2007年05月28日

監督、ばんざい!(試写会)

監督、ばんざい

【映画的カリスマ指数】★★★☆☆

 ぶっ壊しまくりの北野流ワンダーランド

 

監督:北野武
出演:ビートたけし,江守徹,岸本加世子,鈴木杏,吉行和子,宝田明,藤田弓子,内田有紀,木村佳乃,松坂慶子,大杉漣,寺島進,六平直政,渡辺哲,井手らっきょ,モロ師岡,菅田俊,石橋保,蝶野正洋,天山広吉
製作年・国:2007/日
鑑賞日:2007/5/27:新宿明治安田生命ホール
系統:ドラマ
配給:東京テアトル
その他:2007年6月2日より全国ロードショー ⇒ 公式HP

ストーリー:監督北野武は、自分の十八番であるバイオレンス映画を封印すると宣言してしまう。北野監督は、ヒットする映画を作るためにさまざまなジャンルに挑戦し、試行錯誤を重ねるのだが・・・・。


評:『HANA−BI』、『座頭市』、『TAKESHIS’』など多くの作品を世に送り出し、ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞、監督賞を受賞している゛世界のキタノ゛、北野武監督の最新作。

第60回カンヌ国際映画祭では世界の映画監督35人の中に、日本人として唯一選ばれた。


私自身、邦画はあまり観る方ではない。
日本人である以上、自国の映画を愛すべきだと思うし、自国の映画をもっと知るべきとも思っているけれど・・・邦画を観るために積極的に劇場に足を運ぼうという気にはなかなかなれない。

日本は、世界的にみても1,2を争うほどの巨大映画マーケットと言われているのに、映画人口がさほど多くはないどころか・・・邦画はどうしても洋画の勢いに負け気味だったりする。

  近年でこそ邦画は勢いづいているとはいえ、やはりまだまだそのパワーは弱い。

    たしかにたまに秀作・佳作と思える作品に出会うこともあるにせよ・・・
          ぶっちゃければ、邦画に魅力を感じないのだ。

言ってしまえば、それほどに私自身が邦画に対して「面白くない」、「退屈」という先入観を持ち合わせてしまっているということ。


そんな中で、北野監督は間違いなく日本が誇る映画監督だと思っているし・・・。
私の中では、ネームバリューで観に行こうと思える邦画監督の中の一人であることは間違いない。

 一般ウケは難しいかもしれないけれど・・・それでもやはり私は北野作品が好き。


本作品を制作にするにあたって、北野監督自身が「今までの自分の作品をぶっ壊したい。リセットしたい」というニュアンスのことを言っていたけれど。

私にしてみれば、この作品は・・・。
北野監督自身の映画監督としての苦悩をぶっ散らかしながら、且つ、過去の名だたる名作・名監督へのオマージュと共に、現在の邦画全般に対しての皮肉と警告を真正面から突きつけたような1作だと感じた。

彼の才能を持ってすれば、いくらでも一般ウケのいい作品は作れるだろうに。
そのメインラインからあえて外れて、わざわざこんな映画を撮ってしまうというところに・・・北野武らしさが蔓延しているのかなあとさえ思う。

 才能あるがゆえの苦悩をもってして、いい意味の惰性で作り上げた北野ワールド。

                自らをフィルターにしながら、
      実は今の邦画界に対するシビアな皮肉と誠実な苛立ちに満ちた1作だ。


海外で高く評された今までのアート色の強い北野作品に比べて、本作は完全に日本人の観客を意識した内容になっている。

ビートたけしの笑いを絶妙な間合いでたっぷり盛り込んでいるので、これがツボにハマる人にはたまらなく面白い作品となるだろう。

ヒューマン、恋愛、時代劇、SF、ホラーなどなどあらゆるジャンルの未完成作品をナレーションで繋いでいくというスタイルは、なんだかとても斬新な手法でなかなか面白い。

その一つ一つが妙なトボケっぷりで可笑しくてしょうがないのだ(笑)。
あのわざとらしい演出や、あえて作り出したチープ感なんて・・・完全に狙ったとしか思えないような確信犯的な匂いがプンプンする(爆笑)。


