F-131The Sweet Hello, The Sweet Goodbye -3SadSweetに書き換える準備となるヒーリング<若者向け>

 

 過去のブログ記事(F-128)で、スウェーデンの男女デュオ ロクセット(Roxette)のボーカル マリー・フレデリクソン(Marie Fredriksson)を取り上げました。最後に御紹介したのは「The Sweet Hello, The Sad Goodbye」という曲。

内科医としての私が医療・福祉の現場で経験するのは「The Sad Goodbye」ばかり。でも、苫米地博士に学ぶ今は、「ヒーリング&コーチングで『The Sweet Goodbye』を実現できる」と信じています。

今回は、その「The Sweet Goodbyeを実現するために」がテーマです。

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 1不安に襲われる若者、希望を失う老人

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 2The Sweet Goodbye」とは?(ワーク付き)

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 医師としての私が経験したケースを御紹介します。

 (個人情報保護のため変更を加えてあります)

 

 患者さんは50代の男性。離婚後一人暮らしを行っていたある日、脳出血を発症しました。数日経ってから発見され専門医に救急搬送されましたが、重度の片麻痺(半身の運動麻痺)が残りました。生活動作のほぼすべてに介助が必要な状態となり、やがて「死にたい」「殺してくれ」と口にするようになりました。生きる目的(ゴール)を見失ってしまったのです。希望そのものを失くしてしまったのかもしれません。

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 支援相談員がなんとか家族を見つけだしましたが、誰もが関わることを強く拒みました。その中で一人だけ、悩みながらも対応してくれるようになった息子さんがいました。まだ20代の若者です。

 ある日、「脳出血後の嚥下障害と食事の拒否により栄養状態が悪いため人工栄養(胃瘻カテーテル等からの栄養剤注入)の適応である」ことを説明しました。その場で息子さんは泣きながらこう発言しました。「父には生きていてほしいですけど、父自身は『生きたくはない』『もう死にたい』と思っているはずです」。さらに、とても辛そうに「私自身も生きている価値がないと思っています」と。

 

 生きている価値がない

 

 最初は父親のことをいっているのかと思いましたが、その後のやり取りで息子さんが自分自身を「生きている価値がない」と評価し、「死にたい」と苦しんでいることがわかりました。父親と同じように生きる目的(ゴール)を見失っているのでしょう。いや、そもそも生きる目的(ゴール)を、もっと言えば生きる意味を見いだせていないのかもしれません。

その苦しみは「スピリチュアルペイン」。思春期にすでに生じていますが、多くの人はいつの間にかスコトーマに隠れ感じなくなる根源的な痛み(苦しみ)です。

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 前回(F-130)、前頭葉が発達した人間においては情報空間にもホメオスタシス(恒常性維持機能)が働いていることに触れました。そのことを世界で最初に論文にしたのは認知科学者 苫米地英人博士です。「サイバーホメオスタシス理論(CH理論)」と呼ばれています。

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 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971818.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971956.html

 

 そのホメオスタシス(恒常性維持機能)自体を最初に提唱したのは、米国の生理学者 ウォルター・ブラッドフォード・キャノン(Walter Bradford Cannon18711945年)。キャノンは、「生体の内部や環境因子の変化にかかわらず生体の一部が一定に保たれる性質」というホメオスタシスの目的を「生命の維持(生存)」としました。

コーチング理論に置き換えると、「生存することは生命本来のコンフォートゾーンである」ということ。よって、本来なら「生きたい(生きながらえたい)」があたりまえであり、「老いたくない」「病気になりたくない」「死にたくない」が本音のはずなのです。

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 ところが、生存のためのホメオスタシス・フィードバックが強力なはずの若者ほど、不安に襲われ、ストレスに関連した身体的または心理的症状に苦しんでいます。自殺対策白書(日本)において特に中学生の自殺者数増加が危惧されていることを考えると、「思春期から青年期の間に生命本来のコンフォートゾーンから外れやすくなる」といえそうです。

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 コーチとして若者に向き合う時、私がまず取り組むのは「生命本来のコンフォートゾーンに戻してあげること」。それはコーチングというよりヒーリングです。「生きている価値がない」を「価値がある」に書き換えることではじめて、その“価値”を自ら創造するコーチングに取り組むことができるようになります。

 

 前回(F-130)書いたように、“Sad”を“Sweet”に変えるものとはゴールです。

“現状の外”へゴールを設定することによって、居心地の悪さや寂しさではなく、ワクワクやドキドキを感じながら、力強くかつ自然に先に進むことができるようになります。

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 変化を強力に嫌う(だから“Sad”になる)無意識に働きかけ、好ましく(“Sweet”に)感じられるようになると、自分自身が一番強力なドリームキラーから最大・最強のドリームサポーターに変わります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

 そんな意識状態が「ハイ・エフィカシー」です。

 それに対して、すべてのはじまりといえるゴール設定を可能とする意識状態、すなわち「私にはゴール設定を行う価値がある」「私は自由にゴールを設定することができる」という最初の確信を、私は「ゼロ・エフィカシー」と名付けています。

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 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

「ゼロ・エフィカシー」の「ゼロ」とは「無い」という意味ではありません。生命本来の欲求である生存(本能)に向き合うということであり、すべてがここから始まるという原点(スタート地点)に立つという覚悟です。それは「無尽蔵かつ無制限の可能性にあふれている」という意味での「ゼロ」。そして、それは「空(くう)」を示すsunya(スンヤ)の「ゼロ」でもあります。

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その原点ゼロに戻る(戻す)ことが、若者にとってのヒーリング。それが「The Sweet Hello」と「The Sweet Goodbye」、すなわち「新しいものを100%want toで生み出すこと」を可能にします。

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最後に苫米地博士の著書「2050年 衝撃の未来予想」(TAC出版)からの引用です。この引用文の続きは次回に。ぜひ「苫米地博士がザ・パロッツを聴きにいってしまう理由」を考えてみてください。そこには「新しいものを100%want toで生み出すこと」に関する“秘密”が隠されています。

 

価値観をドラスティックに転換させろ

 しかし、「新しいものを生み出す」といわれても、実際に何をすればいいか分からない人もいるでしょう。画期的な商品やサービスを開発する? ミュージシャンになる? 小説家になる? そもそもクリエイターにならないとダメということ?

 こんな疑問に答えるために、私も長年のファンの、あるバンドについて紹介しましょう。そのバンドは「ザ・パロッツ」という、その名の通りビートルズのパロディ、つまりコピーバンドです。六本木のライブハウス「Abbey Road」を拠点に、すでに25年以上活動していますが、彼らのすごいところは、イギリス・リバプールで開催される「ビートルズ・コンベンション」に参加し、本場の観衆をも熱狂させてしまうほどの完成度です。

 ですが、いくら完成度が高くとも、突き詰めればビートルズを聴きたければレコードをかけるのが一番の近道で、それが唯一の方法です。本当のジョン・レノンの歌声はそこにしかなく、オーディオマニアの私の自宅には良い環境が整っています。しかし、それでも私はザ・パロッツを聴きにいってしまう。これはいったいどういうことでしょうか?

 

F-132につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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2050年 衝撃の未来予想ver.2