2021年01月10日

明けましておめでとうございます!

#91       始まりの夜

明けましておめでとうございます!
かなり ご挨拶が遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたしマス!

いや~、日本海側と云わず全国的に寒い……ん?
神戸とかピーカンなんですね。
富山は なかなか近年に無く降りましたねえ。
一面 真っ白。
会社も三分の一くらいしか出勤出来なかったみたいで。
相方は休みにならないなんてブラックな会社だ!と怒ってました。
家の裏の駐車場。
スキー山が出来つつありますな。うー、ぶるぶる。

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会社の倉庫も雪でつぶれちゃったしなあ。
あれの片付け、大変やぞ💧
昨日も会社帰りに雪道で動けなくなった軽四がいて、相方と弟夫婦、通りすがりの方、総勢6人で雪と格闘。
完全にはまってたので脱出に三時間はかかってしまいました。

良いことしたけど疲れた!
今は筋肉痛でツラいです。
やー、やっぱり車に脱出道具は積んどくもんですね。
スコップや懐中電灯。あとダンボールとか。
ダンボールは結構 盲点だったなあ。使えるわ。
皆様もお気をつけて!

では、始まりの夜、アリオス編。
きっと何があってもアリオスはオスカー様を絶対に離さないんだろうなあ、と云う妄想。
シブい40代くらいの二人も書きたいけどアリオスが40代でもオスカー様は30代なら若いなあ。

次は多分、バンバンバカンス、じゃないかな?
ではよろしかったらどうぞです。



□  始まりの夜  □


おれも大概だとは思うが こいつには負ける。
最初の印象と まったく違って見えるぞ?

檻の中にいた時は人を射殺しそうな目をしていやがったくせに、チャラチャラチャラチャラまあ口説く口説く。
いつだって自分は間違ってないって ふんぞり返って自信たっぷりで嫌みったらしい。

そう思って見てたんだがな。


「ご馳走様、アリオス。また来てね!」
「またね、アリオス、オスカー!楽しかったよ」
「またご贔屓に、お二方」

「くそ、散々 飲み食いしやがって。何で俺が店の女に奢ってやんなきゃなんねえんだよ」
そう悪態を付くと アリオスは両手で手を振る二人に二度と振り向かず歩いていく。


そろそろ深夜をまわった頃か。
上を見上げれば満天の星が煌めいていた。
「はあ。星降る夜にレディと一緒ならな」
ため息をつきながら赤い頭を振るオスカーに、アリオスは呆れ顔だ。
「そんなに年中 女、女、言ってて疲れねえか?腎虚でくたばるぞ?」
「下品なことを言うな。男なら女性に対して」
「そういう うんちくは聞きたくねえ。なんか面白い話はねえのかよ」
「はあ?道化じゃあるまいし、何故おれが?」
「お前しか いねえからだろ?女で失敗した話とか、女でスッカラカンになった話とか、女に騙されて尻の毛までむしられた話とか」
「あるか!そんな話!」


星空の下、ぽんぽんと まるで子供の掛け合いのような会話が続く。
王宮の息苦しさから逃れて城下に下りたものの、結局 王家の鼻つまみ者のレッテルからは逃れられず どこに行っても心からは憩えなかった。
唯一、恋人であるエリスとともにいる時だけは肩の力が抜けたが エリスを逃げ道としている自分に苛立ちは増すばかりだった。

若かった、と振り返ることも許されず、《 レヴィアス 》と云う存在が 修羅の道を指差しているのだ。
だが今 自分はアリオスと云う別の存在となっている。
孤児で、とある剣士に拾われ剣を習い、剣一本で生きている。
傭兵をしたり、貴族に雇われたり、気ままに一人で色んな国を流れながら生きているアリオス。
皮肉屋で酒が好きで、誰も信用せず信頼もされないアリオスと云う男に。

こんな風に くだらない、他愛ない話で笑っているなんて初めてかもしれない。

「お前こそ、女で失敗してそうじゃないか。だから女性に対して扱いが雑なのか?」
「はあ?女性って。飲み屋のオンナに淑女らしく扱えってか?あいつら両手で食いもん むさぼり食ってただろ?」
け、と言わんばかりのアリオスに、オスカーはやれやれと首を振る。

「分かって無いヤツはこれだから」
「はあ?」
オスカーの、頭の悪い子供を諭すような顔に、アリオスはムカッとして言い返してやろうとするが オスカーの方が一拍 早かった。
「女性は環境で変わるものだ。彼女たちは毎日を生きるだけで一生懸命だ。召使いにかしづかれて暮らしてるのとはワケが違う。だが腹が満たされ、優しい言葉に包まれれば女性は変わる。誰だって美しく可憐に花開くものだ」
「……誰だって、だと?」

オスカーの夢見るような口調に、今度こそアリオスは反論する。
「ああ、誰でも」
「……………へえ、なら自分が腹を痛めて生んだ子が出来損ないだって分かった途端、毛虫扱いする女でもか?」
「……………」
「出来損ないだから周りから鼻で笑われようが冷や飯 食わされてようが、熱出して ひっくり返ってても知らんふりな女でもか?」
「……………」

いきなり火が点いたように話し出すアリオスに、オスカーは言葉を無くす。
「クズな女なんてゴマンといるんだ。金しか頭に無い、血の繋がりなんて水より薄いと鼻で笑う女が。自分の損得だけで、忠誠心も情も倫理観もない女達が」
「……………」
自分の言葉に 氷蒼色の目を驚きに見開いていたが、ゆっくりと伏せてしまったのを見て ふん、と鼻を鳴らす。

「無条件に浮かれたことを言う神経が分かんねえぜ。よっぽど お上品な暮らしだったんだろうが、そんなヤツらが一番タチが悪い」
ヘドが出る、と吐き捨てると 後は星明かりだけが二人を照らし、訪れた沈黙にアリオスの苛立ちは いや増すばかりだった。
( ……所詮、それまでの男だ。期待したところで……バカな。期待?俺が?いずれ殺す人間を?……… )

自分が揺れているのが分かる。
あまりにもアリオスの人生が自分に同調し過ぎてしまっているのだ。
( ……………バカバカしい。何を俺は こいつにしゃべってるんだ?……俺は誰だ?アリオスなんて男はいない。俺は… レヴィアス。俺は… )

「……アリオス」
「…ッ、」
静かな、だが良く響く声がアリオスの意識を引き戻す。
思わず びくりと震えた自分を、オスカーはどう思ったものか。
そう思う自分に歯噛みしながら、挑むような眼差しでオスカーを睨みつける。
「ヘラヘラした話なんぞ聞きたくねえ。俺は」
「アリオス。誰の話をしているのかは知らないが」
「……………」
自分の言葉を遮るように話を続けるオスカーを、アリオスは目をすがめて見つめる。

「よどんた水では花は咲かない。汚れた土では真っ直ぐ成長出来ない。人も同じだ」
「……ハッ、何だそりゃ!あいつらが腐ってんのは周りのせいだってえのか?あいつらには何の落ち度も無いって?こりゃまた!さすが守護聖サマってか?お優しいこった。そんなヌルいこと言ってやがるから」
「……………」
「……そんなヌルいこと言ってやがるから、あっさり侵略なんてされんだよ。みじめなもんだな」

アリオスの目が物騒に光る。
銀色の髪の間から闇色よりも暗い光を宿した碧色の両目がオスカーを ねめつけ、嘲笑うような低い声が星の光の中で消えていく。
だが、毛を逆立てた獣を前にしたオスカーは ただ静かだった。

「……おれが守護聖に選ばれた時、周りは何と誇らしいことかと言った。当然 主星へ向かうものだと信じて疑わなかった」
「…………」
「主星への回答は十日後と決まっている。それは何故か。守護聖として主星に渡れば家族や親しい者達には二度と会えない。主星に渡ることは 死を意味するようなものだ。違う世界に行くのだから」
「……………」
「断る選択などない。十日の間に腹を決めなきゃならない」

いきなり何を、とアリオスは苦々しく口元を歪める。
「………何の話だ」
「母も妹も ずっと泣いていた。父や兄も、泣きはしなかったが黙ったままで。軍人の家族として常にあらゆることを覚悟していたはずなのに、あんなに取り乱した母を見たのは初めてだった」
「……………」
「取り乱して、女王陛下に恨み言を言ったんだ。あまり大きな声では言えんがな」

ふ、と笑う顔にアリオスは眉間にシワを寄せたまま黙っていた。
「主星は時間の流れが違う。息子が守護聖となれた姿を見ることも見せることも無い。守護聖になれば ただオスカーと云う名だけしか残らない」
「……俺に くだらねえって言わせたいのか?」

はッ、と吐き捨てる横顔を見ながら オスカーは夜空を仰ぐ。
その視線の先には満天の綺羅星達が小さな光を放ちながら瞬いていた。
「主星に渡る日は背を しゃんと伸ばして、二人とも一番 好きな服とピアスをして、……泣いていたが笑って見送ってくれた。その時、なんて綺麗なんだろうかと思ったよ」
「……………」
「自分の子にする仕打ちは確かに褒められたものではない。だが おれは可能性を信じたい。綺麗な水で満たされれば何かは変わる。諦めるのは簡単だ。だから万策尽きたと思うまで お前が、」
「もういい」
「アリオス、誰だって過ちは犯す。だが どこかに道はある。それは、」
「もういいと言った!死んだ人間には何やったってムダだ!世迷い言を!」
「……………」


氷のように冷たい声がオスカーの胸を突き刺す。
一瞬、言葉を探すように開いた唇を、アリオスは小さく鼻で笑いながら遮る。
「やめだやめだ。クソつまんねえ話でマジになんなよ」
「……………」
「宿で飲み直さねえか?なんかあっただろ?」
「………まあ、何かしらあるだろうな」

店を出た時には どこか浮かれていた自分に、アリオスは気を引き締める。
自分が ここにいるのは物見遊山でも何でもない。
( 俺がやるべきこと。俺が忘れてはならないこと。間違えるな。……今度こそ、間違えるな )
星明かりに照らされた道は どこか暗闇が濃くなった気がする。
小さな虫の声もアリオスが発する怒気のせいか、今はしんとしていて薄ら寒い。

しばらく黙って歩いていたが宿の灯りが見えた時、背中にオスカーの声がかけられる。
振り向くと真っ直ぐ自分を見つめる眼差しがあった。
自分の身長では大抵 見下ろすことがほとんどだ。
こんな風に真っ直ぐ自分を見るヤツなんて いつぶりだろう、と ぼんやりと思った。

「……どんな縁かは知らんが、今は仲間だからな。何かあったら言え。聞いてやる」
「…はあ?………………仲、間……………」
「違わないだろ。……昔から一人より二人。二人より三人とか云うだろう?」
ぽかんとした表情に、オスカーは肩をすくめると ふむ、と考えを改める。
( …これは仲間がいるわけではないのか?……本当に…自分一人で?……)

驚いて呆けた表情は いつもの斜めに構えた姿とは違っていて、本心から驚いているように見える。
本当に偶然、たまたま通りかかったから、成り行きで手を貸してくれているのか?
皇帝の手先ではないのだろうか?

「そこまで驚くことか?」
「…お前、俺を疑ってんだろ?………なんでそんなに おめでたいんだよ。そんなだから……」
「侵略されるんだ、とか云うのか?間違えるなよ。おれたちが こうだから侵略されたんじゃない」
「…………ま、おれにはどうでもいいけどよ」

どこか話を断ち切るようにそう云うとアリオスは宿へと向かう。
「ヤバくなったら抜けさせて貰うし、やった分の報酬は貰うからな」
言った後、この男は何と言うだろうか、と思った。
薄情?自分勝手?人の心が無いのか、とか?
案外 真っ直ぐな軍人気質な男だ。
きっと そう言って蔑むように自分を見るだろう。

「当然だ。お前が巻き添えを食う筋合いはないからな」
迷い無く言う顔に、アリオスの方が拍子抜けする。
「…………俺が抜けたら…痛いんじゃないのか」
「だからって お前を引き止められんだろう。好きにしろ。だが いる間は働いて貰うからな」
「こき使う気、満々かよ」
「当然だ」

そう言って淡く微笑った顔に、思わず何か言いそうになった。
「……………」
( ……何だ?……俺は何を… )
「アリオス?飲み直すんだろ?それとも もう寝るか?」
「……………」
振り返ったオスカーの横顔が 近くなる宿の灯りに照らされる。
その顔に、アリオスは腹の奥が ずくん、と重くなるのを感じて奥歯を噛みしめる。
「アリオス?」

( ………こいつといる俺は……アリオス。…アリオス、お前はどうしたい?……………こいつと行けるところまで…行きたい。行けるところまで……)
道の先は二つに分かれている。
けして交わらず、けして同じ道に向かうことはない。
だから、

「…出発は明後日だろ?行けるところまで、…飲もうぜ。お前、飲めるクチだろ」
「……………まあ、いいけどな。お前、悪酔いしないんだろうな」
「さあなあ。………相手にもよるぜ?」

どういう意味だ、と口を尖らせながらオスカーは宿へと入って行く。

その後ろ姿に、アリオスは ぺろりと唇をしめらすと こきりと肩を鳴らして宿への階段を昇っていった。







「いまさらだが、あの時のお前は本当~に怪しかった」
「……………ずいぶんだな、おい」

一年の終わりも近づき、今年は珍しくレイチェルから休みをもぎ取ったアリオスはオスカーを横抱きする勢いで神鳥の宇宙から連れ去った。
ひょんなことから、あの闘いのさなかに立ち寄った星に行くことがあり、思い付いて向かったのだった。

当然、あの時 泊った宿は無く、近くにある大きなホテルのロイヤルスイートに泊っている。
最上階にあるバーのV I P ルームは贅を尽くしたものだったが、アリオスは行儀悪く大理石のテーブルに足を投げ出して ぶっすりと答える。

「やっぱり おれの目は正しかった。お前は怪しいヤツだったな」
「……………」
ふふん、と得意気な顔のオスカーを見ながら アリオスは手の中のグラスを煽り ひっそりと笑う。
「へーへー、炎の守護聖サマは大したもんだ。さすがさすが」
「……………お前、悔しいんだろう?」
「はあ?」
「分かる分かる。完璧な変装だったしな。だが おれにはムダだったな」

ぱちぱちと しらけたように両手を打つ姿の隣に座るとオスカーはアリオスの肩を叩く。
「べっつに。疑われるなんて想定内だったし」
「ホントに、何で おれを誘ったんだ?」
「……………」

オスカーはアリオスの肩に腕をまわすと銀の髪に口づけながら問いかける。
酒を飲んでいるとは云え、どこか いつになく陽気な姿に アリオスは驚く風もない。
何故なら……
「言ったろ?お前しかいないって」
「……本気で、か?」
アリオスはオスカーの足に手を這わせるとグラスを煽り、顔を寄せる。

「……ン……ん、ぁ……」
「……………本気に決まってんだろ?………人をソノ気にさせるのが上手いよな、お前は」
口移しの酒をオスカーは残らず飲み干すと、一瞬 めまいがしたかのように赤い頭を振った。
「……旨いか?」
「……………ああ。もう一度、アリオス……」
アリオスの肩口に顔を埋めてねだる姿に、今度は隠しもせず笑みを深くする。

オスカーは酒に強いし、自分のペースが分かっているから酒に負けることはない。
だが ある酒同士を一緒に飲むと途端に酔っ払ってしまうのだ。
どうやら本人は気づいていないらしく、今のところ その恩恵に与れているのはアリオスだけだ。
「……ン、……ぅ、ん……アリオス……」
ほう、と悩ましげな吐息を吐く恋人に抗えるはずもなく、アリオスはグラスに浸した指を薄く開いた唇にあてる。
「……ッは、………ん、ン……」
桃色の舌が伸びてアリオスの酒で濡れた指を這いまわる。
氷蒼色の目がアリオスを見上げた瞬間、堪らなくなってオスカーをソファに押し倒す。

「……ン、………ぁ、んンッ、アリ、オス……ア……リ……」
「……この、なんてヤツだよ……オスカー、俺のモンだ……ずっと……俺のだ…」
互いに むさぼり合うように唇を絡め、抱きしめ合っていたが アリオスの背中から剥がれるように もう一人のアリオスが立ち上がった。
「………部屋に戻る。チェックしてくれ」
《 かしこまりました 》
壁にあるインターフォンから声が聞こえると しばらくしてV I P ルームにチャイムが響くが、アリオスは振り返りもせず オスカーの顔中に口づけの雨を降らせている。

「……ありがとうございます。後ほどお部屋にも お持ち致しますか?」
『 いや、もういい 』
部屋の中で同じ顔をした男が男を押し倒しているというのにホテルマンは冷静そのものだ。
「かしこまりました。では おやすみなさいませ」
ホテルマンには目の前のアリオスしか見えていない。
パタンとドアが閉まると同時に二人のアリオスもオスカーも煙のように消えてしまい、一瞬のうちに広い、大人四人は寝れそうなベットの上でアリオスがオスカーを組み敷いていた。

オスカーの服を消すなど一瞬で出来るが この脱がす工程が楽しい。
アリオスは口づけたまま服のボタンに手をかけ、あらわになった肌に顔を寄せる。
シャツを肩まではだけると小さく笑う。
「……行き着く先があるとはな」
「言っておくが まだまだだぞ」
「…ん?」
「まだまだ おれに付き合え。嫌だと言っても離してやらんからな」
「………」


一緒なら何処まででも行ける。
おれとなら。
だからアリオス、恐れるな!おれを、……おれを選べ!


