2006年02月07日

ファニーゲーム

ファニーゲーム

【映画的カリスマ指数】★★★★☆

 完全に゛悪゛の勝利

監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:スザンヌ・ロタール,ウルリッヒ・ミューエ,アルノ・フリッシュ,フランク・ギーリング
製作年・国:1997/オーストリア
鑑賞日:2006/2/7:DVD
系統:サスペンスホラー(?)
配給:アルバトロス

ストーリー:バカンスのために湖のほとりの別荘やってきたショーバー一家。夫婦に息子一人と飼い犬1匹。・・・なんの変哲もない普通の幸せな家族。
別荘に到着した早々に一家のもとにペーターと名乗る青年が訪れてくる。始めは礼儀正しく、おとなしい青年だったが、もう一人のパウルという青年が訪れるころには、態度は横柄になり、不愉快このうえのなく豹変していた。
やがて彼ら2人は一家を別荘の中に閉じ込め、一家皆殺し宣言をするとジリジりと「ファニーゲーム」を開始させていく。ショーバー一家は、殺人ゲームの不運な参加者となるのだった・・・・。

評:カンヌ国際映画祭で3冠に輝いた『ピアニスト』のミヒャエル・ハネケ監督の金字塔的作品。
同映画祭での上映時、あまりのショッキングな内容に席を立つ人が続出。各国で上映されるも、ロンドンではビデオ発売禁止運動まで巻き起こったという問題作。


  いやあ・・・ホントに私、こういうレッテルずくしの作品・・・大好きですわ。

実はこの作品の存在自体を知らなかったのですけど。
いつもお世話になっているブログ:FUN×5〜五つの楽(fun)を探して〜のpurple in satoさんからご紹介いただき、やっとこのたび鑑賞にいたりました。パープリンさん、ありがとう!!


「必ず最後に正義は勝つ!」・・・って言葉がありますね。
人間はいつだって心のどこかで、正義や善を信じてやまないもの。
どんなに隠れてコソコソしたって・・・悪いことをしていれば絶対バレるものだし、ヒーロー戦隊モノもどんなピンチに陥ったって・・・絶対最後には正義のヒーローが勝つ・・・それがあたりまえの方程式にように成り立っている。

         いやいや。そうでなきゃ、何も救われないからね。
   最後には絶対、正義と愛が勝ってくれないと・・・希望も夢もないっしょ?
          人間世界の秩序が保たれないってもんですわ。


それを踏まえて・・・。
アハハハハ、びっくりしたよ・・・この映画。思わず変な笑いが出るほどに・・・。

          だって、完全に正義と愛が敗北しているんだもの。
  徹底的に正義を排除して、徹底的に悪意をはびこらせた・・・性悪説ムービー。

観ていて内臓ごと吐きたくなるほど、胸クソ悪くておぞましい嫌悪感に包まれる。
今までも、不愉快な映画なんてたくさん観てきたけれど。ここまで作品が放つ悪意や、不正義や、無秩序なオーラに不快感を感じたことはなかったかもしれない。


ほとんどのサスペンスやスリラーといった映画は、逃げる側・被害者側に感情移入しやすく作られているもの。観客はそれと一緒になって恐怖や悲しみを体感するものだけど。
この作品はまるで・・・自分が加害者になって人を傷つけたり殺したりしているような気分になる。この物語の狂った殺人ゲーム=ファニーゲームに犯罪者として参加しているような気分にさせられるのだ。

   このとんでもない不快感・嫌悪感はそこから生まれるものなのかもしれない。

そして最悪なことに。
そこには慈悲も情も後悔も懺悔もなく・・・・あっさりと悪がゲームの勝利をおさめてしまうのだ。


この作品ね。
派手に血を飛び散らせたり、グッチャリと内臓をえぐり出したり、バッと脳みそがはじけ飛んだり・・・・実は、全くといっていいほどそんな直接的な描写をせずに、しっかりと暴力と殺人を描いているんです。

