2015年12月17日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



769 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 15:53:13 ID:1iBTrSVw0

2015年12月1日(火)

「──……ぁふ」
漫画を読みながら大あくびをかましたのは、俺ではなく、うにゅほだった。
「こんな時間からあくびなんて、珍しいな」
「うん……」
「眠れなかったのか?」
「もうふ、おもくて……」
「あー」
本格的な冬の到来を肌で感じ、昨夜から毛布を二枚に増やしたのだった。
「毎年、慣れるまでちょっとつらいよな」
「うん……」
「羽毛布団でも買おうか?」
「……うーん」
うにゅほが小首をかしげる。
「かるすぎても、ねむれなそう」
「わかる」
包み込むような毛布の重みは、羽毛布団にはない安心感を与えてくれる。
「まあ、すぐに慣れるよ」
「そだね……」
なんだかんだと言いつつ毎年慣れているのだから、それは間違いない。
「眠いなら、すこし横になったら?」
「ひるねしたら、よるねれなくなる……」
「すこし目を閉じるだけでも、けっこう違うぞ」
「さんじゅっぷんくらい?」
「三十分くらい」
「……ひざまくら、してくれる?」
「はいはい」
うにゅほの頭を膝に乗せ、前髪を掻き上げてやる。
「んー」
「アイマスク、いるか?」
「いい……」
「丹前、肩まで掛けなくて大丈夫か?」
「──…………」
「?」
「……すう」
既に眠っていた。
のび太ほどとは言わないが、なかなかの早業である。
「──…………」
ぷに。
「むい」
「──…………」
ぷに。
「ふぃ」
起こしてしまわないよう細心の注意を払ってほっぺたをぷにぷにしながら読書に戻る。
仮眠をとったうにゅほは、とてもすっきりした顔をしていた。 








770 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 15:54:56 ID:1iBTrSVw0

2015年12月2日(水)

今日は弟の誕生日だった。
「(弟)、よろこんでくれたかなあ」
「たぶんな」
今年は、ふたりでお金を出し合って、肘掛けつきの立派な座椅子をプレゼントした。
いまごろ感動にむせび泣いていることだろう。
「××用の座椅子も買おうか?」
うにゅほプレイスに設置してある座椅子は、俺の仕事用のものだ。
仕事の始まる時刻になると、どうしても回収せざるを得ない。
「うーん……」
うにゅほが小首をかしげる。
「いらない、かなあ」
「俺が仕事してるとき、困るだろ」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「◯◯がしごとしてるの、みてるの、すきだから」
「──…………」
仕事中に隣にいるのって、行き場がないからじゃなかったのか。
ちょっと照れる。
「……そうだ、今日、ケーキはあるのかな」
誕生日と言えば、ホールケーキだ。
これを楽しみに日々を生きているようなものだ。
「きょう、ケーキないって」
「えっ……」
あからさまにがっかりした俺を見かねてか、うにゅほが言葉を続ける。
「あ、その、きょうはないけど、こんどあるって」
「……クリスマス?」
「どにち!」
「本当に?」
「たぶん……」
自信はないらしい。
「パーティとかどうでもいいけど、ケーキは食べたい」
「ケーキ、すきだねえ」
「ホールケーキなんて、誰かの誕生日くらいしか食べる機会ないからなあ……」
「そだね」
カットケーキとホールケーキは別腹に入る。
読者諸兄にも、この感覚を理解できる方は、少なからずいるはずだ。
「……さいきん、ケーキつくってないね」
「そうだなあ」
だいぶ腕がなまっている気がする。
「クリスマス、つくっていい?」
「じゃあ、作るか」
「うん!」
スポンジから焼くのは面倒だから、市販のものを買ってきて、デコレーションだけ凝ろうかな。 







771 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 15:56:36 ID:1iBTrSVw0

2015年12月3日(木)