「おれを選んで、後悔させないからな」
「………とんでもないヤツに捕まったもんだ」
手を伸ばし頬を包み込むと、褒め言葉だろ?と笑う顔に額を合わせる。
「連れてってくれるんだろ?何処まででも」
「まかせろ。手始めに天国に連れて行ってやろうか?」
挑むような氷蒼色の目にアリオスは声をたてて笑うと互いの体勢を入れ替える。
身体にかかる重みに目を細めながら小さく呟く。

「…やっぱり あの酒は相性いいぜ…ん、……」
重なった途端、ぬるりと舌が潜り込みアリオスの舌を絡め取るように蠢く
荒くなる息を抑えもせずに オスカーはアリオスの服を脱がせると首筋から鎖骨に舌を這わせる。
酒で酔ってしまった時のオスカーは常よりも淫らで積極的になる。
アリオスは してやったりと心の中でガッツポーズをしながらオスカーの引き締まった背中から腰、双丘に手を滑らす。
「…ん、…ァ、ッは、……はッ……ぁン、く……」
自分の胸の上で胸の粒に舌先を伸ばしていたオスカーだったが、急に股間をなで上げられてのけぞってしまう。

「…もう硬くしやがって。ヤらしいヤツだな」
「………言ってろ。ヤりたがっ、てんのは お前だろ…ッ、あ…」
指の力が増し、引っ掻くような下から上へと動く。
酒のせいか感度がいいぜ、とアリオスは指に伝わる熱にニヤつく。
だがオスカーの手が腕を掴み、音がしそうなほど腰を押しつけられては余裕も徐々に吹き飛んでいく。

「……はッ、はァ…あ……」
オスカーの腰を掴み強く引き寄せ自らも腰を使うと、堪えるような恋人の顔に そそられる。
下から舌を伸ばして首筋をなぞるとオスカーの唇がいぶかしげに自分の名を呼んだ。
「………おい、…ア、リオス…?……ンん、…」
「…たまには、いいだろ?」
アリオスは抱き合うとき、必ず服を剥ぎ取る。
女性のような まろやかさも柔らかさも無いが、オスカーの身体に勝るものはないと思っている。
鍛えてはいるが あまり筋肉がつきにくいのか しなやかに均整の取れた身体は腕の中にあっても見ていても興奮してしまう。
だが今は身体にまとわりついているシャツやベルトが外れてはだけたズボンが、
( ………アリ、だな )

シャツを下ろした裸の胸にある粒に舌先でつつくと びくりと身体が震え のど奥でオスカーが笑った。
甘えるようにアリオスの身体に抱きつき また口づけてくる身体を強く抱きしめる。
甘えるように、と云っても そこはオスカーだ。
なかなか女性のように されるがままとはいかない。

「……おい、咬むなっつうの」
「何で お前は腹筋、割れてるんだ。ムカつく」
「…ん、…………いてぇって」
脇腹に歯をたてながら舌先が肌をなぞる。
そこまで言われるほどとは思っていないが酔っているせいか、オスカーは珍しく子供のようにアリオスの身体に憂さ晴らししている。
痛みが腰のあたりにきた時、ベルトを外されズボンの前をくつろげられると開放感と共に湿った舌がアリオスの硬くなったモノを舐め上げる。

「……ッ、ふ………ン、」
「……………は、……う、ぁ……」
下から上へと布越しに舌が動き、アリオスの口から熱い吐息が洩れる。
その瞬間、下着を下ろされ オスカーの唇が熱く勃ち上がったものに吸いついた。
根元の敏感な場所や先端に走る刺激にアリオスの腰が浮き上がる。
それを見てオスカーはアリオスのモノを手に取ると迷い無く舌先を伸ばした。

「………ん、ンッ………ぅ、く……ふ……ッ、」 
情欲の証であるモノはオスカーの愛撫に喜んで反応し、アリオスを苦痛とも快感とも云えない海に突き落とす。
己の足の上でオスカーの熱い昂りが押しつけられると、負けじと動かし 太股で股間をこすりあげてやる。
「……ァ、う……ンッ、……いい、アリオ、ス……もっと、………」
「……………可愛いこと、言うじゃねえか。たまには悪くねえな。………ん?…」
「…ん、……んァ、」

快感に震えながら堪える姿を見下ろしながらアリオスは はた、と思い出した。
( よく考えたら、こいつ年下だったぜ。いっつもスカしてやがるから忘れてた )

初めて会った時は文字通り刃のごとき、だった。
薄暗い牢の中で鎖に繋がれていても静かに蒼い炎のような眼差しで睨みつけてきた。

( 一目見て分かった。手ごわいヤツだって )
だが、その手こずる相手との やりとりが楽しくなったのは いつからだったろう。
気を許せないと警戒しながら、一緒にいる時が一番 息がつけた。

敵なのに一番 分かり合えた。
分かり合えたのに一緒に生きていくことは出来なかった。

「……アリオ、ス…ァ、は、ッあ……」


もう何処へでも行ける。
何処へでも行きたい。二人で。
アリオスは身軽になったがオスカーが背負うものから抜け出せたときには…
その時こそ、本当に自由になれるのだ。

「……ふ、……ぅく、……ァ、」
ほぐすのもそこそこに、背後からのしかかられながら すぼまりに熱いモノがあてられる。
来る、と思った瞬間、身体を裂かれるかのような圧迫感が襲う。
ぐぐっと押し込められ、アリオスの下生えが感じられた瞬間 背筋が震えた。
はァ、と息を吐いたと同時にアリオスが激しく動き出した。

大きなベットが ぎしぎしと悲鳴のような音をたてる中、アリオスはオスカーの腰を逃がさないとばかりに両手で掴み、腰を突き入れる。
狂暴とすら思える動きは波の女性では とても受けとめきれるものではないだろう。
オスカーとて、繋がるはずではない身体は悲鳴をあげるが 甘く自分を呼ぶ声と背中に落とされる唇に じわじわと身体が昂り始める。

「……オスカー、……ッ、は、……ァ、」
「……………く、……んッ、ン……イ、く……あァ、……」

俺がやるべきこと。俺が忘れてはならないこと。間違えるな。……今度こそ、間違えるな 。


オスカーの背中が艶めかしく しなった時、ぎゅう、と内部が引きしまる。
その刺激に負けまいと歯を食いしばるが せり上がる快感に身を投げ出す。


静かになった部屋の中で、二つの荒い呼吸と口づけ合う音が薄暗い部屋の中で溶け合っていった。










2020年12月21日

オスカー様!お誕生日おめでとうございます!

♯90       始まりの夜

こんばんは、水城です!

今日はオスカー様のお誕生日。
こんな寒い夜、オスカー様はこの世に生を受けたのね。
お母様、ありがとう!
いつまでもオスカー様が一番 魅力的です。
その姿よりも魂に惹かれます。

二次元の方ですが、ここまで長く付き合っていると もう三次元の方と一緒!
オスカー様、大好き!これからもよろしくお願いします!

でも、今年も間に合わなかった💧
近日中には上げますう。
冒頭ですが よろしかったらどうぞです。



□  始まりの夜  □


おれも大概だとは思うが こいつには負ける。
最初の印象と まったく違って見えるぞ?

檻の中にいた時は人を射殺しそうな目をしていやがったくせに、チャラチャラチャラチャラまあ口説く口説く。
いつだって自分は間違ってないって ふんぞり返って自信たっぷりで嫌みったらしい。

そう思って見てたんだがな。


「ご馳走様、アリオス。また来てね!」
「またね、アリオス、オスカー!楽しかったよ」
「またご贔屓に、お二方」

「くそ、散々 飲み食いしやがって。何で俺が店の女に奢ってやんなきゃなんねえんだよ」
そう悪態を付くと アリオスは両手で手を振る二人に二度と振り向かず歩いていく。


そろそろ深夜をまわった頃か。
上を見上げれば満天の星が煌めいていた。
「はあ。星降る夜にレディと一緒ならな」
ため息をつきながら赤い頭を振るオスカーに、アリオスは呆れ顔だ。
「そんなに年中 女、女、言ってて疲れねえか?腎虚でくたばるぞ?」
「下品なことを言うな。男なら女性に対して」
「そういう うんちくは聞きたくねえ。なんか面白い話はねえのかよ」
「はあ?道化じゃあるまいし、何故おれが?」
「お前しか いねえからだろ?女で失敗した話とか、女でスッカラカンになった話とか、女に騙されて尻の毛までむしられた話とか」
「あるか!そんな話!」


星空の下、ぽんぽんと まるで子供の掛け合いのような会話が続く。
王宮の息苦しさから逃れて城下に下りたものの、結局 王家の鼻つまみ者のレッテルからは逃れられず どこに行っても心からは憩えなかった。
唯一、恋人であるエリスとともにいる時だけは肩の力が抜けたが エリスを逃げ道としている自分に苛立ちは増すばかりだった。

若かった、と振り返ることも許されず、《 レヴィアス 》と云う存在が 修羅の道を指差しているのだ。
だが今 自分はアリオスと云う別の存在となっている。
孤児で、とある剣士に拾われ剣を習い、剣一本で生きている。
傭兵をしたり、貴族に雇われたり、気ままに一人で色んな国を流れながら生きているアリオス。
皮肉屋で酒が好きで、誰も信用せず信頼もされないアリオスと云う男に。


「お前こそ、女で失敗してそうじゃないか。だから女性に対して扱いが雑なのか?」
「はあ?女性って。飲み屋のオンナに淑女らしく扱えってか?あいつら両手で食いもん むさぼり食ってただろ?」
け、と言わんばかりのアリオスに、オスカーはやれやれと首を振る。

「分かって無いヤツはこれだから」
「はあ?」
オスカーの、頭の悪い子供を諭すような顔に、アリオスはムカッとして言い返してやろうとするが オスカーの方が一拍 早かった。
「女性は環境で変わるものだ。彼女たちは毎日を生きるだけで一生懸命だ。召使いにかしづかれて暮らしてるのとはワケが違う。だが腹が満たされ、優しい言葉に包まれれば女性は変わる。誰だって美しく可憐に花開くものだ」
「……誰だって、だと?」

オスカーの夢見るような口調に、今度こそアリオスは反論する。
「ああ、誰でも」
「……………へえ、なら自分が腹を痛めて生んだ子が出来損ないだって分かった途端、毛虫扱いする女でもか?」
「……………」
「出来損ないだから周りから鼻で笑われようが冷や飯 食わされてようが、熱出して ひっくり返ってても知らんふりな女でもか?」
「……………」

いきなり火が点いたように話し出すアリオスに、オスカーは言葉を無くす。
「クズな女なんてゴマンといるんだ。金と見栄しか頭に無い、血の繋がりなんて水より薄いと鼻で笑う女が。自分の損得だけで、忠誠心も情も倫理観もない女達が」
「……………」
自分の言葉に 氷蒼色の目を驚きに見開いていたが、ゆっくりと伏せてしまったのを見て ふん、と鼻を鳴らす。

「無条件に浮かれたことを言う神経が分かんねえぜ。よっぽど お上品な暮らしだったんだろうが、そんなヤツらが一番タチが悪い」
ヘドが出る、と吐き捨てると 後は星明かりだけが二人を照らし、訪れた沈黙にアリオスの苛立ちは いや増すばかりだった。
( ……所詮、それまでの男だ。期待したところで……バカな。期待?俺が?いずれ殺す人間を?……… )

自分が揺れているのが分かる。
あまりにもアリオスの人生が自分に同調し過ぎてしまっているのだ。



2020年11月22日

アリオス、お誕生日おめでとう!


#89          始まりの夜


こんにちは、水城です。


うわあ、土日と良いお天気ですねえ。
富山もピーカンです。お洗濯、頑張っちゃったぜ!