こんなにバカバカしくデタラメで・・・ある意味、駄作と言われても仕方ないような映画から、受け手が何を感じるかはさまざまだと思うけれど。

     でも。
     深読みすればするほどに見えてくる北野監督からのメッセージは・・・
           少なくとも私の心には届いたような気がした。


                まさに『監督、ばんざい!』。
       賞賛しながら卑下し、面白がりながらニヒルな表情を垣間見せ。
   あらゆることをぶっ壊し、宇宙のチリと化したかのようなこの作品の果てに。

    北野武が次に生み出すものは何なのか・・・楽しみで仕方ないと思うのだ。

clockworkorenge at 23:59│Comments(5)TrackBack(25)clip!映画論 か行 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 監督・ばんざい! 完成披露プレミア試写会  [ メルブロ ]   2007年05月30日 00:07
監督・ばんざい! 上映時間 1時間44分 監督 北野武 出演 ビートたけし 江守徹 岸本加世子 鈴木杏 吉行和子 内田有紀 評価 4点(10点満点) 会場 お台場シネマメディアージュ スクリーン1(試写会)  舞台挨拶の動画  「TAKESHIS’」の時もプレミ....
2. 『監督・ばんざい!』  [ セガール気分で逢いましょう ]   2007年05月31日 12:51
『監督ばんさい』ではない。『監督・ばんざい!』なのである。 このタイトルに直面し
3. 『監督・ばんざい!』  [ chaos(カオス) ]   2007年06月02日 03:44
『監督・ばんざい!』 ギャグとナンセンス、終始そればっか。シュールだなぁ。 相当くだらない作品だと思うけど、決してつまらないわけではなく。 自分の作品と映画界全般への皮肉、と同時に賞賛。 これでもオレを世界のキタノと呼ぶか? 映画監督である自分を...
4. 『監督・ばんざい!』舞台挨拶@キタノ・タイムズスクエア  [ |あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο ]   2007年06月03日 10:02
今月は気になる映画&舞台挨拶目白押し被ってるのもあるし、完成披露試写会が当選すればいいけど、うまくやりくりして何本行けるやら・・・今日は「そのときは彼によろしく」「大日本人」も同時公開だが、長澤まさみの同じような演技にも飽きたし、坊主頭の人の映画には全く....
5. 監督・ばんざい!(先行上映)  [ B級パラダイス ]   2007年06月03日 14:17
これまで何本も作られている北野作品ですが、私は実はこれが初めての鑑賞です。
6. 監督・ばんざい!の関連情報  [ 最新映画情報レビュー ]   2007年06月03日 19:59
→映画Rankingへ 『監督・ばんざい!』舞台挨拶@キタノ・タイムズスクエアウルトラ・バラエティ・ムービー『監督・ばんざい!』を観に行った。 会場は、3日間限定でキタノ・タイムズスクエアと名前が変わっているテアトルタイムズスクエア (写真)。 新宿高島屋を12階....
7. 「監督・ばんざい!」  [ やまたくの音吐朗々Diary ]   2007年06月04日 06:19
6月2日より公開される映画「監督・ばんざい!」の試写。北野武監督の第13作。脚本・編集も北野武。出演はビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、藤田弓子、内田有紀、木村佳乃、松坂慶子、大杉漣、寺島進、六平直政、渡辺哲、井手らっきょ、モロ師岡...
8. 監督・ばんざい!  [ Akira's VOICE ]   2007年06月04日 14:57
自身の作品と,今の邦画界を冷静に見つめて, 蹴りを入れるバラエティムービー。
9. 真・映画日記(2)『監督・ばんざい!』  [            ]   2007年06月05日 11:36
(1からのつづき) 「シネマサンシャイン」を出て西口の「シネマロサ」へ移動。 北野武最新作『監督・ばんざい!』を見る。 思ってたほど壊れてない。 致命的な所でさえ確信的に見える。 要はやる気がない映画だ。 監督キタノタケシ(ビートたけし)は 「ギャング...
10. 「監督・ばんざい!」北野ワールドの真骨頂をみた世界の北野監督万歳ストーリー  [ オールマイティにコメンテート ]   2007年06月05日 23:47
5 2日公開の映画「監督・ばんざい!」を鑑賞した。この映画は北野武監督2年振りの新作で、北野監督が映画制作に当たり色々苦悩する様と作品の面白い描き方を描いた北野ワールド全開の映画である。作品としては色々なシーンが多数登場し、お笑い要素あり、ジーンとくる要素も....
11. 『監督・ばんざい!』を観た  [ +鑑賞キロクと平和な日記+ ]   2007年06月06日 00:59
監督・ばんざい! (2007/日本/監督・北野武)
