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何度かアップしている『三島湖の隧道群』から数km上流の奥米集落に開墾場の滝があります。
自然の滝ではなく、房総特有の川廻しによってつくられた素掘りの穴から流れる滝。
川廻しに関しては以前、『亀岩の洞窟』の時にふれましたが、江戸時代から明治末までにさかんに行われた房総特有の河川短絡工事のことです。
蛇行する川の曲がった川筋をトンネルや切通しを開削することでまっすぐにし、元の川筋は水田などに活用するという…画期的かつ大胆な工事。
房総には数え切れないほどの川廻しがあるといわれていますが、亀岩の洞窟のように、元の川筋を遊歩道にして観光地化されたケースは稀だと思います。
10年ほど前に、下流側から滝と穴を見上げたことがありますが、上流側からのアプローチは家族共々今回が初めてです。
びっくりしたのはピンクテープが付けてあったこと…初めて訪れた方でも迷子になることはなさそうです。
入渓しました、上流側…静か過ぎる…
洞門のようになっている下流側からは光芒が…
スパイク長靴を履いて下流に向かって沢歩きです。
ここからなら、概ね平らで歩きやすいのですが、場所によっては30cmぐらいの甌穴(おうけつ)や苔むした滑る岩があったりしましたので、ズルっと転けて脚を挫いたり、カメラを落としたり…なんてこと防ぐためにも、トレッキングポールor 一脚があると便利です。
2~3分歩いて上流を振り返ってみた画。
洞門のようになっています…そしてレンズがくもるほどの湿気。
水路隧道もありました。
さらに下流に向かうと沢の右側に大きな岩壁があらわれ、川の流れが速くなってきます。
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着きました…開墾場の滝の川廻しです。
デカい…そしてキレイにくり抜かれています…見事なものです。
穴に向かってみます。
養老渓谷の弘文洞のように突如崩落なんてこともありえます。
穴の先は垂直の壁…開墾場の滝です。
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これでも高さは8m以上あります。
振り返ってみると、地層がくっきり見えますね(上部の黒い亀裂?部分が気になります…)。
奥さんと娘が元の川筋を探し始めました…
裏手にあったのは、紅葉の水鏡が美しい放棄された沼でした。
増水時などに水が流れ込んでしまい最終的に放棄されたのかもしれません。ここは植林用地確保の為の川廻しだったそうです。
自然に人の手が加わることによって、見た目の景観がスケールアップした場所。
房総の地質は適度に柔らかくて掘りやすい。
人が掘りやすいということは水も掘りやすい。
トンネル内を流水がどんどん掘り削って、落盤した岩片も水が運んで、これからもっと大きな空間ができあがっていくのかもしれません。