昨日の夕方、国際宇宙ステーションきぼうが富山上空を飛んできたんです。
見れなかった!残念!
相方は見れたみたいなんですが あっしは会社にいて、見れなかった!
せっかく相方が電話してくれたんに!
今夜も一応 見れるみたいなので再トライです。

で、んでんで。
アリオス、お誕生日おめでとう!
天レク話はデリケートですが書いてて楽しいです。
哀しい結末ですが それだけではないと思っているので未来ある感じが出せたらと毎回 思ってます。

これは次のオスカー様の誕生日と対になってまして。
では、始まりの夜。よろしかったらどうぞです。



□  始まりの夜  □


おれも大概だとは思うが こいつには負ける。
最初の印象と まったく違って見えるぞ?
あちこち転々と剣士を生業にしてるなんて怪しすぎるだろう。

そう思って見ていたのに。


「親父、これ旨いな。もう一つくれよ」
「旨かったかい。そりゃ良かった」
「ねえねえ、アリオス。あたし、コチマの揚げたのも食べたい!注文していい?」
「あたいは鳥の串肉!タレのやつね!」
「あいよ、毎度~」
「てめえら、誰の財布だと思ってやがる!あ、親父!勝手に作るな!」
「すぐ出来るから待ってな」
『は~い!』
「てめえ~。……なら注げって!食うだけバカスカ食いやがって」
「……………」


神鳥の宇宙が 侵略者である皇帝レヴィアスの手に落ちた後、守護聖達は反撃するべく旅立った。
聖獣の女王アンジェリーク・コレットを旗印として、神鳥の女王とその補佐官の奪還、侵略者である皇帝を退けるべく剣を取ったのだ。
その旅の途中、コレットを火事から救い出したアリオスが仲間として加わったのだが……



旅の剣士などと、氏素性の分からない者がこのタイミングで近づいて来た。
怪しいとしか思えません。

しかし、オスカー。アリオスがいなければアンジェリークは どうなっていたか。
あの火の中、自分を省みず飛び込めるなど、なかなか出来まい。
分のことを語らないが……モンスターと闘うにしても危険を承知で前に出ておるしな。

………ヤツの腕は確かです。
今やモンスターに対抗出来る貴重な戦力ではあります。
むしろ そこに付け込まれている気がしなくもない、と。

いずれにしても。
陛下を救い出し、敵の首魁を倒すまでは気を抜かずに進むしかあるまい。
お前には負担をかけてしまうが、オスカー。

それは、ヴィクトールもおりますし、チャーリーもなかなか剣を使えますし。
………では、ジュリアス様。アリオスのことは私に任せて頂けますか。

すまないな、オスカー。頼む。

分かりました。




「オスカー、何 ぼーっとしてんだよ」
「ホント。難しい顔して。似合わないわよう」

長く、先が不透明な旅は とかく焦りがちで がむしゃらに前へと進みがちだ。
それを憂いた一行は、週末の二日間を休息日としていた。
その日 夕食を終えたアリオスが、同室になったオスカーを 飲みに街へ出ないかと誘って来た。

「…確かに、難しいことは明日 考えればいいな。しかし、アリオス。お前 夕食を食べたくせに よく入るな」
「あ?あんな 堅ッ苦しいメシ、食った気しねえよ。よく我慢してるよな」
「……まあ、お上品ではあるな」
聖地で暮らしていると各私邸には専属のシェフがいる。
それぞれ守護聖の好みに合わせて最高の食材で腕を振るっているのだ。
あのゼフェルでさえ それに慣れてしまっている。

「肉体労働だっつうのに、やれスープだ、サラダだ肉だって。コース料理なんて まだるっこしいぜ。メシくらい好きに食わせろっつうの」
「……………」
アリオスが一行に加わって二週間ほどだろうか。
今まで我慢した鬱憤が溜まり、今夜 自分を誘ったのだろうかと思ったら いささか申し訳ない気分になる。

「みんなで仲良く いただきまーすって、どこのサマースクールだよ」
「……そうだな。食事は一日のエネルギーや やる気の源だしな。それは悪かった。好きに食べてくれ」
「……………」
素直に頷くオスカーに、アリオスは一瞬 碧の目を丸くした。
「何だ?」
「や。……やっぱ あんたは話が早いな、と思ってな。いっつも あのガチガチの金髪に 引っ付いてるから どうなんかと思ったけどよ」

アリオスは店の親父が持って来た揚げ物と串焼きへ 嬉しそうに手を伸ばす娘達を見ながらグラスを煽る。
「あの方は四角四面なだけではないぞ。ちゃんと道理も情けも お持ちだ。誤解されやすいだけで」
「ふーん。あんたらが そうやって甘やかすから誤解されやすいんじゃねえの。ま、俺が口出すことじゃねえけど」
「……………」

今夜のアリオスは 解放感からか 酔っているのだろう。
いつものシニカルで寡黙な彼とは違い、よくしゃべるし表情も豊かだ。
正直、今のアリオスなら好感が持てる。
「……お前、ずっと一人でやってきたなら よくおれ達と一緒にやろうと思ったな」
「成り行き、だな。まあ 俺も人助けなんてガラにもねえことしたな、とは思ってるぜ?」
「悪いが全ッ然、らしくないな」
「言い切るかよ。ま、どこまでやれるかわかんねえけどな。そのうち金髪野郎がキレるかもしんねえだろ?」
「いや、あの方は そんなことはないな」
「あの方は、ね。どの方は違うんだ?お前だろ?」
「……そうだな」

素直に頷くオスカーに、アリオスは面白そうに笑う。
「お前って面白いヤツだな。いろんな風に形や熱が変わる。クールかと思ったら熱いし。派手かと思ったら影にもまわるし、ストレートで ひね曲がってる」
「……お前こそ、掴みどころがない。敢えて見せないようにしているんだろ?」
「一人でやってく処世術ってとこだな。別に仲良しこよしがしたいわけじゃなし」

アリオスの言うことは いちいち もっともだ。
逆に もっとも過ぎて疑ってしまう自分に、自嘲気味に笑う。
「…なんでおれを選んだんだ?」
「そんなの、見てりゃ分かるだろ。お前しかいねえよ」
「……………まあ、それもそうか。………チャーリーとかなら気が合いそうじゃないか?」
「うるさいのは苦手だ」

そう言ってソファに深く沈む姿は どこか横柄にも見える。
一人で 転々と旅をしながら、アリオスは何を求めて生きて来たのだろう。
それとも自分達の寝首を掻こうと息をひそめているのだろうか。

( ……敵方の刺客、なのか?それとも本当に剣を生業にしてる男なのか?………おれは…… )
オスカーは、自分が迷っていることに気づく。
お前しかいないと、この誰にも懐かない野生の獣のような男に言われることが…
( ……こんな異常な事態だからか?妙な親近感や共感が生まれるとか? )

アリオスといる時、守護聖としてでは無く一人の男としていられるのだと気づく。
あんなにも長い間 同じ時を共有した仲間達とは得られない感覚に、オスカーは内心 戸惑っていた。
何気ない会話の中にも、闘いのさなかにも。

「…最初はおれを毛嫌いしてただろ?」
「キザったらしいわ、口はよくまわるわ。女とみたら見境い無く口説くし、偉そうにふんぞり返って自信たっぷり。毛嫌いしない方が不思議だぜ」
すらすらとあげつらわれては さすがのオスカーも むっとするが、イタズラっぽく笑う姿に小さく肩をすくめる。
「本人を目の前にして よくそこまで言えるな」
「あんたみたいなヤツを へこますのも楽しいからな」
「悪趣味なヤツだな」

きつく睨みつけてやったと云うのに まったく気にせずにグラスに酒を注いでいる。

「よく言われるぜ。………何だろうな。あんたといると、気楽、だからな」
「………お前を信用したわけじゃないぞ?」
「別に。いいんじゃねえの?信用なんて有りもしないことは望まない主義なんでな」
「……………」
聞き逃せないことを さらりと言ったアリオスは注いで空になった酒瓶を持ち上げると、店の親父に声をかけている。

( ………不思議な男だ。この男のことが知りたいと思わせる。………こんなにも信頼出来ないと思うのに… )
オスカーの氷蒼色の目がアリオスを ひたと見つめる。
その眼差しをアリオスは受け止めているが、銀色の髪に隠された右の目は果たして何を見ているのだろうとオスカーに思わせた。

「…俺を信用するな。お前はそれでいい」
「………偉そうに。……当たり前だ。誰が信用するか。……………こんなヤツに背中を預けてるなんて人生初だぜ」
「はは、ご愁傷様、だ。いい経験になるぜ?」
「ふん。………お前ばかり飲むな!ここは誘ったお前の奢りだろうな?親父、マッカランはあるか?」
「ありますぜ。毎度~」
「てめ、たっかい酒を…親父、開けるな!」
「お話、終わった?じゃあねえ、次はピザ!」
「あたいは、揚げたイモのヤツ!あとねえ、パスタはあ…」
「お前ら、何 ガッツリ食う気なんだよ!」

「女性に遠慮させるな。男が下がるぞ」
『分かってるう!』
「余計なことを…親父、作るな!」


すべての始まりである夜は、すべてが終わった後でも 不思議な夜のままオスカーの中で消えずに残ったままだった。





2020年11月17日

なんか良いことないですかね。

#88      bubble of life   

こんにちは、水城です。

うっわ、間が開いたなんてもんじゃないくらい開いてますね。
ホントに仕事が忙しくて。
やっぱり月末に事務員さんが辞められると かなりきつかった!
せめて20日とか、月末と月初めを ずらして頂ければ全然 違ったのですが。
まあ監査が続けて二つもありましたし尚更でした。
今は、やっと ちょっとは落ち着いて来たかなあ、って感じです。
油断は出来ませんが。

今年はホントに、まあコロナもありましたが大変な年でした。
会社の創立記念日も無くなるし。
せっかく ぱーちー用に服や靴を勝ったんに!ムダになりましたよ。
今は着ていく機会なんて皆無でしょうしね。
結婚式だってあるんだろうか、と思いますし。

あと、忙しいせいか食事も不規則だから すっきりしないと云うか。
栄養もかたよりがちで、よくないなあ。
土日も仕事に行ったりして、過労死するほどじゃありませんが小さな積み重ねが体調を崩すんでしょうね。
今は治療してあった奥歯の詰め物が欠けてしまって!
歯医者さんに行かなきゃ💧

でも行ってた歯医者さん、じいちゃん先生でご高齢だったから診察してるかどうか。
新しい歯医者さんってイヤですよね。
探さなきゃなあ。はあ、憂鬱!

なんか良いことないですかね。
あ、でも美味しい紅葉まんじゅうの情報を教えて貰いましたから お取り寄せしようかな、と。
疲れた身体には甘いもんですよね!

今年もラストが見えて来ました、ってことはアリオスとオスカー様の誕生日!
ショートですが書きたい話はあるので22日に間に合うように書きたいです。
天レクが舞台ですが、重くならない話ですね。

まだまだコロナコロナ言ってますので皆様お気をつけて!

ではよろしかったら  bubble of life   の続きをどうぞです。
オスカー様!危ないー!



□  bubble of life   5  □



「オスカー。明日 時間はあるか?」


王立軍の訓練施設に終業のチャイムが鳴り響く。
格闘技の訓練を終え、タオルを取ろうとしていたオスカーの背中に聞き慣れた声がかけられた。


「明日、ですか。何時頃でしょうか、サンズ教官」
訓練施設は空調が効いてはいたが激しい訓練を終えたオスカーの額や首筋には汗が光り、声をかけてきた男は それを見て不快そうに顔を歪めた。

「16時頃でいい。来週の合同演習の件だ。来れるか?」
「……了解しました。ですがレオナードは不在ですが」
目の前の男はオスカーより15cm ほども背が低い。
当然 見下ろす形になるのだが階級で云えばサンズの方が上だ。
オスカーは内心どう思っていたとしても表情ひとつ変えずに立っていた

来週、軍内で合同演習が行われる。
王立軍は大きく五つに分かれており、三年に一度、大掛かりな演習が開かれるのだ。
現在オスカーは王室直属の近衛師団に所属している。
師団はさらに四つに分かれており、第三師団に所属するオスカーはレオナードと一緒に副官補佐の任に着いていた。


「レオナード・ブラナガンは休みか?」
「はい、身内に不幸がありまして」
「………」
リッチー・サンズ教官は四十代前半の男で子供もいる既婚者だ。
妻の父親が軍上層部の人間で、厚遇されているだの義父の七光りを利用しているだの あまり良い噂は聞かない男だ。
実際 軍内部は実力社会なのだから実力さえあれば そんな噂など立たない。
オスカーにしたところで代々 軍人の家系であるし、父親は海軍軍医で階級も上だ。
どれだけでも やっかむ噂は流れそうなものだし、二十代そこそこで副官補佐に着くのは かなり異例であるのに噂ひとつ立たない。


目の前で黒い目が伏せられるのを見て、オスカーは手の中のタオルで首元を拭う。
基本、連絡事項やミーティングは両副官が揃って行われる。
連絡事項の混線や不具合対策でもあるが次代の士官を効率良く育てる為でもある。

「明日から二日、不在なのだ。仕方ない、お前だけ来てくれ」
「…了解しました」
仕方ない、と言いながらサンズ教官は どこか愉しそうに笑みを浮かべる。
その表情に、オスカーは微かに眉をひそめたが何も言わず黙っていた。

では明日、と言って去って行く後ろ姿に オスカーは小さく息を吐くと訓練場を出て行った。






今日、七時まで来いよ。ゼルじいさんが来る。


簡潔な内容にオスカーは濡れた髪を拭きながら壁にかかった時計を見やる。
今、六時前だ。
七時まで来いと言われて いそいそと行ってやるのは癪に障る。
こちらの都合など明日の天気より気にしていないんじゃないかと思うと どうしても素直にはなれない。


アリオスといわゆる恋人関係になってそろそろ二週間が経つ。
思いもよらずアリオスは連絡魔で、LINEを教えてやったら毎日必ず何かしら寄越してくる。
大抵は 取るに足らない内容だが、今日のは……


( ナイゼルが?何でわざわざ……何かあった、とか? )
ゼルじいさんこと ホームレスのナイゼルは、ただのホームレスではなかった。
過去に、王室御用達レストランのチーフシェフだったこともある人物だったのだ。
アリオスの部屋で腕をふるって作ってもらった料理は本当にどれも美味しくて、チーフシェフだと云う話はウソではないのだろう。

もしかして また料理を?と思いながらオスカーは濡れた髪を撫でつけ、軍服に着替えて更衣室を後にする。
施設内の廊下を長い足で颯爽と歩く姿に女性達の視線が集まる。
それでなくても終業後の施設内は帰宅する者達であふれていて、オスカーに注がれる熱い眼差しも十や二十ではなかったが本人は気にした風も無く真っ直ぐに歩いて行く。


「オスカー、週末 予定ある?新しく出来たアクアリウムに行かない?」
「クラウンホテルのプールが新しくなったじゃない?泳ぎに行きましょうよ」
「ナースとのコンパに行くぞ、オスカー」


施設の外に出るまで何人に声をかけられたやら。
オスカーはそれをイヤな顔ひとつせず対応していたが誰一人として良い返事は貰えなかった。


( ………いやに急かすな…? )
自室に戻った時 またアリオスからLINEが来て、遅れるかと聞いてきた。
仕方なく行けると返信してやるとOK と返って来た。
こんな風にアリオスのペースに乗せられるのは どうにもモヤモヤする。
結局 年上風を吹かせるアリオスと年下のひがみから抜け出せない自分の位置関係がプライドにさわるのだ。

アリオスの知らない世界にいる自分を見たらヤツは何と思うだろう。
カッコつけやがって?
エラそうにしやがって、とか?

( おれは対等になりたいんだ。なれる自信があるから。なのに今は そうじゃない。それが気にさわるんだろうな…… )
ふう、と息を吐くとオスカーは軍服を脱いで私服に着替える。
明日は金曜日だ。
恐らく週末はアリオスと過ごすことになるんだろう。

クローゼットの扉にある姿見に写る自分。
気を抜くとアリオスの気配がオスカーを抱きしめる。
遠い日に身体を重ねた夜とは比べものにならないほど淫らで、熱くて、優しかった。
何度も何度も、まるで確かめるように名前を呼ばれた。
何日も離れていた恋人同士、と云うより ずっと飼い主の帰りを待っていた犬がようやく会えた、とでも云うかのように。
アリオスはオスカーを抱きしめ、ずっと離さなかった。

自分より年上のくせに、体格だってさほど変わらないでかい図体をして甘えて、まとわりついてくる。
ベッドの中だけでなく、アリオスは自分にべったりだった。
それなのに主導権を握られている気がするのだ。


…………ちょっ、と…待て!

待てって言われて待つバカがいるか。おら、足!力 抜けって

だから、なんでおれが下なんだ!勝手に決めるな!

お前、男とヤったこと無いんだろ?あんのか?

……………

一回も手術経験のない医者にメスを持たせたいか?腹、開かれたいか?あ?

