★Raven - 鴉 -
2014年03月16日
色気が無い男なんて!
#188
昨日は仕事だったのですが、H子ちゃんと どこに男の色気を感じるかで盛り上がってしまいました(^w^)
H子ちゃんは運転する横顔だそうで。
あっしは結構 いろいろありますが 男の人が背広を翻して袖を通す姿がキます。
もちろん 背が高くて ちょっと細身な…って考えたらレノに~ちゃんしか浮かばなくって。
ザックスも いいけど、背広姿なら やっぱりレノ、かなぁ。
ゆんさんの熱いメッセージを読ませて頂いたら がががっとキテしまいまして…てへ(-^〇^-)
あっしはカラス、好きです。
でも 昔 か~ちゃんが ゴミ置き場に群がっていたカラスをホウキで
蹴散らしたら 次の日 頭に うんちょ爆弾を投下されたんですよ!
見事に頭に!奴らすげぇって思いました。
月は東に~の途中なので、すぐには無理ですが、いつかレノ視点での話も
書きたいなぁ。
今回は頑張ってクラウド視点風にしたつもりなんですが…
上手く出来てるかな…どきどき…
では よろしかったら Raven - 鴉 - を どうぞ。
拍手 頂きまして ありがとうございます。
月は東に~の後は虹の道に 参りますo(^-^)o
□ Raven - 鴉 - □
その人の姿を見た時、そこだけ空気が違うような気がした。
以前 話した時と まるで雰囲気が違っていて、孤独とも違う、孤高、とでも
云うような…
そんな空気を纏っていたから 思わず立ち尽くして見つめてしまった。
そんな おれに気づいて こっちを見た その人の瞳は驚くほど冷たかったのに、
一瞬で柔らかく笑っているから どうしていいか わからなくなる。
「よぉ、チョコボくん、お勤め ご苦労さんだぞっと」
人工灯の蒼白い光の下で タークスのレノは黒の車に寄りかかりながら煙草を
ふかしていた。
顔が写るのじゃないかと思うほど磨き上げられた黒い車体はレノの白いシャツに
包まれた上半身を際立たせるように そこにある。
「……ご苦労さ、まです、サー」
地下駐車場の警備に ついていたクラウドは定時パトロールの為、2フロアを
巡回していた。
一瞬 侵入者かと思い、身体を強張らせたが そこにいたのは以前 訓練場で会った
赤毛のタークスだった。
今 彼は一人で、先日 一緒にいた同僚のタークスは傍には いないらしい。
クラウドはレノに突き刺さるような視線を向けられたことで心臓が跳ね上がったが
何とか挨拶を返す。
それは少し掠れて喉に絡んだものだったので 咳払いをすると見透かされたように
目の前の赤毛の男が笑う。
「…パトロールか?怪しいヤツは いなかったかなっと、警備兵くん?」
動けず 銃を肩にかけて突っ立っているクラウドに向かって レノは こちらに来いと
ばかりに ちょいちょいと手招きしている。
「相棒が来るまで暇なんだぞっと。話し相手になってくれよっと」
「……………はぁ、了解しました」
自分の身体が ぎくしゃくしながら歩いているのを自覚するが、どうしようも
なくて顔に熱が集まる。
「…ぷっ、くくっ、…何 緊張してんだっと。もうちょっと こっち来いって。
ほんっとに面白いヤツだなっと」
「……は、すみません…」
レノが来いと言うから 慌てて近寄ると思わず近くに寄りすぎて レノが目を
丸くするから クラウドはパニクってしまう。
「わっ、す、すみません!ち、近す…ぎ…っ!」
「ははっ!ホントに面白いな、お前!いいじゃん、仲良くしようぜっと」
慌てて離れて行こうとするクラウドの手をレノの腕が伸びてきて、ぐいと
引き寄せられる。
「ええッ?な、仲、よく…って…サー!」
楽しそうにクラウドを自分の膝に跨がらせると至近距離に色の薄い瞳と鮮やかな
赤い刺青が目に飛び込んでくる。
「ん?俺と仲良くなってくれないのかなっと?冷たいなぁ、チョコボくんはっと」
クラウドはレノの肩と胸に手をかけて思いきり突っぱるが、自分を拘束する腕は
びくともしないばかりか、目の前の男は からかうように言いながら余裕で煙草を
