FullSizeRender
タテヤマスギの巨樹に囲まれた参道は、富士山・白山とともに日本三霊山のひとつとして古くから信仰されてきた立山の祈願殿にふさわしい雰囲気を漂わせています。しかし、ご神体である雄山の山頂までの険しい道のりを考えると、この起伏の穏やかな参道は、山岳信仰の場としてはどこか女性的なやさしさを感じ、とても穏やかな気持ちで参拝することができました。

FullSizeRender
前回アップした能登半島の九十九湾から、富山市内のホテルへ移動した翌日。この日は雪の大谷ウォークをするため立山駅まで来ましたが、室堂の天候が悪化しているとの事で予定を変更し、立山町を観光してみました。登山で毎年訪れているものの、山麓付近でゆっくりすることがなかったので良い機会です。

FullSizeRender
立山信仰の拠点として栄えた芦峅寺(あしくらじ)集落の中心、立山博物館の隣に芦峅雄山神社(中宮祈願殿)があります。

FullSizeRender
間口は広くなく、杉の巨木に導かれるように奥に奥にと続く境内です。

FullSizeRender
参道右手奥に立山若宮、中心に祈願殿、そして最奥に立山大宮があります。

FullSizeRender
熊に跨った童子が、河童?を踏みつけているという不思議な像…お社案内に記載されていませんが、立山開山の伝説を伝えている像でしょう。童子は、佐伯有頼(さえきありより)少年。熊は、童子に立山を開山させるために阿弥陀如来(立山権現)が化身した姿。河童?は、獣の化身となった畜生の姿でしょうか。有頼少年と阿弥陀如来が出会ったとされる岩穴…玉殿の岩屋は室堂山荘の近くにあります。

FullSizeRender
立山若宮。

FullSizeRender
立山大宮へ続く、タテヤマスギの巨樹に囲まれた起伏の緩やかな参道。
雄山神社は格式の高い神社である“一の宮”。そして三つの社殿から成っています。
ここ芦峅寺の“中宮祈願殿”と、岩峅寺(いわくらじ)にある“前立社壇(まえたてしゃだん)”。この二つの社殿は車や公共交通機関で訪れることが可能です。

FullSizeRender
三つ目の社殿は立山の主峰である雄山の山頂にある“峰本社”。参拝するには登山をする必要があります。

FullSizeRender
以前、立山の縦走登山をしている様子をアップしましたが、起点となる室堂から、雄山山頂へ向かうには二つのルートがあります。一つは、室堂から一ノ越山荘を経由するルート。

FullSizeRender
一ノ越から雄山山頂までは、落石やスリップに注意が必要なガレ場の急登が続きますが、

FullSizeRender

FullSizeRender
室堂から山頂までの標準コースタイムが2時間半ほどと短いので、多くの登山者(小中学生の授業登山なども)が利用しています。

FullSizeRender
山頂からの眺めは格別です。
もう一つは、室堂から雷鳥坂を登り、立山連峰をぐるっと縦走するルート。雄山までの標準コースタイムは6時間ぐらいです。

FullSizeRender
雷鳥坂を登りきり、別山南峰手前からの眺め。これから歩く雄山までの稜線が綺麗に見えます。

FullSizeRender
そして反対側には、圧倒的な存在感の剱岳。

FullSizeRender
真砂岳から富士ノ折立へ続く急登。

FullSizeRender
富士ノ折立からはエメラルドグリーンの黒部ダムを眺めることができます。

FullSizeRender
立山連峰最高峰の大汝山を過ぎると雄山山頂です。登山の画像をアップするとキリがなくなります…。どちらのルートも登山未経験者や足腰に不安のある方にとっては、ハードルが高く簡単には登拝できません。そして冬は雪深く、登山すること自体が困難です。ですから山麓に“祈願殿”と“前立社壇”を建て、年中の諸祭礼を怠りなく奉仕したと伝えられています。どの社殿に参拝してもご利益は 一緒ですから有り難いことです。

FullSizeRender
FullSizeRender
日本には“八百万の神”という言葉があるように、様々なものに神が宿っていると考えられていました。 その多くは自然現象に対する信仰や畏怖からくるもので、中でも有名なものは山岳信仰ではないでしょうか。

FullSizeRender
山から与えられる恵みへの感謝や、噴火などの自然災害への恐れ。

FullSizeRender
山岳信仰の対象となった代表的な山は富士山(以前アップした新道峠からの富士)。富士山はその美しさから神々しさを感じられますが、太古から噴火により人々が畏敬を抱いていたことも信仰される要因の一つになったと思われます。関東甲信、東海地方には浅間神社が複数存在しますが、これは富士山に対する信仰の神社です。

FullSizeRender
山形県の月山、羽黒山、湯殿山の総称である出羽三山は、山岳信仰の場として現在も多くの修験者や参拝者が訪れます。

FullSizeRender
以前、羽黒山五重塔を含め、羽黒山の三神合祭殿の様子をアップしましたが、

FullSizeRender
随神門から本殿まで続く約2kmの石段はしびれます。この厳しいイメージを持って芦峅雄山神社へ来たので、やさしく穏やかに参拝できたのかもしれません。

FullSizeRender

FullSizeRender
文明が進んだ現在を生きる私たちは、自然の中に神が宿るとはなかなか信じられないことです。しかし富士山のゴミ問題など、環境問題が深刻化してしまった今だからこそ、自然との付き合い方を考え直さなければならないはずです。 昔の山岳信仰はそれを現代に教えてくれる考えの一つかもしれません。