…………………………

俺はイヤだね。結論、お前が下な

……いや、……ちょっと待…んッ、…ぁッ…

ヨくしてやるから……愛してるぜ、オスカー

…ッ!…待……んァッ…はッ……ア、リオス……


「……くそ、好き勝手しやがって」
いささかガラの悪い口調は、スマートを地でいくオスカーを知る者が聞いたら目を剥くだろう。

はーッ、と息を吐き出すと甘い記憶を振り切るように顔を上げる。
オスカーは ワインを買って行くか、と思いながら部屋を出て行った。




「あの ル・プルミエ クロワッソン?すごいな」

予想していた通り、アリオスの部屋に行くとナイゼルが料理を作って待っていてくれた。
オスカーか買ってきたワインを開けながら肉料理に舌鼓を打っていたとき、アリオスが自分のことのように話し出した。

「もともと あの店はゼルの弟子が開いた店だからな。退院するまでだが……ずっと続ける気なんだろ?」
「………どうだろうなあ」
「老い先 短いんだからやれるまでやれよ」
「まだ61だ!失礼なヤツだな。フォアグラにマシュマロあえて出してやろうか!」

白飯が食いたいと駄々をこねたアリオスのために わざわざ鍋で炊いてやったのに、負けじと言い返すナイゼルは初めて会った時より よほど生き生きとしている。
長めだった髪も短く切り、シャツにカーディガンを羽織っただけだが さりげなくダンディで どこからどう見てもホームレスには見えない。


テーブルにライスの乗った皿を置く仕草も さすがにさまになっている。
「だがブランクなんて感じさせないな。どれも本当に美味しいし」
「明日、初日だからな。冷やかしに行こうぜ、オスカー」
「堂々と冷やかし、言うな!まったく。いつの間に予約なんぞした」
「話、聞いて速攻でするだろ。裏で皿 割らないか楽しみにしてるぜ?」
「……フォアグラ、たんまり入れてやる」

アリオスはフォアグラが大嫌いだ。
そんなやり取りも どこか楽しそうで、オスカーは二人を見ながら笑みを浮かべた。



「ナイゼルはバリバリのシェフだったが家庭は女房にまかせっぱなしの典型だったらしい。泊まり込みで仕事をしてて ほとんど家には帰らなかった。そんで、自宅から火事を出してな」
「……………」


ナイゼルはレストランの従業員用のアパートメントに住むことになったらしく、明日は早いから、と行ってしまった。
二人だけになった部屋でアリオスが話してくれたことにオスカーは表情を曇らせる。

「家族も家も一瞬で無くして。そこからずっとホームレス暮らしらしい」
「……それは、辛いな」
「毎日 後悔しない日は無い、死ぬことも許されねえ、って、最初 会った頃はホント、ぼろぼろだった」
焼けた家を前にしてナイゼルは立ち上がれなかった。
シェフどころか日常生活もままならず、身を寄せていた知り合いの家から姿を消した後、ずっと路上生活をしていた。


「じゃあ今は だいぶマシになったんだな」
「だな。また厨房に立とうなんて思ってくれるなんてな。今は100でも元気いっぱいなじいさんなんて珍しくもねえし。ナイゼルは特に持病もないし まだまだ頑張れるはずだ」
「……………」

そう言う横顔は やはり医者としての顔だ。
グラスを持つ手が目に入り、こうして見るとアリオスは綺麗な指をしているな、と思った。
比べると自分は軍人として訓練しているから それなりな手だ。
「まあ、ウィルも通常の骨折だからな。そういつまでも入院してるわけでも……なんだよ」
「……お前、医者としての専門は何なんだ?」
「は?何だよ いきなり。……まあ、内臓系の手術全般?」
「…忙しいのか?」
「………今は救急の方だからそこまでじゃない。時間帯も日中だけだしな。…お前は?忙しいのか?」
どこか話を断ち切るように問いかけられて、オスカーは内心 眉をひそめる。

「来週、合同演習があるから それなりだな。陛下もご覧になられるし」
「お前、見た目が派手だから重宝されてんだろ。今年は一般公開もされるって聞いたぞ」
「……まさか来る気か?」
そんな情報、どこから、と思ったが確かポスターが貼られると聞いた気がする。
「女王も来るんだろ。土曜だしな。一昨年のは公開無しだったから見れなかったし」
「……お前、本当にストーカー並みだったんだな」

呆れたような氷蒼色の目に アリオスは悪びれもせず笑っている。
「まあ、あれだ。庭に植えた朝顔の成長日記的な?」
「は?庭木に水もやりそうもないくせに。何が成長日記だ」
ふん、と鼻を鳴らしながらグラスを空けようとしたらアリオスが 良からぬ顔つきで迫ってくる。
「………なんだ?」
「や?だから成長日記」
「何が成……ッ、……ん、…お…い、……ッぁ…」


にやにやと笑いながらオスカーの身体に馬乗りになるとシャツのボタンに手をかけ始める。
オスカーが無抵抗のままいるはずもなかったが、抗議の声を封じるように口を塞がれる。
「……ッ、ん、…」
「挿れたりしねえから、…大人しくしろって」
「………ちょっ、と…待て、…おい、……」
「…お前って、なんか性別 超えてるよな」

赤い髪をかき分け、形のいい耳に舌を這わせながら アリオスは満足そうに呟く。
「どっからどう見ても男なのに、こう……アリだって思わせるっつうか」
「……ッ、……く…ッは…ぁ…」
足の間を衣服越しに強く弄る手の動きに、声を洩らすものかと唇を引き締めるが 吐息がこぼれてしまう。
固くなり始めたことに気を良くしたのか、手の動きは いっそう淫らになる。

「こいつで何人の女を泣かせたか知らねえけど…」
「…………ァ、……ッあ、……」
その形を確かめるように手で包み込み、意地悪く揉みしだきながら胸の粒を舌でつつく。
「今まで男とヤったことねえって、結構、萌えるな」
「…ワケのわから…く、」
「………お前、すげえイイ…ガキみたいに興奮しちまう……オスカー…」

アリオスと再会するまで何人かと関係を持った。
その時々で 真摯に付き合っていたつもりだったし、相手に事欠くことはなかった。
だが女性に対して誠実であれとの父の言葉をおろそかにした憶えはない。
性の経験はアリオスが初めてだったが、その後は 女性からも男性からも好意を寄せられたが男と関係を持とうとは夢にも思わなかった。

「……ッは、…」
音がしそうなくらいの力は苦痛を感じるほどなのに アリオスの自分を昂らせる声や、途切れることのない口づけがオスカーの興奮を誘う。
「……ン、……んッ……ァ、……」
アリオスの唇が押しつけられ、肉厚な舌が潜り込む。
応えろと云わんばかりに ぐっと侵入してくるそれは 遠慮会釈も無く、いっそ乱暴にすら思える。

女性相手では どうしても相手を気遣い、本能のままには動けない。
自分の情動より、まずは相手の女性を気持ち良くさせることに集中してしまう。
それはオスカーの信条でもありプライドでもある。
だが男であるアリオスとなら素のままの自分でいられる。
快感に ただ酔えばいい。
流されるまま感じて、挑むように熱情をぶつけ、この行為に溺れていると身体であらわせばいい。
アリオスと、負けじと競うように抱きしめ合う瞬間が 本当に気持ちが良かった。

「……お前も、一緒に、……ン、オスカー…」
「……………は、ァ、……」
せわしなくベルトを外し、互いの熱くなったモノをアリオスはまとめて握り込む。
先端を親指で数度こすると ぬるりとぬめり始め、オスカーの手を引き寄せる。
互いの足の間から濡れた音が高く低く聞こえて二人の熱を煽る。
「……ン、…くッ、………」
「…はッ、……は、あァ…ッ、アリ、オ………」

せり上がる快感が頭の中で弾けるようだ。
堪えるように うつむく赤い髪に隠れた顔を、アリオスは乱暴に掴むと噛みつくように口づける。

重なる唇の間で オスカーの達して震える声が飲み込まれていった。




「お前の服の中身を想像してるヤツいるだろ。ケツくらい触られてんじゃねえの?」
「…ばかばかしい、と言いたいが木石じゃあるまいし、そう見られても仕方ないだろ」

満足そうに長々とベッドに横たわる姿を見ながら、オスカーは携帯と財布を手に取る。
互いにシャワーを浴びた後、アリオスは さっさとベッドに入ってしまった。
明日は金曜日だからオスカーは勤務があるが アリオスは休みらしい。
あくびをしながらペットボトルの水を飲んでいる姿に、どんな勤務形態なんだろうと首を傾げたくなる。

「じゃあな。明日は6時にレストランだったな?」
「……………」
「…?……アリオス?」
部屋を出る前に確認のため問いかけるが、アリオスは不満そうに口を歪めていた。
何だ?と言おうとすると アリオスは ぶっすりと呟く。
「…やっぱ帰んのかよ。明日、こっから行きゃあいいだろ?」
「だから、明日は早いんだ。始発のバスじゃ間に合わないんだから仕方ないだろ」
「車で送ってや」
「朝が弱いくせに、寝言は寝てから言え」

スパッと切られてアリオスは子供のように口を尖らせている。
子供の頃は大人びていると感じていたのに、再会してからのアリオスはハイスクールあたりから中身が成長してないように思える。
「休みのお前に付き合ってられるか。明日はちょっと、……厄介な問題に手を付けなきゃならないかもしれないからな」

端正な顔が少し憂いて見える。
どうやら気の進まない話のようだな、と思ったがアリオスは特に何も聞かなかった。
「………ふーん。ま、あんま無理すんなよ。疲れてたらヘマしやすいからな」
「…じゃあな」
「おう。明日な」

ひらひらと手を振る姿が なんとなく可笑しくて、オスカーは小さく吹き出しながら部屋を後にした。




「では、以上だ。……こればかりはな。ハリケーンが来ても去っても頭は痛かろうな」
「そうですね。出来れば中止にはしたくありませんが。陛下もロザリア様も演習を楽しみにしてらっしゃいましたから」

王立研究院より、来週の合同演習の近辺でハリケーンが発生するかもしれないと連絡があった。
かなり規模が大きく 演習の日程を直撃する懸念があり、中止か続行か検討されていた。
オスカーはサンズ教官の部屋で演習の続行か否かの対策を話し合っていた。

「ま、来週 水曜日の結果待ちだな。ブラナガンは?」
「月曜日には出て来ます。メディアへの発表も水曜日ですか?」
「おそらくそうだろうな」
「…そうですか」
演習を楽しみにしていたアリオスの顔が浮かび、かすかにオスカーの表情が曇る。
それを見てサンズは ぴくりと片眉を跳ね上げる。

「……何だ?誰か見に来るのか?ははぁ、女か?お前のことだから1人2人じゃなかろうな」
「いえ、友人が」
いきなり馴れ馴れしく言われて オスカーは不快だったが無表情を貫く。
だがサンズはそんなオスカーを煽るように話し続ける。
「お前のことだ、友人も恋人も一緒くたなんだろう?羨ましいことだ」
「……………」
「……私など、妻子がおるからな。つまみ食い一つするにも慎重になるわ」
「……………」

いきなり何を、とオスカーは表情を改める。
そんなオスカーを嘲笑うように、サンズは ゆっくりとコーヒーカップを手に取る。
「お前とは気が合うと思うのだがな」
「………どういう意味でしょうか」
目の前の男の真意を探るように氷蒼色の目が きらりと輝く。 
その輝きに目を細めながら、サンズは妖しく微笑う。
 
「偉大なる父の影で努力するのは辛かろう、と思ってな。その苦しみを女で紛らわす、実に納得出来ると思っていたのだ」
「…おっしゃる意味が分かりかねます」
「…………私の趣味について あれこれ探っているようだが」
「……………」

黒い目が細められるのを、オスカーは黙って見ていた。
それを動揺と取ったものか。
サンズは小さく肩をすくめて鷹揚に足を組む。
「私が気づかないと思っていたかね?」
「気づいて頂かねば困ります。出来れば内密に収まれば、と思っておりましたから。ですが教官の罪は目に余ります」
「……………」

首根っこを捕まえてやった、と思ったのに、思わぬオスカーの反撃に 今度はサンズが黙る番だった。
「信頼のおけるコルテス中将の娘婿が、兵士を脅して…とは、陛下の心痛はいかばかりか。このままでは軍法会議は免れません。しかし、軍を除隊すれば民事となる。教官の罪を見逃すわけにはいきませんが、同じ裁きを受けるとしても軍内での扱いよりまだ」
「オスカー・オーベルシュタット。もういい」
「……………」
「どうやら私は詰んだらしいな」
「……………」

自らの悪事が露呈したと云うのに、サンズには余裕すら感じられる。
それを見てオスカーは油断なく目の前の男を見つめる。
「だが脅したなどと人聞きの悪い。合意のもとなのだが」
「………それは法廷で証言なさればいい。残念です、教官。……せめて演習が終わってからと思っておりましたが」
「お優しいことだな。…………まあ、いい。もう一杯コーヒーを飲ませて貰うが、お前は?すっかり冷めているぞ」
「……結構です」
「しかし、どうやったのだ?露見するとは思わなかったが。女達から喋らせたのか?」

サンズは立ち上がるとコーヒーメーカーから湯気のたつコーヒーを注ぐ。
ゆっくりとソファまで戻って来ると余裕の表情でコーヒーを口に含む。
「…………いかがわしい薬を使うなど、神経を疑います」
「高い薬だ。変な副作用もない。ただ持続性は長いからな」
「……………」
「世の中には様々な薬があるものだな。まだまだ試してみたいものがあったんだが」

世間話をするように話す男に、オスカーは ぐっと拳を握りしめる。
「正気ですか?まともな神経なら……ッ、……何を……ッ!………な、……」
「本当に。面白い薬があるのだ、オスカー」

けして油断していたわけではなかったが、いつの間にかサンズの手の中には小さなスプレーがあった。
とっさに腕で口元を覆ったが、霧状の液体が顔にかかる。
「……………く、…」
「これは皮膚や目からも吸収されるらしいから口を覆ってもムダ……もう遅いか」

ソファから立ち上がろうとしたが視界が ぐにゃりと歪み、オスカーは赤い頭を激しく左右に振る。
「最初は目、次はどこかな?口か?耳か?」
「……く、……こ、この……」
愉しげなサンズの姿が だんだんぼやけ、言葉通り、声を出そうにも唇が震えてしまう。

「これは神経を一時的にマヒさせるらしい。安心………ろ…副作用………から……」
「……ぅ、……………」

サンズの声がだんだん遠くなる。
オスカーは糸の切れた人形のように ぐったりとソファに倒れ、動けなくなった。
「…………オスカー?オスカー。………さてと。急ぐか」

サンズは携帯を取り出し、電話をかけると意識を失ったオスカーの横顔を見下ろしながら薄く笑った。
































2020年09月15日

一雨ごとに。

#87  雑記

おはようございます、水城です。 
お久しぶりです。あ~ホントに久しぶりですね。

ちょっとFFサイトの引っ越し云々で あじゃぱな毎日だったのですが やっと一段落。
今は お医者アリオスと冷え冷えバカンスを同時に書いてますが、最近むっちゃ涼しくて冷え冷えバカンス、盛り上がらない 💦
風が冷たいですよ、富山は。
こうやって一雨ごとに涼しくなるんだよなあ。

そんな時、
コメントをありがとうございます!
ホントに今では全くと言っていいほど見ることは出来ませんよね。哀しい~💦
自分は当時からオスカー様が大好きでオスカー様がメインでした。
アンジェとのノーマルカプも読んでましたがお分かりと思いますがアリ×オスが大好きで。
まあ、オス右、でございますね。

ホントに面白かった!
アリ×オスも たくさんありました。
ワタクシは本当に ひっそりとやってますので、いろいろなことが うとくて ダメだなあと思うのですが なかなか。

今はアンジェリークも再燃して来ているみたいですし、わくわくしますね!
でもプレステじゃ無いですからなあ。持って無いのでプレイは厳しいですね。
だから皆様の反応を見て楽しませて頂く事になりますね。

コメント、ありがとうございました!😄
さ、会社、行くか。
















cloudy_garden at 07:24|PermalinkComments(0)雑記 

2020年07月23日

Bachelor なオスカー様!入ります!

 #86   Rosarian Island   ~The  Bachelor  Island games


こんにちは、水城です!

