2016年01月03日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



789 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 17:52:42 ID:/PK2FNy60

2015年12月16日(水)

「──…………」
俺の膝の上で猫のように丸まっているうにゅほの頭を撫でながら、ふと思った。
「××、二番目に好きなのって誰?」
「にばんめ?」
「そう」
「いちばんは、◯◯だよ」
「知ってる」
「◯◯のいちばんは?」
「××」
「うへー……」
うにゅほがてれりと笑う。
「にばんめ、にばんめ……」
しばしの思案ののち、
「……おかあさん、かなあ」
と答えた。
なるほど、予想通りだ。
「三番目は?」
「おとうさん……」
「四番目」
「……おばあちゃん?」
「弟は最後か」
可哀想に。
「あ、でも、(弟)すきだよ?」
「わかってるよ」
うにゅほは、家族に対する愛情がとても深い。
その代わり、家族以外に対する興味がまったくない。
うにゅほの世界を閉じたものにしてしまったのは、他ならぬ俺であり、家族だ。
しかし、そこに後悔はない。
「……××、いま、幸せか?」
「うん」
即答。
それだけで、自分は間違っていなかったと思える。
「──…………」
なでなで。
「♪」
幸せの形は人それぞれらしい。
他人からはどれほど歪に見えたとしても、自分の感情に嘘はない。
俺は、いま、幸せである。








790 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 17:53:54 ID:/PK2FNy60

2015年12月17日(木)

ネットで注文しておいた羽毛布団が、ふたりぶん届いた。
「ちょっと早いけど、クリスマスプレゼントってことでいいか?」
「うん」
一枚二万円。
二枚で四万円だ。
今年の出費は、これで最後にしたい。
折り畳まれた状態の羽毛布団をばふばふ叩きながら、うにゅほが小首をかしげる。
「なんか、うすい……」
「空気を抜いてあるからな」
「くうきいれるの?」
「ああ」
羽毛布団を広げ、ばさばさとはためかせる。
「あ、ふくらんできた!」
「こないだニトリで見た七千円のやつとは違うだろ」
「ちがう!」
心中で、ほっと胸を撫で下ろす。
違ってよかった。
同じだったら、困る。
「くうきがあるから、あったかい」
「そう」
「にじゅうまどと、いっしょ?」
「よくわかったな」
「うへー……」
気体は、液体や固体に比べ、熱伝導率が非常に低い。
よって「動かない空気」は極めて優秀な断熱材なのである。
「もうふ、どうしよう」
「片付けるか」
「にまいとも?」
「今日は、羽毛布団と丹前だけで寝てみて、寒かったら毛布を一枚足そう」
「そだね」
うんうんと頷く。
「……◯◯、ねむくない?」
「眠くないけど……」
「ひるね、しない?」
「気になるのか」
「うん」
「じゃ、ふたりでくるまってみるか」
「うん」
一枚の羽毛布団にふたりでくるまってみたところ、なかなかの保温性だった。
しかし、実際に寝てみないことにはわからない。
値段相応の価値があればいいのだが。 







791 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 17:56:05 ID:/PK2FNy60

2015年12月18日(金)

ぱち、と目を開ける。
朝だ。
軽い布団を押しのけて立ち上がり──
「寒ッ」
思わず自分の両腕を撫でさすった。
「──…………」
予感があった。
目を覚ます前から感じていた。
カーテンを開く。
「……ああ、そうか」
一面の銀世界。
冬が、そこにあった。
呆然と見入っていると、リビングへ通じる扉が開いた。
「あ、おはよー」
半纏を着込んだうにゅほだった。
「さむいねえ」
「寒いな」
「ストーブつけるね」
「ああ」
ベッドに戻り、羽毛布団にくるまる。
「……はー、あったかい」
「うもうぶとん、ちょっとあつかった」
「毛布いらないな」
「いらない」
どうやら、二万円の価値はあったようだ。
「こりゃ、根雪になるな」
「ほんと?」
「ここから解けるってことはないと思うぞ」
「そか」
うにゅほがほにゃっと笑う。
「さっそく雪かきかな」
「おとうさん、しごといくまえに、ゆきかきしてった」
「おー」
そいつはありがたい。
「ゆきかきき、べんりだって」
「雪──ああ、除雪機か」
「じょせつき」
「除雪機の使い方、覚えないとな」
「……うーん」
うにゅほが小首をかしげる。
「ゆきかき、ふつうにしたいな……」
うにゅほにしてみれば、除雪機は邪道なのだろう。
「わかった。ふたりで雪かきするときは、そうしような」
「うん!」
この笑顔を見られるならば、雪かきなんてなんのそのだ。
腰痛にだけ気をつけておこう。 
 






