画が、韓国から生まれた意義を賞賛すべきではなかろうか。
ポン・ジュノこそが映画界のグエムル!
褒めすぎて褒め足りることなどないくらいである。
仮に日本のアニメをパクっていたとしても、面白ければいいじゃないか!(笑)
その重厚な映像だけでポン・ジュノ作品だと言い当てられると思った。
これほど傑出した映画監督が、今どれほどいるだろう?
しかも、ポン・ジュノはこれが三作目なのだ。
一作目は森田芳光テイストのコメディ。
二作目が 『砂の器』 を思わせる傑作ミステリー。
そして本作は、いよいよゴジラである!
ポン・ジュノこそが日本映画の正当なる継承者!
とみなすのは、いささか早計だろうか(笑)
06年 韓
監督: ポン・ジュノ
脚本: ポン・ジュノ
ハ・ジョンウォン
パク・チョルヒョン
撮影: キム・ヒョング
音楽: イ・ビョンウ
出演: ソン・ガンホ
ピョン・ヒボン
パク・ヘイル
ペ・ドゥナ
コ・アソン
イ・ジェウン
●怪獣パニック映画の復権と新セオリー
「なんて新しいんだ!」
その言葉を、私は本作を観ながら二度も発し、興奮で悶絶した。
いわゆる怪獣パニック映画は、怪獣の正体、全貌を観せず、できるだけストーリーを引っ張るものと相場が決まっている。
ところがどっこい、このポン・ジュノときたら・・・
全く出し惜しみなどしないのだ。
いきなり全貌を現す-漢江の怪物-グエムル!
その見事なほどの暴れっぷり、パニック演出の切れ味、
程よき怪物のサイズ設定やら、異形のクリーチャー・デザイン、
CGの完成度と巧緻な画像合成に至るまで、ケチのつけようもない。
従来の特撮映画が、都市を破壊する巨大怪獣といったダイナミズムで勝負していたのに比べ、ポン・ジュノは殺戮を繰り広げる小規模な怪物をスピーディーに描くことで、新たなダイナミズムを構築している。
こうした表現は既にしてスピルバーグやキャメロンが実現していたと言ってしまえば確かにその通り。
しかし、それをSF的空間ではない日常世界に持ち込み、しかもアジアの景観の中に登場させたことは全くもって新しいと言わねばなるまい。
二度目の 「なんて新しいんだ!」 は、グエムルに少女をさらわれた家族の反応を観た瞬間の感想だ。
床を転げまわり、駄々っ子のように泣きじゃくる大人たち。
驚くなかれ! 本作は、コメディ・タッチのドラマなのだ。
本来、怪獣パニックというだけで映画は荒唐無稽になる。
その荒唐無稽さをはぐらかすため、ドラマ部分はシリアスに演出し、科学的ロジックなどを導入して物語にリアリズムを付与するのが、これまでの怪獣映画のセオリー。
だが、本作は荒唐無稽なストーリーの上にコメディを塗りこんでなおリアリティを失っていない。これはポン・ジュノの全作に共通する特徴で、コミカルなシーンとシリアスなシーンを一定のテンションで統一させる手腕は、怪力としか評しようのない演出力である。
●ポン・ジュノが持ち込んだ商業映画のタブー
さらに本作が面白いのは、ゴジラが原水爆実験によって生み出された怪獣である点をも踏襲し、文明批判に代わって反米思想を隠しテーマにしているところにもある。
怪物の出現原因が米軍基地の過失であるというだけに留まらず、怪物が未知のウィルスを媒介しているホストと誤認して厳戒態勢を布くアメリカ軍を描くあたりは、大量破壊兵器の存在を主張してイラクを攻撃した大国の驕りに対する揶揄であろう。
また、怪物が人間を捕食するだけでなく、生きたまま拉致する不気味さは、北朝鮮のイメージと重なって見えてくる。娘を取り戻そうと奮戦する家族の姿に、北朝鮮による日本人拉致問題の家族をダブらせて観た方もいたのではないか。
