★11月の7日間

2016年12月11日

バイバイ、ザックスo(^-^)o

#585 Z×C 11月の7日間


こんにちは、水城です。

やっぱり12月も10日を過ぎると ぐっと冬らしくなりますねえ。
今朝、屋根に雪がうっすら積もった車が走ってました。

は~年末かあ…

振り返ればなんだかかなり長くなってしまった11月の7日間。
大筋は変わりませんでしたが、ぼちぼちと削ったり付け加えたりもして、本当に楽しく
書かせて頂きました。
でもこれ、一気に書かなかったら一年近くかかったかもですね。
忘れられちゃうわ!

では、よろしかったら11月の7日間。ラストでございます。
じゃ、しばらくバイバイ、ザックス(^_^)




□ 11月の7日間 13 □



「クラウド、寒くないか?大丈夫?」

ベッドの上で白い肌を晒したクラウドは どこか寒そうに見えて、ザックスは不安そうに
顔を曇らせる。
一緒に暮らしている間、常にクラウドの体調を気づかっていたから どうやらそのクセが
抜けないらしい。
部屋は確かに暖かいとは云えないが寒さに震えるほどではない。
ましてや同じように服を脱いでベッドで肌をかさねているのなら、触れた場所から伝わる
熱で寒さなど感じる筈がない。

思えばザックスは いつもそうだった。
寒くないか暑くはないか。
体調は?頭痛は?欲しいものは?行きたいところは?
実の親だって こうまで献身的ではないのじゃないかと思うくらいザックスは尽くして
くれた。

ほんの数時間前までは考えもしなかったが、自分がどれだけザックスに頼りきりだったか
今は はっきりとわかる。
与えられることに疑問を持たず、ただ彼に甘えていた。
そんな自分をザックスは嫌がりもせず愛してくれていた。

「…大丈夫。寒くなんかない。…ザックス、あったかいから」
「ホントに?クラウド」
うれしそうに そう言って抱きしめてくるザックスの身体は本当に熱い。

肌が触れ合う感触が こんなにも気持ちいいとは思わなかった。
たとえようもなく安心出来て このままずっとベッドから出たくないくらいだった。
「……ホントに、あったかい…このまま寝たいくらいだ…」
「えッ、やだ!寝るなよ?ウソだろ?なあ、クラウド!」
クラウドの言葉に慌てたザックスは跳ね起きると可哀想なくらい おろおろとする。

「寝ちゃいそうか?起きてられない?クラウド?」
「…大丈夫。すごく…気持ちいいだけ、だから…」
「俺とこうしてるの気持ちいい?ホントに?」

嬉しそうに そう言って顔中に口づけてくるザックスに、クラウドは一瞬 息が止まる。
「……ッ、あ…」
「…………ごめん…」
口づけながらクラウドの身体の上に乗り上げたザックスの背に腕をまわそうとすると、
彼の身体の中心が熱く硬くなっていることに気づく。
思わずザックスを見つめてしまうと少し困ったような、でも妙に艶めいた顔が薄闇の中に
あった。

いつも太陽のようにクラウドを照らし、くるくると表情が変わる彼からは想像もつかない
あだめいた目差し。
その表情が また変わる。餓えた雄の顔に。

「…クラウド。キスして、いい?」
「……ザッ…ん、…」
クラウドの返事を待たずに重ねられた唇は あっという間にクラウドを引きずり込む。
押さえつけるように絡まる指に ぐっと力が入ったと思った途端、息が止まるかと思うほど
ザックスの舌が入って来る。
「……ッ、んぅ…」

クラウドの中にはザックスと愛し合った記憶はない。
ザックスの吐息の熱さも、焦げるような目差しも。
自分を愛しいと、欲しいと語る口づけも。
何もかもが初めてで、どんな反応を返せばいいのか分からずに戸惑い怯えるしかなくて、
無意識に身体が強張ってしまう。

「…緊張してる?」
「………ぁ、…」
少しだけ浮いた唇の上で、ザックスが囁くように問いかける。
薄闇の中で魔晄の青が妖しく煌めいていて、呼吸すらも上手く出来なくなってしまう。
なのにザックスからは余裕すら感じられて、今 自分は恥ずかしいのか悔しいのか、よく
分からなくなる。
そんなクラウドの心の内を読んでいるのか。
ザックスはクラウドを宥めるように頬やまぶたに唇を落とす。

「俺も緊張してる。すっげえ好きなコとの初めてだから、心臓バクバクだし」
「……ふ、…バクバク?…ザックスが?」
「どうせ、でかい図体してって言いたいんだろ?」
ちょっと唇を尖らせながら、怖くないよ、と云うように頭を撫でててくれるザックスが
本当に好きだと、この人を嫌いになれる人がいるんだろうかと思った。

「…ザックスが、好きだよ…おれ……おれも欲しい…おれのモノにしたい…ザックスを…
…んぅ…ン…!」
かぶりつくように重ねられた唇に、クラウドは置いていかれまいと自らも舌を絡ませる。
ザックスの唇は すりよるようにクラウドの頬をなぞり 白い形のいい耳に歯を立て、
しゃぶるように舌を這わす。
「…ンッ、ぅん…ああ…や、…」
くにくにとザックスの指がクラウドの胸の粒を摘まみ、左右に揺らすたびに白い身体が
びくびくと震える。
「…クラウド、お前 すごく甘い…」
「……はぅ…ッ…やッ、ザッ…クス…んッ…あぁッ…」
指と舌で弄られ不思議なくらい感じてしまうのはザックスが巧みなのか、自分がおかしい
からなのか。
ザックスと同じようにクラウドの中心で熱を持ち、勃ち上がる昂りが彼への想いの証だ。

ザックスの黒髪が性急に下へ下へと動き、彼の行動の意味を悟るが いきなり咥えられるとは
思わなかった。
「…ッや、…待っ…!ッはぁ…あッ、そん…な、…舐め…あッ、あ…ッ…!」
「………クラウド、…クラウドも…舐めて、くれる?」
「……な、に…ん、ふッ、ぅ…ン…」

アメを舐めるように濡れた舌がクラウドの昂りを愛撫して、それだけでも頭の芯が熱く
どろどろに とろけてしまうのに、ザックスの長い指がクラウドの口に差し込まれ、舌の
上でくすぐるようにうごめく。
互いの舐め合う濡れた音が堪らなく淫らに感じられて、クラウドは はち切れそうな己を
自覚するが、ザックスがそれを許さなかった。
「…ッ!ザック…スぅ…なんで……ッ、あうッ!…や…ぁッ…!」
とどめるように握られ、息を飲むクラウドの口からザックスの指が引き抜かれる。
怨ずるようなクラウドの声は小さな すぼまりを擦るように撫でてくるザックスの指に
驚きに変わる。
自分の唾液にまみれた指を塗りつけるような動きに戸惑う間もなく、くぷりと指が埋まり
身体が震えてしまう。

「……クラウドの ここ…柔らかいよな…すぐ、ほぐれて……わかる?二本、入ってん
だけど」
ザックスがクラウドからこぼれ出るモノを塗りつけながら指を押し入れるから、ぐちぐちと
濡れた音が聞こえ出す。

「…ッく、う…や、あ…あッ…」
「……は…ごめん、クラウド…次は、ちゃんと…我慢するから…」
「…ぁ…、やッ、それ…イヤだ…イヤ……ちょっ…ザック、ス…!待っ…はぅ…ぃッ…」

クラウドの足を抱え上げると 己の昂りを何度も何度も擦り付けていたが、甘えた声に
堪らなくなって一気に突き入れる。
ザックスは その狭さと締め付けに、クラウドは圧迫感と熱で息も出来ない。

互いに苦しげに息を吐き出していたが、ザックスが動き出した。
もうこれ以上入らないと思っていたのに、更に深く抉られてクラウドの身体が大きく
のけ反る。
「……クラウドッ、…大丈夫?痛く、ない…?」
「…ッ、は……やッ、あぁッ!」
答える間もなく激しい抽挿が始まり、ごりッと強く突かれて、クラウドの身体が跳ね上がる。
それを見下ろしながら、ザックスはクラウドの白い足を抱え これでもかと腰を打ち付ける。

「…クラウド、クラウ…ド…ッ!」

「……く、ぅッ…んぁ…あ…」
クラウドの奥深くへ叩きつけながら荒い息のまま激しく口づけ、固く抱きしめ合い一緒に
高みへと駆け昇る。
ザックスは ようやく自分の腕に戻って来た大事な身体を離すまいと腕に力を込める。

ゆっくりと落ち着いてくるクラウドの息に、たとえようもなく安心する。
「…大丈夫か?クラウド」
「………うん、…すごく…眠い、…」
「…寝ていいよ…クラウド、愛してる。今度こそ…ずっと一緒だ。な?クラウド…」
「……うん…ザックス…」
「俺の、クラウド。もう、どこにも…ずっと、ずっと…一緒に、いよう…クラウド…な?」

静かな、静か過ぎる部屋の中で、ザックスの声に答えは返って来なかった。




「ザックス。官舎の改修、聞いたか?どうすんの。彼女んとこか?」
「や。カンセルんとこに行く」
「へえ?付き合ってるコ、いねえの?俺は彼女んとこ~」
「独り身だって分かってんのにオニか!てめえはよ~」

顔見知りのソルジャーに蹴りを入れると、ザックスは本社ビルから外に出る。
「…イイ天気だなあ…」
眩しそうに魔晄の眼を細めると、ザックスは駅に向かって歩き出す。

(…クラウド、空から見てるか?…俺、お前がいなくても頑張ってるよ。だからさ、
ご褒美にせめて夢にくらい出てきてよ…)
ザックスがクラウドと暮らしていた部屋を引き払い、ソルジャー官舎で独り 暮らし
始めてもうすぐ一年になる。
今は空を見上げてクラウドに話しかけるのがクセになってしまったことに苦笑いしながら
駅の構内に入るとカンセルが待っていた。

「よ。ヨロシク」
「おお」
軽く手を上げ手を叩き合うと、カンセルが アクビをしながら話すから聞き取り辛い。
「………おまへ、いふ 建つんあっけ?」
「あ?…あ~来年すぐ。ま、ギリギリまで官舎にいるけど」
「クラウドがいないのに独り部屋にいたって虚しいもんな~」
「そうゆうコト。クラウドが戻るの春だしな~…あ~長いわ。まだ半年先かあ」

両手でゴシゴシと顔を擦りながらザックスは大きな身体でボヤキ始める。
「まさか宇宙に行っちゃうとはなあ…英雄には恩があるからって言われた日にゃさあ…
逆らえるかよ。あの人 究極のKYだわ。ありえねえ」
「ミッドガル一の遠距離恋愛だよな。しかしすげえよな。記憶力 買われてロケットで
宇宙にかあ。連絡三ヶ月ごとだって?」
「そ、しかも録画されてんだぜ?テレビえっちしようとしたら むさくさ怒られた」
「すんな!アホか!…お前、クラウドに愛想つかされてんじゃねえの?」

駅の長い階段を降りながら、カンセルは意地悪そうに笑う。
ザックスは それに鼻で笑うとナイナイと手を左右に振る。

「ナイナイ。ぜってえナイ。約束、してるからな」
「約束だぁ?」

半笑いのカンセルに、ザックスは嬉しそうに笑いながら そ、と頷く。

「そ。何回 離れたって、何回でも また一緒になるって言ってくれたもんね」
「………それって、別れ話の暗喩…わあッ!蹴るなよ!」
「てめえが不吉なこと言うからだろが!カノジョいないからってひがむな!」
「なにおう!」

駅の構内に騒がしくも楽しい声が響いていたが、それは雑踏にまぎれていった。










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2016年12月04日

わッ!終わらなかった!

#583 Z×C 11月の7日間


こんにちは、水城です!


ぎょえ~ッ!

