2018年11月05日

◎中米移民が集団で「北上」

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 【CJC】中米各地から米国を目指して北上中の「キャラバン」と呼ばれる移民集団が相次いでいる。単独行動よりも安全なうえ、米中間選挙前のタイミングで注目を集めれば、支援も得やすいという狙いが見られる。

 第1陣約4000人はメキシコ南部のオアハカ州に到達した。第2陣はグアテマラと国境を接する南東部チアパス州に、第3陣はグアテマラ側のメキシコ国境近くに到達した。さらにエルサルバドル国内で第4陣が発見された。

 中米から多数が集団で米国を目指す理由の一つは劣悪な国内情勢。「キャラバン」を構成するホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラといった中米諸国は全体的に目立った産業がなく貧困率が高い。加えて麻薬を扱う犯罪組織が横行し、急激に治安が悪化している。

 移民集団はメキシコシティを経由して米国との国境沿いの街を目指すとみられる。今後のルートは明らかではないが、米国行きを目指す多くの移民が集まる米カリフォルニア州に接する北西部ティフアナなどが候補と見られる。ティフアナをはじめ国境近くの街はすでに移民も多く、数千人規模の移民集団が到達すれば混乱は必至だ。

 移民集団からのメキシコへの難民申請も急増している。メキシコ政府によると10月31日までの申請数は2934と、1週間足らずで7割増えた。背景にはトランプ大統領の中米移民に対する厳しい姿勢や、メキシコ側が支援策で難民申請を促していることがありそうだ。

 集団のうち927人はメキシコ当局に対してすでに帰国の意向を示しており、近く送還される。メキシコ政府は難民申請数や帰国希望者数は今後も増える見通しだとしている。

 移民集団がメキシコ滞在に切り替えたり、帰国を決めたりする背景には米国のドナルド・トランプ大統領の強硬姿勢がある。トランプ大統領は10月31日、移民集団の入国阻止のため国境付近に最大1万5000人規模の兵士を派遣する可能性を示唆するほか、火器の使用にも言及するなど発言をエスカレートさせている。移民の間では国境まで旅を続けて難民申請をしても受け入れられないのではとの不安が広がっている。

 メキシコ政府が北上をやめさせることを念頭にした支援策も要因の一つだ。難民申請をしてグアテマラ国境に近い南東部にとどまることを条件に一時滞在許可を出して就労や医療、さらに子どもの教育に関しても支援を実施すると約束している。幼い子ども連れで長旅が難しい移民などを中心に、旅をやめてメキシコでの滞在を選んでいるようだ。

 難民申請が増えているといって移民集団の勢いが落ちているとも言えない。最初にメキシコ入りした集団はまだ4000人規模の勢力を保っているうえ、グアテマラ国内を含めれば合計4集団が別々に北上しており、これから集団に加わる人たちもでているためだ。

 第1集団の一部数百人が11月3日夜からバスなどでメキシコシティに到着、市が用意した収容場所などで食事や医療の提供を受けている。

 メキシコシティは市内にある複合運動施設のサッカー場内に仮設の宿泊施設を整備し、移民を収容する計画。到着した移民は用意された簡単な食事をとっているほか、宿泊施設の完成を待ちながら、サッカー場の観客席で横になるなどして休憩している。数日間の休憩後に再び北上を続けるとみられる。

 アミエバ市長は「移民は我々の仲間であり、必要なものは準備していきたい」と話している。施設は「5000人の収容が可能で、妊婦や子供などには専用のスペースを確保する」という。カトリック教会も市内に複数の収容場所を準備し、本格化する移民集団の到着に備えている。□



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