2010年09月07日

トイレット

B003S9U51Yトイレット
2010年 日本
監督:荻上直子
出演:アレックス・ハウス
   タチアナ・マズラニー
   デイヴィッド・レンドル
   サチ・パーカー
   もたいまさこ
by G-Tools


「日本の温かいトイレシートが恋しかった」
とマドンナが言ったそうな。

ネタバレ有りです。

レイはプラモデルオタクで人付き合いの悪い(浅い)青年。
兄のモーリーはパニック障害を患い、天才的なピアノの才能がありながらも、ここ数年は家に閉じこもったまま。
気が強く皮肉屋の妹リサは、憧れの彼に「君はフェイクじゃないの」と言われ、アイデンティティを模索中の大学生。
そんな兄妹たちの母親が死んだ。
彼女が残したものは、家と、センセーという名の猫と、日本から呼び寄せた自分の母親、兄妹たちの「ばーちゃん」だった。

台詞をクライマックスシーンで一言発する以外に何も喋らないばーちゃん役を、荻上直子作品では常連のもたいまさこが好演。
受動的でも能動的でもなく、ただそこにいるだけ、でも料理をするとか、孫に温かな表情を向けるとか、普通のことをしているだけでなぜか幸せな気分にさせてくれる稀有な人だと思う。

実際兄妹たちも、ばーちゃんの動向により人生が少しだけ変わっていく。
兄妹のことを想いながらも、どこか放任していたレイは、彼らと生活を共にすることによって「人と関わりあうことのわずらわしさ」、あるいは「解かりあえたときのうれしさ」を体感していく。
モーリーはお手製のスカートをはいて、自己表現することのできるただひとつの手段としてのピアノにまた没頭していく。
リサはばーちゃんが深夜に見ていたエアギター選手に触発され、オリジナルな自分をそこに発見しようとする。

ばーちゃんは前述した通り、何も薦めないし、受け取ることもない。
ただ前進するために必要なお金を渡し(財布の中にお札がぎっしりと詰まっている画は笑った)、飛びきりおいしそうな餃子を作り、おいしそうにタバコをふかすだけ。
きりきりしている若い世代と比べてばーちゃんの何て悠然としていることか。
その彼女に緊縛した糸をほぐされていく孫たちの様子は見ているだけでうれしくなってしまう。

そしてそのばーちゃんが最後にたった一言
「モーリー、クール」
と発した言葉は、このクライマックスシーンを観ている側に滂沱の涙を溢れさせること間違いなし。

そんな良い作品であることは違いはないけれど。
ただ、気になったことがいくつか。

ひとつは、ばーちゃんがトイレから出るたびに大きなため息をつくのを気にしていたレイが、同僚に
「日本のトイレはウォシュレットがあり、便座だって暖めてくれる。アメリカにはそれがない」
と教えられ、ばーちゃんの憂鬱さ(ホームシック?)を理解したところ。
日本でシニア世代はそんなにウォシュレットに愛着があるもんなんだろうか?
タイトルも『トイレット』なくらいだから相当重要なアイテムなんだろうけれど、その描写がいまいち伝わってこなかった。
まあくどいくらいに出てくる300ドルの価値のあるモノの中で、結局レイがウォシュレットトイレを選んだというのは素敵な決断だというのは解かるのだけど。

あと、舞台をアメリカにして、世間ではなかなか受け入れられないオタクだったり、心に病を抱える秀才だったりの兄妹の悲喜こもごもというものを描いた時点で、こういう題材を扱ったらピカ一のウェス・アンダーソンを想起してしまって、オリジナリティがあまり感じられなかったという点。

最後に、もういい加減同じキャストは(今回はもたいまさこだけだけれど)限界ではないかと思う。
荻上監督作だけでなく、別監督作ではあるけれど、同じ役者陣を使っての作品が数が多すぎなのではと思う。雰囲気もテーマも、全ての作品を見ているわけではないけれど、多分一緒だろう。
その作品の雰囲気が大好きだからこそ、もうこれ以上の量産体制はやめてほしいのが勝手な個人の願いだったりする。飽きる前に。クオリティを落とす前に。

とりあえずそれでもこの作品はまだお気に入りの部類(えらそうだ)。
モーリーの軽快なピアノの音が耳に残っている。

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この記事へのコメント

1. Posted by 蘭   2010年09月08日 14:32
リュカちゃん、お久しぶりです。
バースでお世話になりました蘭です。

きょう、リュカちゃんの夢を見たんです。
夢の中のリュカちゃんは スーパーのサブちで わたしは、そのスーパーを必死に探すんだけど 退職したあとだった、というものです。

元気ですか?
わたしは元気です。
いまはぱち屋で働いてます。
ブログの内容と関係ないコメントでごめんなさい。
2. Posted by リュカ   2010年09月08日 23:49
蘭ちゃんだ!
久しぶり〜!!
来てくれてありがとう♪

あはは、サブちって言葉なつかしいな〜。覚えてくれていてありがとね。
夢の中でいいから会いたかったよ(←危険人物)。

パチンコ屋さんって行ったことないけど、仕事はけっこうハードなんじゃない?
相変わらず蘭ちゃんは頑張り屋さんだなあ。
詩は今も書いている?
またブログとかサイトとかに発表する予定があったら教えてね♪
またね〜♪
3. Posted by 蘭   2010年09月09日 20:50
り、リュカちゃん(涙)。
返事がもらえて嬉しいです。

いま わたしは、「蘭」とは違う名前で モバゲーで詩を書いているよ。以前のような頻繁な更新ではないけれど、たぶん 雰囲気や文章はかわらないと思うよ(*´∀`*)

リュカちゃんのメールアドレス、わからなくなってしまった(涙)
4. Posted by リュカ   2010年09月10日 23:21
詩を書き続けているようで何より。
なんだかうれしかった。

モバゲーってことはPCでは見られないサイトかな?
わたしは未だにパケ放題にしてなくて、ケータイサイトは全くアクセスしてないんだわ(汗)。

蘭ちゃんのケータイアドレスは変わってないかな?
今日は時間が時間なので、明日メールするね♪

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