自宅に帰っても俺の存在は認知してもらず夕飯は出なかった。それどころか母は俺の部屋すら訪れることなく就寝した。
「腹減ったな」
「腹減ったかの。勝手に食べてくればいいのじゃよ」
「人ごとだと思って……」
「お主が悪いのじゃ。ワシの指示を受けないからこうなったのじゃ。反省せえ」
「魅力ってどうしたら回復するだ」
「そうじゃな手早いところで言えばワシなんて打って付けじゃな」
「お前が~」
「なんじゃ不満か?」
「第一お前人間じゃないじゃんか」
「失礼な。ワシらは人間の妄想により生まれし神じゃぞ。地に落ちたとは言え、お主には見えるのじゃ。堕天を信じる者もいるということじゃな」
「そうなのか。俺がイメージする天使と大分違うんだけど」
「それは人間の理想じゃろ?理想と現実の区別くらいつけんか」
「そんなもんかね~」
俺はベットに転がり腹の虫から目を反らした。
「何かいい方法はないのかな」
「さっきから言っておろう。ワシと会話すればお主の魅力は微弱だが回復の兆しがあるじゃろうな」
「微弱ね~。それをどこで判断すればいいんだ」
「そうじゃな。お主の母なんて最適じゃろ~」
「なんで母?」
「お主の母はお主の存在を忘れている。言うなれば学校にいた頃よりも魅力のマイナスが進行しているってことじゃな」
「マジでか。次はどうなる?」
「名前がなくなり、存在が消える」
俺の倦怠感溢れた生活にそんな致命的な欠陥が存在するとは。人間なんてものは対外、土・日曜ともなれば誰だって本性を露わにするものだ。それが当然の摂理。女性がいない場では男性は怠け、男性がいない場では女性は怠ける。
自然の摂理にそんな事実が含まれているとは……