実は明日、伸びに伸びてたアンジェワールド6のイベントが東京で行われるようなんです。
明日ですから さすがにここまで来たら開催されると思うのですが。
そこで ご縁があってコピー本を出させて頂くことになっているのです。なんと。
チャリ×ヴィク本を描いていらっしゃる方が委託を受けますよ~と云ってらっしゃいますよ、と教えて頂いて、その気になってしまった…
本当は3月開催だったのですがコロナの影響でとうとう7月まで延期に。
7月も危ないなあと思っていたのですが、なんとか開催となったようです。
でもどこのイベントもガラガラだそうだし、かなり寂しい感じになりそうです。

何にしても初めての体験で正直、勉強させて頂きました。
ホントに何度も失敗して、やっとこすっとこ形になったって感じです。
出来上がった本も、まだまだ完成度が低い!
自分はそんなに完璧主義者なんぞではありませんが、やはり曲がりなりにもお代金を頂くのなら、ちゃんとしたモノにせねば、と思うわけです。
でも、やっぱりちゃんとした製本会社さんのレベルにはまだまだ……

次に出す機会があったら今度こそ!と思っています。
でも これって本を出したいと云うより、完璧な製本をしたコピー本を出したい、と言っているわけで、なんだか方向が違うよなあ、と思っていたりして。
以前ちらっと出させて頂いた眠り姫のパロディ話です。
一冊でもいいから お嫁に行ってくれないかなあ。


で、んでんで!
これも以前 ちらっと言っていたお話です。
その気になって書き始めてしまいました。えへへへ。
多分 長くなりそうですが書かせて頂きますので宜しくお願い致します。

では宜しかったら。
ほぼ冒頭ですが、Rosarian Island   ~The  Bachelor  Island games をどうぞです。

明日、晴れるかなあ。





□  Rosarian Island   ~The  Bachelor  Island games □

生き返ったって気分にさせる
お前といたら

お前が そう感じさせるんだ



「ねえ、シシー。昨日の、見た?」
「見た!バチェラーでしょ?すごかったよね」

夏の日射しは まだ朝だと云うのに ジリジリと降り注ぎ、今日も熱くなることを予感させる。
市役所勤めのシシーとミラは海に行くため日射しよけの帽子を被り荷物を肩にかけた。
もともと幼なじみだった二人は同じ学校、同じ大学に進み、就職先まで同じになった。
土曜日の朝は平日とは違い、明るい服装の人々が駅へと向かう。
二人も昨夜 見た深夜のテレビ番組の話をしながら駅に向かって歩く。

「前評判がすごかったじゃない?正直 最近
大した男じゃなかったからさ。期待してなかったんだよね」
「分かる~予告もシルエットだけだったしさ。でもでもカッコ良かったよね!ナイト達もイケメンでさ」
「まさか男同士なんて、思い切ったよね。同性婚は認められてるけど なかなかおおっぴらにはなかったじゃん?」
「でも あんなにイイ男同士ならアリ!ね、どのナイト推し?」
「迷う~……んー、今は……んー、アリオスかな。ちょっとクールじゃない?」
「あたしはチャーリーかな?面白そうだし。今回は脱落形式じゃないから人数少ないし分かりやすい。それもいいわあ」

きゃっきゃしながら話していると列車が入って来た。
朝 早いこともあり列車内は まだ空いていて余裕で座れそうだ。
二人は椅子に座ると小鳥のように話し続けた。


The  bachelor 。
このリアリティ恋愛バトル番組は世界32ヶ国で配信され、現在シーズン26まで放送されている超人気番組である。
ハンサムで社会的地位を確立している才色兼備の独身男性《 バチェラー 》の元に集まった独身女性たちが、バチェラーの心を勝ち取るためにゴージャスでロマンチックなデートをしながら過酷なバトルを繰り広げていく。

運命の相手となる最後の一人の女性が残るまで、1つのエピソードで用意されたバラの数だけ女性たちが勝ち残っていく。
その過程のリアルさがウケて全世界で人気がある番組だ。
だが最近、マンネリ化や番組終了後に あっさりと別れたカップルが続出していることが視聴者の夢を壊し、その視聴率はゆるやかに下がり続けている。
そのことを憂慮した番組側は思い切った方法に出た。

バチェラーも参加者全員も男性の、同性同士の恋愛番組を発案したのだ。
そして、舞台には来年 春にオープン予定のリゾートアイランド、リモージュ・カンパニーが建設している Rosarian Island  で行われると発表された。
そして放送は生放送で行われる。
それは放映側の干渉を受けず、参加者の 文字通りリアルな恋愛バトルを行うと宣言しているも同然だ。
その前評判が話題となり、満を持して金曜日の24時に第1回目が2時間スペシャルで放送された。

出演者は名前だけ公表され、詳しい背景はまだ分からない。
それも番組が進むにつれて おいおい明らかになる予定だ。
今回バチェラーは Rosarian Island  にちなんでローズキングと呼ばれる。

ローズキングは青年実業家で22才のオスカー。
以下、ローマ字順で発表された。

アリオス       28才
チャーリー   26才
レオナード   27才
リュミエール  21才
ルヴァ  26才
オリヴィエ   22才
ヴィクトール  34才

参加者はナイトと呼ばれ、ローズキングの愛と信頼を勝ち取る為に奮闘する。
そして、従来のバチェラーにある 生き残り形式ではなく、2ヶ月後にローズキング自らがロザリアン・ナイトを選ぶ。
ただ一人のナイトに選ばれるために男達のバトルが南国にあるリゾートアイランドで繰り広げられる。
美しいリゾートアイランドでローズキングの愛情の証である薔薇を受け取るのは誰か。

バトルは始まったばかりだ。




「………まあ、なかなかの滑り出し、ではあるかな」
「なかなか、なんてものじゃないわ。もう広報の電話は鳴りっぱなしなんだから。大成功よ、オスカー」
リモージュ・カンパニーの高層オフィスビルの最上階。
アンジェリークはプライベートな部屋で金色の髪を波打たせながら嬉しそうに両手を叩いた。

先代社長から若干20才で このカンパニーを引き継いだアンジェリーク。
IQ 194 あるとは云え、まだまだ恋に おしゃれに忙しい年頃だろうに、文句ひとつ言わず頑張っている。

オスカーは渡された今朝のゴシップ誌をテーブルに置くと湯気のたつコーヒーを手に取った。
「まだまだ これからだ。最初は興味半分だろうからな。ここから視聴率を上げていく必要がある。最終回の数字が Rosarian Island  の成功に繋がるなら油断は出来ないな」
「……ごめんなさいね、オスカー。忙しいあなたを頼ってしまって。お願いだからムリしないでね」
不安そうな顔をする従兄弟に、オスカーは淡く笑う。
「気にするな。たまに叔父上から連絡は来るのだろう?」
「ええ、まあね。不思議とこちらが困ってる時にかかってくるのよね。ホント、不思議」

ちいさな肩をすくめながら可愛らしく唇を歪める姿に オスカーも小さく吹き出す。
「叔父上の気持ちも分かるがな。リモージュの一族は良く云えば思い切りが良く、悪く云えば突飛だからな」
「あたし達にも その血が流れてるのね。サイコー」
棒読みでサイコー、と言うアンジェリークに、オスカーは声を上げて笑った。


リモージュカンパニーの社長であったアンジェリークの父は社内で行った健康診断で癌が見つかった。
幸い初期も初期だったので事なきを得たのだが、本人はかなりなショックを受けた。
もし気づかなかったら、もし癌が進行していたら、自分は死んでいたのかもしれなかったのだ、と。
そこからの彼の行動は素早かった。
あっという間に全ての権利を一人娘であるアンジェリークに譲渡すると、子供の頃からの夢である考古学の世界に飛び込んだ。
以来、会社の経営は大学に通いながらアンジェリークが行っていた。

父から譲り受けた 様々な事業の中で最大規模の Rosarian Island  プロジェクト。
南の無人島を丸ごと買い取り、一大リゾート施設を建設するプロジェクトだ。
リゾートホテルにビーチでの海水浴はもちろんのことサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツ、フィールドアスレチックやアドベンチャーランド。スポーツ施設にカジノなどの様々な遊興施設。
島には大型客船も着岸できる港を造り、子供から大人まで長期で楽しめるようになっていた。

アンジェリークがこのプロジェクトを譲り受けた時 施設はほぼ完成しており、後は完璧な宣伝工作をするだけだった。
そして広報部門は全世界で知名度のあるテレビ番組とコラボする企画を立ち上げ、撮影の舞台をオープン前の Rosarian Island  で行うことが決定したのだ。

「この後、しばらく会えなくなるわね。身体には気をつけてね、オスカー」
「ああ、お互いにな。何かあったら連絡してくれ」
じゃあ、と爽やかに笑うとオスカーはエレベーターに乗り込み あっさりと行ってしまった。

《 ……はい、何でしょうか 》
「オスカーが出て行ったわ。ヘリの準備はいい?」
《 準備出来ておりますわ 》
「くれぐれも、無事オスカーを向こうに送り届けるようにと伝えて」
《 かしこまりました。お下げ致しましょうか? 》
「ええ、下げてくれる?」

ふう、と ひとつ息を吐くとアンジェリークがもっとも信頼している秘書が部屋に入って来た。
「いよいよね。オスカー様は緊張してらっしゃった?」
アンジェリークの第一秘書であり親友でもあるロザリアは親友の顔で話しかける。
「うーん、多分 緊張なんてしてなかったと思うな。オスカーって どんな時もブレないの。見たこと無いわ」
テーブルのカップを片づけているロザリアを手伝いながらアンジェリークは いたずらっぽく笑うと残っていた苺を手に取る。

「さすがのオスカーも今回ばかりは初めての経験だろうしねえ。どっちにしろ あとはオスカーに任せるしかないし、あたしも一視聴者として楽しむわ!ね、ロザリアは誰が良かった?」
「ええ?………だれって…そうねえ…ルヴァ様、かしら。知的で優しそうだわ」
「へえ!ロザリア、真面目そうな人がいいのね。……あたしは…うーん、うーん……」
「半年も前から写真を見てるのに 今さら迷う?」
「えー、だって全員 かっこいいじゃない?」

2人はテーブルを片付けながら年頃の娘らしく楽しそうに はしゃぎだした。



「全員、集まっておられます。直接 向かいますか?」
「ああ。長く待たせるわけにはいかないだろう」
リモージュ・カンパニーの広報を担当するブルーノは社用ヘリで島のヘリポートに降り立ったオスカーに話しかける。
社長の従兄弟であるオスカーはカンパニーの株主でもある。
以前からオスカーとは顔見知りだが、今回のことを彼が引き受けたと聞いて衝撃を受けた。
( ………聖人君子とは云わないが まさか男を相手になさるとは… )
オスカーはカンパニーに立ち寄れば受付に入った時点で社長室まで分かるとまで云われている。
彼が来れば全女子社員が色めき立って姦しく騒ぎ出すのだ。
それほどオスカーは女性に人気があるし、当然 不自由などしていようはずもない。

オスカーも女性との恋愛を楽しんでいるように見えたし、どう斜めに見ても男性を相手にするようには見えなかったからだ。
今回、オスカーがバチェラーの候補に挙がったとき、賛成派と反対派でカンパニーが真っ二つになる大騒ぎだったが、決まってしまえば現金なもので、男性とどう絡んでいくか 皆 楽しみにしているらしい。


今日のオスカーはラフな服装をしていて、ゆるく開いた胸元にはシルバーのネックレスが輝き、その 思いのほか白くなめらかな肌を際だたせている。
ブルーノは迎えに来たリムジンにオスカーを乗せ、自分も乗り込む。
「出して下さい」
「かしこまりました」
黒いスーツを来た運転手は三十代後半の落ち着いた風貌の男性だ。
その彼も バックミラーで こっそりとオスカーを盗み見ている。
それに気づいているのかどうか。
オスカーは穏やかな表情で窓から流れる景色を見ている。

( ……どんな展開になるのか…オスカー様はどう考えてらっしゃるのだろう… )

名前の付けられない胸のもやもやを形にしたように、夕暮れの空は今にも降ってきそうだ。

ブルーノは我知らず、小さくため息をついた。









2020年07月02日

あーでね、こーでね

#85     雑記

こんにちは、水城です。

アリオスとオスカー様について、ちょっと調子付いて語っちゃっていいッスか 😁

アリオスって、もう登場からドツボ。
てかキャラクターのイラスト見た時点でドツボ。
頭の先から爪先までドツボ。ドンシャリ。
でもプレイする前はアリオスと皇帝は結びつかなかったです。
登場シーンプレイしたら、あ、そいことか!と思いましたねえ。
エリスとの設定も違和感なかったし、親兄弟の話もなるほどねえ、だったし。

別宇宙に攻めてくる話は、……まあまあヨシとしようか。
でもわざわざ別宇宙にってなあ。別星系じゃダメなんかな。
別星系でも かなりな距離感ですけどね。
いろいろレヴィアスが まごまごしてる感はありましたが、なんせアリオスがイイ!
成田さんボイスだったこともあるんでしょうねえ。

自分の書くアリオスは、なんせ謎がある!に尽きる!
どの舞台でも何かしら、大なり小なり謎や秘密があるの。
やましい秘密、とか隠しごとかな?とかも良い。

ひみつ…… ふふふ。ステキな響きだ。

まあ、本編アリオスはオスカー様に対しては あまり秘密を持ちませんが、でも聖獣の宇宙でナニしてんだ こいつ、くらいはある。
アリオスも、今日あーでね、こーでね、なんてオスカー様には言わないから ますますナニしてんのかは ハッキリとは分からない。
そこは、オスカー様も敢えて聞かないから想像してるだけと云う感じで。
ここらへんは汝、我に~で書きましたね。
アリオスがちょっとヘマして大変なことに、とかな話を書きたいですねえ。

あいつのことだから心配してないが、とか言いながら気にしてるオスカー様が とても、とても良い( ここ大事 )
優しいよね、オスカー様は。
チャラいとか言われるけれどオスカー様は優しい。
ちゃんとまわりを見て気遣ってくれる。
常にいろんなところにアンテナ張ってると思う。それもさり気な~くね。
どうもそのアンテナは女の子にしか向いてないんじゃない?ってオリヴィエあたりは からかいますが そんなことはナイ。

レクイエムの旅ではオスカー様、大活躍だと思うの。
だからこそレヴィアスはオスカー様に目を付けたと思うし。
こいつが この一団の要だって、こいつを抑えればいいんだって思ったと妄想してます。
妄想だけど、案外 的外れではないと思うんですがねえ。
まあまあヴィクトールくらいかな?あとは。
でもヴィクトールも なかなかオスカー様みたいに細やかな配慮は難しい気がするんですよね。
 
例えば アンジェを気遣って そろそろトイレ休憩いれるか?とか 、この宿は お嬢ちゃんには大丈夫かな?とかお子様組はへばってないかな?とかモンスターの状況や分析、etc.etc.……

そんなオスカー様をアリオスは冷静~に見てるの。
戦闘能力も分析力も、パーティーをまとめられる力も。
金ピカ野郎じゃねえな。こいつだ。って ❤️
最初は いつ寝首をかこうか、いつでも出来るぜ、とか思って傍にいたら いつのまにやら どうにもこうにもブルドック!( 古いッ!)

もうね、オスカー様だもん。オチるって。仕方ないって。
でも、オスカー様に出会えて良かったね、アリオス。うん、うん。良かった良かった。

あ~、こんなこと書くとレクイエム話を書きたくなりますねえ。
オチる前の イガイガしてるアリオスなんて、書いてて たっのしいだろうなあ。

やっぱりアリ×オス、サイコー!最高なの!

