2006年02月18日

拘束のドローイング9

拘束のドローイング9

【映画的カリスマ指数】 測定困難なため放棄

 芸術は爆発だ・・・・・・?

監督:マシュー・バーニー
出演:マシュー・バーニー,ビョーク
製作年・国:2005/米・日
鑑賞日:2006/2/17:シネマライズ
系統:ラブ
配給:ワイズポリシー

ストーリー:場所は日本。それぞれ別の場所からやってきた西洋人の男女が、伝説の捕鯨船「日新丸」に乗り込み、婚礼の儀をあげる。船内の茶室に通された2人は、茶を一服するうちに互いに惹かれ合う。しかし、日新丸は損傷し次第に浸水していく・・・2人は海水に浸りながら愛し合う。

評:現代美術界のカリスマと呼ばれる芸術家マシュー・バーニー監督・主演の作品。
彼のパートナーである歌手ビョークは本作品の音楽を担当し、作品への出演もしている。

マシュー・バーニーという人について少し・・・。
大学で医療予科を学び、モデルなども経験。その後アーティストに転身。1987年から「拘束のドローイング」を開始。
ドローイングとは筋肉と創造性負荷を与えて、拘束と解放を芸術にて表現するというものらしい。時には壁によじ登りながら又はトランポリンで飛び上がりながら・・・といった状況で絵を描いたりするとどうなるか?・・・そういった実験的要素を含む表現法。

       今回はそのドローイングシリーズ9回目。・・・それがこの作品。

実はベネチア映画祭では大絶賛を受けたという本作品。日本でもその熱烈な要望に応えて期間・地域限定で凱旋公開となった。

     うーん・・・・・。
     世の中には芸術の価値が分かる人というのが非常に多いのですね(笑)


この作品について、駄作だとか秀作だとか・・・ぶっちゃけ、自分にはそこまでの判断に行き着くほどの感性もなかった。そういう意味では、かなり新鮮に感じた映画。

意味が分からないとか、移入できないとかという余裕も与えず・・・・この作品はずんずん進行していく。とりあえず、それに身を任せて思考回路を遮断してみていたら・・・いつの間にか引き込まれてしまっていた。

        「観る」というより「見る」映画。・・・そんな印象。

舞台は日本で、マシューとビョーク以外の出演は全て日本人。茶道や着物、捕鯨船といった日本の伝統にマシュー風味を加えて映像化。
一番なじみのある母国が主体となっているのに・・・どこかしら未知の世界観といった味わいがある。そこにはまるっきり体温というものが感じられず、どうしても無機質で、一線を引かれているような感覚に陥ってしまった。

そこに加えて・・・ビョークが担当した不協和音な音楽と彼女のキリキリまいな歌声。そのある種、不気味なほどの旋律が劇場の空間を奇妙なものにする。

         ・・・・一種のトランス状態に陥ってしまう。
             完全に脳内細胞フリーズ状態。


この作品ね。
びっくりするほど台詞がない。ビョークなんか結局一言もしゃべらずじまい。
映画が始まってから45分後くらいにやっと日本人が「いらっしゃいませ」と言ったのが初台詞。

そういった言語の排除によってこの作品は、単なるフィクションでもノンフィクションでもなく・・・完全なる卓越した芸術として成り立っているのかもしれない。


やっぱり、現代芸術のカリスマと呼ばれているだけあって、マシューの生み出す創造物はすごい。
マシューとビョークが身にまとう着物は、かなりのハイセンス。作品中に出てくるさまざまなアートも・・・全く意味が分からないけど、すごいなあという感じは受ける。
      いずれ、理解測定器ぶっ壊れ状態だから。頼るは感覚のみですわ。


       まあね、エンドロールのときに・・・・。
       劇場内の皆様が完全に固まっていたのを痛烈に感じましたよ。


今後DVD化もされないかもしれないといわれているこの作品。
完全に受け付けない人も絶対にいるとは思うけれど、興味があれば記念鑑賞ってことで・・・とりあえず観てみるのもいいかもしれない。