吸っている。
「……サ、サー!じょっ冗談、は や、止めてくだ…うく…けほっ!」
目の前で紫煙を吐き出されて 苦しげに噎せ込んでしまうクラウドに、熱くて
長い指が跳ねる金髪と頬を 労るように撫でてくる。
「…おっと、悪い。大丈夫かっと。煙かったか?」
暫く 咳き込んでいたクラウドは目尻に浮かぶ涙を拭きながら顔を上げる。
「…っは、す、すみま、せん。大丈夫…ック!」
優しい、としか言い様のない仕種と眼差しで目尻の涙を拭われて、びっくりした
クラウドの口から しゃっくりが飛び出す。
「…ひっく!っく!わ、お、おれ…っく!す、すみま、ひっく せんッ!」
「…ぶっ、く…あはははっ!おっ、お前、ホントに…はははっ…ハマるなぁ…
やっぱダメだ、参った…」
自分の膝を叩きながら大笑いしているレノの膝から慌てて下りると 恥ずかしい
気持ちから だんだん むっとしてきてしまった。
「……そ、そんなに笑わなくても…ちょっと びっくりしただけ、です」
静かな駐車場に、暫く楽しそうな笑い声が響いていたが、やっと笑いを
おさめるとレノが 煙草を携帯灰皿に押し込みながら 思いもかけない事を
聞いてくる。
「クラウドは チョコ、好きかなっと」
「……は、ちょこ…?…あ、チョコレート、ですか?…はぁ、好き、ですけど」
一瞬 何を聞かれたのか解らず、青い瞳を真ん丸く見開いて見つめてくる顔に、
またレノが吹き出しながら車から身体を離す。
「…なら、よかった。い~いモンがあるんだぞっと」
レノが運転席に向かう為に クラウドに背を向けた時、それがクラウドの目に
飛び込んで来た。
「……サー!せ、背中!血が…っ!怪我、してらっしゃいます!」
「…ん?あぁ…これかっと」
レノは首を捻って後ろを見るが、その背中には斜めに赤黒くなった大きな血の跡が
いくつもあった。
「これは、あれだ。……ま、返り血ってヤツだから俺のじゃ無いんだぞっと」
「…………返り、血…」
それは 恐らく、モンスターなどでは無く、人の血なのだろう。
未だ人に向けて引き金を引いた事の無いクラウドは 思わず ごくりと喉を鳴らす。
少し 青ざめてしまったクラウドの白い顔に 困ったような顔を向けながらレノの
長い指が クラウドの頬に伸ばされる。
だが、びくりと震えた肩に小さく ため息が漏れて、それは ゆっくりと引っ込め
られてしまった。
「……悪い、びっくりしたか?」
今度は からかうように笑いながら車の天井に置いてあった黒いジャケットを
羽織って レノは その背を隠してしまった。
(………わ、なんか…かっこいい…)
クラウドに背を向けながら黒いジャケットを羽織る様子は まるで 鴉が羽根を
広げているようにクラウドには見えた。
そのままレノは運転席に回って 中で何かを探していたが、紙袋を持って戻って
来た。
「やるよっと。結構 有名なチョコらしいから、美味いんじゃないかっと。…
…ん?どうしたのかなっと」
「………あ、カ、カラス…って! し、失礼しましたっ!…な、何でも…
無いです…」
「は?カラス?何処に?」
思わず 周りを見渡すレノに クラウドは慌てて言い訳をする。
「あ、違うんです!……今 サーがジャケット羽織った姿が…なんか そう見えて…
すみません…」
「…はあ?カラス?俺が?」
さすがに そんな言葉が返って来るとは思わなかったらしく、レノの声は
裏返っていたが すぐに、今度はクラウドが びっくりする事を言い出す。
「…クラウドは、カラス、嫌いかっと」
一般的に鴉には 良いイメージは無い。
レノは それを思ってクラウドに問いかけたのだろう。
クラウドは自分の考え無しな発言に慌てて答える。
「お、おれ、カラス、嫌いじゃ無いです!そりゃ一般的に ズル賢いとか、
スズメとか小さい鳥を苛めるとか、ゴミを漁るとか言われてますけど、
あいつらホントに頭良いし、賢そうな目をしてるし、真っ黒でかっこいいし、
なんか他の鳥とは別格そうな、特別な感じがするし…嫌いじゃ無いです!」