終わらなかった!
寄り道したからじゃないって言われそうですが、最初から行こうと思ってたカンセルとの
絡みだったので切れない!
まだ削ったくらいなのに…

少し延長すれば終われるかしらと思ったですがムリだった…
正直、こんな風にひとつの お話をずっと書き続けるって今までやったことなかったので
色々とジレンマもあり、楽しくもありな経験でした。
このあと、どっちのスタイルで行くかとか、小難しいことは何にも考えていない水城ですが
(考えた方がいいのかな……)結局 自分のやりたい、というか その時の思いに左右されて
しまいますので、皆様方にはご不満だったり、もしかしたら いいんじゃね ?って思って
頂けたりしながら やらせて頂きますので、今後とも なにとぞよろしくお願い致します。

ま~ボイラーが壊れて お湯が出なくなったり水道が壊れて水が出なくなったり。
いろいろ あじゃぱな事だらけの週でした。
とにかく11月~を終わらせて、次を少しでも早く書きたいと思っております。

年末ですけどね(>_<)
どうなることやら……とりあえず風邪はひかんでおこう、と。

では、11月の7日間。
次はガチでラストです。いちゃこらして頂きます~(^O^)




□ 11月の7日間 12 □


「クラウド、カンセルが来たぞ」
「よ、クラウド、調子はどうだ?」
「いらっしゃい、カンセル。ぼちぼちだよ」

調子はどうだと聞かれたら こう言えと教えてからクラウドは素直に教えた通りに返してくる。
それを聞くたび笑ってしまうカンセルだった。

「そりゃ良かった。外は寒いぞ。もう11月だもんなあ。また太ったか?メル」
寒いと言いつつカンセルは長袖のシャツ一枚だ。
リビングに入ると真っ先に猫に飛び付き抱き上げる。
「最近 気をつけてるから大丈夫。寒いから大きく見えるだけだ」
「そうか?う~この腹の匂いが堪らん!」
茶トラの猫のお腹は真っ白で、カンセルは そのお腹に顔をダイブさせ ぐりぐりしている。

どうしてもミッションで不在にするときクラウドが寂しくないように、と猫を買おうと言った
ザックスに、ショップの猫ではなく保護された野良猫を飼いたいとクラウドは言った。
収容されたケージの隅で二匹 固まって震えていた彼らが この部屋に来て もう半年経つ。

「おら、遊んでないで手伝えカンセル。お前が一番 食うんだから」
「いいだろ。一人だと食っても味気ないんだよ」
「なら、働け。おら!」
カンセルの足を蹴りながらザックスは両手に持った料理をクラウドに手渡す。
クラウドは それを受け取りテーブルに置きながら笑っている。

「みんなで食べるのは楽しいよね。おれ覚えてないけど…あんまり大勢でってなかった
ような気がするから」
「……そっか。そうだな…じゃ食うか」
「うん」
嬉しそうに笑うクラウドに、ザックスとカンセルも顔を見合わせて笑った。




「………クラウドさ、どうなの?」

ソファベッドで眠るクラウドを見ながら、ザックスとカンセルはグラスをあけている。
「そうだな。ま、ぼちぼち、かな」

クラウドと再会し退院したあと、ソルジャー官舎を出て この部屋で住み始めたのが4月。
セフィロスに頼み込んで長期のミッションを入れないようにして貰い、少しでもクラウドの
傍にいられるようにした。
そのかいあって、最初はぎこちなかったクラウドもザックスに心を開いてくれて、ふたりの
仲は恋人同士のタマゴくらいには進展した。

「しかし頭って不思議だよな。丈夫なんだか繊細なんだか。……やっぱ戻んないか?」
「そうだなあ。戻りそうもない感じではあるかな。精神年令も今15~6かな。ま、これは
少しずつ治ってきてるけどな」
「そっか。………ならさ、お前ら まだえっち出来てないわけ?イクと頭に良くないとか?」
「……なんちゅうことをさらっと。…まあ、医者は大丈夫だろって言ってるけど…やっぱな。
…ま、焦ることもないし」

ソルジャーであるだけでなくザックスはかなりモテていて夜を共にする相手に不自由
したことはなかった。
ミッションの昂りを吐き出す為に一夜の相手と、なんてザラだった。
そんな男が相手を思いやって大人しく お座りだなんて笑うを通り越して感心する。

「そこまでヤりたいわけじゃないって?もう父親レベルじゃん。すげえわ」
くくッと喉奥で笑いながらグラスをあけるカンセルに、ザックスは怒るどころか澄まして
答える。
「もう、清らか清らかって言いたいけどな。中身は情けないこと考えてんだよ」
はは、と笑いながら手を伸ばし、ソファで眠るクラウドの金色の頭を撫でる。
クラウドの頭の上で一緒に丸くなっていた二匹の猫は迷惑そうに顔を上げたが また
すぐ丸くなってしまった。

「…ま、こんなもんだ。ちょっと変わってるかもしれないけどさ。皆なにかしら持ってる
もんだろ」
「……まあな」
自分のことを すべて忘れた相手に、ザックスは嘆くよりもまた 一から始めることを
望んだ。
毎日が ただ穏やかで、クラウドがいてくれるだけでザックスは幸せだった。

「寝かせてくるわ」
「おお、俺 もう行くわ。またな、ザックス」
「ああ。…………ありがとな、カンセル」
あの日、カンセルが自分を連れださなかったらクラウドに会えないままだったかも
しれない。
「よせやい、気持ち悪い。ちくしょ、俺にも良い子 紹介しろ」
「上手く行くかまでは面倒みないぞ」
「冷てえなあ。面倒見ろよ」

ぼやくカンセルを笑いながら見送り、リビングに戻るとクラウドは そのまま眠っていた。
「クラウド。ベッドで寝るぞ」
「………ん…」
いつもなら声をかけても目を醒まさないクラウドが ぼんやりとだが目を開けたことに
驚きながら抱き上げる。
「起きちゃったか?ベッドに行くぞ」
「…………カンセル、は…?」
「帰ったよ。クラウド、喉渇いてないか?水飲むか?」
「…飲みたい…」

いつもなら一度 寝てしまえば起きないクラウドが自分の言葉に返事までしている。
その事にザックスは淡い期待をするのを止められなかった。
(……ちょっとずつ、治ってはきてるんだよな。もしかしたら思い出して、くる…?)

キッチンからコップに入った水を持って寝室に入るとサイドテーブルに置き、ベッドに
横たわるクラウドの髪を撫でる。
すると青い瞳がザックスを見上げた。
「……すごいな、クラウド。いつもは寝たら起きないのに。大丈夫か?頭痛は?」
「…大丈夫。…ザックス、水が欲しい…」
「…………」
見下ろすクラウドの表情は さっきまでの どこか幼い雰囲気が失せて、薄闇の中で
艶をまとい、ザックスは思わず ごくりと喉を鳴らす。

コップの水を煽ると思いの外 冷たくて、大丈夫だろうかと心配する自分の過保護さに
苦笑いする。
金色の頭を持ち上げ、口うつしで飲ませるとクラウドの喉が鳴るのが堪らなく煽られる。
「…もっと、飲みたい…ザックス…」

クラウドの望むまま もう一度 注ぎ込むと、白い腕がザックスの首に絡み引き寄せる。
「……ん、んン…、ザッ…あ…」
「…クラウド、クラウド…」
再会したあと クラウドに口づける時は壊れ物を扱うように優しくしていた。
額や頬や、髪にするように触れるだけの接触だけでもザックスは満足していた。

していたはずなのに、今 深く潜り込ませる舌や触れ合う唇から洩れる熱い吐息に身体が
燃え上がるかのように興奮することに、自分の飢えの深さを思い知らされる。
あの日 最後に抱いた彼とは また違う彼が腕の中にいる。
その不思議な感覚に飲み込まれまいと、ザックスは奥歯を噛みしめ、内なる焔をなんとか
やり過ごそうとする。

「…クラウド、ごめんな。重いだろ。どくから…ちょっ…クラウド?」
首に絡みつく腕が思ったより強い力で抵抗するからザックスは驚くと同時に心臓が駆け
出してしまう。
「…どした?クラウド」
「………ザックス、行かないで欲しい…傍に、いてくれ…」
「……クラウド…?…お前、何か、思い出して…来たんじゃ…」
思わず言葉が口から出てしまったザックスをクラウドの澄んだ青い瞳が見上げる。
「ザックスは…おれじゃダメなのか?記憶の無い…おれじゃ…」
「……クラウド、お前…」

ザックスを真っ直ぐ見つめる目差しに さっきまでの幼さは微塵もない。
年相応の口調と 強く、だが哀しみに揺れる青い色に、ザックスは戸惑いを隠せない。
だが、その真剣な目差しから目を反らすことも出来ないまま あの短かった日々を思い出す。

「……お前は お前だ。どんな風に変わっても…何べんだって…好きになる……だから…
……ごめんな…」
「…何が?」
くしゃりと歪み俯く頭に、クラウドは不思議そうに問いかける。
「何で…謝るんだ…?」
「………お前の中が真っ白になって…お前にだって人生を選択する権利が…あるだろ。
なのに、お前の生きる道は こっちだって、強引に…引きずりこんで……ちゃんと判断、
できないのに……それが怖い…記憶のない お前に…俺は…最低なんじゃないかって…
すごく…怖い…いつか お前に…そう言われるんじゃ、ないかって…」
「……………」

大きな身体から聞こえる か細い声に、クラウドは何も言わず静かに見上げている。
しばらく薄闇の中は しんと静まりかえって、この世界に二人だけのように感じる。

クラウドが 口を開いた時、俯いていたザックスの黒い頭が ゆっくりと持ち上がる。

「……だから、記憶が戻ってくれれば…俺のクラウドが戻ってくれればって、思ってはいた」
「……………」
「…クラウドは自由だ。どんな未来も選べる」
「…ザックス、おれは…」

ザックスの言葉にクラウドが開いた唇を、大きな、温かい指が優しく塞ぐ。
「……ッ、…」
「…最低だけど、お前を離せない…離したくない。…お前に好きになって貰えるように…俺
努力する。だから…傍にいてくれ。俺を…一人にしないでくれ」

縋るようなザックスの顔に、クラウドの泣き笑いに歪む瞳から一筋 涙がこぼれる。

「……大きな身体して…泣くなよ。……ホントに、おれがいないと…ダメなんだからな…」
「…クラウ…ド…!」

クラウドの腕に引き寄せられるまま、ザックスはクラウドを強く抱きしめた。









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2016年11月27日

ツル!ツル!

#582 Z×C 11月の7日間


こんばんは、水城です。

この土曜日は、黒黒のちなせ姐さんと大阪でお会いしてました(^O^)

大阪インテックスでマンウィズのライブがあって(今年三回目!)行くことを
お話ししたらインテまで 案内して下さったんですよ。

良いお天気にも恵まれて、むさくさ楽しかったんですが、帰ったらやっぱり
いろいろブチかましすぎたかな、とか言い方 だいじょぶだったかな、とか
不安になっちゃいますね。
ちなせさんは明るくてパワフルな姐さんで、器もでかそうだったし大丈夫かな。


いろいろ詳しい お話は次回に。

で、マンウィズのライブで飛び跳ねたからか、夜行バスのせいか。
足が疲れて朝からツルツル!
今もちょっと足を組み替えただけで ビキってなるから辛いです。
つりやすい足なのか…

夜行バスの中でもちまちま書いてた11月の7日間。

次回がラストでございます。
もうちょっと オツキアイ頂ければありがたいです。

しかし、短かったですが、すごく濃い一日でした。
ほほ~と目から鱗っつうか勉強になることの連続で、ホントに楽しかったです。
また近々 ちなせさんとは熱く語り合いたいものです。

でもスタバで隣にいた パソコン叩いてたニイちゃんは うちらの会話聞いてて
きっと耳がダンボだったんじゃないかな~と(^_-)

腐の話は あなたの知らない世界。きっと食卓にのぼったでしょうって、のぼるか!


では、11月の7日間。
よろしかったらどうぞです。




□ 11月の7日間 11 □


「マギー、明日のサンズ隊のメディカルチェックは何時からだったか?」
「10時からです、先生」
「そうか。……やれやれ、腹 減ったなあ。週末 娘の誕生日でなあ…何がいいかな」
ロペスは椅子の上で大きく伸びをしながらマギーに話しかける。
「え~?娘さん、おいくつでしたっけ?」
「15になる」
「じゃあ現金でいいんじゃ」
「マジか!」
「そんなものです。いらないもの父親から貰っても嬉しくないですもん」

現実的なマギーの言葉に、ロペスは椅子から ずり落ちる。
「あイタ!寂しいなあ…ちっさい頃はパパの お嫁さんになる~なんて言ってたんだぞ」
「リップサービスです」
「ひでえ!」

あははは、と和やかな笑い声が診察室に響いた時、黒い獣のような男が飛び込んできた。

「先生!クラウドは何処だ!」
「わッ!ザッ、ザックス?な、何を…いきなり…ク、クラウド?」

クラウドが亡くなったとザックスと話した後、ロペスは意識してザックスとは会わない
ようにしていた。
ソルジャーのメディカルチェックも敢えて他の医師に任せていたので、ザックスの顔を
見るのは久しぶりだ。

相変わらず黒いソルジャーの服、魔晄の瞳。
だが目は血走り、吐く息は肉食獣のように荒い。
ロペスでさえ驚いて固まってしまったのだから、ナースのマギーは部屋の隅に避難して
怯えている。

「何処だ!」
「…な、何を…だだから、ク、クラウドは、死んだと…」
焦って どもってしまうロペスに、ザックスはのし掛かるように迫ってくる。
「ウソだ!さっき見たぞ!」
「……な、…み、見た…」

ザックスの言葉に、ロペスの目は思わずザックスの背後に向けられる。
はっとしてザックスが振り返ると、そこにはカレンダーがあった。

「…やっぱり…今日は何の日だったんだ!頼む、教えてくれ!クラウドは生きてるんだろ?
死んでなんかいないんだろ?」
「……………ザックス…」
あの日と変わらないザックスの姿に、ロペスは深い ため息をつく。

「…お前、なんでそこまで……」
「先生!生きてるんだろ?教えてくれ!あいつは今 何処にいるんだ!」
「…………お前には負けたよ…確かにクラウドは生きてるよ。このセンターに入院してる」
「……………」

ロペスの言葉に、ザックスは声が出ない。
大きな身体から力が抜けて ぐらついてしまう。
「大丈夫か、ザックス」
「…………クラウド、は何処に…」
喘ぐように それだけ言うのが精一杯なザックスを、だがロペスは気の毒そうに見つめる。

「……今日は三番街のリハビリセンターに行ったはずだ」
「リハビリ、センター…」
「今日、初めて ここから外出したのに、よくまあ見つけたな。お前の執念には負けるよ…
その後で買い物に行くと言ってたから…日常生活への復帰の為にな」