全体主義の怪物国家を作り上げてしまった背景に、米ソによる朝鮮戦争への軍事介入があった歴史的事実をも踏まえて、ポン・ジュノが辛口なドラマを作劇したとみなして間違いないだろう。
映画で露骨な反米思想を描くのは、日本においては暗黙のタブー。沖縄の米軍基地問題を取り上げたドキュメンタリーはあっても、商業映画、とりわけ娯楽作品の中では背景としてしか描けぬ限界がある。
いや、日本に限らず、他国のネガティヴ・キャンペーンを堂々と描いた作品など、最近とんと目にしたことがない。
本作の映画化にあたって 『殺人の追憶』 での成功が大きく作用しただろうことは言うまでもないが、若い世代を中心に反米ムードが高まっている韓国国内の風潮が、本作を後押しし、大ヒットに繋がったのは想像に難くない。
あるいは、娯楽作品の常識では考えられないような子供の死が結末に待っている本作に対して、嫌悪感を抱かれた方もいただろう。
これは韓国映画の未成熟さと無縁ではないと私は考える。
韓国映画界は性描写に関する規定が厳しい一方で、暴力描写に関しては驚くほどに規制がユルイ印象があるのだ。
ポン・ジュノのデビュー作 『吠える犬は噛まない』 では、動物虐待をコメディにしているが、日本はもとより動物愛護団体のロビイングが盛んな欧米では考えられないルーズさ。
ある意味、そうしたユルイ規制を逆手に取り、ポン・ジュノはドラスティックな映像表現を敢えて選んで活用しているとさえ思われる。
「反米思想を織り込んだブラック・コメディ怪獣映画」
日本ではB級の予算でパロディを作るくらいでしか成立しないであろう企画が、韓国では堂々たるA級作品として作られる。
何かと過剰過敏な日本映画界の表現規制を思うにつけ、表現者の自由が保障された韓国映画の実情は羨ましい環境には違いない。
もちろん、反米思想はあくまでも隠し味として物語に紛れ込ませ、怪物と対決する家族のドラマといった娯楽表現に徹しているポン・ジュノの演出は、パニック映画の本質から外れることはない。
「ゴジラ」 を観た観客は 「原水爆実験が生み出した怪獣」 といった社会風刺的な設定に対して感動するわけではなく、ゴジラが放射能を噴き出しながら東京のビル群を破壊する姿、つまり映画でしか味わえない映像表現のダイナミズムに感銘を受けるのだ。
もっとも、オープニングから展開されるグエルムの暴れっぷりが圧巻で、それ以降は観ている方も演出も息切れしてしまう感は否めない。あまりのテンションの高さゆえ、中だるみを感じてしまうのだ。
例えば、父親の死によって主人公が無力感にさいなまれるシークエンスなどは、前作 『殺人の追憶』 で最も効果的だった刑事たちの焦燥感、無力感、悲壮感の演出を、まんま転用しちゃったのね(笑)
自作の二番煎じがイケナイとは言わないけれど、前作ほどのインパクトが感じられない以上は、違った表現が観たかったところ。
贅沢な要求になってしまうが・・・。
●ポン・ジュノは映画界のグエルムである
日本のお家芸であり、邦画文化の象徴的存在でもあった「ゴジラ」。
しかし、いつしかゴジラは子供たちのヒーローへと様変わりし、平成の新シリーズに至っては、大人の鑑賞に堪えうるようなダイナミズムもドラマ性も失ってしまった。
一方、ゴジラの元ネタ 『原子怪獣現る』 を筆頭に、ゾンビだエイリアンだと次々に新境地を開拓してきたハリウッド。
ところが90年代に入り、怪獣映画はCG表現こそが主役となり、演出の冴えやドラマの面白さは二の次、三の次。大量消費的で子供だましなモンスターたちが跋扈するようになる。
そうした時流の中、本作のオリジナリティについて言及する以前に、映画の歴史を巧みに融合させた全く新しい怪獣パニック映画が、韓国から生まれた意義を賞賛すべきではなかろうか。
ポン・ジュノこそが映画界のグエムル!
