ヴェニスの商人アル・パチーノ、
ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズ、
リン・コリンズ出演のヒューマン。
公開日:10月29日



☆ストーリー☆
1596年のヴェニス。
ヨーロッパの貿易の中枢として栄えたこの運河の街で、
土地を持つことを許されないユダヤ人たちは、
ゲットーの中に隔離される生活を余儀なくされ、金貸し業を営んでいた。
シャイロックも、そんな金貸しのひとりだ。
彼らが、キリスト教徒から迫害の対象にされたのは、宗教の違いに加え、
高利で金を貸す行為がキリスト教の教えに反するとみなされたからだった。
ユダヤ人を示す赤い帽子をかぶって出かけたゲットーの外で、
キリスト教徒の暴行の恐怖にさらされるユダヤ人たち。
シャイロックも例外ではなく、顔見知りの貿易商アントーニオから、
顔にツバをはきかけられる屈辱を味わう。
そんなアントーニオとシャイロックの力関係が逆転する日が訪れたのは、
それからまもなくのことだ。
原因を作ったのは、アントーニオの年下の親友バッサーニオ。
放蕩生活で財産を使い果たしたバッサーニオは、
ベルモントに住む美しい女相続人ポーシャに求婚するための資金を借りようと、
アントーニオの元へやって来た。
が、アントーニオの全財産は、いまは船の積荷となって世界中の海に散らばっている。
そこでアントーニオは自分が保証人となりシャイロックから金を借りることを提案した。
彼の書いた証文を携えて、さっそくシャイロックを訪ねて行くバッサーニオ。
驚いたことにシャイロックは、3000ダカットもの大金を無利子で貸すことを承諾した。
ただし、それには条件があった。
「3カ月の期限内に借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドを引き替えにもらう」
というものだ。
常軌を逸したシャイロックの申し出に、アントーニオはたじろぐが、
積荷が期限内に戻ると信じる彼は、バッサーニオの幸せのためにこの条件を承諾した。
まもなくバッサーニオはベルモントへ出発。
その一行の中には、
バッサーニオの友人ロレンゾーと駆け落ちしたシャイロックの娘ジェシカの姿もあった。
彼女が、家の宝石類を持ち出したのを知り、怒り狂うシャイロック。
娘と財産を同時に失った彼の慟哭は、ヴェニスの闇を突き、街中に轟き渡った。
ベルモントで、バッサーニオたちは熱烈な歓迎を受けた。
それまでの求婚者とは違う若くハンサムなバッサーニオに、ひと目惚れしたポーシャは、
結婚の条件である箱選びの試練に挑戦するバッサーニオを、祈るような気持でみつめる。
その思いが通じたのか、
バッサーニオは正しい箱を選び、堂々とポーシャの夫となる資格を手にする。
さらに、バッサーニオの仲間グラシアーノが、
ポーシャの侍女ネリッサに求婚したことによって、一行の喜びは二倍にふくらんだ。
だが、それもつかの間、
バッサーニオの元にヴェニスからショッキングな知らせがもたらされる。
アントーニオの荷を積んだ船がすべて難破。
借金返済の目処がたたなくなったアントーニオは約束どおり、
肉1ポンドをシャイロックに支払わなければならなくなったのだ。
その正当性を決する裁判が開かれることを知ったバッサーニオは、
ポーシャと急いで結婚式をあげると、借金の2倍の額の金を携えてヴェニスへと戻った。
裁判では、アントーニオが窮地に立たされていた。
アントーニオに侮辱された過去の恨みに加え、
娘の駆け落ちによってますますキリスト教徒への憎しみをつのらせたシャイロックは、
公爵の「慈悲を」という言葉にも頑なに耳を貸さず、
証文どおりにアントーニオの肉1ポンドをもらうと言って譲らない。
バッサーニオが差し出した2倍の金も、彼ははねつけた。
と、そこにベラーリオ博士の推薦状を携えた若い法学博士が到着。
裁判は、彼の手に委ねられることになった。
博士の冷静な尋問が進む中、依然として意固地な態度を変えないシャイロックと、
「もはやこれまで」と覚悟を決めるアントーニオ。
そしてついに、アントーニオの肉が切り取られようとしたとき、
博士の言い放った一言がすべてを変えた。

☆cocoaの感想☆
とっても豪華でハマったキャストに、絵画のようにステキなロケーション。
煌びやかな雰囲気と時代を彩る衣装や映像の色彩が美しい。
雰囲気もあって演技派が揃う中、
もう、アル・パチーノが最高!
悲しみ、苦しみ、怒り、復讐への執念、すべてが
その言葉、その目、その体全体から、溢れている感じ。
哀愁も重みも迫力もあって、圧倒され引き込まれる。
頑なで非情でなにもそこまで・・・というくらい裁判に、正当な交換条件に、こだわる。
でもそれはシャイロックをそこまで追い詰めたアントーニオや当時の背景があるから。
“キリスト教徒とユダヤ人は人間としてなにが違うのか”
と、こう吐き出したときのシャイロックがたまらなく悲しかった。
迫害され、プライドも傷つけられ続け、誰にでもガマンの限界も限度があるのだ。
娘も財産も失い、もう生きる気力は復讐だけ。
そんな彼の感情がストレートに伝わってくるだけに、
ラストはせつなく可哀想で仕方ない。
だけど、この映画自体は復讐劇の重い背景だけではない。
ユダヤ教の娘(ジェシカ)とキリスト教の青年(ロレンゾー)、
無一文の騎士(バッサーニオ)と大金持ちの女相続人(ポーシャ)、
騎士の仲間(グラシアーノ)と相続人の侍女(ネリッサ)、
彼ら3組のラブストーリーも絡む。
さらに、なぜにアントーニオはそれほどまでにバッサーニオを思い、助けるのか、
彼の中には友情を超えた愛情が存在したのかも。
そして、バッサーニオはきっとそれを感じ、知っている。
親友というより、親子のような愛情で結ばれてる感じ。
そんなバッサーニオや仲間たちが登場してるシーンは結構クスっとさせるところもある。
シャイロックとアントーニオの渋く重みのある演技とは反対に、
彼らのシーンは明るく、軽く、若者らしく人生を楽しんでいる感じ。
中でもやはりポーシャがイチ押し。
彼女の賢く、茶目っ気のあるところは、重い映画の雰囲気を楽しくもさせているかな。
バッサーニオが法廷から帰ってきたあとが、彼女の魅力満載。
法廷のシーンは緊張感があるし、素晴らしく聡明な判決劇に、見ごたえ十分。
シェークスピアを知らなくても、ヴェニスの商人を知らなくても楽しめるので、
単館なのがもったいない!

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