対策本は、「どこらへんが出やすいか」と言う参考にはなると思うのですね。レベルが足りない時は、どれが重要単語でどれが頻度の高い単語かと言う事は区別が自分ではつかないので、やみくもに何でも調べてしまいますし。 

しかし、いわゆる試験に出る単語対策本、ターゲットやduo を完璧に覚えているのに全く英語ができないと言う不思議な生徒さんに会った事があります。

その生徒さんは、文中に単語が出てくると、文脈に関係なくそのターゲット訳語が自動的に浮かんでくるので(つまりそこまでしっかり覚え込んでしまったと言う・・・)、可哀想に頭の中でちんぷんかんぷんな直訳になるらしいのです。文脈に応じて柔軟に解釈ができない。

単語の意味は一対一訳で覚えない方がいい例です。

単語試験対策本は出題傾向の参考にはなりますが、やはりちゃんと言葉を覚えたいなら辞書だなあ、と思わせる出来事でした。

それもしつこいですが普段は紙の辞書がいいです。電子辞書だと優先順位の高い意味が最初に出てくるので、スクロールして適切な意味を探すという事をしない人はターゲット単語帳病と同じ現象が起きる恐れがあります。

どれだけ紙心棒者なんだこの電子書籍、電子辞書時代に!と言われそうですが、上級試験に受かった人は「辞書(紙世代の方たちではありますが)をひきまくった」と皆さんそう言うところを見たら、やはり一理あると思うのです・・。もし何らかの資格試験に受かりたいのであれば、過去問をやり、そしてまず辞書で自分で単語、語句の意味調べをし、例文をなるべくたくさん見て言葉のイメージを掴み、(訳を掴むのではなく、何故その訳になるのかイメージを掴んだうえで訳を理解すると言う事です。回答欄にある訳語を余り信用しない事。その問題にだけ対応している訳語のことが多いですから)そしてその上での他の教材ではないでしょうか。

(まあ、単語を一対一対応で覚えない方がいいよ、という話はずっとこの前からしているのですが・・。)

それともうひとつ。「単語を覚える方法」これは好みの問題なので、表を作って覚えるのが気にならない人はそれでいいと思うのです。

ただこういっては何なのですが、どーも単語を一覧にして和訳で覚えている人は、たとえ1級保持者でもスピーキングが単調な気がします。たくさん語彙があって、言い回しも一杯知っているのに、単発なぶつぶつしたした感じの話し方が多い・・・これはその単語の意味は知っていても文の中でのアウトプット時のイメージがつかめていないからではないかと思うのです。つまり使用時の時に使える例文のインプットが少ない。無意識に頭の中で訳しているのだと思います。

(ちなみに、この人たちは仮に英文和訳をしたら明快に日本語らしく、私よりずっときれいに訳すと思います。)

外国語の学習は結局は「自分の目的」にあったものを試行錯誤の末「自分の個性に会ったもの」を「自分」が選択して行くわけで、何を良しとするかも千差万別ですが、どれがぶれていても成功しないのではないかと感じます。

目的にそったスキルを勉強できる方法を自分は本当に取っているのか?の判断も必要ですし、自分の得意なのが眼から入れる事なのか、見ながら耳から同時に入れるのか、発音しながら書くのか、聞きながら書くのか、聞いてリピートするのか。 それを知ることもとても大きいです。ちなみに私はスペリングが弱いので書いて覚える方法は全く向いていませんでした。

もちろん、何を教材として自分が選ぶかも継続を促すためには大事です。雑誌からはいるのか、新聞か、インタビューなのか。映画か、ラジオか、音楽か? 

自分に合った、しかも飽きない継続できる方法を選択模索しながらもつかむ事ができたら、徐々に学習ペースを作る事が出来ます。そうするとだんだん楽になるから同じ時間やっていても練習量が増えて学習が加速する。いろいろ分かるようになって来ると余り継続も苦にならなくなってくる・・と言うよい循環がうまれてくるはず!

そこまでが大変だけれど、このサイクル、一旦回りだすとちゃんと回ります。

ターゲット学習は英検準2級~2級位までは無駄が無くて効率的に効果を生むかもしれません。あるレベルまでは頭の中で翻訳してもそんなに誤解がない教材が用意されていますし、語彙もあまり多義を問われる問題は出ません。
しかし、もしあなたの目指すものがそれを越えたものであるならば、急がば回れ、の学習法の方が必ず豊かな英語が身につくと思います。語彙の多さではなく、少ない語彙でもそれを場面に応用して使う事。それが本当に英語を使うという事であり、
ターゲット学習では身につかない運用力につながるのです。

英検2級に合格した方が、「2級が取れるレベルになれば英語が話せると思っっていたのに」と良くおっしゃいますが、彼らの本当に欲しかった運用力、実は合格に至るまでの学習法を選ぶ過程ですでに決定していたと言えると思います。丸をつけて正解を得る事が出来ると言うことと、アウトプットが出来ると言うことは別なのですから。