褒めすぎて褒め足りることなどないくらいである。
仮に日本のアニメをパクっていたとしても、面白ければいいじゃないか!(笑)
2007年08月24日
『最高殊勲夫人』 その2
「母親が廊下を横切る」だけで、どこが面白いのか?
とご質問を受けましたので、真摯に答えさせていただきま〜す。
どんどんとマニアックな話になってまいりますが、映画を楽しく観るためのマニアルってふうにお考えくださいませ。
これはハイアングルとはいえ、ちょっと小津作品を思わせる構図。
父親を中心にして男二人が左右に配置されております。
そこへ若尾文子が奥から登場。画面の手前へと移動してきます。
映画と平板な紙に書かれた絵との違いは、こうした縦の移動によって奥行きを利用できるところ。
若尾文子が手前の空きスペースに陣取ります。
主役二人が父親を挟んでシンメトリーに並び、三角形の構図を作っています。これでグッと画が引き締まって見えません?
パースペクティヴによって、部屋の奥行きが強調されております。
さらに最奥のスペースに母親が登場。
この瞬間、父親を中心として放射線状に人物が配置されました。
俯瞰図で観るとこんな感じ。(便宜的に分かりやすく図にしました)
ちょうどサイコロの5みたいになって、構図が安定した四角形に変わります。
カメラの切り返しで、今度は若い三人の三角形が出来上がっています。
もちろん、これは三角関係を分かりやすく構図にしてくれているのですが、実は次のカットのための間でもあります。
廊下を移動していた母親が、父親の横から顔を出しています。
「壁に耳あり、障子に目あり」 の図ですね。
さしずめ 「障子に耳あり」。母親が聞き耳を立てているわけです。
手前で会話をしている人たちがメインなわけですが、奥行きを最大限に利用して人を動かし、刻々と人物の配置を変えていく。
こうした演出を私は映画的と呼び、粋(いき)だ! と褒めます。
世界のクロサワこと・・・黒沢清がお得意の手法です(笑)
じゃあ、なぜ関係ない人物を背景で動かすかというと・・・
スクリーンで見えている人物の他にも、本来は見えざる人々が映画の世界には住んでいるはず。
ですが、映画ってのは所詮、作り物。
川口浩と若尾文子、二人の芝居の時に、宮口精二は楽屋でタバコをふかしているのかもしれない(笑)
そういった映画のウソを観客に感じさせないためには、この家庭に住んでいる人たちをオン・スクリーンで動かしてやるのがスマート。
実際、このシークエンスには弟も背景で動いたりします。
これなんかも、縦の空間を生かした面白い画作り。
本作では粋な画が頻出して、どこを切り取っても美しい。
私が言うパーフェクト・ピクチャとはそういう意味です。
やはり、このカットも花瓶に活けられた花を中心にして、女性たちが放射状に配置され、見事に調和の取れた構図。
必ずしもシンメトリーなのが良いわけでなく、どこまでをフレームに入れるか、何を映して何を映さないか、といった取捨が監督の力量。
役者がいて、室内装飾や衣装やヘアメイクなどの美術さんがいて、それらを生かすための照明があり、様々な要素が組み合わさって作品は成り立っています。
写真の連続が映画。ならば、美しい写真がどれだけ連なるか。それが映画の良し悪しであるとも言えます。
この究極が現代作家ではフランソワ・オゾンでしょうか。
「8人の女たち」 などを観てもらえば、そのセンスは容易にうかがえます。
映画を観るとは、誤解を恐れずに言えば、構図やカット割りを観ることだと私は思います。
もちろん、そうした技術を観客に意識させない流麗さが、映画の作り手たちには求められます。
作り手たちの努力に報いるためにも、ちょっとだけカット割りや構図を意識しながら観ると、映画はもっともっと楽しめるはず。
どんな画を作る監督さんなのかしら・・・
映画が写真の連続体であることを時々、思い出しながら映画鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。
とご質問を受けましたので、真摯に答えさせていただきま〜す。
どんどんとマニアックな話になってまいりますが、映画を楽しく観るためのマニアルってふうにお考えくださいませ。
これはハイアングルとはいえ、ちょっと小津作品を思わせる構図。
父親を中心にして男二人が左右に配置されております。
そこへ若尾文子が奥から登場。画面の手前へと移動してきます。
映画と平板な紙に書かれた絵との違いは、こうした縦の移動によって奥行きを利用できるところ。
若尾文子が手前の空きスペースに陣取ります。
主役二人が父親を挟んでシンメトリーに並び、三角形の構図を作っています。これでグッと画が引き締まって見えません?