      ビジュアルで観る限り一切エグくもなけりゃ、さほど怖くもない。

だけど・・・観終わった後のあの底なしの怒りや、言葉に出来ないほどの嫌悪感・不快感は、あからさまな暴力描写を観るよりもよっぽど・・・深く身体に刻まれるようだ。


            必ず最後に正義と愛が勝ってたら・・・。
         きっと世の中、悲しい事件も悲惨な犯罪も起こらない。

暴力や殺人っていうのは、きっといつまでたっても撲滅できないもので。
だからこそ安易な視覚効果ではなく、徹底的に身体と精神でその意味を認識するべきなのだ。
      ・・・・この作品はそういう意味で、大変な秀作なのかもしれない。


       
       まあ・・・この作品。二度と観ることはないだろうと思うけど。


clockworkorenge at 23:37│Comments(14)TrackBack(11)clip!映画論 は行 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. ファニーゲーム  [ My Color ]   2006年02月08日 01:45
今回は、映画『Fucking Game』・・・・ではなくて『ファニーゲーム』です。 これはもう「ファッキングゲーム」といったほうが相応しいですが・・・・ サスペンス・ホラー映画でオーストリアの作品。 ストーリーを簡単に説明すると、湖畔の別荘でバカンスを楽しむ一家を頭...
2. ファニーゲーム  [ だらだら映画・和日和 ]   2006年02月08日 07:57
ミヒャエル・ハネケ監督作品で 映画史上もっとも不快と言われてる映画です あらすじ バカンスにやってきたごく普通の家族 しかし怪しげな隣人が卵をもらいにきたことで "ファニーむ?? ??
3. 「ファニーゲーム」  [ NUMB ]   2006年02月09日 08:41
 ファニーゲーム 「ファニーゲーム」 ★★★★ FUNNY GAME(1997年オーストリア) 監督:ミヒャエル・ハネケ キャスト:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッ〃????
4. ファニーゲーム  [ amapola ]   2006年02月09日 16:59
(オーストリア/ミヒャエル・ハネケ/VHS/★2) 不愉快計測計の針が勢いよく振りきれた。振りきれたまんま戻ってこないよ。どうしてくれるのよハネケさん! 音も動きもない映像で、観ている者を徹底的にじらす。 まさに、監督と観客の心理戦。 定点観測状態の映像にはホ...
5. ファニーゲーム  [ 1ペェジの駄文 ]   2006年02月11日 18:24
●ムカつく、だけど面白い。{/hiyo_ang1/}{/fuki_suki/} <監督> ミヒャエル・ハネケ <出演> アナ:スザンネ・ローター パウル:アルノ・フリッシュ ペーター:フランク・ギーリング <ストーリー> ある夏の午後。 緑豊かな湖畔の別 荘にショーパー一家はバカンスを...
6. ファニー・ゲーム  [ 雑記のーと Ver.2 ]   2006年02月21日 01:36
「ファニー・ゲーム」を観た。 穏やかな夏の午後。バカンスのため湖のほとりの別荘へと向かうショーバー一家。車に乗っているのはゲオルグと妻アナ、息子のショルシ、それに愛犬のダ Y
7. ファニーゲーム  [ 映画まみれ ]   2006年03月24日 23:59
『ファニーゲーム』(‘97/オーストリア) 監督:ミヒャエル・ハネケ 世の中で最も怖いのは、まったく理由がなく、いわれのない暴力を受けたときだろう。 相手を憎んだり恨んだり、とネガティブな理由があって成立する暴力ならまだわかる。 この作品で描か...
8. ファニーゲーム  [ とにかく、映画好きなもので。 ]   2006年04月26日 22:47
3    非常に後味の悪い作品ですね。  予告で観て気になっていたミヒャエル・ハネケ監督の「隠された記憶」の作品を観たいと思っていたので借りてきて・・・  物語はバカンスのために別荘へとやってきたショーバー一家。  家族構成はゲオルグと妻....
9. ファニーゲーム  [ mama ]   2007年04月29日 22:34
1997年:オーストリア 監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:スザンネ・ローター、ウルリッヒ・ミューエ、フランク・ギーリング、アル・ノフリッシュ バカンスのため湖のほとりの別荘へと向かうゲオルグと妻アナ、息子ショルシ、愛犬ロルフィ。別荘に着いた一家は明日のボ....
10. ファニーゲーム  [ ○o。1日いっぽん映画三昧。o ○ ]   2007年07月20日 14:52
--とりあえず更新できなかった日数分(10本以上!)をたらたら書いていきマース--ジャンルはサスペンスでいいのかなあ。
11. ファニーゲーム  [ ぁの、アレ!床屋のぐるぐる回ってるヤツ! ]   2008年10月02日 09:24
とっつきやすいハネケ映画に免じて...。 ファニーゲーム【字幕版】posted with amazlet at 08.09.14アルバトロス (2002-05-03)売り上げランキング: 12795Amazon....

