2008年01月16日

アフター・ウェディング

B001HUN22Aアフター・ウェディング スペシャル・エディション
マッツ・ミケルセン, ロルフ・ラッセゴード, シセ・バベット・クヌッセン, スティーネ・フィッシャー・クリステンセン, スサンネ・ビア
角川エンタテインメント 2009-01-09

by G-Tools


ヤコブはインドの孤児院で救助活動をしているデンマーク人。
子供たちからひどく慕われている。
そんな彼がデンマークの実業家ヨルゲンから寄付の申し出を受ける。
彼の地に赴いたヤコブは、ヨルゲンの娘の結婚式に招待される。
そこで出会ったヨルゲンの妻ヘレネは、かつての恋人だった…。

ネタバレ有りです。

人生の中でもっとも輝く時であるかもしれない結婚式。
その幸せいっぱいのセレモニーの後に展開される人間ドラマ。
いつまでも幸福の時間に留まってはいられない。

ヘレネの娘アナが自分の娘であることを知った時、ヤコブは苦悩し、取り乱す。
それまで描かれていたインド時代の子供たちに穏やかにやさしく接する“大人”である彼の姿が嘘であるかのように。
同時に人間らしい姿を露呈しているのだとも言える。

この“人間らしさ”を登場人物誰もが持ち合わせている。
当然といえば当然なんだろうけれど。
何を考えているのか判らないヨルゲンの言動が、自分の死期を知り、家族をヤコブに託したいがためであったと知った時は、人の多面性というより、深い家族への愛がうかがえて涙が止まらなかった。

ヘレネにしてもアナにしても、揺れ動く心を抱えながら、最後には夫や父親であるヨルゲンに感謝と愛情を示し、その絆をたしかなものにした。
威厳を保ってきたヨルゲンがはじめて
「死にたくない」
と泣き崩れるシーン。
その(当然の)弱さもひっくるめて妻と娘は包容した。だから彼が報われたのだと信じたい。

ヤコブにもインドの地に残した家族同然の子供プラモドがいた。
このままデンマークに残るか、彼の元に帰るか。
二つの家族の間でヤコブもゆれる。
けれど、ヨルゲンの双子の子供のジャンパーのジッパーを上げてやるシーンが―ヨルゲンが同じ行動をしていたように―ヤコブの「決断」だった。
彼らの父親になるという象徴。
そしてプラモドもまた、インドで力強く生きていこうとする意志を表示する。
そのたくましさ、自分がいなくても大丈夫なことを察し、笑みを浮かべるヤコブのシーンは実にさわやかで感動的だ。

人物の目を捉えてクローズアップする撮り方がとても印象的。
そこに情感を見出し、困惑、後悔、悲哀、決心など言葉を介在せずに察せられる巧い方法だと思う。

そして音楽。
情味あふれる映画に合ったBGMも良いけれど、ラスト近く、パーティーのシーンにかかった「It's raining men」。
最初の辺りでヨルゲンが車の中で聞いていたのもコレ。
死の前の弾けた楽しさ。
この曲が大好きだったので、こんなところで流れたのがうれしい。

スサンネ・ビア監督をこれで初めて知った。
『ある愛の風景』のロードショーを見逃したことが悔やまれる。


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1. アフター・ウェディング   [ ちょっとお話 ]   2008年01月22日 11:47
アフター・ウェディング  (2006 デンマーク・スウェーディン) EFTER BRYLLUPPET AFTER THE WEDDING 監督: スザンネ・ビア 製作: シ??.
2. 「アフター・ウェディング」  [ 心の栄養♪映画と英語のジョーク ]   2009年01月13日 09:08
やはりこの監督さんの作品には余韻が残ります・・
3. アフター・ウェディング  [ あず沙の映画レビュー・ノート ]   2009年03月04日 17:56
2006 デンマーク 洋画 ドラマ ラブロマンス 作品のイメージ:切ない、カッコいい 出演:マッツ・ミケルセン、ロルフ・ラッセゴード、シセ・バベット・クヌッセン、スティーネ・フィッシャー・クリステンセン マッツ・ミケルセンの魅力満載のスサンネ・ビア監督作品。イ...

この記事へのコメント

1. Posted by みみこ   2008年01月22日 11:46
お邪魔します〜
あのラストのダンス曲は
It's raining menって言うんですね。
私は初めてで。でもこの曲もいいわ♪
ノリノリでいい感じ♪
場面・場面にあわせた選曲は
魅力的でしたよね。
ある愛の風景は残念・・・
観たおりにはまたお話しましょう〜〜
2. Posted by リュカ   2008年01月22日 21:55
みみこさん、こんにちは。
あの曲は『モダン・ラブ』というドラマで効果的に使われているのを聞いて以来、ずっとハマっていました。
『ブリジット・ジョーンズの日記』でも歌手とバージョンは異なりますが、サントラに収録されてます♪

『ある愛の風景』は本当に悔やまれます…。
みみこさん、レビュー書かれてましたよね?
レンタルが済んだらそのときにまたおじゃまします〜。
3. Posted by なな   2008年12月21日 16:04
こちらにもお邪魔します〜
実はビア監督の中でこれが一番好き。
夫婦や親子の間の愛と死について
深く考えさせられる傑作ですよね。
どれも誰にも身近なテーマだから
感情移入も大きいです。
人物の目のアップはほんと感情の揺れがよく出ますね。
とくにマッツ・ミケルセンって「葛藤」する顔の演技が上手いです。
彼も素敵だったけど,ヨルゲンの愛情にも泣かされましたね。

4. Posted by リュカ   2008年12月21日 22:28
ななさん、こちらにもコメントありがとうございます。
わたしもこれが一番好きなんですよ。
最初に見たビア作品というのが大きいんでしょうが、やっぱり見せ方が上手いんですよね。
身近なテーマを、これだけドラマティックに、でも陳腐にならず見せてくれるのだから驚きです。
マッツも良い役者さんですよね〜。彼が一番揺れていたかな。
とにかく忘れられない映画です。
5. Posted by メル   2009年01月13日 09:13
2本立て続けに見た後、先日さらに「悲しみが乾くまで」を見ちゃって、すっかりスサンネ・ピアウィークとなりました。一週間のうちに3本も見るなんて(^^ゞ
「悲しみが・・」もすっごく良かったです!!!
私がデル・トロが好きって言うのもあるんですけどね(^ー^* )フフ♪
彼のイッちゃった演技がもう最高でした。
ストーリーも逸品でしたし。

そうそう、スサンネの映画は目のアップが多いですよね〜。見たどの映画も多様されてましたが
役者さんの演技力も必要ですよね。
でも、みなさん巧くて映画の登場人物の心情を
さらに深く表すのに効果あり、ですよね。

見終わった直後もですが、後でじわじわ
その映画のことを思い出したりできるのも
この監督さんの映画に共通してるかな〜・・って思いました。
6. Posted by リュカ   2009年01月13日 22:06
メルさん、こんにちは。
短期間でビア監督作制覇ですね。わたしも同じです(笑)。テイストは似ているのに、どの作品も飽きさせず、しっかりと家族や夫婦愛を描いているのが凄いと思います。
でも実は『悲しみ〜』だけは、主人公に共感しづらくて心にあまり残っていないんです。それでもデル・トロの演技は引き込まれました。彼は良いですよねえ…。『チェ』も早く観なくては。
観終わった後にじわじわ余韻に浸れる作品連発のビア監督ですよね。次回作が待ち遠しいです♪

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