パースペクティヴによって、部屋の奥行きが強調されております。
さらに最奥のスペースに母親が登場。
この瞬間、父親を中心として放射線状に人物が配置されました。
俯瞰図で観るとこんな感じ。(便宜的に分かりやすく図にしました)
ちょうどサイコロの5みたいになって、構図が安定した四角形に変わります。
カメラの切り返しで、今度は若い三人の三角形が出来上がっています。
もちろん、これは三角関係を分かりやすく構図にしてくれているのですが、実は次のカットのための間でもあります。
廊下を移動していた母親が、父親の横から顔を出しています。
「壁に耳あり、障子に目あり」 の図ですね。
さしずめ 「障子に耳あり」。母親が聞き耳を立てているわけです。
手前で会話をしている人たちがメインなわけですが、奥行きを最大限に利用して人を動かし、刻々と人物の配置を変えていく。
こうした演出を私は映画的と呼び、粋(いき)だ! と褒めます。
世界のクロサワこと・・・黒沢清がお得意の手法です(笑)
じゃあ、なぜ関係ない人物を背景で動かすかというと・・・
スクリーンで見えている人物の他にも、本来は見えざる人々が映画の世界には住んでいるはず。
ですが、映画ってのは所詮、作り物。
川口浩と若尾文子、二人の芝居の時に、宮口精二は楽屋でタバコをふかしているのかもしれない(笑)
そういった映画のウソを観客に感じさせないためには、この家庭に住んでいる人たちをオン・スクリーンで動かしてやるのがスマート。
実際、このシークエンスには弟も背景で動いたりします。
これなんかも、縦の空間を生かした面白い画作り。
本作では粋な画が頻出して、どこを切り取っても美しい。
私が言うパーフェクト・ピクチャとはそういう意味です。
やはり、このカットも花瓶に活けられた花を中心にして、女性たちが放射状に配置され、見事に調和の取れた構図。
必ずしもシンメトリーなのが良いわけでなく、どこまでをフレームに入れるか、何を映して何を映さないか、といった取捨が監督の力量。
役者がいて、室内装飾や衣装やヘアメイクなどの美術さんがいて、それらを生かすための照明があり、様々な要素が組み合わさって作品は成り立っています。
写真の連続が映画。ならば、美しい写真がどれだけ連なるか。それが映画の良し悪しであるとも言えます。
この究極が現代作家ではフランソワ・オゾンでしょうか。
「8人の女たち」 などを観てもらえば、そのセンスは容易にうかがえます。
映画を観るとは、誤解を恐れずに言えば、構図やカット割りを観ることだと私は思います。
もちろん、そうした技術を観客に意識させない流麗さが、映画の作り手たちには求められます。
作り手たちの努力に報いるためにも、ちょっとだけカット割りや構図を意識しながら観ると、映画はもっともっと楽しめるはず。
どんな画を作る監督さんなのかしら・・・
映画が写真の連続体であることを時々、思い出しながら映画鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。
『最高殊勲夫人』 名作の旅5
久しぶりにビデオ・レンタル店に立ち寄ると、増村保造のDVDが
ズラリと並んでいた。
『でんきくらげ』、『しびれくらげ』、『盲獣』、『遊び』 といった未見作。さらには 『セックスチェック 第二の性』 まで揃っているではないか!
こりゃ〜お宝の山だ!
