2010年03月16日

フィリップ、きみを愛してる!

B003WTHOZAフィリップ、きみを愛してる! [DVD]
2009年 フランス
監督:グレン・フィカーラ ジョン・レクア
製作総指揮:リュック・ベッソン
出演:ジム・キャリー
   ユアン・マクレガー
   ロドリゴ・サントロ
   レスリー・マン
by G-Tools


嘘を重ねる。詐欺を働く。脱獄する。
すべて愛しのフィリップのために。

ネタバレ有りです。

スティーヴン・ラッセルは実母に養子に出されたという出自に思い悩み、その母につれなくされ、突然すべてのことに吹っ切れ、本当の自分で生きようと心に誓う。
それは慈しんだ妻と子と別れ、ゲイとして生きるということだった。
しかし贅沢なゲイライフには金がかかり、彼は保険金詐欺を働くようになる。
ほどなく御用となったスティーヴンは、刑務所で心優しきフィリップと出会い、恋に落ちる。

フィリップが別の場所に移送されれば自分も刑務所内のツテを使ってそこに入り、保釈書類を偽造して外に出、弁護士になりすまして案件を片付け、会社役員になってそこの金をチョロまかす。
そうして何も知らないフィリップとのゴージャスな生活を満喫していた彼だったが、やはり悪事はバレて再び刑務所に。
自分をだましていたと傷ついたフィリップと離ればなれになってしまったスティーヴンは、何としても彼を本当に愛していると伝えたくて、大掛かりな脱走プランをたてた。

何が凄いって、これが実話だということ。

法律のことなんて何も知らないのに、相手を巧く誘導して勝訴してしまったり、数々の脱走劇にしても、ボールペン液で白の囚人服を看護師の緑の服に染め上げる、スタッフの名札を盗む、一般人を装って出入りのパターンを見て取って堂々出口から出て行く、とその手管は見事すぎる。
その行動の原動力がすべて愛のため。これは泣かせる。

スティーヴンとフィリップの馴れ初めと蜜月はむず痒くなるほどに甘く描かれている。
はにかんだ笑顔でどこかぎこちなく握手を交わしていた初対面から、刑務所で同室になっていきなり「すぐにやろう!」とズボンをひっぺがす彼らの直情的な行動が可笑しい。
夜の檻の中で隣人に音楽をかけてもらってダンスしながらキスを交わす場面はちょっと『ブエノスアイレス』を彷彿とさせられた。

そんな愛しい人にもう一度会おうと、スティーヴンはこれまた見事すぎる計画でエイズを装い、まんまと脱獄に成功する。
ここは本当に騙されてしまった。
絶食、ファイルの改竄、薬を使った危篤状態演出… そこまでして、再びフィリップと出会えた彼は、殴られながらも「愛している」ことを告げることができた。

その後懲役167年という脅威の終身刑を言い渡されたスティーヴン。
一日23時間の監視体制に置かれながらも、映画の最後でやはり彼は看守に追いかけられながら外を走り回る。
青空にはフィリップのまぶしい笑顔。
その昔、空に浮かぶ雲が男性器に見えていた幼少時代に培われた性向は、今隠すことなく全面にあらわれている。

スティーヴン役をいつものコメディセンスをもって明るく演じたジム・キャリーはあっぱれ。
それ以上にいつもながら役を選ばないフィリップ役のユアン・マクレガーがそれは見事なゲイになっていてびっくりした。
口元に持ってくるゆびさき、笑うとき、泣くときの仕草、全速力でのカマ走り、その目つきに至るまで、全くオーバーアクトでないのにオカマのそれになっていて素晴らしい。