792 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 17:57:18 ID:/PK2FNy60

2015年12月19日(土)

「♪~」
ふんふんと機嫌よく、うにゅほが掃除機を掛けていく。
掃除の邪魔にならないよう、マットレスの上でイカ娘を読んでいると、
「──…………」
うにゅほの動きがぴたりと止まった。
視線の先には、部屋の隅に積み上げられた読みかけのハードカバーが数冊。
「あ、いまどけるから」
本を抱えて膝に乗せると、うにゅほがほっと胸を撫で下ろした。
「どけてよかったんだ」
「どけちゃ駄目なものなんて、幾つもないぞ」
PCとかルータとか。
「でも、なんか、いみあるきがして」
「ないない」
ひらひらと手を振ってみせる。
「掃除の邪魔だったら片付けていいし、面倒だったら俺に言えばいいし」
「そか」
「……つーか、そもそも、俺が掃除を手伝えばいいんだけど」
「そうじ、わたしのしごと」
うにゅほが薄い胸を張る。
「じゃ、片付けは俺の仕事だな」
「おねがいします」
「はいはい」
と言っても、基本的には片付いている俺の部屋である。
「しごとないね」
「ないなあ」
「いかむすめ、よんでていいよ」
「……そうします」
なんか、あしらわれた気がする。
うにゅほは、これでいて、自分の職分に手出しをされたくないほうだ。
手伝うのは好きなのに、手伝われるのは嫌いらしい。
「大掃除は、ふたりでやろうな」
「うん」
大掃除までまかせきりでは、男が廃るというものだ。 







793 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 17:58:58 ID:/PK2FNy60

2015年12月20日(日)

「うわー、またAVケーブルだよ」
「たくさんあるねえ」
「ACケーブルも何本目なんだか……」
備え付けの洋服ダンスを整理していたところ、LANケーブルだのUSB延長コードだの不要なケーブル類が出るわ出るわの大騒ぎだった。
「えーぶいと、えーしーって、どうちがうの?」
「AVはオーディオ・ビジュアルで、音声信号と映像信号を送るやつ」
「えーしーは?」
「よく知らんけど、コンセントに繋ぐやつ」
「へえー」
ACが交流で、DCが直流だったっけ。
「なんか、古いスピーカーもあるぞ」
「どんなの?」
「ほら──」
広辞苑ほどもあるスピーカーをうにゅほに渡そうとして、
「あ」
手が滑った。
このまま落とすと、床を傷つけてしまう。
そう判断した俺は、咄嗟に爪先を突き出した。

──ゴッ!

骨に、響いた。
「──…………」
落ちたスピーカーと床とを交互に見る。
傷ついてはいないようだった。
「◯◯! だいじょぶ!?」
「ああ」
「……いたくないの?」
「すげー痛い……」
眉ひとつ動かなかったのは、あんまり痛くて顔に出す余裕すらなかっただけだ。
表情に出なくても、痛いもんは痛い。
「……あー、あかくなってる」
「本当だ……」
スピーカーのカドが当たった場所が、赤い線になっている。
痛いはずだ。
「しっぷはって、ほうたいまく」
「頼む……」
うにゅほの適切な処置によって、痛みはだいぶ引いた。
骨にヒビは入ってないと思う。
たぶん。 







794 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:00:27 ID:/PK2FNy60

2015年12月21日(月)