59年
監督: 増村保造
原作: 源氏鶏太
脚本: 白坂依志夫
撮影: 村井博
音楽: 塚原哲夫
出演: 若尾文子
川口浩
丹阿弥谷津子
船越英二
宮口精二
滝花久子
東山千栄子
増村保造といえば、山口百恵が主演した大映テレビの演出家としてご記憶の方も多いかもしれない。
大映の倒産後は監督として不遇だった増村だが、実際にはたくさんの名作、好編を遺している。
『赤い天使』 や 『清作の妻』 といった凄絶な人間ドラマ、
『刺青』 や 『痴人の愛』 ら文芸官能作品、
あるいは 『陸軍中野学校』 や 「黒のシリーズ」 に代表される硬質な社会派サスペンスなど、その作品の性質は幅広い。
職人的でありながら、変態性欲をモチーフにしたものや、女性主人公の作品が多いのも特徴で、とにかくどれを観ても面白い。
とりわけ、私が好きなのはハイテンポな展開が魅力の初期作品。
中でも 『青空娘』、『巨人と玩具』・・・
そして何より本作の構図やカット割りの美しさは、まさにパーフェクト!
内容は、どなたでも楽しめるであろう軽妙洒脱なスクリューボール・コメディ。
なので、本日はいつもと趣向を変え、カット割りや構図の素晴らしさを画像で紹介したい。(手抜きじゃないですよ!w)
◆まずはこのシーン。
ソファーからちょこんと顔を出し、客を迎えるワンコ。
訪問客(丹阿弥谷津子)登場。首が見切れたトリミングがユニーク。
屋敷の女主(東山千栄子)が出迎え、先にソファーに腰かける。
カメラ位置を変え、正面から。女同士の舌戦が火花散る。
犬を押し付け、立ち去る女主人。取り残された客は呆然。
◆次は複数人物の配置に注目していただきたい。
父親(宮口精二)を挟んで男が二人。そこへヒロインがお茶を運ぶ。
ヒロイン(若尾文子)と川口浩が、父親を中心として手前に並ぶ。
矢印にご注目。母親(滝花久子)が、何食わぬ顔で廊下を横切る。
カメラ位置を変え、父親の前にドッカと腰を据える夏木章。
カットバックして・・・再び矢印にご注目あれ。
◆では、本作で最も分かりやすい粋な構図で締めくくり。
バーテン(背中シルエット)を中央に挟んでカウンターに並ぶ男女。
川口浩の後頭部ナメで、若尾文子のセリフ。
逆に今度は、若尾文子の後頭部ナメで川口浩。
カメラ位置が変わり正面から。バーテンを中心に離れて座る二人。
ハイアングルで急接近! めでたし、めでたし(笑)
『最高殊勲夫人』 その2 ここをクリック!
ズラリと並んでいた。
『でんきくらげ』、『しびれくらげ』、『盲獣』、『遊び』 といった未見作。さらには 『セックスチェック 第二の性』 まで揃っているではないか!
こりゃ〜お宝の山だ!
59年
監督: 増村保造
原作: 源氏鶏太
脚本: 白坂依志夫
撮影: 村井博
音楽: 塚原哲夫
出演: 若尾文子
川口浩
丹阿弥谷津子
船越英二
宮口精二
滝花久子
東山千栄子
増村保造といえば、山口百恵が主演した大映テレビの演出家としてご記憶の方も多いかもしれない。
大映の倒産後は監督として不遇だった増村だが、実際にはたくさんの名作、好編を遺している。
『赤い天使』 や 『清作の妻』 といった凄絶な人間ドラマ、
『刺青』 や 『痴人の愛』 ら文芸官能作品、
あるいは 『陸軍中野学校』 や 「黒のシリーズ」 に代表される硬質な社会派サスペンスなど、その作品の性質は幅広い。
職人的でありながら、変態性欲をモチーフにしたものや、女性主人公の作品が多いのも特徴で、とにかくどれを観ても面白い。
とりわけ、私が好きなのはハイテンポな展開が魅力の初期作品。
中でも 『青空娘』、『巨人と玩具』・・・
そして何より本作の構図やカット割りの美しさは、まさにパーフェクト!
