ネタバレホモ

2011年07月04日

アリス・クリードの失踪

B005WF814Aアリス・クリードの失踪 [DVD]
2009年 イギリス
監督・脚本:J・ブレイクソン
出演:ジェマ・アータートン
   エディ・マーサン
   マーティン・コムストン
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縺れた糸。

ネタバレ有りです

冒頭、中年の男と若くハンサムな男二人が色々作業をしている。
トラックにビニールシートを取り付け、ベッドを見繕い、部屋に板を打ち付ける。
手際よく行われたそれらは、次のシーンで若い女性がさらわれることから、誘拐の準備であったことが判明する。
さらわれたのはアリス・クリード。親が資産家の娘。
誘拐したのはヴィックとダニー。
彼らはアリスを監禁し、彼女の父親に身代金を要求する。

ワンシチュエーションサスペンスとしてはなかなかの出来映え。
何しろ登場人物はその人数を厳格に守ったとしか思えない3人のみ。
電話で交渉するアリスの父親も、警察も声は聞こえず、ヴィックたちが買い物をするシーンでさえエキストラがいたかどうかさえ怪しい。
それほどまでにこの3人の密なドラマが繰り広げられる。

まるで主従関係のようなヴィックとダニー。
何かとビビり、アリスの様子を気にするダニーに、プロたる流儀を叩き込むヴィック。
酒を飲むことを禁じ、アリスのトイレもその場で済まさせ、決して自分たちの姿を見せることはない。
けれどヴィックが外部と交渉に行って部屋を出ている間、ダニーはアリスに接触する。

ここで驚きの展開が。
ダニーとアリスは顔見知りで(恋人同士なのか?微妙なところ)、ダニーは彼女に恋をしていたのだった。
父親から勘当同然だったアリスがその財産を継ぐことがないことを知って、金を巻き上げて彼女と山分けをするつもりだったらしい。

けれどアリスもそれを鵜呑みにすることなく、一度は色仕掛けでダニーを受け入れるも、隙を見て銃を取り上げて形勢逆転。
それでも結局ダニーに押さえられ、元の監禁状態に戻ってしまう。
そこで発射された一発の銃弾。その薬莢を巡ってのダニーのジタバタはハラハラする一方で妙に可笑しい(どーやってもトイレに流れてくれない件)。

そしてもうひとつの衝撃の事実。
ヴィックとダニーは実は同性愛関係で、イニシアティブを握っていたヴィックの方が相手にベタ惚れだったこと。
「誘拐が成功したら、豪華ホテルでセックス三昧だ」
と言っていたのは、娼婦を呼ぶことかと思っていたらあれは自分たちのことだったのね。
その台詞の後に思い切りディープなキスシーンが入って唖然とした。

でも考えてみればそれを気づかせる伏線はたしかにあった。
二人が出会ったのが刑務所だと言っていたこと。
そしてアリスの着ていた服を切り裂いて全裸にし、それを犯すどころか目で愛でることもなく機械的にスウェットに着替えさせたところ。
アリス役のジェマ・アータートンのすばらしく豊満で白い乳房に見とれていたばかりに見逃してしまった。

とにかく意外な人間関係が露見し、そして3人が3人とも騙し騙されるコン・ゲームにドラマが移行するのは面白い。

結局例の銃痕でヴィックに全てバレ、ヴィックはダニーを撃つ。
かろうじて助かったダニーは逆にヴィックを殺し、手に入れた身代金を持って、懇願するアリスを顧みずに車で逃走する。
アリスは死に際のヴィックに助けられ、ようやく自由となって外に出る。
そこには車の中で死亡したダニーの姿が。
アリスは涙を流す。
そしてしばらくたって、莫大な金の入ったバッグを見つめ、そして車を発進させた。

このラストシーンをどう捉えたらいいのか。
彼女はこのままその金を持って逃亡したのかもしれない。
あるいは元の平穏な生活に戻ったのかもしれないけれど、勘当されている彼女が、今までのドラマを見てきてかなり強かである彼女が後者を選ぶとは考えにくい。