この記事へのコメント

1. Posted by サネ   2006年02月08日 01:58
こんばんは。
TBありがとうございます!
おっしゃるように、自分も加害者の立場で映画を観ている感じに陥ってしまうから、普通の感覚を持っている(持っていると思われる)自分にとっては胸クソが悪いんですよね。
必ずしも正義が勝つとは限らない場合もあるんですよねぇ。
イヤなことですが。
こちらからもTBさせていただきました。
2. Posted by さわわ   2006年02月08日 08:04
楽しみにしてました睦月さんのファニーゲーム感想。
さわわのなかで気分の悪くなる映画歴代1位ですよ・・・
でも、昔働いてたレンタルビデオショップではいつもすごい人気でした
かりて観た人にとってみんなが不快に感じてくれるといいのですが、
これが面白い!楽しい!と感じる人がいたら・・・恐ろしいですね
でもきっとそういう人もいると思う・・・
3. Posted by サネ様へ   2006年02月08日 21:22
■サネ様へ
コメントありがとうございます!!
ホントに、この作品の発想にはびっくりしました。完全に今までにはありえなかった思考で暴力や殺人を描き出している・・・。
とても嫌な気持ちになる作品でしたが、少なくともこれで私は人の道を外れることはないような気がします・・。
4. Posted by さわわ様へ   2006年02月08日 21:38
■さわわ様へ
さわわちゃん!いらっしゃーい!!
ええ!?この作品、人気あったんだ!けど、監督も有名だし内容もなんだか興味をひく作品だものね・・・。
睦月もね、同じこと感じたよ。この作品をなんとも思わず、あの2人の男のように楽しんじゃう人もいるのかな?そしたら、とっても恐ろしいことだな・・・って。
不快に感じられる私たちは大丈夫なのよ。そうして、暴力の意味を身体で知る作品なんだと思う。
5. Posted by purple in sato   2006年02月09日 00:52
睦月さん、こんばんはぁ。

いやはや、冒頭にてご紹介までして頂いちゃって…
ありがとうございますぅ〜m(__)m(__)m(__)m

さて、本作は軽〜くボディブローが数発入ってるな!?
って、思ってると…後からズシンと利いてきて足にきちゃう。そんな不思議な作品でした!
タイトルもそうですが、メディアを逆手に取った演出にも
ここまでやるかぁ!?な落とす事だけを考えて創った作品
なんでしょう…たぶん(?)

今回のレビューを拝見し再鑑賞してみようかなぁ?等と
思ってみたり…てへへ

では、またおじゃまさせてもらいまぁ〜す♪
6. Posted by lin   2006年02月09日 08:46
こんちは、TBありがとうございます。
最低最悪の展開と幕切れですが、あの気持ち悪さは他の映画にはない持ち味ですよね。
新作隠された記憶 Cache(http://www.sonyclassics.com/cache/)はカンヌで監督賞だったと思いますが、どんななってるやらw
TB返させて頂きました、また宜しくどうぞ。
7. Posted by purple in sato様・lin様へ   2006年02月09日 22:31
■purple in sato様へ
いやあ・・・やっとの思いで鑑賞しましたあ。
ホントに世の中をコバカにしたような作品(笑)。けど、かなり秀作だと思います!こういう表現の仕方の方が、人間の心にはガツンときやすいんじゃないかな?なんて思って。
胸クソはかなり悪くなりましたが、これはこの作品の効果が効いているってことなんだと思います。
パープリンさん!またステキな作品を紹介くださいな!