人を騙し、コケにした主人公を描いているのに、愛に関しては不純なものがない不思議。
本当に事実は小説よりも奇なり。


cocoroblue at 19:48│Comments(6)TrackBack(3)││実話ホモ 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 「フィリップ、きみを愛してる!」実話だとは・・・  [ ポコアポコヤ 映画倉庫 ]   2010年10月23日 15:30
実話というのには、びっくり・・・。面白かったんだけれど、ラストで衝撃・・・。
2. フィリップ、きみを愛してる!  [ C'est joli〜ここちいい毎日を〜 ]   2010年11月01日 12:07
フィリップ、きみを愛してる!’09:フランス◆原題:I LOVE YOU PHILLIP MORRIS◆監督・脚本: ジョン・レクアグレン・フィカーラ「がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン」「バッドサンタ」 (共に脚本)◆出演: ジム・キャリー、ユアン・マクレガー 、ロドリゴ・サント....
3. 「フィリップ、君を愛してる」  [ Slow Dream ]   2010年11月11日 06:19
フィリップ、きみを愛してる! [DVD](2010/11/04)ジム・キャリーユアン・マクレガー商品詳細を見る 善き夫、良き父親である警察官スティーブン。 彼には幼いころ自分を捨てた実母を探し出したいという望み...

この記事へのコメント

1. Posted by latifa   2010年10月23日 15:29
リュカさん、こんにちは!
ユアン・マクレガーの見事な、なりきりゲイ演技が凄く上手でしたね。↓(^○^)

>口元に持ってくるゆびさき、笑うとき、泣くときの仕草、全速力でのカマ走り、その目つきに至るまで、全くオーバーアクトでないのにオカマのそれになっていて素晴らしい。

展開も早く、見せ方も面白いので、飽きる事無く一気に楽しく見れました☆

2. Posted by リュカ   2010年10月24日 03:04
も〜、ユアンはこういうところが好きです。
手を抜かない!
あんな立派なオカマ走りはなかなかできるもんじゃないと思います(笑)。

展開、早かったですよね。
そんなバカな!とつっこみを入れるスキを与えなかったというか……
いやあ、わたしも楽しめました。
3. Posted by    2010年11月11日 06:24
リュカさん、おはようございます。

観ました、見ました!!
実話っていうのはびっくりですね。
ロドリゴが出ていて喜んでいたので、もうこのままのカップルでいいじゃないか!って思ってしまったのですが(笑)ユアンがとってもチャーミングなのでこれまた驚き!

>人を騙し、コケにした主人公を描いているのに、愛に関しては不純なものがない不思議。
そうでしたね!
あまりにその気持ちが純なので、間違ってる〜!と思いながらもなんとも切ない気持ちになっちゃいました。

タララ〜〜♪っていうあのお気楽?風な音楽が、またぴったり合ってるって思いました。
いまだに頭を回っています(笑)

4. Posted by リュカ   2010年11月12日 21:23
瞳さん、こんにちは。
ロドリゴって有名な俳優さんなんですね。
この作品を見るまで知らなかったです。
役どころも健気で良かったです。

でもやっぱりそれ以上にユアンのカマ演技に圧倒されてしまいました(笑)。
あの走るシーン最高です。

それからあの音楽、合ってますよね。
瞳さんのおかげで、思い出したあの曲がまたわたしの頭をまわり始めました。どうしてくれるんですか〜(笑)。
5. Posted by なな   2010年11月17日 20:35
お久しぶりです!
大好きな作品です。もちろん。

何がいいって
やっぱりこれが実話ということと
ユアンのあの演技!

>いつもながら役を選ばないフィリップ役のユアン・マクレガー・・・
そうなんだ・・・彼ってなんでも受けちゃうのね
そしてなんでも天晴れに演じることもできるのね。
この役のユアンは最高ですね。
何って…演技力と役者魂が。

どんなに犯罪を重ねても
原動力が「愛」っていうのは
やっぱり許せてしまう場合もありますよね。
6. Posted by リュカ   2010年11月17日 23:48
ななさん、こんにちは!

あーもうユアンのかわいらしさ爆発ですね!
けっこういい歳いってると思うのに……
こんな役でもきっちりなりきってしまうなんて凄いです。
本当に役者魂ですよね。まだまだ同性愛者役はハリウッドで活躍する役者にはリスクがあると思うのに。

愛が感じられる映画ですよね。
やっていることはめちゃくちゃだけど、あの主人公は応援してしまいました。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