クラウドが生きている、と聞いて身体中の力が抜ける思いのザックスは、ロペスの言葉に
また困惑する。
「……日常生活…いったい、クラウドは…」

歓喜から また不安に曇るザックスの青い眼に、ロペスは椅子に座り直して話し出した。

「…ザックス。実は…クラウドはな…」
「…………」

ロペスの言葉に、ザックスは唇を噛みしめた。




無機質な、何処にでもある病室だったが その部屋は広く、簡単なソファとテーブルが
あってパソコンがひとつ ぽつんと置いてある。
ここがただの病室ではなく、明らかに ここで日常をおくっている誰かがいることが
わかる。
青いマグカップ。青いタオル。
彼は そんなに青が好きだったろうか、と青いマグカップを手に取る。
「…………」
ベッド横のサイドテーブルの上にはテレビと卓上カレンダーがあって、いくつか文字が
書き込んである。

ザックスは手に取ってカレンダーをめくると、小さな子供が書いたような たどたどしい
文字があったが11月まで遡ると しっかりした文字になる。
「…………」

そのカレンダーは三年分の物で、ところどころに書き込まれた文字を愛しげに見つめる。
ザックスは そっとカレンダーを元に戻すと主のいない白いベッドに目を向ける。

そっと手を滑らせるが当然ぬくもりは感じられなかった。
白いベッドを見つめながら、ザックスは さっき聞いたロペスの言葉を思い出す。



クラウドの手術自体は成功したんだが、如何せん、大きくなりすぎてたんだ
腫瘍で脳が圧迫されて、取り除いた為に障害が出たんだ


ロペスの言葉を思い出し、ザックスは唇を噛みしめる。

ふと見ると大きな窓からミッドガルの街に夕陽が落ちていくのが見えて、もしかして
ここは良い部屋なのかな、とぼんやりと思った。
窓際で夕陽が沈むのを見ていたら自動扉が開く音に はっとして振り返る。

「…………クラウド…」

先ほど見た通り、跳ねた金髪は短く切られて白い額があらわになった少しあどけない
クラウドが立っていた。
驚いたような青い瞳はザックスを見ても まるで見知らぬ他人を見るかのようだ。
いや、まるで、じゃない。
クラウドはザックスを初めて見るのだ。

(………やっぱり、クラウドは俺を…)

「……あ、クラウド…俺は…」
そう言って一歩踏み出すザックスに、クラウドは びくりと身を震わせる。
怯えたように握られた両の手は胸の前に重ねられ、クラウドを さらに幼く小さく見せて、
思わずザックスは言わずにはいられなかった。

「……クラウド、お前また痩せた?…ちゃんと食ってるのか?」
気遣わしげなザックスの言葉に、クラウドは ゆっくりと口を開く。
「……あなたは、誰ですか?おれを知ってますか?」
「………あ、ごめんな。俺は……ザックス。ザックス・フェアって、いうんだ」
「………ザックス、…フェア…」

何かを思い出そうとするかのようにクラウドの白い顔が歪むが、諦めたように小さく
頭を振る。
「……貴方は、おれを知ってますか?」
もう一度 そう言うクラウドに、ザックスは胸が詰まって言葉が出ない。

「………お、れは…知って、るよ。…ク…ウドのこと、よく…よく知ってるから……」
大きな身体で泣きそうにしているザックスを、クラウドは不思議そうに見上げる。

「…すみません。おれは手術をして記憶が無いんです。戻る保証もありませんから、
……フェアさんのことを憶えてません」
泣かないで下さい、と言うクラウドにザックスは くしゃりと泣き笑いする。

「………クラウドは偉いな。…ごめんな。クラウドが頑張ってんのに…俺が泣いちゃ
ダメだよな」
すんと鼻をすすり、なんとか笑うザックスをクラウドは黙って見上げている。
「クラウド、座らない?立ってると疲れるだろ。もしかして そろそろメシの時間?
この部屋、見晴らしいいし食、進むよな」

急に元気になって話出すザックスに、クラウドは驚いたように青い目をぱちぱちとさせる。
「……確かに少し疲れます。夕食は…6時からです。見晴らし…あまり考えたことは…
なかったです」

律儀にひとつひとつ答えるクラウドに、ザックスは優しく笑って おいでと手招きする。
「じゃ、座ろう。…今日は何してたんだ?リハビリ?だっけ」

二人掛けに座るザックスに、クラウドは迷うようにしていたが、ザックスが自分の横を
ぽんぼんと叩くから 戸惑いながらも隣に座る。
「…はい。反射神経とか」
「反射神経?そんなのあんの?どんなことしたんだ?」
隣に座るとザックスは大きくて、クラウドは しげしげとザックスの身体を見ていたが
ん?と優しく笑われて心臓が跳ね上がる。

「どんなって…画面に現れる光をタッチするんです」
「へえ、面白そうだな。ならさ、クラウド、これ拳で叩いてみな。ほら」
「…え…」

ほら、と広げられた大きな手に、クラウドは戸惑いを隠せない。
だがザックスが笑いながら手を にぎにぎとして広げるから恐る恐る手を突き出す。
右に左に揺れる手のひらをクラウドの拳が追いかけ叩いていく。

「上手い上手い。上手じゃんかクラウド」
真剣なクラウドの表情に、ザックスはイタズラを思いつく。
今まさに叩こうとしていたクラウドの拳を ひらりと避けるから、クラウドはバランスを
崩してザックスの胸に倒れ込む。

「わッ!」
「あははは、引っ掛かった」
「ひどいよ、ザックス…」
「……え、今…クラウド…」

突然 以前のように名を呼ばれて、ザックスは胸の中のクラウドの細い身体を ぎゅっと
抱きしめる。
「……もしかして、思い出した?…俺のこと……」
期待を込めて そう聞くが、腕の中のクラウドは少し考えた後、小さく わかりません、と
答える。

だが それでも良かった。
クラウドの中に ちゃんと自分は存在する。
ただ、記憶の引き出しに仕舞ってあるだけなのだ。

腕の中にクラウドが戻ってくれただけでいい。
心から そう思って、短くなってしまった金色の頭に口づける。
「……クラウド、俺は……」
「………」

ザックスが口を開いた時、軽やかなチャイムが流れる。
「………もしかしてメシの時間?…ああ、18時だもんな」
「…はい」

名残惜しげにクラウドの身体を離すと同時にナースが入って来た。
「クラウド、調子はどう?採血するわよ」
「はい、ミリーさん、普通です」
明るいナースはザックスを見て驚いたが、道具を取り出すとクラウドの指に押し当てる。
ぱちん、と音がするとクラウドの指の先から小さな血の玉が浮き上がる。

「うへえ」
思わず そう言ってしまったザックスをクラウドは不思議そうに見るから、ザックスは
恥ずかしそうに笑う。
「俺、採血ってか注射ダメなんだ。すくみあがっちまう」

子供のように ぶるぶるっとするザックスに、クラウドは一瞬 驚いたあと小さく吹き出して
笑った。

「あはは。そんな大きな身体なのに怖いんですか?可笑しいですね」
「…………………」

あの日もクラウドは そう言って笑った。


ザックスはクラウドを さらうように抱きしめると今度こそ声を上げて泣いた。










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楽しい日は あっという間。

#581 Z×C 11月の7日間


こんばんは!水城です。


今日はステキな一日でした。
お天気も良かったし。

またまた詳細は後日に。

やっぱり続けて書いた方が良いのですかね。
皆さまも読みやすいかな?
ま、前回を忘れてない、ってのはありますかね。

なるべく皆さまにストレスのかからない お話作りを目指して行きたいと 今日
しみじみ思いました。

少しずつでも改善して行きたいです。

頑張って参りますので今後ともヨロシクお願い致します!


では、11月の7日間。

あら、ちなせ姐さん!もしかしたら今月に終わるかもよ(^w^)



□ 11月の7日間 10 □


「俺はもう出なきゃならん。忙しい。出ていけ」
「………聞きたいことがあるんだ」

英雄と言われるセフィロスの執務室は案外こじんまりとしている。
どこにでもある大きめの机にはパソコンが2台。
壁にある棚には それなりに資料のファイルが並んでいる。
あとは黒い皮張りのどこにでもある応接セット。
セフィロスは物を置くのを嫌がるので観葉植物ひとつ無い。

来客があれば別室に応接室があるし、隣室には仮眠室もあると云えば、ここは
本当にプライベートな部屋と云えた。

そんなセフィロスの執務室に入れる人間など役員以外 片手に余る。
そんな数少ない人間であるザックスは、セフィロスの不機嫌さをモノともせずに
話し始める。

「…クラウド・ストライフを知ってるんだろ」
「………何なんだ、お前は。俺は今から けたたましい雌鳥の お守りで機嫌が悪い。
何だ……何が言いたい」
盛大にため息をつきながらパソコンから顔を上げたセフィロスは、ザックスの表情に
眉をひそめる。
アンジールから子犬呼ばわりされているザックスは、自分の前でも臆することなく
振る舞う貴重な存在だ。
普段から陽気で、多少ふざけた感はあるものの傍にいて気取らない男だ。

そのザックスが、能面のように顔を強張らせて立つ姿に、セフィロスはパソコンを
たたむと黒いソファに座る。
「…5分だ。……ストライフ?…で?」
「………脳に腫瘍があったって。あんたがメディカルセンターに飛ばしたって……
…聞いて…」

来た時の勢いは何処へやら。
ザックスが俯きながら そう問いかけると あっさりと返事が返ってきた。
「そうだ。……で?」
「……いったい誰が…すぐ手術すれば、あいつは…」
「そんな阿呆は宝条しかおらんだろうが。まったく、特別変異なモノが作れるわけも
無いものを……ガスト博士と張り合うクセの抜けんヤツのせいで」

宝条のことになると全ソルジャー達は口を揃えて口汚くののしり始める。
英雄とて例外ではなく、むしろ他のソルジャーに比べてヒドいくらいだ。

「……じゃ、本当なのか…あいつが手術を受けたって……そんな…」
茫然と呟くザックスに、セフィロスが口を開いた時、携帯が震えだす。
「……わかった。今行く。…まったくうるさい…話はそれだけか。俺は出るぞ」
セフィロスが愛刀 正宗の仕舞ってあるガラスケースを開けていると背後で魂の抜けた
ような声が聞こえてきた。

「……そんな、バカな…あいつが……死んだなんて…そんな…」
「……………おい、ザッ…」

ザックスの言葉に、セフィロスは訝しげに眉をひそめ振り返ったが、そこには自動
ドアの向こうに消えるザックスの背中しかなかった。
「………死んだ?」

誰もいなくなった部屋でセフィロスの訝しげな声が誰に聞かれることなく響いた。




ザックスは本社ビルを出て冷たい雨の そぼ降る街へさ迷い出た。
平日の昼間だったが、街は たくさんの人が せかせかと歩いていた。

(………ウソだろ…お前が もう何処にもいないなんて…何も…何も無い…)
今 思えばクラウドの痩せ方や憂いがちに見えた青い瞳が思い出される。
だが思い出せたところで、どうだと云うのだろう。
クラウドが病を抱えていたことを知っていたからと云って どうだと。

(……なんにも…なんにも出来ない……たった、7日前に知り合ったばっかりの
俺が…信用、出来なかったのか……そうなのか…?)

一瞬そう思ったが、ザックスは ふるふると雨に濡れた頭を振ると拳を握りしめる。

(………俺が言ったから?嫌なことは覚えてたくないって……だからか?だから……)
自分のことなど覚えていなくてもいいと。
すぐに忘れてくれと。

確かに写真一枚 撮ってもいなかった。
クラウドを思い出させるものは携帯のアドレスと少しのメールの やり取りだけだ。

「………ばっかやろ…忘れられっかよ……ばかやろう…」
唸るように言っても聞く者は誰もいない。

雨に打たれながら、ザックスは子供のように崩れて泣き出したが振り返る者も
いなかった。





「ザックス。お前、昨日ミッションから帰って来たんじゃなかったか?」

ソルジャー専用のブリーフィングルームで指示書を読んでいたザックスは、聞き
なれた声に振り返る。
「よお、カンセル。…まあな」
基本ソルジャーは、連続してミッションを受けない。
ミッションランクによって期間は違うが必ず休暇が与えられ、同じランクが重なって
入らないように管理される。
だが人数の少ない1Stソルジャーの稼働率は高く、他のソルジャーよりも忙しいのは
確かだが、さすがに連続してのミッションがあることは無い、はずだ。

「…お前 最近 詰め込み過ぎじゃね?…何だよ金に困ってるわけ?」
カンセルはザックスが見ていた指示書を奪うと その内容に顔をしかめる。
「…おい、返せよカンセル」
「……ランクB?大丈夫かよ。しかもサボテンダーアイランドって……何で受けたんだよ。
止めとけば?」
「返せ、カンセル」

ザックスは ため息をつきながらそう言うとカンセルに返せと手を差し出す。
だがカンセルは指示書を ひらひらさせて返そうとしない。

「…カンセル。返せって言ってるだろ」
「……これは俺が行ってやるよ。お前は休めば?」
「…は?なんだそりゃ」
カンセルの言葉にザックスは呆れたように ため息をつくが、カンセルは引かなかった。

「お前、鏡で自分の顔 見てんのか。ひどい顔しやがって」
「…………」
カンセルの視線の先には、目は充血して落ち窪み、唇はひび割れ かさついた肌の自分が
写っているんだろう。

