こんばんは、お馴染みの田邉です。
今夜も眠い目をこすりながら、ブログを書いているよ!




今日は「さ行」編!
「ブログの記事に終りが見えないくらい長いから、斜め読みしてる(要約)」って言われたので
もうさくさく読めるように、一文字から一単語しか選出しなくていいよね!


書くのが面倒になったわけじゃないよ!
きっと読者が私の古典に対する溢れる愛を受け止めきれないんだな、って今さら気付いちゃっただけなんだからねっ!




それでは、いってみよう!







●三途の川(さんづ-の-かは)
(仏教語)死者が冥土へ行く途中、死んで七日目に渡るという川。
三つの瀬があり、番人がいて、生前の業(=行為)によって、善人は橋を、罪の軽い者は浅瀬を、罪の重い者は流れの急な深い瀬を、渡らせるという。



亡き人を 慕ふこころに まかせても 影見ぬみつの 瀬にや惑はむ

訳:亡き人をお慕いする心に任せて後を追っても、そのお姿の見えない三途の川の水の瀬で、自分は途方に暮れるのであろうか。




出典は源氏物語「朝顔」。詠んだのは主人公の光源氏です。

かつて、女性は初めて恋仲になった男性に背負われて三途の川を渡る、とされていました。
しかし、藤壺(光源氏の育ての母)が亡くなった際、自分と藤壺は恋仲でも夫婦でもなかったため
あの世で再会することはできないのだ、と悲嘆に暮れてこの歌を詠んだとされています。
「みつの瀬」が三途の川を指している単語ですね。 



しかし、この歌では「後を追っても」と詠まれていますが
光源氏は後追いをする可能性も考えていたんでしょうか。うむむ。





●験(しるし)
神仏の霊験、ご利益。効果、ききめ。 



験なき ものを思はずは 一坏(ひとつき)の 濁れる酒を 飲むべくあるらし

訳:効果のない物思いなどしないで、一杯の濁り酒を飲む方がよいように思われる。




出典は万葉集・3巻・338、詠み人は大伴旅人です。

「濁れる酒」とは、酒粕を濾していない酒のことを指します。
当時から濾して飲む酒はあったようですが、 中国では濁り酒を「賢」と呼んだことから
濁り酒をあえて飲む自分は賢人である、という半ばシャレのような意識があったとされています。

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ぐちゃぐちゃ考えるよりお酒飲んで寝ちゃった方が、気分がさっぱりしますよね。きっと。


ちなみに私は別に賢人ではないので、濁り酒よりは普通に濾したお酒の方が好きです。





●すがら
初めから終わりまでずっと。その間じゅう。 



恋ひ死ねと する業(わざ)ならし むばたまの 夜はすがらに 夢に見えつつ

訳:これでは(私に対して)恋い焦がれて死になさいと言わんばかりに仕向けているようだ。
夜は一晩中(あの人が)夢に繰り返し現れて焦らすとは。 




出典は、 古今和歌集・恋1巻・526です。

中高時代の私がチョイスした歌のはずですが、やたら夢ネタが多いですね。
先日、夢を覚えてるのはストレスがたまってるからなんじゃないか、という説を聞いて
普段からよく見た夢を覚えてる私は、そんなにストレスがたまってるのかな…と不安になってしまいました。





●背の君・兄の君(せ-の-きみ)
女性から男性を、敬愛の情をこめて呼ぶ語。特に、夫をさしていうことが多い。あなた、あの方。



うら恋し 我が背の君は なでしこが 花にもがもな 朝な朝(さ)な見む

訳:恋しいあの方はなでしこの花であったらいいなあ。そうすれば、毎朝毎朝見ていようものを。




出典は、万葉集・17巻・4010です。

男性が女性をお花に例えるのはしばしば見られる表現ですが、これは 女性が男性を花に例えていますね。
さらに、その例えた花が「大和撫子」と女性をさすことに用いられるなでしこ。面白い例だと思います。


ちなみに、なでしこの花言葉って「純愛」とか「大胆」なんですよね。
好きな人を毎朝見たいだなんて、この歌を詠んだ人自身が大胆だなあとか思っちゃいます。私からすると。





●袖振る(そで-ふる)
(合図や別れを惜しむ表現として)袖を振る、袖を振りながら舞う。



もの思ふに 立ち舞ふべくも あらぬ身の 袖うちふりし 心知りきや

訳:物思いの苦しさに、立って舞うことなどできそうにないこの身ですが、袖を振って舞った意味がお分かりになりましたか。 




出典は源氏物語「紅葉賀」、詠み人は光源氏です。

上代から中古の時代において、袖を振ることで自分の恋心を伝えるという風習がありました。
この場面では、光源氏が「青海波(せいがいは)」という舞を演舞するにあたって
片思いの相手である藤壺に「自分は舞の中で袖を振っていたでしょう、あなたへの思いをこっそり伝えていたのですよ」と
それとなく伝えようとしていた、という歌です。




ちなみに、これが「青海波」の舞です。



なんというか…間接的ですよね。確かに思いを直に伝えるのは憚られるかもしれませんが
だからといって、元から袖を振る振付の舞に混ぜられても「分からんわ!」という感想しか抱けない
残念な現代人が私です。
いえ、私だけじゃないと思います、こう思ったの。 








厳選した5単語、いかがでしたか?
別に量を減らしたからって、私らしさを見失ってなんかいないんだからねっ!






ではでは
明日も楽しく古典を分かった気になっちゃいましょう!



チャオ!