福島第1原子力発電所の事故によって放射性物質がどのように広がったかに関する研究について、11月17日の記事ではひとつの研究例を紹介しましたが、もちろん研究例はそれだけではありません。わたしはこの問題を追いかけておりませんので、あまり詳しく説明することができず、また重要なものを見落としているおそれもありますが、ともかく気がついたものを簡単にご紹介します。
== WSPEEDI ==
日本原子力研究所(現在は日本原子力研究開発機構)では、原子力安全技術センターで運用されているSPEEDI [文部科学省の「環境防災Nネット」の中のSPEEDI紹介ウェブサイト]に続いて、WSPEEDI (世界版SPEEDI)というシステムが開発されました。[上記サイト中のWSPEEDIのページ]。
6月15日(18日改訂)に原子力機構から報道発表「東京電力福島第一原子力発電所事故発生後2ヶ月間の日本全国の被ばく線量を暫定的に試算」がありました。これは、WSPEEDIによるシミュレーションの結果で、日本原子力学会英文論文誌に出た次の論文に関するものです。
また、WSPEEDIの改訂版WSPEEDI-IIについての解説が日本評論社から出ている雑誌「数学セミナー」に出ました。
== 国立環境研究所 ==
8月25日に、国立環境研究所からの記者発表東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中での挙動に関するシミュレーションの結果についてがありました。関連の情報は[環境研の東日本大震災対応のページの中]にもあります。これは、アメリカ地球物理学連合(AGU)の雑誌に出た次の論文に関するものです。
また、岩波書店から出ている雑誌「科学」に次の解説が出ました。
== SPRINTARS ==
SPRINTARSは九州大学の竹村俊彦さんが中心となって作られた全球大気中の放射[放射能のことではなく、可視光や赤外線の伝達]に関与するエーロゾルの輸送のモデルです。{SPRINTARSのホームページ]と[竹村さんの研究紹介のページ]に解説があります。
6月23日に、東京大学で記者発表があり、その説明資料「福島第1原子力発電所から出された物質のグローバルな輸送をもたらした低気圧とジェット気流」は [PDFファイル]で九州大学のサイトに置かれています。これは、日本気象学会の短報論文誌(オンラインだけで紙版はない)「SOLA」に出た次の論文に関するものです。
また、AGUのニュースレター「Eos」に次の解説が出ました。
これは全球モデルですから、日本国内の分布を論じるのには空間分解能があらすぎます。他方、太平洋を横断する輸送などを論じることができます。
masudako
== WSPEEDI ==
日本原子力研究所(現在は日本原子力研究開発機構)では、原子力安全技術センターで運用されているSPEEDI [文部科学省の「環境防災Nネット」の中のSPEEDI紹介ウェブサイト]に続いて、WSPEEDI (世界版SPEEDI)というシステムが開発されました。[上記サイト中のWSPEEDIのページ]。
6月15日(18日改訂)に原子力機構から報道発表「東京電力福島第一原子力発電所事故発生後2ヶ月間の日本全国の被ばく線量を暫定的に試算」がありました。これは、WSPEEDIによるシミュレーションの結果で、日本原子力学会英文論文誌に出た次の論文に関するものです。
- M. Chino, H. Nakayama, H. Nagai, H. Terada, G. Katata and H. Yamazawa, 2011: Preliminary estimation of release amounts of 131I and 137Cs accidentally discharged from the Fukushima Daiichi nuclear power plant into the atmosphere. Journal of Nuclear Science and Technology 48(7), 1129-1134. [要旨および本文PDF(無料)へのリンク]
また、WSPEEDIの改訂版WSPEEDI-IIについての解説が日本評論社から出ている雑誌「数学セミナー」に出ました。
- 永井 晴康, 2011: 放射性物質の大気拡散シミュレーションについて。 数学セミナー, 50(12), 41 - 45.
== 国立環境研究所 ==
8月25日に、国立環境研究所からの記者発表東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中での挙動に関するシミュレーションの結果についてがありました。関連の情報は[環境研の東日本大震災対応のページの中]にもあります。これは、アメリカ地球物理学連合(AGU)の雑誌に出た次の論文に関するものです。
- Y. Morino, T. Ohara & M. Nishizawa, 2011: Atmospheric behavior, deposition, and budget of radioactive materials from the Fukushima Daiichi nuclear power plant in March 2011. Geophysical Research Letters, 38, L00G11. doi:10.1029/2011GL048689 . [要旨、購読者は本文にもアクセス可能]
また、岩波書店から出ている雑誌「科学」に次の解説が出ました。
- 大原 利眞, 森野 悠, 西澤 匡人(まさと), 2011: 福島原発から大気中に放出された放射性物質はどこに、どのように落ちたか? 科学, 81(12), 1254-1258.
== SPRINTARS ==
SPRINTARSは九州大学の竹村俊彦さんが中心となって作られた全球大気中の放射[放射能のことではなく、可視光や赤外線の伝達]に関与するエーロゾルの輸送のモデルです。{SPRINTARSのホームページ]と[竹村さんの研究紹介のページ]に解説があります。
6月23日に、東京大学で記者発表があり、その説明資料「福島第1原子力発電所から出された物質のグローバルな輸送をもたらした低気圧とジェット気流」は [PDFファイル]で九州大学のサイトに置かれています。これは、日本気象学会の短報論文誌(オンラインだけで紙版はない)「SOLA」に出た次の論文に関するものです。
- Toshihiko Takemura, Hisashi Nakamura, Masayuki Takigawa, Hiroaki Kondo, Takehiko Satomura, Takafumi Miyasaka and Teruyuki Nakajima, 2011: A numerical simulation of global transport of atmospheric particles emitted from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. SOLA, 7, 101-104, doi:10.2151/sola.2011-026. [要旨および本文PDF(無料)へのリンク]
また、AGUのニュースレター「Eos」に次の解説が出ました。
- Toshihiko Takemura, Hisashi Nakamura and Teruyuki Nakajima, 2011: Tracing airborne particles after Japan's nuclear plant explosion. Eos, Transactions, American Geophysical Union, 92(45), 397-398. [要旨、購読者は本文にもアクセス可能]
これは全球モデルですから、日本国内の分布を論じるのには空間分解能があらすぎます。他方、太平洋を横断する輸送などを論じることができます。
masudako