驚き二連発の展開と、3人だけしか出てこない凝縮された人間ドラマと、見ごたえたっぷりの2時間。

cocoroblue at 22:31|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2010年08月22日

ぼくのエリ 200歳の少女

B004DNWVIEぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
2008年 スウェーデン
監督:トーマス・アルフレッドソン
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
出演:カーレ・ヘーデプラント
   リーナ・レアンデション
   ペール・ラグナル

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「12歳だよ。ずっと昔から」

ネタバレ有りです。

オスカーは学校でいじめられている12歳の少年。
彼の家の隣に、ホーカンとエリという親子が引っ越してくる。
そんな中、喉を引き裂かれて人が殺されるという凄惨な事件が起こった。
実はエリは吸血鬼であり、父親のふりをしていたホーカンがエリのために血を調達していたのだった。
やがてオスカーとエリはお互いに心を寄せるようになる。

ストックホルムの寒々しい風景が、吸血鬼ものの雰囲気とマッチしていて良。
でも殺人手口の残忍さや、いじめっ子らの性質の悪さ、エリに血を吸われて吸血鬼化してしまった女性の壮絶な最期(陽の光を浴びた途端全身発火するシーンはビビりまくった)等禍々しさは満載ながら、オスカーとエリの交流はどこか神聖で心が温まる場面が多かった。

はじめは近づくことも牽制していたエリが、毎晩ジャングルジムでオスカーと逢瀬を重ね、ルービックキューブやキャンディをプレゼントされ(キャンディは食べた後吐いてたけど)、孤独なオスカーを放っておけなくなり、躊躇しながらも彼に魅かれていく様子がとても可愛らしかった。
オスカーもエリの助言によって、いじめられっ子に反撃をし、今までは憂さ晴らしに空をナイフで切りつけていただけだったのに、主犯格の少年を棒で殴りつけて実際に怪我を負わせるまでに成長(?)する。

孤独だったのはオスカーだけでなく、エリもまた血を飲まずにはおれない性のせいで、人を殺し、それがバレそうになるたびに土地を転々していたのだろうというのが窺える。

エリを庇護していたホーカンは、ある時殺人が未遂に終わり、自分の顔に硫酸をかけて身元を判らなくして、そのまま病院に搬送された。
それを突き止めたエリは彼の病室に忍び込み、その血を吸って、窓から彼を突き落として殺害する。
エリに大事なパートナーの女性を結果的に殺された男が、復讐をしにエリの家に忍び込み、逆に返り討ちに遭う。
もうこれ以上この土地にいられなくなったエリは、オスカーに別れを告げる。
いつもの生活に戻ったオスカーは、プールでいじめっ子らと、その兄によって溺死させられそうになる。
そこにエリが現れ、彼らを次々倒していく(水中でのオスカー視点で、くぐもった悲鳴の後、そのプールの中に生首やちぎれた腕が投げ込まれるシーンは怖すぎて笑った)。
そして二人はその後列車の中にいた。
二人で習得したモールス信号で会話をしながら。どこへ向かうのかは判らない。でも彼らはとても幸せそうだった。

という顛末で、ラストシーンを見て感じたのが、ハッピーエンド仕立てにしていながらも不穏な未来が待っているのでは、ということ。
つまりオスカーがこのまま歳をとり、彼がホーカンのような末路を辿る可能性があるのではないか、と。

