2014年07月23日

複製された男

B00ONXX2SM複製された男 [Blu-ray]
2013年 カナダ/スペイン
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ジェイク・ギレンホール
   メラニー・ロラン
   サラ・ガドン
   イザベラ・ロッセリーニ
by G-Tools


原題「ENEMY」の意味。

ネタバレ有りです。

大学講師のアダムは、恋人メアリーと暮らしている平凡な男。ある日同僚に薦められた映画を観て、そこに出ていた自分そっくりの役者を見つける。アダムはその瓜二つの男アンソニーに近づく。アンソニーには妊娠6ヶ月の妻ヘレンがいた。

さて、観た人が口をそろえて「ラストの意味が判らない」と評判の難解映画。わたしは解き明かしてやるぜ!と意気込んだものの、見事に玉砕。ラストシーンで「ひえっ?!」と声をあげ(そうになり)、ポカーンとしたまま。
つまり全く意味が判りませんでした。

なので公式サイトの解説を速攻見に行きましたよ。

そこでは監督が作品を説明してくれています。

「最も簡単に説明すると、浮気をしている既婚男性の話で、彼が浮気相手から妊娠している妻のもとへ戻るまでを潜在意識の視点から描いた作品なんだ」

ということらしいです。
なるほど、なるほどね!
これを読まなかったらさっぱりわたしには判らない作品でした……。くやしい。

けれど各シーン、各モチーフにどんな意味があるのか、整合性と辻褄を求めるとこれがまた難しいです。

わたしが参考になったのは、カゲヒナタのレビューさんのこちらの記事です。

それを踏まえて、わたし自身も、自分の頭の中の整理も兼ねて解釈してみたいと思います。


*************************************************************

【アンソニーは実在するのか】

アンソニーとは、アダムの欲望の権化。つまり彼は実在しない。

けれどアンソニーを知り、彼と言葉を交わす人物がいる。俳優事務所にいた男と、アパートの管理人らしき男。
これもわたしは実在しない人物(アダムの妄想)と考える。
事務所の男は親展の封筒を渡す。管理人は秘密部屋の会員。つまり二人とも「嫁がいるけどセックスしてえ。浮気してえ」というアダムの欲求を満たし、または誘う役どころ。アダムの潜在意識が生んだ、アンソニーと同じ「敵」。


【蜘蛛の意味】

蜘蛛とは、監督曰く「母性の象徴」。(前述のカゲヒナタさんのレビューに記載有り)

ところどころでこの蜘蛛のモチーフが出てくる。
母性=母親の支配。ラストシーンで妻へレンが蜘蛛の姿になったのは、母となる彼女が、浮気をする夫に対してその欲望を封じるというメタファー。

ファーストシーンの踏みつけられる蜘蛛・・・アダムの欲望が大きなものである象徴。

街を徘徊する巨大蜘蛛、または電線が蜘蛛の巣のように交差・・・母親と妻(やがて母となる)の支配下に置かれているという暗示。

アンソニーとメアリーの事故で車のガラスに入った亀裂が蜘蛛の巣の形・・・欲望が消された証。だからアダムは愛人を捨て、妻の元へと帰る。


【女性陣の反応】

妻ヘレンはいつも不安げ。夫がかつて浮気をしていたことを知っているから。そして多分アダムがアンソニーというもう一人の自分を作り出していることに気付いている。

愛人メアリーはセックス中にアダムの左手薬指に指輪の痕をみつけて激昂する。自分の知らないところでつけていたという事実に対しての怒り。

母親の存在・・・多分アダムはこの母親にずっと支配されてきた。今でもおとなしく彼女のお小言を聞き、ブルーベリーを云われるままに食べ、自分の家庭にも常に置くようにしている。
このブルーベリーはアンソニーも言及しているので、ここでアダムとアンソニーが同一人物であることが示唆されている。


【親展の封筒の中の鍵】

多分あの覗き部屋の鍵。
管理人が「鍵を全部替えてナンタラカンタラ、鍵はもらえるのか?」と云っていたことからも判る。
ただし、これが物理的に存在しているかは謎。
これもまた欲望を表すひとつのモチーフなのかもしれない。
その鍵を見た直後に妻が蜘蛛に変化したのも関連がありそう。


と、都合の悪いところはすべて「主人公の妄想」とわたしは置き換えましたが、もちろんただの想像です。
しかし、真の敵は性的欲望の深い自分自身だなんて、怖い映画です。



トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