牛乳を飲もうとグラスを取り出したとき、慌てた様子でうにゅほが駆け寄ってきた。
「うと、なにのむの?」
「牛乳だけど……」
「わたし、つぐね!」
と、グラスを奪われてしまった。
「──…………」
「どうして後ろ向いてつぐんだ?」
「……うへー」
「なんか誤魔化してる?」
「ごまかしてない……」
「本当?」
「ほんと……」
嘘のつけない子である。
「はい」
「ありがとう」
牛乳のなみなみとつがれたグラスを受け取り、テーブルにつく。
「おかわりしたくなったら、いってね」
「わかった」
うにゅほがこちらに背を向けた瞬間、牛乳を一瞬で飲み干し、冷蔵庫を開けた。
「わあ!」
牛乳パックを取り出す。
「──……?」
パックの注ぎ口が、よれよれになっていた。
「うー……」
「なんでこんな──」
言いかけて、気づいた。
「……××、逆から開けたな」
「ごめんなさい……」
「いや、謝ることはないんだけどさ」
ぽんぽんと頭を撫でる。
「あと、隠すほどのことでもない」
「──…………」
「俺だってたまにあるし」
「……ほんと?」
「半分寝ぼけてたりするとな……」
「そかー……」
安心したように、うにゅほがほにゃりと笑う。
「ま、つげればいいんだ、つげれば」
そう言って、二杯目の牛乳をグラスに注ぎ、コストコのパンを口に放り込んだ。
 






772 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 15:57:25 ID:1iBTrSVw0

2015年12月4日(金)

「──……う」
目を開ける。
近視に滲んだ天井が見えた。
「あ、おきた」
「おはよう……」
「おはよ」
枕元に手を伸ばし、眼鏡を拾い上げる。
そのまま片手で掛けようとして、
「ぐあ!」
眼球に痛み。
一瞬で覚醒し、状況を把握する。
「──…………」
つまり、その、眼鏡のつるが目に刺さったらしい。
「◯◯、どしたの! だいじょぶ!?」
うにゅほが心配の声を上げる。
「いや、あのー、ええと、大丈夫、大丈夫だから……」
眼鏡を掛け損なっただなんて、恥ずかしくて言えやしない。
「でも、すごいこえした」
「ちょっとびっくりして……」
「びっくり?」
「うん」
うにゅほが小首をかしげる。
「なんにびっくりしたの?」
「──…………」
どうしよう。
なんと答えるのが正解なのだろうか。
「えーと、だな……」
「うん」
「つまり、その、半分寝ぼけてて」
「うん」
「眼鏡が……」
「めがねにびっくりしたの?」
「その、眼鏡がだな」
「うん」
あ、これ誤魔化すの無理じゃない?
「……眼鏡のつるが、目に刺さった」
「つる?」
「耳に掛けるところ……」
「え、だいじょぶ?」
「大丈夫だと思うけど」
「みして」
うにゅほが俺の右目を押し開く。
「ちょっとあかい」
「寝起きだからじゃないか?」
「ひだりめより、あかいよ」
「そうか……」
「めぐすりもってくるね」
「──…………」
素直に心配されるのって、笑われるより恥ずかしいな。
うにゅほに目薬をさしてもらいながら、そんなことを考えていたのだった。 







773 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 15:59:27 ID:1iBTrSVw0

2015年12月5日(土)

「ぶー……」
鼻が詰まっている。
また、風邪を引いてしまった。
今日は会社の忘年会だったのだが、
「いっちゃだめ」
という鶴の一声によって欠席する運びと相成った。
「やさいジュース、つくったよ」
「ありがとう……」
うにゅほの作る野菜ジュースは絶品である。
レシピはよくわからないが、どうやらキウイと柿が入っているらしい。
「やさいジュース、まいにちのんでるのにねえ」
「ああ……」
病弱は病弱なりに努力しているのだけど、風邪を引く頻度はあまり変わらない。
「筋トレしてるし……」
「うん」
「あったかくしてるし……」
「うん」
「栄養もとってるし……」
「うん」
「毛布も増やしたし……」
「あ」
うにゅほが声を上げた。
「どうかした?」
「◯◯、もうふ、けとばしてた」
「今日?」
「うん」
「じゃあ、それだ」
「うん」
寝相は悪くないが、よくもない。
毛布を蹴り飛ばすこともあるだろう。
「もうふ、にまいにふやしてから、よくけとばしてる」
「そうなのか……」
「きづいたらかけなおしてるけど……」
「それは、うん、ありがとう」
毛布を増やすのは、すこし早かったかもしれない。
うにゅほも重い重いと嘆いているし、もうしばらくは一枚で様子を見てみようかな。 







