2006年10月02日

カポーティ

B000MGB48Oカポーティ コレクターズ・エディション
フィリップ・シーモア・ホフマン ジェラルド・クラーク ベネット・ミラー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-03-16

by G-Tools



 「彼を救えなかった」
   「そうね。救う気がなかったのよ」



フィリップ・シーモア・ホフマンが作家のトルーマン・カポーティを演じてアカデミー主演男優賞を獲得した作品。

一家四人を惨殺したペリー・スミス。
カポーティはこの事件を小説にしようと、ペリーに接見を求める。
その面会の中でペリーは彼に信頼を寄せていくようになる。

いやもうこのカポーティがイヤなヤツなんだ。実に。

自己愛と名声欲が異常に高くて、人々から絶賛されて悦に入るシーンは見もの。
殺人者ペリーに最初こそ良い弁護士を世話してやったり、ハンガーストライキで起き上がれない彼の口に離乳食を運んでやったりとかいがいしく世話をするものの、それは彼が“金脈”だから。

だんだんと事件の核心を聞き出していくカポーティ。
自分のことをただの殺人鬼として描かないと信じているペリーが、その小説のタイトルが『冷血』だと知るシーンでその信頼が崩れかけるも、ペリーはカポーティの苦しい言い訳を受け入れる。
このシーンでもカポーティのいやったらしさは満点だ。

そして聞きたい事をすべて聞き出してからは一転、弁護士も手配しなくなるし、電話も無視するし、果ては彼が死刑にならないと小説が出来上がらないとボヤく。

彼は友人も大切にしなければ、恋人にも不誠実だ。

なのに不思議に人間臭くて、時に複雑な面をのぞかせるこの魅力。

ペリーの死刑の日に彼と会い、涙にむせぶその姿もまた彼自身。
そして冒頭に書いた台詞。
女友達に言われたこの一言が見事に的を射ている。
彼の死を怖れ、また彼の死を願った一人の作家。

やっぱりフィリップ・シーモア・ホフマンの演技は凄い。
カポーティそっくりに演じたそうだけど、わたしはそれがどこまで似ているかなんて実物を知らないから判らなかったけれど、今までのシーモア・ホフマンとは明らかに違っていた。
甲高い声、顔をツンと上に向けただけで自己顕示欲の高さが窺える仕草、ゲイならではのおしゃれさ。

ただ、彼の演技が卓越しすぎて、他の登場人物やストーリーが霞んでしまったように感じた。ネル役のキャサリン・キーナー(老けててビックリ!!)がいい味を出していたくらいで、クリス・クーパーなんかそういえばいたかなあ、って感じる程度。

カポーティは昔『遠い声遠い部屋』を読んだきり。
単純ながら『冷血』が読みたくなった。


cocoroblue at 22:00│Comments(2)TrackBack(0)││実話ホモ 

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この記事へのコメント

1. Posted by カゴメ   2006年10月10日 20:21
うっひゃああー! ついつい読んじゃったよおぉぉ〜(涙)。
今の今まで涙ぐましい努力を尽くして、
ありとあらゆる情報をシャッタウトしてたのにぃぃーっ!!
ヒックヒック・・・(後悔涙)。

てな訳で、「ブロークバック・マウンテン」借りて来たので、
今宵、大事に大事に観るとですよんっ♪(笑)

レビュー書き上げたら、TBさせてくらさいね。
2. Posted by リュカ   2006年10月11日 21:18
おお、カゴメさんとうとうブロークバック借りたのですね。
もうご覧になった頃でしょうか?
今からカゴメさんのレビューが楽しみでなりません。
わたしはDVD購入してからもう一度見てまたまた号泣。仕事に支障を来しました(笑)。
では、感想お待ちしておりま〜す♪

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