「ただいまー」
整形外科から帰宅すると、うにゅほが二階から駆け下りてきた。
「おかえり!」
「ただいま」
「あし、どうだった?」
薬局の袋を掲げながら、答える。
「骨に異常ないって。湿布と痛み止めもらったよ」
痛み止めを使うほどではないと思うが、あるに越したことはない。
「よかったー……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「大丈夫って言ったろ」
「うん」
心配性なんだから。
靴を脱ごうと身を屈めたとき、
「──……ん?」
ふと、鼻腔をくすぐるものがあった。
「なんか、いい匂いがする」
甘い。
そして、瑞々しく爽やかな香り。
「りんごだよ」
「りんご?」
「あおもりから、りんごとどいた」
うにゅほの視線を辿ると、玄関の隅に、青森りんごと書かれた段ボール箱があった。
「──…………」
すんすん。
「──……」
はー。
「いいにおい」
「ああ」
「ぎんがてつどうの、りんごみたい」
「そうだな」
これほどまでに香るのだから、さぞ甘くて美味しいのだろう。
「きょうのやさいジュース、このりんごつかうからね」
「楽しみにしてる」
「うん!」
夕食時に出された野菜ジュースは、いつもと同じ味がした。
いつも美味しいのだけど、すこし拍子抜けだった。
ここまでぐちゃぐちゃになってしまうと、りんごの質など誤差に等しいようである。 







795 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:01:37 ID:/PK2FNy60

2015年12月22日(火)

朝起きると、雪が積もっていた。
「……××、ごめん」
「?」
「一緒に雪かき、まだできそうにない」
痛み止めを飲むほどではないが、歩くだけですこし痛む。
「あー」
うにゅほが苦笑する。
「むりしないでね」
「しない、しない」
無理は嫌いな性格だ。
できることを、できるだけしか、するつもりはない。
「おとうさん、ゆきかき、ひとりでしちゃったし」
「仕事行く前に?」
「うん」
「除雪機か」
「すごいたのしそうだった」
新しいおもちゃを手に入れたようなものだからなあ。
「……飽きるまで邪魔しないようにしよう」
ガレージの一角を占拠して秘密基地にしてしまった父親である。
童心を忘れないと言えば言える。
「××も、除雪機使ってみたいか?」
「──…………」
ふるふると首を横に振る。
「いい」
「いいのか」
「こわい」
「怖いのか」
「なんか、ぐるぐるってしてて、あぶない」
「俺の友達、小学生のころ、あれに巻き込まれてなあ」
「!」
ひ、とうにゅほが息を飲む。
「おそろしい……」
「使うなら、気をつけて使わないとな」
「あぶないよ」
「危ないって言ったら、車のほうが危ないぞ」
「でも……」
除雪機の回転刃に生理的な恐怖を覚えるのは、なんとなくわかるけど。
「使い方を間違わなければ、大概は大丈夫なものだよ」
「うん……」
しぶしぶ頷くうにゅほの頭を撫でたあと、布団に戻って二度寝を決め込んだ。
次に起きたのは、昼頃だった。 







796 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:02:46 ID:/PK2FNy60

2015年12月23日(水)

「──はい、しっぷおわり」
うにゅほがぽんぽんと足の甲を撫でる。
「じゃ、くつしたね」
「いや、靴下くらい自分で」
「へんにはいたら、しっぷ、ぺろんてなっちゃうよ」
「──…………」
耳が痛い。
昨日、ぺろんとなってしまって、湿布を貼り直したばかりだからだ。
「……履かせてください」
「♪」
俺の世話を焼くときのうにゅほは、本当に満足そうだ。
この表情を見るためだけにダメ人間になってもいいとさえ思う。
ならないけど。
「はい、はけました」
「ありがとう」
「みぎもはく?」
「いや、右は自分で──」
「──…………」
じ。
「……履かせてください」
「はーい」
世話どころか、介護されている気すらしてきた。
「××」
「?」
「なんか、してほしいことないか?」
バランスを取らなければ。
「してほしいこと……」
うにゅほが小首をかしげる。
「うと」
「──…………」
「えっと」
「──…………」
「あ」
「あるか?」
「うん」
「なんだ?」
「あんまし、けがしないでほしいな」
「……はい」
ぐうの音も出ないのだった。







797 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:04:53 ID:/PK2FNy60

2015年12月24日(木)