774 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:00:59 ID:1iBTrSVw0

2015年12月6日(日)

弟の誕生日ぶんの持ち越しで、今日はちょっとしたごちそうだった。
「……和牛、美味かったな」
「うん……」
「一枚いくらだったっけ……」
「にせんえん……」
「五人分で一万円か……」
「うん……」
「……たまになら、いいな」
「うん……」
「脂、マジで溶けるんだな……」
「うん……」
「テレビの食レポとかで、肉食べて甘い甘い言ってるの見てさ」
「うん」
「馬鹿っぽいなーって、ずっと思ってたんだよ」
「ほんとにあまかったね……」
「ああ……」
滲みかけた唾液をすすり、胃袋に消えた和牛に思いを馳せる。
「また食べたいなあ……」
「◯◯のたんじょうび、わぎゅうにする?」
「それもいいなあ……」
ぐう。
腹が鳴った。
「……◯◯、まだたべれるの?」
「ステーキ肉一枚なんて、腹三分目ってところだぞ」
「すごい」
うにゅほが目をまるくする。
「でも、あんましたべたらふとるよ」
「今日はもう食べないよ。ケーキしか」
「あ、ケーキきる?」
「頼む」
「おたんじょうびおめでとうのチョコ、いる?」
「……それは弟にあげてくれ」
「わかった」
弟の誕生日。
それは、ごちそうとケーキを頬張るための口実の日。
まあ、誕生日プレゼントはちゃんとあげたんだし、いいじゃん。 







775 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:03:30 ID:1iBTrSVw0

2015年12月7日(月)

「ただい──うわっ」
歯医者から帰宅すると、部屋が異様に蒸し暑かった。
「おかえりー」
「ストーブ強すぎじゃないか?」
「そかな」
電源を落とそうとストーブに近づくと、そもそも稼働していないことに気がついた。
「なんだ、もう消したのか」
「さっき」
「それにしても暑いな……」
ジャケットを脱ぎ、温湿度計を覗き込む。
23℃。
「……あれ?」
そんなに暑くない。
首をひねりかけたが、真相はそのすぐ下にあった。
「あ、湿度50%!」
なるほど蒸し暑いはずである。
「空気清浄機の加湿機能、オンにしたのか」
「うん」
うにゅほが笑顔で頷く。
「◯◯がかぜひくの、しつどのせいかなっておもって」
「あー……」
あるかもしれない。
「乾燥してると、風邪引きやすくなるからな」
「なんでだっけ」
「たしか、鼻とか喉の粘膜が乾燥するから──だったと思う」
正直、あまり詳しくはない。
「最近やたら体が痒かったのって、たぶん、乾燥肌のせいだろうな……」
いま気づいたけど。
「かんそうはだって、かゆくなるの?」
肘をボリボリ掻きながら、頷く。
「なる。すごいなる」
「そなんだ」
うにゅほにはまだまだ無縁の話である。
羨ましい。
「……保湿クリームとか、買ってこようかなあ」
「ぬってあげるね」
「ありがとう」
よくわからないが、ニベアとかだろうか。
ドラッグストアで探してみよう。 







776 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:05:11 ID:1iBTrSVw0

2015年12月8日(火)

