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断崖絶壁にひっそりと佇む石祠。
小さいながらも凛とした存在感があり、自ら意志を持って山里を見守っているようにもみえます。
観光客が訪れることのない、地元の人だけに愛されているローカルな絶景スポット。
このカテゴリは久しぶりのアップとなります。

本題に入る前に、みちのくのテレビで見る天気予報の地域区分の話しを。

例えば青森県の場合…大きく三分されていて、八甲田山を境に西半分は“津軽地方”、東半分の北側が“下北地方”。ここまではわかるのですが、東半分の南側は“三八上北”と略称で表示されます。
それを地元のアナウンサーが『さんぱちかみきた』と、当たり前のようにやや早口で発音しているのを初めて聞いた時は、「んっ?」となりました。

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“三”は三戸郡周辺、“八”は八戸市周辺、“上北”は上北郡周辺のことです。
山形県は、村山・置賜(おきたま)・庄内・最上。
福島県は、会津・中通り・浜通り。
新潟県は、上越・中越・下越・佐渡。
分かり易い“東西南北”や“内陸沿岸”より、地域の歴史や特徴を活かした昔ながらの区分表示というのは、地形までも読み取れ、旅をするうえで参考になります。

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ところで三八上北地方の“三八”。
青森県と岩手県の二県にまたがった地域には、一から九までの数字に“戸”がつく町があります(四戸以外)。
全国的に知名度があるのは青森県の八戸でしょうか。
岩手県北部に位置する二戸(にのへ)市は人口約3万人弱の町です。

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その二戸市にある紅葉の名所が馬仙峡。
地域の方々に愛されている景勝地のひとつです。
馬仙峡の最大の見どころは、日本一大きな夫婦岩といわれる男神岩と女神岩。

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初秋の頃に、希望大橋から望んだ男神岩(左)と女神岩(右)…見事に並んで聳え立っています。
日本各地の海岸で見られる夫婦岩は、注連縄で固く結ばれ、夫婦円満や縁結びのシンボルとして信仰を集めていますが、この夫婦岩には愛憎渦巻く伝説が残されているそうです。

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流れる馬淵川の川面から180mもある男神岩。
一見、近づくことが困難な岩峰のように見えますが、左上に展望台らしきものが小さく写っています。
実は、裏山へ通じる林道を上っていくと展望台があり、男神岩と馬仙峡を見下ろすことができます。

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展望台から見下ろすと、みちのくの山里らしい美しくのどかな風景が広がっていました。
紅葉に染まる秋は、さらに美しいだろうと思います。

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頂上部に樹木が立つ男神岩と、馬淵川を挟んだ里山は鳥越山。
女神岩は高い樹木に遮られ望むことはできません。

愛憎渦巻く伝説というのは、
《男神と女神は幼い頃からの許嫁でしたが、男神が心変わりをし、鳥越山に心を奪われてしまいました。女神は悲しみのあまり大蛇に変身し、鳥越山を殺そうとしましたが叶わず、明神ヶ淵に身を投じ、馬淵川の主となりました。里の人は祠を建て大淵大明神とし、雨乞いの神様として信仰しました》というもの。
以前アップした“岩手三山伝説(岩手山・姫神山・早池峰山)”とかぶりますね。
東北地方には悲哀めいた山岳・自然信仰が多い気がします。

実は展望台の下から男神岩までは登山道が伸びています。しかし現在は柵が設けられており、軽い気持ちで近づこうとする観光客の行手を阻んでいます。
男神岩へ向かうには麓からの登山道があります。

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展望台から馬仙峡公園に戻り、車を止め、上里コース登山道で1kmほど、尾根をたどるように進みます。
痩せ尾根を進み、岩場を登って、慎重に進むと男神岩の頂上です(女神岩の頂上はあまり展望がありません)。

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不思議だなぁと思うのは、見上げると急峻な岩峰でありながら、頂上部はメサ台地のように平坦になっていること。