確かにハードな毎日だとは思う。
だが休めないのだ。
どこにいても、どれだけ疲れていても眠れない。
ここ3ヶ月ほど ほとんどまともに眠っていない。
眠れないのだ。
部屋に一人でいると沈黙が苦しくて おかしくなりそうになる。

「……部屋にいたくないんだ」
そこかしこに残るクラウドの影が いつまで経っても消えない。
何を見ても彼が思い出されて、苦しくて堪らない。
あれから3ヶ月も経ったというのにザックスの中の時は止まったままだ。
まだ忘れられない。

(……まだ、愛してる。まだ…信じられない…ホントは どこかにいるんじゃ
ないかって……ひょっこり、久しぶりって…笑って現れそうな……そんな気がして…)

黙り込んだザックスを、カンセルは困ったように見上げると、ことさら明るく返す。
「お前さ、蜜蜂の舘でも行って、女 抱いて来れば?お姉さん達に癒して貰え。な?」

親友が苦しんでいる理由はわかっていたが、だからといって いつまでも死んだ人間を
思っていても仕方がないだろう。
そう思って言ったのだが、ザックスは鼻息ひとつで親友の心遣いを放り投げた。

「……くだらない」
「くだらないって…お前なあ………しょうがねえ。おい、飲みに行くぞ」
「あ?……わりぃけど…おい!カンセル!」
断ろうとするザックスを、カンセルは半ば引きずるようにブリーフィングルームから
連れ出してしまう。

「いいから付き合え!お前が そんなだと俺も面白くないだろが」
腕を掴まれ、廊下を歩かされるザックスは怒ったように唇を尖らせる。
「お前になんか迷惑かけたかよ!ほっとけ、カンセル!」

そんなザックスの言葉に、カンセルは立ち止まると、真剣な眼差しでザックスの
胸に指を突きつける。

「いいか、ザックス!俺を見くびるなよ!親友のお前がこんなに へこんでるのに
見過ごせるか!お前、逆に俺が へこんでたら ほっとくのかよ!ああ?」
「…………悪かった。…その…ありがとな、カンセル」

カンセルの言葉に うッと詰まってしまったザックスは、ようやく肩の力を抜いて
力なくではあったが淡く笑う。

「…素直に そう言やあいいんだ。給料も出たし、ドンと来い!おごってやる」
「お~太っ腹だな。後悔しても知らねえぞ」
二人は笑い合いながら本社ビルを出て、街の方へと歩き出す。

だいぶ陽も長くなり、暖かくなったせいで街もどこか活気がある気がする。
ザックスは 何だか久しぶりに息をしたような気がして、思いきり深呼吸する。
だが、その瞬間、有り得ないモノを見たように固まってしまった。

「ザックス、どこに行く?とりあえず食えるとこ……おい、ザックス!」
「クラウド!」
振り返るとザックスは通りの向こうに駆け出して行く。


「クラウド!クラウド!……待て!…クラウド!」

ザックスの視線の先で短く切った金髪の青年と女性がタクシーに乗って行って
しまった。

(……クラウドだった…見間違えるわけが、ない…反応はなかったが…クラウド、
だった…クラウド…!)

クラウドはザックスの声に振り返らなかったが一緒にいた女は反応した。
それでザックスは確信した。

「………生きてたのか…?クラウド…」
「おい、ザックス!急にどうした…って、おい!ザーックス!」

ザックスはカンセルの声に振り向かず、真っ直ぐに街を走り抜ける。

(…クラウド…!)

その魔晄の瞳の先にはメディカルセンターがあった。








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2016年11月26日

さあ、一日が始まったo(^-^)o

#580 Z×C 11月の7日間


おはようございます、水城です(≧∇≦)


あら、こんな時間にどうした、水城、ですよね。
詳細は また後日に。

良いお天気ですねえ、北陸は。
朝はむっさ寒かったですけれど北海道の方に比べると全然ですね気温マイナスだもん。

11月の7日間。
早く書かないと11月が終わっちゃう!
今回も予想外に長くて英雄様がラストにチラ見せ状態で。
ちょっと今月中は無理かなあ…
なんせ書きます!
スコールやレノをお待ちの方には(いらっしゃるかな)誠に申し訳ないです。
もう少々ザックスに お付き合い下さいまし。


では、11月の7日間。
よろしかったら続きをどうぞです。

ありゃ、どんどん雲が出てきた…いやん(>_<)




□ 11月の7日間 9 □


「あの、ロペス先生、ソルジャー・ザックスが先生に お会いしたいと……」
「ザックスが?……ちょっと待っとれと言っておけ」
「…はい、会議中だと言ったのですが、どうしても、と…」
「…………」

メディカルセンターのミーティングルームで、三人の医師達が来週の手術の打ち合わせを
していたが、申し訳なさそうに入って来たナースの言葉に全員 顔を曇らせる。

「……じゃ、ちょっと休憩にしましょうか」
「ですね。じゃ30分後にでも…先生、お願いします」
「…おい」
そそくさと出ていく後ろ姿に、ロペスは むっと声をかけるが振り返りもせず出て行った。

「丸投げか!…ったく…」
「…あの…」
「……しょうがない。…呼んでくれ。あと、呼ぶまで緊急時以外 来ないでくれ」
「分かりました」

若いナースは ほっとしたように頷くと部屋を出て行った。
「………」
ロペスは ため息をつきながら席を立つと、コーヒーサーバーとカップを手に取る。
二つ目のカップにコーヒーを注いでいると自動ドアが開くのももどかしそうにザックスが
入って来た。

「先生、クラウドはどこだ?」
「……ザックス。ちょっと座れ」
普段ちゃらけた態度をとっていたとしても、ザックスは1Stソルジャーだ。
その彼が放つ気は一般人であるロペスにも全身に鳥肌が立つほどにはわかるものだった。
それほど剣呑な空気をまとわせてロペスに近づいてくるザックスは それ以外の言葉を
知らぬかのようだった。

「クラウドはどこだ?ここに いるんだろ?」
「……だから座れ、ザックス。これじゃ落ち着いて話も…」
「これが落ち着いてられるか!クラウドはどこだ!なんで あいつと連絡がつかないんだ!
あんた何か知ってるんだろ!」
「……ザ、ザックス…!頼むから…座れ、ちゃんと説明するから…!」

ロペスとて成人男性として小柄な方では無いのだが、怒りをあらわにするザックスの前では
圧倒されてしまう。
喘ぎながら そう言うロペスを忌々しげに見下ろし舌打ちすると、ザックスは大人しく
椅子に座った。

「…前置きはいい。クラウドはどこだ」
「…………」
テーブルに置いたコーヒーに見向きもしないザックスに、ロペスは ごくりと生唾を
飲むと、ザックスと向かい合うように椅子に座る。
確かに、前置きを長々と言っても目の前の男は納得しないだろう。
ロペスはぐっと拳を握りしめる。

「…ザックス。頼むから まず俺の話を聞いてくれ」
「早く言え。クラウドはどこだ」
低く圧し殺した声と硬質な輝きを増す魔晄の瞳に、ロペスは逃げ出したくなる自分を
叱咤する。

「……クラウドは ここにはいない。…どこにも……彼は亡くなったんだ、ザックス」
一言一言、区切るように話すロペスを、鼻にシワを寄せ 白い歯を剥き出しにした
ザックスが睨み付ける。
それは今にも飛びかからんとするモンスターを思わせ、思わずロペスの背中が震え上がる。
「…………冗談はよせ。クラウドはどこだ」
「……ザックス、本当だ。クラウドは」
「嘘をつくな!死んだだと?そんなバカな…!あんなに…元気だったのに…嘘をつくな!」
椅子を蹴倒しながら立ち上がると、ザックスは思いきり机に拳を打ち下ろす。
派手な音を立てて机は あっさりとヒビが入って折れ曲がる。
「ザックス!」
「言え!クラウドは何処だ!隠しだてする気か?」
「だッ、だから!本当だ、本当にクラウドは…」
「黙れッ!」
叫ぶように言うロペスに向かって折れ曲がった机が叩きつけられる。
それは空を切り、ロペスの顔の横を吹っ飛び派手な音をたてて壁に叩きつけられた。

「何事ですかッ!」
「…大丈夫だ!……大丈夫だから、…下がっていい」
大きな音に驚いた警備の兵が部屋の中に飛び込んで来るが、ロペスは喘ぎながら下がらせる。
兵は青い顔をしたロペスと彫像のように立ちすくむザックスを不安そうに見ていたが、
もう一度ロペスが大丈夫だと言うと下がって行った。

「………ザックス、クラウドは脳に腫瘍があってな。良性だったんだが場所が悪かった」
「…………」
静かに話し始めたロペスを、ザックスは黙って見つめる。

「……海馬の近くに出来て…見つかった時には かなり大きくなってたんだが……上から
手術をするなと言われてたんだ。……最後には子供の拳ほどにもなっとった」
「……なぜ…」
先ほどよりはよほど落ち着いた声にロペスは ほっとしながら言葉を続ける。

「腫瘍のせいでクラウドの脳は異常に記憶力が良くなったんだ。本社の資料室まるまる
記憶してみせたくらいにはな」
「…………」
「脳を調べようとなって調べたら腫瘍が見つかってな…手術して取り除けば すぐにも
治ったろうが…異常発達した脳は調べられなくなる。……モルモット扱いだったんだ」
「………誰だ。……宝条、あいつか…!」

唸るようなザックスの声に、ロペスは慌てて取りすがる。
「最後まで聞け!…それでセフィロスにメディカルセンターに転属させるよう頼んだんだ。
軍にいたままじゃ管轄は軍にある。治療は させて貰えなかったろうからな。だが転属に
なれば話は別だ」
「……………」

意外な人物の名が出てきて、ザックスは眉をひそめたが、その顔はみるみる歪んでしまった。
「……なんで、俺には…一言も…本当、なのか?本当に…死んだ?ウソだろ…?」
「……………本当だ。…クラウドは身寄りがなくて…こちらで埋葬したよ。……麻酔で
眠る間際まで…お前に謝ってたよ」
「………死んだ?…あんなに、笑って…一言も…」

ロペスの言葉が聞こえているのかいないのか。
ザックスは ただただ茫然とするばかりだ。
そんなザックスを、ロペスは痛ましそうに見ながら話を続ける。

「…もともとクラウドは内向的な性格でな。それが腫瘍のせいで鬱も併発して…ここに
来た時には全く笑わなかったよ」
「…………」
ロペスの言葉に ようやく目を向けたザックスに くしゃりと顔を歪め 薬さ、と笑う。
「……薬さ。躁状態になれる薬が処方されててな。だから よく笑っていた。……本当に
良い子だったよ」
「…ウソだろ…ウソだ…」

子供のように泣きそうな顔のザックスに、ロペスの方が泣き出してしまった。
「……お前に…感謝しとった。楽しかった、と」
「……まだ、どこにも…これから行こうって……本当に…?本当に…?」
「…クラウドに優しくしてくれて、ありがとうな、ザックス」

ぼろぼろと泣くロペスを、ザックスは半ば茫然と見つめていたが、ふらりと立ち上がる。
「…あいつの、部屋は…」
「……無いよ。…この3ヶ月ほど、クラウドはセンターで入院しながら働いてたんだ。
…同じ症例の患者が亡くなってな。急遽 手術が決まって……ザックス」

ザックスはロペスを振り返ったが、空ろなその魔晄の眼はなんの感情も宿していなかった。
「……ザックス」

ザックスはロペスの声に振り返らず、部屋を出て行ってしまった。
その憔悴した背中を見ながら、ロペスは鼻をすすり、呟いた。

「……これで良かったか?クラウド…」





ザックスはメディカルセンターを出ると真っ直ぐに神羅本社ビルに向かった。
エレベーターで目指す階は一般社員も入れない特別フロアだ。
途中、受付嬢や顔見知りに声をかけられるが一切 振り向かずに真っ直ぐ目指す部屋に
向かう。

「…セフィロス、いるか?」
部屋の前のインターホンに問いかけると しばらくして不機嫌そうな声が返ってきた。
だが、この英雄の弾んだ声など ザックスは一度も聞いたことはないが。
《……………今 忙しい 》
「入るぞ。開けてくれ」
大の大人でも震え上がりそうな硬質の声に臆することなく そう言うと、程なくして
解除のグリーンランプに変わる。
乾いた、空気を震わせる音と共に英雄セフィロスの執務室の自動ドアが開く。


「………何の用だ。忙しいと言っただろうが」
見慣れた黒のロングコート。背をおおう長い銀髪、ライフストリームそのもののような
魔晄の瞳。

神羅に その人ありと謳われる英雄セフィロスは、不機嫌そうにザックスを睨み付けた。







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2016年11月24日

ヒガミは醜いぞ、と。

#579 Z×C 11月の7日間


こんにちは、水城です。


ぱたりんさん、コメントありがとうございます(≧∇≦)
いつもいつも嬉しい お言葉、ありがたいの一言です。

はい~。
今回、初めて悲しい系のお話に挑戦させて頂きましたのでドキドキです。
もう あと三話くらいかと。
今 思うと結構 長くなったなあ。
書き始めたのは一年前ですが全然ぶれてないラストに下りれそうで、自分すげえな、とか
思ったりして。
まったくひとつの場面も欠けずに書けてると思います。

もうちょい哀しい感じになるかと思いますが、そう言って頂けるとホントに嬉しいです。
ぱたりんさんには申し訳ないですが、最後まで読んで頂けるように頑張ります。

コメント、ありがとうございましたo(^-^)o


なんだか関東圏はスンごいことになってますねえ。
富山は全然なのに。
11月じゃ富山だって雪が降れば珍しいのに。
ガチ降りじゃないですか。見てるだけで寒い。
やっぱり今年は大雪なんですかね。

大変だとは思いますが、結構 地方からの人が多い気がしますが、東京で暮らしちゃうと
雪に対応出来なくなっちゃうんですかね。
まあ、そもそも交通機関は雪対応じゃないかもだけど沖縄とかじゃないんだからさ~とは
思いますが。
国は対応出来ないんですかね?