けれどこのラストや、他の部分でも、原作を読んでいるとかなり解釈が違ってくるのが後で判明する。

わたしが参考にさせてもらったのは「三角絞めでつかまえて」のカミヤマさんの記事

先ず驚いたのが、エリが実は男の子で、吸血鬼になる時に去勢させられたのだという事実。
映画でエリが着替えているところをオスカーがのぞくシーンがある。
そこで映し出されたむき出しの股間はモザイクがかかっていて、これは年端もいかない少女のそれを映すことができないからだと解釈していたけれど、実はそこには去勢手術の痕が映っていたらしい。
ここをはっきり見せていないため、そんなことは思いもよらずに度肝を抜かれた。
そういえばエリはたびたび「女の子じゃないけれどいいの」とオスカーに言っていたけれど、「人間の女の子じゃない」という意味だとばかり。
これはかなり大切な要素。映画だけ観た人で、このことに気づいた人はいるんだろうか。あのモザイクはかなり問題

そしてホーカンがずっとエリを守り続けた健気な人間にしか見えなかったけれど、原作では彼はペドフィリアで、エリに血を飲ませ、そのご褒美として彼の体を触ることができたただの変態男と設定されていたらしい。

だからそれを考えると、出会いも想いも異なるオスカーが、ホーカンのようになる未来は先ずないと読み取れる。
ここでかなり安堵感があった。

そして離婚したオスカーの父親が、どうもゲイっぽく、それを感じ取ったオスカーが家族に見切りをつけたように思っていたけれど、これも間違い。
父親を訪ねてきた友人(これがまたゲイに見えたんだよなあ)が来た途端オスカーを蔑ろにし始めたのは、父親がアルコール中毒者で、友人が来る=酒が飲めるからあんな描写になったらしい。
アルコールを注ぐ場面がたしかにやけに目につくように描かれていたけれど、これもそこまで読み取るのは困難。

なので、原作を読んでいないとかなりの誤解を与える演出に難はあるものの(モザイクは日本だけかな)、それでも種族も性別も越えた少年同士の恋愛にひどく心魅かれる作品だった。

オスカーは白皙と輝く金髪が美しく、繊細な思春期の少年にぴったりだった。
ちょっと斜に構えて、エリに「入ってもいい」と言ってやらない主導権を握ったような態度の後、我慢のしすぎ(?)で血だらけとなったエリを見て慌てまくっていつもの彼にすぐに戻るところが微笑ましかった。
そしてマフラーとか、ブーツとか、シャツだとかのファッションがとてもおしゃれ。

対して身なりに気を使わないエリは、その野性味がただ美しいだけのヴァンパイアよりもいっそう魅力的だった。
血塗られた唇が美しく、最後にプールのシーンで見せた大きな瞳に完全に心が射抜かれた。

例によってハリウッドリメイクが決定しているそうだけれど、この雰囲気は絶対に出せないと確信している。

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2006年01月28日

秘密のかけら

B000F6YUCS秘密のかけら
ケヴィン・ベーコン ルパート・ホルムズ アトム・エゴヤン
松竹 2006-05-27

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大好きな監督、アトム・エゴヤンの新作。

ネタバレ有りで書きます。


カレンは若手のジャーナリスト。
彼女は、15年前に大人気だったショウビズ界のデュオ、ラニーとヴィンスの記事を書くため、彼らに接近する。

人気絶頂だった彼らが解散に追い込まれたスキャンダル。
ホテルでメイドのバイトをしていたモーリーンという女性の死体が、彼らの部屋で見つかった事件がそれだ。
結局自殺かも他殺かも判らないまま葬り去られたこの事件に、カレンは肉迫する。


やがて浮かび上がる彼らの裏の顔。
そして、抱えている大きな秘密の存在。


とにかくむやみやたらと出てくる裸、赤裸々なセックスシーンにちょいとげんなりさせられながら(主人公の女の子、脱ぎすぎじゃない?)、最後まで観るとエゴヤン監
督独特の、せつなくて、でもどこかで救済を感じられるラストに唸る。

