だいぶ古い映画だが、オリバー・ストーン監督の『JFK』を見た。ケネディ暗殺事件を扱った法廷サスペンスだ。

そのクライマックスで検事のジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)が弁を振るう。現代日本にも示唆するところの多いくだりだと思うので、部分的に引用しよう。(日本語字幕:進藤光太)

「当局の創作を報道が拡大する。堂々たるウソと圧倒的なJFKの葬儀とで人は思考力を失う。
ヒトラーは言った。“ウソが大きいほど人は信じる”と。」

「我々はみんなハムレットの心境です。殺人者が王座にいる。
ケネディの亡霊がこの殺人を許すか?理想への挑戦です。
彼は質問している。憲法の基本は何か?命の尊さとはなんだ?大統領の殺される国で民主主義の将来は?
しかも陰謀の疑惑があるのに法組織が動かない。」

いつも検事局や市民が重要証拠の提出を求めても、政府の答えは決まってる。“国家機密だ”
大統領を奪われて何の国家機密だ?国家機密の名目なら基本的権利を奪っていいと?
合衆国の影の政府を認めるのか?
そういう国家機密はどんな感じでどんな形か?
それはずばり、ファシズムです。」

「ある作家の言葉です。
“愛国者は自分の国を政府から守るべきだ”
考えてください。ここでご覧になった門外不出の証拠をね。
我々が子供のころ、みんなこう思っていた。正義は自然に生まれると。美徳は価値があり善は悪に勝つと。
でもこれは真実じゃない。正義は人間が作るもので簡単ではない。
真実は権力にとって脅威だ。でも権力と戦うのは命懸けです。
真実は最も貴重です。真実が無力になり真実を殺す政府をもはや尊敬できなければ、この国で生まれてもこの国で死にたくない。」

どうだろう。何か想起しないだろうか。

「人は思考力を失う。ヒトラーは言った。“ウソが大きいほど人は信じる”と。」
「陰謀の疑惑があるのに法組織が動かない。」
「そういう国家機密はどんな感じでどんな形か?それはずばり、ファシズムです。」
「ある作家の言葉です。“愛国者は自分の国を政府から守るべきだ”」
「真実は権力にとって脅威だ。」

現代日本は「正直・公正」を口にすると、現職首相への個人攻撃になるのだという。「正直」が攻撃文句になる人間は、嘘つきだけだ。「公正」が攻撃として作用するのは、不公正な人間だけだ。

自民党は、総裁選のメディア報道について「公平・公正な報道」を求めたという。自分たちは「公平・公正な」取り扱いをしてもらいたいということだろう。国民もまた政府権力から「公平・公正な」取り扱いを願っているのだが、おそらく国民が政府に向けてそれを口にしたら、現職首相への「個人攻撃だ」ということになるのだろう。

「真実は権力にとって脅威だ。」

今、時代はポスト真実の時代だという。「真実が無力になり真実を殺す政府をもはや尊敬できなければ、この国で生まれてもこの国で死にたくない。」