12. 映画「監督・ばんざい!」  [ 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり?? ]   2007年06月07日 02:27
赤トンボの羽を取ったらアブラ虫、ギャング映画を封印したらギャグ映画、あのコマネチは見せなかったけど、これはもう十分、北野武の本領発揮だよね・・ 前半は、自分でボケて自分でツッコミいれるという、あきれてしまうようなパターンで、少々忍耐が必要...
13. こわれてます  [ CINECHANの映画感想 ]   2007年06月08日 00:53
142「監督・ばんざい!」(日本)  ことの発端はあるギャング映画だった。「二度とギャング映画は撮らない」と得意のギャング映画封印を宣言してしまったキタノ監督。そのため次に撮る映画で悩んでしまった。ギャング映画は封印してしまったが、ヒット作を世に送り出す...
14. 「監督・ばんざい!」たけし北野のくだらない話にバンザイお手上げ!  [ 煮晩閃字R→evo. ]   2007年06月08日 20:41
3 北野武第13回監督作品「監督・ばんざい!」と、同時上映のカンヌ映画祭で世界の35人の映画監督に選ばれた企画でのオムニバス短編「素晴らしき休日」を池袋のシネマ・ロサで観てきました。 3分間の短編「素晴らしき休日」は、ある田舎町で男(モロ師岡)が映画を観に、さ...
15. 監督・ばんざい!(映画館)  [ ひるめし。 ]   2007年06月09日 12:20
映画を愛する全人類に捧ぐ
16. 映画鑑賞記「監督・ばんざい」  [ けちけちオヤジのお気楽ダイアリーズ ]   2007年06月09日 21:54
鑑賞日:07.06.08 鑑賞場所:シネマイクスピアリ  映画を愛する全人類に捧ぐ・・・ 北野武監督が今までのキャリアを吹っ飛ばし、ヒットする映画を作ろうとしたが・・・。 <ストーリー> (公式HPより)  映画監督のキタノ(ビートたけし)は悩んでいた...
17. 監督・ばんざい!  [ 週末映画! ]   2007年06月09日 23:35
期待値: 53%  北野武監督のギャングじゃない映画。 ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏 出
18. 『監督・ばんざい!』この映画を見て!  [ オン・ザ・ブリッジ ]   2007年06月10日 12:13
第161回『監督・ばんざい!』  今回紹介する作品は北野武監督が恋愛映画、ホラー映画、人情ドラマ、SF映画と様々なジャンルを網羅したウルトラ・バラエティ・ムービー『監督・ばんざい!』です。 前作『TAKESHIS'』で芸能界で成功した自らの内面をシニカルに描いた北野武。...
19. 【2007-78】監督・ばんざい!(GLORY TO THE FILMMAKER!)  [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ]   2007年06月10日 19:56
3 映画を愛する全人類に捧ぐ ウルトラ・バラエティ・ムービー
20. ●監督・ばんざい!(GLORY TO THE FILM MAKER!)  [ コブタの視線 ]   2007年06月14日 21:00
悲しい事ですが 現在日本で絶滅の危機にある巨匠映画監督。 その残り少ない生存する日本人巨匠監督である 北野武監督の最新作「監督・ばんざい!」はやはり普通ではなかったです。 十八番のバイオレンス映画を二度と怙
21. 監督・ばんざい!:自分をネタにするのはもういいから!  [ 犬儒学派的牧歌 ]   2007年06月16日 08:51
★監督:北野武(2007年 日本作品) テアトル梅田にて。 ★あらすじ(Yahoo!ムービーより引用...
22. 「監督・ばんざい!」 感じるのは北野監督の苛立ち  [ はらやんの映画徒然草 ]   2007年06月22日 11:24
この映画を観終わって、映画を見た時に感じたことを反芻してみて、出てきた言葉は「苛
23. 監督・ばんざい!  [ シネクリシェ ]   2007年06月23日 10:31
 冒頭に放映された掌編映画の中で上映されている作品が、北野武自身の作品のなかでも抜きんでた大傑作『キッズ・リターン』というのは、なにかの皮肉でしょうか。  あれほど凄みのある作品を創ることができる作家
24. 監督・ばんざい!  [ 日々徒然ゆ~だけ ]   2007年07月02日 21:02
 「ギャング映画は二度と」じゃなく「しばらく映画は」撮らないにして,少し休めばよいのである。この人の場合は,意欲やネタが沸いてこないのなら,撮る必然性はないのである。
25. 監督ばんざい&欧州CL準々決1戦目&予想通り3タテ  [ 別館ヒガシ日記 ]   2008年04月03日 20:58
監督ばんざいは先週にケーブルのチャンネルでして鑑賞したけど 全体的に面白い感じの作品だったけど次回作が早く見たいと思ったね 内容は色々な種類の作品を撮っては失敗を繰り返して行く感じだったけど 特に屋&道場の所は凄く面白かったし10点満点で8.3点だね ...

