2008年02月21日

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

【映画的カリスマ指数】★★★☆☆

 信じて!夢を抱いて!キラめいて!

 

監督:ザック・ヘルム
出演:ダスティン・ホフマン,ナタリー・ポートマン,ジェイソン・ベイトマン,ザック・ミルズ,テッド・ラドジグ
製作年・国:2007/米
鑑賞日:2008/2/20:新宿東亜興行チェーン
系統:ファンタジー
配給:角川映画
翻訳:戸田奈津子

ストーリー:まるで魔法をかけられたように、商品が勝手に動き出す『マゴリアムおじさんのおもちゃ屋』。そこには毎日にように多くの子供や大人が訪れ、店は大盛況だ。そこで支配人として働く23歳のモリーは、小さな頃は天才ピアニストと言われていたが今は作曲に息詰まっていた。そんなとき、おもちゃ屋のオーナーである自称243歳のマゴリアムおじさんが、モリーに店を譲り引退すると言い出した。すると、マゴリアムおじさんの引退に不満を感じたおもちゃたちが、いたずらや嫌がらせを始めるのだが・・・・・。


評:『主人公は僕だった』の脚本などを手がけてきたザック・へルムの長編映画デビューとなる作品。本作の脚本も彼が書き上げたオリジナルである。


              この作品の予告を初めて観たとき、
 『チャーリーとチョコレート工場』にすごく似てるなあ・・・って思ったのだ。

もちろん、フィルムメーカーとしての技量はティム・バートンには適わないものの・・・色とりどりのヴィヴィットな色彩で、あらゆるオモチャたちが好き放題に動き回っている様子は目に楽しく、とってもきれい。

さらに、ダスティン・ホフマン扮するマゴリアムおじさんは、どことなく『夢のチョコレート工場』のウォンカ様に風貌が似ているもんだから(苦笑)・・・そんなこんなで、なんとなく劇場で観ておきたいなあと思った作品だった。


この作品。一見、子供向けのファンタジーに見えるけれど・・・物語自体は、案外大人向けだったりする。

             年齢を重ね、大人になるのと引き換えに
           自由な発想や柔軟な想像力を失っていく私たち。

仕事とか将来への不安とか生活とか、そういう『生きていくこと』の現実にさらされて・・・どんどん心は硬くなり、子供の頃なら無条件に信じることができたものに対して不信感を募らせるようになってしまう。

サンタクロースなんていない。
魔法なんてあるわけない。
妖精なんか存在しない。
夢の国なんて絶対ない。

人間って本来、イマジネーションを無制限に生み出すことの出来る生き物なはずなのに・・・気づけばいつしか自分の心にフタをして、夢を忘れて、現実とばかり格闘している。

            ほんの少しでもいい・・・心を解き放てば、
    今までにないほどのキラめきの自分を見つけられるかもしれないのに。

          多くの大人たちはそれ以前に諦めて、目を伏せて、
           自分本来のキラメキを見失っていくだけだ(悲)。


主人公のモリーは、マゴリアムおじさんからの絶大な信頼を受けるほどに”不思議な素質”を持っているのに・・・現実問題にぶち当たって自信喪失ぎみ。

会計士のヘンリーはまさにリアル人間そのもので、頭は堅くて仕事のことでいっぱいいっぱい。

                この2人のキャラクターには、
        大人として共感できる部分はたくさんあるなぁ・・・と思った。


「いつまでも夢を持ち続けて!」、「幻想や想像の世界にいつでも心を開いていよう!」、「信じる気持ちを忘れないで!」・・・現代を生きる大人たち、そしてこれからを生きる子供たちに、おそらくそんなメッセージをこめた物語なのだろうと私は思ったのだけれど・・・・実際はどうなんでしょう(苦)?

