2007年05月31日

怪談(試写会)

怪談

【映画的カリスマ指数】★★★☆☆

 この男、その身にまとうは『愛』と『怨』

 

監督:中田秀夫
出演: 尾上菊之助[5代目],黒木瞳,井上真央,麻生久美子,木村多江,瀬戸朝香,津川雅彦,榎木孝明,六平直政,光石研,清水ゆみ,広田レオナ,西野妙子,柳ユーレイ,村上ショージ,一龍斎貞水
製作年・国:2007/日
鑑賞日:2007/5/28:映画美学校第一試写室
系統:ラブ
配給:松竹/ザナドゥー
その他:2007年8月4日より全国ロードショー ⇒ 公式HP

ストーリー:下総の国・羽生。ある夜、高利貸しの皆川宗悦は深見新左衛門に借金の取立てを迫る。しかし深見は皆川を斬り捨て、その死体を『累ヶ淵』に沈めてしまう。皆川の怨念にとりつかれた深見は、その後乱心し、妻を惨殺の末自らも自害を遂げる。
25年のときを経て・・・舞台は江戸・深川。煙草売りの新吉は、三味線の師匠である豊志賀と出会い、深い愛情を育むことになる。しかし、新吉は深見の息子であり、豊志賀は皆川の娘であった。因縁の関係であることを知らぬ2人の関係は、少しずつ綻びを見せ始めるのだが・・・・。


評:『リング』、『リング2』、『仄暗い水の底から』などの中田秀夫監督の5年ぶりの最新作。
三遊亭円朝の傑作『真景累ヶ淵』を原作に、恐ろしいほどの深い愛を描いた物語。この作品は、すでに世界50カ国での配給が決定しており、この夏、世界へ向けて始動する。


近年、やたらと大流行なJホラー。
ハリウッドでもこぞってリメイクされ、興行的に成功しているものも多いらしい。
そんなJホラーの第一人者と言われているのが、本作の中田秀夫監督とのことだけれど・・・・ぶっちゃけ、私自身、Jホラーというジャンルには相当疎い(苦笑)。

 主要な作品はソフトでいくつか鑑賞したけれど・・・。
 Jホラーというものの何がそんなに魅力的なのか、私にはさっぱり理解出来ない。

            わざわざ映像化しているのにも関わらず、
     怖さもムードもさほど卓越しているとは思えないのが原因だろうか?

小説で読んだ方が何千倍も恐怖を味わえるでしょ。
頭の中で膨らむ妄想に勝手に怯えて、プルプル震えながら布団にくるまる・・・それが私流のJホラーの楽しみ方だ(笑)。


でも、それが『怪談もの』となるとまた話は別。
『ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』などの洋モノのモンスターに過剰反応するのと一緒で、『ろくろ首』や『お岩さん』などと言った日本古典のお化けや妖怪は・・・なぜかとっても魅力的だ。


本作の物語は、落語家である三遊亭円朝が創作した怪談をベースにしている。
それは『お岩さん』のような要素もあり、出会ってはならぬ運命にあった男女の関係という意味では『ロミオとジュリエット』のような悲恋も垣間見える物語。

『怪談』というものが持つ日本古典のムードを大切にしながら、且つ、日本の美を全面に引き出した演出や美術は安心して観ていられるクオリティで受け手を心酔させる。

   和のテイストを存分に生かし、そこにモダンなイマジネーションを融合させた
             ・・・・斬新な1作という印象を受けた。


しかしながら。
怪談と聞けば、もっとおどろおどろしくドロドロな愛憎劇を期待していた分・・・ちょっとその思いに応えてくれる内容ではない。
あまりにも小奇麗に作られすぎていて物足りなささえ感じた。後半は失速ぎみで、思うような盛り上がりを見せないままラストを迎えてしまうあたりは少し残念だ。

物語としても・・・言ってしまえば実に単純明快。
『モテモテ新吉の怨まれ一生』とでもいったところか?
上品な言い方をすれば『愛の物語』だけど、ぶっちゃけてしまえば・・・『愛しすぎて憎さ100倍。一生あなたにとりつき、怨みながら愛します』という女の怨念執念情念に翻弄される浮気男の悲劇。

怖い映画か?と問われれば・・・そうでもなく。
かといって、背筋にゾクリとくるような冷えた恐怖感にも欠ける。
ホラーというよりはラブの要素が強い・・・とても品のいい作品。
ドッキリ効果の恐怖描写はあるけれど、本格的な怖さを求めて観る映画ではないことはたしかだ。


今回、深き愛で新吉にとりつく豊志賀に扮したのは黒木瞳。
彼女は化け物になってもやっぱり美しい。圧倒的な存在感でこの作品に命を吹き込んでいる。

そして、悲劇のモテ男・新吉には歌舞伎役者の尾上菊之助。
『犬神家の一族』のスケキヨ役が記憶に新しいが、今回はマスクを取って素顔で登場。個人的にはあまり好みのお顔立ちではないんだけれど(苦笑)・・・でも、なんだか色香ムンムンでとても魅力的に見えてしまう(笑)。

           純和風の世界観にこの2人の存在は完全なるハマり役。



それにしたって、なぜ怪談話というのはいつも女が化け物になるのか・・不思議でならない。
大体の場合は男女関係のもつれが元凶となって、女は化けて出るようになり、男はそれにとりつかれ惑わされる。