顔を真っ赤にして一気に捲し立てるクラウドに、一瞬 ぽかんと口を開けていた
レノは、初めてクラウドを見たような目をして手を伸ばして来る。
「………お前…」
「レノ。持って来たぞ」
クラウドが慌てて声のした方を見ると黒い車の向こうからサングラスをかけた
長身のタークスが歩いて来た。
「……ああ、悪かったなっと、ルード」
「ほら、早く飲め」
ルードからレノに手渡された小さな瓶は クラウドの見間違いで無ければ
毒消しだった。
少し はだけた喉元をさらしながら、レノが瓶の中身を ぐっと飲み干すと
その喉が上下に動いて、クラウドは思わず魅入られたように それを
見つめていた。
(…ど、毒消しって…だから あんなに手が熱かったんだ…)
「…はぁ、やっと楽になったなっと。ありがとよ、相棒」
「なら、行くぞ。……もう いいのか?」
ルードと呼ばれたタークスが ちらりとクラウドを見ると レノはのんびりと
答える。
「乗りこなすにゃ時間が かかりそうだしなっと。ま、チョコボ相手なら それも
醍醐味なんだぞっと」
「……行くぞ。時間が無い」
ぽかんとしているクラウドの顔に レノは かがむように覗き込む。
「クラウド、またなっと。チョコ、旨いから食えよっと」
「…!あ、ありがとう、ございます、サー」
「レ、ノだぞっと」
え?と驚くクラウドに レノは優しく笑いながら もう一度言う。
「俺様の名前だ。サーなんかじゃなくて、次は ちゃんと名前で呼んでくれよっと」
「…レノ、早く乗れ」
はいはいっと言いながら助手席のドアに手をかけて 今度は もっと仲良くなろうぜ、
とクラウドに笑いかける。
「…ふ、えぇ?サ、サー?」
「レ、ノ。覚えてくれよっと、クラウド」
じゃあな、と言いながらレノの身体が車に納まると本当に急いでいたらしい、車は
急発進して あっという間に見えなくなった。
後には まだ驚きから抜け出せないでいるクラウドと 淡く煙草の香りが残っていた。
昨日は仕事だったのですが、H子ちゃんと どこに男の色気を感じるかで盛り上がってしまいました(^w^)
H子ちゃんは運転する横顔だそうで。
あっしは結構 いろいろありますが 男の人が背広を翻して袖を通す姿がキます。
もちろん 背が高くて ちょっと細身な…って考えたらレノに~ちゃんしか浮かばなくって。
ザックスも いいけど、背広姿なら やっぱりレノ、かなぁ。
ゆんさんの熱いメッセージを読ませて頂いたら がががっとキテしまいまして…てへ(-^〇^-)
あっしはカラス、好きです。
でも 昔 か~ちゃんが ゴミ置き場に群がっていたカラスをホウキで
蹴散らしたら 次の日 頭に うんちょ爆弾を投下されたんですよ!
見事に頭に!奴らすげぇって思いました。
月は東に~の途中なので、すぐには無理ですが、いつかレノ視点での話も
書きたいなぁ。
今回は頑張ってクラウド視点風にしたつもりなんですが…
上手く出来てるかな…どきどき…
では よろしかったら Raven - 鴉 - を どうぞ。
拍手 頂きまして ありがとうございます。
月は東に~の後は虹の道に 参りますo(^-^)o
□ Raven - 鴉 - □
その人の姿を見た時、そこだけ空気が違うような気がした。
以前 話した時と まるで雰囲気が違っていて、孤独とも違う、孤高、とでも
云うような…
そんな空気を纏っていたから 思わず立ち尽くして見つめてしまった。
そんな おれに気づいて こっちを見た その人の瞳は驚くほど冷たかったのに、
一瞬で柔らかく笑っているから どうしていいか わからなくなる。
「よぉ、チョコボくん、お勤め ご苦労さんだぞっと」
人工灯の蒼白い光の下で タークスのレノは黒の車に寄りかかりながら煙草を
ふかしていた。
顔が写るのじゃないかと思うほど磨き上げられた黒い車体はレノの白いシャツに
包まれた上半身を際立たせるように そこにある。
「……ご苦労さ、まです、サー」