           なんせ・・・あまりにも説明不足なことが多くて、
       この物語の全体像を捉えるのにいささか手間取ってしまったのだ。


どうやら、マゴリアムおじさんとモリーは揺るぎのない強い絆で結ばれているようだけれど、どうしてそんな関係になったのかは全く分からない。

やたら大人びた少年エリックは、お店のお手伝いをしているようだが・・・友達の一人も出来ないほどに変わり者らしい。でも、そんな風にはあまり見えなかったぞ(苦)。

第一にマゴリアムおじさんは一体何者なのか。
魔法使いなのか、ただの人間なのか・・・そのあたりもよく分からない。


おそらく、監督自身、そこに理屈や整合性など必要ないと思ったのだろう。
あくまでも受け手の『感性』と『信じる気持ち』に委ねたようなファンタジーにしたかったに違いないのだ(汗)。

     いやいやしかし。それが『中途半端な底浅映画』に見えてしまっては
                元も子もないじゃないか(苦)。

          それとも、私の心が腐っているだけなのかい(涙)!?



でもまあ・・・。
映像はポップな愛らしさと美しさに満ちていて、楽しさを提供をしてくれる作品であることはたしか。

ダスティン・ホフマンのキュートな笑顔と、エリック少年の可愛らしさ(←ちょっと北陽のあぶちゃんに似てた)、そして賑やかで楽しさいっぱいのラストの素敵さに・・・★一つオマケです。


     ちなみに、すぐにハグしたがるサル(?)のぬいぐるみがツボでした(笑)


clockworkorenge at 19:52│Comments(4)TrackBack(11)clip!映画論 ま行 

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この記事へのコメント

1. Posted by ゆかりん   2008年02月22日 09:23
こんにちは☆
うーん、マゴリアムおじさんは何者だったんでしょうねぇ。
よくわからないまま消えてしまいました、、、
ダスティン・ホフマンなのにもったいないですね。

あ、私もおサルさんがツボでした〜ほしーっ。
2. Posted by ばちろう   2008年02月22日 20:51
こんばんわ、私、予告編をみて、なんかもやもやしてたのですが、そうだ!チャリチョコの世界観だったのですね〜すっきり☆睦月さんありがとう(笑)実はこの映画見に行こうかどうか迷っていたのですが、保留にしようかなと思いとどまりました。近くに映画館がないので、見れる映画は限られています、せっかく観るのだから悔いの残らないものが観たいですし、ついつい慎重になってしまいます。なのでいつも参考にさせてもっらってますよ。
まったくの余談ですがチャリチョコネタでひとつ、今私はウォンカチョコの食べすぎでスカートがきつい…やばいです!!
3. Posted by miyu   2008年10月09日 20:12
あぁ〜!
そっかぁあたしは中島監督の世界観に近いかも!
って思ったのだけど、確かに「チャリチョコ」にも
ポップ感が近かったかもしれませんね!
確かに睦月さんが書かれているようなテーマとして見たら、
それなりに感じるところもあったと言えば、
あったような気もするのですが、
やっぱり底浅な感じもしちゃったかもなぁ〜(;・∀・)
4. Posted by miyu様へ   2008年10月10日 16:22
■miyu様へ
コメントありがとうございます。

≫そっかぁあたしは中島監督の世界観に近いかも!
って思ったのだけど、確かに「チャリチョコ」にも
ポップ感が近かったかもしれませんね!

『マゴリアム』、『チャリチョコ』、『パコ』の3本はなんとなく似てますよね。
『パコ』の記事で、やはりこの3作を引き合いに出しているブロガーさんもいらっしゃいましたよ♪

≫確かに睦月さんが書かれているようなテーマとして見たら、
それなりに感じるところもあったと言えば、
あったような気もするのですが、
やっぱり底浅な感じもしちゃったかもなぁ〜(;・∀・)

アハハハ。
いやいや、おっしゃるとおり底浅ですよ、この映画(苦笑)。
私、この作品についてあまりにも書くことがなかったもんだから、無理していろいろ引き出して記事を書いた記憶がありますもん(笑)。

キャストは最高だったんですけどねえ。
映像も楽しかったんだけどなあ。

世界観と脚本に難がありましたね(汗)

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