う、ちょっと地方北陸のヒガミが……さ~せん!


では、11月の7日間。
ラストまで駆け抜けます。

11月~が終わったらスコール三昧ですね。


よろしかったらどうぞですo(^-^)o



□ 11月の7日間 8 □


「………クラウド、顔、上げて」
「…ッは、はッ…あ……ザッ…」

ザックスの長い指がクラウドの両の頬を挟むように包み込むと、荒く肩で息をつく顔が
上げられる。
蕩けるように潤んだ青い瞳と、不思議な輝きを放つ魔晄の瞳が妖しく絡まり、中天に
上がった月光の中に浮かび上がる。
「…クラウド、すげえエロい……お前みたいなヤツ初めて…すげえ、イイ…」

荒くなる息を押さえつけながら、ザックスは囁くように そう言うと淡く朱に染まる
目元に舌を這わす。
「…ッく、…ンぁ…」
ザックスの舌が目元から耳朶へ滑ると繋がった場所が動いて、それだけでクラウドには
過ぎた刺激になってしまう。
引き締まった、と云うより肉付きの薄い腹部が びくびくと震えると、勃ち上がった
先から白濁が滲み出る。

「…辛い?それとも気持ちイイ?…どっち?クラウド」
「………んぁ…ッ!あッ、はあッ…!」
ザックスが繋がり合った場所を指先でなぞるとクラウドから腰にクる喘ぎがもれる。
そのまま自分の身体の上に またがる小さな尻を掴み、両手で左右に割り開くと、
堪えるように浮き上がっていた身体をぐっと己に押し込む。
その瞬間ぐちゅりと音がして、ザックスが放ったものがクラウドからこぼれ出る。
そのぬめりに煽られるように腰を動かそうとしたが、ザックスはイタズラを思いついた
子供のように にっと笑う。
「…な、クラウド。腰をさ、動かしてみて」
「……ン、…あッ、そ…な、出来な…あぅ、…待っ…ザック…ス…あぁ…ッ…」

ザックスは上着を脱いだだけだが、クラウドはジーンズを脱がされ、白い足を晒している。
来ていたハイネックのセーターも首もとまでめくり上げられた あられもない姿だ。
暖房が効いた車の中は暑いくらいで、うっすらと汗をかいた なめらかな肌が月明かりの
下でぬめるようにくねる。

ザックスの浅黒い手が腰を掴み、揺さぶるように上下に動かすとザックスの胸に両手を
付いて耐えていた身体が崩れるように倒れてくる。
それでもザックスは さらに激しく揺さぶり、勃ち上がるクラウドのモノをしごき上げ始めるから、
なんとか腰を動かしていたクラウドも とうとう息も絶え絶えに喘ぐしか
なくなってしまった。

「…あッ、あ…はッ、はッ、や、も…う…もう…やあ…ッ…!」
「気持ちイイ…すげ…しまる…クラウドも…気持ちイイ…?クラウド…クラウド…ん、あ…」
「…ああッ…!…ザッ…クス…!」

ザックスはクラウドの中に、クラウドは自分を包み込み、擦り上げていたザックスの
手の中に迸らせる。
クラウドの それはザックスの手の中に収まるほどだったのが、クラウドの中に注ぎ
込まれたものはなかなか終わりを見せなかった。

「…く、止まんね……ゴメン、クラウド…」
「ああ…あ、熱…い…ザックス…」
達した快感のあと、搾るように腰を動かすザックスにクラウドは崩れるように覆い被さる。
重なった胸に響く熱い鼓動は自分のものか、それとも彼のものなのか。
互いに荒い息のまま、口づけ合い舌を絡ませる。

「…クラウド、舌、突き出してみて…ん、そう……ン、…」
「……ぁ、は、ンぁあ…は…ザッ…」
クラウドは ザックスのとても優秀な生徒だった。
ザックスの教えたこと、望むことを素直に受けとめて動いてくれる。
そしてザックスが思う以上の快楽を与えてくれる。

口づけをねだっても、足を開いてと言っても恥ずかしがりながらではあったが素直に
聞いてくれる。
それが愛しくて、ザックスはエスカレートしてしまう己を自覚するが、ブレーキをかける
ことが出来ないでいた。

だが、クラウドが力なくザックスの身体の上に崩れると さすがに青くなってしまった。

「…だ、大丈夫か、クラウド」
「……はッ、はッ…は…も、ムリ、かも…」
ザックスの胸の上で喘いでいると自分の中のモノが また力を取り戻し始めるから、思わず
拳で力なくザックスの胸を叩いてしまう。
「…ンッ、…ザックス…、も、イヤだ…ぬ、抜い、て…ぁう…ザ、ザックス…!」
潤む青い瞳が下から見上げて、抜いて、なんて言う日には堪らなくなって、ますます
力を取り戻してしまう。
とうとう涙の滲む青い瞳に、ザックスは名残惜しい思いも捨てきれずにクラウドの中から
出ていく。

「…ごめん、…ッふ…大丈夫?クラウド」
ずるりと抜け出る感触にクラウドの細い身体が ぶるりと震える。
「……大丈夫…」
汗で張り付いた金髪を指で掻き上げてやると淡く笑う。
その顔に、胸の奥底から愛しさが沸き上がってきてザックスは顔を寄せる。
「愛してる、クラウド。ホントに…クラウド…」
「……ザックス…おれも、好きだよ…」

クラウドの言葉に、ザックスは子供のように笑って頬に口づけを降らせる。
「クラウド、ずっと一緒にいよう。お前となんでもしたい。どこでも連れてってやるから」
「……どこでも?」

思わず聞き返してしまうとザックスは すらすらといろいろな場所を言い出した。
「…まずはチョコボファームだろ、アイシクルもいいしコスタはガチで鉄板だし…そうだ、
ゴールドソーサーに行こうか」
「…ゴールドソーサー?…ザックスってホントに…いろんなとこに行ってるね……おれ、
ミッドガルから…出たことないから…うらやましい…」

ようやく落ち着いてきたクラウドは、ザックスの腕に抱かれながら夢見るように小さく
ため息をつく。
「ほとんどミッション絡みだからなあ。行ったって言えるかな」
ザックスは胸の上にあるクラウドの金色の頭を優しく撫でながらサンルーフから見える
月を見上げる。
「もうハンパなく賑やかで楽しい所だよ。ちゃんと休暇取って、一緒に行こう。な?」

子供のように はしゃいでいるザックスに、クラウドは小さく笑う。
「…ザックスが行きたがってるみたいだ」
「もちろん。クラウドと一緒になら 何処でもいいんだ。俺も 遊びになんてほとんど
行かないからさ。な、一緒に行こうクラウド」
「……………うん。行きたい、ザックス」

ザックスの胸に顔をうずめながら、クラウドは小さく呟いた。
その声音に哀しみの色が浮かんでいたがザックスは気づかなかった。

「じゃ、すぐ動くか。俺ソーサーに知り合いいるから いろいろ聞いてみるわ」
「……うん、ザックス。……ありがとう」
「……大丈夫か?クラウド。…眠い?」

子供をあやすように、ザックスの優しい手がクラウドの背中を優しく撫でる。
「…もうホテル行く?ファームは明日にするか?」
気遣うようなザックスの声に、クラウドは泣きたくなったが ぐっと唇を引き結ぶ。

(……まだ、明日 一日ある…まだ…)

「…うん、…ごめんザックス。ごめんね」
「謝んなって。俺が無理させたからだろ。こっちこそ ごめんな」

胸の上の金髪が ふるふると左右に動くのがザックスは愛しくて堪らない。
「…愛してるクラウド…」
「…………」
寝ちゃった?クラウド、と優しくかけられる声に、クラウドは小さく ごめんなさい、と
返すが ザックスの耳には届かなかった。




《おはよ、クラウド。寝てる?俺 やっぱり社長の護衛でコレルに行くの、決まったから。
3日間かなあ。行ってくるわ》

《おはようザックス。社長の護衛って大変そうだね。気をつけて》

《あ、起きてた?まだ6時前だぞ。クラウド早いなあ。声 聞きたいけど今 社長と一緒
だからさ。夜 電話するよ。ソーサーの話、しような》

《ありがとう、ザックス。ホントに、本当にありがとう。ケガしないように、身体に充分
気をつけて》


「…ん?…なんか、これ…」

ザックスはクラウドからの返信メールを見て訝しげに顔をしかめる。
しばらく携帯を見て考え込んでいたが、着歴からクラウドの番号を呼び出し携帯を耳に
あてる。
「ザックス、出発するぞ、と」
「おお。………出ないな」

ザックスは ため息をつくと ぱくんと携帯をたたんでポケットに仕舞う。
「……後で かけるか」

そう呟くと、ザックスは発着場へ向かった。



これが、クラウドと交わした最後になるとは夢にも思わずに。









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2016年11月20日

やっぱり祭日は好きなの。

#578 Z×C 11月の7日間


こんにちは、水城です。


こちらを覗いて下さる方は、大半が社会人の方なのではないかと思いますが、毎週土曜日は
お休み、って方が多いのかな。

うちの会社の来年のカレンダーが決まったんですが、祝日を出勤にして土曜日を休みにする
振り替えが結構あったんですよね。
正直、自分は週の途中にある祭日が好きなのでちょっと寂しい。
以前なら祭日にリアルタイムで見る笑っていいともが好きだったのになあ。

まあ、子供さんがいれば土日 休みにする方がいいんだろうな、とは思いますが、祭日
ちびっこ達は休みじゃないですか。
それは一人にしといていいのかな?とは思うけどなあ。
そもそも祭日は意味があって その日を思いながら休む日なんだけどなあ。

うちは相方が基本、祭日出勤で土曜日は全部お休みな会社なので、祭日にひとり ゆっくり
出来るのもいいんだけどなあ。
お話も書けるし。

神羅カンパニーの そこんとこはどうだったんでしょうね。
ニブルヘイム事件などを避けてお話を書いてますので企業としての神羅の中にいる彼らを
想像するのは むちゃ楽しいですね。


では、11月の7日間。
ラストまで もうちょいです。

よろしかったらどうぞです。





□ 11月の7日間 7 □


ストライフ、どうかな
…う~ん、厳しいなあ。30%だからな。…じゃダメに5000ギル
俺も5000ギル
マジで?賭けになんねえじゃん!誰か成功に賭けろよ



彼に、怖いと言えたら…

そう言ったら きっと…



「では、明後日8時に開始だから6時にはセンターにいるように。大丈夫かな、クラウド」
「はい、大丈夫です」

白一色の部屋で、二人の医師から説明を受けるクラウドの顔は 微かに強ばっていた。
そんなクラウドの、テーブルの上に置かれた手を優しく叩くのは外科医のスタンだ。
「急だったから心の準備がおぼつかないだろうが…いつも通りにしてなさい」
「……はい」
「じゃ、明後日に」
スタンは優しくクラウドの肩を叩くと部屋を出て行った。

「……クラウド、明日はセンターに来なくていいぞ。ゆっくり身体を休めておけ」
ロペスは努めて いつも通りに振る舞おうとしてくれているのだろう。
重い空気を振り払うように笑いかけるが、クラウドの表情は沈んだままだった。

「…どうした、クラウド」
「………ザックス、に言っていなくて…今夜 出かける約束をしてるんですが……」
「…ふむ…言いたくないのか?」
「…………重い、と思って。言われた方も、困るのが普通でしょうし」

そう言うクラウドの方が困ったように笑う。
センターに来てロペスの顔を見た途端、泣き崩れて、しばらく起き上がれなかったクラウド。
今は落ち着いているが、青い瞳は まだ潤んでいる。
「………クラウド、そんなことは…」
「…失礼します。ロペス先生」
「…おお、マチスさん」

控えめなノックの後、部屋に入って来たのは両目を真っ赤に泣き腫らした二人の男女だった。
辛そうに顔を歪めながらロペスが手を差し出すと応えるように二人も手を差し出す。

「お世話なりました。娘と一緒に帰ります」
「……ありがとう、ございました。先生」

はらはらと涙をこぼしながら礼を言う二人に、クラウドも青い目を潤ませながら声をかける。
「……マチスさん…最後に、ローリィに会って…いいですか」
「…うん。会ってやってくれ。……君には仲良くしてもらって…本当にありがとうな」
「………ありがとう、クラウド。明後日 手術なのね。…頑張ってね」
「………ナタリー、さん…おれ…ごめんな、さい」

クラウドは それだけ言うのが精いっぱいで、言葉が続かない。
大粒の涙をこぼすクラウドを、ナタリーとマチスも泣きながら抱きしめる。
「……何を謝るの?いいの。あなたはなんにも悪くなんかないわ、ね?。……手術が無事に
終わったら お見舞いに来るわね。だから、頑張って…クラウド」
「…きっと成功するよ。大丈夫。ローリィと三人で…応援してるからな」
「……はい、…ありがとう、ございます…」