そしてラニー役とヴィンス役のケヴィン・ベーコンとコリン・ファースがとても良い。

人をひきつけてやまないプレイボーイ然としたラニー。
一見イギリス紳士そのものながら、裏で凶暴性を秘めたヴィンス。

彼らはまるで夫婦のように連れ添っている。

それが崩壊することになった契機―。
最大の秘密。

モーリーンと三人でセックスした夜。
ラニーの背後に、覆いかぶさるヴィンス。
今にも彼を抱こうとした瞬間、跳ね飛ばされる。

「俺はお前とは寝ない!」

絶叫のように吐き出すラニーと、何かが崩れてしまったかのように顔面をぐしゃぐしゃにしてうろたえるヴィンス。
このときの二人の演技は息を呑む。

すべてを見てしまったモーリーン。
一見清楚で何の打算ももっていないように見えた彼女は、このことでラニーにお金をたかろうとした。

そしてそんな彼女を殺した犯人は…。


 秘密を持つ者は、秘密に殺される。


ゲイどころか、バイという噂さえ身を滅ぼすこととなった1950年代。
華やかなショウビズ界に君臨した二人の持つかなしい秘密。

何度も同じシーンが交錯するのもこの映画の特徴。

そして繰り返されるたび、ひとつの発見を生む。

ラニーが少女を前にして、涙を流し、何かをつぶやく場面。
彼は救済を求めた。
その瞬間、自己を投影させた少女の姿が映し出されることになる、と監督は語る。


この映画では、男同士のシーンの生々しさ(そして痛ましさ)が強烈である分、女性同士のラブシーンは、夢のように美しく撮られている。

今までのエゴヤン監督の作品では、ストリップバー、近親相姦、連続殺人などセンセーショナルな題材が扱われていても、決してそれが俗っぽく、安く仕上がらなかった。今回もそれに成功しているけれど、上記に挙げたシーンのバランスも、その効果の一端を担っているような気がする。


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2006年01月26日

天国の口、終りの楽園。

B00008AOY1天国の口、終りの楽園。
ガエル・ガルシア・ベルナル マリベル・ベルドゥ アルフォンソ・クアロン
ナド・エンタテイメント 2003-03-28

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むぅ…。
こういうお気楽ヤリヤリ青春映画ってやっぱ苦手だなー…

と思っていたら。
ちょっと意外な展開と、突き放すようなラストカットがけっこう好みで困惑。
ズルいな〜。そうきたか。

ネタバレ有りで書きます。


17歳のフリオとテノッチは、幻のビーチ、「天国の口」を目指す旅に出た。
結婚式で出会った、美しい人妻・ルイサを伴って…

ルイサは、夫から浮気を告白されている。
だからなのか、彼女は一人になったとき、泣いてばかりいた。

けれどそんな悲哀をぶっ飛ばすかのように、彼らは大いに笑い、はしゃぎ、ある時は猥談に花を咲かせ、ある時は大喧嘩する。

そして、いつしかルイサと寝るようになった二人。

とにかく生命力が画面いっぱいにあふれている映画。

セックスシーンも情熱的…と書けば聞こえはいいけれど、品がなさすぎて(まあリアルといえばリアルなの?かな?)ちょいとげんなり。

大体、誰か一人くらい貞操観念を持っている人はいないのか?と問い詰めたくなるほど、みんな節操が無い。

極めつけは、少年の一人が、相手のママとも寝たということを告白したところ。
ここで完全にわたしはアウト。

…だったのに、なんと、その夜の3Pで、いつの間にか、フリオとテノッチが腕を伸ばしあって、キスを交わし始めたのには驚いた。


そしてバラバラになる三人。

何年かして、町で再会するフリオとテノッチ。
そのとき、ルイサが死んだことを知らせるテノッチ。


自分たちと旅をしていたときには既に、余命3ヶ月ほどの命で、本人だけがそのことを知っていたのだということも。

ルイサの涙の訳がここになって明らかにされるとは。

あれほど漲っていたエネルギーは、少年二人にももう感じられない。

あのひと夏、それが青春時代との別れだったのかもしれない。

ルイサ役の女性がもうちょい魅力的だったら(でも彼女はものすごいナイスバディ!)入り込めた映画だったかも。


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2006年01月23日

クライング・ゲーム

B00005R22Oクライング・ゲーム DTSスペシャル・エディション
1992年 イギリス
監督:ニール・ジョーダン
出演:スティーヴン・レイ
   ジェイ・デヴィッドソン
   ミランダ・リチャードソン
   フォレスト・ウィテカー
   エイドリアン・ダンバー
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今まで見た映画の中で、2番目に好きな作品。