「──……ずひ」
鼻をすする。
「かぜ、なおんないねえ」
「ああ……」
「かしつき、きかないねえ」
「加湿は、あくまで予防だからな……」
「よぼう」
「××のことは守ってくれると思う」
「◯◯のこと、まもってほしい」
「それは、いったん完治してからだな……」
「うん」
「……悪いけど、ちょっと寝るな」
「おやすみなさい」
布団にもぐりこみ、枕元に置いてあったアイマスクを装着する。
ぶち。
「──…………」
紐が、切れた。
「……なんか壊れた」
「ほんとだ……」
「どうしよう」
アイマスクがなければ眠れないわけではないが、睡眠は明らかに浅くなる。
「なおす?」
「……いや、いい。だいぶへたってるみたいだ」
修繕したとしても、またすぐに千切れるだろう。
「しかし、困ったな……」
アイマスクはまた新しく買うとしても、いま使えるものがない。
「とりあえず、タオルでも巻くか」
「あ、ねてていいよ」
うにゅほが俺の肩を押さえる。
「悪いけど、適当にタオルとか手ぬぐいとか──」
そう言いかけたとき、視界がふと暗くなった。
ちいさなふたつの手のひらが、俺の両目を隠したのだ。
「……××」
「わたし、あいますくするね」
「いや、ちょっと無理があるんじゃ」
「おやすみなさい」
「……おやすみ」
目を閉じる。
暗い。
アイマスクとしての機能は申し分ない。
だが、
「──…………」
「──……」
僅かな身じろぎ。
吐息。
手のひらの熱さ。
無理をさせているという罪悪感。
総じて、落ち着かない。
「……××」
「んー?」
「ごめん、眠れそうにない」
「……そか」
明るさに目を開くと、うにゅほが残念そうな笑みを浮かべていた。
今度はどんなアイマスクにしよう。 







777 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:06:48 ID:1iBTrSVw0

2015年12月9日(水)

キーボードを叩く音だけが自室の空気を震わせる。
仕事用の書類を作っているのだが、これがなかなか難しい。
「──ね、◯◯」
「ん?」
「くび、まがってる」
うにゅほの方へ振り返ると、視界が斜めになっていた。
「……ほんとだ」
おもむろに首を戻す。
「◯◯、じーうってるとき、いつもくびまがってる」
「そうか?」
意識したことがない。
「日記書いてるときも?」
「うん」
「どのくらい?」
「おれそう」
「そんなに」
「くび、いたくないの?」
「首……」
首筋に手を這わせると、すこし凝っているようだった。
「……うーん、痛めてる、か?」
よくわからない。
座椅子から腰を上げ、うにゅほが言った。
「くびもむね」
「ああ」
うにゅほに背中を向ける。
もみもみ。
やわやわ。
「きもちい?」
「お、お、おー。気持ちいいぞ」
肩に比べて力が込めやすいのか、うにゅほの握力でもけっこう効く。
「おきゃくさん、こってますねー」
「そんなに凝ってるかな」
「わたしよりこってる」
「そりゃそうだろ」
「おかあさんより、こってない」
「母さんはな……」
苦労してるし。
「××、母さんの首も揉んであげてくれな」
「さっきもんだ」
「そうなのか」
「うん」
俺なんかよりずっと親孝行だもんな。
しばらくのあいだされるがままにしていると、随分と首が軽くなった。
マッサージの腕が上達しつつあるのかもしれない。 







778 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:08:09 ID:1iBTrSVw0

2015年12月10日(木)

羽毛布団の購入を検討するため、最寄りのニトリへと赴いた。
「うーん……」
ふかふかとした薄手の布団を撫でながら、思案する。
「これ、本当にあったかいのか?」
「わかんない」
「もっと分厚いものを想像してたんだけど……」
値札を睨みつけながら、うにゅほが呟く。
「おたかい……」
「羽毛布団なら、安いほうじゃないか」
「そなの?」
「もっとお安いのもあるぞ」
と、七千円の羽毛布団を指さす。
「うすい……」
「薄いなあ」
「あたたかさレベル、さん、だって」
「こっちの、吸湿発熱掛け布団ってやつのほうが、あったかそうだな」
「かう?」
「買わない」
安物買いの銭失い。
半端なものなら、買わないほうがいい。
「どっちにしろ、今日はお金が足りないし」
「おかね、いれてなかった?」
「いちおう入れたけど、二万円でふたりぶんの羽毛布団は無理だろう」
「おたかいもんね……」
「とりあえず、実物を見れてよかった」
半端なものを買うつもりはないが、予算というものがある。
今回であれば五万円程度だ。
二万五千円あれば、それなりのものを揃えられると思うのだが、どうだろう。
「どうしようねえ……」
「どうしようなあ」
今年中には決着をつけよう。
冬が終わってからでは、意味がない。 