「──よし、できた!」
「かんせい!」
「いえー」
「いえー」
うにゅほとハイタッチを交わす。
市販のスポンジにナッペを施しただけのシンプルなホールケーキに見えるが、実は違う。
スポンジのあいだに嫌と言うほどくるみを敷き詰めた「くるみのショートケーキ」なのだ。
「じゃ、これは冷やしとこうな」
「うん」
「今日の晩ごはんは?」
「てまきずし、だって」
「豪勢だな」
「クリスマスだもん」
うへーと笑う。
「晩ごはんのあと、ケーキを食べて」
「うん」
「そのあとは?」
「ぎんがてつどうのよる!」
クリスマスイヴの夜、映画版の銀河鉄道の夜をふたり静かに観賞する。
毎年の恒例行事だ。
「えーと──」
指折り数えながら、呟く。
「もう、五回目になるのか」
「ごかいめ?」
「××がうちに来たのが2011年の10月で、その年のクリスマスイヴに初めて見ただろ」
「うん」
「2012、2013、2014と来て、今年は2015だから、五回目」
「まだ、ごかいめ……」
まだ五回目。
その声音に秘められた感情に気づき、俺はうにゅほを背後から抱き締めた。
「来年は、六回目」
「──…………」
「再来年は、七回目」
「──…………」
「八回目、九回目、十回目。ずっと続けていけばいい」
「……うん」
「一緒にいような」
「うん!」
うへーと笑いながら、うにゅほがこちらへ振り返る。
この笑顔を、ずっと見ていたい。
そう思うのだ。 







798 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:06:00 ID:/PK2FNy60

2015年12月25日(金)

消費税増税前に我が家をリフォームしようという話が持ち上がっている。
「水回りを一階に集めて──」
「弟の部屋は二階に──」
「こことここの壁はぶち抜いて──」
「キッチンはL字型で──」
間取り図を挟んで侃々諤々の議論を交わす両親を尻目に、昨日のあまりのケーキをパクつく。
「りほーむだって」
「ああ」
「どうなるのかな」
「俺たちの部屋は、大して変わらないよ」
「そうなんだ」
「ただ──」
言いかけて、やめる。
「なんでもない」
「?」
家をリフォームするとなれば、ひとつ、どうしても避けられない問題が出てくる。
「──××!」
父親がうにゅほを手招いた。
「なにー?」
「お前の部屋は、どこがいい?」
「……?」
小首をかしげる。
「いつまでも◯◯と同じ部屋っちゅーわけにもいかねーだろ」
「──えっ、う、え?」
目を白黒とさせながら、うにゅほがこちらに視線を向ける。
つまりはそういうことだ。
「お前たちの部屋を真ん中で間仕切って──」
「一階の和室をフローリングにしたほうがいいんじゃ──」
「いや、それだとリビングが──」
「二部屋にするとさすがに狭いと──」
両親のあいだで狼狽えていたうにゅほが、意を決したように口を開く。
「──や!」
そして、俺の左腕に抱きついた。
「◯◯といっしょがいい!」
「──…………」
「──……」
両親が、無言で、互いに顔を見合わせる。
その目に込められた感情は、ふたりとも同じだ。
「やっぱり……」
「しゃーねえなあ」
そして、何事もなかったように議論を再開する。
「◯◯と、いっしょがいい……」
呟くように繰り返すうにゅほの頭を撫でてやる。
「一緒でいいってさ」
「……ほんと?」
「ああ」
正直、今更である。
両親としても、いちおう尋ねてみただけだろう。
「よかった……」
ほっと胸を撫で下ろすうにゅほの姿に苦笑しながら、ケーキの最後のひとかけらを牛乳で流し込んだ。 







799 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:07:49 ID:/PK2FNy60

2015年12月26日(土)

年末年始に向けて、箪笥の中身を整理することにした。
「──これは、着ないだろ。これも着ない。これも、さすがに着れないよな」
箪笥の肥やしになっていた衣服を、ぽいぽいと選別していく。
「ぜんぶすてちゃうの?」
「捨てる。着ないのに持ってても仕方ないだろ」
「もったいない……」
「売ったって、全部まとめて十円だよ」
ブランドものなんて一着もないし。
「これは?」
うにゅほが手に取ったのは、高校のときの青ジャージだった。
「……むしろ、捨ててなかったのが不思議なくらいだ」
「わたし、もらっていい?」
「駄目」
「えー……」
「どう考えたってサイズが違いすぎるだろ」
ジャージの下がずり落ちる未来しか見えない。
「じゃ、うえだけ」
「上だけ?」
「うえなら、ぬげない」
「袖が余るぞ」
「あったかい」
「……そういう考え方もあるか」
試しに着せてみた。
「どかな」
「──…………」
下スカートの上ジャージって、なんかこう、すごく、女子高生っぽい。
「……悪くない」
むしろ、いい。
萌え袖なのも好評価である。
「うごきやすいねえ」
「家のなかで一枚羽織りたいときとか、いいかもな」
「もらっていいの?」
「ああ」
「やた!」
「ものを持つときは、袖まくれよ」
「はーい」
胸元に刺繍された苗字を指先でなぞりながら、うにゅほがうへーと笑う。
なるほど、それが嬉しかったのか。
「××も、着ない服出しとけよ」
「うと……」
「ないなら、出さなくてもいいよ」
「うん」
相変わらず、ものを捨てるのが苦手な子だ。
思い出を捨て去るようで、気が咎めるのだと思う。
断捨離とまでは行かずとも、捨てる技術くらいは磨いておいたほうがいいかもしれない。 