内容は、どなたでも楽しめるであろう軽妙洒脱なスクリューボール・コメディ。
なので、本日はいつもと趣向を変え、カット割りや構図の素晴らしさを画像で紹介したい。(手抜きじゃないですよ!w)
◆まずはこのシーン。
ソファーからちょこんと顔を出し、客を迎えるワンコ。
訪問客(丹阿弥谷津子)登場。首が見切れたトリミングがユニーク。
屋敷の女主(東山千栄子)が出迎え、先にソファーに腰かける。
カメラ位置を変え、正面から。女同士の舌戦が火花散る。
犬を押し付け、立ち去る女主人。取り残された客は呆然。
◆次は複数人物の配置に注目していただきたい。
父親(宮口精二)を挟んで男が二人。そこへヒロインがお茶を運ぶ。
ヒロイン(若尾文子)と川口浩が、父親を中心として手前に並ぶ。
矢印にご注目。母親(滝花久子)が、何食わぬ顔で廊下を横切る。
カメラ位置を変え、父親の前にドッカと腰を据える夏木章。
カットバックして・・・再び矢印にご注目あれ。
◆では、本作で最も分かりやすい粋な構図で締めくくり。
バーテン(背中シルエット)を中央に挟んでカウンターに並ぶ男女。
川口浩の後頭部ナメで、若尾文子のセリフ。
逆に今度は、若尾文子の後頭部ナメで川口浩。
カメラ位置が変わり正面から。バーテンを中心に離れて座る二人。
ハイアングルで急接近! めでたし、めでたし(笑)
『最高殊勲夫人』 その2 ここをクリック!
2007年08月23日
★7月の厳選・旧作★
今回は、アメリカ映画特集になっちゃいました。
一方はインディーズ、一方は純ハリウッド作品。
対照的なようでいて、実はどれも映画的な、あまりに映画的な作品ばかり。表現形態がいかに変われど、面白い物は面白い!
『こわれゆく女』
74年 米
ジョン・カサヴェテス
ハリウッドのショウビズ体質に背を向け、インディペンデントの雄として映画史の重要人物といった文脈で語られることが多いカサヴェテスであるが、私にとってはそんなことはどうでもいいこと。
本作がアメリカ映画史上、屈指の名作なのは疑いもないからだ。
カサヴェテスといえばフレーミングを無視した接写や即興演出。
それらの斬新な映画手法は役者の感情表現をリアルに汲み取ろうとする結果として生まれたに過ぎず、手法が先んじてあるわけでは断じてない。全く先が読めないスリリングな展開と緊張感を醸成するという意味で、これほど効果的なカメラワークと演出法はないくらいで、特に精神の崩壊をモチーフとした本作ではバツグンの威力である。
カサヴェテスを観て改めて思うのは、全ての映画は例外なく役者の演技を記録したドキュメンタリー・フィルムであるという事実だ。
通常の映画では被写体からピントが外れたらボツだが、カサヴェテス作品ではリアル・タイムのリアル・アクトが何よりも優先される。
とにかく、どのような手法で撮られた作品であろうと、この圧倒的な面白さは筆舌に尽くせず、私はいつも以上に強力プッシュ!
