翼のない天使が俺のお邪魔虫

 突如俺にしか見えない天使様が現れた。そのおかげか俺の周りに女性たちが集ってくる。 そんな中天使のくせに邪魔をしてきた。そんなちょいと変わったラブコメ。

2013年12月

 

自宅に帰っても俺の存在は認知してもらず夕飯は出なかった。それどころか母は俺の部屋すら訪れることなく就寝した。

「腹減ったな」

「腹減ったかの。勝手に食べてくればいいのじゃよ」

「人ごとだと思って……」

「お主が悪いのじゃ。ワシの指示を受けないからこうなったのじゃ。反省せえ」

「魅力ってどうしたら回復するだ」

「そうじゃな手早いところで言えばワシなんて打って付けじゃな」

「お前が~」

「なんじゃ不満か?」

「第一お前人間じゃないじゃんか」

「失礼な。ワシらは人間の妄想により生まれし神じゃぞ。地に落ちたとは言え、お主には見えるのじゃ。堕天を信じる者もいるということじゃな」

「そうなのか。俺がイメージする天使と大分違うんだけど」

「それは人間の理想じゃろ?理想と現実の区別くらいつけんか」

「そんなもんかね~」

 俺はベットに転がり腹の虫から目を反らした。

「何かいい方法はないのかな」

「さっきから言っておろう。ワシと会話すればお主の魅力は微弱だが回復の兆しがあるじゃろうな」

「微弱ね~。それをどこで判断すればいいんだ」

「そうじゃな。お主の母なんて最適じゃろ~」

「なんで母?」

「お主の母はお主の存在を忘れている。言うなれば学校にいた頃よりも魅力のマイナスが進行しているってことじゃな」

「マジでか。次はどうなる?」

「名前がなくなり、存在が消える」

 俺の倦怠感溢れた生活にそんな致命的な欠陥が存在するとは。人間なんてものは対外、土・日曜ともなれば誰だって本性を露わにするものだ。それが当然の摂理。女性がいない場では男性は怠け、男性がいない場では女性は怠ける。

 自然の摂理にそんな事実が含まれているとは……

 

 授業開始のチャイムが鳴り俺は特急で教室に向かった。

 教室には先生の姿があり俺は遅刻を悟った。だが先生は扉を開いたにもかかわらず無反応で黒板と睨めっこしている。よし今のうちと頭を低くして机に向かうが誰も俺に視線を送ってこない。

 机に着くとふぅ~と息を吐き机から数学の教科書を取り出した。

「じゃ~ここは……」

 先生は名簿を指差した。

「じゃ~三村」

「はい」

 俺はげんなり返事をすると席を立った。

「三村。あいつどこへ行ったんだ」

「へ……」

「三村がどこへ行ったか知っている者いるか」

「……」

 教室を静寂が支配する。誰も口を開かず、ざわついた反応もない。俺って本当に空気だな。

「朝は一人でコントしてると思えば突然の欠席か」

「待ってください。俺ここにいますよ」

「まったくしょうがないやつだ。じゃ川島やってみようか」

「え~」

 クラス中から笑いが起こった。

 どうして俺はここにいるのに……

「これが魅力がマイナスした結果じゃな。今はお主の存在が見えない程度じゃが、そう遠くないうちに名前がなくなり生きた証まで消えるじゃろう。そして最後は消滅の道を辿るのじゃ」

「どうしてそんなことが……」

「言うておろうが。お主が16年間怠けた結果じゃよ。人は生まれ落ちた時を100として成長と共に他人に吸収もしくは吸収する側に回るのじゃ。例えるなら川島とやらがお主の魅力を吸収して人気を勝ち取っているといっても過言じゃないのじゃよ」

「川島~」

 俺の声が教室中を反響するが誰も反応してくれない。

 俺はこの時、空気になった事実を受け止めた。

UPしても私の作品回ってこないのはなぜ?
それとも人気作品しかUPしない仕組みになってるのかな?
 
 椎名 ましぅの疑問でした。

 いや~風にあたってましたらふと思い浮かんじゃいました。
 昨日までテーマも浮かばなかったのに。。。
 星空に感謝ですかね。
 まぁそんなことで小説家になろうで新作「国軍最小のドラゴンスレイヤー」を書きたいと思います。
 興味がある方は椎名 ましぅで検索してね!!

「では行きますか」

 階段を下り一階隅の工作室までたどり着いた俺はストレッチを始めた。

「これからどうするのじゃ」

「まぁ見とけ。ちゃんと着いてこいよ」

「……」

 疑問符を浮かべる天使をよそに俺はクラウチングスタートの大勢に入った。

 では今日も行きますか。

 深く息を吸い肺を膨らませる。瞳を瞑り再度開く。

「ゴー」

 俺は滑走した。

 一階下駄箱を抜け職員室を通過するとコーナーを曲がり勢いをつける。教室を3つ過ぎた所で階段を駆け上る。

 階段では女子生徒が雑談していてその中を割って入った。スカートがふわっと捲れパンツを拝んだ俺は腕を振り加速する。

 2階の教室前でパンを咥えた少女と目があった。

 本日当たりくじ。

 行ける。このまま突っ走れ。

「危ない退いて~」

 俺は減速して少女に飛び込こんだ。

 はずだった

 だが、当たった感触もなく俺は一人廊下でヘッドスライディングしていた。

 ヒリヒリとする顔面を押さえながらトイレに向かう。

 どういうことだ。教室で空気扱いされている俺でも衝突は出来るはずだ。俺の体はどうなってる。

 顔を洗い鏡を見るとそこには誰も映っていない。

「なんぞ」

「気づいたか。これが魅力のマイナスになった結果じゃな」

「どういう事だよ」

「魅力がマイナスになると存在そのものが認知されなくなるのじゃよ。それは人間としてだけではなく、事象としてもじゃな」

「だから俺は女の子にぶつかることができなかったと」

「そうなるの。今お主が教室に入ったところで誰も感じ取ってくれないじゃろうな」

「そんなのありかよ」

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