でも、アリオス。
もうちょっとオスカー様に連絡しなよね!
あーでね、こーでねも たまには言いなよね!

こんなことを考えながら、くふくふしておりまーす!

おわり!😄









cloudy_garden at 12:54|PermalinkComments(0)雑記 

2020年06月30日

恋って不思議ね❤️

#97   Bubble of life 


こんばんは、水城です。

ワタクシはアリオスとオスカー様との恋愛物語を書いているわけナンデスガ (いまさら💧)
アリオスは年上でありながらオスカー様に頼っている気がするのですよ。
甘えていると云っても過言ではないかと。

なんでかなあ。
レクイエムの時は真っ先に殺してやりたいと思ってたと思うんですよねえ、レヴィアスは。
オスカー様はレヴィアスとは正反対だと思うし。
やることなすこと気に障って、その、自分がすべて正しいと思っている顔を ぐちゃぐちゃにしてやりてえ、って思ってるって。
負かして、床に頭をこすりつけてやりてえ、って。

恋って不思議ね❤️(頭、腐ってる )

そんな二人を書きたいとは思うんですが なかなか。
ぽーん、と勢い付いたり、書かないの?とか言われたら嬉しくて書いちゃいそうですが、如何せん!云われないだろうなあ。
ひーっそりと生息してますし、心優しい方 数人にしか見て頂いてないしなあ。

あ、言って欲しいとかじゃないンスよ!
書く情熱は まだまだ燃えてますし、未だにアリ×オスイラストで きゃっきゃしてますし。

レヴィアスかあ。
うーん、レヴィは皇帝になる前の彼がホントの彼かなあ。
だからオスカー様と一緒の時は、レヴィってこんな感じだったのかあ、とか妄想しながら書いてます。
アリオスは がらっぱちで気まぐれでデリカシーが無くて甘えんぼでヤキモチ焼きでオスカー様が大好きで。

可愛いヤツなんだがな、とオスカー様に言われるアリオスが大好きです!
あ~、アリ×オス、最高!最高だ!

では、Bubble of life の続きをよろしかったらどうぞです。
読んでびっくり、振り出しに戻る 、でした 😁



□ Bubble of life  6 □

《 ねえ、今日オスカーさ、ちょっとおかしくなかった? 》

《 おかしかった!なあんか ぼんやりしてるっていうかさ。バスであんなことがあったから? 》

《 うん。あの銀髪の人が顔見知りっぽかったし 。お医者さんだろうけど 》

《 ヘンな人じゃなければいいけど。大丈夫かなあオスカー。LINE してみる?》

《 う~ん、もう遅いし。明日してみよ? 》

《 だね。じゃ、お休み 》

《 お休み。あ、このスタンプ可愛い! 》




「…ア、リオス…ちょっと離せ」
「何だよ。ここに来て怖じ気づいたか?」

激しく口づけ合ったせいでオスカーの形のいい唇が淡く色づき淫らにぬれている。
ソファでアリオスにのし掛かられ、はだけられた服の間に吸い付いてくる頭を なんとか押しのけると肩に手をやり押し戻す。
微かに不機嫌さを滲ませる表情に、オスカーは むっとする。
「違う。……風呂に入らせろ」
「はあ?風呂ぉ?……女みたいなこと言うのな」

顔を覆う髪を掻きあげると色の違う目が呆れたように見下ろしている。
オスカーは むっとするが言われたことに決まり悪そうに言い訳する。
「…今日は家に帰らず そのまま出たんだ。だから…」
歯切れ悪そうにうつむく顔に、アリオスも くしゃくしゃと銀の髪を掻き混ぜる。

「そういや俺も2日 風呂に入ってねえわ」
いや、3日か?とのんびり云うアリオスにオスカーは思わず氷蒼色の目を剥く。
「お前!ホンットにデリカシー無いな!お前こそ入れ!」
ぽりぽりとアゴを掻いているアリオスに、オスカーは突き飛ばす勢いで押しのける。
「忙しかったんだよ」
「シャワーなんて5分で充分だろうが!言い訳するな!」

アリオスの下から何とか抜け出すと、オスカーは鼻息荒く説教を始めた。
「医者が不潔でどうする!お前、自覚がなさ過ぎだぞ。救急医ならなおさら…」
「今は救急医じゃねえからいいんだよ。来いよ。風呂、入りてえんだろ」
「……………」

はあ、とため息をついて立ち上がる姿に、オスカーは またもや もやもやとした思いがする。
( …救急医じゃない?今は?……くそ、思わせぶりな! )
何でだ?と聞けば教えてくれるだろうが何となくタイミングを逸した気がして聞けない。
アリオスが開いたバスルームのドアの向こうに入ろうとしたとき、ぐい、と腕を引かれて多々良を踏む。
「…ッ、……な、んッ、」
「………さっぱりして来いよ」

甘く触れた唇は すぐ離れていったがまるで恋人のような扱いだ。
オスカーは何か言い返そうとするが、アリオスはあっさりと向こうへ行ってしまった。
「……くそ、何だあれは!」
アリオスの言動のひとつひとつに子供のようにムカつく。
もうこうなったら毒を食らわば皿までの気になって、オスカーは荒々しく服を脱ぎ捨てバスルームのドアを開ける。

「…へえ」
年季の入ったドアを開けると中は想像したより広く新しかった。
黒いタイルの壁、クリーム色のユニットバス。
天井からもシャワーが降り注ぐようだ、とオスカーは上を見上げる。
バスタブには満々と湯が張られ、常に循環しているのだろう。
「……テレビまである。……くそ、」
軍の宿舎には狭いシャワー室しかない。
自分の部屋と比べ、口を尖らせながら銀色のシャワーホースを手に取りコックをまわすと勢いよく熱い湯が飛び出す。

「…ふう」
髪と身体を洗い、ついでだとばかりに湯船に入ると思わず ため息が出た。
壁の時計が目に入り、時刻はもう真夜中を過ぎていた。
デジタルの数字が変わるのを見ながら今朝まで まさかこんな展開になるとは夢にも思ってなかった、と息をつく。
今も自分の判断が信じられない。

( ……けじめをつけたい?あいつを見返してやりたい?……ただ、おれは… )
オスカーは目を瞑り、子供の頃の記憶を思いおこす。

あの時は ただただ驚いてアリオスの成すがままだった。
驚きの中で あまりにも過ぎる快感に気が狂うかと思った。
実際、あのあとアリオスの熱が身体から消えなくて何度 自分を慰めたか。
( 結局、アリオスは身体を繋げることはしなかった )

くそ、挿れてえ。むちゃくちゃ突いてやりてえ。

あの時、アリオスは自制していた。
それもオスカーを悩ませたのだが。

「何で、おれが受け身なんだ!くそ !
うっかり抱かれる自分を想像してしまい、オスカーは勢いよく湯船から立ち上がる。
「有り得ん!」
だが、なら自分が抱く側かと云われれば さすがに男との経験の無いオスカーだ、半ばヤケクソ気味にバスルームを出る。

バスケットにある白いバスタオルを手に取ると あまりの柔らかさに またもや口を尖らせる。
そつのないアリオスの行動にイライラが募り、オスカーは怒りにまかせて帰ってしまおうかと思い始める。
( そもそも、いくら何でも、どう考えても、やっぱり! )
だんだんと自分の行動は理性的では無いと、
衝動的過ぎる、と自己分析したオスカーは服を身につけると濡れた赤い髪を きゅっと後ろに撫でつける。

( アリオスが入っている間に帰ってしまおう )
それがいい、と心の中で手を打つとオスカーは廊下に出た。
微かにテレビの音がする。
アリオスが見ているのだろう。
このまま帰れるか?と常のオスカーならば絶対にしない敵前逃亡にも等しい行動を取ろうとする。

思わず そろそろと歩き出した時、いきなり背後から抱きつかれた、
「…ッ、わ…!」
「てめえ、逃げる気だったろ」
胸にまわされた腕に ぐっと力が入る。
思わず暴れると肩越しに水滴が落ちて その冷たさに声が出る。
「…冷たッ、お前…!」
「もう一つシャワー室があんだよ。この、心配になって来てみれば。逃がすかよ」

壁を背に 腕を組んでオスカーが出てくるのを待っていたアリオスは、ビンゴ、とばかりに飛びついたのだ。
「に、逃げるって、……おい、離せ!」
「イヤだね。おら、行くぞ」
互いに体格差のない二人だ。
完全に背後を取られたオスカーは為すすべもなく引きずられてしまう。
アリオスの ぐっしょりと濡れた髪は時折 雫を垂らし、裸の上半身を滑り落ちていく。

その なかなか引き締まった身体に我知らず ぎくりと身体が強張る。
「どうせヤるのに いちいち服、着ねえだろ。なあ、オスカー」
「は、離せ!」
アリオスは後ろからオスカーのシャツのボタンを器用に外すと あっという間に裸に剥いてしまった。
再びリビングに入ると薄闇の中でオスカーも知っているバンドがテレビの中で歌っていた。

「アリオス、離せ!」
「……何だよ、気が……変わったのかよ」
抵抗する身体をベッドに押し付け、アリオスはどこか虚ろに問いかける。
その表情にオスカーの息が止まる。
「……………」
「気が変わったんなら そう言えよ。俺はレイプ魔か。なあ」
「……………」


どこか哀しみが滲む声に、オスカーは はっとする。
「……もしかして ずっとそう思ってたのか?」
「当たり前だろ。お前、まだガキだったし。恨まれてるって、思うだろ。普通」
「……………」
「お前、すっげえ真面目だったし、ヘンな道に反れてねえか心配してたんだ。軍に入隊したって聞いて安心したけどな」
「…………何故…」

伏せられた眼差しに、オスカーは思わず何故、と問いかける。
その言葉に、アリオスは目線を反らしたまま答える。
「そりゃそうだろ。性格 曲がって家を飛び出したとか聞きゃ寝覚めが」
「そうじゃない!何故?何故なんだ」
「………何がだよ」

問いかけの意味が分からず アリオスは口元を歪める。
「何故、あの時 おれを抱いた?何故 あの時 何も言わずに出て行った?」
「……………」
オスカーの真剣な眼差しに、アリオスは言葉に詰まったように黙り込む。
その戸惑ったような顔を見上げながら、オスカーは痛みをこらえるように言葉を続ける。

「言えよ、気まぐれだったって。意味なんか無いって、たまたま その気になっただけだって言え」
「……おいおい、なんだそりゃ」
たたみかけるように言われてアリオスは困惑するが、傷ついたような眼差しに言葉を探す。
だが、言葉に詰まっている間にオスカーは全身でアリオスを拒絶し始めた。
「……お前には ただの気まぐれで、おれが訴えないか心配だったんだ。無かったことにして、逃げたんだ」
「…おい」
「今も。今度は合意のもとだったと、過去をすり替えたいんだ。今度こそ無かったことにしたいんだ。お前は そうやって」
「おい!オスカー!」
「お前は逃げるんだ」

ぎっ、と睨みつけて言い切ったオスカーは もう言うこともない、と唇を引き結ぶ。
アリオスの身体を押しのけベッドから下りると、オスカーは落ちているシャツを拾って足早に部屋を出て行こうとする。
「…ちょっ、おい、待てよ!」
慌てて引き止めるアリオスにオスカーは振り向きもしない。
その背中に舌打ちするとアリオスはオスカーの腕を掴む。

「待てって。俺の話も聞けよ!……ッ、ぅおッ、」
ぐっと掴んで引き寄せようとした途端、逆に胸ぐらを掴まれ アリオスの身体は床から見事に引っこ抜かれて一回転した。
「……………」
「…う、…く…」
派手な音を立てて床に叩きつけられ、アリオスは無様に転がってしまい起き上がれない。
小さく呻きながら身を起こそうとするアリオスを、オスカーは冷たく一瞥し 部屋を出て行こうとした。
だが荒く苦しげな息を吐く気配に振り向くと、アリオスが床に倒れたまま何かを堪えるように身を二つに折っているのを見て ぎょっとする。

「…ぅ、う…ぁッ、…………く、ッは、ハッ…」
「な、……おい、アリオス、大丈夫か?おい!」
「……ハッ、ハッ……く、ッ、」
「アリオス!」
オスカーはアリオスの身体を抱き上げるとベッドまで運び携帯を取り出す。
「お前、何か持病があったのか?救急車を呼ぶぞ!」
まさか一日に二度も救急車を見るとは、と思いながら携帯を操作するが いきなり伸びてきた手が それを遮る。

「……必要ない」
「アリオス、何を言ってる!普通じゃないだろうが!」
「大丈夫だと言ってるだろ。もう平気だ」
アリオスは そう言って重い身体を起こすようにするが 確かに言葉通り平気そうに見える。
「………最近 忙しかったから過呼吸になっただけだ」
「……よく こんなことがあるのか?」

ふう、と息を吐き出した後、額に手をあてる姿を見下ろしながらオスカーは そう問いかける。
「……や、別に。……まあ職業病みたいなもんだ。手、貸せ」
「…………」
持病だろうが職業病だろうが自分がアリオスを投げ飛ばしたことが無関係とは云えないだろう。
ましてや医者を投げ飛ばすなんて、万が一ケガをして病院業務に影響が出る、なんてことになってしまったら さすがに申し訳ないでは済まないだろう。
「…悪かった。その……考えが足りなかった。大丈夫……ッわ、」
「お前、相変わらず真面目だよな。……いて、暴れんなって」
「…この、人が心配してやれば…離せ!」

ベットから起こそうとしたのに逆に引っ張り込まれ、オスカーはまんまとベットに逆戻りしてしまう。
「暴れんなって。お前、さっき何であんなこと言ったんだ?」
「何でって……ホントのことだろうが。…離せ!」
背後から羽交い締めにされていることと、アリオスの具合を気にして力の限り暴れることが出来ない。
それをいいことにアリオスはオスカーの身体をがっちりと抱え込み肩にあごを乗せている。

「俺が気まぐれ起こしたって?」
「…………違うって言いたいのか?白々しい」
尚も抜け出そうともがいていたが低く問いかける声に 眉間にしわが寄る。
言葉とは裏腹に違うと言って欲しいのだ、自分は。
ほんの少しでも気持ちがあったのだ、と。
ほんの少しでも愛しむ気持ちがあったのだ、と。
だが そんなはずはないのだ。
そんな相反する思いが苦しくて、オスカーは ぐっと唇を固く結ぶ。

「今まで一度も家に戻らなかったのに、今更、……気まぐれだ」
「…………戻らなかったのは認めたくなかったからだ」
「……………」
どこかふてくされたようなアリオスに、オスカーは やはり、とも思い、この野郎、とも思う。
( やっぱり気持ちなんかあるわけがない。………こんな分かりきったことで、おれは今まで……こんな野郎のことで… )
「…なら もういいだろう。お互い二度と会わなけりゃ…」
「認めたくねえだろが。ハイスクールにも行ってないガキに本気でハマったなんてよ」
「………は?」
「ガチでハマって、あの後 女相手に勃たなくなったんだぞ。自分でマスかく虚しさが分かるか?てめえのせいだ!」

いきなり怒鳴られて一瞬 面食らうが アリオスの腕から抜け出し裸の胸に指を突きつける。
「何を……そんなバカなことあるか!ウソをつくな!」
「なんでウソつかなきゃなんねえんだよ!それで俺にメリットがあるか?」
「メリットって……とにかく、仮にそうだったとしても、だ。全然 帰ってこなかったくせに!連絡くらいするのが普通だろうが!
「だから言ったろ。お前に手を出したら俺は捕まるっつうの。したら二度とお前の前に来れないだろうが」
「……お前、何を……」
「お前に会ったらヤりたくなんだろ。今みたいに」

自分とのことは気まぐれで、訴えられたくなかったから今度は同意だと云って過去をうやむやにしたかったのだ。
そこに恋愛感情なんかあるはずはない。
子供だった自分を恋愛対象になんかするはずはないからだ。
なのにアリオスは何と言った?