地下駐車場の警備に ついていたクラウドは定時パトロールの為、2フロアを
巡回していた。
一瞬 侵入者かと思い、身体を強張らせたが そこにいたのは以前 訓練場で会った
赤毛のタークスだった。
今 彼は一人で、先日 一緒にいた同僚のタークスは傍には いないらしい。
クラウドはレノに突き刺さるような視線を向けられたことで心臓が跳ね上がったが
何とか挨拶を返す。
それは少し掠れて喉に絡んだものだったので 咳払いをすると見透かされたように
目の前の赤毛の男が笑う。
「…パトロールか?怪しいヤツは いなかったかなっと、警備兵くん?」
動けず 銃を肩にかけて突っ立っているクラウドに向かって レノは こちらに来いと
ばかりに ちょいちょいと手招きしている。
「相棒が来るまで暇なんだぞっと。話し相手になってくれよっと」
「……………はぁ、了解しました」
自分の身体が ぎくしゃくしながら歩いているのを自覚するが、どうしようも
なくて顔に熱が集まる。
「…ぷっ、くくっ、…何 緊張してんだっと。もうちょっと こっち来いって。
ほんっとに面白いヤツだなっと」
「……は、すみません…」
レノが来いと言うから 慌てて近寄ると思わず近くに寄りすぎて レノが目を
丸くするから クラウドはパニクってしまう。
「わっ、す、すみません!ち、近す…ぎ…っ!」
「ははっ!ホントに面白いな、お前!いいじゃん、仲良くしようぜっと」
慌てて離れて行こうとするクラウドの手をレノの腕が伸びてきて、ぐいと
引き寄せられる。
「ええッ?な、仲、よく…って…サー!」
楽しそうにクラウドを自分の膝に跨がらせると至近距離に色の薄い瞳と鮮やかな
赤い刺青が目に飛び込んでくる。
「ん?俺と仲良くなってくれないのかなっと?冷たいなぁ、チョコボくんはっと」
クラウドはレノの肩と胸に手をかけて思いきり突っぱるが、自分を拘束する腕は
びくともしないばかりか、目の前の男は からかうように言いながら余裕で煙草を
吸っている。
「……サ、サー!じょっ冗談、は や、止めてくだ…うく…けほっ!」
目の前で紫煙を吐き出されて 苦しげに噎せ込んでしまうクラウドに、熱くて
長い指が跳ねる金髪と頬を 労るように撫でてくる。
「…おっと、悪い。大丈夫かっと。煙かったか?」
暫く 咳き込んでいたクラウドは目尻に浮かぶ涙を拭きながら顔を上げる。
「…っは、す、すみま、せん。大丈夫…ック!」
優しい、としか言い様のない仕種と眼差しで目尻の涙を拭われて、びっくりした
クラウドの口から しゃっくりが飛び出す。
「…ひっく!っく!わ、お、おれ…っく!す、すみま、ひっく せんッ!」
「…ぶっ、く…あはははっ!おっ、お前、ホントに…はははっ…ハマるなぁ…
やっぱダメだ、参った…」
自分の膝を叩きながら大笑いしているレノの膝から慌てて下りると 恥ずかしい
気持ちから だんだん むっとしてきてしまった。
「……そ、そんなに笑わなくても…ちょっと びっくりしただけ、です」
静かな駐車場に、暫く楽しそうな笑い声が響いていたが、やっと笑いを
おさめるとレノが 煙草を携帯灰皿に押し込みながら 思いもかけない事を
聞いてくる。
「クラウドは チョコ、好きかなっと」
「……は、ちょこ…?…あ、チョコレート、ですか?…はぁ、好き、ですけど」
一瞬 何を聞かれたのか解らず、青い瞳を真ん丸く見開いて見つめてくる顔に、
またレノが吹き出しながら車から身体を離す。
「…なら、よかった。い~いモンがあるんだぞっと」
レノが運転席に向かう為に クラウドに背を向けた時、それがクラウドの目に
飛び込んで来た。
「……サー!せ、背中!血が…っ!怪我、してらっしゃいます!」
「…ん?あぁ…これかっと」
レノは首を捻って後ろを見るが、その背中には斜めに赤黒くなった大きな血の跡が
いくつもあった。
「これは、あれだ。……ま、返り血ってヤツだから俺のじゃ無いんだぞっと」
「…………返り、血…」
それは 恐らく、モンスターなどでは無く、人の血なのだろう。
