2004年11月29日

清原とは演歌だ

49dc7bac.jpgなぜ清原はあれほど人気があるのだろう。
野球選手としての技術の高さか、それも人気の理由のひとつだろう。あの番長と言われるキャラクターか、それも人気の理由のひとつだろう。でもやはり一番の理由は、彼ほど「物語」を持ったプレイヤーは他にいないからだろう。

清原の「物語」は多彩だ。
甲子園で「物語」があった。名門PL学園の四番として、いや前代未聞の高校生スラッガーとして、彼は僕らの前に登場した。超高校級という言葉は、たぶん清原から生まれた。NHKのアナウンサーの名セリフが記憶に残っている「甲子園は清原のためにあるのか」。
ドラフトで「物語」があった。彼が入団を切望していた巨人が、同級生の桑田を強行指名する。大人に裏切られた十八歳。学生服姿の清原は、涙で記者会見を行った。ドラフトは物語を生みやすいシステムだが、これほどのレベルは少ない。
新人の年に「物語」があった。清原は、高卒ルーキーながらシーズン後半には四番に座り、ホームランを31本打つ。新人の年に恐ろしく活躍した選手には、その後どうしても注目が集まる。ヤクルトの伊藤智などもその一人かもしれない。
オールスターで「物語」があった。二年目のオールスター、あのライバル桑田と対戦する。全打席ホームランを狙うと宣言した清原。初球を見事バックスクリーンにたたき込んだ。いろいろな対決が実現するオールスターだが、高校時代の同級生かつドラフトでの因縁など、これほど盛り上がる対決は、前にも後にもない。
日本シリーズで「物語」があった。セリーグの覇者巨人を倒した年の日本シリーズ。最終戦九回2アウト、彼はプレー中にもかかわらずファーストベース横で突然泣き出してしまう。彼にとって日本一などどうでもいいことだった、その二年前のドラフトで裏切られた王巨人に雪辱を果せたことが重要だったのである。

挙げれば、きりがない。「物語」とは、語られることがあるかどうかだ。清原の「物語」は、本当に多彩だ。
スポーツにおいて、特にプロ野球においては、選手の背景にある「物語」はスポーツ観戦の興奮度を上げてくれる。僕らには到底できない高いスポーツ技術を楽しむことに加えて、彼らが背後に持つストーリーを観戦者は楽しんでいるのだ。

清原とは、ある意味、演歌だと思う。
大辞林で演歌を引くと、日本的な哀愁を帯びた歌謡曲一般をいうと書いてある。
清原とは、演歌だ。清原とは、日本的な哀愁を帯びた最後のプロ野球選手なのだ。

cmplan at 23:20│Comments(1)TrackBack(2) 日々 

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1. 巨人球団経営と清原選手残留  [ SEABLOGスポーツ ]   2004年11月30日 07:31
 どうやら清原選手は巨人に残留するらしい。なぜ清原選手は巨人という虚像にこだわるのか。  来年は巨人が清原選手と交わした4年契約の4年目にあたる。契約によると清原選手の身分はかなり強く保証されているようだ。清原選手が望まないトレードもできないような契約を
2. 超一流と一流を分けるもの  [ SEABLOGスポーツ ]   2004年12月02日 18:35
 清原選手は巨人残留を選んだ。清原選手の決断には彼なりの葛藤と判断があったのだろう。  ところで競輪選手にF1先行として無敵をほこった時代のあった吉岡稔真選手がいる。豪快なF1先行のレースがすがすがしいものだった。ところがだんだん先行するレースが少なくな

この記事へのコメント

1. Posted by 小舟   2004年11月30日 00:33
TBありがとうございました。
清原は良くも悪くもスター性を持った魅力ある選手だと思います。
そのスターの部分だけが肥大していって、本人もついに本文を見失ってしまった、
それが今の清原なのかもしれません。

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