済州島で暮らす二人の少女、ハウンとミソ。ハウンは地元で生まれ、ミソはシングルマザーである母親と共に引っ越して来た転校生。性格は真逆ながら、絵が好きなことで仲良くなった二人はいつも一緒で、学園生活や恋愛を通して急速に親しくなっていく。お互いが影響し合い、ハウンはミソから自分のやりたいことに突き進む自由さを、ミソはハウンから人とつながる暖かさを学ぶ。他の高校に学ぶジヌのことをハウンが好きになり、ミソがふたりの間を取り持つが、自分もジヌのことを好きになりかけていたミソは、絵の勉強を口実に突然ソウルへ行ってしまう。
一転して現代。ミソがコンクールの展示会場を訪れている。ハウンがミソを描いた巨大で細密な鉛筆画を出品し、それが絵画コンクールで大賞を取ったのだが、ハウンと連絡の取れない主催者がモデルとなったミソに連絡してきたもの。しかし、ミソはハウンの住所も連絡先も知らないと言う。そのことを振り出しに、二人にどんな人生の変転があったかが語られる。
後半部分で、ハウンがジヌとの結婚式から、写真一枚を残して逃げ出すとか、成人したミソと同居している子どもが、実はハウンが産んだジヌの子だったとか、ドラマをちょっと盛り過ぎている感がある。結婚式当日に逃げ出さなくても、ちゃんと話をすれば、ハウンの絵描きになりたいという挑戦をジヌは許してくれたのではないかと思うし、ハウンが出産で亡くなっても、祖父母がいるのだからミソが代わりに育てるのはおかしいのでは。ハウンと絶縁している祖父母は孫のことを知らないかもしれないが、知れば自分たちの手で育てたいと思うだろう。その辺のドラマの過剰さが、韓国映画の特質なのかもしれない。
高校生から、27歳になるまでのミソとハウンを演じたキム・ダミ、チョン・ソニの溌溂とした演技が素晴らしい。高校生活の奔放さ、ピュアな恋愛、自由に旅することへの憧れ、働く女性として一人で生きる辛さ・厳しさ、成人としての毅然とした態度など、二人の美しく才能のある女優の青春が作品に焼き付けられている。