美しき女の化け物は、色気があって恐ろしい。
運命さえも狂わし、男の人生さえ脆くも吸い尽くす女の怨念は・・・いつだって深く、そしてもの悲しいものだ。

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□作品オフィシャルサイト 「怪談」□監督 中田秀夫□原作 三遊亭円朝(「真景累ヶ淵」岩波文庫刊)□脚本 奥寺佐渡子□キャスト 尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、麻生久美子、木村多江、瀬戸朝香、津川雅彦、榎木孝明 ■鑑賞日 8月16日(木)■劇場 チネチッタ■c...
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恐怖で背筋が寒くなるよりも、酷暑の折、冷涼感が漂う避暑優先の心臓に優しい「怪談」(中田秀夫監督)だった。映像で日本の美が満喫できるのもまたいい。
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212「怪談」(日本)  若く美しい煙草売りの男、新吉。凛とした三味線の師匠、豊志賀。二人は江戸の町で出会い、燃えるような恋に落ちる。しかし、二人の親にもまた因縁があった。  夫婦同然に暮らす二人だったが、ある日若い弟子、お久と新吉の目配せを見た瞬間、豊...
23. 怪談  [ 映画、言いたい放題! ]   2008年09月18日 01:23
友人の役者が主演女優を酷評。 別の友人は大絶賛。 興味ありますねー。 煙草売りの新吉は、 身持ちの硬く、美貌の富本の女師匠・豊志賀の所に出入りするうちに、 深い仲になる。 実は新吉の父親は、 20年前に豊志賀の父親を殺害したという因縁があるのだが 事情を...

この記事へのコメント

1. Posted by 紫苑   2007年06月01日 10:45
睦月様、久々ですっ!!
ぁの、内容と話反れちゃうんですけど、リンクさせてもらってもいいですか?
で、前言ったものとは違って、今書いたURLの方にリンクしたいんですけど…。(そこでの私の名前は、紫苑ではなく、tayuって言います)
私、睦月様のブログが大好きなんでっ
勝手なコト言って済みません。
2. Posted by 紫苑様へ   2007年06月02日 23:36
■紫苑様へ
コメントありがとうございます!

紫苑さん。お久しぶりでした♪
リンクのお話、嬉しいです!こんなつたないブログでもよければ、リンク貼ったりはいだりお好きなようにしていただいて構いませんよ♪

≫私、睦月様のブログが大好きなんでっ

ああ!嬉しいお言葉、ありがとうございます!拓哉くんの映画もそろそろ公開なので、それに向けて拓哉ネタもどんどんやっていこうと思います♪
これからもどうぞよろしくです!
3. Posted by かのん   2007年08月06日 17:53
こんにちわ。
穿った見方をすると執念深いたちの悪い女と節操の無いダメ男の愛憎劇でどうぞ勝手にしてくださいって感じなんですよね(笑)。二人が美男美女すぎるのも同情出来ない要因かもしれませんね。どうせなら海老蔵くんに主演してもらったほうがリアルで面白かったカモ?・

ホラーと笑いは紙一重だったりしますけど、コミカルなドラマの印象が強い井上真央ちゃんにオバケで出てこられてもどうしてもコントみたいでウケちゃいました。
4. Posted by たいむ   2007年08月08日 22:01
睦月さん、こんばんは。
ホラーは苦手なので、小奇麗なこの作品だからちゃんと観ることが出来ました(^^)
予告でやっていた「呪怨」の最新作は、警告どおり目をつぶってましたから(爆)

ホント、日本の怪談は”女性の怨念”が多いですよね。昔から嫉妬深くてしつこいのは女、ということで、「怪談」はほとんどが男が作ったものではないかしら?なんて思うのです(笑)
5. Posted by かのん様へ   2007年08月08日 23:16
■かのん様へ
コメントありがとうございます!
お返事遅くなってすみません・・・。

≫執念深いたちの悪い女と節操の無いダメ男の愛憎劇でどうぞ勝手にしてくださいって感じなんですよね

ウハハハ!!ナイスツッコみ!!ウハハハ!!

≫海老蔵くんに主演してもらったほうがリアルで面白かったカモ?

ウハハハハ(激笑)!!!ウハハ!!豊志賀がエビージョになるんすか!?エビージョは何人まで増えていくんでしょうか!?ウハハハ!!かのんさん、ナイス!
6. Posted by たいむ様へ   2007年08月09日 17:10
■たいむ様へ
コメントありがとうございます!

私ね・・・どうも最近のJホラーとかいうものに怖さを感じないんですよねえ。だから『呪怨』も全然魅力を感じない(苦)。恐怖中枢がマヒしてるわけじゃないくて、ホントに怖いとも面白いとも思えないんですよ・・・なんでだろう?
よっぽど、モノクロ時代の四谷怪談とかの方が怖いですよ、マジで(笑)。

だからね、この作品なんかはホラーとしては一切みれないですよね。品よく小奇麗に作られているから、怪談としての魅力が出し切れてないなあという印象はあります。

≫「怪談」はほとんどが男が作ったものではないかしら?

ああ!そっか!納得です。
実際に女の執念深さに懲りた男子たちが書いた物語なのかもしれないですよね(笑)。
7. Posted by CINECHAN   2007年09月03日 00:59
こんばんは。
ようやく睦月さんも観ている作品を鑑賞しました。
それにしても、相変わらず試写会づいてるなぁ。
「ホラー」というよりタイトル通り「怪談」という雰囲気の作品でした。豊志賀が貞子のように登場したら興醒めですね。
その点雰囲気は良かったと思います。
個人的には新吉の側から見ていたので、どうすれば怨みから逃れられるのか? そんなことを考えながら観てました。
いい男って災難に遭う確立も高いのかも?

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