800 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:09:00 ID:/PK2FNy60

2015年12月27日(日)

眼鏡を外し、蛍光灯に透かす。
思ったとおり、だいぶ汚れている。
「──…………」
ティッシュを二枚ドローし、四つ折りにして、右手に構える。
クロスは使わない派だ。
「めがねふくの?」
「ああ」
「ふいてみたいな」
「いいけど、大して面白いもんじゃないぞ」
うにゅほに眼鏡を手渡す。
「ひだりてで、めがねもって」
「うん」
「みぎてで、めがねふく」
「そうそう」
「めがねふくとき、はーってする」
「わかってるじゃないか」
「うへー」
てれり。
「じゃ、はーってする」
はー。
うにゅほの呼気でレンズが曇る。
「ふくね」
「ああ」
ふきふき。
「あれ、あんましきれいになんない……」
「そういうときは、何度も拭く」
「はい」
はー。
ふきふき。
はー。
ふきふき。
パキ。
「あっ」
「……なんか、鳴ったな」
慣れていないためか、変なふうに力を込めてしまったのだろう。
「ごめ、ごめなさ……」
「ちょっと貸して」
泣きそうなうにゅほから眼鏡を受け取り、検める。
「……壊れては、ない、かな」
「ほんとう……?」
「どこが鳴ったんだろ」
ともあれ、
「やっぱ、俺がやるな」
「はい……」
すっかり落ち込んでしまったうにゅほの頭を撫でてから、眼鏡を拭き直した。 







801 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:10:10 ID:/PK2FNy60

2015年12月28日(月)

「◯◯、やさいジュースのむ?」
「飲むー」
うにゅほの作る野菜ジュースは絶品だ。
キウイと柿と、それからリンゴが入っていることは確かだが、詳しいレシピはわからない。
たぶん、トマトは入っていないと思う。
「はい」
「いつもありがとな」
グラスを受け取ると、ずしりと重かった。
「……ちょっと、りんごいれすぎちゃった」
「あー」
「すりりんごみたいになっちゃった」
随分と色味の悪いすりおろしリンゴである。
「つくりなおす?」
「いや」
グラスの中身をすすり、軽く噛んでから飲み下す。
「けっこう美味い」
「ほんと?」
「味見しなかったのか?」
「したけど、ジュースっぽくないなって」
「……まあ、ジュースではないな」
「なんだろう」
「スムージー──は、違うか」
「すむーじー」
「なんか、ふわっとした飲み物だよ」
「ふわっとは、してないね」
「シャリッとしてるな」
ひとくちすする。
「……噛まないと飲み込めない」
「えきたいでは、ない?」
「液体ではない」
「こたい?」
「固体ってほどでもないなあ」
「なんなんだろう……」
「ま、美味いから、なんだっていいじゃないか」
またひとくち。
「……なんかこれ、すごい腹に溜まるな」
ダイエットにはいいかもしれない。
「あしたは、りんご、いれすぎないようにするね」
「ああ」
どちらも美味しいからいいのだけど、やはり、うにゅほ的には失敗作なのだろう。
健康的な食生活は、うにゅほ印の野菜ジュースから。
そんなフレーズが脳裏をよぎったのだった。 







802 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:11:46 ID:/PK2FNy60

2015年12月29日(火)