779 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:09:52 ID:1iBTrSVw0

2015年12月11日(金)

「ゆすきん、えー」
「ユースキンAな」
「これ、ほしつクリーム?」
「そう」
「へえー」
うにゅほが中蓋を剥がす。
「──…………」
すんすん。
「やくようのにおいがする」
「薬用?」
「はい」
鼻先に突きつけられたユースキンの匂いを嗅ぐ。
「あー……」
「ね?」
「メンソレータム系の匂いだな」
「そう、めんたむけい」
うんうんと頷きながら、うにゅほがユースキンを指に取った。
「ぬるよー」
「はいはい」
右腕をまくり、差し出す。
「ぬりぬり」
「──…………」
うにゅほの手のひらが、俺の腕を這い回る。
ちょっとくすぐったい。
「ひだりもー」
「はいはい」
ひとしきり塗り終わったあと、うにゅほが俺にユースキンの容器を手渡した。
「わたしも、ぬって」
「どこに?」
「どこでもいいよ」
どこでもって言われてもなあ。
「じゃ、腕な」
「うん」
指先にクリームを取り、手のひらに伸ばしたあと、うにゅほの腕に触れた。
「うひ」
ぬりぬり。
「うし、ししし」
「くすぐったい?」
「ちょっと」
「我慢」
「はい」
塗り終わる。
「つぎ、ひだりー」
「……くすぐったいんじゃないのか?」
「くすぐったい」
「でも塗るのか」
「うん」
いい度胸じゃないか。
左腕に塗る。
「うふ」
右足に塗る。
「ひひ、ひー!」
左足に塗る。
「うひは、ふふ」
足の裏に塗る。
「ひひ、ひゃ、うししし! ひ、ひー! もうらめ、ぎぶ! ぎぶ!」
「脇腹には塗らなくていいのか?」
「しぬ!」
うにゅほが笑い転げるさまは、たいへん面白かった。
保湿クリームの使用法を根本的に間違っている気がするが、もうなんでもいいや。 







780 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:11:20 ID:1iBTrSVw0

2015年12月12日(土)

Amazonで注文しておいたアイマスクが届いた。
「わ」
アイマスクをふにふにと触りながら、うにゅほが口を開く。
「ぶあついねえ」
「テンピュールだからな」
「てんぴゅーる」
「そう」
「てんぴゅーるって、なに?」
「……なんだろう」
素材かな。※1
「ともあれ、これだけ分厚ければ遮光性も抜群のはずだ」
「あいますく、してみていい?」
「いいぞ」
うにゅほがアイマスクをつける。
「ほー」
「どうだ?」
「なにもみえない」
「光は?」
「ひかりはない」
世界に絶望したラスボスみたいなこと言ってる。
「次、俺な」
「はい」
アイマスクを受け取り装着すると、そこはまさしく光のない世界だった。
「いいな、これ……」
三千円の価値はあるというものだ。
「ちょっと昼寝してみようかな」
「どうぞ」
ぽん、ぽん。
アイマスクをずらすと、うにゅほが自分の膝を叩いていた。
「××って、膝枕好きだよな」
「うん」
「するのも、されるのも」
「うん」
「三十分経ったら、交代な」
「うん」
うにゅほも、俺も、よく眠れた。
いい買い物をした。

※1 テンピュール ── スウェーデンの寝具メーカー 







781 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:12:39 ID:1iBTrSVw0

2015年12月13日(日)

