2007年09月22日

夕暮れはいつも優しく、暖かい(夕暮れ最終話)



「例えば明日世界が終わるとして」


「……また、その話か?」


「そう冷たいことを言わずに聞いてくれ」


「考えるのは自由なんだがな、それに対する俺の評価は何時だって“下らない”の一言に尽きるぞ。今、明日、世界が終わるわけでも、ましてや明日死ぬわけでもない俺たちに終わりに関するどんな真実だって知ることは出来ないんだ。未到は未知と同義で、実際現状誰だって、死後の世界を知りうるものは居ないだろ?」


「ああ、その通りだ……だが」




空を見上げればいつもの茜色が有って、幻想的なまでに綺麗な夕空には茜色を透く薄い雲が棚引いていて、眩く輝く夕日は世界の全てを染め上げ照らし出していて。






「世界が、明日終わるとしても、もう何も怖くないように思う」


「…………………………おう」





そんな、涙が出るくらい綺麗な茜色の世界で、二人並んで、空を、眺めて、








さよならを、言った。




































     ♪




もしも、という言葉が有る。仮定を表し、今、此処に無い事柄を希う、優しい言葉。

けれどそれは、現実を否定する言葉でもある。こうあれば良かったという願望が、現実と一致することなど……有り得ないのだから。そして空想に溺れる人間は大概、その現実を悲観し、足を止める。停滞すれば未来は無く、そこに有るのは絶望から目を背ける不様な自分、のみ。





けれど、夢を見るのは、何も悪い事ばかりじゃ無い。






駅のホームに降り立つと、身を切るような寒さが身体を震わせた。今まで温かい車内に居たものだから余計寒く感じるのかもしれないな、と白い息を漏らしながらひとりごち、首に巻いたマフラーを口元まで引き上げる。




コートの袖を捲くって見れば銀色の光を照り返すオリエントはちょうど12時を指していて、それは『約束の時間』までまだ十分に時間があることを示していた。どうしたものか、と空気を白く濁らせ僅かに逡巡した後、結局待ち合わせの場所まで向かうことにした。一足先に目的地に到着しておいて「遅くなって済まない」「いや私も来たばかりだ」なんて云う恋人同士みたいなやり取りをすることに憧れを抱かない訳でも、無い。


歩きながらそんな事を考え、マフラーの下で口元を綻ばせる。顔が熱を持ち紅潮しているのが自覚できるが、そんな事も気にならないくらいに、今日の私は機嫌が良い。



何故なら今日は、あの日、あの夕暮れから初めての再会になるから。想い人との再会に心踊らない人間なんて、この世には居る筈が無いというものだ。


彼と別れてから、ずっと、この日の事を考えていた。もしも、また会えたら、まず最初に何を伝えようか――と。そう考えれば会えない日々だって辛くは無かった。……まあ、会えない分電話で話していたというのも有るのだろうが。文明の力は偉大だな。




でも、それでも、会って直に話したいことだって有るのだ。そうでないといけない話だって、有る。


だから、まずは何から話し出そう。どんな切り出し方が良いだろうか、と考えながら、歩を進める。










ふと、視界に白いものが過ぎり。顔を上げて空を見上げれば。青い蒼い澄み切った空から。風に乗って運ばれて来たであろう、小さく白い雪が、ゆっくりと、ゆっくりと、時を刻むように、降りて来ていた。








そんな、舞い落ちる天気雪の中、私はひとつ微笑を浮かべ、視線を戻し歩き出した。


空は青く、夕暮れはまだ来ない。けれどきっともうすぐあの日のように、夕暮れは確実にやってきて、その後の優しい世界も、一緒に連れて来てくれるのだろう。



そして私は微笑みながら、茜色に染まる世界の中で、言うべき言葉を言うのだろう。いつかのあの抱擁のように、優しく優しい、愛の言葉を。














































内容はやっぱり、『毎日私のために美味しい味噌汁を作ってくれ』、でいいのだろうか。












青空に陰りはなく、


だから今日も、


夕日が綺麗だろうと、


そう、思った。













(おわり)。





―――――――――――――――――――




何かもうホントにスイマセン。ここまで書き切るのに一ヶ月とか、もうどんだけおまいは鈍亀なのかと。つかどう考えても間に別物挟みすぎです。ごしゅーしょーさま!!




まあ、貯まったら書くみたいなアレテイストなんで、貯まりすぎたぺるふぇ吐き出したかったんすよ。うぃ。言い訳っす。うぃ。
4からは夢見節全開のウザくるしい文章でしたが、楽しんでもらえたなら幸いかと。



では。また次、何らかの形で再会しましょう。




clearvoice1989 at 10:27│Comments(0)TrackBack(0)小説 | 夕暮

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