2007年12月18日

ベティ・ペイジ

ベティ・ペイジ

【映画的カリスマ指数】★★★☆☆

 エロスの革命児

 

監督:メアリー・ハロン
出演:グレッチェン・モル,リリ・テイラー,デヴィッド・ストラザーン,クリス・バウアー
製作年・国:2006/米
鑑賞日:2007/12/16:シネマライズ
系統:ドラマ
配給:ファントムフィルム
翻訳:松浦美奈

ストーリー:1950年代。ネシー州ナッシュビルの貧しい家庭に生まれ育ったベティ・ペイジは、大学進学に失敗したうえ、結婚離婚を経験し、単身NYへと向かう。偶然にも出会ったカメラマンに素質を見出され、彼女はモデル業をスタート。やがて、マニア向け写真で人気を得ていたアービング・クロウ兄妹の元で、ボンテージ写真やセミヌード写真のモデルを務め、爆発的な人気を博すようになるのだが・・・・。


評:『アメリカン・サイコ』のメアリー・ハロン監督の最新作。

1950年代のNY。セックスや過激な性描写は抑圧され、それを語ることさえタブーとされた時代に、新星のごとく登場したベティ・ペイジ

時にはヌード、時にはボンテージに身を包み、天真爛漫な笑顔をカメラに向ける彼女の存在は、”裏マリリン・モンロー”と呼ばれ、多くの人を虜にした。
しかし、ピンナップガールとして人気絶頂期にありながら、わずか7年で表舞台から忽然と姿を消したベティ。

       そんな彼女の生き様と知られざる真実に迫ったのがこの作品だ。


今でこそ、SM女王、ボンテージ、ピンヒールといったアブノーマルな性倒錯はもちろんのこと・・・ヌード写真なんて当たり前だし、同性愛だってやっと理解されるようになってきた世の中。

    女性がプライドを持って性を職業にし、男性がそれを手にし嬉々とする。

   こういう世の中の先駆者的存在だったのが、まさにこのベティ・ペイジだ。

50年代当時、猥褻とされた彼女のスタイルは、その後ファンションや音楽、写真やコミックなどのあらゆるジャンルにおけるポップアイコンとして影響を与え、多くのハリウッドスターやアーティストも彼女のスタイルを取り入れるようになった。



        私がこの作品を観ながらにまっさきに思い浮かべたのが、
                『アナベル・チョン』のことだ。

申し分のない家柄と知性を持ち合わせ、何よりも最高のフェミニストでありながらトップAV女優という職業にプライドを持つアナベル。

一方、敬虔なカトリック信者の家に生まれ、学業もトップクラス。類稀なる美貌に恵まれたベティ。幼き頃より男から受ける”辱め”の体験を持ちながらもピンナップガールとして頂点に登りつめた彼女。

フェミニスト、カトリック信者、男から受けた酷い辱め・・・それらの要素を持ち合わせる彼女たちが極めたのは、それとは全く真逆に位置する『性を売り物』にすることだった。

男に媚びることなく、自立する女性が増えている現代。
そういう生き方をチョイスする女性ももちろん強くたくましい。
でも、ひるむことなく身一つで男性を取り込み、猥褻もエロも超越するほどの影響力とカリスマ性をもたらす女性も・・・・決して真似できないカッコよさだ。

まして、タブーとされたセックスの扉を、あの無邪気な笑顔と美しきボディで開いてしまったベティ・ペイジの意思力たるや尊敬に値する。

     時代が常に、何者かの革命によって新たな姿を現すものだとするなら、
     ベティ・ペイジも他でもない革命児だったといって過言じゃないだろう。


ただ、映画としてこの作品を観たときに。
私自身、予想に反してそこまでの満足が得られなかったのが本音だ。
もちろん、ベティを演じたグレッチェン・モルの体当たり演技は素晴らしかったし、目で観る限り、ベティの魅力というのは十分に伝わってくる。

           しかし、彼女の心の中がどうも見えてこない。

時代の波に逆らいながらニューカルチャーを切り拓いていくのはとんでもなく大変だったに違いないのだ。
彼女の葛藤、決意、覚悟、意思・・・そういう精神的内面にもっともっとディープに切り込んでくれてもよかったのでは?と思えて非常に残念だった。


でも、ベティ・ペイジという人物の存在、その功績を知るにはもってこいの1本。
時代背景やベティの心境を考慮したモノクロとカラーの使い分けも面白い。


               特に女性に観てほしい作品。

         ベティの笑顔に釘付けになること・・・・間違いなしだ♪

clockworkorenge at 00:00│Comments(4)TrackBack(10)clip!映画論 は行 

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この記事へのコメント

1. Posted by non   2007年12月22日 16:49
睦月さん、こんにちは☆ TBありがとうございます!

あの時代の女性アイコンが描かれたことに関しては興味深かったんだけど、
ベティ・ペイジの心の中は読みにくかったですよね。
私もその点でちょっと退屈してしまいました・・・

ところで話は変わりますが、「医龍2」面白かったよね〜。もう、最高だった!
ホント、ハラハラさせるんだから・・・
でもま、朝田がメスを持つとオペの失敗は有り得ないんだけどね。
でもほんと、チームドラゴンには惚れ惚れ。
でもあのオペシーンをあのテンポで演じている役者さんのチームワークも素晴らしいですよね。
それと岸部一徳・・・もう、忘れられないわ〜あのキモさ・・・(笑)
「医龍3」私も強く強くキボーです!
「Dr.コトー」もそうだけど、医療ドラマはほんと、面白いですね♪
2. Posted by non様へ   2007年12月24日 00:52
■non様へ
コメントありがとうございます!

nonさん、いつもTBばかりでごめんなさい・・・。でもこうしてコメントをいただけてホントに嬉しいです。ありがとうございます!

≫ベティ・ペイジの心の中は読みにくかったですよね。
私もその点でちょっと退屈してしまいました・・・

まったくです。なんだか脚本がキチンと成立してない印象を受けました。グレッチェン・モルの魅力だけはホントに素晴らしかったですけどね。

ところで、nonさんも医龍2、見てました!?面白いですよねえ!ホントに面白かったああ!!時間制限があったり、条件制限があったり、シュチュエーション的にギリギリな設定が多くて、手に汗を握って見てました。
岸辺さんのこのドラマでの存在感は猛烈でしたね(苦)。ここまで憎たらしいと思えるんだから、よほど岸辺さんの演技力が素晴らしかったのだと思います(苦笑)。

ああ!ホンットに続編求むです!!
3. Posted by せつら   2008年06月08日 10:11
睦月さんこんにちは

この作品私も見ましたよ、睦月さんのベティの心が
見えてこないと言うのには私も同感でした。
この演出ではベティさんはこんな人でしたよと
紹介してるにすぎないですよね、それでは伝記として
どうかと言うところです。
本人さんもだいぶんクレームつけてるようだし
実際のところどうだったんだろうね
4. Posted by せつら様へ   2008年06月09日 23:09
■せつら様へ
コメントありがとうございます。
お返事遅くなってすみません・・・・。

≫ベティの心が見えてこないと言うのには私も同感でした。

うん。やっぱりそう感じました?

≫この演出ではベティさんはこんな人でしたよと紹介してるにすぎないですよね、

そうそう。たしかにそう感じました。
もっと脚本なり演出なりを工夫してくれれば、さらに魅力的な1作になっただろうなあって思います。

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