「──……暑い」
ストーブをつけて十五分と経たないうちに、耐え切れないほどの室温になった。
「××、悪いけど、ストーブ切ってくれるか」
「はーい」
ぴ。
室温が下がり始める。
「もうすこし安定しないもんかなあ」
「おんど?」
「そう」
エアコンがあれば文句はないのだが、そこまで高望みはしない。
20℃以上、25℃未満くらいの室温を維持してくれるだけでいいのだけれど、灯油ストーブには荷が重すぎるようだった。
「……着込むしかない、か」
チェアの背もたれに掛けてあった半纏を羽織る。
「さむいの?」
「まだ寒くないけど、すぐに寒くなるだろ」
「そだね」
「なんか、こう、安定してあったかいものないかな……」
「──…………」
うにゅほが立ち上がり、俺の顔を覗き込む。
「うへー」
そして、自分を指さした。
「あんていして、あったかいもの」
「あー……」
たしかに、安定してあったかいものだ。
「じゃあ、膝に乗ってくれるか?」
「うん!」
んしょ、とうにゅほが俺の膝に座る。
ちいさなおしりが太腿の上で潰れる感触が心地いい。
「あったかい?」
「ああ、あったかい……」
冬は、人肌が一番かもしれない。
うにゅほを抱き締めながら、そんなことを思った。 







782 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:14:11 ID:1iBTrSVw0

2015年12月14日(月)

「××、お茶取って」
「はい」
俺の膝で漫画を読んでいたうにゅほが、デスクの上のペットボトルに手を伸ばす。
うにゅほの上半身を左腕で支えているため、手が届かないのだ。
「のませてあげましょう」
「いや、そこまでは」
「さあさあ」
「むぐ」
飲まされてしまった。
子供に戻ったようで、すこし気恥ずかしい。
しばしネットサーフィンを楽しんでいると、
「──……う」
うにゅほが不意にべそをかきはじめた。
「どした?」
「う、うう……」
ページを開き、こちらに見せる。
「……なるほど」
金色のガッシュ!! 23巻。
泣きどころの多い漫画である。
ティッシュを数枚ドローし、うにゅほの目元を拭ってやる。
「何回も読んでるのに、何回も泣くよなあ」
「うん……」
「鼻も、ちーんってしな」
「ふぶ」
涙と鼻水で重くなったティッシュを捨て、見ていた動画を再び再生する。
このように、互いにできないことを補い合いながら、灯油の切れた部屋で身を寄せ合って過ごしているのです。
トイレに行くときだけは面倒だけど、あとはけっこう快適です。 







783 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:15:41 ID:1iBTrSVw0

2015年12月15日(火)

「──……あふ」
大あくびを手のひらで隠し、ぐっと伸びをする。
「最近、外出てないなあ……」
「そだねえ」
「出掛ける? 用事ないけど」
「んー」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「いまは、いい」
「ガッシュ読んでるし?」
「よんでるし……」
誘えば外に出たがると思ったのだが、拍子抜けだった。
「また雪が積もる前に、いろいろ済ませておかないとな」
11月末に降った雪は、もうすっかり解けてしまった。
窓の外の風景は、季節がひとつ巻き戻ったようで、秋の終わりにも似た様相を呈している。
「このまま来年まで積もらなかったりして」
「──…………」
「そんなわけないけどさ」
「うん」
うにゅほが深々と頷く。
「……もしかして、雪が解けたの、ちょっと面白くない?」
「まだゆきかきしてないのに……」
言ってることが本末転倒な気がする。
「雪かき好きだなあ……」
「うん」
「どういうとこが好きなんだ?」
「うと」
すこし考え込み、
「◯◯と、てわけしてできるとこ」
「手分けして……」
「◯◯があつめて、わたしがもってく」
「なるほど」
当然だが、うにゅほひとりに雪かきを押しつけたことはない。
うにゅほにとって、雪かきとは、俺との共同作業なのだ。
「……まあ、そのうち絶対降る。嫌でも雪かきする羽目になるんだから、楽しみにしときな」
「うん」
俺も、雪かきを楽しむ努力をしてみよう。
うにゅほが楽しんでいると思えば、自然と楽しく感じられる気がする。 
 






784 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2015/12/16(水) 16:17:59 ID:1iBTrSVw0

以上、四年一ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください 
 




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