ネタバレ全開で書きます。

IRAの一員であるファーガスは、ジョディという黒人の男を人質に取る。
交渉が決裂し、ジョディを処刑しなくてはならなくなったファーガス。
けれど数日の内に心を通わせたため、どうしても殺すことができない。
ジョディは結局車の事故で死亡する。
ファーガスに、「ディルを頼む」と言い残して…。

そして彼は自分の身分と名前を偽って、ジョディの恋人、ディルに会いに行く。
魅力あふれるディルと出会い、お互いに魅かれあう二人。

けれど、ディルにはある秘密があった。

そしてファーガスも、IRAの仲間の追っ手が迫っていた…。


せつなくて、心に迫る愛の物語。

奔放で一途で“彼女”だからこそのしたたかさを持ち合わせたディルのなんて魅力的なことか。

彼女がスパンコールのドレスで「クライング・ゲーム」を歌うシーンは、そのあでやかな指先から引き込まれてしまう。

実は彼女が男だと判った後も、ファーガスはディルを突き放すことができない。

それが彼を窮地に追い詰めることになっても。


蛙と蠍の寓話がこの物語の大きなキーワード。
人間の性(さが)を、自分が溺れることが判っていても蛙を刺してしまう蠍を、誰も嘲笑うことはできない。

まっすぐに貫き通すディルの愛。
最後まで“彼女”を見捨てられないファーガスの愛。

その双方の行き着く所とは。


脚本、演出、役者の演技、挿入歌に至るまで、すべてが完璧。

こういう映画には滅多に出会えない。


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2005年05月14日

アメリカン・ビューティー

B00074C458アメリカン・ビューティー
ケビン・スペイシー サム・メンデス アネット・ベニング ソーラ・バーチ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2005-02-25

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主人公レスター。冴えない中年男性。
その妻。同業者のカリスマ不動産屋と浮気中。
その娘ジェーン。親にうんざりしている高校生。
娘の親友アンジェラ。雑誌モデルをしたことが自慢のヤリまくり少女。

隣人フィッツ大佐。大のゲイフォビア。
その妻。どこか精神不安定気味。
その息子リッキー。アンジェラよりもジェーンに魅力を感じる。


レスターはアンジェラに一目ぼれ。
「筋肉をつけたら抱かれてもいいわ」
この一言で筋トレに励む親父。


ものすごいシニカルな人間ドラマ。

それぞれのキャラが立っているだけに、エピソードに引き込まれ、しかもそれが面白さを分散させない。
辛口な故にベタベタした描写がない。

現代のアメリカ中流家庭を描いた大傑作。


タイトルのアメリカン・ビューティーは、レスターの妻が栽培する赤いバラの品種。
虚栄の赤って感じがぴったりだ。
そしてその通りの言葉で“アメリカの美”。
彼らが感じる美はそれぞれの場面で用意されている。

レスターはそのまま、表面上の美しさでアンジェラに魅かれる。
妻は外面だけを取り繕い、“幸せな家庭”を演出し、女として見つめてくれる男と浮気する。

そんな中で、リッキーだけは、風に舞うビニール袋に美を感じ取る。
彼の感性に触れたジェーン。

彼らのいきつくところとは。
以下ネタバレ。続きを読む

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2005年05月10日

デストラップ 死の罠

B000666SBSデストラップ~死の罠~
マイケル・ケイン シドニー・ルメット クリストファー・リーヴ ダイアン・キャノン
ワーナー・ホーム・ビデオ 2004-12-03

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…このカテで書くといきなりネタバレなので…
すみません…

