南太平洋の島国が電力を太陽光でまかなうことになった、というニュースがありました。トケラウ(Tokelau)という南緯9度、西経172度付近にある3つの環礁です。人口は約1500人です。国といっても独立国ではなくニュージーランド領ですが、自治政府をもち、インターネットの国別ドメイン「.tk」を持っています。島に行ったことがなくてもこのドメイン名を使っている人もいると思います。(Wikipedia日本語版「トケラウ」、英語版「Tokelau」を参照しました。)

AFPの2012年11月09日の記事「南太平洋トケラウ、電力源を太陽光100%に 世界初」によれば、ニュージーランド政府の事業でニュージーランドの企業が施工し、費用は約5億6000万円かかったそうです。しかし、これまでディーゼル発電に頼っていて燃料を供給するために1年あたり約6500万円かかっているので、その10年以下のぶんでできたことになります。

技術的にもう少し詳しいことが、pinponcomというサイトの2012年8月6日の記事「トケラウが太陽光発電により全電力を供給へ」にあります。ここにはPV Magazineというサイトの2012年8月3日の英語記事Tokelau: World’s first 100 percent PV territoryというリンクがあり、それが情報源のようです。「システムには4032枚の太陽光発電モジュール、392機のインバータ、および1344機のバッテリーを用いる。さらに、悪天候に備えてココナツオイルを用いた発電機も準備される」のだそうです。(なお、「約6300万ドル」は「約6300万円」のことでしょう。)

やはり、蓄電池(バッテリー)でエネルギーをたくわえることが重要ですね。どんな原理の電池なのかの情報はまだ見つけていません。

同じことが日本の島でもできるだろう、という議論に対して「温帯モンスーン気候と熱帯域では晴天率も当然違うでしょうね。」という人もいました。こういうとき、トケラウと日本の地点の日照時間なり雲量なりのデータをすぐならべて示せるとよいのですが、残念ながらその用意ができていません。一般的知識で述べると、(東太平洋でなく)中部太平洋の南緯9度なので、雲はけっこう多いと思います。しかし熱帯の特徴として、それぞれの場所で雲が出やすい1日のうちの時刻が(ここでは朝、ここでは夕方というように)だいたい決まっていて、それ以外の時間は晴れていることが多いだろうと思います。その点では、持続してくもることの多い日本はやや不利かもしれません。しかし参考になることは多いと思います。

masudako