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断崖絶壁に佇む石祠。
昔は木祠だったのでしょうか…この祠は新しく祀られたようで、御影石のようにツルツルピカピカでした。

伝説上の三角関係である鳥越山の山頂付近には、立派な観音様が祀られており(鳥越観音)、古くから霊験あらたかな場所として祈りが込められてきた場所です。
何かしら関係があるのかもしれません。

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祠から崖の下を覗き込むと…馬淵川の大蛇行がつくった
見事な龍穴。
風水でいう、大地の気が吹き上がる場所です。

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以前、和歌山の旅でアップした、嶋津の里山から眺望した北山川の大蛇行が作り出した木津呂の龍穴。
自然の絶景は数あれど、これほどまでに自然の造形美とエネルギーを感じる風景は珍しいものです。
ただし現実は、台風などの豪雨による氾濫の一因だったりするので、地元の人々にとっては深刻です。

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それにしてももの凄い断崖絶壁…展望台側に柵を設けて正解だと思います。

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男神岩からは女神岩の頂上部が少しだけ確認できます。馬淵川沿いに二戸の街並みが続き、さらに奥のなだらかな山は、ヒメボタルの生息地として知られる折爪岳です。

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男神岩の頂上部からよりも展望台からの眺めの方が、馬仙峡の素晴らしさを感じられます。
新緑の季節はもちろん、秋の深まりとともに色を変えていく紅葉や雪化粧した峡谷もまた趣深く美しい表情を見せてくれそうです。
素朴で観光地化されていない二戸のまち。淡白で固めの歯ごたえが特徴の南部せんべいを片手に、季節を変えて再訪してみようと思います。

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ドライブやツーリングが好きな方々が、“走ってみたい道”・“走って良かった道”のどちらも上位に挙げる道のひとつが、津軽半島の竜泊(たつどまり)ラインです。
こんなに綺麗に九十九折りが見える峠道も珍しく、背景には日本海が見渡せる絶好のロケーション。
唯一の難点は、誰もが同じ構図の画像をアップしてしまうことでしょうか…竜泊ラインは走りを五感で楽しむ絶景ロードなのです。

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津軽半島のR339は弘前市から龍飛崎へ続く道。
その中でも、“道の駅 こどまり”付近から龍飛崎までの約20kmは竜泊ラインと呼ばれています。
津軽半島東海岸からでも西海岸からでも目指す場所は龍飛崎。旅の目的やスタイルによってアプローチを選ぶことができます。

この日は、前回アップした平舘灯台から津軽半島最果ての駅、三厩駅に寄り道した後に向かいました。

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JR津軽線の終着駅。

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人の気配はまるでなく…とても静かです。

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ホームの先には真っ青な除雪用車両が待機している姿が見られます。

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あじさいロードから見下ろした龍飛漁港。
左に小さく太宰治の文学碑が見えます。
太宰治は龍飛崎のことを「あとは海にころげ落ちるばかりだ」と表現していました。

余談になりますが、津軽半島最北端の龍飛崎と本州最北端の下北半島大間崎。
どちらも同じ青森県にある半島の突端です。
個人的な感想ですが…龍飛崎は地形の険しさから、みちのくの最果て感たっぷりで、うら寂しさを感じます。
いっぽう大間崎は、マグロのトレンドが先行した北海道が望める賑やかな漁村という感じ。
むしろ大間崎に辿り着くまでの、下北半島独特の険しさが心に残ります。

また、龍飛崎の三厩漁港にもマグロ漁師さんがおり、大間港の漁師さんと同じ漁場で漁をしています。
同じ漁場、同じ一本釣り、同じ本マグロ…なのですが大間漁港に水揚げしていないので、大間の本マグロというブランド名が付かないだけ。
もちろん龍飛崎の食堂でも津軽海峡の本マグロが食べられます。