本作の魅力に嵌った方は、姉妹編とでもいうべき 『オープニング・ナイト』 も併せてご覧いただきたい。
『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』
76年 米
ジョン・カサヴェテス
今回初見。『こわれゆく女』 より、さらに映画文法に縛られないカサヴェテスの奔放さが突出した作品。
本作はサスペンスやノワールというより、あるナイトクラブ・オーナーの奇妙な日常の一部を切り出して記録したといった趣き。
筋立てよりもハード・ボイルドなムードに徹底して固執したカサヴェテスの手腕に心地よく酔える。
『こわれゆく女』 との決定的な違いは、役者の感情表現ではなく、ベン・ギャザラの演技という現象そのものをカメラが追っている点。そのため物語としては散漫で、退屈を強いられる方も多いだろう。
とりわけ、中国マフィアのボスを暗殺するシークエンスや、その後、殺し屋に命を狙われるクダリは、かなりズサンな構成になっている。
だが、これは主人公の日常を描くテンションとアクション・シーンのテンションを同列に扱ったまでの話。緻密で筋が通った描写をすることに興味がないという演出姿勢は一貫している。
さりとて、こうした特異な作品を持ち上げすぎるのも品がないので、カサヴェテスのファンの方にのみ観ていただきたいと思う逸品。
『ダイ・ハード』
88年 米
ジョン・マクティアナン
劇場公開以来、本作を久々に鑑賞。
当時の大興奮ほどでないにしろ、やはりよく出来たアクション大作。
ハリウッド映画が放ったイタチの最後っ屁という気もする(笑)
何がよく出来ているかというと、これはもう脚本に尽きる。
徹底して張り巡らせた伏線を時限装置のように段階的に爆破させ、見事に大小のカタルシスを作り出してゆく映画的面白み。
しかも、そうした伏線も靴や家族写真、腕時計といった判りやすい物から、傑作西部劇 『真昼の決闘』 になぞった設定と台詞に至るまで、映画初級者も上級者も楽しめる仕掛け。全てが解らなくても良いように配慮されている点も、娯楽映画のお手本と言えよう。
分かりやすさとバカっぽさは似て非なるもの。そこらを、近頃のハリウッド映画は履き違えているのではないか。
また、アクションもCGに頼らぬリアルな程よさがあり、主人公の人間くさいキャラ設定も絶妙で、笑わせ所もそつが無い。
いくらかクドイ部分もあって、特に事件が終息してからのシークエンスがあれほど長いことに改めて驚いた^^;
それより何が驚きかと言えば、本作は 『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』、『バグダッド・カフェ』、『ニュー・シネマ・パラダイス』 を押さえ、あのキネ旬年間ベストテンで89年度、堂々の1位である!(笑)
『スネーク・アイズ』
98年 米
ブライアン・デ・パルマ
なんということもない作品なのだが、敢えて名作群に連ねた意味を勘の良い方であればお気づきであろう。
そう、この作品の魅力は冒頭から13分にも及ぶ長回しに尽きる!
今年観た柳町の 『カミュなんて知らない』 冒頭のワンシーン・ワンカットが6分なので、単純にその倍!
しかも、ボクシングのスタジアムを舞台に、モブ・シーンまであるのだから、これはもう圧巻!
カメラはニコラス・ケイジを追って動き回るのに手ブレ知らず。デ・パルマを褒めるべきか、ステディ・カムを駆使したカメラマンを褒めるべきか悩むほどの素晴らしさ(笑)
そのほかにも、お得意の画面分割、天上や壁をぶち抜くカメラワークなど、見事な意匠と撮影は何度観ても痺れてしまう。
デ・パルマ作品では 『ファントム・オブ・パラダイス』 が一番好きだが、本作は★3つでも厳選オススメ。
あ、暮々も言っておきますが、物語なんて観ないでください(笑)
一方はインディーズ、一方は純ハリウッド作品。
対照的なようでいて、実はどれも映画的な、あまりに映画的な作品ばかり。表現形態がいかに変われど、面白い物は面白い!
『こわれゆく女』
74年 米
ジョン・カサヴェテス
ハリウッドのショウビズ体質に背を向け、インディペンデントの雄として映画史の重要人物といった文脈で語られることが多いカサヴェテスであるが、私にとってはそんなことはどうでもいいこと。
本作がアメリカ映画史上、屈指の名作なのは疑いもないからだ。
カサヴェテスといえばフレーミングを無視した接写や即興演出。
それらの斬新な映画手法は役者の感情表現をリアルに汲み取ろうとする結果として生まれたに過ぎず、手法が先んじてあるわけでは断じてない。全く先が読めないスリリングな展開と緊張感を醸成するという意味で、これほど効果的なカメラワークと演出法はないくらいで、特に精神の崩壊をモチーフとした本作ではバツグンの威力である。
カサヴェテスを観て改めて思うのは、全ての映画は例外なく役者の演技を記録したドキュメンタリー・フィルムであるという事実だ。
通常の映画では被写体からピントが外れたらボツだが、カサヴェテス作品ではリアル・タイムのリアル・アクトが何よりも優先される。
とにかく、どのような手法で撮られた作品であろうと、この圧倒的な面白さは筆舌に尽くせず、私はいつも以上に強力プッシュ!