            3月3日まで。渋谷シネマライズにて。

                ・・・健闘を祈る。


clockworkorenge at 01:34│Comments(22)TrackBack(10)clip!映画論 か行 

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この記事へのコメント

1. Posted by ■ERINA■   2006年02月18日 03:32
どーもです、なんとなく気になったので覗きに来ましたっ・・!
また来ますねっ・・・!
2. Posted by みどり   2006年02月18日 04:47
はじめまして。TBありがとうございまいた。この映画が渋谷で公開中とは知りませんでした。ものづきな私はマシュー・バーニーの展覧会とこの映画みたさに旅行をかねて千葉から金沢まで行ってしまったのでした・・・。楽しい映画とはいえないけどかなり変わった作品ですよね(^_^;上映中にもう一回観行こうかと思ってます。
3. Posted by Ririka   2006年02月18日 06:10
(●・ω・)ノお邪魔します♪楽しく読ませていただきました☆でわゎヽ(・ω・○)
4. Posted by せっき〜   2006年02月18日 11:47
 はじめまして。トラックバックありがとうございました。
 僕はこの映画(というか映像作品?)は2回観たのですが、正直、よくわかりません(汗)。ただ、ビョークが出ているというだけで観ていますので…。
5. Posted by Puff   2006年02月18日 16:21
ドモドモー♪
睦月さんがこの映画を観られるということで、レヴューをお待ちしておりやした!!
チラシを観るとそそられるものがあるのですが、いや、もしかしてイメージのみの映画かな、なんて思いましたね。エヘヘ
睦月さんのレヴューを読んで満足致しましたデス〜♪
ビョークのファンやアートに興味ある人は良いのでしょうなぁ・・・
レンタルになったら観ようかと思ったけれど、DVD化はされないのかも知れないのねん・・・フ・・・
6. Posted by Puff   2006年02月18日 17:38
書き忘れです。
ちょっくらメールしたいのでアドレスを教えてくれませぬか?
ワタシのHPのメールフォームから送ってくれると助かりまっす。
あ、、大した話ではないのですが。アセ
7. Posted by suzu   2006年02月18日 17:44
お初です。いつも拝見させて頂き、見る映画の参考にしてます(仙台ですので見られる作品に限りはありますが・・・苦笑)。睦月ねえさんのカリスマ測定器がエラーを出す作品とは恐るべし「拘束のドローイング9」ですね(笑)。見る機会があったら挑戦して見たいと思います。
8. Posted by 八ちゃん   2006年02月19日 07:19
なんと八ちゃんにふさわしいタイトルなんだろうか!おいらだってドローイングソフトくらい持ってるわぃ。
ところでペイントとドローの違いって知ってる?
つーわけで未だ見に行くか迷ってる八ちゃんです。お早ようございます。
さて仕事に行くかな。(いや、もう通勤途中だけど)
9. Posted by みどり様・せっき〜様へ   2006年02月19日 21:44
■みどり様へ
コメントありがとうございました。おお!金沢まで行かれたんですね!素晴らしい!アートに興味がある方にはたまらない展覧会だと思います。私も行きたかったなあ・・・。この作品は何回か回数を重ねれば理解できますでしょうか?いずれ難解な作品でした(苦)

■せっき〜様へ
コメントありがとうございました。ビョークはまたもや独特の雰囲気が出ていて素敵でしたね。けど、やっぱ・・・難しい作品でした。
芸術感覚に優れている人の作るものってやっぱり、一般人には理解しがたいものが多いみたい・・・。
10. Posted by Puff様・suzu様へ   2006年02月19日 21:49
■Puff様へ
コメントありがとうございます。
あのねえ・・・無理に観に行かなくてもいい作品だと思う。まあ・・・興味でレンタルして観ることができれば一番なので、ぜひレンタル化されることを祈っているけど・・。
ところでどうしたの?何かあったのかい?Puffさんとこにアドレスは飛ばしておいたから、いつでもメールくださいな!