龍飛崎や階段国道へは向かわず、竜泊ラインを7kmほど南下すると眺瞰台(ちょうかんだい)。
竜泊ラインの一番高い位置にある絶景スポットです。
展望台からは360度の大パノラマ。
龍飛崎を見下ろし、津軽海峡を隔てた北海道松前半島も望めます、が、駐車場からの展望が見事です。

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まるで昇り竜のようなワインディングロード。

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そして綺麗に整備されています。

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眺瞰台は標高約500mの山岳地。さらに龍飛崎は海霧が発生しやすい地形なので、晴天にめぐり逢えるかどうかは運次第です。

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少し緊張する竜泊ラインのダウンヒル…心が昂る瞬間です。

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九十九折のワインディングロードを下って行くと、やがて深い山間を走る峠道の風情に景色が一変します。

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眺瞰台と坂本台の中間あたりにある草むらの駐車場からの展望も見どころのひとつです。

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海の向こうに見えるのは小泊岬。
鯵ケ沢から龍飛崎まで、緩いカーブながらほぼ真っすぐ南北に延びるすっきりした海岸線のうちで、唯一ぴょこんと突出している岬。
男鹿半島のミニチュア版という感じです。
岬全体が秘境化しており、岬の南側にある権現崎付近からは水平線に浮かぶ岩木山を望むことができます。

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海沿いを走る竜泊ラインも気持ちよい。春から秋にかけては漁り火が見れるそうです。

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龍飛方面を振り返って…どうしよう、もう一度、眺瞰台まで戻ろうか?…そんな気持ちにさせてくれるのが竜泊ラインの魅力です。

時間が早ければ、以前アップした“鶴の舞橋”や“高山稲荷神社”へ向かってもいいし、夕暮れ時なら、このまま日本海へ沈む夕日を眺めてもいい…。
本州最北端のワインディングロードは、スケールの大きな感動的な道です。

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青空と碧い海に映える白亜の灯台は、平舘海峡を航行する船舶を守り続ける地上の星。
穏やかな波の音を聴きながら、緑の芝生が広がる浜に置かれた木製ベンチに腰掛けて、海峡越しの下北半島を眺めていると、このうえない幸せな気持ちになります。

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津軽半島と下北半島の間…陸奥湾と津軽海峡を繋ぐ海峡を平舘(たいらだて)海峡といいます。
明治32年に初点灯以降、この海を航行する船舶を守り続けているのが平舘灯台です。

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津軽半島東部、外ヶ浜町平舘地区。町の中心部である蟹田から、R280をまっすぐ海沿いに走ると辿り着く静かな町です。
観光地としては、津軽半島で最古の歴史ある温泉“平舘不老ふ死温泉”や、江戸時代に北海道の松前藩主が参勤交代で通った“あおもり松前街道松並木”が有名で、“道の駅 たいらだて”は龍飛崎を目指すドライバーの休憩スポットにもなっています。

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龍飛崎へ向かう際、蟹田から内陸に入り、R14で今別へ抜けていくドライバーが多いですが、もったいないかもしれません。

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荒々しい岩壁に立つ凛々しい灯台も良いですが、優しく佇んで見守る灯台も良いものです。

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鉄筋コンクリート造で、丁寧に全面モザイクタイルで仕上げられています。

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潮風や風雪に耐えながら、タイルは剥がれ落ちる事もなく、白さと輝きを失っていません。
職人さんの技術力の高さに驚きます。

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海峡の最も狭い所は、幅約8km…。
左に見える岩が剥き出しになっている所が、先日アップした仏ヶ浦。
夢の大橋“津軽下北半島大橋”…夢のまた夢のような構想が検討されたこともあったようです。

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日陰ができる屋根付きのベンチを、心地よい潮風が通り抜けていきます。

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しばし、青函フェリーを待ってみたけど…

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暗い海を明るく照らすことが灯台の最大の目的。だから、夜の働く姿をまじかで見てみたいと思うのですが、なかなか機会がありませんでした。周囲に道の駅やキャンプ場がある平舘灯台なら、そんな計画がたてられそうです。

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