本作の魅力に嵌った方は、姉妹編とでもいうべき 『オープニング・ナイト』 も併せてご覧いただきたい。
『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』
76年 米
ジョン・カサヴェテス
今回初見。『こわれゆく女』 より、さらに映画文法に縛られないカサヴェテスの奔放さが突出した作品。
本作はサスペンスやノワールというより、あるナイトクラブ・オーナーの奇妙な日常の一部を切り出して記録したといった趣き。
筋立てよりもハード・ボイルドなムードに徹底して固執したカサヴェテスの手腕に心地よく酔える。
『こわれゆく女』 との決定的な違いは、役者の感情表現ではなく、ベン・ギャザラの演技という現象そのものをカメラが追っている点。そのため物語としては散漫で、退屈を強いられる方も多いだろう。
とりわけ、中国マフィアのボスを暗殺するシークエンスや、その後、殺し屋に命を狙われるクダリは、かなりズサンな構成になっている。
だが、これは主人公の日常を描くテンションとアクション・シーンのテンションを同列に扱ったまでの話。緻密で筋が通った描写をすることに興味がないという演出姿勢は一貫している。
さりとて、こうした特異な作品を持ち上げすぎるのも品がないので、カサヴェテスのファンの方にのみ観ていただきたいと思う逸品。
『ダイ・ハード』
88年 米
ジョン・マクティアナン
劇場公開以来、本作を久々に鑑賞。
当時の大興奮ほどでないにしろ、やはりよく出来たアクション大作。
ハリウッド映画が放ったイタチの最後っ屁という気もする(笑)
何がよく出来ているかというと、これはもう脚本に尽きる。
徹底して張り巡らせた伏線を時限装置のように段階的に爆破させ、見事に大小のカタルシスを作り出してゆく映画的面白み。
しかも、そうした伏線も靴や家族写真、腕時計といった判りやすい物から、傑作西部劇 『真昼の決闘』 になぞった設定と台詞に至るまで、映画初級者も上級者も楽しめる仕掛け。全てが解らなくても良いように配慮されている点も、娯楽映画のお手本と言えよう。
分かりやすさとバカっぽさは似て非なるもの。そこらを、近頃のハリウッド映画は履き違えているのではないか。
また、アクションもCGに頼らぬリアルな程よさがあり、主人公の人間くさいキャラ設定も絶妙で、笑わせ所もそつが無い。
いくらかクドイ部分もあって、特に事件が終息してからのシークエンスがあれほど長いことに改めて驚いた^^;
それより何が驚きかと言えば、本作は 『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』、『バグダッド・カフェ』、『ニュー・シネマ・パラダイス』 を押さえ、あのキネ旬年間ベストテンで89年度、堂々の1位である!(笑)
『スネーク・アイズ』
98年 米
ブライアン・デ・パルマ
なんということもない作品なのだが、敢えて名作群に連ねた意味を勘の良い方であればお気づきであろう。
そう、この作品の魅力は冒頭から13分にも及ぶ長回しに尽きる!
今年観た柳町の 『カミュなんて知らない』 冒頭のワンシーン・ワンカットが6分なので、単純にその倍!
しかも、ボクシングのスタジアムを舞台に、モブ・シーンまであるのだから、これはもう圧巻!
カメラはニコラス・ケイジを追って動き回るのに手ブレ知らず。デ・パルマを褒めるべきか、ステディ・カムを駆使したカメラマンを褒めるべきか悩むほどの素晴らしさ(笑)
そのほかにも、お得意の画面分割、天上や壁をぶち抜くカメラワークなど、見事な意匠と撮影は何度観ても痺れてしまう。
デ・パルマ作品では 『ファントム・オブ・パラダイス』 が一番好きだが、本作は★3つでも厳選オススメ。
あ、暮々も言っておきますが、物語なんて観ないでください(笑)