「……………」
「オスカー。何とか言えよ」
「…………ウソだ。そんな…」
「ウソじゃねえって」
「なら!おれを見て、なぜ半年も黙ってたんだ!それならすぐ…!」
「………いろいろあんだよ。……O2から聞いたぞ。でかい勲章 貰ったんだってな」
「……おれの親と?」
「O 2が陸に上がった時はよく飲んでるからな」
「……………」

オスカーの父親、オルフェーヴル・オーベルシュタットは名前と姓の頭文字を取ってO 2と呼ばれている。
オスカーも母親も名前の頭文字は O なので父親を知る者からはO 2ジュニアとかミセスO2 と呼ばれていた。
その父親からアリオスと会っていたなどと聞いたこともなかったオスカーには混乱しかない。
なのにアリオスは すらすらと語ってみせる。

「自慢してたぞ、あの人。頑張ってんだな、お前。昔から努力家タイプだもんな。あんまり見せないから誤解されやすいんだよ」
「………知った風な口を」
自分の知らないところで いつの間にか親交をあたためていたんだ、と思うと知らずに声が低くなる。
ぶっすりと答えるとアリオスの色の違う目が和む。
「声も低くなりやがって。じいさんの若い頃にそっくりだって聞いたぞ?今もまだ現役だってな?去年、43年下の女と子供が出来たって?すげえな」
確かにオスカーは祖父であるクラウスに その性格も凛々しい容姿も似ていると言われているが、結婚を五回繰り返し子供はこれで八人目、最初の結婚は最短の三日間という逸話の持ち主なので手放しで喜べない。
だが、さっき ひっくり返って うずくまっていたくせに、今は楽しそうに笑っているアリオスの姿を見ていると呆れると同時に内心ほっとしてしまう。

「……お前、おれの身内か。何で知ってる」
「お前のことなら何でも知りたいんだよ。なあ、俺のこと、忘れてなかっただろ?」
「………お前みたいな自分勝手なヤツ、忘れるか」
「それから?」
「医者になるって大口 叩いて、なれてなかったら笑ってやるって」
「それから?」
「どこか小さな町で行き倒れてる可能性大だろって」
「ひでえな。……それから?」
「……それから?………それから……」
「ん?」
勢いにまかせて言ってやったのに、アリオスは不機嫌になるどころか片膝を立て どこか嬉しそうに微笑っている。
その顔に、自分があの頃の子供に戻って行くようで悔しくなる。
だから精一杯 冷たく言ってやろうと思ったのに情けなくもかすれた声しか出なかった。

「…………それから、…二度と顔も見たくないって、思ってた」
「…そうか。……それから?」
「………兄貴みたいだって思ってたのに、勝手に壊して、勝手にいなくなって、文句も言わせなかった」
「言えば?ちゃんと聞くぜ?」
両手を広げて さらりと言うアリオスに、カッとなって怒鳴りつける。
「そんな子供みたいなこと、出来るか!」
「なら、どうすりゃいいんだよ。なあ、怒んなよ」
アリオスは そう言ってベッドの上のオスカーの手を握りしめる。
その手の温かさと強さに心が揺れる。
だが そんな想いを悟られたくなくて ことさら口元を引き締めると、アリオスの方が子供のようにオスカーの顔を覗き込んできた。

「なあ、俺がそんなにイヤか?……オスカー?」
「………お前の言うことなんて大ウソだ」
「ああ?」
「どうせ その場限りで、また明日には知らん顔して消えるんだろ」
「…だから、」
「このままじゃ信じられるか」
ふん、と横を向く顔に、オスカーの真意を感じ取って アリオスは嬉しそうに笑う。
「………信じろよ。……お前が好きだ、オスカー。分かってるくせによ」

アリオスの眼差しが艶めかしく煌めく。
その輝きに引きずられて行くのが分かるが もう止められなかった。
「…そんなこと、初めて聞いた。信じられるか」
それでも最後の抵抗とばかりにベッドから下りようとするが、強く握った手を引き寄せられる。
「好きだ、オスカー。これ言うのに10年かかったぜ」
「……………」
間近で見つめる碧と金色の輝きに胸を突かれて思わず黙って見つめてしまう。
そんなオスカーを伺うように、アリオスの顔が少しずつ戸惑うように近づいてくる。
そんな姿にオスカーの口元が淡くほころぶ。

「お前 バカだろう。そんなこと、10年…ン、…ん……」
「……好きだ。もう……離したくない…オスカー、………離したくない…」
一度 触れてしまえば 引き裂かれまいとするかのように強く抱きしめてくる。

オスカーは息も止まるような口づけに溺れまいとするかのようにアリオスの身体を抱きしめた。



2020年05月10日

一番星、見~つけた!

#96      I  live my life to fine today


こんにちは、水城です!

前回、このお話の更新があけましておめでとう、だなんて見に行ってびっくりしました。

長々と書かせて頂いていた竜話も、一旦の終わりを迎えました。
長かった~、かかった時間が!
もっと さくさく書かないとホント、ダメですよね。
言い訳ですが、やはりスマホではスピードが下がる💧

書きやすいかと思いましたが相方に隠れて書く分にはホントやりにくい。
片手でぽちぽち出来ないのはね。


しかし、竜話。
29話も続けてたら話が合わなかったり、あの人どうなった?ってありますね。
それがアリオスの幼なじみのヤスミン。
もっと出て頂く予定だったのに。
だから次では絡んで頂く!
今回はアリオスが軸についてなってますが次回はオスカー様がメイン。

はい~、これ、まだまだ続けたいですね。
でも まずは他の話を終わらせないと。

気長に読んで下さって誠にありがとうございました!
竜話、ラスト。
よろしかったらどうぞです。


 □  I  live my life to fine today 29 □



「……もう一度言えよ」
少しかすれた声が合わさった唇ごしに聞こえてくる。
これで何度目か。
呆れるくらい何度もねだるアリオスに、オスカーは とうとう吹き出した。

「…ッふ、……お前、いい加減にしろよ。何度 言わせる気だ?」
「さあな。いいから言えよ。………いいだろ、減るもんじゃなし。……………てめえ、笑うな」
「笑わせることを言うからだ。お前こそいい加減にどけ。重いだろうが。……ん、…」
ベッドに上半身をあずけたオスカーに乗り上げ、まるで大型の猫のように寝そべって飽きずに口づけを繰り返す。

今も自分の言った言葉に吹き出して笑うオスカーに、口では文句を言いながらも頬や鼻筋に口づけている。
「…アリオス、…こら…ン、…んッ、」
「調子に乗りやがって。泣かすぞ」
「………待て、って……ッ、ぁぅ……ン…」
すでに何度も繋がった身体は少しの愛撫で簡単に感じてしまう。
それはアリオスも同じだったらしく、オスカーの鼻にかかった声に身体が熱くなり 本格的に のしかかり始める。

鎖骨から耳の付け根へ べろりと舐め上げ、手がオスカーの引き締まった腹から胸へと這いまわる。
手の平から伝わる温かい熱が、文句を言いながらも笑う顔や声が ただ愛しい。
ただそれだけのことがこんなにも かけがえのないものだと思ってしまう。
何度も口づけを繰り返し、アリオスは満足そうに恋人を抱きしめ 小さく息を吐く。


人肌のぬくもりに懐かしい笑顔が蘇る。
エリスのことを愛していた。
だが その記憶以上に罪の意識の方が大きかった。
天寿を全うさせてやれなかった後悔ばかりが大きくて、二人で過ごした日々は記憶の奥に追いやられてしまっていた。



「孤児になったなら、お前がすべてだったんだ。一緒に暮らせるだけで嬉しかったんだぞ、きっと」
「……エリスは よく笑う娘だった。料理が好きで、結構なんでも作ってくれたな」
「お前のために頑張ったんだろう。いじらしいじゃないか」
「最初は すげえの食わされたんだぜ。黒焦げだとか、かったいパンとか。失敗したら へこみながら全部 自分で食って。負けん気が強かった」
「お前を好きになるなら それくらい負けん気が強くないと無理だな」


暖炉の前で酒を飲みながら 何気ない会話の流れで、ぽつりぽつりとエリスとの思い出を語っていた。
こんなに穏やかな気持ちでエリスとのことを思い出せたのは初めてだった。
まるで溜まった澱を洗い流して、小さく輝く思い出のカケラを取り出すように。
柔らかなオスカーの笑顔に背中を押されるように少しずつ楽になっていくのがわかった。


この男に出会えたのは奇跡だと思った。
自分の欲しかったもの すべてを与えてくれたのに、自分は何を返せるだろう。
アリオスはオスカーの引き締まった身体の上で そんな思いをぽつりとこぼす。
「……お前に借りばかり たまってくな。返せるアテがあんのか……分かんねえよ」
「……………」

アリオスはオスカーの胸に顔をうずめながら小さく呟く。
その どこか弱気な声に、オスカーは淡く笑いながら銀色の頭に手をやる。
「そんな貸し借りなんて、たいてい片方しか そう思っていないものだ。借りたとか返したとか、案外 曖昧なんじゃないか?」
「………そんなもんか?」
「そんなもんだ。少なくとも おれは貸した気になっていない。だから気にするな」
「………ふうん…、そんなもんか…」

何気なさを装いながらアリオスは  じわじわと湧き上がる感情に情けなくも泣きそうになる。
だが間違っても そんな姿を見せるものかと口元を引き締めるが、頭上で微笑っている気配を感じてムッとしてしまう。
「……………てめえ、笑ってるだろ」
「ん?悪いか?」
「……笑うな」
「でかい図体して、案外 気にしいなんだ…ッ、と……おい、……重い!」

笑うなと言ったのに小さく吹き出した顔が ムカついて、どし、っと音がする勢いでオスカーの身体に乗り上げる。
当然 重いだの痛いだの どけだの言われるが、暴れる身体を跨いで いやらしく腰を動かすと氷蒼色の瞳が戸惑うような色に染まる。
「…なめるなよ。お前をソノ気にさせるのなんて ちょろいぜ」
「はあ?つけあがるなよ?これくらいで。……重い、って言って………ッ、ン…」

無駄口など聞きたくない、と言わんばかりに口を塞ぐと文句を言っていた唇は むしろ攻めるように舌を絡めてくる。
思わず笑みを形作るアリオスの唇に、オスカーは かぷりと歯を立てる。
「…痛てえな。……泣かされたいか」
「どっちがだ?さっきまでメソメソしてたくせに。イキがって、……く、ッ……ン、ぁあ…ッ、」

最高の恋人は本当に思い通りにならない。
この腕の中に つかまえたと思ったとたんに 憎らしくて、素直じゃなくて、意地が悪くなる。
だが それでも恋人だ。
二度と自分を置いていかない。
いつまでも自分の隣に立って こうやって普通の幸せをくれるのだ。

両手の指を絡ませ強く握りながら深く口づけ、頬に、目元に唇を這わせる。
反らされた喉や鎖骨のくぼみ、鍛えられた肩から腕のラインも 彫刻のように美しい。
だが淡く尖る粒に強く吸い付くと敏感な身体は艶めかしく反り返り、自分に その身を捧げるかのようだ。

「…お前、綺麗だ」
思わずそう言うと目の前で思いきり顔がしかめられた。
「なんだ。それは」
「そう思ったから言っただけだろ。…竜になった時も…すげえ綺麗だった」
「……………返答に困ることを言うな」

口が悪いくせに たまにこんなことを言うアリオスに 戸惑いつつも悪い気はしない。
言われなれた言葉でも この男の口から出たら なかなかに嬉しいものだった。

銀色の頭を引き寄せると貪り食われるように唇を合わせてくる。
その熱情を受け入れ、返す行為に溺れていく。
唇を離すと不満だと云わんばかりに少し怒ったような顔がある。
なだめるように額や鼻先、首筋に唇を押しあて鍛えられた胸板に吸い付き痕を付ける。
頭の上でアリオスの小さく堪えるような声が聞こえ、オスカーは淡く笑うと胸の粒を舌でねぶり始める。
びくりと震え、一瞬 オスカーの肩を押し戻そうとした腕は すぐに続きをうながすように赤い髪を撫でた。

「…ッ、……お前、今……ヤらしい顔してんだろ?」
「……さあ、どうだろうな。………これくらいで勃たせて……イきたいか…?」
女性の手のように やわらかくも優しくもない手つきだったが、オスカーの手はアリオスの熱を持ったモノを淫らな動きで しごき始める。
「……ン、ん……ッぁ………それ、もっと、……しろよ…」
「……………気持ち、イイか?」
裏筋を親指で押すようになぞり、先端から滲み出るもので濡れた果実を やわやわと転がす。
その、少し強い刺激が苦痛とも快感とも云えず アリオスはきつく目をつぶる。

それを見たオスカーは 自分の昂り始めたモノと一緒に両手で こすり始める。
「……ン、ぁ……イイ……すげ、イイ……濡れ、て……堪ん、ね……」
「……………ぁ、あ……ッ、は……ァ、……」
アリオスはオスカーの身体を ぎゅっと抱きしめると引き締まった双丘に手をまわし、両手で乱暴に割り広げる。
そして まだ柔らかい場所へ ぐぷりと指を二本 ねじ込んだ。
その刺激に オスカーの手の動きが一瞬 止まったが、負けるかとでも云うようにさらに激しく動き出す。

「……ンぁ、オスカー……もっと、………もっと してくれ……すげえイイ……イイ……くそ、…」
「………ッ、…んァ……は、ァ……」
荒く愉悦の息を吐くアリオスにオスカーの身体も熱く猛り出す。
だが、さらに手の動きを早めようとした時、首筋に歯を立てられ ぶるりと身体が震え 力が入らない。

濡れた舌が味見するように這うと同時に、身体から気が抜けていくのがわかった。
「……ぁ、あ……ッ、アリオ……ン、ぁあッ……」
身体をなぞる手の動きに気を取られた瞬間、ふわりと身体が浮いたと思った時には怒張したモノに貫かれていた。

激しく突き上げられてアリオスの思うがままに嬲られる。
揺さぶられ、息をすることもままならないのに 突かれるたびに身震いするほどの快感に意識が飛びそうになる。
「……ぅ、くッ……ぁ……あ……ッ…!」
「……………すげ、……キツ…い、くせに………すげえ…イイ…」
一度ずるりと抜け出た後、あっさりとうつ伏せにされ 抗う隙も与えられずに背後から攻められる。
アリオスを再び受け入れた場所は、硬くそそり立つモノを奥へと誘うようだった。

「……ッあ、あァ、ッ……ン、んッ、……ア、リオ…ス…」
「……………オスカー、俺のだ……俺だけの………絶対、離さねえ……オスカー……」
その言葉通りに両手でオスカーの腰を掴むと覆い被さるように腰を突き入れる。
ごりごりと音がしそうなほどの突き上げは オスカーの中の一点を突き破る勢いで攻め立てる。
オスカーの引き締まった腹に付きそうなくらいに そそり立つモノに指が絡みつき激しく しごかれる。
「……は、……あぅ、ッあ、あ…ン、…ぃ、い……アリオ…ァ、」
何とか耐えていたオスカーだったが、あまりの荒々しさと過ぎる快感に 己の身体を支えていられなくなる。

がくがくと揺さぶられる中、アリオスが一際 激しく突き上げ、オスカーの背中から肩越しに唇を這わす。
「……ぁ、……アリオ……アリ、オス…もう、く…ッ、ァ…!」
「…ン、…ッ…」
アリオスの手の中で達して しなやかに反り返る背中が震え出すと 熱杭がぎゅっと締め付けられる。
頭の中が弾け飛ぶような快感の中で、アリオスも堪えていたモノをオスカーの中に一気に注ぎ込む。