「はー、さむさむ……」
無意識に両手をこすり合わせる。
ほんの一時間ほど部屋を空けただけで、あっという間にこの冷え込みようだ。
「さむいねえ……」
はー。
俺の隣では、うにゅほが吐息で両手をあたためている。
「ストーブつけよう」
「そうしよう」
「──うわ、椅子まで冷たい」
「ほんと?」
うにゅほが座椅子に腰を下ろす。
「わ」
そして、ぴょこんと立ち上がった。
「つめたい」
「そのスカート、薄いんじゃないか?」
「そかも……」
パッチワーク風の可愛らしいスカートだが、冬用ではないのかもしれない。
「ゆたんぽ」
「?」
「ほら、ゆたんぽ、こっち来い」
「!」
理解したらしい。
「……うへー、ゆたんぽです」
照れくさそうにそう言って、うにゅほが俺の膝に乗る。
「はー……」
ふにふにとしてあたたかい。
首筋に鼻先をうずめると、いい匂いがする。
なんて素晴らしいゆたんぽだろう。
「うしし」
「どうした?」
「くすぐったい」
「我慢」
「はい」
「……あったかいなあ」
「あったかい」
俺にとってうにゅほがゆたんぽであるように、その逆も然りである。
俺があったかいと、うにゅほもあったかいのだ。
「やっぱ冬場はくっついてるのが一番だな」
「うん」
まあ、部屋の温度が上がってきたら、暑苦しくなって離れるんですけどね。 







803 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:13:14 ID:/PK2FNy60

2015年12月30日(水)

祖母の病院を辞し、駐車場へ戻る。
「おばあちゃん、きてくれてありがとうっていってたね」
「ああ」
「げんき、なるかな」
「……どうかな」
「たいいんできるかな」
「わからない」
祖母が入院して、そろそろ一年が経とうとしている。
もう長くはない。
食事をしても吐いてしまうのだから、当然だ。
「……たいいん、できるかな」
うにゅほもそれを知っている。
知っているから、泣いているのだ。
「ほら、こっち来い」
うにゅほを抱き寄せる。
「うぶ……」
慰めることしかできない。
誤魔化すことしかできない。
俺は無力だ。
胸元を濡らす涙と鼻水の感触に苦笑しながら、呟く。
「……なんだか俺も泣きたいよ」
泣きたいけど、泣けない。
覚悟ができてしまったから。
「ぐじゅ、ぶー……」
泣きたくないけど、泣いてしまう。
避けられない未来と理解してしまったから。
残る時間は、僅かだ。
後悔するだろう。
どんなに手を尽くしたって、後悔するに決まってる。
だから、せめて、慰め合おう。
ひとりではないのだから。
家族がいるのだから。 







804 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:15:13 ID:/PK2FNy60

2015年12月31日(木)

「──今年もあと数分かあ」
「あ、本当だ」
ガキの使いを見ながらぼんやり呟くと、弟がスマホをいじる手を止めた。
「今年も短かったな」
「そうだね」
「(弟)は、ガキの使い見たら寝るのか?」
「部屋戻るけど、まだ寝ない」
「そりゃそうか」
弟も、俺に似て宵っ張りである。
「兄ちゃん、初詣行くんだっけ?」
「友達とな」
「兄ちゃんの膝で寝てるやつはどーすんの?」
「連れてく」
「まあ、黙って行ったらうるさそうだしね」
「それ以前の問題として、起こさないと立つこともままならないし……」
「まあねえ」
俺の膝の上で安らかな寝息を立てているうにゅほの鼻先をちょいとつまむ。
「ふぐ」
しばし苦しそうな寝息を立てたあと、
「ふひゅー……」
と、口呼吸を始めた。
「……そんなことしていいの?」
「お前は駄目だぞ」
「いや、しないけど」
「兄弟のよしみだ。ほっぺたをつつくくらいなら、許してやるぞ」
「しないって」
つんつん。
「うふ」
うにゅほが吐息を漏らす。
「柔らかいのに」
「はいはい」
弟がスマホに視線を戻す。
「あ、新年」
「あけましておめでとう」
「おめでとう」
「おとしだまくれ」
「兄ちゃんがくれたらな」
「いや、××に」
「××には、ちゃんとやるよ」
「……悪いけど、二千円にしといてくれないか?」
「なんで?」
「いや、俺からは三千円にしようと思って」
「はいはい、二千円ね」
そんな汚い談合が頭上で行われているとは露知らず、幸せそうな寝顔を晒し続けるうにゅほなのだった。
あけましておめでとうございます。 







805 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/01(金) 18:18:33 ID:/PK2FNy60

以上、四年一ヶ月め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください 
 




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