この冬は、西ヨーロッパや北アメリカ東部で、平年よりもだいぶ寒かったり、雪が多かったりするようですね。そういうとき、専門知識のない人が、「地球温暖化は止まったのか、もしかしたら始めからなかったんじゃないか?」と思うのも無理もないかもしれません。そういう発言がブログやツイッター(twitter)で広まることがあります。とくにツイッターは字数制限がきびしいので、根拠不明でも結論が鮮明なものが一見もっともらしく思えて広まってしまうようです。
しかし、残念ながら、たとえ西ヨーロッパとか北アメリカ東部とかの地域で、ひと冬、精密な観測をして、その地域のその季節が寒いことが疑いえないとしても、それは全地球規模の数十年間の気候変化傾向としての地球温暖化の否定にはなりません。とても残念ながら、だれも全球平均や全球合計の量を直接経験できません。そして、全球平均の量の変化は各地で観測される量の変化に比べてわずかです。また数十年間の変化傾向は1年あたりにすれば年々変動に比べてわずかで感覚にかかりにくい量です。地球温暖化の正確なところは専門知識をもってデータを集めて集計する必要があるのです。各国気象庁の観測現場は国際的に決められた方式に従って観測の質を保つようにつとめています。集計を行なうチームは複数あって競争的関係にあり相互に結果をチェックします。
昼と夜、夏と冬の気温の違いくらいは常識としてよいでしょうか。午前中には気温が上がり、夜の間には気温が下がるのがふつうです。常にそうとは限りませんが、風の弱い晴れた日ならばそうなることが多いです。毎日、午前中には温暖化、夜には寒冷化が起こっている、と言ってもよいのですが、ふつうそう言いませんね。日本とアメリカで時間を合わせて情報を交換してみれば、一方で温暖化しているとき他方では寒冷化しているので、「地球」(これは英語のglobalに相当し「全球規模の」という意味です)温暖化や寒冷化でないことは言えます。また、温帯で季節変化を考えれば、毎年、春には温暖化、秋には寒冷化が起きていると言ってもよいのですが、ふつうそう言いませんね。これも、日本とオーストラリアで同時に見れば、一方で温暖化しているときに他方で寒冷化しているので、「地球」温暖化や寒冷化ではありません。
年々の天候変動でも、平年よりも温度が高いところがあれば低いところもあります。気象庁の「世界の天候」のページhttp://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/や、「気候系監視速報」http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/diag/sokuho/を見るとよいと思います。この2010年12月の場合、西ヨーロッパや北アメリカ東部では寒くても、もっと高緯度のグリーンランドやカナダ北極圏諸島では平年よりも温度が高くなっています。
全球、全季節で集計すると、今年は過去約百年のうちで暑い年であることは確かです。たとえば日本の気象庁の集計http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/gwp/temp/ann_wld.htmlによれば、2010年は(まだ12月の観測値がそろっていないので暫定値ですが) 1891年以来のうち、1998年についで2位の高温だそうです。NASA GISSの11月までの集計http://data.giss.nasa.gov/gistemp/2010november/では、1880年以来のうちで最高だが2005年との違いはほとんどないそうです。集計を行なっているグループによってどの年が上位にくるかは少し違いますが、それは観測が乏しいところをどう推定するかに関する不確かさからきています。
気候変化の議論に慣れていないかたが、ひと冬、ある地域で寒いことから、地球温暖化が起きていない(あるいは止まった)のではないかと思うのは無理もありません。しかし、たとえ温暖化論に懐疑的なかたでも、何年も気候変化の話題につきあっているかたならば、そのような理屈が成り立たないことはわかっているはずです。温暖化論争のベテランがこの論法をとる場合には、ご本人は違いを承知のうえでしろうとの感覚を利用して温暖化論に対する疑いを振りまこうという策略か、あるいは年季ははいっていても付和雷同を続けていただけで知識はしろうとのレベルなのだろうと推測します。
masudako
しかし、残念ながら、たとえ西ヨーロッパとか北アメリカ東部とかの地域で、ひと冬、精密な観測をして、その地域のその季節が寒いことが疑いえないとしても、それは全地球規模の数十年間の気候変化傾向としての地球温暖化の否定にはなりません。とても残念ながら、だれも全球平均や全球合計の量を直接経験できません。そして、全球平均の量の変化は各地で観測される量の変化に比べてわずかです。また数十年間の変化傾向は1年あたりにすれば年々変動に比べてわずかで感覚にかかりにくい量です。地球温暖化の正確なところは専門知識をもってデータを集めて集計する必要があるのです。各国気象庁の観測現場は国際的に決められた方式に従って観測の質を保つようにつとめています。集計を行なうチームは複数あって競争的関係にあり相互に結果をチェックします。
昼と夜、夏と冬の気温の違いくらいは常識としてよいでしょうか。午前中には気温が上がり、夜の間には気温が下がるのがふつうです。常にそうとは限りませんが、風の弱い晴れた日ならばそうなることが多いです。毎日、午前中には温暖化、夜には寒冷化が起こっている、と言ってもよいのですが、ふつうそう言いませんね。日本とアメリカで時間を合わせて情報を交換してみれば、一方で温暖化しているとき他方では寒冷化しているので、「地球」(これは英語のglobalに相当し「全球規模の」という意味です)温暖化や寒冷化でないことは言えます。また、温帯で季節変化を考えれば、毎年、春には温暖化、秋には寒冷化が起きていると言ってもよいのですが、ふつうそう言いませんね。これも、日本とオーストラリアで同時に見れば、一方で温暖化しているときに他方で寒冷化しているので、「地球」温暖化や寒冷化ではありません。
年々の天候変動でも、平年よりも温度が高いところがあれば低いところもあります。気象庁の「世界の天候」のページhttp://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/や、「気候系監視速報」http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/diag/sokuho/を見るとよいと思います。この2010年12月の場合、西ヨーロッパや北アメリカ東部では寒くても、もっと高緯度のグリーンランドやカナダ北極圏諸島では平年よりも温度が高くなっています。
全球、全季節で集計すると、今年は過去約百年のうちで暑い年であることは確かです。たとえば日本の気象庁の集計http://ds.data.jma.go.jp/tcc/tcc/products/gwp/temp/ann_wld.htmlによれば、2010年は(まだ12月の観測値がそろっていないので暫定値ですが) 1891年以来のうち、1998年についで2位の高温だそうです。NASA GISSの11月までの集計http://data.giss.nasa.gov/gistemp/2010november/では、1880年以来のうちで最高だが2005年との違いはほとんどないそうです。集計を行なっているグループによってどの年が上位にくるかは少し違いますが、それは観測が乏しいところをどう推定するかに関する不確かさからきています。
気候変化の議論に慣れていないかたが、ひと冬、ある地域で寒いことから、地球温暖化が起きていない(あるいは止まった)のではないかと思うのは無理もありません。しかし、たとえ温暖化論に懐疑的なかたでも、何年も気候変化の話題につきあっているかたならば、そのような理屈が成り立たないことはわかっているはずです。温暖化論争のベテランがこの論法をとる場合には、ご本人は違いを承知のうえでしろうとの感覚を利用して温暖化論に対する疑いを振りまこうという策略か、あるいは年季ははいっていても付和雷同を続けていただけで知識はしろうとのレベルなのだろうと推測します。
masudako