こんばんは!
ご無沙汰しております、田邉です。
先日、卒業パーティで後輩たちに見送られ
無事に卒業したはずです…が、、、、
数名の後輩たちに「先輩、ぶろg…(チラッチラッ」と言われてしまいましたので
「いい加減卒業しろよ!」と影で思われながらも、臆面もなくブログを書き続けるよ!
老害って楽しいね!!!
今日は「な行」編!
●夏虫(なつ-むし)
蛾・蝉・蛍など、夏の虫の総称。
夏虫の 身をいたづらに なすことも 一つ思ひに よりてなりけり
訳:夏虫が灯火に飛び込んで身を焼き滅ぼすことも、私と同じ、自分だけの片思いの火によってであった。
出典は、古今和歌集、恋一巻、544です。
「夏虫」は、上記の歌のように蛾を連想させ
火に飛び込んでしまう様子から、恋に身を焦がす表現としてよく使われます。
その次に多いのが、蛍を表したものでしょうか。
大和物語の第40段には、こんな歌が登場します。
包めども 隠れぬものは 夏虫の 身よりあまれる 思ひなりけり
これは、捕まえた蛍を衣の袖に包んで、恋心を抱いている男宮に差し出した少女が
衣の外に漏れる蛍の光と自分の「思ひ(灯 ひ、との掛詞)」を記した歌です。

夏の虫は秋まで生きていられるものが少ないイメージなので
恋の儚さも、印象の中に含まれているのかも知れませんね。
●匂ふ(にほ-ふ)
よい香りが漂う、恩恵が及ぶ、美しく照り輝く、美しく染まる・染める。
紫の 匂へる妹(いも)を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我(あれ)恋ひめやも
紫草のようにつややかで美しいあなたを、気に入らなく思うならば、どうして人妻であるあなたに恋い慕いましょうか。
出典は、万葉集1巻、21。
なんと情熱的な歌でしょう。
ツンデレと見せかけてからの情熱的な口説きで、もうギャップがたまりませんね。
私は別に人妻じゃないですけど、こんなこと言われたらちょっとドキッとしちゃうかも知れません。
ちなみに、今では「浮気」とか「不倫」という言葉をよく(?)使いますが
そんな言葉が生まれる前は、「よろめき」なんて言葉を使ったそうです。
よろめき…ちょっとフラッというか、クラクラしちゃった感じのニュアンスが出てる表現ですね。
この単語をチョイスした人のセンスには脱帽です。
●盗まふ(ぬすま-ふ)
盗みを繰り返す・盗み続ける、嘘を言う・ごまかす。
心さへ 奉(まつ)れる君に 何をかも 言はずて言ひしと 我が盗まはむ
訳:心さえさしあげたあなたに、何をいったい「言ってない」「言った」と私がごまかすことがあるだろうか(いや、ない)。
出典は、万葉集11巻、2573です。
今の時代でもしばしば痴話喧嘩で見られる光景ですね。
昔も今も、恋人や夫婦が喧嘩する理由ってあんまり変わらないものなんでしょうか。
そう考えると、なんだか面白いですね。
●嶺ろ(ね-ろ)
(上代東国方言、「ろ」は接尾語)峰。
青嶺(あおね)ろに たなびく雲の いさよひに 物をそ思ふ 年のこのころ
訳:青い峰にたなびく雲が去りかねてたゆたうように、ためらいながら物思いをしているよ、ここしばらくは。
出典は、万葉集14巻、3511。
この歌においては、解釈が何通りも存在しており
ためらっている主体は「読み手」である場合もあれば「あの子」と訳す場合もあるようです。
また「年のこのころ」についても、
「ここしばらく」と訳すこともあれば「多感な年頃である今」や「一年の間でもこの時期は」という訳もあって
漠然としたイメージのみを与えるこの歌を詳細に読み解くのは、なかなか難しいことなのかもしれません。

雲に対して「山から去りかねてたゆたう」と擬人的表現を使っているのも、興味深いですね。
詠み手は、何に対してのためらいを雲に重ねているのでしょうか。ふふふ。
●残り無し(のこり-な-し)
残っているものがない。あますところがない。
春立てば 消ゆる氷の 残り無く 君が心は 我に解けなむ
訳:立春になると消える氷が全部溶けるように、あなたの心もあますところなく私に打ち解けてほしい。
出典は古今和歌集・恋1巻・542です。
こうは歌っているけれど、実際の立春ってまだ寒いですよね。
旧暦の立春だと暖かかったんでしょうか。
それとも、まだ寒いけど「春だと思えば暖かい気がしてきた!」みたいなノリなんでしょうか。
現代っ子の私には分かりません。

心を全部打ち解けさせるって、なかなか難しいことですよね。
特にこの歌は恋の歌ですから
詠み手からすると「あなたのことを全部知りたい、だからもっと心を開いて!」っていう感じなんでしょうが
相手からすると、詠み手のことを好きでも嫌いでも、隠しておきたいこととか言いづらいことってやっぱりあると思うんです。
むしろ、好きだったり仲良くしたい人にこそ、晒せない心って増えていっちゃうんじゃないでしょうか。
以上、「な行」でした!
3月いっぱいまでは学生だし、それまでに間に合わせるので
どうか今しばらく書かせてください、よろしくお願いします!!!
では、また明日!
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