二人は泣き止まないクラウドを抱きしめながら、何度も何度も背を撫でた後 部屋を出て
行った。

「……なあ、クラウド。やっぱりザックスに言ってみちゃあどうだ?」
「……………」
ティッシュで鼻を咬みながら、クラウドは、でも…と目を伏せる。
そんなクラウドを励ますように、ロペスは明るい声を出す。

「なあに後ろ向きなことを言っとる。大丈夫。ちょっと びっくりするだろうが、大丈夫
だって笑いながら能天気に吹き飛ばすさ」
「………ふ、能天気…そんなこと言ったら、うるさいですよ」

泣き腫らした目で笑う顔に胸を突かれるが、クラウドに気づかれぬようにロペスは笑った。
「…大丈夫だクラウド。手術も、ザックスも」
もう一度 大丈夫、と笑う顔に クラウドも笑顔を作る。

その笑顔の裏を思うと苦しかったが顔には出さず、ロペスは繰り返し大丈夫とうなずいた。




「この新作バーガー、美味いな。ちょっと辛いけど」
「ザックス、辛いの平気なんだね」

ハンバーガーショップに寄った後、ふたりはザックスが運転する車でミッドガル郊外まで
出て来た。
陽はとっくに落ちきって あたりは真っ暗だったが、人工灯がないため月や星が明るく
煌めいているのがよく見えた。

ザックスがレンタルしてきた車は8人乗りのワンボックスで、天井すべてサンルーフだ。
シートを倒すとフラットになり、ふたりは足を伸ばしながら買ってきたハンバーガーを
広げていた。

「昔から平気だったな。ゴンガガって暑いから わりと辛いもんあったしな」
「暑いときに辛いものか…汗がハンパなさそうだね」
クラウドは半分まで食べたバーガーに はくりと食い付く。
美味しそうに もぐもぐと動く口許に、ザックスは内心 ほっと息をつく。

「…良かった。クラウド、もう大丈夫か?」
「………うん、ごめんなさい」
「謝ることないって。だいぶ仲良くしてたのか?」

ザックスがセンターに迎えに行ったら、そこには明らかに泣いた跡のあるクラウドが、
しょんぼりと立っていた。
聞けば仲良くしていた患者が亡くなったと云う。
「……まだ9才なのに一生懸命 病気と闘って…今日 手術だったのに容態が急変して…」
「………そっかあ…可哀想になあ。…俺なんて病気らしい病気したことないからさ。
頑張ってる人、いっぱいいるんだなあ」
「……………」

そもそも元気の塊のようなザックスだ。
それがソルジャーになってから さらに風邪ひとつひかないしで病気に怯えたことなど
一度もない。
クラウドはメディカルセンターにいれば いろんな患者を目にすることが多いのだろう、
またうなだれてしまった。
「…辛い治療も頑張ってて…もう少しだったのに…えらかったと思う」
「そうだな。…クラウドも傍で見てて辛かったな」
「……ザックス」
クラウドの頭を、優しく大きな手が撫でてくる。
クラウドはこみ上げる涙を ぐっと堪えながら唇を噛みしめる。

「…ザックス、あの…」
「ん?なんだ、クラウド」
男らしい、だが包み込むような笑顔に押されて、クラウドは ゆっくりと話し出す。
「……おれ、…今まで友達って言える相手がいなくて…人付き合いって苦手で、……
…だから、自分のことを話すの、上手くないと思うけど…」
「…うん、それで?」
「……それで、ザックスと知り合って、人と、その…話したり…触れ合ったり、するのが
こんなに楽しいって初めてわかったって云うか…」
「うん、俺もクラウドと一緒にいると すげえ楽しい。出会えて良かったって思ってる」

しどろもどろになりながらも 頑張って話すクラウドだが、ザックスは会話の方向に、
内心どきどきしながらも明るく返す。
「…おれ、ホントに…ザックスみたいに明るくもないし物知らずだし…その……イヤな
思いをさせるって…」
「何 言ってんだ、クラウド!おれ、お前の笑った顔、すっげえいいと思う!クラウドが
笑ってくれるとホントに安心出来るんだ」
「……え、…ホントに…?」

そんな風に言われたことのなかったクラウドは、びっくりしたように青い瞳を丸くするが、
続くザックスの言葉に顔を曇らせる。

「ソルジャーやってるとさ、まあ いろいろさ、あるじゃない?イヤなこともあるわけだ。
クラウドも軍にいたから、わかると思うけど」
「…うん。センターにも心身不良で来るソルジャー、いるしね」

メディカルセンターに配属されて初めて知ったが、ソルジャーのメンタルにカンパニーは
かなり神経を尖らせる。
ミッションのランクによってメディカルチェックも多岐にわたるのだ。
「…うん。ま、好きでソルジャーになったんだから踏ん張らなきゃって思うけど、やっぱり
へこむ時もある。そんな時にクラウドの笑った顔見るとさ、すごく ほっとするんだ」
「………おれも、ザックスが笑ってくれると嬉しくなる。ザックスって、あったかいよ」

本心からそう言ってくれてることが分かる笑顔に、ザックスは心底ほっとする。
「…ありがとうな。クラウド、好きだよ」
「…ザッ、クス…」

温かくて広い胸に抱きしめられながら、クラウドはザックスの匂いを胸いっぱいに吸い込む。
そしてザックスに胸の内を告げようと己を奮い起たせた時、ザックスから聞こえた言葉に
息が止まってしまった。

「……あ、の…おれ…!」
「俺さ、イヤなことなんて覚えてたくないんだ」
「…………」
「イヤな、辛いこと覚えてても楽しいことになんてならないし、そんな感情に浸るなんて
真っ平だし」
「…………」

自分の腕の中のクラウドが どれほどの衝撃を受けているか。
神ならぬザックスには知る由もない。

「だからクラウドとは楽しいことして笑ってたいんだ。……クラウド?…どうかした?」
胸の中のクラウドが黙りこんでしまったことに、ザックスは不安そうに問いかける。

「………そ、うだね。ザックスの…言う通りだと、思って。…誰だって辛い思いなんて…
…覚えてたくない……早く、忘れた方が…いいんだ…」
「…クラウド?」
小さな呟きはザックスまでは届かなかった。

心配そうに覗き込むザックスに、クラウドは縋りつくように唇を合わせて来る。
「…ッ、ん…ク、ラウド…?…んン…」

つたないながらも舌を絡めて来るクラウドに応えるように奥深く舌をもぐり込ませると、
合わせた唇の間から甘く名を呼ばれて ぞくりと来る。

「…ザックス、…ザックス…」
月の光に照らされながら、性急に昂り出した互いの身体を ふたりはきつく抱きしめ合った。







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2016年11月12日

生き方が決まるんです(>_<)

#575 Z×C 11月の7日間


こんにちは、水城です。


もう11月も半ばに近づいて来てますね。

うちの会社は毎年、11月初めに健康診断がありまして。
なんかあったら速攻で連絡が入りますが、取り敢えず自分は何も言って来なかったので
ほっとしてます。

でも今回、血液型を調べてもらってるので超ユーウツ(∋_∈)
自分の両親は〇型だと聞かされたのでそう信じていたのに、どうやら違ってて。
もしかしたらA型かもしれんのです。

もう、すっげえイヤ!
A型がイヤ、じゃなくて これまでの人生で 〇型だと信じて生きてきたのにひっくり
返るのがイヤ!
自分の人生、なんちゃって〇型だったんかい!
ホント、イヤ!

なら調べなきゃいいんじゃない?でしょうが、相方が調べときなさ~い!って言うもんで…
あうう(>_<)

結果は相方だけに見せて、あっしは見ない、でダメ?と言ったらダメ~って。
そうか、ダメか。ふふふ…


来週には結果が来るので、来たら お話の雰囲気も変わったりして(^w^)
ナイか、ナイですかね。


では、さくさく書いてるつもりですが…

11月の7日間を どうぞです。




□ 11日の7日間 6 □



「クラウド、目玉焼きは固め?半熟?」
「あ、半熟で…」
「レタス、マヨネーズしかないけどOK?」
「おーけー」
「オレンジジュースと紅茶、どっち?」
「…どっちも」
「りょ~かい! 」

キッチンカウンターの向こうから、弾んだザックスの声と、なんとも食欲を そそるような
フライパンの音が聞こえてくる。
明け方 ザックスに求められた後、クラウドは力尽きてそのまま また眠ってしまった。
目が開いた時には10時を過ぎていて、慌てて跳ね起きたクラウドをザックスはキッチンに
連れて来た。
カウンターの椅子に座らされ、戸惑うクラウドに、ザックスはベテラン主婦さながらの
手際の良さで朝食の準備を始めたのだ。

「じゃ食おうか」
「いただき、ます」
「おう!いっぱい食えよ、クラウド」

テーブルの上には 大きな皿に、青々としたフリルレタス、真っ赤なトマト。
焼いたベーコンに半熟の目玉焼き、小さめのソーセージ。
斜め半分に切って焼いたトーストにバターとスライスチーズ。

「……ザックスって手際がいいねえ。こんなの ぱぱッと作っちゃうなんて…」
ソーセージを食べながら感心したように言うクラウドに、ザックスはコーヒーを吹き出し
そうになる。

「…ぶはッ、…や、こんなの、焼いただけみたいなもんだし。…何、クラウド。料理とか
苦手なわけ?」
「苦手って云うか…一人だから作っても…食堂があるしね」
「…………そっか。まあ そうだな」

ザックスの隣で クラウドはパンを かじりながら少し ぼうっとしているらしい。
話す言葉に あまり抑揚が感じられない。
話すときはザックスの目を見て話してくれてたのに、今は食べることに集中しているのか
全然こっちを見てくれない。
これは ただ単に低血圧なだけなのか、身体が辛いのか。
それとも自分に何か怒っているのだろうか。

(……朝っぱらから がっついたのは…まずかったかな…我慢がきかないヤツって…
思われた、とか?)
トーストを かじりながらザックスは横目で こっそりとクラウドを見るが、気づいた風も
なく黙々と食べている。
その姿は機械的にすら見えて、ザックスは少々 不安になって来た。

自分の作ったものを食べているのに美味しいとも何とも言わないなんて。
表情のない横顔が不安を煽って、ザックスは ぐびりと喉を鳴らす。

「……あ、あ~、クラウド?トースト、もう一枚 焼く?」
「…まだ いい」
「……そ、そっか……あ、フルーツの缶詰め、食うか?」
「…うん」
「……………」

(………か、会話が続かん!やっぱ怒ってんのかなあ……起きたら冷静になって腹立って
きた、とか…)
予定では二人で朝食を食べながら どっか出かける話でもしたりしようと思っていたのに。
なまじ整った顔をしているから無表情だと、心の内が まったく読めない。

ザックスもソルジャーとして飛び回っているから この部屋では ほとんど食べない。
朝、クラウドが起きる前に、と急いで買って来た食材と缶詰め。
ザックスは冷蔵庫からフルーツミックスの缶詰めを取り出しながら考え込む。

(…でも、さっきベットじゃ ちゃんとキスも返してくれたよな…好きだよって言ったら
笑ってくれたし………怒ってない、朝が弱いだけ、……ヨシ!)
「……な、クラウド。今日 これから どっか行くか?車、借りて遠出とかさ」
甲斐甲斐しく缶詰めから中身を出すと、皿に移してテーブルに置く。
さりげなくテーブルとクラウドの座る椅子の背もたれに手を付き、ことさら明るく
問いかける。
すると、ちょっと驚いたように目を丸くした後、困ったように青い瞳を伏せてしまったから
ザックスは ぎょっとしてしまった。

「え!イヤだった?………もしかして なんか怒ってる?」
これにはさすがに慌ててクラウドの顔を覗き込む。
「言って、クラウド。なんか怒ってんのか?俺のこと、……イヤか?」

不安そうなザックスの声に、クラウドは そんなことはない、と言ってはくれるが、
昨夜までのクラウドと やはり どこか雰囲気が違う。
「そんなことないよ、怒ってなんか…」
「ホントに?…なんかクラウド、あんま笑ってくれないし…じゃ、身体が辛いとか?
大丈夫か?」

いたわるように背中を撫でると ようやくクラウドは笑ってくれた。
「正直 少し辛いけど大丈夫。ただちょっと…朝は いつも調子が出なくて…ごめんなさい」

確かに少し顔色も優れない感じだ。
ザックスは ほっとすると同時に心配にもなる。
「そっか。…クラウド、どっか悪いのか?…その…痩せてるし、ちゃんと食べれてるのか?」
今も昨夜もクラウドは もりもり食べてる、と云う感じではない。
(…この年頃なら どんだけでも入りそうなモンじゃないか?…食が細いだけかもだけど、
それにしても……)

ザックスは急に不安になって そう問いかけるが、クラウドは大丈夫と繰り返すだけだ。
「…ホントに、大丈夫。ありがとう、ザックス」
そう言って笑うが その笑顔がどこか儚げで、やっぱり不安が拭えない。

人は簡単に死んでしまう。
それをザックスは日々 目の当たりにしているのだから。

「…うん、…なんか困ったことがあれば言ってクラウド。……キスしていい?」
「え?…う、うん」
うっすらと色づく頬に嬉しくなってしまう。
戸惑い うつむく顔を上げさせると優しく触れる口づけを繰り返す。

