じゅんきちです。本年もどうぞよろしくお願いします。

エネルギー・資源学会の機関誌「エネルギー・資源」最新号(2009年1月)に、新春e-mail討論「地球温暖化:その科学的真実を問う」と題する非常に興味深い企画記事が載りました。この雑誌は一般の書店には置いていないようですし、私の職場の図書館にも来ていないのですが、ありがたいことに、この記事だけは特別にインターネット上で公開されています。冒頭部分2点、討論本文1点、補足資料7点、それぞれPDF形式でダウンロード可能です(エネルギー・資源学会ホームページからリンクされています)。

新年には「新春対談」を掲載するという恒例を変更し、今回は多忙な面々にも漏れなく参加してもらえるよう、電子メールを通じた討論という形式になったようです。参加者は、赤祖父俊一氏、伊藤公紀氏、江守正多氏、草野完也氏、丸山茂徳氏の5人という錚々たる顔ぶれです(丸山氏は、表1のマルバツ回答のみ)。江守さん以外はみんな地球温暖化懐疑派じゃないか、という声が上がりそうな人選ではありますが、私としては、「懐疑派業界(?)の大物をまとめて連れてきて、IPCCに近い立場の江守さんと対決させて、その結果を文書としてきちんと残しておこう」という趣旨であると好意的に解釈しています。実際、この手の討論が学会の機関誌というきちんとした出版物に日本語で掲載されるというのは、私が知るかぎり初めてのことです。「必読記事」と言っても間違いないでしょう。このような企画を発案し、実現させ、さらにウェブ上で公開するという決断をされた、「エネルギー・資源」編集委員の皆様、とくにこの企画のコーディネーターをつとめられた吉田英生氏(京大工学研究科教授)には、惜しみない賛辞を送りたいです。

さてさて、肝心の討論の中身についてですが、私の評価を一言にまとめると、多彩な論点を繰り出す地球温暖化懐疑論者の皆さんを、江守さんが見事にまとめて返り討ちにした、というものです。想定読者が気候科学の専門外ということで、江守さんはあえて細かい議論には立ち入らず、重要で基本的な論点に絞って簡潔に主張を述べており、その結果、読みやすくて説得力のある主張になっています。江守さんが言及しなかった細かい論点については、このブログでも後日ぼちぼち書いていきたいと思っています。

なお、私自身は江守さんとは研究分野が重なっているので、物の見方が似ているはずです。いくつかの論点については私と江守さんの間で事前に意見交換もしましたので、この討論において、私は完全に客観的な立場というわけではありません。このブログを読んでくださった方は、私や他人の評価をあまりあてにしないで、じっくり討論を読み込んだ上で、誰の意見が説得力を持っているかをご自身で判断されるのが一番だと思います。

では、また。

P.S.
毎日新聞には、1月12日、「エネルギー・資源」の討論についての記事が載ったそうです(記事へのリンク)。この記事で、草野さんの立場を「中立的」と表現しているのは変ですし、江守さんの主張が引用されていないのはバランスに欠けると思うのですが、署名入りで記事を書かれた田中泰義記者はずっと以前から地球温暖化の脅威を訴える高品質の記事を書かれてこられた方ですので、あえて今回は懐疑論の方を紹介することにしたのでしょうか?

P.P.S.
直接の関係はありませんが、日経エコロジー誌 2009年2月号 には、「温暖化懐疑論に答える」と題した特集が載ったそうです。私はまだ読んでません・・・。

吉村じゅんきち