■suzu様へ
コメントありがとうございます!初めまして!ようこそいらっしゃいました!!いつも見てくれてありがとうございます!見てくれているということが睦月の励みです!私も岩手出身なので、地方での映画の不便利さってよく分かります。だからこそ、こういう特殊な作品もどんどん紹介していきたいと思っているんです。東京はたくさんの映画をやっているけど、やっぱり作品によってクオリティーはさまざまですね。またいつでもコメントください。ご訪問をお待ちしてます!!
11. Posted by 八ちゃん様へ   2006年02月19日 21:51
■八ちゃん様へ
ええ・・・ペイントとドローの違いってなあに?そもそもその2つの単語の意味すらままならない睦月です。
コメントありがとうございます!
八ちゃん、この作品はかなり特殊だから無理に鑑賞しなくてもいいかも。興味があるなら、それだけで観る価値はある作品だけど・・・。
忙しい中、いつものぞきにきてくれてありがとね♪
12. Posted by ルールー   2006年02月20日 15:18
やっぱり…不安適中っぽい。(^^;;;
睦月さんでも理解測定器がぶっ壊れたのなら、わたしは止めておこうかな。(笑)
ベネチア映画祭大絶賛モノというのは、時として一般ピーポーには理解できない系が多いですね。
たぶん思想的意味を読もうとしないで、アートはアートとしてその表現自体が思想であり美であるってことで、深く考えないで見るのがいいのかも?
13. Posted by ルールー様へ   2006年02月20日 23:09
■ルールー様へ
ご訪問ありがとうございます!
ウハハハハ!ぶっ壊れちゃった♪・・・なんかね、すごい映画のような気もするし、とんでもない自己中映画な気もする・・・。完全に理解不能だった・・・(苦)
映画って感じじゃなかったんだよね。だからルールーさんの言うとおり、もういろんなことを割り切って見るしかないといった感じ。余計な思考をめぐらすと、脳内破壊が起こる期がしたなあ(笑)
14. Posted by サンチョ   2006年02月21日 18:37
はぢめまして。たのしく読ませてもらいました。
わたしも先日観ました。個人的な解釈ですが、「芸術(アート?)」ってパフォーマンスのヒトリヨガリ度やその世界観が批評性・共有性を帯びているほど評価されるもんだと思っています。その意味で、創り手マシュー・バーニーの世界観を前にワクワクも圧倒的な映像体験もできなかった身としては「自分の生理が欲していない作品」として、睦月さんと同じく閉口せざるをえない映画でした。
ただ、現実でもパートナーの二人が繰り広げるあのシーンが描き出す官能性からは「愛」の本質や普遍性といった言葉を超えた「一体感」が感じ取れて深く心に沁みました。
15. Posted by サンチョ様へ   2006年02月22日 22:48
■サンチョ様へ
コメントありがとうございます!
サンチョさん、素晴らしく鋭いことをおっしゃってくれました。まさしくその通りと思います。
若干、この作品を映画というくくりにすることも少し抵抗があったんですね。フィルム撮りしてスクリーンに映せば映画ってことになるのかもしれませんが・・・あまりにも卓越した世界観に圧倒されてしまって。評価するとかいう次元もぶっ飛んでしまいました・・・(笑)
マシューとビョークの絡み(?)シーン。エグさもありつつ、微妙に美しく見えてしまったんです。さすがにプライベートでもパートナーというだけあって、そこからにじみ出るものは、強烈に伝わってきたなあ・・・という印象は残りました。
ではまたご訪問ください!お待ちしてます!
16. Posted by いわい   2006年02月27日 09:19
こんにちは♪トラックバックありがとうございます。
現代のアートに期待しているのは、「強烈な美」か「驚愕」なのですが、それほど感じられなかったのが残念でした。
日本的素材のマシュー・バーニー化は、そのズレが笑えてしまったのでした。
理解できるかどうかではなく、面白がることができれば良いと思っています。
17. Posted by いわい様へ   2006年02月27日 17:21
■いわい様へ
コメントありがとうございます!
いやあ・・・ちょっと理解に苦しむ作品で、私自身もなんとコメントしたらよいか・・・分からないのですが。
あらゆることを超越したものすごい作品にも思えるし、なんだか独りよがりな自己チュウ作品にも思えるし・・・ぶっちゃけ、私には分かりません・・・。
実際、面白がる余裕もなく、あの圧倒的な世界観に、自分が完全に食われていたなあ・・・という感想です(苦)
18. Posted by sige   2006年03月20日 15:46
はじめまして〜♪
>映画が始まってから45分後くらいにやっ>と日本人が「いらっしゃいませ」と言った>のが初台詞。
その日本人は多分、僕です。
マシューのヒゲを剃っている理容師の役で出演しました〜(^o^)v
19. Posted by sige様へ   2006年03月22日 01:49
■sige様へ
こちらこそ初めまして!ご訪問ありがとうございます!
おお!あの理容師さんはsigeさんでしたか!これはすごい!
初めて台詞を発する日本人だったのですごく印象に残っております、はい。

マシューのおヒゲ、剃ってましたねえ!あのシーンはなんてことないはずなのに、とっても印象が強いですよ!それにしてもマシューのヒゲは濃そうでした・・・。
20. Posted by sige   2006年03月22日 22:56
あのヒゲは難しかったですよ。普段の営業ではあんなに伸びたヒゲは一度短くしてから剃るのですが・・・。長いまま剃ってくださいと言われ・・・。一応プロなんで頑張りました。 白衣も国家試験以来でした。
21. Posted by sige様へ   2006年03月23日 01:16
■sige様へ
コメントありがとうございます!
でしょ?でしょ?あのヒゲは素人目から見ても大変そうだったもん!
そうだよねえ!ハサミ使わずにいきなり剃ってたもんね!あれは・・・大変に違いないよおお・・・。
ほんとにお疲れ様でした。でもさすがプロ。綺麗に剃れてましたね。

ところで、マシューの眉毛を剃ったのは誰だったんだろう?気になる・・・。
22. Posted by Rhonda   2006年05月10日 01:45
1 Thank you!

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