■lin様へ
コメントありがとうございます!!私もこの監督の新作Cache気になっていたんです。観たいな・・・・。
ホントに不快感ばかりが残る作品でしたが、暴力の意味を知らしめるという意味では、こういった手法が一番効き目があるのかもしれないですね。はー・・気分悪かった・・。
8. Posted by baoh   2006年02月21日 01:50
こんばんは。
確かに私も2度と見ないと思います(笑。
TBさせていただきました〜。
9. Posted by baoh様へ   2006年02月22日 23:21
■baoh様へ
コメントありがとうございます!
嫌な映画でした・・・最悪です。フウ・・・。
思い出したくもないですわ。
もう絶対観ません。
10. Posted by orange   2006年04月26日 22:51
こんばんわ☆
睦月さん〜!
TBありがとうございました。
ホントに観た後もどんよりしてました。この日はお休みで・・・その後「デュエリスト」試写会で観て・・・と、気分が憂鬱になる日でした(泣)
しかし、これは確かに2度と観ないでしょうね・・・
この2人組みは、知らない俳優さんだけど、キャスティングとして絶妙だと思いました。本当にムカツク面してましたわ。
でも、何だかんだ言いながらミヒャエル・ハネケの「隠された記憶」は、チケット買って臨戦体制で臨んでたりして♪
11. Posted by kohei   2008年11月23日 11:12
睦月さん こんにちは!

マイフェイバリットカルトアングラホラー『ファンタズム』のことを調べていたら『ファニーゲーム』という作品について触れられていて…例のごとく検索したら…最強ブログに到達しました(笑)
『マジで最強カリスマブログじゃねーかよ!』
と呟いてたのは言うまでもありません…
(・ω・)/
で…ファニーゲームは観ないことにしました(泣)
参考になりました(笑)
ありがとうございます!
12. Posted by kohei様へ   2008年11月25日 14:09
■koehi様へ
コメントありがとうございます。
お返事、ものすごく遅くなってごめんなさい!!

≫マイフェイバリットカルトアングラホラー『ファンタズム』

これって、コスカレリ監督ですよねえ。監督自身が見た夢をそのまま映画にしちゃったという・・・デビット・リンチみたいなことをしちゃった作品だったはず。
DVDが出ないかなあとずっと思っていた作品でしたが、どうやらいつの間にかDVD出てたみたいですねー♪私もまだ未見なので、ぜひ観てみようと思っています!

≫『マジで最強カリスマブログじゃねーかよ!』
と呟いてたのは言うまでもありません…(・ω・)/

いえいえ・・・恐縮です(苦笑)
以前はレンタルでマニアックなものを借りて記事にしていましたけれど、最近はすっかり新作ばかりを追うようになってしまいました(苦)。もはや全然カリスマでもなんでもないんですよ(涙)

≫で…ファニーゲームは観ないことにしました(泣)
参考になりました(笑)
ありがとうございます!

『ファニーゲーム』はもう少しでセルフリメイク版が公開されますね。
あの映画は不快指数200%超です・・・もうマジでイヤになりますよ。グロ描写とか一つもないのに、本当に観るに耐えない映画なんですよねえ。

とっても秀逸な1作ですが、心に余裕があるときに観るのをオススメします(苦)。
13. Posted by kohei   2008年11月25日 18:38
ファニーゲームのハネケ監督は哲学者でもあるんですってね。

『ホラー映画におけるヴァイオレンス描写が実際は不快なものであるということを再認識してもらいたかった』

こんな理由で撮らんでほしいっす(笑)

ナオミワッツが出演しているならリメイク盤観てみようかな。


14. Posted by kohei様へ   2008年11月26日 10:12
■kohei様へ
コメントありがとうございます。

≫ファニーゲームのハネケ監督は哲学者でもあるんですってね。

そうみたいですね。そういう性質が非常に彼の作品の中に出ているような気がします。
ハネケ作品ってとっても特異なものばかりで、作品数こそ多くはないけれど、どれを観ても強烈なトラウマを残すものばかり・・・(苦笑)

≫こんな理由で撮らんでほしいっす(笑)

まったくですねー(汗)。
でもそういう考えのもとにこういった作品を作れるのは、やっぱりハネケならではという気がいたします(苦笑)。

≫ナオミワッツが出演しているならリメイク盤観てみようかな。

オリジナルとリメイクを比べてみるのも面白いかもです。なので、ぜひオリジナル版も♪
今回のリメイクはオリジナルとカメラワークも脚本も同じで、単に役者が変わっただけのものになるとのことなんですよねえ。

しかもハネケのセルフリメイクなので、比較のし甲斐がありそうです★
楽しみ〜♪

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