「……ん、ンん…」
触れてしまえば やっぱり我慢が出来なくて、捩じ込むように舌を絡ませると甘えるような
声が上がる。
「……ザ、ザック…ス…まだ、食事の…途中だ、から…」
「…もうちょっと…クラウド、クラウド…」
「ぁ、ん…ン…」

頬を両手で包み込みながら さらに深く唇を合わせたとき、ザックスの携帯が鳴り出した。
「…………ちぇ、統括からだ。ごめん、クラウド。食べて」
「…う、うん」
「…はい、おはようございます。………はい、…」
小さく音をたててクラウドに口づけるとザックスはキッチンから離れて行った。

その後ろ姿を見ながら ほぅ、と熱い吐息を吐くと、クラウドはカウンターに置いてあった
自分の財布を手に取る。
中から小さなケースを取り出し 開くと逆さにして中身を手のひらに乗せる。

「…………」
手の中の錠剤6つを迷いなく口に放り込むとオレンジジュースで流し込んでしまった。
小さく ため息をつきながら残りのジュースを飲み干してしまうと、今度はクラウドの
携帯が震え出す。
ディスプレイに浮かぶ名前に、クラウドは顔をしかめながらザックスの方を振り返る。
ザックスはまだ統括と話しているらしい。
クラウドは携帯を開いて耳にあてた。

「…はい、もしもし」
《おお、クラウドか。…手術の日が早まったぞ》
「………いつ、ですか?」
《明後日だ。予定してた手術が、……取り止めになったんだそうだ》
「……取り止め…まさか、ローリィは……」
《………取り敢えず、センターに来い。すぐ来れるか?》
「…………」

ロペスの固い声にクラウドの青い瞳に涙が盛り上がって来て、返事をしようと唇を開くが
声が出ない。

「………はい、じゃあ、来週に。………ええ?やだなあ…」

ふいにザックスの声が聞こえて来て、クラウドは慌てて涙を拭う。
「わかりました。行きます。……はい、じゃあ」

「……クラウド、食べたか?…あれ、食ってないの?どした?」
「………ロペス先生から電話があって、ちょっとセンターに行かなきゃならなく
なったんだ」
「ええ、マジで!何 ワガママ言ってんだ、あの医者は!マジで?」
飛び上がるように驚くザックスに、クラウドは申し訳なさそうに謝る。
「ホントにごめん。これ食べたら行くよ」

慌ててパンをかじるクラウドの隣に座ると、ザックスは ちょっと待て、と取り縋る。
「ちょっ、ちょっと待てって……夕方には終わる?じゃあ 俺 車借りるから今夜 遠出、
しようぜ!な」
「……え、遠出って…どこに?」
「俺 自分のチョコボ持っててさ。見に行かない?一緒に」
「…チョコボ持ってるって、ザックスが?すご…い、すごい!おれ行きたい!」

さっきまでローテンション気味だったクラウドが目を輝かせて喜ぶから、ザックスは
嬉しくなる。
「よし、じゃ決まりだな。迎えに行くから、終わったら電話して、クラウド」
「わかった。………ありがとう、ザックス。じゃ、おれ行くね」

クラウドは手早く食事をすませると足早に玄関へ急ぐ。
「連絡、待ってるな、クラウド」
「うん。じゃ」

にっこり笑う笑顔が扉の向こうに消えると、ザックスは早速 携帯電話を開きながら鼻唄
まじりにキッチンに戻っていった。



クラウドは逃げるようにエレベーターに飛び込むと1階のボタンを押す。
扉が閉まると同時に涙が溢れて止まらなくなる。

「……う、く…ローリィ……どうして……」


広いエレベーターの中で、一人、クラウドは子供のように泣き続けた。









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2016年11月06日

はっずい、はっずい!

#573 Z×C 11月の7日間


こんばんは、水城です。

タイトル通り、むっさ はっず~!

今日 昼から一人で休出してたんですね。
社長は今日から出張に行きましたし、来る人はいないと思って仕事してたんです。
社内に監視カメラはあるし、ちょいちょい見ながら仕事してたんですが、帰り際
5時頃かな、事務所内は かなり薄暗く、社長の奥さんが入ってきてたことに
気づかなくて びっくり。

それだけなら別に~なんですが。

自分 昨日から とある曲に ドはまりしてて。

FFリメイク関連の記事を見たら出てくる、Unreal Engine採用タイトル一覧って
動画に使ってある曲が また良くて!

もちろん それにはクラウドさんの動画が かなりの尺を取って流れてますし、
最後の方で出る美人さん二人より、妖しい美しさのクラウドさんがラストでばーんっと
出て、堪らんのです。
で、そのUnreal Engine を使っているケーム集なんで、なかなか楽しい動画です。
見てると ホント、わくわくしちゃう。貼り付けちゃお。
きっと皆さん 知ってますよね。







今 書いてる11月の7日間はメロウな感じなんで、めっさ違う話が書きたくなります。
で、ず~っとず~っと この動画を流して音楽を聴いてるんです、昨夜から。

自分 気に入ったら しつこいんで、全然飽きない。

そう、会社でも聞いてて、ふんふん くちずさんでたから さあ大変!
あ~むっさ恥ずかしかった。見られた、聞かれた。

でも、楽しいですね。
音楽って不思議。気分を上げも下げもする。
そんな音響兵器の話があったな~

楽しい音楽を聴くと身体が自然と動き出すし、気分も上がります。
基本 ゲームの動画だから どうしても闘いのシーンが多いので高揚感も出ますしね。
この曲聴きながら空飛んだら、むっさ気持ちいいだろうなあ。

毎日 仕事仕事で へにゃった気持ちも今は すっきりして明日また頑張れそうです。
あ、でも 明日 会ったら恥ずかしいかもですね。ま、いっか


では、11月の7日間。
やっぱり早く先が書きたくて堪らなくなりました。
よろしかったら続きを どうぞです。




□ 11月の7日間 5 □



焼け焦げた、鼻につくイヤな匂い。
星を覆い隠す雲も いがらっぽい風も、死んだ者達の恨みで出来てるみたいだ。

ウータイは神羅に完全降伏した。
俺達は征服者として このウータイにいる。
でもだからって、こんなことが許されるハズがない。
あいつら 狂ってんのか?
抵抗出来ない相手に、剣も銃も取り上げられた相手に。

「…ザックス。頭 使えよ。オレら ば~っかり汚い仕事させられてさ。なんか楽しみが
ないと おかしくなっちまうだろ?」
好きでソルジャーになったクセに 勝手なこと言いやがって。
それで自分のしてることを正しいとでも言うつもりか?

「こいつらだって殺されるよりマシだろ。ってか案外 楽しんでんじゃねえの?なあ?」
マジで頭 沸いてんのか?まだ子供だろ?男3人に まわされて どうやって楽しめって?

「そうそ。金だってさ、いらないだろ。代わりに俺らが使ってやるし。文句ないよなあ!」
強盗より まだ悪い。
家中 引っ掻きまわしやがったな。
こんなことに使う労力が あるんなら機材の片付けでもしろよ。

「……ザックス。何だよ その顔は。…上にチクるなよ?余計なコトしやがったら……
…わかってるよな?」
自分のしてること棚に上げて…ホントに最低だな。
そんなチンケな脅しに怯むとでも?アホか。


「……ザックス、てめえのせいで軍法会議行きだ…ミッドガルに帰ったらな」
…自業自得だろ、知るか。

「だぁれが帰るか!逃げ切ってやる!忌々しいウータイ人も お前も、みんな八つ裂きに
してからな!」


床も壁も天井にまで血が飛び散ってる。
無惨に転がる死体、死体、死体…
「バカが!ソルジャー3人に敵うわけねえだろが!くたばれ!」


なんで俺が、殺されなきゃならないんだ?
なんで俺が、仮にも仲間を斬らなきゃならないんだ?
俺が楽しんで仲間を殺してるとでも?


━━━━━━ なんで俺が



「………ッは!」


びくり、と身体中の筋肉が強ばる慣れた感覚。
闇に閉ざされた自分の部屋。
荒く息を吐く音がザックスの不安を煽る。

「……は…」

見慣れた天井を見ながらザックスは片手で両目を覆うと、深く息を吐きながら汗で湿った
顔を拭う。
そのまま吐き気を堪えるように手で口を覆うと、目の端に金色の髪が見えて声が出そうに
なった。

「…ッぅお…っと…」

(………クラウド、起きてないか?大丈夫、かな…)
壁にある時計に目をやると5時過ぎ。
秋も深い この季節、日の出は まだ先だ。

昨夜 クラウドの為にエアコンの暖房をつけたのだが それがまずかったのだろう。
この寝る部屋で、冷房をつけたことはあるが暖房などつけたことはない。
寒暖に耐性のあるソルジャーの身体では、特に寒さは気にならないのだ。

だがクラウドは一般人だ。
深夜まで愛し合い、力の抜けたクラウドの身体を洗ってベットに戻ったら薄い毛布一枚
しかなくて、エアコンをつけた。
そのせいで暑さに汗をかいて、見たくもない悪夢を見てしまった。

(…やべ、寝汗がすげえ…)
ザックスは小さく寝息を立てている肩にそっと口づけるとゆっくりベットから抜け出して、
バスルームへ向かう。


(……久しぶりに ヤな夢 見ちゃったな…ちくしょ…)

ウータイに赴いた仲間のソルジャー3人は、ウータイ人の家を荒らし、金目のモノを奪い、
女や子供を犯しまくった。
あまりな暴挙に我慢がならず、上部に報告したザックスを、彼らは逆恨みして殺そうと
して来た。

けして仲のよいソルジャー達ではなかった。
彼らの非道に本気で腹をたてたのは本当だ。
だが、殺してやると言われ、剣を向けられるとは思わなかった。

1St として その実力を あのセフィロスにも認められているザックスだ。
例え3人のソルジャー相手でも あっさり殺られるものではない。
だが、力を抜いて闘えるほど甘くもない。
全力で向かわなければ自分が 殺られていた。

他の一般兵の証言もあり、ソルジャー3人を手にかけたザックスが罪に問われることは
なかったが、その殺害状況が残虐だと問題になったのだ。

相手もザックスも死に物狂いだった。
持てる力のすべてを使ったと言っても過言ではない。
実際 その時の記憶がほとんどないザックスには上手く説明できず、正当防衛は成立した
ものの軍部内でわだかまりが残った。

その後、要注意対象人物とされ、ミッション後は特別なメディカルチェックを受けなければ
ならず、いつ お前は不適格だと言われるか 常に不安を抱えていた。

人の噂も75日。
今でこそ落ち着いているが、一時 有らぬ噂が流れ、ザックスは孤立していたのだ。



熱いシャワーに打たれながらザックスは頭を空っぽにしようとしていた。
記憶がないならそれでいい。
覚えていてもロクでもないものだろう。
むしろ それより…

見せられた画像の向こうに映る仲間の死体は確かに無惨なものだった。
いくら殺されたくないからと言って、これは…と言われても反論出来ないほど。
自分の中にも確かに潜む狂気が ザックスには恐ろしかった。

ふいに ぶるりと震える身体をザックスは両手で抱きしめる。
「…俺は違う…あいつらとは…違う…違う…」
怯えた子供のような横顔を見る者は誰もいない。
熱いシャワーを浴びたというのに震えが止まらない。

ザックスは震えながらバスタオルで身体を拭うと、暗いキッチンでペットボトルのミネラル
ウォーターを2本 一気に飲み干す。
開けていない1本を持って寝室に戻ると、出た時と変わらないままクラウドが眠っていた。
その規則正しい寝息に涙が出そうになる。

サイドテーブルにペットボトルを置くと そっとベットに入り、子供のようにクラウドの
背中にしがみつく。

「……やっぱり、ほっそいなあ…何kgだろ…」
震えのおさまった手を後ろから まわして金色の髪を掻き上げる。
少し汗の匂いがする うなじに舌を這わせると、あっさりと勃ち上がってしまった。

「…う、ヤバい…かな?……やべ…」
ついクラウドの胸の粒を探してしまい、弄っていたのも まずかった。
ぐんと育ってしまっては どうしようも出来ず、クラウドの双丘の割れ目に己を擦りつける。

「……ん、…な、に…あ、はあん…」
寝ぼけて とろんとした声と感じて甘くこぼれた声が堪らなく そそる。
まだ目の開かないクラウドのアゴを掴むと襲いかかるように口づける。

「…あ、ふ…んンッ、…んあッ、ザッ、クスぅ…」
スウェットの中に乱暴に左手を突っ込み、萎えていたクラウドのモノを擦り、右手を自分の
唾液で濡らすと、まだ柔らかく蕩けていた すぼまりに押し込む。

「…あ、ぅ…や、ザック…ス…ああ…あッ、はッ、は…あ…」
くちくちと、粘着質な音が聞こえて、クラウドは自分を抱きしめる腕にしがみつく。

「…力、抜いて、クラウド…」
「あ、う…く、ああ…」

後ろから細い足を持ち上げ、ゆっくり、ゆっくりクラウドの中に入って行く。
最初は拒むかのような その場所は、だんだんとザックスを奥へ奥へと誘うような動きを
みせる。