未だ人に向けて引き金を引いた事の無いクラウドは 思わず ごくりと喉を鳴らす。
少し 青ざめてしまったクラウドの白い顔に 困ったような顔を向けながらレノの
長い指が クラウドの頬に伸ばされる。
だが、びくりと震えた肩に小さく ため息が漏れて、それは ゆっくりと引っ込め
られてしまった。
「……悪い、びっくりしたか?」
今度は からかうように笑いながら車の天井に置いてあった黒いジャケットを
羽織って レノは その背を隠してしまった。
(………わ、なんか…かっこいい…)
クラウドに背を向けながら黒いジャケットを羽織る様子は まるで 鴉が羽根を
広げているようにクラウドには見えた。
そのままレノは運転席に回って 中で何かを探していたが、紙袋を持って戻って
来た。
「やるよっと。結構 有名なチョコらしいから、美味いんじゃないかっと。…
…ん?どうしたのかなっと」
「………あ、カ、カラス…って! し、失礼しましたっ!…な、何でも…
無いです…」
「は?カラス?何処に?」
思わず 周りを見渡すレノに クラウドは慌てて言い訳をする。
「あ、違うんです!……今 サーがジャケット羽織った姿が…なんか そう見えて…
すみません…」
「…はあ?カラス?俺が?」
さすがに そんな言葉が返って来るとは思わなかったらしく、レノの声は
裏返っていたが すぐに、今度はクラウドが びっくりする事を言い出す。
「…クラウドは、カラス、嫌いかっと」
一般的に鴉には 良いイメージは無い。
レノは それを思ってクラウドに問いかけたのだろう。
クラウドは自分の考え無しな発言に慌てて答える。
「お、おれ、カラス、嫌いじゃ無いです!そりゃ一般的に ズル賢いとか、
スズメとか小さい鳥を苛めるとか、ゴミを漁るとか言われてますけど、
あいつらホントに頭良いし、賢そうな目をしてるし、真っ黒でかっこいいし、
なんか他の鳥とは別格そうな、特別な感じがするし…嫌いじゃ無いです!」
顔を真っ赤にして一気に捲し立てるクラウドに、一瞬 ぽかんと口を開けていた
レノは、初めてクラウドを見たような目をして手を伸ばして来る。
「………お前…」
「レノ。持って来たぞ」
クラウドが慌てて声のした方を見ると黒い車の向こうからサングラスをかけた
長身のタークスが歩いて来た。
「……ああ、悪かったなっと、ルード」
「ほら、早く飲め」
ルードからレノに手渡された小さな瓶は クラウドの見間違いで無ければ
毒消しだった。
少し はだけた喉元をさらしながら、レノが瓶の中身を ぐっと飲み干すと
その喉が上下に動いて、クラウドは思わず魅入られたように それを
見つめていた。
(…ど、毒消しって…だから あんなに手が熱かったんだ…)
「…はぁ、やっと楽になったなっと。ありがとよ、相棒」
「なら、行くぞ。……もう いいのか?」
ルードと呼ばれたタークスが ちらりとクラウドを見ると レノはのんびりと
答える。
「乗りこなすにゃ時間が かかりそうだしなっと。ま、チョコボ相手なら それも
醍醐味なんだぞっと」
「……行くぞ。時間が無い」
ぽかんとしているクラウドの顔に レノは かがむように覗き込む。
「クラウド、またなっと。チョコ、旨いから食えよっと」
「…!あ、ありがとう、ございます、サー」
「レ、ノだぞっと」
え?と驚くクラウドに レノは優しく笑いながら もう一度言う。
「俺様の名前だ。サーなんかじゃなくて、次は ちゃんと名前で呼んでくれよっと」
「…レノ、早く乗れ」
はいはいっと言いながら助手席のドアに手をかけて 今度は もっと仲良くなろうぜ、
とクラウドに笑いかける。
「…ふ、えぇ?サ、サー?」
「レ、ノ。覚えてくれよっと、クラウド」
じゃあな、と言いながらレノの身体が車に納まると本当に急いでいたらしい、車は
急発進して あっという間に見えなくなった。
後には まだ驚きから抜け出せないでいるクラウドと 淡く煙草の香りが残っていた。
cloudy_garden at 13:41|Permalink│Comments(0)