できれば、予備知識なしで見てほしい作品。

どんでん返しがきれいに決まる。


最近ヒット作が出せない舞台脚本家とその妻。
ある日、脚本家希望の青年が自分の作品を持ってやってくる。

夫婦は青年を殺して、その作品を自分のものとして発表することを試みるが…


ほぼ一部屋で起こるサスペンス。

妻の緊張、
青年の徐々に表れる不安の表情、
いつ殺人を決行するか待ち構える主人公…

見ていてハラハラするのは密室劇ならでは。

だからそこに外から人が訪ねてくると異常にドキドキしてしまう。

さて、このゲームに勝つのは誰なのか。
以下、ちょいネタバレ。
続きを読む

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2005年05月05日

去年の夏、突然に

去年の夏 突然に
キャサリン・ヘプバーン ジョセフ・L・マンキウィッツ エリザベス・テイラー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2004-06-23


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若き医師がある日、ビネブル夫人という女性から、彼女の亡くなった息子・セバスチャンの従姉妹であるキャザリンへのロボトミー手術を依頼される。

けれどキャザリンは狂ってはおらず、何か心に深い傷を秘めていると医師は見抜く…


クライマックスは、セバスチャンの死の凄絶な真相を語るシーンに収斂される。


さて、このセバスチャンという男、実は同性愛者だったという設定。

彼は若い男たちをそばに寄せたいために、はじめは美しい母を、彼女が年老いて役にたたなくなると、若くきれいなキャザリンをはべらせていた。

ある日、彼は何人もの少年たちに追い詰められ、生き皮を剥がされるかのような残酷な殺され方をする。


自分が認めたくなかった息子の性癖と最期。
虚栄を張り、高貴なままでいた夫人のアイデンティティーが完全に崩壊されるシーン、夫人役のキャサリン・ヘップバーンはやはり見事。


ところで、このセバスチャンは顔を見せない。
回想の中のシーンでも顔は塗りつぶされたまま。

セルロイド・クローゼット』では、この作品を

「同性愛という要素を曖昧にしてしまったため、わけの判らない映画になってしまった」と評している。
また、その同性愛者である彼に個性を持たせない(人権を認めない?)ために顔をうつさなかったのだろう、と。

まだオープンにゲイが描けなかった時代の、でも十分衝撃的な作品。


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2005年05月02日

狼たちの午後

狼たちの午後
アル・パチーノ ジョン・カザール クリス・サランドン ランス・ヘンリクセン
ワーナー・ホーム・ビデオ 2000-04-21


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うだるように暑い昼間。

銀行に強盗三人が押し入る。


切羽詰まった男たちの骨太のドラマ。
でもあまりに犯罪の素人たちの寄せ集めなので、ユーモアが生じる。

銀行での人質と犯人との奇妙な連帯感。
英雄視される犯人。

緊迫した中にアル・パチーノの怒号が響き渡るシーンは圧巻。


このアル・パチーノ演じるソニー。
実は同性の恋人の性転換手術費用をまかないたいために銀行強盗をしたことが後で判る。

それも哀れを誘う。

社会派シドニー・ルメット作品の中では見やすい一作。


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2005年04月17日

B00007KK1KThe River
1997年 台湾
監督 ツァイ・ミンリャン
出演 リー・カンション
   ミャオ・ティエン

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無口な父、浮気中の母、そして首が痛む奇病にかかった息子。

かと言って、この家庭は完全に崩壊しているわけではない。
ただ、無関心で、うすら寒い。
それが息子の病気が顕在化したときから少しづつ会話は生まれる。

でもみんな孤独なのだ。

それをつなぎとめたものは何なのか。

あるゲイサウナで、父と息子はお互いを知らないままに愛撫しあう。

のけぞった息子の吐息がとても複雑に艶っぽい。
父親は、明るい場所で今自分が抱いた相手が息子だと知り、頬を叩く。
まるで自分を叩くように。


外は明るい。
こんな形でつないだ絆はどうなっていくのか。



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