「…全部、入った。わかる?クラウド…」
「……あ、あ…ザ、ックス…あ、つい…熱…い……あう…ッ…」
「……ッ、く、…ん、んッ!」
ガツガツと腰を突き上げるとクラウドが のけ反り、小さく感極まったような声が聞こえる。
また覆い被さるように口づけ、細い腰を抱きしめる。

「…ッ!…そ、そこ…ッ!や、やあッ…!」
昨夜 見つけた場所をえぐるように突くと自分の腕を掴む手が爪をたて、クラウドからは
荒々しい吐息だけしか聞こえてこなくなる。

「…クラウド、クラウド…」

この細い身体と繋がっていると冷えた己の身体が満たされる。
口づけ合うと忘れていた生きる歓びが沸き上がる。

(……手離せない、絶対に…)

手の中のクラウド自身が達してしまうと、ザックスの締め付けがきつくなり、思わず声が
出る。

「…ン、あ…ッ…!」
クラウドの中に注ぎ込む瞬間、天国を思う。

まるで獣のように、互いに荒い息のまま口づけ合う。

カーテンの隙間から朝日が昇り、部屋が明るくなっても、ザックスはクラウドを離さなかった。








cloudy_garden at 18:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2016年11月04日

むむむぅ~ヽ(`Д´)ノ

#572 Z×C 11月の7日間


こんばんは、水城です。

いや、早い早い。頑張ってるよ、自分。

なんとか月末と月アタマの忙しさから抜けつつありますので、空いた時間を
注ぎ込んでおります。

でも連続更新~っつって言ってるとスコールでのお話を読んでらっしゃる方が
多くて。むむむ~ってなっちゃいます。
こんな時はクラウドの相手が一人ではない難しさを感じちゃいます。

正直 11月~はやっと半分ですので、まだまだ続きます。
そう思うとスコールやレノのお話を書いた方がいいのかな、とか、いやいや
ここはザックス1本でとか悩みます。ううう~(>_<)

ちょっと今夜 お風呂に浸かりつつ悩もうかな、と。

でも 頑張りすぎたせいかアタマいった~なので……

すぐ頭痛がするから ヤになっちゃう。

ではでは 11月の7日間、よろしかったら どうぞです(^-^)
次回もザックスさん、頑張ってちょ~だい!腰 抜かすなよ(^O^)





□ 11月の7日間 4 □



「……んッ、ん…は、ぁあ…待っ…ぁ…」
「…すげ…白い…すべすべだな…」

ザックスはクラウドのズボンから服の裾を引き抜くと首まで たくしあげて白い平らな
胸に唇を落とす。
荒く波打つ肌の上で上下する尖りがザックスの劣情を煽り、子供のように吸いつくと
びくびくっと震える身体に むらむらと征服欲が沸き上がる。

「…あぅッ、…や、ザッ、クス…!離し…あんンッ…!」
アイスクリームでも舐めるようにべろりと舌が何度も這いまわると すぐに ぴちゃぴちゃと
濡れた音が聞こえだす。
心臓の上で暴れる舌を意識していると、突然 反対側を冷たい指が摘まんできた。

「…ン…ッ…!つ、めた、い…」
咎めるような声が堪らない。

もっと苛めたくなる、と呟いたザックスの声はクラウドに届いたらしい。
もがくように身を捩り出してザックスの頭を後ろへ押しやろうとする。

「…ザッ、ザック…ス、離れて…こ、こん…な…ダメ、だ…」
「何?何がダメ?…こんなに尖らせてんのに……クラウドさ、こんなことするの、
初めて?……もしかしてキスも、俺が初めて?なあ…」
「……ッ…!」
暗闇の中でも青く煌めく魔晄の瞳は妖しくクラウドを見上げている。
確かにザックスの言うとおり、恋愛経験の無いクラウドは せいぜいが母親とする
頬にキスくらいしかしたことがない。

今まで恋愛自体に興味が無かったし、同年代の少年達のように性的なものにも
興味が持てなかった。
ザックスの事は好ましい人物だとは思ったが、恋愛対象などではなく、友達として
付き合っていければいいと思っていたのだ。
そもそも今 恋愛などに割く時間は自分には無いのだし、ザックスと会うのも
束の間のことだと思っていた。

ほんの一時間ほど前までは楽しく食事していたはずなのに、この展開に頭が付いて
行けない。
あの路地でザックスに熱く口づけられた後、骨が軋むくらい強く抱きしめられ、頭が
蕩けるくらい何度も愛していると囁かれた。
まだ会って一週間も経っていないと言うクラウドに、ザックスは時間なんか関係ないと
言い切った。

何と言っていいか分からず、言葉も出ないクラウドの手を引くと、ザックスは走って
このソルジャー官舎までクラウドを連れてきた。
息も整わぬままエレベーターに押し込められ扉が開くまで口づけられて、抗議すら
させては貰えぬままザックスの部屋に連れ込まれたのだ。

玄関の壁に押しつけられて、貪るように また口づけられて。
肌を晒されて艶めいた眼差しで見つめられては いかな経験の浅い鈍なクラウドでも
このあとのことは容易に想像出来ると云うものだ。
そして、どうやらザックスは自分と違って かなり経験豊富らしい。
このままザックスのペースに流されては、と クラウドは青くなる。

「…ザッ、クス…あの、いくらなんでも展開が…お互いを、その、まだよく知らない訳だし…
…ちょっと落ち着こう、うん。だから、ちょっ、と…離して……ザックス!」
ようやく抵抗らしい抵抗をさせて貰えたクラウドは、引き上げられたシャツをなんとか
下ろそうとするが、ザックスが許さなかった。
両の手を片手でまとめて掴むと、クラウドの頭の上で押さえつける。

さっきまで見上げていた魔晄の瞳が 今はクラウドを見下ろしていて、それは怖いくらい
真剣だ。
「…俺はクラウドみたいに真面目じゃないから ゆっくりなんてムリだ」
「ザックス…、は、離してくれ…ザッ…、あぅんッ、あ…」
ザックスの冷たい指が、またクラウドの尖りを弄っている。
捏ねるように指の腹で潰していたかと思うと、いきなりぎゅっと摘ままれて、声が出て
しまう。

「…明日どうなるかわかんないだろ。だから…今 クラウドと気持ちよくなりたい」
「……ッ、…あ、ザック…ス…」
低く響くようなザックスの声に背中が ぞくん、と震える。
抵抗の緩んだ身体を、ザックスは ぺろりと舌舐めずりして見下ろすと、ツンと尖った
胸の粒に わざと音をたてて吸いついた。

「…や、ちょっ…と、ザックス…、あ…ああッ…!」
ちゅううっと音をたてた後、今度は小さく啄み、尖らせた舌先で小刻みに刺激される。
また むしゃぶりつくように舐められ、唇ですりつぶすように挟まれ、歯をたてられる。
いつの間にかクラウドの手の拘束は解かれていて、ザックスの右腕はクラウドの腰に
まわされ、左手は双丘を揉みしだいている。
クラウドは力の抜けた身体をザックスの頭にしがみつくことでかろうじて立っていたが
時おり聞こえてくる、喘ぐようなザックスの息遣いに身体の芯が熱を持つのを自覚する。

「…あ、はッ、は…んあッ、あ…」
「……気持ちイイ?クラウド。もっと…?」
わざと見せつけるように大きく口を開いて赤い舌を突き出し、尖った粒を ちろちろと
舐めながらクラウドを見つめる。
涙の滲む瞳の向こうで射抜くような魔晄の眼が光っているのを見て息が止まった瞬間、
かり、と歯を立てられて、クラウドは とうとう腰が砕けてしまった。

「…おっと、大丈夫か、クラウド。腰、イっちゃったか?」
へなへなと尻餅をついたクラウドをザックスは優しく笑いながら抱き起こそうとするが、
クラウドは悔しそうに青い瞳を潤ませる。
「……ザックス、なんで…」
「ん?何、クラウド」

腕を取られながらクラウドが小さく呟いた言葉を、ザックスは少し不安そうに聞き返す。
「言って、クラウド。何…?」
「……なんで、こんな、イヤらしいことするんだ?それに、おれ今日まだ お風呂にも
入ってないのに そんな……な、舐めて お腹壊したらどうすんのさ。それに…なんで
…こ、こんなとこで…ザックス…そんな……」

昂ぶった気持ちを抑えられず、クラウドは その青い瞳に涙を浮かべる。
大粒の涙に、言葉を詰まらせるクラウドを、さすがのザックスも困ったように黒髪を
かきまぜる。
「…あ~、だよな。さすがに玄関はナイよな。ごめん、クラウド。……っしょっと!」
「わッ、ザックス!ちょっ、どこに…!」
ザックスはクラウドの身体を軽々と抱え上げると、器用にクラウドの足から靴を
脱がせて玄関に振り落とす。

「やっぱ、ちゃんとベットでだよな。クラウド、初めてなのに、立ったままなんてなあ。
マニアックすぎるもんな。…ほれ、腕上げて、クラウド」
ちょこんとベットの上に下ろされて呆然とするクラウドの両腕を上に上げさせると、
バンザ~イなんて のんきに言うから、さすがのクラウドもキレそうになる。

「……あの、ザックス。ちゃんと聞いて。そこ座って。さっきも言ったけど、お互い
まだよく知らないのに こんなことしちゃダメだ。よくよく互いのことを知って理解した
上でないと、後々……ザックス、聞いてる?」
ベットの上で居住まいを正し、正座して諭してくるクラウドを、ザックスはあぐらを
かいた足の上に頬杖をついて、嬉しそうに見ている。
そんなザックスを クラウドは たしたしとベットの上を叩いて目をつり上げるから
ザックスの笑みは ますます深くなるばかりだ。

「おれ、真剣に言ってるんだけど。わかってる?」
「うん、わかってる。てか、クラウドもわかってる?俺 さっき愛してるって言ったよな?」
「…………一時の性衝動で軽はずみな言動は…よくないよ?」
「ひでえ、何それ。言っとくけど恋愛感情があって、性衝動がおこるんですけど俺は。
そこまでヤリたい一辺倒じゃないぜ」

ぷくっと頬をふくらませる姿に、クラウドは また、大きな身体して、と思ってしまった。
思わず吹き出しそうになる顔を 引き締めて、真剣な表情を作り出す。

「……………おれ、男なんですが」
「俺も男ですよ?」
「……………経験、ナイからよくわかんないし…」
「俺が経験豊富だから、心配しなくてイイですよ?」
「……………ザックスのこと 好きかどうか わかんないし…」
「俺がクラウドのこと好きだから、クラウドも俺のこと好きですよ?心配ナイナイ」
「…何それ」

さっきまでの獣のような眼差しは薄れて、優しい、少年のような瞳でザックスは
クラウドを見ている。
ザックスの言っていることは、自分勝手もいいとこだったが、あまりにも自信
たっぷりに言うから、クラウドは とうとう吹き出してしまった。

「お、おかし…なんで そんな自信満々なわけ?ザックスっていつもそうなんだ?」
ベットの上で笑うクラウドを見ていたザックスは、ゆっくりとクラウドに近づき、
その白い顔を覗き込む。

「クラウドだけだよ?こんなに抱きたいと思ったのはクラウドだけだ」
「………」
さっきまでの雰囲気が またがらりと変わり、クラウドは どれが本当のザックス
なんだろうかと思った。
目の前の獲物を その牙の中に捕らえようとするかのように、ザックスはクラウドの
肩を押すと ゆっくりと覆い被さってくる。

「…クラウドだって俺を抱きたいだろ?感じて、くれてるだろ?」
「……ッ、あ…あうッ…や、ザックス…」
さわさわとクラウドの足の間を その大きな手で撫でさすると、布地を押し上げる
ふくらみが さらに硬さを増す。
ザックスは ゆっくりと着ている服を脱いで上半身 裸になってしまうと、驚きに
声も出ないクラウドの唇を ゆっくりとなぞる。

「……あ、…う…ザッ…」
「好きだよ。時間なんかホント、関係ない。クラウドが好きだ」
「…そんな、おれ、なんか……」
ぎゅっと目を瞑り、うつむく金色の頭に優しく唇を落とすと、ザックスは頬に手を
添えて、クラウドの顔を上げて覗き込む。

「クラウドの真面目なとこ、好きだな。ちょっと説教ぐせあるけど そこも好きだ」
「……何それ…」
「あと、ゴハン、綺麗に食べるよな。そゆとこイイ」
「……何それ…」
「俺の話、真剣に聞いてくれて、笑ってくれるの好きだな」
「………………」
「ちゃんと俺のこと気遣ってくれる優しいとこも好きだ」
「……それは…」

戸惑うような青い瞳に、ザックスは優しく笑いかけると、小さく触れるだけの口づけを
落とす。
「俺を好きになってきてるクラウドは もっと好きだな」
「……何それ…ホント、ザックスって……」
くしゃりと顔を歪めると、クラウドは またぽろぽろと涙をこぼす。

その涙の意味をザックスが知るのは……


「おもしろい男だろ。な、オツキアイ、しませんか?クラウドさん」
「………はい、ザックスさん」
「やりぃ!」
ザックスは満面の笑みでガッツポーズをすると泣きながら笑うクラウドの頬に唇を
這わせる。
首にしがみついてくるクラウドの、男にしては細い身体にザックスは一瞬 顔を
しかめたが、噛みつくように口づける。

抱き合いながらクラウドの瞳から涙が渇くことはなくて、小さな不安のタネを
ザックスに植え付けた。










cloudy_garden at 18:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)