「…ッは、はッ…、ァ…熱、い……」
「……………愛してる、オスカー…俺の……オスカー…」
アリオスの気がオスカーの中に流れ込むと それだけで身体の隅々まで満たされるようだ。
オスカーは自らアリオスから抜け出すと、蕩けるように自分を見下ろす顔に口づける。
「……ン、ん……オ、スカー…ァ、」
「……………んン、……は、ァ、…」
濡れた音を立てて舌を絡ませ、ゆっくりと唇を離すと透明な糸が ふつりと切れる。
オスカーはアリオスの身体に乗り上げると 勃ち上がっているモノに自分を沈めていく。
「……ふ、ッぅ………まだ、……ァ、……イけるだろ?」
「…………来いよ、オスカー」

互いの指を絡めながら金色に光るオスカーの瞳を見つめ、にやりと笑うと自分の上にある身体が激しく動き出す。
アリオスは幸せな息を吐きながら、恋人の指を握りしめた。




「アリオス、いつまで ここにいるつもりだ?」

シャワーを浴びた後、アリオスの入れたコーヒーを飲みながらオスカーは我慢出来ずに問いただす。
アリオスの性格が分かっていたから、おそらく自分から問いたださなければ いつまでもこのままにするだろうと思ったからだ。
案の定、アリオスは ぶっすりとした顔でコーヒーをすすり、黙り込んだ。

「……お前は。その性格、直せ」
「うるせえな。俺だっていろいろ考えてんだよ」
「何を?」
「……………」
またもや黙り込んだ横顔に呆れたが、オスカーは辛抱強く黙っていた。
「………戻ったら一族は お前を放っとかねえ。今まで通り 気楽ではいられないだろ。だから、……」
「……………」

竜の一族の中で人間であった自分の意味や、存在価値は まだまだ分からないことばかりだ。
例え前例の無いほど竜に近くなったとしても、やはり自分は人間なのだ。
その記憶や想いはアリオスと生きていく障害にしかならない。
すべてを断ち切り、捨て去ることが自分の覚悟だと思っていた。

「人間であったことは消せないが、過去のすべてを断ち切って生きる覚悟はしているつもりだ」
そう きっぱりと言い切ったのに、アリオスは怪訝そうな顔をしてカップをテーブルに置く。
「なんでだ?」
「…何が」
「なんで過去を断ち切るとか固っ苦しい話になるんだ?」
「…それは…」
アリオスの問いかけに反論しようとしたが とっさに答えが出てこない。

言葉に詰まるオスカーを どう思ったものか。
アリオスは首の後ろを手でさすりながら分かんねえなあ、と呟く。
「分かんねえなあ。過去のお前があるから今があんだろ?別に俺は お前を縛り付ける為に傍にいたいんじゃないぜ?お前はお前のやりたいことを やりゃあいいだけだ。文句 言うヤツはぶっ飛ばして、好きなとこに行けばいい。俺は付いてくけどな」
むしろ その方がいい、と笑う恋人に、オスカーは肩の力が すとんと抜けるのが分かる。

そういえば、アリオスは一族から離れて この島で自由気ままに生きていたのだ。

「………お前は、……」
「それに、ヘタにあいつらの名を出すと飛んでくるからイヤなんだよ」
「あいつら?……ルキウスか?まったく、ルキウスの苦労が分かる…」
「…ッ、バカ野郎!呼ぶな!来たら面倒だろうが!」
「面倒とはなんだ、面倒とは」
「…ルキウス!」

低く唸るような声に振り返ると、不機嫌そうに眉間にシワを寄せたルキウスが立っていた。
「お前は一度じっくり教育し直した方がいいな。アリオス」
「……………」
組んでいた腕をほどきながら そう言うと、ただ一人の甥を じろりと睨みつけた。
「自分達の事を心配しているとは思わんのか。この愚か者め」
静かに怒りを向けているルキウスに、アリオスは口を尖らせていたがオスカーは恋人と同じようにはいられなかった。

「すまない、ルキウス。レディ・アデーレにも心配させてしまった」
「お前が無事で良かった。こうして顔を見るまでは……心配したぞ。大丈夫か?」
「…ルキウス」
リモージュ国で自分を心配する者などは せいぜい家族かジョルジュくらいしかいなかった。
どんなことにも立ち向かえる力があったし、むしろ心配するのは自分の役目であったからだ。
こんな風な目を向けられると何とも複雑だが、相手がルキウスとなると何故か素直に頼ってしまいそうになる。

「…気が付いたことがあれば すぐに言え。……安定しているからと云って油断するな、オスカー」
「……んッ、……」
ルキウスは口元に淡く笑みを浮かべながら オスカーの赤い髪に手を伸ばす。
優しく包み込むように頬を撫ぜ、親指がゆっくりと唇をなぞるとオスカーの背が ぞくりと震えた。
「…気は安定してるな」
「………叔父貴!気安く触るなよ!オスカー、お前も簡単に触らせるな!」

足を踏み鳴らさんばかりに牙を向くアリオスに、ルキウスはどこか余裕の笑みを見せる。
「常に変化には気をつけねばな。お前だけに任せておけまい」
「偉そうに。俺がちゃんと、四六時中 一緒にいるからいいんだよ」

ふん、と横を向くアリオスに、ルキウスは改まった口調で話しかける。
「いい加減、戻って務めを果たせ。オスカーも一族と同等の扱いとなるからには お前がサポートするんだ」
「務め?……それは?」

ルキウスの言葉にアリオスは渋い顔をしている。
「我が一族はラグナス国と共にある。歴代の王と共に彼の国を守って来たのだ」
ルキウスの言葉に、オスカーは やはり、と内心思った。
表立って特別な軍隊を持たないラグナス国が大国の脅威から自国を守ってきたのはルキウス達、竜族の存在があったからなのだ。
「……何で こいつもなんだ?」
「ああまで完璧に変化してみせては一族の目を逃れることは出来ん。それでなくともオスカーは我らを引きつける。下手に隠しては逆に興味を煽って、その方が危険だ」

正直、人に好意を持たれることには慣れていたが、アリオスの恋人である以上 面倒なことになるとわかっているのなら避けて通りたい
だが竜としてアリオスの隣で生きてゆくと決めたのなら竜族の一員として覚悟しなくてはならないだろう。
「…おれを一族と認めるのか?」
「その為には国王に会わせねばならんがな。その手筈は済んでいる。あとは お前次第だ」

自分を人間め、と蔑んでいたルキウスは もういない。
対等に扱ってくれていることが嬉しかった。
「ありがとう、ルキウス」
「お前が ここまでとは思わなかった。国王には せいぜい売り込んでおいたからな。会うのを楽しみにしていたぞ?」
「だから、気安く触るなよ!叔父貴が一番 油断ならねえぞ!」

さりげなくオスカーの肩に手を置き、頭を撫でようとしていた手をアリオスはねじ上げようとするが するりと抜け出てしまう。
怜悧な表情を意地悪そうに歪ませた顔は どことなく愉しむように見える。
「価値あるものを欲するのは自然なことだ。自分がオスカーに見合うかどうか。油断していれば奪われても仕方あるまい」
「…堂々と言うなよ。……こいつに ふさわしくあれ、って云うんだろ?そんなの今更だ。誰にも負けるかってんだよ」
「ほほぉ。今まで この島に引っ込んで何ひとつ私の言うことを聞かずに ぐうたらしておったくせに、よく言った」
「最初は こいつを見下してたくせに価値だなんだと よく言うぜ」
「……二人とも、いい加減にしたらどうだ?」

黙っていたら延々と続きそうな舌戦に、さすがのオスカーも耐えられずに口を挟む。
「とりあえず、……戻らなければならないんだな」
「そうだ。まずは私の屋敷に帰るぞ。そのうち私が納得出来れば屋敷を構えてアリオスと住めばいい」
「な、ん、で、叔父貴の許可がいるんだよ」
ぶっすりと呟くアリオスを無視して、ルキウスは部屋を出て行く。
「帰るぞ、アリオス。アデーレも、ユリウスも待っている」

「…分かったよ」
「……………」
角突き合わせているように見えても やはり二人は肉親同士だ。
あっさりと そう言って、あっさりと頷き返す。

「どうせオスカーが戻れば皆に紹介せねばならん。説明するより早い。変化出来るな?オスカー」
「変化、って……竜になれと?」
ルキウスが現れると話が どんどん先に進んでしまい、アリオスとは真逆な展開に戸惑ってしまう。
「お前が竜の姿で戻れば皆 鈴なりで見に集まるだろうな」
見ものだ、と笑うルキウスだが アリオスとオスカーは互いの顔を見合わせる。

「…お前を見世物扱いさせたくないっつうのに。……すまない。確かに叔父貴の言う通り、最初に見せた方が後々 面倒がねえのは確かなんだ」
言葉通り 悔しげにうつむく横顔に、オスカーは観念したように息を吐く。
「まあ、いい。見たいなら見ればいい。ご期待に添えるかはわからないがな」
「お前は綺麗だったぜ、竜になってもよ」

そう言って手を繋いでくるアリオスに、オスカーは小さく肩をすくめる。
「竜の美醜なんて分からないからな。自分で見れる訳じゃなし」
「後で見せてやるよ」
「見せる?」
オスカーの問いかけには答えず、アリオスは家の外へと向かう。
そのまま海岸に出ると、そこには一匹の竜が待っていた。

「………ルキウス、なのか?」
黄昏時の金色の光の中でも硬質な、黒く鋼色の身体と青みをおびた金色の眼。
長い尾とたたんだ翼は流れるような優雅さがあり、海原を背にしたシルエットは幻想的ですらある。
オスカーが見たアリオスの姿は銀色であったから、彼らの姿は それぞれ個性があるらしかった。

「行くぞ。さほどの距離でもない。リモージュまで飛べたなら散歩レベルだな」
竜の姿から人の言葉が聞こえてくる。
ゆっくりと広げた羽根は羽ばたく鳥のようではなく無骨なものであったが、夕陽の中で気高く優美にすら見える。
「…不思議な光景だな。この目で見なければ信じられない」
ほう、とため息をつくオスカーに、アリオスは小さく舌打ちすると赤い頭を引き寄せて荒々しく唇を重ねる。

「…ッ、…お…い、アリオス!」
「ふぬけた顔してやがるからだ。俺 以外でそんな顔すんな」
「ふぬけ…おれのどこが!」
思いっきりしてるじゃねえか、と不機嫌そうに吐き捨てると アリオスはオスカーから離れて息を吸い込む。
「………ア、リオス……」

オスカーを真っ直ぐ見つめる眼差しが すがめられると銀色の髪が風に煽られたように ふわりと舞い上がる。
長い髪にアリオスの表情が隠れた時、身体の線が ゆらゆらと揺らぎ始め 人の輪郭が溶けて行く。
そして徐々に その姿が大きくなりルキウスよりは一回りほど小さかったが銀色の竜の姿が現れた。 
「…本当に、凄いな」
「鍛えれば まだ大きくなれるものを。怠けるからこうなる」

アリオスの姿を見上げるオスカーに、ルキウスは その長い尾を見せつけるように伸ばす。
確かにルキウスの姿はアリオスと比べると全体的に雄々しく、完成された感があるのは否めない。
アリオスは ずらりと並んだ歯を剥き出すと、その牙をルキウスへと向ける。
「ふん、本気を出せば すぐだ。………行くぞ、オスカー」
「………………ああ」


アリオスに導かれる先には何が待っているのだろうか。
そして 自分は何をすればいいのだろう。
今までの自分を捨ててしまわなければ、と思っていた。
だが 捨てられるわけがなかった。
人間であった自分。竜となることを受け入れた自分。
共に己だと顔を上げて前に進んでいきたい。

( ……愛しい家族、大切な友。………敬愛する陛下。…………そして… )

目の前には二匹の竜が自分を見下ろしていた。
その金色の眼は沈みゆく夕陽と同じ、優しい光に包まれている。

オスカーはその眼差しを見つめながら、身の内に流れる力に意識を集める。
初めて変化した時は無意識だったが その感覚を思い出すように、集まった力を一気に外へと解放する。
「…ほお、……なかなかだな」

自分の身体が一度バターのように溶けて もう一度 作り直されたかのように。
己を構築する細胞の ひとつひとつまでもが新たに生まれ変わる感覚。
ゆっくりと視界が高くなり、目線はアリオス達と変わらなくなる。

「大丈夫か、オスカー。辛くねえか?」
「……ああ。大丈夫だ。………アリオス?」
アリオスは その竜の頭をオスカーの額に合わせると見えるか?と聞いてくる。
何が?と思った時には黄昏色の波打ち際に二匹の竜の姿が見えた。
「…おれと、ルキウス?……」

頭の中の姿は、やはり黒い鋼色のルキウスには及ばない姿の自分だった。
どこか未完成な銀色の姿はアリオスの言うような綺麗さなどあるのか疑問に思える。
「…お前より小さいじゃないか」
「叔父貴も言ったろ?鍛えればすぐだし、お前は まだ自分で気を集めていないから仕方がないんだ」
「アリオスの言う通りだ。大きさなど問題にならんくらい、お前は魅力的だ。……帰ったら騒がしくなるぞ」


ルキウスは そう言って長い尾をオスカーの身体に巻きつけようとするが、アリオスが威嚇するように牙をむく。
「だから、馴れ馴れしく触んな!」
「これぐらいで余裕を無くしてどうする。心が狭いな」
「うるせえ、早く行けよ!」

があッと唸るアリオスに、ルキウスは やれやれと呟くと その身を一旦 沈めて一気に空の高みを目指して駆け上がって行った。
あっという間に見えなくなる姿にアリオスは盛大に鼻息を吹くとオスカーに向き直る。

「海から見えない高さまで一気に上がるからな。俺に付いて来い」

波の音と、青灰色に暮れてゆく空に一番星が煌めき始めるのが目に入る。
きっと この光景は一生 忘れられないだろうな と思いながら、オスカーは海風を胸いっぱいに吸い込んだ。

「ああ。行こう、アリオス」



そして誰もいなくなった島に、降るような星の光と月光が射し込み、小さな虫の声と波の音だけが いつまでも響いていた。







2020年03月30日

闘いだ!

#95
こんにちは、水城です💧

とうとう とんでもない状況に。
人様の命に軽い重いはありませんが何と云うことか!
まさか、まさか志村けんさんが!
まだまだ頑張っていける方が亡くなるなんて!
エイプリルフールであって欲しいとすら思います……

実は知らなくて、11時頃 聞いてびっくり!
まさか そんな深刻にはならないだろうとタカをくくってたら とんでもないことになる。
震えあがります……

京都にいるトモダチの息子さんの大学でもコロナが出たらしく休学だそうな。
甘く見て判断 遅れたら どえらいことになる、ですね。

皆様、本気で気をつけましょう!
死にたくない!死にたくないよ!大事な人達も死なせたくない!
気をつけましょう!闘いだ!

アンジェリークトモダチの方がロシア、モスクワに行ってらして、帰れなくなったと言ってらっしゃいました。
それで、ウチのサイトが見れなくて こんな状況だし心配して下さったみたいで。
そしたら、ロシアで閲覧規制があって、livedoor は見れなくなってるみたい!
ふらっと連絡入れたから良かったものの。

ロシア、怖え…!

もう、怖いことばかり。
マスクも無いし、どうしろっちゅうねん!

でも、頑張るしかないですね。
頑張りましょう!





cloudy_garden at 18:23|PermalinkComments(0)雑記