この記事へのコメント

1. Posted by ひまわり   2007年05月29日 01:13
こんばんは、睦月さん☆
連日のコメント失礼します。前回のコメントとても嬉しかったです。大切な人なんて初めて言われました。嬉しすぎて調子に乗っちゃうかも(笑)
監督、ばんざい見られたんですね。あたしは北野作品では座頭市しか見てないです。タップダンスのシーンが印象に残ってます。同じ日(しかもあたしの誕生日)公開の松ちゃんの大日本人がとても気になってます!!

今度ジョン・キャメロン・ミッチェルが来日し、新作ショートバスが公開されるみたいですが…内容が内容なので見に行く勇気がでません…ヘドウィグが大好きだし、見てみたいですが…
2. Posted by ひまわり様へ   2007年05月29日 22:07
■ひまわり様へ
コメントありがとうございます!

連日のコメント、こちらこそ感謝しています。ホントにありがとね・・・。
ここに来て、コメントを入れてくれる方、訪問するだけの方・・・いろいろいると思いますが、その中でも頻繁に睦月とコンタクトを取ってくれるひまわりさんはとても大切な人ですよ。これからもよろしくです。

『監督、ばんざい!』と『大日本人』は同じ公開日でしたね。私も『大日本人』はとっても楽しみです♪しかもひまわりさんの誕生日なのね!!ぜひぜひ素敵なバースデーを過ごして、また一つ素敵に年を重ねてください♪

『ショートバス』は睦月もめちゃめちゃに楽しみにしている1作です。早く観たくて観たくて仕方ない!ヘドウィッグはミュージカル映画の中でも最高の1作だと思っているし、今までに観た映画の中でも上位にくるほどの傑作だと思っているので!!
でも・・・『ショートバス』、R−18なのよねえ・・・。ひまわりさんはクリアしてる(苦笑)?
3. Posted by ひまわり   2007年05月29日 23:38
コメントありがとうございます♪♪

年齢は…もうすぐ18になるので、なんとかセーフです(^_^;)
4. Posted by ひまわり様へ   2007年05月31日 23:21
■ひまわり様へ
コメントありがとうございます!

わざわざお返事感謝です♪

≫年齢は…もうすぐ18になるので、なんとかセーフです(^_^;)

おお!良かった(笑)
もし、ご覧になったらショートバスネタでまたたくさんお話しましょ♪
5. Posted by ユニ   2007年06月06日 00:55
こんばんは!
いつも勝手にTBを送りっぱなしでスイマセン(^^ゞ
私もコレを観て「次回作」が楽しみになった者の1人です。
恐らく、今のご自身をヒネって捻って捻り倒してできたこの作品は、次の“キタノ”への種まきだったような気がします☆

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